可変容量形オイルポンプ及びこれを用いたオイル供給システム

申请号 JP2014534239 申请日 2013-07-24 公开(公告)号 JP6154386B2 公开(公告)日 2017-06-28
申请人 日立オートモティブシステムズ株式会社; 发明人 渡辺 靖; 靖 渡辺; 大西 秀明; 秀明 大西;
摘要
权利要求
  • メインオイルギャラリーにオイルを吐出する可変容量形オイルポンプであって、
    内燃機関によって回転駆動されるロータと、
    該ロータの外周に出没自在に設けられた複数のベーンと、
    前記ロータとベーンを内周側に収容し、複数の作動油室を形成すると共に、移動することによって前記ロータの回転中心と内周面の中心との偏心量が変化するカムリングと、
    前記ロータの回転 に伴って容積が増大する前記作動油室に開口する吸入部と、
    前記ロータの回転 に伴って容積が減少する前記作動油室に開口する吐出部と、
    前記ロータの回転中心に対してカムリングの偏心量が大きくなる方向へ前記カムリングを付勢する付勢機構と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、前記メインオイルギャラリー から油圧が導入されることによって前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が小さくなる方向への力を前記カムリングに付与する第1制御室と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、前記メインオイルギャラリーから油圧が導入されることによって 、前記ロータに対するカムリングの偏心量が大きくなる方向への力を付与する第2制御室と、
    非通電状態では、前記第2制御室とメインオイルギャラリーとを連通させ、通電状態では、前記第2制御室と低圧部を連通させる電磁弁と、
    前記メインオイルギャラリーから分岐した分岐通路と前記第1制御室とを連通させる第1制御室通路と、
    該第1制御室通路から分岐して、前記電磁弁を介して前記第2制御室に連通する第2制御室通路と、
    前記分岐通路のメインオイルギャラリーとの接続位置と第1制御室通路の第2制御室通路との分岐部との間に設けられたオイルフィルタと、
    を備えたことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。
  • メインオイルギャラリーにオイルを吐出する可変容量形オイルポンプであって、
    内燃機関によって回転駆動されることによって複数の作動油室の容積を変化させてオイルを 吐出部から吐出するポンプ本体と、
    可動部材が移動することによって、前記吐出部に開口する前記作動油室の容積変化量を変更する可変機構と、
    前記ポンプ本体の回転に伴って容変化量が増大する作動油室に開口した吸入部と、
    前記ポンプ本体の回転に伴って容変化量が減少する作動油室に開口した 前記吐出部と、
    前記作動油室の容積 変化量が大きくなる方向へ前記可動部材を付勢する付勢機構と、
    前記メインオイルギャラリーから内部にオイルが導かれることによって前記作動油室の容積 変化量が小さくなる方向の力を前記可動部材に作用させる第1制御室と、
    前記メインオイルギャラリーから内部にオイルが導かれることによって前記作動油室の容積 変化量が大きくなる方向の力を 、前記可動部材に作用させる第2制御室と、
    非通電状態では、前記第2制御室とメインオイルギャラリーとを連通させ、通電状態では、前記第2制御室と低圧部を連通させる電磁弁と、
    前記メインオイルギャラリーから分岐した分岐通路と前記第1制御室とを連通させる第1制御室通路と、
    該第1制御室通路から分岐して、前記電磁弁を介して前記第2制御室に連通する第2制御室通路と、
    前記分岐通路のメインオイルギャラリーとの接続位置と第1制御室通路の第2制御室通路との分岐部との間に設けられたオイルフィルタと、
    を備えたことを特徴とする可変容量形オイルポンプ。
  • 可変容量形オイルポンプからメインオイルギャラリーにオイルを供給するオイル供給システムであって、
    前記可変容量形オイルポンプは、
    内燃機関によって回転駆動されるロータと、
    該ロータの外周に出没自在に設けられた複数のベーンと、
    前記ロータとベーンを内周側に収容し、複数の作動油室を形成すると共に、移動することによって前記ロータの回転中心と内周面の中心との偏心量が変化するカムリングと、
    前記ロータの回転 に伴って容積が増大する前記作動油室に開口する吸入部と、
    前記ロータの回転 に伴って容積が減少する前記作動油室に開口する吐出部と、
    前記ロータの回転中心に対してカムリングの偏心量が大きくなる方向へ前記カムリングを付勢する付勢機構と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、前記メインオイルギャラリー から油圧が導入されることによって前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が小さくなる方向への力を前記カムリングに付与する第1制御室と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、前記メインオイルギャラリーから油圧が導入されることによって 、前記ロータに対するカムリングの偏心量が大きくなる方向への力を付与する第2制御室と、
    非通電状態では、前記第2制御室とメインオイルギャラリーとを連通させ、通電状態では、前記第2制御室と低圧部を連通させる電磁弁と、を備え、
    前記メインオイルギャラリーから分岐した分岐通路と前記第1制御室とを連通させる第1制御室通路と、
    該第1制御室通路から分岐して、前記電磁弁を介して前記第2制御室に連通する第2制御室通路と、
    前記分岐通路のメインオイルギャラリーとの接続位置と第1制御室通路の第2制御室通路との分岐部との間に設けられたオイルフィルタと、
    を備えたことを特徴とするオイル供給システム。
  • 請求項 に記載のオイル供給システムにおいて、
    前記メインオイルギャラリーには、メインオイルフィルタが設けられ、該メインオイルフィルタは上流側と下流側の圧力差が所定以上になると、前記メインオイルフィルタをバイパスしてオイルを通流させるバイパス通路を設けると共に、該バイパス通路に1方向のバイパス弁を設けたことを特徴とするオイル供給システム。
  • 請求項 に記載のオイル供給システムにおいて、
    前記メインオイルフィルタは、前記オイルフィルタに対してメッシュサイズが小さいことを特徴とするオイル供給システム。
  • 可変容量形オイルポンプからメインオイルギャラリーにオイルを供給するオイル供給システムであって、
    内燃機関によって回転駆動されることによって複数の作動油室の容積を変化させてオイルを 吐出部から吐出するポンプ構成体と、
    可動部材が移動することによって、前記吐出部に開口する前記作動油室の容積変化量を変更する可変機構と、
    前記ポンプ構成体の回転に伴って前記作動油室の容積 変化量が変化した際に、該容積が増大する作動油室に開口した吸入部と、
    前記ポンプ構成体の回転に伴って前記作動油室の容積 変化量が変化した際に、該容積が減少する作動油室に開口した 前記吐出部と、
    前記作動油室の容積が大きくなる方向へ前記可動部材を付勢する付勢機構と、
    前記メインオイルギャラリーから内部にオイルが導かれることによって前記作動油室の容積 変化量が小さくなる方向の力を前記可動部材に作用させる第1制御室と、
    前記メインオイルギャラリーから内部にオイルが導かれることによって前記作動油室の容積 変化量が大きくなる方向の力を、前記可動部材に作用させる第2制御室と、
    非通電状態では、前記第2制御室とメインオイルギャラリーとを連通させ、通電状態では、前記第2制御室と低圧部を連通させる電磁弁と、を備え、
    前記メインオイルギャラリーから分岐した分岐通路と前記第1制御室とを連通させる第1制御室通路と、
    該第1制御室通路から分岐して、前記電磁弁を介して前記第2制御室に連通する第2制御室通路と、
    前記分岐通路のメインオイルギャラリーとの接続位置と第1制御室通路の第2制御室通路との分岐部との間に設けられたオイルフィルタと、
    を備えたことを特徴とするオイル供給システム。
  • 说明书全文

    本発明は、例えば自動車用内燃機関の可変容量形オイルポンプ及びこれを用いたオイル供給システムに関する。

    近年、オイルポンプから吐出されるオイルを、例えば機関の各摺動部や、機関弁の作動特性を制御する可変動弁装置などの要求吐出圧の異なる機器に使用するために、低圧特性と高圧特性の2段階特性の要求がある。

    このような要求を満足するために、例えば以下の特許文献1に記載された可変容量形ポンプは、ばねの付勢に打ち勝って移動することによってロータに対する偏心量が変更される偏心リングに、偏心量が小さくなる方向、または大きくなる方向へ作用させるようにポンプ吐出圧を電磁弁によって切換制御している。

    また、この可変容量形ポンプは、メインオイルギャラリーの下流側または前記電磁弁の上流側にオイルフィルタを設けて、前記電磁弁にオイル中の金属粉などのコンタミが噛み込まないようになっている。

    特開2004−251267号公報

    しかしながら、前記特許文献1の可変容量形ポンプは、前記オイルフィルタに目詰まりが発生した場合や、前記電磁弁が断線などによって故障した場合には、前記オイルフィルタの下流側へのオイルの流通が断たれて、ポンプ本体内でのオイル漏れによって制御室にオイルが流入し、この油圧によって前記偏心リングに偏心量が小さくなる方向にだけ力が作用して、偏心量が大きくなる方向へ作用するオイルは排出されてしまう。 したがって、ポンプ吐出圧に応じて前記偏心リングの偏心量が小さくなる方向に移動してしまう。

    このため、ポンプによる必要最低限のオイル吐出量を確保できなくなってしまうおそれがある。

    本発明は、前記従来技術の技術的課題に鑑みて案出されたもので、オイルフィルタなどが目詰まりを起こした場合や、電磁弁が故障してもポンプからの必要なポンプ吐出量と吐出圧を安定して確保することができる可変容量形オイルポンプを提供することを目的としている。

    本発明は、とりわけ、内燃機関によって回転駆動されるロータと、
    該ロータの外周に出没自在に設けられた複数のベーンと、
    前記ロータとベーンを内周側に収容し、複数の作動油室を形成すると共に、移動することによって前記ロータの回転中心と内周面の中心との偏心量が変化するカムリングと、
    前記ロータの回転に伴って容積が増大する前記作動油室に開口する吸入部と、
    前記ロータの回転に伴って容積が減少する前記作動油室に開口する吐出部と、
    前記ロータの回転中心に対してカムリングの偏心量が大きくなる方向へ前記カムリングを付勢する付勢機構と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、前記メインオイルギャラリーから油圧が導入されることによって前記ロータに対する前記カムリングの偏心量が小さくなる方向への力を前記カムリングに付与する第1制御室と、
    前記カムリングの外周側に設けられ、前記メインオイルギャラリーから油圧が導入されることによって、前記ロータに対するカムリングの偏心量が大きくなる方向への力を付与する第2制御室と、
    非通電状態では、前記第2制御室とメインオイルギャラリーとを連通させ、通電状態では、前記第2制御室と低圧部を連通させる電磁弁と、
    前記メインオイルギャラリーから分岐した分岐通路と前記第1制御室とを連通させる第1制御室通路と、
    該第1制御室通路から分岐して、前記電磁弁を介して前記第2制御室に連通する第2制御室通路と、
    前記分岐通路のメインオイルギャラリーとの接続位置と第1制御室通路の第2制御室通路との分岐部との間に設けられたオイルフィルタと、
    を備えたことを特徴としている。

    本発明によれば、オイルフィルタが目詰まりを起こしたり、電磁弁が故障したとしても必要なポンプ吐出量と吐出圧を安定して確保することができる。

    本発明の第1実施形態に係る可変容量形オイルポンプを用いたオイル供給システムの油圧回路を示す概略図である。

    同実施形態に係る可変容量形オイルポンプの全体概略図であって、カムリングの偏心量が最大の状態を表したものである。

    本実施形態に供されるオイルポンプの縦断面図である。

    本実施形態に供されるポンプボディを示す正面図である。

    本実施形態のオイルポンプのカムリングの偏心量が最小の状態を表したものである。

    本実施形態に供される電磁切換弁と第2オイルフィルタの取り付け状態を示す断面図である。

    本実施形態に係る可変容量形オイルポンプについての機関の回転数と油圧との関係を示すグラフである。

    第2実施形態のオイルポンプを、カバー部材を外して示す正面図である。

    第2オイルフィルタの取り付け状態を示す断面図である。

    第2オイルフィルタの斜視図である。

    第3実施形態の可変容量形ポンプの全体概略図である。

    同可変容量形オイルポンプの作動説明図である。

    同可変容量形オイルポンプの作動説明図である。

    同可変容量形オイルポンプの作動説明図である。

    本実施形態に係る可変容量形オイルポンプにおける機関の回転数と油圧との関係を示すグラフである。

    第4実施形態の可変容量形ポンプの全体概略図である。

    同可変容量形オイルポンプの作動説明図である。

    同可変容量形オイルポンプの作動説明図である。

    同可変容量形オイルポンプの作動説明図である。

    同実施形態に係る可変容量形ポンプにおける機関の回転数と油圧との関係を示すグラフである。

    以下、本発明に係る可変容量形ポンプおよびこれを用いたオイル供給の実施形態を図面に基づいて詳述する。 なお、本実施形態は、自動車用内燃機関の機関弁のバルブタイミングを可変にする可変動弁機構の作動源とすると共に、機関の摺動部、特にピストンとシリンダボアとの摺動部にオイルジェットによって潤滑油を供給し、またクランクシャフトの軸受に潤滑油を供給する可変容量形オイルポンプに適用したものを示している。

    〔第1実施形態〕
    図1は第1実施形態における油圧回路を示し、可変容量形のオイルポンプ10は、内燃機関のクランクシャフトから伝達された回転駆動力によって回転して、オイルパン01に貯留されたオイルを、ストレーナ02を介して吸入通路03から吸入して吐出通路04から機関のメインオイルギャラリー05に吐出するようになっている。

    前記吐出通路04から分岐したリリーフ通路06には、ポンプ吐出圧が過上昇した際に、オイルをオイルパン01内に戻すチェックボール型のリリーフ弁07が設けられている。

    前記メインオイルギャラリー05は、前記機関の各摺動部やバルブタイミング制御装置、クランクシャフトの軸受にオイルを供給するようになっていると共に、吐出通路04側の上流側には、通流するオイル内の異物を捕集する第1オイルフィルタ1が設けられている。 また、メインオイルギャラリー05の前記第1オイルフィルタ1をバイパスするバイパス通路08が設けられていると共に、該バイパス通路08には前記第1オイルフィルタ1が例えば目詰まりを起こしてオイルの通流が困難になった際に、開弁してバイパス通路08を介して下流側にオイルを流入させるチェックボール型のバイパス弁09が設けられている。

    さらに、前記メインオイルギャラリー05の第1オイルフィルタ1より下流側に第1分岐通路3が分岐されている。 この第1分岐通路3は、下流端が前記オイルポンプ10の後述する第1制御油室30に連通していると共に、途中には第2分岐通路4が分岐されている。

    この第2分岐通路2は、下流側が給排通路6を介して前記オイルポンプ10の後述する第2制御油室31に連通していると共に、給排通路6との接続箇所には電磁弁である電磁切換弁40が設けられている。

    この電磁切換弁40は、図外のコントロールユニットによってオン(通電)−オフ(非通電)制御され、前記第2分岐通路4と給排通路6を連通させるか、第2分岐通路4とドレン通路5を連通させるようになっている。 具体的な構成などは後述する。

    また、前記第1分岐通路1のメインオイルギャラリー05との分岐部付近には、第2オイルフィルタ2が設けられている。 この第2オイルフィルタ2は、図6に示すように、メインオイルギャラリー05と大径な第1分岐通路3の分岐箇所に圧入固定されたほぼ円筒状の本体2aと、該本体2aの1端部に結合された有底円筒状の金属製メッシュ部2bとから構成され、オイル内に混入したコンタミが特に前記電磁切換弁40へ流入するのを防止するものである。

    これら第1、第2オイルフィルタ1,2は、それぞれ例えば濾紙や金属製のメッシュ部が用いられ、濾紙やメッシュ部に目詰まりなどが発生した場合は交換可能なカートリッジ式か濾紙の交換が可能になっている。 また、前記第2オイルフィルタ2のメッシュ部2bの網目は、第1オイルフィルタ1のメッシュ部の網目の径よりも大きくなっている。

    前記オイルポンプ10は、内燃機関のシリンダブロック35の前端部等に設けられ、図2〜図5に示すように、1端側が開口するように形成されて内部に円柱状の空間からなるポンプ収容室13を有する断面コ字形状のポンプボディ11及び該ポンプボディ11の1端開口を閉塞するカバー部材12からなるハウジングと、該ハウジングに回転自在に支持され、ポンプ収容室13のほぼ中心部を貫通して機関のクランク軸によって回転駆動される駆動軸14と、ポンプ収容室13内に回転自在に収容されて中心部が駆動軸14に結合されたロータ15及び該ロータ15の外周部に放射状に切欠形成された複数のスリット15a内にそれぞれ出没自在に収容されたベーン16からなるポンプ要素と、該ポンプ要素の外周側にロータ15の回転中� ��に対して偏心可能に配置され、ロータ15及び隣接するベーン16,16と共に複数の作動油室であるポンプ室20を画成するカムリング17と、ポンプボディ11内に収容され、ロータ15の回転中心に対するカムリング17の偏心量が増大する方向へ当該カムリング17を常時付勢する付勢部材であるスプリング18と、ロータ15の内周側の両側部に摺動自在に配置された当該ロータ15よりも小径な1対のリング部材19,19と、を備えている。

    前記ポンプボディ11は、アルミ合金材によって1体に形成されていて、図3及び図4にも示すように、ポンプ収容室13の底面13aのほぼ中央位置には、駆動軸14の1端部を回転自在に支持する軸受孔11aが貫通形成されている。 また、ポンプボディ11の内側面となるポンプ収容室13の内周壁の所定位置には、図4に示すように、カムリング17を揺動自在に支持するピボットピン24が挿入固定される支持孔11bが切欠形成されている。 なお、前記軸受孔11aの内周面には、オイルを保持して前記駆動軸14の潤滑に供される保持溝11eが形成されている。

    さらに、ポンプ収容室13の内周壁には、軸受孔11aの中心と支持孔11bの中心とを結ぶ直線(以下「カムリング基準線」という。)Mを挟んで両側に、カムリング17の外周部に配設される後述のシール部材30,30がそれぞれ摺接する第1、第2シール摺接面11c,11dが形成されている。 これら各シール摺接面11c,11dは、支持孔11bの中心からそれぞれ所定の半径R1,R2により構成される円弧面状になっていると共に、カムリング17の偏心揺動範囲において前記各シール部材30,30が常時摺接可能な周方向長さに設定されている。 これによって、カムリング17が偏心揺動する際に、前記各シール摺接面11c,11dに沿って摺動案内されることとなって、当該カムリング17の円滑な作動(偏心揺動)が得られるようになっている。

    また、前記ポンプ収容室13の底面13aには、図2及び図4に示すように、軸受孔11aの外周域に、前記ポンプ要素のポンプ作用に伴ってポンプ室20の内部容積が増大する領域(吸入領域)に開口するようにほぼ円弧凹状の吸入部である吸入ポート21が、前記ポンプ要素のポンプ作用に伴ってポンプ室20の内部容積が減少する領域(吐出領域)に開口するようにほぼ円弧凹状の吐出部である吐出ポート22が、それぞれ軸受孔11aを挟んでほぼ対向するように切欠形成されている。

    前記吸入ポート21は、当該吸入ポート21のほぼ中央位置から後述するスプリング収容室28側に延設された吸入孔21aがポンプボディ11の底壁を貫通して外部へと開口形成されている。 これにより、、機関のオイルパン01に貯留された潤滑油が、前記ポンプ要素のポンプ作用に伴って発生する負圧に基づき吸入孔21a及び吸入ポート21を介して前記吸入領域の各ポンプ室20に吸入されるようになっている。

    なお、前記吸入孔21aは、ポンプ吸入側におけるカムリング17の外周域に臨むように構成されており、該カムリング17のポンプ吸入側の外周域に吸入圧を導くようになっている。 これによって、前記吸入領域の各ポンプ室20に隣接するポンプ吸入側におけるカムリング17の外周域が吸入圧又は大気圧の低圧部となることから、吸入領域の各ポンプ室20から当該ポンプ吸入側におけるカムリング17の外周域への潤滑油の漏出の抑制に供される。

    前記吐出ポート22は、図4中の上部位置にポンプボディ11の底壁を貫通して前記吐出通路04を介して前記メインオイルギャラリー05に連通する吐出孔22aが開口形成されている。

    かかる構成から、前記ポンプ要素のポンプ作用により加圧されて前記吐出領域の各ポンプ室20から吐出されたオイルが、吐出ポート22及び吐出孔22aを介してメインオイルギャラリー05に供給されて機関内の各摺動部及びバルブタイミング制御装置などに供給されるようになっている。

    前記カバー部材12は、ほぼ板状を呈し、外側部におけるポンプボディ11の軸受孔11aに対応する位置が円筒状に形成されると共に、この円筒部の内周面に駆動軸14の他端側を回転自在に支持する軸受孔12aが貫通形成されている。 このカバー部材12は、複数のボルト26によりポンプボディ11の開口端面に取り付けられている。

    なお、カバー部材12の内側面はほぼ平坦状となっているが、ポンプボディ11の底面と同様に吸入、吐出ポート21,22を形成することも可能である。

    前記駆動軸14は、クランク軸から伝達された回転力によってロータ15を図2中における時計方向に回転するように構成されている。

    前記ロータ15は、図2に示すように、内部中心側から径方向外側へ放射状に形成された前記7つのスリット15aが切欠形成されていると共に、該各スリット15aの内側基端部には、前記吐出ポート22に吐出された吐出油を導入する断面ほぼ円形状の背圧室15bがそれぞれ形成されている。 これにより、前記各ベーン16がロータ15の回転に伴うリング部材19、19の遠心力と背圧室15bの油圧とによって外方へ押し出されるようになっている。

    前記各ベーン16は、各先端面がそれぞれカムリング17の内周面に摺接すると共に、各基端部の内端面が各リング部材19,19の外摺面にそれぞれ摺接するようになっている。 これによって、機関回転数が低く、前記遠心力や背圧室15bの油圧が小さいときでも、ロータ15の外周面、隣接するベーン16,16の各内側面及びカムリング17の内周面と、側壁であるポンプボディ11のポンプ収容室13の底面13a及びカバー部材12の内側面と、が前記各ポンプ室20を液密的に画成している。

    前記カムリング17は、いわゆる焼結金属によって円環状に1体形成され、外周部の所定位置に、前記ピボットピン24に嵌合して偏心揺動支点を構成するほぼ円弧凹状のピボット部17aが軸方向に沿って突設されていると共に、該ピボット部17aに対しカムリング17の中心を挟んで反対側の位置に、前記スプリング18と連係するアーム部17bが軸方向に沿って突設されている。

    ここで、前記ポンプボディ11内には、前記支持孔11bと反対側の位置に形成された連通部27を介してポンプ収容室13と連通するようにスプリング収容室28が設けられており、このスプリング収容室28内に前記スプリング18が収容されている。

    このスプリング18は、前記連通部27を通じてスプリング収容室28内まで延出する前記アーム部17bの先端部の下面とスプリング収容室28の底面との間に、所定のセット荷重Wをもって弾性保持されている。 前記アーム部17bの先端部の下面には、スプリング18の内周側に係合するほぼ円弧状に形成された支持突起17cが突設されており、該支持突起17cによってスプリング18の1端が支持されている。

    したがって、前記スプリング18は、前記セット荷重Wに基づく弾性力をもって、前記アーム部17bを介してカムリング17を、その偏心量が増大する方向(図2中の時計方向)へ常時付勢するようになっている。 これにより、図2に示すカムリング17の非作動状態において、当該カムリング17は、前記スプリング18のばね力によってアーム部17bの上面がスプリング収容室28の上壁下面に突設されたストッパ部28aに押し付けられた状態となり、ロータ15の回転中心に対するその偏心量が最大となる位置に保持されている。

    そして、このように、ピボット部17aと反対側にアーム部17bを延設して、該アーム部17bの先端部をスプリング18によって付勢することによって、カムリング17に対し最大限のトルクを発生させることができるため、スプリング18の小型化が図れ、この結果、ポンプ自体の小型化に供される。

    また、前記カムリング17の外周部には、前記第1、第2シール摺接面11c,11dと対向するように形成された第1、第2シール面を有する横断面ほぼ3形状の1対の第1、第2シール構成部17d,17eがそれぞれ突設されていると共に、該各シール構成部17d,17eのシール面に、横断面ほぼ矩形状の第1、第2シール保持溝が軸方向に沿って切欠形成され、該各シール保持溝にカムリング17の偏心揺動時に各シール摺接面11c,11dに摺接する前記1対のシール部材30,30がそれぞれ収容保持されている。

    ここで、前記各シール面は、それぞれ前記ピボット部17aの中心からこれに対応する前記各シール摺接面11c,11dを構成する半径R1,R2よりも僅かに小さい所定の半径によって構成されており、該各シール面と前記各シール摺接面11c,11dとの間には、それぞれ微小なクリアランスCが形成されるようになっている。

    前記各シール部材30,30は、例えば低摩擦特性を有するフッ素系樹脂材によりカムリング17の軸方向に沿って直線状に細長く形成され、前記各シール保持溝の底部に配設されたゴム製の弾性部材の弾性力により各シール摺接面11c,11dに押し付けられるようになっている。 これにより、後述する各制御油室31,32の良好な液密性が常時確保されるようになっている。

    そして、前記ポンプ吐出側となるピボット部17a側におけるカムリング17の外周域には、図2に示すように、カムリング17の外周面とポンプボディ11の内側面との間に、カムリング17の外周面、ピボット部17a、前記各シール部材30,30及びポンプボディ11の内側面をもって、ピボット部17aを挟んだ両側に、第1制御油室31及び第2制御油室32がそれぞれ画成されている。

    前記第1制御油室31には、前記吐出ポート22に吐出されたポンプ吐出圧が前記メインオイルギャラリー05と第1分岐通路3及びポンプボディ11の側部に形成された第1連通孔25aを介して常時導入されるようになっており、この第1制御油室31に面するカムリング17の外周面によって構成された第1受圧面33が、前記スプリング18の付勢力に抗して前記メインオイルギャラリー05からの油圧を受けて、カムリング17に対しその偏心量を減少させる方向(図2中の反時計方向)へ揺動力(移動力)を付与するようになっている。

    すなわち、この第1制御油室31は、前記第1受圧面33を介してカムリング17の中心がロータ15の回転中心と同心に近づく方向、つまり偏心量が減少する方向へカムリング17を常時付勢することによって、このカムリング17の同心方向の移動量制御に供されている。

    1方、前記第2制御油室32には、同じくポンプボディ11の側部に第1連通孔25aと平行に貫通形成された第2連通孔25bを介して連通した前記第2分岐通路4の吐出圧が前記電磁切換弁40のオン、オフ作動により適宜導入されるようになっている。

    また、この第2制御油室32に面するカムリング17の外周面によって構成されてスプリング18の付勢力をアシストする方向に作用する力を受ける第2受圧面34に吐出圧を作用させることで、カムリング17に対しその偏心量を増大させる方向(図2中の時計方向)へ揺動力を付与するようになっている。

    ここで、図2に示すように、前記第2受圧面34の受圧面積S2は、前記第1受圧面33の受圧面積S1よりも小さく設定されており、第2制御油室32の内圧に基づく付勢力とスプリング18の付勢力とによるカムリング17の偏心方向の付勢力と、第1制御油室31による付勢力と、が所定の力関係をもってバランスするように構成され、第2制御油室32による付勢力がスプリング18の付勢力をアシストするようになっている。 すなわち、前記第2制御油室32は、前記電磁切換弁40を介して必要に応じて供給された吐出圧を第2受圧面34に作用させてスプリング18の付勢力を適宜アシストすることによって、カムリング17の偏心方向の移動量制御に供されている。

    また、前記電磁切換弁40は、内燃機関を制御する図外のコントロールユニットからの励磁電流に基づき機関の運転状態に応じて作動するようになっており、この電磁切換弁40を介して前記第2分岐通路4と第2連通孔25bとが適宜連通、あるいは連通が遮断されるようになっている。

    前記電磁切換弁40は、図2及び図6に示すように、3方向切換弁であって、機関のシリンダブロック35の側壁内に形成されたバルブ収容孔35aに圧入固定され、内部軸方向に作動孔41aaが形成されたバルブボディ41と、前記作動孔41aaの先端部に圧入され、中央に第2分岐通路4の下流側と連通したソレノイド開口ポート42aが形成されたバルブシート42と、該バルブシート42の内側に離着座自在に設けられて、前記ソレノイド開口ポート42aを開閉する金属製のボール弁43と、バルブボディ41の1端側に設けられたソレノイドユニット44と、から主として構成されている。

    前記バルブボディ41は、周壁の上端部側に前記第1分岐通路3にソレノイド開口ポート42aを介して連通する連通ポート45が径方向から貫通形成されていると共に、周壁の下端部側には、前記作動孔41aaと連通するドレンポート46が径方向から貫通形成されている。

    前記ソレノイドユニット44は、ケーシングの内部に図外の電磁コイルや固定鉄心や可動鉄心等が収容配置され、該可動鉄心の先端部に前記作動孔41a内に所定隙間をもって摺動して先端が前記ボール弁43を押圧するか、あるいは押圧を解除するプッシュロッド47が設けられている。

    前記プッシュロッド47の外周面と前記作動孔41aの内周面との間には、前記連通ポート45とドレンポート46を適宜連通する筒状の通路48が形成されている。

    前記電磁コイルには、機関のコントロールユニットからオン−オフ的に電流が通電あるいは通電が遮断されるようになっている。

    つまり、前記電磁コイルにコントロールユニットからオフ信号(非通電)が出力されると、前記可動鉄心が図外のリターンスプリングのばね力によって後退移動してプッシュロッド47によってボール弁43の押圧を解除して前記ソレノイド開口ポート42aを開成する。 これによって、図6に示すように、第2分岐通路4からの吐出圧によってボール弁43が後退移動して第2分岐通路4と給排通路6を連通させ、第2制御油室32に油圧を供給すると同時に前記筒状通路48の1端を閉塞して該筒状通路48とドレンポート46との連通を遮断するようになっている。

    1方、前記電磁コイルへコントロールユニットからオン信号(通電)が出力されると、可動鉄心がリターンスプリングのばね力に抗して進出移動して前記プッシュロッド47により前記ボール弁43を押圧する。 これによって、図1に示すように、ボール弁43がソレノイド開口ポート42aを閉止すると共に、連通ポート45と筒状通路48を連通させる。 これによって、第2制御油室32内の油圧が、給排通路6から前記連通ポート45,筒状通路48及びドレンポート46からオイルパン01に排出されるようになっている。

    前記コントロールユニットは、機関の油温や温、機関回転数や負荷等から現在の機関運転状態を検出して、特に機関回転数が所定以下では前記電磁切換弁40の電磁コイルへオフ信号(非通電)を出力し、所定より高い場合はオン信号(通電)を出力するようになっている。

    但し、機関回転数が所定以下でも、機関が高負荷域の場合などには、電磁コイルへオフ信号が出力されて、第2制御油室32に油圧が供給されるようになっている。

    以上のような構成から、前記オイルポンプ10は、メインオイルギャラリー05から常時油圧が供給される第1制御油室31の内圧と、スプリング18の付勢力及び電磁切換弁40により制御される第2制御油室32の内圧と、のカムリング17に作用する相対的な力関係を制御することによって、該カムリング17の偏心量を制御するようになっている。 そして、この偏心量を制御して、ポンプ作用時における前記各ポンプ室20の内部容積の変化量を制御することで、当該オイルポンプ10の吐出圧特性を制御するようになっている。
    〔本実施形態の作用〕
    以下、本実施形態に係るオイルポンプ10の特徴的な作用、つまりカムリング17の偏心量制御に基づくポンプの吐出圧制御について、図7に示す機関回転数との関係で説明する。

    まず、機関始動後の低回転域では、前記電磁切換弁40の電磁コイルにコントロールユニットからオン信号が出力されて通電状態になっている。 したがって、オイルポンプ10の駆動によって、メインオイルギャラリー05に供給された吐出圧は、第1分岐通路3や第1連通路25aを介して第1制御油室31に供給されると共に、図2に示すように、電磁切換弁40のボール弁43がプッシュロッド47の押圧力でソレノイド開口ポート42aを閉止すると共に、前記給排通路6と筒状通路48を連通して第2制御油室32の油圧をドレンポート46からオイルパン03に排出する。

    したがって、カムリング17は、図2に示すように、スプリング28のばね力によってアーム部17bがストッパ部28aに当接して反時計方向へ最大回転位置に保持されている。 この状態では、カムリング17は、ロータ15に対して最大偏心量となり、ポンプ室20の容積変化が最も大きいのでオイルポンプとしては容量が最大の状態である。 この状態ではポンプ吐出圧が高くなって、図7のaに示す吐出圧になる。 この吐出圧は、バルブタイミング制御装置(VTC)の作動させる油圧と、機関の各摺動部に供給されて潤滑に供される。

    機関回転数が上昇するに伴って吐出圧が上昇すると、メインオイルギャラリー03から第1制御油室31に導かれた油圧がカムリング17の外周面に作用し、スプリング18のばね荷重に対向してカムリング17を、ピポットピン24を中心に反時計方向へ回転移動させる力として働く。 図5はカムリング17が反時計方向へ回転移動した状態を示すが、カムリング17の内径の中心が駆動軸14中心に近づき偏心量が減少する。 偏心量が減少するとポンプ室20の容積変化が小さくなるのでポンプ容量が小さくなる。 このときの機関油圧特性は図7bに示す低圧制御の状態である。 VTC等の可変動弁装置の要求油圧を超えるとカムリング17が動き始めるようにスプリング18の荷重が設定されている。

    続いて、機関回転数がさらに上昇して所定回転になると、電磁切換弁40にコントロールユニットからオフ信号が出力されて非通電の状態にする。 そうすると、図6に示すように、プッシュロッド47が後退移動してボール弁43が第2分岐通路4の油圧を受けて後退移動し、ソレノイド開口ポート42aを開成すると共に、筒状通路48の1端開口を閉止する。

    これによって、第2分岐通路4と給排通路6が連通されて第2制御と共に、第2制御油室32にもメインオイルギャラリー05の油圧が導入され、第1制御油室31と第2制御油室32の油圧が等しくなる。

    この場合でも第1制御油室31の受圧面積の方が大きく設定されているため、所定の油圧を超えるとカムリング17は図5に示す反時計方向へ動き始めるが、カムリング17に作用する油圧力は第1制御油室31のみに油圧が導入された場合よりも小さいため、カムリング17が動き始める油圧は高くなる。

    このときの油圧特性は、図7のcに示す高圧制御の状態である。

    オイルジェット(OJ)の開弁圧やクランク軸受け(CM)の要求油圧を超えると、カムリング17が移動し始めるように前記スプリング18のばね荷重や第1制御油室31と第2制御油室32の受圧面積比が設定されている。

    通常、オイルジェットの噴射圧やクランク軸受けの要求油圧は高回転時に要求されるため、機関低回転時には電磁切換弁40に通電して低圧制御として油圧の上昇を防止し消費動力の低減を図ると共に、高回転時には、電磁切換弁40を非通電として高圧制御に切換えて油圧を必要なレベルまで上昇させる図7の実線で示すような特性を得る。

    そして、電磁切換弁40の通電を切換える機関回転数は、エンジンの運転状態によって変更することが可能であって、前記コントロールユニットが、前述したように、機関回転数や負荷、油水温などをパラメータとして判断する。

    例えば、高負荷時や高油温時には低回転より高圧制御に切換えてオイルジェットを噴射させてノッキングを防止できるので、点火タイミングを早めて燃費を向上することができる。 また、低油温時には低圧制御に維持して消費動力を低減したり、オイルジェット噴射を止めて暖機時間を短縮しHC(炭化水素)排出を低減できる。

    ところで、機関高回転域で高油圧制御の状態では、メインオイルギャラリー05の脈圧が大きくなり、第1,第2制御油室31,32に脈圧が作用するとカムリング17が振動してポンプの吐出脈圧が増幅されて騒音や振動が発生して問題となることがある。

    前記第1制御油室31と第2制御油室32の両方に高油圧が供給されている状態では、脈圧も同様に作用するので、合わさった脈圧によりカムリング17が振動して安定しないことがある。

    しかしながら、本実施形態では、第2オイルフィルタ2をメインオイルギャラリー05から分岐した第1分岐通路3の下流側で、かつ、第1分岐通路3と第2分岐通路4の分岐前に設けているため、分岐する前の脈動を第2オイルフィルタ2の抵抗によって減衰することができる。

    この結果、第1制御油室31と第2制御油室32の脈圧を同等に低減できる。 このように、両制御油室31,32の脈圧を同等に低減できることから、どちらかの制御油室31,32の脈圧が大きくなってバランスを崩すようなことも無く、カムリング17の移動を安定化させることができる。

    また、電磁切換弁40の故障などの異常時においては、機関高回転、高負荷、高油温の状態でポンプ吐出圧は高圧制御とするようにフェールセーフを考える必要がある。

    すなわち、まず、電磁切換弁40のコイルやハーネスの断線などの故障時には第2制御油室32へ油圧が導入されるように、電磁コイルは非通電でソレノイド開口ポート42aと連通ポート45が連通する構成としている。

    前記電磁切換弁40の上流に第2オイルフィルタ2を設けたので、コンタミが詰まって電磁切換弁40の作動不良を起こすことを防止でき、非通電時に第2制御油室32がドレン通路5と連通することを防止できる。

    オイルポンプ10とメインオイルギャラリー03との間に、第1オイルフィルタ1を設けているので、通常はメインオイルギャラリー05や第1分岐通路3にコンタミが流れてくることはない。

    ところが、第1オイルフィルタ1はフィルタ詰まりが起きたときなどに、機関の保護のためにバイパス弁09が開かれるので、このときに第1分岐通路3側にコンタミが流入する可能性がある。

    しかし、設定されている第1オイルフィルタ1の交換期間ではそれほど起きることではないので、第2オイルフィルタ2は第1オイルフィルタ1に比較して小型で無交換のものとすることができる。

    また、前述した場合でも、第2オイルフィルタ2は、電磁切換弁40内でボール弁43に引っ掛かってロックさせる大きさのコンタミを捕集すればよいので、第1オイルフィルタ1より大きなメッシュサイズとすることが可能である。

    仮に、第1オイルフィルタ1がバイパスされた状態で長時間運転され、第2オイルフィルタ2も詰った場合には、第1分岐通路3と第2分岐通路4の分岐前で通路が遮断されることとなるので、第1制御油室31、第2制御油室32には共に油圧が導入されなくなる。

    この場合には、スプリング18のばね荷重によってカムリング17は最大偏心量となり、最大容量のままとなるので高油圧を維持することができる。

    前記電磁切換弁40の通電、非通電に関わらず高油圧を維持するので、電磁切換弁40の故障が重なっても高油圧を維持できる。

    そして、過大な油圧に対しては、チェックバルブ07が作動してオイルポンプ10や油圧回路中の各部品の破損を抑制することができる。

    さらに高油圧状態が続いた場合には、第1制御油室31と第2制御油室32が共にリング部材19とポンプボディ1、カバー部材12の間の側面隙間を挟んで吐出ポート34と隣接しているので、第1制御油室31と第2制御油室32ヘオイルが洩れて流入するおそれがある。

    第2オイルフィルタ2が詰っているため、オイルは前記シール部材30,30から低圧部である吸入側へ流出するが、流入量のほうが多く、第1制御油室31と第2制御油室32の油圧が上昇する。

    前記電磁切換弁40が非通電状態では、第1制御油室31、第2制御油室32は第1分岐通路3と給排通路6のそれぞれを介してを介して連通しているので同油圧となる。 同油圧で前述の所定油圧まで上昇すると、カムリング17が動き始めて高圧側で油圧を制御することができる。

    また、第1オイルフィルタ1が詰っているときは、メインオイルギャラリー05の油圧が低下しているので、第1、第2制御油室31,32油圧の方がメインオイルギャラリー05油圧より高くなり、第1,第2制御油室31,32からメインオイルギャラリー05ヘオイルが流れて、第2オイルフィルタ2に詰ったコンタミを1度取り除くことができる。

    〔第2実施形態〕
    図8は第2実施形態を示し、オイルポンプ10と電磁切換弁40を1体化したものである。 すなわち、オイルポンプ10は、カムリング17の外周に、連通孔36が形成された円環凸部17fが1体に形成され、この連通孔36はカバー部材12とポンプボディ1に同様に設けられた吐出ポート22に連通して吐出孔22aに吐出オイルを導くようになっている。

    電磁切換弁40は、第1実施形態のものと同じ構造であり、ポンプボディ11に1体に設けられたシリンダ壁37の内部に有する図外のバルブ収容孔にバルブボディ41が圧入固定されている。 第1制御油室31と第2制御油室32にそれぞれ連通する第1連通孔25aと第2連通孔25bは、ポンプボディ11に溝状に形成されて、該ポンプボディ11にカバー部材12が装着されて通路が構成されるようになっている。

    前記第2分岐通路4や第2連通孔25bの制御油室32と反対側の端部に、前記シリンダ壁37に向けて穿設された孔25c、25dが第1分岐通路3と電磁切換弁40の連通ポート45にそれぞれ連通している。 また、オイルポンプ10外部と前記シリンダ壁37には、前記電磁切換弁40のドレンポート46に連通するドレン通路5が設けられている。

    前記第1制御油室31の底部には、図9に示すように、シリンダブロック35の取り付け面35aを連通するように第1分岐通路3と連通する第1連通孔25aが設けられている。 シリンダブロック35側には同位置に第1分岐通路3が設けられ、シリンダブロック35側のポンプボディ1との合せ面に第2オイルフィルタ2を装着する円盤状のフィルタ溝35bが設けられている。

    この実施形態における第2オイルフィルタ2は、図9、図10に示すように、金属製の円環状外枠38aの内側に金属製のメッシュ部38bが装着されている。 前記フィルタ溝35b内には、図9に示すように、第2オイルフィルタ2の外枠38aを軸方向から押圧して移動を規制するためのOリング39が装着されている。

    その他の構成は第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様な作用効果が得られる。
    〔第3実施形態〕
    図11及び図12は第3実施形態を示し、この実施形態は、オイルポンプ10や電磁切換弁40などの基本構造や油圧通路は第1実施形態のものと同じであるが、異なるところは電磁切換弁40の給排通路6にパイロット弁50が設けられているところにある。 第1実施形態と共通の構成箇所には同一の符号を付して説明を省略する。

    この第3実施形態では、第1分岐通路3と電磁切換弁40までを上流部A、電磁切換弁40とパイロット弁50の間を中間部B、パイロット弁50からオイルポンプ10までの間を下流部Cと3つに分けて構成を説明する。

    前記パイロット弁50は、バルブボディ51の摺動用孔52にスプール弁53が摺動自在に収容され、該スプール弁53がバルブスプリング54によって上方に付勢されており、摺動用孔52の下端開口がプラグ49によって封止されている。 前記スプール弁53は、バルブスプリング54と反対側の位置から第1ランド部53a、小径軸部53b及び第2ランド部53cによって構成されている。 第1ランド部53aと第2ランド部53cは同径で前記摺動用孔52の内周面と微小隙間を持って摺動するようになっている。 前記小径軸部53bは、外周に環状溝53dが形成されている。

    前記摺動用孔52には、上端側に第2分岐通路4と分岐した分岐部4aと連通するパイロット圧導入ポート55が開口形成されている。 このパイロット導入ポート55は、摺動用孔52より小径に形成されて、その段面がスプール弁53へ油圧が作用しないときにバルブスプリング54のばね力によって第1ランド部53aが着座する着座面に形成されている。

    また、前記摺動用孔52の内側面には、前記電磁切換弁40の連通ポート45に中間通路60を介して連通する接続ポート56と、前記第2制御油室32に第2連通孔25bを介して連通する前記給排通路6に連通する給排ポート57と、ドレンポート58及び背圧逃がしポート59のそれぞれの開口端が形成されている。

    次に、全体の油路構成について説明すると、第2分岐通路4は、下流端が電磁切換弁40のソレノイド開口ポート42aに連通している1方、該第2分岐通路4からから分岐した前記分岐部4aはパイロット弁50のパイロット圧導入ポート55に連通している。

    また、前記中間通路60は、前述のように、1端が前記電磁切換弁40の連通ポート45に、他端がパイロット弁50の接続ポート56にそれぞれ接続されている。 給排通路6は、1端がパイロット弁50の給排ポート57に、他端がオイルポンプ10の第2制御油室32に連通する第2連通孔25bにそれぞれ接続されている。

    次に、図15の油圧特性とあわせてパイロット弁50の作動を説明する。 なお、オイルポンプ10と電磁切換弁40の作動は第1実施形態と同一である。

    図11は図15の回転数aの状態である。 この状態では電磁切換弁40はコントロールユニットからのオン信号が出力されて通電状態になっているから、連通ポート45とドレンポート46が連通している。 前記パイロット弁50は、機関低回転数で低油圧であることからスプール弁53の第1ランド部53aが前記着座面に着座した状態であり、このとき小径軸部53b外周の環状溝53dによって接続ポート56と給排ポート57が連通している。

    この状態では、第1制御油室31にはメインオイルギャラリー05の油圧が導入され、第2制御油室32は、パイロット弁50を介して電磁切換弁40のドレンポート46に連通してことから油圧が導入されないが、メインオイルギャラリー05の油圧が低いため、カムリング17は最大偏心量を維持し、回転数が上昇すると油圧もほぼ比例して上昇する。

    メインオイルギャラリー05の油圧が図15のP1に達すると図12に示すように、カムリング17がスプリング18のばね力に抗して反時計方向へ回転移動を開始して、図15の機関回転数bに示す低圧制御の状態となる。

    コントロールユニットによって前記電磁切換弁40への通電が遮断されると、図13の状態に移行する。 電磁切換弁40では、ボール弁43が後退移動してソレノイド開口ポート42aと連通ポート45が連通され、パイロット弁50側では、スプール弁53は着座したまま、あるいはスプール弁53がバルブバルブスプリング54のばね力に抗して下降移動を開始するものの、接続ポート56と給排ポート57の連通が維持されている。

    したがって、第2制御油室32にもメインオイルギャラリー05の油圧が導入されて、ポンプ吐出圧も図15に示す高圧制御の状態に移行する。 図15のcに示す機関回転数域では高圧制御に切換ってもポンプ吐出圧がP2に達していないため、カムリング17の偏心量は再び最大となり、機関回転数の上昇にほぼ比例してポンプ吐出圧も上昇する。

    ポンプ吐出圧がP2に達すると、パイロット弁50のスプール弁53はパイロット圧導入ポート55に作用する油圧によってバルブバルブスプリング54のばね力に抗して下降移動する。

    ポンプ吐出圧がP2のときに、図14に示すように、第1ランド部53aによって接続ポート56が閉塞されると同時に第2ランド部53cで塞がれていたドレンポート58が開口し、給排ポート57とドレンポート58が連通を開始する。 このとき、図14に示すように、第2制御油室32はドレンポート58と連通するため、第1制御油室31の油圧によってカムリング17は偏心量を小さくする方向に移動し、図15の機関回転数dに示す高圧制御の状態となる。

    パイロット弁50の効果は、ポンプ吐出圧の高圧制御時に過度に油圧が上昇することを防止することができる。

    すなわち、第1実施形態の油圧特性である図7に示すように、パイロット弁50がない場合は、油圧制御時に機関の回転数上昇と共に油圧が上昇してしまう。 これは、機関回転数が上昇するとカムリング17の偏心量をさらに小さくする必要が生じるが、スプリング18のばね定数の分だけ油圧が上昇する必要があるからである。

    パイロット弁50は、ポンプ吐出圧が下がり過ぎるとスプール弁53が上方(着座方向)に移動して、接続ポート56と給排ポート57を連通させ、第2制御油室32に油圧を導入してカムリング17の偏心量を大きくして油圧を上げる。

    油圧が上がりすぎると、スプール弁53がバルブスプリング54のばね力に抗して下降移動して、ドレンポート58と給排ポート57を連通させ、第2制御油室32を減圧してカムリング17の偏心量を小さく制御して油圧を下げる。 これらの制御がスプール弁53の微小な移動で制御できるので、バルブバルブスプリング54の影響が小さく、油圧を図15に示すほぼP2に制御することが可能となる。

    本実施形態では、パイロット弁50で給排ポート57の連通先を接続ポート56とドレンポート58と切換えるのを同時に行っているが、両方同時に連通させたり、両方同時に遮断していている状態があっても良く、また、スプール弁53の第1、第2ランド部53a、53cと小径軸部53bの境は面取りやR形状としても良い。 これらは切換え時のスプール弁53のストロークと開口面積の特性を変更する要素であり、ポンプ容量や切換え圧力によって調整される。

    また、電磁切換弁40の通電切換えのタイミングは、機関の運転状態に応じてコントロールユニットが判断するが、図15の状態に限らず機関回転数aの状態からcの状態に移行することも、bの状態からdの状態に移行することも可能である。

    第1、第2オイルフィルタ1,2の目的と効果、及びフェールセールの方法については第1実施形態と同様である。 つまり、第2オイルフィルタ2の詰まりと電磁切換弁40の故障(断線し非通電状態となる)が重なった場合は、パイロット弁50のパイロット圧導入ポート55に油圧が導入されずにスプール弁53は着座した状態となるので接続ポート56と給排ポート57が連通することから、パイロット弁50のない第1実施形態と同じ状態となる。

    さらに、パイロット弁50の上流にも第2オイルフィルタ2が設けられているため、第2オイルフィルタ2の抵抗により脈圧が低減されてパイロット弁50に作用するのでバルブ振動を低減できる。

    〔第4実施形態〕
    図16は第4実施形態を示し、図20は本実施形態の油圧特性図を示している。 第4実施形態では、オイルポンプ10の低圧制御と高圧制 御を、パイロット弁50を用いて制御するものとし、1つのパイロット弁50で兼用することができる構成としている。

    基本油圧通路は、オイルポンプ10から吐出通路04、第1オイルフィルタ1を経てメインオイルギャラリー05へ繋がっている。 メインオイルギャラリー05から第1分岐通路3が分岐して第2オイルフィルタ2を通過後の第1、第2連通路25a、25bまでの通路構成は第1実施形態及び第3実施形態と同一である。

    また、他のリリーフ通路06やバイパス通路08などは図示していないが、図1の油圧回路図と同じ場所に設けている。

    第4実施形態では、第3実施形態と同様に第1分岐通路との分岐点から電磁切換弁40までを上流部、電磁切換弁40とパイロット弁50の間を中間部、パイロット弁50からオイルポンプ10までの間を下流部と3つに分けて構成している。

    また、第1分岐通路3の途中にもパイロット弁50が介在するので、パイロット弁50から上流部と下流部に分けて構成を説明する。

    パイロット弁50は、バルブボディ51の摺動用孔52にスプール弁53が挿入されバルブスプリング54のばね荷重が与えられた状態でプラグ49が下部開口端を封止している。

    スプール弁53は、ほぼ円筒状に形成され、内部にバルブスプリング54の一部が収容される通路孔53iが形成されており、パイロット圧導入ポート55側から第1ランド部53a、第1小径軸部53b、第2ランド部53c、第2小径軸部53e、第3ランド部53fを有hし、段付形状となっている。

    第1ランド部53aと第2ランド部53cと第3ランド部53fは同径に設定されて、前記摺動用孔52と微小隙間を持って摺動するようになっている。 第1小径軸部53bと第2小径軸部53eの外周に第1、第2環状溝53g、53hが形成されており、第1小径軸部53bの第1環状溝53gはバルブ内を径方向に貫通した貫通孔53jを介して通路孔53iから摺動用孔52及び接続ポート56に連通している。

    前記摺動用孔52には、下側開口端と反対側の位置にパイロット圧導入ポート55が摺動用孔52より小径で設けられ、その段部がスプール弁53へ油圧が作用しないときの着座面となっている。

    前記摺動用孔52の内側面には、第1給排通路6aを介して第1制御油室31に連通する第1給排ポート57aと、第2給排通路6bを介して第2制御油室32に連通する第2給排ポート57b、背圧逃がしポートを兼ねたドレンポート58が設けられている。

    メインオイルギャラリー05から分岐した第1分岐通路3は第2オイルフィルタ2を介してパイロット弁50のパイロット圧導入孔55に連通している。 また、第1分岐通路3から分岐した第2分岐通路4は、電磁切換弁40のソレノイド開口ポート42aに連通している。

    中間通路60は、電磁切換弁40の連通ポート45とパイロット弁50の接続ポート56を接続している。

    前記第1給排通路6aは、パイロット弁50の第1給排ポート57aとオイルポンプ10の第1連通孔25aを接続している。 第2給排通路6bは、パイロット弁50の第2給排ポート57bとオイルポンプ10の第2連通孔25bを接続している。

    次に、図20の油圧特性と合わせてパイロット弁50の作動を説明する。 なお、オイルポンプ10と電磁切換弁40の作動は第1実施形態及び第3実施形態と同一である。

    図16は図20の機関回転数aの状態である。 この状態では電磁切換弁40は通電状態で連通ポート45とドレンポート46が連通している。 パイロット弁50は、機関が低回転数で低油圧であるためスプール弁53がバルブスプリング54のばね力で着座面に着座した状態であり、このとき、第1制御油室31は、第1給排通路6aと第1給排ポート57a、第1環状溝53g、貫通孔53j及び通路孔53iによってドレンポート58と連通し、第2制御油室32は、第2給排通路6bと第2環状溝53hによって、接続ポート56と電磁切換弁40の連通ポート45が連通し、さらにドレンポート46を介してドレン通路5に連通している。

    したがって、第1制御油室31と、第2制御油室32は共にドレンポート58、46と連通するため油圧が導入されず、カムリング17はスプリング18によって最大偏心量を維持し、回転数が上昇すると油圧もほぼ比例して上昇する。

    メインオイルギャラリー05の油圧がP1に達するとパイロット弁50のパイロット圧導入ポート55から油圧がスプール弁53の第1ランド部53a上面に作用し、バルブスプリング54のばね力に抗して図17に示す位置まで後退移動する。 スプール弁53が下降移動すると、パイロット圧導入ポート55と第1給排ポート57aが連通し、ドレンポート58とは遮断されるので、第1制御油室31に油圧が導入され、カムリング17はスプリング18のばね力に抗して反時計方向へ回転移動を開始して、図20の機関回転数bに示す低圧制御の状態となる。

    かかる低圧制御の状態でも、第1実施形態の油圧特性である図7に示すように、パイロット弁がない場合は、油圧制御時に機関回転数上昇と共に油圧が上昇してしまうが、本実施形態にように、パイロット弁50によって制御することにより高圧制御時同様に過度に油圧が上昇することを防止することができる。

    パイロット弁50では油圧が下がり過ぎるとスプール弁53が着座方向に移動し、パイロット圧導入ポート55と第1給排ポート57aを遮断すると共に、第1給排ポート57aがドレンポート58と連通して、第1制御油室31を減圧してカムリング17の偏心量を大きくして油圧を上げる。

    油圧が上がりすぎると、スプール弁53がバルブスプリング54のばね力に抗して開口端方向、つまりプラグ49方向へ移動し、パイロット圧導入ポート55と第1給排ポート57aが連通して第1制御油室31に油圧を導入し、カムリング17の偏心量を小さくして油圧を下げる。

    これらの制御がスプール弁53の微小な移動で制御できるので、バルブバルブスプリング54の影響が小さく、油圧をほぼP1に制御することが可能となる。

    前記電磁切換弁40への通電が遮断されると、図18の状態に移行する。 電磁切換弁40側では、ソレノイド開口ポート42aと連通ポート45が連通され、パイロット弁50側では、スプール弁53がパイロット圧導入ポート55と第1給排ポート57aを連通した状態の位置までバルブスプリング54のばね力に抗してプラグ49方向へ移動しているものの、接続ポート56と第2給排ポート57bの連通が維持されている。

    したがって、第1制御油室31と 第2制御油室32には、共にメインオイルギャラリー05の油圧が導入されて図20に示す高圧制御の状態に移行する。 図20のcに示す機関回転数では、高圧制御に切換っても油圧がP2に達していないため、カムリング17の偏心量は再び最大となり、機関回転数の上昇にほぼ比例して油圧も上昇する。

    油圧がP2に達すると、パイロット弁50のスプール弁53は図19に示すように、パイロット圧導入ポート55に作用する油圧によってバルブスプリング54のばね力に抗してさらにプラグ49方向へ移動する。 したがって、第2ランド部53cによって接続ポート56と第2給排ポート57bの連通が遮断されると同時に、第2給排ポート57bと第1環状溝53bが連通を開始して、通路孔53iを介してドレンポート58と連通するので、第2給排ポート57bとドレンポート58が連通を開始する。

    このとき、図19に示すように、第2制御油室32はドレンポート58と連通するため、カムリング17は偏心量を小さくする方向に移動し、図20の機関回転数dに示す高圧制御の状態となる。

    パイロット弁50の高圧制御時に過度に油圧が上昇することを防止することができる作用効果とその原理は第3実施形態と同様である。

    また、第1ランド部53a及び第2ランド部53cによってポート切換える時期を同時としているが、両方同時に連通していたり、両方同時に遮断していている状態があっても良く、また、スプール弁53の第1、第2ランド部53a、53cと小径軸部53bの境は面取りやR形状としても良い。 これらは切換え時のスプール弁53のストロークと開口面積の特性を変更する要素であり、ポンプ容量や切換え圧力によって調整されるのも第3実施形態と同様である。

    また、電磁切換弁40の通電切換えのタイミングは、機関の運転状態に応じてコントロールユニットが判断するが、図20の状態に限らず機関回転数aの状態からcの状態に移行することも、bの状態からdの状態に移行することも可能である。

    第2オイルフィルタ2の目的と効果やフェールセールの方法については第1実施形態や第3実施形態と同様である。 つまり、第2オイルフィルタ2の目詰まりと電磁切換弁40の故障(断線し非通電状態となる)が重なった場合は、パイロット弁50のパイロット圧導入ポート55に油圧が導入されずにスプール弁53は着座した状態となるので第1制御油室31はドレンポート58と連通することから、カムリング17は偏心量最大を維持し不用意に動くことはない。

    〔故障診断〕
    前記第1実施形態から第4実施形態では、メインオイルギャラリー05に設けた油圧センサまたは油圧スイッチにより故障診断ができるようになっている。 電磁切換弁40の通電時には、所定の回転数と油温では所定の油圧以下となるようにあらかじめ設定されている。 また、電磁切換弁40非通電時には所定の回転数と油温では所定の油圧以上となるようにあらかじめ設定されている。

    電磁切換弁40への指令に対してあらかじめ設定された油圧と異なる場合には何らかの故障と判断し、警告等を点灯するとともに電磁切換弁40を非通電状態として、高圧制御状態とするようになっている。

    04…吐出通路05…メインオイルギャラリー1…第1オイルフィルタ2…第2オイルフィルタ2a…外枠2b…メッシュ部3…第1分岐通路4…第2分岐通路5…ドレン通路6…給排通路10…オイルポンプ11…ポンプボディ(ハウジング)
    12…カバー部材(ハウジング)
    13…ポンプ収容部14…駆動軸15…ロータ16…ベーン17…カムリング18…スプリング(付勢機構)
    20…ポンプ室(作動油室)
    21…吸入ポート(吸入部)
    22…吐出ポート(吐出部)
    25a…第1連通孔(第1制御室通路)
    25b…第2連通孔(第2制御室通路)
    31…第1制御油室(第1制御室)
    32…第2制御油室(第2制御室)
    33…第1受圧面34…第2受圧面40…電磁切換弁(電磁弁)
    50…パイロット弁

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