フレッティングコロージョン対応揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ

申请号 JP2010108717 申请日 2010-04-17 公开(公告)号 JP5614093B2 公开(公告)日 2014-10-29
申请人 渡部 富治; 富治 渡部; コリア オーシャン リサーチ アンド ディベロップメント インスティチュート; コリア オーシャン リサーチ アンド ディベロップメント インスティチュート; 发明人 渡部 富治; 富治 渡部;
摘要
权利要求
  • シリンダーと、このシリンダーの両側面に強固に取り付けられる一対のサイドカバーと、この一対のサイドカバー中心部に軸止され一端のみがサイドカバーを貫通して外部に突出する揺動主軸と、前記揺動主軸に強固に固定されたロータと、該ロータに一体的に設けられる揺動ベーンと、前記シリンダー並びに一対のサイドカバーと固定シールを介して密接に接しながら摺動シールを介して前記ロータの外周面と接する摺動面を有する一方該シリンダーに固定される固定ベーンを備えた油圧揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータにおいて、シリンダーは両端が等しい長さでロータ長さよりも短い寸法を有し、一対のサイドカバーはシリンダーのロータ長さより短い寸法を補う長さだけ等しい長さで内部に張り出すシリンダー同様形状円筒部を一体的に備えていることを特徴とするフレッティングコロージョン対応揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ
  • 固定ベーンの両側のサイドカバーと接する面には、固定ベーンを貫通する管路が開口しており、この管路に通ずる一対のチェックバルブが互いに反対圧力の両作動室の圧力が高い方には作動室との連通を阻止し、低い方には連通する方向に各作動室に向けて設けられていることを特徴とする請求項 に記載のフレッティングコロージョン対応揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ


  • 说明书全文

    本発明は、高圧作動油を動変換媒体に活用して大動力揺動駆動をコンパクトに実現できる揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータに関する。 別けても本発明は、25MPaの高圧力で使用可能な揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータに関し、世界一の高効率波力発電効率を実証した実証装置において、フレッティング・コロージョンが発生した問題を踏まえて、その有効な対策を施した改良型の大動力揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータに関する。

    発明者は、室蘭工業大学に在職していた時代から、極めてエネルギー取得効率の高い波力発電システムの開発に取組んできた。 具体的には、上下運動と平方向運動の二種類の複雑な運動形態を有する波力に対して、入射波と反射波との干渉作用で発生する特異点、別けても上下運動が常に零となる一方で水平方向運動が倍増する特異点に揺動板を設けて、油圧システムにより発電機を効率良く運転する合理的な波力発電方式であり、振り子式波力発電方式である。 ところが我が国では、特許文献1に示したような波動の干渉作用という物理学の基本概念を積極的に理解しようとする工学系技術者は少なく、発明者の研究実績を評価する技術者は極めて小数にとどまっている。 因にこの高効率波力発電方式の外海での実証装置におけるエネルギー取得効率は、世界最高の42%程度であった。

    発明者はこの合理的な振り子板揺動運動を発電機の回転運動に変換するための、油圧ポンプ機構として最初に試作した実証装置は、大型の油圧シリンダーを採用したシステムであった。 然し乍ら、油圧シリンダーを使用すると、振り子板に加わる波力の大衝撃力が原因で、シリンダー取付部材やヒンジピンの疲労破損を招いたり、外海の厳しい環境の下での潤滑部の不具合が生じたりして、厳しい自然環境に耐え得る最も単純な構造で何一つ無駄な部材の無い構造の、動力変換機構が求められた。 その解決策は、振り子板の揺動軸の一端に揺動軸と一体的に取り付けられる揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータであり、厳しい自然環境での潤滑性を保持すべき部材は、振り子板の主軸軸受部材のみに限定されることとなった。 この一対の主軸受は潤滑性維持も容易であり、これと一体的な取付部材も頑強なので殆どの問題は解決できるが、一般的に製品化された市販の揺動ベーンポンプは耐圧性が低く、従来型の2〜3倍程度耐圧性を向上させる必要があった。 この問題解決にも発明者は取組んできており、特許文献2において、25MPaの圧力でも使用可能とする詳細なシール技術等を提示している。 これらの結果として苛酷な海洋環境においても、極めてコンパクト乍ら優れた耐久性を備えた油圧式の大揺動力変換機構実現の目処をつけることが出来た。 このようなこれ迄の実績を踏まえると、新しい研究者が増えつつある浮体運動利用型の波力発電方式にも、高圧仕様大型揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータが応用できる可能性も有している。

    一般的に従来型油圧システムは、簡易なバルブ制御操作で大動力制御を行うエネルギー多量消費方式が主力だったことから、最近のように省エネが技術評価基準となる技術革新時代になると、油圧技術市場も電動方式に置き換わり縮小化が進みつつある。 そこで従来技術で実現出来なかったような新規分野への進出も市場縮小化に対向する上での有力な手段となろう。 具体例として考えられる一例は、大型ロボットアームのヒンジ部に使用できる揺動アクチュエータであろう。 例えば自然エネルギー利用のための大型風車の据付工事等の高所組立作業用途である。 巨大な大型風車の据付工事では、電動機の出力レベルが足りず電動式実現は困難である。

    更に従来から高圧仕様大揺動力型の揺動ベーン型アクチュエータ実現が期待されてきた分野は、大型船舶の操用大揺動力アクチュエータである。 然し市販品の揺動ベーン型アクチュエータは14MPa以下の低圧力/小容量型であり、所要スペース最小化を希望する造船業界や海運業界等の期待には応えられなかった。

    本発明が解決しようとする第一の課題は、揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの主要部材取り付け面で発生する摩耗を防ぐ、新規な構造の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの実現である。 別けても、揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの油圧作動室を構成するシリンダーとサイドカバーとの固定面や、シリンダーに固定される固定ベーンとサイドカバーとの接触面に発生するフレッティングコロージョンを防止する課題である。 このような問題が発生する原因は、円筒型のシリンダーと円板形状に近いサイドカバーとは、中心軸に対して平行な方向と中心軸に対し放射方向との剛性高さ/低さ関係が逆関係になっており、作動室内に加わる高圧作動油によって両者の接合部には大きな歪み差が発生するからであると考えられる。 即ち、シリンダーは中心軸方向の剛性が高い一方で、中心軸の放射方向の剛性が低く、円板形状に近いサイドカバーはその逆になり、中心軸放射方向の剛性が高い一方で中心軸と平行な方向の剛性が低いという、互いに逆の関係となる剛性の差が問題を引き起こしている根本原因と考えられる。

    特開2001−271735号(特願2000−128632号)

    特開2002−168180号(特願2000−403806号)

    このような課題を解決するための手段として、発明者はシリンダーの両端部側の長さを短くし、サイドカバー側にはこのシリンダーを短くした分を補うように、シリンダー側に張り出す形状部分を補完的に設ける形状を考案した。 更に、固定ベーンとサイドカバーとの接合面も、両者が過度な圧力で押し付けられる現象を緩和すべく、固定ベーンのサイドカバーとの接触面端部に設けるシール部材で囲まれた面は常に作動室の低圧側と連通する油路を設けることで、油面を介してサイドカバーと固定ベーンとが従来型よりも低圧力で接触し、相対的な歪み方向の差による変形を許容できる構造にした。

    本発明によれば、基本的に剛性の高い方と低い方角の異なる部材同士がボルト等で強固に固定されるサイドカバーとシリンダーとの接合部は、長さを短くしたシリンダーを補完するシリンダー同様の形状を備えたサイドカバーにより、作動室内部に加わる高圧力でシリンダーが楕円に近似するような変形を伴う際も、サイドカバーの接合面はシリンダーと同様の形状であるために、サイドカバー本体とは異なりシリンダー同様の歪み変形が生じる。 この両者の相対的変形量は従来型より一桁低い20〜30μm程度に抑制可能で、両者接合面のフレッティングコロージョンを確実に防止できる。

    固定ベーンがボルトやキーを介して固定されるシリンダーとの接触面と左右両側のサイドカバーに接触する接触面は、作動室に通じる油路を設けて略全面で同一圧力の保持が可能とし、両作動室に対して高圧側作動室からの圧力はチェックバルブを介して接続を阻止し、低圧側の作動室には連通するような油路を採用して常に低圧状態を保持することで、サイドカバーと固定ベーンとの接触面は薄い油膜を介して接触する。 その結果、両者の間に相対的な歪み差が生じても、接触面に作用する変形方向の応力は低いレベルになり、互いに強く押し付け合う状態での微小振動で発生するフレッティングコロージョンの懸念を払拭できる。

    発明を実施するための最良の形態・実施例

    本発明の具体的な説明は、以下の図面を用いた説明で詳述する。 図1は、従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの軸方向より見た中央部断面図であり、図2は図1の切断線A−Bに沿って切断した断面を矢印方向に見た全体の断面図である。 図1において、揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの中央には入出力軸6が揺動可能に設けられており、入出力軸6にはキー8を介してロータ7が強固に固定されている。 このロータ7と一体構造となることでロータ7との接合強度を高く維持できる一対の揺動ベーン7a、揺動ベーン7bが一直線上に設けられている。 揺動ベーン7a及び7bを取り囲む円筒状のシリンダー3には、キー10a、キー10bを介して一対の固定ベーン9a、固定ベーン9bがボルト24により強固に固定されている。 体積が増減する作動室は四室設けられ、軸6の中心線に対して対称的位置にある二室が同一の圧力を保ちながら容積の増減を繰り返すことで、揺動型ベーンポンプ・アクチュエータとしての機能を発揮している。 そのためには、中心軸線の対称位置にある一対の作動室11a、作動室11bは連通孔16により連通され、他方の作動室12a、作動室12bは連通孔15により連通しており、固定ベーン9bの取付位置近傍に設けられた管路13、管路14を介して全体の油圧システムに接続されている。

    図2は揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの中心軸に平行な断面図であり、左右の両側面には問題となる一対のサイドカバー1、サイドカバー2を示している。 サイドカバー1及び2は、中心部で軸受1a,軸受2aにより揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの入出力軸6を軸支する一方、多数の固定ボルト4、固定ボルト5により、中央部のシリンダ3と強固に固定されている。 図1の切断線A−Bを矢印方向に見た断面図なので、図1では水平に位置する左方の揺動ベーン7bを本図では下方に断面図として図示している。 このような基本構造の従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータでは、シリンダー3は左右方向となる中心軸方向の剛性が高く、サイドカバー1及び2はこの中心軸方向の剛性が低い一方で、中心軸の放射方向の剛性が高いことは直感的に理解できる基本構造である。 一番不都合となる問題は、シリンダー3の中心軸に対する放射方向の剛性が低い点である。 円筒形状であるシリンダー3は、25MPaという高圧に十分耐える肉厚であっても、他の部材に対して相対的に肉厚が薄くなる傾向が有るので、中心軸放射方向の剛性は低くなっている。 その結果として、揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを振り子式高効率波力発電装置の動力変換手段の主要装置として応用すると、一対の高圧作動室を構成するシリンダー3の受圧面が中心軸の放射方向に向かって撓み、直径寸法が幾分か増大した楕円に近い形状に歪んでしまうことが、最大の問題である。 波力によって振り子板が揺動すると、四室の作動室は高圧側と低圧側に交互に入れ替わり、楕円形の変形方向も時間に沿って連続的に変化していく。 サイドカバー1及び2は、軸方向の剛性が低いために外側に張り出す変形を伴うが、その結果楕円に変型するシリンダー3とは逆に直径方向の寸法がわずかに縮小する傾向にある。 この結果は長年の装置稼動でサイドカバー1、サイドカバー2とシリンダー3との接触面に加え、固定ベーン9aおよび9bとサイドカバー1の接触面17a、及び固定ベーン9aおよび9bとサイドカバー2との接触面18aにもフレッティングコロージョンが発生した。 発明者が長年に亘り取組んできた合理的な高効率波力発電方式を実用化させる上で、早急に解決すべき課題であった。 中心軸の放射方向の剛性が高いサイドカバー1及び2に対して、シリンダー3をより強固に連結することで、シリンダー3の楕円形への変形を抑制することも考慮したが、多数のボルト4及び5による連結力を増大させても、シリンダー3の外面よりも外側に張り出すフランジ形状部でしか両部材の締結ができないために、200〜400ηmになった歪み変形を、防止の目安となる数十ηm以下に抑制できる効果的なフレッティングコロージョン対策にはなり得なかった。

    図3は本発明のフレッティングコロージョン対応揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの中央部を中心軸の直角方向に切断した断面図であり、前記の図1と殆ど同一である。 中心部に設置される揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ基幹部材である入出力軸6cは、キー8cを介してロータ7cと強固に連結されている。 ロータ7cには水平方向に図示した一対の揺動ベーン7c−b、揺動ベーン7c−aがこれと一体構造にして取り付け強度を高めて設けられ、揺動ベーン7c−b及び同7c−aを取り囲むようにシリンダー3cが取り付けられている。 シリンダー3cの内部には上下位置に一対の固定ベーン9c−b、固定ベーン9c−aが夫々一対のキー10c−b、キー10c−aを介しボルト止めされている。 容積が増減する作動室は四室設けられるが、中心軸に対して対称位置となる2室は同じ容積増減作動となるので、連通孔15c,連通孔16cにより個別に連通している。 更に上方の固定ベーン9c−b取り付け基部近くに一対の管路14c、管路13cが設けられて油圧システムとの接続が行われている。 この図3では、次の本発明の特徴が理解し易い断面図の切断線C−Dを示している。

    図4は、図3の切断線C−Dを矢印方向に見た断面図である。 図4でも図2同様に図3で水平に図示した左方の揺動ベーン7c−bを下方に配置した断面図である。 本発明の最大の特徴は、図4で示すようにシリンダー3cの左右両端側の長さを短くし、短くなったシリンダーを補完するシリンダー同様形状部が左右のサイドカバー1cとサイドカバー2cに設けられている点である。 具体的には、左側のサイドカバー1cには右側へ張り出した円筒部1c−cが、右側のサイドカバー2cには左側へ張り出した円筒部2c−cが夫々のサイドカバーと一体的に構成されていることが特徴である。 固定ベーン9c−b及び9c−aをシリンダー3cに固定するためのキー10c−b、同10c−aはシリンダー3cと同一の長さであり、従来型よりも短くなっているが強度上の問題はない。 両側のサイドカバー1c、サイドカバー2cは軸受1c−aと軸受2c−aとにより入出力軸6cを軸支しているが、右端には軸受2c−aからの僅かな油の漏れを防止するための回転シール25も取り付けられている。 左右のサイドカバー1cとサイドカバー2cは、多数のボルト4c及び同5cでシリンダー3cに強固に連結されているが、サイドカバーの円筒部1c−c並びに円筒部2c−cが設けられた分だけ従来型よりも長くなっている。 ボルト4c及び5cは最近商品化された海面での耐食性に優れた材質が好ましい。

    図4に示す基本構造の本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータでは、強固に圧接される作動室の構成部材同士が、作動室に周期的に変動して加わる作動油高圧力によって生じる歪み変形で、部材間の剛性の高い方向と低い方向とが反対方向であることに起因してフレッティングコロージョンを発生させる問題を解決する上でも、極めて有効な効果を期待することが可能となる。 本発明では、主として強圧接合面で複数部材が略同様の形状を有しているからであり、作動室内部の揺動ベーン7c−b及び同7c−aの揺動運動の際にシリンダー3cが僅かに楕円形に近い歪み変形を伴う際も、サイドカバー1cとサイドカバー2cとに設けた円筒部1c−cと円筒部2c−cとは、シリンダー3cと同様形状であるために、接合部は同様な楕円近似の歪み変形を伴う。 従って円筒部1c−cと円筒部2c−cの長さを適当な寸法にすることで、フレッティングコロージョン対策に確実である歪み変形量20〜30ηm以下のレベルに相対的変形量を抑制することは容易である。 更に、前記の従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータでは、シリンダー3とサイドカバー1及び同2との接合面にもフレッティングコロージョンが発生したが、本発明ではサイドカバー1cと同2cの円筒部1c−c、同2c−cの長さ分だけボルトによる強力接合位置から離れているので、機械的な締結手段を有しない両者は、固定ベーン軸方向長さを両サイドカバー間隔寸法より僅かに短い寸法に管理することで、接合面圧を低圧に保ち易い構造である。

    図5はサイドカバー2cと固定ベーン9c−bとの接合面を図4の右方より見た拡大正面図であり、固定ベーン9c−bの詳細なシール構造等が判りやすくなる図面としている。 固定ベーン9c−bには、静止固定部材同士のシール材と摺動部材との摺動面シール材の二種類の異なるシール材が必要である。 前者はシール材の摩耗問題が無いために、大径Oリングを必要な寸法に切断したシール材で十分なシール効果が期待できるので、経済的に設置できる。 左右の固定ベーン9Cの縁部分には、逆ハ字型シール溝とOリング材固定シール41c−1、固定シール41c−2が設けられ、シリンダー3cに加えサイドカバー円筒部1c−cや同2c−cとの接触面縁部には同様の固定シール40c−1と同40c−2が設けられている。 更に、円筒形のロータ7c側の縁部には、略水平方向にシール溝が設けられてOリング材の固定シール41c−3が埋め込まれている。 これら固定シール端部には、シール溝幅よりも直径の大きい孔が接触面とは垂直に設けられ、円筒状のピン43c−1、同43c−2、同43c−3、同43c−4が固定シール端部を補うように設けられている。 これらに加えて、ロータ7cとの摺動面となる中心側の摺動面19c−bには、固定ベーン9cの長さ分だけの軸平行方向の縁部溝に摺動シール42c−1と摺動シール42c−2とが設けられている。 この両摺動シールの特徴は断面形状がく字型であることであり、両端部はリップ形状を有している。 く字の角度が広がる方向への圧力には本来のシール作用が働くが、逆の角度が狭くなる方向の圧力が作用すると、高圧側から低圧側への作動油の流れを許容するシール材である。 図5で示すように、摺動シール42c−1と同42c−2は直近の作動室が高圧の場合にく字角度が小さくなる方向に取り付けられているため、固定ベーン9c−bとロータ7cとの摺動面19c−bには常に高圧側作動室が連通するシール構造になっている。

    前記の固定ベーン9c−bのシール構造は、特許文献2と同様であるが、本発明では更に両方のサイドカバーとの接触面が常に低圧作動室と連通し、どちらか一方の面に過度な接触圧力が加わることを防止する油圧構造としている。 図5では破線で示しているが、一対のチェックバルブ21とチェックバルブ22が左右の作動室12c−bと作動室11c−aに望む固定ベーン9c−bの中央位置に設けられており、両サイドカバーとの接触面17cと接触面18cを連通する管路23が貫通されている。 更にこの管路23はチェックバルブ21、同22とも連通する管路も備えている。 図5に示すように、摺動シール42c−1と同42c−2が僅かの間隔で近接するピン43c−1と同43c−4との間には完全にシールできない空間も有り、加えてピン43c−1と同43c−2との間隔、ピン43c−3とピン43c−4との間隔にも完全なシールはできかねる。 然し乍ら、サイドカバー1c及び同2cと固定ベーン9c−bとの間隔は最低レベルとなるように組み立てられているので、僅かな隙間からの油漏れが一定量以下に抑えられれば、25MPaの圧力に耐える揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータであっても問題なく機能できる。 円筒形状のピン43c−1と同43c−2、同43c−3、同43c−4は金属製であるが、表面は適度に研摩され、恰もピストンシールに近い密封シール作用を果たしていると考えられる。 然し乍ら、この僅かのシール不完全部分から固定ベーン9c−bのサイドカバーとの接触面17c、同18cに漏入する作動油は、管路23やチェックバルブ21、同22等を通じて低圧側の作動室12c−bもしくは同11c−b側に流れ出すので、固定ベーン9c−bの多数のシール部材で囲まれた接触面内部の作動油量は最低レベルを保つ。

    図6は、図5で示した固定ベーン9c−bの下方から上方に見た底面図であるが、一部には図5の切断線E−Fに沿って切断し、矢印方向に見た断面を示している。 この図6では、特に部分断面図で示すピン43c−1、ピン43c−2を判りやすく表示している。 ピン43c−1等は長さの短い円筒形であり、これを収納する孔もピン長さより少し長く、底部には各々のピンを押出すコイルばね44c−1や同44c−2等が収められている。 固定ベーン9c−bの全長に比較すればピン孔の長さは一桁短い寸法なので、固定シール41c−1や同41c−3並びにピン43c−1及び同43c−2等々によってシールできない面を最小とするには、ピン孔同士の間隔も最小レベルに抑制するのが好ましく、その実現も容易となる。 具体的には1.5〜2mm程度が実現できる。

    図7と図8は、本発明の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを世界一の高効率波力発電方式となった振り子式波力発電装置に応用した応用例の、装置全体の該略図である。 図7の右側はコンクリート製のケーソン51の海側に開口した開口52が設けられて、波面47の波をケーソン51内部に導入できる。 ケーソン51の左端は右側からの入射波を反射させる固定壁53であり、固定壁53で反射した入射波は逆方向に向かう反射波となり、入射波と反射波が互いに干渉する結果として、全波長λに対して1/4λとなる位置には常に波高が零である一方、水平方向運動エネルギーが倍増する特異点が現れる。 この特異点位置に波力を受ける振り子板48の揺動主軸49が設置され、主軸49の一端に主軸49と一体的に本発明を応用した揺動ベーンポンプ50が発電機駆動油圧システムのポンプとして応用されている。 振り子板48の揺動付近は波のエネルギーの略全部が水平方向運動になっているので、揺動主軸49を介して揺動ベーンポンプ50に無駄なく波力が伝達され、高圧作動油として管路45、管路46を経て発電機の回転運動に変換される油圧システムに入力される。

    図8は図7に示したケーソン全体を固定壁53側から開口52の方に見た断面図であり、装置全体の主要部材の配置が判りやすくなっている。 コンクリート製のケーソン51の開口幅よりも少しだけ幅の短い振り子板48が、一対の強固な骨材56、同56'に取り付けられており、骨材56、56'は上端部で揺動主軸49に強固に固定されている。 ケーソン51には揺動主軸を支えるための一対の主軸受54と同55とが固定されており、揺動主軸49の左端にはこれと一体的に本発明の揺動ベーンポンプ50が設けられている。 主軸受54は大径の球面軸受形状を有するために、ケーソン51に振り子板や主軸を含む主要全体装置が取り付けられる現場作業においても、作業時間の短縮が可能な合理的構造にしている。

    図9には本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを大型船舶のラダー駆動用アクチュエータとして応用した応用例を示している。 図9は船尾側の底部分断面を示しているが、船内の空間は限られた空間であるために、大揺動力を必要とするラダー62のアクチュエータ60とすれば、本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの応用案件として最適案件の一つとなる。 ラダー62の揺動位置がどこであっても、ラダー主軸61に直結するアクチュエータ60は作動油の流量の変化量とラダー62の角度変化量が常に同一であることに加えて、ラダー62とアクチュエータ60とはラダー主軸61で直結されており応答性が良好であることに加え、25MPaという高圧力仕様なので極めてコンパクトな操舵装置となり、限定された船内空間を広くできる経済効果も活用できる。 現在市場化されている経済的な高圧仕様油圧シリンダーをアクチュエータとして使用しても、ラダー角度変化により一定角度変化に必要な作動油量が変化したり、時計回り方向と反時計回り方向のラダー操作では作動室面積に差が有るために圧力と流量の微妙な調整を必要とするので、複雑な制御システムでなければならない。 従来からも揺動ベーン型ポンプ. アクチュエータを操舵装置に使用するメリットは知られており、実用化の期待も高かったが、高圧仕様製品は市場化されておらず、本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの低コスト量産化製造体制が実現できると、大きな新市場開拓による経済効果も高いと期待できる。 この延長として最近の省エネ技術重視の社会風潮から市場縮小傾向にある油圧機器業界でも、従来技術では実現できなかった高所作業用大型ロボットヒンジピン揺動駆動用の、大出力でコンパクトな揺動ベーン型アクチュエータが実現でき、市場縮小化に対向する新技術になる。

    従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの軸方向から見た中央部断面図

    従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの中心軸に平行な断面図

    本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの中央部を軸方向から見た断面図

    図3の切断線C−Dを矢印方向に見た断面図

    図4の右方よりサイドカバーと固定ベーンの接合面を見た拡大正面図

    図5の固定ベーンの底面図であるが、一部には図5の切断線E−Fに沿って切断し矢印方向に見た断面図を含む

    本発明を高効率発電方式である振り子式波力発電装置に応用した応用例を側面から見た概略図

    図7に示した波力発電装置を左方より見た概略図

    本発明を大型船舶ラダー操作装置に応用した応用例の船尾底の概略断面図

    1、2 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのサイドカバー1a、2a 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの揺動主軸軸受1d、2d 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータサイドカバーとシリンダーとの接触面3 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのシリンダー4、5 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのサイドカバー/シリンダ連結ボルト6 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの揺動主軸7 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのロータ7a、7b 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの可動ベーン8 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのロータ軸止用キー9a、9b 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの固定ベーン10a、10b 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの固定ベーン用固定キー11a、11b 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの連通管で通ずる一対の作動室12a、12b 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの別の連通管で通ずる一対の作動室13、14 従来型の揺動ベーン型ポンプ. アクチュエータの容積が増減する一対の作動室と油圧システムとを個別に連結している管路15、16 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの同一作動の作動室を連通する連通孔17、18 従来型の揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのサイドカバーと固定ベーンの接触面1c、2c 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのサイドカバー1c−a、2c−a 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータ揺動主軸の軸受1c−c、2c−c 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのサイドカバーの円筒部1c−d、2c−d 本発明のサイドカバー円筒部/シリンダー接触面3c 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのシリンダー4c、5c 本発明のシリンダー/サイドカバー連結ボルト6c 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの揺動主軸7c 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータのロータ7c−a、7c−b 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの可動ベーン8c 本発明のロータ軸止キー9c−a、9c−b 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの固定ベーン10c−a、10c−b 本発明の固定ベーンの固定キー11c−a、11c−b 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータの同一作動の一対の作動室12c−a、12c−b 本発明揺動ベーン型ポンプ. アクチュエータの別の同一作動の一対の作動室13c、14c 本発明の容積が増減する作動室を個別に油圧システムに連結する一対の管路15c、16c 本発明の容積増減作動が同じ一対の作動室に連通する一対の管路17c、18c 本発明のサイドカバーと固定ベーンとの接触面19c−a、19c−b 本発明のロータと固定ベーンとの摺動面20c−a、20c−b 本発明シリンダーと固定ベーンとの接触面21、22 本発明の固定ベーンに設けられるチェックバルブ23 本発明の固定ベーンのサイドカバーと接触する両側面を貫通する管路24 固定ベーンの取り付けボルト25 回転シール40c−1、40c−2 本発明のシリンダーと固定ベーンとの固定シール41c−1、41c−2、41c−3 本発明の固定ベーンに設けられるサイドカバー接触面の固定シール42c−1、42c−2 本発明の固定ベーンに設けられるロータとの摺動シール43c−1、43c−2、43c−3、43c−4 本発明固定ベーンのサイドカバー接触面の固定シール端部ピン44c−1、44c−2 本発明固定ベーンの固定シール端部ピンを圧縮するコイルばね45、46 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを振り子式波力発電装置に応用した応用例における揺動ベーンポンプと油圧システムとの接続管路47 波面48 振り子式波力発電装置の波力を受ける振り子板49 振り子式波力発電装置の揺動主軸50 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを波力発電装置に応用した揺動ベーンポンプ51 振り子式波力発電装置のコンクリート製ケーソン52 ケーソンの開口部53 ケーソンの固定壁54 波力発電装置の揺動主軸の球面形状を有する軸受55 波力発電装置の揺動主軸の軸受56、56' 振り子式波力発電装置の振り子板と揺動主軸とを強固に連結する一対の骨材60 本発明揺動ベーン型ポンプ・アクチュエータを大型船舶のラダー操作用に応用したアクチュエータ61 ラダー主軸62 ラダー

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