【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は流動媒体、特に粘性媒体を搬送するためのギヤポンプと、このギヤポンプを備えた搬送導管に関する。 【0002】 【従来の技術】流動媒体、特に粘性媒体を搬送するためのギヤポンプはあまねく公知であり、かつ多くの文献に、例えばドイツ連邦共和国特許第1941673号明細書及び同第2436222号明細書に記載されている。 【0003】上記両文献では、特に反応容器からの搬出のために適した、大容積のポンプ入口を備えたギヤポンプが記載されている。 その場合、ポンプケーシングは二重壁の、いわゆるフルジャケット形“fully jacketed" 構造として形成されている。 この場合、閉じられた環状の室容積がギヤポンプの著しい温度伝達を可能ならしめているが、このことは特にポリマ合成の際にポリマの搬出装置において重要である。 調温媒体としては一般に蒸気又はサーマルオイルが使用される。 【0004】この加熱媒体の供給は、例えばドイツ連邦共和国特許第2436222号明細書に開示されているように、ポンプケーシングの2つ又はそれ以上の調温接続フランジを介して行われる。 【0005】上記両形式のポンプはさらに吸込側並びに圧力側に組付け用フランジもしくは接続フランジを備えている。 これらのフランジを介して、ポンプは上流に接続された装置構成部分及び下流に接続された装置構成部分、例えば合成反応容器、搬送導管、造粒機などに真空密に結合されることができなければならない。 【0006】特に、吸込側では、ポンプフランジを介して大気が流入する危険が生じ、このことがギヤポンプの上方に配置された合成反応容器内での著しい問題を惹起する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題とするところは、上流に接続された構成部分及び下流に接続された構成部分への完全に気密な移行を可能ならしめるような、ギヤポンプへの組付けの可能性を吸込側並びに吐出側で生ぜしめることにある。 【0008】本発明のさらに別の課題とするところは、 ギヤポンプの二重壁のケーシング内への調温媒体の供給及び排出のための簡単な接続の可能性を提供することにある。 【0009】 【課題を課題するための手段】上記課題は本発明によれば、請求項1に記載のように、吸込側及び又は圧力側もしくは吐出側に、ポンプをその他の装置構成部分に気密に溶接するためのカラー状部分が設けられていることにより解決される。 【0010】特に粘性媒体のような流動媒体を搬送するためのギヤポンプを上流に接続された別の装置構成部分又は下流に接続された別の装置構成部分に溶接可能に結合するために、吸込側及び又は圧力側もしくは吐出側に管状又はカラー状部分を有するギヤポンプが提案される。 【0011】その場合、ポンプを加熱しもしくは冷却することができるような手段を備えた二重壁のポンプケーシングを備えた冒頭に記載した形式のギヤポンプが提案される。 この手段は加熱流動媒体もしくは調温流動媒体、特に例えば蒸気又はサーマルオイルの通流もしくは装入のために適している。 【0012】本発明のギヤポンプによればさらに、単数又は複数の溶接される部分の領域内に、ケーシングの二重壁構造によって形成された中間室に接続された単数又は複数の接続口が加熱媒体もしくは調温媒体の供給もしくは排出のために設けられていると有利である。 【0013】本発明のさらに別の構成では、溶接される単数又は複数の部分が、これに接続される単数又は複数の構成部分、例えば導管の対応して形成された管状の開口をポンプに例えば突合せ溶接により固定的に結合するのに適するように、ポンプの吸込側及び又は吐出側で管状のカラーとして形成されている。 【0014】本発明のさらに別の構成によれば、ギヤポンプの吸込側及び又は吐出側に、管状のカラーとしての第1のカラー状部分を同軸的に囲む別のカラー状部分が、1つの導管を同軸的に囲む別の導管を有利には突合せ溶接により当該ポンプに固定的に結合せしめるために設けられており、その場合、両方の導管の間に形成された中間室が場合により加熱媒体もしくは調温媒体の搬送のために役立てられている。 【0015】ギヤポンプの吐出側では圧力比が著しく大きいため、吐出側のカラー状部分が吸込側のカラー状部分に比して大きな壁厚を有していると有利である。 【0016】 【発明の効果】本発明に基づいて提案されたギヤポンプの大きな利点とするところは、運転中に、上流に接続された装置構成部分もしくは下流に接続された装置構成部分にギヤポンプが完全に気密に結合され、もしくは適当な導管内に完全に気密に組付けられることにある。 これにより、従来技術から公知のギヤポンプで知られているように、例えばギヤポンプが合成反応容器に接続されている場合に、接続フランジに配置されたリングパッキンが高温により脆性化するために適時これを取り替えなければならないという事態が回避される。 【0017】本発明により提案された装置の別の利点とするところは、ギヤポンプに加熱媒体もしくは調温媒体の供給もしくは排出のための接続部を側方に設ける必要がないことにある。 さらに、ギヤポンプの保守もしくは修理の際に、ギヤポンプを取り外す必要がない。 ケーシングカバーを取り外すことにより、内部の構成部分(軸、軸受)を取り外すことができ、かつその修理後に再び組付けることができる。 【0018】 【発明の実施の形態】次に図示の実施例につき本発明を詳しく説明する。 【0019】図1に公知の二重壁のケーシングを備えたギヤポンプが縦断面して示されている。 このギヤポンプのケーシング1は中空円錐により形成された鉛直な入口3を備えている。 搬送されるべき流動媒体は矢印10で示す方向でギヤポンプ内に供給されて、両方の歯車軸4,5を通って出口9へ向けて吐き出される。 吐き出されるべき流動媒体は出口9を通って矢印10′の方向で、下流に接続された構成部分に供給される。 図1から判るように、このギヤポンプは吸込側に吐出側の出口9 に比して大きい入口3を有している。 【0020】ケーシング1は図1から判るように二重壁を備えており、かつ外側の2つのケーシング半部14, 15と二重壁構成を有する1つの中間室13とを有している。 両方のケーシング半部14,15内に調温媒体の供給及び排出のための導管16,16′が配置されている。 中間室13もしくは通路は、ギヤポンプが例えば合成反応容器の下流に接続された場合に高粘性のポリマの急激な冷却によりポリマの搬送が困難もしくは事実上不可能になることを回避するために、ギヤポンプの加熱ジャケットを形成している。 さらに、図1に示す公知のギヤポンプは、当該ポンプと上流もしくは下流に接続された装置構成部分との結合のために、吸込側並びに吐出側に接続フランジ18もしくは18′を備えている。 【0021】図2には本発明に基づくギヤポンプが示されており、この場合、図1に示されたギヤポンプと同じ部分は同じ符号により示されている。 本発明に基づくギヤポンプも同様にケーシング1及び鉛直な開口3を備えており、搬送されるべき流動媒体がこの開口3を通って矢印10の方向に導入される。 歯車軸4,5が流動媒体を出口9へ向かって駆動し、流動媒体は出口9から矢印10′の方向で、下流に接続された構成部分へ向かってギヤポンプを離れる。 外側のケーシングは2つのケーシング半部14,15を有しており、かつ二重壁として形成されていることによりギヤポンプの調温のための中間室13もしくは通路を備えている。 【0022】図2に示された本発明に基づくギヤポンプは吸込側並びに吐出側に管状のカラーとして形成されたそれぞれ2つのカラー状部分21,26;31,36を備えており、これらのカラー状部分は例えば突合せ溶接により溶接シーム22,28,32,38を介してギヤポンプの接続フランジ18,18′に結合されている。 その場合、両方のカラー状部分21,31は内側の接続部を形成しており、これらの内側の接続部は搬送されるべき流動媒体を案内するために、上流もしくは下流に接続された構成部分の対応する接続部に結合される。 例えばギヤポンプの上流又は下流に接続される導管の接続部は、カラー状部分21,31がそれぞれ有利には円錐状に傾斜した接続部分24もしくは34を備えているので、同様に突合せ溶接により両方のカラー状部分21, 31に結合される。 【0023】カラー状部分21,31の外側にこれと同軸的に配置された別の両方の管状のカラーとして形成されたカラー状部分26,36が設けられており、後者のカラー状部分は場合により接続導管に対して同軸的に配置される外側のジャケット管に同様に有利には突合せ溶接により結合するために設けられている。 その場合、それぞれ2つの接続導管により形成されるジャケット室内にギヤポンプの調温媒体を供給し、もしくはこのジャケット室から調温媒体を排出することができる。 この供給及び排出は、中間室13もしくは通路と、カラー状部分もしくはこれに溶接された接続導管内に形成されたジャケット状の中間室30,40とを接続せしめる接続口1 6,16′を介して行われる。 【0024】図2から明確に判るように、例えば吸込側で大気侵入の危険が完全に排除されているために、このギヤポンプの運転中に完全に設定課題が解決される。 吐出側でも接続箇所に搬送媒体の漏れがまったく生じない。 本発明に基づくギヤポンプの別の利点とするところは、加熱媒体もしくは調温媒体の供給もしくは排出のための供給導管及び排出導管がシンプルであることにある。 【0025】さらに図2から判るように、吐出側のカラー状部分31が吸込側のカラー状部分21に比して厚肉に形成されている。 その理由は、吐出側もしくは圧力側では著しく高い圧力比、例えば250バール又はそれ以上の圧力比が形成されるのに対して、吸込側では大気圧又は負圧が形成され、このような圧力では導管を厚肉にする必要がないからである。 【0026】本発明に基づくギヤポンプは特にポリマ合成における搬出装置として適している。 その理由はポリマ合成では合成反応容器から高粘性のポリマ溶融物が搬出されなければならず、しかも一般には大量のポリマ溶融物が搬出されるからである。 特にこの種の搬出装置では吸込側で大気の侵入が生じないことが重要である。 その上、この搬出装置は、高粘性の材料が冷却によりさらに濃密にならないように有利には加熱可能である。 【0027】図2に示された本発明に基づくギヤポンプはほんの一例にすぎず、任意に変更され、補完されかつモデルチェンジされることができる。 例えば、吸込側及び圧力側に配置されるカラー状部分の構成は任意である。 さらに、上流及び下流に接続される構成部分の結合はかならずしも突合せ溶接により行われる必要はない。 その他の溶接技術を考慮することもできるのはいうまでもない。 【図面の簡単な説明】 【図1】公知技術に基づく二重壁のギヤポンプの縦断面図である。 【図2】本発明の1実施例に基づく二重壁のギヤポンプの縦断面図である。 【符号の説明】 1 ケーシング、 3 入口、 4,5 歯車軸、 9 出口、 10,10′ 矢印、 13 中間室、 1 4,15 ケーシング半部、 16,16′接続口、 18,18′ 接続フランジ、 21 カラー状部分、 22 溶接シーム、 24 接続部、 26 カラー状部分、 28 溶接シーム、 30中間室、 31 カラー状部分、 32 溶接シーム、 34 接続部、 36 カラー状部分、 38 溶接シーム、 40 中間室 |