ベーンポンプ装置

申请号 JP2015246695 申请日 2015-12-17 公开(公告)号 JP2017110606A 公开(公告)日 2017-06-22
申请人 株式会社ショーワ; 发明人 西川 歳生;
摘要 【課題】ベーンやロータの摺動抵抗を低減する。 【解決手段】複数枚のベーン30と、ベーン30を回転半径方向に移動可能に支持するとともにオイルを内部に収容する円柱状溝232を回転中心側に形成するベーン溝23を有し、回転軸から回転 力 を受けて回転するロータ20と、ロータ20の外周面に対向する内周面を有してロータ20を囲むカムリング40と、カムリング40の開口部を覆うインナサイドプレート50とを備える。そして、インナサイドプレート50は、低圧オイルを円柱状溝232に供給するインナサイド低圧側凹部534と、インナサイド低圧側凹部534から離間して形成されるとともに高圧オイルを円柱状溝232に供給するインナサイド高圧側凹部535と、インナサイド低圧側凹部534およびインナサイド高圧側凹部535とに接続するインナサイド第1溝591とを有する。 【選択図】図21
权利要求

複数枚のベーンと、 前記ベーンを回転半径方向に移動可能に支持するとともに作動流体を内部に収容する中心側空間を回転中心側に形成するベーン溝を有し、回転軸から回転を受けて回転するロータと、 前記ロータの外周面に対向する内周面を有して当該ロータを囲むカムリングと、 前記カムリングにおける回転軸方向の一方の端部側にて当該カムリングの開口部を覆う覆部と、を備え、 前記覆部は、 第1圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する第1供給部と、 前記第1供給部から離間して形成されるとともに前記第1圧力とは異なる第2圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する第2供給部と、 前記第1供給部と前記第2供給部とに接続する溝状の溝部と、を有することを特徴とするベーンポンプ装置。前記溝部の前記回転半径方向における幅は、前記第1供給部の前記回転半径方向における幅および前記第2供給部の前記回転半径方向における幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ装置。前記溝部の深さは、前記第1供給部および前記第2供給部よりも浅いことを特徴とする請求項1または2に記載のベーンポンプ装置。前記第1供給部および前記第2供給部に対して離間して形成されるとともに、前記第2圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する第3供給部を備え、 前記第3供給部と前記第1供給部とに接続する第2溝部を有することを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ装置。前記カムリングにおける前記回転軸方向の他方の端部側にて当該カムリングの前記開口部を覆う他の覆部を備え、 前記他の覆部は、 前記第1圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する他の第1供給部と、 前記他の第1供給部から離間して形成されるとともに前記第2圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する他の第2供給部と、 前記他の第1供給部と前記他の第2供給部とに接続する他の溝部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ装置。

说明书全文

本発明は、ベーンポンプ装置に関する。

例えば、特許文献1に記載されたベーンポンプは、吐出圧が高い高吐出圧力側のメイン吐出ポートと、吐出圧力が低い低吐出圧力側のサブ吐出ポートとを備える。そして、このベーンポンプにおいては、インナサイドプレートは、高圧力室の高圧吐出油をロータの周方向で一部のベーン溝の底部寄り空間に導く円弧状の高圧油導入ポートを、該インナサイドプレートの同一直径上で中心孔まわりにて相対する2位置に設けている。また、アウタサイドプレートは、ロータの他側面に接する面に、ロータの全部のベーン溝の底部寄り空間に連通するとともに、インナサイドプレートの上述の高圧油導入ポートを介して高圧力室に連通する環状の背圧溝が設けられている。そして、インナサイドプレートの高圧油導入ポート、連通溝およびアウタサイドプレートの背圧溝は、ロータが回転進み方向のいかなる回転位置にあっても、ベーン溝の底部寄り空間に連通するように設定されている。これにより、ロータの回転により吐出ポートから吐出された高圧吐出油が、インナサイドプレートの高圧油導入ポート、更には該高圧油導入ポートが連通しているロータの一部のベーン溝の底部寄り空間を介して、アウタサイドプレートの環状の背圧溝に供給される。そして、アウタサイドプレートの環状の背圧溝に供給された高圧吐出油は、該背圧溝が連通しているロータの全部のベーン溝の底部寄り空間に同時に導入され、このベーン溝の底部寄り空間に導入された高圧吐出油の圧力によりベーンの先端をカムリングの内周のカム面に押し当てて当接させる。 特許文献2に記載されたベーンポンプは、メイン領域とサブ領域の両方にて作動流体の吸込吐出を行う全吐出ポジションとメイン領域のみにて作動流体の吸込吐出を行う半吐出ポジションとを切換える切換弁を備えるベーンポンプであって、切換弁は半吐出ポジションにてベーンがロータに引き込まれてカムリングの内周カム面から離間するようにサブ領域のベーンに導かれる圧力を切換える。

特開2013−50067号公報

特開2011−196302号公報

ところで、ベーンポンプ装置においては、ベーンが設けられたロータが回転する。このとき、ベーンやロータは、ベーンやロータにそれぞれ接触する部材との間における摺動抵抗が小さい方が好ましい。

本発明は、ベーンやロータの摺動抵抗を低減することを目的とする。

かかる目的のもと、本発明のベーンポンプ装置は、複数枚のベーンと、前記ベーンを回転半径方向に移動可能に支持するとともに作動流体を内部に収容する中心側空間を回転中心側に形成するベーン溝を有し、回転軸から回転力を受けて回転するロータと、前記ロータの外周面に対向する内周面を有して当該ロータを囲むカムリングと、前記カムリングにおける回転軸方向の一方の端部側にて当該カムリングの開口部を覆う覆部と、を備え、前記覆部は、第1圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する第1供給部と、前記第1供給部から離間して形成されるとともに前記第1圧力とは異なる第2圧力の作動流体を前記中心側空間に供給する第2供給部と、前記第1供給部と前記第2供給部とに接続する溝状の溝部と、を有することを特徴とするベーンポンプ装置である。

本発明によれば、ベーンやロータの摺動抵抗を低減することができる。

実施の形態に係るベーンポンプの外観図である。

ベーンポンプの構成部品の一部をカバー側から見た斜視図である。

ベーンポンプの構成部品の一部をケース側から見た斜視図である。

ベーンポンプの高圧のオイルの流路を示すための断面図である。

ベーンポンプの低圧のオイルの流路を示すための断面図である。

(a)は、ロータ、ベーンおよびカムリングを回転軸方向の一方方向に見た図である。(b)は、ロータ、ベーンおよびカムリングを回転軸方向の他方方向に見た図である。

カムリングのカムリング内周面における回転度毎の回転中心からの距離を示す図である。

(a)は、インナサイドプレートを回転軸方向の一方方向に見た図である。(b)は、インナサイドプレートを回転軸方向の他方方向に見た図である。

(a)は、アウタサイドプレートを回転軸方向の他方方向に見た図である。(b)は、アウタサイドプレートを回転軸方向の一方方向に見た図である。

ケースを回転軸方向の一方方向に見た図である。

カバーを回転軸方向の他方方向に見た図である。

高圧オイルの流れを示す図である。

低圧オイルの流れを示す図である。

(a)および(b)は、インナサイド高圧側凹部とインナサイド低圧側凹部との関係およびインナサイド高圧側貫通孔とインナサイド低圧側凹部との関係を説明するための図である。

インナサイド低圧側吸入上流分離部の回転方向の大きさについて説明する図である。

(a)および(b)は、アウタサイド高圧側凹部とアウタサイド低圧側貫通孔との関係およびアウタサイド低圧側凹部とアウタサイド高圧側凹部との関係を説明するための図である。

(a)および(b)は、インナサイド低圧側吸入上流分離部の回転方向の大きさの上限値について説明するための図である。

インナサイド低圧側吸入上流分離部と、高圧側吐出ポートと、低圧側吸入ポートとの関係を示す図である。

(a)〜(d)は、インナサイド背圧部およびアウタサイド背圧部の回転半径方向における長さの説明図である。

(a)および(b)は、インナサイド第1溝およびインナサイド第2溝の説明図である。

(a)および(b)は、アウタサイド第1溝およびアウタサイド第2溝の説明図である。

カムリングと円柱状溝に供給されるオイルの圧力との関係を示す図である。

(a)および(b)は、変形例1および変形例2のインナサイド背圧部の説明図である。

(a)および(b)は、変形例3および変形例4のインナサイド背圧部の説明図である。

以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 図1は、本実施の形態に係るベーンポンプ装置1(以下、「ベーンポンプ1」と称す。)の外観図である。 図2は、ベーンポンプ1の構成部品の一部をカバー120側から見た斜視図である。 図3は、ベーンポンプ1の構成部品の一部をケース110側から見た斜視図である。 図4は、ベーンポンプ1の高圧のオイルの流路を示すための断面図である。図4は、図6のIV−IV部の断面図でもある。 図5は、ベーンポンプ1の低圧のオイルの流路を示すための断面図である。図5は、図6のV−V部の断面図でもある。

ベーンポンプ1は、例えば車両のエンジンからの動力により駆動されて、作動流体の一例としてのオイルを、例えば油圧式無段変速機や油圧式パワーステアリングなどの機器に供給するためのポンプである。

また、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、1つの吸入口116から吸入したオイルを、異なる2つの圧力に高め、2つの圧力の内、高圧のオイルを高圧側吐出口117から吐出し、低圧のオイルを低圧側吐出口118から吐出する。より具体的には、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、吸入口116から吸入されて高圧側吸入ポート2(図4参照)からポンプ室に吸入されたオイルを、ポンプ室にて圧力を高めて高圧側吐出ポート4(図4参照)から吐出して高圧側吐出口117から外部に吐出する。加えて、ベーンポンプ1は、吸入口116から吸入されて低圧側吸入ポート3(図5参照)からポンプ室に吸入されたオイルを、ポンプ室にて圧力を高めて低圧側吐出ポート5(図5参照)から吐出して低圧側吐出口118から外部に吐出する。なお、高圧側吸入ポート2、低圧側吸入ポート3、高圧側吐出ポート4および低圧側吐出ポート5は、ポンプ室に臨む(面する)部分である。

また、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、異なる2つの圧力の内の高圧に高めるオイルを吸入するポンプ室の容積が異なる2つの圧力の内の低圧に高めるオイルを吸入するポンプ室の容積よりも小さい。つまり、高圧側吐出口117は、高圧である小容量のオイルを吐出し、低圧側吐出口118は、低圧である大容量のオイルを吐出する。

ベーンポンプ1は、図2に示すように、車両のエンジンまたはモータなどからの駆動力を受けて回転する回転軸10と、回転軸10とともに回転するロータ20と、ロータ20に形成された溝に組み込まれた複数のベーン30と、ロータ20およびベーン30の外周を囲むカムリング40とを備えている。

また、ベーンポンプ1は、カムリング40よりも回転軸10の一方の端部側に配置されたインナサイドプレート50(覆部の一例)と、カムリング40よりも回転軸10の他方の端部側に配置されたアウタサイドプレート60(他の覆部の一例)とを備えている。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、ロータ20、10枚のベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60にて、ポンプ室に吸入したオイルの圧力を高めて吐出するポンプユニット70を構成する。 また、ベーンポンプ1は、ロータ20、複数のベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60を収容するハウジング100を備えている。ハウジング100は、有底筒状のケース110と、ケース110の開口部を覆うカバー120とを有している。

<回転軸10の構成> 回転軸10は、図4に示すように、ケース110に設けられた後述のケース側軸受け111と、カバー120に設けられた後述のカバー側軸受け121とによって回転可能に支持される。回転軸10には、外周面にスプライン11(図2参照)が形成されており、スプライン11を介してロータ20と連結されている。本実施の形態においては、回転軸10は、例えば車両のエンジンなどのベーンポンプ1の外部に配置された駆動源により動力を受けることによって回転し、スプライン11を介してロータ20を回転駆動する。 なお、本実施の形態に係るベーンポンプ1では、回転軸10(ロータ20)は、図2で時計回転方向に回転するように構成されている。

なお、本実施の形態の説明においては、回転軸10(ロータ20)の回転方向のことを、「回転方向」と称して説明する。

<ロータ20の構成> 図6(a)は、ロータ20、ベーン30およびカムリング40を回転軸方向の一方方向に見た図である。図6(b)は、ロータ20、ベーン30およびカムリング40を回転軸方向の他方方向に見た図である。

ロータ20は、図6(a)および図6(b)に示すように、概形が円筒状の部材である。ロータ20の内周面には、回転軸10のスプライン11が嵌め込まれるスプライン21が形成されている。ロータ20の外周部には、最外周面22から回転中心方向に凹みベーン30を収容するベーン溝23が、周方向に等間隔に(放射状に)複数(本実施の形態においては10個)形成されている。また、ロータ20の外周部には、最外周面22から回転中心方向に凹んだ凹部24が、隣り合う2つのベーン溝23間に形成されている。

ベーン溝23は、ロータ20の最外周面22および回転軸10の回転軸方向の両端面にそれぞれ開口する溝である。ベーン溝23は、回転軸方向に見た場合には、図6(a)および図6(b)に示すように、外周部側が、回転半径方向が長手方向となる長方形であるとともに、回転中心側が、この長方形の短手方向の長さよりも大きな直径の円形状である。つまり、ベーン溝23は、外周部側に直方体状に形成された直方体状溝231と、回転中心側に円柱状に形成された円柱状溝232(中心側空間の一例)とを有している。

<ベーン30の構成> ベーン30は、直方体状の部材であり、ロータ20のベーン溝23それぞれに1枚ずつ組み込まれている。ベーン30は、回転半径方向の長さがベーン溝23の回転半径方向の長さよりも小さく、幅がベーン溝23の幅よりも小さい。そして、ベーン30は、回転半径方向に移動可能にベーン溝23に支持される。

<カムリング40の構成> カムリング40は、概形が筒状の部材であり、カムリング外周面41と、カムリング内周面42と、回転軸方向におけるインナサイドプレート50側の端面であるインナサイド端面43と、回転軸方向におけるアウタサイドプレート60側の端面であるアウタサイド端面44とを有している。 カムリング外周面41は、回転軸方向に見た場合に、図6(a)および図6(b)に示すように回転中心からの距離が全周(ただし一部を除く)に渡って略等しい略円形状である。

図7は、カムリング40のカムリング内周面42における回転角度毎の回転中心からの距離を示す図である。 カムリング40のカムリング内周面42は、回転軸方向に見た場合に、図7に示すように、回転角度毎の回転中心C(図6参照)からの距離(言い換えればベーン30のベーン溝23からの突出量)に2つの凸部が存在するように形成されている。つまり、回転中心Cからの距離が、図6(a)における正の垂直軸を零度とした場合に、反時計回転方向に約20度から約90度にかけて徐々に大きくなるとともに約160度にかけて徐々に小さくなることで1つ目の凸部42aを形成し、約200度から約270度にかけて徐々に大きくなるとともに約340度にかけて徐々に小さくなることで2つ目の凸部42bを形成するように設定されている。

本実施の形態に係るカムリング40においては、図7に示すように、1つ目の凸部42aの大きさが、2つ目の凸部42bの大きさよりも大きくなるように回転角度毎の回転中心Cからの距離が設定されている。また、2つ目の凸部42bの裾野が、1つ目の凸部42aの裾野よりもなだらかとなるように回転角度毎の回転中心Cからの距離が設定されている。つまり、2つ目の凸部42bの裾野における回転角度毎の回転中心Cからの距離の変化は、1つ目の凸部42aの裾野における回転角度毎の回転中心Cからの距離の変化よりも小さい。そして、凸部以外の部位は、回転中心Cからの距離が最小値となるように設定されている。最小値は、ロータ20の最外周面22における回転中心Cからの距離よりも若干大きくなるように設定されている。

カムリング40には、図6(a)に示すように、インナサイド端面43から凹んだ複数の凹部であるインナサイド凹部430と、図6(b)に示すように、アウタサイド端面44から凹んだ複数の凹部であるアウタサイド凹部440とが形成されている。 インナサイド凹部430は、図6(a)に示すように、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部431と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部432と、高圧側吐出ポート4を構成する高圧側吐出凹部433と、低圧側吐出ポート5を構成する低圧側吐出凹部434とを有している。 回転軸方向に見た場合には、高圧側吸入凹部431と低圧側吸入凹部432とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されており、高圧側吐出凹部433と低圧側吐出凹部434とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。また、高圧側吸入凹部431および低圧側吸入凹部432は、回転半径方向にはインナサイド端面43の全域に渡って凹んでおり、周方向には所定角度だけインナサイド端面43から凹んでいる。高圧側吐出凹部433および低圧側吐出凹部434は、回転半径方向には、カムリング内周面42から、カムリング外周面41に至るまでの所定範囲だけインナサイド端面43から凹んでおり、周方向には所定角度だけインナサイド端面43から凹んでいる。

アウタサイド凹部440は、図6(b)に示すように、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部441と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部442と、高圧側吐出ポート4を構成する高圧側吐出凹部443と、低圧側吐出ポート5を構成する低圧側吐出凹部444とを有している。回転軸方向に見た場合には、高圧側吸入凹部441と低圧側吸入凹部442とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されており、高圧側吐出凹部443と低圧側吐出凹部444とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。また、高圧側吸入凹部441および低圧側吸入凹部442は、回転半径方向にはアウタサイド端面44の全域に渡って凹んでおり、周方向には所定角度だけアウタサイド端面44から凹んでいる。高圧側吐出凹部443および低圧側吐出凹部444は、回転半径方向には、カムリング内周面42から、カムリング外周面41に至るまでの所定範囲だけアウタサイド端面44から凹んでおり、周方向には所定角度だけアウタサイド端面44から凹んでいる。

また、回転軸方向に見た場合には、高圧側吸入凹部431と高圧側吸入凹部441とは、同じ位置に設けられ、低圧側吸入凹部432と低圧側吸入凹部442とは、同じ位置に設けられている。低圧側吸入凹部432および低圧側吸入凹部442は、図6(a)における正の垂直軸を零度とした場合に、反時計回転方向に約20度から約90度にかけて設けられており、高圧側吸入凹部431および高圧側吸入凹部441は、約200度から約270度にかけて設けられている。 また、回転軸方向に見た場合には、高圧側吐出凹部433と高圧側吐出凹部443とは、同じ位置に設けられ、低圧側吐出凹部434と低圧側吐出凹部444とは、同じ位置に設けられている。低圧側吐出凹部434および低圧側吐出凹部444は、図6(a)における正の垂直軸を零度とした場合に、反時計回転方向に約130度から約175度にかけて設けられており、高圧側吐出凹部433および高圧側吐出凹部443は、約310度から約355度にかけて設けられている。 また、カムリング40には、高圧側吐出凹部433と高圧側吐出凹部443とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である高圧側吐出貫通孔45が2つ形成されている。また、カムリング40には、低圧側吐出凹部434と低圧側吐出凹部444とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である低圧側吐出貫通孔46が2つ形成されている。

また、カムリング40には、高圧側吸入凹部431と低圧側吐出凹部434との間のインナサイド端面43と、高圧側吸入凹部441と低圧側吐出凹部444との間のアウタサイド端面44とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である第1貫通孔47が形成されている。また、カムリング40には、低圧側吸入凹部432と高圧側吐出凹部433との間のインナサイド端面43と、低圧側吸入凹部442と高圧側吐出凹部443との間のアウタサイド端面44とを連通するように回転軸方向に貫通する孔である第2貫通孔48が形成されている。

<インナサイドプレート50の構成> 図8(a)は、インナサイドプレート50を回転軸方向の一方方向に見た図である。図8(b)は、インナサイドプレート50を回転軸方向の他方方向に見た図である。

インナサイドプレート50は、概形が中央部に貫通孔が形成された円板状の部材であり、インナサイド外周面51と、インナサイド内周面52と、回転軸方向におけるカムリング40側の端面であるインナサイドカムリング側端面53と、回転軸方向におけるカムリング40側とは反対側の端面であるインナサイド非カムリング側端面54とを有している。 インナサイド外周面51は、回転軸方向に見た場合には、図8(a)および図8(b)に示すように円形状であり、回転中心Cからの距離は、カムリング40のカムリング外周面41における回転中心Cからの距離と略同じである。 インナサイド内周面52は、回転軸方向に見た場合には、図8(a)および図8(b)に示すように円形状であり、回転中心Cからの距離は、ロータ20の内周面に形成されたスプライン21の溝底までの距離と略同じである。

インナサイドプレート50には、インナサイドカムリング側端面53から凹んだ複数の凹部で構成されるインナサイドカムリング側凹部530と、インナサイド非カムリング側端面54から凹んだ複数の凹部で構成されるインナサイド非カムリング側凹部540とが形成されている。

インナサイドカムリング側凹部530は、カムリング40の高圧側吸入凹部431に対向する位置に形成されて高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部531と、カムリング40の低圧側吸入凹部432に対向する位置に形成されて低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部532とを有している。高圧側吸入凹部531と低圧側吸入凹部532とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。

また、インナサイドカムリング側凹部530は、カムリング40の低圧側吐出凹部434に対向する位置に形成された低圧側吐出凹部533を有している。 また、インナサイドカムリング側凹部530は、周方向には低圧側吸入凹部532から低圧側吐出凹部533に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にインナサイド低圧側凹部534を有している。インナサイド低圧側凹部534は、周方向に低圧側吸入凹部532に対応する位置に形成された低圧側上流凹部534aと、周方向に低圧側吐出凹部533に対応する位置に形成された低圧側下流凹部534bと、低圧側上流凹部534aと低圧側下流凹部534bとを接続する低圧側接続凹部534cとを有している。

また、インナサイドカムリング側凹部530は、周方向には高圧側吐出凹部433に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にインナサイド高圧側凹部535を有している。 また、インナサイドカムリング側凹部530は、カムリング40の第1貫通孔47に対向する位置に形成された第1凹部536と、第2貫通孔48に対向する位置に形成された第2凹部537とを有している。

インナサイド非カムリング側凹部540は、外周部に形成されて外周側Oリング57が嵌め込まれる溝である外周側溝541と、内周部に形成されて内周側Oリング58が嵌め込まれる溝である内周側溝542とを有している。外周側Oリング57および内周側Oリング58は、インナサイドプレート50とケース110との間の隙間をシールする。

また、インナサイドプレート50には、カムリング40の高圧側吐出凹部443に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である高圧側吐出貫通孔55が形成されている。高圧側吐出貫通孔55におけるカムリング40側の開口部と低圧側吐出凹部533の開口部とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。 また、インナサイドプレート50には、周方向には高圧側吸入凹部531に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔であるインナサイド高圧側貫通孔56が形成されている。

さらに、インナサイドプレート50は、インナサイドカムリング側端面53に、インナサイド第1溝591(溝部の一例)およびインナサイド第2溝592(第2溝部の一例)を有する。インナサイド第1溝591は、回転方向において、インナサイド高圧側凹部535(第2供給部の一例)とインナサイド低圧側凹部534(第1供給部の一例)との間に形成される。また、インナサイド第2溝592は、回転方向において、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56(第3供給部の一例)との間に形成される。

なお、本実施の形態において、「回転方向におけるインナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間」とは、以下の領域である。すなわち、回転中心Cからインナサイド高圧側凹部535の下流端であるインナサイド高圧側凹部下流端535fを通る直線(図9中破線で示す)と、回転中心Cからインナサイド低圧側凹部534の上流端であるインナサイド低圧側凹部上流端534eを通る直線(図9中破線で示す)と、によって描かれる扇状の領域である。 また、本実施の形態において、「回転方向におけるインナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56との間」とは、以下の領域である。すなわち、回転中心Cからインナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534fを通る直線(図9中破線で示す)と、回転中心Cからインナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56eを通る直線(図9中破線で示す)と、によって描かれる扇状の領域である。

なお、これらインナサイド第1溝591と、インナサイド第2溝592とについては、後に詳しく説明する。 また、本実施の形態の説明において、インナサイドカムリング側端面53に形成される、インナサイド高圧側凹部535、インナサイド低圧側凹部534およびインナサイド高圧側貫通孔56を、「インナサイド背圧部50BP」と称する場合がある。

<アウタサイドプレート60の構成> 図9(a)は、アウタサイドプレート60を回転軸方向の他方方向に見た図である。図9(b)は、アウタサイドプレート60を回転軸方向の一方方向に見た図である。

アウタサイドプレート60は、概形が中央部に貫通孔が形成された板状の部材であり、アウタサイド外周面61と、アウタサイド内周面62と、回転軸方向におけるカムリング40側の端面であるアウタサイドカムリング側端面63と、回転軸方向におけるカムリング40側とは反対側の端面であるアウタサイド非カムリング側端面64とを有している。

アウタサイド外周面61は、回転軸方向に見た場合には、図9(a)および図9(b)に示すように、ベースの円形状から2箇所が切り欠かれた形状である。ベースの円形状の回転中心Cからの距離は、カムリング40のカムリング外周面41における回転中心Cからの距離と略同じである。2箇所の切り欠きは、高圧側吸入凹部441に対向する位置に形成されて高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入切欠部611と、低圧側吸入凹部442に対向する位置に形成されて低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入切欠部612とを有している。アウタサイド外周面61は、回転中心Cに対して点対称となるように形成されており、高圧側吸入切欠部611と低圧側吸入切欠部612とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。

アウタサイド内周面62は、回転軸方向に見た場合には、図9(a)および図9(b)に示すように円形状であり、回転中心Cからの距離は、ロータ20の内周面に形成されたスプライン21の溝底までの距離と略同じである。

アウタサイドプレート60には、アウタサイドカムリング側端面63から凹んだ複数の凹部で構成されるアウタサイドカムリング側凹部630が形成されている。 アウタサイドカムリング側凹部630は、カムリング40の高圧側吐出凹部443に対向する位置に形成された高圧側吐出凹部631を有している。

また、アウタサイドカムリング側凹部630は、周方向には高圧側吸入切欠部611から高圧側吐出凹部631に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にアウタサイド高圧側凹部632を有している。アウタサイド高圧側凹部632は、周方向に高圧側吸入切欠部611に対応する位置に形成された高圧側上流凹部632aと、周方向に高圧側吐出凹部631に対応する位置に形成された高圧側下流凹部632bと、高圧側上流凹部632aと高圧側下流凹部632bとを接続する高圧側接続凹部632cとを有している。 また、アウタサイドカムリング側凹部630は、周方向にはカムリング40の低圧側吐出凹部444に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置にアウタサイド低圧側凹部633を有している。

また、アウタサイドプレート60には、カムリング40の低圧側吐出凹部444に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である低圧側吐出貫通孔65が形成されている。低圧側吐出貫通孔65におけるカムリング40側の開口部と高圧側吐出凹部631の開口部とは、回転中心Cに対して点対称となるように形成されている。 また、アウタサイドプレート60には、周方向には低圧側吸入切欠部612に対応する位置であって、回転半径方向にはロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔であるアウタサイド低圧側貫通孔66が形成されている。 また、アウタサイドプレート60には、カムリング40の第1貫通孔47に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である第1貫通孔67が、カムリング40の第2貫通孔48に対向する位置に、回転軸方向に貫通する孔である第2貫通孔68が形成されている。

さらに、アウタサイドプレート60は、アウタサイドカムリング側端面63に、アウタサイド第1溝691(他の溝部の一例)およびアウタサイド第2溝692を有する。アウタサイド第1溝691は、回転方向において、アウタサイド高圧側凹部632(他の第2供給部)とアウタサイド低圧側貫通孔66(他の第1供給部)との間に形成される。また、アウタサイド第2溝692は、回転方向において、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間に形成される。

なお、本実施の形態において、「回転方向におけるアウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間」とは、以下の領域である。すなわち、回転中心Cからアウタサイド高圧側凹部632の下流端であるアウタサイド高圧側凹部下流端632fを通る直線(図9中破線で示す)と、回転中心Cからアウタサイド低圧側貫通孔66の上流端であるアウタサイド低圧側貫通孔上流端66eを通る直線(図9中破線で示す)と、によって描かれる扇状の領域である。 また、本実施の形態において、「回転方向におけるアウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間」とは、以下の領域である。すなわち、回転中心Cからアウタサイド低圧側凹部633の下流側であるアウタサイド低圧側凹部下流端633fを通る直線(図9中破線で示す)と、回転中心Cからアウタサイド高圧側凹部632の上流端であるアウタサイド高圧側凹部上流端632eを通る直線(図9中破線で示す)と、によって描かれる扇状の領域である。

なお、アウタサイド第1溝691とアウタサイド第2溝692とについては、後に詳しく説明する。 また、本実施の形態の説明において、アウタサイドカムリング側端面63に形成される、アウタサイド低圧側凹部633、アウタサイド高圧側凹部632およびアウタサイド低圧側貫通孔66を、「アウタサイド背圧部60BP」と称する場合がある。

<ハウジング100の構成> ハウジング100は、ロータ20、ベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60を収容する。また、ハウジング100は、回転軸10の一方の端部を内部に収容し、他方の端部を突出させる。 ケース110とカバー120とはボルトにて締め付けられている。

(ケース110の構成) 図10は、ケース110を回転軸方向の一方方向に見た図である。 ケース110は、有底筒状の部材であり、底部の中央部には回転軸10の一方の端部を回転可能に支持するケース側軸受け111を有している。 また、ケース110は、インナサイドプレート50が嵌め込まれるインナサイドプレート嵌合部112を有している。インナサイドプレート嵌合部112は、回転中心Cから近い位置(内径側)にある内径側嵌合部113と、回転中心Cから遠い位置(外径側)にある外径側嵌合部114とを有している。

内径側嵌合部113は、図4に示すように、ケース側軸受け111の外径側に設けられており、インナサイドプレート50のインナサイド内周面52の一部の周囲を覆う内径側覆い部113aと、インナサイドプレート50が底部側へ移動するのを抑制する内径側抑制部113bとを有している。内径側覆い部113aは、回転軸方向に見た場合に、回転中心Cからの距離が、インナサイド内周面52における回転中心Cからの距離よりも小さな円形状である。内径側抑制部113bは、回転軸方向に直交するドーナツ状の面であり、内側の円における回転中心Cからの距離は内径側覆い部113aにおける回転中心Cからの距離と同じであり、外側の円における回転中心Cからの距離はインナサイド内周面52における回転中心Cからの距離よりも小さい。

外径側嵌合部114は、図4に示すように、インナサイドプレート50のインナサイド外周面51の一部の周囲を覆う外径側覆い部114aと、インナサイドプレート50が底部側へ移動するのを抑制する外径側抑制部114bとを有している。外径側覆い部114aは、回転軸方向に見た場合に、回転中心Cからの距離が、インナサイド外周面51における回転中心Cからの距離よりも大きな円形状である。外径側抑制部114bは、回転軸方向に直交するドーナツ状の面であり、外側の円における回転中心Cからの距離は外径側覆い部114aにおける回転中心Cからの距離と同じであり、内側の円における回転中心Cからの距離はインナサイド外周面51における回転中心Cからの距離よりも小さい。

インナサイドプレート50は、インナサイドプレート50の内周側溝542に嵌め込まれた内周側Oリング58が内径側抑制部113bに突き当たるとともに、外周側溝541に嵌め込まれた外周側Oリング57が外径側抑制部114bに突き当たるまで底部側に挿入されている。そして、内周側Oリング58が、インナサイドプレート50の内周側溝542、ケース110の内径側覆い部113aおよび内径側抑制部113bに接触するとともに、外周側Oリング57が、インナサイドプレート50の外周側溝541、ケース110の外径側覆い部114aおよび外径側抑制部114bに接触することで、ケース110とインナサイドプレート50とがシールされる。これにより、ケース110におけるインナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1と、インナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2とが区画される。インナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1は、高圧側吸入ポート2および低圧側吸入ポート3から吸入されるオイルが流通する吸入流路R1を構成する。インナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2は、高圧側吐出ポート4から吐出されたオイルが流通する高圧側吐出流路R2を構成する。

また、ケース110には、ロータ20、ベーン30、カムリング40、インナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60を収容する収容空間とは別に、この収容空間よりも回転半径方向の外側において開口部側から回転軸方向に凹んだケース外側凹部115が形成されている。ケース外側凹部115は、カバー120に形成された後述するカバー外側凹部123に対向し、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルが流通するケース低圧側吐出流路R3を構成する。

また、ケース110には、図1および図2に示すように、インナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1とケース110の外部とを連通する吸入口116が形成されている。吸入口116は、ケース110の側壁に形成された円柱状の孔であって回転軸方向に直交する方向を柱方向とする孔を含んで構成される。吸入口116は、高圧側吸入ポート2および低圧側吸入ポート3から吸入されるオイルが流通する吸入流路R1を構成する。

また、ケース110には、図1および図2に示すように、インナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2とケース110の外部とを連通する高圧側吐出口117が形成されている。高圧側吐出口117は、ケース110の側壁に形成された円柱状の孔であって回転軸方向に直交する方向を柱方向とする孔を含んで構成される。高圧側吐出口117は、高圧側吐出ポート4から吐出されたオイルが流通する高圧側吐出流路R2を構成する。

また、ケース110には、図1および図2に示すように、ケース外側凹部115とケース110の外部とを連通する低圧側吐出口118が形成されている。低圧側吐出口118は、ケース110におけるケース外側凹部115の側壁に形成された円柱状の孔であって回転軸方向に直交する方向を柱方向とする孔を含んで構成される。低圧側吐出口118は、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルが流通するケース低圧側吐出流路R3を構成する。

なお、吸入口116、高圧側吐出口117および低圧側吐出口118は、同じ向きに形成されている。つまり、図1に示すように、回転軸10の回転軸方向に直交する一方向から見た場合に、吸入口116、高圧側吐出口117および低圧側吐出口118の開口部が同一紙面上に表れるように形成されている。言い換えれば、吸入口116、高圧側吐出口117および低圧側吐出口118が、ケース110の同じ側面110aに形成されている。また、吸入口116、高圧側吐出口117および低圧側吐出口118を構成する円柱状の孔の方向(柱方向)は同じである。

(カバー120の構成) 図11は、カバー120を回転軸方向の他方方向に見た図である。 カバー120は、中央部に回転軸10を回転可能に支持するカバー側軸受け121を有している。 カバー120には、アウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65およびアウタサイド低圧側貫通孔66に対向する位置に、ケース110側の端面から回転軸方向に凹んだカバー低圧側吐出凹部122が形成されている。カバー低圧側吐出凹部122は、低圧側吐出貫通孔65に対向する位置に形成された第1カバー低圧側吐出凹部122aと、アウタサイド低圧側貫通孔66に対向する位置に形成された第2カバー低圧側吐出凹部122bと、第1カバー低圧側吐出凹部122aと第2カバー低圧側吐出凹部122bとを接続する第3カバー低圧側吐出凹部122cとを有する。

また、カバー120には、カバー低圧側吐出凹部122よりも回転半径方向の外側においてケース110側の端面から回転軸方向に凹んだカバー外側凹部123と、カバー低圧側吐出凹部122の第1カバー低圧側吐出凹部122aとカバー外側凹部123とをケース110側の端面よりも回転軸方向の他方方向において接続するカバー凹部接続部124とが形成されている。カバー外側凹部123は、ケース110に形成された上述した収容空間と対向しない位置で開口するように形成されており、ケース外側凹部115と対向する。カバー低圧側吐出凹部122、カバー凹部接続部124およびカバー外側凹部123は、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルが流通するカバー低圧側吐出流路R4(図5参照)を構成する。低圧側吐出ポート5から吐出されたオイルは、カバー凹部接続部124を介してケース低圧側吐出流路R3に流入するとともに、第2カバー低圧側吐出凹部122bおよび第3カバー低圧側吐出凹部122cを介してアウタサイド低圧側貫通孔66に流入する。 なお、第2カバー低圧側吐出凹部122bおよび第3カバー低圧側吐出凹部122cは、第1カバー低圧側吐出凹部122aよりも浅くかつ幅も狭く形成されており、アウタサイド低圧側貫通孔66に流入するオイル量はケース低圧側吐出流路R3に流入するオイル量よりも少ない。

また、カバー120には、アウタサイドプレート60の高圧側吸入切欠部611および低圧側吸入切欠部612に対向する部位、および、ケース110のインナサイドプレート嵌合部112よりも開口部側の空間S1であってカムリング40のカムリング外周面41よりも回転半径方向の外側の空間に対向する部位に、ケース110側の端面から回転軸方向に凹んだカバー吸入凹部125が形成されている。 カバー吸入凹部125は、吸入口116から吸入され、高圧側吸入ポート2および低圧側吸入ポート3からポンプ室内に吸入されるオイルが流通する吸入流路R1を構成する。

また、カバー120には、アウタサイドプレート60の第1貫通孔67、第2貫通孔68それぞれに対向する位置に、ケース110側の端面から回転軸方向に凹んだ第1カバー凹部127、第2カバー凹部128が形成されている。

<ベーンポンプ1の組み立て方法> 本実施の形態に係るベーンポンプ1は、以下のように組み立てられている。 ケース110のインナサイドプレート嵌合部112に、インナサイドプレート50が嵌め込まれている。インナサイドプレート50のインナサイドカムリング側端面53とカムリング40のインナサイド端面43とが接触し、カムリング40のアウタサイド端面44とアウタサイドプレート60のアウタサイドカムリング側端面63とが接触するように、ケース110とカバー120が複数(本実施の形態においては5つ)のボルトにて連結されている。 また、カムリング40に形成された第1貫通孔47、アウタサイドプレート60に形成された第1貫通孔67を通した円筒状又は円柱状の位置決めピンの一方の端部がインナサイドプレート50の第1凹部536にて、他方の端部がカバー120の第1カバー凹部127にて保持されている。また、カムリング40に形成された第2貫通孔48、アウタサイドプレート60に形成された第2貫通孔68を通した円筒状又は円柱状の位置決めピンの一方の端部がインナサイドプレート50の第2凹部537にて、他方の端部がカバー120の第2カバー凹部128にて保持されている。これらにより、インナサイドプレート50、カムリング40、アウタサイドプレート60およびカバー120相互間の位置が定められている。 ロータ20およびベーン30は、カムリング40の内部に収容されている。回転軸10は、一方の端部がケース110のケース側軸受け111に回転可能に支持され、他方の端部がハウジング100から露出させられた状態で一方の端部と他方の端部との間の部位がカバー120のカバー側軸受け121に回転可能に支持されている。

<ベーンポンプ1の作用> 本実施の形態に係るベーンポンプ1は、10枚のベーン30を有し、10枚のベーン30がカムリング40のカムリング内周面42に接触することで、隣接する2枚のベーン30、これら隣接する2枚のベーン30間のロータ20の外周面、これら隣接する2枚のベーン30間のカムリング内周面42、インナサイドプレート50のインナサイドカムリング側端面53およびアウタサイドプレート60のアウタサイドカムリング側端面63とで形成されるポンプ室を10個備えている。1個のポンプ室に着目すると、回転軸10が1回転してロータ20が1回転することにより当該ポンプ室は回転軸10の周囲を1回転する。当該ポンプ室が1回転する過程で、高圧側吸入ポート2から吸入したオイルを圧縮して圧力を高めて高圧側吐出ポート4から吐出するとともに、低圧側吸入ポート3から吸入したオイルを圧縮して圧力を高めて低圧側吐出ポート5から吐出する。

なお、本実施の形態に係るベーンポンプ1は、図7に示すように、カムリング40のカムリング内周面42の形状が、回転角毎の回転中心Cからカムリング内周面42までの距離の1つ目の凸部42aの大きさが2つ目の凸部42bの大きさよりも大きくなるように形成されているので、高圧側吐出ポート4から吐出されるオイル量よりも多くの量の低圧のオイルを低圧側吐出ポート5から吐出する。また、2つ目の凸部42bの裾野が、1つ目の凸部42aの裾野よりもなだらかとなるように形成されているので、高圧側吐出ポート4からの吐出圧力は、低圧側吐出ポート5からの吐出圧力よりも高い。

図12は、高圧オイルの流れを示す図である。 高圧側吐出ポート4から吐出されたオイル(以下、「高圧オイル」と称す。)は、インナサイドプレート50の高圧側吐出貫通孔55を通りインナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2に流入し、高圧側吐出口117から吐出される。 また、インナサイドプレート50の高圧側吐出貫通孔55を通ってインナサイドプレート嵌合部112よりも底部側の空間S2に流入した高圧オイルの一部は、インナサイド高圧側貫通孔56を通り、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入する。また、ベーン溝23の円柱状溝232に流入した高圧オイルの一部は、アウタサイドプレート60の高圧側上流凹部632aに流入する。アウタサイドプレート60の高圧側上流凹部632aに流入した高圧オイルの一部は、高圧側接続凹部632c(図9(a)参照)を介して高圧側下流凹部632bに流入する。アウタサイドプレート60の高圧側下流凹部632bに流入した高圧オイルの一部は、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入し、インナサイドプレート50のインナサイド高圧側凹部535に流入する。高圧側上流凹部632a、高圧側接続凹部632cおよび高圧側下流凹部632bは、高圧側吸入ポート2から高圧側吐出ポート4にかけて設けられているので、高圧側のポンプ室に対応するベーン溝23の円柱状溝232には高圧オイルが流入する。その結果、圧力が高くなった高圧側のポンプ室のオイルによりベーン30が回転中心方向の力を受けたとしても、ベーン溝23の円柱状溝232には高圧オイルが流入しているのでベーン30の先端はカムリング内周面42に接触し易くなる。

図13は、低圧オイルの流れを示す図である。 一方、低圧側吐出ポート5から吐出されたオイル(以下、「低圧オイル」と称す。)は、アウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65を通りカバー低圧側吐出凹部122に流入し、低圧側吐出口118から吐出される。 また、アウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65を通ってカバー低圧側吐出凹部122の第3カバー低圧側吐出凹部122cに流入した低圧オイルの一部は、第2カバー低圧側吐出凹部122bを介してアウタサイド低圧側貫通孔66を通り、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入する。また、ベーン溝23の円柱状溝232に流入した低圧オイルの一部は、インナサイドプレート50の低圧側上流凹部534aに流入する。インナサイドプレート50の低圧側上流凹部534aに流入した低圧オイルの一部は、低圧側接続凹部534c(図8(a)参照)を介して低圧側下流凹部534bに流入する。インナサイドプレート50の低圧側下流凹部534bに流入した低圧オイルの一部は、対向するロータ20のベーン溝23の円柱状溝232に流入し、アウタサイドプレート60のアウタサイド低圧側凹部633に流入する。低圧側上流凹部534a、低圧側接続凹部534cおよび低圧側下流凹部534bは、低圧側吸入ポート3から低圧側吐出ポート5にかけて設けられているので、低圧側のポンプ室に対応するベーン溝23の円柱状溝232には低圧オイルが流入する。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30に対応するベーン溝23の円柱状溝232には低圧オイルが流入しているので、高圧オイルが流入している場合に比べて、ベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧は低い。

<インナサイドプレート50に形成された、ロータ20のベーン溝23と対向するオイル流路について> 以下に、インナサイドプレート50に形成された、高圧オイルの流路となるインナサイド高圧側凹部535と低圧オイルの流路となるインナサイド低圧側凹部534との関係、および高圧オイルの流路となるインナサイド高圧側貫通孔56と低圧オイルの流路となるインナサイド低圧側凹部534との関係について詳述する。

図14(a)および図14(b)は、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との関係およびインナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との関係を説明するための図である。 なお、図14(a)は、インナサイドプレート50を回転軸方向の一方方向に見た図である。図14(b)は、カムリング40およびインナサイドプレート50を回転軸方向の一方方向に見た図である。

(インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との関係性について) インナサイド高圧側凹部535が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、インナサイド低圧側凹部534は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(1)および(2)の構成とすることで実現している。(1)インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが、回転方向(周方向)において、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離している。(2)インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間の分離部位の回転方向(周方向)の大きさは、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間に位置するベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通しない大きさに設定されている。

ここで、本実施の形態において、「インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが分離する」とは、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが完全に分離していることを意味するものではない。 本実施の形態において、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間には、インナサイド第1溝591が設けられる。そして、後述するとおり、インナサイド第1溝591は、例えばインナサイド高圧側凹部535に導入されたオイルの圧力が、インナサイド第1溝591を介して、インナサイド低圧側凹部534に逃げない程度に両者を接続している。このように、本実施の形態では、インナサイド第1溝591が接続した状態であっても、例えばインナサイド高圧側凹部535およびインナサイド低圧側凹部534のオイル圧が、互いに干渉せず、独立して維持される状態であれば、両者は「分離している」と定義する。 なお、上記の内容は、インナサイド第2溝592、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692についても同様である。

(1)の構成は、すなわち、図14(a)に示すように、インナサイド高圧側凹部535の回転方向下流側の端部(以下、「下流端」と称す。)であるインナサイド高圧側凹部下流端535fとインナサイド低圧側凹部534の回転方向上流側の端部(以下、「上流端」と称す。)であるインナサイド低圧側凹部上流端534eとの間には、両者を分離するインナサイド低圧側吸入上流分離部538があるということである。 そして、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間のインナサイド低圧側吸入上流分離部538は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するインナサイドプレート50の高圧側吐出貫通孔55における下流端である高圧側吐出貫通孔下流端55fと、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部532(ポンプ室と対向する部分)における上流端である低圧側吸入凹部上流端532eとの間に位置する。また、図14(b)に示すように、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間のインナサイド低圧側吸入上流分離部538は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するカムリング40の高圧側吐出凹部433(443)の下流端である高圧側吐出凹部下流端433f(443f)と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部432(442)の上流端である低圧側吸入凹部上流端432e(442e)との間に位置する。

図15は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさについて説明する図である。 上記(2)の構成は、例えば、図15に示すように、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wは、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。 例えば、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wがベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも小さく、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とがベーン溝23の円柱状溝232を跨ぐ大きさである場合には、ベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通する。ベーン溝23を介してインナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通すると、インナサイド高圧側凹部535にある高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルが流入してしまう。低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルが流入すると、ベーン30の先端が位置する低圧側のポンプ室のオイルの圧力に対してベーン30の後端(回転中心側の端部)が位置するベーン溝23のオイルの圧力の方が高くなる。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に低圧オイルが流入している場合よりも高くなってロストルクが発生したり、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室にオイルが漏れたりしてしまう。

本実施の形態に係る構成によれば、ベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通しないので、ロストルクの発生やオイルリークが抑制される。

また、インナサイド高圧側凹部535にある高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入することに起因して、ベーン30の先端が位置する高圧側のポンプ室のオイルの圧力に対してベーン30の後端(回転中心側の端部)が位置するベーン溝23の円柱状溝232のオイルの圧力の方が低くなるおそれがある。そして、ベーン30の先端が位置するポンプ室のオイルの圧力に対してベーン30の後端が位置するベーン溝23の円柱状溝232のオイルの圧力の方が低くなると、ポンプ室から円柱状溝232にオイルが漏れるおそれがある。

本実施の形態に係る構成によれば、ベーン溝23を介して、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが連通しないので、高圧側のポンプ室から円柱状溝232へのオイルリークが抑制される。

(インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との関係性について) インナサイド高圧側貫通孔56が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、インナサイド低圧側凹部534は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(3)および(4)の構成とすることで実現している。(3)インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534とが、回転方向において、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離している。(4)インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との間の分離部位の回転方向の大きさは、インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534との間に位置するベーン溝23を介して、インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534とが連通しない大きさに設定されている。

(3)の構成は、すなわち、図14(a)に示すように、インナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534fとインナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56eとの間には、両者を分離するインナサイド高圧側吸入上流分離部539があるということである。 そして、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56との間のインナサイド高圧側吸入上流分離部539は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するインナサイドプレート50の低圧側吐出凹部533における下流端である低圧側吐出凹部下流端533fと、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部531(ポンプ室と対向する部分)における上流端である高圧側吸入凹部上流端531eとの間に位置する。また、図14(b)に示すように、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56との間のインナサイド高圧側吸入上流分離部539は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するカムリング40の低圧側吐出凹部434(444)の下流端である低圧側吐出凹部下流端434f(444f)と、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部431(441)の上流端である高圧側吸入凹部上流端431e(441e)との間に位置する。

(4)の構成は、例えば、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の大きさが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の大きさは、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。かかる構成とすることにより、ベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56とが連通することに起因して、高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232への高圧オイルの流入が抑制される。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に高圧オイルが流入している場合よりも低くなり、ロストルクの発生が抑制される。また、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室へのオイルリークが抑制される。また、インナサイド高圧側貫通孔56にある高圧オイルがベーン溝23を介してインナサイド低圧側凹部534に流入することに起因して高圧側のポンプ室からベーン溝23を介して円柱状溝232へオイルリークが生じることが抑制される。

<アウタサイドプレート60に形成された、ロータ20のベーン溝23と対向するオイル流路について> 以下に、アウタサイドプレート60に形成された、高圧オイルの流路となるアウタサイド高圧側凹部632と低圧オイルの流路となるアウタサイド低圧側貫通孔66との関係、および高圧オイルの流路となるアウタサイド高圧側凹部632と低圧オイルの流路となるアウタサイド低圧側凹部633との関係について詳述する。

図16(a)および図16(b)は、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との関係およびアウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との関係を説明するための図である。 なお、図16(a)は、アウタサイドプレート60を回転軸方向の他方方向に見た図である。図16(b)は、カムリング40およびアウタサイドプレート60を回転軸方向の他方方向に見た図である。

(アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との関係性について) アウタサイド高圧側凹部632が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、アウタサイド低圧側貫通孔66は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(5)および(6)の構成とすることで実現している。(5)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが、回転方向において、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離している。(6)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間の分離部位の回転方向の大きさは、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間に位置するベーン溝23を介して、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが連通しない大きさに設定されている。

(5)の構成は、すなわち、図16(a)に示すように、アウタサイド高圧側凹部632の下流端であるアウタサイド高圧側凹部下流端632fとアウタサイド低圧側貫通孔66の上流端であるアウタサイド低圧側貫通孔上流端66eとの間には、両者を分離するアウタサイド低圧側吸入上流分離部638がある。 そして、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間のアウタサイド低圧側吸入上流分離部638は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するアウタサイドプレート60の高圧側吐出凹部631における下流端である高圧側吐出凹部下流端631fと、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入切欠部612(ポンプ室と対向する部分)における上流端である低圧側吸入切欠部上流端612eとの間に位置する。また、図16(b)に示すように、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間のアウタサイド低圧側吸入上流分離部638は、回転方向の位置に関して、高圧側吐出ポート4を構成するカムリング40の高圧側吐出凹部443(433)の下流端である高圧側吐出凹部下流端443f(433f)と、低圧側吸入ポート3を構成する低圧側吸入凹部442(432)の上流端である低圧側吸入凹部上流端442e(432e)との間に位置する。

(6)の構成は、例えば、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638の回転方向の大きさが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638の回転方向の大きさは、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。かかる構成とすることにより、ベーン溝23を介してアウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが連通することに起因して、高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側貫通孔66に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232への高圧オイルの流入が抑制される。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に高圧オイルが流入している場合よりも低くなり、ロストルクの発生が抑制される。また、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室へのオイルリークが抑制される。また、アウタサイド高圧側凹部632にある高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側貫通孔66に流入することに起因して高圧側のポンプ室からベーン溝23を介して円柱状溝232へオイルリークが生じることが抑制される。

(アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633との関係性について) アウタサイド高圧側凹部632が、高圧オイルを吐出する高圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に高圧オイルを供給する。他方、アウタサイド低圧側凹部633は、低圧オイルを吐出する低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232に低圧オイルを供給する。本実施の形態に係るベーンポンプ1においては、これらのことを、以下に述べる(7)および(8)の構成とすることで実現している。(7)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633とが、回転方向において、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離している。(8)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633との間の分離部位の回転方向の大きさは、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633との間に位置するベーン溝23を介して、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633とが連通しない大きさに設定されている。

(7)の構成は、すなわち、図16(a)に示すように、アウタサイド低圧側凹部633の下流端であるアウタサイド低圧側凹部下流端633fとアウタサイド高圧側凹部632の上流端であるアウタサイド高圧側凹部上流端632eとの間には、両者を分離するアウタサイド高圧側吸入上流分離部639がある。 そして、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間のアウタサイド高圧側吸入上流分離部639は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するアウタサイドプレート60の低圧側吐出貫通孔65における下流端である低圧側吐出貫通孔下流端65fと、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入切欠部611(ポンプ室と対向する部分)における上流端である高圧側吸入切欠部上流端611eとの間に位置する。また、図16(b)に示すように、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間のアウタサイド高圧側吸入上流分離部639は、回転方向の位置に関して、低圧側吐出ポート5を構成するカムリング40の低圧側吐出凹部444(434)の下流端である低圧側吐出凹部下流端444f(434f)と、高圧側吸入ポート2を構成する高圧側吸入凹部441(431)の上流端である高圧側吸入凹部上流端441e(431e)との間に位置する。

(8)の構成は、例えば、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の大きさが、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wよりも大きいことを例示することができる。言い換えれば、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の大きさは、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632とがベーン溝23の円柱状溝232を跨がない大きさであることを例示することができる。かかる構成とすることにより、ベーン溝23を介してアウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632とが連通することに起因して、高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側凹部633に流入し、低圧側のポンプ室を形成するベーン30を支持するベーン溝23の円柱状溝232への高圧オイルの流入が抑制される。その結果、低圧側のポンプ室のベーン30の先端のカムリング内周面42への接触圧が、円柱状溝232に高圧オイルが流入している場合よりも低くなり、ロストルクの発生が抑制される。また、円柱状溝232からベーン30の先端側の低圧側のポンプ室へのオイルリークが抑制される。また、アウタサイド高圧側凹部632にある高圧オイルがベーン溝23を介してアウタサイド低圧側凹部633に流入することに起因して高圧側のポンプ室からベーン溝23を介して円柱状溝232へオイルリークが生じることが抑制される。

<インナサイド低圧側吸入上流分離部538、インナサイド高圧側吸入上流分離部539、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638およびアウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の大きさの上限値> 図17(a)および図17(b)は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさの上限値について説明するための図である。

図17(a)に示すように、回転方向の位置に関して、ベーン30の下流端であるベーン下流端30fが高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4f(高圧側吐出凹部433(高圧側吐出凹部443)におけるカムリング内周面42側の開口部の最下流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド高圧側凹部535と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド高圧側凹部535の下流端であるインナサイド高圧側凹部下流端535fが、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fよりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、下流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、高圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部がベーン溝23の円柱状溝232に導入された高圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド高圧側凹部535の下流端であるインナサイド高圧側凹部下流端535fは、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fと略等しくてもよい。

また、図17(b)に示すように、回転方向の位置に関して、ベーン30の上流端であるベーン上流端30eが低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3e(低圧側吸入凹部432(低圧側吸入凹部442)におけるカムリング内周面42側の開口部の最上流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド低圧側凹部534と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド低圧側凹部534の上流端であるインナサイド低圧側凹部上流端534eが、低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eよりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、上流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、低圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部が低圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド低圧側凹部534の上流端であるインナサイド低圧側凹部上流端534eは、低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eと略等しくてもよい。

図18は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538と、高圧側吐出ポート4と、低圧側吸入ポート3との関係を示す図である。 以上のことから、回転軸方向に見た場合に、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の分離部角度538Aは、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間のポート間角度34A以下であることが望ましい。言い換えれば、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の回転方向の大きさ538Wは、高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間の回転方向のポート間角度34A範囲内に収まる大きさであることが望ましい。より具体的には、インナサイド低圧側吸入上流分離部538の分離部角度538Aは、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fと低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eとの間のポート間角度34A以下であることが望ましい。なお、高圧側吐出ポート下流端4fと低圧側吸入ポート上流端3eとの間の回転方向のポート間角度34Aとは、回転軸方向に見た場合に、高圧側吐出ポート下流端4fと回転中心Cとを結ぶ線と、低圧側吸入ポート上流端3eと回転中心Cとを結ぶ線とがなす鋭角の角度である。 また、同様の理由により、回転軸方向に見た場合に、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638の回転方向の角度は、高圧側吐出ポート4の下流端である高圧側吐出ポート下流端4fと低圧側吸入ポート3の上流端である低圧側吸入ポート上流端3eとの間の角度以下であることが望ましい。

ベーン30の下流端であるベーン下流端30fが低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端(不図示)(低圧側吐出凹部434(低圧側吐出凹部444)におけるカムリング内周面42側の開口部の最下流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド低圧側凹部534と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534f(図14参照)が、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端よりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、下流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、低圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部がベーン溝23の円柱状溝232に導入された低圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。 なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド低圧側凹部534の下流端であるインナサイド低圧側凹部下流端534fは、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端と略等しくてもよい。

また、ベーン30の上流端であるベーン上流端30eが高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端(不図示)(高圧側吸入凹部431(高圧側吸入凹部441)におけるカムリング内周面42側の開口部の最上流点)に位置しているとき、当該ベーン30を支持しているベーン溝23の円柱状溝232全てがインナサイド高圧側貫通孔56と連通していることが望ましい。つまり、インナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56e(図14参照)が、高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端よりも、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wからベーン30の回転方向の大きさ30Wを減算した値の半分((232W−30W)/2)以上、上流側に位置していることが必要となる。かかる構成により、高圧側のポンプ室に位置するベーン30における回転半径方向の外側の端部が高圧オイルにより押されるので、当該ベーン30の先端がカムリング内周面42に接触し易くなる。なお、ベーン溝23の円柱状溝232の回転方向の大きさ232Wがベーン30の回転方向の大きさ30Wと略等しい場合には、インナサイド高圧側貫通孔56の上流端であるインナサイド高圧側貫通孔上流端56eは、高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端と略等しくてもよい。

以上のことから、回転軸方向に見た場合に、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の角度は、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間の角度以下であることが望ましい。言い換えれば、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の大きさは、低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間の角度範囲内に収まる大きさであることが望ましい。より具体的には、インナサイド高圧側吸入上流分離部539の回転方向の角度は、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端と高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端との間の角度以下であることが望ましい。なお、低圧側吐出ポート下流端と高圧側吸入ポート上流端との間の角度とは、回転軸方向に見た場合に、低圧側吐出ポート下流端と回転中心Cとを結ぶ線と、高圧側吸入ポート上流端と回転中心Cとを結ぶ線とがなす鋭角の角度である。 また、同様の理由により、回転軸方向に見た場合に、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639の回転方向の角度は、低圧側吐出ポート5の下流端である低圧側吐出ポート下流端と高圧側吸入ポート2の上流端である高圧側吸入ポート上流端との間の角度以下であることが望ましい。

なお、本実施の形態においては、上述した(1)インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534とが高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離していること、(3)インナサイド高圧側貫通孔56とインナサイド低圧側凹部534とが低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離していること、(5)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66とが高圧側吐出ポート4と低圧側吸入ポート3との間で分離していること、(7)アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側凹部633とが低圧側吐出ポート5と高圧側吸入ポート2との間で分離していることを、吸入ポートおよび吐出ポートを高圧側および低圧側で異ならせることなくカムリング40のカムリング内周面42の形状を異ならせることで異なる2つの圧力に高めるタイプのポンプに適用しているが、特にかかるタイプのポンプに限定されない。例えば、カムリング40のカムリング内周面42の形状を異ならせることなく、吐出ポート形状などポンプ室から吐出されたオイルの流路抵抗を異ならせることで異なる2つの圧力に高めるタイプのポンプに適用してもよい。

<インナサイド背圧部50BPおよびアウタサイド背圧部60BPの幅> 図19は、インナサイド背圧部50BPおよびアウタサイド背圧部60BPの回転半径方向における長さの説明図である。 より詳細に説明すると、図19(a)はインナサイド低圧側凹部534の回転半径方向における長さを示し、図19(b)はアウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633の回転半径方向における長さを示し、図19(c)はインナサイド高圧側凹部535およびインナサイド高圧側貫通孔56の回転半径方向における長さを示し、図19(d)はアウタサイド高圧側凹部632の回転半径方向における長さを示す。 また、図19(a)〜図19(d)は、図4などに示すようにインナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60を回転軸方向に並べた状態において、インナサイド低圧側凹部534などを回転軸方向の一方方向に見た図である。

次に、図19(a)〜図19(d)を参照しながら、インナサイド低圧側凹部534などの回転半径方向における長さ(以下、「幅」とする場合がある)について説明をする。 ここではまず、図19(a)および図19(b)を参照しながら低圧オイルをベーン溝23の円柱状溝232(図6(a)参照)に供給するための領域(インナサイド低圧側凹部534、アウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633)について説明した後に、図19(c)および図19(d)を参照しながら高圧オイルをベーン溝23の円柱状溝232に供給するための領域(インナサイド高圧側凹部535、インナサイド高圧側貫通孔56およびアウタサイド高圧側凹部632)について説明する。

なお、上述のようにインナサイド低圧側凹部534、インナサイド高圧側凹部535、およびインナサイド高圧側貫通孔56は、インナサイドプレート50に設けられる。また、アウタサイド低圧側貫通孔66、アウタサイド低圧側凹部633、およびアウタサイド高圧側凹部632はアウタサイドプレート60に設けられる。

また、上述のようにインナサイド低圧側凹部534は、低圧側上流凹部534aと、低圧側下流凹部534bと、低圧側接続凹部534cとを有している。ここで、低圧側接続凹部534cは、低圧側上流凹部534aおよび低圧側下流凹部534bよりも流路面積(回転方向と交差する面における断面積)が小さく、所謂オリフィスとしての機能を有する。言い替えると、低圧側接続凹部534cの形状により、低圧側上流凹部534aおよび低圧側下流凹部534b内のオイルの圧力が定まる。

また、低圧側上流凹部534aとアウタサイド低圧側貫通孔66とは、回転方向の大きさが一致する。また、低圧側上流凹部534aとアウタサイド低圧側貫通孔66とは、ロータ20(図2参照)を挟んで互いに対向して配置される。また、低圧側下流凹部534bとアウタサイド低圧側凹部633とは、回転方向の大きさが一致する。また、低圧側下流凹部534bとアウタサイド低圧側凹部633とは、ロータ20を挟んで互いに対向して配置される。

さて、図19(a)に示すように、低圧側上流凹部534aは幅W11であり、低圧側下流凹部534bは幅W12であり、低圧側接続凹部534cは幅W13である。 また、図19(b)に示すように、アウタサイド低圧側貫通孔66は幅W14であり、アウタサイド低圧側凹部633は幅W15である。

ここで、各々の幅を比較する。 まず、図19(a)に示すように、低圧側下流凹部534bの幅W12は、低圧側上流凹部534aの幅W11よりも小さい(幅が狭い)。また、低圧側接続凹部534cの幅W13は、低圧側下流凹部534bの幅W12と一致する。 また、図19(b)に示すように、アウタサイド低圧側貫通孔66の幅W14は、アウタサイド低圧側凹部633の幅W15と一致する。 また、図示の例においては、低圧側上流凹部534aの幅W11は、アウタサイド低圧側貫通孔66の幅W14と一致する。また、低圧側下流凹部534bの幅W12は、アウタサイド低圧側凹部633の幅W15よりも小さい。

さて、図示の例においては、インナサイドプレート50に設けられるインナサイド低圧側凹部534の面積(開口面積)と、アウタサイドプレート60に設けられるアウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633の面積の和とが、互いに一致する。付言すると、インナサイド低圧側凹部534における低圧側下流凹部534bの幅W12を狭くし、低圧側下流凹部534bの面積を抑制することにより、低圧側接続凹部534cのための面積を確保している。この構成により、インナサイド低圧側凹部534内の低圧オイルと、アウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633内の低圧オイルとが、ベーン30の回転軸方向の端部に与えるそれぞれの力の大きさの差が抑制される。その結果、ベーン30が回転軸方向において偏りながら回転することが抑制される。ここで、インナサイド低圧側凹部534の面積と、アウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633の面積の和とが一致するとは、面積に差がある構成を排除するものではなく、ベーン30が傾かない程度であれば、互いに面積が異なってもよい。

また、図示の例のインナサイド低圧側凹部534においては、回転方向の位置に応じて、幅が変化する。より詳細には、インナサイド低圧側凹部534においては、回転方向の下流側の方が幅が小さい。さらに説明をすると、低圧側上流凹部534a、低圧側下流凹部534bおよび低圧側接続凹部534cにおける回転半径方向内側の位置は揃う一方で、回転半径方向外側の位置は互いに異なる。このことにより、円柱状溝(中心側空間)232(図6(a)参照)への低圧オイルの供給が安定する。

次に、図19(c)および図19(d)を参照しながら高圧オイルをベーン溝23の円柱状溝232に供給するための領域(インナサイド高圧側凹部535、インナサイド高圧側貫通孔56およびアウタサイド高圧側凹部632)について説明する。 なお、上述のようにアウタサイド高圧側凹部632は、高圧側上流凹部632aと、高圧側下流凹部632bと、高圧側接続凹部632cとを有している。ここで、高圧側接続凹部632cは、高圧側上流凹部632aおよび高圧側下流凹部632bよりも流路面積が小さく、所謂オリフィスとしての機能を有する。言い替えると、高圧側接続凹部632cの形状により、高圧側上流凹部632aおよび高圧側下流凹部632b内のオイルの圧力が定まる。

また、高圧側上流凹部632aとインナサイド高圧側貫通孔56とは、回転方向の大きさが一致する。また、高圧側上流凹部632aとインナサイド高圧側貫通孔56とは、ロータ20(図2参照)を挟んで互いに対向して配置される。また、高圧側下流凹部632bとインナサイド高圧側凹部535とは、回転方向の大きさが一致する。また、高圧側下流凹部632bとインナサイド高圧側凹部535とは、ロータ20を挟んで互いに対向して配置される。

さて、図19(c)に示すように、インナサイド高圧側貫通孔56は幅W16であり、インナサイド高圧側凹部535は幅W17である。 また、図19(d)に示すように、高圧側上流凹部632aは幅W18であり、高圧側下流凹部632bは幅W19であり、高圧側接続凹部632cは幅W20である。

ここで、各々の幅を比較する。 まず、図19(c)に示すように、インナサイド高圧側凹部535の幅W17は、インナサイド高圧側貫通孔56の幅W16と一致する。 また、図19(d)に示すように、高圧側下流凹部632bの幅W19は、高圧側上流凹部632aの幅W18よりも小さい(幅が狭い)。また、高圧側接続凹部632cの幅W20は、高圧側下流凹部632bの幅W19と一致する。 また、図示の例においては、高圧側上流凹部632aの幅W18は、インナサイド高圧側貫通孔56の幅W16と一致する。さらに、高圧側下流凹部632bの幅W19は、インナサイド高圧側凹部535の幅W17よりも小さい。

図示の例においては、インナサイドプレート50に設けられるインナサイド高圧側凹部535およびインナサイド高圧側貫通孔56の面積の和と、アウタサイドプレート60に設けられるアウタサイド高圧側凹部632の面積とが、互いに一致する。付言すると、アウタサイド高圧側凹部632における高圧側下流凹部632bの幅W19を狭くし、高圧側下流凹部632bの面積を抑制することにより、高圧側接続凹部632cのための面積を確保している。この構成により、インナサイド高圧側凹部535およびインナサイド高圧側貫通孔56内の高圧オイルと、アウタサイド高圧側凹部632内の高圧オイルとが、ベーン30の回転軸方向の端部に与えるそれぞれの力の大きさの差が抑制される。その結果、ベーン30が回転軸方向おいて偏りながら回転すること(ベーンの倒れ)が抑制される。ここで、インナサイド高圧側凹部535およびインナサイド高圧側貫通孔56の面積の和と、アウタサイド高圧側凹部632の面積とが一致するとは、面積に差がある構成を排除するものではなく、ベーン30が傾かない程度であれば、互いに面積が異なってもよい。

また、図示の例のアウタサイド高圧側凹部632においては、回転方向の位置に応じて、幅が変化する。より詳細には、アウタサイド高圧側凹部632においては、回転方向の下流側の方が幅が小さい。さらに説明をすると、高圧側上流凹部632a、高圧側下流凹部632bおよび高圧側接続凹部632cにおける回転半径方向内側は揃う一方で、回転半径方向外側の位置が互いに異なる。このことにより、円柱状溝232(図6(a)参照)への高圧オイルの供給が安定する。

(インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592の構成) 続いて、インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592について詳細に説明する。 図20は、インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592の説明図である。 なお、図20(a)は、インナサイド背圧部50BP、インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592の全体図である。また、図20(b)は、図20(a)に示すXXb−XXbの断面図である。

インナサイド第1溝591は、図20(a)に示すように、円弧状に形成される溝である。そして、インナサイド第1溝591は、回転方向における一方側がインナサイド高圧側凹部535に接続し、他方側がインナサイド低圧側凹部534に接続する。より具体的には、インナサイド第1溝591は、インナサイド高圧側凹部下流端535fの回転半径方向における中央部に接続する。また、インナサイド第1溝591は、インナサイド低圧側凹部上流端534eの回転半径方向における中央部に接続する。なお、本実施の形態では、インナサイド第1溝591は、インナサイド低圧側吸入上流分離部538と重なる位置に形成される(図14(a)参照)。

インナサイド第2溝592は、図20(a)に示すように、円弧状に形成される溝である。なお、本実施の形態において、インナサイド第1溝591とインナサイド第2溝592とは、形状が同じである。そして、インナサイド第2溝592は、回転方向における一方側がインナサイド低圧側凹部534に接続し、他方側がインナサイド高圧側貫通孔56に接続する。より具体的には、インナサイド第2溝592は、インナサイド低圧側凹部下流端534fの回転半径方向の中央部に接続する。また、インナサイド第2溝592は、インナサイド高圧側貫通孔上流端56eの回転半径方向の中央部に接続する。なお、本実施の形態では、インナサイド第2溝592は、インナサイド高圧側吸入上流分離部539と重なる位置に形成される(図14(a)参照)。

次に、インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592のインナサイドカムリング側端面53における回転半径方向の幅について説明する。 まず、本実施の形態において、インナサイド第1溝591のW51とインナサイド第2溝592のW52とは一致している。 そして、インナサイド第1溝591の幅W51およびインナサイド第2溝592の幅W52は、インナサイド低圧側凹部534の幅(幅W11,幅W12,幅W13、図19(a)参照)よりも十分に小さい(例えば、(例えば、インナサイド背圧部50BPにおいて最も幅が広いW11の1/10以下)。また、インナサイド第1溝591の幅W51およびインナサイド第2溝592の幅W52は、インナサイド高圧側凹部535の幅W17(図19(c)参照)よりも十分に小さい。そして、インナサイド第1溝591の幅W51およびインナサイド第2溝592の幅W52は、インナサイド高圧側貫通孔56の幅W16(図19(c)参照)よりも十分に小さい。

続いて、図20(b)を参照しながら、インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592のインナサイドカムリング側端面53における深さについて説明する。 まず、前提となるインナサイドプレート50に形成される凹部や孔の深さについて説明する。 低圧側上流凹部534aの深さD53と低圧側下流凹部534bの深さD55とは同じである(D53=D55)。また、低圧側接続凹部534cの深さD54は、低圧側上流凹部534aのD53および低圧側下流凹部534bの深さD55と比較して浅い(D54

また、インナサイド高圧側凹部535の深さD51は、低圧側上流凹部534aの深さD53および低圧側下流凹部534bの深さD55と同じである(D51=D53=D55)。そして、インナサイド高圧側貫通孔56の深さD57は、インナサイドプレート50の厚みに相当し最も深い。

そして、インナサイド第1溝591の深さD52は、低圧側上流凹部534aの深さD53およびインナサイド高圧側凹部535の深さD51よりも浅い(D52

また、インナサイド第2溝592の深さD56は、低圧側下流凹部534bの深さD55およびインナサイド高圧側貫通孔56の深さD57よりも浅い(D56

そして、本実施の形態では、インナサイド第1溝591の深さD52およびインナサイド第2溝592の深さD56は同じである(D52=D56)。さらに、インナサイド第1溝591の深さD52およびインナサイド第2溝592の深さD56は、低圧側接続凹部534cの深さD54よりも浅くなっている(D52

以上のように構成されるインナサイド第1溝591は、溝内にオイルが無い状態では、隣り合うインナサイド高圧側凹部535やインナサイド低圧側凹部534からオイルが導入される。しかしながら、インナサイド第1溝591は、インナサイド高圧側凹部535とインナサイド低圧側凹部534との間でオイルの流れが生じるほどの流路断面積を有していない。そして、インナサイド第1溝591は、インナサイド高圧側凹部535のオイル圧およびインナサイド低圧側凹部534のオイル圧がそれぞれ独立する程度に、インナサイド高圧側凹部535およびインナサイド低圧側凹部534に接続する。また、本実施の形態において、インナサイド第1溝591は、円柱状溝232に対し、ベーン30の進退に寄与する程度のオイル供給をしないようになっている。

同様に、以上のように構成されるインナサイド第2溝592は、溝内にオイルが無い状態では、隣り合うインナサイド低圧側凹部534やインナサイド高圧側貫通孔56からオイルが導入される。しかしながら、インナサイド第2溝592は、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56との間でオイルの流れが生じるほどの流路断面積を有していない。そして、インナサイド第2溝592は、インナサイド低圧側凹部534のオイル圧およびインナサイド高圧側貫通孔56のオイル圧がそれぞれ独立する程度に、インナサイド低圧側凹部534とインナサイド高圧側貫通孔56とを接続する。また、本実施の形態において、インナサイド第2溝592は、円柱状溝232に対し、ベーン30の進退に寄与する程度のオイル供給をしないようになっている。

(アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692の構成) 次に、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692について詳細に説明する。 図21は、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692の説明図である。 なお、図21(a)は、アウタサイド背圧部60BP、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692の全体図である。また、図21(b)は、図21(a)に示すXXIb−XXIbの断面図である。

アウタサイド第1溝691は、図21(a)に示すように、円弧状に形成される溝である。そして、アウタサイド第1溝691は、回転方向における一方側がアウタサイド高圧側凹部632に接続し、他方側がアウタサイド低圧側貫通孔66に接続する。より具体的には、アウタサイド第1溝691は、アウタサイド高圧側凹部下流端632fの回転半径方向の中央部に接続する。また、アウタサイド第1溝691は、アウタサイド低圧側貫通孔上流端66eの回転半径方向の中央部に接続する。なお、本実施の形態では、アウタサイド第1溝691は、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638と重なる位置に形成される(図16(a)参照)。

アウタサイド第2溝692は、図21(a)に示すように、円弧状に形成される溝である。なお、本実施の形態において、アウタサイド第1溝691とアウタサイド第2溝692とは、形状が同じである。そして、アウタサイド第2溝692は、回転方向における一方側がアウタサイド低圧側凹部633に接続し、他方側がアウタサイド高圧側凹部632に接続する。より具体的には、アウタサイド第2溝692は、アウタサイド低圧側凹部下流端633fの回転半径方向における中央部に接続する。また、アウタサイド第2溝692は、アウタサイド高圧側凹部上流端632eの回転半径方向における中央部に接続する。なお、本実施の形態では、アウタサイド第2溝692は、アウタサイド高圧側吸入上流分離部639と重なる位置に形成される(図16(a)参照)。

次に、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692のアウタサイドカムリング側端面63における回転半径方向の幅について説明する。 アウタサイド第1溝691の幅W61およびアウタサイド第2溝692の幅W62は、アウタサイド高圧側凹部632の幅(幅W18,幅W19,幅W20、図19(d)参照)よりも十分に小さい(例えば、アウタサイド背圧部60BPにおいて最も幅が広いW18の1/10以下)。また、アウタサイド第1溝691の幅W61およびアウタサイド第2溝692の幅W62は、アウタサイド低圧側凹部633の幅W15(図19(b)参照)よりも十分に小さい。そして、アウタサイド第1溝691の幅W61およびアウタサイド第2溝692の幅W62は、アウタサイド低圧側貫通孔66の幅W14(図19(b)参照)よりも十分に小さい。

続いて、図21(b)を参照しながら、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692のアウタサイドカムリング側端面63における深さについて説明する。 まず、前提となるアウタサイドプレート60に形成される凹部や孔の深さについて説明する。 高圧側上流凹部632aの深さD63と高圧側下流凹部632bの深さD65とは同じである(D63=D65)。また、高圧側接続凹部632cの深さD64は、高圧側上流凹部632aのD63および高圧側下流凹部632bの深さD65と比較して浅い(D64

また、アウタサイド低圧側凹部633の深さD61は、高圧側上流凹部632aの深さD63および高圧側下流凹部632bの深さD65と同じである(D61=D63=D65)。そして、アウタサイド低圧側貫通孔66の深さD67は、アウタサイドプレート60の厚みに相当し最も深い。

そして、アウタサイド第1溝691の深さD66は、高圧側下流凹部632bの深さD65およびアウタサイド低圧側貫通孔66の深さD67よりも浅い(D66

また、アウタサイド第2溝692の深さD62は、アウタサイド低圧側凹部633の深さD61および高圧側上流凹部632aの深さD63よりも浅い(D62

そして、本実施の形態では、アウタサイド第1溝691の深さD66およびアウタサイド第2溝692の深さD62は同じである(D66=D62)。さらに、アウタサイド第1溝691の深さD66およびアウタサイド第2溝692の深さD62は、高圧側接続凹部632cの深さD64よりも浅くなっている(D66

以上のように構成されるアウタサイド第1溝691は、溝内にオイルが無い状態では、隣り合うアウタサイド高圧側凹部632やアウタサイド低圧側貫通孔66からオイルが導入される。しかしながら、アウタサイド第1溝691は、アウタサイド高圧側凹部632とアウタサイド低圧側貫通孔66との間でオイルの流れが生じるほどの流路断面積を有していない。そして、アウタサイド第1溝691は、アウタサイド高圧側凹部632のオイル圧およびアウタサイド低圧側貫通孔66のオイル圧がそれぞれ独立する程度に、アウタサイド高圧側凹部632およびアウタサイド低圧側貫通孔66に接続する。また、本実施の形態において、アウタサイド第1溝691は、円柱状溝232に対し、ベーン30の進退に寄与する程度のオイル供給をしないようになっている。

同様に、以上のように構成されるアウタサイド第2溝692は、溝内にオイルが無い状態では、隣り合うアウタサイド低圧側凹部633やアウタサイド高圧側凹部632からオイルが導入される。しかしながら、アウタサイド第2溝692は、アウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632との間でオイルの流れが生じるほどの流路断面積を有していない。そして、アウタサイド第2溝692は、アウタサイド低圧側凹部633のオイル圧およびアウタサイド高圧側凹部632のオイル圧がそれぞれ独立する程度にアウタサイド低圧側凹部633とアウタサイド高圧側凹部632とを接続する。また、本実施の形態において、アウタサイド第2溝692は、円柱状溝232に対し、ベーン30の進退に寄与する程度のオイル供給をしないようになっている。

<円柱状溝232の圧力変化> 図22は、カムリング40と円柱状溝232に供給されるオイルの圧力との関係を示す図である。より詳細には、図22は、カムリング40のカムリング内周面42(図2参照)の形状と、円柱状溝232に供給されるオイルの圧力と、インナサイド背圧部50BPおよびアウタサイド背圧部60BPとの関係を示す図である。

次に、図22を参照しながら、円柱状溝232に供給されるオイルの圧力変化について説明をする。 まず、図7を参照しながら説明をしたように、カムリング40のカムリング内周面42は、回転角度毎の回転中心C(図6参照)からの距離に2つの凸部(1つ目の凸部42a、2つ目の凸部42b)が存在する。また、この2つの凸部以外の部位は、回転中心Cからの距離が最小値となる。

そして、ロータ20(図3参照)の回転角度に応じて、円柱状溝232に供給されるオイルの圧力が変化する。具体的には、図22に示すように、1つ目の凸部42aに対応する回転角度においては、ベーン溝23の円柱状溝232に対して、インナサイド低圧側凹部534、アウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633から、低圧オイルが供給される。 一方、2つ目の凸部42bに対応する回転角度においては、ベーン溝23の円柱状溝232に対して、インナサイド高圧側貫通孔56、インナサイド高圧側凹部535およびアウタサイド高圧側凹部632から、高圧オイルが供給される。

上述のとおり、インナサイド背圧部50BPは、ベーン30やロータ20とインナサイドカムリング側端面53との間にオイルを介在させるように作用する。同様に、アウタサイド背圧部60BPは、ベーン30やロータ20とアウタサイドカムリング側端面63との間にオイルを介在させるように作用する。

ここで、ロータ20の回転角度に応じて、ロータ20の一部やベーン30の一部(以下、ロータ等と呼ぶ)が、インナサイド低圧側吸入上流分離部538やインナサイド高圧側吸入上流分離部539に位置するときがある。このときに、インナサイドプレート50とロータ等の間には、インナサイド第1溝591やインナサイド第2溝592に溜まるオイルが介在することになる。 同様に、ロータ20の回転角度に応じて、ロータ等が、アウタサイド低圧側吸入上流分離部638やアウタサイド高圧側吸入上流分離部639に位置するときがある。このときに、アウタサイドプレート60とロータ等との間には、アウタサイド第1溝691やアウタサイド第2溝692に溜まるオイルが介在することなる。

従って、本実施の形態では、ベーン30やロータ20とインナサイドカムリング側端面53との間における摺動抵抗が低減される。同様に、本実施の形態では、ベーン30やロータ20とアウタサイドカムリング側端面63との間における摺動抵抗が低減される。

なお、本実施の形態では、インナサイド第1溝591、インナサイド第2溝592、アウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692を全て備える構成を採用しているが、この例に限定されない。

例えば、インナサイド第2溝592およびアウタサイド第2溝692は形成するが、インナサイド第1溝591およびアウタサイド第1溝691は形成しないようにしてもよい。 上記の構成は、例えば、以下の観点に基づくものである。すなわち、インナサイド第2溝592およびアウタサイド第2溝692は、回転方向において、低圧から高圧に移行する箇所に設けられる。ここで、インナサイド第2溝592およびアウタサイド第2溝692のオイルは、ロータ等によって低圧側から高圧側に向けて動かされる。ただし、インナサイド第2溝592およびアウタサイド第2溝692のオイルは、オイル圧の関係により、比較的移動し難いと考えられる。一方で、インナサイド第1溝591やアウタサイド第1溝691においては、逆の関係となり、オイルが流れや易くなる可能性が考えられる。そこで、インナサイド第2溝592およびアウタサイド第2溝692のみを形成するようにしてもよい。

また、例えばインナサイド第1溝591の幅W51(図20(a)参照)とインナサイド第2溝592の幅W52(図20(a)参照)とを異ならせてもよい。 このとき、上述した観点と同様の考えに基づいて、例えばインナサイド第2溝592の幅W52を、インナサイド第1溝591の幅W51よりも広く形成してもよい。また、アウタサイド第2溝692の幅W62(図21(a)参照)を、アウタサイド第1溝691の幅W61(図21(a)参照)よりも広く形成してもよい。 そして、上述した観点と同様の考えに基づいて、例えばインナサイド第2溝592の深さD56(図20(b)参照)を、インナサイド第1溝591の深さD52(図20(b)参照)と比較して深くしても良い。また、アウタサイド第2溝692の深さD62(図21(b)参照)を、アウタサイド第1溝691の深さD66(図21(b)参照)と比較して深くしても良い。

また、例えば、インナサイド第1溝591およびアウタサイド第1溝691は形成するが、インナサイド第2溝592およびアウタサイド第2溝692は形成しないようにしてもよい。

さらにまた、例えば、インナサイド第2溝592の幅W52を、インナサイド第1溝591の幅W51よりも狭く形成してもよい。また、アウタサイド第2溝692の幅W62を、アウタサイド第1溝691の幅W61よりも狭く形成してもよい。 そして、例えば、インナサイド第2溝592の深さD56を、インナサイド第1溝591の深さD52と比較して浅くしても良い。また、アウタサイド第2溝692の深さD62を、アウタサイド第1溝691の深さD66と比較して浅くしても良い。

図23は、変形例1および変形例2のインナサイド背圧部50BPの説明図である。 図23(a)に示すように、変形例1のインナサイド第1溝591は、3本の溝によって構成しても構わない。同様に、インナサイド第2溝592は、3本の溝によって構成しても構わない。このように、インナサイド第1溝591およびインナサイド第2溝592は、複数の溝によって形成されていてもよい。 さらに、図23(b)に示すように、変形例2のインナサイド第1溝591やインナサイド第2溝592は、複数の折り返し部(複数の屈曲部)を有する経路となるように形成してもよい。そして、インナサイド第1溝591やインナサイド第2溝592は、オイルが流れにくい、所謂ラビリンス構造にしてもよい。 なお、変形例1および変形例2では、インナサイドプレート50を例として説明しているが、アウタサイドプレート60のアウタサイド第1溝691およびアウタサイド第2溝692においても、変形例1および変形例2の構成を同様に適用することができる。

図24は、変形例3および変形例4のインナサイド背圧部50BPの説明図である。 図24(a)に示すように、変形例3のインナサイド第1溝591は、円柱状溝232の回転方向における軌跡に対して、回転半径方向の内側に形成されている。変形例3のインナサイド第1溝591は、インナサイド背圧部50BPの内周側に沿った仮想円よりも回転中心側に設けている。この構成は、インナサイド第2溝592についても同様である。 変形例3では、円柱状溝232とインナサイド第1溝591とが重ならないようにしている。そして、円柱状溝232およびインナサイド第1溝591を介したオイルの流れの発生を抑制している。

図24(b)に示すように、変形例4のインナサイド第1溝591は、円柱状溝232の回転方向における軌跡に対して、回転半径方向の外側に形成されている。変形例4のインナサイド第1溝591は、インナサイド背圧部50BPの外周側に沿った仮想円よりも回転半径方向内側に設けている。この構成は、インナサイド第2溝592についても同様である。 変形例4では、円柱状溝232とインナサイド第1溝591とが重ならないようにしている。そして、円柱状溝232およびインナサイド第1溝591を介したオイルの流れの発生を抑制している。 特に、図24(b)に示す変形例4のインナサイド第1溝591は、ベーン30に対応する位置に形成される。ベーン30は、回転半径方向においても進退移動する。したがって、変形例4においては、インナサイド低圧側吸入上流分離部538における回転半径方向の摺動抵抗が低減される。

なお、本実施の形態の説明において、低圧オイルを円柱状溝232に供給するための領域(インナサイド低圧側凹部534、アウタサイド低圧側貫通孔66およびアウタサイド低圧側凹部633)と、高圧オイルを円柱状溝232に供給するための領域(インナサイド高圧側凹部535、インナサイド高圧側貫通孔56およびアウタサイド高圧側凹部632)とを、インナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60に設けることを説明したが、これに限定されない。 例えば、この低圧オイルを供給するための領域、あるいは高圧オイルを供給するための領域のいずれかのみをインナサイドプレート50およびアウタサイドプレート60が備える構成であってもよい。また、インナサイドプレート50あるいはアウタサイドプレート60のいずれかのみが、低圧オイルを供給するための領域、および高圧オイルを供給するための領域の少なくとも一方を備える構成であってもよい。

なお、上記では種々の実施の形態および変形例を説明したが、これらの実施の形態および変形例の各々を組み合わせて構成してももちろんよい。 また、本開示は上記の実施の形態や変形例に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。

1…ベーンポンプ、10…回転軸、20…ロータ、30…ベーン、40…カムリング、50…インナサイドプレート、50BP…インナサイド背圧部、60…アウタサイドプレート、60BP…アウタサイド背圧部、591…インナサイド第1溝、592…インナサイド第2溝、691…アウタサイド第1溝、692…アウタサイド第2溝

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