【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ジルコニア及びジルコニア複合材セラミックシャフト並びにそのシャフトの作成方法に関する。 本発明は、特に、酸及び塩基を含む種々の腐食性材料並びに写真フィルム及びペーパーの製造における写真乳剤及び色素類を吸入排出するのに一般的に有用な歯車マイクロポンプのセラミックシャフトに関する。 ウェブコーティング時の脈動を取り除いて、 強靱で耐久性を有し、摩耗及び腐食耐性を有するジルコニアシャフトにより、ポンプ効率が改善され、また実用寿命が延長される。 【0002】 【従来の技術】歯車マイクロポンプは、一定速度で流体を正確に送出するその能力のために、通常用いられる。 このポンプは、例えば、写真フィルムの製造における色素類及び乳剤のような写真材料の送出に非常に適している。 現存の歯車マイクロポンプは、エンジニアリングプラスチック製のかみ合い歯車等の一定部分以外は、機械的強度及び耐食性のためにステンレス鋼から一般的に構成されている。 いくつかの用途では、プラスチック歯車を用いるステンレス鋼構造が容認されている。 精密な写真フィルムコーティングの分野での商用歯車マイクロポンプの用途の場合、多くの欠点が存在する。 ステンレス鋼シャフトはかなり強靱であり耐腐食性を有するが、それらは時間と共に摩耗する傾向にあり、写真乳剤のハロゲン化銀塩溶液と接触すると腐食を受けやすい。 結果として、精密なマイクロポンプは、歯車シャフトアッセンブリーの公差の低下に由来する、連続流体送出時の「脈動」として知られているものを示す。 脈動は、不均一なコーティング厚を生じる流体送出の不連続として定義される。 【0003】本発明より前には、セラミックスで歯車マイクロポンプ全体を構成することは、経済的に実行不可能であり、実用的でないと一般的に認識されていた。 その理由の一つは、セラミックポンプが機能することができるためには要求される寸法公差範囲が非常に厳しことであり、ポンプの構造のために全て「セラミック」でないことが有用である。 例えば、アルミナ、シリコンカーバイド、ムライト等の脆性セラミックス製の歯車シャフトは、ポンプ部品を非常に高い精度で注意深く組み立てなければ、破損する傾向がある。 さらに、これらのポンプを運転可能にするためには、ポンプ部品の寸法公差が、1インチの50/1000,000未満内を満たさなければならないので、オールセラミックポンプは実用的でない。 また、上記材料から作られるかみ合い歯車は、多くのセラミックスが本来的に研磨剤であるので、 お互いに摩耗する傾向にある。 【0004】米国特許第3,881,849号明細書には、完全にセラミック材料で作られた歯車ポンプが開示されている。 これによると、吸入部及び排出部を有するポンプ本体、かみ合い歯車ホイール、及び駆動シャフトは、それぞれ完全にセラミック材料から構成されている。 しかし、このタイプの歯車ポンプ装置の欠点は、例えば脆性セラミックス(アルミナ、シリコンカーバイド等)のようなセラミック材料を用いると、機能を果たさないということである。 腐食性材料、特に、写真フィルム製造の色素類及び乳剤の送出に用いると、上述の理由のためにそのような歯車マイクロポンプは多くの欠点を示す。 【0005】従って、脈動がなく、効率的で、強靱で、 耐久性を有し、摩耗及び腐食耐性を有する、写真材料(例えば、色素類及び乳剤)を送出するのに有用な歯車ポンプのニーズが依然としてある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、写真乳剤及び色素類のような薬品に対して強い耐性を有し、 腐食性材料で製品を汚染しないジルコニアセラミック歯車シャフトを有する歯車ポンプを提供することである。 本発明のもう一つの目的は、流体送出時の脈動を除去する歯車ポンプを提供することである。 【0007】更にもう一つの目的は、走行しているウェブ上により均一なコーティングを生成する歯車ポンプを提供することである。 写真材料を送出するのに有用な歯車ポンプが、ウェブコーティング時の脈動を除くと同時により効率的に流体を吸入排出することを可能にするジルコニアセラミックシャフトに支持された一組のかみ合わせ歯車を有することが本発明の特徴である。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的、特徴及び利点を達成するために、本発明の一つの形態は、色素類及び乳剤等に写真材料を送出するための改良された歯車マイクロポンプ提供する。 本発明のマイクロポンプは歯車受け手段と共に形成されたポンプ本体を有するタイプである。 流体吸入端及び排出端を、写真材料を受け入れそして移動しているウェブに送出するために用意する。 かみ合わせ歯車を流体吸入端と流体排出端との間の歯車受け手段に配置する。 ベアリング手段をベアリング受け手段内に配置する。 改良点は、かみ合わせ歯車を回転できるように取り付けるためのベアリング受け手段内の一組のジルコニア及びジルコニア複合材セラミックシャフトからなる。 【0009】本発明のもう一つの形態は、粒状ジルコニウム酸化物と、MgO、CeO 2 、CaO、Y 2 O 3 、 Sc 2 O 3及び稀土類酸化物から成る群より選ばれた第二酸化物とを含むセラミック粉末を用意する工程を含んでなる写真材料の送出に適した歯車マイクロポンプ用セラミックシャフトを製造する方法である。 第二酸化物の濃度は、該ジルコニウム酸化物の全体に対して、Y 2 O 3の場合には約0.5〜約5モル%、MgOの場合には約0.1〜約1.0モル%、CeO 2の場合には約0. 5〜約15モル%、Sc 2 O 3の場合には約0.5〜約7.0モル%、そしてCaOの場合には約0.5〜約5 モル%である。 圧縮は、モールド内で圧縮されたセラミック粉末からブランクを形成する工程を更に含む。 そのモールド内で所望するセラミックビレットが形成されるまでセラミック粉末を圧縮する。 次いで、本発明の歯車マイクロポンプに適したネットシェイプに近いセラミックシャフトを形成するように、該セラミックビレットを賦形する。 予め決められた手順に従って、ネットシェイプに近いセラミックシャフトを焼結し、焼結セラミックシャフトを作成する。 その後、ネットシェイプに近いセラミックシャフトを更に賦形して完成セラミックシャフトを作成する。 【0010】それによる、腐食性材料、特に、写真材料(例えば、色素類及び乳剤)を送出するのに適した改良された歯車マイクロポンプの重要な有利な効果には、脈動を除くこと、そして通常の腐食及び浸食による製品汚染を除くことが含まれる。 本発明のマイクロポンプの、 別の重要な利点には、より長い実用寿命、不合格製品の減少、装置停止時間の減少、及び装置製造コストの低減が含まれる。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は、ジルコニア及びジルコニア複合材セラミックシャフトを有する、腐食性材料、特に写真用色素類及び乳剤の送出に適した本発明の改良された歯車マイクロポンプ10を図示する。 以下に具体的に記載するように歯車マイクロポンプ10は、写真フィルムもしくはペーパーのコーティング時の脈動を除く。 連続的な流体計量が影響を受けるので、脈動は不均一なコーティング厚を生じる。 それは、ステンレス鋼シャフトが、摩耗のためにその公差を失い、現行のマイクロポンプの歯車アッセンブリーに取付不良を起こすと説明されている。 結果として、非能率な吸入排出及び脈動が、 流体送出中発生する。 本発明者らは、歯車シャフト材料を慎重に選択することによって、ウェブコーティングプロセスでの写真材料(例えば、色素もしくは乳剤)の送出時に脈動を取り除くことができることを見出した。 主として正方晶相を有する強靱で耐腐食性を有するジルコニアセラミックを用いた。 米国特許第5,411,69 0号明細書(参照することにより本明細書の内容とする)には、正方晶相を有し、ジルコニア粉末及び特定量のドーパント様のイットリアを含んでなる好ましい強靱なジルコニアセラミック材料の製造方法が開示されている。 ステンレス鋼に代えてジルコニア及びジルコニア複合材セラミックシャフトを用いると、脈動を除き、マイクロポンプの信頼性及び寿命が驚くほど改良する。 ジルコニア及びジルコニア複合材セラミックスは、写真乳剤及び色素を含む多くの攻撃的薬品に非常な耐性を有し、 該シャフトを長く使用することができる。 さらに、高い硬度及び高い靱性は、割れ、欠け、摩耗及びすり減りに対して該ジルコニアセラミックシャフトを耐性にする。 本発明の改良された歯車マイクロポンプ(以下、詳細に記載する)が、主に、写真フィルム及びペーパー製造プロセスの乳剤並びに色素の正確な計量に有用であることを認識することが重要である。 しかし、それにもかかわらず、当業者は、別の重要性並びに薬品及び他の腐食性流体の送出等にマイクロポンプ10の自明の用途があると認識するであろう。 【0012】図1を参照すると、本発明の改良された歯車マイクロポンプ10は歯車受け手段14と共に形成されるポンプ本体12を有する。 ポンプ本体12は、流体吸入端15及び流体排出端(示されていない)を含む。 一組のかみ合わせ歯車16、18を、液体吸入端15と液体排出端の間で、歯車受け手段14内に配置する。 ベアリング手段、好ましくは滑り軸受をベアリング手段2 2内に配置する。 本発明の好ましい態様では、ベアリング手段22をポンプ本体12内に配置する。 更に、それぞれ、ジルコニアセラミック材料(次で詳細に説明する)で造られている一組のシャフト24、26が、このベアリング受け手段22において回転可能に支持されていることが、本発明では重要である。 シャフト24は駆動されるシャフトであり、シャフト26は駆動シャフトである。 シャフト26は好ましくは、マグネット手段によって駆動されるが、当業者は、モーターを用いてシャフト26を駆動することもできると認識するであろう。 さらに、かみ合わせ歯車16、18は、ジルコニアセラミックシャフト24、26に回転可能に取り付けられている。 【0013】次に、本発明のマイクロポンプ10に適したジルコニアセラミックシャフトを製造するプロセスを示した図2を参照する。 工程A〜Bは、合金化プロセスの略図である。 工程Aでは、ジルコニア粉末100を一種又は二種以上の第二酸化物粉末102と組み合わせてジルコニア合金粉末104を得る。 ジルコニア合金の製造については当業者であれば周知であり、またイットリアを3モル%含有するジルコニア合金は市販されている。 【0014】より具体的には、マイクロポンプシャフトを製造するためには、正方晶セラミック材料を使用することが好ましい。 用いるのに最も好ましい材料は、本質的に100%正方晶構造を有するジルコニアである。 本発明者らは、米国特許第5,336,282号及び同第5,358,913号明細書に記載されているように、 ジルコニアと数種の第二酸化物との合金化により、この100%正方晶ジルコニアを開発した。 本明細書では上記米国特許明細書を参照することにより援用する。 【0015】本発明のジルコニア−アルミナ複合材の製造方法において最も好適なセラミック粉末混合物は、粒状アルミナ、並びにZrO 2と、MgO、CaO、Y 2 O 3 、Sc 2 O 3 、CeO 2及びその他の稀土類酸化物(本明細書中、「Mg−Ca−Y−Sc−稀土類酸化物」とも称する)の中から選ばれた追加の「第二酸化物」との粒状合金、を含む。 本発明の方法において有用なジルコニア合金は、得られたセラミック物品を使用する際の温度範囲及び圧力範囲において準安定な正方晶構造を有する。 例えば、約200℃以下の温度及び約10 00MPa以下の圧力の場合、ジルコニア合金は、ジルコニウム酸化物合金全体に対して、Y 2 O 3の場合には約0.5〜約5モル%、MgOの場合には約0.1〜約1.0モル%、CeO 2の場合には約0.5〜約15モル%、Sc 2 O 3の場合には約0.5〜約7.0モル%、そしてCaOの場合には約0.5〜約5モル%である第二酸化物の濃度を有する。 圧縮工程にはブランク形成も含まれ、正方晶構造を示す。 ジルコニアとの合金化に好適な酸化物はY 2 O 3 、MgO、CaO、CeO 2 及びこれら酸化物の混合物である。 ジルコニア粉末は純度が高いこと、すなわち、純度約99.9%以上であることが好ましい。 有用なジルコニア合金の具体例として、約2〜約5モル%、より好ましくは約3モル%のY 2 O 3を含有する正方晶構造のジルコニア合金が挙げられる。 本発明の方法において有用な正方晶構造のジルコニア合金の例が、米国特許第5,290,332号明細書に記載されている。 この特許明細書中、このようなジルコニア合金は「ネットシェイプ」のセラミック物品、 すなわち焼結による寸法変化がないため、所期の使用環境において使用する前にさらに機械加工する必要のないセラミック物品、が得られるので有用であると記載されている。 【0016】図2を参照すると、工程A'〜Bは、別法となる粒状ジルコニア合金104と粒状アルミニウム酸化物103の混合物を概略説明するものである。 この混合物は、機械的な混合によっても、また共沈法による混合など化学的な混合によっても得ることができる。 形成された粒状混合物におけるAl 2 O 3の含有率は(粒状混合物の全量に対して)約5〜50重量%、好ましくは約18〜約20重量%、より好ましくは20重量%である。 【0017】再度図2の工程Bを参照すると、工程A及び工程A'にそれぞれ記載した粒状混合物Y−TZP1 04又はY−TZPとアルミナの複合材混合物103 に、ゼラチン又はポリビニルイオノマー、より好ましくはポリビニルアルコールのようなバインダーを添加して混合する。 混合は、混合物を圧縮装置に入れる前にスプレー法やボールミル粉砕法で行えることが好ましい。 【0018】さらに、工程B(図2)はまた、工程C' に記載したように、「配合」として当業者であれば周知の別の混合工程をも記載する。 この配合工程では、後の射出成形工程のためのそのようなバインダーのガラス転移温度よりも高い温度でパラフィンなどの有機バインダーが20重量%よりも多量に粒状混合物に混入される。 【0019】 圧縮工程圧縮工程では、好ましくは等圧プレスによって粒状混合物106を低温圧縮し、未焼結ブランク108(図2、 工程C)を得る。 未焼結ブランク108は、本明細書中、「未処理プレフォーム」とも称する。 粉末の圧縮方法が特に問題とはならないことは当業者には自明である。 「低温圧縮」とは、粒状混合物を有機バインダーのガラス転移温度又は分解温度よりも低い温度で圧縮することをいう。 未処理プレフォームは、低温一軸プレス、 低温等圧プレス、低温押出、等の方法で製造することができる。 粒状混合物に均一な圧縮力を加えることで密度の均一な未焼結ブランクを提供することが好ましい。 別法として、ネットシェイプに近い未処理ブランク11 0'を射出成形法で得ることもできる(図2、工程C')。 【0020】イットリア3モル%を含む合金化されるジルコニア粉末をラバーモールドに充填し、室温で約1. 7×10 8 〜約1.9×10 8 Pa(25,000〜2 8,000psi)で等圧加圧する。 駆動歯車シャフト108(図3)もしくは被駆動歯車シャフト109(図4)(両方とも、本発明の歯車マイクロポンプ10に有用である)を作成するために形成したビレットは、図5 〜6に示すように焼結時の収縮を見込んで未処理加工される。 ネットシェイプもしくはネットシェイプに近い焼結パーツを作成するように収縮を正確にコントロールする。 これは、乾式プレスもしくは射出成形プロセスを用いて未加工部も生成できるということである。 本発明では、その後焼結パーツを完成寸法に機械加工して、厳しい寸法公差に適合させる。 図3及び4は、それぞれ、本発明のマイクロポンプ10に適した駆動及び被駆動ジルコニアセラミック歯車シャフトを図示する。 外径(O D)及びインジケータ実指示(TIR)の公差を1インチの±1/10,000に維持した。 低温(乾式)プレスに代えて、粉末を圧縮する手段として低温等圧プレスを用いて製造コストを節減した(乾式プレスもしくは射出成形の高価なモールド製造に費用を使わないため)。 ジルコニア及び他のセラミックスの未処理加工はセラミックの技術分野では当業者が行う標準的な操作である。 【0021】ジルコニア合金とアルミナの粒状混合物を圧縮し、焼結が起こる温度範囲にまで加熱し、焼結させ、すなわち該温度範囲で一定時間維持し、その後冷却する。 図2において、要素108は、矢印「C、C'」 が示すように混合及び圧縮の両方による生成物を表す。 図2において、それぞれ工程「C」及び「E」が示すように、一般に圧縮及び焼結を二つの連続操作として記載するが、本発明は圧縮と焼結の特定の順序に限定されるものではない。 例えば、圧縮と焼結を単一操作で同時に行うこと、或いは部分圧縮工程の後に焼結、次いでさらに圧縮を行うことも可能である。 圧縮工程及び焼結工程による中間生成物を本明細書では「ブランク」と称し、 これを図2では要素108として表す。 ブランク108 は、少なくとも部分的に圧縮されており、且つ未焼結又は不完全焼結の状態にある。 【0022】本発明の好ましい方法では、粉末を低温圧縮して「未処理プレフォーム」を得る。 この「未処理」 密度は、セラミック物品112の最終焼結後密度よりも実質的に低い。 未処理密度は最終焼結後密度の約40〜 約65%、より好ましくは約50%であることが好ましい。 【0023】図2の工程Dによると、カーバイド製工具を用いるブランク108の未処理加工(後述)によってネットシェイプに近いシャフト110が形成される。 そして、好ましくは米国特許第5,336,282号及び同第5,358,913号明細書(本明細書に援用)に記載されている焼結条件により、シャフト110を完全密度になるまで焼結し、そしてダイヤモンド工具で最終精密加工を施して公差を狭める(図4〜5)。 【0024】 焼結工程図2の工程Eを参照するが、未処理加工後のマイクロポンプシャフトもしくは射出成形後のマイクロポンプシャフト110の焼結は、約1400〜約1600℃の範囲で、より好ましくは約1500℃で行われる。 射出成形されたマイクロポンプシャフト110'は、通常、低温、200℃〜300℃の範囲、好ましくは、220℃ で、焼結前に大部分の有機バインダーを除去するためにデバインドされる。 焼結時間の好適な範囲は約1〜約3 時間、より好ましくは約2時間である。 本発明の方法の具体的実施態様では、焼結ピーク温度を1500℃とし、その温度を約2時間維持している。 焼結前シャフト110の焼結温度への加熱及び冷却を徐々に行うことで、望ましくない寸法変化や、歪み、クラックの発生を回避することが好ましい。 好適な焼結温度1500℃による本発明の実施態様では、加熱時の好適な昇温法は、 室温〜約300℃を約0.3℃/分、約300℃〜約4 00℃を約0.1℃/分、約400℃〜約600℃を約0.4℃/分、そして約600℃〜約1500℃を約1.5℃/分とするものである。 冷却時の好適な降温法は、約1500℃〜約800℃を約2℃/分、そして約800℃〜室温を約1.6℃/分とするものである。 【0025】 運転ジルコニア歯車シャフト(図5〜6の駆動及び被駆動シャフト26、24)をマイクロポンプ(ステンレス鋼シャフトからいくつか小さな変更をする)に取付け、そしてポンプ流体として水を用いて吸入排出効率及び信頼性を試験した。 長時間成功裏に運転した後、流体として色素及び写真乳剤を用いて実験的なカーテンコーティングを行った。 ジルコニアセラミックが、ポンプ取付時及び運転時の応力に耐えられるならば、強靱で、水及び腐食耐性を有するジルコニアがステンレス鋼よりも良好であることが予想された。 セラミックスはステンレス鋼よりも脆性であるので、吸入排出時に歯車シャフトが経験するようなポンプの応力に耐えるかどうかは明らかではなかった。 さらに、セラミックシャフトの取付時の小さな調整不良が、最終的に突然の失敗を起こすかもしれない残留応力誘発するであろう。 ジルコニアは他の先発のセラミックス、例えば、SiC、アルミナ、もしくは窒化けい素よりも強靱であるが、ジルコニアシャフトがステンレス鋼シャフトと同等もしくはそれ以上の性能を有するかは、まだ明らかでなかった。 予想外に、ジルコニアシャフトは、ステンレス鋼よりも性能が優れているだけでなく、ステンレス鋼シャフトが僅かに摩耗し始めたときにマイクロポンプが経験する脈動も除いた。 長時間使用後のジルコニアシャフトの摩耗がほとんど無視でき、 それが歯車及びシャフトアッセンブリーの完全な同軸運動に寄与したので、脈動を起こさなかったと信じられる。 通常、ステンレス鋼シャフトを装備したマイクロポンプは、120〜150時間完全に動作する。 これに対し、ジルコニアシャフトを装備したマイクロポンプは、 効率的に1000時間より長く稼働し、生産性がほとんど10倍増加した。 【0026】 【実施例】 実施例1未処理パーツを、イットリアを3モル%含んで合金化され、スプレー乾燥され、有機バインダーを含まない高純度ジルコニアから作成した。 この粉末をラバーモールドの内側に詰め、水圧プレスチャンバー内で約1.7×1 0 8 〜約2.1×10 8 Pa(25,000〜30,0 00psi)で加圧した。 未処理パート(ビレット)をモールドから取り、機械加工して約22%の収縮を見込んだ。 このパーツを空気中で1400℃〜1600℃、 好ましくは1500℃で2時間、理論密度99.99% 以上(6.08g/cc)に焼結した。 材料組成、粒径、未処理密度、及び焼結条件をコントロールして、収縮を近ネットシェイプ及び機械加工が極最小の焼結後のパーツにコントロールすることができた。 【0027】歯車シャフトを、ジルコニア−アルミナ複合材(ジルコニア+5〜50重量%アルミナ)並びに6 MPa√mを超える破壊靱性を有する類似の複合材セラミックスから作成することもできる。 実施例2ジルコニアシャフトをマイクロポンプに取付けて、回転時の同心性を、±11/10,000インチ内に維持するように調整した。 流体として水を用いて長時間閉路ループ内で運転した(その条件下では、ステンレス鋼シャフトを装備したポンプは作動しないであろう)。 少なくとも120時間ポンプを連続的に運転しながら、排出水の圧力及び温度をその効率のためにモニターした。 ポンプを取り外し、その部品の全てについて摩耗もしくは損傷または異常を検査した。 部品は全て良好な状態にあった。 もう一つのポンプにジルコニアシャフトを取付け、 乳剤コーティング機械に配置した。 この機械は完全に均一なコーティングを1000時間より長時間生産した。 【0028】 比較例1イットリア3モル%を含んで合金化され、有機PVAバインダー(3重量%)を含有するジルコニア粉末を、低温等圧チャンバー内で約1.7×10 8 〜約2.1×1 0 8 Pa(25,000〜30,000psi)で加圧した。 未処理パーツは多くの断片に壊れ、この粉末はラバーモールド壁にくっつく傾向を有した。 一回も成功することなく、滑剤をモールド壁に塗布した。 また、粉末がモールドの壁面にくっつくのを防止するために内型壁をワックスペーパーで裏打ちしたが、役に立たないことが証明された。 【0029】 比較例2また、歯車マイクロポンプシャフトを、ジルコニアシャフトと正確に同じ方法で、純度99.9%のAl 2 O 3 (ALCOA 銘柄AG-16 )から作成した。 プラスチック駆動及び被駆動歯車セットをアルミナシャフトと共に歯車マイクロポンプに取り付け水だけを用いて運転した。 短時間の後、ポンプの流体送出速度は変動し始め、圧力が低下し、その後運転を止めた。 ポンプを分解して全体を検査した。 シャフトがあったシートは少しすり減り、シャフトの一つ(駆動歯車シャフト)は欠けて機能しなかった。 新しく一組のシャフトを取り付け、実験的ウェブコーティングのために写真乳剤を吸入排出した。 しばらくした後(約24時間)、このポンプ送出系は、ゆっくりと脈動を始め、コーティングが不均一になった。 このポンプは1週間以上長期の運転が可能であったが、脈動が持続して、不均一なコーティングを生じた。 ポンプを止め、分解して、検査した。 シャフトは数カ所欠けており、ポンプ内の多くの部品は摩耗のあとがあった。 従って、アルミナセラミックシャフトは、この用途では、ステンレス鋼の代替品には不適であると結論づけられる。 【0030】ジルコニアは非常に硬く耐摩耗性を有するとして知られているが、さらに、スチール同様に機能するほど十分高い破壊靱性も有している。 Al 2 O 3 、S iC、Si 3 N 4等のような、多くのセラミックスは、 歯車ポンプのシャフトの様な用途では、非常に脆く、欠けやすい。 多くの構造用セラミックはより高い弾性率を有し、結果としてステンレス鋼よりも硬く、寛大でない。 ジルコニアは、ステンレス鋼に匹敵する弾性率(ステンレススチール:30mpsi、ジルコニア:32mpsi) を有する。 この用途では、プラスチック歯車が用いられ、それらは、十分に高精度ではない。 それで、かみ合わせ歯車が調整不良の場合を調整するために、シャフトは少し寛大である必要がある。 ジルコニアシャフトは、 他の構造用セラミックスよりも寛大性を与える。 アルミナ強化ジルコニア(5〜50重量%アルミナ)も同様に機能する。 言い換えれば、ジルコニア及びアルミナ強化ジルコニアは、この用途に最適なセラミック材料である。 【0031】本発明の好ましい態様を特に詳細に記載したが、本発明の精神及び範囲内で種々の変更及び改造が可能であることは、理解されるであろう。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の歯車マイクロポンプの分解組立図。 【図2】本発明のセラミックシャフトの製造方法。 【図3】本発明の未処理セラミック駆動シャフトの側面図。 【図4】本発明の未処理セラミック被駆動シャフトの側面図。 【図5】本発明の焼結後機械加工したセラミック駆動シャフトの側面図。 【図6】本発明の焼結後機械加工したセラミック被駆動シャフトの側面図。 【符号の説明】 10…歯車マイクロポンプ 12…ポンプ本体 14…粒状アルミニウム酸化物 15…流体吸入端 16…かみ合わせ歯車 18…かみ合わせ歯車 22…ベアリング手段 24…被駆動シャフト 26…駆動シャフト 100…ジルコニア粉末 102…第二酸化物粉末 104…ジルコニア合金粉末 106…粒状混合物 108…未焼結ブランク 110…焼結前シャフト フロントページの続き (72)発明者 デビット アラン アシュ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14609, ロチェスター,ピー. オー. ボックス 90533 |