Volatile organic compound processing method and the volatile organic compound processing system using a gas turbine

申请号 JP2006531847 申请日 2005-08-18 公开(公告)号 JP4677989B2 公开(公告)日 2011-04-27
申请人 株式会社Ihi; 发明人 茂一 宇治;
摘要
权利要求
  • 処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、
    該吸着剤に吸着された前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて前記吸着剤から脱着して前記水蒸気に混入させ、
    前記揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンの燃焼器に供給して、該水蒸気に混入している前記揮発性有機化合物を前記ガスタービンの燃焼器で燃焼させる ことを特徴とするガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 前記ガスタービンから排出される燃焼ガスの熱を利用して水蒸気を生成することを特徴とする請求項1記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 揮発性有機化合物の吸着剤への吸着及び揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を並行して交互に行うことを特徴とする請求項1記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 揮発性有機化合物の吸着剤への吸着及び揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を並行して交互に行うことを特徴とする請求項2記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 吸着剤から揮発性有機化合物を脱着するための水蒸気の一部を揮発性有機化合物の脱着に供することなくガスタービンの燃焼器に供給することを特徴とする請求項1記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 揮発性有機化合物を濃縮する前処理を処理対象ガスに施した後、揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させることを特徴とする請求項1記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 前処理は、吸着剤に処理対象中の揮発性有機化合物を吸着させた後、加熱ガスを用いて揮発性有機化合物を吸着剤から脱着することにより揮発性有機化合物を濃縮する濃縮処理、処理対象ガスから水分を除去する減湿処理のいずれか一方あるいは両方であることを特徴とする請求項6記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着剤の揮発性有機化合物を水蒸気で脱着する前に加熱ガスを用いて加熱を行うことを特徴とする請求項1記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 加熱ガスは、水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスであることを特徴とする請求項7記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 加熱ガスは、水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスとの熱交換によって加熱された空気であることを特徴とする請求項7記載のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法。
  • 処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して前記水蒸気に混入させる吸着装置と、
    前記揮発性有機化合物が混入した水蒸気を燃焼器に供給して、該水蒸気に混入している前記揮発性有機化合物を前記燃焼器で燃焼させるガスタービンと を備えることを特徴とする揮発性有機化合物の処理システム。
  • 前記ガスタービンから排出される燃焼ガスの熱を利用して水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えることを特徴とする請求項11記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 複数の吸着装置、及び揮発性有機化合物の吸着剤への吸着及び揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を並行して交互に行うように前記複数の吸着装置を切替える切替装置をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 複数の吸着装置、及び揮発性有機化合物の吸着剤への吸着及び揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を並行して交互に行うように前記複数の吸着装置を切替える切替装置をさらに備えることを特徴とする請求項12記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 吸着装置を経由することなく燃焼器に直接供給する水蒸気の流量を調節する蒸気バイパス制御弁をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させる前に処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を濃縮する前処理をさらに備えることを特徴とする請求項11記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 前処理装置は、吸着剤に処理対象中の揮発性有機化合物を吸着させた後、加熱ガスを用いて揮発性有機化合物を吸着剤から脱着することにより揮発性有機化合物を濃縮する濃縮装置、処理対象ガスから水分を除去する減湿装置のいずれか一方あるいは両方であることを特徴とする請求項16記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 吸着装置において吸着剤の揮発性有機化合物を水蒸気で脱着する前に加熱ガスを用いて加熱を行うことを特徴とする請求項12記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 加熱ガスは、水蒸気生成装置において水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスであることを特徴とする請求項17記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスとの熱交換によって空気を加熱する加熱装置をさらに備え、
    加熱ガスは、加熱装置から排出された加熱空気であることを特徴とする請求項17記載の揮発性有機化合物の処理システム。
  • 说明书全文

    本発明は、ガス状の揮発性有機化合物をガスタービンを用いて処理する処理方法及び処理システムに関する。

    トルエンやキシレン等の各種揮発性有機化合物を使用する工場では、使用後の揮発性有機化合物の処分に頭を悩ませている。 排出量が微量である場合、これら使用後の揮発性有機化合物を含む排ガスを、基準値を下回る範囲で大気中に排出することもあるが、排出量が多量である場合は(多くの場合がそうである)、別個に処理設備を設けて処理している。

    従来の一般的は処理方法としては、まず、揮発性有機化合物を含む排ガスを吸着装置に供給して揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、揮発性有機化合物を吸着した吸着剤を蒸気で脱着して揮発性有機化合物を水蒸気に混入させる。 次に、揮発性有機化合物を吸着させた水蒸気を凝縮させ、この凝縮水を蒸留して揮発性有機化合物と水とを分離させる。 最後に、水と分離させた揮発性有機化合物を燃焼させて分解する。

    従来の処理方法では、処理設備の設置に要する費用の他、当該設備の運転に要する費用も嵩む。 そこで、例えば工場内に既存のガスタービンを利用して余分な費用をかけることなく揮発性有機化合物を処理する技術が提案されている(例えば、下記の特許文献1、2、3)。

    特許文献1の発明では、揮発性有機化合物から発生する有害物質を捕集し、ガスタービンの空気取り入れ口に供給し、圧縮機において空気と共に圧縮し、有害物質を含む圧縮空気を燃焼器に供給するとともに燃料ガスを供給して燃焼させ、タービンを駆動する。 有害物質は、燃焼器において燃焼して無害化され、ガスタービンの排気とともに大気中に排出される。

    特許文献2、3の発明では、揮発性有機化合物の廃液を燃焼器に直接供給するとともに燃料ガスを供給して燃焼させることによりタービンを駆動する。 有害物質の廃液は、燃焼器において燃焼して無害化され、ガスタービンの排気とともに大気中に排出される。

    特開2003−322324号公報

    特開2004−036492号公報

    特開2004−184003号公報

    ところで、上記の処理方法においては、次のような問題点が指摘されている。 上記特許文献1の発明では、揮発性有機化合物から発生する有害物質をガスタービンの空気取り入れ口に供給するが、ガスタービンは、取り入れた空気の一部を燃焼器には導入せず、後段のタービンの冷却に利用する構造となっている。 そのため、有害物質の一部が燃焼器を通らずに、すなわち燃焼せずにガスタービンから排出されることになり、十分な処理が行われない。 上記特許文献2、3の発明では、高濃度の有害物質の廃液を直接燃焼器に供給しているので、火炎温度が高くなり過ぎる恐れがある。

    本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、揮発性有機化合物を無害化することに加えて、揮発性有機化合物の処理を必要とする施設内のエネルギ効率を総合的に向上させることを目的とする。

    上記の課題を解決するための手段として、次のような構成のガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法、および揮発性有機化合物の処理システムを採用する。
    すなわち、本発明では、ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第1の解決手段として、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着された前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて前記吸着剤から脱着して前記水蒸気に混入させ、 前記揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンの燃焼器に供給して、該水蒸気に混入している前記揮発性有機化合物を前記ガスタービンの燃焼器で燃焼させる、という手段を採用する。

    また、ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記ガスタービンから排出される燃焼ガスの熱を利用して水蒸気を生成する、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、揮発性有機化合物の吸着剤への吸着及び揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を並行して交互に行う、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、吸着剤から揮発性有機化合物を脱着するための水蒸気の一部を揮発性有機化合物の脱着に供することなくガスタービンの燃焼器に供給する、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4いずれかの解決手段において、揮発性有機化合物を濃縮する前処理を処理対象ガスに施した後、揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させる、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、前処理は、吸着剤に処理対象中の揮発性有機化合物を吸着させた後、加熱ガスを用いて揮発性有機化合物を吸着剤から脱着することにより揮発性有機化合物を濃縮する濃縮処理、処理対象ガスから水分を除去する減湿処理のいずれか一方あるいは両方である、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第7の解決手段として、上記第1〜第6いずれか2の解決手段において、揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着剤の揮発性有機化合物を水蒸気で脱着する前に加熱ガスを用いて加熱を行う、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第8の解決手段として、上記第6または第7の解決手段において、加熱ガスは、水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスである、という手段を採用する。

    ガスタービンを用いた揮発性有機化合物の処理方法に係る第9の解決手段として、上記第6または第7の解決手段において、加熱ガスは、水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスとの熱交換によって加熱された空気である、という手段を採用する。

    一方、本発明では、揮発性有機化合物の処理システムに係る第1の解決手段として、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、該吸着剤に吸着した前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して前記水蒸気に混入させる吸着装置と、 前記揮発性有機化合物が混入した水蒸気を燃焼器に供給して、該水蒸気に混入している前記揮発性有機化合物を前記燃焼器で燃焼させるガスタービンとを備える、という手段を採用する。

    また、揮発性有機化合物の処理システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記ガスタービンから排出される燃焼ガスの熱を利用して水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備える、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、複数の吸着装置、及び揮発性有機化合物の吸着剤への吸着及び揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を並行して交互に行うように前記複数の吸着装置を切替える切替装置をさらに備える、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第4の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、吸着装置を経由することなく燃焼器に直接供給する水蒸気の流量を調節する蒸気バイパス制御弁をさらに備える、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第5の解決手段として、上記第1〜第4いずれかの解決手段において、揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させる前に処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を濃縮する前処理をさらに備える、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第6の解決手段として、上記第5の解決手段において、前処理装置は、吸着剤に処理対象中の揮発性有機化合物を吸着させた後、加熱ガスを用いて揮発性有機化合物を吸着剤から脱着することにより揮発性有機化合物を濃縮する濃縮装置、処理対象ガスから水分を除去する減湿装置のいずれか一方あるいは両方である、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第7の解決手段として、上記第1〜第6いずれかの解決手段において、吸着装置において吸着剤の揮発性有機化合物を水蒸気で脱着する前に加熱ガスを用いて加熱を行う、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第8の解決手段として、上記第6または第7の解決手段において、加熱ガスは、水蒸気生成装置において水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスである、という手段を採用する。

    揮発性有機化合物の処理システムに係る第9の解決手段として、上記第6または第7の解決手段において、水蒸気の生成に供された燃焼ガスの排ガスとの熱交換によって空気を加熱する加熱装置をさらに備え、加熱ガスは、加熱装置から排出された加熱空気である、という手段を採用する。

    本発明では、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンの燃焼器に供給し、この水蒸気に混入している揮発性有機化合物をガスタービンの燃焼器で燃焼させるので、揮発性有機化合物を無害化することが可能であると共に、高濃度の揮発性有機化合物が燃焼器に供給されて火炎温度が高くなり過ぎることを防止して総合的なエネルギ効率を向上させることができる。 また、燃焼器に水蒸気を供給することにより、ガスタービンの排出する燃焼ガス中のNOxの量を低減させることが可能であり、よってNOxによる周辺環境の劣化を抑制することができる。

    また、ガスタービンから排出される燃焼ガスの保有する熱を利用して水蒸気を生成し、吸着装置に供給することにより、水蒸気を他の系統から調達する場合と比較して、水蒸気の生成に要するエネルギーを削減することができる。

    本発明の第1実施形態に係わる揮発性有機化合物処理システムの特徴的構成を示すシステム構成図である。

    本発明の第2実施形態に係わる揮発性有機化合物処理システムの特徴的構成を示すシステム構成図である。

    本発明の第2実施形態における吸着装置の動作状態a〜dを示す模式図である。

    本発明の第2実施形態における吸着装置の動作状態e〜hを示す模式図である。

    本発明の第2実施形態における吸着装置の動作状態変化を示すタイミングチャートである。

    本発明の第3実施形態に係わる揮発性有機化合物処理システムの特徴的構成を示すシステム構成図である。

    本発明の第4実施形態に係わる揮発性有機化合物処理システムの特徴的構成を示すシステム構成図である。

    本発明の第5実施形態に係わる揮発性有機化合物処理システムの特徴的構成を示すシステム構成図である。

    符号の説明

    1 吸着装置 2 ガスタービン 3 水蒸気生成装置 4 圧縮機 5 燃焼器 6 タービン 7 負荷

    以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
    〔第1実施形態〕
    図1には、本発明の第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムの特徴的構成を示すシステム構成図である。 図において、符号1は吸着装置、2はガスタービン、3は水蒸気生成装置である。

    吸着装置1は、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を内部の吸着剤に吸着させることによって処理対象ガスから揮発性有機化合物を除去し、吸着剤に吸着した揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる。 吸着剤には、例えば活性炭が使用される。 また、上記加圧環境は、水蒸気を吸着装置1に供給することによって実現される。

    このような吸着装置1は、処理対象ガスが外部から入されると共に水蒸気が水蒸気発生装置3から入力される一方、揮発性有機化合物が除去された処理済ガスを外部に排出すると共に揮発性有機化合物が混入した化合物混入水蒸気をガスタービン2の燃焼器5に出力する。 また、吸着装置1には、図示するように吸着剤を冷却する必要から空気(冷却用空気)が入力される。

    ガスタービン2は、空気を加圧する圧縮機4と、加圧された空気に燃料ガスを供給して燃焼させ、燃焼ガスを発生させる燃焼器5と、燃焼ガスの運動エネルギおよび圧力エネルギによって回転駆動されて圧縮機4および外部の負荷7の駆動力を発生するタービン6とを備えている。 ガスタービン2は、吸着装置1において揮発性有機化合物を混入させた水蒸気を加圧状態のまま燃焼器5の燃焼領域に供給し、 水蒸気に混入している揮発性有機化合物を燃料ガスとともに燃焼させる。 負荷7は例えば発電機である。

    水蒸気生成装置3は、ガスタービン2から排出される燃焼ガスの保有する熱を利用して水蒸気を生成する一種の熱交換器である。 この水蒸気生成装置3は、例えば排熱回収ボイラである。 水蒸気生成装置3で生成された加圧状態の水蒸気は、工場のプロセス用として外部に供給されると共に吸着装置1に供給される。

    上記のように構成された処理システムによって揮発性有機化合物を処理する方法について説明する。
    揮発性有機化合物を含む処理対象ガスが吸着装置1に供給されると、揮発性有機化合物は吸着剤に吸着される。 そして、この吸着剤に吸着された揮発性有機化合物は、加圧環境下における水蒸気の作用によって吸着剤から脱着して水蒸気に混入する。 ここで、上記加圧環境は吸着装置1に水蒸気を供給することにより実現されるが、加圧環境の実現方法はこれに限定されるものではない。 例えば、圧縮機4から排出される圧縮空気の一部を吸着装置1に供給することにより吸着装置1内の加圧環境を実現しても良い。

    このようにして揮発性有機化合物が混入した水蒸気(化合物混入水蒸気)は、加圧状態のままガスタービン2の燃焼器5の燃焼領域に供給される。 そして、化合物混入水蒸気中の揮発性有機化合物は、燃焼器5において燃料ガスとともに燃焼することによって無害化される。 燃焼器5の燃焼ガスの全部あるいは一部は、タービン6を回転駆動した後、水蒸気生成装置3に導入され、水との熱交換によって水蒸気を生成させる。 すなわち、水蒸気生成装置3では、燃焼ガスの熱を利用することにより水が気化して水蒸気が発生する。 このように発生した水蒸気の一部または全部は、加圧状態のまま吸着装置1に供給されて、吸着剤からの揮発性有機化合物の脱着に利用される。

    このような本実施形態によれば、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービン2の燃焼器5に供給して水蒸気に混入している揮発性有機化合物を燃焼処理するので、揮発性有機化合物を従来よりもより完全に無害化することが可能である。 また、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービン2の燃焼器5に供給して水蒸気に混入している揮発性有機化合物を燃焼処理するので、揮発性有機化合物の燃焼熱の分、ガスタービン用燃料の一部を節減することが可能であり、よって総合的なエネルギ効率を向上させることができる。 また、燃焼器5に水蒸気を供給するので、ガスタービン2の排出する燃焼ガス中のNOxの量を低減することが可能であり、よってNOxによる周辺環境の劣化を抑制することができる。

    さらに、ガスタービン2から排出される燃焼ガスの保有する熱を利用して水蒸気を生成するので、水蒸気を他の系統から調達する場合と比較して水蒸気の生成に要するエネルギを削減することが可能であり、したがって工場内のエネルギ効率を総合的に向上させることができる。

    ところで、本実施形態においては、ガスタービン2から排出される燃焼ガスの熱を利用して水蒸気を生成したが、別個に水蒸気を生成する設備を設け、当該設備から水蒸気を供給するようにしても良い。

    〔第2実施形態〕
    次に、本発明の第2実施形態について、図2に示すシステム構成図を参照して説明する。
    最初に、ガスタービン(つまり燃焼器5)が自らの駆動用に必要とする水蒸気の量(燃焼用水蒸気量)と吸着装置1が揮発性有機化合物を吸着するために必要とする水蒸気の量(化合物吸着用水蒸気量)は必ずしも一致するものではない。 すなわち、燃焼用水蒸気量はガスタービンの安定的かつ効率的な運転の必要から決定されるべきものであり、一方、化合物吸着用水蒸気量は揮発性有機化合物の効果的な吸着の必要から決定されるべきものである。

    上記第1実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムは、吸着装置1から排出された化合物混入水蒸気をそのまま燃焼器5に供給するように構成されているので、吸着装置1に供給する水蒸気量と燃焼器5に供給する水蒸気量は同一となり、したがって上述した燃焼用水蒸気量と化合物吸着用水蒸気量とを何れも満足させることができないという問題点がある。

    また、吸着装置1は揮発性有機化合物の吸着剤への吸着と加圧環境下での揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を繰り返すものであり、揮発性有機化合物を含む排ガスを連続して処理することができないという問題点がある。

    本第2実施形態は、このような第1実施形態の問題点を解決するためのものであり、より実機に近い揮発性有機化合物処理システムに関するものである。 なお、図2では、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一符号を付している。 以下の説明では、このような第1実施形態と同一の構成要素に関する説明は重複するので省略する。

    図2のシステム構成図において、符号1A,1Bは吸着装置、8は蒸気バイパス制御弁、9は蒸気噴射制御弁、10A,10Bは処理対象ガス供給弁、11A,11Bは処理済ガス排出弁、12A,12Bは蒸気供給弁、13A,13Bは水蒸気排出弁、14は冷却空気用ファン、15A,15Bは冷却空気供給弁である。

    吸着装置1A(A塔)及び吸着装置1B(B塔)は、第1実施形態の吸着装置1と同様なものである。 この吸着装置1A,1Bは、図示するように処理対象ガス及び水蒸気の供給経路に対して並列に設けられており、後述するように処理対象ガスに対する揮発性有機化合物除去処理を交互に行うものである。

    蒸気バイパス制御弁8は、蒸気供給弁12A,12Bの入口側と水蒸気排出弁13A,13Bの出口側との間に設けられた開閉弁であり、吸着装置1A,1Bに供給される水蒸気の一部を吸着装置1A,1Bを経由することなく蒸気噴射制御弁9に直接供給する、つまり上記水蒸気の一部を吸着装置1A,1Bをバイパスして蒸気噴射制御弁9に供給するためのものである。

    蒸気噴射制御弁9は、上記蒸気バイパス制御弁8とガスタービン2(正確には燃焼器5)との間に設けられており、ガスタービン2への水蒸気の噴射量を規定する。 処理対象ガス供給弁10Aは、吸着装置1A(A塔)において処理対象ガスの供給口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Aへの処理対象ガスの供給/遮断を行う。 一方、処理対象ガス供給弁10Bは、吸着装置1B(B塔)において処理対象ガスの供給口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Bへの処理対象ガスの供給/遮断を行う。

    処理済ガス排出弁11Aは、吸着装置1Aにおいて処理済ガスの排出口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Aからの処理済ガスの排出/遮断を行う。 処理済ガス排出弁11Bは、吸着装置1Bにおいて処理済ガスの排出口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Bからの処理済ガスの排出/遮断を行う。 蒸気供給弁12Aは、吸着装置1Aにおいて水蒸気の供給口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Aへの水蒸気の供給/遮断を行う。 蒸気供給弁12Bは、吸着装置1Bにおいて水蒸気の供給口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Bへの水蒸気の供給/遮断を行う。

    水蒸気排出弁13Aは、吸着装置1Aにおいて化合物混入水蒸気の排出口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Aからの化合物混入水蒸気の排出/遮断を行う。 水蒸気排出弁13Bは、吸着装置1Bにおいて化合物混入水蒸気の排出口に設けられた開閉弁であり、吸着装置1Bからの化合物混入水蒸気の排出/遮断を行う。

    冷却空気用ファン14は、冷却用空気を吸着装置1A,1Bに供給するための動力源である。 冷却空気供給弁15Aは、上記冷却空気用ファン14と冷却用空気を吸着装置1Aとの間に設けられた開閉弁であり、冷却用空気の吸着装置1Aへの供給/遮断を行う。 冷却空気供給弁15Bは、冷却空気用ファン14と冷却用空気を吸着装置1Bとの間に設けられた開閉弁であり、冷却用空気の吸着装置1Bへの供給/遮断を行う。

    このように構成された揮発性有機化合物処理システムでは、吸着装置1Aあるいは吸着装置1Bから排出された化合物混入水蒸気に加え、蒸気バイパス制御弁8を経由した水蒸気が蒸気噴射制御弁9に供給される。 したがって、上述した燃焼用水蒸気量と化合物吸着用水蒸気量とを個別に設定することが可能である。

    例えば燃焼用水蒸気量が流量R1であり、化合物吸着用水蒸気量が流量R2(但しR1>R2)であった場合、流量R1と流量R2との差流量を蒸気バイパス制御弁8を介して蒸気噴射制御弁9に供給することにより、燃焼用水蒸気量及び化合物吸着用水蒸気量の何れについても要求を満足することができる。 なお、R1<R2の場合も考えられるが、この場合は、化合物吸着用水蒸気量をガスタービン2で処理しきれない状態であり現実的でない。

    なお、本揮発性有機化合物処理システムでは、蒸気噴射制御弁9を水蒸気の流れ方向において蒸気バイパス制御弁8の下流側(つまり蒸気バイパス制御弁8とガスタービン2との間)に設けたが、蒸気噴射制御弁9を蒸気バイパス制御弁8の上流側(つまり熱交換器3と蒸気バイパス制御弁8との間)に設けても良い。 このような構成においても、上述したと同様の作用効果が得られる。

    次に、2つ(一対)並列に設けられた吸着装置1A及び吸着装置1Bの動作について、図3〜図5を参照して詳しく説明する。 図3及び図4は、上述した蒸気バイパス制御弁8、処理対象ガス供給弁10A,10B、処理済ガス排出弁11A,11B、蒸気供給弁12A,12B、水蒸気排出弁13A,13B及び冷却空気供給弁15A,15Bの開閉状態に応じた吸着装置1A及び吸着装置1Bの動作状態a〜hの変化を示している。 また、図5は、このような図3及び図4における動作状態a〜hの変化を時系列的に示したタイミングチャートである。 吸着装置1A及び吸着装置1Bは、このような動作状態a〜hの変化を繰り返すことによって、吸着状態→加圧状態→脱着状態→減圧状態→冷却状態→吸着状態の順で状態変化する。

    なお、図3及び図4の蒸気バイパス制御弁8、処理対象ガス供給弁10A,10B、処理済ガス排出弁11A,11B、蒸気供給弁12A,12B、水蒸気排出弁13A,13B及び冷却空気供給弁15A,15Bにおいて、白抜き表示は各弁が「開状態」にあることを示し、黒抜き表示は各弁が「閉状態」にあることを示している。 また、図3及び図4では、蒸気バイパス制御弁8の開閉状態も示しているが、蒸気バイパス制御弁8は、上述したように燃焼用水蒸気量と化合物吸着用水蒸気量との差流量を補うためのものであり、吸着装置1A及び吸着装置1Bの状態を直接規定するものではない。

    動作状態aは、吸着装置1Aが「吸着状態」かつ吸着装置1Bが「加圧状態」であることを示している。 すなわち、吸着装置1Aは、処理対象ガス供給弁10A及び処理済ガス排出弁11Aが開状態、かつ、蒸気供給弁12A、水蒸気排出弁13A及び冷却空気供給弁15Aが閉状態に設定されることによって、処理対象ガスが順次供給されると共に処理済ガスが順次排出される吸着状態となる。 一方、吸着装置1Bは、蒸気供給弁12Bが開状態、かつ、処理対象ガス供給弁10B、処理済ガス排出弁11B、蒸気供給弁12B、水蒸気排出弁13B及び冷却空気供給弁15Bが閉状態に設定されることによって、水蒸気のみが順次供給される加圧状態となる。

    図5にも示すように、吸着装置1Aは動作状態a〜dの比較的長時間に亘って吸着状態を継続し、一方、吸着装置1Bは、先の吸着状態から動作状態aに示す加圧状態に移行して十分な圧力まで加圧されると、動作状態bに示す脱着状態に遷移する。 すなわち、吸着装置1Bは、蒸気供給弁12Bに加えて、水蒸気排出弁13Bが開状態に設定されることによって、水蒸気が順次供給されると共に化合物混入水蒸気が順次排出される脱着状態となる。

    この動作状態bにおいて吸着装置1B内の吸着剤に吸着された有機溶媒が加圧下で十分に脱着すると、吸着装置1Bは、動作状態cに示す減圧状態に遷移する。 すなわち、吸着装置1Bは、処理済ガス排出弁11Bが開状態、かつ、処理対象ガス供給弁10B、蒸気供給弁12B、水蒸気排出弁13B及び冷却空気供給弁15Bが閉状態に設定されることによって減圧状態となる。

    そして、吸着装置1Bは、吸着装置1B内の圧力が常圧まで低下すると、吸着装置1Bは、動作状態dに示す冷却状態に遷移する。 すなわち、吸着装置1Bは、処理済ガス排出弁11Bに加えて、冷却空気供給弁15Bが開状態に設定されることにより、冷却用空気が内部に供給されて常温まで冷却される。 さらに、吸着装置1Bは、動作状態eに示すように、処理対象ガス供給弁10B及び処理済ガス排出弁11Bが開状態、かつ、蒸気供給弁12B、水蒸気排出弁13B及び冷却空気供給弁15Bが閉状態に設定されることによって、処理対象ガスが順次供給されると共に処理済ガスが順次排出される吸着状態となる。

    この一方、吸着装置1Aは、蒸気供給弁12Aが開状態、かつ、処理対象ガス供給弁10A、処理済ガス排出弁11A、蒸気供給弁12A、水蒸気排出弁13A及び冷却空気供給弁15Aが閉状態に設定されることによって、水蒸気のみが順次供給される加圧状態となる。 なお、動作状態e〜hは、動作状態a〜dに対して、吸着装置1Aと吸着装置1Bとが入れ替わった状態なので、これ以上の説明は省略する。

    図5を見ると容易に理解できるように、吸着装置1A及び吸着装置1Bは処理対象ガスからの揮発性有機化合物の吸着と当該揮発性有機化合物の吸着剤からの脱着を交互に繰り返す。 また、処理対象ガスからの揮発性有機化合物の吸着、つまり処理対象ガスの揮発性有機化合物の除去処理は、吸着装置1A及び吸着装置1Bを動作状態a〜hのように遷移せることによって連続的に行われる。

    なお、吸着装置の台数は、2台(吸着装置1A及び吸着装置1B)に限定されない。 さらに多くの吸着装置を並行して作動させることにより処理対象ガスを連続的に処理するようにしても良い。

    〔第3実施形態〕
    次に、本発明の第3実施形態について、図6を参照して説明する。
    本第3実施形態は、処理効率の向上を図るため処理対象ガスに前処理を施すものである。 図6は、本第3実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムのシステム構成図であるが、上述した第1,第2実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムと同一の構成要素については同一符号を付している。

    この図6において、符号16は減湿塔、17,20は冷却装置、18は濃縮装置、19はファンである。 減湿塔16は、処理対象ガスを冷水と気液接触させることにより減湿するものである。 すなわち、減湿塔16は、下方から処理対象ガスが供給されると共に上方から処理対象ガスが排出される一方、上方から下方に向けて冷水を散水するように構成されている。 したがって、処理対象ガスは、冷水との気液接触により冷却されることにより処理対象ガスに含まれている水蒸気が凝縮して冷水中に分離され、この結果減湿される。

    冷却装置17は、このような減湿塔16の下部から排出された水を冷却して上記冷水として減湿塔16に供給するものである。 減湿塔16と冷却装置17とは減湿装置を構成している。

    濃縮装置18は、減湿塔16から排出された処理対象ガス(減湿されたもの)に含まれる揮発性有機化合物を濃縮して冷却装置20に排出するものである。 すなわち、濃縮装置18は、処理対象ガスを微粉状の活性炭中を挿通させる揮発性有機化合物を吸着・除去し処理ガスとして排出すると共に、上記活性炭に吸着された揮発性有機化合物を排ガスによって活性炭から脱着させることにより濃縮された揮発性有機化合物を含む排ガスを新たな処理対象ガスとして排出する。 水蒸気生成装置3から排出される排ガスは100°C程度の高温ガスであり、このような高温の排ガスによって揮発性有機化合物は活性炭から脱着する。

    ファン19は、上記処理ガスを濃縮装置18から強制排気するために設けられている。 冷却装置20は、上記新たな処理対象ガスを冷却して処理対象ガス供給弁10A,10Bに供給する。 新たな処理対象ガスは、上述したように水蒸気生成装置3から排出された排ガスに濃縮された揮発性有機化合物が含まれたものであり、したがって100°Cに近い高温ガスである。 冷却装置20は、このような高温の新たな処理対象ガスを吸着装置1A,1Bの処理に適した温度まで冷却するために設けられている。

    本揮発性有機化合物処理システムでは、処理対象ガスが減湿塔16と冷却装置17とから構成された減湿装置と濃縮装置18とによって前処理、つまり減湿処理及び濃縮処理された後に吸着装置1A,1Bによって本処理(揮発性有機化合物の除去処理)される。 したがって、吸着装置1A,1Bでは、上述した第1、第2実施形態よりも濃度の高い揮発性有機化合物を含む新たな処理対象ガスを処理するので、処置効率の向上を図ることができる。

    例えば上述した図5は、吸着装置1Aについては動作状態a〜dに亘って、一方、吸着装置1Bについては動作状態e〜hに亘って吸着処理を行うことを示しているが、本実施形態における前処理行うことにより吸着処理の期間を短縮することが可能であり、この分処理対象ガスの処理効率を向上させることができる。

    なお、前処理としては、減湿処理あるいは濃縮処理の何れか一方であっても良い。 減湿処理によって処理対象ガス中の水蒸気が除去されるので、この分、処理対象ガスにおける揮発性有機化合物の濃度は有意に上昇する。 したがって、前処理を減湿処理のみとすることによっても、処理対象ガスの処理効率の向上を図ることが可能である。 一方、濃縮処理のみによっても揮発性有機化合物の濃度は有意に上昇するので、処理対象ガスの処理効率の向上を図ることが可能である。

    〔第4実施形態〕
    次に、本発明の第4実施形態について、図7を参照して説明する。
    本揮発性有機化合物処理システムは、図7に示すように、上述した第3実施形態に係る揮発性有機化合物処理システムにファン21、加熱ガス供給弁22A,22B及び加熱ガス排出弁23A,23Bを付加した構成を有する。

    ファン21は、水蒸気生成装置3から排出された排ガス(加熱ガス)を加熱ガス供給弁22A,22Bに供給する。 加熱ガス供給弁22Aは、このようなファン21と吸着装置1Aの排ガス供給口との間に設けられており、排ガスの吸着装置1Aへの供給/遮断を行う。 一方、加熱ガス供給弁22Bは、このようなファン21と吸着装置1Bの排ガス供給口との間に設けられており、排ガスの吸着装置1Bへの供給/遮断を行う。

    加熱ガス排出弁23Aは、吸着装置1Aの排ガス排出口と冷却装置20の処理対象ガス供給口との間に設けられており、吸着装置1Aから排出された排ガスの冷却装置20の処理対象ガス供給口への供給/遮断を行う。 加熱ガス排出弁23Bは、吸着装置1Aの排ガス排出口と冷却装置20の処理対象ガス供給口との間に設けられており、吸着装置1Aから排出された排ガスの冷却装置20の処理対象ガス供給口への供給/遮断を行う。

    吸着装置1A,1Bは、第2実施形態で説明したように図3〜図5に示すものとなるが、加圧処理において常温状態にある吸着装置1A,1Bに加圧用の水蒸気を供給することによって当該水蒸気の一部が凝縮してドレン水となる。 そして、このドレン水には吸着処理によって吸着剤に付着した揮発性有機化合物が微少ながら溶け込んでいる。

    本揮発性有機化合物処理システムは、このような問題点を解決するものであり、図3〜図5に示した吸着処理と加圧処理との間に、上述したファン21、加熱ガス供給弁22A,22B及び加熱ガス排出弁23A,23B並びに水蒸気生成装置3から排出された排ガスを用いた加熱処理を行うものである。

    吸着装置1A,1Bの何れについても同様な加熱処理を行うので、代表として吸着装置1Bについて説明すると、吸着装置1Bへの処理対象ガスの供給及び処理済ガスの排出による吸着処理が完了すると、加熱ガス供給弁22B及び加熱ガス排出弁23Bのみを開放することによりファン21から排出される排ガスを吸着装置1Bに供給することにより吸着装置1B内を加熱する。 この排ガスは、上述したように100°C程度の温度を有しているので、吸着装置1B内を水蒸気の凝縮が発生しない程度に十分に加熱することが可能である。

    この結果、次工程つまり水蒸気による加圧処理によって水蒸気が凝縮することを防止することが可能であり、上述した吸着装置1A,1Bのドレン水の問題点を解決することができる。 したがって、本揮発性有機化合物処理システムによれば、吸着装置1A,1Bのドレン水に含まれる揮発性有機化合物をエネルギ源として有効利用することが可能であると共に、この揮発性有機化合物をガスタービン2の燃料の一部として燃焼させることによりさらなる省エネルギを実現できる。

    なお、上記吸着装置1A,1Bのドレン水に含まれる揮発性有機化合物を処理する必要がない場合には、このドレン水を水蒸気生成装置3の排ガス排出口に供給して気化させて大気中に放出するようにしても良い。 ドレン水の水量は多くはないので、水蒸気生成装置3の排ガス排出口に供給することにより十分に気化させることができる。

    〔第5実施形態〕
    最後に、本発明の第5実施形態について、図8を参照して説明する。
    本揮発性有機化合物処理システムは、水蒸気生成装置3が他の装置と離間して配置されている場合に対応するものであり、上述した第3、第4実施形態の変形例に相当するものである。

    第3実施形態の揮発性有機化合物処理システムは、処理対象ガスを濃縮装置18で濃縮するために水蒸気生成装置3から排出された排ガスを熱源として利用する。 一方、第4実施形態の揮発性有機化合物処理システムは、吸着装置1A,1Bのドレン水の発生を抑えるために水蒸気生成装置3から排出された排ガスを熱源として利用する。

    しかしながら、これらの揮発性有機化合物処理システムでは、水蒸気生成装置3が濃縮装置18や吸着装置1A,1Bから離間して配置されている場合には、排ガスを濃縮装置18や吸着装置1A,1Bに供給するために比較的大きなダクトを長距離に亘って敷設する必要があると共に比較的大きな送風動力を必要とするので、設備コストの上昇やライニングコストの上昇を招く。

    本揮発性有機化合物処理システムは、上述した第4実施形態の構成に対し、排ガスに代えて空気をファン21に供給すると共に、排ガスに代えて空気をファン24から濃縮装置18に供給し、さらにファン21の排出空気を熱交換器25,26及びポンプ27から構成された第1の加熱装置によって加熱する一方、ファン24の排出空気を熱交換器28,29及びポンプ30から構成された第2の加熱装置によって加熱する。

    熱交換器25は、水蒸気生成装置3の排ガス排出口近傍に設けられ、排ガスと所定の熱媒との熱交換を行う。 熱交換器26は、ファン21の空気排出口近傍に設けられ、ファン21から排出された空気と上記熱媒との熱交換を行う。 ポンプ27は、熱交換器25と熱交換器26との間に設けられた熱媒循環路の途中に設けられており、熱媒を熱交換器25と熱交換器26との間で循環させる。

    熱交換器28は、水蒸気生成装置3の排ガス排出口近傍に設けられ、排ガスと所定の熱媒との熱交換を行う。 熱交換器29は、ファン24の空気排出口近傍に設けられ、ファン24から排出された空気と上記熱媒との熱交換を行う。 ポンプ30は、熱交換器28と熱交換器29との間に設けられた熱媒循環路の途中に設けられており、熱媒を熱交換器28と熱交換器29との間で循環させる。

    このように構成された本揮発性有機化合物処理システムでは、水蒸気生成装置3から排出された排ガスを濃縮装置18や吸着装置1A,1Bに直接供給するのではなく、第1,第2の加熱装置を用いて排ガスの熱をファン21,24から排出される空気に熱伝達させることにより当該空気を加熱して加熱空気とし、この加熱空気を加熱ガスとして濃縮装置18及び吸着装置1A,1Bに供給する。

    ここで、上記熱媒に比較的熱容量の大きな液体状の熱媒を用いることによって、各熱媒循環路は、排ガスを濃縮装置18や吸着装置1A,1Bに供給するダクトに比較して大幅に小さな設備となる。 また、熱媒の熱容量が大きい場合には熱媒の循環流量を比較的小さく抑えることができるので、ポンプ27,30の動力は、排ガスを濃縮装置18や吸着装置1A,1Bに供給する送風動力よりも小さく抑えることができる。

    したがって、本揮発性有機化合物処理システムによれば、水蒸気生成装置3が濃縮装置18や吸着装置1A,1Bから離間配置されている場合における設備コストの上昇やライニングコストの上昇を回避することができる。

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