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深海堆積物、海洋資源鉱床および/または海中斜面を機械的に安定化させる方法、および/または深海堆積物の液圧特性を制御・調整する方法

申请号 JP2017558460 申请日 2016-05-04 公开(公告)号 JP2018514672A 公开(公告)日 2018-06-07
申请人 ゲオマール ヘルムホルツ−ツェントルム フュア オツェアンフォアシュング キール; GEOMAR Helmholtz−Zentrum fuer Ozeanforschung Kiel; 发明人 マティアス ヘッケル; クリスティアン ドイスナー;
摘要 本発明は、海洋または海底堆積物中にガスハイドレートを形成する物質を注入し、ガスハイドレート・堆積物複合体を形成するステップを有している、深海堆積物、海洋資源鉱床および/または海中斜面を機械的に安定化させる方法、および/または深海堆積物の液圧特性を制御・調整する方法に関する。
权利要求

海洋または海底堆積物中にガスハイドレートを形成する物質を注入し、ガスハイドレート・堆積物複合体を形成するステップを有している、 深海堆積物、海洋資源鉱床および/または海中斜面を機械的に安定化させる方法、および/または深海堆積物の液圧特性を制御・調整する方法。静的な負荷および僅かな透過率のために前記ガスハイドレート・堆積物複合体を形成すべく、前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入を、非表面ぬれ性流体相において制限条件下で行う、請求項1記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレート・堆積物複合体を、固体状で、固く、僅かに変形可能でありかつ僅かに透過性に形成する、請求項2記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートの形成を、流体相・固相境界面および/または流体相・流体相境界面および/またはポアスロートで行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記堆積物の粒子は主として形状接続的に結合される、請求項1から4までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。動的な負荷および高い透過率のために前記ガスハイドレート・堆積物複合体を形成すべく、前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入を、表面ぬれ性流体相において水制限しない条件下で行う、請求項1記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の注入によって、変形可能な透過性のガスハイドレート・堆積物複合体を形成する、請求項6記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の注入によって形成されるガスハイドレートを間隙内に形成し、前記堆積物の粒子を結合させない、または主に摩擦接続的に結合させる、請求項1または6または7記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレート・堆積物複合体の形成前、または形成中、または形成後に、深海基礎の建設、深海係留の構築、掘削孔の建設、および/または掘削孔の閉鎖部の構築を行う、請求項1から8までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレート・堆積物複合体の形成によって、フィルタ層および/または技術的バリヤを構築する、請求項1から9までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレート・堆積物複合体の形成前、または形成中、または形成後に、天然ガスまたは石油を採掘する、請求項1から10までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレート・堆積物複合体の形成によって、斜面の地滑りおよび堆積物の移動を阻止する、請求項1から11までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入を、水が時間的かつ/または場所的に利用可能である状態で行い、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成時点で可動の水が存在しない場合、または存在している水が連続相として存在していない場合に、水制限が存在しており、各時点で存在する前記水は前記ガスハイドレート・堆積物複合体の表面をぬらし、毛管によってポアスロートに保持され、または注入流体の成分として、一時的に分散された非連続相として存在する、請求項1から12までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入を、水が時間的かつ/または場所的に利用可能である状態で行い、水制限状態で前記ガスハイドレート・堆積物複合体を形成する間に、ガスハイドレートを形成するガスが過剰に存在し、各時点で形成することができるガスハイドレートの最大量を水の量によって制限する、請求項1から13までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入を、水が時間的かつ/または場所的に利用可能である状態で行い、この際に、非堆積物ぬれ性相の注入と、存在している間隙水の集中的な排除とによって、または注入流体の成分としての水の所定の添加によって、水の利用可能性を制御する、請求項1から14までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入を、所定の表面ぬれ性流体または流体混合物、または所定の非表面ぬれ性流体または流体混合物によって行い、この際に、前記水の利用可能性を制御かつ制限し、または制限せず、ガスハイドレート形成の場所および主な結合形式が粒子レベルで規定される、請求項1から15までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。表面ぬれ性流体相として、高いCH4またはCO2濃度を有する水溶液を使用し、 かつ/または 非表面ぬれ性流体相として、CH4ガスまたは液状のCO2を使用し、 かつ/または 関与する表面として、堆積物粒子、ガスハイドレート、および注入された技術的に関連する固体物質の表面を使用し、 かつ/または 様々なハイドレートを形成する成分、CO2、CH4、N2、H2S、エタン、プロパン、および/またはイソブタンが流体相に含まれる、請求項1から16までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。前記ガスハイドレートを形成する物質の前記注入は、ハイドレート形成物と水の注入を交互に、交代で行うことを含む、請求項1から17までのいずれか1項記載の安定化および/または制御方法。

说明书全文

本発明は、深海堆積物、海洋資源鉱床および/または海中斜面を機械的に安定化させる方法、および/または深海堆積物の液圧特性を制御・調整する方法に関する。

一般に、本発明は、深海堆積物、海洋資源鉱床、および海底斜面を機械的に安定化させることができる方法、ならびに深海堆積物の液圧特性を制御できるようにする方法に関する。特定の用途では、本発明は、深海基礎、係留、掘削孔を構築し、機械的に安定化させるために、ならびに海底で生じる漏れを閉鎖するために機能する。深海堆積物の機械的安定化と液圧調整は、特に、海洋ガスハイドレート鉱床から天然ガスを生産する際に、とりわけ砂およびの生成を回避するために必要である。

多くの産業的および科学的利用(例えば、深海掘削、石油・ガス採掘、環境調査)のためには、極めて高価な技術的機器を海底または海底堆積物内に設置し、所定の期間以上確実に運転させなければならない。これら技術的プラットフォームの海底における設置および運転のためには、しっかりとした基礎が必要である。この場合、堆積物の不安定化によって、運転期間内に技術的問題(例えば、重たい機器の沈下、掘削孔の崩壊、採掘ラインの曲がりとよじれ)が生じる恐れがある。

深海領域で運転される全ての洋上プラットフォーム(例えば、石油・ガス産業における掘削島または海底設備)のために係留が必要である。係留システムは、通常、長期にわたる運転用に設計されているプラットフォームの位置決めのために用いられる。産業的用途はますます海底深くに進んで行っているので、近年は、様々な負荷場面を想定して多数の係留コンセプトが開発されている。この際、海底における係留は、風や波の流れによる動的な負荷にも耐えなければならないことが特別な問題となっている。どの係留システムも堆積物内に負荷を導入する。天然堆積物の固化の程度や状態に応じて、このような負荷の導入は問題となる。何故ならば、例えば、固化度の低い堆積物は、引張およびせん断力を極めて僅かにしか吸収することができず、海底で分散するおそれがあるからである。したがって、係留部は大きく寸法設定されており、海底に大きな「設置面積」を有する。堆積物におけるシステムの据え付け、特に位置決めは極めて困難であり、係留を調整して据え付けるこの作業のために、複数の大型の洋上プラットフォームがしばしば必要となる。

英国特許出願公開第2188699号明細書から、動的負荷をエラストマにより吸収する、洋上掘削における振動減衰法が公知である。

深海掘削の実施および構築は特に、石油・ガス産業において技術的かつ経済的に大きな意味がある。まず、固化していない堆積物における掘削の実施は問題である。何故ならば、掘削孔の安定化が困難であり、掘削負荷のために崩壊する危険を排除できないからである。特に、天然ガスハイドレートを含む堆積物層に進行する際には、掘削作業による著しい局所的なエネルギの導入により、天然ガスハイドレートの分解、間隙圧の上昇、堆積物の脆弱化、および掘削の危険につながる恐れがある。天然に存在しているガスハイドレートの不安定化は、例えば高温の石油およびガスの採掘、または高温水の圧入(SAGD:steam assisted gravity drainage)によっても生じることがある。堆積物の動きも掘削の危険となる恐れがある。

海洋ガスハイドレート鉱床からの資源の獲得には、採掘する鉱床による生産とその後の保管の間に、ガスハイドレート鉱床の機械的安定化と液圧調整が必要である。海洋ガスハイドレート鉱床からの将来的なガス生産のための現在の従来技術は、未解決の複数の技術的問題に直面している。これらの問題は、2012年と2013年に、アラスカ州永久凍土地帯および日本の沖合にある南海トラフで行われたフィールドテストによって明らかになり、フィールドテストの成果を脅かした。1つの重要な問題は、放圧および誘起されたガス・水の流れによるガスハイドレートの不安定化に起因する砂の生成であった。大規模な砂の生成に先立って生じる掘削孔の周囲の不安定化は、掘削孔の取り返しのつかない損失と著しいコストに通じる恐れがある。別の問題は、特に日本沖合のフィールドテストの実施時に生じた、早期に始まる水の生成である。水の生成は、透過性ゾーンの存在を示すものであり、この透過性ゾーンを通ってさらなる地層水が鉱床に浸入する。水の浸入は、調節可能な最大圧力勾配を規定し、ガス採掘時の最大収量を制限する。モデル計算はさらに、特に生産終了後も、動的負荷による堆積物の不安定化を予想しなければならないことを示している。何故ならば、生産は、不安定化させる負荷変化(生産時の有効応力の上昇、生産完了後の有効応力の低下)を伴うからである。

海洋ガスハイドレート鉱床からのガス生産の結果と、気候変化(海底の温暖化)に起因する天然ガスハイドレートの不安定化とによって、海底斜面の不安定化が生じる恐れがある。海底斜面の地滑りは、陸上の地滑りよりもはるかに大きな体積の固体物質をより長い距離にわたって移動させる可能性がある。急速に堆積した固化していない材料を含む領域、または高い間隙圧を有する領域は特に危険である。上述した状況における障害のメカニズムは、堆積物の活荷重と比較して比較的高い間隙圧の結果であり、これはせん断抵抗を減少させる。比較的高い間隙圧は、ガスハイドレートの分解によって、またはガスハイドレートからガスを生産する際の負荷変化によって生じる。斜面不安定化の別の原因やメカニズムも公知である(例えば、天然のガス源)。

独国特許出願公開第102010026524号明細書により、天然ガス、石油、水の採掘時に生じる漏れを一時的かつ可逆的に、凍結剤を利用して閉鎖することが提案されている。凍結剤としては、液体の水素、窒素、酸素、またはドライアイスの使用が想定されている。堆積物との結合はなく、このシステムは基礎形成と土台には適しておらず、または想定されていない。

独国特許出願公開第102009055175号明細書から、洋上風力エネルギ装置のマスト用の基礎形成が公知である。このマストは、傾斜状態となった場合に、予めそこに設置された「空のクッション」に「圧縮材料」を充填することによって調節できるようになっている。このシステムは堆積物の安定化のために考えられているのではなく、予め規定された範囲内でのみ、マストの傾斜状態に反応することができる。

本発明の課題は、不安定な基礎、堆積物の静的および動的負荷、掘削孔の不安定化、水の生成物の漏れ、ガスハイドレート鉱床の不安定化、深海斜面の不安定化といった、生じる液圧的かつ機械的問題を解決するシステムを提供することである。

本発明の課題は、請求項1記載の深海堆積物、海洋資源鉱床、および/または海中斜面を機械的に安定化させる方法、および/または制御・調整する方法によって解決される。

深海堆積物、海洋資源鉱床、および/または海中斜面を機械的に安定化させる方法、および/または深海堆積物の液圧特性を制御・調整する方法は、海洋または海底堆積物中にガスハイドレートを形成する物質を注入し、ガスハイドレート・堆積物複合体を形成するステップを有している。

ここで注目すべきは、ガスハイドレート・堆積物複合体である。

この方法はさらに、静的な負荷および僅かな透過率のためにガスハイドレート・堆積物複合体を形成すべく、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、非表面ぬれ性流体相において水制限条件下で行うステップを有していてよい。

この方法はさらに、ガスハイドレート・堆積物複合体を、固体状で、固く、僅かに変形可能でありかつ僅かに透過性に形成するステップを有していてよい。

さらなる態様では、ガスハイドレートの形成が、流体相・固相境界面および/または流体相・流体相境界面および/またはポアスロートで行われてよい。堆積物の粒子は、これに関しては主に形状接続的に互いに結合する。

この方法はさらに、動的な負荷および高い透過率のためにガスハイドレート・堆積物複合体を形成すべく、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、表面ぬれ性流体相において水制限しない条件下で行うステップを有していてよい。この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入によって、変形可能な透過性のガスハイドレート・堆積物複合体を形成するように構成されていてよい。

この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入によって形成されるガスハイドレートを間隙内に形成し、堆積物の粒子を結合させない、または主に摩擦接続的に結合させるステップを有していてよい。

本発明によれば、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成前、または形成中、または形成後に、深海基礎の建設、深海係留の構築、掘削孔の建設、および/または掘削孔の閉鎖部の構築を行うことができる。さらに、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成によって、フィルタ層および/または技術的バリヤを構築することができ、さらに斜面の地滑りおよび堆積物の移動を阻止することができる。本発明によれば、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成前、形成中、または形成後に天然ガスまたは石油を採掘することができる。

この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、水が時間的かつ/または場所的に利用可能である状態で行うステップを有していてよい。ガスハイドレート・堆積物複合体の形成時点で可動の水が存在しない場合、または存在している水が連続相として存在していない場合に、水制限が存在しており、各時点で存在する水はガスハイドレート・堆積物複合体の表面をぬらし、毛管力によってポアスロートに保持され、または注入流体の成分として、一時的に分散された非連続相として存在している。

この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、水が時間的かつ/または場所的に利用可能である状態で行うステップを有していてよい。水制限状態でガスハイドレート・堆積物複合体を形成する間に、ガスハイドレートを形成するガスが過剰に存在し、各時点で形成することができるガスハイドレートの最大量を水の量によって制限する。

この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、水が時間的かつ/または場所的に利用可能である状態で行うステップを有していてよく、この際に、非堆積物ぬれ性相の注入と、存在している間隙水の集中的な排除とによって、または注入流体の成分としての水の所定の添加によって、水の利用可能性を制御する。

この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、所定の表面ぬれ性流体または流体混合物、または所定の表面非ぬれ性の流体または流体混合物によって行うステップを有していてよく、この際に水の利用可能性を制御かつ制限し、または制限せず、ガスハイドレート形成の場所および主な結合形式が粒子レベルで規定される。

これに加えて、この方法は特に以下の特徴を有していてよい。 −表面ぬれ性流体相として、高いCH4またはCO2濃度を有する水溶液を使用する、 かつ/または −非表面ぬれ性流体相として、CH4ガスまたは液状のCO2を使用する、 かつ/または −関与する表面として、堆積物粒子、ガスハイドレート、および注入された技術的に関連する固体物質の表面を使用する、 かつ/または −様々なハイドレートを形成する成分、CO2、CH4、N2、H2S、エタン、プロパン、および/またはイソブタンが流体相に含まれる。

この方法はさらに、ガスハイドレートを形成する物質の注入が、ハイドレート形成物と水の注入を交互に、交代で行うことを含むステップを有していてよい。

海洋堆積物、基礎、基礎形成、掘削孔、深海斜面、資源貯蔵物を機械的に安定化させるための、または液圧調整するための本発明による方法は、ガスハイドレートを形成する物質を海洋堆積物または海底堆積物中に注入することにより、ガスハイドレート・堆積物複合体を形成することを特徴とする。

1つの実施形態では、本発明による方法は、静的な負荷に対して安定化させるために、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、非表面ぬれ性流体相において水制限条件下で行うことを特徴とする。

別の実施形態では、本発明による方法は、動的な負荷に対して安定化させる際に、ガスハイドレートを形成する物質の注入を、表面ぬれ性流体相において、または非表面ぬれ性相において、水制限しない条件下で行うことを特徴とする。

驚くべきことに、所定のガスハイドレート・堆積物複合体の形成には、水の時間的および場所的利用可能性が重要であることが分かった。ガスハイドレート・堆積物複合体の形成の時点で可動の水が存在しない場合、または存在している水が連続相として存在していない場合、水の制限がある。この条件下で各時点で存在する水は、ガスハイドレート・堆積物複合体の表面をぬらし、毛管力によってポアスロートに保持されるか、または注入流体の成分として一時的に分散された非連続相として存在する。水制限の特徴はさらに、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成中、ガスハイドレートを形成するガスが過剰に存在し、各時点で形成することができるガスハイドレートの最大量が水の量によって制限されることにある。水の利用可能性は、非堆積物ぬれ性の相の注入、および存在している間隙水の集中的な排除によって、または注入流体の成分としての水の所定の添加によって制御される。所定の表面ぬれ性流体もしくは流体混合物、または非表面ぬれ性流体もしくは流体混合物の注入と、(制限された、または制限されない)水の利用可能性の制御とによって、粒子レベルでガスハイドレート形成の場所および主な結合形式が規定される。

本発明による方法によると、ガスハイドレートを形成する物質を海洋堆積物または海底堆積物中に適切に注入することによって、2つの異なるタイプのガスハイドレート・堆積物複合体を形成することができる。

1.水制限条件下で、非表面ぬれ性流体相のガスハイドレートを形成する化学物質を注入することによって、固体状で、固く、僅かに変形可能でありかつ僅かに透過性のあるガスハイドレート・堆積物複合体が急速に形成される。このガスハイドレート・堆積物複合体は、好適なガスハイドレートが流体相・固相境界面または流体相・流体相境界面に、特にポアスロートに形成され、堆積物粒子を主に形状接続的に結合することを特徴とする。

2.水制限しない条件下で、表面ぬれ性流体相のガスハイドレートを形成する化学物質を注入することによって、または非表面ぬれ性流体相のガスハイドレートを形成する化学物質を注入することによって、変形可能な透過性のガスハイドレート・堆積物複合体が形成される。このガスハイドレート・堆積物複合体は、好適なガスハイドレートが間隙に形成され、堆積物粒子は結合されないか、または主に摩擦接続的に結合されることを特徴とする。

図1には、水制限条件下で非表面ぬれ性流体相の注入によって急速に形成された、固体状で、固く、僅かに変形可能でありかつ僅かに透過性のあるガスハイドレート・堆積物複合体が概略的に示されている。堆積物ぬれ性の流体部分としての水は、形状接続的な複合体の表面に層を成す。

図2には、水制限しない条件下でゆっくりと形成された、弾性的かつ可塑的に変形可能な、透過性のある、主に摩擦接続的なガスハイドレート・堆積物複合体が概略的に示されている。堆積物ぬれ性の流体の注入中の成長によって、接触個所および摩擦面が生じる。

1.)に関する典型的な技術的用途例は、以下の通りである。 −主に静的な負荷のもとでの技術的用途の基礎およびプラットフォーム −技術的バリヤ、ハウジング、シール −掘削孔安定化 −斜面安定化

2.)に関する典型的な技術的用途例は、以下の通りである。 −主に動的な負荷のもとでの技術的用途のための基礎およびプラットフォーム −フィルタ層および支持層 −ガスハイドレート鉱床の安定化および保管

表面ぬれ性流体相は、適切な条件下で例えば高いCH4またはCO2濃度を有する水溶液である。

非表面ぬれ性流体相は、適切な条件下で例えばCH4ガスまたは液状のCO2である。

関与する表面は、堆積物粒子、ガスハイドレート、および注入された技術的に関連する固体物質の表面である。

実験的調査 実験的な作業において、驚くべきことに、ガスハイドレート・堆積物複合体は、海洋堆積物の技術的に制御された機械的安定化および液圧調整のために利用できることが分かった。本発明は、可能な技術的用途の幅広い多様性を開示しており、これについては後述する。砂状の堆積物内にCH4、CO2、またはCO2:CH4:N2ガス混合物を導入する様々な高圧実験が行われた。多くの実験が貫流条件下で行われた。1つの試験装置の概略図が図3に示されている。驚くべきことに、流体導入後、ガスハイドレートおよびガスハイドレート・堆積物複合体の形成およびその特性が広い範囲で検出され、技術的に予想されなかった形で影響を与えられる様々なプロセスが経過することが分かった。

驚くべきことに、技術的パラメータ、温度、圧力、注入速度、注入シーケンス、流体組成を適切に選択した場合、堆積物の機械的安定性および透水性を、以下の観点で変化させられることが分かった。 1.)水制限条件下で、非表面ぬれ性流体相のガスハイドレートを形成する化学物質を注入することによって、固体状で、固く、僅かに変形可能でありかつ僅かに透過性のあるガスハイドレート・堆積物複合体が急速に形成される。このガスハイドレート・堆積物複合体は、好適なガスハイドレートが流体相・固相境界面または流体相・流体相境界面に、特にポアスロートに形成され、堆積物粒子を主に形状接続的に結合することを特徴とすることが分かった。 2.)水制限しない条件下で、表面ぬれ性流体相のガスハイドレートを形成する化学物質を、または非表面ぬれ性流体相のガスハイドレートを形成する化学物質を注入することによって、弾性的かつ可塑的に変形可能な透過性のガスハイドレート・堆積物複合体が形成される。このガスハイドレート・堆積物複合体は、好適なガスハイドレートが間隙に形成され、堆積物粒子が結合されないか、または主に摩擦接続的に結合されることを特徴とする。

堆積物ぬれ性の流体相を使用する場合、ガスハイドレート粒子が形成され、この粒子は、最初は堆積物粒子と殆ど直接接触せず、または単に摩擦接続的に接触し、間隙を充填する(図4参照)。このようなガスハイドレート・堆積物複合体の形成によって、機械的および液圧的特性(例えばせん断強さ、透過性)にゆっくりと連続的に影響を与えることができる。

非堆積物ぬれ性の流体相を水制限条件下で使用する場合、極めて急速かつしっかりした形状接続的なガスハイドレート・堆積物複合体を形成することができる。このガスハイドレート・堆積物複合体は高い強度を有することができ、高い圧力下でも浸透されることはない。

使用の場合に応じて(「使用例」も参照)、両形式のガスハイドレート・堆積物複合体の形成を求めることができる。

堆積物ぬれ性の流体相を使用する場合も、ガスハイドレートを形成する化学物質を継続的に供給する場合、高い液圧抵抗を有する僅かに透過性のあるガスハイドレート・堆積物複合体を形成することができる(図5)。すなわち、適切な技術的パラメータを選択することによって、必要な複合体構造および技術的特性を移行状態なしに調節することができる。

さらに、まず非堆積物ぬれ性の流体、例えば2相のCO2・水混合物を注入することができる。さらなる注入経過では、堆積物ぬれ性の水・CO2混合物への移行、すなわち水の割合の高い2相の流体への移行を行うことができる。このようにして、まず比較的高い架橋度を有するガスハイドレート・堆積物複合体が形成され、次いで、ガスハイドレートによって間隙が充填される。

表面ぬれ性流体相は、適切な条件下で例えば高いCH4またはCO2濃度を有する水溶液である。非表面ぬれ性流体相は、適切な条件下で例えばCH4ガスまたは液状のCO2である。関与する表面は、堆積物粒子、ガスハイドレート、および注入された技術的に関連する固体物質の表面である。

所定のガスハイドレート・堆積物複合体の形成には、水の時間的および場所的利用可能性が重要である。ガスハイドレート・堆積物複合体の形成の時点で可動の水が存在しない場合、または存在している水が連続相として存在していない場合、水の制限がある。この条件下で各時点で存在する水は、ガスハイドレート・堆積物複合体の表面をぬらし、毛管力によってポアスロートに保持されるか、または注入流体の成分として一時的に分散された非連続相として存在する。水制限の特徴はさらに、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成中、ガスハイドレートを形成するガスが過剰に存在し、各時点で形成することができるガスハイドレートの最大量が水の量によって制限されることにある。水の利用可能性は、非堆積物ぬれ性相の注入、および存在している間隙水の集中的な排除によって、または注入流体の成分としての水の所定の添加によって制御される。所定の表面ぬれ性流体もしくは流体混合物、または非表面ぬれ性流体もしくは流体混合物の注入と、(制限された、または制限されない)水の利用可能性の制御とによって、ガスハイドレート・堆積物複合体の各時点で存在する表面の化学的および物理的特性に関する知識に関連して、粒子レベルでガスハイドレート形成の場所および主な結合形式(形状接続的もしくは摩擦接続的な結合、または堆積物粒子とガスハイドレートとが結合されない)が規定される。

水制限条件下で、ガスハイドレートをまず、ポアスロートにおける非可動水によって形成し、次いで水制限の継続下で強化すると、粒子レベルで好適な形状接続が生じる。非可動水とは、堆積物におけるまたはガスハイドレート・堆積物複合体における表面力または毛管力によって保持される水である。ガスハイドレート・堆積物複合体における形状接続的な結合は、ガスハイドレートと堆積物粒子とが、セメント化という意味で直接化学結合せず、共通の境界面が分子レベルでの水膜の存在を特徴とする場合にも生じる。ガスハイドレートがまず、間隙内に分散相として形成され、粒子の成長が進行するにつれ、ガスハイドレート粒子と堆積物粒子との間に接触と摩擦面とが生じるとき、粒子レベルで好適な摩擦接続的な結合が生じる。

様々な技術的課題を解決するために、認識を置き換えることができる。このことは以下(技術的用途)に記載する。

ガスハイドレートの安定性 ガスハイドレートの安定性は、圧力および温度条件、各ハイドレート形成物の形式と濃度、付加的な無機および有機の化学的化合物の存在に依存している。図6には、圧力および温度に依存したガスハイドレート(この場合、CH4およびCO2)の安定性が示されている。これらのパラメータには技術的な方法で影響を与えることができるので、ガスハイドレートの形成と安定性を、使用例に特化した要求に応じて規定し制御することができる。したがって、本発明で提案し下記で詳しく説明する、様々なガスハイドレートから所定のガスハイドレート・堆積物複合体を形成するための技術的手段によって、深海の堆積物を圧縮し凝固させるための理想的な方法が提供される。

ガスハイドレート・堆積物複合体の構造および技術的に利用可能な特性 ガスハイドレート・堆積物複合体の機械的および液圧的特性は、技術的に影響を与えることができる多数の化学的物理的および構造的特性に依存している。主な影響因子には、圧力、温度、ハイドレートを形成する単相または多相の流体の組成、すなわちハイドレート形成物(例えば、CH4、CO2またはH2S)の形式と濃度、水の割合、無機または有機の化学的添加物が挙げられる。別の影響因子は、注入速度および注入シーケンス、滞留時間、流れ距離のような同じく直接介入可能なプロセスパラメータである。

これらの影響因子に依存して、堆積物粒子を被覆する、または堆積物粒子とのしっかりとした複合体および耐荷重性の結合を形成する様々なガスハイドレート構造が形成され、これは例えば間隙で主に見受けられる。ガスハイドレート・堆積物複合体は様々な化学組成を有していてよく、様々な構造を形成してよい。

形成されるガスハイドレート・堆積物複合体の化学的物理的および構造的特性、例えば、ガスハイドレートと堆積物粒子との間の結合の形式または架橋度は、堆積物形成の機械的および液圧的特性を規定する。したがって、僅かな強度を有し、圧力負荷、引張り負荷、せん断負荷、回転負荷の際に塑性変形する固化していない堆積物を、技術的用途の範囲内で、所望通りに凝固させることができるので、例えばせん断または回転による著しく高い負荷を許容することができる。

ハイドレート飽和状態、すなわちその他の部分は流体で充填されている間隙におけるガスハイドレートの体積の割合、および堆積物粒子とハイドレート構造との結合の形式は、ガスハイドレート・堆積物複合体の機械的および液圧的特性を直接規定する。高いガスハイドレート飽和状態を有するガスハイドレート・堆積物複合体によって僅かな透過性と高い流れ抵抗とが生じる。いくつかの実験によれば、例えば、液状のCO2と自由な間隙水とから成るガスハイドレート形成物は、極めて高い差圧(150bar超)のもとでも崩壊しない、しっかりした固体状のガスハイドレート・堆積物複合体を形成する。このような形式のガスハイドレート・堆積物複合体は、高い水生成物およびガスハイドレート鉱床からのガス生産の早期崩壊の原因となり得る高透過性領域の液圧的な分離まで含む間隙水流の制限のために、目標に合わせて利用される(使用例4:生産および保管中のガスハイドレート鉱床の機械的安定化および液圧調整を参照)。液圧的特性と同時に、機械的特性、負荷および変形の際の強度、および弾性的かつ可塑的挙動に影響が与えられる。このことは、様々な技術的用途が負荷された堆積物の様々な地質力学的特性を要するので重要である。技術的ユニットおよび配管のための基礎は、好適には弾性的・可塑的に制限されて、動的な負荷変化に反応すべきであり(使用例1:技術的プラットフォームの海底における配置および運転のための固体状基礎の形成を参照)、掘削孔安定化の領域では負荷がかけられた場合に極めて剛性的な挙動と僅かな変形とを必要とする(使用例3:掘削孔の安定化を参照)。故障まで含む不安定な場合の反応もこのように影響を与えることができる。極めて顕著な弾性的・可塑的挙動を伴うガスハイドレート・堆積物複合体は、中程度から強度の負荷がかかった際に測定可能な変形をもって反応し、この変形に対しては場合によっては技術的に対処することができる。これに対して、極めて固体状で剛性的な構造は、故障の直前まで殆ど変形せず、極めて突然に撓む。このような故障さえも、それが例えば一連のプロセスにおいて、所定の堆積物領域をまずねらい通りに凝固させ、透過性を最小限にし、次いで所定の領域を、ねらい通りに急速な貫流のために再び開放することに関して生じるならば、個々の技術的用途では好適に利用することができる。

所定のガスハイドレート・堆積物複合体(GSC, Gashydrate Sediment Composites)の形成を制御するための影響因子 ガスハイドレート・堆積物複合体をねらい通りに形成することによる、海洋堆積物の安定化および液圧調整のための技術の範囲では様々な技術的な影響因子が特定される。この場合、ガスハイドレート・堆積物複合体はガスハイドレート形成によって、または既存のガスハイドレートの変換によっても形成することができる。

技術的処理は、所定の単相または多相の流体を、適切な方法技術的条件下で堆積物内に注入し、必要なガスハイドレート・堆積物複合体を形成することを特徴とする。注入される流体は、ハイドレートを形成する様々な成分(例えば、CO2、CH4、N2、H2S、エタン、プロパン、イソブタン)、水、および様々な化学的または生物学的添加物を含んでいてよい。これらの成分の注入は必ずしも同時に行う必要はなく、特別な特性を備えたガスハイドレート・堆積物複合体を形成するために所定の注入順序で行うこともできる(例えば、ハイドレート形成物と水との交互の注入)。化学的および生物学的添加物は極めて様々な課題を満たすことができる。これらの添加物はとりわけ、ガスハイドレート・堆積物複合体の安定性、その形成速度、またはガスハイドレート・堆積物複合体におけるガスハイドレート飽和状態に直接影響を与え、または流体特性も変化させる、ポリマー、有機酸、アルコール、または塩などの有機または無機の阻害剤であってよい。特に本発明の範囲では、微生物活動によるガスハイドレート形成の影響が利用される。このために注入される流体には、微生物の活動に影響を与えるために、微生物と、その基質、その他の物質を添加することができる。

技術的用途 ガスハイドレート・堆積物複合体の形成により海洋堆積物を機械的に安定化させ液圧調整するための本発明は、様々な技術的場面で使用することができる。これらの使用場面は、以下の通りである。 1.)技術的プラットフォームの海底における配置および運転のための固体状基礎の形成 2.)係留のための深い基礎形成 3.)掘削孔の安定化 4.)生産中および保管中のガスハイドレート鉱床の機械的安定化および液圧調整 5.)深海斜面の機械的安定化

本発明による方法の特徴は特に、使用される化合物が大量に既に天然の海洋系内に存在しており、したがって、例えばセメント化のために非天然の異物または物質を導入する方法とは異なり、本発明による方法の使用によって海洋生物の生息空間に極端な負荷がかからないと期待できることである。本発明による方法の適用は、各使用例に適合されなければならない補足的な技術手段を利用して行われる。この範囲では、流体の注入、流動、拡張を技術的に可能にしなければならず、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成の進行を制御しなければならない。ガスハイドレート・堆積物複合体の拡散はこの場合、注入および吸込装置の設置と作動によって規定される。しかしながら、海底における基礎の形成のために本発明による方法を使用する際にはまさに、ガスハイドレート・堆積物複合体の早期の制御されない分解を阻止するために、水柱に対する不透過性の分離層も使用される。場合によっては、ガスハイドレート・堆積物複合体の形成を制御するために、付加的な電気的または機械的手段が使用される。技術的方式を明らかにするために、以下にいくつかの可能な使用例を記載する。

使用例 1.)海底における技術的プラットフォームの設置および運転のための固体状基礎の形成(図7) 石油の分配のためのポンプステーションを海底に設置し、3年の期間にわたり継続的に運転されるべきである。ステーションは大陸斜面の近傍に位置し、堆積物率は高い。表面堆積物は極めてルーズに成層されており、その構造および成層は規定が困難である。泥土マットまたは杭の設置のような従来の基礎技術が、全ての負荷場面において、ユニットの沈み込みや傾きを防ぐことができるかどうか、オペレータ側からはかなりの懸念がある。ポンプユニットの設置前に堆積物を凝固させるために、注入・吸込ランスが導入され、堆積物は不透過性のカバーによって水柱に対して分離される。吸込ランスによって所定の負圧が形成され、注入ランスによってまず、非堆積物濡れ性の2相のCO2水混合物が注入される。さらなる注入経過では、堆積物ぬれ性の水・CO2混合物への移行が、すなわち水の割合の高い2相の流体への移行が行われる。このようにして、まず比較的高い架橋度を有するガスハイドレート・堆積物複合体が形成され、次いで、ガスハイドレートによって間隙が充填される。ユニットの大きな振動を伴う運転に基づきガスハイドレート・堆積物複合体の弾性的・可塑的挙動が僅かに望まれるので、注入される水には予め、ガスハイドレートの形成をまずは遅らせる生物分解性ポリマーが十分添加されており、これにより注入される流体を均一に拡散することができる。堆積物中に存在している微生物はポリマーをゆっくりと分解する。ポリマーの制限された濃度を下回ったら、ハイドレート形成が開始され、CO2ハイドレートと堆積物粒子との間の中間的な架橋度を有する均一なガスハイドレート・堆積物複合体が形成される。ガスハイドレート・堆積物複合体の強度は、海底へのポンプユニットの確実な設置を可能にし、このように形成された堆積物はさらに、ユニットの大きな振動を伴う運転のために有利である弾性的・可塑的挙動を示す。

2.)係留のための深い基礎形成(図8) 採掘プラットフォームを建設し、20年間運転させたい。水深のため、一貫した杭の設置は技術的に極めて手間がかかり、経済的考慮により除外される。その代わりに従来の係留コンセプトが利用されるのが望ましく、この場合、複数のトーピードアンカ(TORPEDO-Anker)が引張り荷重により堆積物中へと引かれる。これらのアンカはロープ接続を介して、浮動式の採掘プラットフォームの位置決めを保証すべきである。しかしながら存在している堆積物はほとんど固化しておらず、画定するのが難しい。極端な気候条件および波の動力学のもとでは、最大の引張り荷重を越えてタイアンカが堆積物から引き出されることが懸念される。このような理由から、タイアンカの位置決め後に、吸込および注入ランスを介して、非堆積物ぬれ性のCH4−CO2混合物を水と交互に、正確な水飽和状態を調整するために注入する。水には、短鎖有機酸の使用下で、その周りでのガスハイドレート形成を阻止する不凍タンパク質を成す微生物が添加された。正確に調量された基質が消費されると、ガスハイドレートの形成が始まり、堆積物が凝固する。流体の組成の調節および注入方法の選択の際には、堆積物の残余透過性が維持され、極めて長い使用期間に基づき後からの保守注入によって、タイアンカ周囲にガスハイドレートを後から形成できることが注目される。したがって、吸込および注入ランスは極めて耐食性の強い材料から製造され、設置場所に使用可能に維持される。

3.)掘削孔の安定化(図9) ガス採掘用の掘削孔の建設および運転の際には、貯蔵エンジニアにより大きな問題が予想されている。何故ならば、200m〜400mの堆積層深さにあるいくつかの不均質なガスハイドレート層に進入しなければならないからである。さらには、設置場所が大陸斜面の極めて急傾斜の部分にあり、堆積物は極めて凝固しにくく、批判的な見解では、有機物の含有量が高いため、かなりのガス生成速度と間隙圧の変化が予想されている。したがって掘削作業前に既に、相応の深さにおいて広がる領域を、所定のガスハイドレート・堆積物複合体の形成によって凝固させ、建設の際にまたは運転中に、掘削孔の損失を防止することが重要である。ガスハイドレート・堆積物複合体の形成は、注入および吸込ランスの配置によって行われる。注入工程と流体の組成とは、中央の領域で掘削孔のすぐ近くに固体状のCO2ハイドレートが形成され、堆積物と強固に形状接続的に架橋するように選択される。このためにはまず、もっぱら継続的に、CO2を豊富に含む水性の相(堆積物ぬれ性)が注入される。さらなる注入工程で、CO2を含む水性の相に加えて付加的に、微細に分散された純粋なCO2相を注入して、ガスハイドレートを形成する化合物の有効性を高める。このような方法によって、掘削孔形成後はしっかりしたガスハイドレート・堆積物複合体が形成されるが、掘削孔の周りのその他の範囲ではガスハイドレート飽和状態は比較的僅かに維持されて、間隙圧の変化の際に流体の流出を可能にしている。ガスハイドレート形成後、技術的な問題なしに凝固された堆積物を通して掘削を行うことができる。ハイドレート飽和状態が高いことによって、掘削中の加熱による掘削孔の機械的または熱的不安定化は阻止される。何故ならば、この領域における堆積物は、ガスハイドレート分解によってこの期間中極端に冷却されるからである。

4.)生産中および保管中のガスハイドレート鉱床の機械的安定化および液圧調整(図10) 2012年および2013年に、オンショアのアラスカ永久凍土およびオフショアの日本の南海トラフにおいて2回行われたフィールドテストでは、堆積物の不安定化およびガスハイドレート鉱床への水の制御されない浸入に起因する顕著な技術的問題が観察された。生じる砂状生成物および水生成物によって、数日間にわたる短期間のガス生産しか可能ではなかった。海洋ガスハイドレート鉱床からの長期にわたるガス生産においては、主に放圧によって、本発明による方法を3つの観点で使用することができ、技術的問題は解消される。

1) 生産掘削孔の建設後、まず、生産掘削孔から僅かな距離を置いて設置された注入ランスを介して、加熱された超臨界CO2が塩水と交互に注入される。この注入工程によって極めて安定的なガスハイドレートがゆっくりと形成され、徐々に掘削孔の周囲を凝固させる。塩の濃度を高めることによって、最大のハイドレート飽和状態を効果的に限定し、これにより堆積物の残留透過性が維持される。凝固終了後、短い水平孔が貯蔵部のより深い領域に設けられ、この孔を介してガス生産物が送られる。生産掘削孔の周囲における技術的に製造されたガスハイドレート・堆積物複合体は、砂状生成物を阻止するかまたは最小限にする。何故ならば、掘削孔の周囲は崩壊しないからである。加えて、安定化された僅かに透過性のある領域が砂フィルタとして機能する。注入ランスは、生産期間全体にわたって設置されたままとなって、間隔を空けて凝固を更新することができる。

2)鉱床がいくつかの領域で、僅かなハイドレート飽和状態を有する高透過性の堆積物領域につながっていて、この個所でガス生産のために所要の圧力低下が行われる場合、この鉱床に水が浸入する恐れがあるという認識では、本発明によってこの領域を分離し、封止するべきである。このために、やはり注入ランスが設置され、目標に合わせてCO2と水とを交互に、堆積物ぬれ性相として注入する。ガスハイドレート・堆積物複合体の形成が、低濃度のガスハイドレート阻害剤(例えば、有機ポリマー)の添加によって動的に制限されるので、流体の浸入深さは十分に高くなる。短時間後にしっかりした非透過性のガスハイドレート・堆積物複合体が形成され、これは圧力勾配による高い負荷にも耐える。留まっている注入ランスを介して、ガスハイドレートバリヤが所定の間隔で更新される。

3)放圧によるガス生産の終了後、鉱床における間隙圧と有効応力は高く(すなわち、僅かな液圧で高い堆積活荷重)、堆積物は過剰に固化する。周囲の地層水がゆっくりと流入すると、有効応力は低下し、今やガスハイドレートが少なくなった鉱床の不安定化が懸念される。長期的保管のために鉱床を確実に安定化させるために、最後の生産段階では、CO2水混合物が、堆積物ぬれ性相として注入ランスを介して調量される。水には、微生物によって生物学的に分解することができる有機の阻害剤が予め高度に含まれている。微生物は、予め実験によって規定された速度で阻害剤濃度を低下させるので、注入前にガスハイドレート形成の開始を正確に見積もることができる。注入速度は、この微生物による分解速度の知識によって適合される。

5.)深海斜面の機械的安定化(図11) 掘削は、急な傾斜位置のすぐ近くで行われる。斜面領域では大量のガスが出ることが知られている。不均一に分散しているガス流出経路では、堆積物が乱されており、機械的に不安定である。したがって、制御されない斜面の地滑りを想定しなければならず、このとき、技術的ユニットと掘削孔が損傷するかまたは失われる恐れがある。傾斜を安定化させるために、注入ランスを介してCH4−CO2流体混合物(非堆積物ぬれ性相)が注入され、吸込ランスでは所定の負圧が生じ、堆積物のゆっくりとした貫流が生じる。第1のステップでは、堆積物における中間的なハイドレート飽和状態に達するように努め、この場合、ガス流出経路は閉鎖されない。ガス組成の測定は、生じた天然ガスが主にメタンから成っており、加えて僅かな、しかしながら明らかに比較的高い炭化水素の割合が存在していることを示している。このガス混合物は、ガス上昇経路の周囲で、予め技術的に形成されたガスハイドレート・堆積物複合体から強化されたガスハイドレート成長となり、天然ガス上昇経路はさらに安定化される。最後に、比較的高いガスハイドレート飽和状態と、ガスハイドレート・堆積物複合体における良好な架橋度とに達するために、CO2を豊富に含むガス混合物と水との注入が続けられる。

、水制限条件下で非表面ぬれ性流体相の注入によって急速に形成された、固体状で、固く、僅かに変形可能でありかつ僅かに透過性のあるガスハイドレート・堆積物複合体を概略的に示す図である。堆積物ぬれ性の流体部分としての水は、形状接続的な複合体の表面に層を成す。

概略的に、水制限しない条件下でゆっくりと形成された、弾性的かつ可塑的に変形可能な、透過性の、主に摩擦接続的なガスハイドレート・堆積物複合体を示す図である。堆積物ぬれ性の流体の注入中の成長によって、接触個所および摩擦面が生じる。

高圧貫流実験のための概略図を示す図である。

ガスハイドレート粒子と堆積物粒子との間に直接接触を有していない、間隙を充填するガスハイドレート・堆積物複合体を示す図である。

局所的な透過性へのガスハイドレート・堆積物複合体の影響を示す図であり、堆積物ぬれ性の流体相を使用する場合も、ガスハイドレートを形成する化学物質を継続的に供給する場合、高い液圧抵抗を有する僅かに透過性のあるガスハイドレート・堆積物複合体が形成されることを示す。

圧力および温度に依存したガスハイドレート(この場合、CH

4およびCO

2)の安定性を示す図である。

技術的プラットフォームの海底における配置および運転のための固体状基礎の形成への本発明の利用を示す図である。

係留のための深い基礎形成への本発明の利用を示す図である。

掘削孔の安定化への本発明の利用を示す図である。

海洋ガスハイドレート鉱床からのガスの採掘における本発明の利用を示す図であり、図12Aは掘削孔安定化、図12Bは鉱床への水の浸入の阻止、図12Cは、生産終了後の長期保管のためのガスハイドレート・堆積物複合体の形成を示す。

深海斜面の機械的安定化への本発明の利用を示す図である。

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