How to collect crust core samples, as well as antibacterial polymer gel and gel material to be used in this

申请号 JP2001024145 申请日 2001-01-31 公开(公告)号 JP3434800B2 公开(公告)日 2003-08-11
申请人 海洋科学技術センター; 发明人 茂 出口; 弘毅 掘越; 宣明 益井; 薫 辻井;
摘要
权利要求
  • (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 地殻を掘削して地殻コア試料を得る地殻コア試料の採取方法において、 地殻コア試料を、 第4級アンモニウム塩化合物よりなる
    抗菌性単量体を重合して得られる重合体よりなる抗菌性高分子ゲルにより被覆した状態で採取することを特徴とする地殻コア試料の採取方法。 【請求項2】 第4級アンモニウム塩化合物が、下記一
    般式(1)で表される芳香族化合物、アクリロイルオキ
    シアルキル−トリアルキルアンモニウム塩化合物、メタ
    クリロイルオキシアルキル−トリアルキルアンモニウム
    塩化合物、アクリロイルオキシアルキルピリジニウム塩
    化合物およびメタクリロイルオキシアルキルピリジニウ
    ム塩化合物の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の地殻コア試料の採取方法。 【化1】 (式中、R 1は炭素数が1〜18である直鎖状または側鎖を有するアルキル基、R 2およびR 3はメチル基、X
    -はハロゲンイオンを示す。 ) 【請求項3】 地殻を掘削して地殻コア試料を得る地殻
    コア試料の採取方法において、 地殻コア試料を、ホスホニウム塩化合物よりなる抗菌性
    単量体を重合して得られる重合体よりなる抗菌性高分子
    ゲルにより被覆した状態で採取することを特徴とする 地<br>殻コア試料の採取方法。 【請求項4】 ホスホニウム塩化合物が、下記一般式
    (2)で表される芳香族化合物であることを特徴とする
    請求項3に記載の地殻コア試料の採取方法。 【化2】 (式中、R 4 、R 5およびR 6は、各々、炭素数が1〜
    18である直鎖状または側鎖を有するアルキル基、X -
    はハロゲンイオンを示し、R 4 、R 5およびR 6は互いに同一であっても異なっていてもよい。 ) 【請求項5】 抗菌性高分子ゲルを形成する重合体が、
    抗菌性単量体による成分を1〜10モル%の割合で含有
    することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに
    記載の地殻コア試料の採取方法。 【請求項6】 抗菌性高分子ゲルを形成する重合体が
    水性であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の地殻コア試料の採取方法。 【請求項7】 抗菌性高分子ゲルを形成する重合体が
    抗菌性単量体と、アクリルアミド、メタクリルアミド、
    N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′
    −メチレンビスメタクリルアミドの少なくとも一つとに
    より得られる共重合体であることを特徴とする請求項6
    に記載の地殻コア試料の採取方法。 【請求項8】 第4級アンモニウム塩化合物またはホス
    ホニウム塩化合物よりなる抗菌性単量体を重合して得ら
    れる重合体よりなり、地殻を掘削することによる地殻コ
    ア試料の採取において、当該地殻コア試料を被覆するた
    めに用いられることを特徴とする地殻コア試料採取用の
    抗菌性高分子ゲル。 【請求項9】 水が添加されることにより抗菌性高分子
    ゲルを生成する粉末状ゲル材料であって、 当該抗菌性高分子ゲルは、第4級アンモニウム塩化合物
    またはホスホニウム塩化合物よりなる抗菌性単量体を重
    合して得られる重合体よりなり、地殻を掘削することによる地殻コア試料の採取において、当該地殻コア試料を被覆するために用いられることを特徴とする地殻コア試料採取用の ゲル材料
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば地殻コアにおける地殻内生物の研究に供される地殻コア試料の採取方法、並びにこの方法に用いられる抗菌性高分子ゲルおよびゲル材料に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、地殻内部の研究が進展し、地殻内部における深深度の高温高圧環境下における地下微生物の存在が報告されている。 これら地下微生物によって構成される地下微生物圏における地殻内微生物の研究によれば、例えば深部地質環境における物質変換や物質移動の影響の解明、更には原始地球における生命の起源およびその進化の解明、または医薬品や新素材の開発などの重要な可能性が秘められている。 【0003】地殻コア試料は、例えば掘削船を用いて海底地殻の掘削を行うことにより、マントルにより近い深度における地殻から、比較的容易に採取することができる。 掘削船を用いて掘削を行う方法の一例としては、例えばライザー掘削法が知られており、この方法では、掘削船より海底に伸びるドリルパイプを回転させてその先端に設けられたドリルビットにより地殻の掘削を行うと共に、掘削される地殻の状況に応じて、比重、粘度、化学組成などを調製した泥海水などの循環流体をドリルビットに供給することが行われる 。 【0004】このような方法により採取される地殻コア試料は、その採取作業中に外部からの影響を受けることにより、例えば循環流体に接触することなどが原因となって当該試料が地殻に存在していたままの状態が失われるおそれが大きく、その場合には、当該採取された地殻コア試料は、種々の研究目的に対して無用なものとなる可能性がある。 【0005】このような問題に対処するため、地殻コア試料を採取する際に、非透過性ゲルによってその表面をコートし、これにより、地殻コア試料を、その機械的構造が外部から保護された状態で採取する方法が、米国特許5,482,123号明細書に開示されている。 しかしながら、この方法においては、外来の異質微生物が表面のコートを透過して内部に進入して地殻コア試料に付着する可能性があり、付着した微生物は地殻コア試料の表面または内部において増殖する可能性がある。 また、
    実際上、表面コートを形成するゲルの取扱いにおいては、当該ゲルそれ自体に不可避的に微生物が付着するため、当該微生物による汚染を防止することはきわめて困難である。 そして、以上のような原因または他の原因により、外来の異質微生物により汚染された地殻コア試料は、地殻内微生物の研究に不適なものとなる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の地殻コア試料の採取方法では、外部からの異質微生物の混入またはその増殖による微生物汚染に対する措置が十分でないことから、その方法によって採取された地殻コア試料は、地殻内微生物の研究に適したものとはいえない、という問題がある。 本発明は、以上のような事情に基いてなされたものであって、その目的は、外部からの微生物汚染のおそれがなく、地殻内微生物の研究に適した地殻コア試料を採取することができる方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、上記の地殻コア試料の採取方法に用いられる抗菌性高分子ゲルおよびゲル材料を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の地殻コア試料の採取方法は、地殻を掘削して地殻コア試料を得る地殻コア試料の採取方法において、地殻コア試料を、 第4級ア
    ンモニウム塩化合物よりなる抗菌性単量体を重合して得られる重合体よりなる抗菌性高分子ゲルにより被覆した状態で採取することを特徴とする。 この方法において、
    抗菌性高分子ゲルを形成する重合体を得るための抗菌性単量体である第4級アンモニウム塩化合物は、下記一般式(1)で表される芳香族化合物、アクリロイルオキシアルキル−トリアルキルアンモニウム塩化合物、メタクリロイルオキシアルキル−トリアルキルアンモニウム塩化合物、アクリロイルオキシアルキルピリジニウム塩化合物およびメタクリロイルオキシアルキルピリジニウム塩化合物の少なくとも一つであることが好ましい。 【0008】 【化3】

    【0009】(式中、R

    1は炭素数が1〜18である直鎖状または側鎖を有するアルキル基、R

    2およびR

    3はメチル基、X

    -はハロゲンイオンを示す。) 【0010】更に、抗菌性高分子ゲルを形成する重合体を得るための抗菌性単量体はホスホニウム塩化合物であってもよく、この場合には、特にホスホニウム塩化合物が下記一般式(2)で表される芳香族化合物であることが好ましい。 【0011】 【化4】 【0012】(式中、R

    4 、R

    5およびR

    6は、各々、


    炭素数が1〜18である直鎖状または側鎖を有するアルキル基、X

    -はハロゲンイオンを示し、R

    4 、R

    5およびR

    6は互いに同一であっても異なっていてもよい。 ) 【0013】また、抗菌性高分子ゲルを形成する重合体が、抗菌性単量体による成分を1〜10モル%の割合で含有することが好ましい。 更に、抗菌性高分子ゲルを形成する重合体が親水性であることが好ましく、抗菌性高分子ゲルを形成する重合体が、抗菌性単量体と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミドの少なくとも一つとにより得られる共重合体であることが好ましい。 【0014】本発明の地殻コア試料採取用の抗菌性高分子ゲルは、

    第4級アンモニウム塩化合物またはホスホニ


    ウム塩化合物よりなる抗菌性単量体を重合して得られる重合体よりなり、地殻を掘削することによる地殻コア試料の採取において、当該地殻コア試料を被覆するために用いられることを特徴とする。 【0015】本発明の地殻コア試料採取用のゲル材料は、水が添加されることにより抗菌性高分子ゲルを生成する粉末状ゲル材料であって、当該抗菌性高分子ゲルは、

    第4級アンモニウム塩化合物またはホスホニウム塩


    化合物よりなる抗菌性単量体を重合して得られる重合体


    よりなり、地殻を掘削することによる地殻コア試料の採取において、当該地殻コア試料を被覆するために用いられることを特徴とする。 【0016】 【作用】以上のような地殻コア試料の採取方法によれば、掘削により地殻から分取される地殻コアは、その全体が抗菌性高分子ゲルにより被覆された状態で採取されることにより、外部からの微生物による微生物汚染を十分有効に防止することができ、仮に、外部微生物が進入した場合にもその増殖が抑制される。 しかも、抗菌性高分子ゲルはそれ自体が微生物により汚染されることがない。 【0017】そして、当該抗菌性高分子ゲルは重合体よりなる高分子体であって、抗菌性単量体による抗菌性成分がその分子構造の一部を構成していることから、当該抗菌性成分が外部に分離して溶出することがなく、従って、地殻コア試料が抗菌性成分によって汚染されることがなくて当該地殻コア試料の生態系が十分に保護されると共に、当該抗菌性高分子ゲルの抗菌性または抗菌作用が安定して長期間にわたって発揮される。 更に、抗菌性高分子ゲルが親水性であることにより、地殻コア試料の表面に対する親和性に優れたものとなり、良好な被覆性が得られる。 【0018】また、粉末状の地殻コア試料採取用のゲル材料によれば、きわめて容易に目的とする抗菌性高分子ゲルを得ることができ、しかも、軽量であるので、その運搬および保管などがきわめて容易であって、実用上、


    きわめて便利である。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。 先ず、地殻コア試料を採取するための掘削方法の一例として、ライザー掘削法について、図面を参照して説明する。 図1は、掘削船を用いて海底地殻をライザー掘削法により掘削する場合を示す説明図である。 この掘削法においては、海面13上の掘削船10に備えられたライザー掘削システムにより、掘削作業が行われる。 このライザー掘削システムにおいては、掘削船10から海中に下方に伸びるライザーパイプ20が設けられ、このライザーパイプ20内にはドリルパイプ21が配設される。 このドリルパイプ21は、その上端が、掘削船10


    上の回転駆動機構であるトップドライブ11に接続されると共に、噴出防止装置14を介してその下方部分が地殻16内に進入される構成とされており、下端にはドリルビット30が設けられている。 【0020】掘削船10には、通常、船底に設けられた複数の推移装置(スラスター)12a、12b、12


    c、および、例えば人工衛星を利用した示差式衛星航法システム(DGPS)などを相互に関連させて構成された自動船位保持装置が備えられており、この自動船位保持装置によれば、外洋においても風や潮流などの影響を受けずに、海底面15における掘削孔を中心とした小半径の領域内に船体位置を保持することができる。 【0021】そして、トップドライブ11により、ドリルパイプ21を介してドリルビット30が回転されることにより、地殻16がその表面から掘削され、それに伴ってドリルパイプ21の下端は地殻16内に下降して行く。 このとき、ドリルビット30には、ライザーパイプ20を介して、泥水や海水などからなる循環流体が供給される。 また、噴出防止装置14の下部に設けられた、


    長さの異なる複数のケーシングパイプ17が掘削深度に応じて挿入され、これにより、掘削孔における壁面の崩落が防止される。 15は地殻表面(海底面)である。 【0022】噴出防止装置14には、多数の圧放出用安全弁が設けられており、これらの安全弁により掘削孔内の圧力が制御され、これにより、高圧の炭化水素ガスや地殻内間隙水などの急激な噴出が制御され、安全な掘削工程が確実に継続される。 【0023】図2は、ドリルパイプ21が配設されたライザーパイプ20の構成を示す説明用断面図である。 この図2に示すように、ライザーパイプ20は、メインパイプ22と、このメインパイプ22内に配設されたドリルパイプ21とによる二重管構造とされており、ドリルパイプ21の内部流通路24により、循環流体が供給されると共にコアサンプリングシステムなどが掘削孔まで案内される。 一方、メインパイプ22とドリルパイプ2


    1との間に形成される環状流通路25により、循環流体が掘削船10に返送される循環流路が形成される。 【0024】すなわち、循環流体はドリルビット30に供給され、下端部先端から掘削孔内に放出され、その後、環状流通路25を介して循環される。 この循環流体は、例えば地殻における地質などに応じて、比重、粘度、化学組成などを適宜調製した流体であって、例えば掘削現場において入手される泥水に種々の物質を混入したものなどを用いることができる。 なお、実際上、メインパイプ22およびドリルパイプ21は、そのエレメントの多数が順次に連結されることによって、必要な長さおよびその増加が達成される。 27はキル・チョークライン、28はラインホルダーである。 【0025】以上のライザー掘削法は下記のような長所を有しており、これにより、安定した掘削作業を行うことが可能な方法である。 (1)掘削屑の除去ドリルビット30から放出された循環流体により、掘削孔の底に溜まった掘削屑が環状流通路25を介して掘削船10に運搬される。 【0026】(2)掘削孔壁面の保護および安定化ドリルビット30より放出された循環流体における粘性成分が掘削孔の壁面に付着して薄膜状の保護膜18(図5参照)が形成され、これにより、掘削孔内における壁面の崩落が防止される。 また、循環流体の組成における比重を高めることにより、深深度における地層圧に対する圧力の均衡化を図ることができ、かつ、地層内流体の掘削孔内への進入を防止する作用が得られる。 (3)ドリルビットの冷却および潤滑ドリルビット30は、循環流体がその表面に接触することにより冷却され、次第に上昇する地殻熱によって過度に昇温することが抑制されると共に、このドリルビット30と地殻とにおける潤滑作用が得られるため、ドリルビット30における摩擦の程度が低減し、ドリルビット30の磨耗が軽減される。 【0027】(4)掘削船10上に送られた循環流体に含有される掘削屑の構成物質などを逐次分析し監視することによって、現に掘削を行っている地殻の地質状況を、常に確認し、把握することが容易である。 【0028】以上のことから理解されるように、地殻1


    6の掘削を行うドリルパイプ21およびドリルビット3


    0は、その先端部から循環流体を供給放出することができるものであることが必要であり、その回転軸に沿った中心部分に開口を有するいわゆるコアリングドリルビットが好ましく用いられる。 また、実際に用いられる具体的なコアサンプリングシステムの例としては、例えば標準ロータリーコアバーレル(RCB)、ピストン式コアバーレル(APC)、モーター駆動コアバーレル(MD


    CB)、圧力保持コアバーレル(PCS)などをインナーバーレルとして有するものを挙げることができ、地殻の地質状態によって適宜使い分けられる。 【0029】以下、本発明の地殻コア試料の採取方法を、標準ロータリーコアバーレル(RCB)を利用したライザー掘削法において実施する場合について、具体的に説明する。 図3〜図5は、掘削作業におけるドリルパイプおよびドリルビットの状態を断面で示す説明用断面図であって、図3は掘削を開始する直前の状態を、図4


    は掘削を開始した直後の状態を、また図5は掘削が進んだ状態を、それぞれ示す。 【0030】この例におけるコアサンプリングシステムは、ドリルパイプ21を構成するアウターバーレル23


    内に、パイプ状のインナーバーレル40が配設されており、アウターバーレル23の先端にはドリルビット30


    が設けられている。 ドリルビット30は、アウターバーレル23の下端面において、その周方向に並ぶよう、各々下方に突出する半球状の複数のカッター部が形成され、カッター部の各々には複数のカッターエレメント3


    1が固定されている。 そして、インナーバーレル40の下端は、このカッター部に包囲される位置において開口を有する構成とされている。 ここに、ドリルビット30


    のカッターエレメント31は、その回転によって描かれる軌跡の最内周面が、インナーバーレル40の内周より僅かに内側に位置される状態とされている。 【0031】インナーバーレル40の下端には、リング状の封止部材41を介してその開口が塞がれるよう、ディスク状のゲル吐出口部材42が、液密性を保った状態で、かつ当該インナーバーレル40内を相対的に上下方向に移動可能に配設されている。 このゲル吐出口部材4


    2には、インナーバーレル40の内部と外部とを連通する上下方向に伸びるゲル吐出孔48が形成されており、


    また、当該ゲル吐出口部材42を開閉する開閉弁機構4


    5が上下動自在に設けられている。 すなわち、開閉弁機構45は、ゲル吐出口部材42の内面側に配置された弁部材44と、ゲル吐出口部材42を上下方向に摺動自在に貫通する連結ロッド43と、この連結ロッド43の下端に設けられた、ゲル吐出口部材42の外面側(下面側)に位置する作用ディスク46が設けられて構成されており、連結ロッド43は、当該ゲル吐出口部材42の上下方向の厚さよりも大きい長さを有するものとされている。 そして、インナーバーレル40の内部には、後述する抗菌性高分子ゲル(以下、「抗菌性ゲル」という。)47が充填されている。 【0032】このようなコアサンプリングシステムにおいて、掘削の作業が実際に開始される直前の状態では、


    図3に示すように、ドリルビット30が地殻表面15に到達しておらず、従って、開閉弁機構45における連結ロッド43はゲル吐出口部材42の下面から突出しており、インナーバーレル40内に充填された抗菌性ゲル4


    7の圧力により、弁部材44がゲル吐出口部材42の上面に押圧されてゲル吐出孔48が閉塞されており、従って抗菌性ゲル47が外部に吐出されることはない。 【0033】次に、図4に示すように、地殻16の掘削が開始されると、アウターバーレル23およびインナーバーレル40が回転しながら地殻表面15から下方に下降することにより、連結ロッド43における下端の作用ディスク46が地殻表面15により上方に押し上げられ、これにより、連結ロッド43を介して弁部材44がゲル吐出口部材42の内面(上面)より離間してゲル吐出孔48が開放される結果、インナーバーレル40の内部が外部と連通した状態となり、その結果、インナーバーレル40内の抗菌性ゲル47は、ゲル吐出孔48を介して外部に吐出される。 【0034】掘削工程が更に進行すると、図5に示すように、アウターバーレル23およびインナーバーレル4


    0が掘削と共に下降して行くが、開閉弁機構45は、ゲル吐出口部材42のゲル吐出孔48が連通された状態を維持したまま、インナーバーレル40内を相対的に上方に移動する。 そして、ドリルビット30のカッターエレメント31の回転によって形成される円柱状コア部分P


    の外周面は、インナーバーレル40の内周より僅かに内側に位置される状態とされていることから、円柱状コア部分Pの外周壁面とインナーバーレル40の内周壁面との間に狭い環状間隙Gが形成され、その結果、当該円柱状コア部分Pは、当該環状間隙Gを介してインナーバーレル40内に収容された状態となる。 【0035】換言すると、掘削が進行してアウターバーレル23およびインナーバーレル40が下方に移動するに従い、相対的に、周囲が削られて形成された円柱状コア部分Pがドリルビット30の中央の開口部よりインナーバーレル40の内部に進入する。 そして、インナーバーレル40内に進入した円柱状コア部分Pが折り取られることによって分取され、これが地殻コア試料として、


    インナーバーレル40と共に、ワイヤーなどにより、ドリルパイプ21内を介して掘削船10上に回収される。 【0036】以上のように、円柱状コア部分Pは、下降するカッター部により掘削されることによって形成されて行くが、この掘削の過程では、ゲル吐出口部材42


    は、そのゲル吐出孔48が開閉弁機構45によって連通した状態が維持されたまま、次第に形成されて行く円柱状コア部分Pと共に相対的にインナーバーレル40内に進入して行くこととなる。 従って、ゲル吐出孔48を介して、インナーバーレル40内に充填されていた抗菌性ゲル47が環状間隙Gに吐出されて行き、次第に形成されて行く円柱状コア部分Pの外周面に付着して行くこととなる。 このようにして、図6に示すように、地殻コア37の外表面が抗菌性ゲル36によって被覆された状態の地殻コア試料35が形成される。 【0037】そして、以上のようにして、次第に形成されて行く円柱状コア部分Pに対して、その上端から抗菌性ゲル47が供給されるので、円柱状コア部分Pに付着した抗菌性ゲル47は、実質的に、ドリルビット30に内部流通路24を介して供給される循環流体の影響を受けることがなく、しかも抗菌性ゲル47はジャム状の流動性を有するものであるために、円柱状コア部分Pが折り取られたときにその端面にも回り込むこととなるので、地殻コア試料35は抗菌性ゲル47によって完全に被覆されるようになる。 【0038】本発明は、以上のような地殻コア試料の採取方法において、抗菌性単量体を重合させることにより得られる重合体よりなる抗菌性ゲルを用いる点に特徴を有するものである。 この抗菌性ゲルを形成する重合体は、ジャム状の高粘度流動体である。 抗菌性ゲルを形成する重合体を得るための抗菌性単量体としては、分子内に、不飽和二重結合を有する重合性官能基を有すると共に、抗菌性の原子団を有する化合物が用いられる。 そのような化合物としては、例えば不飽和二重結合を有する第4級アンモニウム塩化合物、不飽和二重結合を有するホスホニウム塩化合物などを挙げることができる。 【0039】具体的には、上記一般式(1)で示される芳香族第4級アンモニウム塩化合物および下記一般式(3)で示されるアクリロイルオキシアルキル−トリアルキルアンモニウム塩化合物、メタクリロイルオキシアルキル−トリアルキルアンモニウム塩化合物、並びに、


    上記一般式(2)で示される

    芳香族ホスホニウム塩化合物から選ばれた1種または2種以上を好ましく用いることができる。 【0040】 【化5】 【0041】(式中、R

    7 、R

    8およびR

    9は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数が1〜16


    である直鎖状または側鎖を有するアルキル基、X

    -はハロゲンイオン、Aは水素原子またはメチル基を示す。 ) 【0042】抗菌性単量体の好ましい具体例を示すと、


    例えば一般式(1)で表される抗菌性単量体の例としては、ビニルベンジルジメチルn−オクチルアンモニウム塩、ビニルベンジルジメチルn−デシルアンモニウム塩、ビニルベンジルジメチルn−ドデシルアンモニウム塩、ビニルベンジルジメチルn−ヘキサデシルアンモニウム塩などを挙げることができる。 一般式(2)で示される抗菌性単量体の例としては、ビニルベンジルトリn


    −ブチルホスホニウム塩、ビニルベンジルトリn−オクチルホスホニウム塩、ビニルベンジルトリn−デシルホスホニウム塩、ビニルベンジルトリn−ドデシルホスホニウム塩などを挙げることができる。 また、一般式(3)で示される抗菌性単量体の例としては、2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩および2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩などを挙げることができる。 また、他の抗菌性単量体としては、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリロイルオキシアルキルピリジニウム塩化合物、メタクリロイルオキシアルキルピリジニウム塩化合物などを挙げることができる。 以上の各化合物において、対イオンは塩素イオンまたは臭素イオンであることが好ましい。 【0043】以上の抗菌性単量体を重合させて得られる重合体(共重合体を含む。)は、含有する第4級アンモニウム塩構造またはホスホニウム塩構造の作用により、


    抗菌効果を発揮するものである。 【0044】抗菌性ゲルを形成する重合体が共重合体である場合には、抗菌性単量体と共重合するための共重合性単量体の種類を選択することにより、得られる共重合体に特定の特性を得ることができる点で好ましい。 例えば、親水性基を有する単量体を抗菌性単量体と共重合させると、得られる共重合体は、それ自体が親水性を有するものとなる。 そして、抗菌性ゲルを形成する重合体が親水性を有するものである場合は、当該抗菌性ゲルが親水性を有するものとなる結果、水による膨潤が容易であって適度の粘性を得ることが容易であり、しかも、地殻コア試料に対して高い親和性が得られるため、優れた被覆性が得られる点で好ましい。 【0045】共重合性単量体としては、抗菌性単量体と共重合可能なものであれば特に限定されるものではないが、得られる共重合体が親水性となることから、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、


    2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、N−アクリロイルトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N−メタクリロイルトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ビニルピロリドン、N−アクリロイルモルホリンなどを1種または2種以上用いることが好ましい。 【0046】また、共重合性単量体の一部または全部として、架橋性単量体を用いることができる。 この架橋性単量体としては、例えばN,N′−メチレンビスアクリルアミド、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、


    ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレートなどを1種または2種以上用いることが好ましい。 【0047】抗菌性ゲルを形成するものが共重合体である場合において、当該共重合体は、抗菌性単量体による成分を1〜10モル%、特に3〜8モル%の割合で含有することが好ましい。 【0048】抗菌性ゲルを形成する重合体を得る方法は特に限定されるものではなく、一般的に用いられている重合方法、具体的にはラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合反応を利用することができる。 ラジカル重合開始剤としては、一般的に用いられるラジカル重合開始剤であれば特に限定されることなく使用することができ、


    例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドなどを挙げることができる。 また、公知のレドックス系開始剤、例えば過酸化水素と硫酸第一鉄、過硫酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムなども用いることができる。 【0049】また、重合反応に用いられる溶媒としては、水、または、水と水溶性有機溶媒との混合液、その他を用いることができる。 水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n


    −プロパノールなどのアルコール類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物類、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホオキシドなどの極性溶媒を挙げることができる。 重合反応は、用いられる単量体およびラジカル重合開始剤の種類、その他の条件に応じた温度および反応時間で行えばよく、例えば重合反応温度は50〜90℃、重合反応時間は3〜24時間程度とされる。 この重合反応においては、例えば窒素ガスなどによる不活性ガス雰囲気とされることが必要である。 【0050】抗菌性単量体の重合体は、これに水を接触させて膨潤させることにより、適宜の粘性を有するジャム状の流動体である抗菌性ゲルを得ることができる。 ここに、抗菌性ゲルは、常温において、ずれ速度が6.8


    〜17sec

    -1のときに粘度が8.0〜30.0Nsm


    -2 、特に8.5〜24.0Nsm

    -2であることが好ましい。 【0051】本発明において用いられる抗菌性ゲルは、


    通常、適宜の手段、例えば脱水処理をすることにより粉末状のゲル材料とすることができる。 この粉末状のゲル材料は、重量が大幅に減少したものであることから、その運搬および保管が容易である上、単に水に接触させることにより膨潤状態としてゲル状に還元させて抗菌性ゲルとすることができる点で、きわめて有利である。 すなわち、粉末状のゲル材料を用いると、掘削現場において水を添加するのみの作業により容易に必要な抗菌性ゲルを調製することができ、しかも添加する水の量を調整することにより、掘削する地殻地質などに適した粘度状態の抗菌性ゲルを得ることができる。 【0052】以上のような抗菌性ゲルによれば、抗菌性単量体による抗菌性成分を含有することにより優れた抗菌作用が得られると共に、抗菌性成分は重合体の分子構造の一部を構成していることから、当該抗菌性成分が外部に分離して溶出することがなく、従って、地殻コア試料が抗菌性成分によって汚染されることがなくて当該地殻コア試料の生態系が十分に保護されると共に、当該抗菌性高分子ゲルの抗菌性または抗菌作用が安定して長期間にわたって発揮される。 また、当該抗菌性成分の作用により、抗菌性ゲルそれ自体においても微生物が増殖することがなく、地殻コア試料に対する微生物汚染の汚染源となることがない。 【0053】本発明に係る地殻コア試料の採取方法が実施される場合の掘削方法は、特定のものに限定されず、


    公知の種々の掘削方法において実施することができる。


    特に、上述のライザー掘削法のような掘削船を利用した海底地殻の掘削において容易に実施することができる。 【0054】以上、本発明の地殻コア試料の採取方法を具体的に説明したが、本発明においては種々変更を加えることが可能である。 【0055】 【実験例】<調製例1> (抗菌性単量体の調製)滴下ロート、撹拌装置および温度センサーを備えた容量100mlの四つ口フラスコに、クロロメチルスチレン7.63g(0.05mo


    l)およびn−ヘキサン50mlを添加し、これを25


    ℃で撹拌しながら、ジメチルn−ヘキサデシルアミン1


    6.17g(0.06mol)を滴下ロートより30分間をかけて滴下した。 得られた溶液を25℃で8時間撹拌した後、析出物を濾取し、得られた析出物をn−ヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄し、その後乾燥することにより、白色固体の不飽和二重結合を有する第4級アンモニウム塩化合物であるビニルベンジルジメチルn


    −ヘキサデシルアンモニウムクロライドを得た。 【0056】(共重合反応)共重合性単量体であるアクリルアミド23.6g(665mM)、およびN,N′


    −メチレンビスアクリルアミド0.65g(8.4m


    M)と、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)


    ジヒドロクロライド0.24g(1.8mM)と、上記調製例1で得られた抗菌性単量体であるビニルベンジルジメチルn−ヘキサデシルアンモニウムクロライド7.


    4g(35mM)とを、重合反応溶媒である純水500


    mlと共に、反応器である耐圧瓶に添加し、内部空気を窒素ガスで30分間置換した後、重合反応溶液を保持する耐圧瓶を70℃のインキュベーターに入れて重合反応処理を行った。 得られた重合体を耐圧瓶より取り出し、


    蒸留水に浸漬して未反応の残留モノマーを除去し、得られた固形の共重合体を粉砕して試料1を得た。 【0057】<調製例2〜5>調製例1における抗菌性単量体の調製において、ジメチルn−ヘキサデシルアミンの代りに種々のアミン化合物を用いたこと以外は同様にして、抗菌性単量体を得た。 すなわち、調製例2では、ジメチルn−オクチルアミンを用いて抗菌性単量体であるビニルベンジルジメチルn−オクチルアンモニウムクロライドを調製し、調製例3では、ジメチルn−デシルアミンを用いてビニルベンジルジメチルn−デシルアンモニウムクロライドを調製し、調製例4では、ジメチルn−ドデシルアミンを用いてビニルベンジルジメチルn−ドデシルアンモニウムクロライドを調製し、また、調製例5では、ジメチルn−テトラデシルアミンを用いてビニルベンジルジメチルn−テトラデシルアンモニウムクロライドを調製した。 【0058】そして、以上の調製例2〜調製例5の各々において得られた抗菌性単量体を用いて、調製例1と同様にして共重合反応を行うことにより、共重合体を得た。 それらを、それぞれ、試料2〜試料5とする。 【0059】<調製例6、7>調製例6および調製例7


    においては、2−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(ポリサイエンス社製)およびトリブチル−4−ビニルベンジル−ホスホニウムクロライド((株)日本化学工業製)を抗菌性単量体として用いて、調製例1と同様にして共重合反応を行うことにより、共重合体を得た。 それらを、それぞれ、試料6および試料7とする。 【0060】<比較用基準試料の調製例>アクリルアミド24.9g(700mM)と、N,N′−メチレンビスアクリルアミド0.65g(8.4mM)と、2,


    2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド0.24g(1.8mM)とを、重合反応溶媒である純水500mlと共に、反応器である耐圧瓶に添加し、内部空気を窒素ガスで30分間置換した後、重合反応溶液を保持する耐圧瓶を70℃のインキュベーターにおいて重合反応処理を行った。 得られた重合体を耐圧瓶より取り出し、蒸留水に浸漬して未反応の残留モノマーを除去し、得られた固形の共重合体を粉砕して比較用基準試料を得た。 【0061】<実験例1> (ゲル表面における抗菌性評価)下記表1に示す各微生物を、菌数が1×10

    5 cell/mlとなるよう生理食塩水溶液に添加し分散させて得られた菌溶液の各々を、培地成分を含有していない寒天プレート上に塗布した。 ただし、菌がストレプトマイセスアルブス(Str


    eptomyces albus IFO 1301


    4)およびアスペルギルステレウス(Aspergil


    lus terreus IFO 6346)の場合には、菌体が均一に分散した生理食塩水溶液を調製することが困難であったため、楊枝を用いて菌体を寒天プレート上に植菌した。 そして、当該寒天プレートに塗布された菌溶液の上に、上記の調製例1〜調製例7の試料1〜


    試料7から得られた抗菌性ゲルおよび比較用基準試料のそれぞれを重層し、室温で3時間放置した。 なお、以上の実験においては、各抗菌性ゲルには、抗菌性単量体が5モル%の割合で添加されている。 また、用いた菌は、


    次の通りである。 【0062】 【表1】 【0063】その後、各抗菌性ゲルおよび比較用基準試料に培地成分を滴下し、各菌種の増殖至適温度において、エッセルキアコリおよびプセウドモナスアエルギノサについては24時間、バチルススブチリスおよびアスペルギルステレウスについては48時間、これら以外の菌種については72時間の間、培養を行った。 培養後において、各試料、または比較用基準試料と接触させた寒天プレート上における単位面積当たりに形成されたコロニー数を計測して評価を行った。 すなわち、下記式1より算出された生存率Aが1%以下の場合を「優」、生存率Aが1〜10%以下の場合を「良」、生存率Aが10


    %を超える場合を「不可」と評価し、各試料1〜試料7


    についての評価の結果を、下記表2に示した。 ただし、


    菌がストレプトマイセスアルブスおよびアスペルギルステレウスである場合については、抗菌性ゲルと接触した寒天プレート上において明らかにコロニーが形成されていない場合を「優」、それ以外の場合を「不可」と評価した。 ここに、生存率Aは、下記式1によって算出される。 【0064】 【数1】式1 生存率A(%)=(抗菌性ゲルが接触した寒天プレート上の単位面積当たりに形成されたコロニー数/比較用基準試料が接触した寒天プレート上の単位面積当たりに形成されたコロニー数)×100 【0065】<実験例2> (外来の異質微生物の進入に対するゲルの抗菌性評価)


    試料1〜試料7および比較用基準試料の各々を、内径が15mmのカラムの底部に厚さが10mmとなるように充填した。 そして、上記表1に示す各微生物を、菌数が1×10

    7 cell/mlとなるよう生理食塩水溶液に添加し分散させて得られた菌溶液の各々5mlをカラムに添加し、室温で放置した。 ここに、ストレプトマイセスアルブスおよびアスペルギルステレウスにおいては、


    培養菌体を生理食塩水溶液に添加して激しく撹拌し、遠心分離処理することによって得られた上澄み溶液を用いた。 その後、カラム下から落下した生理食塩水溶液を採取し、寒天培地上に塗布した。 また、比較用基準試料からは生理食塩水溶液の落下が認められなかったため、比較用として、抗菌性ゲル通過前の生理食塩水溶液を寒天培地上に塗布した。 そして、各菌種の増殖至適温度で培養を行い、形成されたコロニー数を計測し、下記式2により算出された生存率Bが1%以下の場合を「優」、生存率Bが1〜10%以下の場合を「良」、生存率Bが1


    0%を超える場合を「不可」と評価し、各試料1〜試料7についての評価の結果を、下記表2に示した。 ただし、菌がストレプトマイセスアルブスおよびアスペルギルステレウスである場合については、寒天培地上において明らかにコロニーが形成されていない場合を「優」、


    それ以外の場合を「不可」と評価した。 ここに、生存率Bは、下記式2によって算出される。 【0066】 【数2】式2 生存率B(%)=(抗菌性ゲルを通過した生理食塩水溶液から形成されたコロニー数/抗菌性ゲル通過前の生理食塩水溶液から形成されたコロニー数)×100 【0067】<実験例3> (地殻コア試料を用いたゲルの抗菌性の評価)

    実際に地殻を掘削して採取された地殻コア試料 であって、試料1〜試料7から得られる抗菌性ゲルおよび比較用基準試料の各々により覆われたものを、室温で3時間放置した。 そして、各々の抗菌性ゲルおよび比較用基準試料のコート層に外部から培地を浸透させ、室温において72時間の間培養を行い、地殻コア試料の表面に形成されたコロニー数を計測し、下記式3により算出された生存率Cが1%以下の場合を「優」、生存率Cが1〜1


    0%以下の場合を「良」、生存率Cが10%を超える場合を「不可」と評価し、各試料1〜試料7についての評価の結果を、下記表3に示した。 ここに、生存率Cは、


    下記式3によって算出される。 【0068】 【数3】式3 生存率C(%)=(抗菌性ゲルで覆った地殻コア試料の単位面積当たりに形成されたコロニー数/比較用基準試料で覆った地殻コア試料の単位面積当たりに形成されたコロニー数)×100 【0069】 【表2】 【0070】上記表2において、A欄はゲル表面における抗菌性の評価を示す欄、B欄は外来の異質微生物の進入に対するゲルの抗菌性評価を示す欄である。 【0071】 【表3】 【0072】上記表2および表3の結果から、試料1〜


    試料7の抗菌性ゲルによれば、各種の微生物に対して、


    優れた抗菌性を示すことが明らかである。 従って、地殻コア試料の採取方法において、これらの抗菌性ゲルを地殻コア試料を被覆するために用いることにより、微生物汚染のない状態で地殻コア試料を採取することができ、


    この地殻コア試料は、地殻内微生物の研究に適したものである。 【0073】 【発明の効果】本発明の地殻コア試料の採取方法によれば、掘削により地殻から分取される地殻コアは、その全体が抗菌性高分子ゲルにより被覆された状態で採取されることにより、外部からの微生物による微生物汚染を十分有効に防止することができ、仮に、外部微生物が進入した場合にもその増殖が抑制される。 しかも、抗菌性高分子ゲルはそれ自体が微生物により汚染されることがない。 そして、当該抗菌性高分子ゲルは重合体よりなる高分子体であって、抗菌性単量体による抗菌性成分がその分子構造の一部を構成していることから、当該抗菌性成分が外部に分離して溶出することがなく、従って、地殻コア試料が抗菌性成分によって汚染されることがなくて当該地殻コア試料の生態系が十分に保護されると共に、


    当該抗菌性高分子ゲルの抗菌性または抗菌作用が安定して長期間にわたって発揮される。 更に、抗菌性高分子ゲルが親水性であることにより、地殻コア試料の表面に対する親和性に優れたものとなり、良好な被覆性が得られる。 また、粉末状の地殻コア試料採取用のゲル材料によれば、きわめて容易に目的とする抗菌性高分子ゲルを得ることができ、しかも、軽量であるので、その運搬および保管などがきわめて容易であって、実用上、きわめて便利である。

    【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、掘削船を用いた海底地殻の掘削作業中の状態を、その一部を簡略化して示した説明図である。 【図2】図2は、ライザーパイプ20を構成する構成ユニットの詳細を、ドリルパイプ21が通った状態のメインパイプ22における管軸に沿った断面と共に示す、説明用一部断面図である。 【図3】図3は、海底の掘削を開始する直前のドリルパイプおよびドリルビットを、その管軸に沿った断面を一部を簡略化して示した説明用断面図である。 【図4】図4は、海底の掘削を開始した直後のドリルパイプおよびドリルビットを、その管軸に沿った断面を一部を簡略化して示した説明用断面図である。 【図5】図5は、海底の掘削中のドリルパイプおよびドリルビットを、その管軸に沿った断面を一部を簡略化して示した説明用断面図である。 【図6】図6は、抗菌性ゲルに被覆された地殻コア試料を示す、筒軸に垂直な断面を示す説明用断面図である。 【符号の説明】 10 掘削船11 トップドライブ12a、12b、12c 推移装置13 海面14 噴出防止装置15 地殻表面16 地殻17 ケーシングパイプP 円柱状コア部分G 環状間隙18 保護膜20 ライザーパイプ21 ドリルパイプ22 メインパイプ23 アウターバーレル24 内部流通路25 環状流通路27 キル・チョークライン28 ラインホルダー30 ドリルビット31 カッターエレメント35 地殻コア試料36 抗菌性ゲル37 地殻コア40 インナーバーレル41 封止部材42 ゲル吐出口部材43 連続ロッド44 弁部材45 開閉弁機構46 作用ディスク47 抗菌性ゲル48 ゲル吐出孔

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI C08F 12/14 C08F 12/14 12/28 12/28 20/34 20/34 220/54 220/54 E21B 25/08 E21B 25/08 25/18 25/18 (72)発明者 掘越 弘毅 神奈川県横須賀市夏島町2−15 海洋科 学技術センター内 (56)参考文献 特開 昭62−170834(JP,A) 特開 平9−208413(JP,A) 特開 平7−80978(JP,A) 特開 平7−208059(JP,A) 特開 平6−229890(JP,A) 特開 平5−50984(JP,A) 特開 平5−142113(JP,A) 特開 平3−42033(JP,A) 特開 平3−41339(JP,A) 特開 平3−41338(JP,A) 特開 平3−13840(JP,A) 特開 平11−71744(JP,A) 特開 平1−210591(JP,A) 米国特許5482123(US,A) 米国特許5360074(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) G01N 1/00 - 1/34 A01N 25/10 A01N 33/12 101 A01N 57/34 C08F 12/14 C08F 12/28 C08F 20/34 C08F 220/54 E21B 25/08 E21B 25/18

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