コア採取装置及び容器移送装置

申请号 JP2013053301 申请日 2013-03-15 公开(公告)号 JP6095217B2 公开(公告)日 2017-03-15
申请人 国立研究開発法人海洋研究開発機構; 发明人 水口 保彦;
摘要
权利要求

コアを採取するコア採取装置であって、 筒部と、 前記筒部内部に当該筒部の軸方向に移動可能に配置され、採取したコアを保持する容器と、 前記筒部の一方の開口部側に設けられ、閉じた状態において当該一方の開口部を介した前記筒部内部と外部との間の流体の流出入を防止するボールバルブと、 前記ボールバルブが閉じた状態において、前記筒部の一方の開口部とボールバルブとの間をシールする第1のシール部材と、 前記容器が当該筒部の軸方向における特定の位置に位置している場合に前記容器の外周面と筒部の内周面との間をシールする第2のシール部材と、 前記第1のシール部材によってシールされた状態を固定する固定機構と、 前記第1のシール部材及び前記第2のシール部材によって、閉じられた前記筒部の内部空間への方向へのみ流体を流入可能にする流入機構と、 を備え、 前記流入機構は、前記筒部の内部空間と外部との間の位置に設けられるチェックバルブ、及びリップシールである前記第2のシール部材の少なくとも何れかであるコア採取装置。前記ボールバルブは前記筒部の軸方向に移動しながら回転軸を中心に回転することで開閉し、 前記ボールバルブを移動可能に支持する支持部を更に備える請求項1に記載のコア採取装置。前記筒部は、 前記第1のシール部材によって前記ボールバルブとの間をシールされるシール用筒部と、 前記シール用筒部の外周面の少なくとも一部を覆うと共に前記シール用筒部にと共に移動可能に設けられる筒部本体と、を含んで構成され、 前記固定機構として、 前記支持部が、前記ボールバルブが閉じた状態において、前記第1のシール部材によってシールされている側と前記筒部の軸方向の反対側から前記ボールバルブを支持し、 前記筒部本体の内周面の前記シール用筒部を覆っていない位置の周方向に溝が設けられ、 前記ボールバルブが閉じた状態において、前記筒部本体の溝に嵌る外周面に張り出すように突設された爪部を有し、前記爪部が前記溝に嵌ることで前記ボールバルブに対して前記シール用筒部を固定し、フランジ部を有する固定用筒部を備え、 前記固定用筒部の外周における、前記ボールバルブとは逆側に弾性体が設けられ、 前記固定用筒部は、前記弾性体が前記フランジ部を前記ボールバルブ側に押さえる付勢により前記固定用筒部が押さえられることに伴い、前記シール用筒部を押さえて前記シール用筒部を固定させる請求項2に記載のコア採取装置。前記筒部本体の溝は、前記筒部本体の内周面に凸部を設けることにより形成され、所定間隔で前記筒部本体の内周面における周方向に設けられており、 前記固定用筒部の爪部は、前記筒部本体の溝の間隔より長い間隔で前記固定用筒部の外周面に設けられており、 前記シール用筒部と、前記固定用筒部とが接続可能である請求項3に記載のコア採取装置。前記固定用筒部の外周面における周方向に、前記爪部と交互に且つ前記爪部よりボールバルブ側に第2の爪部を設け、 前記筒部本体の内周面の溝を形成する凸部の他の開口部側に、他の開口部に近づくほど高くなる傾斜を含む第2の凸部をさらに有し、 前記凸部から前記第2の凸部までの距離より、前記爪部から前記第2の爪部までの距離が長いことを特徴とする請求項4に記載のコア採取装置。前記筒部は、前記第1のシール部材によって前記ボールバルブとの間をシールされるシール用筒部と、 前記シール用筒部の外周面の少なくとも一部を覆うと共に前記シール用筒部に対して移動可能に設けられる筒部本体と、を含んで構成され、 前記固定機構として、 前記支持部が、前記ボールバルブが閉じた状態において、前記第1のシール部材によってシールされている側と前記筒部の軸方向の反対側から前記ボールバルブを支持し、 前記シール用筒部の外周面に、前記ボールバルブから前記筒部の方向に向かうほど当該シール用筒部の径方向に広がる羽根部と、 前記筒部本体に固定されると共に、前記ボールバルブが閉じた状態において前記羽根部に突き当たる羽根支持部と、を有する請求項2〜4のいずれか一項に記載のコア採取装置。前記ボールバルブは、前記ボールバルブの開閉を制御する開閉制御溝を有し、 前記開閉制御溝における、ボールバルブが閉じる状態に対応する位置が他の位置に比較して深く、 前記固定機構として、前記開閉制御溝に位置するピンが、前記ボールバルブが閉じる状態に対応する位置に押し込まれる構成を有する請求項2〜5のいずれか一項に記載のコア採取装置。請求項1〜7のいずれか一項に記載のコア採取装置から前記容器を自装置へ移送する容器移送装置であって、 前記コア採取装置を配置可能であると共に前記コア採取装置の筒部内部の流体の圧力に応じた圧力の流体を保持し、当該コア採取装置が配置された際に当該流体を保持する空間と前記筒部の他方の開口部とが繋がっている流体保持手段と、 前記流入機構へ接続し、流体を供給可能とする流体供給手段と、 前記筒部の他方の開口部から前記流体保持手段によって保持される流体内へ前記容器を移送する容器移送手段と、 を備える容器移送装置。

说明书全文

本発明は、装置内部の圧を保持したままコアを採取するコア採取装置及びコア採取装置内の容器を所定の装置へ移送する容器移送装置に関する。

科学掘削等に於いて地層内の圧力を保持した状態での地層柱状試料(コア)を取得する事を目的として多くの研究者、技術者が長年開発してきたが、完成の域には達していなかった。また近年は資源掘削、特に主としてメタンハイドレートを圧力状態(即ちハイドレート状態)でこのコアを取得する事を目的として開発された、“Pressure TemperatureCoreSampler(PTCS)”と名付けられた特殊コアリングシステムがある(特許文献1)。このPTCSは、電子冷却装置を装備し、圧力保持のみならず、冷却も行いメタンハイドレートの気化を防止し回収出来る特徴を有している。

PTCSを使用しコア掘削・回収を実施した場合、回収時間は短時間であるので、この回収時の温度上昇はそれ程問題とならない。このことを考慮して、冷却装置を除去し、さらに、リンクで回転するボールバルブの回転が不正確であった問題点を解決し、設計位置に止まる改良をすることにより、圧力保持能力向上を図ったNC−PTCSもある(非特許文献1)。

しかしながら、このNC−PTCSも、柱状試料採取装置(コア採取装置)の外径が大きくなり通常の掘削用パイプでは掘削が出来なかった。更にこのコアを海底下の実圧力状態を維持して、解析装置へ移動させることを考慮していなかった。これらの欠点を解決し、海底下の実圧力環境を維持したままコアを回収するため、コア採取装置内部の圧力を保持したままコアを回収するコア採取装置が開発されている(例えば、非特許文献2参照)。このコア採取装置(コアバーレル)は、上部にあるランニング・リトリービング部(離脱部)、中間部にある圧力コントロール部、下部にある圧力保持機能付きコア採収部(オートクレーブ)から構成されている。

コアを取得するためには、掘削によりオートクレーブ内にあるコアライナー(コアを回収する容器)にコアを挿入させる事を目的として、内部循環泥を上部から逃がす構造としなければならない。コアバーレル内の圧力を維持するために、コアバーレルの下部に位置するオートクレーブの上部についている上部孔を塞いで、オートクレーブの下部にある開閉可能なボールバルブを閉じることにより、オートクレーブ内の密閉性を維持できる。このボールバルブは、当該ボールバルブ上部にボールバルブシールを配置する事によりボールバルブを貫通する部分のみをシールし、圧力保持出来る構造としてオートクレーブ自身を小さな外径とし、且つ解析するに十分な外径を有するコアを取得できる構造である。

このボールバルブは、当該ボールバルブの上部にあるばね抑え(スリーブ)を外した時にこのばねが、当該ボールバルブを押し出すことにより下方に移動して、ボールバルブの回転が制御され、転がる様に回転し閉じることが出来る。その後、圧力コントロール部に設けられたアキュムレータを用いて地層圧力より高い圧力を付加できるように調整された圧力水を注入することにより、オートクレーブの内圧を海底の圧力より高めに維持する事が可能となり、圧力保持能力を高めた状態でコアを地表まで回収する。この圧力調整機能は地表までに回収中にオートクレーブ内の圧力が漏れた場合でも自動的に設定圧力まで加圧し保圧調整が出来るので、海底の圧力を地表まで維持した状態で、コアを回収する事が可能である。

米国特許公報6,216,804号公報

川崎、梅津、安田、「Pressure Temperature Core Sampler(PTCS)—圧力・温度保持コアサンプリング技術—」 石油技術協会誌第71巻第1号、石油技術協会、2006年1月発刊。

水口、小林、稲田、「Hybrid PCS(保圧コア)の開発」、平成24年度石油技術協会 春季講演会 特別講演・シンポジウム・個人講演 要旨集、石油技術協会、2012年6月発刊。

上述のコア採取装置では、オートクレーブ上部のコア採取のための循環孔を密閉状態にした後にボールバルブを閉じるが、ボールバルブシールもそのシール性能を保持するためシール面積を必要とし、スプリングの力でボールバルブが下方に移動、回転し孔を閉じる際、このボールバルブシールのエッジから更に移動すると、その移動分の内容積が増加する必要がある事から、このエッジで止まる事があり、完璧にシールする状態にならない。すなわち、半閉塞の状態になる。

更にこの半閉塞の状態において、アキュムレータを動作させるためにコアの入ったコアライナー、インナーチューブ、及び上部インナーチューブサブ等を有するオートクレーブ内を、上部へ移動させると、オートクレーブ内の容積が変化する。

上部も密閉(シール)されているので、この結果、内圧が下がり外圧がスプリングの力より勝りボールバルブが再度開く事になる。これにより、ボールバルブが開いた後、圧力水が注入された場合、ボールバルブから当該圧力水が漏れてしまい、密閉性を高めるための内圧上昇が起きないという問題がある。

この状態のまま回収出来ても孔底圧力(水頭圧)よりこの圧力分下がる事になる。このコアバーレル回収時には一旦ボールバルブはエッジで止まっているがわずかな面積でシールしている、更に一旦閉じた孔底では、内圧と外圧が同一でバランスしているために、回収(上昇)時の振動により容易に動き、そのシール性を保持する事が出来ない。このため上昇に従い水頭圧と内圧が同一となり、オートクレーブ内の圧力は安定した時点での圧力となり孔底圧力保持にバラつきが生じる結果となった。

掘削状態によっては崩壊しやすい地層からのコア採取を目的とすることがあるが、崩壊しやすい地層の場合、コア掘削後に掘削泥水をこの崩壊防止のために高圧で循環する事がある。

この場合、ボールバルブはスプリング力で保持されているために外部循環泥水により容易に上方移動し開く、このような地層でのコア回収は更に困難であり、コアが流れる事も考えられコア回収率も低い結果となる。

本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、コア掘削後のコア回収時にボールバルブを閉じた状態を維持し、内圧を保持することが出来るコア採収装置及び容器移送装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明に係るコア採取装置は、筒部と、筒部内部に当該筒部の軸方向に移動可能に配置され、採取したコアを保持する容器と、筒部の一方の開口部側に設けられ、閉じた状態において当該一方の開口部を介した前記筒部内部と外部との間の流体の流出入を防止するボールバルブと、ボールバルブが閉じた状態において、前記筒部の一方の開口部とボールバルブとの間をシールする第1のシール部材と、容器が当該筒部の軸方向における特定の位置に位置している場合に前記容器の外周面と筒部の内周面との間をシールする第2のシール部材と、第1のシール部材によってシールされた状態を固定する固定機構と、第1のシール部材及び第2のシール部材によって、閉じられた前記筒部の内部空間への方向へのみ流体を流入可能にする流入機構と、を備え、流入機構は、筒部の内部空間と外部との間の位置に設けられるチェックバルブ、及びリップシールである第2のシール部材の少なくとも何れかであることを特徴とする。

本発明に係るコア採取装置では、第1のシール部材によってシールされた後における、シール状態を固定する固定機構を有することにより、ボールバルブが閉じた状態を保つことができる。また、コア採取装置は、筒部の内部空間へのみ流体を流入可能にする流入機構を有するので、流体を管内部へ流入することが可能となる。これにより、一度ボールバルブを閉じた後に、容器を移動した結果、筒部の内部空間の容積が増えて圧力が減少してしまうことによりボールバルブが再度開いてしまうこと等を防止することができる。従って、容器の移動に伴って容積が変動した場合でも圧力保持を可能とする。

ボールバルブは筒部の軸方向に移動しながら回転軸を中心に回転することで開閉し、ボールバルブを移動可能に支持する支持部を更に備えることが望ましい。この構成によれば、コア採取装置は、ボールバルブを回転させることにより、ボールバルブを移動させるとともに、支持部でボールバルブを支持することができる。

筒部は、第1のシール部材によってボールバルブとの間をシールされるシール用筒部と、シール用筒部の外周面の少なくとも一部を覆うと共にシール用筒部にと共に移動可能に設けられる筒部本体と、を含んで構成され、固定機構として、支持部が、ボールバルブが閉じた状態において、第1のシール部材によってシールされている側と筒部の軸方向の反対側からボールバルブを支持し、筒部本体の内周面のシール用筒部を覆っていない位置の周方向に溝が設けられ、ボールバルブが閉じた状態において、筒部本体の溝に嵌る外周面に張り出すように突設された爪部を有し、爪部が溝に嵌ることでボールバルブに対してシール用筒部を固定し、フランジ部を有する固定用筒部を備え、固定用筒部の外周における、ボールバルブとは逆側に弾性体が設けられ、固定用筒部は、弾性体がフランジ部をボールバルブ側に押さえる付勢力により固定用筒部が押さえられることに伴い、シール用筒部を押さえてシール用筒部を固定させることが望ましい。

この構成によれば、コア採取装置は、固定用筒部の外周面から張り出すように突設された爪部が筒部本体の内周面の溝に嵌ることにより、筒部本体に対して固定用筒部及びシール用筒部が固定される。シール用筒部と支持部に挟まれる様にして支持されているボールバルブは、ボールバルブ上部にあるシール用筒部が固定、移動出来なくなることで、筒部本体に対してボールバルブが固定され、第1のシール部材とボールバルブ及びシール用筒部による密閉(シール)状態を保持することができる。

筒部本体の溝は、筒部本体の内周面に凸部を設けることにより形成され、所定間隔で筒部本体の内周面における周方向に設けられており、固定用筒部の爪部は、筒部本体の溝の間隔より長い間隔で固定用筒部の外周面に設けられており、シール用筒部と、固定用筒部とが接続可能であることが望ましい。この構成によれば、コア採取装置は、シール用筒部と、固定用筒部とが接続していることによりシール用筒部を回転させると、固定用筒部も回転させることができ、当該回転により溝に嵌っている爪が溝からずれるので、筒部本体と固定用筒部との固定状態を解除することが可能となる。

固定用筒部の外周面における周方向に、爪部と交互に且つ爪部よりボールバルブ側に第2の爪部を設け、筒部本体の内周面の溝を形成する凸部の他の開口部側に、他の開口部に近づくほど高くなる傾斜を含む第2の凸部をさらに有し、凸部から第2の凸部までの距離より、爪部から第2の爪部までの距離が長いことが望ましい。この構成によれば、コア採取装置は、シール用筒部と、固定用筒部とが接続していることによりシール用筒部を回転させると、固定用筒部も回転させることができ、当該回転により溝に嵌っている爪が溝からずれ、その状態でボールバルブの反対側へ押し込み、第2の爪が溝に当接した状態でさらに回転させてボールバルブの反対側へ押し込むことにより、ボールバルブが閉じる前の状態へ戻すことができる。

筒部は、第1のシール部材によってボールバルブとの間をシールされるシール用筒部と、シール用筒部の外周面の少なくとも一部を覆うと共に前記シール用筒部に対して移動可能に設けられる筒部本体と、を含んで構成され、固定機構として、支持部が、ボールバルブが閉じた状態において、第1のシール部材によってシールされている側と筒部の軸方向の反対側からボールバルブを支持し、シール用筒部の外周面に、ボールバルブから筒部の方向に向かうほど当該シール用筒部の径方向に広がる羽根部と、筒部本体に固定されると共に、ボールバルブが閉じた状態において羽根部に突き当たる羽根支持部と、を有することが望ましい。この構成によれば、コア採取装置では、羽根部が、ボールバルブが閉じた状態で支持されるので、第1のシール部材とボールバルブ及びシール用筒部による密閉(シール)状態を保持することができる。

ボールバルブは、ボールバルブの開閉を制御する開閉制御溝を有し、開閉制御溝における、ボールバルブが閉じる状態に対応する位置が他の位置に比較して深く、固定機構として、開閉制御溝に位置するピンが、ボールバルブが閉じる状態に対応する位置に押し込まれる構成を有することが望ましい。この構成によれば、コア採取装置では、ピンが固定されることにより、ボールバルブの動作が固定されるので、第1のシール部材のシール状態を保持することができる。

ところで、上記のコア採取装置から容器を自装置へ移送する容器移送装置は、コア採取装置を配置可能であると共にコア採取装置の筒部内部の流体の圧力に応じた圧力の流体を保持し、当該コア採取装置が配置された際に当該流体を保持する空間と前記筒部の他方の開口部とが繋がっている流体保持手段と、流入機構へ接続し、流体を供給可能とする流体供給手段と、筒部の他方の開口部から前記流体保持手段によって保持される流体内へ前記容器を移送する容器移送手段と、を備えることを特徴とする。

即ち、容器移送装置は、容器を流体保持手段の流体内へ移送する際、筒部内部の容積が増加する分の流体を、流体供給手段を介して供給することができ、第1のシール部材によるシール状態が固定されている状況下でも、容器を流体保持手段の流体へ移送することができる。また、流体保持手段が保持している流体の圧力が筒部内部の流体の圧力に応じたものであるので、コア採取装置の筒部内の圧力を保持した状態で、容器を流体保持手段の流体内へ移送することができる。

本発明では、第1のシール部材によってシールされた後における、シール状態を固定する固定機構を有することにより、ボールバルブが閉じた状態を保つことができ、内圧を保持することが出来る。

コアバーレルの全体図である。

従来のオートクレーブの断面図(1)である。

従来のオートクレーブの断面図(2)である。

上部シールの手順を示す図である。

従来のボールバルブの動作

を示す図である。

圧力変動を示すグラフである。

トップシールの動作を示す図である。

スプリングコレット等の拡大斜視図である。

溝の断面図である。

ボールバルブのロック方法(1)のボールバルブが開いている状態を示す図である。

ボールバルブのロック方法(1)のボールバルブが閉じている状態を示す図である。

ボールバルブのロック方法(2)の構成を示す図である。

ボールバルブのロック方法(2)のボールバルブが開いている状態を示す図である。

ボールバルブのロック方法(2)のボールバルブが閉じている状態を示す図である。

ボールバルブのロック方法(3)の構成を示す図である。

オートクレーブをシールする手順を示すシーケンス図である。

オートクレーブを移送用のキャップした際の断面図である。

オートクレーブ内のコアライナーを移送する手順を示す概念図である。

以下、図面と共に本発明に係るコア採取装置及び容器移送装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。

(コアバーレルの構成) 図1に本実施形態に係るコアバーレル1(コア採取装置)を示す。図1に示すように、コアバーレル1は、掘削時の下方から順に、コアを採取するオートクレーブ2と、コアバーレル1の内圧を保持する圧力制御部3と、オートクレーブ2を引き上げる引上げ部4とを有する。オートクレーブ2では、コアバーレル1内部を形成する筒部(インナーバーレル)1A内部に当該筒部の軸方向に移動可能に配置され、採取したコアを保持する容器(コアライナー)や当該容器を圧力保持した状態で格納させる機構を有すると共に切削部を有し、当該切削部により海底等からコアを回収する。圧力制御部3では、少なくともアキュムレータを備え、アキュムレータから圧力水をコアバーレル1へ流入させることにより、オートクレーブ2の圧力を制御する。引上げ部4は、ワイヤーによりオートクレーブ2を引き上げる。なお、コアバーレル1では、掘削作業により回収するコアのサイズは、外径51ミリメートル、長さ3.50メートルになる。以降、圧力制御部3から見てオートクレーブ2側を下側、引上げ部4側を上側として説明する。

続いて、図2を用いて、オートクレーブ2の先端部の基本構成を説明する。図2は、オートクレーブ2の先端部の断面図である。なお、図2に示す構成では、必ずしも、後述する本実施形態に係る特徴的な構成は示されていない。また、図2に示す構成は、従来のオートクレーブ2と同様の構成である。

オートクレーブ2の先端部は、アウターバーレル9と、アウターチューブ10と、ドライブサブ11と、インナーチューブ12と、コアライナー13と、ビット14と、コアキャッチャ15と、カッティングシュー16と、ボールフォロワー17と、リターンスプリング18と、ボールバルブハウジング19と、ボールバルブ20と、ピボットスクリュー21と、ボールバルブシール22と、シールキャリア23と、スプリングコレット24と、ボールバルブスプリング25と、リリーススリーブ26と、オーリング42とを有する。

アウターバーレル9は、コアバーレル1の円管状の外管である。アウターチューブ10は、円管であり、アウターバーレル9の内部に位置する。ドライブサブ11は、アウターチューブ10の下方先端にオーリング42により接続されており、管状の部材である。ドライブサブ11は、内周方向に凸部を有する。インナーチューブ12は、円管状の部材であり、アウターチューブ10及びドライブサブ11の内部に設けられている。また、インナーチューブ12は、下方先端部にインナーチューブ12の外側に突設した爪部28を有する。インナーチューブ12は、アウターチューブ10及びドライブサブ11の内部において、軸方向に移動することができるように設けられている。コアライナー13は、インナーチューブ12に内接した筒状の容器であり、採取したコアを保持する。ビット14は、アウターバーレル9の下方先端に設けられている。ビット14は、先端やその周囲に超硬チップやダイヤモンドチップなどのビット切刃が設けられており、直接地盤を掘削するために用いられる器具である。コアキャッチャ15は、コアライナー13の下方先端に設けられており、当該コアキャッチャ15により、回収したコアがコアライナー13から脱落することを防止する。

コアライナー13の下方先端を覆うようにカッティングシュー16が設けられている。カッティングシュー16は、鋼製の十分な剛性を有する部材である切削部であり、地盤をカッティングする。カッティングシュー16が地盤をカッティングした結果得られたコアは、コアライナー13内部に回収される。カッティングシュー16の上部には、ボールフォロワー17が設けられている。当該ボールフォロワー17は、筒状の部材である。当該ボールフォロワー17の外周には、弾性体であるリターンスプリング18が設けられている。リターンスプリング18がカッティングシュー16の端面とボールフォロワー17とを付勢して、ボールフォロワー17が、ボールフォロワー17の上側に設けられたボールバルブ20を押し付けることでボールバルブ20を支持する。当該ボールフォロワー17は、支持部である。

ボールバルブハウジング19は、筒状の部材であり、コアキャッチャ15の上部に設けられており、ボールフォロワー17、リターンスプリング18、ボールバルブ20、ボールバルブシール22、シールキャリア23、スプリングコレット24、及びボールバルブスプリング25を覆う。そして、ボールバルブハウジング19の対となる2ヶ所の側面には、軸線方向に貫通孔29が設けられている。そして、貫通孔29が設けられている側面とは異なる方向の側面には、貫通孔41が設けられており、ボールバルブ20が閉じている場合に、当該貫通孔41を介してシールキャリア23に対して操作可能としている。

ボールバルブ20は、ボールバルブハウジング19の貫通孔41が設けられた位置に、貫通孔41に沿って軸方向に回転しながら移動できるように設けられている。ボールバルブ20は、回転動作により開閉可能なバルブであり、インナーチューブ12の下方開口部側に設けられ、閉じた状態において上部側(インナーチューブ12側)の筒状の内部空間と、外部との間の流体の流出入を防止する。ボールバルブ20が、ボールバルブハウジング19の貫通孔41を構成する上側の面に接している状態(図2に示す状態)では、ボールバルブ20の流体を流出入させる穴は軸方向に向いた状態となっており、内部空間と外部との間で流体が流出入できる。即ち、この状態はボールバルブ20が開いている状態である。図2に示すように、この状態では、ボールバルブ20の流体を流出入させる穴にコアライナー13が貫通している。

ボールバルブ20における移動方向と垂直方向の対となる側面には、ピボットスクリュー21が取り付けられている。このピボットスクリュー21は、ネジ部材である。このピボットスクリュー21がボールバルブ20の側面に取り付けられた状態で、当該ピボットスクリュー21がボールバルブハウジング19の貫通孔29に設置される。これにより、当該ピボットスクリュー21の動作範囲が貫通孔29の間に規定される。すなわち、ボールバルブ20の移動範囲も当該貫通孔29の範囲に対応した範囲のみ動作可能となる。また、ボールバルブ20の移動方向に垂直方向の側面には、回転制御用の溝であるピボット溝71が設けられている。ボールバルブ20のピボット溝71及びピボットスクリュー21が取り付けられる面は円形の平面となっている。また、ピボット溝71は、ピボットスクリュー21が取り付けられる位置である当該円形の中心から少し離れた位置から当該形の先端まで径方向に伸びている。

ボールバルブハウジング19の内周面にボールバルブ20の回転させるための構成である、ピボットピン73が固定されて設けられている。ピボットピン73は、棒状の部材であり、棒の軸方向がボールバルブハウジング19の中心に向くように設けられている。ピボットピン73は、その側面に切られたネジ山(ネジ溝)がボールバルブハウジング19の内周面に設けられたネジ穴40にねじ込まれることでボールバルブハウジング19に固定されている。また、ピボットピン73が設けられる位置は、軸方向において貫通孔29の上側の先端部と同程度の位置であり、貫通孔29から周方向にずれた位置である。ピボットピン73は、ピボット溝71に嵌められる。当該ピボット溝71は、ボールバルブ20が開いている状態において、軸方向に対して45度下方向に延びている。また、ボールバルブ20が開いている状態は、ピボットピン73がピボット溝71の内、ピボットスクリュー21に離れた位置に位置する。ボールバルブ20が、下方へ移動すると、ピボットピン73の位置がピボット溝71の内、ピボットスクリュー21に近い位置へ一旦移動し、最終的にピボットスクリュー21から離れた位置に移動することになり、これにより、ボールバルブ20が回転し、ボールバルブ20が閉じられる。

ボールバルブシール22(第1のシール部材)は、ボールバルブ20の上部に位置し、ボールバルブ20が閉じた状態において、筒部(例えば、後述するシールキャリア23)の下方向の開口部とボールバルブ20との間をシールする上記の筒部のシール側の端部の形状に合った筒状の部材である。そして、シールキャリア23は、ボールバルブシール22の上側に位置し、上側からボールバルブ20を押さえつける筒状の部材である。シールキャリア23は、筒部及びシール用筒部である。シールキャリア23の上部には、筒状の部材であるスプリングコレット24と、当該スプリングコレット24の外周に設けられた弾性体であるボールバルブスプリング25とが設けられている。当該ボールバルブスプリング25は、スプリングコレット24のフランジ部48の上側に向いた面とドライブサブ11の下側の端面との間に位置し、それらを付勢してフランジ部48に上側の端面で接触しているシールキャリア23を下側(ボールバルブ20側)に押さえつける。これにより、シールキャリア23がボールバルブシール22を下側(ボールバルブ20側)に押さえることにより、ボールバルブ20とシールキャリア23との間をシールする。なお、スプリングコレット24は、アウターチューブ10又はドライブサブ11内に設けられた筒状の部材であり、筒部及び固定用筒部に対応する。そして、スプリングコレット24の径方向のすぐ内側にリリーススリーブ26が設けられている。このリリーススリーブ26は、筒状の部材であり、当該リリーススリーブ26の上側の先端部には径方向の内側に突設された爪部43を有する。リリーススリーブ26の上側の先端部は、インナーチューブ12の下側と軸方向のおいて重なった箇所に位置しており、インナーチューブ12の径方向の外側に位置する。そして、スプリングコレット24は、アウターチューブ10又はドライブサブ11と、リリーススリーブ26とによって挟まれている。

スプリングコレット24の上側の先端には径方向に突出した爪部が形成されている。一方で、軸方向においてスプリングコレット24の位置に対応する位置のドライブサブ11における、軸方向の下部の内周面の径方向の長さが、上部の径方向の長さよりもわずかに小さくなっている。即ち、ドライブサブ11の内周面には、軸方向に段差が設けられている。この段差の部分は、下側に向かって斜めになっている。上記のスプリングコレット24の爪部はドライブサブ11の段差に引っかかることができる。但し、ボールバルブスプリング25によってフランジ部が付勢された場合、スプリングコレット24の爪部は内周が狭まり、ドライブサブ11の段差には引っかからずスプリングコレット24は下側に移動してしまう。図2の状態では、スプリングコレット24は、アウターチューブ10又はドライブサブ11と、リリーススリーブ26とによって挟まれている。この状態であれば、スプリングコレット24の爪部は、内周が狭まることができず、ドライブサブ11の段差に引っかかりスプリングコレット24が下方向に移動できない。この場合、スプリングコレット24及びシールキャリア23は、ボールバルブ20を押し下げることができない。よって、ボールフォロワー17とリターンスプリング18によりボールバルブ20が押し上げられた状態になり、ボールバルブ20が開いた状態にとなる。

続いて、図2に示した状態からボールバルブ20が閉じる動作について、図3に示すオートクレーブ先端部の断面図を用いて説明する。図2に示した状態で、図示しないワイヤーによって、インナーチューブ12及びコアライナー13が上方に引き上げられると、インナーチューブ12の爪部28とリリーススリーブ26の爪部43とが係合し、リリーススリーブ26も引き上げられる。このように、リリーススリーブ26が引き上げられることにより、スプリングコレット24からリリーススリーブ26が外れることになる。スプリングコレット24からリリーススリーブ26が外れることにより、ボールバルブスプリング25の付勢力によりスプリングコレット24のフランジ部48を下方へ押し出し、スプリングコレット24がシールキャリア23とボールバルブシール22とを下方へ押し出し、これに伴ってボールバルブ20を下方へ押しだす。ボールバルブ20は、下方へ移動する際にボールバルブハウジング19の内周面に固定されたピボットピン73を、ボールバルブ20のピボット溝71に収容しながらでないと移動できないため、ピボットスクリュー21が取り付けられた2か所の位置を通る直線を回転軸として回転する。そのため、ボールバルブ20は、下方へ移動してボールバルブハウジング19の貫通孔41を構成する下側の面に接している状態(図3に示す状態)では、ボールバルブ20の流体を流出入させる穴はシールキャリア23等の軸方向とは垂直の方向に向いた状態となり、内部空間と外部との間で流体が流出入できなくなる。即ち、ボールバルブ20は、下方への移動に伴い回転して、ボールバルブ20の上部と下部との間を閉じる。また、この際、ボールバルブシール22によって、シールキャリア23とボールバルブ20との間がシールされる。

上記の内部空間は、図2に示す部分では、それぞれが筒状であるアウターチューブ10、ドライブサブ11、ボールバルブハウジング19のボールバルブ20が設けられた部分よりも上側の部分、シールキャリア23の内周面によって構成されている。アウターチューブ10とドライブサブ11との間、ドライブサブ11とボールバルブハウジング19との間、ボールバルブハウジング19とシールキャリア23との間は、オーリング等の環状のシール部材42によってシールされている。これによって、ボールバルブ20が閉められてボールバルブ20とシールキャリア23との間がボールバルブシール22によってシールされると図2に示す部分においては、内部空間と外部との間で流体は流出入できなくなる。上記の内部空間には、上述したように採取したコアを収容する容器の一部であるコアライナー13が位置することとなる。そして、内部空間が密閉され、内部空間に充満した流体(液体)の圧力が維持される。この圧力は、例えばコア採取時の圧力である。なお、内部空間を構成する上記の筒状の部材が、本発明における筒部に相当し、ボールバルブ20によって流体の流入出を防止される部分が、当該筒部の一方の開口部である。

続いて、図4を用いて従来における、コアの回収を開始し、コアを回収してオートクレーブ2’内を加圧するまでの処理手順を説明する。符号については、本発明に係る装置と必ずしも一致するものでないことを明確にするため、本発明の構成の符号に「´」を付加して説明する。図4(A)は、コアリング(コアの回収)をしている時点の図である。コアを回収するために、コアバーレル2’の上部がシールされてなく、さらに下部もシールされていない状態である。そして、ボールバルブ20’が開いた状態である。このように、ボールバルブ20’が開いた状態であるので、コアバーレル2’内のコアライナー13’がボールバルブ20’を貫通して、コアバーレル2’の下端部に位置した状態でコアを回収する。

コアを回収した後に、オートクレーブ2’内のインナーチューブ12’及びコアライナー13’をワイヤーで引き上げることにより、図4(B)に示すように当該インナーチューブ12’及びコアライナー13’がボールバルブ20’より上の位置に移動する。そして、図4(C)に示すように、コアライナー13’を覆うインナーチューブ12’と、当該インナーチューブ12’を覆うアウターチューブ10’とを、オートクレーブ2’の上部でオーリング42’(後述する本実施形態のリップシールに相当)によりシールする。これにより、コアライナー13’の上部側が密閉されたことになる。ここで、密閉されたとは、シール箇所を境に上下方向に流体が入出流できない状態をいう。

図4(C)に示したように、インナーチューブ12’の上部側とアウターチューブ10’とをシールした後に、さらにインナーチューブ12’を引き上げると、図4(D)に示すように、この動作に伴い図示しないボールバルブスプリング25’の付勢力に応じて、スプリングコレット24’及びシールキャリア23’がボールバルブ20’を押し出してボールバルブ20’を閉じる。ボールバルブ20’と、アウターチューブ10’との間は、ボールバルブシール22’によってシールされる。これにより、ボールバルブ20’の下側も密閉されたことになる。よって、ボールバルブ20’を境にして上下方向に流体が入出流できない状態になる。これにより、インナーチューブ12’とアウターチューブ10’とのシール部分と、ボールバルブ20’のシール部分との間の、筒状のアウターチューブ10’の内部におけるコアライナー13’が位置する空間が密閉空間になる。当該密閉空間に充満している流体(液体)は、密閉空間の外部の流体(海水、泥水)から遮断され、その圧力が維持される。

そして、図4(E)に示すように、ボールバルブ20’を閉じた後に、インナーチューブ12’の内部を加圧させるために、圧力保持部3’では、アウターチューブ10’からインナーチューブ12’内部へ圧力水を供給し、インナーチューブ12’の内部を加圧する。インナーチューブ12’の内部に圧力をかけるためにインナーチューブ12’とアウターチューブ10’とをシールした状態で、インナーチューブ12’を更に引き上げると、引き上げた分、密閉空間内部の容積が大きくなる。これにより、密閉空間内部の流体の圧力が減少し、密閉空間外部の流体のボールバルブ20の上側への圧力の方が、密閉空間内部の流体の圧力と比較して大きくなり、ボールバルブ20が押し上げられることになり、ボールバルブ20’が開いてしまうことがある。これにより、従来のオートクレーブ2’では、密閉状態が維持されず、結果として密閉空間の流体の圧力が維持されないおそれがあった。なお、図4を用いた説明では、簡単のため、内部空間(密閉空間)を構成するアウターチューブ10’は1つの部材として記載しているが、実際には本実施形態に係るオートクレーブ2に含まれる構成のように複数の筒状の部材で構成されている。

続いて、図5を用いて、ボールバルブ20を閉じた状態を維持できない問題点について説明する。なお、図5の右側が、掘削時における下側になり、左側が上側に対応する。図5(A)は、ボールバルブ20を閉じた直後を示す図である。ボールフォロワー17が下側からボールバルブ20を押さえて、シールキャリア23がボールバルブシール22を介してボールバルブ20を上側から押さえることにより、ボールバルブ20を閉じる。ただし、シールキャリア23が、単にボールバルブシール22からボールバルブ20を押さえたとしてもシール性(ボールバルブシール22とボールバルブ20との密着度合)が高められた状態ではない。よりシール性を高めるために、シールキャリア23が、ボールバルブシール22側からより強くボールバルブ20を押さえようとしても、以下の理由からそれが難しい。上部側(アウターチューブ10とインナーチューブ12とのシール部分)がシールされた状態であると、ボールバルブ20がボールバルブシール22の端面に達した時点で、下部側(ボールバルブ20とボールバルブシール22とのシール部分)もシールされる(すなわち、上部、下部が密閉される)。これにより、上部側から下部側の密閉空間の内容積が固定される。シールキャリア23がボールバルブ20をより強く押さえるためには密閉空間の内容積の変化(内容積が大きくなること)が必要となる。しかし、上記のように密閉空間であるため、密閉空間の内容積が変化できずシールキャリア23がボールバルブ20をより強く押さえることができない。図5(A)に示すように、ボールバルブ20のシール性を高めていないので、この状態において、内圧より外圧の方が高まるとボールバルブ20が開いてしまうことがある。例えば、コア回収中のポンプ循環動作等による振動により、ボールバルブ20が外れてしまうことがある。

また、ボールバルブシール22の端部からボールバルブ20をシールした場合、ボールバルブ20は、シールが開始された図5(B)に示した状態から、シールがされている状態のまま図5(C)に示した状態となる。これにより、シールされている状態において、ボールバルブシール22の端部からボールバルブ20が閉じるまでの距離分移動した結果、ボールバルブ22の位置の変化によってシールキャリア23側の内部空間の容積が大きくなる。それによりシールキャリア23側の液体が膨張し、その結果、シールキャリア側23の圧力が減少する。この結果、ボールフォロワー17側の圧力の方が大きくなり、ボールフォロワー17が、ボールバルブ20を押し上げて、ボールバルブ20が開いた状態になってしまう。従って、内部の圧力を保持することができないことになる。本実施形態は、図4及び5を用いて説明した、問題点を解決し密閉空間の流体の圧力を維持するものである。

続いて、図6に一連の掘削作業における圧力の変動のグラフを示す。縦軸がコアバーレル1の内部(上記の内部空間)圧力を示し、横軸が作業時間を示す。海底までコアバーレル1を移動させ、コアを回収した後に、地上へ引き上げる作業をしたものとする。期間Xのように、コアバーレル1が海底から引き上げられるタイミングにおいて、図5に示したようにボールバルブ20が開いてしまったり、引き上げによる圧力変化により再度閉じたりすることを繰り返した結果、コアバーレル1の内部圧力が維持されずに、変動していることを示している。

(上部側のシール) 続いて、本発明に係るシール構造について説明する。最初にオートクレーブ2に含まれる、アウターチューブ10と、インナーチューブ12とをオートクレーブ2の上部でアウターチューブ10と、インナーチューブ12とをシールする機構について説明し、その後にオートクレーブ2の下部をシールするための機構について説明する。最初に、図7を用いてオートクレーブ2の上部でアウターチューブ10とインナーチューブ12とをシールする動作を説明する。なお、図7の右側が下方向である。

図7(A)に示すように、オートクレーブ2の上部には、アウターチューブ10と、アウターチューブ10に接続されるシールサブ33が設けられている。シールサブは筒状の部材であり、アウターチューブ10とシールサブ33との間はオーリング42によってシールされている。これにより、アウターチューブ10とシールサブ33とは、筒状の内部空間を構成している。この内部空間は、上述したオートクレーブ2下部の内部空間に繋がっている。当該内部空間のうち、シールされていない状態では、シールサブ33より下にインナーチューブ12が位置している。ここでシールサブ33の内周面には径方向の内側に突出した2つの凸部44A及び44Bが周方向に設けられている。インナーチューブ12の外周には環状のシール部材であるリップシール32が取り付けられている。インナーチューブ12の外周には、リップール32配置する溝が設けられている。リップシール32は、軸方向に複数設けられていてもよい(本実施形態では2つ)。リップシール32は、インナーチューブ12の外周面とシールサブ33の内周面とをシールするものである。リップシール32は、シールした際、シールした上側の空間から下側の空間へ(一方向)のみ流体を流入可能にする部材である。リップシール32は、従来と同じものを用いることができる。また、インナーチューブ12の外周の、リップール32が設けられた部分の上部には、張り出し爪34がインナーチューブ12と一体に取り付けられている。当該張り出し爪34は、棒状の部材であり、インナーチューブ12の軸方向に沿って設けられており、下側の端部でインナーチューブ12の外周面に接続されている。張り出し爪34のインナーチューブ12に接続されていない側の端部は、上方外側(上方かつ径方向側)に開くことが可能である。そして、上記リップシール32及び張り出し爪34は、離脱スリーブ35により覆われている。なお、張り出し爪34は、爪が閉じた状態(インナーチューブ12の軸方向に沿って開いていない状態)で離脱スリーブ35により覆われている。離脱スリーブ35は、環状の部材である。離脱スリーブ35は、軸方向の力を受けると(軸方向に押されると)、インナーチューブ12のリップシール32及び張り出し爪34の部分から外れる。

インナーチューブ12の上部には、圧力保持部3からの流体(圧力水)を受け付けるアキュムレータサブ45を有する。アキュムレータサブ45は、インナーチューブ12の上端部と接続されている。アキュムレータサブ45内部には、流路46Aを有し、インナーチューブ12の内部に有する流路46Bへ流入可能に接続されている。圧力保持部3から当該流路46A,46Bを介して、密閉された内部空間に流体を流入することで内部空間の圧力を維持することができる。アキュムレータサブ45には、流体を一方向のみに流入させることができるチェックバルブ30が設けられている。チェックバルブ30は、流入先が流路46Aとなり、流入元がリップシール32によるシールが行われた際にシールされた位置の上側(密閉される内部空間の外側)の位置となる箇所に設けられている。チェックバルブ30は、従来と同じものを用いることができる。

アキュムレータサブ45及びインナーチューブ12がワイヤーにより引き上げられると、図7(B)に示すように、インナーチューブ12の離脱スリーブ35がシールサブ33の凸部44Aに当接し、当該離脱スリーブ35が下側へ移動する。これに伴い、張り出し爪34が上方外側に開き、シールサブ33の凸部44Bに当接する。そして、シールサブ33の凸部44Aにリップシール32が位置することにより、リップシール32がシールサブ33の凸部44Aとインナーチューブ12の外周面とをシールする。これにより、インナーチューブ12の上部が密閉され、内部空間が形成されることになる。

上記の内部空間は、図7に示す部分では、それぞれが筒状であるアウターチューブ10のシールサブ33の下側の部分、及びシールサブ33の内周面によって構成されている。当該内部空間には、コアを収容する容器を構成する、インナーチューブ12のシールされた部分から下の部分及びコアライナー13が位置することになる。上記のようにシールサブ33の内周面とインナーチューブ12の外周面とがシールされることで、外部(シールされた部分から上側の部分)からの流体は流出入できなくなる。

ただし、チェックバルブ30の流入方向47A又はリップシール32の流入方向47B(それぞれ外部から上記の内部空間から向かう方向)に流体が流入することができる。従って、インナーチューブ12の上部のシールが開始された後、インナーチューブ12が更に上側に移動され、内部空間の容積が大きくなった場合にも、チェックバルブ30及びリップシール32から大きくなった容積分の流体が外部から内部空間に流入する。これにより、内部空間の圧力をシールが開始された状態で維持することができ、密閉された後の内部空間の容積が大きくなることによるシール状態(特にオートクレーブ2下部のシール状態)が不安定となることを防止することができる。

(ボールバルブがシールされた状態を固定する第1の固定機構) 続いて、オートクレーブ2の下部におけるシール状態を固定するための機構について説明する。具体的には、ボールバルブ20とシールキャリア23との間がボールバルブシール22でシールされた状態を固定する機構について説明する。最初にボールバルブがシールされた状態を固定する第1の固定機構について説明する。

第1のボールバルブの固定機構では、ドライブサブ11に溝を設け、スプリングコレット24Aに設けられた爪をドライブサブ11の溝に嵌めることにより、スプリングコレット24Aを固定させて、ボールバルブ20を固定する。図8にスプリングコレット24Aとシールキャリア23Aを示す。図8に示すように、スプリングコレット24Aにおける、シールキャリア23と接する面であるフランジ部48の内周側に、シールキャリア23と連結するための溝である連結溝51が複数設けられている。当該連結溝51は、フランジ部48の内周側の凹部である。スプリングコレット24Aのボールバルブ20とは反対側の先端部は、スリット状に構成され、すなわち、周方向に所定間隔(例えば、30°毎)で軸方向に延びた長足部52が設けられている。長足部52の先端には、外側に突設した爪53を備え、長足部52を有しない側面(軸方向に長足部52がある位置に挟まれた部分)における、長足部52の先端側に外側に周方向に突設した爪54を備える。すなわち、周方向に長足部52の爪53と爪54が交互に設けられている。

爪54は、爪53に比べて軸方向に十分な長さを有している。また、爪54は、ボールバルブ20とは反対側に他の部材と突き当たることができる端面を有している。また、スプリングコレット24Aの中心軸から爪53及び爪54の径方向の先端面までの長さは、ドライブサブ11内で軸方向にスプリングコレット24Aを移動できる程度でドライブサブ11の内周半径の大きさと同じ程度である。

シールキャリア23Aの側面における、ボールバルブシール22側に凹部56を有すると共に、シールキャリア23Aの先端部の周方向に連結突起57を有する。連結突起57は、その部分が軸方向に突出した形状である凸部である。シールキャリア23Aの連結突起57をスプリングコレット24Aの連結溝51に嵌めることにより、スプリングコレット24Aと、シールキャリア23Aとが接続される。棒状の回転ピンを凹部56に引っかけた状態で回転ピンを周方向に回転させると、回転ピンからの周方向の力が凹部56を介してシールキャリア23Aに伝わり、シールキャリア23Aが周方向に回転する。シールキャリア23が周方向に回転するとそれに応じてスプリングコレット24Aが周方向に回転する。このように、ボールバルブ20が閉じた際に、ボールバルブハウジング19の側面の貫通孔41に位置するシールキャリア23Aの凹部56に回転ピンを用いて周方向に回転させれば、スプリングコレット24Aも回転させることができる。

図9にドライブサブ11に設けられる溝を示す。図9(A)は、ドライブサブ11の内周面を内側から見た図であり、図9(B)はドライブサブ11の中心軸に沿った断面での断面図である。図9(A)に示すように、ドライブサブ11に設けられる溝は、ドライブサブ11の内周面に凸部58、及び凸部58の上側に凸部59Aを設けることにより形成される。溝は、凸部58の上側の平面、凸部59Aの下側の平面、凸部58と凸部59Aとの間のドライブサブ11の内周面によって構成されている。凸部59Aの上側の面は、下方ほど高くなる傾斜となっている。溝は、所定間隔(例えば、30°毎)で内周面における周方向に設けられており、ドライブサブ11の内周面における他の箇所には、溝が設けられていない。また、図9(A)及び図9(B)に示すように、ドライブサブの内周面の凸部59Aの上方には、凸部59Bが設けられている。凸部59Bの下側には、上方ほど高くなる傾斜がある。凸部59Bの上側の面は、スプリングコレット24の爪部53が引っかかる(リリーススリーブ26に抑えつけられる)ドライブサブ11の段差に相当する。

そして、凸部58から凸部59Aまでの長さL1は、爪部53から爪部54までの距離L2より短いものとする。そして、ドライブサブ11の溝の軸方向における位置は、ボールバルブ20がボールバルブシール22とシールした状態におけるスプリングコレット24Aの爪53の位置に基づいて定められる。具体的には、スプリングコレット24Aの爪53が溝60に嵌った際に、スプリングコレット24A及びシールキャリア23Aが、ボールバルブシール22をボールバルブ20に確実にシールさせる状態となるような位置に溝60を設ける。また、爪部54の軸方向の長さは、凸部59Aから凸部59Bまでの長さL3より短いものとする。

図10及び図11を用いて、ボールバルブ20がシールされた状態を固定する動作を説明する。図10に示すように、コア採取時は、ボールバルブ20が開いた状態である。プリングコレット24の爪53は、溝よりも上側に位置している。スプリングコレット24は、ドライブサブ11とリリーススリーブ26とに挟まれており、下方に移動できない状態にある。この後に、ワイヤーによって、インナーチューブ12が引き上げられると、図11に示すように、インナーチューブ12が引き上げられ、インナーチューブ12の爪部28に、リリーススリーブ26の爪部43が引っ掛かり、リリーススリーブ26が引き上げられる。

リリーススリーブ26が引き上げられることにより、スプリングコレット24Aは、図11に示すように、リリーススリーブ26により、下方へ移動することを防止する部材がなくなったため、ボールバルブスプリング25が付勢力によりスプリングコレット24Aのフランジ部48を下方へ押し出し、スプリングコレット24Aがシールキャリア23とボールバルブシール22とを下方へ押し出し、これに伴ってボールバルブ20を下方へ押しだす。そして、スプリングコレット24Aの長足部52の爪53が凸部59B、凸部59Aを越えてドライブサブ11の溝60に嵌り、スプリングコレット24Aの軸方向の位置が固定される。

スプリングコレット24Aが、シールキャリア23Aを押さえつけることに応じて、ボールバルブシール22がボールバルブ20を押さえつける。これにより、ボールバルブ20がシールされる。また、ボールバルブ20は、当該シール方向と反対側からボールフォロワー17等が支持している。さらにスプリングコレット24Aの長足部52の爪53がドライブサブ11の溝60に嵌っているので、ボールバルブ20が固定される。すなわち、オートクレーブ2が密閉された状態になる。

(ボールバルブの固定状態解除) 上述のようにボールバルブ20がシールされた状態から元の状態(図10の状態)に戻す方法を説明する。前提として、ボールバルブ20がシールされた状態において、ビット14を取り外した後に、利用者がシールキャリア23Aを操作するものとする。図8に示したように、長足部52は、所定間隔で設けられており、そして、図9に示したようにドライブサブ11の溝60も所定間隔で設けられている。

ここで、シールキャリア23Aの回転ピンを凹部56に引っかけてシールキャリア23Aを周方向に回転させることより、スプリングコレット24Aも回転し、長足部52の爪53が溝60から外れることになる。すなわち、爪53が軸方向に溝60が無い状態になる。

この状態の場合、爪53が軸方向に溝60が無いので、上方向へシールキャリア23Aを押し上げることができる。そして、シールキャリア23Aを上方向へ押し上げると、スプリングコレット24Aの側面の爪54の下方向の面が、凸部58へ当たる。この状態で、さらにシールキャリア23Aを周方向へ回転させることにより、側面の爪54が凸部58から外れた状態になる。すなわち、爪54が軸方向に溝60が無い状態になる。そして、長足部52の爪53が凸部59Aと凸部59Bとの間に位置する。

この状態の場合、爪54が軸方向に溝60が無いので、上方向へシールキャリア23を押し上げることができる。さらに上にシールキャリア23Aを上方へ押し上げると、長足部52の爪53が、ドライブサブ11の内周面における溝60と凸部59Bの間の位置から内周面に沿って凸部59Bを超えた箇所まで移動する。この状態で、リリーススリーブ26を再度取り付けることにより、ボールバルブ20をシールする前の状態に戻る。すなわち、図10に示した状態に戻る。

(ボールバルブがシールされた状態を固定する第2の固定機構) 続いて、ボールバルブがシールされた状態を固定する第2の固定機構について説明をする。第2のボールバルブの固定機構では、シールキャリア23Bに外開可能なスリット部を有するリング部材61を装着して、ボールバルブ20が閉じた際に、当該スリット部を開いた状態でボールバルブハウジング19とシールキャリア23Bとを固定させることにより、ボールバルブ20を固定させる。

図12に、リング状のリング部材61と、当該リング部材61を装着したシールキャリア23Bとを示す。シールキャリア23Bは、下側(ボールバルブシール22側)の外周が上側(スプリングコレット24側)の外周に比して小さいものとする。シールキャリア23Bの外周には、リング部材61を嵌め込めるように周方向に溝が設けられている。この溝の軸方向の長さは、リング部材61の軸方向の長さと同程度である。シールキャリア23Bに設けられた溝にリング部材61が嵌り込んだ場合、リング部材61の外周の径はシールキャリア23Bと同程度である。よって、シールキャリア23Bにおける、下側の外周と上側の外周との差分により、リング部材61をシールキャリア23Bに巻きつけることが可能である。

図12(A)は、リング部材61の斜視図である。リング部材61は、例えば、金属部材である。リング部材61の径は、リング部材61は、外開スリット62と、位置決めドック63と開口切断部64とを有する。外開スリット62は、上側の端面から軸方向に切込みが入れられたスリット部である。外開スリット62は、径方向の外側に折り曲げられており、径方向に戻すと(折り曲げられていない状態)外側に戻ろうとする弾性力が働く。位置決めドック63は、シールキャリア23Bへの装着時に取り付け場所の決めるための印となる、上側の端面に設けられる凹状の切り欠きである。シールキャリア23Bの外周の溝にも、切り欠きに対応する(切り欠きに嵌る)位置に突起が設けられている(突起が残される)。この切り欠きがシールキャリア23Bに設けられた突起に嵌り、リング部材61がシールキャリア23Bに装着される位置が決定される。開口切断部64は、シールキャリア23Bへ取り付けるために軸方向に切断された箇所である。なお、外開スリット62が羽根部に対応する。

図12(B)は、リング部材61をシールキャリア23Bに巻きつけた状態の斜視図である。シールキャリア23Bの外周面に巻きつけるように、リング部材61を装着する。ボールバルブ20をシールした際における、ボールバルブハウジング19の貫通孔41を構成する上部側の面に外開スリット62が接することが可能な位置に、リング部材61が巻きつけられる。

図13及び図14を用いて、ボールバルブ20がシールされた状態を固定する動作を説明する。図13に示すように、コア採取時は、ボールバルブ20が開いた状態である。スプリングコレット24は、ドライブサブ11とリリーススリーブ26とに挟まれており、下方に移動できない状態にある。また、シールキャリア23Bは、ボールバルブハウジング19に収容されており、これに伴い、外開スリット62が閉じた状態である。この後に、ワイヤーによって、インナーチューブ12が引き上げられると、インナーチューブ12の爪部28とリリーススリーブ26の爪部43とが係合し、リリーススリーブ26も引き上げられる。

リリーススリーブ26が引き上げられることにより、スプリングコレット24は、図14に示すように、リリーススリーブ26により、下方へ移動することを防止する部材がなくなったため、ボールバルブスプリング25が付勢力によりスプリングコレット24のフランジ部48を下方へ押し出し、スプリングコレット24がシールキャリア23Bとボールバルブシール22とを下方へ押し出し、これに伴ってボールバルブ20を下方へ押しだす。

ボールバルブ20を下方へ押し出すことにより、シールキャリア23Bがボールバルブハウジング19の側面の貫通孔41に位置すると、ボールバルブハウジング19の内周面によるリング部材61の径方向内側方向への抑えがなくなる。このため、シールキャリア23Bに装着していたリング部材61の外開スリット62が弾性作用により開き、当該外開スリット62がボールバルブハウジング19の側面の貫通孔41を構成する上部側の面に外開スリット62が接する(突き当たる)。このように、シールキャリア23Bがボールバルブシール22を押さえつけることによりボールバルブ20がシールされる。そして、ボールバルブ20は、当該シール方向と反対側からボールフォロワー17等が支持している。さらにシールキャリア23Bに装着されたリング部材61の外開スリット62が外に開き、当該外開スリット62とボールバルブハウジング19の貫通孔41を構成する上部側の面に外開スリット62が接することにより、シールキャリア23Bは上側に戻れなくなるため、シールキャリア23Bの位置が固定される。これにより、ボールバルブ20が固定される。すなわち、オートクレーブ2が密閉された状態になる。なお、ボールバルブハウジング19の貫通孔41を構成する上部側の面が羽根支持部に対応する。

(ボールバルブがシールされた状態を固定する第3の固定機構) 続いて、ボールバルブがシールされた状態を固定する第3の固定機構の説明をする。第3の固定機構では、ボールバルブ20Aの側面に設けられたピボット溝におけるピボットスクリュー21が取り付けられる位置と離れた側の端部により深い溝を設け、ボールバルブ20Aが閉じた際に当該深い溝にピボットピンを嵌め込むことにより、ボールバルブ20Aを固定させる。

図15にボールバルブ20Aを示す。図15(A)は、ボールバルブ20Aの斜視図である。ボールバルブ20Aは、球体の中心軸L1(流体が通る穴の軸)と垂直な軸である回転軸L2に垂直な平面Hを両側面に有する。当該平面Hは、円状の面であり、平面Hには、中心位置にピボットスクリュー21を取り付けるためのネジ穴70と、中心位置の少し離れた位置から径方向に延びた、ピンが動作可能なピボット溝71を有する。

続いて、図15(A)に示すボールバルブ20AをB−B方向に切断した断面を図15(B)に示す。図15(B)に示すように、ピボット溝71における、ボールバルブ20Aの外側の位置(中心位置と離れた側の端部)に更に深い溝72を設けている。

図15(C)は、ピボット溝71及び溝72の上面図と、当該ピボット溝71及び溝72を移動するピボットピン73の側面図を示す。ピボットピン73は、棒状の部材であり、側面には、ネジ山が設けられている。ピボットピン73は、ボールバルブハウジング19の両側面にネジ穴が設けられており、当該ネジ穴にピボットピン73が取り付けられると共に、ボールバルブ20Aのピボット溝71に取り付けられる。ボールバルブ20Aが開いている場合は、ピボットピン73は、ピボット溝71におけるボールバルブ20Aの中心付近から離れて位置しており(但し、深い溝72の位置ではない位置)、ボールバルブ20Aが開いた状態から下方へ移動するに伴い、ピボットピン73の位置がピボット溝71におけるボールバルブ20Aの中心付近に向かって一旦移動し、その後、中心付近から溝72へ移動する。

図15(D)にピボットピン73の断面図を示す。ピボットピン73は、ピボットピン73内部にスプリング74を有し、ピボットピン73の先端には、先端ピン75を有する。スプリング74は、先端ピン75と接しており、付勢力によりスプリング74が先端ピン75を押し出すことが可能に構成されている。ピボットピン73がピボット溝71に位置している場合は、ピボット溝71が浅い溝であるので、先端ピン75が本体内部に収まった状態である。そして、ピボットピン73が溝72に位置している場合は、溝72は、ピボット溝71と比較して深い溝になるので、スプリング74により先端ピン75が押し出されて先端ピン75が溝72に嵌ることになる。これにより、ピボットピン73が固定される。固定された位置にピボットピン73が位置している場合に、ボールバルブ20Aは、閉じた状態であるので、ボールバルブ20Aが閉じた状態を維持することができる。

上述したように、オートクレーブ2の下部におけるシール状態を固定するための機構については3種類を説明したが、そのうち何れか1つが採用されていてもよいし、全てが採用されていてもよい。

続いて、コアの採取後、コアの容器を構成するコアライナー13を含む密閉空間を形成し、加圧する処理手順について、図16を用いて説明する。まず、ワイヤーにより、アウターチューブ10内で、コアライナー13がボールバルブ20の上部に位置まで引き上げられると共に、インナーチューブ12が引き上げられる。これにより、ボールバルブ20が閉じられる(S1)。この際、ボールバルブ20とシールキャリア23との間がボールバルブシール22によってシールされ、上記第1〜第3の何れかの固定機構により、当該シール状態が固定される。

続いて、アウターチューブ10内で、インナーチューブ12が更に引き上げられて、インナーチューブ12の外周面とシールサブ33の内周面との間がシールされる(S2)。シールされると、上記のようにコアライナー13を含む容器が位置する内部空間が密閉空間となる。インナーチューブ12の外周面とシールサブ33の内周面との間がシールされる際に、シールが開始されてから更にインナーチューブ12が上方に引き上げられると密閉空間の容積が増える。このとき、容積の増加に応じて、リップシール32及びチェックバルブ30から密閉空間の外部から内部に流体が流入する。また、上記のようにオートクレーブの下部のシール状態が固定されているため、そこから密閉空間の外部と内部との不適切な流体の流出入が起こることがない。従って、インナーチューブ12の移動に伴って密閉空間の容積が変動した場合でも圧力保持を可能とする。

続いて、圧力制御部3による加圧処理の準備を開始し(ステップS3)、圧力制御部3により密閉空間の内部を加圧する(ステップS4)。インナーチューブ12の移動に伴って密閉空間の容積が変動した場合でも圧力保持を可能とする。

なお、上記密閉空間の容積に応じた圧力の制御も圧力制御部3(アキュムレータ)で行うことも考えられる。その場合、当該制御のタイミングを精密に管理する必要がある。本実施形態によれば、従来のようにアウターチューブ10内で部材の引き上げを行っても、圧力保持を可能としている。

(容器移送装置) 続いて、オートクレーブ2に含まれるコアライナー13を含んで構成される容器を、他の装置(例えば、コアを解析する装置)へ移送させるために、自装置へ移送させる装置である容器移送装置90について説明する。容器移送装置90について説明する前に、オートクレーブ2を容器移送装置90に配置させる方法について説明する。まず、引上げ部4及び圧力制御部3を取り外した後に、図17(A)に示す、オートクレーブ2の内部へ流体を流入可能であるオートクレーブ2側のクランプヘッドである筒状の移動用クランプヘッド82をオートクレーブ2の上部へ取り付けて、容器移送装置90に取り付けられているクランプヘッドである筒状のクランプヘッド81に上記移動用クランプヘッド82を取り付ける。クランプヘッド81の内周面、移動用クランプヘッド82の内周面、及びコアライナー13を含んで構成される容器を含むオートクレーブ2によって空間が形成される。また、当該空間は、上記のリップシール32及びチェックバルブ30(あるいは少なくとも何れか)に接している。移動用クランプヘッド82は、注入口83を有し、当該注入口83から流体を入れると、上記の空間には、オートクレーブ2の密閉空間の流体に応じた流体(例えば、同じ圧力の流体)で満たすことができる。これにより、密閉空間を構成していたアウターチューブ10及びドライブサブ11から、コアライナー13を含んで構成される容器を引き抜く際に、即ち、密閉空間の容積が大きくなる際にも、リップシール32及びチェックバルブ30を介して流体をオートクレーブ2の密閉空間に入れることが可能になる。従って、オートクレーブ2の密閉空間内の流体の圧力を同一に維持することが可能となる。そして、図17(B)に示すオートクレーブ2の下部の移動用底部キャップ84を装着する。なお、カッティングシュー16を取り外した状態で移動用底部キャップ84を装着する。

図18を用いて、容器移送装置90の説明をすると共に、コアライナー13を含む容器を引き込む順序を説明する。最初に容器移送装置90の構成を説明する。容器移送装置90は、コアライナー13を引き込む手段であるマニピレータ91と、コアライナー13を保管する容器である保管用圧力容器92、コアライナー13を所定の位置で切断可能なライナー切断機93を有し、さらに図示しない加圧装置と容器移送装置90の任意の箇所で接続している。続いてコアライナー13を引き込む手順について説明する。まず、図18(A)に示すように、図17(A)及び(B)に示したクランプヘッド81、移動用クランプヘッド82、及び移動用底部キャップ84をオートクレーブ2に取り付けた後に、容器移送装置90へ取り付ける。なお、図示しない加圧装置(流体保持手段、流体供給手段)が容器移送装置90と移動用クランプヘッド82の注入口83に接続し、同一圧力の圧力水を注入する。これにより、容器移送装置90の内部と、オートクレーブ2との圧力が保たれる。

続いて、図18(B)に示すように、マニピレータ91(容器移送手段)をオートクレーブの上部へ接続し、当該マニピレータ91を引き込むことにより、図18(C)に示すように、当該オートクレーブ2内のコアライナー13を容器移送装置90まで引き込む。そして、図18(D)に示すように取り外す。

このように、容器移送装置90は、コアライナー13を、容器移送装置90の流体内へ移送する際、密閉空間内部の容積が増加する分の流体をリップシール32及びチェックバルブ30を介して供給することができ、リップシールによるシール状態が固定されている状況下でも、容器を容器移送装置90に流入されている流体へ移送することができる。また、流体保持手段が保持している流体の圧力がオートクレーブ内の流体の圧力に応じたものであるので、オートクレーブ内の圧力を保持した状態で、コアライナー13を容器移送装置90の流体内へ移送することができる。従来ボールバルブ20の下方から圧力水を補給していたが、リップシール32を使用する事によりオートクレーブ2の上部から補給する事が可能となり、作業が簡易となり且つ安全となる。

(作用効果) 続いて、本願発明の作用効果を以下に記載する。コアを採取するコアバーレル1では、インナーチューブ12と、アウターチューブ10内部に当該インナーチューブ12の軸方向に移動可能に配置され、採取したコアを保持するコアライナー13と、インナーチューブ12の一方の開口部側に設けられ、閉じた状態において当該一方の開口部を介したインナーチューブ12内部と外部との間の流体の流出入を防止するボールバルブ20と、ボールバルブ20が閉じた状態において、インナーチューブ12の一方の開口部とボールバルブ20との間をシールするボールバルブシール22と、コアライナー13が当該インナーチューブ12の軸方向における特定の位置に位置している場合にコアライナー13の外周面とインナーチューブ12の内周面との間をシールする部材と、ボールバルブシール22によってシールされた状態を固定する固定機構と、第1のシール部材及び前記第2のシール部材によって、閉じられた筒部の内部空間(密閉空間)への方向へのみ流体を流入可能にする流入機構と、を備え、流入機構は、インナーチューブ12の内部空間と外部との間の位置に設けられるチェックバルブ30、及びリップシール32である第2のシール部材の少なくとも何れかとする。

コアバーレル1では、ボールバルブシール22によってシールされた後における、シール状態を固定する固定機構を有することにより、ボールバルブ20が閉じた状態を保つことができる。また、コアバーレル1は、アウターチューブ10の内部空間へのみ流体を流入可能にするリップシール32又はチェックバルブ30を有するので、流体をアウターチューブ10内へ流入することが可能となる。これにより、一度ボールバルブ20を閉じた後に、コアライナー13を移動した結果、筒部の内部空間の容積が増えて圧力が減少してしまうことによりボールバルブ20が再度開いてしまうこと等を防止することができる。よって、一旦ボールバルブ20が固定されると振動、掘削泥水による外圧変化に対してもその密閉性(シール性)が保持される。また、コアライナー13の移動に伴ってオートクレーブ内の容積が変動した場合でも圧力保持を可能とする。また、この効果は、仮にアキュムレータによる内圧上昇機能が失われた状態でも海底の圧力を保持する事が可能となり、圧力保持の冗長性が一段と高まる。さらに、コア掘削は既存の掘削機器、掘削管(ドリルパイプ)、アウターコアバーレルを使用する事ができる。

また、コアバーレル1のように、ワイヤーで引き上げながら各部をシールする場合、それぞれがシールされたか否かを判断した上で処理を行うことが困難であるが、本発明のように、ボールバルブ20を閉じてシールした状態を確保した上で、インナーチューブ12とアウターチューブ10とをシールするように処理を行うので、確実に密閉空間を形成できる。

ボールバルブ20は、アウターチューブ10等の軸方向に移動しながら回転軸を中心に回転することで開閉し、ボールバルブ20を移動可能に支持するボールフォロワー17等を更に備えることが望ましい。この構成によれば、コアバーレル1は、ボールバルブ20を回転させることにより、ボールバルブ20を移動させるとともに、ボールフォロワー17でボールバルブ20を支持することができる。

ボールバルブシール22によってボールバルブ20との間をシールされるシールキャリア23と、シールキャリア23の外周面の少なくとも一部を覆うと共にシールキャリア23と共に移動可能に設けられるインナーチューブ12等と、を含んで構成され、固定機構として、ボールフォロワー17が、ボールバルブ20が閉じた状態において、ボールバルブシール22によってシールされている側とアウターチューブ10等の軸方向の反対側からボールバルブ20を支持し、ドライブサブ11等の内周面のシールキャリア23を覆っていない位置の周方向に溝が設けられ、ボールバルブ20が閉じた状態において、インナーチューブ12等の溝に嵌る外周面に張り出すように突設された爪部を有し、爪部が溝に嵌ることでボールバルブに対してシールキャリア23を固定し、フランジ部48を有するスプリングコレット24を備え、スプリングコレット24の外周における、ボールバルブ20とは逆側にボールバルブスプリング25が設けられ、スプリングコレット24は、ボールバルブスプリング25が、上記フランジ部48をボールバルブ20側に押さえる付勢力によりスプリングコレット24が押さえられることに伴い、シールキャリア23を押さえてシールキャリア23を固定させることが望ましい。

この構成によれば、コアバーレル1は、スプリングコレット24の外周面から張り出すように突設された爪部がドライブサブ11の内周面の溝に嵌ることにより、ドライブサブ11に対してスプリングコレット24及びシールキャリア23が固定される。シールキャリア23とボールフォロワー17に挟まれる様にして支持されているボールバルブ20は、ボールバルブ20の上部にあるシールキャリア23が固定、移動出来なくなることで、ドライブサブ11に対してボールバルブ20が固定され、ボールバルブシール22とボールバルブ20及びシールキャリア23によるオートクレーブの密閉状態を保持することができる。

ドライブサブ11の溝は、ドライブサブ11の内周面に凸部を設けることにより形成され、所定間隔でドライブサブ11の内周面における周方向に設けられており、スプリングコレット24の爪部は、ドライブサブ11の溝の間隔より長い間隔でスプリングコレット24の外周面に設けられており、シールキャリア23と、スプリングコレット24とが接続可能であることが望ましい。この構成によれば、コアバーレル1は、シールキャリア23と、スプリングコレット24とが接続していることによりシールキャリア23を回転させると、スプリングコレット24も回転させることができ、当該回転により溝に嵌っている爪が溝からずれるので、ドライブサブ11とスプリングコレット24との固定状態を解除することが可能となる。

スプリングコレット24の側面における、周方向に、爪部と交互に且つ爪部よりボールバルブ20側に第2の爪を設け、ドライブサブ11の内周面の溝を形成する凸部の他の開口部側に、他の開口部に近づくほど高くなる傾斜を含む第2の凸部をさらに有し、凸部から第2の凸部までの距離より、爪部から第2の爪部までの距離が長いことが望ましい。この構成によれば、コアバーレル1は、シールキャリア23と、スプリングコレット24とが接続していることによりシールキャリア23を回転させると、スプリングコレット24も回転させることができ、当該回転により溝に嵌っている爪が溝からずれ、その状態で上部へ押し込み、第2の爪が溝に当接した状態でさらに回転させて押し込むことにより、元の状態へ戻すことができる。

ボールバルブシール22によってボールバルブ20との間をシールされるシールキャリア23と、シールキャリア23の外周面の少なくとも一部を覆うと共にシールキャリア23に対して移動可能に設けられるドライブサブ11と、を含んで構成され、固定機構として、ボールフォロワー17が、ボールバルブ20が閉じた状態において、ボールバルブシール22によってシールされている側とインナーチューブ12等の軸方向の反対側からボールバルブ20を支持し、シールキャリア23の外周面に、ボールバルブ20からインナーチューブ12の方向に向かうほど当該シールキャリア23の径方向に広がる外開スリット62と、筒部本体に固定されると共に、ボールバルブ20が閉じた状態において外開スリット62に突き当たるボールバルブハウジング19と、を有することが望ましい。

ボールバルブ20は、ボールバルブ20の開閉を制御する開閉制御溝を有し、開閉制御溝における、ボールバルブ20が閉じる状態に対応する位置が他の位置に比較して深く、固定機構として、開閉制御溝に位置するピンが、ボールバルブが閉じる状態に対応する位置に押し込まれる構成を有することが望ましい。この構成によれば、コアバーレル1では、ピンが固定されることにより、ボールバルブの動作が固定されるので、第1のシール部材のシール状態を保持することができる。このピン部はねじにて取付るので、ねじをゆるめ、ピン部を溝から外した状態で、上記同様下部からボールフォロワー17を押し込み上部に移動させることによりボールを開く事が可能となる。その後所定のねじ込み位置までピンをねじ込むことで再セットが可能となる。

本発明によれば、海底の圧力を地表まで維持した状態で、コアを回収する事が可能である。

1…コアバーレル、10…アウターチューブ、11…ドライブサブ、12…インナーチューブ、13…コアライナー、14…ビット、15…コアキャッチャ、16…カッティングシュー、17…ボールフォロワー、18…リターンスプリング、19…ボールバルブハウジング、20…ボールバルブ、21…ピボットスクリュー、22…ボールバルブシール、23…シールキャリア、24…スプリングコレット、25…ボールバルブスプリング、26…リリーススリーブ、30…チェックバルブ、32…リップシール、33…シールサブ、34…爪、35…離脱スリーブ、40…ネジ穴、41…貫通孔、42…オーリング、43…爪部、44…凸部、45…アキュムレータサブ、46…流路、47…流入方向、48…フランジ部、51…連結溝、52…長足部、53…爪部、54…爪部、56…凹部、57…連結突起、58…凸部、59…凸部、60…溝、61…リング部材、62…外開スリット、63…ドック、64…開口切断部、70…ネジ穴、71…ピボット溝、72…溝、73…ピボットピン、74…スプリング、75…先端ピン、81…クランプヘッド、82…移動用クランプヘッド、83…注入口、84…移動用底部キャップ、90…容器移送装置、91…マニピレータ、92…保管用圧力容器、93…ライナー切断機

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