【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、岩石またはコンクリートの回転式衝撃孔あけ用の工具であって、孔あけ側の切断チップ及びセンタードリルシャンクを有するセンタードリルを受容するために軸方向に設けられている孔を備えるドリル本体と、孔あけ用工具におけるセンタードリルの締付け端部領域にセンタードリルを固定及び/ 又は位置づけるための手段とを備えている孔あけ用工具に関する。 【0002】 【従来の技術】孔あけ用工具、特にさく岩機はコンクリートまたは石積み構造に孔をあけるために使用され、特にドリルハンマーに使用するために設計されている。 ここに援用するヨーロッパ特許公報EP0,732,16 4A1には従来技術として知られている多くの孔あけ用工具が記載されている。 ドリルビット、所謂孔ぬきドリルの場合、孔あけ用工具においてセンタードリルを交換可能に固定しなければならないという問題がある。 この点において、上述の公報には多くの可能な解決策が記載されている。 複雑な機構を要するものもあるが、これらによってセンタードリルを確実に取付けることができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、すべての周知の解決策及びEP0,732,164A1に記載されている工具には、ドリル本体に対応して設けられている孔にセンタードリルを固定するために、ねじ、リング、ボルト等のような複雑な装置を使用するという問題がある。 この場合、ハンマー力を伝えるためには、センタードリルが長手軸方向に変位可能であるという要件を満足する必要がある。 【0004】本発明の目的は、センタードリルを非常に容易且つ単純に受容し固定するための孔あけ用工具を提供することにある。 また、本発明の目的は、取り外し可能であるため紛失する可能性がある、センタードリルを固定するための補助部品を不要にすることである。 【0005】 【課題を解決するための手段】これらの目的を達成するために、本発明は、岩石またはコンクリートの回転式衝撃孔あけ用の工具であって、孔あけ側の切断チップ及びセンタードリルシャンクを有するセンタードリルを受容するために軸方向に設けられている孔を備えるドリル本体と、孔あけ用工具におけるセンタードリルの締付け端部領域にセンタードリルを固定及び/又は位置づけるための手段とを備えている孔あけ用工具を提供する。 センタードリルを軸方向に固定及び/又は回転可能に保持するために、締付け端部を備える孔あけ工具は、二部分から形成され、センタードリルの通し孔を有し、センタードリルは積極的な保持要素によって孔あけ工具に保持されている。 【0006】本発明において、センタードリルの締付け端部領域に半径方向に延びている突出部が設けられ、該突出部は孔あけ用工具の締付けシャンクの半径方向に延びている凹部とともに積極的な接続手段を形成する。 また、本発明の孔あけ用工具は、ねじ山を介して締付けシャンクに接続されている。 【0007】さらに、本発明の孔あけ用工具は、締付けシャンクへの移行領域において、雄ねじを有する接続シリンダと、締付けシャンクの雌ねじを有し該接続シリンダに係合する中空シリンダとを備える。 二部分からなる孔あけ用工具の移行領域には翼状または多角形の凹部が設けられ、該凹部はセンタードリルに対応して形成されている半径方向拡張部または突出部と積極的に協働する。 【0008】また、二部分からなる孔あけ用工具の移行領域には少なくとも一つの半径方向に延びている横溝孔が設けられ、センタードリルシャンクの端部においてクロスピンが該横溝孔に嵌合している。 さらに、本発明において、センタードリルが長手軸方向に遊びをもたせて孔あけ用工具に取付けられている。 【0009】ピン、ボールまたはリングのような孔あけ用工具の対応する凹部と協働する別体の部品によってセンタードリルの半径方向突出部または半径方向拡張部が形成されている。 また、本発明において、センタードリルの端部の雄ねじを受けるための雌ねじが別体の締付けシャンクに設けられているかまたは積極的な受容要素が設けられている。 【0010】さらに本発明の孔あけ用工具には、ポット状のドリルビットが設けられ、端部側に締付け端部または締付けシャンクを備え、センタードリルが締付け端部の側からドリルビットに挿入可能である。 また、ドリル本体は、外部搬送螺旋部分を備えている又は備えていない孔ぬきドリルとして形成され、端部に締付け端部がねじ込まれ、締付けシャンクを有し、締付け側でセンタードリルが孔ぬきドリルに挿入されている。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明は本来、特に岩石の回転式衝撃孔あけ用の工具が、通常、消耗部品として設計されている交換可能なセンタードリルを備えていることが好ましいという見解に基づいている。 【0012】この場合、衝撃応力を受けるために、センタードリル自体はその受容孔において軸方向に移動可能に取付けられていることが好ましい。 しかしながら、非衝撃で使用する場合は、その必要がない。 センタードリルを脱落しないように確実に固定するために、さらに、 センタードリルを回転可能に保持するために、孔あけ用工具は前方のドリル本体と後方の締付け端部との二部分から形成され、ドリル本体には締付けシャンクが設けられている。 これらの部分は例えばねじ山を介して互いに固定されている。 孔あけ用工具を二部分に分割する分割点に孔を設けることによって、この孔にセンタードリルを通常の押圧方向と反対方向に挿入することができる。 【0013】センタードリルは積極的な保持要素により孔あけ工具に保持される。 このため、センタードリルの円筒形のシャンクがドリル本体の中心の孔から脱落しないように、例えば、半径方向の突出部または拡張部がセンタードリルのシャンク端部に形成されている。 これらの突出部または拡張部はドリル本体に対応して設けられている半径方向の凹部に嵌合するので、センタードリルを軸方向に固定するばかりでなく、回転可能に保持することができる。 【0014】このように簡単な構造により、センタードリルを後方即ち締付け側のドリル本体に挿入することができ、さらに回転させることによって固定することができる。 また、センタードリルは軸方向に移動可能である。 センタードリルを締付け側のドリル本体に挿入した場合、締付けシャンクを備えている締付け端部はドリル本体の雄ねじに係合する。 従って、センタードリルを容易に交換することができる。 【0015】容易且つ確実に接続するために、センタードリルの締付けシャンクにおいて、型打ち工程で、例えば、センタードリルの円筒形の締付け端部に翼状の半径方向拡張部を形成する。 このような翼状拡張部は、ドリル本体に対応して設けられている凹部に嵌合する。 【0016】また、センタードリルの締付けシャンクの端部に多角形の半径方向拡張部を形成することによって、センタードリルを脱落しないように孔に固定することができる。 さらに、実施形態において、センタードリルのシャンク端部に簡単な構造のクロスピンを貫通させてもよい。 このクロスピンは、ドリル本体においてセンタードリルを受容する孔の両側の開放端部を有するU字状のくぼみに嵌合する。 【0017】さらに、本発明において、孔あけ用工具に開放端を有するポケットを設けてもよい。 この場合、例えば、センタードリルのシャンク端部に形成されている切欠きに保持されている球状の保持要素がポケットに嵌合する。 また本発明において、孔あけ用工具の締付け端部にねじ山を設けてもよい。 このねじ山はセンタードリルの端部に設けられているねじ山と係合する。 このねじ山の代わりに別の保持部材を設けてもよい。 【0018】以下、本発明の実施例について説明する。 本発明は、図1から4にその例を示すように、様々な孔あけ用工具に適用することができる。 特に、本発明によると、センタードリルは図1に示されているドリルビット及び図2に示されている孔ぬきドリルの両方に取り付けることができる。 【0019】図1には孔あけ用工具の実施例が示されている。 図1に示されているように、孔あけ用工具1はポット状ハウジング3を有するドリル本体2を備えている。 ハウジング3の端面には硬質合金の切断チップ4が設けられている。 ドリル本体2の底部5は、二部分から形成されている締付け端部6に接続している。 このため、ドリルビットとして形成されているドリル本体2 は、その端部領域に雄ねじ8を有する接続シリンダ7を備え、雌ねじ10を有する中空シリンダ9がこの接続シリンダ7にねじ込まれている。 このように、孔あけ用工具の締付けシャンク11を備えている締付け端部6は二部分から形成されている。 【0020】孔あけ用工具1はその締付け端部の領域において二部分から形成されているので、中空シリンダ9 を取り外した後に、ドリル本体2の中心に設けられている貫通孔13を介してセンタードリル12を締付けシャンク11から、即ち締付け側からドリル本体2に挿入することができる。 【0021】円筒形のセンタードリル12が取付孔13 から脱落しないように、二つの互いに向き合う翼状半径方向突出部14、14′がセンタードリル12の上端部に設けられている。 これらの突出部14、14′は、接続シリンダ7に対応して設けられている半径方向凹部1 5、15′に嵌合する。 半径方向凹部15、15′は孔あけ方向に予め定める長さだけ設けられている。 従って、センタードリル12は孔13から脱落することがない。 さらに、センタードリル12を回転可能に保持することができる。 【0022】センタードリル12は矢印16によって示されているように、軸方向に遊びをもたせて、限られた軸方向の長さを有する凹部15、15′に嵌め込むことができる。 従って、締付けシャンクとして働く中空シリンダ9の底部18から伝えられる衝撃による応力は、センタードリル12の端部17に作用することができる。 しかしながら、センタードリル12は前方方向へ抜け落ちることがない。 【0023】孔あけ用工具及びそのシャンクは二部分から形成されているので、センタードリルを後方から取り付けることができる。 また、凹部15,15'の長さを適宜変えることにより、センタードリルを遊びをもたせて又はもたせることなく取り付けることができる。 センタードリルの端部に半径方向拡張部または半径方向突出部が設けられているので、センタードリルを軸方向に固定させるとともに回転可能に保持することができる。 【0024】翼状突出部14、14′の代わりに、一部分または二部分から形成されている他の保持要素をセンタードリル12のシャンク端部に設けてもよい。 例えば、図5(a)及び5(b)に示されているように、センタードリル12のシャンク端部にクロスピン19を設けてもよい。 この場合、クロスピン19は、接続シリンダ7の端部で孔13の両側に設けられている開放端を有するスロット状の凹部20、20′に積極的に係合つまり嵌合する。 【0025】さらに、図6(a)、(b)に示されているように、接続シリンダ7に対応して設けられている開放端を有するポケット22にボール21またはリング等を嵌合させてもよい。 例えば、所謂SDSハンマードリルの長手方向に設けられ端部が閉じられている溝にボール21を挿入した場合、このボールは対応するポケット22と積極的に協働する。 上述したように、シャンクを備えている孔あけ用工具は二部分から形成されているので、センタードリル12を後方から挿入し、保持要素によって固定させることができる。 【0026】図2に示されている孔あけ用工具1′は孔ぬきドリル23として形成されているが、これも二部分からなる。 孔あけ用工具1′は、硬質合金の切断チップ4を備えているドリルヘッド24と、ドリルヘッド24 に隣接し孔あけ作業で生じるほこりを搬送するための螺旋状部分25と、ハンマードリル等に取り付けられる端部側に設けられている締付けシャンク11とを備えている。 図1(a)、(b)に示されている実施例と同様、 締付け端部6は、接続シリンダ7と中空シリンダ9との二部分から形成され、これらの部分は各々、雄ねじ8及び雌ねじ10を介して互いに接続している。 【0027】また、このドリル本体もセンタードリル1 2を受けるための通し孔13を中心に備えている。 図2 に示されているセンタードリル12のシャンク端部には、センタードリル12の直径に対する六角状の半径方向拡張部28が形成され、接続シリンダ7に対応して設けられている孔29に挿入される。 【0028】このようなセンタードリル12も矢印16 によって示されているように、軸方向に遊びをもたせて又はもたせることなく孔あけ用工具1′に固定することができる。 さらに、センタードリル12の端面には締付け端部6からの衝撃エネルギが作用する。 【0029】図3に示されている実施例において、図1 に示されている実施例と同様、センタードリル12の端面には二つの互いに向き合う翼状の半径方向突出部1 4、14′(図3(a)参照)が設けられているが、これらの突出部は、締付けシャンク11に対応して設けられている半径方向凹部32、32′に嵌合する。 詳しくは、中空シリンダ9の底部34には、センタードリル1 2の端部、即ち積極的な保持要素である突出部14、1 4′を受けるための凹部32、32′が設けられている。 【0030】図4に示されている締付けシャンク11の底部34において、底部34側には雌ねじ31を備えているねじ部26が設けられ、センタードリル12の端部には雄ねじ30が設けられている。 この場合、接続シリンダ7にはセンタードリル12を固定するための半径方向凹部が設けられていない。 【0031】本発明による孔あけ用工具が非衝撃使用の場合、センタードリルは軸方向に遊びをもたせることなく取り付けてよい。 本発明は上述した実施例に限定されることなく、請求項に記載されている発明の範囲内におけるすべての変形例を含むものである。 【0032】 【発明の効果】本発明による孔あけ用工具及びそのシャンクは二部分から形成されているので、センタードリルを後方から容易に孔あけ用工具に取り付けることができる。 また、センタードリルの端部には半径方向拡張部または半径方向突出部が設けられているので、センタードリルを固定及び保持するための部品を別に設ける必要がない。 【図面の簡単な説明】 【図1】ドリルビットとして形成されている孔あけ用工具の実施例を示す図であり、(a)はセンタードリルが挿入されている状態を示し、(b)は(a)のシャンク端部領域の拡大図である。 【図2】孔あけ用工具に取り付けられ、螺旋部分を備えているセンタードリルの実施例を示す図である。 【図3】センタードリルの実施例を示す図であり、 (a)はセンタードリルが孔あけ用工具の締付け端部に固定されている状態を示し、(b)は(a)のセンタードリルの端部を示す。 【図4】他の実施例によってセンタードリルが孔あけ用工具の締付け端部に固定されている状態を示す図である。 【図5】さらに他の実施例によってセンタードリがドリル本体に固定される状態を示す図であり、(a)はセンタードリルが取り付けられるドリル本体の端部を示し、 (b)はセンタードリルの端部を示す。 【図6】さらに他の実施例によってセンタードリがドリル本体に固定される状態を示す図であり、(a)はセンタードリルが取り付けられるドリル本体の端部を示し、 (b)はセンタードリルの端部を示す。 【符号の説明】 1、1′ 孔あけ用工具 2 ドリル本体 3 ハウジング 5 底部 6 締付け端部 7 接続シリンダ 8 雄ねじ 9 中空シリンダ 10 雌ねじ 11 締付けシャンク 12 センタードリル 13 孔 14、14′ 半径方向突出部 15、15′ 半径方向凹部 16 矢印 17 端部 18 底部 19 クロスピン 20、20′ 凹部 21 ボール 22 ポケット 23 孔ぬきドリル 24 ドリルヘッド 25 螺旋状部分 26 ねじ部 28 半径方向拡張部 29 孔 30 雄ねじ 31 雌ねじ 32、32′ 半径方向凹部 34 底部 |