【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、地下貯水等に構造物として用いられる積層構造物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の地下貯水構造物としては、例えば、特開平8-184080号公報に記載されたものがある。 これは、防水層と防水層保護材で周囲を覆われた中空部分を地中に掘削形成し、多数の有孔パイプを中空部分に互いに密接した状態で充填設置し、上床コンクリート及び防水層を有孔パイプにより下方から支持したもので、中空部分と地上とを連通する給水パイプ及び排水パイプが設けられたものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の地下貯水構造物は、中空部分に設置される有孔パイプを現場まで運搬したり保管したりするのは大きなスペースを必要とし、また、施工の際に有孔パイプが充填されるように配置するのは容易ではなく、その位置決めに時間が費やされる。 更に、有孔パイプの製造は、形状に起因してコストを上昇させるという問題点があった。 【0004】本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、地下貯水構造物に限らず、軽量で、しかも、 強度的にも強い積層構造物を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の積層構造物は、断面の形状が連続する略山形の山形部を有し、前記断面と直交する方向に略同一断面で延びる形状を有する骨格部材と、この骨格部材を積層して形成される積層構造物であって、隣接する前記骨格部材の内の一方の前記骨格部材の連続する略山形の山形部の谷部と隣接する前記骨格部材の内の他方の前記骨格部材の山形部の頂部とは、交差する関係に配置されて積層されているものである。 【0006】また、請求項2記載の積層構造物は、X軸方向に連続する略山形の山形部を有し、前記X軸方向と直交するY軸方向に略同一断面で延びる形状を有する骨格部材と、この骨格部材を前記X軸方向及び前記Y軸方向と直交するZ軸方向に積層して形成される積層構造物であって、前記Z軸方向に隣接する前記骨格部材の内の一方の前記骨格部材の連続する略山形の山形部の谷部と隣接する前記骨格部材の内の他方の前記骨格部材の山形部の頂部とは、交差する関係に配置されて積層されているものである。 【0007】また、請求項3記載の積層構造物は、X軸と該X軸に直交するZ軸に沿って切断した断面の形状が連続する略山形の山形部を有し、前記X軸及び前記Z軸と直交するY軸方向に略同一断面で延びる形状を有する骨格部材と、この骨格部材を前記Z軸方向に積層して形成される積層構造物であって、前記Z軸方向に隣接する前記骨格部材の内の一方の前記骨格部材の連続する略山形の山形部の谷部と隣接する前記骨格部材の内の他方の前記骨格部材の山形部の頂部とは、交差する関係に配置されて積層されているものである。 【0008】また、請求項4記載の積層構造物は、請求項1、2又は3記載の積層構造物において、山形部の裏面側の形状は、表面側の前記山形部の形状に沿って設けられ、前記山形部の裏面側に裏面側空間が形成されているものである。 【0009】また、請求項5記載の積層構造物は、請求項1、2又は3記載の積層構造物において、山形部の裏面側の形状は、表面側の前記山形部の形状に沿って設けられて前記山形部の裏面側に裏面側空間を形成し、該裏面側空間内に前記山形部の裏面側の対向する斜面を接続して前記山形部を補強する補強部材を設けたものである。 【0010】また、請求項6記載の積層構造物は、請求項2又は3記載の積層構造物において、Z軸方向に積層された隣接する骨格部材の内の一方の前記骨格部材の山形部の谷部に設けた谷部凹所が、隣接する前記骨格部材の内の他方の前記骨格部材の山形部の頂部に設けた頂部凹所に係止し、前記谷部凹所は前記骨格部材の裏面側から前記谷部を見た凹所であり、前記頂部凹所は前記骨格部材の表面側から前記頂部を見た凹所である。 【0011】また、請求項7記載の積層構造物は、請求項2又は3記載の積層構造物において、Z軸方向に積層された隣接する骨格部材の内の一方の前記骨格部材の山形部の谷部に設けた谷部凹所が、隣接する前記骨格部材の内の他方の前記骨格部材の山形部の頂部に設けた頂部凹所に係止し、前記頂部凹所は、前記骨格部材の表面側から前記頂部を見た凹所であり、前記山形部の頂部を横断する方向に傾斜した第1、第2の頂部傾斜面と、この第1の頂部傾斜面と前記第2の頂部傾斜面に接続し、前記山形部の頂部に平行である第3の頂部平坦面とで囲まれた空所であり、前記谷部凹所は、前記骨格部材の裏面側から前記谷部を見た凹所であり、前記山形部の谷部を横断する方向に傾斜した第1、第2の谷部傾斜面と、この第1の谷部傾斜面と前記第2の谷部傾斜面に接続し、 前記山形部の谷部に平行である第3の谷部平坦面とで囲まれた空所であり、前記山形部の頂部の角度と前記山形部の谷部の角度とは共にθ、前記第1の頂部傾斜面と前記第2の頂部傾斜面は外方に向かって遠ざかり内方に向かって近づくように傾斜し、前記第1の頂部傾斜面と前記第2の頂部傾斜面とがなす角度はθであり、前記第1 の谷部傾斜面と前記第2の谷部傾斜面は外方に向かって遠ざかり内方に向かって近づくように傾斜し、前記第1 の谷部傾斜面と前記第2の谷部傾斜面とがなす角度はθ であり、前記谷部凹所が前記頂部凹所に係止した状態においては、前記第3の頂部平坦面と前記第3の谷部平坦面とは対向し、前記第1の谷部傾斜面及び前記第2の谷部傾斜面が前記他方の前記骨格部材の前記山形部の表面側に、前記第1の頂部傾斜面及び前記第2の頂部傾斜面が前記一方の前記骨格部材の前記山形部の裏面側にそれぞれ対向するものである。 【0012】また、請求項8記載の積層構造物は、請求項1、2又は3記載の積層構造物において、山形部の裏面側の形状は、表面側の前記山形部の形状に沿って設けられ、前記山形部の裏面側に裏面側空間が形成されると共に前記山形部の前記表面側と前記裏面側とを貫通する開口部が設けられ、該開口部を介して水を通過させ、積層して形成される前記骨格部材と前記骨格部材との間に設けられる前記裏面側空間を含む空間を利用して地下貯水用の積層構造物としたものである。 【0013】また、請求項9記載の積層構造物は、請求項1、2又は3記載の積層構造物において、最下部の骨格部材の山形部の裏面側の形状は、表面側の前記山形部の形状に沿って設けられ、前記山形部の裏面側には裏面側空間が形成され、前記裏面側空間を埋めるように、前記山形部の裏面側の対向する斜面にそれぞれ当接し、下面を平坦面に構成した最下部補強部材を設けたものである。 【0014】また、請求項10記載の積層構造物は、請求項1、2又は3記載の積層構造物において、最上部の骨格部材の隣接する表面側の山形部との間に表側空間が形成され、前記表面側空間を埋めるように、隣接する前記山形部の表面側の対向する斜面にそれぞれ当接し、上面を平坦面に構成した平坦面部材を設け、前記平坦面部材の上面を前記山形部の頂部に一致させるものである。 【0015】また、本発明の積層構造物は、X軸方向に連続する略山形の山形部を有すると共に前記山形部の頂部に頂部凹所、谷部に谷部凹所を有し、前記X軸方向と直交するY軸方向に略同一断面で延びる形状を有する骨格部材と、前記X軸方向と前記X軸方向に直交するY軸方向とで形成される平面に、前記骨格部材を並設し、この並設された前記骨格部材の前記X軸方向及び前記Y軸方向と直交するZ軸方向に、前記骨格部材を並設して前記骨格部材を前記Z軸方向に逐次積層して形成される積層構造物であって、前記平面において隣接する二つの前記骨格部材の山形部を交差して跨ぐように前記平面において隣接する二つの前記骨格部材の前記Z軸方向に前記骨格部材の山形部を設けると共に前記平面において隣接する二つの前記骨格部材の前記頂部凹所に、前記平面において隣接する二つの前記骨格部材の前記Z軸方向に設けた前記骨格部材の谷部凹所が係止され、前記頂部凹所は、前記骨格部材の表面側から前記頂部を見た凹所であり、前記谷部凹所は、前記骨格部材の裏面側から前記谷部を見た凹所である。 【0016】 【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明する。 本発明に係る積層構造物の一例として、地下貯水に構造体として積層構造物を用いた地下貯水構造物の断面図を図1に示す。 空間10は、地面を掘り下げて形成されたものであり、側壁11は傾斜面を持つ。 空間の側壁11及び床面12には、従来用いられている遮水処理が施されており、これにより遮水空間が形成され、空間内外の水の浸透が遮断される。 なお、上述の「遮水処理」とは、例えば、図2、図3に示す骨格部材50(又は、板状体)を図1、図4に示すように積層して形成される積層構造物 40の周囲、つまり、積層構造物40の底面、側面、天井面を図1に示す遮水シートSで覆って処理するもので、内部に遮水した空間を形成し、該空間を地下貯水用として利用しようとするものである。 【0017】そして、図1に示すように、地面には、雨水等を集める貯水槽21が設けられており、さらに、貯水槽21から遮水空間内の上部へ雨水等を導く導水管20(導水部)が、例えば、遮水シートSを貫通して設けられている。 従って、貯水槽21から導水管20を通って遮水空間内へ雨水等が供給されることとなる。 なお、 遮水空間内には骨格部材50が積層され、各骨格部材50には後述する水を通過させる通過用の開口部として機能する頂部凹所55、谷部凹所57が設けられている。 この開口部(頂部凹所55、谷部凹所57)を介して水を通過させ、 積層して形成される骨格部材50と骨格部材50との間に設けられる後述する裏面側空間52aを含む空間を地下貯水用タンクとして利用している。 【0018】また、遮水空間内から遮水空間外、例えば、地表上のタンク(図示省略)に雨水等を排出する排出部30が設けられている。 排出部30は、例えば、遮水シートSを貫通して設けられた排出管31、ポンプ32及び送水管33からなる。 排出管31は、遮水空間の下部に配置され、遮水空間内外を継ぐものであり、遮水空間内の雨水等は、ポンプ32により排出管31から送水管33へと送水される。 【0019】遮水空間内には、骨格部材50(又は、板状体)を互いに交差、例えば、直交させて積層した積層構造物40が設けられており、内部に空間を持っている。 【0020】骨格部材50は、図2、図3に示すように、 平面視略長方形であり、板厚略同一の平板を長辺(Y軸方向Y)と平行に短辺方向(X軸方向X)に互い違いに折っていったような形状で、山形が連続する山形部51を持っている。 斜視図を図2に示す。 つまり、単一の骨格部材50(又は、板状体)は、断面の形状が連続する略山形の山形部51を有し、前記断面と直交する方向に略同一断面で延びる形状を有し、詳しくは、X軸方向Xに連続する略山形の山形部51を有し、X軸方向Xと直交するY 軸方向Yに略同一断面で延びる形状を有し、より詳しくは、X軸と該X軸に直交するZ軸に沿って切断した断面の形状が連続する略山形の山形部51を有し、前記X軸及び前記Z軸と直交するY軸方向に略同一断面で延びる形状を有する。 【0021】そして、骨格部材50(又は、板状体)は、 積層する骨格部材50を係止させる頂部凹所55、谷部凹所 57を持っている。 この頂部凹所55、谷部凹所57は、骨格部材50を係止する機能の他に山形部51の表面側と裏面側とを貫通する開口部として機能するように形成されており、頂部凹所55、谷部凹所57を介して水を通過させることができる。 なお、谷部凹所57は、骨格部材50の裏面側から谷部56を見た凹所であり、頂部凹所55は、骨格部材 50の表面側から頂部54を見た凹所である。 【0022】骨格部材50は、板厚略同一であり、表面側の山形形状と裏面側の山形形状は略同一、つまり、山形部51の裏面側の形状は、図2、図3(b)に示すように、表面側の山形部51の形状に沿って設けられ、山形部 51の裏面側に裏面側空間52aが形成されているので、同じ方向に積み重ねると、図6に示すように、ぴったり積み重ねられる。 その一方で、骨格部材50を互いに図4に示すように直交する方向で積み重ねると、骨格部材50と骨格部材50との間に空間(空間は、図3(b)、図4に示すように、山形部51の裏面側に設けられた裏面側空間 52aと山形部51の表面側に設けられた表面側空間52bとを有する。 )が設けられる。 このため、骨格部材50を図6に示すように、同じ方向に積み重ねて運搬や保管を行うことにより、省スペース化が可能であるとともに、また、図4に示す積層構造物40では、内部に空間を持つ構造体として構成させることができ、構造体としての密度を小さくすることが可能である。 【0023】積層した後に、例えば、締結具等(図示省略)を用いることにより、積層構造物40として一体化させることができるが、頂部凹所55、谷部凹所57(例えば、切欠き部)による嵌合でも一体化が可能である。 【0024】なお、骨格部材50をX軸方向X及びY軸方向Yと直交するZ軸方向Zに積層して積層構造物40を形成するときには、骨格部材50を互いに直交させているが、直交に限らず、少なくとも上下の山形が交差するようにして、骨格部材50を上方(Z軸方向Z)に積層するようにしても良い。 【0025】つまり、図4に示すように、Z軸方向Zに隣接する骨格部材50の内の一方の骨格部材50(一方の骨格部材50を、例えば、図4に符号Aで示す。)の連続する略山形の山形部51の谷部57と、隣接する骨格部材50の内の他方の骨格部材50(他方の骨格部材50を、例えば、 図4に符号Bで示す。 )の山形部51の頂部54とは、交差(より望ましくは、直交)する関係に配置されて積層されるようになっている。 【0026】ここで、積層構造物40全体の密度(重さ) は、用途に応じて適宜設計することができ、積層構造物 40を構成する骨格部材50の材質は、例えば、合成樹脂や金属等を適宜選択することができる。 【0027】骨格部材50は、金型等を用いた樹脂成型により製造することも可能であり、この場合には、コスト低減や更なる軽量化を図ることができる。 また、折り目(頂部54、谷部56)で開かないように伸縮不可(回動不可)の一体成型の他、図7に示すように、折り目(頂部 54、谷部56)がX軸方向Xに伸縮自在(回動自在なヒンジ構造)となる骨格部材50を用いることも可能である。 【0028】後者の場合には、使用する際には伸ばした状態で用いるが、運搬や保管の際には、図7に示すように縮ませて折り畳むことができ、運搬や保管の際に取扱いが容易になり、省スペース化にも寄与する。 なお、所定の山形形状となった状態を保持するような折り目であれば良いが、伸びきって平板状態となってしまう場合には、積層時にX軸方向Xへ伸縮しないように拘束手段、 例えば、後述する切欠きによる嵌合を設けることで、構造的に安定した積層構造物40を得ることができる。 【0029】なお、本発明に言う骨格部材50を構成する「略山形の山形部51」とは、図5(a)に示すような一方向に連続する山形形状に限らず、図5(b)に示すような山形が平らな部分を有する形状、図5(c)に示すような傾斜部分が真上に起立している形状、図5(d) に示すような波形の形状のほかに、図5(e)、 (f)、(g)に示すようなこれらの山形形状の山形と山形との間に平らな部分を有するものや、平らな部分が等間隔、規則的な不等間隔の場合でも含まれるものである。 形状の種類及びその寸法は、種々の使用条件を考慮して適宜決定すれば足りる。 【0030】単一の骨格部材50の外形は、図2、図3に示すように、本実施形態では平面視が長方形であるが、 これに限らず、用いる遮水空間の形状に応じた形状にすれば良い。 【0031】また、骨格部材50は板厚略同一であるが、 多少部分的に厚さが変わっても、上述した重ねていく方向で積み重ね高さが変わるようにすることも可能である。 【0032】即ち、表面に形成された連続する山形の山形部51の裏面の形状は、表面の山形の山形部51の形状に沿って設けられ、しかも、山形部51の裏面側には裏面側空間52aが設けられているような形状であれば足りる。 【0033】次に、積層構造物40として積層される骨格部材50同士の係止について説明する。 図2及び図3に示すように、山形部51の頂部54には頂部凹所55、山形部51 の谷部56には谷部凹所57が、それぞれ折り目(頂部54、 谷部56)に沿って所定間隔をあけて複数設けられている。 切欠きゆえ、運搬・保管時の省スペース化は損なわれない。 【0034】図4に示すように、頂部凹所55、谷部凹所 57の所定間隔aは、第1の脚部58と第2の脚部59とを頂部54で連結した山形部51において、頂部54と頂部54(又は谷部56と谷部56)の開放側の先端間隔bよりも小としてある。 【0035】従って、Z軸方向Zに積層された隣接する骨格部材50の内の一方の骨格部材50(一方の骨格部材50 を、例えば、図4に符号Aで示す。 )の山形部51の谷部に設けた谷部凹所57が、隣接する骨格部材50の内の他方の骨格部材50(他方の骨格部材50を、例えば、図4に符号Bで示す。)の山形部51に設けた頂部凹所55に係止している。 【0036】特に、図4に示すように、頂部凹所55は、 山形部51の頂部54を横断する方向に傾斜した第1、第2 の頂部傾斜面55K 、55L と、この第1の頂部傾斜面55K と第2の頂部傾斜面55L に接続し、山形部51の頂部54に平行である第3の頂部平坦面55M とで囲まれた空所であり、また、谷部凹所57は、山形部51の谷部56を横断する方向に傾斜した第1、第2の谷部傾斜面57K 、57L と、 この第1の谷部傾斜面57K と第2の谷部傾斜面57L に接続し、山形部51の谷部56に平行である第3の谷部平坦面 57M とで囲まれた空所である。 【0037】そして、山形部51の頂部54の角度と山形部 51の谷部56の角度とは共にθ、第1の頂部傾斜面55K と第2の頂部傾斜面55L は外方に向かって遠ざかり内方に向かって近づくように傾斜し、第1の頂部傾斜面55K と第2の頂部傾斜面55L とがなす角度もθであり、更に、 第1の谷部傾斜面57K と第2の谷部傾斜面57L は外方に向かって遠ざかり内方に向かって近づくように傾斜し、 第1の谷部傾斜面57K と第2の谷部傾斜面57L とがなす角度もθとなっている。 【0038】従って、谷部凹所57が頂部凹所55に係止した状態においては、第3の頂部平坦面55M と第3の谷部平坦面57M とは対向(より望ましくは接触)し、第1の谷部傾斜面57K 及び第2の谷部傾斜面57L が他方の骨格部材50(他方の骨格部材50を、例えば、図4に符号Bで示す。)の山形部51の表面側に、第1の頂部傾斜面55K 及び第2の頂部傾斜面55L が一方の骨格部材50(一方の骨格部材50を、例えば、図4に符号Aで示す。)の山形部51の裏面側にそれぞれ対向(より望ましくは接触)ようになって、谷部凹所57と頂部凹所55とは係止(より望ましくは嵌合)し、係止した骨格部材50は、X軸方向X 及びY軸方向Yには移動が阻止され(嵌合した場合、X 軸方向X及びY軸方向Yには移動でき)、Z軸方向Zにのみ移動が許容できるようになっている。 【0039】谷部凹所57の形状は、図2及び図3に示すように平面的に見て略六角形をしている。 なお、頂部凹所55、谷部凹所57は、骨格部材50の表裏を貫通しているため、通水用の開口部にも兼用することが可能となっている。 【0040】折り目(頂部54、谷部56)方向の間隔は、 互いに直交する方向で積み上げたときに頂部凹所55と谷部凹所57とが係止するような上述した寸法になっている。 従って、骨格部材50の山形部51の大きさや形状に応じて最適なものを採用すれば良い。 【0041】頂部凹所55と谷部凹所57とは、Y軸方向Y に関して半ピッチだけずれた位置に設けられている。 このような相対位置関係により、同一の骨格部材50を用いて真上方向(Z軸方向Z)に積層でき、使用する骨格部材50の種類を減らすことができ、コストを下げることが可能となる。 なお、相対位置関係を適宜変えることで、 様々な形状の積層構造物40を形成することが可能となる。 【0042】前述した平板の骨格部材50を折り曲げて山形部51を形成する場合でも、同様の頂部凹所55、谷部凹所57を設けることが可能である。 【0043】隣接する骨格部材50を積層して係止した状態を図4に示す。 頂部凹所55と谷部凹所57との係止により、互いに直交する方向で積み上げる際の位置決めが不要になり、積層作業が容易になり、作業効率が上がる。 【0044】加えて、積層状態で頂部凹所55と谷部凹所 57とを嵌合させるようにすれば、X軸方向X及びY軸方向Yへの移動が拘束されることになるので、上方から荷重を掛けておくと、嵌合状態が外れないようになり、締結具等で骨格部材50を固定しておく必要がなくなり、積層作業の更なる容易化、部品点数の削減、作業効率の向上、コスト低減等を図ることが可能となる。 【0045】上述した折り目(頂部54、谷部56)で伸縮する骨格部材50の場合には、頂部凹所55と谷部凹所57との嵌合により、伸縮が拘束されることになる。 なお、最下段の骨格部材50のヒンジの伸縮阻止(脚部の移動阻止)は、例えば、図8における補助体61(下側平板)を用いることにより達成される。 【0046】切欠き部又は凹部(くぼみ)を設けていない場合、X軸方向Xが互いに交差するように積層したときには、山形部51の裏面側の裏面側空間52aの高さ分だけZ軸方向Zに高くなっていくが、切欠き部等を設けると、積層の骨格部材50はかみ合って、その分、低くなってしまう反面、上述したように、位置決めが不要になり、積層作業が容易になる等の効果がある。 【0047】本実施形態では、すべての骨格部材50に同一の切欠きを設けて互いにかみ合うように積層させており、骨格部材50のX軸方向X及びY軸方向Yへの移動が拘束されているが、例えば、いずれか一方のみの移動が許容されるように切欠き部を構成させても良い。 このようにすると、積層構造物40に傾斜面を持たせることが容易にでき、遮水空間が傾斜面を持っていても対応可能となる。 【0048】従って、単一の骨格部材50をX軸方向XとY軸方向Yとで形成される平面上に敷きつめると共にZ 軸方向に積層して、積層構造物40が略地表面位置付近まで積み上がった後、図1に示すように、水の浸透を遮断する天井部13により、遮水空間を覆いながら地表面を均す。 なお、切欠き部同士を嵌合させて積み上げるため、 水の通路は、頂部凹所55、谷部凹所57により確保される。 また、最上位の骨格部材50の上には、図8に示すような天板62(上側平板)と最下位の骨格部材50の下には、図8に示すような底板61(下側平板)を設けて、施工面の平坦化に対応することができる。 【0049】なお、前述の実施例においては、山形部51 の頂部凹所55、谷部凹所57の表面側と裏面側とを貫通する開口部として形成して、骨格部材50を係止させる機能以外に、水を通過させる機能をも具備したが、頂部凹所 55、谷部凹所57を全面的に開口すると、骨格部材50の強度が保てない場合がある。 【0050】かかる場合においては、例えば、図9に示すように、単一の骨格部材50に貫通孔のないくぼみである頂部凹所55、谷部凹所57を設けるようにしても良い。 この場合は、別途通水用の孔として、山形部51の表面側と裏面側とを貫通する開口部Kを、例えば、山形部51の頂部、谷部、斜面部等の適宜の場所に設ける必要がある(図9においては、頂部に開口部Kを設けている。)。 【0051】即ち、図9に示すように、頂部凹所55、谷部凹所57を全面的に塞ぐか、また、図10(a)(b)に示すように、頂部凹所55、谷部凹所57の一部を裏面側空間52a 内に山形部51の裏面側の対向する斜面を補強部材Hで接続して塞ぎ(頂部凹所55、谷部凹所57に開口部Kを残している。)、裏面側空間52a内に山形部51の裏面側の対向する斜面を補強部材Hで接続し、山形部51を補強するようにしても良いし、また、図11(a)(b)に示すように、 頂部凹所55、谷部凹所57を全面的に塞いだ状態で、裏面側空間52a内に山形部51の裏面側の対向する斜面を補強部材Hで接続するようにしてより強度を増すようにしても良い。 【0052】なお、図9、図12に示す骨格部材50、50' を使用して、図13に示す積層構造物40を形成することができる。 骨格部材50、50'は、何れも、X軸方向Xに連続する略山形の山形部51を有すると共に山形部51の頂部 54に頂部凹所55を有し、X軸方向Xと直交するY軸方向Yに略同一断面で延びる形状を有しているが、例えば、 骨格部材50の山形部51は4列(図9参照)、骨格部材5 0'の山形部51は2列(図12参照)となっている。 【0053】そして、図14(a) に示すように一段目(最下位層)は、X軸方向XとX軸方向に直交するY軸方向Yとで形成される平面に、骨格部材50を並設し、この並設された骨格部材50のX軸方向X及びY軸方向Yと直交するZ軸方向に、図14(b)、図14(c) に示すように骨格部材50、50'を並設して、二段、三段とZ軸方向に逐次積層して図13に示す直方体形状の積層構造物40を形成する。 【0054】その際、X軸方向XとX軸方向に直交するY軸方向Yとで形成される平面において隣接する二つの骨格部材(二つの骨格部材は、図14、図15で言えば、符号C、D)の山形部を交差して跨ぐように前記平面において隣接する二つの骨格部材(二つの骨格部材は、図1 4、図15で言えば、符号C、D)のZ軸方向に骨格部材(骨格部材は、図14、図15で言えば、符号E)の山形部を設けるようにすると共に前記平面において隣接する二つの骨格部材(二つの骨格部材は、図14、図15で言えば、符号C、D)の頂部凹所(図9の頂部凹所55)に、 前記平面において隣接する二つの骨格部材(二つの骨格部材は、図14、図15で言えば、符号C、D)のZ軸方向に設けた骨格部材(骨格部材は、図14、図15で言えば、 符号E)の山形部51の谷部56に設けた谷部凹所(図9の谷部凹所57)が係止されて、前記平面において隣接する二つの骨格部材(二つの骨格部材は、図14、図15で言えば、符号C、D)を連結させている。 【0055】また、前述の実施例においては、積層構造物40にかかる荷重が最下部の骨格部材50に集中してかかる不都合を生じる。 かかる不都合を解消するために、最下部の骨格部材50の山形部の裏面側に形成された裏面側空間52aを埋めるように、山形部の裏面側の対向する斜面にそれぞれ当接し、下面を平坦面に構成した略三角形状の最下部補強部材41を設け、最下部補強部材41により積層構造物に40にかかる荷重を最下部補強部材41でも支えるようにして、最下部の骨格部材50にかかる荷重の軽減化を図って、積層構造物40の強度を向上させるようにしている。 【0056】また、前述の実施例では、天板62を設けたが、天板62の替わりに、最上部の骨格部材50の隣接する表面側の山形部51との間に形成された表側空間52bを埋めるように、隣接する山形部(隣接する山形部を図16に符号F、Gで示す。)の表面側の対向する斜面にそれぞれ当接し、上面を平坦面に構成した平坦面部材42を設け、平坦面部材42の上面を山形部の頂部54に一致させるようにしても良い。 【0057】また、前述の実施例においては、遮水空間の場合で説明したが、雨水等を一時的に貯水して徐々に地面に水を浸透させるような空間の場合でも同様に用いることができる。 また、かかる空間は、地面を掘って形成する場合のほか、周囲を土砂等で囲んで地下空間を形成する場合でも応用できる。 【0058】また、前述の実施例においては、骨格部材 50は、X軸方向Xに連続する略山形の山形部を有したが、次に説明する骨格部材50(板状体)は、X軸方向X に単一の山形の山形部51を有している。 この場合の骨格部材50は、図17に示すような外観であり、図2における骨格部材50を山形ごとに分割させたものである。 【0059】従って、骨格部材50を積層して積層構造物 40を形成する場合には、X軸方向Xに骨格部材50を並設して山形を連続させながら集合体を形成する。 そして、 互いに直交するように次々に積層していく。 このようにすることで、積層構造物40の外形寸法に関して幅広く対応することができる。 【0060】なお、骨格部材50も同じ方向に揃えて積層すると、図18に示すようにぴったり積み重ねることができる。 また、並設する中間部において、1個置き又は数個置きに並設することも可能であり、設置する場所や種々の条件を考慮してバリエーションに富んだ積層構造物 40を形成することが可能となる。 【0061】骨格部材50を連続的に詰めて並設した集合体のほか、例えば、骨格部材50を一つ置きに並設する集合体にすることも可能であり(図示省略)、単一の山形の山形部51を持つ骨格部材50を用いれば、設置場所や使用状況に応じて適宜対応することが可能となる。 また、 骨格部材50を図19に示すように、互い違いに並設した集合体72となるように並設すれば、積層構造物40全体としての強度が一層上がり、幅広い使用環境に対応できる。 【0062】本実施形態では、積層構造物40を用いた地下貯水構造物、つまり、積層構造物40として、開口部を介して水を通過させ、積層して形成される骨格部材50と骨格部材50との間に設けられる裏面側空間52aを含む空間を利用して地下貯水用の積層構造物40として説明したが、本発明にあっては、これに限らず、例えば、図20に示すように、地面81の上に盛り土をする場合に、内部に骨格部材50を交差するように積層した積層構造物40を用い、外側のみを土砂等82で覆うようにすることも可能である。 【0063】一般に盛り土に用いられるものは土砂やコンクリート等の重量物であるが、地盤がしっかりしていない場所では地盤の補強工事が必要になり、工期やコストががかかっていた。 しかし、内部に空間を持つ積層構造物40を用いることにより、軟弱な地盤の場合でも地盤強化工事を省略できるようになり、工期短縮やコスト削減が可能となる。 なお、この場合には、積層構造物40の内部に土砂等が入らないように、積層構造物40の周囲をシート83で囲んだ後に、土砂等82で覆う。 なお、周囲の土砂により、積層構造物40に上からの荷重が作用するので、前述したように骨格部材50の嵌合状態が保持されて、積層構造物40は一体化される。 【0064】その他、骨格部材50を交差するように積層した積層構造物40は、魚礁ブロック、消波ブロック、水路、水門、壁材等の構造物にも応用することができる。 魚礁ブロック等の場合には、図8に示すように、骨格部材50と天板62(上側平板)を結合するように設ければ、 一体化して取り扱うことができる。 天板62としてある程度の重さがあるものを用いれば、自重により切欠き部の嵌合ははずれることがないので、締結具が不要となる。 骨格部材50を金属以外の例えば合成樹脂で製作しておけば、海水で使用してもさびる必要はなく、しかも、金属製の締結具も不要であるので、さび等の腐食に心配がなく、高い耐久性の積層構造物40を提供できる。 流水抵抗を減らすために、適宜通水孔を多数設けることもできる。 【0065】また、水路の場合には、図21に示すように、コンクリート製の水路の下方両端に積層構造物40を設けておくことにより、魚等の生態系を形成保持することも可能である。 工事が容易になり、工期短縮やコスト低減、メンテナンス容易化等の効果がある。 この場合の板状体の材質、その山形部の形状や寸法、開口部の位置や数、大きさ等は適宜決定すれば良い。 【0066】 【発明の効果】請求項1(2又3)記載の積層構造物によれば、骨格部材は隣接する山形部との間に空間を形成している分、骨格部材は軽く、しかも、骨格部材の内の一方の骨格部材の連続する略山形の山形部の谷部と隣接する骨格部材の内の他方の骨格部材の山形部の頂部とは交差する関係に配置して積層するから、強度的にも強い積層構造物を得ることができる。 【0067】また、請求項4記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、山形部の裏面側の形状が表面側の山形部の形状に沿って設けられている分、骨格部材を薄肉に成形することができ、骨格部材を更に軽くすることができる。 【0068】また、請求項5記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、山形部の裏面側の対向する斜面を補強部材で接続して山形部を補強するため、強度的に更に強い積層構造物を得ることができる。 【0069】また、請求項6記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、Z軸方向に積層された隣接する骨格部材の内の一方の前記骨格部材の谷部凹所を、隣接する前記骨格部材の内の他方の前記骨格部材の山形部に設けた頂部凹所に係止させれば良く、組立が容易で、しかも、Z軸方向に積層される骨格部材の積層状態を保持でき、強度的にも強い積層構造物を得ることができる。 【0070】また、請求項7記載の積層構造物によれば、前述した請求項4記載の発明の効果より強度的にもより強い積層構造物を得ることができる。 【0071】また、請求項8記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、積層構造物の周囲を、例えば、遮蔽シートで覆って水貯留用の積層構造物として利用する場合、上方の骨格部材で受けた水を山形部に設けた開口部を利用して下方の骨格部材へ導き、しかも、骨格部材の隣接する山形部との間に形成される空間を水を溜める部分として利用することができる。 【0072】また、請求項9記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、積層構造物にかかる荷重を最下部補強部材でも支えるようにして、最下部の骨格部材の山形部にかかる荷重の軽減化を図って、強度的にも強い積層構造物を得ることができる。 【0073】また、請求項10記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、平坦面部材の上面を山形部の頂部に一致させ、平坦面部材の斜面を隣接する山形部の表面側の対向する斜面にそれぞれ当接させて、積層構造物の上面を平坦に形成したから、 骨格部材を積層して積層構造物を形成する際、積層構造物の上面に形成される表面側空間における凹所を埋めることができる。 【0074】また、請求項11記載の積層構造物によれば、前述した請求項1記載の発明の効果に加え、平面において隣接する二つの骨格部材の山形部を交差して跨ぐように、前記平面において隣接する二つの前記骨格部材のZ軸方向に前記骨格部材の山形部を設けたから、骨格部材をZ軸方向に積層し、しかも、平面において隣接する二つの骨格部材をも接続することができ、強度的にも強い積層構造物を得ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明の一実施例の積層構造物を用いた地下貯水構造物の概略的断面図である。 【図2】図2は、図1に使用される骨格部材の概略的斜視図である。 【図3】図3(a)は図2の骨格部材の概略的正面図で、図3(b)は図2の骨格部材の概略的平面図である。 【図4】図4は、図2の骨格部材を交差して積層した状態を示す概略的図である。 【図5】図5(a)〜(g)は、骨格部材の山形部を例示した概略的断面図である。 【図6】図6は、図2の骨格部材を同方向に積層した状態を示す概略的図である。 【図7】図7は、骨格部材を折畳自在に形成し、該骨格部材を折り畳んだ状態を示す概略的図である。 【図8】図8は、本発明の一実施例の積層構造物の概略的斜視図である。 【図9】図9は、図8の骨格部材の概略的斜視図である。 【図10】図10(a)は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大平面図で、図10(b)は、図10 (a)のAーA線による概略的断面図である。 【図11】図11(a)は、図10(a)に示す骨格部材の他の実施例を示す概略的一部拡大平面図で、図11 (b)は、図11(a)のBーB線による概略的断面図である。 【図12】図12は、図9に示す骨格部材の他の実施例を示す概略的斜視図である。 【図13】図13は、図1の地下貯水構造物の他の実施例を示す概略的断面図である。 【図14】図14(a)は、図2に示す骨格部材を一段目に並設した状態の概略的平面図で、図14(b)は、 一段目の上に図2に示す骨格部材を並設した二段目の状態の概略的平面図で、図14(c)は、二段目の上に図2に示す骨格部材を並設した三段目の状態の概略的平面図である。 【図15】図15は、一段目の上に二段目を積層する際、一段目の並設した骨格部材の山形部を交差して跨ぐように二段目の骨格部材を置いた状態の概略的平面図である。 【図16】図16は、積層構造物の下部に最下部補強部材、上部に平坦面部材を設けた場合の積層構造物の概略的斜視図である。 【図17】図17は、図2の骨格部材の他の実施例を示す概略的斜視図である。 【図18】図18は、図17の骨格部材を同方向に積層した状態を示す概略的図である。 【図19】図19は、図17の骨格部材を並設した状態の概略的図である。 【図20】図20は、本発明の一実施例の積層構造物を盛土内に設置した状態の概略的断面図である。 【図21】図21は、本発明の一実施例の積層構造物を水路内に設置した水路の概略的断面図である。 【図22】図22は、図4の一部を拡大した図である。 【図23】図23は、図22のI−I線による概略的断面図である。 【符号の説明】 50 骨格部材 51 山形部 54 頂部 56 谷部 |