Oilseed press cake and meal method of fractionation

申请号 JP2003531822 申请日 2002-10-04 公开(公告)号 JP2005503816A 公开(公告)日 2005-02-10
申请人 バイオヴェロップ インターナショナル ベー.ヴェー.; 发明人 カールッソン,トミー; クヴィスト,ステン; ド カストロ,フェルナンド バジル; ローザー,ジョン,マーク;
摘要 油性種子ケーキおよびミール(例えば、菜種ケーキ、大豆ミールおよび綿実ケーキ)の分別方法を開示する。 本発明は、前記ケーキまたはミールをポリサッカリダーゼを用いて湿式ミルにより間欠的に酵素処理し、その後、可溶相と不溶物との分離を促進するために遠心 力 により熱処理をする分別方法を記載する。 油料種子プレスケーキもしくはミールは、湿式粉砕され、繊維富裕分画、少なくとも3つのタンパク質富裕分画、油性ケーキの場合、乳化油富裕分画、糖富裕分画およびフィチン酸塩富裕分画を産生するよう、連続的な遠心分離および限外濾過が行われる。 本発明はまた、上記分画の食品、飼料、機能性食品および医薬品への使用を記載する。
权利要求
  • 油料種子プレスケーキおよび/またはミールの湿式分別方法であって、油料種子プレスケーキもしくはミールが水中に分散させられて湿式粉砕、酵素および熱の組み合わせで処理され、その後に1つ以上の繊維富裕分画、少なくとも3つの異なるタンパク質富裕分画、場合によっては油富裕分画、糖富裕分画およびフィチン酸塩富裕分画を産生するように遠心力およびサイズ排除(限外濾過)を使用して高温で連続的に分別され、さらに前記分画の乾燥または部分蒸発からなる最終ステップが行われることを特徴とする方法。
  • 油料種子プレスケーキもしくはミールが大豆、ナタネ種子、綿実、ヒマワリ、および亜麻仁の種類の油料種子の従来の油抽出工程から得られた残留繊維性タンパク質分画である請求項1記載の方法。
  • 湿式粉砕、酵素および熱処理の組み合わせが、それに続く油料種子プレスケーキおよびミールの主要成分、すなわち、繊維、タンパク質、油、糖およびフィチン酸塩の分別において高効率を達成するように実施され、原材料からの両タンパク質、残留脂肪およびフィチン酸塩の少なくとも70%の抽出率が達成される請求項1又は2記載の方法。
  • 酵素処理が、以下の酵素:β−グルカナーゼ、キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、アラビナーゼおよびペクチナーゼのうちの1つまたは2つ以上の組み合わせを使用することによって達成される請求項1乃至3記載の方法。
  • 酵素不活化ステップが、分別ステップまたは乾燥ステップの前に実施される、請求項1記載の方法。
  • 前記分画は、少なくとも88%の乾燥物質を備える乾燥形態で提供され、前記方法において産生した1つ以上のタンパク質分画から構成され、そして30〜95%のタンパク質、および1〜60%の油を含有する、請求項1乃至5記載の方法によって得られるタンパク質分画。
  • 前記分画は、少なくとも88%の乾燥物質を備える乾燥形態で提供され、前記方法において産生した1つ以上のタンパク質分画から構成され、そして30〜95%のタンパク質、および1〜60%の油を含有し、又、前記方法で使用された種類の活性酵素を含有する請求項1乃至4記載の方法によって得られるタンパク質分画。
  • 前記分画は、乳化油として提供され、前記方法において産生した1つ以上の油分画から構成され、そして少なくとも60%の脂肪および30%未満のタンパク質を含有する請求項1乃至5記載の方法によって得られる油分画。
  • 前記分画は、乳化油として提供され、前記方法において産生した1つ以上の油分画から構成され、少なくとも60%の脂肪および30%未満のタンパク質を含有しており、そして前記方法で使用された種類の活性酵素を含有する請求項1乃至4記載の方法によって得られる油分画。
  • 前記分画は、少なくとも88%の乾燥物質を備える乾燥形態で提供され、少なくとも50%の繊維、15%のタンパク質および10%の脂肪から構成される請求項1乃至5記載の方法によって得られる繊維分画。
  • 前記分画は、少なくとも88%の乾燥物質を備える乾燥形態で提供され、少なくとも50%の繊維、15%のタンパク質および10%の脂肪から構成され、そして前記方法で使用された種類の活性酵素を含有する請求項1乃至4記載の方法によって得られる繊維分画。
  • 前記分画は、少なくとも75%の乾燥物質を備えるシロップの形態で提供され、そしてそれは少なくとも50%の中性および酸性の糖からなる請求項1乃至5記載の方法によって得られる糖分画。
  • 前記分画は、少なくとも75%の乾燥物質を備えるシロップの形態で提供され、少なくとも50%の中性および酸性の糖からなり、そして前記方法で使用される種類の活性酵素を含有する請求項1乃至4記載の方法によって得られる糖分画。
  • 前記分画は、乾燥形態で提供され、そして30〜80%のフィチン酸塩を含有する請求項1乃至5記載の方法によって得られるフィチン酸塩分画。
  • 植物、動物および微生物源からの他のタンパク質産物に代わる食品または飼料用途におけるタンパク質成分または機能性タンパク質としての請求項6記載のタンパク質分画の使用。
  • 植物、動物および微生物源からの他のタンパク質産物に代わる飼料用途におけるタンパク質成分としての、栄養価を増強するために前記方法において使用された活性酵素を備える請求項7記載のタンパク質分画の使用。
  • 植物および動物源からの他の脂肪産物に代わる食品または飼料用途における代用脂肪または乳化剤としての請求項8記載の油分画の使用。
  • 植物および動物源からの他の脂肪産物に代わる飼料用途における代用脂肪または乳化剤としての、栄養価を増強するために前記方法において使用された活性酵素を備える請求項9記載の油分画の使用。
  • 飼料用途におけるバランスの取れた飼料成分としての請求項10記載の繊維分画の使用。
  • 飼料用途におけるバランスの取れた飼料成分としての栄養価を増強するための方法において使用された活性酵素を備える請求項11記載の繊維分画の使用。
  • 熱および/またはその他のエネルギーを産生するために燃焼に使用されるバイオマス源としての請求項11記載の繊維分画の使用。
  • 飼料用途におけるエネルギー源または配合飼料結合材としての、または微生物発酵用の媒質としての請求項12記載のシロップ分画の使用。
  • 飼料用途におけるエネルギー源または配合飼料結合材としての、栄養価を増強するための方法において使用された活性酵素を備える請求項13記載のシロップ分画の使用。
  • 食品および飼料用途における抗酸化剤および風味強化剤としての、ならびに機能性食品/薬用化粧品/医薬品用途における抗癌剤、尿結石防止剤および細菌性歯垢防止剤としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 機能性食品/薬用化粧品/医薬品用途における抗癌剤としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 機能性食品/薬用化粧品/医薬品用途における尿結石予防剤としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 機能性食品/薬用化粧品/医薬品用途における細菌性歯垢防止剤としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 紙コーティング剤としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 水処理剤としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • イオン交換基質としての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 固体基質上の抗酸化コーティングとしての請求項14記載のフィチン酸塩分画の使用。
  • 加水分解および熱処理容器(1)、湿式ミル(2)、酵素不活化のための熱交換器(3)、混合タンク(7、9および12)、デカンター(4および8)、分離器(11および13)、限外濾過器(9)、蒸発器(10)、および乾燥機(5、6および14)を含むことを特徴とする請求項1乃至5記載の方法を実施するための設備。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    本発明は、油料種子プレスケーキおよびミールの分別方法、およびそれらの最終用途を含む、それらによって回収された分画に関する。
    【0002】
    序文油料種子の工業的処理加工の主要目的は、油の抽出を最大限に増やすことである。 この目的は、溶媒抽出工程または機械的(エキスペラー圧搾)工程と溶媒抽出とを組み合わせて使用することにより達成されている。 このような抽出工程の結果として得られる生成物、すなわち油およびミールは、食品用途および飼料用途のどちらにおいても広く使用されてきた。
    【0003】
    油料種子残留物を定義するために使用する専門用語に関して絶対的な合致がないが、用語「油料種子ミール」は、以下、1)溶媒抽出法、または2)エキスペラー圧搾および溶媒抽出法から生成したタンパク質繊維に富む油料種子残留物を定義するために使用し、他方「油料種子ケーキ」は、以下、エキスペラー圧搾法だけから生成した繊維タンパク質油に富む残留物を定義するために使用する。
    【0004】
    油料種子は、油および乳化剤の他に、タンパク質、繊維およびその他の生物学的に活性な成分の極めて興味深い供給源である。 近年、このような成分の製造および利用に対する関心が高まってきた。 このような成分を抽出するために利用される現行の商業的な方法は主として化学工程であり、その対象となっているのはプレスケーキではなく、むしろ油料種子ミールである。
    【0005】
    化学物質を含有しない大量のプレスケーキは、市場で入手することができるため、化学物質を使用せずに、これらをさらに加工処理すれば、技術的およびマーケティングの観点から有益な製品を生み出すことができるであろう。 現在、このようなプレスケーキはすべて低価値商品として市販されている。 さらに、現在は、第2抽出ステップで溶媒を用いて抽出されているかなりのトン数のプレスケーキの分別も利用できるようになっている。
    【0006】
    本発明は、油料種子ミールおよびプレスケーキを少なくとも3つのタンパク質富裕分画、少なくとも1つの繊維分画、糖シロップ分画、およびフィチン酸塩分画、そして場合によっては乳化油分画へ化学物質を使用せずに分別するための工程に関する。
    【0007】
    本発明は、それにより、キシラナーゼ、ペントサナーゼのようなヘミセルラーゼ、アラビナーゼ、ペクチナーゼおよびβグルカナーゼのタイプの特定の炭化物分解酵素の使用が適切な条件、すなわち20〜90℃、より好ましくは30〜50℃の温度、および4〜6.5のpHの条件下で湿式粉砕と組み合わせられる、油料種子プレスケーキもしくはミールの処理に基づく。 結果として生じる加水分解物を50〜95℃で加熱し、上記に列挙した分画をそのような高温で遠心分離およびサイズ排除法(size-exclusion)を使用して分離する。 外因性酵素を不活化するために特別に設計された熱交換器での任意の高速熱処理は、酵素加水分解の直後または各分画を乾燥させる前のどちらでも実施できる。
    【背景技術】
    【0008】
    様々な成分、特にタンパク質を油料種子およびそれらのミールおよびケーキ各々から抽出かつ回収するために、化学物質(アルカリおよび塩類)の使用に基づく様々な技術が開発されている。
    【0009】
    タンパク質をアルカリ性pHで可溶化させ、それに続いて不溶性分画を分離し、さらにタンパク質含有溶液のpHを等電点へ調整することにより最終的にタンパク質沈降を引き起こすことに基づく技術は、例えば英国特許第671935号;英国特許第900126号;欧州特許第0289183号;欧州特許第0466524号;欧州特許第0522800号;中国特許第1121926号におけるような先行技術において広く明らかにされてきた。 このような方法において、許容できるタンパク質収率が得られるものの、この手法の最も重大な障害として、直接的および間接的費用がかかる大量の化学物質の投入、最終産物における化学的汚染物質の存在、および特にその変性を原因とするタンパク質機能性の消失を挙げることができるであろう。 タンパク質変性を克服または最小限に抑えるために、米国特許第4,188,399号は、タンパク質がより軽度のpH条件(pH5.1〜5.9)で可溶化され、固体が液体分画から分離され、そして限外濾過によってさらに機能的タンパク質を分離するために液体分画のpHがタンパク質等電点(pH3〜5)に適合するように調整される工程を開示している。
    【0010】
    タンパク質収率については何も言及されていないが、前記特許に記載された穏やかな処理条件は、得られる収率が低いことを示唆している。
    【0011】
    米国特許第1,041,717号は、過酸化水素(アルカリ処理)およびプロテアーゼを用いた酵素加水分解を組み合わせて使用することにより植物性タンパク質を可溶化かつ単離する方法を開示している。 報告された低いタンパク質抽出率(<50%)および過酸化水素の過剰使用(13.6%まで)は提案された技術の経済性に重大な影響を及ぼす。
    【0012】
    タンパク質のアルカリ可溶化に続いて等電点で沈降させる方法に代わるコンセプトは、タンパク質を塩析する方法である。 米国特許第4,208,323号および第5,877,086号は、特定されたpHおよびイオン強度で食品用等級の塩化ナトリウムを使用するタンパク質抽出法を記載している。 上記の技術は、油料種子ミールから高度に機能的かつ変性していないタンパク質単離体を産生する点においては達成しうる。 しかし、この達成は、この方法ではタンパク質の収率が低く、そして大量の水および塩を使用することによって相殺される。
    【0013】
    植物性タンパク質源のタンパク質抽出に関する大多数の開発は、上述の例で記載したように化学物質に基づく方法に集中しているが、他の化学物質非使用方法もまた開発されてきた。
    【0014】
    英国特許第598,641号は、事前にプロテアーゼを用いて処理された豆科タンパク質物質からタンパク質を抽出する工程について報告している。 部分加水分解されたタンパク質およびそれらの加水分解産物(ペプチドおよびアミノ酸)が溶液中に回収され、この溶液はさらに蒸発または乾燥によって濃縮させられる。 発明者らは、細胞壁分解酵素の使用および本発明の他の重要な進歩性については言及していない。
    【0015】
    脱脂溶媒抽出され、非湿式粉砕された油料種子ミールからタンパク質を抽出するのを援助する酵素の使用に関する、別の発明は、ドイツ国特許第19907723号によって開示されている。 発明者は、等電点でタンパク質を分離する前に炭水化物分解酵素を使用する方法について言及している。 この発明は、等電点で沈降し、繊維性副産物であるタンパク質分画(タンパク質濃縮物)の回収にしか焦点を当てていない。 この特許で特定された条件では、沈降しない残留タンパク質塊が、繊維加水分解に由来する糖溶液内に残留し、低価値副産物と見なされてそのままで動物用飼料として使用される。 この発明者は、これらが貴重なタンパク質であり、他の手段によって回収すべきであることを実現することができなかった。 もう1つの問題は、原料中に存在する非栄養因子、特にフィチン酸塩が副産物分画中に濃縮されることである。 これは、場合によっては動物飼料用途を検討する際には問題を引き起こすであろう。 このような非栄養因子の除去についての進歩性は全く示唆されていない。 さらに、この発明は、プレスケーキのような脂肪に富む油料種子残留物の使用もしくは加工処理を完全に考慮していないため、脂肪分離についての提案は全く開示されていない。
    【0016】
    エキスペラー圧搾または溶媒抽出工程に関する、新規で代替の技術は、最初は酵素および湿式分離を使用してナタネ種子から油を抽出するために開発された〔オルソン(Olsen),1987, オルソン&クリステンセン(Olsen & Christensen),1987〕。 この工程は、熱処理によるナタネ種子酵素の初期不活化に基づいている。 これらの種子はその後、繊維塊を崩壊させ、それによって遠心分離による、その後の油の除去を容易にするために、ペントサナーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼおよびペクチナーゼの種類のポリサッカリダーゼ(polysaccharidase)を用いて加水分解される。 この工程は、油に加えて、副流としてタンパク質ミール、繊維(殻皮)および糖も産生するが、これらは汚染物質として様々な量の油を含有している。 従来の抽出工程(10〜20%未満)と比較して油の収率が相対的より低いこと、タンパク質ミール収率が低いこと(<15%)、そしてタンパク質ミール、殻皮および糖分画について提案された最終用途から得られる市場価格が低いことは、この技術を従来の油抽出工程に代替する方法として実施する上での重大な障害となってきた。 より魅的な経済性を達成するためには、より優れた分別および様々な機能性やより高い市場価値を備えた、より多い最終産物が必要とされる。 さらに、糖分画からフィチン酸塩のような非栄養因子の除去および回収は、このような分画の市場価値(より優れた栄養的価値)を増加させるためにも、そしてこの工程においてまた別の高価値分画(フィチン酸塩のような)を産生させるためにも極めて重要である。
    【0017】
    植物材料中に相当な量で存在しうるフィチン酸塩のような非栄養因子の不活化もしくは分離は、米国特許第3,736,147号に開示されている。 この発明は、様々なpH範囲でフィチン酸塩を除去するための限外濾過法を言及している。 次のpH範囲、各々2〜4.5、4.5〜7または7〜11での二価カチオン、フィターゼ酵素または強キレート化剤を、それぞれpH範囲、2〜4.5、4.5〜7または7〜11で使用することが提案されている。
    【0018】
    異なる機能性を備えた1つ以上のタンパク質分画の高回収(60%まで)に焦点を当てながら、他方では繊維富裕分画、場合によっては乳化油分画、選択により低レベルのフィチン酸塩を含有する糖分画、およびフィチン酸塩分画を産生するポリサッカリダーゼの使用に基づいて油料種子ミールおよびケーキ加工処理の要件を満たすように設計された化学物質を使用しない分別工程については、上述の開示もいずれも到達していないことが明白である。
    【0019】
    本発明の主な目的は下記のとおりである:
    1. 独特の特性を有する高価値タンパク質、脂肪、糖、繊維およびフィチン酸塩分画を産生する費用効果的かつ効率的な湿式分別工程を開発すること。
    2. ポリサッカリダーゼを用いた酵素処理の使用を湿式粉砕と組み合わせ、その後に加水分解物から遠心分離することによる可溶物の除去を容易にするために熱処理を実施すること。
    3. ポリサッカリダーゼ処理の後に行う遠心分離および限外濾過によって、非常に独特な機能性および化学組成を示し、そのために様々な食品および飼料市場に適合する様々なタンパク質富裕分画への非細胞壁結合タンパク質の回収を最大にすること。
    4. 高価値飼料添加物として利用できる主として油乳濁液からなる油料種子ケーキからの脂肪分画の抽出を最大にすること。
    5. 高ポリサッカリダーゼ活性を含有する飼料用分画を製造することによって酵素の費用を回収できるよう、可能であれば酵素不活化を回避すること。
    6. 糖分画の飼料価値を高めるため、そしてフィチン酸塩に富む他の高価値分画を産生するための両方の手段として、外因性二価カチオン、フィターゼもしくはキレート化剤を使用せずに、本来糖分画中に存在するフィチン酸塩の除去を最大にすること。
    【発明を実施するための最良の形態】
    【0020】
    本発明者らは、様々な市場用途において利用される油料種子ミールから、化学物質を使用せずに、様々なタンパク質分画、繊維分画、フィチン酸塩含量が低い糖分画、場合によっては油乳濁液分画およびフィチン酸塩分画を製造するための工業用湿式分別方法を開発した。
    【実施例1】
    【0021】
    圧縮エキスペラー工程から得られた、タンパク質31%および油23.5%を含有するナタネ種子ケーキを、1000IU/gの量の基質中にβグルカナーゼ、ペントサナーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼ活性を含有する多酵素複合体を用いて酵素加水分解に付した。 約19%の乾燥物質を含有する反応混合物を連続的に攪拌し、基質マトリックス内への酵素の到達および加水分解最終産物の分散を促進するために、湿式ミルに通して1時間間隔で間欠的に粉砕した。 3時間の加水分解後、反応混合物を95℃まで加熱し、主として殻皮から構成された沈降物分画から可溶物を分離するために高温の間に遠心分離した。 可溶物は水中へ再懸濁させて遠心分離し、5つの層、すなわち乳化油の上部2層、中央の可溶物の1つの層、およびタンパク質繊維に富む沈降物の底部の2つの層を同定し、分離した。 中央の可溶物の層はその後、10kDa膜を装着した限外濾過器を通して濾過し、そこから濃縮液(タンパク質)および透過液(糖)を収集した。 濃縮液の遠心分離後、タンパク質に富む沈降物および上清が得られた。 透過液相を遠心分離して第1沈降物(フィチン酸塩富裕分画)を得た。 透過液可溶物相はその後ブリックス40度へ蒸発させ、遠心分離して第2のフィチン酸塩に富む沈降物および糖に富む上清へ分離した。 糖の上清を除き、その他のすべての分画は分析前に凍結乾燥した。
    【0022】
    繊維、乳化油および糖富裕分画の収率は、それぞれ37.6、16.1および12.8%であった。 4つのタンパク質分画のタンパク質含量の範囲は32.6〜92%であり、総タンパク質抽出率71.3%が達成された。 乳化油の軽い相は油相の85%を示す優勢な相であり、特に73%の油と20%のタンパク質から構成された。 2つのフィチン酸塩富裕分画中のフィチン酸塩含量は30.1〜73%で変動した。
    【実施例2】
    【0023】
    ナタネ種子ケーキを、2倍高いヘミセルラーゼ活性を含有する多酵素複合体を使用したこと以外は、実施例1に記載したものと同様の処理条件に付した。 繊維加水分解の程度は、実施例1より有意に高かった(29%)。 同等に、より高いタンパク質抽出率が達成された。 繊維、乳化油および糖富裕分画の収率は、それぞれ29.5、17.3および19.7%であった。
    【0024】
    この結果は、特定酵素活性を変化させることにより繊維加水分解を促進すると、可溶性成分、すなわちタンパク質および油の抽出率が向上することを示した。
    【実施例3】
    【0025】
    ナタネ種子ケーキを用いた同様の試験を、ここではヘミセルロースおよび高度の分岐状のペクチンに対する強化酵素活性を用いて実施した。 収率23%の繊維加水分解におけるいっそうの改善が達成された。 タンパク質および油の83%および86%の総抽出率が達成され、化学物質非使用分別工程に関して先行技術によって記載されたものより有意に優れていると考えられた。
    【実施例4】
    【0026】
    以前は圧縮エキスペラーおよびヘキサンによって抽出されていた脱脂ナタネ種子ミールを用いた分別試験(タンパク質39.3%および脂肪2.3%)を、実施例1に記載したとおりに実施した。 第1分離からの可溶物相を再懸濁させ、遠心分離した。 3つの層、すなわち可溶物の1つの上層およびタンパク質繊維に富む沈降物の2つの底部層を同定して分離した。 可溶物の上層はその後、10kDa膜を装着した限外濾過器を通して濾過し、そこから濃縮液(タンパク質)および透過液(糖)を収集した。 濃縮液の遠心分離後、タンパク質含量が94.2%のタンパク質に富む沈降物および上清が得られた。 透過液相はその後ブリックス40度へ蒸発させ、遠心分離により糖に富む上清からフィチン酸塩に富む沈降物を分離した。
    【0027】
    繊維および糖富裕分画の収率は、それぞれ31.3および17.3%であった。 4つのタンパク質分画のタンパク質含量の範囲は33.0〜94.2%であり、総タンパク質抽出率75.6%が達成された。
    【0028】
    このタンパク質分画の回収は、上記ドイツ国特許第19907723号における予想収率の100%までの総タンパク質収率上昇に寄与することができる。
    【0029】
    最終用途繊維分画タンパク質および油の抽出率がどちらも高いにもかかわらず、残留不溶物分画、したがって繊維富裕分画は依然として動物、特に反芻動物用飼料のための興味深い原料である。
    【0030】
    油料種子ミールおよびケーキから産生した繊維分画が含有するタンパク質および油は、原材料中で観察されるものより少ない。 繊維分画の栄養価は、完全近接分析および「インビトロ」(in vitro)消化性によって、原料の約70%であると推定された。
    【0031】
    繊維分画の高リグニン含量(15〜27%)および易流動性の性質は、さらにバイオマス燃焼のエネルギー源としての可能性があることも示している。
    【0032】
    タンパク質分画本発明により生成されるタンパク質分画は、独特の組成、栄養価および機能性を有する。 この工程の初期段階で抽出される2つのタンパク質分画は、一般に高繊維含量を有しており、これは原料組成および加水分解率に依存して20〜55%で変動する可能性がある。 タンパク質含量は、30〜65%の範囲内である。 これらのタンパク質分画は:a)高いタンパク質濃度および品質、b)高度に消化性の繊維、およびc)低いフィチン酸塩濃度のために理想的な飼料成分である。
    【0033】
    これらの低溶解性タンパク質分画は、さらにまた特にテクスチャ付与剤(texturizers)として食品用途に使用できる。
    【0034】
    より可溶性のタンパク質分画は、分別工程における後期段階で抽出され、そして一般により高度のタンパク質含量、より高い溶解性および相当に低い繊維含量を有する。 そのようなタンパク質分画は、工程設定および原料組成により、45〜95%のタンパク質を含有しうる。 それらは、さらにまたスターター飼料、魚用飼料、ペットフードおよび仔用人工乳のような特に高価値用途における飼料成分として使用できるが、好ましくは機能性食品タンパク質市場で使用すべきである。
    【0035】
    乳化油分画乳化油分画は、油料種子ケーキの分別により得られる。 この分画から油およびその他の成分を分離することに代えて、分画全体の新規最終用途が開示される。 この分画がタンパク質およびリン脂質を含有するため、それは動物用飼料のための、興味深い高度に消化性の油の入手源となる。 これは特に、極めて高エネルギー価または高度に消化性の油のどちらかを含有する付加価値化合物飼料中の成分として興味深い。
    【0036】
    本発明を実施するための、工場設備における好ましい実施形態を添付の図面に示す。 図1は、加水分解最終産物の酵素作用および分散を強化するために湿式ミル2に接続されている懸濁、加水分解および熱処理容器1を示している。 スラリーは、容器1における加水分解の完了後に生蒸気を用いて熱処理され、そして場合によっては酵素を不活化するために熱交換器3内でさらに熱処理される。 酵素不活化ステップは、最終産物が飼料市場の対象となる場合には回避できる。 約20%の乾燥物質含量を含む加水分解産物は、繊維残留物、乳化油および可溶物を分離する3相デカンター4へ移される。 繊維残留物および乳化油を、それぞれ乾燥機6および5で乾燥する。 可溶物相は容器7の水中で再懸濁され、デカンター8において2つの相に分離される。 上清が限外濾過器9を通して濾過されると、透過液および濃縮液相が産生する。 透過液相は蒸発器10内で濃縮され、結果として生じるシロップは、分離器11内で糖富裕分画とフィチン酸塩富裕分画に分別される。 濃縮液相が乾燥機14内で乾燥させられると、タンパク質富裕分画(60〜95%タンパク質)が産生する。 デカンター8からの沈降物は、容器12の水中で再懸濁させられ、分離器13において独特のタンパク質組成(30〜65%タンパク質)、栄養価および機能性を有する2つのタンパク質富裕分画に分離され、それらはその後乾燥機14中で乾燥させられる。

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