Manufacturing apparatus for fiber sheet

申请号 JP2010282381 申请日 2010-12-17 公开(公告)号 JP2012132103A 公开(公告)日 2012-07-12
申请人 Oji Paper Co Ltd; 王子製紙株式会社; 发明人 SHIRAO TAKAYUKI; TSUNODA MITSURU; SATO HIROKI; KAWAMUKAI TAKASHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a manufacturing apparatus for fiber sheet capable of papermaking the fiber sheet while preventing breakage of a fabric sheet.SOLUTION: A manufacturing apparatus for fiber sheet papermaking a fiber sheet 3d from a fluid dispersion 3a containing fine fiber is provided with a water squeezing section 20 for squeezing dispersant from the fluid dispersion 3a so as to produce a web 3c. The water squeezing section 20 has a plurality of first fabric sheets 15a-15d arranged in parallel along a conveyance direction of a web base material 3b in the middle of web production, and a suction device 32 (water squeezing means) installed below the plurality of first fabric sheets 15a-15d and for squeezing the dispersant from the fluid dispersion 3a, and in the water squeezing section 20 a continuous sheet 10 is placed over the top faces of the plurality of first fabric sheets 15a-15d and the fluid dispersion 3a is discharged to the top face of the continuous sheet 10.
权利要求
  • 微細繊維を含む分散液から繊維シートを抄造する装置であって、
    前記分散液から分散媒を搾水してウエブを生成する搾水セクションを備え、
    前記搾水セクションは、
    前記ウエブ生成途中のウエブ基材の搬送方向に沿って縦列配列された複数の第1ファブリックシートと、
    前記複数の第1ファブリックシートの下側に設けられ、前記分散液から前記分散媒を搾水する搾水手段と、
    を有し、
    前記搾水セクションでは、前記複数の第1ファブリックシートの上面に跨って連続シートが載置され、前記連続シートの上面に前記分散液が吐出されることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記連続シートは、第2ファブリックシートであることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記連続シートは、第2ファブリックシートの上面に抄紙用濾材が載置されてなることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1から3に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記搾水セクションは、前記搬送方向と直交する方向における前記連続シートの両端部の外側において、前記搬送方向に沿うように対向して立設された側壁を有し、
    前記連続シートの端部と、前記側壁との間隙を塞ぐサイドシール機構を設けたことを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1から4のいずれか1項に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記第1ファブリックシートは、無端ベルトであることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1から5のいずれか1項に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記搾水セクションの下流側に、前記ウエブを乾燥させて前記繊維シートを生成する乾燥セクションを備え、
    前記連続シートは、前記搾水セクションから前記乾燥セクションにかけて延設されていることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1から6のいずれか1項に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記搾水手段の上側に、前記第1ファブリックシートの下面に接する目板を設け、前記目板には貫通孔が形成されていることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記搾水セクションにおける前記複数の第1ファブリックシートは、前記搬送方向の上流側から下流側にかけて高さが高くなるように配設されていることを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 請求項1から8のいずれか1項に記載の繊維シートの製造装置であって、
    前記搾水セクションは、前記繊維シートに空隙を形成するための溶剤を前記ウエブ基材に塗布する、溶剤塗布手段を有することを特徴とする繊維シートの製造装置。
  • 说明书全文

    この発明は、繊維シートの製造装置に関するものである。

    繊維の集合体である繊維シートを湿式抄紙法により不織布状、紙状に構成する装置が知られている。 この繊維シートの製造装置は、繊維を含む分散液から分散媒を搾してウエブを生成する搾水セクションと、ウエブを乾燥させて繊維シートを生成する乾燥セクションと、繊維シートを巻き取る巻取セクションと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。

    搾水セクションには、メッシュ状のワイヤー(以下「ファブリックシート」という。)が設けられている。 搾水セクションでは、ファブリックシートを走行させつつファブリックシートの上面に分散液を吐出し、ファブリックシートの空孔を通して分散媒を分離することにより、分散液から分散媒を搾水してウエブを生成している。

    ところで、近年、繊維シートの開発では、繊維シートの空孔径の縮小および空孔率の増加が要求されている。
    例えば、電池やキャパシタ等の蓄電デバイスは、正極と負極との間で電解質を移動させることにより蓄電性能を発揮するものである。 この蓄電デバイスにおいて正負極間の短絡を防止するために、繊維シートからなるセパレータが正負極間に配置されている。
    ここで、蓄電デバイスの蓄電性能を向上させるためには、正負極間の短絡を防止しつつ、電解質の移動を容易化することが必要である。 正負極間の短絡を防止するため、セパレータを構成する繊維シートには、空孔径の縮小が要求される。 また、電解質の移動を容易化するため、セパレータを構成する繊維シートには、空孔率の増加が要求される。

    繊維シートの空孔径の縮小および空孔率の増加は、微細繊維による繊維シートを抄造することで達成される。 微細繊維としては、例えば、ナノファイバーセルロース等が使用される。

    特開2008−274525号公報

    ここで、一般に、微細繊維は保水性が非常に高い。 このため、搾水セクションでは、分散媒を分離するファブリックシートの走行距離を長くし、微細繊維を含む分散液から長時間をかけて分散媒を搾水する必要がある。

    ところが、ファブリックシートを長くすると、以下のような問題がある。
    搾水セクションでは、ファブリックシートの下側に吸引ポンプを配置している。 そして、吸引ポンプによる真空圧差等を利用し、ファブリックシートの空孔を通して分散媒を搾水している。 これによりファブリックシートが吸引ポンプ側に吸い寄せられるので、ファブリックシートの走行距離を長くすると、ファブリックシートに大きな摩擦が作用する。 そして、この摩擦力に対抗するべく強いテンションでファブリックシートを引っ張って走行させると、ファブリックシートの伸長や切断等の破損が発生するおそれがある。 逆に、テンションを弱めるために真空圧を低くすると、脱水量が減少して坪量が低くなるおそれがある。

    そこで本発明は、ファブリックシートの破損を防止しつつ繊維シートを抄造することが可能な、繊維シートの製造装置の提供を課題とする。

    上記の課題を解決するため、本発明の繊維シートの製造装置は、微細繊維を含む分散液から繊維シートを抄造する装置であって、前記分散液から分散媒を搾水してウエブを生成する搾水セクションを備え、前記搾水セクションは、前記ウエブ生成途中のウエブ基材の搬送方向に沿って、縦列配列された複数の第1ファブリックシートと、前記複数の第1ファブリックシートの下側に設けられ、前記分散液から前記分散媒を搾水する搾水手段と、を有し、前記搾水セクションでは、前記複数の第1ファブリックシートの上面に跨って連続シートが載置され、前記連続シートの上面に前記分散液が吐出されることを特徴としている。

    本発明によれば、複数の第1ファブリックシートが縦列配列されているので、分散液から分散媒を搾水する際に、第1ファブリックシートに作用する摩擦力を、複数の第1ファブリックシートによって分散できる。 これにより、強いテンションで第1ファブリックシートを引っ張ることなく、第1ファブリックシートを走行させることができる。 したがって、第1ファブリックシートの破損を防止しつつ繊維シートを抄造することができる。
    また、複数の第1ファブリックシートの上面に跨って連続シートが載置されているので、搾水セクションでは、搾水する際の摩擦力により連続シートの下面と、第1ファブリックシートの上面とが密着した状態になる。 この状態で第1ファブリックシートを走行させると、連続シートは第1ファブリックシートによって搬送されることになる。 これにより、強いテンションで連続シートを引っ張ることなく、連続シートを走行させることができる。 したがって、連続シートの破損を防止しつつ繊維シートを抄造することができる。
    さらに、この装置構成によれば、生成途中のウエブ基材は、連続シートの上面に載置された状態で複数の第1ファブリックシート間を搬送されるので、複数の第1ファブリックシート間を受け渡す際のウエブ基材の損傷を回避できる。 したがって、微細繊維からなる繊維シートを確実に抄造できる。

    また、前記連続シートは、第2ファブリックシートであることを特徴としている。
    本発明によれば、第2ファブリックシートの空孔を通して分散液から分散媒を搾水することができる。
    また、強いテンションで第2ファブリックシートを引っ張ることなく、第2ファブリックシートを走行させることができるので、第2ファブリックシートの破損を防止できる。

    また、前記連続シートは、第2ファブリックシートの上面に抄紙用濾材が載置されてなることを特徴としている。
    本発明によれば、第2ファブリックシートよりも空孔の小さい抄紙用濾材を配設することで、より微細な繊維を捕捉できる。 したがって、繊維シートのさらなる空孔径の縮小および空孔率の増加ができる。
    また、強いテンションで抄紙用濾材を引っ張ることなく、第2ファブリックシートとともに抄紙用濾材を走行させることができるので、第2ファブリックシートおよび抄紙用濾材の破損を防止できる。
    さらに、前記連続シートは第2ファブリックシートの代わりに抄紙用濾材を用いてもかまわない。 この場合、抄紙用濾材は強度が低いため、第1ファブリックシート間はロールなどでサポートした方が好ましい。

    また、前記搾水セクションは、前記搬送方向と直交する方向における前記連続シートの両端部の外側において、前記搬送方向に沿うように対向して立設された側壁を有し、前記連続シートの端部と、前記側壁との間隙を塞ぐサイドシール機構を設けたことを特徴としている。
    本発明によれば、サイドシール機構により、連続シートの端部と側壁との間隙から、第1ファブリックシートおよび搾水手段への分散液のリークを防止できる。 したがって、連続シートにより微細な繊維を捕捉し、効率よく分散媒を搾水できる。

    また、前記第1ファブリックシートは、無端ベルトであることを特徴としている。
    本発明によれば、複数の第1ファブリックシートを無端ベルトとすることで、繊維シートの製造装置のコンパクト化が図れる。

    また、前記搾水セクションの下流側に、前記ウエブを乾燥させて繊維シートを生成する乾燥セクションを備え、前記第2ファブリックシートは、前記搾水セクションから前記乾燥セクションにかけて延設されていることを特徴としている。
    本発明によれば、搾水セクションから乾燥セクションにかけて、ウエブを受け渡す必要がないので、微細繊維の採用によりウエブの強度が弱くなっても、受け渡しに伴うウエブの損傷を回避できる。 したがって、微細繊維からなる繊維シートを確実に抄造できる。

    また、前記搾水手段の上側に、前記第1ファブリックシートの下面に接する目板を設け、前記目板には貫通孔が形成されていることを特徴としている。
    本発明によれば、貫通孔が形成された目板が第1ファブリックシートの下面に接しているので、第1ファブリックシートを走行させると、貫通孔の縁部により第1ファブリックシートの下面が掃拭される。 これにより、第1ファブリックシートの空孔を通過した分散媒をすばやく除去できるので、搾水作業の効率化を図ることができる。

    前記搾水セクションにおける前記複数の第1ファブリックシートは、前記搬送方向の上流側から下流側にかけて高さが高くなるように配設されていることを特徴としている。
    本発明によれば、上流側から下流側にかけて高さが高くなるように第1ファブリックシートを配設することで、上流側に深く溜まった分散液の中から、緩やかにウエブ基材を上昇させて引き出すことができる。 したがって、表面が滑らかで地合が良好な繊維シートを抄造できる。

    前記搾水セクションは、前記繊維シートに空隙を形成する溶剤を前記ウエブ基材に塗布する、溶剤塗布手段を有することを特徴としている。
    本発明によれば、多孔性の繊維シートを抄造できる。

    本発明によれば、複数の第1ファブリックシートが縦列配列されているので、分散液から分散媒を搾水する際に、第1ファブリックシートに作用する摩擦力を、複数の第1ファブリックシートによって分散できる。 これにより、強いテンションで第1ファブリックシートを引っ張ることなく、第1ファブリックシートを走行させることができる。 したがって、第1ファブリックシートの破損を防止しつつ繊維シートを抄造することができる。
    また、複数の第1ファブリックシートの上面に跨って連続シートが載置されているので、搾水セクションでは、搾水する際の摩擦力により連続シートの下面と、第1ファブリックシートの上面とが密着した状態になる。 この状態で第1ファブリックシートを走行させると、連続シートは第1ファブリックシートによって搬送されることになる。 これにより、強いテンションで連続シートを引っ張ることなく、連続シートを走行させることができる。 したがって、連続シートの破損を防止しつつ繊維シートを抄造することができる。
    さらに、この装置構成によれば、生成途中のウエブ基材は、連続シートの上面に載置された状態で複数の第1ファブリックシート間を搬送されるので、複数の第1ファブリックシート間を受け渡す際のウエブ基材の損傷を回避できる。 したがって、微細繊維からなる繊維シートを確実に抄造できる。

    第1実施形態に係る繊維シートの製造装置1の概略構成図である。

    ファブリックシートを法線方向から見た場合の拡大図である。

    抄紙用濾材の細孔直径分布曲線の一例を示すグラフである。

    図1におけるA−A線に沿った断面図である。

    図4におけるB−B線に沿った断面図である。

    第2実施形態における繊維シートの製造装置の説明図である。

    第3実施形態における繊維シートの製造装置の説明図である。

    (第1実施形態)
    以下に、本発明の第1実施形態における繊維シートの製造装置について、図面を参照して説明する。
    本実施形態は、微細繊維を含む分散液から繊維シートを抄造する装置に関するものである。 繊維シートは、微細繊維の集合体(不織布状、紙状)で構成される。 微細繊維として、パルプを機械的に粉砕して微細化したナノファイバーセルロース(NFCe)を使用することができる。
    具体的には、原料として植物由来のセルロースや、動物由来のセルロース、バクテリア由来のセルロース等が挙げられ、より具体的には、針葉樹、広葉樹をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法などで蒸解した化学パルプ繊維;レファイナー、グラインダーなどの機械力によってパルプ化した機械パルプ繊維;薬品による前処理の後、機械力によってパルプ化したセミケミカルパルプ繊維;或いは古紙パルプ繊維などを例示でき、それぞれ未晒(漂白前)もしくは晒(漂白後)の状態で使用することができる。 また、草本類から製造される非木材繊維としては、例えば綿、マニラ麻、亜麻、ワラ、竹、パガス、ケナフなどを木材パルプと同様の方法でパルプ化した繊維が挙げられる。
    前記パルプとして使用される樹種は、ベイマツ、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン等の広葉樹が挙げられる。 また、麻類、三椏、竹、ワラをパルプ化して用いることも可能である。
    そして、前記パルプをレファイナー処理等の機械的処理することで短繊維化し、短繊維化したパルプをセルラーゼ系酵素による処理を行った後に、高回転式解繊機または高圧ホモジナイザーで微細化処理を行ってナノファイバーセルロースを得ることができる。
    分散液は、水もしくは有機溶媒、または水と有機溶媒との混合液等からなる分散媒に、微細繊維を分散させて調製する。

    ナノファイバーセルロースは、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに幅の狭いセルロース繊維あるいは棒状粒子である。 ナノファイバーセルロースは結晶状態のセルロース分子の集合体であり、その結晶構造はI型(平行鎖)である。 ナノファイバーセルロースの幅は透過型電子顕微鏡(SEM)で観察して2nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは4nm〜100nmである。 繊維の幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。 1000nmを超えると微細繊維とは言えず、通常のパルプに含まれる繊維にすぎないため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。 また、ナノファイバーセルロースの複合体に透明性が求められる用途であると、微細繊維の幅は50nm以下が好ましい。

    また、本実施形態におけるナノファイバーセルロースの繊維長(JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52:2000に準じて測定した長さ加重平均繊維長)は、1〜1000μmが好ましく、10〜600μmがさらに好ましく、50〜300μmが特に好ましい。 繊維長を繊維の幅で除した値であるアスペクト比は100〜30000が好ましく、500〜15000がさらに好ましく、1000〜10000が特に好ましい。
    このような微細繊維で繊維シートを構成すれば、繊維シートの薄膜化および空効率の増加が可能になり、しかも空孔径の縮小が可能になる。 この繊維シートを蓄電デバイスのセパレータに採用すれば、蓄電デバイスの蓄電性能を向上させることができる。

    図1は、本実施形態に係る繊維シートの製造装置1の概略構成図である。 なお、図1において、ウエブ基材3bの搬送方向を左側から右側と定義し、上流側を左側とし、下流側を右側としている。
    繊維シートの製造装置1は、微細繊維を含む分散液3aから分散媒を搾水してウエブ3cを生成する搾水セクション20と、ウエブ3cを乾燥させて繊維シート3dを生成する乾燥セクション40と、生成された繊維シート3dを巻き取る巻取セクション60とを備えている。

    (搾水セクション)
    搾水セクション20は、直線状に縦列配列された複数(本実施形態では4本)の第1ファブリックシート15(15a〜15d)と、第1ファブリックシート15(15a〜15d)の上に跨って載置された連続シート10と、を備えている。

    図2は、ファブリックシートを法線方向から見た場合の拡大図である。 第1ファブリックシート15は、ステンレス等の金属や、ポリエステル、ナイロン等のプラスチックからなる線材11を、メッシュ状に編み込んで形成されている。
    第1ファブリックシート15を構成する線材11の線径Dはφ50〜1000μmが好ましく、70〜500μmがより好ましく、90〜400μmが特に好ましい。 線径Dが50μm未満であると強度が低くなり、テンションを上げることができない。 1000μmを超えると凹凸が大きくなり過ぎ、繊維シートに凹凸が転写して表面が荒れるおそれがある。 具体的な線径Dは、例えばφ200μmとすることができる。 また、第1ファブリックシート15のメッシュ空孔12の目開き寸法Wは100〜5000μmが好ましく、120〜1000μmがより好ましく、140〜750μmが特に好ましい。 目開き寸法Wが100μm未満であると脱水性が悪化するおそれがある。 5000μmを超えると強度が低くなり、テンションを上げることができない。

    第1ファブリックシート15は、複数のローラに掛け渡された無端ベルトとして延設されている。 第1ファブリックシート15は、掛け渡されたローラをモータ(不図示)で回転駆動することにより、軌道上を循環走行するようになっている。 そして、第1ファブリックシート15の上環部の走行方向が、ウエブ基材3bの搬送方向と一致するように、各第1ファブリックシート15が配置されている。 なお、第1ファブリックシート15の上環部の走行方向は、ウエブ3c生成途中のウエブ基材3bの搬送方向となる。 搾水セクション20では、4本の第1ファブリックシート15が、搬送方向の下流側(図1における左側)から上流側(図1における右側)に向かって、第1ファブリックシート15a〜15dの順に、所定間隔空けて直列に配設されている。

    このように形成された各第1ファブリックシート15は、0.05m/分〜50m/分の走行速度で走行している。 各第1ファブリックシート15の走行速度の好ましい範囲は0.5〜20m/分である。

    ここで、全部または一部の第1ファブリックシート15は、上流側から下流側にかけて高さが高くなるように傾斜して配設するのが望ましい。 第1ファブリックシート15を傾斜させることにより、後述する貯留部17に溜まった分散液3aの中から、緩やかにウエブ基材3bを上昇させて引き出すことができる。 したがって、表面が滑らかで地合が良好な繊維シートを抄造できる。 第1ファブリックシート15の傾斜度は、水平面に対して0.1度〜30度が好ましく、0.5度〜15度が特に好ましい。
    本実施形態では、第1ファブリックシート15a〜15cは、水平面に対して約1.5度傾斜して配設されている。 なお、最下流側の第1ファブリックシート15dが配設された領域では、後述するようにウエブ基材3bに溶剤を塗布している。 したがって、溶剤をムラなく塗布できるように、最下流側の第1ファブリックシート15dは、略水平に配設されている。

    (連続シート)
    搾水セクション20では、各第1ファブリックシート15a〜15dの上面に跨って、連続シート10が載置されている。 なお、連続シート10は、搾水セクション20から、後述する乾燥セクション40にかけて延設されている。
    連続シート10は、第2ファブリックシート10aと、第2ファブリックシート10aの上面に載置された抄紙用濾材10bとが重なって形成されている。
    搾水セクション20の上流側において、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bは、それぞれ抄紙用濾材供給リール70および第2ファブリックシート供給リール75から供給される。 その後、搾水セクション20の上流側の基端ローラ28で、第2ファブリックシート10aと抄紙用濾材10bとを重ね合わせることにより、連続シート10が形成されている。 なお、本実施形態では、抄紙用濾材10bを供給する際、水が貯留された含浸槽71を通過させて、抄紙用濾材10bに水を含浸させている。 予め抄紙用濾材10bに水を含浸させることで、分散液3aの分散媒が抄紙用濾材10bに浸透したときに、抄紙用濾材10bにしわが発生するのを抑制できる。 したがって、抄紙用濾材10bの上面に、ウエブ3cを平坦に形成することができる。

    (第2ファブリックシート)
    第2ファブリックシート10aは、ステンレス等の金属またはポリエステル等の樹脂からなる線材11を、第1ファブリックシート15と同様にメッシュ状に編み込んで形成されている(図2参照)。
    ここで、第1ファブリックシート15は、ローラをモータ(不図示)で駆動することにより走行するのに対し、第2ファブリックシート10aは、主に、後述のように第1ファブリックシート15に搬送されて走行する。 すなわち、第2ファブリックシート10aは、走行時に第1ファブリックシート15のようにローラによる引っ張り力が作用しないので、第1ファブリックシート15よりも高い強度が要求されない。 したがって、第2ファブリックシート10aの線材11には、線径が細かく、目開きの小さいステンレスワイヤーやプラスチックワイヤーを採用することができる。

    第2ファブリックシート10aを構成する線材11の線径Dはφ10〜40μmとされている。 具体的な線径Dは、例えばφ20μmまたはφ34μmとすることができる。 また、第2ファブリックシート10aのメッシュ空孔12の目開き寸法Wは5〜50μmとされている。 第2ファブリックシート10aの目開き寸法Wの好ましい範囲は10〜40μmである。

    (抄紙用濾材)
    第2ファブリックシート10aの上面には、抄紙用濾材10bが載置されている。
    抄紙用濾材10bは、紙基材、不織布、織布、メンブレンフィルターなどが使用できる。 中でも、紙基材やポリエステルやナイロン繊維などの不織布や織布が好適に使用できるが、伸びが少なく、長尺物が容易に製造でき、空孔が少ない紙基材が特に好適である。 紙基材としては特に限定されないが、通気性を有し、平滑なものが好ましい。 具体的には、上質紙、中質紙、インクジェット用紙、コピー用紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、板紙、白板紙、新聞用紙、更紙等が挙げられるが、紙基材の少なくとも片面に多孔性塗被層を備えたインクジェット用紙が望ましい。 多孔性塗被層は、無数の細孔を有する多孔質層であり、単層であってもよいし、多層であってもよい。

    図3は、抄紙用濾材の細孔直径分布曲線の一例を示すグラフである。
    抄紙用濾材10bの細孔直径は、図3の多孔性塗被層の細孔直径分布曲線にて、細孔直径0.1μm以下および0.2〜20μmの範囲に各々1つ以上ピークを有することが好ましい。 細孔直径0.1μm以下および0.2〜20μmの間に各々1つ以上ピークを有する多孔性塗被層では、直径0.1μm以下の小さい細孔によってナノファイバーセルロースを捕捉し、直径0.2〜20μmの大きめの細孔によって、分散媒の透水性を高めることができると考えられる。 したがって、ナノファイバーセルロースを充分に捕捉して歩留まりをさらに向上させることができるとともに、目詰まりをより抑制し、搾水時間を短縮できる。 しかも、細孔直径0.1μm以下および0.2〜20μmの間に各々1つ以上ピークを有すると、表面が滑らかで地合が良好な繊維シートを抄造できる。

    図1に示すように、搾水セクション20は、連続シート10の上面に分散液3aを吐出するダイヘッド22と、ダイヘッド22により吐出された分散液3aを貯留する貯留部17と、貯留部17の側壁18(図4参照)と連続シート10の端部10cとの間隙Gを塞ぐサイドシール機構24と、を備えている。

    ダイヘッド22として、分散液3aを加圧して吐出する密閉加圧型や、分散液3aをその自重によって吐出する開放型(例えば、自由落下カーテン型)などを採用することができる。 また、分散液3aを高圧にし、小さなノズルから吐き出させる、いわゆる液圧霧化方式であるスプレーヘッドを採用することができる。 なお、図1では1個のダイヘッド22を設けているが、複数個のダイヘッド22を設けてもよい。

    図4は、図1におけるA−A線に沿った断面図である。
    図1および図4に示すように、ダイヘッド22により吐出された分散液3aは、貯留部17に貯留される。 貯留部17は、搬送方向と直交する方向における連続シート10の端部10cの外側において、搬送方向に沿うように対向して立設された一対の側壁18と、上流側に立設された上流壁17aと、により囲まれた領域により形成されている。
    側壁18は、上流側に頂部を有する略三角形状をしており、搬送方向から見て、連続シート10の端部10cの外側に配置される。 また、上流壁17aは、一対の側壁18の上流側において、一対の側壁18と直交するように立設されている。
    貯留部17の底部には、上流側から下流側(図1における左側から右側)にかけて高さが高くなるように傾斜した第1ファブリックシート15および連続シート10が配設されている。 このため、貯留部17は、上流側から下流側に向かって、深さが漸次浅くなっている。

    (サイドシール機構)
    貯留部17の内部には、貯留部17の側壁18と連続シート10の端部10cとの間隙Gを塞ぐサイドシール機構24が設けられている。
    サイドシール機構24は、無端ベルトであるタイミングベルト24aと、タイミングベルト24aの位置を規制する複数(本実施形態では3個)のタイミングプーリ24bと、により構成された無端ベルトである。 サイドシール機構24は、タイミングベルト24aの走行方向が連続シート10の走行方向に沿うように延設される。

    サイドシール機構24の幅は、連続シート10の端部10cと貯留部17の側壁18とで形成される間隙Gの幅よりも広くなるように形成される。 サイドシール機構24は、連続シート10の端部10cの上方に配設され、自重または不図示の押圧手段によって連続シート10の端部10cを押圧しつつ、間隙Gを覆っている。 これにより、サイドシール機構24は間隙Gを塞ぎ、連続シート10の端部10cと側壁18との間隙から、第1ファブリックシート15および吸引装置32への分散液3aのリークを防止している。
    また、サイドシール機構24の長さは、後述する吸引装置32の長さよりも長くなるように形成される。 これにより、間隙Gを塞いだときに、サイドシール機構24の走行方向における端部から、吸引装置32への分散液3aのリークを防止している。

    (搾水手段)
    第1ファブリックシート15の下側には、分散媒を吸引する吸引装置32(搾水手段)が設けられている。 本実施形態では、吸引装置32は4個設けられており、各第1ファブリックシート15a〜15dの下側に1個ずつ配設されている。 吸引装置32は、負圧室35と、第1ファブリックシート15の下面と接する目板34とを有している。 負圧室35は、各吸引装置32に複数(本実施形態では6個)設けられており、負圧室35には真空ポンプ(不図示)が接続されている。

    図5は、図4におけるB−B線に沿った断面図である。
    図4および図5に示すように、目板34は、吸引装置32の内部と外部とを連通する貫通孔36が形成された板部材であり、アルミ等の金属や、ウレタン、ポリエステル等の樹脂、アルミナなどのセラミックスにより形成される。 目板34の上面は、第1ファブリックシート15の下面と接するように設けられている。
    目板34に形成される貫通孔36は、平面視で略円形状や、スリット状等、様々な形状に形成される。 本実施形態の貫通孔36は、第1ファブリックシート15の走行方向に対して直交する方向に延設されたスリットであり、複数のスリットが上流側から下流側に向かって平行に配置されている。 目板34の表面積に対する貫通孔36の開口面積の割合(以下「開孔率」という)は、0.5〜60%が好ましく、2〜50%がさらに好ましく、5〜35%が特に好ましい。

    第1ファブリックシート15を走行させつつ吸引装置32の真空ポンプを運転すると、負圧室35および貫通孔36の内部が負圧になる。 これにより、分散液3aに含まれる分散媒が、連続シート10、および第1ファブリックシート15の空孔を通って吸引装置32の貫通孔36に吸引される。 さらに、目板34の上面と第1ファブリックシート15の下面とが接しているので、貫通孔36の下流側の縁部36aは、第1ファブリックシート15の下面を掃拭する。 このように、目板34の貫通孔36は、第1ファブリックシート15の下面に付着した分散媒を払い落とすブレード機能を有しているので、吸引装置32は、第1ファブリックシート15の空孔を通過した分散媒をすばやく除去し吸引できる。 以上により、分散液3aに含まれる微細繊維のみが連続シート10の上面に残り、ウエブ3cが形成される。

    図1に戻り、本実施形態では、最下流側に配置された第1ファブリックシート15dの上部に、繊維シート3dに空隙を形成するための有機溶媒(溶剤)を塗布する、有機溶媒塗布手段30(溶媒塗布手段)が設けられている。

    繊維シート3dの空隙は、ウエブ基材3bに有機溶媒を塗布・含浸させ、後述する乾燥セクション40で水および有機溶媒を蒸発(乾燥)させることにより形成される。
    塗布される有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール系化合物、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルなどのグライム類;1,2−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオールなどの2価アルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。 これらの有機溶媒は2種以上併用してもかまわない。
    なかでも、水への溶解性に優れ、沸点と表面張力と分子量のバランスが良いエチレングリコール系化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテルやジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルが、多孔性が得られやすいため特に好ましい。

    有機溶媒塗布手段30としては、スプレーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、バーコーター、ブレードコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、キャップコーター、マイクログラビアコーター、ダイコーター、ロッドコーター、コンマコーター、スクリーンコーター等の方法が挙げられるが、有機溶媒の塗布量(含浸量)を制御しやすく、均一に塗布(含浸)可能という理由からスプレー、カーテン、グラビア、バー、ブレード、サイズプレスから選択される少なくとも一種の方法であることが好ましい。 水分を含んだウエブ基材3bは強度的に弱く、コーターヘッドに接触するとウエブ基材3bに筋が入ったり、ムラが発生したりするおそれがあるため、非接触の塗布方法であるスプレーやカーテンが最も好ましい。

    (乾燥セクション)
    図1に示すように、搾水セクション20の下流には、乾燥セクション40が設けられている。 乾燥セクション40には、シリンダードライヤーで構成された第1ドライヤー42および第2ドライヤー52と、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52のそれぞれの外周に沿って配置されたフェルト(毛布)44とが設けられている。
    第1ドライヤー42および第2ドライヤー52は、シリンダードライヤーで構成されている。 シリンダードライヤーは、シリンダーの内部に熱媒体を導入して外周面を高温に保持し、外周面上に配置された試料に含まれる液体成分を蒸発させて試料を乾燥させるものである。 なお、乾燥セクション40を覆うようにフード49が設けられている

    搾水セクション20から延設された連続シート10は、乾燥セクション40において、第1ドライヤー42に掛け渡されている。 連続シート10は、第1ドライヤー42の約2/3周に渡り外周面に沿って配置されている。 また連続シート10は、第1ドライヤー42から複数のサブローラ48を介して第2ドライヤー52に掛け渡されている。 連続シート10は、第2ドライヤー52の約2/3周に渡り外周面に沿って配置されている。 さらに連続シート10は、第2ドライヤー52から複数のサブローラ58を介して巻取セクション60に延設されている。 第1ドライヤー42および第2ドライヤー52は、それぞれの外周面に沿って配置された連続シート10と同じ角速度で回転するようになっている。

    フェルト44は、毛布からなり、乾燥セクション40内を循環走行する。 フェルト44は、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52のそれぞれの半径方向において、連続シート10の外側に配置されている。 フェルト44は、連続シート10と同様に、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の約2/3周に渡り外周面に沿って配置されている。 フェルト44は、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の外周面に沿って連続シート10と同じ角速度で走行するようになっている。

    連続シート10の上面に載置されて乾燥セクション40に導入されたウエブ3cは、その上面を第1ドライヤー42の外周面に接触させた状態で、第1ドライヤー42の外周面に巻き取られる。 これにより第1ドライヤー42の外周面には、半径方向内側から外側にかけて、ウエブ3c、連続シート10およびフェルト44が順に配置される。 第1ドライヤー42の外周面は高温に加熱されているので、ウエブ3cに残留していた分散媒が蒸発する。 蒸発した分散媒は、連続シート10の空孔を通ってフェルト44に吸収される。 これにより、蒸発した分散媒が再びウエブ3cに付着するのを防止することができるので、ウエブ3cを確実かつ効率的に乾燥させることができる。

    次にウエブ3cは、第2ドライヤー52の外周面に巻き取られる。 なお、第2ドライヤー52では、第1ドライヤー42と同様にウエブ3cを乾燥させているため、説明を省略する。 複数のドライヤーを使用することで、ウエブ3cを確実に乾燥させることができる。 以上により、ウエブ3cの乾燥が完了して繊維シート3dが形成される。

    (巻取セクション)
    乾燥セクション40の下流には、巻取セクション60が設けられている。 巻取セクション60には、抄紙用濾材10bから第2ファブリックシート10aを分離する一対の第1分離ローラ62a,62bと、分離した第2ファブリックシート10aを回収する第2ファブリックシート回収リール76と、を備えている。
    また、第1分離ローラ62a,62bの下流側には、繊維シート3dと抄紙用濾材10bとを分離する一対の第2分離ローラ63a,63bと、分離した抄紙用濾材10bを回収する抄紙用濾材回収リール72と、繊維シート3dを巻き取る巻取リール64と、が設けられている。

    一対の第1分離ローラ62a,62bは、連続シート10の両側に配置されている。 一対の第1分離ローラ62a,62bで連続シート10および繊維シート3dを挟み込むことにより、抄紙用濾材10bから第2ファブリックシート10aが分離して、一方の第1分離ローラ62bの表面に転移する。
    第2ファブリックシート回収リール76は、一方の第1分離ローラ62bの表面から第2ファブリックシート10aを引き離して巻き取るようになっている。

    他方の第1分離ローラ62aの表面には、繊維シート3dが抄紙用濾材10bと重なった状態で転移する。 その後、一対の第2分離ローラ63a,63bで抄紙用濾材10bおよび繊維シート3dを挟み込むことにより、繊維シート3dから抄紙用濾材10bが分離して、一方の第2分離ローラ63bの表面に転移する。
    抄紙用濾材回収リール72は、一方の第2分離ローラ63bの表面から抄紙用濾材10bを引き離して巻き取るようになっている。
    また、巻取リール64は、他方の第2分離ローラ63aの表面から繊維シート3dを引き離して巻き取るようになっている。 この構成によれば、巻き取られた状態の繊維シート3dを製造することができる。

    (第1実施形態の効果)
    本実施形態によれば、複数の第1ファブリックシート15a〜15dが縦列配列されているので、分散液3aから分散媒を搾水する際に、第1ファブリックシート15a〜15dに作用する摩擦力を、複数の第1ファブリックシート15a〜15dによって分散できる。 これにより、強いテンションで第1ファブリックシート15a〜15dを引っ張ることなく、第1ファブリックシート15a〜15dを走行させることができる。 したがって、第1ファブリックシート15a〜15dの破損を防止しつつ繊維シートを抄造することができる。
    また、複数の第1ファブリックシート15a〜15dの上面に跨って連続シート10が載置されているので、搾水セクション20では、搾水する際の摩擦力により連続シート10の下面と、第1ファブリックシート15a〜15dの上面とが密着した状態になる。 このため、第1ファブリックシート15a〜15dを走行させると、連続シート10は第1ファブリックシート15a〜15dに搬送される。 これにより、強いテンションで連続シート10を引っ張ることなく、連続シート10を走行させることができる。 したがって、連続シート10の破損を防止しつつ繊維シート3dを抄造することができる。
    さらに、この装置構成によれば、生成途中のウエブ基材3bは、連続シート10の上面に載置された状態で複数の第1ファブリックシート15a〜15d間を搬送されるので、複数の第1ファブリックシート15a〜15d間を受け渡す際のウエブ基材3bの損傷を回避できる。 したがって、微細繊維からなる繊維シート3dを確実に抄造できる。

    また、本実施形態によれば、連続シート10は、第2ファブリックシート10aの上面に抄紙用濾材10bが載置されているので、第2ファブリックシート10aよりも空孔の小さい抄紙用濾材10bを配設することで、より微細な繊維を捕捉できる。 したがって、繊維シート3dのさらなる空孔径の縮小および空孔率の増加ができる。
    また、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bは第1ファブリックシート15a〜15dに搬送され走行するので、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bの破損を防止できる。

    また、本実施形態によれば、連続シート10の端部10cと貯留部17の側壁18との間隙Gを塞ぐサイドシール機構24を設けたので、連続シート10の端部10cから第1ファブリックシート15および吸引装置32への分散液3aのリークを防止できる。 したがって、連続シート10により微細な繊維を捕捉し、効率よく分散媒を搾水できる。

    また、本実施形態によれば、第1ファブリックシート15を無端ベルトとしているので、繊維シートの製造装置1のコンパクト化が図れる。

    また、本実施形態によれば、連続シート10を搾水セクション20から乾燥セクション40にかけて延設することで、搾水セクション20から乾燥セクション40にかけて、ウエブ3cを受け渡す必要がない。 したがって、微細繊維の採用によりウエブ3cの強度が弱くなっても、受け渡しに伴うウエブ3cの損傷を回避できるので、微細繊維からなる繊維シート3dを確実に抄造できる。

    また、本実施形態によれば、貫通孔36を有する目板34が第1ファブリックシート15の下面に接しているので、第1ファブリックシート15を走行させると、貫通孔36の下流側の縁部36aにより第1ファブリックシート15の下面が掃拭される。 これにより、第1ファブリックシート15の空孔を通過した分散媒をすばやく除去できるので、搾水作業の効率化を図ることができる。

    また、本実施形態によれば、上流側から下流側にかけて高さが高くなるように第1ファブリックシート15を配設しているので、貯留部17の上流側に深く溜まった分散液3aの中から、緩やかにウエブ基材3bを上昇させて引き出すことができる。 したがって、表面が滑らかで地合が良好な繊維シート3dを抄造できる。

    また、本実施形態によれば、搾水セクション20は、繊維シート3dに空隙を形成する有機溶媒をウエブ基材3bに塗布する溶剤塗布手段を有しているので、多孔性の繊維シート3dを抄造できる。

    (第2実施形態)
    次に、第2実施形態における繊維シートの製造装置について説明する。
    図6は、第2実施形態における繊維シートの製造装置1の説明図である。
    第1実施形態における繊維シートの製造装置1では、ウエブ3cを連続シート10上に載置したまま搾水セクション20から乾燥セクション40に受け渡していた。
    これに対して、第2実施形態における繊維シートの製造装置1では、搾水セクション20の下流側で連続シート10を回収し、搾水セクション20と乾燥セクション40との間でウエブ3cのみを受け渡す点で相違している。 なお、第1実施形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。

    図6に示すように、一対の第1分離ローラ62a,62b、および一対の第2分離ローラ63a,63b、は、搾水セクション20の下流側の乾燥セクション40であって、第1ドライヤー42の上流側に設けられている。
    第1実施形態と同様に、一対の第1分離ローラ62a,62bで連続シート10およびウエブ3cを挟み込むことにより、抄紙用濾材10bと第2ファブリックシート10aとが分離して、一方の第1分離ローラ62bの表面に第2ファブリックシート10aが転移する。
    第2ファブリックシート回収リール76は、一方の第1分離ローラ62bの表面から第2ファブリックシート10aを引き離して巻き取るようになっている。
    他方の第1分離ローラ62aの表面には、ウエブ3cが抄紙用濾材10bと重なった状態で転移する。

    続いて、第1実施形態と同様に、一対の第2分離ローラ63a,63bで抄紙用濾材10bおよびウエブ3cを挟み込むことにより、ウエブ3cと抄紙用濾材10bとが分離して、一方の第2分離ローラ63bの表面に抄紙用濾材10bが転移する。
    抄紙用濾材回収リール72は、一方の第2分離ローラ63bの表面から抄紙用濾材10bを引き離して巻き取るようになっている。
    他方の第2分離ローラ63aの表面には、ウエブ3cのみが転移する。

    その後、ウエブ3cのみが第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の外周面に沿って走行するようになっている。
    ウエブ3cは、その上面を第1ドライヤー42の外周面に接触させた状態で、第1ドライヤー42の外周面に巻き取られる。 これにより第1ドライヤー42の外周面には、半径方向内側から外側にかけて、ウエブ3c、およびフェルト44の順に配置される。 次にウエブ3cは、第2ドライヤー52の外周面に巻き取られる。 なお、第2ドライヤー52では、第1ドライヤー42と同様にウエブ3cを乾燥させているため、説明を省略する。

    (第2実施形態の効果)
    第1実施形態では、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bからなる連続シート10とウエブ3cとが重なった状態で、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の外周面を走行させていた。 このため、乾燥セクション40では、ウエブ3cとフェルト44との間に第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bが介在していた。
    これに対して、本実施形態によれば、第2ファブリックシート10a、および抄紙用濾材10bを分離させた後、ウエブ3cのみで第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の外周面を走行させている。 したがって、ウエブ3cとフェルト44との間にはなにも介在していないので、第1実施形態よりもウエブ3cをすばやく乾燥させることができる。
    ただし、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の外周面を走行しているときの連続シート10の強度の点で、第1実施形態に優位性がある。

    (第3実施形態)
    次に、第3実施形態における繊維シートの製造装置について説明する。
    図7は、第3実施形態における繊維シートの製造装置1の説明図である。
    第1実施形態および第2実施形態における繊維シートの製造装置1では、連続シート10は、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bにより形成されていた。 また、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bは、それぞれ第2ファブリックシート供給リール75、および抄紙用濾材供給リール70から供給され、第2ファブリックシート回収リール76および抄紙用濾材回収リール72により回収される有端ベルトであった。
    しかし、第3実施形態における繊維シートの製造装置1では、連続シート10は、第2ファブリックシート10aのみで構成される点、および連続シート10は無端ベルトとなっている点で、第1実施形態および第2実施形態とは異なっている。 なお、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。

    図7に示すように、本実施形態の連続シート10は第2ファブリックシート10aであって、搾水セクション20の上流側に配置された端部ローラ75から、第2ドライヤー52の下流側に設けられた一対の第1分離ローラ62a,62bまで掛け渡されている。 また、連続シート10は、一対の第1分離ローラ62a,62bの間を通過した後、下方に配置された複数の補助ローラを介して、第2ファブリックシート供給リール75に掛け渡されている。 すなわち、連続シート10は無端ベルトとなっている。 そして、連続シート10が掛け渡されたローラをモーター(不図示)で回転駆動することにより、連続シート10が軌道上を循環走行するようになっている。

    (第3実施形態の効果)
    本実施形態によれば、連続シート10を第2ファブリックシート10aのみで形成し、連続シート10を無端ベルトとしているので、連続シート10を供給するリール、および連続シート10を回収するリールを設ける必要がない。 したがって、繊維シートの製造装置1のコンパクト化が図れる。
    また、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52の外周面を走行させて乾燥させる際、ウエブ3cとフェルト44との間には第2ファブリックシート10aしか介在していないので、第1実施形態よりもウエブ3cをすばやく乾燥させることができる。
    ただし、第1実施形態および第2実施形態では、第2ファブリックシート10aの上面に、空孔の小さい抄紙用濾材10bを配設することにより、搾水セクションにおいて微細な繊維を捕捉でき、繊維シートのさらなる空孔径の縮小および空孔率の増加ができる点で、第1実施形態および第2実施形態に優位性がある。

    なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではない。
    各実施形態における繊維シートの製造装置1では、第1ファブリックシート15を4本配設しているが、第1ファブリックシート15の本数はこれに限定されることはない。
    また、各実施形態では、吸引装置32を4個設け、吸引装置32の負圧室35を6個設けているが、吸引装置32および負圧室35の個数はこれに限定されることはない。

    各実施形態における繊維シートの製造装置1では、第1ファブリックシート15は無端ベルトとなっている。 しかし、例えば、第1ファブリックシート15の供給リール、および第1ファブリックシート15の回収リールを設け、走行後に第1ファブリックシート15を回収してもよい。 ただし、第1ファブリックシート15を無端ベルトとすることで、繊維シートの製造装置1のコンパクト化が図れる点で優位性がある。

    第2実施形態における繊維シートの製造装置1では、最下流側の第1ファブリックシート15dの下流側であって、第1ドライヤー42の上流側に一対の第1分離ローラ62a,62b、および一対の第2分離ローラ63a,63bを配置し、第1ドライヤー42の上流側で第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bを回収していた。 しかし、第2ファブリックシート10aおよび抄紙用濾材10bの回収位置はこれに限られることはない。 したがって、例えば、第1ドライヤー42の下流側であって、第2ドライヤー52の上流側に一対の第1分離ローラ62a,62bを配置し、第2ドライヤー52の上流側で第2ファブリックシート10aを回収してもよい。
    また、同様に、第2分離ローラ63a,63bの配置を変更して、抄紙用濾材10bの回収位置を変更してもよい。

    第2実施形態における繊維シートの製造装置1では、ウエブ3cのみで走行させ、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52で乾燥させていた。 また、第3実施形態における繊維シートの製造装置1では、第2ファブリックシート10aとウエブ3cとが重なった状態で走行させ、第1ドライヤー42および第2ドライヤー52で乾燥させていた。 しかし、例えば、第1ドライヤー42の上流側で、第2ファブリックシート10aをウエブ3cから分離し、ウエブ3cを走行させて第1ドライヤー42および第2ドライヤー52で乾燥させてもよい。

    1・・・繊維シートの製造装置 3a・・・分散液 3b・・・ウエブ基材 3c・・・ウエブ 3d・・・繊維シート 10・・・連続シート 10a・・・第2ファブリックシート 10b・・・抄紙用濾材 10c・・・端部 15(15a,15b,15c、15d)・・・第1ファブリックシート 18・・・側壁 20・・・搾水セクション 24・・・サイドシール機構 30・・・有機溶媒塗布手段(溶剤塗布手段) 32・・・吸引装置(搾水手段) 34・・・目板 36・・・貫通孔 40・・・乾燥セクション G・・・間隙

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