Papermaking device of waste paper recycling apparatus

申请号 JP2007161848 申请日 2007-06-19 公开(公告)号 JP2009001925A 公开(公告)日 2009-01-08
申请人 Seed:Kk; 株式会社シード; 发明人 TAMAI SHIGERU; KOYAMA YUJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide environmentally friendly papermaking device of a waste paper recycling apparatus, which is installable in the inside of a small-scale store or the like at a low running cost and capable of holding high confidentiality. SOLUTION: The papermaking device 3 includes a papermaking step part 10 for forming a slurry-like pulp suspension PS fed from a pulp producing part 2 in the former step into a sheet of a wet web RPO, a drying step part 12 for drying the wet web RPO formed into the sheet in the papermaking step part 10 into recycled paper RP and a treating conveyor 15 extending across the overall length of the papermaking step and the drying step in the papermaking step part 10 and the drying step part 12. The treating conveyor 15 is formed into a state of a net belt conveyor in which a net-like belt 20 of a net structure composed of innumerable meshes for filtering and dewatering the pulp suspension PS runs. Thus, there is no need of transferring conveyors when the sheet of the formed wet web changes the steps from the papermaking step to the drying step. COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT
权利要求
  • 古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置を構成し、前工程のパルプ製造装置で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙装置であって、
    前記パルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙工程部と、
    この抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥工程部とを備え、
    これら抄紙工程部と乾燥工程部は、上下に階層状に配設されるとともに、これら上下階層状の抄紙工程部および乾燥工程部における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びる処理コンベアを備え、
    この処理コンベアは、前記パルプ懸濁液を濾過脱水する無数の網目よりなる抄き網構造の網状ベルトが走行するネットベルトコンベアの形態とされていることを特徴とする古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記ネットベルトコンベアの網状ベルトは、前記抄紙工程部において、走行方向へ向けて直線状に走行するとともに、前記乾燥工程部において、反対方向へ折り返し直線状に走行する配置構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記抄紙工程部において、前記網状ベルトにおける抄紙工程長さは、前記什器サイズの装置ケース内における前記網状ベルトの直線状走行方向長さの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記網状ベルトの抄紙工程長さは、その抄き網構造の濾過脱水率および網状ベルトの走行速度との関係で、前記パルプ懸濁液が適正な坪量に抄かれるのに十分であるとともに、前記網状ベルトを備える前記抄紙コンベアが什器サイズの装置ケース内に収容し得るように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記網状ベルトは、その走行方向へ向けて上向き傾斜状にかつ直線状に走行する配置構成とされていることを特徴とする請求項3に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記網状ベルトの上向き傾斜角度は3度〜12度に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記網状ベルトの網目は25メッシュ〜80メッシュに設定されていることを特徴とする請求項4に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記網状ベルトの走行速度は0.1m/分〜1m/分に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記抄紙工程部は、前記処理コンベアの抄紙工程開始端位置に設けられて、前記パルプ製造装置からの前記パルプ懸濁液を前記抄紙コンベアに供給するパルプ供給部を備え、
    このパルプ供給部により、前記パルプ懸濁液が前記処理コンベアの網状ベルト上面に均一に広がり供給される構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記乾燥工程部において、前記抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を平滑乾燥させながら搬送する乾燥コンベアが設けられ、
    この乾燥コンベアは、前記抄紙工程部により抄紙形成された湿紙を平滑化する平滑面を有する平滑面ベルトが走行する平滑ベルトコンベアの形態とされ、
    この平滑面ベルトは、前記ネットベルトコンベアの網状ベルトの走行経路の下側に沿って走行して、この網状ベルトと協働して前記湿紙を上下から挟持状に搬送する構成とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記乾燥工程部において、前記平滑面ベルトと網状ベルトを均一な圧力で押さえる押圧手段が設けられ、
    この押圧手段は、前記両ベルトの走行方向へ所定ピッチをもって配列された複数の加圧ローラを備えてなることを特徴とする請求項10に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記乾燥工程部において、前記湿紙の下側面が前記平滑面ベルトにより搬送支持されるとともに、湿紙の上側面が前記網状ベルトにより搬送支持され、
    前記複数の加圧ローラが前記網状ベルトを上側から加圧する構成とされていることを特徴とする請求項11に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記乾燥工程部において、前記湿紙の下側面を搬送支持する前記平滑面ベルトが、加熱ヒータにより加熱される構成とされていることを特徴とする請求項10に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記加熱ヒータは、前記平滑面ベルトにおける前記湿紙の搬送支持面と反対側面に摺接するヒータプレートの形態とされ、前記平滑面ベルト上の湿紙が前記ヒータプレートにより加熱された平滑面ベルトにより間接的に加熱乾燥される構成とされていることを特徴とする請求項13に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記乾燥工程部において、前記湿紙の上側面を搬送支持する前記網状ベルトの通気を制御するカバーが設けられていることを特徴とする請求項12に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記抄紙工程部と乾燥工程部の連係部に、前記湿紙を圧搾脱水する脱水ロール部が設けられ、
    この脱水ロール部は、前記抄紙工程部の網状ベルトおよび前記乾燥工程部の平滑面ベルトを上下両側から挟圧状に転動圧搾して、前記網状ベルト上の湿紙を圧搾脱水する構成とされていることを特徴とする請求項10に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 前記抄紙工程部、脱水ロール部および乾燥工程部が共用の駆動源により駆動される構造とされていることを特徴とする請求項16に記載の古紙再生装置の抄紙装置。
  • 什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙工程部と、これらパルプ製造部および抄紙工程部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、
    前記抄紙工程部は、請求項1から17のいずれか一つに記載の抄紙装置から構成されていることを特徴とする古紙再生装置。
  • 说明书全文

    本発明は古紙再生装置の抄紙装置に関し、さらに詳細には、古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙を廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する什器サイズの小型古紙再生装置において、スラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙装置に関する。

    官公庁や一般企業等の各種事業所の日常業務はもちろんのこと、一般家庭の日常生活においても、使用済みや不要となった各種書類いわゆる古紙が発生している。 これらの古紙は、ゴミとして廃棄されたり、焼却されたりして、廃棄処分されることになる。

    一方、限りある地球資源の有効利用という機運の世界的な高まりのなかで、近時、廃棄処分されてきた古紙を、廃棄処分することなく再生利用するための技術が種々開発されている。

    これらの古紙再生技術は、ほとんどが製紙業界において採用実施されており、その古紙再生設備には、通常の製紙設備同様、再生紙の高速大量生産と高品質化を目的として、広大な敷地、莫大な投資、および紙に使われる大量のや薬品などが必要とされる。

    また、古紙再生にあっては多くの人手による古紙回収作業が必要であり、しかも、この古紙回収には、多人数による異物混入、古紙再生紙への知識不足による分別不良、忌避品の除去不足などの問題があり、せっかく古紙を回収しても、これらの古紙を100%再生紙として再生するには、専門業者による再度の選別や洗浄等の作業を余儀なくされている。 さらに、極秘文書などの古紙は、機密上の問題から古紙回収には簡単に出されることはなく、焼却処分されてしまうため、リサイクル化が進んでいない。

    これらの古紙回収の問題を解決するには、古紙発生元において自前で再生利用することができるような技術の開発が有効であり、この観点から特許文献1に記載されるような装置が開発提案されている。

    この装置は、少量の水を加えながら古紙を少しずつ引きちぎり細かく裁断する方式の湿式シュレッダであり、このシュレッダにより裁断処理された裁断屑は社外の古紙再生工場等へ送られて、再生紙の原料として再利用されている。

    この湿式シュレッダによる裁断屑はパルプ化されて紙片の形態を留めていないので、高い機密性を保持することができ、極秘文書などの古紙のリサイクル化を促進するという効果が期待できる。

    しかしながら、この湿式シュレッダは、かなり大型の装置で、大きな設置スペースを必要とすることから、多量の古紙が発生する大きな事業所等においてのみ使用可能なものであり、大きな設置スペースがなく、発生する古紙も少量であるような小規模店舗や個人事務所、あるいは一般家庭には不向きないしは使用不可能であった。 しかも、裁断処理された裁断屑は再生紙の原料として再利用されるといっても、古紙再生工場等の大規模工場でのみ処理可能なもので、紙再生のためのコストも高くつき、不経済であった。

    このような従来の問題を解決すべく、本出願人は特許文献2に記載されるような古紙処理装置を開発した。

    この古紙処理装置は、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部と、パルプ製造部および抄紙部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、古紙が発生する室内に配置されて、古紙をパルプ製造部により離解処理することで、古紙に記載された機密情報や個人情報の漏洩・流出を有効に防止し、さらに古紙パルプを抄紙部により抄紙して再生紙を製造する構成とされている。

    この古紙処理装置によれば、小規模店舗や一般家庭にも設置可能で、高い機密性を保持することができ、環境に優しくかつランニングコストも低いという効果が得られる。

    特開平6−1341331号公報

    特開2007−213450号公報

    本発明は上記古紙処理装置における抄紙部の構成をさらに改良して、古紙パルプから再生紙への再生処理機能がより向上した構造簡単な抄紙装置を提供することを目的とする。

    また、本発明の他の目的とするところは、上記抄紙装置を備えて、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる古紙再生装置を提供することにある。

    この目的を達成するため、本発明の抄紙装置は、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの古紙再生装置を構成し、前工程のパルプ製造装置で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙装置であって、上記パルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙工程部と、この抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥工程部とを備え、これら抄紙工程部と乾燥工程部は、上下に階層状に配設されるとともに、これら上下階層状の抄紙工程部および乾燥工程部における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びる処理コンベアを備え、この処理コンベアは、上記パルプ懸濁液を濾過脱水する無数の網目よりなる網構造の網状ベルトが走行するネットベルトコンベアの形態とされていることを特徴とする。

    好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
    (1)上記ネットベルトコンベアの網状ベルトは、上記抄紙工程部において、走行方向へ向けて直線状に走行するとともに、上記乾燥工程部において、反対方向へ折り返し直線状に走行する配置構成とされる。

    (2)上記抄紙工程部において、上記網状ベルトにおける抄紙工程長さは、上記什器サイズの装置ケース内における上記網状ベルトの直線状走行方向長さの範囲内に設定される。

    (3)上記網状ベルトの抄紙工程長さは、その網構造の濾過脱水率および網状ベルトの走行速度との関係で、上記パルプ懸濁液が適正な坪量に抄かれるのに十分であるとともに、上記網状ベルトを備える上記抄紙コンベアが什器サイズの装置ケース内に収容し得るように設定される。

    (4)上記網状ベルトは、その走行方向へ向けて上向き傾斜状にかつ直線状に走行する配置構成とされる。

    (5)上記網状ベルトの上向き傾斜度は3度〜12度に設定される。

    (6)上記網状ベルトの網目は25メッシュ〜80メッシュに設定される。

    (7)上記網状ベルトの走行速度は0.1m/分〜1m/分に設定される。

    (8)上記抄紙工程部は、上記処理コンベアの抄紙工程開始端位置に設けられて、上記パルプ製造装置からの上記パルプ懸濁液を上記抄紙コンベアに供給するパルプ供給部を備え、このパルプ供給部により、上記パルプ懸濁液が上記処理コンベアの網状ベルト上面に均一に広がり供給される構成とされる。

    (9)上記乾燥工程部において、上記抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を平滑乾燥させながら搬送する乾燥コンベアが設けられ、この乾燥コンベアは、上記抄紙工程部により抄紙形成された湿紙を平滑化する平滑面を有する平滑面ベルトが走行する平滑ベルトコンベアの形態とされ、この平滑面ベルトは、上記ネットベルトコンベアの網状ベルトの走行経路の下側に沿って走行して、この網状ベルトと協働して上記湿紙を上下から挟持状に搬送する構成とされる。

    (10)上記乾燥工程部において、上記平滑面ベルトと網状ベルトを均一な圧で押さえる押圧手段が設けられ、この押圧手段は、上記両ベルトの走行方向へ所定ピッチをもって配列された複数の加圧ローラを備えてなる。

    (11)上記乾燥工程部において、上記湿紙の下側面が上記平滑面ベルトにより搬送支持されるとともに、湿紙の上側面が上記網状ベルトとにより搬送支持され、上記複数の加圧ローラが上記網状ベルトを上側から加圧する構成とされる。

    (12)上記乾燥工程部において、上記湿紙の下側面を搬送支持する上記平滑面ベルトが、加熱ヒータにより加熱される構成とされる。

    (13)上記加熱ヒータは、上記平滑面ベルトにおける上記湿紙の搬送支持面と反対側面に摺接するヒータプレートの形態とされ、上記平滑面ベルト上の湿紙が上記ヒータプレートにより加熱された平滑面ベルトにより間接的に加熱乾燥される構成とされる。

    (14)上記乾燥工程部において、上記湿紙の上側面を搬送支持する上記網状ベルトの通気を制御するカバーが設けられる。

    (15)上記抄紙工程部と乾燥工程部の連係部に、上記湿紙を圧搾脱水する脱水ロール部が設けられ、この脱水ロール部は、上記抄紙工程部の網状ベルトおよび上記乾燥工程部の平滑面ベルトを上下両側から挟圧状に転動圧搾して、上記網状ベルト上の湿紙を圧搾脱水する構成とされる。

    (16)上記抄紙工程部、脱水ロール部および乾燥工程部が共用の駆動源により駆動される構造とされる。

    また、本発明の古紙再生装置は、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙工程部と、これらパルプ製造部および抄紙工程部を連動して駆動制御する制御部を備えてなり、上記抄紙工程部は、上述した本発明の抄紙装置から構成されていることを特徴とする。

    本発明の抄紙装置によれば、前工程のパルプ製造部から送られてくる水と古紙パルプが共存するスラリー状のパルプ懸濁液を抄いて湿紙とする抄紙工程部と、この抄紙工程部で抄紙形成された湿紙を乾燥させて再生紙とする乾燥工程部とを備え、これら抄紙工程部と乾燥工程部は、上下に階層状に配設されるとともに、これら上下階層状の抄紙工程部および乾燥工程部における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びる処理コンベアを備え、この処理コンベアは、上記パルプ懸濁液を濾過脱水する無数の網目よりなる網構造の網状ベルトが走行するネットベルトコンベアの形態とされているから、抄紙工程部で抄紙形成された湿紙は、そのままの状態で乾燥工程部へ移送されて、乾燥処理される。

    すなわち、前工程のパルプ製造部から送られてくるスラリー状のパルプ懸濁液は、抄紙工程から乾燥工程に至るまで一貫してネットベルトコンベア上で処理されることにより、抄紙された湿紙が抄紙工程から乾燥工程へ工程変更するに際して、コンベアを乗り換える必要がなく、この乗り換えつまり移送(移転)時における各種トラブル、例えば、湿紙の移転不良、あるいは紙の皺発生や破損・破断などが有効に回避されて、良質な再生紙が再生され得る。

    また、本発明の抄紙装置によれば、以下に列挙するような特有の効果も得られ、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる古紙再生装置を提供することができる。

    (1)什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部(上記抄紙装置)を備えてなる小型簡素な構造の古紙再生装置が実現し、これにより、古紙を廃棄処分することなく、古紙発生元において自前で再生利用することができ、古紙の廃棄を軽減して、ゴミ問題解決に役立つばかりか、限りある資源を有効利用することができる。

    特に、この種の古紙は機密上の問題からリサイクル化が進んでおらず、上記のように古紙発生元において自前で再生利用することができることにより、資源有効利用の効果は顕著である。

    (2)また、古紙発生場所に、製紙工場や古紙再生工場の大規模な設備と同様な機能を有するコンパクトな古紙再生設備が設置されることにより、小規模店舗や一般家庭などにおいても、連続して紙の循環使用を可能にすることができ、さらには、古紙の回収廃棄に要する輸送費や焼却費等の各種経費も不要となって、経済的である。

    (3)装置構造がコンパクトで、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であり、この観点からも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。

    (4)古紙が発生する場所に配置されて、発生した古紙が離解処理されて古紙パルプとされるとともに、この古紙パルプが、上記抄紙部により抄紙されて再生紙とされ、これにより、上記古紙が、その発生場所内において再生紙として循環使用される構成とされていることにより、古紙に記載された文字や線図等の各種情報が古紙の発生場所外へ拡散することが全くなく、この点からも、機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができ、高い機密性を保持することができ、また資源の有効利用を図ることもできる。

    すなわち、本発明の抄紙装置を抄紙部として備える古紙再生装置を使用することにより、その使用に係る一定の系(例えば、学校、病院、市役所、法律事務所、特許事務所、一般家庭等)の外へ上記各種情報が拡散するおそれが全くなくなる。

    換言すれば、例えば従来周知のシュレッダの場合、古紙が裁断されて小片となり、そこに記載された文字や線図が判読不能となったとしても、裁断された紙片は焼却場等で廃棄処分されることになるため、上記系外への拡散を完全に防止することはできない。 この点に関して、上記系外への拡散を防止する目的で、系内の倉庫に保管するという方法も考えられるが、反面、そのような保管場所の確保が必要となり、対象となる紙も一回の使用のみでは、資源の有効利用という観点から効率が悪い。

    これに対して、本発明の古紙再生装置によれば、古紙に記載される各種情報がその使用に係る系外へと拡散しまうことは全くなく、しかも、資源を有効に活用することができる。

    以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。 なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。

    本発明に係る古紙再生装置が図1〜図9に示されており、この古紙再生装置1は、具体的には古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙UPを廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する装置であって、古紙UPとしては、官公庁・一般企業の機密文書や一般家庭の私的文書等で、使用済みや不要となった書類が該当する。

    古紙再生装置1は、図9に示すような什器サイズ、つまり、事務所内に配置使用される書棚、ロッカー、事務机、複写機、パーソナルコンピュータなどの什器類と同等な小型形状寸法を備えるもので、図6および図7に示すように、パルプ製造部(パルプ製造装置)2、本発明の主要構成部である抄紙部(抄紙装置)3および制御部4を備えてなり、これら装置構成部2〜4が装置ケース5内に装置収容されてなるコンパクト設計とされるとともに、上記パルプ製造部2および抄紙部3の駆動源は、一般家庭用交流電源により駆動する電動駆動源とされている。

    装置ケース5は、上述したように什器サイズのもので、具体的な形状寸法は目的や用途に応じて適宜設計される。 図示の実施形態の装置ケース5は、事務所等に配置使用される複写機程度の形状寸法を有するほぼ直方体形状の箱体とされ、その底部には移動手段としてキャスタ6、6、…が設けられて、設置床面上を方向自在に移動可能とされている。 また、装置ケース5の天板部には、古紙UPを投入するための投入口5aが設けられるとともに、側部には、再生紙RP、RP、…を受け取るための再生紙受取トレー7が取外し可能に設けられている。 この再生紙受取トレー7には、装置ケース5の排出口5bが臨んで設けられており、この排出口5bから排出される再生紙RP、RP、…が順次積層状に受け取られる。

    抄紙部(抄紙装置)3は、古紙再生装置1における最重要構成部位であり、従来の古紙再生工場等の大規模工場でのみ処理可能であった再生紙製造のための抄紙を、事務所等の小さな設置空間に配置使用される複写機程度の形状寸法(什器サイズ)の装置ケース5内で実現するため、その構成装置10〜12は、以下に詳述するような種々の特徴構成を備えている。

    この抄紙部3は、前工程の上記パルプ製造部(パルプ製造装置)2で製造された古紙パルプUPPを抄紙して再生紙RPを製造する工程部位で、抄紙工程部10、脱水ロール部11および乾燥工程部12を備えてなる。

    上記抄紙工程部10と乾燥工程部12は、図1、図2および図6に示すように、上下に階層状に配設されるとともに、これら上下階層状の抄紙工程部10および乾燥工程部12における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びる処理コンベア15を備える。 以下、抄紙工程部10と乾燥工程部12の各構成について順次説明する。

    抄紙工程部10は、上記パルプ製造部2から送られてくる水Wと古紙パルプUPPが共存するスラリー状のパルプ懸濁液PSを抄いて湿紙とする部位で、抄紙コンベアを構成する上記処理コンベア15とパルプ供給部16を主要部として構成されている。

    処理コンベア15は、無端ベルトの形態とされた網状ベルト20と、この網状ベルト20を走行駆動する駆動モータ21とを備えてなる。

    上記処理コンベア15は、抄紙工程部10においてはパルプ懸濁液を濾過脱水しながら搬送するもので、パルプ懸濁液PSを濾過脱水する無数の網目よりなる網構造の上記網状ベルト20が走行するネットベルトコンベアの形態とされている。 この網状ベルト20は、抄紙工程部10において、その走行方向へ向けて直線状に走行する配置構成とされている。

    網状ベルト20は、具体的には、所定幅を有する網構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。

    この網状ベルト20を構成する網構造の板材は、パルプ懸濁液PSが上記網構造の無数の網目により適正に濾過脱水できる材質とされ、好適には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)(一般に「ナイロン」(登録商標)と呼ばれる)あるいはステンレス鋼(SUS)などの耐腐食性に優れる材料で形成されており、図示の実施形態においては、耐熱性に優れるPET製網状ベルト20とされている。

    また、網状ベルト20を構成する網構造は、網目の細かいものや織り目の細かく平滑なものが好ましく、具体的には対象となる紙の特性に対応して選択されるが、特に以下の点が考慮される。

    (1) 網状ベルト20の網目の大きさ:
    網状ベルト20の網目の大きさは、好適には25メッシュ〜80メッシュに設定され、図示の実施形態においては、50メッシュの網状ベルト20が採用されている。

    (2) 網状ベルト20の網目の線径:
    網状ベルト20の網目は、メッシュ数(大きさ)だけでなく網の線径も大きく影響する。 同じメッシュ数でも、線径が太いと網目の大きさが小さくなり、細いと大きくなり、これは網目の空間率、あるいは空気を通す度合いの通気度(cm 3 /cm 2 /sec)で表される。

    例えば、網目が細かくて通気度が悪くなると、濾水率も悪くなり、その結果、後述するパルプ供給部16の枠体40が網状ベルト20の走行方向へ長くなって、装置の大型化を招く。 また、逆に、網目が粗くて通気度が良すぎると、上記枠体40は短くて装置も小型になるが、再生される再生紙RPは目の粗い紙質になり、表裏面の平滑度の差も大きくなって、平滑度の悪い紙となる。

    (3) 織り構造:
    網状ベルト20の網目の編み方としては、一重織り、二重織り、縦糸径と横糸径を変える等の方法があるが、多重織りでは後述する網状ベルト20を回転支持するロール径を大きくさせて、装置の大型化を招くことから、図示の実施形態においては、一重織りの網状ベルト20が使用されている。

    以上の諸条件を考慮して、網状ベルト20としては、抄紙時に古紙パルプUPPが網状ベルト20の網目から抜け落ちるのを防ぐため、網の線径が細くて、メッシュ数が多く、かつ通気度を落とさない網目構造のものが好ましく、図示の実施形態の網状ベルト20としては、平織りで、50メッシュのPET製網状ベルト20が使用されている。 この網状ベルト20によれば、筆記に問題ない良好な紙質が得られることが実験的に判明している。

    さらに、網状ベルト20の幅寸法は、パルプ懸濁液PSを抄いて製造すべき再生紙RPの幅寸法よりも若干大きな所定幅寸法に設定される。

    網状ベルト20は、図1および図2に示すように、上記抄紙工程部10において、走行方向へ向けて直線状に走行するとともに、後述する乾燥工程部12において、反対方向へ折り返し直線状に走行する配置構成とされている。 乾燥工程部12における網状ベルト20の作用については後述する。

    また、この網状ベルト20の具体的な駆動支持構造は、駆動ローラ25、従動ローラ26a、26b、支持ローラ27a〜27c、プレスロール28(28a、28b)、脱水ロール29(29a、29b)および予備脱水ロール30を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ25を介して、上記駆動モータ21に駆動連結されてなる。

    そして、上記抄紙工程部10において、網状ベルト20における抄紙工程長さLは、上記什器サイズの装置ケース5内における網状ベルト20の直線状走行方向長さ(図示の場合は図1、図2および図6における左右方向長さ)の範囲内に設定されている。

    具体的には、上記網状ベルト20の抄紙工程長さLは、その網構造の濾過脱水率および網状ベルト20の走行速度との関係で、パルプ懸濁液PSが適正な坪量に抄かれるのに十分であるとともに、網状ベルト20を備える上記処理コンベア15が什器サイズの装置ケース5内に収容し得るように設定されている。

    また、上記網状ベルト20の走行速度は、上述した諸条件を考慮して設定されるもので、好適には0.1m/分〜1m/分に設定され、図示の実施形態においては0.2m/分に設定されている。 ちなみに、従来の古紙再生工場等の大規模工場でのこの種抄紙ベルトの走行速度は、少なくとも100m/分以上に設定され、早いものでは1000m/分をはるかに上回る速度に設定される。

    この網状ベルト20の走行速度は、特に抄紙工程における湿紙の坪量に影響し、網状ベルト20の走行速度が減小すると坪量は増加し、走行速度が増すと坪量が低下する。 この場合、古紙パルプUPPの叩解度は網状ベルト20の濾水に影響し、叩解度およびパルプ濃度が一定条件で有れば、一定の坪量を得ることができる。

    これらの網状ベルト20の設計条件等に関連して、網状ベルト20は、図1および図2に示すように、その走行方向へ向けて上向き傾斜状にかつ直線状に走行する配置構成とされて、限られた設置空間における抄紙工程長さLの可及的延長が図られるとともに、網状ベルト20の網構造との関係での濾過脱水率の向上が図られている。 この網状ベルト20の上向き傾斜角度αは、目的に応じて設定され、好適には3度〜12度に設定され、図示の実施形態においては6度に設定されている。

    上記網状ベルト20を走行駆動する駆動モータ21は、具体的には電動モータで、制御部4に電気的に接続されている。 また、この駆動モータ21は、後述する脱水ロール部11および乾燥工程部12の走行駆動源としても共用され、この共用のための構造つまり駆動連結機構については、従来周知の一般的な駆動連結機構が採用可能であることから詳細な説明な省略するが、例えば特許文献2(特開2007−213450号公報)に開示される駆動連結機構が好適に採用され得る。

    パルプ供給部16は、上記処理コンベア(抄紙コンベア)15の網状ベルト20上にパルプ製造部2からのパルプ懸濁液PSを供給する部位で、上記処理コンベア15の抄紙工程開始端位置に設けられており、パルプ懸濁液PSが上記網状ベルト20上面に均一に広がり供給される構成とされている。

    図示のパルプ供給部16の具体的構造が図4および図5に示されている。 すなわち、このパルプ供給部16において、上記網状ベルト20が上述のごとく走行方向へ向けて上向き傾斜状に配置されるとともに、この網状ベルト20の上下両側位置に、枠体40および仕切り部材41がそれぞれ配置されてなる。

    枠体40は、網状ベルト20の上面に摺接可能に配設されるとともに、上記パルプ製造部2から送られてくるパルプ懸濁液PSの供給幅を規定するもので、図4および図5に示すように、本体枠45、この本体枠45の内側に設けられた流通路46、この流通路46の出口側部位に設けられた平板部材47、および本体枠45の後端部に設けられたオーバーフロー堰48とを備える。

    本体枠45は、先端部つまり網状ベルト20の走行方向側端部が開放された平面コ字形状とされ、その下端面45aが傾斜走行する上記網状ベルト20の上面に摺接するように配されるとともに、本体枠45の枠内幅寸法W(図4参照)が製造すべき再生紙RPの幅寸法に対応して設定されている。

    流通路46は、供給された上記パルプ懸濁液PSの均等な分散を促すもので、曲がりくねった流通路の形態とされ、上記枠体40内における上記オーバーフロー堰48の下流側に設けられている。

    上記流通路46は、具体的には、本体枠45内に設けられた複数の堰部材49、49、…から主として構成され、図示の実施形態においては、本体枠45の底面を形成する底板50と、本体枠45内に起立状に設けられた3枚の堰部材49a、49b、49cと、上記オーバーフロー堰48とから、上記流通路46が形成されている。

    具体的には、図5(a)に示すように、上記3枚の堰部材49a、49b、49cおよび上記オーバーフロー堰48が上記本体枠45内に所定の等間隔をもって起立状にかつ平行に設けられて、上記流通路46が上下方向へ曲がりくねって形成されており、この流通路46の進行方向は、その入口46aつまり上記底板50に開設された開口から上方向へ向けて延びる一方、その出口46bへ向けて上方向へ延びる構成とされている(図5(a)における矢符参照)。 上記入口46aは、パルプ懸濁液PSを供給するパルプ供給槽55に連通可能とされている。

    これら本体枠45内に起立状に設けられた堰部材49a、49b、49cのうち、上記流通路46の上向きから下向きに変わる部位を仕切り形成する堰部材、つまり本実施形態においては堰部材49aの上端縁は、後述するように、平板部材47上に流れて滞留するパルプ懸濁液PSの水位、つまり、オーバーフロー堰48により規定される水位Hよりも下位に位置するように設定されている。

    また、上記流通路46の入口46aの近傍位置には、仕切り板51が流通路46を仕切るように設けられるとともに、この仕切り板51に、図5(b)に示すように、複数の連通孔51a、51a、…が所定間隔をもって開設されている。

    平板部材47は、流通路46の出口46b側部位に設けられて、上記網状ベルト20の網目を上側から閉塞状態に被覆している。 この平板部材47は、網状ベルト20の走行方向へ向けて下向き傾斜状の下り勾配に設定配置されている。

    具体的には、上記平板部材47は、堰部材49cと共に、図示のような三角形状断面輪郭を有する中空の板枠の形態とされて、下側板部材47aが網状ベルト20の網目を上側から閉塞状態に被覆するとともに、上側板部材47bが網状ベルト20の走行方向へ向けて下向き傾斜状の下り勾配に設定配置されている。

    しかして、曲がりくねった流通路46を図5に矢符にて示されるようにゆっくりと通過したパルプ懸濁液PSは、流通路46の出口46bから平板部材47の上側板部材47b上に流下して、上記オーバーフロー堰48により規定される一定水位Hまで滞留し、これにより、走行方向へ向けて上向き傾斜状に配置されて走行する上記網状ベルト20上面に均一に拡散して供給される。

    この場合、平板部材47が下向き傾斜状の下り勾配とされていることによって、平板部材47上に滞留するパルプ懸濁液PSの乱流の発生が有効に防止されて、再生紙RPの地合をより向上させることが可能となる。

    すなわち、平板部材47が上り勾配とされている場合、流通路46の出口46bから平板部材47上に流れるパルプ懸濁液PSは、この平板部材47上を上っていくことになり、パルプ懸濁液PSに乱流が起きることがあり、もし平板部材47上に滞留するパルプ懸濁液PSに乱流が起こると、網状ベルト20により抄紙される再生紙RPの地合にも影響を与えることが考えられる。

    本実施形態では、この点を考慮して、下り勾配の平板部材47が採用されており、これにより、流通路46の出口46bから平板部材47上に流れるパルプ懸濁液PSが、平板部材47上面を円滑に流下して、乱流の発生が有効に防止され、再生紙RPの地合がより向上されることが可能となる。

    これに関連して、仕切り部材41は、複数本の骨組み部材41a、41a、…からなる水切り可能なスノコ構造を備え、上記網状ベルト20の下面全幅を摺接支持する形状寸法を有する。

    また、上記平板部材47の先端縁には、上記網状ベルト20上へのパルプ懸濁液の円滑な流れを確保するための薄い案内シート52が設けられている。 この案内シート52の先端縁52aは、上記仕切り部材41のスノコ構造を形成する桟つまり上記骨組み部材41a、41a、…の一つ(本実施形態においては最後部の桟41a)に対応した位置に設定され、具体的には、この桟41aにより支持される網状ベルト20の上面部位に摺接配置されている。

    オーバーフロー堰48は、上述したように、上記枠体40内に滞留される上記パルプ懸濁液PSの水位Hを一定にするためのもので、その上端縁48aが水平直線状に形成されるとともに、その高さ位置は、網状ベルト20上に抄かれる湿紙RP 0さらには再生紙RPの坪量を所望の値に安定して維持すべく、網状ベルト20の前述した諸条件に対応して設定される。

    すなわち、上記網状ベルト20上に抄かれる湿紙RP 0の坪量を安定して確保するためには、上記枠体40におけるパルプ懸濁液PSの滞留作用が重要な要素であり、この滞留作用は、枠体40内におけるパルプ懸濁液PSの水量(滞留水量)に大きく影響される。 このため、このパルプ懸濁液PSの水量を一定させることがきわめて重要である。

    本パルプ供給部16においては、上記オーバーフロー堰48が設けられることで、上記枠体40内のパルプ懸濁液PSの水量が所定値に安定して維持される構成とされている。

    また、オーバーフロー堰48が上記流通路46の出口側部位でなく、流通路46の入口側部位つまり上流側に設けられていることにより、パルプ懸濁液PSの水位Hの脈打ち現象が有効に防止され得る。

    オーバーフロー堰48が上記流通路46の出口側部位に設けられると、パルプ懸濁液PSが網状ベルト20の網構造で濾水されて、上記水位Hが低下すると、流通路46の出口46bから出たパルプ懸濁液PSが、上記オーバーフロー堰48を乗り越える間のタイムラグを生じ、これにより水位Hが脈打ちを起こして、再生紙RPの地合に横縞模様を生じさせてしまう。

    これに対して、図示の実施形態のように、オーバーフロー堰48が流通路46の上流側部位に設けられていることで、このような不具合が有効に回避される。

    上記オーバーフロー堰48の後側には、このオーバーフロー堰48と本体枠45の後部壁部分とにより形成されたパルプ懸濁液回収部53が設けられている。 オーバーフロー堰48からオーバーフローしたパルプ懸濁液PSは、このパルプ懸濁液回収部53に流下回収されるとともに、底板50に開設された排出口53aから前記白水回収槽120へ回収される。

    また、上記パルプ供給部16の上流側には、このパルプ供給部16にパルプ懸濁液PSを供給されるパルプ供給槽55が設けられている。

    このパルプ供給槽55には、パルプ製造部2で製造されたパルプ懸濁液PSが供給されて貯留される。

    このパルプ供給槽55に貯留されるパルプ懸濁液PSは、具体的には図示しないが、その液位がフロートスイッチ等の液位検知手段により検知されて、懸濁液供給ポンプにより、上記パルプ供給部16の枠体40内へ連続的に供給される構成とされている。

    しかして、上記パルプ供給槽55に貯留されるパルプ懸濁液PSが、懸濁液供給ポンプにより、上記入口46aから枠体40内の流通路46に供給されると、この曲がりくねった流通路46を図5に矢符にて示されるようにゆっくりと通過した後に、出口46bから平板部材47上に流れて、上記オーバーフロー堰48により規定される一定水位Hまで滞留し、これにより、走行方向へ向けて上向き傾斜状に配置されて走行する上記網状ベルト20上面に均一に拡散して広がり供給される。

    この場合、仕切り板51が流通路46を仕切るように設けられるとともに、この仕切り板51に、複数の連通孔51a、51a、…が開設されていることにより、パルプ供給槽55から供給されるパルプ懸濁液PSが、この仕切り版51の複数の連通孔51a、51a、…を通過する際に、流通路46全体に分散されて、流通路46の断面開口全体に流量が均一になるように調整される。

    上記網状ベルト20上面に均一に拡散されたパルプ懸濁液PSは、網状ベルト20の矢符方向への走行作用により、上記本体枠45により規定された幅寸法を保持しつつ網状ベルト20と共に搬送されながら、網状ベルト20の網目による自重濾過作用を受けて脱水されて、湿紙RP0となる。 この濾過脱水された白水W(抄紙する際に網により濾過された極低濃度のパルプ水)は、前述したように、後述する給水部114の白水回収槽120に回収される。

    一方、上記オーバーフロー堰48からオーバーフローしてパルプ懸濁液回収部53に回収されたパルプ懸濁液PSも、上記のごとく白水回収槽120へ回収される。

    なお、上記パルプ供給部16において、網状ベルト20の走行姿勢は左右水平になるように、つまり網状ベルト20の走行方向に対して垂直な断面における上面輪郭線が水平状態となるように走行支持されている。 このように構成することにより、上記本体枠45と仕切り部材41の協働によるパルプ懸濁液PSの滞留状態に左右幅方向の偏りを生じるのが有効に防止されて、調整される湿紙RP0の厚みが左右幅方向に均一となり、結果として紙面全体の厚みが均一となる。

    脱水ロール部11は、上述の抄紙工程部10と後述の乾燥工程部12の連係部において、上記網状ベルト20上の湿紙RP0を圧搾脱水する部位であり、具体的には、上記網状ベルト20および乾燥工程部12の平滑面ベルト60を上下両側から挟圧状に転動圧搾して、上記網状ベルト20上の湿紙RP0を圧搾脱水する構成とされている。

    すなわち、上流側の抄紙工程部10と下流側の乾燥工程部12は、図1、図2および図6に示すように上下に階層状に配設されるとともに、これら抄紙工程部10と乾燥工程部12の連係部において、下流側の乾燥工程部12の平滑面ベルト60と上流側の抄紙工程部10の網状ベルト20の上下隣接部分が上記連係部とされて、上記脱水ロール部11が、これら網状ベルト20および平滑面ベルト60を上下両側から挟圧状に転動圧搾する構造とされている。

    なお、上記網状ベルト20から構成される処理コンベア15は、これら上下階層状の抄紙工程部10および乾燥工程部12における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びて設けられており、抄紙工程部10においては、上述のごとく抄紙コンベアとして機能するとともに、乾燥工程部12においては、後述するように、上記平滑面ベルト60と協働して湿紙RP0を上下から挟持状に搬送する。

    上記脱水ロール部11は、上下に配置された一対のプレスロール28と脱水ロール29とが2組(28a、29aと28b、29b)と、駆動モータ70とを主要部として備えるととともに、その補助部として、前記予備脱水ロール30およびスラリー化防止ロール71が設けられている。

    脱水ロール29(29a、29b)は、網状ベルト20に下側から転接するもので、具体的には、高剛性材料からなる円筒ロール80の外周に、微細連続気孔の多孔質材料からなる脱水層81が巻装されてなる。 脱水層81は、親水性、吸水性および保水性に優れる材料からなり、好適には柔軟性に優れる微細連続気孔の多孔質材料からなる。 また、脱水層81の円筒ロール80に対する巻装構造としては、ある程度厚みのある脱水層81を円筒ロール80の外周に一回巻きしたり、あるいは円筒状の脱水層81を円筒ロール80に外嵌する単層構造と、薄い脱水層81を円筒ロール80の外周に複数回巻きする多層構造とがある。

    図示の実施形態の脱水ロール29(29a、29b)は、ステンレス鋼製円筒ロール80の円筒外周面に、ミクロンサイズの超微細な連続気孔を有する超微細連続発泡材料からなる円筒状の脱水層81が外嵌されてなる単層構造とされている。

    プレスロール28(28a、28b)は、後述する乾燥工程部12の平滑面ベルト60を上側から転動加圧するもので、具体的には、高剛性材料からなる円筒ロールの形態とされている。 図示の実施形態のプレスロール28(28a、28b)は、ステンレス鋼製円筒ロールからなる。

    これら脱水ロール29(29a、29b)とプレスロール28(28a、28b)は、具体的には単一の駆動モータ70に駆動連結されて、両ロール29(29a、29b)、25(28a、28b)が連動して同一の回転速度をもって回転駆動される。

    また、上記駆動モータ70は、図示の実施形態においては、後述するように、抄紙工程部10の駆動モータ21が共用とされている。

    そして、この駆動モータ70(21)の駆動により、上記両ロール29(29a、29b)、28(28a、28b)が、上記両ベルト20、60を上下両側から挟圧状に転動圧搾して、網状ベルト20上の湿紙RP0に含まれている水分Mが上記網状ベルト20を介して上記脱水ロール29(29a、29b)に吸水されて脱水される。 この圧搾脱水された白水Wは、給水部114の白水回収槽120に回収される。

    この圧搾脱水の具体的メカニズムを、脱水ロール部11の主たる一対のプレスロール28aと脱水ロール29aの組を例にとって図3(a)により説明すると、上記両ロール29a、28aの回転により、上面に湿紙RP0を載置した網状ベルト20と平滑面ベルト60が、その間に上記湿紙RP0を介在させた状態で、上記両ロール29a、28a間へ案内されて、上下両側から挟圧状に転動圧搾される。 すると、湿紙RP0に含まれている水分Mは、上記両ロール29a、28aの上流側(図面において右側)へ搾り出されるが、上側の平滑面ベルト60が後述するように平滑面を有する孔のない構造であることから、この搾り出された水分Mはすべて下側の網状ベルト20の微細な連続気孔を通過して上記脱水ロール29aの脱水層81に吸水される。

    本実施形態の脱水ロール29(29a、29b)には、排水ロール31が転接状に設けられている。

    この排水ロール31は、脱水ロール29の脱水層81に含まれる水分を圧搾排水するもので、高剛性材料からなる小径の円筒ロールの形態とされ、脱水ロール29の外周面に加圧状態で転接されてなる。

    そして、上記脱水ロール29の回転動作に伴い、上記排水ロール31が脱水ロール29の脱水層81を転動圧搾して、この脱水層81に吸収されている水分が圧搾排水される。

    このような構成とすることにより、叩解の進んだ古紙パルプUPPは濾過脱水性に劣り、網状ベルト20から容易に脱水出来ない場合があるところ、脱水ロール29に対して、排水ロール31が補助的に配されることで、脱水層29の排水量が可及的に増加されて、脱水ロール部11における圧搾脱水作用が有効に発揮され得る。

    同様の目的から、後述する予備脱水ロール30に対しても、排水ロール31が補助的に設けられている。

    予備脱水ロール30およびスラリー化防止ロール71は、これら脱水ロール部11におけるプレスロール28aと脱水ロール29aによる圧搾脱水作用を補助するために設けられている。

    予備脱水ロール30は、図1および図2に示すように、脱水ロール部11の上流側において、上記網状ベルト20に下側から転接してテンションを与えるように配設されている。

    この予備脱水ロール30の具体的構造は、上記脱水ロール29(29a、29b)と同様であり、高剛性材料からなる円筒ロール82の外周に、微細連続気孔の多孔質材料からなる脱水層83が巻装されてなる。 図示の実施形態の予備脱水ロール30は、ステンレス鋼製円筒ロール82の円筒外周面に、ミクロンサイズの超微細な連続気孔を有する超微細連続発泡材料からなる円筒状の脱水層83が外嵌されてなる単層構造とされている。

    そして、網状ベルト20上面に均一に拡散されて、この網状ベルト20と共に搬送される湿紙RP0は、網状ベルト20により濾過脱水されながら、上記予備脱水ロール30によっても複合的に吸水脱水されて、プレスロール28(28a、28b)と脱水ロール29(29a、29b)による圧搾脱水作用を予備的に補助する。

    スラリー化防止ロール71は、図1、図2および図3(b)に示すように、脱水ロール部11の上流側近傍位置において、上記平滑面ベルト60を上側から転動加圧して、平滑面ベルト60を下側の網状ベルト20上の湿紙RP0に押さえ付けるように配設されている。

    そして、図3(b)を参照して、脱水ロール29(29a、29b)とプレスロール28(28a、28b)により、上面に湿紙RP0を載置した網状ベルト20と平滑面ベルト60が上下両側から挟圧状に転動圧搾されると、湿紙RP0に含まれている水分Mは、両ロール29(29a、29b)、28(28a、28b)の上流側(図面において右側)へ搾り出されるが、同時に、脱水ロール29(29a、29b)自身が先の圧搾脱水の結果保水している水分Mもまた搾り出される。

    この場合、スラリー化防止ロール71が設けられていないとすると、図3(a)に示すように、両ロール29(29a、29b)、28(28a、28b)の上流側近傍位置、特に主たる一対のプレスロール28aと脱水ロール29aの組の上流側近傍位置においては、上側の平滑面ベルト60と下側の網状ベルト20との交差角度(これら両ベルト20、60が両ロール29(29a、29b)、28(28a、28b)による挟圧点を交点として挟む角度)が比較的大きく、これにより、上側の平滑面ベルト60が下側の網状ベルト20上の湿紙RP0に対して離隔した状態にある。 このため、両ロール29(29a、29b)、28(28a、28b)の上流側へ搾り出された上記湿紙RP0に含まれている水分と脱水ロール29(29a、29b)自身が保水していた水分の複合された水分Mの一部M´が、上記網状ベルト20を介して上記脱水ロール29(29a、29b)に吸水されずに、湿紙RP0に吸収されて、湿紙RP0が再びスラリー化してしまうおそれがある。

    なお、上側の平滑面ベルト60と下側の網状ベルト20との交差角度がそれほど大きくない場合には、上記のような問題は起こらないため、上記スラリー化防止ロール71の設置を省略することも可能である。

    上記脱水ロール部11により圧搾脱水された湿紙RP0は、脱水ロール部11の下流側部位において、下側の網状ベルト20の上面と上側の平滑面ベルト60の下面とにより挟持された状態で、これら両ベルト20、60と共に搬送されて、乾燥工程部12による乾燥工程が実施される。

    なお、脱水ロール部11の下流側部位において、つまり乾燥工程部12の開始端において、図1および図2に示すように、抄紙工程部10からの下側の網状ベルト20が、反対方向へ折り返して平滑面ベルト60と共に直線状に平行かつ近接して走行する配置構成とされていることにより、湿紙RP0は、上記のごとく上下両ベルト20、60により挟持された状態で、抄紙工程部10から乾燥工程部12へ湿紙RP0の移転不良あるいは湿紙RP0のしわや破れの原因を生じることなく、円滑に移送される。

    すなわち、例えば特許文献2(特開2007−213450号公報)に開示されるように、網状ベルト20が、抄紙工程部10専用のもので、乾燥工程部12の平滑面ベルト60と、脱水ロール部11の下流側部位において、反対方向つまり下側方向へ分離して走行する構成されていると、湿紙RP0は、この部位において、下側の網状ベルト20から引き剥がされて、上側の平滑面ベルト60へ吸着して移転することになる。

    この吸着移転作用は平滑面ベルト60の平滑面構造により起こるものと考えられ、つまり、下側の網状ベルト20の表面が、微細な連続気孔が多数開口されてなる微細凹凸面であるのに対して、上側の平滑面ベルト60の表面が孔のない平滑面であり、この結果、僅かに水分を含んでいる湿紙RP0が上記平滑面ベルト60の表面との間の表面張力で吸着されるものと考えられる。

    このように、網状ベルト20上の湿紙RP0に、平滑面ベルト60の吸着力による移転のための引き剥がし力が加わるところ、この引きはがし力が湿紙RP0一面に均等に加わらないと、湿紙RP0の移転不良あるいは紙のしわや破れの原因となる。 また両ベルト20、60の走行速度は、完全な同速では移転時に発生する湿紙の伸びを吸収できないことから、次工程に進むにつれ、両ベルト20、60に速度差を設ける必要がある。

    これに対して、本装置のように、湿紙RP0が近接走行する上下両ベルト20、60により上下から挟持固定された状態で、抄紙工程部10から乾燥工程部12へ移送される構成とされることにより、湿紙RP0の移転不良あるいは湿紙RP0のしわや破れの原因を生じることなく、また両ベルト20、60に速度差を設ける必要もなく、円滑に移送されることとなる。

    乾燥工程部12は、上記抄紙工程部10で抄紙形成された後、脱水ロール部11で圧搾脱水された湿紙RP0を乾燥させて再生紙RPとする部位で、上記抄紙工程部10の上側に階層状に配設されるとともに、乾燥コンベア90と加熱乾燥部91を主要部として構成されている。

    乾燥コンベア90は、脱水ロール部11で圧搾脱水された湿紙RP0を平滑にかつ乾燥させながら搬送するもので、上記平滑面ベルト60とこの平滑面ベルト60を走行駆動する駆動モータ93とを備えてなる。

    上記乾燥コンベア90は、上記抄紙工程部10により抄紙形成された湿紙RP0を平滑化する平滑面を有する平滑面ベルト60が走行する平滑ベルトコンベアの形態とされている。

    前述したように、処理コンベア15が上下階層状の抄紙工程部10および乾燥工程部12における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びて設けられており、乾燥工程部12においては、上記乾燥コンベア90と協働して湿紙RP0を平滑にしながら搬送する。

    この目的のため、平滑面ベルト60は、具体的には、所定幅を有する平滑面構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトの形態とされるとともに、図1、図2および図6に示すように、上記処理コンベア15の網状ベルト20の走行経路の下側に沿って走行して、この網状ベルト20と協働して湿紙RP0を上下から挟持状に搬送する構成とされている。

    上記平滑面ベルト60の所定幅は、網状ベルト20と同様に、製造すべき再生紙RPの幅寸法よりも若干大きな寸法に設定される。 また、平滑面構造の板材は、湿紙RP0の片側表面を適正な平滑面に仕上げることができ、かつ後述する加熱乾燥部91による加熱作用に耐え得る材質とされ、好適には、フッ素樹脂、ステンレス鋼等の可撓性耐熱材料で形成されており、図示の実施形態においては、フッ素樹脂製ベルトが採用されている。 さらに、上記所定長さは、湿紙RP0が完成品である再生紙RPに加熱乾燥されるのに十分な長さで、かつ装置ケース5における乾燥工程部12の収容空間に収容し得る大きさに設定される。

    平滑面ベルト60は、図1および図2に示すように、上記駆動ローラ100、従動ローラ101、プレスロール28(28a、28b)、脱水ロール29(29a、29b)、支持ロール27cおよびスラリー化防止ロール71を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ100を介して、上記駆動モータ93に駆動連結されている。

    すなわち、上記平滑面ベルト60は、乾燥工程の全長にわたり、上記抄紙工程部10からの網状ベルト20と共通の支持構造とされて、上述のごとくこの網状ベルト20と共に直線状に平行かつ近接して走行する配置構成とされている。

    平滑面ベルト60を走行駆動する駆動モータ93は、前述したように、上記処理コンベア15および脱水ロール部11の走行駆動源としても共用され、この共用のための構造つまり駆動連結機構については、従来周知の一般的な駆動連結機構が採用可能であることから詳細な説明な省略するが、例えば特許文献2(特開2007−213450号公報)に開示される駆動連結機構が好適に採用され得る。

    加熱乾燥部91は、上記網状ベルト20と平滑面ベルト60に挟持搬送される湿紙RP0を加熱乾燥する部位で、具体的には、湿紙RP0の下側面を搬送支持する上記平滑面ベルト60が、加熱ヒータ94により加熱される構成とされている。

    図示の実施形態の加熱ヒータ94は、平滑面ベルト60における湿紙RP0の搬送支持面と反対側面に摺接するヒータプレートの形態とされるとともに、平滑面ベルト60の走行経路における水平走行部分に設けられており、平滑面ベルト60における上記湿紙RP0の保持面である上面と反対側面つまり下面に摺接して設けられている。 これにより、上記平滑面ベルト60上の湿紙RP0は、上記ヒータプレート94により加熱された平滑面ベルト60により間接的に加熱乾燥されることとなる。

    また、乾燥工程部12において、上記網状ベルト20と平滑面ベルト60との走行途中に、これら両ベルト20、60を均一な圧力で押さえる押圧手段95が設けられている。

    この押圧手段95は、上記両ベルト20、60の走行経路における水平走行部分において、上記ヒータプレート94と対向して設けられており、具体的には、走行方向へ所定の小さなピッチをもって配列された複数(図示の実施形態においては7つ)の加圧ローラ95a、95a、…を備えてなる。 これら加圧ローラ95a、95a、…は、高剛性材料からなる小径の円筒ロールの形態とされている。

    そして、乾燥工程部12において、湿紙RP0は、その下側面が平滑面ベルト60により搬送支持されるとともに、その上側面が網状ベルト20により搬送支持され、さらに細ピッチで配された上記複数の小径ローラからなる加圧ローラ95a、95a、…が、上記網状ベルト20を上側から均一な圧力をもって加圧する配置構成とされている。

    これにより、上記両ベルト20、60により挟持状に搬送される湿紙RP0は、上記加圧ローラ95a、95a、…により順次転動加圧されて、平滑面ベルト60の表面に接触する湿紙RP0の片側表面と反対側表面である、湿紙RP0の網状ベルト20側の表面がこの網状ベルト20を介して適正な平滑面に仕上げられる。 また、この網状ベルト20の適度な通気度を得て湿紙RP0は乾紙になる。

    なお、加圧ローラ95a、95a、…の配設数は目的に応じて適宜増減される。

    また、乾燥工程部12の上記ヒータプレート94の対応部位、つまり加圧ローラ95a、95a、…の配置部位には、湿紙RP0の上側面を搬送支持する網状ベルト20の通気を制御するカバー96が設けられている。 これにより、網状ベルト20の所望の通気度が得られて、湿紙RP0一面が均一に乾燥され、しわが発生し難いという作用効果が発揮され得る。

    さらに、抄紙部3の乾燥工程部12の加熱乾燥部91には、加熱乾燥により発生する水蒸気を回収する水蒸気回収部250が設けられている。

    水蒸気回収部250は、図6および図7に示されるように、装置ケース5のカバー部つまり化粧用ケースカバー251の一部に形成された水蒸気回収室252と、この水蒸気回収室252を排気する排気ファン253とを主要部として構成されている。

    具体的には、排気ダクト254が、上記水蒸気回収室252から、化粧用ケースカバー251の内側面に沿って給水部114の白水回収槽120に連通して設けられている。

    しかして、上記加熱乾燥部91において、その加熱乾燥作用により発生する水蒸気は、排気ファン253の排気作用により、水蒸気回収室252に回収された後、排気ダクト254を介して上記白水回収槽120に還流循環されることとなる。

    上記両ベルト20、60における上記加熱乾燥部91の下流側には、図1に示すように、剥離部材97が設けられている。 この剥離部材97は、具体的には耐熱性を有する弾性ヘラの形態とされており、図示の実施形態の剥離部材97は、弾性変形可能な0.1〜0.13mm厚程度のステンレス鋼板の外周面にテフロン(登録商標)加工が施されてなり、その基端部が固定側に支持されるとともに(図示省略)、その先端エッジ97aが上記平滑面ベルト60の表面に弾発的に当接係止されている。

    そして、平滑面ベルト60上で乾燥処理されて搬送される乾紙つまり再生紙RPは、上記剥離部材97の先端エッジ97aにより、平滑面ベルト60の保持面から順次剥離されることとなる。

    これに関連して、この剥離部材97の下流側つまり両ベルト20、60の走行経路終端位置、つまり乾燥工程部12の終端位置には、上記平滑面ベルト60から剥離された再生紙RPを所定形状寸法に切断する定寸カッタ101が設けられている。

    この定寸カッタ101は、平滑面ベルト60から剥離された再生紙RPを、所定の長さ寸法および幅寸法に切断して、所定の矩形状寸法に切断する構造とされている。 具体的には、定寸カッタ101は、再生紙RPの幅方向部分を切断して幅寸法を整えるロールスリッタ101aと、再生紙RPの長さ方向部分を切断して長さ寸法を整えるいわゆるギロチンカッタ101bとからなる複合構造とされ、これらは駆動モータ101cにより切断駆動される。

    そして、平滑面ベルト60から剥離された再生紙RPは、定寸カッタ101により所定の矩形状寸法(図示の実施形態においては、A4版の矩形状寸法)に切断されて、再使用可能な形状寸法の再生紙RPとされ、装置ケース5の排出口5bから排出される。

    続いて、上記抄紙部3の前工程部位を構成するパルプ製造部(パルプ製造装置)2について説明する。

    このパルプ製造部2は、図6および図7に示すように、古紙UPを離解し叩解して古紙パルプを製造する工程部位で、古紙UPを攪拌破砕して離解する離解部110と、この離解部110で離解された古紙UPを叩解する叩解部111と、離解、叩解された古紙パルプUPの濃度を調整するパルプ濃度調整部112とからなり、図示の実施形態においては、これら離解部110および叩解部111が古紙パルプUPを所定時間循環させる循環式とされている。

    離解部110は、古紙UPを攪拌する攪拌装置113と、この攪拌装置113に水を供給する給水部114とを備えてなる。

    攪拌装置113は、攪拌槽115、攪拌インペラ116および駆動モータ117を備えてなる。 攪拌槽115は、図7に示すように、その天井壁に、装置ケース5の外部に対して開閉可能な構造を有する投入口5aが設けられるとともに、その内部に、上記攪拌インペラ116が回転可能に設けられている。 攪拌槽115の内容積は、一度に攪拌処理すべき古紙UPの枚数に応じて設定される。 図示の実施形態においては、約1.5リットルの水を加えて、A4判のPPC(plain paper copier)古紙UPを8枚程度(約132g)一度に攪拌処理(バッチ処理)できる容積を有する攪拌槽115とされている。

    また、攪拌インペラ116は、攪拌槽115の傾斜した底面部位に設けられるとともに、駆動モータ117の回転軸117aに駆動連結されて、駆動モータ117により連続的にまたは間欠的に正逆回転駆動される。 駆動モータ117としては具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ117が制御部4に電気的に接続されている。

    このように攪拌インペラ116が正逆回転されることにより、古紙UPがA4判の大きさのままで攪拌される場合でも、攪拌インペラ116の正回転後の逆回転による水の噴流作用により、古紙UPが有効に分散させられる結果、攪拌インペラ116に絡みつくのが有効に防止されて、これにより、古紙UP、UP、…の均一な離解・叩解が実現する。

    給水部114は、白水回収槽120および給水ポンプ(図示省略)を備えてなる。 白水回収槽120は、前述したように、抄紙部3において濾過脱水される白水W(抄紙する際に網により濾過された極低濃度のパルプ水)を回収するもので、この白水回収槽120に回収された白水Wが、上記給水ポンプにより、後述する攪拌装置113の攪拌槽115に攪拌用の水として供給される。

    また、この給水部114は、同じく後述するように、パルプ濃度調整装置(パルプ濃度調整手段)112の濃度調整用給水部(濃度調整用給水手段)としての機能も兼備し、この目的のため、白水回収槽120内の白水Wをパルプ貯留槽136に濃度調整用の水として供給する濃度調整用給水ポンプ(図示省略)を備えている。

    そして、攪拌装置113において、装置ケース5の投入開口つまり投入口5aから攪拌槽115内に投入された古紙UP、UP、…は、駆動モータ117による攪拌インペラ116の正転・逆転動作により、給水部114から供給された水Wの中で所定時間(図示の場合は3分〜5分間)だけ攪拌され、これにより、離解・叩解されて、古紙パルプUPPとなる。

    叩解部111は、少なくとも一台の叩解機を備え、図示の実施形態においては一台の叩解機130を備えてなる。

    叩解機130は、上記離解部110で離解された古紙UPを加圧叩解するとともに、古紙UP上の文字、図形等を形成するインキ類を磨砕微細化するものである。

    叩解機130は、図8に示すように、微小な叩解隙間をもって対向配置されるとともに、相対的に移動する複数(図示の場合は二つ)の叩解部材131、132を主要部として構成され、具体的には、離解部110の攪拌槽115に連通可能な叩解槽133と、この叩解槽133内に相対的に移動可能に設けられた上記叩解部材131、132と、これら叩解部材131、132を相対的に移動させる駆動源134とを備えてなる。

    図示の叩解機130においては、具体的には図示しないが、上記叩解部材131、132が相対的に回転する回円盤状の形態とされ、上側の叩解部材131が固定側とされるとともに、下側の叩解部材132が回転側とされてなる。

    叩解槽133は、上記一対の叩解部材131、132を収納可能な密閉型円筒形状とされ、上側槽133aと下側槽133bが相互に螺合結合されてなる上下分割構造を備える。 この叩解槽133は、上側槽133aの天部中央部に供給口135が開設されるとともに、下側槽133bの円筒側部に排出口136が開設されており、これら供給口135および排出口136は、それぞれ図示しない配管を介して、上記離解部110の攪拌槽115に連通可能に接続されている。 なお、具体的には図示しないが、上記供給口135が上記攪拌槽115の底部位置に連通可能とされるとともに、上記排出口136が上記攪拌槽115の上部位置に連通可能とされている。

    上側の固定側叩解部材131は、上記上側槽133aの天部内側面に適宜の固定手段により固定的に設けられており、この固定側叩解部材131に対して、下側の回転側叩解部材132が微小な叩解隙間Aをもって同心状にかつ回転可能に対向配置されている。

    この回転側叩解部材132は、回転基台138上に一体的に設けられるとともに、この回転基台138の回転支軸138aが、上記叩解槽133の底部の底部中央の開口137を介して、叩解槽133の外部へ臨み、回転駆動源である駆動モータ134の回転軸134aに直接取り付け固定されて、ダイレクトモータ構造とされている。 この駆動モータ134としては具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ134が制御部4に電気的に接続されている。

    上記微小な叩解隙間Aを形成する両叩解部材131、132の対向面131a、132a同士は協働して叩解作用面を形成する。 これら対向する叩解作用面131a、132aは、多数の砥粒が結合材により結合されてなる砥石面の形態とされ、また、両叩解作用面131a、132aは、図8に示すように、その径寸法が互いの対向方向へ連続的に大きくなるテーパ面形状とされて、その間に両円錐形状の叩解隙間Aが形成される。

    また、上記固定側叩解部材131の叩解作用面131aの中心部位には、叩解槽133の供給口135に同軸状に連通する入口139が形成されるとともに、両叩解部材131、132の叩解作用面131a、132aの外周縁部131b、132b間に形成される環状隙間140が叩解槽133の排出口136に連通する出口とされている。

    また、これに関連して、回転側叩解部材132の叩解作用面132aには、複数の案内リブ141、141、…が周方向へ等間隔をもって設けられるとともに、回転側叩解部材132を支持する回転基台138の外周には、複数のブレード142、142、…が周方向へ所定間隔をもって設けられている。

    回転側叩解部材132の回転により、上記複数の案内リブ141、141、…は、上記入口139から叩解隙間Aに流入する古紙パルプUPPを上記出口140へ案内する作用をなし、また、上記複数のブレード142、142、…は、この出口140から排出される古紙パルプUPPを、遠心力で上記叩解槽133の排出口136へ向けて押出すポンプ作用をなす。

    上記叩解隙間Aの間隙寸法は、0.05mm〜0.8mm程度に設定されている。 なお、この叩解隙間Aの間隙寸法は、叩解槽133の上側槽133aと下側槽133bを相対的に回転操作して、それらの螺合部分を螺進退させることで、微調整可能とされている。 このように、叩解隙間Aの間隙寸法が目的に応じて微調整可能とされることにより、上記叩解作用面131a、132aの協働作用には、装置機械構造の強度と駆動力に応じた高い圧力と摺動力が得られる。 また、叩解隙間Aの間隙寸法を調整することにより、叩解部111の叩解速度(叩解時間)を適宜調整することも可能である。

    しかして、駆動モータ134により、回転側叩解部材132が固定側叩解部材131に対して回転駆動された状態において、上記離解部110の攪拌槽115から叩解槽133の供給口135へ供給される古紙パルプUPPは、上記入口139から叩解隙間Aに流入して、この叩解隙間Aを通過しながら、相対的に回転する叩解作用面131a、132aによる加圧叩解作用を受けるとともに、古紙UP上の文字、図形等を形成するインキ類が磨砕微細化され、この後、上記出口140から叩解槽133の排出口136を介して、再び上記攪拌槽115へ還流される。

    なお、上記叩解槽133の供給口135および排出口136は、開閉手段により開閉可能とされている。 この開閉手段の具体的構造は図示しないが、例えば、従来公知の手動または自動の開閉弁が設けられてなる。 これら開閉弁は、叩解部111が運転停止時には上記供給口135および排出口136を閉止して、攪拌装置113の攪拌槽115からの古紙UPや古紙パルプUPPの叩解槽133への流入を阻止する一方、叩解部111の運転時には供給口135および排出口136を開口して、攪拌槽115と叩解槽133との間での古紙パルプUPPの循環回流を許容する。

    この場合、離解部110が叩解部111と同時に駆動していると、叩解槽133は、離解部110の攪拌槽115と共に古紙パルプUPPが回流するパルプ回流槽を構成して、このパルプ回流槽115、133を循環回流する古紙パルプUPPは、離解部110による攪拌離解作用と、叩解部111による加圧叩解作用およびインキ磨砕微細化作用を順次繰り返して受けることになる。 この結果、続く後工程の抄紙部3で抄紙再生される再生紙RPにとっての最適な紙力強度が確保されるとともに、白色度の高い再生紙RPを得ることができる(脱墨と同等な効果が得られる)。

    パルプ濃度調整部112は、攪拌槽115から供給される古紙パルプUPPの全量から所定分量だけ区分し、この区分した所定分量に対して、濃度調整用給水部114から水Wを加水して、この区分した所定量の古紙パルプUPPと水Wの合計体積が所定値になることにより、所定濃度のパルプ懸濁液PSとなるように構成されている。

    パルプ濃度調整部112は、攪拌槽115の下流側に設けられて、離解・叩解された古紙パルプUPPを一旦貯留するパルプ貯留槽136と、このパルプ貯留槽136の下流側に設けられた濃度調整槽200と、この濃度調整槽200に水を供給する濃度調整用給水部とを備えてなり、この濃度調整用給水部としては、前述したごとく、給水部114が兼用されている。

    パルプ貯留槽136の内容積は、攪拌装置113によりバッチ処理される古紙UPの枚数(量)に応じて設定される。 図示の実施形態においては、前述したように、8枚程度(約32g)のA4判の古紙UPがバッチ処理されるので、これに対応した量の古紙パルプUPPの濃度を調整できる容積を有するパルプ貯留槽136とされている。

    これに関連して、具体的には図示しないが、上記攪拌装置113の攪拌槽115の底部には、排水口が設けられており、上記攪拌槽115(および叩解槽133)で製造された古紙パルプUPPの全量が、上記攪拌槽115の排水口から自重でパルプ貯留槽136内へ落下供給されるように構成されている。 なお、上記排水口は例えば電磁開閉弁からなる排水弁により開閉動作される構成とされ、上記制御部4に電気的に接続されている。

    上記濃度調整部200は、小さな二つの槽201、202を主要部として備える濃度調整槽の形態とされている。

    すなわち、この濃度調整槽200は、上記攪拌槽115から供給される古紙パルプUPPの全量つまり上記パルプ貯留槽136に貯留された古紙パルプUPPの全量から所定分量だけ区分するパルプ区分槽201と、この区分された所定分量の古紙パルプUPPに対応した量の水Wを上記濃度調整用給水部114から供給される水貯留槽202とを備えてなる。

    具体的には、この水貯留槽202内の上部位置に、上記パルプ区分槽201が内装された二重槽の形態とされており、このパルプ区分槽201の底部に、後述する排水口(図示省略)が設けられている。

    パルプ区分槽201の内容積は、上記パルプ貯留槽136に貯留された古紙パルプUPPから区分供給される所定分量に応じて設定され、同じく、水貯留槽202の内容積は、上記パルプ区分槽201の体積に加えて、パルプ区分槽201内に区分収容される古紙パルプUPPに対応した水Wの量に応じて設定されている。 図示の実施形態においては、パルプ貯留槽136が、例えば、25枚程度(約100g)のA4判の古紙UPがバッチ処理されて、これに対応した量の古紙パルプUPPを貯留できる容積を有するとすると、パルプ区分槽201の内容積は、例えば150cc程度収容可能な大きさに設定され、また、水貯留槽202の内容積は、例えば、13リットル程度収容可能な大きさに設定される。

    これに関連して、パルプ区分槽201と水貯留槽202の底部には、電磁開閉弁により開閉動作される排水口201a、202aがそれぞれ設けられており、これら排水口201a、202aの電磁開閉弁は、それぞれ上記制御部4に電気的に接続されている。

    上記濃度調整槽200において、攪拌槽115からパルプ貯留槽136に供給収容される古紙パルプUPPの全量(約100gの古紙UP+5リットルの水W)から所定分量(150cc)だけ区分されて、濃度調整槽200のパルプ区分槽201へ移送収容される。 一方、この区分された古紙パルプUPPの所定分量に対応して、この水貯留槽202に濃度調整用給水部114から水Wが約13リットル(正確には、古紙パルプUPPの所定分量(150cc)との合計が13リットルとなる量)だけ移送収容される。

    続いて、パルプ区分槽201の排水口201aが上記電磁開閉弁により開放されて、パルプ区分槽201の古紙パルプUPPが全量(150cc)、上記水貯留槽202内へ自重により落下供給されて、水貯留槽202内の水Wと混合し、これにより、水貯留槽202内に、所定濃度(約0.1%濃度(目標濃度))のパルプ懸濁液PSが混合調製される。

    なお、この調製されるべきパルプ懸濁液PSの目標濃度が、予め行なった実験データに基づいて、後述する抄紙部3における抄紙能力を考慮して設定されている。

    しかして、上記濃度調整部9の濃度調整槽200で約0.1%濃度(目標濃度)に調製されたパルプ懸濁液PSは、パルプ区分槽201の排水口201aが開放されて、全量が次工程の抄紙部3のパルプ供給槽55へ自重により落下供給されて、貯留される。

    上述したパルプ濃度調整部112による区分形式の濃度調整インターバルは、パルプ供給槽55内のパルプ懸濁液PSが一定値以下にならない程度のタイミングをもって設定されて、例えば、抄紙部3が、13リットルのパルプ懸濁液PSを約1分間で抄紙処理するように制御されるとすると、上記パルプ濃度調整部112による濃度調整インターバルが1分以内に設定される。

    このように、パルプ濃度調整部112による濃度調整が、全量一括式ではなく、区分形式つまり小出し形式で行われることにより、使用水量が大幅に減少されるばかりか、濃度調整槽200の形状寸法の大幅な縮小化も可能となり、さらには古紙再生装置1全体のコンパクト化が図られ得る。

    制御部4は、上述した離解部110および抄紙部3の各駆動部の動作を相互に連動して自動制御するもので、具体的には、CPU,ROM,RAMおよびI/Oポートなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。

    この制御部4には、パルプ製造部2のパルプ製造工程および抄紙部3の抄紙工程を連続して実行させるためのプログラム等が組み込まれるとともに、各駆動部の駆動に必要な種々の情報、例えば、離解部110における攪拌装置113の駆動時間および給水部114の動作タイミング、あるいは、抄紙部3におけるコンベア15、90の走行速度、加熱乾燥部91の駆動時間および定寸カッタ101の動作タイミングなどが、予めデータとしてまたはキーボード等により適宜選択的に入力設定されている。

    また、上記制御部4には、前述したように、パルプ製造部2および抄紙部3を構成する他の駆動部や検出部が電気的に接続されており、制御部4は、これらの各種実測値およびデータに従って、上記各駆動部を制御する。

    しかして、以上のように構成された古紙再生装置1は、電源投入により起動して、制御部4により各駆動部が相互に関連して自動制御され、これにより、装置ケース5の投入口5aに投入された古紙UP、UP、…は、パルプ製造部2、離解部110および叩解部111により離解・叩解処理されて、古紙パルプUPPが製造された後、さらにこの古紙パルプUPPが抄紙部3の抄紙工程部10、脱水ロール部11および乾燥工程部12により抄紙されて、再生紙RPとして再生され、装置ケース5の排出口5bから再生紙受取トレー7に排出される。

    以上のように構成された古紙再生装置1において、抄紙部(抄紙装置)3は、前工程のパルプ製造部2から送られてくる水Wと古紙パルプUPが共存するスラリー状のパルプ懸濁液PSを抄いて湿紙RP0とする抄紙工程部10と、この抄紙工程部10で抄紙形成された湿紙RP0を乾燥させて再生紙RPとする乾燥工程部12とを備え、これら抄紙工程部10と乾燥工程部12は、上下に階層状に配設されるとともに、これら上下階層状の抄紙工程部10および乾燥工程部12における抄紙工程および乾燥工程の全長に亘って延びる処理コンベア15を備え、この処理コンベア15は、上記パルプ懸濁液PSを濾過脱水する無数の網目よりなる網構造の網状ベルト20が走行するネットベルトコンベアの形態とされているから、抄紙工程部10で抄紙形成された湿紙RP0は、そのままの状態で乾燥工程部12へ移送されて、乾燥処理される。

    すなわち、前工程のパルプ製造部2から送られてくるスラリー状のパルプ懸濁液PSは、抄紙工程から乾燥工程に至るまで一貫してネットベルトコンベア上で処理されることにより、抄紙された湿紙RP0が抄紙工程から乾燥工程へ工程変更するに際して、コンベアを乗り換える必要がなく、この乗り換えつまり移送(移転)時における各種トラブル、例えば、湿紙RP0の移転不良、あるいは紙の皺発生や破損・破断などが有効に回避されて、良質な再生紙RPが再生され得る。

    また、本実施形態の抄紙部13によれば、以下に列挙するような効果も得られ、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる古紙再生装置1を提供することができる。

    (1)什器サイズの装置ケース5内に、古紙UPを離解し叩解して古紙パルプUPPを製造するパルプ製造部2と、このパルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPを抄紙して再生紙RPを製造する抄紙部3とを備えてなる小型簡素な構造の古紙再生装置1が実現し、これにより、古紙UPを廃棄処分することなく、古紙UPの発生元において自前で再生利用することができ、古紙UPの廃棄を軽減して、ゴミ問題解決に役立つばかりか、限りある資源を有効利用することができる。

    特に、この種の古紙UPは機密上の問題からリサイクル化が進んでおらず、上記のように古紙UPの発生元において自前で再生利用することができることにより、資源有効利用の効果は顕著である。

    (2)また、古紙UPの発生場所に、製紙工場や古紙再生工場の大規模な設備と同様な機能を有するコンパクトな古紙再生設備が設置されることにより、小規模店舗や一般家庭などにおいても、連続して紙の循環使用を可能にすることができ、さらには、古紙UPの回収廃棄に要する輸送費や焼却費等の各種経費も不要となって、経済的である。

    (3)装置構造がコンパクトで、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であり、この観点からも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。

    (4)古紙UPが発生する場所に配置されて、パルプ製造部2により、発生した古紙UPが離解処理されて古紙パルプUPPとされるとともに、抄紙部3により、上記古紙パルプUPPが抄紙されて再生紙RPとされ、これにより、上記古紙UPが、その発生場所内において再生紙RPとして循環使用される構成とされていることにより、古紙UPに記載された文字や線図等の各種情報が古紙UPの発生場所外へ拡散することが全くなく、この点からも、機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができ、高い機密性を保持することができ、また資源の有効利用を図ることもできる。

    すなわち、本実施形態の抄紙部3を抄紙部として備える古紙再生装置1を使用することにより、その使用に係る一定の系(例えば、学校、病院、市役所、法律事務所、特許事務所、一般家庭等)の外へ上記各種情報が拡散するおそれが全くなくなる。

    換言すれば、例えば従来周知のシュレッダの場合、古紙が裁断されて小片となり、そこに記載された文字や線図が判読不能となったとしても、裁断された紙片は焼却場等で廃棄処分されることになるため、上記系外への拡散を完全に防止することはできない。 この点に関して、上記系外への拡散を防止する目的で、系内の倉庫に保管するという方法も考えられるが、反面、そのような保管場所の確保が必要となり、対象となる紙も一回の使用のみでは、資源の有効利用という観点から効率が悪い。

    これに対して、本実施形態の古紙再生装置1によれば、古紙UPに記載される各種情報がその使用に係る系外へと拡散しまうことは全くなく、しかも、資源を有効に活用することができる。

    なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内で種々の設計変更が可能である。

    本発明の一実施形態である古紙再生装置の抄紙部(抄紙装置)の概略構成を示す正面図である。

    同抄紙部の主要構成部の概略構成を示す斜視図である。

    同抄紙部における脱水ロール部の圧搾脱水の具体的メカニズムを説明するための模式図で、図3(a)は基本的な圧搾脱水メカニズムを示し、図3(b)はスラリー化防止ロールが脱水ロール部の上流側近傍位置に設けられている場合の圧搾脱水メカニズムを示す。

    同抄紙部におけるパルプ供給部の構成を拡大して示す斜視図である。

    同じく同パルプ供給部の構成を示し、図5(a)は同パルプ供給部の正面断面図、図5(b)は図5(a)におけるB−B線に沿った断面図である。

    同古紙再生装置の全体構成を、装置ケースを切開して示す正面図である。

    同じく同古紙再生装置の全体構成を、装置ケースを切開して示す側面図である。

    同古紙再生装置におけるパルプ製造部の叩解部の主要部を示す正面断面図である。

    本発明の古紙再生装置の外観構成を示す斜視図である。

    符号の説明

    UP 古紙W 水(白水)
    UPP 古紙パルプPS パルプ懸濁液RP0 湿紙RP 再生紙1 古紙再生装置2 パルプ製造部(パルプ製造装置)
    3 抄紙部(抄紙装置)
    4 制御部5 装置ケース10 抄紙工程部11 脱水ロール部12 乾燥工程部15 処理コンベア16 パルプ供給部20 網状ベルト28(28a、28b) プレスロール29(29a、29b) 脱水ロール30 予備脱水ロール60 平滑面ベルト90 乾燥コンベア91 加熱乾燥部94 加熱ヒータ95 押圧手段95a 加圧ローラ96 カバー110 離解部111 叩解部112 パルプ濃度調整部114 給水部120 白水回収槽130 叩解機200 濃度調整槽

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