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Method for controlling moisture content of product in papermaking exchange in papermaking machine and control unit therefor

申请号 JP19255694 申请日 1994-08-16 公开(公告)号 JPH0860582A 公开(公告)日 1996-03-05
申请人 New Oji Paper Co Ltd; 新王子製紙株式会社; 发明人 MORI YOSHITATSU;
摘要 PURPOSE: To provide the subject highly reliable control unit capable of shortening papermaking exchange time to a minimum practicable. CONSTITUTION: In shifting the moisture content of a web toward a specified target value at the time of papermaking exchange in a papermaking machine designed to wind the web, with a canvas, on a steam drum to dry the web, a thermal equilibrium formula to interrelate the respective temperatures of the steam drum, canvas and web by assuming the temperature difference along the circumference of the steam drum is introduced; and based on this formula, the steam feed to the steam drum is controlled to bring the moisture content of the web to the target value.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該ウエブの水分率を定常状態でシミュレーションするための定常状態シミュレーション方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式を差分方程式に書き直すことと、 前差分方程式に適当な初期値を与えると共に所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解くことにより、前記ウエブの移動方向に沿って前記各蒸気ドラムの温度、前記キャンバスの温度および前記ウエブの温度を算出して前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求めることと、 前記水分率推移パターンから得られる最終水分値を実際の測定値と比較することと、 前記水分値が前記測定値に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断することと、 前記判断によって前記最終水分値が所定の許容範囲内から外れると判断された際にウエブの乾燥速度係数を補正してウエブ水分率推移パターンを再度求め、これを最終水分値が測定値に所定の許容範囲内で一致するまで繰り返すこととからなる定常状態シミュレーション方法。
  • 【請求項2】 蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該ウエブの水分率を定常状態でシミュレーションするための定常状態シミュレーション装置であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方程式として記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された差分方程式に適当な初期値を与えると共に所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解くことにより、前記ウエブの移動方向に沿って前記各蒸気ドラムの温度、前記キャンバスの温度および前記ウエブの温度を算出して前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求める計算手段と、 前記水分率推移パターンから得られる最終水分値を実際の測定値と比較する比較手段と、 前記最終水分値が前記測定値に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断する判断手段とよりなり、 前記判断手段によって前記最終水分値が所定の許容範囲内から外れると判断された際にウエブの乾燥速度係数を補正してウエブ水分率推移パターンを再度求め、これを水分値が測定値に所定の許容範囲内で一致するまで繰り返す手段とからなる定常状態シミュレーション装置。
  • 【請求項3】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際の該ウエブの水分率を非定常状態でシミュレーションするための非定常状態シミュレーション方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式を差分方程式に書き直すことと、 前記仮定による誤差を修正するために前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際に該蒸気ドラムの温度応答遅れを導入しつつ、前記差分方程式に基づいて前記ウエブの移動方向に沿う該ウエブの時間経過に伴う水分率推移パターンを所定の時間間隔で繰り返し求めることとからなる非定常状態シミュレーション方法。
  • 【請求項4】 蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際の該ウエブの水分率をシミュレーションするための非定常状態シミュレーション装置であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方程式として記憶する記憶手段と、 前記仮定による誤差を修正するために前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際に該蒸気ドラムの温度応答遅れを導入しつつ、前記ウエブの移動方向に沿う該ウエブの時間経過に伴う水分率推移パターンを所定の時間間隔で繰り返し求める計算手段とからなる非定常状態シミュレーション装置。
  • 【請求項5】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で抄替時に該蒸気ドラムへの蒸気圧力の時間的推移をコントロールすることにより該ウエブの水分率を所定の目標値に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式を差分方程式に書き直すことと、 前記差分方程式に適当な初期値を与えて前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求めることと、 前記ウエブ水分率推移パターンに対するウエブ水分率目標パターンを設定することと、 前記ウエブ水分率推移パターンを前記ウエブ水分率目標パターンに実質的に一致させるべく前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を所定の時間間隔で変動させつつ、しかも該蒸気ドラムの温度応答遅れを仮定的に導入しながら、該ウエブ水分率推移パターンを繰り返し求めて時間的な蒸気圧力推移パターンを作成することとからなり、 実際の抄替時に前記蒸気圧力推移パターンに従って前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を調節することを特徴とする抄替時ウエブ水分率制御方法。
  • 【請求項6】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で抄替時に該蒸気ドラムへの蒸気圧力の時間的推移をコントロールすることにより該ウエブの水分率を所定の目標値に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御装置であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方程式として記憶する記憶手段と、 前記差分方程式に適当な初期値を与えて前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求める計算手段と、 前記ウエブ水分率推移パターンに対するウエブ水分率目標パターンを設定する設定手段と、 前記ウエブ水分率推移パターンを前記ウエブ水分率目標パターンに実質的に一致させるべく前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を所定の時間間隔で変動させつつ、しかも該蒸気ドラムの温度応答遅れを仮定的に導入しながら、該ウエブ水分率推移パターンを繰り返し求めて時間的な蒸気圧力推移パターンを作成する作成手段とからなり、 実際の抄替時に前記蒸気圧力推移パターンに従って前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を調節することを特徴とする抄替時ウエブ水分率制御装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該ウエブの分率をシミュレーションするための定常状態シミュレーション方法およびその装置に関し、また本発明は蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該蒸気ドラムへの蒸気圧を変動させた際の該ウエブの水分率をシミュレーションするための非定常状態シミュレーション方法およびその装置に関し、更に本発明は蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で抄替時に該ウエブの水分率を所定の目標値に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御方法およびその装置に関する。

    【0002】

    【従来の技術】周知のように、抄紙機の代表的な構成例を挙げれば、かかる抄紙機はワイヤ・パート、プレス・
    パート、プレドライヤ・パート、サイズ・パート、アフタドライヤ・パートから構成される。 ワイヤ・パートはエンドレスに回転するワイヤからなり、その前方にはストック・インレットが設けられる。 ストック・インレットからはパルプ原料がワイヤ・パート上に吐出させられ、パルプ原料は該ワイヤ・パート上で濾水されて紙匹いわゆるウエブが形成される。 ワイヤ・パートを経たウエブはプレス・パートで更に搾水された後にプレドライヤ・パートに導かれる。 プレドライヤ・パートには多数の蒸気ドラムが配列され、これら蒸気ドラムはその中に導入される蒸気によって加熱される。 ウエブはプレドライヤ・パートの各蒸気ドラムに巻き付いて順次送られ、
    その間に所定の水分率まで乾燥を受ける。 次いで、ウエブはサイズ・パートに送られ、そこでサイズ処理を受けた後にアフタドライヤ・パートに導かれる。 アフタドライヤ・パートはプレドライヤ・パートと実質的に同じ構成とされ、ウエブはそこを通過する間に所定の水分率まで乾燥を受ける。 アフタドライヤ・パートを経たウエブは紙匹製品としてロール状に巻き取られる。

    【0003】以上で述べたような抄紙機において、均質な紙匹製品を得るためには、プレドライヤ・パートおよびアフタドライヤ・パートの直後でのウエブの坪量、水分率等を検出し、その検出データに基づいてワイヤ・パートへのパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムの蒸気圧力等をコントロールしなければならない。 このようなコントロールは抄紙機に組み込まれたBM計システムにより行われている。 BM計システムの検出部はプレドライヤ・
    パートおよびアフタドライヤ・パートのそれぞれの直後に配置され、各検出部からの検出データを処理する制御部とからなる。 要するに、各検出部で検出された検出データ(ウエブの坪量、水分率および抄速等)に基づいてワイヤ・パートへのパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムへの蒸気の供給圧力等をコントロールすることにより、紙匹製品に均質性が与えられる。

    【0004】上述したBM計システムのコントロール機能の1つとして、抄替制御機能も組み込まれている。 これは、例えば、所定坪量の紙匹製品の製造が終了した後に別の坪量の紙匹製品を製造するような場合(いわゆる抄替)、抄紙機は停止することなくワイヤ・パートへのパルプ原料の吐出量や蒸気圧力を変更することにより抄替が行われる。 このような抄替時には、蒸気ドラムの蒸気圧力、抄速等も大巾に変わることになるが、過去の実績値に基づいた簡単な予測式を用いて、蒸気ドラムの蒸気圧力等を予測して制御することにより新たな抄物へ移行させるコントロールを行っている。 すなわち、プレドライヤ・パートに含まれる蒸気ドラムの蒸気圧力を適宜調節することにより、新たな坪量のウエブの水分率が該プレドライヤ・パートの直後で所定の目標値となるように、またアフタドライヤ・パートに含まれる蒸気ドラムの蒸気圧力を適宜調節することにより新たな坪量のウエブの水分率が該アフタドライヤ・パートの直後で所定の目標値となるように抄替制御が行われる。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】ところで、抄替時間中、すなわち新たな品質の抄物に移行していく迄の時間中に得られる製品は規格外の損紙となるので、抄紙機の作動効率を高めるためには、かかる抄替時間をできる限り短縮することが必要である。 しかし、従来のBM計システムによる抄替制御は全ての抄替のケースに対して良好な水分コントロールが行われていないのが実態である。 この理由として、従来のBM計システムでは、その抄替制御は経験的に得られた予測式に基づいて行われているが、その予測式には理論的な裏付けが無いことや、
    抄替時間途中のコントロール法が確立されていないことが挙げられる。 つまり、現状では、抄替制御が首尾よく短時間で完了する場合もあるが、多くの場合は抄替制御に手間取るというのが実情である。

    【0006】一方、プレドライヤ・パートおよびアフタドライヤ・パートでウエブが各蒸気ドラムを通過する際にウエブがどのように乾燥するかについては適当な乾燥モデルを用いてシミュレーション計算することが可能であり、これにより抄替時に新たな坪量のウエブの水分率を目標値とするために必要とされる蒸気ドラムへの蒸気の圧力を予測して算出することができる。 例えば、かかるシミュレーション計算の従来例として、以下の文献を挙げることができる。 1. John A. Depoy氏の"Analog computer simulation of
    paper dryinga workable model (PULP AND PEPER OF C
    ANADA, vol. 73, No. 5, p67,May, 1972)" 2. Jeffery A. Hinds 氏等の"The dynamic computer si
    mulation of papermachine dryer (Tappi Journal, vo
    l. 66, No. 6, p79, June, 1983)" 3. AH Nissan 氏等の"Heat transfer and water rem
    oval in cylinderdrying (Tappi Journal, vol. 43, N
    o. 9, Sep. 1960)"等がある。 しかし、従来の乾燥モデルを利用したシミュレーション計算では、蒸気ドラムの温度を求める際に繰り返し行われる収束計算が伴い、このため高速コンピュータ(EW
    S等)を用いたとしても蒸気ドラムの温度の算出だけに数分以上掛かるので、従来のシミュレーション計算に基づいてプロセス状態を推定計算したり抄替制御したりすることは実用的とは言い難い。

    【0007】したがって、本発明の目的は抄替時間を可及的に短縮化し得る信頼性の高い抄替時の水分制御方法およびその装置を提供することである。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】本発明の第1の局面は、
    蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該ウエブの水分率を定常状態でシミュレーションするための定常状態シミュレーション方法およびその装置に向けられる。 この定常状態シミュレーションでは、蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して、蒸気ドラム、キャンバスおよびウエブの相互間に熱平衡式を導入し、この該熱平衡式は差分方程式に書き直される。
    差分方程式に適当な初期値を与えると共に所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解くことにより、ウエブの移動方向に沿って各蒸気ドラムの温度、キャンバスの温度およびウエブの温度を算出して該ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求める。 この水分率推移パターンから得られる最終水分値は実際の測定値と比較され、次いで実際の測定値に対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断される。 この判断によって最終水分値が所定の許容範囲内から外れると判断された際にはウエブの乾燥速度係数を補正してウエブ水分率推移パターンを再度求め、これは最終水分値が測定値に所定の許容範囲内で一致するまで繰り返される。

    【0009】本発明の第2の局面は、蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際の該ウエブの水分率を非定常状態でシミュレーションするための非定常状態シミュレーション方法およびその装置に向けられる。 この非定常状態シミュレーションでは、蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して、蒸気ドラム、キャンバスおよびウエブの相互間に熱平衡式を導入し、この熱平衡式は差分方程式に書き直される。 上述の仮定による誤差を修正するために蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際に該蒸気ドラムの温度応答遅れを導入しつつ、差分方程式に基づいてウエブの移動方向に沿う該ウエブの時間経過に伴う水分率推移パターンが所定の時間間隔で繰り返し求められる。

    【0010】本発明の第3の局面は、蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で抄替時に該蒸気ドラムへの蒸気圧力の時間的推移をコントロールすることにより該ウエブの水分率を所定の目標値に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御方法およびその装置に向けられる。 このウエブ水分率制御では、蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して、蒸気ドラム、
    キャンバスおよびウエブの相互間に熱平衡式を導入し、
    この熱平衡式は差分方程式に書き直される。 差分方程式に適当な初期値を与えてウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求め、このウエブ水分率推移パターンに対するウエブ水分率目標パターンを設定する。 ウエブ水分率推移パターンをウエブ水分率目標パターンに実質的に一致させるべく蒸気ドラムへの蒸気圧力を所定の時間間隔で変動させつつ、しかも該蒸気ドラムの温度応答遅れを仮定的に導入しながら、該ウエブ水分率推移パターンを繰り返し求めて時間的な蒸気圧力推移パターンを作成する。 実際の抄替時には、蒸気圧力推移パターンに従って蒸気ドラムへの蒸気圧力を調節する。

    【0011】

    【作用】以上の記載から明らかなように、本発明によれば、近似的に抄紙機の各々の蒸気ドラム円周まわりの温度が一定、つまり各蒸気ドラムの周囲に沿う温度差を零と仮定して蒸気ドラム、キャンバスおよびウエブの相互間に導入された熱平衡式に基づいてドラム温度を計算するので、その計算を高速に行うことが可能である。

    【0012】

    【実施例】次に、添付図面を参照して、本発明による抄替制御装置の一実施例について説明する。 先ず、図1に抄紙機の代表的な構成例を示し、この抄紙機に本発明による抄替制御装置を実施化した際のブロック図を図2に示す。 なお、図3および図4は図2に示したブロック図の部分拡大図であり、図3には図2の分割線D−Dに対して左半分が図示され、図4には該分割線D−Dに対して右半分が図示されている。 図1および図2に示すように、抄紙機にはワイヤ・パート10と、プレス・パート12と、プレドライヤ・パート14と、サイズ・パート16と、アフタドライヤ・パート18とが設けられる。

    【0013】ワイヤ・パート10はエンドレスに回転するワイヤ10aからなり、このワイヤ10aは駆動ロール10bと、この駆動ロール10bに対して適宜配置された多数のガイドロール10cとに掛け渡され、駆動ロール10bはワイヤ10aの上側走行部を矢印A(図1、図2および図3)の方向に移動させるように適当な駆動モータ(図示されない)によって回転される。 ワイヤ10aの上流側の端にはストック・インレット20が配置され、このストック・インレット20からはパルプ原料が該上側走行部上に吐出させられる。 パルプ原料はワイヤ10aの上側走行部上で濾水され、これにより該上側走行部上には紙匹いわゆるウエブWE(図1、図2
    および図3)が形成される。 ウエブWEの形成時に濾水された水は白水と呼ばれ、低濃度のパルプを含む。 その白水はワイヤ・パート10の下側に配置されたトラフ2
    2(図2および図3)を介して白水ピット24に集められる。 白水ピット24は配管26によってストック・インレット20に接続され、該配管26には適当なポンプ28が設けられる。 パルプ供給配管30が配管32を介して白水ピット24とポンプ28との間で配管26に接続され、該配管32には適当なバルブ34が組み込まれる。 ポンプ28の作動中にバルブ34の開度を調節することにより、ストック・インレット20へ送液されるパルプ濃度が調節される。

    【0014】ワイヤ・パート10を経たウエブWEはプレス・パート12で更に搾水され、このときウエブWE
    の水分率は60%程度である。 その後、ウエブWEはプレドライヤ・パート14に導かれる。 プレドライヤ・パート14には多数の蒸気ドラム14aが配列され、これら蒸気ドラム14aはその中に導入される蒸気によって加熱される。 ウエブWEはプレドライヤ・パート14の蒸気ドラム14aに巻き付いて順次送られ、その間に該ウエブWEは所定の水分率まで乾燥される。 次いで、ウエブWEはサイズ・パート16に送られ、そこでサイズ処理を受けた後にアフタドライヤ・パート18に導かれる。 アフタドライヤ・パート18はプレドライヤ・パート16と実質的に同じ構成とされ、ウエブWEはそこを通過する間に所定の水分率まで乾燥される。 その後、アフタドライヤ・パート18を経たウエブWEは参照符号36で示すように製品としてロール状に巻き取られる。

    【0015】ドライヤ・パート14(18)について更に詳しく説明すると、図5に示すように、蒸気ドラム1
    4a(18a)にはエンドレスのキャンバス14b(1
    8b)が巻き付けられ、ウエブWEは該キャンバス14
    b(18b)と共に蒸気ドラム14a(18a)間を通過する。 図5に示す例では、ドライヤ・パート14(1
    8)にはシングル・キャンバス・ドライヤ構造(図5の左側)とダブル・キャンバス・ドライヤ構造(図5の右側)との双方が設けられる。 なお、図5において、各蒸気ドラム14a(18a)に書き込まれた矢印は各ドラムの回転方向を示す。

    【0016】図1では、図示の便宜上、プレドライヤ・
    パート14に配列された蒸気ドラム14aの本数は20本としているが、それ以上の本数の蒸気ドラム14aを配列してもよい。 例えば、本実施例では、図2、図3および図4のように、蒸気ドラム群14aは第1のセクション14 1 、第2のセクション14 2および第3のセクション14 3に分割している。 第1のセクション14 1に含まれる蒸気ドラム14aには共通の蒸気供給ヘッダー38 1と共通の蒸気ドレン排出ヘッダー40 1とが設けられ、同様に第2および第3のセクション14 2および14 3のそれぞれに含まれる蒸気ドラム14にも共通の蒸気供給ヘッダー38 2および38 3と共通の蒸気ドレン排出ヘッダー40 2および40 3とが設けられる。 一方、アフタドライヤ・パート18に配列された蒸気ドラム群18aは第1のセクション18 1および第2のセクション18 2に分割されている。 第1のセクション18
    1に含まれる蒸気ドラム18aには共通の蒸気供給ヘッダー42 1と共通の蒸気ドレン排出ヘッダー44 1とが設けられ、同様に第2のセクション18 2に含まれる蒸気ドラム18aには共通の蒸気供給ヘッダー42 2と共通の蒸気ドレン排出ヘッダー44 2とが設けられている。

    【0017】図3および図4に最もよく示すように、蒸気供給ヘッダー38 1 、38 2および38 3のそれぞれからは配管46 1 、46 2および46 3が延び、これら配管46 1 、46 2および46 3は共通の主蒸気管48
    を介して蒸気発生源(図示されない)に接続される。 配管46 1 、46 2および46 3のそれぞれにはバルブ4
    1 、48 2および48 3が設けられ、これらバルブ4
    1 、48 2および48 3のそれぞれにはバルブ・コントローラ50 1 、50 2および50 3が組み込まれる。
    蒸気供給ヘッダー38 1と蒸気供給ヘッダー38 2との間にはその間の蒸気圧の差を検出する差圧センサ52が設けられ、この差圧センサ52はバルブ・コントローラ50 1に接続され、同様に蒸気供給ヘッダー38 2と蒸気供給ヘッダー38 3との間にはその間の蒸気圧の差を検出する差圧センサ54が設けられ、この差圧センサ5
    4はバルブ・コントローラ50 2に接続される。 また、
    蒸気供給ヘッダー38 3にはその蒸気圧を検出する圧力センサ56が設けられ、この圧力センサ56はバルブ・
    コントローラ50 3に接続される。 一方、蒸気供給ヘッダー42 1および42 2のそれぞれからは配管58 1および58 2が延び、これら配管58 1および58 2は共通の主蒸気管60を介して蒸気発生源(図示されない)
    に接続される。 配管58 1および58 2のそれぞれにはバルブ62 1および62 2が設けられ、これらバルブ6
    1および62 2のそれぞれにはバルブ・コントローラ64 1および64 2が組み込まれる。 蒸気供給ヘッダー42 1と蒸気供給ヘッダー42 2との間にはその間の蒸気圧の差を検出する差圧センサ66が設けられ、この差圧センサ66はバルブ・コントローラ64 1に接続される。 また、蒸気供給ヘッダー42 2にはその蒸気圧を検出する圧力センサ68が設けられ、この圧力センサ68
    はバルブ・コントローラ64 2に接続される。

    【0018】蒸気ドレン排出ヘッダー40 1からは配管70 1が延び、この配管70 1はフラッシュ・タンク7
    1に接続され、同様に蒸気ドレン排出ヘッダー40 2
    および40 3のそれぞれからは配管70 2および70 3
    が延び、これら配管70 2および70 3はそれぞれフラッシュ・タンク72 2および72 3に接続される。 図3
    および図4に最もよく図示するように、フラッシュ・タンク70 1 、70 2および70 3は配管74および76
    を介して互いに直列に接続される。 フラッシュ・タンク70 1は配管78によってドレイン・ポンプ80に接続される。 フラッシュ・タンク70 2は配管82を介して蒸気供給ヘッダー38 1に接続され、同様にフラッシュ・タンク3は配管84を介して蒸気供給ヘッダー38 2
    に接続される。 一方、蒸気ドレン排出ヘッダー44 1からは配管86が延び、この配管86はフラッシュ・タンク72 3に接続される。 また、蒸気排出ドレンヘッダー44 2からは配管88が延び、この配管88はフラッシュ・タンク90に接続される。 フラッシュ・タンク90
    は配管92を介して蒸気供給ヘッダー42 1に接続される。

    【0019】以上で述べたような抄紙機において、均質な紙匹製品を得るためには、プレドライヤ・パートおよびアフタドライヤ・パートの直後でウエブの坪量、水分率等を検出し、その検出データに基づいてワイヤ・パートへのパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムへの蒸気の圧力および抄速を制御しなけらばならい。 このような制御自体は先に述べたように周知のBM計システムを抄紙機に組み込むことにより行うことが可能である。 BM計システムはプレドライヤ・パート14の直後に設けられた第1の検出部94と、アフタドライヤ・パート18の直後に設けられた第2の検出部96と、これら検出部94および96から検出された検出データを処理して抄紙機の作動を制御するBM計制御部98とからなる。

    【0020】第1の検出部94はプレドライヤ・パート14を経た直後のウエブWEの坪量、水分率等を検出し、また第2の検出部96はアフタドライヤ・パート1
    8を経た直後のウエブWEの坪量、水分率等を検出する。 図3および図4から明らかなように、BM計制御部98にはパルプ供給配管30に対して設けられたバルブ34が接続され、該BM計制御部98からの制御信号によりバルブ34の開度が調節され、これによりストック・インレット20へのパルプ原料のパルプ濃度が制御される。 すなわち、BM計制御部98はバルブ34の開度を調節することによりウエブWEの坪量を制御する。 また、BM計制御部98はワイヤ・パート10でワイヤ1
    0aを駆動する駆動ロール10bの駆動モータにも制御信号を送り、これにより抄速が制御される。 更に、BM
    計制御部98には、プレドライヤ・パート14の第1、
    第2および第3のセクション14 1 、14 2および14
    3のそれぞれに設けられたコントローラ50 1 、50 2
    および50 3と、アフタドライヤ・パート18の第1および第2のセクション18 1および18 2のそれぞれに設けられたコントローラ64 1および64 2とが接続され、該BM計制御部98からは各コントローラ50 1
    50 2 、50 3 、64 1 、64 2に制御信号を送り、これにより各セクション14 1 、14 2 、14 3 、1
    1 、18 2の蒸気ドラム14a、18aへの蒸気圧力がバルブの開閉により制御される。 なお、各コントローラ50 1 、50 2 、50 3 、64 1 、64 2の制御はその該当センサ52、54、56、66、68から検出される蒸気圧力データに基づいて行われる。

    【0021】要するに、第1および第2の検出部94および96で検出された検出データ((ウエブの坪量、水分率等)をBM計制御部98で処理し、それに基づいてワイヤ・パート10へのパルプ原料の吐出量、各セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2の蒸気ドラム14a、18aへの蒸気供給圧力および抄速をコントロールすることにより、所定の製品を製造できる。

    【0022】以上で述べた抄紙機およびその作動制御自体は周知であり、本発明はそのような抄紙機で抄替制御を速やかにかつ短時間で行い得る抄替制御装置に向けられている。 本発明による抄替制御装置では、図6に示すようなアイロン・モデルに基づいて抄替制御が行われる。 図6のアイロン・モデルは図5に示したドライヤ構造と等価なものである。 すなわち、図5では、ウエブW
    Eはキャンバス14b(18b)と共に蒸気ドラム14
    a(18a)に巻き付いて通過する間に該蒸気ドラム1
    4a(18a)から熱を受けて乾燥されるが、これは図6に示すように所定の間隔で固定配置されたアイロン1
    4a′(18a′)と、それらアイロン14a′(18
    a′)上に適宜組み込まれたキャンバス部14b′(1
    8b′)とによって形成される通路にウエブWEを通過させて該ウエブWEを乾燥させる場合と等価である。 要するに、図5でウエブWEが蒸気ドラム14a(18
    a)からキャンバス14b(18b)を介して熱を受ける区間は、図6ではウエブWEがアイロン14a′(1
    8a′)からキャンバス部14b′(18b′)を介して熱を受ける区間に対応し、また図5でウエブWEが蒸気ドラム14a(18a)から直接的に熱を受ける区間は、図6ではウエブWEがアイロン14a′(18
    a′)から直接的に熱を受ける区間に対応する。 何れのアイロン14a′(18a′)からも熱を受けない区間はフリーランと呼ばれ、この例では、ウエブWEがキャンバス部14b′(18b′)と接触した区間と、ウエブWEが単独になる区間とがある。 なお、図6において、ウエブWEからの水分が蒸発していく状態を多数の矢印で示している。

    【0023】図6に示したアイロン・モデルに基づいて、蒸気ドラム14a(18a)と、キャンバス14b
    (18b)と、ウエブWEとの各要素について熱バランス式の一例を示すと以下のようになる。

    【0024】

    【数1】

    【0025】上記式中のパラメータは以下の通りである。 L D : ドラム厚さ (m) L W : ウエブ厚さ (m) L F : キャンバス厚さ (m) T S : ドラム内蒸気温度 (℃) T a : 外気温度 (℃) T 1 : ドラム代表温度 (℃) T 2 : ウエブ代表温度 (℃) T 3 : キャンバス代表温度 (℃) C D : ドラムの比熱 (kcal/kg ・ ℃) C W : ウエブの比熱 (kcal/kg ・ ℃) C F : キャンバスの比熱 (kcal/kg ・ ℃) ρ D : ドラムの密度 (kg/m 2 ) ρ W : ウエブの密度 (kg/m 2 ) ρ F : キャンバスの密度 (kg/m 2 ) h S : ドラム内蒸気とドラム内表面との間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) h DW : ドラム外表面とウエブ面との間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) h WF : ウエブ表面とキャンバスとの間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) h a : キャンバスと外気との間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) V : 水分蒸発係数 (--) (なお、水分蒸発関数とは、恒率乾燥、減率乾燥といったウエブ水分率に より変化する水分蒸発強度を表す係数) K : ウエブから雰囲気への水分乾燥速度係数 (H 2 O kg/kg ・ Hr.) P W : ウエブ温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m 2 ) P ad : 外気湿球温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m 2 ) H : 水の気化熱 (kcal/H 2 O kg) 式(1) はドラム材料の蓄熱量の時間に対する変化率はドラム内蒸気からドラム材料に流入する熱とドラム材料から流出する熱との差に等しいということに基づくものであり、式(2) および式(3) についても同様である。

    【0026】ところで、蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周まわりの任意箇所における温度変化に注目すると、
    その箇所の温度はウエブとの接触により低下し、ウエブからの離脱により上昇することになる。 従来、ドラムの温度をシミュレーション計算によって求める場合、かかる任意箇所に適当な初期値を与え、次いで任意箇所の温度変化を所定の時間間隔で算出し、蒸気ドラムが丁度一回転した際の算出温度を初期値と比較し、次にその算出温度を初期値として再び同様な計算を繰り返し、算出値が初期値と一致した時点でドラム温度が求められたものとしていた。 このような収束計算は先に述べたように非常に時間がかり、このため高速コンピュータ(EWS
    等)を用いたとしても全蒸気ドラムの温度の算出には数分以上の時間がかかり、従来のシミュレーション計算の方法に基づいてウエブ水分率の状態を推定したり抄替制御をオンラインで行うことは難しかった。

    【0027】本発明による水分のシミュレーション計算およびそれを応用した抄替制御は蒸気ドラムの円周まわりの温度変化については実質的に無視し得るという仮定に基づくものである。 すなわち、本発明によれば、蒸気ドラム自体はかなり高速な速度で連続的に回転しているので、たとえ蒸気ドラム表面がウエブの接触区域とウエブの非接触区域とに分けられるにしても、定常の運転状態では、その温度変化はきわめて小さなものであるということを前提としている。 従来の蒸気ドラム温度のシミュレーション計算結果でも温度差は1℃程度以下であり、蒸気ドラムの同一円周上の温度差は殆ど見られない。 すなわち、本発明によるウエブ水分のシミュレーション計算およびそれを応用した抄替制御では、以下の仮定が導入される。

    【0028】

    【数2】

    【0029】本発明では、上述したように、dT 1 /dt = 0
    であると仮定してるために、式(1)中でドラムの熱容量の効果を表す項、すなわち(L D・ ρ D・ C D ) が無視されることになる。 定常状態の計算では、これは余り問題にはならないが、抄替時にドラムの蒸気圧が変更された際や抄速が変更された際のドラム温度の経時的な遅れといった非定常時の動的シミュレーションを行う場合、上述のモデルだけではドラム温度の変化現象を表現することができない。 この効果は無視し得ないので、以下のような一次遅れ関数のモデルを人工的に組み込み、これにより非定常状態のシミュレーション計算時には蒸気圧の変更に対して、その応答圧力が時間遅れを伴って漸近的に変化するように考慮して蒸気温度を計算していくことでかかる問題を解決する。

    【0030】

    【数3】

    【0031】また、本発明によるモデルでは、ウエブから蒸発する水分量は以下の式に示すようにウエブと外気との両温度での水の飽和蒸気圧の差に比例すると近似的に仮定したが、更に精密なモデル式を導入してもよい。
    例えば、正確には、ウエブから蒸発水分量はウエブ温度と外気温度とでの水蒸気の濃度差により決まるので、これに基づいてウエブの水分率を計算してもよい。

    【0032】

    【数4】

    【0033】本実施例にあっては、図3および図4に示すように、本発明による抄紙制御装置は従来のBM計システムの制御部98に接続された高速マイクロコンピュータ100からなり、このマイクロコピュータ100は手動入力手段例えばキーボード102および適当な表示装置例えばCRT(図示されない)等を含む。

    【0034】本発明によれば、抄紙機の定常状態シミュレーションは図7に示すように行われる。 先ず、ステップ701では、マイクロコピュータ100は操業中の抄紙機のBM計システムから抄速、坪量、最終ウエブ水分(即ち、検出部94および96でのウエブ水分検出データ)、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、1
    3 、18 1 、18 2での蒸気圧力、その他のセンサ(図示されない)から各ドライヤ・パート14の導入部でのウエブ水分、各ドライヤ・パート14、18での空気温度等のプロセス値を取り込む。 次いで、ステップ7
    02では、ウエブWEの水分乾燥速度係数Kを任意に設定し、またステップ703では各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2での蒸気圧力を蒸気温度に換算する。

    【0035】ステップ704、705および706のそれぞれでは、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2
    14 3 、18 1 、18 2の各部所で上記式(5) 、式(6)
    および式(4) に基づいてウエブWE温度、キャンバス1
    4b、18bの温度および蒸気ドラム14a、18aの温度を計算する。 次いで、ステップ707では、それら計算温度から上記式(8) に基づいてウエブWEからの蒸発量を計算し、続いてステップ708では、上記式(9)
    に基づいてウエブWEの水分率を計算する。

    【0036】ステップ709では、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2で所定の時間間隔で全ドライヤ・パートでのウエブWEの水分率が計算されたか否かが判断される。 詳述すると、図8に示すように、図6のモデルを用いて、適当な微小な時間幅Δt(例えば20mm秒程度)毎にウエブWEの水分率が計算される。 このような時間幅Δt毎の計算が全てのドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1
    18 2について行われると、ウエブ水分率の推移パターンは図9に示すようなものとなる。

    【0037】ステップ710では、上述のように計算されたウエブ水分率パターンのうちの2つの水分率データが測定値と比較される。 即ち、プレドライヤ・パート1
    4を経た直後のウエブ水分率PM(図8)はBM計システムの検出部94で実測されたウエブ水分値と比較され、またアフタドライヤ・パート18を経た直後のウエブ水分率AM(図8)はBM計システムの検出部96で実測されたウエブ水分値と比較される。 その差が許容範囲から外れるとき、ステップ711に進み、そこで水分乾燥速度係数Kが補正され、再び図6のモデルに基づいてシミュレーション計算が再び行われる。 ステップ71
    0でウエブ水分率の計算値が測定値と許容範囲内で一致すると、ステップ712に進み、そこでシミュレーションの計算結果がマイクロコピュータ100のCRT上に表示される。

    【0038】なお、従来の収束計算の伴う定常状態シミュレーションでは、高速なEWSを用いても通常5分程度の時間が必要とされたが、本発明によれば、1ないし2秒程度で定常状態シミュレーションを完了することが可能である。

    【0039】本発明によれば、非定常状態シミュレーション、例えば抄紙機の抄替(坪量・抄速変更)時でのシミュレーションは図10に示すように行われる。 このような非定常状態シミュレーションは、例えば図11に示すように、抄紙機の或る時点で上述の定常状態シミュレーション計算を行った際のウエブ水分率推移パターンが図11で参照符号MP 1によって示されるものであるとき、そのウエブ水分率推移パターンMP 1を参照符号M
    2で示すウエブ水分率推移パターンに変更する場合に相当する。

    【0040】先ず、ステップ1001では、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2
    での蒸気圧力、抄速、坪量等の操業プロセス値の変更軌跡を決定する。 これら変更軌跡は坪量や抄速の変更量に応じて適宜選択される。

    【0041】ステップ1002では、抄速、坪量、最終ウエブ水分(即ち、検出部94および96でのウエブ水分検出データ)、各ドライヤ・セクション14 1 、14
    2 、14 3 、18 1 、18 2での蒸気圧力、ドライヤ・
    パート14の導入部でのウエブ水分、各ドライヤ・パート14、18での空気温度等の計算時間に見合った値を取り込む。 次いで、ステップ1003では、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2
    での蒸気圧力を蒸気温度に換算する際に上記式(7) に基づいて各ドライヤ・セクションで蒸気温度の応答遅れを導入する。

    【0042】ステップ1004では、図7で示した同様な定常状態シミュレーション計算が行われ、次いでステップ1005に進み、そこでは全シミュレーション時間に亙って計算が終了したか否かが判断される。 計算が終了していなとき、ステップ1006で所定の計算時間間隔をΔT(図11)だけ進めて、シミュレーション計算を繰り返す。 具体的に言うと、例えば、図12に示すように、ある時点すなわちT=Tの時点で、ドライヤ・パートでの蒸気ドラム温度の分布がTd 1およびTd 2であり、キャンバスの温度分布が…Tc 1 〜Tc 6 …であり、ウエブの温度分布および水分分布がそれぞれ…Tw
    1 〜Tw 6 …および…M 1 〜M 6 …であるとすると、これらデータを初期値として非定常状態シミュレーション計算を行うと、蒸気ドラム温度の分布はTd 1およびT
    2からTd 1 ′およびTd 2 ′に推移し、キャンバスの温度分布は…Tc 1 〜Tc 6 …から…Tc 1 ′〜Tc
    6 ′…に推移し、ウエブの温度分布および水分分布はそれぞれ…Tw 1 〜Tw 6 …および…M 1 〜M 6 …から…
    Tw 1 ′〜Tw 6 ′…および…M 1 ′〜M 6 ′…に推移したものとなる。 次いで、蒸気ドラム温度の分布T
    1 ′およびTd 2 ′に対して、キャンバスの温度分布…Tc 1 ′〜Tc 7 ′…、ウエブの温度分布…Tw 1
    Tw 7 …およびウエブの水分分布…Tw 1 ′〜Tw 7
    …および…M 1 ′〜M 7 ′…をそれぞれ一データ分だけずらすと共にこれらデータを初期値として非定常状態シミュレーション計算を再び行うと、蒸気ドラム温度の分布はTd 1 ′およびTd 2 ′からTd 1 ″およびT
    2 ″に推移し、キャンバスの温度分布は…Tc 1 ′〜
    Tc 7 ′…から…Tc 1 ″〜Tc 7 ″…に推移し、ウエブの温度分布および水分分布はそれぞれ…Tw 1 ′〜T
    7 ′…および…M 1 ′〜M 7 ′…から…Tw 1 ″〜T
    7 ″…および…M 1 ″〜M 7 ″…に推移したものとなる。このようにして、各ドライヤ・セクションでのウエブ水分率推移パターンMP 1はΔTの時間刻みでウエブ水分率推移パターンMP 2に向けてシミュレート計算される。

    【0043】なお、従来の収束計算の伴う非定常状態シミュレーション方法では、EWSを用いても1ないし2
    時間程度が必要とされたが、本発明によれば、1ないし2分程度で非定常状態シミュレーションを完了することが可能である。

    【0044】上述した定常状態シミュレーションおよび非定常状態シミュレーションに基づき、図13のフローチャートを参照して、本発明による抄替時のウエブ水分コントロールについて説明する。

    【0045】先ず、ステップ1301では、マイクロコピュータ100側から抄替条件、即ち抄替後の坪量、抄速、ウエブ最終水分等を設定する。 ステップ1302では、BM計システムから抄紙機の現操業時での操業プロセス値を取り込み、次いでステップ1303では、それら操業プロセス値に基づいて定常状態シミュレーション(図7)を行って、ウエブWEの水分乾燥速度係数Kを決定する。

    【0046】ステップ1304では、抄替後の操業プロセス値例えばグレードNo. 、抄速、坪量、ウエブ水分値等を取り込み、次いでステップ1305では、抄替条件に基づいて、抄替時間長を決定する。 すなわち、抄速、
    坪量等の操業プロセス値の時間的な変化軌跡を抄替条件に基づいて決定する。

    【0047】ステップ1307では、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2の出口側でのウエブWEの抄替後の水分ターゲット値が決定され、それら水分ターゲット値は例えば図11で参照符号PT e1 、PT e2 、PT e3 、AT e1およびAT e2で示されるものである。 次いで、ステップ1308では、各ドライヤ・セクション14 1 、1
    2 、14 3 、18 1 、18 2でのウエブWEの抄替途中の水分ターゲット値の推移プロフィールが決定され、
    それら推移プロフィールは図11で参照符号ptm 1
    ptm 2 、ptm 3 、atm 1およびatm 2で示されるものである。 続いて、ステップ1309では、上述の水分ターゲット値からウエブ水分の許容誤差を適宜決定しておく。

    【0048】ステップ1310では、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2の蒸気圧力が設定され、この蒸気圧は初期値としてステップ1
    301で取り込まれた蒸気圧力、即ち現操業での蒸気圧力としておくのが好ましい。 次いで、ステップ1311
    では、各ドライヤ・セクション毎に、抄替シミュレーション時間長に亘って、非定常状態シミュレーション(図10)が順次行われ、各ドライヤ・セクションの出口側でのウエブ水分率推移パターンが求められる。 続いて、
    ステップ1312では、該ウエブ水分率推移パターンから得られるウエブ水分率がそれぞれの水分ターゲット値と比較され、その差が許容範囲から外れるとき、ステップ1313に進み、そこで該当ドライヤ・セクションの蒸気圧力が微調整され、再び非定常状態シミュレーション計算が繰り返される。

    【0049】ステップ1313での蒸気圧力の微調整法について述べると、ウエブの或る部位の水分値が目標値を越えたときには、蒸気圧力が低すぎたことを意味するので、この場合には予め定めておいた蒸気圧力補正量Δ
    pを現在の蒸気圧力設定値に加算してシミュレーション計算を繰り返す。 その結果、ウエブの同じ部位の水分値が目標値に届かなかったときには、前回の蒸気圧力補正量Δpが大きすぎたことになるので、このとき蒸気圧力補正量の半分すなわちΔp/2を今回の蒸気圧力設定値から減じてシミュレーション計算を繰り返す。 このように目標値からの誤差方向が逆転した場合には、蒸気圧力補正量を半分ずつ小さくしながら、計算結果を目標水分値の許容範囲内にたたみ込み、これにより適切な蒸気圧力を効率よく求めることができる。

    【0050】ステップ1312でウエブ水分率がそれぞれの水分ターゲット値と許容範囲内で一致すると、ステップ1314に進み、そこで全てのドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3 、18 1および18 2でのシミュレーション計算が完了したか否かが判断される。 即ち、抄替シミュレーション時間長に亙って、各ドライヤ・セクションのシミュレーション計算がΔT(図11)
    の時間刻み幅で繰り返し行われる。

    【0051】全てのシミュレーション計算が完了すると、ステップ1214に進み、そこでその計算結果の一部、即ち各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14
    3 、18 1 、18 2での蒸気圧力の推移パターンが蒸気圧力コントロール・パターンとしてマイクロコピュータ100のメモリ内に格納される。

    【0052】図14には、上述のシミュレーション計算の主要なプロセス値のコントロール状態のタイムチャートを例示する。 図14に示すように、この例では、抄速が上昇させられて坪量を小さくする場合が示され、また図13には、上述のシミュレーションによって得られるウエブ水分率推移パターン(斜線領域は許容誤差範囲)
    と蒸気圧力のコントロール・パターンを模式的に図示する。 なお、図14では、アフタドライヤ・パート18のドライヤ・セクションについては省略されている。

    【0053】ステップ1316では、抄替開始が指令されたか否かが判断される。 これはマイクロコピュータ1
    00の入力手段例えばキーボード102等でオペレータが操作することにより行われる。 抄替指令がオペレータによって発せられたとき、ステップ1317に進み、そこで各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14 3
    18 1 、18 2の蒸気圧力が別に定められた所定のコントロール時間間隔で蒸気圧力のコントロール・パターンに従って制御され、これにより抄替時のウエブ水分コントロールが実際に行われることになる。

    【0054】なお、図11から明らかなように、抄替シミュレーション時間長は抄替開始時と抄替終了時との間、すなわちウエブ水分率推移パターンMP 1およびM
    1間の距離に対応するものであるが、しかし上述したようにウエブ最終水分を目標値に収斂させるための時間を見込むことが必要であるので、実際の抄替コントロール時間長は図14に示すようにかかる抄替シミュレーション時間長よりも幾分長めに設定することが好ましい。

    【0055】要するに、本発明では、実際に抄替が行われる前に抄替時での蒸気圧力推移コントロールパターンをシミュレーションして予め計算しておき、実際の抄替時にその蒸気圧力コントロールパターンに従って各ドライヤ・セクションへの蒸気圧力を時間に沿ってコントロールすることにより、ウエブ水分率が所望の態様で制御される。

    【0056】

    【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明によれば、従来の場合に比べて、抄紙機操業状態を速やかにシミュレーションすることが可能であり、これにより抄替時の製品の最終水分(各ドライヤ・セクションの出口水分を含め)を短時間で目標値に近づけることが可能となる。 すなわち、本発明によれば、抄替時間を短縮し得ると共に抄替時に発生する不良製品である損紙を減少することが可能である。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明を実施する抄紙機の概略斜視図である。

    【図2】本発明を実施した抄紙機のブロック図である。

    【図3】図2のD−D分割線の左半分を拡大して示す部分ブロック図である。

    【図4】図2のD−D分割線の右半分を拡大して示す部分ブロック図である。

    【図5】抄紙機のドライ・パートの一構成例を部分的に示す側面図である。

    【図6】図5のドライ・パートと等価なアイロン・モデルを示す模式図である。

    【図7】本発明による定常状態シミュレーションを示すフローチャートである。

    【図8】図7のフローチャートを説明するための説明図である。

    【図9】図7の定常状態シミュレーションにより得られるウエブ水分率推移パターンを示すグラフである。

    【図10】本発明による非定常状態シミュレーションを示すフローチャートである。

    【図11】本発明による非定常状態シミュレーションの推移を例示的に示す三次元グラフである。

    【図12】本発明による非定常状態シミュレーション計算方法を図解して示す説明図である。

    【図13】本発明による抄替時ウエブ水分制御を示すフローチャートの一部である。

    【図14】図13のフローチャートのその他の部分である。

    【図15】図13および図14のフローチャートを説明するためのタイムチャートである。

    【符号の説明】

    10…ワイヤ・パート 12…プレス・パート 14…プレドライヤ・パート 14 1 …第1のセクション 14 2 …第2のセクション 14 3 …第3のセクション 14a…蒸気ドラム 16…サイズ・パート 18…アフタドライヤ・パート 18 1 …第1のセクション 18 2 …第2のセクション 20…ストック・インレット

    ─────────────────────────────────────────────────────

    【手続補正書】

    【提出日】平成6年10月24日

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0023

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0023】図6に示したアイロン・モデルに基づいて、蒸気ドラム14a′(18a′)と、キャンバス
    4b′(18b′)と、ウエブWEとの各要素について熱バランス式の一例を示すと以下のようになる。

    【手続補正2】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0025

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0025】上記式中のパラメータは以下の通りである。 L D : ドラム厚さ (m) L W : ウエブ厚さ (m) L F : キャンバス厚さ (m) T S : ドラム内蒸気温度 (℃) T a : 外気温度 (℃) T 1 : ドラム代表温度 (℃) T 2 : ウエブ代表温度 (℃) T 3 : キャンバス代表温度 (℃) C D : ドラムの比熱 (kcal/kg ・ ℃) C W : ウエブの比熱 (kcal/kg ・ ℃) C F : キャンバスの比熱 (kcal/kg ・ ℃) ρ D : ドラムの密度(kg/m 3 ) ρ W : ウエブの密度(kg/m 3 ) ρ F : キャンバスの密度(kg/m 3 ) h S : ドラム内蒸気とドラム内表面との間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) h DW : ドラム外表面とウエブ面との間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) h WF : ウエブ表面とキャンバスとの間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) h a : キャンバスと外気との間の熱伝達率 (kcal/m 2・ sec ・ ℃) V : 水分蒸発係数 (--) (なお、水分蒸発関数とは、恒率乾燥、減率乾燥といったウエブ水分率に より変化する水分蒸発強度を表す係数) K : ウエブから雰囲気への水分乾燥速度係数 (H 2 O kg/kg ・ Hr.) P W : ウエブ温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m 2 ) P ad : 外気湿球温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m 2 ) H : 水の気化熱 (kcal/H 2 O kg) 式(1) はドラム材料の蓄熱量の時間に対する変化率はドラム内蒸気からドラム材料に流入する熱とドラム材料から流出する熱との差に等しいということに基づくものであり、式(2) および式(3) についても同様である。

    【手続補正3】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0029

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0029】本発明では、上述したように、dT 1 /dt = 0
    であると仮定してるために、式(1) 中でドラムの熱容量の効果を表す項、すなわち(L D・ ρ D・ C D ) が無視されることになる。 定常状態の計算では、これは余り問題にはならないが、抄替時にドラムの蒸気圧が変更された際や抄速が変更された際のドラム温度の経時的な遅れといった非定常時の動的シミュレーションを行う場合、
    上述のモデルだけではドラム温度の変化現象を表現することができない。 この効果は無視し得ないので、以下のような一次遅れ関数のモデルを人工的に組み込み、これにより非定常状態のシミュレーション計算時には蒸気圧の変更に対して、その応答圧力が時間遅れを伴って漸近的に変化するように考慮して蒸気温度を計算していくことでかかる問題を解決する。

    【手続補正4】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0033

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0033】本実施例にあっては、図3および図4に示すように、本発明による抄紙制御装置は従来のBM計システムの制御部98に接続された高速マイクロコンピュータ100からなり、このマイクロコピュータ100
    は手動入力手段例えばキーボード102および適当な表示装置例えばCRT(図示されない)等を含む。

    【手続補正5】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0034

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0034】本発明によれば、抄紙機の定常状態シミュレーションは図7に示すように行われる。 先ず、ステップ701では、マイクロコピュータ100は操業中の抄紙機のBM計システムから抄速、坪量、最終ウエブ水分(即ち、検出部94および96でのウエブ水分検出データ)、各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14
    3 、18 1 、18 2での蒸気圧力、その他のセンサ(図示されない)から各ドライヤ・パート14の導入部でのウエブ水分、各ドライヤ・パート14、18での空気温度等のプロセス値を取り込む。 次いで、ステップ702
    では、ウエブWEの水分乾燥速度係数Kを任意に設定し、またステップ703では各ドライヤ・セクション1
    1 、14 2 、14 3 、18 1 、18 2での蒸気圧力を蒸気温度に換算する。

    【手続補正6】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0042

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0042】ステップ1004では、図7で示した同様な定常状態シミュレーション計算が行われ、次いでステップ1005に進み、そこでは全シミュレーション時間に亙って計算が終了したか否かが判断される。 計算が終了していなとき、ステップ1006で所定の計算時間間隔をΔT(図11)だけ進めて、シミュレーション計算を繰り返す。 具体的に言うと、例えば、図12に示すように、ある時点すなわちT=Tの時点で、ドライヤ・
    パートでの蒸気ドラム温度の分布がTd 1およびTd 2
    であり、キャンバスの温度分布が…Tc 1 〜Tc 6 …であり、ウエブの温度分布および水分分布がそれぞれ…T
    1 〜Tw 6 …および…M 1 〜M 6 …であるとすると、
    これらデータを初期値として非定常状態シミュレーション計算を行うと、蒸気ドラム温度の分布はTd 1およびTd 2からTd 1 ′およびTd 2 ′に推移し、キャンバスの温度分布は…Tc 1 〜Tc 6 …から…Tc 1 ′〜T
    6 ′…に推移し、ウエブの温度分布および水分分布はそれぞれ…Tw 1 〜Tw 6 …および…M 1 〜M 6 …から…Tw 1 ′〜Tw 6 ′…および…M 1 ′〜M 6 ′…に推移したものとなる。 次いで、蒸気ドラム温度の分布Td
    1 ′およびTd 2 ′に対して、キャンバスの温度分布…
    Tc 1 ′〜Tc 7 ′…、ウエブの温度分布…Tw 1 〜T
    7 …およびウエブの水分分布…Tw 1 ′〜Tw 7 ′…
    および…M 1 ′〜M 7 ′…をそれぞれ一データ分だけずらすと共にこれらデータを初期値として非定常状態シミュレーション計算を再び行うと、蒸気ドラム温度の分布はTd 1 ′およびTd 2 ′からTd 1 ″およびTd 2
    に推移し、キャンバスの温度分布は…Tc 1 ′〜T
    7 ′…から…Tc 1 ″〜Tc 7 ″…に推移し、ウエブの温度分布および水分分布はそれぞれ…Tw 1 ′〜Tw
    7 ′…および…M 1 ′〜M 7 ′…から…Tw 1 ″〜Tw
    7 ″…および…M 1 ″〜M 7 ″…に推移したものとなる。このようにして、各ドライヤ・セクションでのウエブ水分率推移パターンMP 1はΔTの時間刻みでウエブ水分率推移パターンMP 2に向けてシミュレート計算される。

    【手続補正7】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0045

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0045】先ず、ステップ1301では、マイクロコ
    ピュータ100側から抄替条件、即ち抄替後の坪量、
    抄速、ウエブ最終水分等を設定する。 ステップ1302
    では、BM計システムから抄紙機の現操業時での操業プロセス値を取り込み、次いでステップ1303では、それら操業プロセス値に基づいて定常状態シミュレーション(図7)を行って、ウエブWEの水分乾燥速度係数K
    を決定する。

    【手続補正8】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0051

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0051】全てのシミュレーション計算が完了すると、ステップ1214に進み、そこでその計算結果の一部、即ち各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、14
    3 、18 1 、18 2での蒸気圧力の推移パターンが蒸気圧力コントロール・パターンとしてマイクロコピュー<br>タ100のメモリ内に格納される。

    【手続補正9】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0052

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0052】 図15には、上述のシミュレーション計算の主要なプロセス値のコントロール状態のタイムチャートを例示する。 図15中段に示すように、この例では、
    抄速が上昇させられて坪量を小さくする場合が示され、
    また図15下段には、上述のシミュレーションによって得られるウエブ水分率推移パターン(斜線領域は許容誤差範囲)と蒸気圧力のコントロール・パターンを模式的に図示する。 なお、 図15では、アフタドライヤ・パート18のドライヤ・セクションについては省略されている。

    【手続補正10】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0053

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0053】ステップ1316では、抄替開始が指令されたか否かが判断される。 これはマイクロコピュータ100の入力手段例えばキーボード102等でオペレータが操作することにより行われる。 抄替指令がオペレータによって発せられたとき、ステップ1317に進み、
    そこで各ドライヤ・セクション14 1 、14 2 、1
    3 、18 1 、18 2の蒸気圧力が別に定められた所定のコントロール時間間隔で蒸気圧力のコントロール・パターンに従って制御され、これにより抄替時のウエブ水分コントロールが実際に行われることになる。

    【手続補正11】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0054

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0054】なお、図11から明らかなように、抄替シミュレーション時間長は抄替開始時と抄替終了時との間、すなわちウエブ水分率推移パターンMP 1およびM
    1間の距離に対応するものであるが、しかし上述したようにウエブ最終水分を目標値に収斂させるための時間を見込むことが必要であるので、実際の抄替コントロール時間長は図15に示すようにかかる抄替シミュレーション時間長よりも幾分長めに設定することが好ましい。

    【手続補正12】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図7

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図7】

    【手続補正13】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図10

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図10】

    【手続補正14】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図11

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図11】

    【手続補正15】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図13

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図13】

    【手続補正16】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図14

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図14】

    【手続補正17】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図15

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図15】

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