汚染防止剤組成物及び汚染防止方法

申请号 JP2016560610 申请日 2016-09-29 公开(公告)号 JP6080285B1 公开(公告)日 2017-02-15
申请人 株式会社メンテック; 发明人 関谷 宏; 小林 大介; 澤田 拓; 遊佐 和之;
摘要 【課題】上流側のドライヤーにのみ付与したとしても、湿紙を介して、下流側のドライヤーに十分な量を付与することができ、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を十分に防止することができる汚染防止剤組成物及び汚染防止方法を提供すること。 【解決手段】本発明は、抄紙機のドライパートDにおけるドライヤーD1〜D8に付与され、エマルジョンと、再転移剤と、 水 とからなり、再転移剤の曇点が55℃以上でHLB値が8〜15である汚染防止剤組成物であり、好ましくは、最大泡圧法による寿命時間100ミリ秒時の動的表面張 力 値が65mN/m以下である汚染防止剤組成物である。 【選択図】図1
权利要求

抄紙機のドライパートにおけるドライヤーに付与し、湿紙に転移させるための汚染防止剤組成物であって、 エマルジョンと、再転移剤と、とからなり、 前記エマルジョンが、非シリコーンオイル、水及び乳化剤からなるものであり、 前記非シリコーンオイルが、ポリブテン、合成エステル油、鉱物油、植物油及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、 前記乳化剤がアニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤であり、 前記再転移剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、 前記再転移剤の曇点が55℃以上でHLB値が8〜15であり、 最大泡圧法による寿命時間100ミリ秒時の動的表面張値が65mN/m以下であり、 前記ドライヤーが、鋳鉄からなり、該鋳鉄に対する接触が70度以下である汚染防止剤組成物。前記非シリコーンオイル10質量%に対する前記再転移剤の配合割合が0.1質量%〜10質量%である請求項1記載の汚染防止剤組成物。前記再転移剤の配合割合が0.01質量%〜10質量%である請求項1又は2に記載の汚染防止剤組成物。前記ドライヤーに付与することにより、被膜が形成され、 該被膜が湿紙と接することにより前記被膜の一部が再乳化される請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染防止剤組成物。請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染防止剤組成物を上流側のドライヤーに付与し、被膜を形成させる第1ステップと、 湿紙を前記被膜に接触させることにより、前記被膜の一部を再乳化させると共に、再乳化した乳化物を前記湿紙に転移させる第2ステップと、 前記乳化物を有する前記湿紙を下流側のドライヤーに接触させることにより、前記乳化物を下流側のドライヤーに付与する第3ステップと、 を備える汚染防止方法。

说明书全文

本発明は、汚染防止剤組成物及び汚染防止方法に関し、更に詳しくは、抄紙機のドライパートにおける複数のドライヤーのピッチ汚染を防止することができる汚染防止剤組成物及び汚染防止方法に関する。

抄紙機における抄紙工程は、一般に中にパルプが分散された液を抄紙用の網(ワイヤー)に載せ、余分な水を自然落下させることにより湿紙とするワイヤーパートと、湿紙を一対のプレスロール間に通し、フェルトを介してプレスロールで押圧することにより、湿紙中の水分をフェルトに移行させ、これにより湿紙を脱水するプレスパートと、プレスパートを通過した湿紙を、加熱された複数のドライヤーに接触させることで乾燥させ、紙とするドライパートと、紙をスプールと呼ばれる棒に巻き取るリールパートと、を有する。

ところで、上記ドライパートにおいては、ドライヤーの表面にピッチが付着する問題がある。仮にドライヤーにピッチが付着すると、湿紙が汚染され、歩留まりが大きく低下する。

これに対し、抄紙工程のドライパートにおけるピッチ汚染を防止する汚染防止剤組成物として、シリコーン系汚染防止剤組成物と、非シリコーン系汚染防止剤組成物とが知られている。 例えば、シリコーン系汚染防止剤組成物としては、所定の化学構造式を有するポリシロキサン化合物を含み、ポリシロキサン化合物1分子あたりのアミノ変性基の個数が0.5〜5個である汚染防止剤組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。 また、非シリコーン系汚染防止剤組成物としては、非シリコーン系オイルと、該非シリコーン系オイルを乳化させる乳化剤と、を有し、前記乳化剤が、脂肪酸とアミン化合物との中和物である汚染防止剤組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。

ところが、これらの汚染防止剤組成物においては、当該汚染防止剤組成物を付与した上流側のドライヤーのピッチ汚染は防止することができるものの、それだけでは下流側のドライヤーのピッチ汚染を十分に防止することはできない。このため、複数のドライヤーに対してそれぞれ汚染防止剤組成物を付与する必要がある。 なお、本明細書において、「上流側のドライヤー」とは湿紙の走行に対して上流側に位置するドライヤーを意味し、「下流側のドライヤー」とは湿紙の走行に対して下流側に位置するドライヤーを意味するものとする。

これに対し、所定の化学構造式を有する低分子ポリシロキサン化合物と、所定の化学構造式を有する高分子ポリシロキサン化合物と、を含み、低分子ポリシロキサン化合物の25℃における動粘度が10〜300mm2/sであり、高分子ポリシロキサン化合物の25℃における動粘度が40〜90000mm2/sであり、低分子ポリシロキサン化合物1分子辺りの変性基の個数が0.1〜3.0個であり、高分子ポリシロキサン化合物1分子辺りの変性基の個数が1.0〜10個であり、低分子ポリシロキサン化合物におけるポリシロキサン単位の繰り返し数mと、前記高分子ポリシロキサン化合物におけるポリシロキサン単位の繰り返し数nとが、 2m≦n の関係を満たす汚染防止剤組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。 かかる汚染防止剤組成物においては、上流側のドライヤーに高分子ポリシロキサン化合物が被膜を形成する一方で、低分子ポリシロキサン化合物が湿紙に転移して、当該湿紙により運ばれ、湿紙が案内される下流側のドライヤーに低分子ポリシロキサン化合物が再転移されるため、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を防止することが可能である。

特許第4868628号公報

特許第4828001号公報

特許第4868629号公報

しかしながら、上記特許文献3記載の汚染防止剤組成物においては、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を防止することが可能であるものの、特に下流側のドライヤーにおいてはピッチ汚染を十分に防止できるとはいえない。 すなわち、上記特許文献3記載の汚染防止剤組成物においては、被膜を形成する高分子ポリシロキサン化合物は、湿紙に転移されず、低分子ポリシロキサン化合物のみが湿紙に転移されるため、湿紙に再転移する量(以下「ピックアップ量」という。)が少なく、十分な量を下流側のドライヤーに付与することができないという欠点がある。 また、低分子ポリシロキサン化合物による被膜は極めて弱く、再転移し易いため、仮に下流側のドライヤーに付与されたとしても再度再転移してしまい、当該ドライヤーに残存し難いという欠点もある。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上流側のドライヤーにのみ付与したとしても、湿紙を介して、下流側のドライヤーに十分な量を付与することができ、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を十分に防止することができる汚染防止剤組成物及び汚染防止方法を提供することを目的とする。

本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、汚染防止剤組成物を所定の物性を有する再転移剤を含む構成とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。

本発明は、(1)抄紙機のドライパートにおけるドライヤーに付与され、エマルジョンと、再転移剤と、水とからなり、エマルジョンが、非シリコーンオイル、水及び乳化剤からなるものであり、非シリコーンオイルが、ポリブテン、合成エステル油、鉱物油、植物油及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、乳化剤がアニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤であり、再転移剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、再転移剤の曇点が55℃以上でHLB値が8〜15であり、最大泡圧法による寿命時間100ミリ秒時の動的表面張値が65mN/m以下であり、ドライヤーが、鋳鉄からなり、該鋳鉄に対する接触が70度以下である汚染防止剤組成物に存する。

本発明は、(2)非シリコーンオイル10質量%に対する再転移剤の配合割合が0.1質量%〜10質量%である上記(1)記載の汚染防止剤組成物に存する。

本発明は、(3)再転移剤の配合割合が0.01質量%〜10質量%である上記(1)又は(2)に記載の汚染防止剤組成物に存する。

本発明は、(4)ドライヤーに付与することにより、被膜が形成され、該被膜が湿紙と接することにより被膜の一部が再乳化される上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の汚染防止剤組成物に存する。

本発明は、(5)上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の汚染防止剤組成物を上流側のドライヤーに付与し、被膜を形成させる第1ステップと、湿紙を被膜に接触させることにより、被膜の一部を再乳化させると共に、再乳化した乳化物を湿紙に転移させる第2ステップと、乳化物を有する湿紙を下流側のドライヤーに接触させることにより、乳化物を下流側のドライヤーに付与する第3ステップと、を備える汚染防止方法に存する。

本発明の汚染防止剤組成物においては、エマルジョンが乾燥することにより水分が除去されて被膜が形成され、その後、水分を含む湿紙が接触することにより、当該被膜の一部が再乳化される。 このとき、被膜には、再転移を促進させるための再転移剤が含まれているので、再乳化された汚染防止剤組成物は、速やかに湿紙に再転移することになる。 ここで、再転移剤として、曇点が55℃以上のものを用いることにより、再転移剤を含む汚染防止剤組成物がドライヤーに被膜を形成した際に、ドライヤーで加熱されている間も再転移剤の活性能が失われずに、湿紙への汚染防止剤組成物の再転移を促進することができる。なお、ドライヤーの温度は、一般的に、55℃以上である。 また、再転移剤として、HLB値が8〜15のものを用いることにより、水と被膜との界面を効果的に活性化させ、再乳化を促進することができる。 なお、再転移剤の配合割合は全量に対して0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。

これらのことから、再転移剤として、曇点が55℃以上でHLB値が8〜15のものを用いることにより、被膜が再乳化した乳化物の湿紙へのピックアップ量を向上させることができる。 したがって、例えば、湿紙の走行に対して最も上流側のドライヤーに汚染防止剤組成物を付与すると、湿紙を介して下流側のドライヤーに対しても十分な量を付与することが可能となる。 その結果、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を防止することが可能となる。

本発明の汚染防止剤組成物においては、最大泡圧法による寿命時間100ミリ秒時の動的表面張力値が65mN/m以下とすることにより、被膜と湿紙との間の界面に移動するスピードを速くすることができる。 すなわち、抄紙機において、ドライヤーに汚染防止剤組成物を付与してから、当該ドライヤーが湿紙に接するまでは極めて短時間であるところ、動的表面張力値を上記範囲内とすることにより、再転移剤が被膜を再乳化する機能を迅速に発揮させることが可能となる。

本発明の汚染防止剤組成物においては、ドライヤーが、鋳鉄からなるものとし、鋳鉄に対する接触角を70度以下とすることにより、エマルジョンがドライヤーの表面に沿って被膜を形成し易くなる。

本発明の汚染防止剤組成物においては、再転移剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とすることにより、再乳化の効果を確実に発揮することができる。

本発明の汚染防止剤組成物においては、エマルジョンが、非シリコーンオイル、水及び乳化剤からなる場合、非シリコーンオイル10質量%に対する再転移剤の配合割合は0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。 また、非シリコーンオイルが、ポリブテン、合成エステル油、鉱物油、植物油及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種とすることにより、ドライヤーに簡単に被膜を形成することができ、再乳化もされ易く、且つピッチ汚染を確実に防止することができる。

本発明の汚染防止剤組成物は、ドライヤーに付与することにより、被膜を形成するものであり、また、該被膜が湿紙と接することにより、再転移剤が被膜の一部を再乳化するものである場合、上流側のドライヤーにのみ付与したとしても、湿紙を介して、下流側のドライヤーに十分な量を付与することができ、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を十分に防止することができる。

本発明の汚染防止方法においては、上述した汚染防止剤組成物を用いることにより、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップを経ることで、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を十分に防止することができる。

図1は、本実施形態に係る汚染防止剤組成物を用いた汚染防止方法を示すフローチャートである。

図2は、本実施形態に係る汚染防止方法を説明するための説明図である。

図3は、本実施形態に係る汚染防止剤組成物を用いるドライヤーを示す概略図である。

以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物は、抄紙機のドライパートにおけるドライヤーに付与することにより、ドライヤーのピッチ汚染を防止することができる。 具体的には、上流側のドライヤーにのみ付与したとしても、湿紙を介して、下流側のドライヤーに十分な量を付与することができる。このことにより、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を十分に防止することができる。

汚染防止剤組成物においては、ドライヤーに付与することにより、被膜が形成され、当該ドライヤーのピッチ汚染が防止される。 その後、当該被膜が湿紙と接することにより前記被膜の一部が再乳化され、湿紙に汚染防止剤組成物が転移する。 そして、転移した汚染防止剤組成物は、当該湿紙により運ばれ、下流側のドライヤーにも付与される。 なお、これらの詳細については、後述する。 これにより、本実施形態に係る汚染防止剤組成物によれば、複数のドライヤーに対し全体的にピッチ汚染を十分に防止することができる。

汚染防止剤組成物は、最大泡圧法による寿命時間100ミリ秒時の動的表面張力値は65mN/m以下であることが好ましい。 汚染防止剤組成物の動的表面張力値が65mN/mを超えると、動的表面張力値が上記範囲内にある場合と比較して、再転移剤がドライヤーとエマルジョンとの界面に移動するスピードが遅くなる傾向にある。この場合、瞬時に乳化しなくなり、湿紙へのピックアップ量が不十分となる。 なお、動的表面張力値は、自動動的表面張力計BP−D5(協和界面科学)を使用して、25℃の環境で測定した値である。

汚染防止剤組成物は、鋳鉄に対する接触角が70度以下であることが好ましい。 汚染防止剤組成物の鋳鉄に対する接触角が70度を超えると、接触角が上記範囲内にある場合と比較して、乾燥による水分の除去に時間を要すると共に、均一な被膜を形成し難くなる欠点がある。 なお、接触角は、DropMaster DMs-401、テフロン針18Gを使用して、25℃、湿度50%の環境で測定した値である。

ここで、ドライヤーは一般的に鋳鉄からなる。 したがって、汚染防止剤組成物は、鋳鉄に対する接触角を上記範囲内のものとすることにより、汚染防止剤組成物がドライヤーに付与されると、瞬時に、ドライヤー表面に被膜を形成することが可能となる。 なお、鋳鉄は、鉄を主成分とし、ニッケル、クロム、炭素及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む合金を鋳造したものである。 また、接触角を測定するために用いる鋳鉄は、ドライヤーの鋳鉄と同一であっても、異なっていてもよい。但し、両者は、共に、十点平均粗さ(Rz):0.16μm以下、最大高さ(Rmax):0.21μm以下、算術平均粗さ(Ra):0.04μm以下の鋳鉄であることが好ましい。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物において、エマルジョンは、非シリコーンオイル、水及び乳化剤からなる。すなわち、水を媒体として、乳化剤により非シリコーンオイルを乳化させたものである。 非シリコーンオイルとしては、ギアー油、ドライヤー油、タービン油、スピンドル油等の鉱油、ヤシ油、アマニ油、ヒマシ油、ナタネ油、コーン油等の植物油、流動パラフィン、イソパラフィン、ポリイソブチレン、ポリブテン、マレイン化ポリブテン、合成エステル油、ポリエチレンワックス、マイクロワックス、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。 これらの中でも、非シリコーンオイルは、被膜形成性、ピッチ汚染防止性の観点から、ポリブテン、合成エステル油、鉱物油、植物油及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

乳化剤としては、特に限定されず、公知のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が用いられる。 これらの中でも、乳化剤は、エマルジョンの保存安定性の観点から、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤であることが好ましい。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物において、再転移剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルチオエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル等が挙げられる。なお、これらは、単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。 これらの中でも、再転移剤は、再乳化のし易さの観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。

再転移剤は、曇点が55℃以上であることが好ましい。 曇点が55℃未満であると、曇点が上記範囲内にある場合と比較して、ドライヤーの熱により再転移剤としての機能を失う恐れがある。 なお、曇点は、再転移剤が水溶性である場合、再転移剤が1質量%含まれる水溶液を昇温し、白濁したときの温度である。 また、再転移剤が非水溶性である場合、再転移剤が10質量%含まれる25%(w/w)ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液を昇温し、白濁したときの温度である。

再転移剤は、HLB値が8〜15であることが好ましい。 HLB値が8未満又は15を超えると、HLB値が上記範囲内にある場合と比較して、上述した非シリコーンオイルからなる被膜と、水との界面を十分に活性化させることができない。 なお、HLB値は、公知のグリフィン法により測定した値である。

汚染防止剤組成物において、再転移剤の配合割合は、汚染防止剤組成物全量に対して、0.01質量%〜10質量%であることが好ましい。 汚染防止剤組成物全量に対する再転移剤の配合割合が0.01質量%未満であると、再転移剤の配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、再転移が不十分となり、湿紙へのピックアップ量が少なくなる恐れがあり、汚染防止剤組成物全量に対する再転移剤の配合割合が10質量%を超えると、再転移剤の配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、再転移剤自体がピッチ等と結合し、汚染の原因となる場合がある。

汚染防止剤組成物において、非シリコーンオイル10質量%に対する再転移剤の配合割合は0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。 非シリコーンオイル10質量%に対する再転移剤の配合割合が0.1質量%未満であると、再転移剤の配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、再転移剤が非シリコーンオイルを十分に再転移させることができない恐れがあり、非シリコーンオイル10質量%に対する再転移剤の配合割合が10質量%を超えると、再転移剤の配合割合が上記範囲内にある場合と比較して、非シリコーンオイルによるピッチ汚染の付着防止効果が不十分となる恐れがある。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物は、非シリコーンオイルと、乳化剤と、水とを攪拌混合してエマルジョンとし、当該エマルジョンと、再転移剤と、水とを攪拌混合することにより製造される。 なお、上記攪拌混合においては、ハンドミキサー、ホモジナイザー等が好適に用いられる。なお、サンドミル、ビーズミル、ボールミル等の分散機で分散させてもよい。

次に、上述した汚染防止剤組成物を用いた汚染防止方法について説明する。 図1は、本実施形態に係る汚染防止剤組成物を用いた汚染防止方法を示すフローチャートである。 図1に示すように、本実施形態に係る汚染防止方法は、汚染防止剤組成物を上流側のドライヤーに付与し、被膜を形成させる第1ステップS1と、湿紙を被膜に接触させることにより、被膜の一部を再乳化させると共に、再乳化した乳化物を湿紙に転移させる第2ステップS2と、乳化物を有する湿紙を下流側のドライヤーに接触させることにより、乳化物を下流側のドライヤーに付与する第3ステップS3と、を備える。

図2は、本実施形態に係る汚染防止方法を説明するための説明図である。 図2に示すように、汚染防止方法は、まず、第1ステップS1において、ドライパートの上流側のドライヤー10に汚染防止剤組成物が直接付与される。 このとき、ドライヤー10は、湿紙Wを乾燥させるために、高温となっている。このため、ドライヤー10の表面においては、汚染防止剤組成物に含まれる水の一部が蒸発し、非シリコーンオイルにより被膜1が形成される。なお、被膜1には、再転移剤も含まれている。

次に、第2ステップS2において、走行する湿紙Wが、上流側のドライヤー10に接触すると、湿紙Wが乾燥されると同時に、ドライヤー10表面の被膜1が湿紙Wに含まれる水により、被膜1の一部が再乳化する。このとき、再乳化した汚染防止剤組成物の乳化物1aには、再転移剤が含まれているので、乳化物1aは湿紙Wに転移することになる。 なお、ドライヤーに汚染防止剤組成物を付与してから、湿紙が当該ドライヤーに接触するまでの時間は極めて短く、40ミリ秒〜160ミリ秒である。

次に、第3ステップS3において、湿紙Wが乳化物1aを保持した状態で走行し、下流側のドライヤー11に接触する。 そうすると、湿紙Wの乳化物1aが転移した側が下流側のドライヤー11に接触することになるので、乳化物1aの一部が下流側のドライヤー11に再転移される。 そして、再転移された乳化物1aは、湿紙Wが離れることにより下流側のドライヤー11に再び加熱され被膜を形成する。

一方、下流側のドライヤー11に再転移されなかった乳化物1aは、湿紙Wにより更に下流側のドライヤーに搬送され、同様にして当該ドライヤーに再転移されることになる。 このように、下流側のドライヤーへの汚染防止剤組成物の乳化物1aの付与を繰り返すことにより、複数のドライヤーに対して、汚染防止剤組成物の乳化物1aを付与することが可能となる。 なお、汚染防止方法においては、上流側のドライヤー10に連続的に汚染防止剤組成物を付与することにより、湿紙Wを介して、下流側のドライヤー11にも連続的に汚染防止剤組成物の乳化物が付与される。

本実施形態に係る汚染防止方法においては、上述した汚染防止剤組成物を用いるので、汚染防止剤組成物の湿紙Wへのピックアップ量を増やすことができる。 また、上述した第1ステップS1、第2ステップS2及び第3ステップS3を経ることにより、複数のドライヤーに対し、全体的にピッチ汚染を防止することができる。

次に、本実施形態に係る汚染防止剤組成物の吹き付け位置について説明する。 図3は、本実施形態に係る汚染防止剤組成物を用いるドライヤーを示す概略図である。 図3に示すように、汚染防止剤組成物は、ドライパートDで用いられる。 ドライパートDは、湿紙Wと、該湿紙Wを加熱乾燥するための複数の円筒状のドライヤーD1,D2,D3,D4,D5,D6,D7及びD8(以下「D1〜D8」という。)と、湿紙をドライヤーD1〜D8に押し付けるカンバスK1,K2と、カンバスK1,K2を案内するカンバスロールKRと、乾燥した湿紙Wの平滑性と紙厚を緩やかに調整するブレーカースタックロールBと、乾燥した湿紙Wの平滑性と紙厚を調整するカレンダーロールCと、を備える。

ドライパートDにおいては、ドライヤーD1〜D8の表面に湿紙WがカンバスK1,K2により圧接される。これにより、湿紙WがドライヤーD1〜D8に付着し、同時に加熱乾燥されるようになっている。 その後、湿紙Wは、ブレーカースタックロールBに挟持され、次いで、湿紙Wは、カレンダーロールCにより高密度化される。

汚染防止剤組成物は、ドライパートDの最上流側のドライヤーD1に対して、矢印Aの位置で汚染防止剤組成物が付与される。 なお、汚染防止剤組成物の付与方法は特に限定されず、例えば、散布ノズル等を用いたシャワー方式や噴霧方式等が用いられる。

汚染防止剤組成物をドライヤーD1の矢印Aの位置で付与された後は、ドライヤーD1が回動して湿紙Wが案内されると共に、汚染防止剤組成物の乳化物が当該湿紙Wに転移する。 そうすると、汚染防止剤組成物の乳化物が湿紙Wにより運ばれ、湿紙が案内される下流側のドライヤーD3に再転移され、更に下流側のドライヤーD5に再転移され、更に下流側のドライヤーD7に再転移される。 一方、ドライヤーD2の矢印Aの位置で付与された汚染防止剤組成物は、湿紙が案内される下流側のドライヤーD4に再転移され、更に下流側のドライヤーD6に再転移され、更に下流側のドライヤーD8に再転移される。 このように、再転移を繰り返すことにより、ドライヤーD1〜D8に対し、全体的に汚染防止剤組成物又はその乳化物が付与され、ピッチ汚染を防止することが可能となる。

このとき、汚染防止剤組成物の散布量は、湿紙の通過面積当たりの不揮発分量として、0.02mg/m2〜2.0mg/m2であることが好ましい。 散布量が0.02mg/m2未満であると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止剤組成物が十分にドライヤーの表面に付着せず、ピッチ汚染を十分に防止できない場合がある。また、散布量が2.0mg/m2を超えると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止剤組成物自体が汚染の原因となる虞がある。

以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物は、エマルジョンと、再転移剤と、水とからなっているが、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、分散剤、粘度調整剤、固体潤滑剤、湿潤剤、ダスティング防止剤、離型剤、接着剤、表面修正剤、洗浄剤、紙力増強剤、サイズ剤、歩留向上剤、撥水剤、撥油剤、防滑剤、柔軟剤等の添加剤が含まれていてもよい。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物においては、汚染防止剤組成物をドライヤーに付与しているが、ドライヤーのみならず、カンバス、カンバスロール、カレンダーロール、ブレーカースタックロール等に付与してもよい。

本実施形態に係る汚染防止剤組成物においては、ドライヤーを鋳鉄からなるものとしているが、別の材質からなるものであってもよい。

以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

(実施例1) 流動パラフィン(非シリコーンオイル)10質量部、ポリカルボン酸アミン(乳化剤、アニオン性界面活性剤)0.1質量部、ステアリン酸アミン(乳化剤、アニオン性界面活性剤)0.1質量部、及び、精製水88.8質量部を含むエマルジョンに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(再転移剤、曇点:62℃、HLB:8.1)1.0質量部を加え、攪拌混合することにより、汚染防止剤組成物のサンプルAを作製した。 サンプルAの100ミリ秒動的表面張力値は45mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は50度であった。

(実施例2) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(再転移剤、曇点:79℃、HLB:14.7)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルBを作製した。 サンプルBの100ミリ秒動的表面張力値は49mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は54度であった。

(実施例3) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(再転移剤、曇点:60℃以上、HLB:14.9)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルCを作製した。 サンプルCの100ミリ秒動的表面張力値は62mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は68度であった。

(実施例4) 流動パラフィンの代わりに、ヒマシ油(植物油、非シリコーンオイル)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルDを作製した。 サンプルDの100ミリ秒動的表面張力値は52mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は60度であった。

(実施例5) 流動パラフィンの代わりに、ヒマシ油(植物油、非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(再転移剤、曇点:60℃以上、HLB:13.6)1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルEを作製した。 サンプルEの100ミリ秒動的表面張力値は43mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は52度であった。

(実施例6) 流動パラフィンの代わりに、エステル合成油(非シリコーンオイル)10質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルFを作製した。 サンプルFの100ミリ秒動的表面張力値は50mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は62度であった。

(実施例7) 流動パラフィンの代わりに、エステル合成油(非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル(再転移剤、曇点:80℃以上、HLB:13.8)1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルGを作製した。 サンプルGの100ミリ秒動的表面張力値は42mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は50度であった。

(比較例1) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルHを作製した。 サンプルHの100ミリ秒動的表面張力値は72mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は102度であった。

(比較例2) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:53℃、HLB:6.5)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルIを作製した。 サンプルIの100ミリ秒動的表面張力値は66mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は85度であった。

(比較例3) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:52℃、HLB:8.0)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルJを作製した。 サンプルJの100ミリ秒動的表面張力値は66mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は76度であった。

(比較例4) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:62℃、HLB:7.8)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルKを作製した。 サンプルKの100ミリ秒動的表面張力値は66mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は79度であった。

(比較例5) ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:100℃以上、HLB:16.0)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルLを作製した。 サンプルLの100ミリ秒動的表面張力値は67mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は85度であった。

(比較例6) 流動パラフィンの代わりに、ヒマシ油(植物油、非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルMを作製した。 サンプルMの100ミリ秒動的表面張力値は69mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は82度であった。

(比較例7) 流動パラフィンの代わりに、ヒマシ油(植物油、非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:53℃、HLB:6.5)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルNを作製した。 サンプルNの100ミリ秒動的表面張力値は68mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は78度であった。

(比較例8) 流動パラフィンの代わりに、ヒマシ油(植物油、非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:100℃以上、HLB:16.0)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルOを作製した。 サンプルOの100ミリ秒動的表面張力値は68mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は80度であった。

(比較例9) 流動パラフィンの代わりに、エステル合成油(非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルPを作製した。 サンプルPの100ミリ秒動的表面張力値は70mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は90度であった。

(比較例10) 流動パラフィンの代わりに、エステル合成油(非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:53℃、HLB:6.5)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルQを作製した。 サンプルQの100ミリ秒動的表面張力値は66mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は73度であった。

(比較例11) 流動パラフィンの代わりに、エステル合成油(非シリコーンオイル)10質量部を用い、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの代わりに、別のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(曇点:100℃以上、HLB:16.0)1.0質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、汚染防止剤組成物のサンプルRを作製した。 サンプルRの100ミリ秒動的表面張力値は67mN/mであり、鋳鉄に対する接触角は75度であった。

(評価方法) 1.防汚試験 5×25cm角のステンレス板に実施例1〜7及び比較例1〜11で得られたサンプルをそれぞれ0.2gずつ散布し、80℃で加熱乾燥した。 次に、5×25cm角の広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)を水分率60%になるように調整し、これを、上記ステンレス板上のサンプルに、30g/cm2の接圧で10秒間接触させた。こうして、サンプルの一部をLBKPに転移させた。 次に、別のステンレス板を準備し、これに上記LBKPを30g/cm2の接圧で10秒間接触させ、サンプルをLBKPから別のステンレス板に再転移させた。 次に、別のステンレス板に対し、再転移したサンプルを挟むようにして、耐熱テープ(商品名:No.5413、スリーエムジャパン株式会社製)を貼り付け、80℃で加熱した。 そして、耐熱テープを剥がすときの力の大きさを測定した。なお、値が小さいほど、ピッチが剥離しやすい(ピッチが付着しにくい)ことを意味し、防汚効果が高いといえる。なお、ブランクとして、ステンレス板にサンプルを散布しない場合についても測定した。 得られた結果を表1に示す。

2.実機評価 図3に示す矢印Aの位置でドライヤーD1に対し、実施例1,5,7及び比較例1,2,5,6,7,9,10のサンプルを5cc/min散布し、60分間稼働させた。 また、ドライヤーD1,D3,D5,D7、それぞれには、図示しないドクターブレード(ドライヤー汚れ除去装置)を各ドライヤーに接するように設置した。 そして、各ドライヤーにおいて、ドクターブレードに蓄積したピッチの有無を目視で観察した。 得られた結果を表1に示す。

表1の結果より、実施例1〜7のサンプルは、比較例1〜11及びブランクのサンプルと比較してテープ剥離力が低かった。特に、実施例4〜7のサンプルは、テープ剥離力が極めて低く、その効果が顕著に表れることがわかった。このことから、本発明の汚染防止剤組成物は、ピッチの付着防止効果があることがわかった。 また、実機での試験において、実施例5,7のサンプルは、下流側のドライヤーであっても十分な汚染防止効果を発揮していた。一方、比較例5〜7及び9、10のサンプルはいずれも、ドライヤーD1のピッチ汚染を防止できるものの、下流側のドライヤーのピッチ汚染を防止することはできなかった。

本発明の汚染防止剤組成物は、紙の抄造の際に、ドライパートのドライヤーに付与して用いられる。本発明の汚染防止剤組成物によれば、複数のドライヤーに対して全体的にピッチ汚染を防止することができるので、紙の製造における歩留まりを極めて向上させることができる。

1・・・被膜 1a・・・乳化物 10,11・・・ドライヤー B・・・ブレーカースタックロール C・・・カレンダーロール D・・・ドライパート D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8・・・ドライヤー K1,K2・・・カンバス KR・・・カンバスロール S1・・・第1ステップ S2・・・第2ステップ S3・・・第3ステップ W・・・湿紙

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