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Papermaking belt manufacturing method using a papermaking belt and differential light transmission technology

申请号 JP51261191 申请日 1991-06-14 公开(公告)号 JP3145115B2 公开(公告)日 2001-03-12
申请人 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー; 发明人 デニス トロカーン,ポール; デイビッド ブーチリアー,グレン;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】補強構造と感光性樹脂材料から成るフレームとを有し、前記フレームは、第1面と、第2面と、第1面と第2面との間に延在する導溝を有し、前記フレームの第1面は前記導溝を画成するように形成された紙側ネットワークを有し、前記フレームの第2面は前記導溝とは別の通路を備えた裏側ネットワークを有し、前記通路が前記裏側ネットワークの凹凸により形成される抄紙ベルトの製造方法において、 (a)加工面を有する形成ユニットを準備する段階と、 (b)紙側と、前記紙側の反対側の機械側と、間隙と、
    複数の構造要素から成る補強要素とを有し、前記補強要素の第1部分は第1不透明度を有し、前記補強要素の第2部分は前記第1不透明度より低い第2不透明度を有し、前記第1不透明度は、感光性樹脂材料が未硬化状態であり、前記第1部分が感光性樹脂材料と化学光源との間に配置されているとき、感光性樹脂材料を硬化させない程度の不透明度であり、前記第2不透明度は、感光性樹脂材料を硬化させる程度の不透明度であり、前記第1
    部分が第1投影区域を画成する補強構造を準備する段階と、 (c)前記補強構造の前記機械側の少なくとも一部を前記形成ユニットの前記加工面と接触させる段階と、 (d)液状感光性樹脂被覆をその被覆が第1面と第2面とを形成するように前記補強構造の少なくとも一側に設け、前記被覆は、その第2面の少なくとも一部が前記形成ユニットの前記加工面に隣接して位置するように分布され、前記被覆の前記第2面の一部が前記補強要素の第1部分と形成ユニットの加工面との間に位置され、前記補強構造の紙側が前記被覆の第1面と第2面との間に位置され、前記被覆の第1面と前記補強構造の前記紙側との間に配置された前記被覆部分が樹脂オーババートンをなす段階と、 (e)前記樹脂オーババートンの厚さを所定値に制御する段階と、 (f)不透明区域と透明区域とを有し、前記不透明区域が前記透明区域と共に所定のパタンを画成するマスクを準備する段階と、 (g)前記マスクを前記液状感光性樹脂被覆と化学光源との間に位置させ、前記マスクを前記被覆の前記第1面と接触させ、前記マスクの前記不透明区域が前記被覆の一部を前記光源の光線から遮断し、前記マスクの前記透明区域が前記被覆の他の部分を非遮断にする段階と、 (h)前記液状感光性樹脂被覆を前記マスクと補強構造とを通して前記光源からの活性化波長の光に露出することで、前記液状感光性樹脂被覆のマスクによって遮断されない部分および前記補強構造の前記第2部分の硬化可能な被覆部分とを硬化させ、前記マスクによって遮断された部分および前記補強構造の前記第1部分と形成ユニットの加工面との間に配置された被覆部分を未硬化状態に残って、部分的に成形された複合体ベルトを形成する段階と (i)前記部分的に成形された複合体ベルトから前記未硬化の液状感光性樹脂の実質的に全部を除去して硬化された樹脂フレームを残し、前記フレームは、前記マスクの不透明区域によって前記光線から遮断された区域に複数の導溝と、前記補強構造の前記第1部分によって硬化されない被覆の第2面の部分に対応して前記フレームの裏側ネットワークに凹凸状溝を成す通路を形成する段階と を有することを特徴とする抄紙ベルトの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は一般に、強い柔らかな吸収性紙製品の製造のために抄紙機において使用される抄紙ベルトに関するものである。 また本発明は、このような抄紙ベルトの製造法およびこれらの抄紙ベルトを使用する抄紙工程に関するものである。 さらに詳しくは、本発明は、樹脂性フレームと補強構造とから成り、機械接触側面または裏側面にテキスチャーを有する抄紙ベルトに関するものである。 不透明部分を有する補強構造に対して感光性樹脂材料の被覆を被着させ、次に前記補強構造を通して前記樹脂材料を活性化波長の光に露出し、前記補強構造の不透明部分の下方にある樹脂材料を未硬化状態に残し、次に未硬化樹脂を除去してベルトの裏側面に通路を残す事によってテキスチャーを前記抄紙ベルトに加える。

    発明の背景 現代の工業化社会の日常生活において普及した1つの特徴は種々の目的から紙製品を使用するためにある。 紙タオル、顔チシュー、トイレット、チシューなどがほとんど定常的に使用されている。 このような紙製品に対する大きな需要から、種々の改良製品およびその製造法が要求されている。 製紙産業における大きな進歩にも関わらず、改良製品とその製法に関する研究と開発の努が続けられている。

    紙タオル、顔チシュー、トイレット、チシューなどの製品は、1枚または複数のチシューペーパ ウエブから成る。 これらの製品がその所望の作業を実施しまた広く受け入れられるためには、これらの製品およびその材料となりチシューペーパ ウエブはいくつかの物性を有しなければならない。 その物性の重要なものは、強さ、柔らかさおよび吸収性である。

    強さとは紙ウエブがその使用中に一体性を保持する能力である。

    柔らかさとは、紙を手の中でほぐして所望の目的に使用する際に受ける気持ち良い触覚である。

    吸収性とは、紙が流体、特におよび水溶液と懸濁液を吸収して保持する特性である。 紙の吸収性を評価する際に、一定量の紙の保持する流体の絶対量のみならず、
    紙が流体を吸収する速度も重要である。 さらに、紙がタオルまたは拭き紙などの製品として形成される際に、流体を紙の中に吸収して、乾燥した拭きとられた表面を残す能力も重要である。

    チシュー、タオルおよび衛生製品に使用される紙製品の製造方法は、紙繊維の水性スラリを準備し、次にこのスラリから脱水すると同時にスラリ中の繊維を再配列して紙ウエブを形成するにある。 脱水プロセスを補助するため、各種の装置を使用する事ができる。

    現在、多くの抄紙工程は、長網抄紙機として公知の機械、またはツインワイヤ抄紙機として公知の機械を使用する。 長網抄紙機においては、紙スラリが、初期抄紙面としての走行無限ベルトの上に供給され、またツインワイヤ抄紙機においては、スラリは一対の相互に集中するワイヤの間に配置され、繊維の初期脱水および再配列が実施される。

    前記の両方の型の抄紙機は、一般にそのワイヤの上で紙ウエブを最初に形成した後に、このウエブを乾燥処理のため、最初のワイヤと異なる無限ベルトの形の他のファブリックの上に搬送する。 このファブリックはしばしば乾燥ファブリックと呼ばれる。 多くの構造の長網ワイヤおよび乾燥ファブリックと乾燥プロセスが使用されて、あるものは効果的であり、あるものはやや劣る。 この乾燥処理は、ウエブの機械的圧縮、真空脱水、熱空気の吹き通しによる乾燥その他の型を含む。

    前述のように、抄紙機ベルトまたはファブリックはその所望の用途に従って種々の名称がある。 長網ワイヤは長網ベルト、形成ワイヤ、または形成ファブリックとも呼ばれ、抄紙機の初期形成区域において使用されるものである。 乾燥ファブリックは前述のように紙ウエブを抄紙の乾燥区域の中に搬送するものである。 その他の種々の型のベルトまたはファブリックがありうる。 従来使用されている多くの抄紙ベルトは一般に織布から成り、この織布の両端が継ぎ目において相互に接合されて無限ベルトを成す。 一般に織成された抄紙ファブリックは複数の相互に離間された縦糸と横糸とを含み、これらの横糸と縦糸が特定の織成パタンで相互に織成されている。 先行技術のベルトには、単層ファブリック(縦糸または横糸から成る)、多層ファブリック、および縦糸と横糸を織り合わせて成る複数層を有するファブリックがある。
    初期においては、抄紙ファブリックの糸はリン青銅、青銅、ステンレス鋼、黄銅またはその組合せの材料のワイヤで製造されていた。 脱水プロセスを効率的にするため、しばしばファブリックの上に種々の材料を配置して固着させた。 最近製紙工業において、ワイヤ構造を製造するために全部または一部、合成材料を使用する事ができ、これらの材料は品質において金属糸の形成ワイヤよりすぐれている事が発見された。 このような合成材料はナイロン、ポリエステル、アクリル繊維および共重合体を含む。 これらの繊維の種々の処理法、そのファブリックおよび配列が試みられたが、その特定のもののみが商業的に有効な紙製品を生じる事ができた。

    消費者一般によって広く受け入れられている紙ウエブの一例は米国特許第3,301,746号に記載の方法によって製造されたものである。 他の広く受け入れられている紙製品は、米国特許第3,994,771号に記載の方法によって製造されたものである。 しかしこれらの2つの方法によって製造された製品の品質が高いにも関わらず、前述のようにさらに優れた製品の研究が続けられている。

    紙ウエブに関するその他の商業的に重要な改良が米国特許第4,529,480号に記載されている。 この改良は、感光性硬化樹脂フレームによって包囲された多孔性織布部材から成る抄紙ベルト(「片寄らせ部材」と呼ばれる)
    を使用するにある。 この樹脂フレームは、「片寄らせ導溝」と呼ばれる複数の別々の、相互に離間されたチャンネルを備える。 このような片寄らせ部材を使用する方法は、特に抄紙繊維の初期ウエブを片寄らせ部材の上面と接触させ、この片寄らせ部材の裏側面(機械接触面)からウエブに対して真空またはその他の流体差圧を加える段階を含む。 この方法において使用される抄紙ベルトが「片寄らせ部材」と呼ばれるのは、流体差圧を加えた時に抄紙ファイバが硬化樹脂フレームの片寄らせ導溝の中に片寄らされて再配列されるからである。 このような改良抄紙工程を使用する事により、下記に述べるように、
    ついに一定所望の特性を有する紙を製造する事が可能になった。

    前記のトロカン特許に記載の片寄らせ部材はジョソンほかの米国特許第4,514,345号に記載の方法によって製造された。 この方法は、(1)多孔性織布要素を感光性樹脂によって被覆する段階と、(2)感光性樹脂の厚さを所定値に制御する段階と、(3)不透明区域および透明区域を有するマスクを通して活性化波長の光に対して前記樹脂を露出する段階と、(4)未硬化樹脂を除去する段階とを含む。 この方法により、それぞれ本質的に平坦なまたは平滑な前記導溝を包囲するネットワークパタンを備えた紙ウエブ接触面と機械接触面とを有するフレームを有する片寄らせ部材が製造された。

    米国特許第4,529,480号に記載の方法を使用して製造される紙はトロカンの米国特許第4,637,859号に記載されている。 この特許を引例とする。 この紙は、その表面にそって分布された2つの物理的に相違する区域を有する事を特徴とする。 一方の区域は比較的高い密度と高い固有強さとを有する連続ネットワーク区域である。 他の区域は前記のネットワーク区域によって完全に包囲された複数のドームから成る区域である。 後者の区域のドームは、ネットワーク区域と比較して比較的低い密度および比較的低い固有強さとを有する。

    前記の米国特許第4,529,480号に記載の方法によって作られた紙は実際に二、三のファクタから前記の各方法によって作られた紙よりも強く、柔らかでまた吸収性であった。 この紙の強さは、ネットワーク区域の比較的高い固有強さの故に増大された。 またこの紙の柔らかさは、紙の表面の複数の低密度ドームの故に増大された。
    また紙の保持する流体の絶対量(紙の吸収性を決定する主たるファクタの1つ)は、紙の全体密度が低下されたので増大された。

    前述の改良された方法はきわめて効果的ではあるが、
    前記の方法の片寄らせ部材が製紙工程の真空脱水装置の上を通過する時に、二、三のの望ましくない現象が生じる事が発見された。 この問題になる現象は、紙ウエブの多数の部分的に脱水された繊維が片寄らせ部材を完全に通過する事である。 これは、可動的な紙繊維によって真空脱水装置を閉塞させるという望ましくない結果を生じる。 他の望ましくない現象はこのような可動的紙繊維が脱水装置の表面に堆積して塊を形成する傾向であった。
    このような繊維の堆積の結果、平滑な裏側面を有する従来の抄紙ベルトが抄紙工程中に脱水装置の上を繰り返し走行した後に、シワを生じ、特に長手方シワを発生し、
    その結果、製造される紙の水分および物性について問題を生じるのみならず、抄紙ベルトが場合によって破損する。

    これらの先行技術のベルトについて見られる大きな問題点は、ベルトのコストが比較的高い事である。 多くの場合、これらのベルトの中に含まれる多孔性織布要素の製造には、大型の高価な織機を含めて費用のかかるテキスタイル処理操作を必要としたし今も必要としている。
    またこれらの織布要素の中に相当量の比較的高価なフィラメントが合体される。 一般に乾燥工程を通過するベルトにとって必要な高温耐性フィラメントを使用する場合にはベルトのコストがさらに増大する。

    ベルトそのもののコストのほかベルトの破損は抄紙工程の効率に対して大きな意味をもっている。 また抄紙ベルトの折損の頻度が高ければ、代替ベルトを抄紙機に取り付ける際の抄紙機の時間的ロス(すなわち抄紙機の「停止時間」)の故に抄紙業務の経済性に大きな影響を与える可能性がある。

    米国特許第4,529,480号に記載の抄紙方法が開発された時、片寄らせ導溝の中に繊維を片寄らせて再配列させるのに必要な真空圧を所望のように急激に加えて紙の中にドーム区域を形成するためには、樹脂フレームの(機械接触面)下側面に形成されるネットワークが本質的に平坦でなければならないと考えられていた。

    理論に拘束されるつもりはないが、先行技術の平滑な裏側面を有する抄紙ベルトを使用する際に生じる問題は、少なくとも部分的には、紙ウエブが真空脱水装置の上を通過する際にこのウエブに対して真空圧縮が極端に急激に加えられる事の結果であったと思われる。 実際に、先行技術の平滑な裏側面の抄紙ベルトは真空源の上においてシールを一時的に形成すると思われる。 この場合、真空圧が先行技術の抄紙ベルトの開放チャンネル(片寄らせ導溝)に遭遇した時、樹脂フレームの上部に配置されたウエブの水分を含む可動性の繊維に対してきわめて急激に真空圧が加えられる。 その結果として、可動繊維を抄紙ベルトの中を完全に通過させるような可動繊維の急激な片寄りを生じたと思われる。 真空圧の急激な付与と繊維の泳動は、仕上がり紙のドーム区域におけるピンホールを生じる原因となると思われ、このピンホールはすべての場合ではないが二、三の場合には望ましくない。

    真空脱水装置の表面における過度の堆積に関する他の理論は、先行技術の抄紙ベルトの平滑な裏側面は適当なテキスチャーを持たなかった事である。 真空脱水装置の上を走行する抄紙ベルトの摩耗作用によって脱水装置の表面に堆積した紙繊維を除去するためには、一定量の表面テキスチャーが必要であると思われる。

    従って、抄紙工程において使用される真空脱水装置上の可動的繊維の堆積によって妨げられない改良型抄紙方法が必要となる。 従ってまたこのような問題を除去する改良型の抄紙ベルトとその製造方法が必要となる。

    故に本発明の目的は前述のように可動的繊維の泳動が実質的に低減されまたは排除された改良型抄紙方法を提供するにある。

    また本発明の目的は先行技術の抄紙ベルトについて見られた真空脱水装置上の繊維の堆積の問題を実質的に低減する抄紙ベルトを提供するにある。

    本発明の他の目的は、抄紙工程に使用される真空脱水装置の表面の繊維の堆積による抄紙ベルトのシワと破損を低減させるにある。

    また本発明の目的は、仕上がり紙ウエブのドーム区域におけるピンホールを除去する事のできる抄紙方法を開発するにある(このようなピンホールが特殊の紙の望ましい紙の特性である場合以外)。

    さらに本発明の目的は裏側面に表面不規則テキスチャーを生じる通路を有する抄紙ベルト、および抄紙ベルト全体の強さを低下させる事なくこのような通路をベルトに形成する事のできる抄紙ベルト製造方法を提供するにある。

    本発明のさらに他の目的は、本発明の抄紙工程に使用した時に、先行技術の抄紙ベルトより長い寿命を有する抄紙ベルト、およびこの抄紙ベルトの経済的製造法を提供するにある。

    以下、本発明を図面に示す実施例について説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

    本発明の概要 本発明の裏側面にテキスチャーを有する抄紙ベルトは2つの主要素、すなわちフレームと補強構造とから成る。 本発明の抄紙ベルトがその好ましい形状にある時、
    これは紙接触面と、この紙接触面の反対側にあって抄紙工程に使用される装置と接触するテキスチャード裏側面とを有する無限ベルトである。 フレームは硬化重合体の感光性樹脂フレームであって、このフレームはベルトの紙接触面を画成する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と第2面との間に延在する導溝とを有する。 フレームの前記第1面は紙側ネットワークを形成され、このネットワークが前記の導溝の開口を包囲し画成する。 フレームの第2面は裏側ネットワークを有し、このネットワークは前記の導溝とは異なる通路を形成されている。 これらの通路は、この第2面裏側ネットワークの中に表面不規則テキスチャーを成す。 前記フレームの第1面とフレームの第2面の少なくとも一部の間に補強構造が配置され、この補強構造はフレームを補強するのに役立つ。 この補強構造は紙対向面と、この側面と反対側の機械対向面とを有する。 また補強構造は間隙と、複数の構造要素から成る補強要素とを有する。 前記補強要素の第1部分は第1不透明度を有し、また第2部分は前記第1不透明度より低い第2不透明度を有する。
    前記第1不透明度は、フレームを成す感光性樹脂がその未硬化状態にありまた前記補強要素の第1部分が前記感光性樹脂と化学光源との間に配置される時に前記感光性樹脂の硬化を実質的に防止するのに十分であり、前記第2不透明度は樹脂を硬化させるに十分であり、また第1
    部分は第1投影区域を画成する。 フレームの裏側面の通路の補強構造に対する相対位置は、これらの通路が主として前記の第1投影の中に配置されるように設計される。

    本発明の抄紙ベルトの製造法は、 (a)テキスチャード加工面を有する形成ユニットを準備する段階と、 (b)紙対向面と、前記紙対向面の反対側の機械対向側面と、間隙と、複数の構造要素から成る補強要素とを有する補強構造を準備し、前記補強要素の第1部分は第1
    不透明度を有し、また前記補強要素の第2部分は前記第1不透明度より低い第2不透明度を有し、前記第1不透明度は、感光性樹脂がその未硬化状態にありまた前記補強要素の第1部分が感光性樹脂と化学光源との間に配置されている時に、フレームを成す感光性樹脂の硬化を実質的に防止するのに十分であり、また前記第2不透明度は樹脂を硬化させるに十分であり、また前記第1部分が第1投影区域を画成するようにする段階と、 (c)前記補強構造の前記機械対向側面の少なくとも一部を前記形成ユニットの前記加工面と接触させる段階と、 (d)前記補強構造の少なくとも一方の側面に対して液状感光性樹脂の被覆を被着させて前記被覆が第1面と第2面とを有するように成し、前記被覆は、その第2面の少なくとも一部が前記形成ユニットの前記加工面に隣接配置されるように分布され、前記被覆の前記第2面の一部が前記補強要素の第1部分と形成ユニットの加工面との間に配置され、また前記補強構造の紙対向面が前記被覆の第1面と第2面との間に配置され、ここに前記被覆の第1面と前記補強構造の前記紙対向面との間に配置された前記被覆部分が樹脂オーババードンを成す段階と、 (e)前記オーババードンの厚さを所定値に制御する段階と、 (f)不透明区域と透明区域とを有し、前記不透明区域が前記透明区域と共に所定のパタンを画成するように成されたマスクを準備する段階と、 (g)前記マスクを前記液状感光性樹脂被覆と化学光源との間に配置し、前記マスクを前記被覆の前記第1面と接触させ、前記マスクの前記不透明区域が前記被覆の一部を前記光源の光線から遮断し、前記マスクの前記透明区域が前記被覆の他の部分を非遮断状態に残す段階と、 (h)前記液状感光性樹脂の被覆を前記マスクと補強構造とを通して前記光源からの活性化波長の光に露出する事によって、前記液状感光性樹脂被覆のマスクによって遮断されない区域と前記補強構造の前記第2部分が硬化を可能とする被覆部分とを硬化させ、前記マスクによって遮断された部分および前記補強構造の第1部分と形成ユニットの加工面との間に配置された被覆部分を未硬化状態に残して、部分的に形成された複合体ベルトを形成する段階と、 (i)前記未硬化の液状感光性樹脂の実質的に全部を前記の部分的に形成された複合体ベルトから除去して、硬化された樹脂フレームを残し、前記フレームは、前記マスクの不透明区域によって前記光線から遮断されていた区域に複数の導溝を有し、また前記フレームは、前記補強構造の前記第1部分によって硬化を防止された被覆の第2面の部分に対応して前記フレームの裏側ネットワーク部分の中に表面不規則テキスチャーを成す通路を有する段階とを含む。

    本発明の強い柔らかな吸収性紙ウエブの製造法は、 (a)抄紙繊維の水性分散系を準備する段階と、 (b)多孔性表面上において前記分散系から抄紙繊維の初期ウエブを形成する段階と、 (c)前記初期ウエブを本発明の抄紙ベルトの紙接触面と接触させる段階と、 (d)前記抄紙ベルトと初期ウエブを真空源上を走行させて、前記真空源によって前記初期ウエブに対して流体差圧を加え、その際に前記流体差圧は前記抄紙ベルトの裏側面から前記抄紙ベルトの導溝を通して加えられて、
    前記初期ウエブ中の抄紙繊維の少なくとも一部を前記抄紙ベルトの導溝の中に片寄らせまた前記導溝を通して前記初期ウエブから脱水し、前記抄紙繊維を再配列して前記抄紙繊維の中間ウエブを形成し、この場合に前記片寄らせは前記初期ウエブからの脱水の開始より遅くなく開始される段階と、 (e)前記中間ウエブを前記抄紙ベルトと押圧面との間に介在させる事によって前記中間ウエブの中に前記抄紙ベルトの前記紙側ネットワークを刻印して、抄紙繊維の刻印されたウエブを形成する段階と、 (f)前記の刻印されたウエブを乾燥する段階とを含む。

    図面の簡単な説明 第1図は、本発明の方法を実施するための連続抄紙機の実施態様の略図、 第1A図は、本発明の抄紙ベルトの導溝の中に片寄らされる前に部分的に形成された抄紙繊維ウエブを示す簡略断面図、 第1B図は、前記抄紙繊維が抄紙ベルトの1つの導溝の中に片寄らされた後の初期ウエブの一部の断面図、 第2図は本発明の抄紙ベルトの好ましい実施態様の一部の平面図、 第3図は第2図の3−3線にそった断面図、 第4図は第2図の4−4線にそった断面図、 第5図は単層補強構造を有する本発明の抄紙ベルトの他の実施態様の一部の平面図、 第5A図は第5図の5A−5A線にそった断面図、 第5B図は第5図の5B−5B線にそった断面図、 第6図は本発明の抄紙ベルトにおいて使用できる好ましい織布多層補強構造の拡大平面図、 第7図は第6図の7−7線にそった補強構造の拡大断面図、 第8図、第9図、第10図および第11図はそれぞれ第6
    図の8−8線、9−9線、10−10線および11−11線にそった拡大断面図、 第11A図は第8図と類似であるが周囲のフレームの一部を示し、底縦糸が不透明な本発明による織布補強構造の型を示す断面図、 第11B図は第11A図と類似であるが底縦糸が1つおきに不透明な本発明による織布補強構造の他の型を示す断面図、 第11C図は、補強構造の表面に不透明物質でパタンが印刷された本発明による補強構造の1つの型を示す第6
    図と類似の平面図、 第12図は補強構造の一部の平面図であって、フレームの一部を補強構造の周囲に残存した図、 第12A図は、補強構造の投影区域に対する通路および表面不規則テキスチャーの位置を示す第12図の一部の断面図、 第13図は補強構造の一部の投影補強面積を示す第6図と類似の平面図、 第14図は補強構造の投影縦糸区域を示す第13図と類似の平面図、 第15図は第8図と類似の補強構造の断面図であって、
    第14図の投影縦糸区域を他の度から見た図、 第16図は第13図および第14図と類似の補強構造の他の平面図であって、補強構造の投影横糸区域を示す図、 第17図は第7図と類似の断面図であって、第16図の投影横糸区域を他の角度から見た図、 第18A図は補強構造の投影ナックル区域を示す補強構造の平面図、 第18B図は、補強構造の投影ナックル区域を他の角度から見た第7図と類似の断面図、 第18C図は、補強構造の他の投影ナックル区域を他の角度から見た第8図と類似の断面図、 第19図は本発明の抄紙ベルトの好ましい導溝開口のゼオメトリーを示す平面図、 第19A図と第19B図はそれぞれフレームの第1表面と第2表面のナックル投影面積の平面図、 第20図は他の好ましい導溝開口のゼオメトリーの拡大略図、 第21図は本発明の抄紙ベルトの一部の拡大断面図であって、その裏側面の通路とテキスチャーの細部を示す図、 第22A図、第22B図および第22C図はそれぞれ本発明の抄紙ベルトの種々の型の裏側面テキスチャーリングを示す断面図、 第22D図は補強要素の突出部分を示す断面図、 第23A図は先行技術の抄紙ベルトが真空脱水装置に遭遇した場合の問題点を示す略図、 第23B図は本発明の抄紙ベルトが第23A図に示す問題点を軽減する状態を示す略図、 第24図は裏側面テキスチャーを有する抄紙ベルトと有しない抄紙ベルトのそれぞれの真空圧に対する対応を示す時間/差圧グラフ、 第25図は本発明の抄紙ベルト製造装置の略図、 第26図は第25図の装置の後硬化ユニットの拡大図、 第27図は不透明ヤーンを有する織布多層補強構造上の感光性樹脂を形成する事によって本発明の抄紙ベルトを製造する方法を示す略図、 第28図は第27図の28−28線に沿った断面図であって、
    形成面の一部と、未硬化状態に留まって本発明の裏側面のテキスチャーを形成する感光性樹脂部分とを示す拡大断面図、 第29図は第28図の補強構造の他の実施態様を示す第28
    図と類似の拡大断面図、 第30図は本発明の抄紙ベルトの裏面にそった空気漏れ量の測定に使用されるテスト装置の部分平面図、 第31図は第30図のテスト装置の回路を示す側面図、 第32図は前記のテスト装置に使用される流量計の校正グラフ、 第33A図は本発明の改良を有しない抄紙ベルトの上側面の約25倍拡大平面写真、 第33B図は第33A図の抄紙ベルトの裏側面の同様の写真、 第34A図は本発明の第1実施態様によって作成された抄紙ベルトの25倍拡大平面写真であって、その上側面に対する垂線に対して約35゜の角度でとられた写真、 第34B図は第34A図の抄紙ベルトの裏側面の同様の写真、 第34C図は第34A,B図の抄紙ベルトの同様の断面写真である。

    発明の詳細な説明 以下、本発明の抄紙ベルト、この抄紙ベルトの製造法、および本発明による抄紙プロセスをこの順序で詳細に説明する。

    1.抄紙ベルト 第1図に図示の代表的抄紙機において、本発明の抄紙ベルト10は無限ベルトの形状を有する。 第1図において、抄紙ベルト10は紙ウエブ(または「繊維ウエブ」)
    をその各形成段階において担持し、抄紙ベルト戻しロール19a、19b、押圧ニップロール20、抄紙ベルト戻しロール19c,19d,19e,19f、エマルジョン分布ロール21の回りを矢印Bの方向に走行する。 抄紙ベルト10の走行するループは、真空ピックアップシュー14aおよびマルチスロット真空ボックス24などの紙ウエブに対して流体差圧を加える手段を含む。 また第1図において、抄紙ベルトは吹き通しドライヤなどのプレドライヤの回りを走行し、
    刻印ニップロール20とヤンキードライヤドラム28とによって形成されたニップの間を通る。

    本発明の好ましい実施態様は無限ベルトの形状であるが、本発明はその他の多数の形状をとる事ができる。 例えば、手すき紙の製造に使用されるような固定プレート、またはその他の連続プロセスに使用されるような回転自在ドラムとする事ができる。 抄紙ベルト10のとる物理的形状がどのようであれ、このベルトは一般に特定の物性を有する。

    本発明の抄紙ベルトの全体特性を第2図〜第4図に示す。 本発明の抄紙ベルト(または簡単にベルト10)は一般的に、2層の主要素、すなわちフレーム32(好ましくは、硬化重合体感光樹脂フレーム)および補強構造33とから成る。 ベルト10が無限ベルトである場合、このベルトは一般にに2対向面、すなわち紙接触側面11とテキスチャード側面または簡単に裏側面12とを有する。 裏側面
    12は、真空ピックアップシュー24aまたはマルチスロット真空ボックス24などの抄紙工程に使用される装置と接触する。 フレーム32は、第1面34と、この第1面と反対側面の第2面35と、第1面と第2面との間に延在する導溝36とを有する。 第1面は脱水される繊維ウエブと接触し、ベルトの紙接触側面を成す。 第1面34と第2面35の間の導管36は、第1面34上の繊維ウエブの水分を第2面
    35に導通するチャンネルを成し、繊維を片寄らせて再配合する区域を成す。 第2面に見られるように、ネットワーク32aは導管36を包囲するフレーム32の中実部分から成り、ネット状パタンを成す。 第2図に図示のように、
    導管36の開口42は前記のネットワーク32aの中において所定のパタンに配置される。 第2図に明かなように、フレーム32の第1面34は、導管36の開口42を包囲して画成する紙側面ネットワーク34aを有する。 下記の第34B図に図示のように、フレーム32の第2面35は、その中の導管
    36の開口43を包囲し画成する裏側面ネットワーク35aを有する。 第3図と第4図は、補強構造33がフレーム32の中に少なくとも部分的に包囲され(埋め込まれまたは包み込まれ)ている状態を示す。 さらに詳しくは、補強構造33は第1面34と第2面35の少なくとも一部の間に配置される。 また第3図と第4図は、補強構造33が紙対向面
    51と反対側面の機械対向面52とを有する事を示す。 第2
    図に図示のように、補強構造33は間隙39と補強要素40とを有する。 補強要素40は、間隙39以外の補強構造の部分(すなわち補強構造33の中実部分)である。 補強要素40
    は全体的に複数の構造要素40aから成る。 補強構造33
    は、間隙39によって画成される面積の投影によって画成された投影開放面積を、補強要素40の投影によって画成された投影補強面積とを有する。 第3図と第4図は、フレーム32の第2面35が複数の通路37を有する後側ネットワーク35aを備え、これらの通路37はフレームの後側ネットワーク35aの中の表面不規則テキスチャー38を成す事を示す。 通路37は、フレーム32の第1面34と第2面35
    との間に延在する導溝36と相違する。 これらの通路37
    は、繊維を導管36の中に片寄らせるために裏側面12に対して脱水装置(例えば真空ピックアップシュー24aおよび真空ビード24)が真空を加える際に、裏側面12とこれらの脱水装置の表面との間に空気を入らせる。 前記の表面不規則テキスチャー38は、抄紙工程に使用される装置と接触する不均一面を成す。

    第1図〜第4図に図示のベルト10の紙接触面11は、脱水されて仕上がり製品状に再配列される紙ウエブと接触する抄紙ベルト10の面である。 第1図に図示のように、
    紙接触面11と呼ばれるベルト10の側面は、抄紙機中で各回転の一部のみについて紙ウエブを担持するとしてもこのように呼ばれる。 またベルトのこの側面は、その回転の一部分において抄紙工程中に抄紙機と短時間接触する場合でも(ベルト戻しロール19dに隣接しても)このように紙接触側面と呼ばれる。 また紙接触面11はベルト10
    の「上側面」または「初期ウエブ接触面」とも呼ばれる。 また、紙接触側面11は上側面と呼ばれるけれども、
    この側面の配向は、ベルト10が無限ベルトの形状である時、ベルト戻しロール上で下向きになるようにする事ができる事は理解されよう。 第2図〜第4図において、紙接触側面11はフレーム32の第1面34によって全部形成されている。

    第1図において、ベルト10の反対側、すなわち裏側面
    12は、抄紙工程中にベルト戻しロール19−19c、19e、19
    f、真空ピックアップシュー24a、真空ボックス24およびその他の図示されていない真空脱水装置などの抄網装置と接触する。 第1図に示されるように、裏側面12と呼ばれるベルトの側面は、場合によっては抄紙装置と反対側に対向していても(例えばベルト戻しロール19d)このように呼ばれる。 しかしこのベルトの裏側面12は抄紙工程中に紙ウエブと決して接触しないのであるから、紙接触面11と区別する事ができる。 このベルトの裏側面12はまたベルトの「下側面」とも呼ばれる。 またこの裏側面は抄紙工程に抄紙装置の上を反復走行して摩耗作用を受ける面であるからベルトの「摩耗面」とも呼ばれる。 ベルトの裏側面12は下側面と呼ばれるが、この裏側面12の配向はベルトが無限ベルトの形状を成す場合にベルト戻り通路において上向きになるように配置される場合もある事を了解されたい。 一般に、裏側面12はフレーム32の第2面35によって全部形成する事ができる。 ただし、このような実施態様は本発明の抄紙ベルト10においては頻繁に生じない。 あるいは裏側面は補強構造33の機械装置対向面52によって完全に形成する事ができる。 あるいは、フレーム32の第2面35と補強構造の抄紙機対向面52
    とによってそれぞれ部分的に形成する事ができる。 この下側面または裏側面12と、この裏側面の中に通路および表面不規則テキスチャーを形成する方法は本発明において極めて重要である。

    本発明の抄紙ベルト10の主要要素としての補強構造33
    を第2図〜第4図に示す。 補強構造33は樹脂フレーム32
    を強化し、また適当な投影開口面積を備えて、真空脱水装置にその脱水機能を適当に遂行させまた紙ウエブから除去された水をベルトを通して通過させる。 補強構造33
    は種々の形状をとる事ができる。 補強構造33は、フレーム32を十分に補強する事ができまた前記の目的から十分な投影開放面積を有するのであるならば、織布要素(この明細書において場合によっては織成「ファブリック」
    と呼ばれる)、不織布、スクリーン、ネット(例えば熱可塑性ネット)、スクリム、または複数の孔を穿孔されたバンドまたはプレート(金属、プラスチックまたはその他適当な素材)とする事ができる。 好ましくは、補強構造33は第2図〜第4図に図示のように織布要素(特に多孔性織布要素)とする。

    一般に第2図〜第4図に図示のように、補強構造33は補強要素40と複数の間隙(または「小孔」)39とを含む。 補強要素40は、間隙39以外の補強構造33の部分である。 言い替えれば、補強要素40は補強構造33の中実部分である。 補強要素40は単数または複数の構造要素40aから成る。 この場合、「構造要素」とは補強構造33を構成する各構造要素をいう。

    間隙39は流体(紙ウエブから除去された水など)をベルト10を通過させる。 間隙39は抄紙ベルト10の開口グループの1つを成す。 第2図は間隙39は補強構造33の中でパタンを成す事を示している。 しかしこのパタンは第1
    開口42などの導溝開口によって形成される特定のパタンと相違する。 第2図は、各間隙39が導溝開口42の一部のみを成す場合を示しているが、これと別の関係も可能である。

    第3図と第4図に図示のように補強構造33は2つの側面を有する。 これらの2側面は、脱水されるファイバウエブに対向する紙対向側面(または「紙支持側面」)51
    と、抄紙工程に使用される装置に対向するため前記紙対向側面と反対側の装置対向側面(すなわち「ローラ接触側面」)52とである。 これらの側面51と52は、抄紙ベルト10の各回転の小部分においてこれらの側面が反対方向に向いていてもこのように呼ばれる。 さらに、それぞれの側面は、補強構造を抄紙ベルト10の中に合体してベルト10を抄紙機の中に設置する前でもこのような名称で呼ばれる。 従って本発明の方法において機械対向側面52と呼ばれる補強構造33の側面は、仕上がりベルトが抄紙機の中に設置された時に抄紙機に対向する側面である。 紙対向側面51は常にこの抄紙機対向側面52の反対側面である。 第3図と第4図に図示のように、補強構造33はフレーム32の第1側面34と第2側面35の少なくとも一部との間に配置される。

    第2図〜第4図に図示のように、補強構造33が織布要素から成る場合、この織布を形成するために相互に織成される各ヤーンが補強構造33の構造要素40aである。 補強構造33が不織布要素からなる場合、この不織布要素を形成する各繊維は構造要素40aである。 いずれの場合にも複数の構造要素が存在し、これらの構造要素40a全体が補強要素40を成す。 これに対して、補強構造33が複数の孔を穿孔されたプレートである場合、唯一の構造要素
    40a(プレート)が存在し、これが補強要素40を成す。

    織成された補強構造の構造要素40aはヤーン、ストランド、フィラメントまたは糸を含む。 これらの用語ヤーン、ストランド、フィラメントおよび糸は織成補強構造の構造要素40aを示すために使用される時には同義語である。 また、前記用語(ヤーン、ストランド、など)はモノフィラメント要素のみならず、マルチフィラメント要素を含むと了解されたい。

    第2図〜第4図に図示のように補強構造33が織布要素である場合、構造要素40aの一部はマシン方向縦糸ヤーン53を含み、また他の一部はクロスマシン方向横糸ヤーン54を含む。 この明細書において「マシン方向縦糸」、
    「縦糸」および「荷重担持縦糸」は同義語であって、本発明の抄紙ベルト10が抄紙機の中に設置された時に大体にマシン方向に配置されるヤーンをいう。 また本明細書において「クロスマシン方向横糸」、「横糸」、「シュート」および「縦糸平衡横糸」は同義語であって、抄紙ベルトを設置した時にクロスマシン方向に配向されるヤーンをいう。

    抄紙において、「マシン方向」(MD)とは、抄紙機中の紙ウエブの流れ方向に平行な方向をいう。 「クロスマシン方向」(CD)はマシン方向に対して垂直である。 これらの方向は第2図およびその後の付図において矢印で示される。

    この明細書における縦糸ヤーンと横糸ヤーンの定義は、織機において織成される織布のヤーンの配向を示す用語の定義と相違する場合がある。 織成技術において、
    ヤーンが縦糸と呼ばれるかあるいは横糸と呼ばれるかは、一部にはそのファブリックが無限ベルトを形成するためにループ状に縫合する必要がない無限ファブリックであるか、またはこれが平坦な織布であって無限ベルトを形成するためにループ状に縫合しなければならないかに依存している。 ループ状に縫合する必要のない無限織布の場合、織機中において縦糸と呼ばれる糸が抄紙機の中において横方向に延在する。 これに対して、ファブリックが平坦な織布によって次にループ状に縫合される場合、織機において縦糸と呼ばれる糸は抄紙機においてマシン方向に延在する。 この場合「縦糸ヤーン」および「横糸ヤーン」とは、織機中で織成される場合よりも抄紙機中に配置された糸の配向を示す。 従って、「縦糸ヤーン」と「横糸ヤーン」はそれぞれ本発明の抄紙ベルトが抄紙機中に設置された場合のマシン方向およびクロスマシン方向のヤーンを意味する。

    また第2図〜第4図は、織布補強構造33において一部のヤーンがファブリックを横断してこのファブリックの中にナックルを形成する。 この場合、「ナックル」とは、補強構造33の表面(すなわち紙対向側面51または機械対向面52)のいずれかの面の中にある横糸の上を通過する縦糸または縦糸の一部の上を通過する横糸の一部を言う。 補強構造33の紙対向面51の中にあるナックル(または「紙側ナックル」)は1051と呼ばれる。

    補強構造33の機械対向面52の中にあるナックル(または「裏側ナックル」)は1052と呼ばれる。 これらのナックル105はさらに「縦糸ナックル」または「横糸ナックル」と呼ばれる。

    この場合、「縦糸ナックル」は、横糸ヤーンの上を通る縦糸ヤーンの一部を言う。 第5図(単層補強構造3を含む)に図示の本発明の抄紙ベルト10の他の実施態様において、このような数種のナックル105aが図示されている。 第5B図の断面に図示のように、縦糸ナックル105aは補強構造33の紙対向面51または機械対向面52の中にある事ができる。 補強構造33の紙対向側51の中にある縦糸ナックルは105a1と呼ばれ、機械対向面52の中にある縦糸ナックルは105a2と呼ばれる。

    縦糸ヤーンの上を越える横糸の部分から成るナックルはこの場合に「横糸ナックル」と呼ばれる。 このような数個の「横糸ナックル」が第2図と第3図に図示されている。 第3図は、横糸ナックルが例えば横糸ナックル10
    5b1のように、縦糸ナックルと同じく補強構造33の紙対向側51にも、あるいは横糸ナックル105b2のように、補強構造の機械対向側52にも存在できる事を示す。

    本発明の抄紙ベルトの補強構造33として、多くの型の織布要素を使用する事ができる。 適当な織布要素は、第5図、第5A図および第5B図に図示の補強構造33のような多孔性単層織布要素(各方向に延在する単一方向のストランドおよびその間の複数の開口を含む)、多層織布要素(少なくとも1方向に走る1セット以上のストランドを有するファブリック)、およびそれぞれ相互に織成されたストランドを有する数層から成るファブリックである。

    多層織布ファブリックは複合抄紙ベルトの有効期間を延長させる事ができるので補強構造として好ましい。 この場合、「複合抄紙ベルト」とは、フレームと補強構造とから成るベルトをいう。 抄紙ベルトは抄紙機上においてマシン方向に繰り返し走行するが故に、また抄紙工程中に使用される乾燥装置によって伝達される熱の作用で、マシン方向に相当の応力を受ける。 このような熱と応力は抄紙ベルトに延伸傾向を与える。 抄紙ベルト10がその形状の崩れるほど延伸されるならば、抄紙工程中に紙ウエブを担持するというその機能が役立たなくなる程度に低下する。

    多層織布要素は、本発明の抄紙ベルト中の補強構造として使用するためには、好ましくは前記の延伸の問題を低下させるようにマシン方向ヤーン53を補強する構造を有する事が好ましい。 言い替えれば、多層ファブリックはマシン方向において増大された安定性を有しなければならない。 しかし縦糸53の補強の結果、補強構造33の投影開放面積を縮小させないように縦糸を配置しなければならない。

    この明細書において「投影面積」とは、その要素を画成する複数点を1つの面に投影して形成された面積を意味する。 さらに詳しくは、これらの点は「z−方向」と呼ばれる方向に投影される。 本発明の補強構造の投影開放面積は第12図においてAoで示される。 またこの明細書において、「投影開放面積」とは、補強構造33の間隙39
    によって画成された全面積のz方向投影によって画成される投影面積をいう。 言い替えれば、補強構造33の投影開放面積Aoとは、補強構造33をそのいずれかの側面に対して垂直な方向に、このファブリックの間隙39を通してまっすぐな視線によって見られた面積である。

    この明細書において、x方向、y方向およびz方向と記載される。 この場合x方向、y方向およびz方向はデカルト座標系における本発明の抄紙ベルト(またはその一部)の配向である。 このデカルト座標系において、ベルトの裏側面12はx軸とy軸とから成る面の中にある。
    x軸はクロスマシン方向であり、y軸マシン方向であり、z軸は、x軸とy軸によって画成される面に対して垂直である。 この場合「z方向」とは、z軸に対して平行に、またx軸とy軸に対して垂直に走る配向をいう。
    これらの方向は第2図〜第4図に最もよく示されている。

    補強構造33の投影開放面積は、この補強構造が(空気、水などの流体に対して)高度に透過性となるようにしなければならない。 「高度に透過性」とは、補強構造
    33が100パスカルの差圧でその表面ft2あたり約800cfm〜
    約1.400cfmのレンジ内の通気性を有する事を意味する。
    補強構造33の通気性は、これがフレームと協働して複合ベルトの通気性を決定するので極めて重要である。 複合ベルトは、約300cfm〜約600cfmのレンジの通気性を有しなければならない。 複合ベルトの好ましい通気性は約50
    0cfmである。 補強構造33と複合ベルトが十分に通気性であるためには、補強構造33の投影開放面積Aoが約30%以下とならない事、最も好ましくは約40%〜約50%以下とならない事が好ましい。

    第2図〜第4図に図示のように、好ましい補強構造33
    は、第1方向に延在するヤーンから成る単一ヤーン層システムと、第1方向に対して垂直な第2方向に延在するヤーンから成る多層ヤーンシステムとを有する多層織布要素である。 第2図〜第4図に図示の好ましい補強構造
    33において、第1方向はクロスマシン方向である。 この第1方向に延在する単一層のヤーンは横糸ヤーン54である。 またこの補強構造33において、多層ヤーンシステムはマシン方向に延在する(すなわち抄紙機上をファブリックが走行する方向)。 多層ヤーンシステムは第1縦糸層Cと第2縦糸層Dとを含む。 各縦糸層CとDはそれぞれ複数の縦糸53を含む。 本発明の補強構造として使用される最も好ましいファブリックは多数のマシン方向縦糸ヤーンを含むが、本発明はクロスマシン方向に多数のストランドを有するファブリックを使用しても実施する事ができる。 しかし、追加ストランドは一般に最大応力を受ける方向に走るのであるから、多数のマシン方向縦糸ヤーンを有するファブリックが好ましい。

    第3図に図示のように、好ましい多層補強構造33は垂直方向に上下に堆積された縦糸ヤーン53を有する。 これらの垂直に堆積された縦糸53はマシン方向またはプロセス方向における複合ベルト10の安定性を増大する。 またこの縦糸の堆積構造は適当な投影開放面積を生じるので、このベルト10は吹き通し乾燥工程を含めて種々の型の抄紙工程において使用する事ができる。 横糸54は好ましくは縦糸53をその垂直堆積状態に保持し安定させるように配置される。 横糸54は垂直に堆積する事ができ、あるいはその他の関係位置に配置する事ができる。 このような配置の種々の変形が可能である。

    第6図〜第11図は、第2図〜第4図に示す好ましい多層補強構造33の織成パタンの細部を示す。 この場合、
    「織成パタン」とは織成の技術的設計をいう。 第6図〜
    第11図において、多層ファブリックは図面の明瞭のためにこれを包囲するフレームなしで図示されている。 同一のファブリックが第2図〜第4図において抄紙ベルト中の要素として図示されているが(すなわち抄紙ベルト10
    のフレーム32を補強する補強構造として図示されているが)、図示のファブリックはそれ自体、このようなフレームなしで抄紙ベルトとして使用するに適している。 しかし、これらの図の多層ファブリックは好ましくは特定型のフレームと共に使用される。

    第6図〜第11図に図示のように、縦糸53から成る第1
    縦糸層Cはファブリックの紙対向側面51においてマシン方向に延在する。 この第1層Cの各縦糸はファブリックの横方向に反復的に53a、53b、53c、53dと番号付けられる。 縦糸53から成る第2縦糸層Dはファブリックの紙対向側面51においてマシン方向に延在する。 この第2層D
    の各縦糸はファブリックの横方向に反復的に53e、53f、
    53g、53hと番号付けられる。 第8図〜第11図に図示のように、前記の第1縦糸層Cと第2縦糸層Dの中の各ヤーンは堆積縦糸対E、F、G、Hを成す。 これらの各堆積縦糸対を成すそれぞれの縦糸は相互に垂直方向に堆積した状態に配置される。 これらの堆積縦糸対もファブリックの横方向に反復される。 第8図〜第11図において各縦糸53aと53eは堆積縦糸対Eを成し、各縦糸53bと53fは堆積縦糸対Fを成し、各縦糸53cと53gは堆積縦糸対Gを成し、各縦糸53dと53hは堆積縦糸対Hを成す。 第6図と第8図〜第11図に図示のように、隣接の堆積縦糸対はクロスマシン方向に相互に離間されて所望のファブリック開放面積を成す。

    第6図に図示のように、縦糸53は相互の上に堆積されているので、縦糸53の有効密度(または縦糸の「糸密度」)は、補強構造33の開放面積を減少させる事なく倍加させる。 この場合「糸密度」とは、ファブリックの単位幅(一般に単位幅はインチで示す)あたりの糸数と糸直径(同じくインチで示す)との積に等しい値をいう。
    「糸密度」はファブリックの縦糸について(すなわち縦糸密度)または横糸について(すなわち横糸密度)区別して表現する事ができる。

    第8図の横糸54a、第9図の横糸54b、第10図の横糸54
    cおよび第11図の横糸54dなどの横糸はそれぞれ第1縦糸層および第2縦糸層の縦糸53a−hと織り合わされる。
    横糸は第1層と第2層のそれぞれの縦糸を堆積状態に結束し、これらの縦糸が横方向にずれてファブリックの開放面積を減少させる事を防止させる。 これらの横糸もファブリックにそって反復番号付けられる。 これらの横糸
    54は縦糸の堆積対と特殊の織成パタン(さらに詳しくは、「縦糸平衡織成パタン」)で織り合わされる。 横糸
    54は縦糸を相互に垂直配列状態に保持する。

    第6図〜第11図のファブリックの縦糸53と横糸54の特殊の織成パタンはフォアシェッド リピートパタンとして公知である。 この場合、「シェッド」とは、リピートの生じるまでに縦糸または横糸がその織り合わされる糸と共に形成される特有の形状の数である(すなわちフォアシェッド リピートパタンとは各4シェッドグループの後に繰り返されるパタンである)。

    縦糸53の特殊の織成パタンが第6図と第7図に示されている。 これらの図において第1縦糸層Cの縦糸(第7
    図の縦糸53b)が反復的に横糸の3ピックの上と、1ピックの下とを通過する。 この場合「ピック」とは分離された縦糸の間に横糸を挿入する動作を示す。 第2横糸層Dの横糸(第7図の縦糸53f)は反復的に横糸の1ピックの上と3ピック下を織成パタンを成して通る。

    横糸54の特定の織成パタンを第6図と第8図〜第11図に示す。 これらの図に示すように、縦糸53は、これらの堆積された縦糸の間に織り合わされた横糸54の単一ネットワークから成る横糸システムによって垂直堆積関係に保持される。 横糸54は堆積縦糸の回りに反復パタンで織り合わされ、この場合横糸(例えば第8図の横糸54a)
    はまず横糸堆積Eの上を通り、次に第2堆積Fの縦糸の中間を通り、次に第3横糸堆積Gの下を通り、次に第4
    堆積Hの横糸の中間を通る。 言い替えれば各横糸54は、
    1つおきの堆積横糸の上と下を通り、これらの1つおきの堆積の中間の横糸堆積の横糸の間を通る。

    第6図および第8図〜第11図に図示のように、隣接の横糸も同様にして縦糸53の回りに織り合わされる。 しかし第9図に図示のように、隣接の横糸、例えば横糸54b
    は第1の横糸の堆積から1堆積だけずらされている。 従って隣接のすなわち第2の横糸は、第1堆積の縦糸の間を通り、次に第2堆積の横糸の上を通り、次に第3堆積の横糸の間を通り、次に第4堆積の横糸の下を通る。 それぞれ第10図と第11図に図示のように、第3横糸54cは第2横糸から1縦糸堆積だけずらされ、第4横糸54dは第3横糸54cから1縦糸堆積だけずらされている。 このパタンが4横糸ごとに繰り返される。 第6図に図示のように、このようにして横糸54によって形成されるクロスオーバ点55が横糸方向にジグザグ状を成す織成パタンを生じる。

    前記の織成パタンの変形として、第10図の横糸54cを第11図の横糸54dと交換する事ができる。 その結果クロスオーバ点55のジグザグパタンが破れる。 このパタンにおいては、最初の2クロスオーバ点55は対角線上にある。 しかし第3クロスオーバ点55は第3縦糸を越えて第4縦糸に移動し、また第4クロスオーバ点55は第3縦糸を越えて第4縦糸に移動し、次にクロスオーバ点55は対角線対向に第3縦糸に戻る。 この織成パタンも縦糸を堆積対として適当な配置状態に保持する。 しかし、このパタンにおいては2つの縦糸が2つの隣接ピックの間を通過する。 前記の第1織成パタンにおいては、2つのピックの間を縦糸が同時に通過する事はなく、これは織成パタンとしてバランスが少し優れている。

    この好ましい織布においては種々の素材、およびヤーンの断面形状および断面サイズを使用する事ができる。
    ヤーンの素材、断面サイズおよび形状はファブリックの用途によって決定される。

    縦糸および横糸の素材および構造は変動できるが、糸の素材は、樹脂性のフレームを補強する事ができまた過度の延伸なしで反復加熱および冷却作用と応力に耐えるように選定される。 ヤーンを製造する適当な素材は、ポリエステル、ポリアミド、KELVARまたはNOMEXなどの高耐熱性素材、およびその他の抄紙ファブリックに使用される公知の素材を含む。 しかしヤーンとして好ましい素材はポリエステルである。 相異なる層およびヤーンシステムのヤーンの素材は、それぞれの層またはヤーンシステムごとに変動する事ができるが、好ましくは、それぞれ層およびヤーンシステムのすべてのヤーンを同一素材で形成する事ができる。

    抄紙ウエブの製造中に導溝36を通る空気および水の流れが著しく阻害される事なく、また抄紙ベルト10全体の一体性が保持される限り、任意の断面サイズのヤーンを使用する事ができる。 すべての層およびヤーンシステムにおいて同一の断面サイズのヤーンを使用する事ができ、また各層またはヤーンシステムのヤーンの断面サイズを変動させる事ができる。 例えば丸い断面のヤーンを使用する場合、縦糸システムCとDのヤーンが1つの直径を有し、横糸システムのヤーンがこれより大きなまたは小さな直径を有する事ができる。 大きな直径の横糸を使用すれば、これらの横糸は剛性となり、縦糸の間により大きなクリンプを生じる。 他の変更例は、縦糸システムCのヤーンと横糸システム54のヤーンが同一であり、
    縦糸システムDのヤーンが相異なる場合である。 同様に、縦糸システムDのヤーンと横糸システムのヤーンが同一で、縦糸システムCのヤーンが相異なる場合もある。 あるいは、縦糸システムC、Dおよび横糸システムのそれぞれのヤーンが相異なる場合もある。 丸い断面のヤーンの場合、好ましいヤーン直径範囲は約0.10mm〜約
    0.30mmである。 最も好ましい直径は、縦糸53については約0.22mm、横糸54については約0.28mmである。 用途に応じて、より大きな直径のヤーンを使用する事ができる。

    抄紙ウエブの製造中に導溝を通る空気および水の流れが著しく阻害される事なく、また抄紙ベルト10全体の一体性が保持される限り、任意の断面形状のヤーンを使用する事ができる。 適当な断面形状は丸、楕円、正方形、
    および長方形である。 また各層およびヤーンシステムごとにヤーンの断面形状を変動させる事ができる。 しかし好ましくは縦糸53と横糸54が丸い断面を有する。

    さらに、補強構造33が前記の多層織布構造であれ、またはスクリムあるいは穴を穿孔されたプレートなどのその他の構造であれ、補強構造33を成す補強要素40の第1
    部分P01は第1不透明度O1を有し、また補強要素40の第2部分P02は第2不透明度O2を有する。 これらの2つの不透明度O1とO2は第2不透明度O2が第1不透明度O1より小となるように(すなわち、比較的低不透明度となるように)関連される。

    第1不透明度O1は、感光性樹脂がその未硬化状態にありまた第1部分P01が感光性樹脂と化学光源との間に配置されている時に、フレーム32の感光性樹脂の硬化を実質的に防止する程度でなければならない。 この感光性樹脂の一部のみが、光源に対して第1部分P01の反対側面に配置される事は理解されよう。 樹脂材料の他の部分は他の箇所にある。 第1部分P01(「不透明部分」)の目的は、本発明の抄紙ベルト10の製造中にこの第1部分P0
    1の反対側にある樹脂部分の硬化を防止するにある。 この未硬化樹脂が除去されて通路37を残して、抄紙ベルト
    10の裏側面12上の裏側ネットワーク35aの中にテキスチャー38を生じる。 第1部分P01の特性とサイズは、未硬化樹脂の除去によって形成された通路37とテキスチャー
    38が仕上がりベルトに対して(前述のように)所望量の裏側面テキスチャーリングを生じるように選定されなければならない。 第1部分P01は一般に補強構造33の機械対向側面52の近くまたはこの側面52上に配置されなければならない。 このように配置により、硬化を防止された樹脂量が一般にフレーム32の内側部分でなく、フレームの第2面35にそって配置される。 この場合、「内側部分」とは、フレーム32の第1面34と第2面35との間に配置されたフレーム部分を言う。 もし第1部分P01がこのように配置されなければ、フレームの第1面34と第2面
    35との間に過剰量の樹脂が未硬化状態に残されるであろう。 これは、フレーム32を非常に弱化させ、またフレーム32と補強構造33との間の接合を弱めるであろう。

    第1部分P01は、裏側ネットワーク35aの中に所望の通路37とテキスチャー38を形成する程度に、樹脂の硬化を防止できさえすれば、補強要素40の任意の部分とする事ができる。 従って、第1部分P01は単数または複数の構造要素40aの単数または複数の部分とする事ができる。
    例えば補強構造33が織布要素であれば、第1部分P01は1本のヤーンの単数または複数の部分、数本のヤーンの単数または複数の部分、1本のヤーン全体、数本のヤーン全体、またはその組合わせとする事ができる。

    本発明の好ましい実施態様において、第1部分P01は単数または複数のヤーン全体を含む。 一般に、横糸54ではなく縦糸53が第1部分P01を含む事が好ましい。 その理由は、好ましい織布補強構造において、縦糸53の織成パタンの故に、一般に縦糸は横糸よりもフレームの第2
    面35に近く配置されるからである。 最も好ましくは、補強構造33は前述の垂直に重なり合った縦糸を有する多層織布から成り、第1部分P01が第2縦糸層Dにおいて、
    少なくとも数本の縦糸を含む。 この好ましい構造は第3
    図と第4図に図示されている。 第1部分P01が第2縦糸層Dにおいて、少なくとも数本の縦糸を含む場合、第1
    部分P01は例えば1つおきの縦糸(第11B図)、または各縦糸(第3図、第4図および第11A図)、3つおき、または2つおきの縦糸とする事ができる。 本発明の主旨の範囲内において、このような無限の組合わせが可能である。

    本発明の他の好ましい実施態様において、第11C図に図示のように、第1部分P01は補強構造33の一方の側面の少なくとも一部に被着された不透明被覆C0とする。 好ましくは前述の理由から、この不透明被覆は補強構造33
    の機械対向側面52に被着される。 不透明被覆C0は、裏側ネットワーク35aの中に所望の通路とテキスチャーが形成される限り、補強構造33の機械対向側面52に対して任意のパタンで被着する事ができる。 すなわち、不透明被覆C0はランダムに、均一に、規則的に、あるいは特定パタンで被着する事ができる。 また不透明被覆C0は被覆技術において公知の任意の手段によって、補強構造33に対して被着する事ができる。

    第1部分P01は、補強構造33を抄紙ベルト10の中に合体せる前に、第1不透明度O1を備える、各ヤーンは、ヤーンの製造中にヤーンのポリエステル材料に適当な不透明物質を混合する事によって第1不透明度O1を備える事ができる。 あるいは、各ヤーンをファブリックの中に織り合わせる前に不透明物質を被覆する事によって第1不透明度O1を備える事ができる。 適当な不透明物質は、化学光を吸収し散乱しまたは反射する物質を含む。 化学光を吸収する物質の例は有機染料およびカーボンブラックを含む。 化学光を散乱させる物質の例は、TiO 2を含む。
    化学光を反射する物質の例は、ファブリック上に被着されまたはファブリック中に含有された金属を含む。 これらの物質を前記の不透明被覆の中に使用する事ができる。 好ましくは不透明物質は、約200乃至約400ナノメートルの波長を有する光に対して不透明とする。

    本発明の補強構造33は複数の投影面積を有し、これらのの投影面積が、フレーム32の第2面35の裏側ネットワーク35aの中の通路37と表面不規則テキスチャーとの位置を決定するために使用される。 第12図〜第18図に図示のように、補強構造33は少なくとも下記の投影面積を画成する。 すなわち、投影間隙面積、前述の投影開放面積(補強構造33の投影間隙面積の合計)、投影構造要素面積、投影補強面積(補強構造33の投影構造要素面積の合計)、全体投影縦糸面積(投影縦糸面積の合計)、投影横糸面積(投影横糸面積の合計)、投影ナックル面積および投影機械側ナックル面積、および第1、第2投影区域を画成する。 さらに、1層以上の縦糸または横糸が存在すれば、第1縦糸層と第2縦糸層などの縦糸の投影面積が存在する。

    投影間隙面積は第12図においてApiとして図示されている。 この明細書において、「投影間隙面積」とは補強構造33の間隙39の投影によって画成されるそれぞれの投影面積である。 言い替えれば、補強構造33をそのいずれかの面に対して垂直に見たとき、各間隙39が補強構造33
    を通るまっすぐな視線を生じ、これが投影間隙Apiを構成する。

    投影構造要素面積Ascを第13図に示す。 この明細書において、「投影構造要素面積」とは補強構造33のそれぞれの構造要素40aの投影によって画成された面積を言う。 この場合、この用語は構造要素40aの全部ではなく、1つ以上の投影によって画成された面積を指すものとする。

    投影補強面積ARの一部を第13図に示す。 この明細書において、「投影補強面積」とは補強要素40の投影によって画成された面積を言う。 第12図と第13図とから明らかなように、投影補強面積ARは補強構造33の投影開放面積A0の逆像であって、視線を遮る補強構造33の部分である。 投影補強面積ARは投影開放面積A0の補形であって、この両方の面積が補強構造33の投影面積全体を成す。

    投影縦糸面積Awpが第14図および第15図に図示されている。 この場合、「投影縦糸面積」Awpとは、補強構造3
    3のそれぞれの縦糸53の投影によって画成される面積を言う。 第15図において、投影縦糸面積Awpは点線の間の影線として示されている。 これらの点線は補強構造33の紙対向側面51の上にも延在する事ができる。 しかし本発明は、補強構造33の紙対向側面51の上方にある通路および表面不規則テキスチャーに関するものではない。 従って、これらの通路および表面テキスチャーが投影面積に関連して記述される場合、これらの通路およびテキスチャーは一般に補強構造33の紙対向側面51とベルト10の裏側面12の面との間にある。 通路または表面テキスチャーが第14図および第15図の投影縦糸面積の「中にある」と言われる場合、これは第15図の影線の面積の中の任意箇所の中にある。 各縦糸によって画成される投影縦糸面積のほか、ファブリック全体の各投影縦糸面積の合計としての「全体投影縦糸面積」Awp0がある。

    また投影横糸面積Awtが第16図と第17図に図示されている。 この場合、「投影横糸面積」Awtとは補強構造33
    のそれぞれの横糸54の投影によって画成される面積である。 この投影横糸面積Awtのほか、補強構造33全体においてそれぞれの投影横糸面積Awtの合計としての「全体投影横糸面積」Awt0がある(その一部を第16図と第17図に図示する)。

    この明細書において、補強構造33の「投影ナックル面積」とは、補強構造33の1つのナックル105の投影によって画成された面積を言う。 第18A図〜第18C図に図示のように、投影ナックル面積Akは、縦糸と横糸とが重なり合って補強構造33を通しての視線を遮る部分である。 この投影ナックル面積は、投影縦糸ナックル面積Akwp(横糸上を通る縦糸によって形成された投影面積)または投影横糸ナックル面積Akwt(縦糸上を通る横糸によって形成される投影面積)とに分けられる。 さらに前記の投影縦糸ナックル面積Akwpと投影横糸ナックル面積Akwtは、
    それぞれこれらのナックルがファブリックのどちらの側面にあるかに従って、投影紙側(または紙対向)縦糸ナックル面積Akwp1または横糸ナックル面積Akwt1と、投影機械対向(または機械側面)縦糸ナックル面積Akwp2または横糸ナックル面積Akwt2とに分類される。

    第1投影区域A1の一部と第2投影区域A2の一部とをそれぞれ第11A図および第11B図に影線で示す。 この場合、
    「第1投影区域A1」とは、第1不透明度O1を有する補強構造33の第1部分P01の投影によって画成される区域である。 補強構造33の他の部分は第2不透明度O2を有し、
    第2投影区域A2を画成する。 第11A図と第11B図は、フレーム32の裏側ネットワーク35a中の通路37が主として第1投影区域A1の中に形成されている事を示す(第1部分
    P01が、各縦糸または1つおきの縦糸、または補強構造3
    3のその他の部分によって形成されているかを問わず)。

    本発明の抄紙ベルト10のその他の主要素はフレーム32
    である。 フレーム32の全体特性は第2図〜第4図に図示されている。 本発明の好ましい実施態様において、フレーム32は、一般に液体状の素材塊が固体状を成した時に補強構造33を少なくとも部分的に包囲しこの補強構造33
    がフレームの上側面または第1面34と下側面または第2
    面35の少なくとも一部との間に配置されるように素材を操作する事によって形成される。 さらにフレーム32がその第1面34と第2面35との間に延在する複数の導溝36またはチャンネルを有するように素材を操作しなければならない。 また第1面が紙側ネットワーク34aを備えてこのネットワークが第1面34の導溝36の開口を包囲し画成するように素材を操作しなければならない。 さらにフレームの第2面35が導溝36とは別の通路37を備えた裏側ネットワーク35aを有し、これらの通路37がネットワーク3
    5aの中に表面不規則テキスチャー38を成すように素材を操作しなければならない。

    フレーム32を形成するために操作される素材は、熱可塑性樹脂および感光性樹脂を含めて任意適当の素材とする事ができるが、好ましい素材は液状の感光性重合体樹脂である。 同様に素材を所望のフレームに形成するために、種々の方法を使用する事ができる。 例えば、機械的パンチングまたはドリリング、素材を種々の温度またはエネルギー源に露出して硬化させる方法、またはレーザを使用して素材の中に導溝を切断する方法がある。 もちろんフレームを形成する素材の形成法は選ばれた素材および形成されるフレームの特性に依存する。 感光樹脂を操作するために好ましい方法は、活性化波長の光に対する液状感光樹脂の露出を制御するにある。

    本発明の抄紙ベルト10の両側面(すなわち紙接触側面
    11および裏側面12)と、フレーム32の側面との相互関係を第3図および第4図に図示する。 好ましくはフレーム
    32の第1面34が抄紙ベルト10の紙接触側面11を形成する。 この関係は本発明の大部分の実施態様に共通である。 補強構造33はフレーム32の第1面34とフレーム32の第2面35の少なくとも一部との間に配置されるからである。 従って、フレーム32の第1面34は補強構造33の紙対向側面51をカバーする。

    しかし抄紙ベルト10のフレーム32の第2面35はかならずしも抄紙ベルト10の裏側面12を形成しない。 補強構造
    33はフレーム32の第1面34と第2面35の少なくとも一部との間に配置されるのであるから、フレーム32の第2面
    35は、完全に補強構造33を被覆し(ただし、これは一般に抄紙ベルトが前記の方法によって形成される場合には生じない)、あるいはその一部のみを被覆し、あるいは補強構造33のどの部分も被覆しないで補強構造33の間隙
    33の中に配置される事ができる。 第1の場合、フレーム
    32の第2面35と抄紙ベルト10の裏側面12とが同一面である。 第2の場合、抄紙ベルト10の裏側面12は、部分的にフレーム32の第2面35によって、また部分的に補強構造
    33の露出面によって構成される。 第3の場合、抄紙ベルト10の裏側面12は部分的にフレーム32の第2面35によって、また部分的に補強構造33によって構成されるが、この補強構造33の機械対向面52は完全に抄紙ベルト10の裏側面12に露出される。

    第2図から明らかなように、フレーム32の第1面34
    (および抄紙ベルト10の紙接触面11)はネットワーク32
    aの一部から成る。 この場合、「ネットワーク」とは、
    導溝36を包囲してネット状パタンを画成するフレーム32
    の部分を言う。 言い替えれば、ネットワーク32aはフレーム32の中実部分である。 本発明の抄紙ベルト10の拡大写真、第34A図および第34B図に示すように、ネットワーク32aは2つのネットワーク面34aと35aとを有する。 この場合、「ネットワーク面」とは、導溝36を包囲するネットワーク32aの一方の面を言う。 またこれらのネットワーク面はフレーム32の「ナックル」と呼ばれる。 しかしフレーム32のナックルは、前記補強構造33のヤーンによって構成されたナックルとは区別しなければならない。 また「ネットワーク面」は、トロッカンおよびジョンソンに発行された特許の中にも使用されている。 この特許を引例とする。 しかしこの場合、用語「ネットワーク面」は、そのネットワーク面が「紙側ネットワーク面」であるかまたは「裏側ネットワーク面」であるかを特定する事によって修飾される。

    用語「紙側ネットワーク面」(または簡単に「紙側ネットワーク」)はフレーム32の頂上の中実部分または第1面34を指す。 従って前記の引例特許において「ネットワーク面」と呼ばれるフレーム面は一般にこの明細書における紙側ネットワークに対応する。 この紙側ネットワーク面は付図において数字34aで表示される。

    「裏側ネットワーク面」(または簡単に「裏側ネットワーク」)はフレーム32の底部の中実部分、または第2
    面35である。 裏側ネットワーク面は付図において数字35
    aによって表示される。

    第2図〜第4図に図示のように、フレーム32の第1面
    34は紙側ネットワーク面34aと第1導溝開口42とから成る。 第1導溝開口42は、フレーム32の第1面34に沿った導溝36の開口である。 フレーム32の第2面35は裏側ネットワーク面35aと第2導溝開口43とから成る。 第2導溝開口43はフレーム32の第2面35に沿った導溝36の開口である。 フレーム32の第1面34の紙側ネットワーク面34a
    と第1導溝開口42は、これらが一緒になってフレーム32
    の一方の面全体を構成するのでしばしば「補形」であると呼ばれる。 同様にフレーム32の裏側ネットワーク面35
    aと第2導溝開口43は補形であると言われる。

    第2図に図示のように、紙側ネットワーク34aは顕微鏡的に平滑であり、パタンを有し連続である。 これにより、処理中に紙ウエブに対して均一パタンを与える事ができる。 「顕微鏡的に平滑」とは、抄紙ベルト10の紙接触側11の一部が平坦状態に配置された時に紙側ネットワーク34aが本質的に1つの面にある事を意味する。 絶対平面性からの偏差が、抄紙ベルト10上で形成される製品の性能に悪影響を及ぼす程度でない限り、許容できるが望ましくないという事実を認めるために、「本質的に」
    平滑であると言われる。 紙側ネットワーク面34aは、この面上のネットワークによって形成される線が少なくとも1つの本質的に破断されないネット状パタンを形成しなければならないので、「連続的」と言われる。 またこのパタンは、不連続が、抄紙ベルト10上で形成される製品の性能に悪影響を及ぼす程度でない限り許容でるが望ましくないという事実を認めるために「本質的に」連続的と言われる。

    フレーム32の第1面34から第2面35に達する導溝36
    (または「片寄らせ導溝」)は第2図〜第4図に示されている。 各導溝36は二、三の特徴を有する。 すなわちチャンネル部分または孔41、フレーム32の第1面34によって形成された第1開口42などの入口または導溝開口(また「大孔」と呼ばれる)、フレーム32の第2面35にそって形成された第2導溝開口43などの出口または導溝開口、およびフレーム32の内部において導溝36のサイズを決定する導溝壁体44。 (フレーム32の「内部」とは、第1面34と第2面35との間にあるフレーム32の部分である)第2図〜第4図に図示のように、導溝36の壁体44はフレーム32の内部壁体44aを成す。 この内部壁体44aは導溝36の壁体44を終端共有のフレーム32の面である。 言い替えれば、導溝36の壁体44はフレーム32の内部壁体44a
    と同一のまたは相互に一致する境界を有する。 第2導溝開口43はフレーム32の第2面35に「全体的にそって」形成されると言われる。 これは、単数または複数の通路37
    がこの第2導溝開口43と交差すれば、この第2導溝開口がフレーム32の第1面34と第2面35の周囲部分との間に延在するように移動させられるからである。 言い替えれば、第2導溝開口43の一部は、フレーム32の第2面35の隣接部分によって画成される面から内側に(ベルトの中心に向かって)延在するからである。

    第2図は、フレーム32の第1面34の第1導溝開口42が均一であって特殊のゼオメトリを有する事を示している。 またフレーム32の第2面35の第2導溝開口43は第1
    導溝開口42と基本的に同一ゼオメトリである。 しかし第
    37B図に図示のように、フレーム32の裏側ネットワーク3
    5aの中に存在する通路と表面不規則テキスチャーが第2
    導溝開口43をひずませ非常に不規則な形状にする。 しかしこのような歪は本発明においては特に問題とならない。 第2導溝開口43を包囲する裏側ネットワーク35aがウエブの形成中にウエブと接触してパタンを捺印しないからである。

    導溝36の開口42と43については無限のゼオメトリが存在するが、特定の導溝開口を選定するための広いガイドラインを述べる事ができる。 これらのガイドラインは、
    米国特許第4,528,239号の第5欄、第34行〜第10欄、第3
    5行に記載され、この特許を引例とする。

    第2図に図示の導溝36の形状と配置は特に好ましい形である。 これらの開口42と43の形状はこの明細書において「線形アイダホ」パタンと呼ばれる。 第2図において、これらの線形アイダホ導溝は変形された平行四辺形断面で示されている。 この平面図において各導溝36は4
    辺を有し、各対向辺が平行であり、隣接辺間の角度が直角でなく、隣接辺の間の隅部が丸いので、これらの導溝
    36の形状は変形平行四辺形に類似すると言われる。 従って線形アイダホ導溝開口は丸い隅部を有する平行四辺形という事もできる。

    これらの線形アイダホ導溝36の構造の細部は第19図に図示されている。 抄紙ベルト10のフレーム32の導溝36の反復パタンを示す部分のみを第19図に示す。 さらに、また図面の簡単のため、紙側ネットワーク面34aのみを図示してある。 導溝36の特殊の形状は下記のようにして得られる。 しかしもちろん、その製造段階の順序を変更しても同一結果が得られる。 また、これらの導溝の形状に達するために使用される点、線および円は(その壁体44
    を形成するためのものであって)実際に下記の手順によって形成される導溝36の中に見られるものではない。

    線形アイダホパタンの幾何形状を形成するため、まず相互に一定間隔d1で離間した2つの点P1とP2を選定する。 これらの2点P1とP2を結ぶ線は導溝のマシン方向軸線または長手方軸線ALと呼ばれる。 間隔d1(長手方軸線ALの長さに等しい)は予め選定される。 次にこれらの各点において与えられた半径R1の円を描く。 次に導溝の長手方軸線ALに対して線ATを垂直に引く。 次にこの線ATを長手方軸線ALに対して垂直に引けば、この軸線ALを2等分する。 次に第2線AT上に、長手方軸線AL
    から等距離に2つの点P3とP4を配置する。 P3とP4との間隔d2も予め設定される。 点P3とP4を結ぶ線ATは導溝の横方向軸線と呼ばれる。 各点P3とP4において、与えられた半径R2の円を描く。 後者の半径R2は前記の半径R1に等しい必要はないが、第19図の好ましいパタンにおいては、R1はR2に等しい。 最後に、前記の4円の対応部分の間に接線L1,L2,L3およびL4を引く。 これらの接線は、長手方軸線ALと横方向軸線ATとの交点から最も遠い円の部分に接するように引かれる。 このように描かれた形状の外周に沿った線が線形アイダホ導溝36の壁体44を形成する。 第19図に図示のように、第1導溝開口の辺は45
    a、45b、45cおよび45dであり、また隣接辺の間の丸い隅部は46で示される。 第2導溝開口43の対応の辺はそれぞれ45e、45f、45g、45hである。 対応の隅部は46aで示される。

    本発明の抄紙ベルト10のフレーム32の中の導溝36の他の適当な形状は、トロカンおよびジョンソン特許に記載の変形六角形、および第20図に図示の「バウタイ型」または「サインカーブ型」パタンである。

    導溝開口の形状が線形アイダホパタンであれまたその他の形状であれ、ベルトの単位面積あたりの導溝36の数およびフレーム32中の導溝開口の占める面積は一定の範囲内になければならない。

    一般にフレーム32中に存在する導溝36の数は、フレーム32の全表面積の平方インチあたりの導溝数として表される。 この場合「フレームの全表面積」とは紙側ネットワーク面34aの表面積と第1導溝開口42によって占められる補足表面積との和、または裏側ネットワーク面35a
    の表面積と第2開口43によって占められる補足表面積との和をいう。 導溝36の数は平方インチあたり約10〜約1.
    000の範囲とする事が好ましい。

    導溝開口によって占められる面積は一般にフレーム32
    の全表面積のパーセントで示される。 またこの明細書においてはフレームのネットワーク面34aおよび45aの占める面積をフレームの全表面積のパーセントとして表す。
    紙側ネットワーク34aおよび裏側ネットワーク面35aによって占められる面積はフレーム32のそれぞれの面の「ナックル面積」と呼ばれる。 これらの面積は第19A図および第19B図においてそれぞれAN1およびAN2で示されている。 ナックル面積AN1(または表面ナックル面積)
    (第19A図)は紙側ネットワーク34aの1つの面に対するz方向の投影である。 裏側ナックル面積AN2(第2表面ナックル面積)(第19B図)は裏側ネットワーク面35aの1つの面に対するz方向投影である。 導溝開口によって占められる面積はナックル面積から誘導する事ができる。 導溝開口の面積とそれぞれのネットワーク面の面積は相補的であるから、2つのパーセントの合計は100%
    に等しい。 ナックル面積が知られていれば、または導溝開口の面積が知られていれば、補足面積は既知のパーセントを100%から引く事によって計算する事ができる。

    フレーム32の第1面34の中の第1導溝開口42によって占められる面積はこのフレームの全面積の約30%〜約80
    %の範囲である事が好ましい。 言い替えれば、この第1
    面34は約20%〜70%のナックル面積を有する。 第2面35
    の第2導溝開口43の面積は全面積の約30%〜約80%である事が好ましい。 言い替えれば、この第2面35は約20%
    〜約70%のナックル面積を有する。

    第2図に図示の個々の導溝36の配置およびその間隔は導溝36の唯一の可能な配置ではない。 それぞれの導溝36
    およびその間隔の種々の好ましい配置が存在する。 これらの好ましい配置と構造は米国特許第4,528,239号の第8欄、第35〜58行に記載されており、これを引例とする。 特に好ましい導溝36の構造およびその間隔は第2図に図示のジグザグ配列である。 第2図においては、このような配置および間隔の第1導溝開口42は、導溝36の縁がいずれの方向においても相互に交差するのに十分なサイズと間隔を有する事が示されている。

    線形アイダホ導溝を有する好ましい実施態様においては、導溝36のパラメータ(すなわちその数、サイズおよび配置)は、「35%ナックル面積を有する300線形アイダホ」パタンなどと呼ばれる。 前記の表示の第1の数字は、平方インチあたり存在する導溝36の数を示す。 従って、このフレーム32は平行インチあたり300の導溝を有する。 第2の数字(すなわち35%ナックル区域)は紙側ネットワーク面34aの近似的ナックル面積を示す。 この実施態様において、抄紙ベルトは、その裏側ネットワーク面35aのナックル面積が約65%となるように構成される。

    前記の好ましい300線形アイダホ35%ナックル面積パタンにおける各導溝のサイズと間隔を第19図に示す。 このパタンにおいて導溝を形成するためには、下記の長さおよび半径が使用される。 d1は0.0425インチ(1.0795)
    mm、d2は0.024712インチ(0.62785mm)、またR1とR2はいずれも0.012008インチ(0.3050mm)。 フレーム32の第1面における導溝開口のサイズおよび間隔は第19図に図示の一連の参照数字によって示される。 この図において、「a」はマシン方向長さまたは単に開口の長さを示し、「b」はクロスマシン方向の開口の長さまたは「幅」を示し、「c」はマシン方向とクロスマシン方向における隣接開口の間隔を示し、「d」は隣接開口間のクロスマシン方向間隔、また「e」は隣接開口間のマシン方向間隔である。 この実施態様において「a」は1.68
    92mm(0.066506インチ)、「b」は1.2379mm(0.048737
    インチ)、「c」は0.28153mm(0.011084インチ)、
    「d」は0.92055mm(0.036242インチ)、また「e」は
    0.30500mm(0.012008インチ)である。

    導溝36は、開口42と43との間に延在するチャンネル部分41を有する。 これらのチャンネル部分41は導溝36の壁体44によって画成される。 これらのチャンネル部分41と壁体44の全体特性は第2図〜第4図に図示されている。
    これらの図は、導溝36によって形成される孔またはチャンネル41が抄紙ベルト10の厚さ全体に延在する事を示す。 さらに第2図に図示のように、導溝36は個々別々である。 「個々別々」とは、導溝36がフレーム32によって相互に分離された個別のチャンネルを成す事をいう。 導溝36の分離は特に第2図において明白である。 しかし導溝36は「大体に」個々別々であると言われる。 これは第
    37B図に図示のように、導溝36は通路37が裏側ネットワーク35aの中に存在する時に第2面35にそって相互に完全には分離されていないからである。 導溝36は、抄紙ベルト10の内部において1つの導溝と他と導溝との間に接続が存在しないので分離されている。 このような導溝36
    の分離は特に第3図および第4図の断面において明白である。 従って、1つの導溝36から他の導溝への物質移動(例えば紙ウエブから排除された水などの流体の移動)
    は、この移動が抄紙ベルト10の本体外部において実施されない限り、または第37B図に図示のように、裏側面12
    の一部にそって通路37によって移動が実施されない限り一般に不可能である。

    第3図と第4図はフレーム32中の導溝36の配向を示している。 これらの図において導溝36は垂直軸線AVを有する。 垂直軸線AVは、フレームの第1導溝開口42と第2導溝開口43との間においてそれぞれの導溝の中心を通る仮想線である。 垂直軸線AVの配向は、フレームの面3
    4と35に対する導溝36の配向を決定する。 従って、本発明において垂直軸線AVは必ずしも真の垂直配向を有するものではないと理解されたい。 この軸線AVの配向は、第1面34と第2面35に対して大体垂直な配向から、
    導溝36が一定角度を有する配向まで、広い範囲の配向を有する事ができる。 しかし好ましくは、第3図と第4図に図示のように、この垂直軸線AVは第1面および第2
    面34、35に対して近似的に垂直である。

    導溝36の壁体44の断面プロフィルを第21図に拡大図示する。 この壁体44のプロフィルは断面において比較的まっすぐとし、湾曲し、部分的に湾曲で部分的にまっすぐとし、また不規則とする事ができる。 壁体44を示す第21
    図以外の図面においては、この壁体は図面を簡単にするため直線として図示されている。 しかし第21図に図示のように、壁体のプロフィルは上側面34から下側面35まで非線形であると思われる。

    第21図に図示のように、導溝36の壁体44のプロフィルは、第1面34から、大体点48から始まる壁体区域までの区域47において本質的に直線である。 点48は、補強構造
    33の紙対向面51に遭遇する近似的箇所である。 これらの点48において、壁体44のプロフィルが明確でなくなる。
    この点において、プロフィルは幾分不規則になる。 不規則プロフィルを示す壁体44の部分を49で示す。 この不規則部分49は、液状感光樹脂をフレーム32の中に硬化する際に形成される。 樹脂の硬化に使用される紫外線は光源から供給され、この光源は補強構造33の紙対向側面51とこれを被覆する液状感光樹脂の上方に配置される。 光線が補強構造33のストランドに遭遇する際にある程度、拡散し散乱して、感光樹脂を不規則に硬化させる。 従って壁体44の不規則部分の正確な開始箇所は、補強構造33との遭遇箇所によって変動する。

    壁体44の相互関係(すなわち、壁体のテーパ)は、壁体44が相互に平行な場合から、壁体44が底面35まで外側または内側にテーパを示す場合まで変動する。 さらに第2図〜第4図に図示のように壁体44はフレーム32の内側壁体44aを成すのであるから、フレーム32の内側壁体44a
    もテーパを成す事ができる。 これらの壁体44または44a
    のテーパにおいて、「外側」とは、これらの壁体の間隔が小さい値から大きい値まで変化する関係を言う。 「内側」とはこれと逆の関係を言う(すなわち壁体の相互間隔が大きい値から小さい値まで変化する関係)。

    第1A図と第1B図は、導溝36の壁体44が相互に平行な実施態様を示す。 第2図〜第4図の実施態様においては、
    導溝36を形成する壁体44がフレーム32の上側面34から下側面35まで内側にテーパしている。 導溝36の壁体44が内側または外側にテーパする時、フレーム32の内側壁体44
    aは相互に逆関係となる。 すなわち、これらの図において、導溝36の壁体44が上側面34から下側面35に向かって内側にテーパを有するならば、フレーム32の内側壁体44
    aは外側にテーパを有する。 これらの壁体44と内側壁体4
    4aのテーパは、感光樹脂を硬化させる光をコリメートする事によって制御される。

    好ましくは、紙側ネットワーク34aの面積がフレーム3
    2の全面積の約70%以下となり、またフレーム32の第2
    面35の裏側ネットワーク35aの面積がフレーム32の全面積の少なくとも約45%となるように、フレーム32の内部壁体44aがフレーム32の上側面34から底面35に向かって外側にテーパを有する。 特に好ましい実施態様においては、内部壁体44aは、紙側ネットワーク34aの面積(第1
    表面ナックル面積AN1)がフレーム32の全面積の約35%
    となり、裏側ネットワーク35aの面積(第2表面ナックル面積AN2)がこの裏側ネットワークの中に通路37を形成する前の抄紙ベルト10の裏側面12の全面積の約65%となるように内側壁体44aがテーパを有する。 この特に好ましい実施態様においては、壁体44のテーパ角度、第21
    図においてaTで示す角度は垂直から近似的に15゜である。

    フレーム32と補強構造33との相互関係を第3図および第4図に示す。 第3図と第4図において、補強構造33
    は、抄紙ベルト10の紙接触面11よりもその裏側面12に近く配置される。 補強構造33が紙接触側11に近く配置される抄紙ベルト10を製造する事もできるが、この構造は好ましくない。

    補強構造33を抄紙ベルト10の裏側面12に近く配置する3つの主たる理由がある。 第1の理由は、補強構造33が形成中に一般に成形面に隣接して配置されまたその結果、補強構造33と成形面との間に限られた量の樹脂のみが存在する事である。 しかしこの構造は本発明の主旨の範囲内において変更可能である。 第2の理由は、樹脂フレーム32の一部が抄紙ベルト10の裏側面12にそって薄く摩耗する時に補強構造33が摩耗面または機械接触面を成す事が多くの場合に好ましい事にある。 これは、補強構造33が抄紙装置に対して、フレーム32を成す硬化重合体樹脂よりも硬質の接触面を成すからである。 最後の理由は、補強構造33の紙接触面51の上に所望パタンと深さの導溝36を形成するためには、樹脂フレーム32の一部が補強構造33を被覆しなければならない事にある。 補強構造
    33を被覆する樹脂フレーム32の部分は「オーババードン」と呼ばれ、第21図においてt0で示されている。 このオーババードンは、導溝36が紙ウエブの繊維を片寄らされる区域を生じて、補強構造33のストランドの干渉なしで繊維を再編成させる目的を達成させる。

    補強構造33が抄紙ベルト10の裏側面12に近く配置されると言う場合、それぞれのサイズは変動する事ができる。 本発明の抄紙ベルト10の好ましい実施態様においては、堆積縦糸ストランドを有する好ましくは織布要素は約10ミル〜約37ミル(0.254mm〜0.94mm)の厚さを有する。 樹脂のオーババードンt0は約4ミル〜約30ミル(0.
    102mm〜0.762mm)の厚さである。 オーババードンt0がこの範囲内にあれば、複合抄紙ベルト10は一般に約14〜67
    ミル(0.356mm〜1.70mm)の厚さ範囲内にある。 他の用途におては、オーババードンt0が約2ミル〜約250ミル(0.051mm〜6.35mm)の範囲内にある必要がある。 もちろん、これは抄紙ベルト10の厚さ全体を変更する。

    第3図と第4図は抄紙ベルト10の裏側面12とフレーム
    32の第2面35の特性を示す。 図示のように抄紙ベルト10
    はテキスチャード裏側面12を有する。 このテキスチャード裏側面12はこの明細書において「裏側面テキスチャーリング」または「裏側面テキスチャー」とも呼ばれ、これは本発明においてきわめて重要である。 抄紙ベルト10
    の裏側面12に関して使用される「テキスチャーン」とは、通常は平滑で平坦な面の中に不連続な中断部分または非面状の中断部分によって形成された裏側面12の特性を言う。 これらの不連続または非面状の中断はこのような面からの突出または陥没を言う。

    第22A図〜第22C図は、ベルトがフレームと補強構造とを有する場合、この抄紙ベルトの各部分によって裏側面テキスチャーが形成される事を示す。 しかし、本発明の抄紙ベルト10の中に、これらの図に図示された特定の型の裏側面テキスチャーをかならずしも配置する必要はない事を了解されたい。 本発明の抄紙ベルト形成される特定の型の裏側面テキスチャーは第3図、第4図、第11A
    図、第11B図および下記のその他の付図の中に図示されている。 第22A図乃至第22C図は、フレーム32の第2面35
    の裏側面ネットワーク35aの中において通路37を使用して表面不規則テキスチャー38を形成する事によって、あるいは補強構造33の機械対向側面52の特性を利用する事によって、あるいは前記の通路37と前記の機械対向面52
    の特性とを利用する事によって、裏側面のテキスチャーを形成できる事を示している。 これらの用語の定義および補強構造33の機械対向面52の特性の説明は下記に記載される。 裏側面テキスチャーのその他の形成法はこれらの図を参照して検討される。

    この明細書において、「通路」とは空気を通過させるスペースを言う。 用語「通路」は特定形状およびサイズのスペースを含むものと解釈してはならない。 従って通路はトンネル状または類似形状のスペースに限定されない。

    「表面不規則テキスチャー」(あるいは単に「テキスチャー」)とは、平滑な表面からの突起または凹部などの通常は平滑または平坦な面における不連続性中断部分または非面状の中断部分を言う。 テキスチャー38は、フレーム32の第2面35の裏側面ネットワーク35aの中における不規則部分または不均一部分を含む。 表面不規則テキスチャー38は、裏側ネットワーク面35aを形成する樹脂中の任意の不連続または破断、あるいは裏側面ネットワーク35aから樹脂を除去しまたは樹脂を添加した部分とする事ができる。

    裏側面テキスチャーを形成しまたはその形成に役立つ補強構造33の機械対向面52の特性を第22A図〜第22C図に図示する。 織布補強構造のナックルおよびヤーンなどの構造要素40a、ベルト10の裏側面テキスチャーの基準としての面を画成する。 抄紙ベルト10の裏側面12は1つの面Pbを画成する。 この面Pbは、抄紙ベルト10の裏側面12
    を平坦面の上に配置した時にこの平坦面と同一面となる面である。 補強構造33の紙対向面51のナックル(105b
    1)は面Pk1を画成する。 この面Pk1は「補強構造の紙対向面によって画成される面」と呼ばれる。 補強構造33の機械対向側面52のナックル(105b2)の面Pk2を画成する。 この面Pk2は「補強構造の機械対向側面によって画成される面と呼ばれる。

    第22図A,B,Cに図示のように、補強構造33の機械対向側面52のプロフィルはそれぞれ特定の輪郭または形状を有する。 これらの図に図示のように、織成された補強構造33の機械対向側面52の輪郭は、補強構造33の構造要素
    40aを成す縦糸53の一部と横糸54の一部とによって画成される。 さらにこれらの図において、これらの縦糸と横糸の一部が突出部分120を成す。 この場合、「突出部分」とは、補強構造33の機械対向側面52にあって補強構造33の機械対向側面の面Pk2の内側にある縦糸または横糸またはその他の構造要素40aの部分を言う。

    前記の面および突出部分120に関して使用される用語「内側」とは、抄紙ベルト10の紙接触面11または抄紙ベルト10の裏側面12から、抄紙ベルト10の中心線(すなわち、紙接触面11と裏側面12との中間にある仮想線)に向かう方向を言う。 また「外側」とは、抄紙ベルト10の中心線から抄紙ベルト10の紙接触面11または抄紙ベルト10
    の裏側面12に向かう方向を言う。 さらに詳しくはこれらの突出部分120は、補強構造33の機械対向側面52の側にあって105b2などの機械側ナックルの間に配置された縦糸または横糸の部分によって形成される。

    これらの図の多層織成補強構造33において、突出部分
    120は、第2縦糸層Dの縦糸53の部分と、織り合わされた横糸54の部分とによって形成されている。 さらに詳しくは、突出部分120は、第2縦糸層Dの縦糸53の部分と、補強構造33の機械対向側面52の中にあって機械側ナックル105b2を形成する横糸54の部分とによって形成されている。 さらに第22D図に図示のように、補強構造33
    が丸い断面のヤーンから成りまたヤーンの底部が面Pk2
    にある時に、ヤーンの断面の曲率の故に面Pk2から離間したヤーン側面部分によって一部の突出部分120が形成されている。 これらの部分は、「突出外周部分」と呼ばれ、参照数字120aで示されている。 この第22D図はこれらの突出外周部分120aが第2図縦糸層D中の縦糸53の投影区域Awpの中に配置されている事を示す。

    また第22図A−Cは、一部の突出部分、すなわち内側に離間された突出部分120′が他の突出部分120よりも面
    Pk2から内側に離間されている事を示す。 またこれらの図は、補強構造33の断面において、一部の内側離間突出部分120′が第2縦糸層Dの縦糸53によって形成されている事を示す。 これらの縦糸53の底部53′は面Prを画成する「突出面」を成す。 また面Prは、突出面を形成する突出部分によって画成された面と呼ばれる。

    付図において、第2縦糸層Dの縦糸53が面Pk2から内側に離間した距離は幾分誇張してある。 補強構造33の変形においては、これらの縦糸53は内側に種々の距離で離間されるものと了解されたい。 第22D図に図示の補強構造33の実施態様において、第2縦糸層Dの縦糸53の面Pk
    2と同一面にある事もできる。 これらの縦糸は全く内側に離間されない。

    補強構造33の機械対向側面52の通路37、不規則テキスチャー38およびその他の特性が裏側面テキスチャーを構成する種々の実施態様を第22図A−Cに示す。 本発明の抄紙ベルト10の裏側面12の上にテキスチャーを形成する1つの実施態様を第22A図に示す。 この図においては、
    フレーム32の裏側ネットワーク35aの不規則テキスチャー38は通路37のみによって形成される。 この図のように裏側テキスチャー12が通路37とテキスチャー38のみによって備えられている場合、フレーム32の第2面35が補強構造33を完全に被覆する。 この型のテキスチャーリングは本発明の方法以外の方法を使用して形成する事ができるが、このテキスチャーリングは一般に本発明の方法によって抄紙ベルトを製造する際には形成されない。

    この場合フレームの面に関して「被覆する」とは、補強構造33の側面がフレーム32の第1面34と第2面35との間に完全に配置されている事を意味する。 この場合、補強構造33の一部が導溝36の中に配置され、その結果補強構造の側面に樹脂材料を有しなくても、フレーム32の面が補強構造33の側面を「被覆する」とみなされる。

    第22B図と第22C図に図示のように、裏側テキスチャーは、部分的には通路37と不規則テキスチャー38によって、また部分的には補強構造33の機械対向側面52の輪郭によって形成する事ができる。 第22B図の実施態様においては、フレーム32の第2面35が補強構造33のどの部分も被覆せず、従って補強構造33の機械対向側面52が露出されている。 第22C図に示す他の実施態様において、フレーム32の第2面35は補強構造33の機械対向面52の一部を被覆し、他の部分を露出させている。

    前記の第22A図〜第22C図に図示の裏側テキスチャーの型は3種の基本的な裏側テキスチャーの型である。 これらの裏側テキスチャーの型は便宜上「ポジティブ裏側テキスチャー」、「ネガティブ裏側テキスチャー」およびその組合せと呼ばれる。

    第22A図に図示の「ポジティブ裏側テキスチャー」とは、通路37が、抄紙ベルト10の裏側面12の面Pbから、補強構造の機械対向面Pk2まで延在する構造を示す。 この図において、面Pk2は面Pbの内側に存在する。 従って補強構造33は、フレーム32の第1面34と第2面35との間に完全に配置される。

    他方、ポジティブ裏側テキスチャーを観察する他の容易な方法は、通路37および不規則テキスチャー38が抄紙ベルトの裏側面Pbと成す関係ではなく、これらの通路37
    と不規則テキスチャーが補強構造の機械対向側面Pk2と成す関係を見るにある。 この場合通路37は面Pk2の外側にある。 また不規則テキスチャー38は面Pk2から外側に延在する。

    第22B図に図示の「ネガティブ裏側テキスチャー」においては、通路37が面Pk2から補強構造の紙対向面Pk1の方に延在する。 完全にネガティブテキスチャーを有する抄紙ベルトにおは、面Pbと面Pk2は同一となる。

    第22C図に図示の「ポジティブおよびネガティブ裏側テキスチャー」とは、両方の型の通路が存在する構造をいう。 この場合、一部の通路37が面Pk2の内側に配置され、一部の通路37がこの面Pk2から外側に配置される。
    この構造において面Pk2は面Pbの内側にある。

    これらの3図を検討すれば明らかなように、相異なる型の裏側テキスチャーを有する抄紙ベルトの摩耗面が相互に相違している。

    第22A図に図示のように、ポジティブ裏側テキスチャーを有するベルトの摩耗面は少なくとも最初は完全に樹脂から成る。 テキスチャー38から成るギザギザの突起が抄紙工程に使用される装置の上を走行する際に、抄紙ベルト10の数回転の後に、これらの突起が摩耗して、摩耗面が場所によっては面Pk2と実際上同一となる。 この新しい摩耗面は、補強構造33の機械対向側面52と、面Pk2
    のレベルまで摩耗されたフレーム32の樹脂とから成る。
    この時点においては、空気をフレーム32の第2面35にそって通過させる通路37の数が非常に限定される。

    ネガティブ裏側テキスチャーを有する第22B図に図示のベルトの最初の摩耗面は補強構造33の機械対向側面52
    の一部から成る。 このテキスチャーの場合、最初の摩耗面は、フレーム32を成す樹脂よりも一般に硬質のポリエステル(または前記の素材のいずれか)から成る。 さらにこの図に見られるようにこのベルトは、補強構造33の機械対向側面52から内側に延在する通路37′を有する。
    ベルトが摩耗して摩耗面が補強構造33の機械対向面52と一致した時に、これらの通路37′はなおもベルトの裏側面12にそって開口を成す。 従ってこの型のベルトは、摩耗した後でもその裏側面12にそって空気をある程度出しつづける。

    第22C図に図示のように、前記のネガティブおよびポジティブの組合せを有するベルトの摩耗面は少なくとも最初のうちはフレーム32を成す樹脂材料から全部構成される。 この樹脂から成るギザギザ突起が摩耗した時、摩耗面は第22A図の場合と同様に、補強構造の機械対向面P
    k2と同一レベルになる。 しかし第22A図と第22C図との相違点は、ネガティブテキスチャーの故に、ポジティブテキスチャーが摩耗した後でも、ベルトの中になおも通路
    37が残っている事にある。 従って、最初のテキスチャーが摩耗した後でもベルトの裏側面の上にテキスチャーが保存するためには、少なくともいくつかネガティブテキスチャーを有する事が好ましいと思われる。

    本発明においては、補強構造33を通して液状感光性を活性化波長の光に露出する事によって樹脂を抄紙ベルト
    10の裏側面12にテキスチャーを形成する。 補強要素40の第1不透明度O1が感光性樹脂の対応部分の硬化を防止して、フレーム32の第2面35の裏側ネットワーク35aの中に通路37とテキスチャー38とを形成する。 従って抄紙ベルトの通路37とテキスチャー38の位置、特性および分布を補強構造33に関連して説明する。 この説明に際して、
    いくつかの用語の定義を行う。

    第12図と第12A図において、通路37とテキスチャー38
    はそれぞれ投影区域を画成する。 これらの図においては説明のために通路37とテキスチャー38を図示したが、これらの型の通路とテキスチャーが本発明の抄紙ベルトのすべての実施態様において使用されるわけではない。 これらの図に示す通路37の投影区域はApで図示される。 この場合通路37の投影区域とは、通路37をz方向に投影した区域をいう。 テキスチャー38の投影区域はAiで示される。 この場合テキスチャー38の投影区域とはテキスチャーをz方向に投影して画成された区域をいう。

    この明細書において、通路37またはテキスチャー38
    (またはその投影区域)が「と整列」、または「の中にある」または「の中に配置される」という用語、あるいは補強構造(またはフレーム32)の要素の投影区域に関して使用されるその他の類似用語は、その通路またはテキスチャーが、問題の要素のz方向に投影されうるすべての面の投影区域の境界の中にある事を意味する。 言い替えれば、投影区域「の中にある」通路またはテキスチャーはこの投影区域を画成する要素の上方または下方、
    または部分的に上方、部分的に下方に配置される事ができる。 さらに、通路またはテキスチャーの一部が、その要素のz方向に投影された単数または複数の面の中にある事を意味する。

    第12図および第12A図は前記の通路37およびテキスチャー38の可能な配置の数例を示す。 これらの図を左から右に見れば、第1通路37は部分的に縦糸投影区域Awpの中にある。 またこの通路37の一部は縦糸投影区域Awpの外部にある。 この第1通路37の右側にテキスチャー38がある。 テキスチャー38は縦糸投影区域Awpの中にある。
    このテキスチャー38の右側に第3通路37がある。 この第3通路は完全に間隙投影区域Apiの中にある。 第4通路3
    7が第3通路の右側に図示されている。 この第4通路37
    は完全に縦糸投影区域Awpの中にある。

    通路37またはテキスチャー38を投影区域に関して記載する場合、これは問題の要素の位置が投影区域に対応して記載されたように配置される事を意味する。 しかし、
    通路37またはテキスチャー38の小部分が投影区域と正確に一致しない場合がある。 このような投影区域からの実際位置の多少のずれには、少なくとも2つのファクタがある。 1つのファクタは、問題の要素(通路、テキスチャーなど)がきわめて小さく、また投影区域に対するその要素の位置のわずかな変動が誇張される事にある。 その結果、その要素は投影区域の境界から少し外部に出る。 第2のファクタは、フレーム32の感光性樹脂を硬化させる光線が補強構造33を通過する態様によって通路37
    とテキスチャー38の位置が決定される事にある。 このような光線の方向は必ずしもz方向ではなく、その結果、
    光源方向からの投影がz方向の投影と少し相違する場合がある。

    通路37とテキスチャー38の特性について第21図を参照して詳細に説明する。 第21図に図示のように通路37とテキスチャー38との間に一定の関係が存在する。 通路37はフレーム32の第2面35にそって流体、特に空気、または空気と水を通す開口である。 通路37が裏側ネットワーク
    35aの中に形成されている時、これらの通路がテキスチャー38を成す。 従ってテキスチャー38は、通路37を包囲する裏側ネットワーク35aの部分である。 しかし一般的に、通路そのものが裏側ネットワーク35aにおいて不連続または不規則性を成すのでそれ自体が表面不規則テキスチャーを成す。

    第21図に図示のように通路37とテキスチャー38はフレーム32を通る導溝36と相違する。 導溝と「相違する」とは、本来平滑で連続的な裏側面にネットワーク35aを成す通路37およびテキスチャー38は導溝36の孔41と区別される事を意味する。 言い替えれば導溝36の孔41は通路またはテキスチャーには分類されない。

    それぞれ通路37の物理的特性を第21図に示す。 この図は種々の形状の通路37およびテキスチャー38を示す抄紙ベルトの一部の誇張された略図である。 従ってこの図のベルト裏側面テキスチャーリングは通路37のテキスチャー38の一般特性を説明するのに有効であるが、このテキスチャーリングそのものが本発明の抄紙ベルト10の中に使用されるわけではない。 このような裏側テキスチャーリングはベルトの製造法に依存している。 これらのそれぞれテキスチャーについて、本発明の抄紙ベルト製造法に関連して一般的に説明する。 本発明の方法の説明後に、代表的抄紙ベルトの裏側面テキスチャーを本発明の抄紙ベルトの製造法によって製造されたベルトの拡大写真について説明する。

    第21図に図示のように、通路37は側面66を有する。 これらの側面66は無限の相異なる形状を有する事ができる。 これらの側面は断面において見た場合、全体的に湾曲しあるいは比較的まっすぐであり、あるいは部分的に湾曲し部分的にまっすぐである。 しか多くの場合にこの側面66は非常に不規則であって、正確に定義する事ができない。

    第21図に図示のように、通路37の側面66は比較的垂直な部分(すなわちz方向)から、比較的水平(xおよびy方向)まで種々である。 z方向に対する側面66の角度は第21図においてasと示される。 しかし、湾曲または不規則側面を有する通路37の場合、角度asの値は、側面66
    上の測定点によって変動する事は理解されよう。

    さらに各通路37の側面66の数が変動する。 側面66の数は1つの本質的に連続した湾曲側面から、種々の断面の実際上無限数の側面まで変動する。 第21図の簡単な断面において、いくつかの通路37は比較的垂直な壁体に類似した側面66aを有する。 またいくつかの通路37は天井に似た側面66bを有する。 しかし通路37の1つの側面は常に開かれている。 開かれた側面を66cで示す。

    さらに通路37は一般にきわめて微細であるが、有限の高さhp,幅wp,間隔spおよび断面積Axpを有する。

    第21図に図示のように、通路37の高さhpは、ベルトの裏側面から通路37の内部の点66dまでz方向に測定された距離である。 またそれぞれの通路37の各部の高さhp
    は、通路37の幅に沿って変動する。 さらに各通路37の高さhpは通路ごとに変動する。

    通路37の幅wpは、この通路37のx−y断面においてその対向壁体66aの2点間で測定された距離である。 側壁が単一湾曲面から成る場合、この通路の幅wpはこの湾曲面の対向縁を含むx−y面において、これらの対向縁上の2点間の距離である。 第21図に図示のように、通路37
    の各部分の幅はその測定部分に応じて変動する。 さらに通路37の幅は通路ごとに変動する。

    通路の断面積Axpは第21図において影線によって表示されている。 通路の断面積Axpは、ベルトの裏側面の面P
    bにそって走る仮想線によって限定される通路内部の断面積である。 抄紙工程中に本発明の抄紙ベルト10が真空ボックス上を走行する際に空気の脱出する区域が各通路
    37の合計断面積ApTであるので、この合計断面積は重要である。

    隣接通路37間のスペースはspで表示されている。 このスペースspは、その通路37を画成するテキスチャー38の側面上の2つの基準点間の距離である。 これらの基準点は、第21図の109に図示のようにテキスチャー38の終端共有側面上にある。 これらの終端共有側面67aは隣接通路37の側面66を成す。 基準点109は、ベルトの裏側面Pb
    からz方向に最短距離にある終端共有側面67a上の点である。 第21図において、これらの基準点109は面Pb上にあるが、これには限定されない。 このスペースspは、通路間にあるテキスチャー38の終端共有側面67a上の基準点109と、同一テキスチャー38の反対側の側面67a上の隣接基準点109との距離である。

    通路37間のスペースの全体パタンは通路37の分布を決定する。 通路37は裏側面ネットワーク35aにそって無限の態様に分布される。 例えば通路分布は例えばランダム、規則的、均一または特定パタンとする事ができる。

    ランダムスペースの通路37の一例は第22C図のポジティブ/ネガティブ テキスチャーリングの組合わせから成るベルトの通路37である。 この場合、「均一」とは、
    通路37が特定のパタンを有しなくても、通路37の密度(数)が全面にわたって近似的に同一である事を意味する。 また「規則的」とは、通路間のスペースSpが裏側面ネットワーク35a全体にわたって近似的に同一である事を意味する。 規則的通路37の一例は第3図と第4図に図示のベルト10の通路37である。 この第3図と第4図のベルト10は、通路密度がネットワークの全面にわたって近似的に同一であるので、均一スペース通路の一例ともなる。 またこのベルト10の隣接通路間のスペースが十分に類似であるので、これらの通路37はパタン通路ともみなされる。

    通路37は、フレーム32の第2面35の「実際上全部の」
    部分にそって分布されている。 「実際上全部の」とは、
    通路が裏側ネットワーク面35aのいずれの部分にも存在し、通路の存在しない区域がない事を意味する。 従って補強構造33が織布要素から成る場合、通路37は補強構造
    33の投影補強区域ARまたは投影開放区域Aoの中に配置される。 通路分布が裏側ネットワーク35aの「全部」ではなく、裏側ネットワークの「実際上全部の」部分に存在するとは、通路が裏側ネットワーク35aの任意の箇所に存在するが、かならずしも裏側ネットワーク全体を被覆しない事を意味する。

    各テキスチャー38の物性を第21図に示した。 さらに詳細なテキスチャーの説明は、ブロードストン、Marks' S
    tandard Handbook for Mechanical Engineers,“Surfac
    e−Texture Designation,Production and Control"、
    (マグローヒル、1967)、13−106頁乃至13−112頁に記載されている。 この文献を引例とする。 第21図に図示のように、テキスチャー38の側面を67で示す。 本発明のテキスチャー38は(通路と同様に)無限数の相異なる形状の側面67を有する事ができる。 通路37と同様に、テキスチャー38の側面67は断面において湾曲し、または比較的まっすぐ、または部分的に湾曲し部分的にまっすぐである。 しかし多くの場合に、これらの側面67は非常に不規則であるので、正確に定義する事ができない。

    第21図に図示のように、これらの側面67は比較的垂直(すなわちz方向)から比較的水平(x方向およびy方向)まで配置される。 これらの側面がz方向と成す角度は第21図においてaiで示されている。 しかし湾曲または不規則側面を有するテキスチャー38の場合、この角度ai
    はその測定基準点に依存する。

    さらに、各テキスチャー38は相異なる数の側面67を有する事ができる。 側面67は数のテキスチャー38の形状に依存して変動する事ができる。 断面においてドーム状またはノブ状のテキスチャーについては、その側面67は1
    本の連続曲線と見える。 テキスチャー38がさらに複雑なゼオメトリーを有する場合、各断面について実際上無限数の側面67が存在する。

    また第21図は、通路37の内部壁体66aによって形成された前述のテキスチャー38の終端共有側面67aを示す。
    これらの終端共有側面67aはしばしば長さが不均一である。 これは与えられたテキスチャー38の終端共有側面67
    aが放射方向に相異なる形状の2または2以上の通路37
    の側壁66aによって形成されるからである。

    また第21図は単数または複数の側面67が隣接通路37の壁体を形成する同一構造によって形成されない場合を示す。 これらの側面はテキスチャー38の独立形成側面と呼ばれ、この図において67bで示されている。 しばしば、
    これらの独立形成側面67は抄紙ベルト10の裏側面12の摩耗面の一部から成る。

    さらに、通路37と同様にテキスチャー38は一般にきわめて微細であるが、同様に有限高さhi、幅wi、スペース
    si、および断面積Axiを有する。 第21図に図示のように、テキスチャー38の境界は多くの場合、テキスチャー
    38の終端共有側面67によって画成される。 テキスチャー
    38の終端共有側面67aがきわめて不均一であるので、テキスチャー38の正確な高さ、幅および断面積Axiを表現する事は困難である。

    テキスチャー38のこれらの特性を定義するため、その計算のために任意のしかし均一の基準点を選定する。 この基準点は110で示されている。 基準点110はテキスチャー38の短い方の終端共有側面67a上の1点である。 さらに詳しくは、この基準点110は、短い方の終端共有側面6
    7a上の、ベルト裏側面Pbから最も内側に離間した点である。 第21図は、点110が隣接テキスチャー38の2つの相異なる箇所にある事を示す。

    第21図に図示のように、テキスチャー38上の任意点の高さhiは、基準点110を通る面から、テキスチャー38上のその点までのz方向距離である。 各テキスチャー38の各部分の高さhiはテキスチャーの幅wiにそって変動する。 さらに裏側ネットワーク35aの各テキスチャー38の高さhiはテキスチャーごとに変動する。

    テキスチャー38の幅wiとは、テキスチャーのx−y断面においてx方向、y方向またはその中間方向に測定された対向側面67上の2点の距離である。 両側面67が単一の湾曲面によって形成される場合には、テキスチャーの幅wiはx−y面において測定されたこの湾曲面の対向縁上の2点の距離である。 また第21図に示すように、テキスチャーの各部分の幅はその測定部分に応じて変動する。 また各テキスチャーの幅はテキスチャーごとに変動する。

    またテキスチャーの断面積Axiは第21図において影線で示されている。 この断面積Axiは、基準点110を通る仮想線と面Pbの間のテキスチャー部分の断面積である。

    またテキスチャー38は隣接テキスチャー間のスペース
    Siを有する。 第21図に図示のように、与えられた方向におけるテキスチャー38のスペースSiは、X−Y面においてテキスチャーの終端共有側面67上の基準点109から、
    次のテキスチャーの最も近い終端共有側面67a上の基準点109までの距離である。

    テキスチャー38間のスペースの全体パタンがテキスチャーの分布を決定する。 通路と同様にテキスチャー38はフレーム32の裏側ネットワーク35aにそって無限の態様で分布される事ができる。 テキスチャー38の分布はランダム、均一、規則的またはある程度規則的なパタンとする事ができる。 この場合、「均一」とは、テキスチャーが特定のパタンを成さなくてもテキスチャーの密度(または数)が面全体において近似的に同一である事を意味する。 また「規則的」とは、隣接テキスチャーのスペースSiが裏側ネットワーク35a全体にそって近似的に同一である事を意味する。 さらに、通路の場合と同様にテキスチャー38は裏側ネットワーク35aの「大体全部の」部分にそって分布する事ができる。 これは、テキスチャー
    38が裏側ネットワークの実際上任意の箇所に存在できる事を意味するが、テキスチャー38は必ずしも裏側ネットワーク全体を覆う必要はない。 通路37の対応の分布型を示す付図の中に、テキスチャー38の種々の分布例が図示されている。

    さらにテキスチャー38は前記の特性を有するほか、フレーム3の裏側ネットワーク35aの中の突出または沈下として特徴付けられる。 この場合テキスチャー38の突出または沈下と言われる場合、その基準面は補強構造の機械対向面のPk2である。 この面からz方向に外側に突出するテキスチャー38が突出である。 この面Pk2からz方向に内側にあるテキスチャー38が沈下である。

    本発明の抄紙ベルト10の好ましい実施態様のテキスチャード裏側面12の特性はベルト10の製造法に依存する。
    前記のように補強構造33を通して感光性樹脂を光源に露出する事によってベルトに裏側面テキスチャーを備える時、このテキスチャーの特性は不透明な第1部分P01の特性に依存する。 これらの特性は全体的に拡大写真、第
    34図A−Cに図示され、これらのベルトの製造法の種々の態様に関連して説明する。 しかし、本発明の方法によって作られるベルトに共通な一般的特性がある。 この特性は第11A図および第11B図に最もよく図示されている。

    一般的に、これらの図に示すように、通路37は、主として不透明第1部分P01の投影によって形成された第1
    投影区域A1の中に配置されている。 またこれらの図は、
    ベルトの裏側面によって画成される面と補強構造の機械対向側面によって画成される面Pk2とが同一である事を示す。 言い替えれば、抄紙ベルト10はネガティブテキスチャーを有する。 またこれらの図は、通路37の高さが、
    面Pk2から、第1部分P01を成す構造要素40aの底部まで内側に延在する事を示す。

    先行技術の平滑な裏側を有する抄紙ベルトを使用する場合の問題点は、紙ウエブをこのベルトによって真空脱水装置の上を搬送する際に紙ウエブに対して真空圧が非常に急激に加えられる結果であった。 先行技術の平滑な裏側面を有する抄紙ベルトは実際上一時的に、これらの真空装置の上にシールを生じると思われる。 従って、真空装置が先行技術の抄紙ベルトの片寄らせ導溝に遭遇した時、真空圧が樹脂フレームの上面に配置された繊維ウエブに対して非常に急激に加えられる。 このような急激な真空圧がベルト中の非常に可動的な繊維の急激な片寄らせを生じ、これによってこれらの繊維が抄紙ベルトを完全に通過させられると考えられる。 従来のベルト10a
    と本発明の抄紙ベルト10によってそれぞれ搬送されるウエブ中の繊維の片寄らせ作用の差異を第23A図、第23B図に略示し、第24図にそのグラフを示す。

    第23A図は、先行技術の抄紙ベルト10aが真空ボックス
    24など、抄紙工程に使用される脱水装置に遭遇した時に生じると思われる状態である。 第23B図は、本発明の改良型抄紙ベルト10が真空ボックス24に遭遇した場合に生じると思われる状態である。 第24図は、第23A図と第23B
    図に図示の抄紙ベルトが真空ボックスの真空スロットを横断する際に初期ウエブ18の繊維に対して加えられる真空圧(差圧)を示すグラフである。

    前記各抄紙ベルト10aと10はそれぞれ第1面34、第2
    面35および補強構造33を有するフレーム32を含むが、その相違点はベルト10のフレームの第2面35の裏側ネットワーク35aがテキスチャーを有するのに対して、先行技術ベルト10aのフレームの裏側ネットワーク35aが平滑な事である。 しかしこれらの図に図示されていない本発明の抄紙ベルト10と先行技術ベルトの種々の相違点(導溝の形状および補強構造の型など)が存在するものと了解されたい。 これらの図の目的は、両方のベルトの裏側面の差異から生じる動作の差異を示すにある。 図面を簡単にするため他の相違点はこれらの図から省略した。

    これらの図に示すように、両方のベルト10aと10はそれぞれそのフレーム32の第1面の上に初期ウエブ18(それぞれの繊維は18a)を担持する。 それぞれの図において、ベルトの一部が真空ボックス24の単一のスロット24
    dの上を通過する。 また真空ボックスは、抄紙ベルトがマシン方向に(図において左から右に)移動する際に最初に遭遇する先頭真空ボックス面24c1と、抄紙ベルトが真空スロット24dを通過した後に遭遇する真空ボックスの後尾面24c2とを示す。 24c1と24c2の上に、真空スロット24dの上部に隣接してリップが備えられる。 すなわち先頭面リップ24b1と後尾面リップ24b2がある。 真空源(図示されず)から真空Vが矢印方向にベルトおよび初期ウエブ18に対して圧力を加える。 真空Vは初期ウエブ
    18から一部の水を除去し、また繊維18aをフレーム32の導溝36の中に片寄らせて再配列する。

    第23A図において、裏側ネットワーク35aの平滑な性質の故に、フレーム32の第2面35と真空ボックスの先頭面
    24c1との間においてSの箇所で真空シールが形成されると思われる。 ベルト10aが右側に移動して、真空スロット24dに遭遇すると、真空シールが突然に破断されて、
    初期状態のウエブ18に対して真空圧Vが急激に加えられる。 これによりウエブ18の中の繊維18aが急激に導溝36
    の中にに片寄らされて、繊維の一部18a′が完全にベルト10aを貫通して真空ボックス24の後尾リップ24b1の上に堆積する。 これらの繊維18a′は後尾面24c2の上に繊維塊を形成するまで堆積して、抄紙ベルト10aが乗り越えなければならないリッジを成す。

    これに反して第23B図においては、ベルト10の裏側面1
    2(特にフレーム32の裏側ネットワーク35a)がテキスチャーを備えるので、空気が抄紙ベルトの裏側面12と真空ボックスの先頭面24c1との間に入るための通路37が存在して、フレーム32の裏側ネットワーク35aと真空ボックス24の先頭面24c1間のシールを排除する。 このような空気の流入を大きな矢印VLで示す。 このような空気の流入
    VLにより、ウエブ18中の繊維18aの繊維の片寄りが増大する。 抄紙ベルト10を通過して真空ボックスの後尾リップ24b2の上に堆積する繊維は、あっても少ない。 さらに、抄紙ベルト10のテキスチャーを備えた裏側ネットワークは撹拌作用または清掃作用を生じて後尾リップ上に堆積した繊維を除去するものと思われる。

    2.抄紙ベルト製造法 前述のように抄紙ベルト10は種々の形状をとる事ができる。 抄紙ベルト10の製造法は前述の特性を有する限り問題ないが、二、三の方法が有効である事が発見された。 本発明の改良点を有しない「片寄らせ部材」(または「多孔性部材」)の製造法の詳細な説明は米国特許第
    4,514,345号に記載されている。 このジョンソンほかの特許を引例とする。 本発明の抄紙ベルト10の製造法およびその二、三の実施態様を下記に説明する。

    本発明の抄紙ベルト10の製造装置の実施例を第25図に略示する。 この図の装置は抄紙工程の細部の一部をある程度省略した。 通路37と表面不規則テキスチャー38をフレーム32の第2面35の裏側ネットワーク35aに形成する方法の細部は後続の図面に図示されている。 また下記の図面において図示された要素のスケールをある程度誇張してある事を注意しよう。

    第25図に示す工程は、テキスチャード加工面(または「成形面」)72を備えた形成ユニットまたはテーブル71
    の上を補強構造33が通過する際に液状感光性重合体樹脂
    70をこの補強構造の上に被覆する段階を含む。 第25図および後続の図面に図示のように、樹脂または「被覆」70
    が補強構造33の少なくとも一方の面(好ましくは両面)
    被着されて、この被覆70が第1面34′と第2面35′とを形成する。 被覆70は、その少なくとも第2面35′の部分が形成ユニット71の加工面72に隣接配置されるように分布される。 また被覆70は、補強構造33の紙対向側面51が被覆70の第1面と第2面との間に配置されるように分布される。 さらに、第27図に図示のように、被覆の第2面
    35′の部分が補強要素40の不透明第1部分P01と形成ユニット71の加工面72との間に配置されるように、被覆70
    が分布される。 被覆の第1面と補強構造33の紙対向面51
    との間に配置される被覆部分は樹脂オーババードンt0′
    を成す。 このオーババードンの厚さは所定の値に制御される。 次に感光樹脂70に対して、活性化波長を有する光(液状樹脂を硬化する光)を光源73から、マスク74と補強構造33とを通して露出する。 このマスクは不透明区域
    74aと透明区域74bとを有する。 このマスクの不透明区域
    74aと補強構造33の第1部分P01とによって光を遮断された樹脂部分は硬化されない。 樹脂の他の部分(遮蔽されない部分、および補強構造33の第2部分P02が硬化を可能とする部分)が硬化される。 硬化されていない樹脂が硬化した樹脂フレーム中の導溝を通る。 裏側ネットワーク35a中のテキスチャー38を生じる通路37は、補強構造3
    3の第1部分P01によって硬化を防止された被覆70の第2
    面35′の部分に対応する。

    下記の説明において、便宜上工程全体の各段階を一連の段階に分割し詳細に検討する。 しかし下記に説明する各段階は本発明の抄紙ベルトの製造法を理解させるためのものであって、下記に説明する方法は段階の数またはその配列に限定されるものではない。 この点に関して、
    下記の段階のいくつかを結合して同時に実行できる事を注意しよう。 同様に、本発明の主旨の範囲内において下記の段階のいくつかをそれぞれ2段階またはそれ以上の段階に分離する事ができる。

    第1段階 本発明の工程の第1段階は形成ユニットにテキスチャード加工面72を備えるにある。

    第25図の形成ユニット71は加工面72を有する。 この形成ユニット71は円形要素、好ましくはドラムとして形成される。 ドラムの直径とその長さは適宜に選定される。
    その直径は、バリヤフィルム76と補強構造33が加工工程中に不都合な程度に湾曲されないように選定される。 またドラムの直径は、ドラムの回転中に必要な段階を実施できるようにドラム表面回りに十分な走行距離が存在する程度に大でなければならない。 ドラムの長さは、製造される抄紙ベルト10の幅に従って選定される。 また形成ユニット71は、適当な駆動手段(図示されず)によって駆動される。

    第27図は第25図に図示の成形工程の他の実施態様の拡大図である。 また第27図によれば、本発明の好ましい実施態様として、厚さ約1インチ(2.54cm)の硬質ゴムカバー91が形成ユニット71上に被覆されている。

    好ましくは、加工面72が樹脂によって汚染する事を防止するため形成ユニット71をバリヤフィルム76によって被覆する。 またバリヤフィルム76は、部分的に完成した抄紙ベルト10′を形成ユニット71から除去しやすくする。 一般にバリヤフィルム76は形成ユニット71の加工面
    72上のテキスチャーに合致する可撓性の、平滑な平坦材料とする事ができる。 バリヤフィルム76はポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリエステルシートで構成する事ができる。 好ましくはバリヤフィルムはポリプロピレンから成り、約0.01乃至約0.1mmの厚さを有する。 また好ましくは、バリヤフィルム76は活性化波長の光を吸収し、あるいは形成ユニット71の加工面72に光を透過して加工面72が光を吸収する程度に透明とする。 また一般にバリヤフィルム76は、樹脂がその表面に固着する事を防止し、また樹脂がその表面にそって均一に拡散するように、化学処理される。 好ましくはこの化学処理はコロナ処理とする。 このコロナ処理は、バリヤフィルムを第25
    図の装置の中に設置する前にこのバリヤフィルムに対して電荷を加えるにある。

    第25図に図示のように、バリヤフィルム76はバリヤフィルム供給ロール77を繰り出してフィルムを矢印D2方向に走行させる事によってシステムに供給される。 バリヤフィルム76は形成ユニット71の加工面72に接触し、下記の手段によって加工面72に対して一時的に拘束される。
    形成ユニット71が回転するに従って、バリヤフィルム76
    はこの形成ユニットと共に移動する。 バリヤフィルムは場合によっては加工面72から剥離され、バリヤフィルム巻き取りロール78まで走行し、巻き取られる。 第25図に図示の実施態様において、バリヤフィルム76は使い捨て設計である。 他の構造においては、バリヤフィルム76は無限ベルトを成し、この無限ベルトが一連の戻しロール上を走行して、これらのロール上で浄化されて再使用される。

    また好ましくは、形成ユニット71は、バリヤフィルム
    76がその加工面72と密接に接触するように保持する手段を備える。 例えばバリヤフィルム76は加工面76に対して接着される事ができる。 あるいは加工面72にそって分布された複数の相互に密接する小孔を通して加えられる真空によって、バリヤフィルム76を加工面72に固着する事ができる。 好ましくは、バリヤフィルム76は、第25図には図示されていない通常の緊張手段によって加工面72に対して保持される。

    第2段階 本発明の工程の第2段階は、抄紙ベルト10の中に合体するため、二、三の要素と特性(下記に説明)を有する。

    補強構造33の要素と特性を第27図に示す。 図示のように、補強構造33は紙対向面51と、この紙対向面51と反対側の機械対向側面52と、間隙39と、複数の構造要素40a
    から成る補強要素40とを有する。 補強要素40の第1部分
    P01は第1不透明度O1を有し、補強要素40の第2部分P02
    は、前記第1不透明度O1より低い第2不透明度O2を有する。 第1不透明度O1は、感光性樹脂がその未硬化状態にありまた第1部分が補強構造33と化学光源73との間に配置されている時、補強構造33の硬化を実質的に防止するのに十分である。 第2不透明度O2は感光性樹脂の硬化を可能とする。 第1部分P01は第1投影区域A1を画成し、
    この区域の一部を第27図に図示する。

    前述のように、補強構造33は抄紙ベルト10の中心となる要素である。 この明細書の前項に記載の任意の補強構造を使用する事ができる。 好ましくは、補強構造33は、
    第6図乃至第11図に図示のように、相互に垂直に重ね合された縦糸を有する織成多層型ファブリックとし、第1
    部分P01は第2縦糸層Dの少なくとも一部の縦糸53を含む。

    好ましい抄紙ベルト10は無限ベルト状を成すので、補強構造33も無限ベルト状を成す。 抄紙ベルト10は補強構造33の回りに構成されるからである。 第25図に図示のように、補強構造33は矢印D1方向に、戻りロール78aから、形成ユニット71に掛け回され、次に戻しロール78b
    と78cとの回りを走行する。 本発明の抄紙ベルト製造装置には、第25図に図示されていない通常の案内ロール、
    戻しロール、駆動手段、支持ロールおよび類似手段が備えられている。

    第3段階 本発明の方法の第3段階は、補強構造33の機械対向側面52の少なくとも一部を加工面72と接触させるにある(さらに詳しくは、図示の実施態様においては形成ユニット71の加工面72の上に補強構造33を走らせるにある)。

    好ましくは前述のように、加工面72に樹脂70が付着しないようにするためバリヤフィルム76が使用される。 この場合、バリヤフィルム76が補強構造33と形成ユニット
    72との間に配置されるように、補強構造33の機械対向側面52の少なくとも一部をバリヤフィルム76と接触させるにある。

    補強構造33を形成ユニット72の加工面72またはバリヤフィルム76に対して正確に配置する手法は抄紙ベルト10
    の設計に依存する。 補強構造33はバリヤフィルム76と直接に接触させる事ができ、あるいは補強構造33をバリヤフィルム76から一定距離、離間させる事ができる。 補強構造33を裏側面12から離間させるための任意の手段を使用する事ができる。 例えば、補強構造33の機械対向側面
    52に対して液状感光樹脂を被着させ、樹脂被覆の一部が補強構造33と形成ユニット72の加工面72との間に配置されるようにする事ができる。 しかし好ましくは、補強構造33の機械対向側面52の少なくとも一部(例えば機械側ナックル)を形成ユニット72の加工面72(あるいはバリヤフィルム76)と直接に接触させ、突出部分120などの補強構造33の他の部分は形成ユニット72の加工面72から離間させる事ができる。

    第4段階 第4段階は補強構造33の少なくとも一方の側面に対して液状感光樹脂70を被覆するにある。

    一般的に、この被覆70は、補強構造33の空隙区域39a
    (これについては後で定義する)を実質的に充填するように被着される。 また被覆70は第1面34′と第2面35′
    とを成すように被着される。 また被覆70は、その第2面
    35′の少なくとも一部が形成ユニット71の加工面72に隣接配置されるように分布される。 また被覆70は、補強構造33の紙対向面51が被覆の70の第1面34′と第2面35′
    との間に配置されるように分布される。 被覆の第1面3
    4′と補強構造33の紙対向面51との間に配置される被覆部分は樹脂オーババードンt0′を成す。 また被覆70は、
    この被覆の第2面35′の一部が補強要素40の第1部分P0
    1と形成ユニット71の加工面72との間に配置されるように分布される。

    補強構造33を被覆するのに適した感光樹脂は市販されている多くの製品から容易に選定する事ができる。 使用できる樹脂は、放射線、一般に紫外線(UV)の作用で硬化または橋かけ結合する物質、一般に重合体である。 液状感光樹脂についてこれ以上の情報を含む引例は、グリーンほか、“Photocross−linkable Pesin Systems",J.
    Maro−Sci.Revs.Macro Chem.C21(2),187−273(1981
    −82);バイヤーほか、“A Reiw of Ultraviolet Curi
    ng Technology",Tappi Paper Synthtics Conf.Proc.,Se
    pt.25−27,1978,pp.167−172;およびシュマイドルほか、“Ultraviolet Curable Flexible Coatings",J.of
    Coated Fbrics,8,10−20(July,1978)を含む。 これらの3文献を引例とする。 特に好ましい液状感光性樹脂は、デラウエア、ウイルミングトン、ハーキュリーズ社によって製造されるメリグラフ樹脂シリーズの中に含まれる。 最も好ましい樹脂はMerigraph樹脂EPD 1616である。

    本発明を実施する好ましい方法においては、仕上がり抄紙ベルト10の酸化を防止しその寿命を増大するため、
    樹脂に対して適当な酸化防止剤を加える事ができる。 好ましい酸化防止剤はニュウジャージ 07470、ウエインのアメリカン シアナミド社から入手されるCyanox 17
    90、およびニューヨーク 10502、アーズレイのチバガイギー社から入手されるIraganox 1010である。 本発明の抄紙ベルト10が数種類の酸化防止剤から防護されるようにこれら両方の酸化防止剤を加える。 これらの酸化防止剤はそれぞれ下記の量を添加される。 :Cyanox 179
    0、1%の1/10、Irganox 1010、1%の8/10。 本発明の抄紙ベルト10が二、三の酸化剤スピーシズから防護されるように、これらの両方の酸化防止剤を添加する。

    液状物質を補強構造33に加えるための任意の技術を使用して被覆70を被着する事ができる。 第25図に図示のように、本発明を実施する好ましい方法においては、液状感光樹脂70は補強構造33に対して2段階で加えられる。
    第1段階は押し出しヘッダ79で示す箇所で実施される。
    第1段階は、被覆される補強構造33の部分が形成ユニット71の加工面72と接触させられる前に生じるので「プレフィル」段階と呼ばれる。 この第1段階においては、押し出しヘッダ79によって補強構造33の機械対向面52に対して、補強構造33の少なくとも空隙区域39aを部分的に満たす程度に液状感光樹脂の第1被覆が加えられる。 好ましくは第1被覆は実質的に補強構造33の空隙空域39a
    を満たす。 この空隙区域は第22D図に最もよく示されている。 この場合、用語「空隙区域」(または「空隙容積」)とは、補強構造の紙対向面Pk1と補強構造の機械対向面Pk2との間にある補強構造33の開放スペース全体(すなわち補強要素40によって占められていない前記2
    面間のスペース)をいう。 従って空隙区域39aは、面Pk1
    とPk2の間にある間隙39およびその他の開放スペースを含む。

    押し出しヘッダ79による樹脂70の被着はマスク74がこのシステムに導入される箇所に隣接配置されたノズル80
    による第2段階において樹脂70の第2被覆被着する動作と関連して実施される。 このノズル80は補強構造33の紙対向面51に対して液状感光樹脂70の第2被覆被着させる。 樹脂70が補強構造33の幅全体にそって均一に加えられ。 所要量の樹脂が間隙39を通して空隙39aを実質的にに満たす事が必要である。 この第2被覆が第1被覆と共に、前述のように第1面34′と第2面35′とを有する単一の被覆70を形成するように被着される。 このようにして、被覆の第2面35′の少なくとも一部が形成ユニット
    71の加工面72に隣接配置され、補強構造33の紙対向面51
    が被覆70の第1面34′と第2面35′との間に配置され、
    前記第1面34′と補強構造33の紙対向面51との間の被覆部分が樹脂オーババードンt0′を成すように被覆70が分布される。

    従って付図において、補強構造33に対して樹脂70を加える段階は必ずしも前記の第3段階の直後に実施する必要のない事は理解されよう。 すなわち、戻しロール78a
    にそって形成ユニット71に向かう補強構造33の特定部分をみれば、この補強構造33の機械対向面52が形成ユニット71の加工面72と接触した後でなく、その前に被覆段階の第1段階が生じる事ができる。 また他方、第25図の装置の組立体工程全体について、補強構造33を含む無限ベルトの少なくとも一部に被覆を実施する前にこの部分が形成ユニット71の加工面と接触させられる場合がありうる。 しかし本発明の工程は前者の場合について検討する。

    付図の実施態様において、樹脂の第2段階(「ポストフィル段階」)は、補強構造33が戻しローラを越えて形成ユニット71と最初に接触する箇所の後に生じる。 これら2つの動作(すなわち補強構造33に対する被覆の被着とこの補強構造33を形成ユニットの加工面72と接触させる操作)は同時に発生する事ができ、または、前記の補強構造が最初に形成ユニット71と接触する箇所の手前において樹脂を補強構造の上面(すなわち紙接触面51)に被着させる事もできる事は理解されよう。 本発明の方法は、前述の基本的な段階のあらゆる組合せおよび順序を含むものであるが、好ましくは補強構造33の被覆は図示の順序で実施される。

    第5段階 本発明の方法の第5段階は被覆70のオーババードンt
    0′の厚さを所定値に制御するにある。 この段階は、補強構造33に対して樹脂を被覆する第2段階とほぼ同時に生じる。

    このオーババードンt0′の厚さの所定値は抄紙ベルト
    10の所望の厚さに対応する。 もちろんこの厚さは抄紙ベルトの所望の用途に従う。 抄紙ベルト10が前記のように抄紙工程に使用される場合、抄紙ベルト10の厚さtは約
    0.01mm乃至約3.0mmとする。 もちろん他の用途においては、3センチメートルの厚さまたはこれ以上の厚さの抄紙ベルトを必要とする場合がある。

    抄紙ベルト厚さを制御する適当な手段を使用する事ができる。 オーババードンの厚さを制御する適当な手段はニップロール81であって、このニップロールはマスク案内ロールとしても役立つ。 このニップロール81と形成ユニット71との間隔は図示されていない通常手段によって機械的に制御する事ができる。 このニップロール81はマスク74およびマスク案内ロール82と協働して、樹脂70の表面を平滑化しまたその厚さを制御するのに役立つ。

    第6段階 第6段階は単一段階、または下記の別個の2段階とみなされる。 (1)不透明区域74aと透明区域74bとを有するマスク74を備える段階。 前記の不透明区域は透明区域と共にマスクの中に所定のパタンを成す。 (2)樹脂70
    の被覆と化学線73との間に前記マスク74を配置して、樹脂70の被覆の第1面34′と接触させる段階。

    あるいはマスク74は、被覆70の第1面34′から一定距離離間されるように配置する事ができる。 しかし好ましくは下記の理由から、マスクは被覆の第1面34′と接触させられる。

    マスク74の目的は、樹脂の特定区域を化学線の光から防護しまたは遮断するにある。 もちろん、一部の区域が遮蔽されれば、他の区域が遮蔽されず、この遮蔽されない区域の樹脂70が化学線に露出されて硬化される。 前記の段階が実施された後、遮蔽された区域は原則として、
    硬化された樹脂フレーム32の導溝36の所定パタンを成す。

    マスク74は、不透明区域74aと透明区域74bとを備える事のできる適当物質から成る。 可撓性の写真フィルムの特性を有する物質がマスク74として適当である。 この可撓性フィルムはポリエステル、ポリエチレンまたはセルロースまたはその他の適当な物質とする事ができる。 不透明区域74aは感光性液状樹脂を硬化する事のできる光に対して不透明でなければならない。 好ましい樹脂において、不透明区域74aは約200−400ナノメートルの間の波長を有する光に対して不透明でなければならない。 不透明区域74aはマスク74に対して任意適当な手段によって加える事ができる。 例えばブルー印刷(または青焼法)、または写真印刷またはグラビヤ印刷、フレキソ印刷または回転スクリーン印刷法を使用する事ができる。
    好ましくは不透明区域74bはマスクに対してブルー印刷(青焼法)によって施用される。

    マスク74は無限ループとし(その細部は通常のものであって図示されない)、または供給ロールから本発明のシステムを通して巻き取りロールに送る事ができるがそのいずれも通常のものであるから図示されていない。 マスク74は矢印D3方向に走行し、ニップロール81の下を通り、そこで樹脂70の表面と接触させられ、次に案内ロール82に掛け回され、その近くで樹脂70から離脱される。
    この実施態様において、樹脂70の厚さとマスク74の位置の制御は同時に生じる。

    第7段階 第7段階は、前記のマスク74を通して樹脂70の被覆に対して活性化波長の光を加える事により、マスクの透明区域によって非遮蔽状態に残された部分を硬化させ、また補強構造33の第2部分P02が硬化を許す被覆70の樹脂部分を硬化させ、またマスクによって遮蔽されない部分および補強構造33の第1部分P01と形成ユニット71の加工面72との間に配置された被覆部分を未硬化状態に残して、部分的に形成された複合ベルト10′を形成するにある。

    第25図の実施態様において、バリヤフィルム76、補強構造33、液状感光性樹脂70およびマスク74から成るユニットがニップロール81から案内ロール82の近傍まで走る。 これらのロール81と82の間において、バリヤフィルム76と補強構造33がなおも形成ユニット71の近くにある箇所において、樹脂70は露出ランプ73によって活性化波長の光を受ける。

    一般にこの露出ランプ73は、樹脂74の硬化を生じる波長の光を生じるように選択される。 この波長は液状感光性樹脂70の特性である。 適当な光源、例えば水銀灯、パルスキセノン、無電極ランプおよび蛍光ランプを使用する事ができる。 前述のように、樹脂70が適当波長の光に露出される時に、樹脂70の露出部分において硬化が生じる。 この硬化は一般に露出区域における実質的の固化によって示される。 逆に、非露出区域は液状にとどまる。

    この照射強さとその時間は露出区域に必要な硬化度に依存する。 露出強さと時間の絶対値は、樹脂の化学的性質、その光特性、樹脂被覆の厚さおよび選択されたパタンに依存する。 好ましい樹脂、Merigraph 樹脂 EPD
    1616の場合、この照射量は、約100−約1,000ミリジュール/cm2、好ましい範囲は約300−約800ミリジュール/cm
    2、最も好ましい範囲は約500−800ミリジュール/cm2である。

    露出強さと光の入射角度は、導溝36の壁体44のテーパの存在または不存在に対して大きな影響を与える。 これらの露出強さと入射角度は壁体のテーパに影響するだけでなく、硬化したフレーム32の空気に対する透過性に影響する。 この「通気性」は本発明の抄紙ベルトを吹き通し型乾燥抄紙工程に使用する場合に重要である。 活性化波長の光の高度のコリメーションが使用される場合、導溝36の壁体44のテーパが小さくなる。 テーパの少ない導溝(垂直に近い導溝)は、与えられた表面ナックル区域に対する内側テーパを有する壁体よりも高い通気性を有する抄紙ベルトを生じる。 導溝36の壁体44が内側テーパを有する場合よりも、抄紙ベルトを通る空気の流通面積が大になるからである。

    本発明の好ましい実施態様において、所望区域中の液状感光性樹脂の硬化を改良しまた仕上がり抄紙ベルトの壁体44の所望のテーパ角度を得るため、入射角度がコリメートされる。 硬化放射線の方向と強さを制御する他の手段は、屈折装置(すなわちレンズ)および反射装置(すなわち鏡)を使用する手段を含む。 本発明の好ましい実施態様は減法コリメータ(すなわち角度分布フィルタまたは所望の方向以外の方向のUV光線をろ過し阻止するコリメータ)を使用するにある。 任意適当な装置が減法コリメータとして使用する事ができる。 一連のチャンネル上に形成されこれらのチャンネルを通して光が所望の方向に指向される暗色の、好ましくは黒色の金属装置が好ましい。 本発明の好ましい実施態様において、コリメータは、硬化した樹脂ネットワークが抄紙ベルトの上面において35%の投影面積を有し、裏面において65%の投影面積を有するように光を伝達するサイズとする。

    第8段階 本発明の工程の第8段階は、部分的に形成された複合体ベルト10′から未硬化液状感光性樹脂の実質的に全部を除去し、補強構造33の少なくとも一部の周囲に硬化した樹脂フレーム32を残すにある。

    この段階において、露光から遮断されていた樹脂が下記のようにして複合体ベルト10′から除去され、前記のマスク74の不透明区域74aによって光線から遮断されていた区域に複数の導溝36と通路37とを備えて、この通路
    37が、補強構造33の第1部分P01によって硬化を防止された被覆の第2面35′の部分に対応して、フレーム32の裏側ネットワーク35aの中に表面不規則テキスチャー38
    を形成する。

    第25図に図示の実施態様において、マスク案内ロール
    82の近くの点において、補強構造33と現在は部分的に硬化された樹脂70とを含む複合体ベルト10′から、マスク
    74およびバリヤフィルム76が一定量の未硬化樹脂と共に物理的に分離される。 補強構造33と部分的に硬化された樹脂70の複合体が第1樹脂除去シュー83aの近傍に移動する。 この第1シューにおいて、複合体ベルト10′の一方の側面に対して真空が加えられるので、相当量の未硬化液状感光性樹脂がこの複合体から除去される。

    複合体ベルト10′がさらに進行する際に、この複合体ベルトは樹脂洗浄シャワー84と洗浄ドレン85との近くに移動され、この箇所で水またはその他の適当な液体によって完全に洗浄されて、残存未硬化樹脂の実質的に全部を除去し、除去された樹脂をドレン85からシステム外に排出する。 第2樹脂除去シュー83bにおいて、残留洗浄液体および未硬化液状樹脂が真空作用によって複合体ベルト10′から除去される。 この時点において、複合体ベルト10′は補強構造33と対応の硬化樹脂フレーム32とを含み、この工程の製品としての抄紙ベルト10を成す。

    オプションとして、また好ましくは第25図に図示のように活性化光に対する樹脂の第2露出を実施し(下記において「後硬化段階」と呼ぶ)、樹脂の硬化を完了し樹脂フレーム32の硬度と耐久性を増大させる。 この後硬化段階は、第26図に図示のように実施される。 この第26図は後硬化段階の拡大断面図である。

    第26図に図示のように、後硬化UV光源を使用して複合体ベルト10′に対して活性化波長の光の第2露出を実施する。 しかしこの第2露出は複合体ベルト10′が水86の中に浸漬されている時に生じる。 複合体ベルト10′を浸漬するために、このベルトは、案内されていた走路からローラ87a,87b,87c、87dによって幾分片寄らされて、水浴88の水86の中に入る。 複合体ベルト10′がこの後硬化露出のために浸漬される事が重要である。 さもなければ、仕上がりベルト10が異常にねばっこくなる。 さらに、樹脂の重合を完了するためには、亜硫酸ナトリウム(Na2SO4)を添加して水中に溶解した酸素をできるだけ除去する必要のある事が発見された。 亜硫酸ナトリウムは、後硬化浴88の水量の約2%またはこれ以下、添加される。

    さらに第26図においては、後硬化工程の水浴88の底面
    90上に反射鏡89が配置されている。 この反射鏡は到達するUV光線を反射してベルト10′の下側面または裏側面12
    に反射するのに役立つ。 この段階は、仕上がり抄紙ベルト10のフレーム32の第2面35の裏側ネットワーク35aの通路とテキスチャーとを成す樹脂部分を完全に硬化するために特に重要である。 前記の第25図においては、UV光線全部が複合体ベルト10′の上側面の上方にある光源から供給されていた。 この後硬化段階において供給される
    UV光線量も樹脂特性、および所望の硬化深さおよびパタンに依存する。 好ましい樹脂、Merigraph樹脂 EPD 16
    16の場合、前記の予備硬化について照射量が後硬化段階にも適当である。 しかし後硬化の場合には導溝またはチャンネルがすでにフレーム32の中に形成されているので、光線をコリメートする必要はない。

    補強構造33の全長が処理されて抄紙ベルト10状に変換されるまで、前記の処理を継続する。

    相互に重ね合された相異なるパタンを有し、あるいは相異なる厚さのパタンを有する抄紙ベルトを構成する事が望ましいなら、補強構造に対してこの工程の多数パスを加える事ができる。 また比較的厚い抄紙ベルトの製造のためにも多数パスを実施する事ができる。

    3.抄紙工程 抄紙のためには他の工程の使用も考えられるが、本発明の改良型抄紙ベルト10を使用する抄紙工程を下記に説明する。 先行技術においては、本発明の改良を含まずあるいは本発明の抄紙ベルト10を使用しない抄紙工程が米国特許第4,529,480号に記載されている。 このトロカン特許を、この明細書と一致する限りにおいて引例として加える。 このトロカン特許に対する改良点を下記に説明する。

    本発明の抄紙ベルトを使用する抄紙工程全体は、下記の時間順序で生じる複数の段階または操作を含む。 下記のパラグラフにおいて、各段階を第1図について詳細に説明する。 しかし下記の説明は本発明を理解するためのものであって、本発明は一定数の段階数またはその順序に限定されない。 従って本発明の主旨の範囲内において、下記の段階を同時的に実施する事ができ、また下記の段階を2段階または2段階以上に分割する事ができる。

    第1図は、本発明の抄紙工程を実施するための抄紙機の実施態様の略図である。 本発明の抄紙ベルト10は無限ベルトの形で図示されている。 第1図の抄紙機は、ベルトの構造および配置に関して米国特許第3,301,746号に記載の抄紙機に類似の長網抄紙機である。 この特許を引例とする。

    また本発明を実施するために、モートンの米国特許第
    4,102,737号に記載のツインワイヤ抄紙機を使用する事も考えられる。 このモートン特許を使用する場合、本発明の抄紙ベルト10の代わりにモートン特許の付図において4で示された乾燥/印刷ファブリックを交換する。 しかしこの特許の図面の他の参照数字は本発明の明細書の付図の数字と同様である。

    第1段階 本発明の抄紙工程の第1段階は抄紙繊維14の水性分散系を準備するにある。

    この水性分散系の製造装置は公知であるので、第1図には図示されていない。 この水性分散系はヘッドボックス13に供給される。 単一のヘッドボックス13が図示されているが、本発明の抄紙工程の他の実施態様においては複数のヘッドボックスを使用する事ができる。 ヘッドボックスおよび抄紙繊維の水性分散系の製造装置は、米国特許第3,994,771号に記載され、これを引例とする。 水性分散系の製法およびその特性は米国特許第4,529,480
    号に記載され、この特許を引例とする。

    ヘッドボックス13に供給された抄紙繊維14の水性分散系が、抄紙工程の第2段階を実施するために、長網ワイヤ15などの形成ベルトに送られる。 この長網ワイヤはブレストロール16および複数の戻しロール17,17aによって支持されている。 このワイヤ15は、第1図に図示されない通常の駆動手段によって矢印A方向に駆動される。 通常は抄紙機および長網ワイヤと共に使用されるオプション補助ユニットおよび装置、例えば形成ボード、ハイドロフォイル、真空ボックス、張りロール、支持ロール、
    ワイヤ洗浄シャワーなどが、第1図の抄紙機に組合わされている。 これらのユニットは通常のものであるので、
    第1図には図示されない。

    第2段階 抄紙工程の第2段階は、第1段階において供給された水性分散系14から、多孔性面上で、抄紙繊維の初期ウエブ18を形成するにある。 長網ワイヤ15がこの多孔性面として役立つ。 この場合、「初期ウエブ」とは、抄紙工程中において本発明の抄紙ベルト10上で再配列される繊維ウエブを言う。

    初期ウエブ18の特性とその形成技術は米国特許第4,52
    9,480号に記載されている。 この特許を引例とする。 第1図の工程においては、抄紙繊維14の水性分散系をブレストロール16と戻しロール17との間において長網ワイヤ
    15上に堆積させ、水性分散媒の一部を除去する事によって初期ウエブ18が形成される。 水性分散系から水を除去するため、第1図に図示されていない通常の真空ボックス、形成ボードおよび類似物を使用する事ができる。

    初期ウエブ18が形成された後に、このウエブは長網ワイヤ15と共に戻しロール17の回りを走行し、次に第2抄紙ベルト、すなわち本発明の抄紙ベルト10の近くにもたらされる。

    第3段階 抄紙工程の第3段階は、初期ウエブ18を本発明の抄紙ベルト10の紙接触面11と接触させるにある。

    この第3段階の目的は、初期ウエブ18を抄紙ベルト10
    の紙接触面11と接触させるにあり、この抄紙ベルト10の上で初期ウエブ18および個々の繊維が片寄らされ、再配列されさらに脱水される。 初期ウエブ18は、長網ワイヤ
    15によって本発明の抄紙ベルト10と接触させられる。 長網ワイヤ15は、真空ピックアップシュー24aの近くにおいて本発明の抄紙ベルト10と初期ウエブ18を接触させ、
    この抄紙ベルト10の上に移動させる。

    第1図の実施態様におて、本発明の抄紙ベルト10は矢印Bの方向に走る。 抄紙ベルト10は、抄紙ベルト戻しロール19a、19b、刻印ニップロール20、抄紙ベルト戻し19
    c、19d、19e、19fおよびエマルジョン分布ロール21(エマルジョン浴23から抄紙ベルト10の上にエマルジョン22
    を分布する)とにそって走行する。 本発明の抄紙ベルトの走るループはさらに抄紙ウエブに対して流体差圧を加える手段を含み、この手段は好ましい実施態様においては真空ピック・アッップシュー24a、およびマルチスロット真空ボックス24などの真空ボックスを含む。 またこのループの上にはプレドライヤ26が配置される。 さらにそれぞれ戻しロール19cと19dの間、および戻しロール19
    dと19eとの間に水シャワー102と102aが配置される。 水シャワー102および102aの目的は、抄紙工程の最終段階を通過した抄紙ベルト10の部分に付着している紙繊維、
    接着剤などを抄紙ベルト10から除去するにある。 第1図には図示されていないが本発明の抄紙ベルト10に対して、その他の種々の支持ロール、戻しロール、洗浄手段駆動手段、および抄紙器について一般に使用される業界公知の手段が組合わされる。

    便宜上、この第3段階において、エマルジョン分布ロール21とエマルジョン浴23の機能について説明する。 エマルジョン分布ロール21とエマルジョン浴23は抄紙工程中にベルト10に対して有効量の化合物を連続的に加える。 化合物は抄紙ベルト10に対して抄紙工程の任意の点において加える事ができるが、好ましくはベルト10が紙ウエブを搬送していないベルト走行点において、ベルト
    10の紙接触面11に対して化合物を添加する。 この化合物の添加は原則として、予備乾燥された紙ウエブ27が抄紙ベルト10から離れてヤンキードライヤドラム28の表面に転送された後に次の抄紙ウエブ18と接触するために戻っている時(すなわちエマルジョン分布ロール21の近くにおいて)実施される。

    化合物は好ましくは第1図のエマルジョン22などの形で抄紙ベルト10に対して加えられる。 これらの化合物は下記の二重の目的に役立つ。 (1)剥離剤または剥離エマルジョンとして作用する(紙ウエブに対して抄紙工程の各段階が実施された後に紙が抄紙ベルトから剥離されて付着しないように、抄紙ベルト10の上の被覆として被着される)および(2)樹脂フレーム32が酸化の故に劣化する傾向を減少する事によってベルトの寿命を延長するように処理する(すなわちエマルジョン22は酸化防止剤としても役立つ)。 好ましくは、化合物は、抄紙ベルトの紙接触面11全体に効果を及ぼすようにこの紙接触面
    11に対して均一に施用される。

    好ましいエマルジョン22は5種の化合物から成るが他の適当な化合物を添加する事もできる。 好ましい組成物は、水、高速タービン油、「リーガルオイル」、ジメチル ジステアリル アンモニウムクロリド、セチルアルコールおよび酸化防止剤である。

    この明細書において「リーガルオイル」とは、約87%
    の飽和炭化水素と約12.6%の芳香族炭化水素とから成り、痕跡量の添剤を含む、テキサス、ハウストン、テキサコオイルカンパニーによって製品番号R&O 68 Co
    de 702として市販される化合物をいう。 リーガルオイルの目的は剥離剤としての特性をエマルジョンに与えるにある。

    ジメチル ジステアリル アンモニウム クロリドはイリノイス、ローリングメドウズ、シュレックス カンパニーから商標ADOGEN TA 100で市販される。 下記においてこの化合物を便宜上アドゲンと呼ぶ。 アドゲンは、水中に(リーガルオイルの)の油粒子を乳濁させまたは安定させる界面活性剤として乳濁液の中に使用される。 この場合、「界面活性剤」とは、一端において親水性であり、他端において疎水性であり、親水性物質と疎水性物質との界面まで泳動して2つの物質を安定化する界面活性剤物質をいう。

    またこの明細書において「セチルアルコール」とはC1
    6線形脂肪アルコールをいう。 セチルアルコールはオハイオ、シンシナチー、P&G社によって製造される。 セチルアルコールはアドゲンと同様に本発明のエマルジョンの中に界面活性剤として使用される。

    またこの明細書において「酸化防止剤」とは、酸化しやすい製品表面に施用された時にその酸化傾向(酸素と結合する傾向)を低減させる化合物をいう。 特にこの明細書において「酸化防止剤」とは、本発明の抄紙ベルト
    10の硬化した樹脂ネットワークの酸化傾向を低下させる化合物をいう。 好ましい酸化防止剤はニュージャージー
    07470、ウエイン、アメリカンシァナミド社から市販されるCyanox 1790である。

    このエマルジョンに使用される相対パーセントを下記の表に示す。

    成分 体積(ガロン) 重量(lbs) 水 s/8 4320.0 リーガルオイル 55 421.8 アドゲン N/A 24 セチルアルコール N/A 16 Cyanox 1790 N/A 5.8 *N/A−成分が固体状で添加される。

    第4段階 第4段階は真空源によって初期ウエブ18に対して適当な流体の差圧を加えて、ウエブ中の繊維の少なくとも一部を抄紙ベルト10の導溝36の中に片寄らせ、またこの導溝36を通してウエブ18から水を除去して中間ウエブ25を形成するにある。 このような繊維を導溝36の中に片寄らせる作用は、初期ウエブ18の繊維を所望の構造に再配列するのに役立つ。

    このような流体差圧を加える好ましい方法は、下記に詳細に説明するように本発明の抄紙ベルト10の裏側面12
    から真空を加える事により、ウエブに対して導溝36を通して真空を露出するにある。 第1図においてこの好ましい方法は、真空ピック・アッップシュー24aとマルチスロット真空ボックス24とによって実施される。 好ましくは約8〜12インチ(20.32cm−30.48cm)水銀の真空圧をピック・アッップシュー24aに加え、また約15〜20インチ(38.1cm−50.8cm)水銀の真空圧を真空ボックス24に加える。 従って、本発明の好ましい実施態様において、
    流体差圧は負圧(すなわち大気圧以下の圧力)であり、
    適当な流体は空気である。 あるいは、または追加的に、
    ピック・アッップシュー24aまたは真空ボックス24の近くにおいて長網ワイヤ15を通して初期ウエブ18に対して空気または水蒸気の形の正圧を加える事ができる。 このような正圧を加える手段は通常のものであるので、第1
    図に図示されていない。

    抄紙ベルト10の導溝36の中に繊維を片寄らせる状態を第1A図と第1B図に示す。 第1A図は、ウエブ18が抄紙ベルト10に組合わされた後に、しかし繊維が導溝36の中に片寄らされる以前の抄紙ベルト10のウエブ18の一部の断面図である。 第1A図に図示のように、初期ウエブ18はなおも長網ワイヤ15と接触している(さらに詳しくは、長網ワイヤ15と本発明の抄紙ベルト10との間に挟まれている)。 この図においては、1つの導溝36のみが図示され、ウエブ18は抄紙ベルト10のフレーム32の紙側ネットワーク面34aと接触している。

    第1A図と第1B図に示す抄紙ベルト10の部分は、本発明の抄紙ベルト10の好ましい実施態様の一部を成す補強構造33を除去し、また導溝36の壁体44をまっすぐな垂直線として示す事によって図面を簡略化してある。 前述のように本発明の実施態様においては、導溝の壁体44のプロフィルはもう少し複雑である。 さらに、導溝36の第1面
    34における開口42および第2面35における開口43が本質的にサイズと形状が同等に図示されているが、本発明の導溝の第2面35の開口43は第1面34の開口42より小である。

    第1B図は第1A図と同様に簡単な断面図であるが、ウエブ18の繊維が流体差圧の作用のもとに導溝36の中に片寄らされて初期ウエブ18が中間ウエブ25に変形している事を示す。 この図は、ウエブ18の繊維の相当部分、従ってウエブ18そのものが紙側ネットワーク34aの下方に、導溝36の中に移動して中間ウエブ25を形成している事を示す。 この繊維の片寄り中に、繊維の再配列が生じる(その細部は図示されていない)。

    また第1B図は、ウエブ18の繊維が導溝36の中に片寄らされて再配列された時に、ウエブ18はもはや長網ワイヤ
    15と接触していない事を示す。 第1図に図示のように、
    ウエブ18はピック・アッップシュー24aの近傍から離れた直後に長網ワイヤ15から離間される。

    繊維が導溝36の中に片寄らされる時にあるいはこのような片寄り後に、ウエブ18から導溝36を通して水が除去される。 この脱水は流体差圧作用で生じる。 しかし、繊維の片寄り前にウエブ18からの脱水の生じない事が重要である。 このような条件を達成するため、抄紙ベルト10
    の紙側ネットワーク34aによって包囲される導溝36の部分が相互に離間される。 このような導溝36の離間または区画化は、真空などの片寄りを生じる力が比較的急激に、また繊維の片寄りを生じる程度に加えられるために重要である。 これは、導溝36が離間されていない場合と対照的である。 その場合には、隣接導溝36から真空が侵入して徐々に真空が加えられ、繊維の片寄りなしで脱水が生じる。

    第1図に図示の装置においては、脱水は最初にピック・アッップシュー24aと真空ボックス24において生じる。 導溝36は抄紙ベルト10の厚さ全体に開いているので、初期ウエブ18から除去された水は導溝36を通ってシステムから出る。 導溝36に対応するウエブ部分のコンシステンシーが約20%〜約35%に増大するまで脱水が継続する。

    第5段階 この第5段階は第4段階に記載の真空源の上を抄紙ベルト10と初期ウエブ18に走行させるにある。 好ましくは、この第5段階は第4段階と同時に生じる。 ベルト10
    はその紙接触面11の上にウエブ18を担持して真空源の上を通る。 その際にベルト10のテキスチャード裏側面12の少なくとも一部が真空源の表面と接触する。

    真空源の上を本発明の抄紙ベルト10を進行させる段階においては、真空ボックスのリップの上の望ましくない繊維堆積を低減させる。 特定の理論に拘るつもりはないが、このような本発明の工程における繊維堆積の低減の原因の1つは、第4段階における繊維の片寄りが比較的急激に実施されるにある。 繊維の片寄りは、テキスチャード裏側面12を有する抄紙ベルト10を使用する事によって制御される。 このテキスチャード裏側面は、この裏側面がピック・アッップシュー24aと真空ボックス24の表面と接触する際に一定量の空気を裏側面12にそって入らせる。 ベルト10の裏側ネットワーク35aは通路37を備え、これらの通路が少なくともある程度の空気の入るスペースを成す。 これは、比較的平坦な裏側面を備えた先行技術の繊維片寄り部材と対照的である。 このような平坦面はウエブの繊維を片寄らせる真空ボックスの上にシールを形成する傾向があり、その結果このシールが破断された時に、真空圧が過度に急激に加えられる。 このようにして、ウエブ18の中の繊維の片寄りの制御は第5段階において生じる固有の段階であり、あるいはこれを別個の段階と見なす事ができる。

    またこれらの通路37は、抄紙ベルト10の裏側面12の中に表面不規則テキスチャー38を生じ、真空脱水装置のリップまたは表面の浄化作用を有するものと思われる。 この浄化作用は真空装置上の繊維の望ましくない堆積を除去する傾向がある。 またこの浄化作用は、真空源が繊維片寄らせ段階に際して抄紙ベルトの横断する少なくとも1つの面を有する場合に生じると思われる。 従って真空脱水装置表面の浄化作用は、第5段階において生じる固有の段階であり、または別個の段階とみなす事ができる。 別個の段階とみなすならば、この段階は前記真空源の面をベルト10のテキスチャード裏側面12と接触させて、真空源の面の上に堆積した繊維を清掃するにある。

    真空圧を加えこの真空源の上に抄紙ベルト10とウエブ
    18を通過させた後に、ウエブ18は流体差圧を受けて片寄らされているが完全に脱水されていない状態にある。 これを「中間ウエブ25」と呼ぶ。

    第6段階 第6段階は、前記中間ウエブ25を乾燥させて予備乾燥された繊維ウエブを形成するオプション段階である。 中間ウエブ25を乾燥するために任意の通常の手段を使用する事ができる。 例えば、吹き通し型ドライヤ、ノンサーマル毛管脱水装置、ヤンキードライヤをそれぞれ単独でまた組合わせて使用する事ができる。

    中間ウエブ25を乾燥する好ましい方法を第1図に図示する。 真空ボックス24の近傍から、中間ウエブ25は抄紙ベルト10と共に戻しロール19aを通過し、矢印Bの方向に走行し、次にオプションとしてのプレドライヤ26の中を通過する。 このプレドライヤ26は業界公知の通常の吹き通し型ドライヤ(熱空気ドライヤ)とする事ができる。

    プレドライヤ26において除去される水量は、プレドライヤ26を出る予備乾燥されたウエブ27が約30%乃至約98
    %のコンシステンシーを有するように制御される。 予備乾燥されたウエブ27は、なおも抄紙ベルト10と組合わされており、戻しロール19b上を通過して刻印ニップロール20の区域に走行する。

    第7段階 この第7段階は、予備乾燥されたウエブ27を抄紙ベルト10と刻印面との間に介在させて抄紙繊維のインプリントされたウエブを形成する事により、本発明の抄紙ベルト10の紙側ネットワーク34aを予備乾燥ウエブ上に刻印するにある。

    中間ウエブ25がオプションとしての予備乾燥第6段階を受けていなくても、このウエブ25に対して第7段階を実施する。

    この第7段階は、予備乾燥されたウエブ27が刻印ニップロール20とヤンキードライヤドラム28との間のニップを通る際に実施される。 予備乾燥されたウエブ27がこのニップを通過する際に、抄紙ベルト10の紙接触面11上の紙側ネットワーク34aが予備乾燥ウエブ27の中に刻印されて、刻印ウエブ29を形成する。

    第8段階 第8段階は刻印されたウエブ29の乾燥段階である。 紙側ネットワーク34aがウエブの中に刻印された後に、この刻印ウエブ29が本発明の抄紙ベルト10から分離される。 このように分離する際に、このウエブ29はヤンキードライヤドラム28の表面に固着して、そこで少なくとも約95%のコンシステンシーまで乾燥される。

    ウエブを担持していた抄紙ベルト10の部分が戻りロール19c,19d,19e,19fにそって通り、これらのロールの間に配置されたシャワー102,102aの中を通り、そこで洗浄される。 これらのシャワーからベルトはエマルジョンロール21まで移動し、そこで、初期ウエブ18の次の部分と接触させられる前に、エマルジョン22を施用される。

    第9段階 第9段階は、乾燥されたウエブ(刻印されたウエブ2
    9)のフォアショートニングにある。 この第9段階はオプションであるが、きわめて好ましい段階である。

    この明細書において、「フォアショートニング」とは、乾燥ウエブにエネルギーを加えてその長さを短縮させ、ウエブ中の繊維−繊維結合を破壊して繊維を再配列する事を言う。 フォアショートニングは任意の公知技術によって実施する事ができるが、最も通常の好ましい方法はクリーピングである。

    このクリーピング操作に際して、ヤンキードライヤドラム28の表面に固着したウエブ29をドクターブレード30
    によって除去する。 第1図に図示のように、ウエブの固着した表面は乾燥面として機能する。 代表的には、この乾燥面はヤンキードライヤドラムの表面である。

    ヤンキードライヤドラム28の表面に対する刻印ウエブ
    29の固着は、クリーピング接着剤を使用すれば容易である。 代表的なクリーピング接着剤はポリビニル アルコールをベースとする任意適当な接着剤である。 適当な接着剤の例は米国特許第3,926,716号に記載されている。
    この接着剤は、ウエブ27が前記のニップの中に入る直前にこのウエブに対して施用され、または好ましくはウエブがニップロール20によってヤンキードライヤドラム28
    の表面に圧着される点の前においてヤンキードライヤドラム28の表面に施用される。 本発明において使用される接着剤の施用手段または施用技術は通常のものであるので、第1図には図示されていない。 噴霧法など、クリーピング接着剤の施用技術を使用する事ができる。

    一般に、抄紙ベルト10の紙接触面11上の紙側ネットワーク34aに組合わされたウエブ29の片寄らされていない部分のみが、ヤンキードライヤドラム28の表面に直接に付着させられる。 紙側ネットワーク34aのパタンとドクターブレード30に対するその配向がウエブに加えられるクリーピングの程度と特性を決定する。

    本発明の方法によって製造されるウエブの物性は米国特許第4,529,480号に記載されている。 この特許を引例とする。 しかし、本発明の抄紙ベルト10の好ましい実施態様の導溝の形状により、ウエブ31中のネットワーク区域および複数のドームは、前記の米国特許第4,529,480
    号の6角形ではなく、「線形アイダホパタン」に形成される。

    本発明の製品としての紙ウエブ31はオプションとしてカレンダリングされ、差動巻き取り法を使用しまたは使用しないで巻き取られ、または第1図に図示されない通常手段によって切断されまた堆積される。 そこでこの紙ウエブ31は使用する事ができる。

    4.テスト法 一定量の裏側面テキスチャーを有するベルトは真空脱水装置上の紙繊維の望ましくない堆積を減少させまた紙の堆積の伴うその他の問題を解決するという目的を達成できる事が発見された。 本発明の抄紙ベルト10を使用して所望の目的を達成するために必要な裏側テキスチャーの量と特性は、ベルトの、特にその裏側面12の流体透過性を決定する。 この明細書において、「流体透過性」とは、特にそのために開発された下記のテスト条件において、抄紙ベルト10の裏側面12にそって流れる空気(「空気漏れ量」)の測定値を言う。

    裏側面12にそった空気漏れを下記において「X−Y」
    空気漏れと呼ぶ。 この「X−Y」とは、本発明の抄紙ベルト10をデカルト座標に配置して抄紙ベルト10の裏側面
    12をx軸とy軸から成る面に配置した時に、空気漏れが裏側面12にそってX−Y面の任意方向に生じる事による。

    X−Yまたは裏側面の空気漏れテストは第30図および第31図に略示された装置を使用する。 第30図はテスト装置56の上側面の略図である。 簡単のため、この図から、
    すべてのホースおよびパイプを除去した。 これらのホースおよびパイプは第31図の装置側面図に図示されている。 図示のように、テスト装置56はその基本的成分として、中心に穴59を有する第1プレート58を含むスタンド
    57と、前記第1プレートの穴59の上に配置される前記スタンド57とは別個の平滑な丸い第2プレート60と、液体を充填された真空ゲージ62と、流量計63とを有する。

    スタンドの上部を形成するプレート(すなわち、第1
    プレート58)は好ましくは正方形、8インチ×8インチ(20.32cm×20.32cm)であって、厚さが1/2インチ(1.2
    8cm)である。 第1プレート58は平坦な、非変形性の、
    流体(ガスおよび液体)不透過性の表面を有する。 この第1プレートは鏡のように仕上げられたきわめて平滑な面を有するステンレス鋼から成る。 正確な読み値を得るためには、この第1プレートの表面上に引っかき傷またはその他の欠陥の存在しない事が重要である。 このような表面欠陥は追加的空気漏れを発生させ、その結果として、このような欠陥を有しない場合よりも高い読み値を生じる。 このプレートの中心の穴の直径は1.0インチ(2.54cm)である。 さらに、このテストに使用されるスタンドにおいては、第1プレート58の中に、前記穴59を中心として直径約3.5インチ(8.89cm)の円が書き込まれている。 この円の目的は、第2プレート60を穴59の上に定心させる案内線を提供するにある。 この円が読み値の精度に影響するとは思われない。

    丸い第2プレート60はテストスタンドの一部ではなく、その好ましい形状においてステンレス鋼から成り、
    直径3インチ(7.62cm)、厚さ1/2インチ(1.27cm)である。 この第2プレートの重量は405gとする。 この重量は、テストされるベルトサンプルをスタンドの上に、これを不当に圧縮する事なく保持するのに十分でなければならない。

    第31図に図示のように、パイプまたはホースを第1プレート58の穴59の中に挿入して保持できるように、この穴59の内側にアダプタ61が嵌合される。 アダプタ61は、
    穴の一端から延在する短管64を有する。 この管64は、ベルトサンプルを載置された第1プレート58の面に沿った穴59の開口に向かって延在する。 またこの管64の内径は
    0.312インチ(0.793cm)である。

    前記アダプタ61の他端から流量計63の底部まで、ホース65aが走る。 この流量計63は、抄紙ベルト10のテスト部分を通る空気流量を測定するために使用される。 この流量計63は0から150までの目盛りのスケールを有する。 多くの流量計と同様に、このスケール上には特定の単位が表示されていない。 従って、下記に詳細に説明するように、この流量計63はある既知の単位に目盛りづけされる。 適当な流量計は、IL 60648、シカゴ、コールパーマ社によって製造される流量計FM 102−05である。

    流量計63の頂上から第2ホース65bが管68に向かって走り、この管68は最終的に真空源に接続される。 この真空源は矢印VT方向に真空を引っ張る。 この真空源そのものは通常型であるので、第31図に図示されていない。
    前記管68から数本の分岐が出ている。 これらの分岐には、締切弁69a、粗調整弁69b、微調整弁69c、および液体を充填された真空ゲージ62が含まれる。 前記の真空ゲージ62は0から30インチ(0−76.2cm)水銀の圧に目盛りづけされている。 水銀柱インチ単位で真空を正確に測定する任意のゲージを使用する事ができる。 このような真空ゲージの一例は、コネチカット、ストラットフォードで、商標Ashcroft Duragaugeで製造されている商品名
    AISI 316 Tube & socket No.250,2274Aのモデルである。

    このテスト装置の操作に際して、孔59を横断してテストスタンドのX−Y面の中に抄紙ベルト10の断片を配置する。 抄紙ベルト10の断片をプレート58の上に、この抄紙ベルトの紙接触面11が上側になるように(すなわちプレート58から反対側になるように)、またその裏側面が直接にプレート58と接触するように配置する。 この抄紙ベルト10のサンプルは、すべてのサイズにおいて少なくとも丸い第2プレート60より大きくなければならない。
    第30図と第31図には、抄紙ベルト10の断片の一部のみが図示されている。 さらに、これらの図においては説明のために抄紙ベルト10の断片は漏れテスタ56のサイズに対して誇張されている。

    次に第2プレート60を抄紙ベルト10の紙接触面11の上に配置して、抄紙ベルトをその位置に保持し、また導溝
    36を通して空気が入らないように導溝36を被覆する。 次に真空圧を加え、真空ゲージ62によって測定される差圧が約7インチ(17.78cm)水銀に設定されるように弁69
    a、69b、69cを調整する。 しかし読み値は標準手順全体が実施される前に真空ゲージ62が5インチ(12.7cm)水銀に設定された時にとられた。 この5インチ水銀でとられた読み値を下記の式に代入する事によって7インチ水銀でとられる読み値に変換する。 この式においてxは5
    インチ(12.7cm)水銀でとられた読み値、またyは7インチ(17.7cm)水銀における対応の読み値である。

    y=2.6720+1.2361X このようにして真空圧が加えられた時、直接に読み値を流量計からとる。 流量計63から直接に読取る値は、抄紙ベルト10のサンプルの裏側面12にそったX−Y漏れ量の測定値である。 さらに詳しくは、第2プレート60の外周から入り(矢印Lの方向)抄紙ベルト10のサンプルの裏側面12にそって移動する空気の量の測定値である。 この読み値の単位は、前記テストにおける空気の漏れ量の読み値を得る責任者、ペンシルバニア メホオパニーのヘンリ マーラットの名前によって「マーラット」と命名された。 マーラットから標準立方センチメートル/分単位への変換は、マーラット読み値を下記の式に代入する事によって成される。 ここにxはマーラット読み値であり、yは対応の標準cc/分である。

    y=36.085+52.583X−0.07685X 2この方程式は、バック オプチカル ソープ バブルメータを使用して流量計を標準cc/分に校正する事によって作られた。 流量計63においてとられたマーラット直接読み値と対応の標準cc/分読み値との相互関係を第32
    図のグラフに示す。

    好ましくは、流体通過能力(または前記のテスト装置で測定された空気漏れ量は)は約35マーラット(約1.80
    0標準cc/分)以下であってはならない。 35マーラットの流体通過能力を有する抄紙ベルトが、真空脱水装置中の紙繊維の堆積を低下させる効果を示しはじめる。 言い替えれば、抄紙ベルト10の裏側面12が平坦な非可撓性の流体不透過性面に接触させられて導溝36が覆われてこれらの導溝を通しての空気の脱出を防止しまた大気圧より約7インチ(17.78cm)水銀低い差圧が裏側面12に加えられている時に、前記のフレーム32の第2面35の通路37およびテキスチャーを含むその他の要素は、抄紙ベルトの裏側テキスチャー面を通して少なくとも約1.800標準cc/
    分の空気その他の流体を通過させる事のできるサイズまたは能力を有しなければならない。

    複合抄紙ベルトの好ましい最小限空気透過範囲としての450−550cfmにおいて、抄紙工程において許容されるレベルで作用する抄紙ベルト中の空気漏れ量は一般に約
    40マーラット(約2.000標準cc/分)以上である。 好ましくは、抄紙ベルトは、同一の条件(450−550dcfm空気透過率)において、少なくとも約70マーラット(焼3.300
    標準cc/分)、最も好ましくは少なくとも約100マーラット(約4.500標準cc/分)の空気漏れ読み値を有しなければならない。

    裏側テキスチャーリングの望ましい量の上限は、抄紙ウエブの繊維を導溝36の中に片寄らせるのに必要な量以下に真空差圧を低下させるという望ましくない結果をもたらす事なく、抄紙ベルトの裏側面にそって最大量の空気を移動させる事のできるテキスチャーリング量である。 この最大空気量は、250マーラット(約8.400標準cc
    /分)またはこれ以上であると考えられる。

    第34A−C図は、本発明の方法によって作られた抄紙ベルトの拡大写真である。 これらの写真を第33A図および第33B図に図示の先行技術の平滑な裏側面を有するベルトの写真と比較する事ができる。

    これらのベルトの拡大写真を検査する際に二、三の問題点に注意しなければならない。 第1に、使用された倍率レベルの故に、これらの写真に示すベルトの部分は非常に小さい部分である事は明かである。 しかし写真に示すこれらの部分(特にベルトの裏側面のテキスチャーリング)は十分にベルト全体の特性を示すものと思われる。 しかしこれは図示の写真の部分以上にベルトの全体特性を代表する部分がないというわけではない。

    さらに、このような製品の微細特徴の拡大写真による検査の困難性の故に、これらの写真に図示のベルト部分は違った角度からとられた他の写真と必ずしも対応しない事を注意しなければならない。 言い替えれば、抄紙ベルトの紙接触面11と裏側面12を成す部分は実際に上下関係にない事もありうる。 また同様に、ベルトの断面写真は上側面写真と下側面写真と同一の部分の断面ではない可能性がある。 このような点を考慮してこれらの拡大写真を検討しよう。

    第33A図と第33B図は、本発明の改良点を含まない抄紙ベルト10aのそれぞれ紙接触面11aと裏側面12aの約25倍拡大写真である。 これらの写真のベルトは、711線形アイダホベルトであるから、本発明によるベルトのサイズと幾分相違している。 従ってこれらの写真のベルトは小サイズ導溝36を有し、平方インチあたりの導溝数は大となる。 またこれらの第33図A,Bに図示のベルト10aは、単層補強構造を有するが故に相違する。

    第33B図に図示のベルト10aの裏側面12aは小さい導溝を有するベルトの問題点の1つを示す。 導溝36が裏側面
    12aにおいて閉鎖してしまう傾向がある。 理想的には、
    この写真のベルトの裏側面12aは第33A図の紙接触面11a
    とほとんど同様に見えなければならない。 導溝36の壁体
    44がテーパを有すれば、裏側面の導溝は小さくなり、裏側ネットワーク面積が大きくなるに違いない。 またこのように理想的なベルトからの相違は、一部にはベルトの小さい欠陥がこれらの写真において大きく誇張されている事による。 第33B図に図示の裏側面12を顕微鏡によって検査すると、この裏側面の導溝の開口は紙接触面11a
    の導溝の開口に非常に類似している事がわかる。 しかしこのような検査の結果、樹脂物質の非常に薄いフィルムが導溝を被覆する事がわかる。 この事は裏側面12aの外観の相違を少なくとも部分的に説明するものである。

    第34A−C図に図示のベルト10の写真は、本発明の方法によって調製された300線形アイダホ35%ナックル区域ベルトを示す。 このベルトの裏側面テキスチャーは第2縦糸層Dの全部の縦糸53に対して第1不透明度O1を与える事によって形成された。 第2縦糸層Dのそれぞれの糸に対して有機染料を塗布する事によって、これらの各縦糸に対して第1不透明度O1が与えられた。 さらに詳しくは、黒色インキマークペンによって塗布した。 第34A
    図−第34C図の写真はベルトの実際サイズの約25倍に拡大してある。 第34A図は、紙接触面に対する垂線(すなわちz方向)に対して約35゜の角度でとられた写真である。 第34B図は裏側面12の写真である。 第34C図は第34A
    図と第34B図のベルトの断面図である。

    第34A図は、紙ウエブを担持する紙側ネットワーク34a
    が巨視的に平滑であり、パタンを有し連続的である事を示す。 この図に図示のように、紙側ネットワーク34aは写真倍率レベルにおいて微視的にも平滑であり、パタンを有しまた連続的である。 またこのネットワーク面34a
    は複数の導溝36の開口42を画成し、これらの開口の中に初期ウエブの繊維が片寄らされて、改良型紙ウエブの形に再配列される。 また導溝36の開口41の中に補強構造33
    が見られる。 補強構造33は、複数のマシン方向縦糸ヤーン53が複数のクロスマシン方向横糸ヤーン54と織り合わされてその間に間隙39を残す事によって構成される。 補強構造33は、垂直に重ね合された縦糸53を有する好ましい多層補強構造である。 第34A図に図示のように、間隙3
    9は導溝36の大体数分の1である。 補強構造33は、導溝3
    6を通る排出水の流れおよび空気流と干渉する事なくフレーム32を補強する。

    ベルト10の裏側面12を第34B図および第34C図に示す。
    この裏側面のテキスチャーリングは本発明の方法の第1
    実施態様による。 これらの図にに図示のように、裏側ネットワーク35aは不連続である。 本発明の方法によって作られた裏側面テキスチャーリングがなければ、この裏側ネットワーク35aは紙側ネットワーク34aにきわめて類似したであろう。

    第34B図において、本発明による裏側面テキスチャーリングは、フレーム32の裏側ネットワーク35aの中にテキスチャー38を形成する通路37を有する。 この裏側面テキスチャーは裏側ネットワーク35a中の複数の不連続と見える。 これらの不連続が通路37である。 通路37は規則的に全体パタンを成して分布されている。 通路37は、主として補強構造33の第1部分P01を成す縦糸53の上に(すなわち投影縦糸区域に)の上に配置される。 第1部分P01が第2縦糸層Dの縦糸53から成る場合、第1投影区域A1と投影縦糸区域が同一となる。

    また第34図は、多数の通路37が投影機械側横糸ナックル区域Akwt2の中にまたはこの区域に隣接して、また横糸54によって補強構造33の機械対向側面52の中に形成されたナックル105b2に隣接して配置されている事を示す。 これは少なくとも部分的には、機械側横糸ナックル
    105b2が成形プロセス中に形成ユニットの加工面と直接に接触する補強構造33の部分を含み、その結果としてこれらのナックルと加工面との間に樹脂材料が存在しない事によると思われる。 従って、これらのナックルが仕上がりベルト10の中に露出される。

    第34C図は、通路37の高さが、補強構造の機械対向側面によって画成される面Pk2から、不透明第1部分P01を含む構造要素40aの底面まで内側に延在する事を示す。

    本発明は前記の説明のみに限定されるものではなく、
    その主旨の範囲内において任意に変更実施できる。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI B29L 29:00 (56)参考文献 特表 平5−508449(JP,A) 特表 平5−508450(JP,A) 米国特許4528239(US,A) 米国特許4514345(US,A) 米国特許4529480(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) D21F 1/00 - 13/12

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