Sewing machine

申请号 JP2004194031 申请日 2004-06-30 公开(公告)号 JP2006014835A 公开(公告)日 2006-01-19
申请人 Brother Ind Ltd; ブラザー工業株式会社; 发明人 MIZUNO NOBORU; FUJIWARA SHINYA; SHOJI YOSHIHISA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To automate threading operation without regard to the position of a presser bar for improving operation performance by automatically retreating a presser foot to a position of not interfering with an automatic threading mechanism in the case of threading in a sewing machine provided with the automatic threading mechanism.
SOLUTION: The sewing machine comprises: a needle bar supporting a needle; the threading mechanism having a threading hook member for threading by putting a needle thread through into the hole of the needle; a vertically moving mechanism for vertically moving the presser bar having the presser foot mounted to its lower end; and a driving mechanism for driving the vertically moving mechanism. The sewing machine is provided with: a threading operation means for operating the threading mechanism; and a driving mechanism control means for controlling the driving means so as to vertically move the presser bar to a position avoiding interference of the presser foot and the threading hook member when the threading operation means is operated.
COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI
权利要求
  • 縫針を支持する針棒と、縫針の目孔に上糸を貫入させて糸通しを行う為の糸通しフック部材を有する糸通し機構と、下端部に押え足が装着された押え棒を昇降させる昇降機構と、その昇降機構を駆動する駆動機構とを有するミシンにおいて、
    前記糸通し機構を作動させる為の糸通し操作手段と、
    前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸通しフック部材との干渉を回避する位置に前記押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御する駆動機構制御手段と、
    を備えたことを特徴とするミシン。
  • 前記干渉を回避する位置は、前記押え足と前記糸通しフック部材が所定の間隔をおいて離間する位置であることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  • 前記上糸を保持する為の糸保持部材と、この糸保持部材を縫針の目孔近傍に移動させることにより上糸を縫針の目孔近傍に移送し、前記糸通し機構と協働して前記縫針の目孔に前記上糸を糸通しするように構成され、前記糸通し操作手段の操作により作動する糸移送機構とを有し、
    前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸保持部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  • 前記干渉を回避する位置は、前記押え足と前記糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する位置であることを特徴とする請求項3に記載のミシン。
  • 前記干渉を回避する位置は、前記押え足が最下降位置に位置する前記押え棒の昇降位置であることを特徴とする請求項1又は3に記載のミシン。
  • 前記押え棒の昇降位置を検知する位置検知手段を有し、
    前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  • 前記位置検知手段により検知される前記押え棒の昇降位置に基づいて、前記押え足が前記糸通しフック部材と干渉する位置に位置するか否かを判断する判断手段を有し、
    前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸通しフック部材に干渉する位置に位置すると判断された場合に、前記駆動機構を駆動することを特徴とする請求項6に記載のミシン。
  • 前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸通しフック部材に干渉する位置に位置しないと判断された場合には、前記駆動機構を駆動しないことを特徴とする請求項7に記載のミシン。
  • 前記位置検知手段は、変位センサであることを特徴とする請求項6又は7に記載のミシン。
  • 前記変位センサは、ポテンショメータであることを特徴とする請求項9に記載のミシン。
  • 前記昇降機構を駆動する駆動機構とは独立して、手動操作により前記押え棒を昇降可能に移動させる手動操作部材を備えていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載のミシン。
  • 前記手動操作部材は、一端部を回動可能に支持され他端部に操作部を有している手動操作レバーであって、その操作部が上昇位置と下降位置との間において回動可能であり、その操作部の回動操作によって前記押え棒が昇降し、更にその手動操作レバーが上昇位置において係止可能に構成されていることを特徴とする請求項11に記載のミシン。
  • 前記手動操作レバーの昇降位置を検知する第2位置検知手段を有し、
    前記駆動機構制御手段は、前記手動操作レバーが前記上昇位置に係止され前記押え棒が上昇位置に位置した状態において、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記第2位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、前記手動操作レバーの上昇位置における係止を解除させ、その手動操作レバーの操作部を下降位置に回動させると共に、前記押え棒も最下降位置に移動させるように前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項12に記載のミシン。
  • 前記第2位置検知手段はリミットスイッチであることを特徴とする請求項13に記載のミシン。
  • 前記糸通し操作手段は、前記糸通し機構の作動を開始させる糸通し操作開始信号を発生させる糸通し操作部材と、その操作開始信号に基づき前記糸通し機構を駆動する糸通し駆動機構を備えていることを特徴とする請求項1から14の何れかに記載のミシン。
  • 前記糸通し操作手段は、前記糸通し操作開始信号に基づき前記糸移送機構を駆動する糸移送駆動機構を備えていることを特徴とする請求項15に記載のミシン。
  • 縫針を支持する針棒と、上糸を保持する為の糸保持部材と、この糸保持部材を縫針の目孔近傍に移動させることにより上糸を縫針の目孔近傍に移送する糸移送機構と、下端部に押え足が装着された押え棒を昇降させる昇降機構と、その昇降機構を駆動する駆動機構とを有するミシンにおいて、
    前記糸移送機構を作動させる為の糸移送操作手段と、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸保持部材との干渉を回避する位置に前記押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御する駆動機構制御手段と、
    を備えたことを特徴とするミシン。
  • 前記干渉を回避する位置は、前記押え足と前記糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する位置であることを特徴とする請求項17に記載のミシン。
  • 前記干渉を回避する位置は、前記押え足が最下降位置に位置する前記押え棒の昇降位置であることを特徴とする請求項17に記載のミシン。
  • 前記押え棒の昇降位置を検知する位置検知手段を有し、
    前記駆動機構制御手段は、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項17から19の何れかに記載のミシン。
  • 前記位置検知手段により検知される前記押え棒の昇降位置に基づいて、前記押え足が前記糸保持部材と干渉する位置に位置するか否かを判断する判断手段を有し、
    前記駆動機構制御手段は、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸保持部材に干渉する位置に位置すると判断された場合に、前記駆動機構を駆動することを特徴とする請求項20に記載のミシン。
  • 前記駆動機構制御手段は、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸保持部材に干渉する位置に位置しないと判断された場合には、前記駆動機構を駆動しないことを特徴とする請求項21に記載のミシン。










  • 说明书全文

    本発明は、縫針の目孔に自動的に糸通しする自動糸通し機構を備えたミシンに関し、特に縫針の目孔に糸通しする時に押え足を糸通しに適した位置に自動的に昇降させるようにしたものに関する。

    従来、ミシンにおいて、糸駒から延びる上糸は、複数の糸掛部(糸調子器、糸取バネ、天秤、針棒糸案内等)に所定の順序及び経路にて掛けられ、最終的に、針棒に装着された縫針へ至り、自動糸通し機構を備えている場合には、その自動糸通し機構により縫針の目孔に自動的に糸通しされ、縫製可能な状態になる。 自動糸通し機構は、上糸の糸端部を保持する糸保持部材、糸通しフック部材等を備えており、糸保持部材に保持された上糸が縫針の目孔の前方付近の糸渡し位置に達すると、縫針の目孔と同高さ位置に配置された糸通しフック部材が目孔を後方より挿通し、上糸を引っ掛けて、逆方向へ回動して縫針の目孔から抜けることにより、その目孔に上糸が通される。

    ところで、ミシンには、加工布の交換や位置決め等を行う際に押え足が邪魔にならないように、押え足が取付けられた押え棒を上昇位置と最下降位置とに切換える昇降機構を備えている。 この昇降機構は、通常、ユーザーが押え上げレバーを操作して、押え棒を上昇位置と最下降位置とに切換えることにより押え棒の昇降を行うが、このような押え棒の位置を自動的に切換える装置もある。

    押え棒の位置を自動的に切換える昇降機構については、特許文献1に開示された装置が実用化されている。
    特許文献1のミシンの布押え昇降装置においては、手動操作モードと自動操作モードを設けて、自動操作モード時には、押え棒を予め設定された所定の上昇位置にサーボソレノイドの駆動により自動的に移動させることにより、加工布の種類が変化しない連続縫製作業における加工布の位置決めや回転等を能率的に行うことを実現している。

    特公平5−59755号公報

    ここで、押え棒を上昇位置にした状態で自動糸通し機構を作動させた場合、自動糸通し機構の糸通しフック部材等と押え足が干渉し、糸通しフック部材が破損する虞があるので、この位置では自動糸通し機構による糸通しを行うことはできない。 よって、このような場合にはユーザーが押え上げレバーを操作して押え棒を最下降位置に移動させる必要があるので、自動糸通し機構により糸通しする場合であっても手動による操作が必要になってしまい、糸通し作業において、作業能率を高めることは難しい。

    特許文献1の装置を自動糸通し機構に採用した場合においても、特許文献1のミシンの布押え昇降装置は、予め設定された所定の上昇位置にサーボソレノイドの駆動により自動的に押え棒を移動させるものであり、自動糸通し機構の作動と連動して自動糸通し機構と干渉しない位置へ押え棒を自動的に移動させる構成ではないため、押え棒が上昇位置にある場合には、ユーザーが押え上げレバーを操作して押え棒を最下降位置に移動させなければならない。

    本発明の目的は、自動糸通し機構を備えたミシンにおいて、糸通しの際に押え足が自動糸通し機構の部品と干渉しない位置に自動的に退避させるようにすること、押え棒がどのような位置であっても糸通し作業を全自動で行えるようにして作業能率を高めること、等である。

    請求項1のミシンは、縫針を支持する針棒と、縫針の目孔に上糸を貫入させて糸通しを行う為の糸通しフック部材を有する糸通し機構と、下端部に押え足が装着された押え棒を昇降させる昇降機構と、その昇降機構を駆動する駆動機構とを有するミシンにおいて、前記糸通し機構を作動させる為の糸通し操作手段と、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸通しフック部材との干渉を回避する位置に前記押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御する駆動機構制御手段とを備えたことを特徴とする。

    糸通し操作手段が操作されたとき、押え足と糸通しフック部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるので、糸通し機構により縫針の目孔に自動的に糸通しを行う際に、押え足と糸通しフック部材の干渉による糸通しフック部材の破損を防止できる。 押え棒が干渉位置にある場合においても、押え棒を昇降移動させる操作は必要がないので、糸通し作業を全自動で行うことができ、糸通し作業における作業能率を高めることができる。

    請求項2のミシンは、請求項1の発明において、前記干渉を回避する位置は、前記押え足と前記糸通しフック部材が所定の間隔をおいて離間する位置であることを特徴とする。 請求項3のミシンは、請求項1又は2の発明において、前記上糸を保持する為の糸保持部材と、この糸保持部材を縫針の目孔近傍に移動させることにより上糸を縫針の目孔近傍に移送し、前記糸通し機構と協働して前記縫針の目孔に前記上糸を糸通しするように構成され、前記糸通し操作手段の操作により作動する糸移送機構とを有し、前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸保持部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御することを特徴とする。

    請求項4のミシンは、請求項3の発明において、前記干渉を回避する位置は、前記押え足と前記糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する位置であることを特徴とする。
    請求項5のミシンは、請求項1又は3の発明において、前記干渉を回避する位置は、前記押え足が最下降位置に位置する前記押え棒の昇降位置であることを特徴とする。

    請求項6のミシンは、請求項1又は2の発明において、前記押え棒の昇降位置を検知する位置検知手段を有し、前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、前記駆動機構を制御することを特徴とする。

    請求項7のミシンは、請求項6の発明において、前記位置検知手段により検知される前記押え棒の昇降位置に基づいて、前記押え足が前記糸通しフック部材と干渉する位置に位置するか否かを判断する判断手段を有し、前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸通しフック部材に干渉する位置に位置すると判断された場合に、前記駆動機構を駆動することを特徴とする。

    請求項8のミシンは、請求項7の発明において、前記駆動機構制御手段は、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸通しフックに干渉する位置に位置しないと判断された場合には、前記駆動機構を駆動しないことを特徴とする。

    請求項9のミシンは、請求項6又は7の発明において、前記位置検知手段は、変位センサであることを特徴とする。
    請求項10のミシンは、請求項9の発明において、前記変位センサは、ポテンショメータであることを特徴とする。

    請求項11のミシンは、請求項1から10の何れかの発明において、前記昇降機構を駆動する駆動機構とは独立して、手動操作により前記押え棒を昇降可能に移動させる手動操作部材を備えていることを特徴とする。

    請求項12のミシンは、請求項11の発明において、前記手動操作部材は、一端部を回動可能に支持され他端部に操作部を有している手動操作レバーであって、その操作部が上昇位置と下降位置との間において回動可能であり、その操作部の回動操作によって前記押え棒が昇降し、更にその手動操作レバーが上昇位置において係止可能に構成されていることを特徴とする。

    請求項13のミシンは、請求項12の発明において、前記手動操作レバーの昇降位置を検知する第2位置検知手段を有し、前記駆動機構制御手段は、前記手動操作レバーが前記上昇位置に係止され前記押え棒が上昇位置に位置した状態において、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記第2位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、前記手動操作レバーの上昇位置における係止を解除させ、その手動操作レバーの操作部を下降位置に回動させると共に、前記押え棒も最下降位置に移動させるように前記駆動機構を制御することを特徴とする。

    請求項14のミシンは、請求項13の発明において、前記第2位置検知手段はリミットスイッチであることを特徴とする。
    請求項15のミシンは、請求項1から14の何れかの発明において、前記糸通し操作手段は、前記糸通し機構の作動を開始させる糸通し操作開始信号を発生させる糸通し操作部材と、その操作開始信号に基づき前記糸通し機構を駆動する糸通し駆動機構を備えていることを特徴とする。

    請求項16のミシンは、請求項15の発明において、前記糸通し操作手段は、前記糸通し操作開始信号に基づき前記糸移送機構を駆動する糸移送駆動機構を備えていることを特徴とする。

    請求項17のミシンは、縫針を支持する針棒と、上糸を保持する為の糸保持部材と、この糸保持部材を縫針の目孔近傍に移動させることにより上糸を縫針の目孔近傍に移送する糸移送機構と、下端部に押え足が装着された押え棒を昇降させる昇降機構と、その昇降機構を駆動する駆動機構とを有するミシンにおいて、前記糸移送機構を作動させる為の糸移送操作手段と、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸保持部材との干渉を回避する位置に前記押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御する駆動機構制御手段とを備えたことを特徴とする。

    糸移送操作手段が操作されたとき、押え足と糸保持部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるので、糸移送機構により上糸を縫針の目孔近傍に移送する際に、押え足と糸保持部材の干渉による糸保持部材の破損を防止できる。 押え棒が干渉位置にある場合においても、押え棒を昇降移動させる必要がないので、糸移送作業を全自動で行うことができ、糸移送作業における作業能率を高めることができる。

    請求項18のミシンは、請求項17の発明において、前記干渉を回避する位置は、前記押え足と前記糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する位置であることを特徴とする。
    請求項19のミシンは、請求項17の発明において、前記干渉を回避する位置は、前記押え足が最下降位置に位置する前記押え棒の昇降位置であることを特徴とする。

    請求項20のミシンは、請求項17から19の何れかの発明において、前記押え棒の昇降位置を検知する位置検知手段を有し、前記駆動機構制御手段は、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、前記駆動機構を制御することを特徴とする。

    請求項21のミシンは、請求項20の発明において、前記位置検知手段により検知される前記押え棒の昇降位置に基づいて、前記押え足が前記糸保持部材と干渉する位置に位置するか否かを判断する判断手段を有し、前記駆動機構制御手段は、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸保持部材に干渉する位置に位置すると判断された場合に、前記駆動機構を駆動することを特徴とする。

    請求項22のミシンは、請求項21の発明において、前記駆動機構制御手段は、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記判断手段により前記押え足が前記糸保持部材に干渉する位置に位置しないと判断された場合には、前記駆動機構を駆動しないことを特徴とする。

    請求項1の発明によれば、糸通し操作手段が操作されたとき、押え足と糸通しフック部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるので、糸通し機構により縫針の目孔に自動的に糸通しを行う際に、押え足と糸通しフック部材の干渉による糸通しフック部材の破損を防止できる。 押え棒が干渉位置にある場合においても、押え棒を昇降移動させる操作は必要がないので、糸通し作業を全自動で行うことができ、糸通し作業における作業能率を高めることができる。

    請求項2の発明によれば、干渉を回避する位置は、押え足と糸通しフック部材が所定の間隔をおいて離間する位置であるので、糸通しするに際して、押え足と糸通しフック部材の干渉による糸通しフック部材の破損を防止できる。

    請求項3の発明によれば、糸通し操作手段が操作されたとき、押え足と糸保持部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるように駆動機構を制御するので、糸通し機構により縫針の目孔に自動的に糸通しするに際して、押え足が糸保持部材と干渉する位置にある場合には、駆動機構制御手段により駆動機構を制御して、押え足を糸保持部材と干渉しない位置に移動させることができる。 押え棒を移動させた後、糸通し機構の作動を開始するので、押え足は糸保持部材と干渉することなく、糸通しをスムーズに行うことができる。

    請求項4の発明によれば、干渉を回避する位置は、押え足と糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する位置であるので、糸通しするに際して、押え足と糸保持部材の干渉による糸保持部材の破損を防止できる。

    請求項5の発明によれば、干渉を回避する位置は、押え足が最下降位置に位置する押え棒の昇降位置であるので、糸通しするに際して、押え足と糸通しフック部材、糸保持部材の干渉による糸通しフック部材と糸保持部材の破損を防止できる。

    請求項6の発明によれば、糸通し操作手段が操作されたとき、位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、駆動機構を制御するので、押え棒の回避位置の位置決め精度を高めることができる。

    請求項7の発明によれば、糸通し操作手段が操作されたとき、判断手段により押え足が糸通しフック部材に干渉する位置に位置すると判断された場合に、駆動機構を駆動するので、押え足が糸通しフック部材に干渉する位置にある場合のみ押え棒を昇降移動させることができる。

    請求項8の発明によれば、糸通し操作手段が操作されたとき、判断手段により押え足が糸通しフック部材に干渉する位置に位置しないと判断された場合には、駆動機構を駆動しないので、押え足が糸通しフック部材に干渉しない位置にある場合には即座に糸通しを開始できる。

    請求項9の発明によれば、位置検知手段は、変位センサであるので、簡単な構造で安価な変位センサを用いると、製造コスト的に有利である。
    請求項10の発明によれば、変位センサは、ポテンショメータであるので、簡単な構造で安価なポテンショメータを用いると、製造コスト的に有利である。

    請求項11の発明によれば、昇降機構を駆動する駆動機構とは独立して、手動操作により押え棒を昇降可能に移動させる手動操作部材を備えているので、押え棒の昇降を自動的に行うだけでなく、手動によっても行うことができる。

    請求項12の発明によれば、手動操作部材は、一端部を回動可能に支持され他端部に操作部を有している手動操作レバーであって、その操作部が上昇位置と下降位置との間において回動可能であり、その操作部の回動操作によって押え棒が昇降し、更にその手動操作レバーが上昇位置において係止可能に構成されているので、押え棒もその上昇位置で係止される。 この状態では押え足が加工布を押えないので、加工布の交換や位置合わせを行うことができる。

    請求項13の発明によれば、手動操作レバーが上昇位置に係止され押え棒が上昇位置に位置した状態において、糸通し操作手段が操作されたとき、第2位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、手動操作レバーの上昇位置における係止を解除させ、その手動操作レバーの操作部を下降位置に移動させると共に、押え棒も下降位置に移動させるので、手動操作レバーが上昇位置にある場合であっても、押え棒を下降させる為の手動操作レバーの操作は不要なので、作業効率を高めることができる。

    請求項14の発明によれば、第2位置検知手段はリミットスイッチであるので、リミットスイッチにより手動操作レバーの昇降位置を検知することができる。
    請求項15の発明によれば、糸通し操作手段は、糸通し機構の作動を開始させる糸通し操作開始信号を発生させる糸通し操作部材と、その操作開始信号に基づき糸通し機構を駆動する糸通し駆動機構を備えているので、糸通し操作部材を操作することにより糸通し作業を行うことができる。

    請求項16の発明によれば、糸通し操作手段は、糸通し操作開始信号に基づき糸移送機構を駆動する糸移送駆動機構を備えているので、糸通し操作部材を操作することにより糸通し作業における糸移送を行うことができる。

    請求項17の発明によれば、糸移送操作手段が操作されたとき、押え足と糸保持部材との干渉を回避する位置に押え棒を昇降移動させるので、糸移送機構により上糸を縫針の目孔近傍に移送する際に、押え足と糸保持部材の干渉による糸保持部材の破損を防止できる。 押え棒が干渉位置にある場合においても、押え棒を昇降移動させる必要がないので、糸移送作業を全自動で行うことができ、糸移送作業における作業能率を高めることができる。

    請求項18の発明によれば、干渉を回避する位置は、押え足と糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する位置であるので、糸移送するに際して、押え足と糸保持部材の干渉による糸保持部材の破損を防止できる。

    請求項19の発明によれば、干渉を回避する位置は、押え足が最下降位置に位置する押え棒の昇降位置であるので、糸移送するに際して、押え足を最下降位置に位置するように押え棒を昇降させ、押え足と糸保持部材の干渉による糸保持部材の破損を防止できる。

    請求項20の発明によれば、糸移送操作手段が操作されたとき、位置検知手段から検知される位置情報に基づいて、駆動機構を制御するので、押え棒の回避位置の位置決め精度を高めることができる。

    請求項21の発明によれば、糸移送操作手段が操作されたとき、判断手段により押え足が糸保持部材に干渉する位置に位置すると判断された場合に駆動機構を駆動するので、押え足が糸保持部材に干渉する位置にある場合のみ押え棒を昇降移動させることができる。

    請求項22の発明によれば、糸移送操作手段が操作されたとき、判断手段により押え足が糸保持部材に干渉する位置に位置しないと判断された場合には、駆動機構を駆動しないので、押え足が糸保持部材に干渉しない位置にある場合には即座に糸移送を開始できる。

    本発明のミシンは、縫針を支持する針棒と、縫針の目孔に上糸を貫入させて糸通しを行う為の糸通しフック部材を有する糸通し機構と、下端部に押え足が装着された押え棒を昇降させる昇降機構と、その昇降機構を駆動する駆動機構とを有し、前記糸通し機構を作動させる為の糸通し操作手段と、前記糸通し操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸通しフック部材との干渉を回避する位置に前記押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御する駆動機構制御手段とを備えたことを特徴とするものである。

    また、本発明のミシンは、縫針を支持する針棒と、上糸を保持する為の糸保持部材と、この糸保持部材を縫針の目孔近傍に移動させることにより上糸を縫針の目孔近傍に移送する糸移送機構と、下端部に押え足が装着された押え棒を昇降させる昇降機構と、その昇降機構を駆動する駆動機構とを有し、前記糸移送機構を作動させる為の糸移送操作手段と、前記糸移送操作手段が操作されたとき、前記押え足と前記糸保持部材との干渉を回避する位置に前記押え棒を昇降移動させるように前記駆動機構を制御する駆動機構制御手段とを備えていてもよい。

    以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
    図1〜図3に示すように、ミシンMは、ベッド部1と、ベッド部1の右側部分に立設された脚柱部2と、ベッド部1と対向するように脚柱部2の上部から左方へ延びるアーム部3と、アーム部3の左部に設けられた頭部4とを有する。 ベッド部1には針板1aが設けられ、その下側に釜機構(図示略)が設けられ、その釜機構に下糸が巻かれたボビンが着脱自在に装着される。 脚柱部2の前面には縦型の液晶ディスプレイ5が設けられている。 アーム部3の下部の前面には、縫製開始スイッチ21、縫製終了スイッチ22、自動糸掛準備スイッチ23、押え足昇降スイッチ24、自動糸掛開始スイッチ25等が設けられている。

    アーム部3には、その上部側を開閉する開閉カバー6が取り付けられている。 この開閉カバー6はアーム部3の左右全長に亙って設けられ、アーム部3の上後端部に左右方向向きの軸回りに開閉可能に枢支されている。 頭部4の右側において、アーム部3の上部には糸収容凹部7が形成され、その糸収容凹部7に糸立棒8が配設されている。 糸立棒8に装着された糸供給源である糸駒9が糸収容凹部7に左右横向き姿勢で収容され、この糸駒9から延びる上糸10が、糸調子器14、糸取バネ15、天秤13等の複数の糸掛部を経由して、針棒11に装着された縫針19に供給される(図5参照)。

    図3〜図6に示すように、頭部4には、針棒11、天秤13、糸調子器14,糸取バネ15、自動糸掛け装置16、自動糸通し機構17等が設けられている。 針棒11はミシン機枠に上下に往復移動可能に支持され、針棒11の下端部に針棒糸案内18が設けられると共に、縫針19が支持されている。 この針棒11はミシンモータ27を有するミシン駆動機構(図示略)により上下に移動駆動される。

    自動糸掛開始スイッチ25(糸通し操作手段に相当)をONにすると、自動糸掛け装置16が作動すると共に自動糸通し機構17も連動して作動して、天秤13、糸調子器14、糸取りバネ15に糸掛けを行うと共に、縫針19の目孔19aにも糸通しを行う。

    次に、自動糸掛け装置16について説明する。
    図5、図6、図7-1〜図7-6に示すように、自動糸掛け装置16は、第1糸準備経路30にセットされた上糸10を天秤13を含む複数の糸掛部(糸調子器14、糸取バネ15、天秤13等)に移送して糸掛けする第1糸移送部材51を有する第1糸移送機構50と、この第1糸移送機構50を駆動する為の第1パルスモータ53と、天秤13よりも下流側の上糸10を縫針19の所まで移送する第2糸移送部材61を有する第2糸移送機構60と、この第2糸移送機構60を駆動する為の第2パルスモータ66(糸移送駆動機構)とを備えている。

    第1糸移送機構50において、第1糸移送部材51が、天秤13の導入案内部41よりも上流側の上糸10を引っ掛けて糸取バネ15の方へ移送し、その上糸移送途中に上糸10を糸調子器14に糸掛けし、移送後の上糸10を糸取バネ15に糸掛けし、第1,第2糸移送機構50,60において、第1,第2糸移送部材51,61が、上糸移送途中に上糸10を天秤13の天秤糸掛部40に糸掛けするように構成されている。

    第1糸移送部材51は、図7-1に示すように、その待機位置がミシン機枠に固定された第1ガイドフレーム52の上端部分の後側の位置であり、図7-4に示すように、その糸渡し位置が第1ガイドフレーム52の下端部分の後側の位置であり、この待機位置と糸渡し位置とに亙って、第1ガイドフレーム52の上端縁部分と前端縁部分と下端縁部分に沿って移動する。 第1糸移送部材51の糸引掛部は糸導カバー35の表面側に位置し、第1糸移送部材51の脚部が第1ガイドフレーム52の縁部分に係合して移動可能に支持されている。

    第1糸移送部材51が待機位置から糸渡し位置へ移動する際に、第1糸準備経路30に糸掛けされた上糸10を引っ掛けて下方へ移送し、第1糸移送部材51よりも上流側の上糸10を糸調子器14に糸掛けし、第1糸移送部材51が糸渡し位置に移動すると、第1糸移送部材51に引っ掛けられた上糸10が第1ガイドフレーム52の下端部分を前側から後側へ渡り、上糸10が第2糸移送部材61により引っ張られることにより、切欠部52aに下端から導入されて糸取バネ15に糸掛けされる。

    第2糸移送機構60は、ミシン機枠に固定された左右2つの第2ガイドフレーム62,63と、第2ガイドフレーム62,63にガイド支持されて図7-1に示す退入位置と図7-5に示す突出位置とに亙って移動可能な可動フレーム64と、可動フレーム64にガイド支持され且つ可動フレーム64の移動も加わって図7-1に示す待機位置と図7-5に示す糸渡し位置とに亙って移動可能な第2糸移送部材61と、可動フレーム64及び第2糸移送部材61を駆動する第2駆動機構部65とを有する。

    第2ガイドフレーム62,63は、針棒12及び天秤13の正面視にて左側に配設されて、夫々面が左右方向に向く上下に長い板状フレームであり、所定間隔を空けて対面状に配置され、それらの間に可動フレーム64が退入可能に設けられている。 可動フレーム64は、細長い左右1対の可動片を対面状に連結した構造であり、それらの間に第2糸移送部材61の脚部が挿入されている。 第2ガイドフレーム62,63に夫々ガイド溝62a,63aが縦向きに形成され、これらガイド溝62a,63aに可動フレーム64がガイドされ、また、可動フレーム64の1対の可動片には夫々ガイド溝64aが形成され、このガイド溝64aに第2糸移送部材61がガイドされている。

    第2糸移送部材61は、図6に示すように、その待機位置が天秤13のすぐ前側且つ下側の位置で下向き姿勢であり、図7-5に示すように、その糸渡し位置が縫針19の前側の位置で略平な後向き姿勢である。 第2糸移送部材61は、第1糸準備経路30における上糸10を保持可能な左右1対の糸保持部材61a,61bを有し、各糸保持部材61a,61bは二股に形成され、左側の糸保持部材61aには、上糸10を解除可能に挟持する挟持片が可動に装着されている。 第2糸移送部材61が待機位置から糸渡し位置へ移動する際に、第1糸準備経路30に糸掛けされた上糸10を糸保持部材61a,61bが保持して下方へ移送し、第2糸移送部材61が糸渡し位置に移動すると、糸保持部材61a,61bに保持された上糸10は縫針19の目孔19aの直ぐ前側に移送される。

    次に、自動糸通し機構17について簡単に説明する。
    図5、図6、図7-1〜図7-6、図8-1、図8-2に示すように、自動糸通し機構17は、針棒11のすぐ左側(付近)に昇降可能に配設された上下に長い糸通し軸70と、糸通し軸70のすぐ左側に配設されて糸通し軸70と一体的に昇降可能な上下に長い糸通しガイド軸71と、糸通し軸70と糸通しガイド軸71の上端部分に昇降可能に外嵌された糸通しスライダ72と、糸通しスライダ72を昇降駆動する糸通し駆動機構(図示略)と、糸通し軸70の下端に設けられ且つ縫針19の目孔19aに上糸10を貫入させて糸通しを行う糸通しフック部材74を有するフック機構73と、糸通し軸70をその下降限界位置で糸通しフック部材74が縫針19の目孔19aに挿通するように約90度だけ回動させる回動機構(図示略)を備え、縫針19の目孔19aに自動的に糸通しする。

    この自動糸通し機構17は、第2糸移送機構60と協働して縫針19の目孔19aに上糸10を糸通しする。 具体的には、自動糸通し機構17は自動糸掛け装置16の第2糸移送機構60と連動して作動し、第2糸移送部材61が糸渡し位置に移動するのと略同時に、糸通し軸70が下降限界位置に達し、糸通しフック部材74が約90度回動して縫針19の目孔19aを挿通して、糸保持部材61a,61bで保持された上糸10を引っ掛け(図8-1参照)、続いて、糸通しフック部材74が約90度逆方向へ回動して縫針19の目孔19aから抜けて、その目孔19aに上糸10が通され、その後、糸通し軸70等が上昇して元の位置に復帰する(図8-2参照)。

    次に、昇降機構80について、図9、図10に基づいて説明する。
    昇降機構80は、針棒11の後側に配設されて、ミシン機枠に昇降可能に支持された押え棒12と、押え棒12の下端部分に装着された押え足20と、押え棒12の上端部分に昇降可能に外嵌されたラック形成部材81と、押え棒12の上端に固定された止め輪82と、押え棒12を昇降させるためにラック形成部材81のすぐ右側においてミシン機枠に固定された押え足昇降パルスモータ83(駆動機構)と、その出軸に連結された駆動ギヤ83aと、駆動ギヤ83aに噛合する中間ギヤ84と、この中間ギヤ84に一体的に形成され、ラック形成部材81と噛合するピニオン84aと、押え棒12の高さ方向中段部に固定された押え棒抱き85と、ラック形成部材81と押え棒抱き85の間の押え棒12に外装された押えバネ86と、押え足昇降パルスモータ83による押え棒12の昇降動作とは独立して押え棒12を昇降させる操作が可能な押え上げレバー87(手動操作部材)と、押え棒12のすぐ左側に設けたポテンショメータ88等を備えている。

    押え上げレバー87の近傍にはリミットスイッチ89(図16参照)が設けられ、押え上げレバー87の操作位置に連動して、ON,OFFされる。 例えば、押え棒12の昇降範囲が14mmの場合には、最下降位置から7mm以上上昇させるときはON、7mm以下のときはOFFとなる。 ここで、リミットスイッチ89が、押え上げレバー87の操作位置を検知する第2位置検知手段に相当する。
    また、押え上げレバー87には、時計回り方向に付勢する図示しないコイルバネが設けられている。

    中間ギヤ84は小径のピニオン84aを一体的に有し、そのピニオン84aがラック形成部材81に噛合している。 ポテンショメータ88は、回転式ポテンショメータであり、押え棒12の昇降位置を検知する位置検知手段に相当する。 ポテンショメータ88の回動軸から右方向に延びる軸部88aは、押え棒抱き85の左方に突出する突出部85bの上面側に当接するように設けられ、押え棒抱き85の昇降移動に応じて軸部88aが回動して、ポテンショメータ88の抵抗値が変化し、後述する制御装置Cにより、その抵抗値に応じた電圧により押え棒12の位置を検知する。

    押え上げレバー87は、ミシン機枠に固着された枢支ピン87aにその一端部を回動可能に支持され、他端部に手動操作の為の操作部87bを有し、その操作部87bを手動操作することで図11に示す下降位置と図12に示す上昇位置とに亙って回動可能である。 この押え上げレバー87の回動により、押え棒20と共にこの押え棒12に装着された押え足20も昇降移動する。

    押え上げレバー87は、押え棒抱き85に一体的に設けられたカム従動子85aと当接するカム面87dを有する。 図11に示す下降位置においては、押え上げレバー87のボス面87cとカム従動子85aとは上下方向に僅かの隙間がある状態であり、押え足20が針板1aに接地している。 また、図12に示す上昇位置においては、カム面87dとカム従動子85aが当接した状態であり、押え棒12は上昇した位置である。 このとき、押え足パルスモータ83は回転を停止した状態で励磁されているので、ラック形成部材81の上下位置は保持される。 従って、押えバネ86は圧縮され、その弾性力により従動子85aはカム面87dに押圧される。 そのとき、その押圧力は押え上げレバー87を反時計回り方向に押圧するので、押え上げレバー87はその位置で係止される。

    次に、押え足昇降パルスモータ83の駆動による押え棒12の昇降動作について、図13〜図15に基づいて説明する。
    押え足昇降パルスモータ83が駆動されると、その駆動力が中間ギヤ84、ピニオン84aに伝達されてラック形成部材81を昇降移動させる。 図13に示すように、ラック形成部材81を上昇させたときには、そのラック形成部材81の上端面が押え棒12の上端に固定された止め輪82を上昇させるため、押え足20も上昇する。 図13における押え足20の上昇位置は、図12における上昇位置よりも高い位置であり、この図13における上昇位置を最上昇位置とする。 次に、図13における最上昇位置から、押え足昇降パルスモータ83を駆動してラック形成部材81を下降させると、図14に示すように、ラック形成部材81の下端面に当接する押えバネ86を下方に押圧する。 そのため、押え棒12に固定されている押え棒抱き85も下方に押圧され、押え足20は針板1aに当接する最下降位置に押圧される。

    次に、図12に示すように、押え上げレバー87を手動操作して押え足20を上昇位置にした状態から、押え足昇降パルスモータ83を駆動して押え上げレバー87とカム従動子85aとの係合を解除させて、押え上げレバー87を図11に示す下降位置にすると共に押え足20も最下降位置にさせる動作を説明する。
    まず、図12における状態から、押え足昇降パルスモータ83を駆動して、ラック形成部材81を図13における最上昇位置に上昇させる。 すると、カム従動子85aと押え上げレバー87のカム面87dとが離間するので、押え上げレバー87に設けられた時計回り方向に付勢するコイルバネにより、押え上げレバー87は図11に示す下降位置に下降する。 その後、ラック形成部材81を下降させることにより、押え足20を下降させる。

    次に、押え棒12の図15に示す中間位置への移動動作について説明する。
    中間位置は、上昇位置と最下降位置の間に位置し、刺繍縫製時において刺繍枠が移動可能なように押え足20が加工布に接地するが押圧しない位置をいう。 この場合、加工布の布厚に応じて押え足12の中間位置を予めRAM95(図16参照)に設定しておき、押え足昇降パルスモータ83を駆動し、押え棒12が設定された布厚に応じた中間位置に到達すると押え足昇降パルスモータ83を停止させる。

    次に、ミシンMの制御系について、図16に基づいて説明する。
    ミシンMの制御装置Cは、CPU93とROM94とRAM95とを含むマイクロコンピュータと、入力インターフェース91と、出力インターフェース92を有し、入力インターフェース91に、操作スイッチ類90と、自動糸掛開始スイッチ25と、リミットスイッチ89と、ポテンショメータ88が電気的に接続されている。 出力インターフェース92には、ミシンモータ27と、第1パルスモータ53と、第2パルスモータ66と、押え足昇降パルスモータ83と、液晶ディスプレイ5が夫々駆動回路96〜100を介して電気的に接続されている。

    ROM94には、ミシンMを制御する制御プログラムが格納されており、その制御プログラムは、縫製する為の縫製制御プログラム、自動的に糸掛けする為の糸掛け制御プログラム、押え足昇降パルスモータ83を制御する駆動機構制御プログラム、液晶ディスプレイ5に各種情報を表示させる為の表示制御プログラム等を格納している。 ここでは、CPU93と駆動機構制御プログラムが、ポテンショメータ88により検知される押え棒12の昇降位置に基づいて、押え足20が糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bと干渉する位置に位置するか否かを判断する判断手段に相当すると共に、干渉を回避する位置に押え棒12を昇降移動させるように押え足昇降パルスモータ83を制御する駆動機構制御手段に相当する。

    ここで、駆動機構制御手段は更に、押え上げレバー87が押え上げ位置に係止され押え棒12が上昇位置に位置した状態において、自動糸掛開始スイッチ25が操作された時、リミットスイッチ89により検知される位置情報に基づいて、押え上げレバー87の押え上げ位置における係止を解除させ、押え上げレバー87の操作部87bを押え下げ位置に回動させると共に、押え棒12も最下降位置に移動させるように押え足昇降パルスモータ83を制御する。

    RAM95には、種々のワークメモリが設けられ、刺繍縫製時における加工布の布厚毎の中間位置情報を格納する。 押え棒12を中間位置に設定した場合には、自動糸通し機構17による糸通し完了後、RAM95に格納されている位置情報に基づいて押え棒12を中間位置に移動させる。

    次に、制御装置Cで実行される糸通し制御プログラムについて、図17のフローチャートに基づいて、説明する。 尚、図中Si(i=1,2,3・・・)は各ステップを示す。 まず、自動糸掛準備スイッチ23をONにして、糸駒9から延びる上糸10を所定の糸準備経路にセットする。 その後、自動糸掛開始スイッチ25をONすると(S1;Yes)、リミットスイッチ89の位置情報に基づいて押え上げレバー87の操作位置が判別される。 押え上げレバー87の位置が押え下げ位置である場合、つまりリミットスイッチ89がOFFの場合( S2;No)には、押え棒12の位置が最下降位置であるか否かをポテンショメータ88の位置情報により判別する。 図18-1に示すように押え棒12の位置が最下降位置でない場合( S3;No)には、押え足20が糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bに干渉する位置に位置すると判断される。 その時、押え足昇降パルスモータ83を駆動し、押え足20と糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bが所定の間隔をおいて離間する最下降位置へ移動させる( S5)。 (図18-2参照)押え棒12の位置が最下降位置の場合( S3;Yes)には、押え足20が糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bに干渉する位置に位置しないと判断され、押え足昇降パルスモータ83は駆動されない。

    押え上げレバー87の位置が押え上げ位置に係止されている場合、つまりリミットスイッチ89がONの場合( S2;Yes)には、押え足昇降パルスモータ83を駆動し押え棒12を係合解除位置へ移動させる( S4)。 これにより、押え上げレバー87の第2カム面87dと押え棒抱き85のカム従動子85aの係合状態を解除させて、押え上げレバー87をコイルバネの付勢力により押え下げ位置へ移動させる。 その後、S4により押え棒12が最下降位置に切換えられる。

    押え棒12は、押え足昇降パルスモータ83により最下降位置へ移動させられるが、実際には、押え足20の下側には加工布があるため、押え棒12は加工布の布厚分だけ最下降位置よりも上昇した位置になる。 この位置(加工布の布厚)をポテンショメータ88で検知して、その布圧が所定値の6mm以内である場合( S6;Yes)には、第1パルスモータ53により第1糸移送機構50が駆動され、第1糸準備経路30にセットされた上糸10を天秤13を含む複数の糸掛部(糸調子器14、糸取バネ15、天秤13等)に移送して糸掛けする。 第2パルスモータ66により第2糸移送機構60が駆動され、天秤13よりも下流側の上糸10を縫針19に移送する際、自動糸通し機構17が作動し( S7)、第2糸移送部材61が下降するのと同期して、糸通しスライダ72と一体的に糸通し軸70と糸通しガイド軸71が下降し、第2糸移送部材61が糸渡し位置に達すると、糸通し軸70と糸通しガイド軸71が下降を停止し、フック機構73の糸通しフック部材74が縫針19の目孔19aと同高さ位置になる。

    その後、更に、糸通しスライダ72が下降することで、回動機構によりフック機構73の糸通しフック部材74が鉛直軸心回りに回動して縫針19の目孔19aを挿通し、第2糸移送部材61で保持された上糸10を引っ掛けて糸通しする(図18-3参照)。 ここで、図18-3において、押え棒12が上昇位置にあるときを2点鎖線で示し、最下降位置にあるときを実線で示す。 このように、押え棒12を最下降位置に移動させた後、自動糸通し機構17を作動させるので、押え足20が糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bとは干渉しない。

    糸通し完了後、RAM95の中間位置情報を参照し、押え棒12の位置が中間位置に設定されている場合には(S9;Yes)、RAM95に設定されている位置情報を読み出し、押え足昇降パルスモータ83を駆動し、予め設定された中間位置へ押え棒12が移動され( S10)、糸通し制御を終了する。
    また、押え棒12を最下降位置に移動させた際、ポテンショメータ88により布厚を検知して、布厚が6mm以上である場合( S6;No)には、押え足20が糸通しフック部材74等と干渉してしまうので、液晶ディスプレイ5に糸通しできない旨の警告を表示し( S8)、自動糸通し機構17の作動をキャンセルする。

    次に、以上説明したミシンMの作用、効果について説明する。
    自動糸掛開始スイッチ25が操作されたとき、押え足20と糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bとの干渉を回避する位置に押え棒12を昇降移動させるので、自動糸通し機構17により縫針19の目孔19aに自動的に糸通しするに際して、押え足20が糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bと干渉する位置にある場合には、駆動機構制御手段により昇降機構80の押え足昇降パルスモータ83を制御して、押え足20を糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bと干渉しない位置に移動させることができる。 押え棒12を移動させた後、自動糸通し機構17の作動を開始するので、押え足20は糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bと干渉することなく、糸通しをスムーズに行うことができる。

    更に、糸通しする際に押え足20を糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bと干渉しない位置に自動的に移動させることにより、押え足20が糸通しフック部材74、糸保持部材61a,61bと干渉する位置にある場合であっても、ユーザーが手動で押え棒12を昇降させる必要がないので、糸通し作業を全自動で行うことができ、糸通し作業における作業能率を高めることができる。

    次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
    1)実施例においては、自動糸通し機構を作動させる際、押え棒が最下降位置以外の位置にある場合には、押え足が糸通しフック部材、糸保持部材と干渉しない位置として、押え棒を最下降位置へ移動させたが、例えば上昇位置等、最下降位置以外の位置においてそれらの部材と干渉しない場合には、押え棒を最下降位置以外の位置へ移動させてもよい。

    2)実施例においては、自動糸通し機構を含む自動糸掛け装置を備えたミシンにおいて、自動糸掛開始スイッチをONすることにより糸掛けと糸通しを行ったが、自動糸掛け装置全体を備える必要はなく、第2糸移送機構と、第2パルスモータと、自動糸通し機構と、糸通し操作部材に相当する糸通し操作スイッチを備えて、ユーザーが糸通し操作スイッチをONすることにより、糸通し操作開始信号を発生させて、その操作開始信号に基づいて、第2パルスモータと糸通し駆動機構を駆動させ、第2糸移送機構と自動糸通し機構により糸通しを行わせてもよい。
    3)実施例においては、位置検知手段としてポテンショメータを用いたが、押え棒の昇降位置を検知することが可能な種々の変位センサであってもよい。

    4)実施例においては、糸通し操作手段である自動糸掛開始スイッチが操作されたとき、押え足昇降パルスモータを制御して、押え棒を昇降移動させたが、糸移送操作手段として糸移送操作スイッチを備えて、その糸移送操作スイッチが操作されたときは、自動糸掛開始スイッチが操作された場合と同様に、押え足と糸保持部材が所定の間隔をおいて離間する下降位置に押え棒を昇降移動させるように、駆動機構制御手段により押え足昇降パルスモータを制御してもよい。 この場合も、実施例と同様、CPUと駆動機構制御プログラムが判断手段に相当し、判断手段により押え足が糸保持部材に干渉する位置に位置すると判断された場合には、第2パルスモータを駆動するよう制御し、押え足が糸保持部材に干渉する位置に位置しないと判断された場合には、駆動機構を駆動しないよう制御してもよい。
    5)その他、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更された種々の形態を包含するものである。

    本発明は、縫針の目孔に自動的に糸通しする自動糸通し機構を備えたミシンに適用することができる。

    本発明のミシンの斜め上側からの斜視図である。

    ミシンの上側からの斜視図である。

    ミシンの平面図である。

    ミシン(自動糸掛け可能状態)の透視左側面図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構の左斜め上側からの斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構の右斜め上側からの斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(待機状態)の斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(糸掛け状態)の斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(天秤糸掛け状態)の斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(糸取バネ糸掛け状態)の斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(糸渡し状態)の斜視図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(針棒糸案内糸掛け状態)の斜視図である。

    自動糸通し機構(糸通しフック部材が針穴を貫通した状態)の作動説明図である。

    自動糸通し機構(糸通しフック部材が針穴から抜けて糸が通された状態)の作動説明図である。

    昇降機構の透視正面図である。

    昇降機構の透視左側側面図である。

    昇降機構(押え上げレバーが押え下げ位置)の要部の正面図である。

    昇降機構(押え上げレバーが押え上げ位置)の要部の正面図である。

    昇降機構(押え棒が係合解除位置)の要部の正面図である。

    昇降機構(押え棒が最下降位置)の要部の正面図である。

    昇降機構(押え棒が中間位置)の要部の正面図である。

    ミシンの制御系を示すブロック図である。

    糸通し制御プログラムのフローチャートである。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構と昇降機構(押え棒が上昇位置)の側面図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構と昇降機構(押え棒が最下降位置)の側面図である。

    自動糸掛け装置と自動糸通し機構(針棒糸案内糸掛け状態)と昇降機構の側面図である。

    符号の説明

    M ミシン10 上糸11 針棒12 押え棒17 糸通し機構19 縫針19a 目孔20 押え足25 自動糸掛開始スイッチ(糸通し操作手段)
    60 第2糸移送機構(糸移送機構)
    61a,61b 糸保持部材66 第2パルスモータ(糸移送駆動機構)
    74 糸通しフック部材80 昇降機構83 押え足昇降パルスモータ(駆動機構)
    87 押え上げレバー(手動操作部材)
    87b 操作部88 ポテンショメータ(位置検知手段)
    89 リミットスイッチ(第2位置検知手段)

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