Parusumo - cloth feed device equipped with a data

申请号 JP18720086 申请日 1986-08-08 公开(公告)号 JP2503431B2 公开(公告)日 1996-06-05
申请人 ブラザー工業株式会社; 发明人 HORIE FUJIO; KUNO MITSUYASU;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】ミシンのベッド面より上方に位置する間に布押え足と協働して水平送り運動を加工布に付与する送り歯と、 その送り歯の前記ベッド面に対する上昇及び下降運動を針棒の上下動と調時して行う送り歯上下動駆動装置と、 予め定められた数Pの励磁状態を有すると共に各励磁状態の切換により単位量Sだけ移動するように構成され、
    前記送り歯と作動的に連結されたパルスモータとを備え、 前記送り歯の水平送り運動量に関する信号に従って前記パルスモータの励磁状態を開ループ方式にて順次切換えて加工布の送り制御を行うミシンの布送り装置であって、 前記送り歯の水平送り運動範囲を規制するために加工布の送込み側の第1の限界位置とその送込み側と反対側の第2の限界位置との近傍に、またはその両限界位置にそれぞれ対応する2つの位置の近傍に、前記送り歯またはそれに作動連結された部材と当接可能に配設された第1
    及び第2のストッパと、 前記送り歯の水平送り運動の開始時または終了時における前記パルスモータの励磁状態が、前記第1の限界位置またはその対応する位置の近傍に配置された第1のストッパと前記送り歯またはそれに作動連結された部材とが当接した時に前記パルスモータが位置する規制位置から(P・S/2)の量だけ移動する間にパルスモータが励磁される励磁状態中の予め定められた第1の特定励磁状態となるように、前記パルスモータの励磁状態を制御する第1の励磁制御手段と、 前記送り歯の水平送り運動の終了時における前記パルスモータの励磁状態が、前記第2の限界位置またはその対応する位置の近傍に配設された第2のストッパと前記送り歯またはそれに作動連結された部材とが当接した時に前記パルスモータが位置する規制位置から(P・S/2)
    の量だけ移動する間にパルスモータが励磁される励磁状態中の予め定められた第2の特定励磁状態となるように、前記パルスモータの励磁状態を制御する第2の励磁制御手段と、 ミシンの始動時の水平送り運動において前記第2の励磁制御手段が作用可能となるように前記送り歯を前記第2
    の限界位置の近傍に移動させ、その後の水平送り運動において前記第1の励磁制御手段が作用可能となるように前記送り歯を前記第1の限界位置の近傍に移動させる移動シーケンス設定手段とを含むことを特徴とするパルスモータを備えた布送り装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、開ループ制御方式のパルスモータにより送り歯を直接駆動するミシンの布送り装置に関する。

    [従来の技術] 従来、ミシンの布送り装置は、トルクの大きなミシンモータの回転を揺動運動に変換して送り歯の平送り運動を得ている。 この揺動運動への変換機構は、カム,二股リンク等の多数の部品から構成されているため、伝達される運動量に累積誤差が生じて模様の形状が崩れる欠点がある。 また、従来の布送り装置は、ミシンベッド中において広い設置スペースを必要とし、ミシンの軽量化及び小型化を計る上で障害になっている。

    そこで、上記の欠点を解消するために、ミシンモータとは別の独立した駆動源であるパルスモータにより送り歯を直接駆動する装置が特公昭57−30026号公報に開示されて提案されている。 この装置は、上軸の回転各位相を検出して、その位相検出信号に同期してパルスモータを開ループで直接駆動することにより加工布の送りを自由に制御しようとするものである。

    開ループによるパルスモータの制御は、回転をモータのステップ数で指令することによって行われている。
    従って、ミシンの運転時に、一度パルスモータの原点設定を行い、その後は、指令パルスに正確に応答して回転するものとして指令パルス数が制御されている。

    [発明が解決しようとする問題点] ところが、トルクの小さい小型のパルスモータを使用する布送り装置においては、ミシン始動時の強制的な布送込みまたは加工布の段部の移送により送り歯に過負荷が加わりパルスモータが脱調することがある。 一旦脱調すると、パルスモータの回動位相と指令ステップ数との対応関係が乱れているにも拘らず、制御装置は脱調しないものとしてステップ指令を発することから、予め定められた水平送り運動範囲中に制限される送り歯がその限界位置に到達して停止した後においても、パルスモータの励磁状態のみが変化してパルスモータの脱調が繰返される。

    このことから、過負荷により一旦脱調したパルスモータは、過負荷の除去後においても脱調を繰返し、正確な量の水平送り運動を送り歯に付与することができず、模様の形状が崩れる欠点がある。

    上述したパルスモータの脱調を防止するために、送り歯に加わる過負荷をパルスモータに直接印加させないで、逃がしバネを介して、パルスモータに加える方法が提案されている。 しかし、係る方法では、パルスモータがバネの最大張に対抗して脱調することなく回転することが必要となる。 このためには、バネの最大張力がパルスモータの脱出トルクよりも小さいことが必要となる。 換言すれば、バネ定数を小さくするかパルスモータの脱出トルクを大きくする必要がある。 しかし、バネ定数を小さくするということは、送り歯が小さな外力で容易にパルスモータの回転と同期しなくなることを意味し模様崩れの原因となると共に、パルスモータのトルクが充分に送り力として使用されていないことを意味する。
    また、脱出トルクを大きくすることは、パルスモータが大きくなり、重量及び実装の点で問題となる。

    [発明の目的] 本発明は、パルスモータによる直接駆動の布送り装置において上述の欠点を解消するために成されたものであり、その第1の目的は、ミシンの始動時及び連続運転中において送り歯への過負荷が除去された後にパルスモータの脱調からの回復を自動的に行い、模様崩れを防止し得る布送り装置を提供することにある。 第2の目的は、
    水平送り運動の駆動源として小型のパルスモータの使用を可能とし、ミシンの構成の簡略化及び小型化を計ることができる布送り装置を提供することにある。

    [問題点を解決するための手段] 前述の目的を達成するために、本発明は、第8図に示すような基本構成を有している。

    公知のミシンモータを含む針棒上下動駆動装置がそのミシンモータの回転力により上下動させる針棒の運動と調時して、送り歯上下動駆動装置が送り歯をベッド面に対して上昇及び下降運動させる。

    水平送り制御装置は、送り歯の水平送り運動のために送り歯に作動連結されたパルスモータを開ループにて制御するもので、そのパルスモータの励磁状態を予め定められた数Pの励磁状態に順次切換てその切換動作を繰返し、各励磁切換により単位量Sだけパルスモータを移動させる。

    水平送り制御装置は、ミシン始動時及び連続運動中におけるパルスモータの脱調を防止するために、第1及び第2のストッパとそれぞれ協働する第1及び第2の励磁制御手段と、移動シーケンス設定手段とを有している。
    第1及び第2のストッパは、送り歯の水平送り運動範囲を規制するために加工布の送込み側の第1の限界位置とその送込み側と反対側の第2の限界位置との近傍に、またはその両限界位置にそれぞれ対応する2つの位置の近傍に、送り歯またはそれに作動連結された部材と当接可能に配設されている。 第1の励磁制御手段は、送り歯の水平送り運動の開始時または終了時におるパルスモータの励磁状態が、第1の限界位置またはその対応する位置の近傍に配置された第1のストッパと送り歯またはそれに作動連結された部材とが当接した時にパルスモータが位置する規制位置から(P・S/2)の量だけ移動する間にパルスモータが励磁される励磁状態中の予め定められた第1の特定励磁状態となるように、パルスモータの励磁状態を制御する。 第2の励磁制御手段は、送り歯の水平送り運動の終了時におけるパルスモータの励磁状態が、第2の限界位置またはその対応する位置の近傍に配設された第2のストッパと送り歯またはそれに作動連結された部材とが当接した時にパルスモータが位置する規制位置から(P・S/2)の量だけ移動する間にパルスモータが励磁される励磁状態中の予め定められた第2の特定励磁状態となるように、パルスモータの励磁状態を制御する。

    移動シーケンス設定手段は、ミシン始動停止指令手段からミシン始動指令が発生された時の水平送り運動において第2の励磁制御手段が作用可能となるように送り歯を第2の限界位置の近傍に移動させ、その後の水平送り運動において第1の励磁制御手段が作用可能となるように送り歯を第1の限界位置の近傍に移動させる。

    [作用] 第9図(a),(b)は、本発明の布送り装置における送り歯の送り運動の態様を概念的に示した図である。
    P1乃至P11は送り歯の水平位置であり、そのピッチがパルスモータの単位移動量Sに対応する。 そして、パルスモータの励磁状態はa,b,c,dの4状態(P=4)として示されており、送り歯は加工布送込み側の第1の限界位置PAと、その反対側の第2の限界位置PBとの間にて水平移動し、ベッド面BSに対して上昇及び下降運動を行う。

    送り歯がベッド面BSから突出して位置P4に停止している状態において加工布の端部から縫製を開始するためにミシン始動停止指令手段からミシン始動指令が発生されると、パルスモータは送り歯を位置P4に保持するために励磁状態dに励磁され続ける。 この時に、布押え足と送り歯との間に加工布を挿入するために作業者が加工布を第2の限界位置PBに向う方向(前進方向)に強制的に移送すると、パルスモータは脱調してその位置が少なくとも単位移動量Sの4倍の量だけ変化する。 例えば、正常状態においては、第9図(a)に二点鎖線で示すように位置P4に保持されるが、パルスモータの脱調により位置
    P8まで水平方向に変位した場合、移動シーケンス設定手段は脱調していないものとして位置P4から位置P11までの7ステップの移動を指令する。 この指令に従って、工程H1の水平送り運動が実行されるが、位置P11に到達した後にも3ステップの移動が指令されることから、送り歯またはそれに作動連結された部材は第2の限界位置PB
    またはその対応する位置の近傍に配置された第2のストッパに当接する。 その後、第2の励磁制御手段が第2の特定励磁状態である状態cにパルスモータを励磁し、これにより工程H2の水平送り運動が実行され、送り歯は位置P11に正確に位置決めされる。 この結果、ミシン始動時の加工布送込みによる脱調状態が解消される。

    正常状態に回復したパルスモータは送り歯を移動させて位置P11から位置P1までの工程H3の後退方向の水平送り運動が実行される。 その工程H3の水平送り運動後に送り歯は上昇運動を行い、工程H4の前進送り運動が実行される。 この工程H4の水平送り期間中、加工布の段差部等を移送するために第1の限界位置PAに向う方向の過負荷がパルスモータに加わると、パルスモータは脱調してその位置が前述したように少なくとも単位移動量Sの4倍の量だけ変化する。 例えば、正常状態においては、第9
    図(b)に二点鎖線で示すように位置P1から位置P8までの水平送り運動が行われるように設定され、パルスモータの脱調により位置P1から位置P4までの工程H4の水平送り運動が実行された場合、移動シーケンス設定手段は脱調していないものとして位置P8から位置P1までの7ステップの移動を指令する。 この指令に従って工程H5の水平送り運動が実行されるが、位置P1に到達後においても4
    ステップの移動が指令されて送り歯またはそれに作動連結された部材が第1の限界位置PAまたはその対応する位置の近傍に配置された第1のストッパに当接する。 その後、第1の励磁制御手段が第1の特定励磁状態aにパルスモータを励磁し、これにより工程H6の水平送り運動が実行されて送り歯は位置P1に正確に位置決めされる。 この結果、ミシン始動後の連続運動中において加工布の段差部の移送により発生した脱調状態が解消される。

    前述したように、ミシン始動時及びその後の連結運動中に発生したパルスモータの脱調状態が自動的に解消されて模様の崩れが低減される。

    [実施例] 以下、本発明を具体化した一実施例を示す図面を参照して説明する。

    第1図は、本発明の一実施例である布送り装置が採用されたミシンの内部機構を示しており、そのミシンは、
    ベッド10と、そのベッド10上に立設された脚柱部12と、
    その脚柱部12から水平に延出した上方アーム14とから成るミシン機枠16を備えている。 機枠16内に配置されたミシンモータ18は、上軸20上に設けられた図示しないプーリ駆動ベルト22を介して、回転力を付与するように構成され、そのプーリは公知のクラッチ機構を介して上軸20
    に連結されている。

    針棒台24は、その上端において枢支され、針棒26を上下動可能に支持している。 針棒26は、天秤クランク28及び針棒クランクロッド30等を介して上軸20に連結され、
    上軸20の回転に伴って上下往復運動を行うように構成されている。 針棒26の下端には、縫針32が取付けられている。 針棒台24を横方向に揺動させるために針棒台24の下端に揺動連桿34の一端が連結され、その他端がセクタギャ36の中間部に連結されており、セクタギャ36はその上端において枢支され歯部が針揺動パルスモータ38の出力軸に取付けられた歯車40と噛合するように構成されている。 セクタギャ36の揺動範囲、即ち縫針32の揺動範囲はV字状のストッパ組体42により設定されている。

    送り歯44を載置支持する送り台46が設けられその送り台46の前端の二股部は上下送り腕48上の軸部と嵌合し、
    その上下送り腕48は上下送り軸50に固定されている。 その上下送り軸50の二股部に嵌合するカム52が固着された揺動体54は、上軸20の回転がクランクロッド56を介して揺動運動として伝達されるように構成されている。 本実施例においては、上下送り腕48、上下送り軸50、揺動体
    54及びクランクロッド56等が送り歯上下動駆動装置を構成している。

    送り台46の後端は、水平送り軸58に突設された一対の腕部に回動自在に支持され、その水平送り軸58はそれ自身の軸線の回りに揺動し得るようにミシン機枠16に支持されている。 水平送り軸58の右端にはセクタギャ60が固着され、その歯部は送りパルスモータ62の出力軸に固着された歯車64と噛合するように構成されている。 送り歯
    44の水平送り運動範囲を規制するためにV字状のストッパ組体66が固設されており、そのストッパ組体66は、加工布の送込み側(前方側)の第1の送り限界位置PAに対応する位置の近傍に配置された第1のストッパ部68と、
    後方側の第2の送り限界位置PBに対応する位置の近傍に配置された第2のストッパ部70とを有している。

    第1図においては便宜上省略されているが、第2図に示すように縫針32の後方において昇降可能な押え棒72の下端には布押え足74が取付けられ、送り歯44はその布押え足74と協働して加工布Wに水平送り運動を付与することができる。 また、本実施例のミシンにおいては、針揺動パルスモータ38及び送りパルスモータ62は、4つの励磁状態a,b,c,dに順次切換えられてステップするように構成され、特に送りパルスモータ62は第7図に示すように位置P1乃至P11の各々に送り歯44を位置決めし得るものである。

    次に、ミシンの電気的構成について第3図を参照して説明する。

    針位置検出器80は、縫針32の先端の位置を検出するもので、第4図(b)に示すようにその縫針32の先端がミシンベッド面BSの上方の所定位置より上方に位置する間に高レベルとなりその所定位置より下方に位置する間に低レベルとなる針位置信号UDを発生するように構成されている。 タイミング信号発生器82は、後述の縫目データメモリからデータを読出すタイミングを決定するために設けられ、第4図(c)に示すように縫針32の先端がミシンベッド面BSの上方の所定位置に達した時に一時的に高レベルとなるタイミング信号TSを発生するように構成されている。

    模様選択装置84は、多数の模様中から所望の模様を選択するために操作可能な手動操作体を含み、その操作により選択された模様に対応する模様コード信号SPCを発生するように構成されている。 ミシン始動停止指令装置
    86は、ミシンモータ18の運転及びその停止を指令するために操作可能な操作体を含み、その操作に従って、指令信号MCを発生するように構成されている。 ミシンモータ制御装置88は、指令信号MCと共に、ミシンモータ18の速度を指令する信号に従ってミシンモータドライバ90を動作させ、ミシンモータ18への供給電力量を制御するものである。

    ミシンにおいて縫目形成動作を制御するために縫目形成制御装置92が設けられており、前述のタイミング信号
    TS、針位置信号UD、模様コード信号SPC及び指令信号MC
    を入力信号として受取り、縫目データメモリ94からのデータ読出と、パルスモータドライバ96の動作制御とを行うように構成されており、第5図及び第6図に示すフローチャートに従う処理動作を実行するように構成されている。 縫目形成制御装置92は、縫目データメモリ94のアドレス指定を行うアドレスカウンタと、内部レジスタR
    1,R2と、各種のフラグを設定するレジスタとを備えている。

    また、縫目データメモリ94は、各縫目形成位置を決定するために縫針32の揺動位置に関する針揺動データと、
    送り歯44の水平送り量及びその送り方向に関する送りデータとから成る縫目データを記憶しており、縫目形成制御装置92のアドレスカウンタにより指定されたアドレス中の縫目データをその制御装置92に出力するように構成されている。 尚、本実施例のミシンにより形成される模様として、便宜上、第1の送り限界位置PA(前方側)から第2の送り限界位置PB(後方側)に向う前進送り運動のみが使用される実用模様が選定されている。

    以上説明したように構成されたミシンの動作を第5図乃至第7図を参照して説明する。

    先ずミシンへの電源投入を行うと、縫目形成制御装置
    92において、第5図に示すステップST1が実行されて初期状態がセットされる。 例えば、その初期状態のセットとしては、アドレスカウンタを直線縫目のための先頭アドレスにセットする動作、内部レジスタR1,R2をクリアする動作、そして、フラグFR,HN,FNのためのレジスタをクリアする動作等が実行される。 その後、針位置信号UD
    のレベルがステップST2においてチェックされる。 通常、ミシン停止時には縫針32がベッド面BSの上方に位置していることから、ステップST3,ST4が順次実行される。 この両ステップST3,ST4の実行により、ストッパ組体42の両端部の中で原点ストッパ部として決められた端部にセクタギャ36が当接するまで針揺動パルスモータ38
    が駆動され、その原点ストッパ部から2ステップ移動する間に励磁される2つの励磁相中の所定相が励磁されてパルスモータ38の原点設定が行われる。

    縫目形成制御装置92は、模様選択装置84からの模様コード信号SPCの変化を検出することによりステップST5において模様選択を判別している。 模様選択の判別時には、ステップST6において、その選択された模様に対応する先頭アドレスがアドレスカウンタにセットされ、前述のステップST3,ST4と同様にステップST7,ST8において針揺動パルスモータ38の原点設定が実行される。 そして、ステップST9において、アドレスカウンタが縫目データメモリ94をアドレス指定して選択模様に関する第1
    の縫目データを読出し、その縫目データ中の針揺動データに従って針揺動パルスモータ38が駆動されて第1針目の縫針32の揺動位置が決定される。 その後、縫目形成制御装置92は、ステップST10においてミシン始動停止指令装置86からの指令信号MCがミシン始動を示す高レベルに変化したか否かを検出し、高レベルへの変化を検出した時にステップST11に移行して、フラグFRの内容を判別する。

    ミシンへの電源投入直後には、フラグFRがステップST
    1においてリセットされていることから、ステップST11
    においてフラグFRのリセットが判別されてステップST12
    が実行される。 ステップST12において、針位置信号UDのレベルが判別され、縫針32が第1針目の縫目を形成するためにベッド面BSの下方に位置する時にはステップST13
    に移行し、ベッド面BSの上方に位置する時には縫針32がベッド面BSの下方に変化するのを待ってステップST13に移行する。 本実施例のミシンにおいては、ストッパ組体
    66の第1のストッパ部68を原点設定用ストッパとして使用しているので、ステップST13においてセクタギャ60が第1のストッパ部68に当接するのに十分なステップ数だけ送りパルスモータ62は駆動され、これにより送り歯44
    は第7図(a)に示すように第1の送り限界位置PAまでの工程F1の後退送り運動を行う。 そして、ステップST14
    において、送りパルスモータ62は所定相aに励磁され、
    送り歯44は工程F2の前進送り運動を行って原点位置である位置P1に位置決めされる。 尚、前記所定相aは、セクタギャ60が第1のストッパ部68に当接した時の規制位置から送りパルスモータ62が2ステップだけ移動する間に励磁される相a,bの中から予め定められたものである。

    送りパルスモータ62の原点設定が行われた後に、ステップST15が実行されてフラグFRがセットされ、その後、
    縫針32が上昇すると共に送り歯44がベッド面BS上に突出する。 そして、ステップST16において、タイミング信号
    TSの発生が判別され、そのタイミング信号TSの発生が判別された時にステップST17が実行されて縫目データメモリ94からのデータ読出が行われる。 このデータ読出動作は一般に良く知られた方式にて行われ、タイミング信号
    TSに応答して累進するアドレスカウンタにより選択模様に関する第2の縫目データが読出される。 また読出されたデータが選択模様に関する縫目データの終了を示すデータである時にはその模様の先頭アドレスがアドレスカウンタに再度セットされるようにプログラムが設定されている。 ステップST18において、前記読出された縫目データ中の針揺動データに従って、針揺動パルスモータ38
    が駆動されて第2針目の縫針32の揺動位置が決定される。 これに続いて、ステップST19が実行され、前記読出された縫目中の送りデータに従って送りパルスモータ62
    が駆動される。

    ステップST19の送り制御ルーチンは、第6図に詳細に示すようにプログラムされている。 即ち、第6図に示すステップSBT1において、送りデータに従うステップ数及びステップ方向(前進方向)に送りパルスモータ62が駆動されて送り歯44は工程F3の前進送り運動を行う。 ステップSBT2において送りデータが内部レジスタR1に一時記憶され、ステップSBT3において針位置信号UDのレベルが判別される。 縫針32が第2針目の縫目形成のためにベッド面BSより下方に降下し送り歯44が沈下すると、ステップSBT4,SBT5においてフラグFN,HNの内容が順次判別される。 現時点において、フラグFN,HNはリセットされていることから、ステップSBT6が実行され、内部レジスタR1
    中の送りデータに従うステップ数で後退方向に送りパルスモータ62が駆動されて送り歯44は、工程F4の後退送り運動を行い位置P1に復帰する。 而して、第7図(a)に示すように公知の四運動送りが行われ、第5図に示すステップST20において、ミシン停止を示す指令信号MCの発生と高レベルの針位置信号UDの発生とが同時に判別されるまでミシンの連続運転が継続され所望の模様が形成される。

    ところで、ミシンへの電源投入直後にステップST2において針位置信号UDの低レベルが判別された時、前述のステップST13乃至ST15と同様にステップST21,ST22,ST23
    が実行されて送りパルスモータ62の原点設定が行われる。 その後に、針位置信号UDの高レベルがステップST24
    において判別され、縫針32がベッド面BSより上方に位置する時にはステップST3に移行し、ベッド面BSより下方に位置する時には、指令信号MCのレベルがステップST25
    において判別される。 ステップST25において、ミシン停止が判別された時にはステップST24に戻ってステップST
    24が実行され、ミシン始動が判別された時にはステップ
    ST26において針位置信号UDのレベルが判別され、その針位置信号UDが高レベルに変化した時に前述のステップST
    3,ST4と同様に針揺動パルスモータ38の原点設定のためのステップST27,ST28が実行される。 その後は、ミシン運転の間、ステップST16乃至ST20の実行が繰返されて模様形成が実行される。

    続いて、ミシン始動時及びミシンの連続運転時における送りパルスモータ62の脱調を解消するための本実施例の布送り装置の動作について以下に説明する。

    今、第7図(b)に二点鎖線で示すように送り歯44が位置P4に位置決めされると共にベッド面BSから突出して停止し、送りパルスモータ62は相dに励磁されて保持されている場合、この状態にてミシンが始動されると、ミシン始動初期においては送り歯44と布押え足74との間に加工布Wを送込むために作業者が加工布Wを前進送り方向に強制的に移送することがあり、この強制的な移送により送りパルスモータ62が前進送り方向における次の相dに脱調することがある。 第7図(b)に示す工程F5の前進送り動作は、前述の脱調により発生したものである。

    ミシン始動時に脱調が発生した場合の縫目形成制御装置92の動作を説明すると、ミシン始動はステップST10において判別され、続いてフラグFRの内容がステップST11
    において判別されるが、送りパルスモータ62の原点設定動作が一度実行されるとフラグFRはセットされることから、ステップST29が実行される。 針位置信号UDが高レベルの時にはステップST30においてフラグHNがセットされ、低レベルの時にはステップST30は実行されずに第7
    図に示すステップSBT3に移行する。 そのステップSBT3において針位置信号UDの低レベルが判別されると、ステップSBT4,STB5においてフラグFN,HNの内容が判別されるが、前述したようにミシン始動直後に針位置信号UDが高レベルにある時にはフラグHNがセットされることから、
    ステップSBT7においてフラグHNがリセットされてステップSBT8が実行され、内部レジスタR1の内容と次の送りデータとが加算されてその結果が内部レジスタR1に一時記憶される。 この後に、ステップSBT9が実行され、送り歯
    44の最大送り量から内部レジスタR1の内容が減算された結果が内部レジスタR2に一時記憶される。 尚、本実施例においては、送り歯44の最大送り量は、位置P1から位置
    P11までの送り量に相当する。

    内部レジスタR2の内容は、ステップSBT10において判別され、その内容が正の値である時にはステップSBT11
    が実行され、負の値である時にはステップSBT12が実行され、その後にステップSBT13に移行されるが、零の時にはステップSBT13に直接に移行される。 例えば、内部レジスタR2の内容が「1」の値である時には、ステップ
    SBT10が実行されて送りパルスモータ62が前進送り方向に1ステップだけ駆動され、送り歯44は工程F6の前進送り運動を行う。 ステップSBT13においてフラグFNがセットされた後にステップST20に移行されて判別動作が行われ、ステップST16においてタイミング信号TSの発生が判別されると、ステップST17において次の縫目データが読出され、ステップST18において、その縫目データ中の針揺動データに従って縫針32の位置決めが行われ、続いてステップSBT1において縫目データ中の送りデータに従って送りパルスモータ62が駆動される。 この送りデータは、第7図(b)に二点鎖線で示す6ステップの前進送り運動の工程MF1を実行するためのものであるため、送り歯44は位置P9からの工程F7の前進送り運動を行い、セクタギャ60は第2の送り限界位置PBの近傍の第2のストッパ部70に当接することになる。 本実施例においては、
    送りパルスモータ62は6ステップに相当する励磁切換が行われ、その最終励磁相が相cに定められている。 この所定相cは、セクタギャ60が第2のストッパ部70に当接した規制位置から2ステップ分の距離だけ移動する間に送りパルスモータ62が励磁される相b,cの中の1つの相である。 従って、送りパルスモータ62が所定相cに励磁された時に送り歯44は工程F8の後退水平送り運動を行い、これにより送りパルスモータ62の脱調が解消される。 その後、送り歯44が沈下すると、ステップSBT3において針位置信号UDの低レベルが判別され、ステップSBT4
    においてフラグFNの内容が判別される。 ミシン始動後に工程MF1の水平送り運動に相当する運動が実行されるとフラグFNはセットされることから、ステップSBT4においてフラグFNのセットが判別され、ステップSBT14において送りパルスモータ62が最大送り量に相当する10ステップだけ後退方向に駆動され、送り歯44は位置P1までの工程F9の後退水平送り運動を行う。 その後に、ステップSB
    T15においてフラグFNがリセットされ、ステップST20に移行される。

    以上説明したようにミシン始動が行われミシンの連続運動に移行した後に、加工布の段差部等を移送するために送り歯44に後退方向の過負荷が加わり、送りパルスモータ62が脱調した場合について説明する。

    例えば、ミシン連続運転中において第7図(c)に二点鎖線で示す7ステップの前進送り運動の工程MF2が実行されている時に過負荷が加わり、実際の送り運動が工程F10の運動であった場合、第6図に示すステップSBT6
    においては、工程MF2の運動の7ステップ分だけ送りパルスモータ62が後退方向に駆動されることから、セクタギャ60が第1の送り限界位置PAの近傍の第1のストッパ部68に当接するまで送り歯44は後退されて工程F11の水平送り運動を行う。 この工程F11の運動の終了時には、
    送りパルスモータ62が所定相aに励磁されることから、
    送り歯44は工程F12の運動を行い、位置P1に位置決めされる。 而して、ミシン連続運転中における送りパルスモータ62の脱調が解消される。

    尚、本実施例において、ステップSBT6,SBT14に従う動作は第1の励磁制御手段の動作に相当し、ステップSBT1
    に従う動作は、第2の励磁制御手段の動作に相当し、そして、ステップST29,ST30,SBT1,SBT3乃至SBT6,SBT14等に従う動作は移動シーケンス設定手段の動作に相当する。

    本発明は以上詳述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。

    例えば、本実施例においては、縫目形成制御装置92及びミシンモータ制御装置88が別個に構成されているが、
    これらを1つのマイクロコンピュータにて構成してもよい。

    また、本実施例においてはミシン始動後に第2の送り限界位置PBに向う工程F7の運動が、送り歯44により加工布Wを前進送りする運動として実行されているが、その工程F7の運動を第9図に示すように送り歯が沈下している状態における工程H1の運動に変更してもよいことは勿論である。

    更に、本実施例においては、ミシン連続運転中の水平送り運動の開始位置が位置P1に定められているが、この開始位置を任意の位置に定めてもよく、または各水平送り運動毎に開始位置が異なるようにしてもよい。 このように、開始位置が位置P1と異なる場合には、水平送り運動の開始時または終了時に所定相aを励磁する動作を数回の水平送り運動毎に行うように変更してもよい。

    [発明の効果] 以上詳述したことから明らかなように、本発明は、送り歯の第1及び第2の限界位置を規制するための第1及び第2のストッパと、それらのストッパと協働して送り歯を所定位置に位置決めするために送りパルスモータを所定相に励磁する第1及び第2の励磁制御手段とを設け、ミシン始動直後及びミシン連続運転中の各場合に応じて移動シーケンス設定手段が第1及び第2の励磁制御手段のいずれか一方を作用させる構成であることから、
    ミシン始動時における前進送り方向の過負荷及びミシン連続運転中の後退送り方向の過負荷のいずれの過負荷が送り歯に加わった場合でも、送りパルスモータの脱調を自動的に解消することができ、送り運動の乱れによる模様崩れを低減することができる。 しかも、本発明は、トルクの小さな小型パルスモータを比較的簡単で安価な回路構成により開ループ制御することを可能にし、ミシンの布送り装置の小型化及び低価格化を達成することができる。

    【図面の簡単な説明】

    第1図乃至第7図は、本発明の一実施例の布送り装置が適用されたミシンに関するもので、第1図はそのミシンの内部機構を示す斜視図、第2図は布押え足と送り歯とによる布送り状態を示す拡大側面図、第3図は上記ミシンの電気的構成を示すブロック図、第4図(a)乃至(c)は縫針の上下動に対する針位置信号及びタイミング信号の発生タイミングを示すタイミングチャート、第5図は上記ミシンの動作を示すフローチャート、第6図は送り制御ルーチンの詳細を示すフローチャート、第7
    図(a)乃至(c)は正常の送り運動工程と送りパルスモータの脱調状態におけるミシン始動時及びミシン連続運転時の送り運動工程とを示す説明図であり、第8図及び第9図は本発明に関するもので、第8図はクレーム対応図、第9図(a)及び(b)は送りパルスモータの脱調状態におけるミシン始動時及びミシン連続運転時の送り運動工程を示す説明図である。 26:針棒、44:送り歯、48:上下送り腕、50:上下送り軸、
    60:セクタギャ、62:送りパルスモータ、68:第1のストッパ部、70:第2のストッパ部、74:布押え足、86:ミシン始動停止指令装置、92:縫目形成制御装置、BS:ベッド面、W:加工布、PA:第1の送り限界位置、PB:第2の送り限界位置、ステップ:ST29,ST30,SBT1,SBT4,SBT5,SBT6,S
    BT14

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