Multi-head sewing machine

申请号 JP2004021624 申请日 2004-01-29 公开(公告)号 JP4276551B2 公开(公告)日 2009-06-10
申请人 東海工業ミシン株式会社; 发明人 郁夫 田島; 賢次 鈴木;
摘要
权利要求
  • 下端部に装着された縫い針と共に上下に駆動される針棒と、前記針棒の上下駆動に同期して揺動される天秤とを備えたミシンヘッドを具備するミシンであって、
    前記天秤に掛け渡された縫糸を、該天秤より下流かつ前記針棒の縫い針より上流の位置で保持するための保持部材 と、前記ミシンヘッドの稼動時に前記針棒の上下動と同期して上下に駆動されるが、該ミシンヘッドの稼動休止時に上方の退避位置へと退避移動される布押え体とを、前記ミシンヘッドに設け、
    前記保持部材は、糸を保持しない第1の位置と糸を保持する第2の位置のいずれかに選択的に変位可能であり、
    前記布押え体が前記退避位置へと移動する動きに連動して前記保持部材を前記第2の位置に位置させる連動機構を、前記ミシンヘッドに更に設け、
    前記針棒の動きを停止して前記ミシンヘッドの稼動を休止するとき、 前記布押え体が前記退避位置へと移動する動きに連動して前記第2の位置に位置する前記保持部材により前記縫糸を保持することにより、前記天秤の動きにかかわりなく、該天秤の下流における縫糸の動きを停止させるようにしたことを特徴とするミシン。
  • 前記保持部材は、前記針棒の縫糸導入口の付近に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  • 前記ミシンヘッドは、更に、前記針棒と同軸心上に組付けられてその軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体とともに回転されて縫い針の針元位置へと紐状被縫製部材を案内するガイドとを備えており、縫いパターンデータに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御し、前記縫い針の針元への紐状被縫製部材の案内方向が適正となるようにガイドの向きを変更しつつ、この紐状部材を本縫いにより布地に縫い着けるものである請求項1 又は2に記載のミシン。
  • 前記ミシンは、複数の前記ミシンヘッドを具備する請求項1乃至 のいずれかに記載のミシン。
  • 下端部に装着された縫い針と共に上下に駆動される針棒と、前記針棒の上下駆動に同期して揺動される天秤と、前記針棒と同軸心上に組付けられてその軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体とともに回転されて縫い針の針元位置へと紐状部材を案内するガイドとを備え、縫いパターンデータに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御し、前記縫い針の針元への紐状部材の案内方向が適正となるようにガイドの向きを変更しつつ、この紐状部材を本縫いにより布地に縫い着けるミシンヘッドを複数備えた多頭ミシンにおいて、
    前記天秤に掛け渡された縫糸を、天秤より下流で保持するための保持部材 と、
    前記ミシンヘッドの稼動時において前記針棒の上下動と同期して上下に駆動される一方、前記ミシンヘッドの稼動休止時において上方の退避位置へと退避されて上下に駆動されることのない布押え体と、
    前記布押え体の退避動作に伴って前記天秤に掛け渡された縫糸を保持するように前記保持部材を連動させる連動機構と
    を前記ミシンヘッドに設け、
    稼動を休止するミシンヘッドにおいて、 前記布押え体が前記退避位置へと移動する動きに連動する前記保持部材による縫糸の保持によって前記天秤の下流における縫糸の動きを停止させるようにしたことを特徴とする多頭ミシン。
  • 说明书全文

    本発明は、テープやコードなどの紐状部材を本縫いによって布地に縫付けることが可能なミシンヘッドを複数具備した多頭ミシンに関する。 特に、複数のミシンヘッドの一部のみを稼動し残りのミシンヘッドの稼動を休止するようにして多頭ミシンを用いる場合に、稼動休止中のミシンヘッドにおける各縫い針の針孔から縫糸が抜けてしまうことを簡易な構成で防止するようにした多頭ミシンに関する。

    従来より、下端部に縫い針を含む上下に駆動される針棒と、前記針棒の上下駆動と同期して揺動される天秤と、前記針棒と同軸心上に組付けられてその軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体とともに回転されて縫い針の針元位置へ紐状部材を案内するガイドとを備えてなり、所定の刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御し、前記縫い針の針元への紐状部材の案内方向が適正となるようにガイドの向きを変更しつつ、この紐状部材を本縫いにより布地に縫い付けることが可能なミシンヘッドを複数備えた多頭ミシンが知られている。 こうした紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドを複数備えた多頭ミシンとしては、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドのみを複数備えたミシンや、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドと通常の刺繍が可能な刺繍用ミシンヘッドとを交互に備えたミシンなど、各種の多頭ミシンが知られている。

    ところで、上記したような種類の多頭ミシンにおいては複数のミシンヘッドのうち一部だけを稼動して、残りのミシンヘッドについては稼動させずに稼動を休止しておくといった使い方をする場合がある。 多頭ミシンの各ミシンヘッドには共通のミシン主軸が貫通して設けてあり、このミシン主軸の回転によって各ミシンヘッドの針棒を上下動することによって紐状部材を布地に縫い付けるようになっている。 そこで、上記のようにミシンヘッドの一部の稼動を休止するには、周知のジャンプ機構によって針棒へのミシン主軸の回転駆動の伝達を遮断して針棒がミシン主軸の回転にあわせて上下動することのない「ジャンプ状態」とすることが必要である。 このようにして稼動を休止させるミシンヘッドにおいては、同時に天秤の動作も休止させておくのが好ましい。 特に紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドにおいては、稼動休止中に天秤が揺動されてしまうと縫い針の針孔に通された縫糸が天秤に引張られて針孔から抜けてしまうことが起こり得るためである。 これは、刺繍用ミシンヘッドにおいて縫い針の後方に設けてある縫糸の糸端を保持する保持部材が、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドにおいては配置されていないためである。 すなわち、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドは針棒の軸心回りを回転する回転体を備えていることから、縫糸の糸端を保持する保持部材を縫い針の後方などに設けることができずに縫糸の糸端が保持されていない。 そのために、縫い針の針孔に通された縫糸が揺動された天秤に引張られて針孔から抜けてしまうのである。

    上記した不具合を解決するため、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドの稼動休止中に、当該ミシンヘッドの天秤の揺動を休止することのできる構成としたミシンが下記に示す特許文献1に開示されている。 この特許文献1に記載された多頭ミシンによれば、ミシン主軸と平行に配置されている天秤軸において軸線回りの回転及び軸線に沿ったスライドが可能な状態に、天秤のボス部がミシンアームに支持されている。 この場合、天秤はミシン主軸に固定された天秤カムの回転に連動する天秤駆動アームにより天秤軸の軸線回りに揺動を繰り返すようになっている。 天秤軸の軸上にはスプリングが設けてあり、常には天秤のボス部と天秤駆動アームとの相互のギヤが噛合う位置となるように付勢されることによって、天秤駆動アームから天秤へと動伝達が行われるようになっている。 ミシンアームには天秤をスライドさせるためのプッシュピンがスライド可能に支持されており、プッシュピンを手動にてスライドさせるとプッシュピンが天秤と当接して天秤も一緒にスライドされる。 天秤がスライドされると、天秤のボス部と天秤駆動アームとの相互のギヤの噛合が外れて天秤駆動アームから天秤への動力伝達が遮断され、天秤が休止されることとなる。 このとき、天秤は天秤軸に対して所定の揺動姿勢に保持されるとともに、プッシュピンはスライドされた状態に保持される。 このようにして、ミシンヘッドの稼動を休止するときにはプッシュピンを操作して天秤も休止させることによって、縫い針の針孔に通された縫糸が抜けることのないようにしている。

    特開平8−299639号公報

    以上のようにして、上記したような従来技術においては、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドの稼動休止中に縫い針の針孔に通された縫糸が抜けることのないように、天秤の揺動も休止するようにしている。 このように天秤の揺動を休止するには天秤をスライド可能に支持したり、天秤をスライドさせるプッシュピンを備えるなどの、ミシン主軸から天秤への動力伝達を遮断する遮断機構が必要となる。 しかし、こうした遮断機構を備えるとすると、ミシンヘッドの構造が複雑なものとなるだけでなく、ミシンへの組付けが煩雑であることからコストが掛かることになって都合が悪い、という問題点があった。
    また、上記特許文献1に記載の多頭ミシンにおいては天秤を休止させるためのプッシュピンの操作を手動にて行うようになっているが、複数のミシンヘッドを休止させるときには休止対象の各ミシンヘッドのプッシュピンをそれぞれ操作する必要があり、手間となるだけでなく、その操作を忘れることが考えられるため自動にて行われるようにすることが望ましい。 しかしながら、各ミシンヘッドのプッシュピンの操作を自動にて行うことを可能とするためには各ミシンヘッド毎にプッシュピンをスライドさせるためのアクチュエータが必要となり、こうしたアクチュエータの設置にはコストが掛かる、という問題点があった。

    本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡易な構成により紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドの稼動休止中に縫糸を保持することによって、天秤の駆動を休止しなくても縫い針の針孔に通した縫糸が抜けることのないようにした多頭ミシンを提供しようとするものである。

    請求項1の本発明に係るミシンは、下端部に装着された縫い針と共に上下に駆動される針棒と、前記針棒の上下駆動に同期して揺動される天秤とを備えたミシンヘッドを具備するミシンであって、前記天秤に掛け渡された縫糸を、該天秤より下流かつ前記針棒の縫い針より上流の位置で保持するための保持部材と、前記ミシンヘッドの稼動時に前記針棒の上下動と同期して上下に駆動されるが、該ミシンヘッドの稼動休止時に上方の退避位置へと退避移動される布押え体とを、前記ミシンヘッドに設け、 前記保持部材は、糸を保持しない第1の位置と糸を保持する第2の位置のいずれかに選択的に変位可能であり、前記布押え体が前記退避位置へと移動する動きに連動して前記保持部材を前記第2の位置に位置させる連動機構を、前記ミシンヘッドに更に設け、前記針棒の動きを停止して前記ミシンヘッドの稼動を休止するとき、 前記布押え体が前記退避位置へと移動する動きに連動して前記第2の位置に位置する前記保持部材により前記縫糸を保持することにより、前記天秤の動きにかかわりなく、該天秤の下流における縫糸の動きを停止させるようにしたことを特徴とする。
    請求項5の本発明に係る多頭ミシンは、下端部に装着された縫い針と共に上下に駆動される針棒と、前記針棒の上下駆動に同期して揺動される天秤と、前記針棒と同軸心上に組付けられてその軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体とともに回転されて縫い針の針元位置へと紐状部材を案内するガイドとを備え、縫いパターンデータに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御し、前記縫い針の針元への紐状部材の案内方向が適正となるようにガイドの向きを変更しつつ、この紐状部材を本縫いにより布地に縫い着けるミシンヘッドを複数備えた多頭ミシンにおいて、前記天秤に掛け渡された縫糸を、天秤より下流で保持するための保持部材と、前記ミシンヘッドの稼動時において前記針棒の上下動と同期して上下に駆動される一方、前記ミシンヘッドの稼動休止時において上方の退避位置へと退避されて上下に駆動されることのない布押え体と、前記布押え体の退避動作に伴って前記天秤に掛け渡された縫糸を保持するように前記保持部材を連動させる連動機構とを前記ミシンヘッドに設け、稼動を休止するミシンヘッドにおいて、 前記布押え体が前記退避位置へと移動する動きに連動する前記保持部材による縫糸の保持によって前記天秤の下流における縫糸の動きを停止させるようにしたことを特徴とする。

    これによると、揺動される天秤の下流に縫糸を保持するための保持部材を設けて、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドの稼動休止中においては前記保持部材による縫糸の保持により、前記天秤の揺動に関わらず該天秤の下流における縫糸の動きを停止させる。 すなわち、ミシンヘッドの稼動休止中には下端部に装着された縫い針と共に上下に駆動される針棒が上下駆動されないようにすることができるが、天秤については揺動されるようになっている。 該天秤に掛け渡された縫糸の先端は、針棒に装着された縫い針の針孔に通されている。 天秤が揺動すると、揺動に応じて掛け渡されている縫糸が引っ張られたり緩められたりするが、稼動休止中のミシンヘッドにおいては保持部材によって天秤の下流で、つまり縫い針に近い位置で縫糸が保持されることから、天秤の動作に関わらず針孔に通されている縫糸が針孔から抜けることがなくなる。 このように、本発明によると、天秤の下流において縫糸を保持するための保持部材を前記ミシンヘッドに設けるだけで、ミシンヘッドの稼動休止中に天秤の動作を休止させなくても縫糸が針孔から抜けることがないようにすることができる。 したがって、天秤の動作を休止させるための専用の遮断装置が不要となり、ミシンヘッドの構造が簡素な多頭ミシンを提供することができ、多頭ミシンのコストを抑えることができるようになる。

    更に、本発明によれば、ミシンヘッドの稼動休止時において、保持部材による縫糸の保持を布押え体の退避位置への退避に連動して行うことから、保持部材を駆動させるために個別のアクチュエータを付設する必要がない。 また、保持部材の駆動は布押え体の退避動作に伴って自動的に行われることから、作業者が保持部材の駆動操作をわざわざ行わなくても縫糸は保持された状態となっている。

    本発明によれば、 天秤の動作を休止させるための専用の遮断装置が不要となり、ミシンヘッドの構造が簡素となる。 また、保持部材を、天秤より下流かつ前記針棒の縫い針より上流の位置に設けるため、縫い針の回りに回転体があってもその邪魔にならないため、紐状の被縫製部材の縫付け用のミシンヘッドに適する簡易な縫糸保持構造を提供することができる。 また、本発明紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドに適用すれば、縫糸を保持する保持部材を、ミシンヘッドの稼動休止中には前記保持部材にて天秤より下流の位置で縫糸を保持するように設けているので 、天秤の動作を休止させなくても縫糸が針孔から抜けることがないことから、天秤を休止させるための遮断装置が不要となってミシンヘッドの構造が簡素となりコストを抑えることができる、という優れた効果を奏する。
    また、保持部材による縫糸の保持動作を、ミシンヘッドを休止させるときの布押え体の退避位置への退避動作に連動して行うようにしたため、保持部材を駆動させるための個別のアクチュエータを付設する必要が無く、且つ、作業者が手動にて保持部材を操作する場合に生じ得る作業者の操作忘れを防止することができるようになる。

    以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。

    まず、本発明に係る多頭ミシンの概要について簡単に説明する。 図1は、本発明に係る多頭ミシンの一実施例を示す正面外観図である。 この実施例では、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドHを複数(ここでは8個)備えた多頭ミシンを示している。 なお、図1においては手前側が縫製作業等を行う作業者が実際に位置する多頭ミシン前面に相当する。

    図1に示した多頭ミシンにおいて、平方向(図面X方向)に延在する長尺なミシンテーブル1の上方には上フレーム2が配置されており、該上フレーム2の前面には当該上フレーム2の長手方向(図面X方向)に沿ってミシンヘッドHを等間隔毎に配設してある。 各ミシンヘッドHの下方には釜3を支持した釜土台4が各ミシンヘッドHに対応して、ミシンテーブル1と略同じ高さに設けてある。 また、ミシンテーブル1の上面には被縫製物を展張保持するための縫製枠5が載置してあり、縫製枠5はテーブルの下方に配設された図示しない駆動機構によって前後左右方向に駆動される。 各ミシンヘッドHには共通のミシン主軸6が貫通して設けてあり、このミシン主軸6の回転によってミシンヘッドHの縫い針が上下に往復駆動される。 この縫い針と、釜土台4において回転される釜3との協働により、縫製枠5に展張保持された被縫製物に対する縫製が実行される。

    次に、図1に示した多頭ミシンにおけるミシンヘッドHの詳細について説明する。 図2は図1に示した多頭ミシンに配置されているミシンヘッドHの正面図、図3はミシンヘッドHの左側面図、図4はミシンヘッドHの左側面断面図、図5はミシンヘッドHの一部を破断して表した側面図である。 この図2〜図5に示したミシンヘッドHは、布押え体28が縫製位置にある場合を示している。 以下、これら図2〜図5に示した各図によってミシンヘッドHの構造及び動作について説明する。 これらの各図面に示すように、ミシンアーム7にはミシン主軸6が貫通しているとともに、ミシンアーム7の左側面には針棒8のジャンプ制御のためのモータ22、布押え支持体27の昇降駆動のためのモータ41、布押え支持体27の方向制御のためのモータ49がそれぞれ設けてある。

    図4からも理解できるように、前記針棒8はミシンアーム7に上下動可能に支持してある。 針棒8は中空構造となっており、この針棒8の中間部付近には縫糸Tを針棒8内に通すための導入口9が設けてある一方で、針棒8の下方部には導入口9を経て針棒8内に導入された縫糸Tを針棒8内から出すための導出口10が形成してある。 そして、針棒8の下端部には縫い針11が固定してあり、この針棒8を保持するための針棒抱き12が針棒8の略中間部に固定してある。 そして、こうした針棒8は、前記ミシン主軸6の回転を駆動源とする針棒駆動機構13により上下駆動されるようになっている。 この針棒駆動機構13は、前記ミシン主軸6に固定された針棒カム14の回転を、前記ミシンアーム7に上下向きに支持されたガイド軸15に対する昇降駆動体16の上下動作に変換し、この上下動作が前記針棒抱き12を介して針棒8に伝達される構成となっている。 前記昇降駆動体16はガイド軸15に対してその軸線回りの回転も可能に支持されているとともに、この昇降駆動体16の側部には上下方向に所定の長さをもった係合面16aが形成してある。

    また図4に示すように、天秤17のボス部18は、前記ミシンアーム7にミシン主軸6と平行するようにして固定されている天秤軸19の軸線回りを揺動可能に支持してある。 すなわち、前記天秤17はミシン主軸6に固定された天秤カム20の回転動作に連動して動作する天秤駆動アーム21により、天秤軸19の軸線回りに揺動を繰り返すようになっている。

    図5に示すように、ミシンヘッドHの稼動を休止するために針棒8をジャンプ制御するジャンプ制御用のモータ22、つまり針棒8へのミシン主軸6の回転駆動の伝達を遮断して針棒8がミシン主軸6の回転にあわせて上下動することのない「ジャンプ状態」に制御するモータ22の軸には、駆動アーム23が固定してある。 このモータ22は所定のジャンプ信号によって駆動制御されるものであり、前記駆動アーム23を図5における反時計方向に回動させることが可能となっている。 すなわち針棒8の上死点近くにおいて駆動アーム23を反時計方向に回動させることにより、前記駆動アーム23の先端部によって昇降駆動体16の係合面16aが押されるので、昇降駆動体16がガイド軸15の軸線回りに回転する。 すると、針棒8の針棒抱き12が昇降駆動体16から開放されて(図4参照)ミシン主軸6の回転駆動の伝達が遮断されるので、針棒8はジャンプ状態となる。 そして駆動アーム23をこの回動位置に保持しておけば、針棒8は連続ジャンプ状態となる。 なお、昇降駆動体16の係合面16aの上下長さは、針棒8の上下ストロークの全範囲において駆動アーム23の先端部と常に対向する寸法に設定してある。

    図4に戻って、針棒8の外周には支持筒24が、ミシンアーム7の下部に固定された固定スリーブ25の内周面に案内されて針棒8との相対的な昇降動作及びその軸線回りの回転が可能に設けてある。 この支持筒24の上端部にはリング26が固定され、かつ支持筒24の下端部には布押え支持体27が固定してある。 前記布押え支持体27は二股状に形成してあり、一方の外側面には上下に長いキー溝27aが形成され、他方の下方部には布押え体28が固定してある。 前記布押え体28には、後述のボビン34から繰り出される紐状部材を縫い針11の針元へと導くガイド29が固定してある。 前記固定スリーブ25の外周には、回転筒30がその軸線回りの回転のみ可能に設けてある。 この回転筒30の上端部外周にはプーリ31が形成してあるとともに、下端部には布押え支持体27のキー溝27aに係合するキー部材32が固定してある。 また回転筒30の外周にはボビンブラケット33が固定してあり、このボビンブラケット33には縫糸Tにより布地に縫付けられる紐状部材を巻いておくボビン34が回転自在に支持してある。

    次に、前記布押え支持体27を昇降駆動するための機構について、主に図2、図5及び図6を用いて説明する。 図6は、図5の一部を拡大して示した側面図である。
    図2に示すように、前記支持筒24のリング26には駆動アーム35の先端部(フォーク部)が上下方向の動力伝達可能に係合してある。 この駆動アーム35は、ミシンアーム7に対して上下向きに配置されたガイド軸36に対して昇降動作可能に支持された昇降部材37に対して位置調整可能に取付けてある。 また、このガイド軸36の軸上には基昇降部材38が昇降動作可能に支持してある。 前記昇降部材37は基昇降部材38にブロック39を介して受けられているとともに、これらの両者間においてガイド軸36の軸上に設けられたスプリング40の弾性によって昇降部材37がブロック39に押し付けられる方向(下方)に付勢されている。

    前記布押え支持体27を昇降駆動するための機構の駆動源であるモータ41の軸には、図5及び図6に示すように駆動レバー42が固定してあり、この駆動レバー42の先端部はミシンアーム7に回動自在に支持された回動アーム44の一端部にリンク部材43を介して連結してある。 また、回動アーム44の他端部は前記基昇降部材38にリンク部材45を介して連結してある。 これにより、モータ41を駆動させると、回動アーム44が往復回動されて基昇降部材38及び昇降部材37がガイド軸36に沿って昇降し、駆動アーム35を介して支持筒24が布押え支持体27(布押え体28)とともに昇降されることとなる(図2参照)。 図6に示すように、このモータ41は縫製時においては回動アーム44が図6において実線で示す位置と一点鎖線で示す位置との間で往復回動するように駆動され、この動作に伴って布押え体28が図6において実線で示す下死点と一点鎖線で示す上死点との間を昇降駆動される。 また、縫製終了時やミシンヘッドHの稼動を休止するときには、モータ41の駆動によって回動アーム44を図6の二点鎖線で示す位置に回動させ、布押え体28を図6の二点鎖線で示す退避位置に退避させる。

    なお、布押え体28は、縫い付ける紐状部材の種類などによって下死点が上昇するときがある。 こうした場合には、布押え体28が紐状部材に当たったところで昇降部材37の下降が停止し、基昇降部材38のみがスプリング40の弾性に抗して下降して下死点の上昇を許容できるようになっている。

    次に、布押え体28の図6の二点鎖線で示す退避位置への退避に伴って縫糸Tを保持する機構について説明する。 図7は、縫糸Tを保持する動作を説明するための一部拡大図である。 図8はミシンヘッドHの正面図であるが、図2と異なり布押え体28が退避位置にある場合、つまり稼動休止状態にあるミシンヘッドHを示したものである。 図9は図2に示したミシンヘッドHの一部斜視図であり、布押え体28が縫製位置にある場合を示したものである。

    上記図2及び図6〜図9に示すように、前記基昇降部材38には係合片38aが形成してある。 そして、ミシンアーム7には、この係合片38aと当接する当接辺46bを有する回動保持部材46が天秤17の下流に回動可能に設けてある(図9参照)。 この回動保持部材46はミシンアーム7の前面に固定された支持部材47に軸支してあり、回動保持部材46には縫糸Tを保持するための回動保持片46aが形成してある。 また、回動保持部材46は図示しないトーションバネによって図9又は図2における時計方向へ回動付勢されており、その当接辺46bが基昇降部材38の係合片38aに当接して図9又は図2に示すような回動位置に保持される。 さらに、ミシンアーム7には固定保持部材48が固定してある。 この固定保持部材48には、回動保持部材46の回動保持片46aとによって縫糸Tを挟んで保持するための固定保持片48aが形成してある。 この回動保持片46a及び固定保持片48aは、針棒8の導入口9に導かれる縫糸Tの保持が可能な位置に設けてある。 このように、回動保持部材46が天秤17の下流で、つまり天秤17に掛け渡された縫糸Tを縫い針11に近い位置で保持することのできるように、ミシンアーム7に設けてある。

    前記基昇降部材38の係合片38aは、布押え体28が下死点に位置するときには図7に示す実線位置に位置し、上死点に位置するときには図7に示す一点鎖線位置に位置する。 すなわち、縫製時において係合片38aは、図7に示す実線位置と一点鎖線位置の間を上下に移動することとなる。 一方、縫製時において回動保持部材46は、当接片46bが係合片38aに受け止められている状態にあることから図7において実線で示した回動位置に保持される。 この状態のときは縫糸Tが保持されることがなく、したがって縫製の進行に伴って縫糸Tが繰り出される。 他方、縫製終了時やミシンヘッドHの稼動を休止した場合には、布押え体28が退避されることに伴い、係合片38aは図7において二点鎖線で示す位置に移動する。 このため、当接辺46bと係合片38aの当接が外れ、回動保持部材46はその回動保持片46aが固定保持部材48の固定保持片48aに当接する図7において二点鎖線で示す回動位置に回動される。 すると、回動保持片46aと固定保持片48aとで縫糸Tを挟んで保持することとなり、したがって縫製終了時やミシンヘッドHの稼動を休止した場合には縫糸Tが繰り出されることがない。

    また、布押え支持体27を方向制御するためのモータ49の軸にはシャフト50が連結してあり、シャフト50の下方部はミシンアーム7に固定したベース部材51に回転可能に支持してある。 シャフト50の下端部には駆動プーリ52が固定してあり、この駆動プーリ52と前記回転筒30のプーリ31との間にはタイミングベルト53が掛け渡してある。 これにより、モータ49を駆動させれば回転筒30が往復回転し、キー部材32を介して布押え支持体27及びガイド29が方向制御されることとなる。

    次に、上述した構成の多頭ミシンにおける紐状部材の縫付けを行うときの動作手順について、簡単に説明する。 前記構成の多頭ミシンにおいて、紐状部材の縫付けを行うときには、各ミシンヘッドHの縫い針11の針孔へ縫糸Tを通すとともに、紐状部材が巻かれたボビン34をセットする。 縫糸Tは上フレーム2の上方に設けた図示しない供給部から繰り出し、ミシンヘッドHの上方部の糸調子部を通して、図4に示すようにミシンアーム7の上方に設けた上糸道54、ミシンアーム7の前面に設けた中糸道55、天秤17の先端部の順に通した後に、針棒8の導入口9から針棒8内を通して導出口10から出し、縫い針11の針孔へと通す。 紐状部材が巻かれたボビン34はボビンブラケット33にセットするとともに、紐状部材をボビン34から繰り出してガイド29に通して縫い針11の針元へと導く。 ミシンの起動スイッチを操作してミシンを運転させると、ミシン主軸6が回転されて針棒8(縫い針11)が昇降駆動されるとともに天秤17が揺動される。 布押え体28はモータ41の駆動によって針棒8の昇降駆動と同期して図6の実線位置と一点鎖線位置との間で昇降駆動される。 回転筒30はモータ49によって回転制御され、ボビン34及びガイド29が常に縫い進み方向の前側に位置するように方向制御される。 そして、釜3が針棒8(縫い針11)の昇降駆動と同期して回転されるとともに、縫製枠5が前後左右方向に駆動されることによって、縫製枠5に展張保持された被縫製物へ紐状部材の縫付けが行われることとなる。

    次に、複数のミシンヘッドHの一部だけを稼動させ、残りのミシンヘッドHの稼動は休止させるときの動作手順について説明する。 休止させるミシンヘッドHにおいては、モータ22の駆動によって針棒8を連続ジャンプ状態とするとともに、モータ41の駆動によって布押え体28を図6において二点鎖線で示す退避位置に退避させる。 布押え体28が退避位置へ退避されると、基昇降部材38の係合片38aと回動保持部材46の当接辺46aの当接が外れ、回動保持部材46がその回動保持片46aと固定保持部材48の固定保持片48aが当接する図7において二点鎖線で示す回動位置に回動される。 これにより、回動保持片46aと固定保持片48aとで、針棒8の導入口9に導かれる縫糸Tを挟み込んで保持することとなる。

    以上のように、この発明に係る多頭ミシンでは、ミシンヘッドHの稼動を休止するときに回動保持片46aと固定保持片48aとで針棒8の導入口9に導かれる縫糸Tを挟んで保持するようにしたため、稼動休止中のミシンヘッドHにおいて天秤17が揺動しても縫糸Tが引張られて縫い針11の針孔から抜けることがない。 これにより、天秤17の揺動を休止させるための遮断機構をわざわざ設けなくてもよく、ミシンヘッドHの構造が簡素となってコストを抑えることができることとなる。 また、縫糸Tの保持を布押え体28の退避動作に連動させて行うようにしたため、縫糸Tを保持するための駆動源を設ける必要がなくコストを抑えることができるとともに、作業者が手動にて行うことによって生じる操作の忘れを防止できることとなる。

    なお、上述した実施例では紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドHのみを備えた多頭ミシンに適用した例を示したが、紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドHと刺繍用ミシンヘッドとを交互に備えた多頭ミシンにおいて紐状部材の縫付けが可能なミシンヘッドHに対してのみに適用するようにしてよい。
    なお、回動保持部材46を回動させることによって縫糸Tを保持するようにしたがこうした形態に限らず、例えばスライドなど他の形態によって縫糸Tを保持するように変更してもよい。
    なお、上記した各図において、56は釜土台4の上面に固定された周知の針板であることは言うまでもない。

    本発明に係る多頭ミシンの一実施例を示す正面外観図である。

    図1に示した多頭ミシンに配置されているミシンヘッドの正面図である。

    ミシンヘッドの左側面図である。

    ミシンヘッドの左側面断面図である。

    ミシンヘッドの一部を破断して表した側面図である。

    図5の一部を拡大して示した側面図である。

    縫糸を保持する動作を説明するための一部拡大図である。

    稼動休止状態にあるミシンヘッドの正面図である。

    布押え体が縫製位置にある場合のミシンヘッドの一部斜視図である。

    符号の説明

    1…ミシンテーブル、2…上フレーム、3…釜、4…釜土台、5…縫製枠、6…ミシン主軸、7…ミシンアーム、8…針棒、9…導入口、10…導出口、11…縫い針、12…針棒抱き、13…針棒駆動機構、14…針棒カム、15…ガイド軸、16…昇降駆動体、17…天秤、18…ボス部、19…天秤軸、20…天秤カム、21…天秤駆動アーム、22…針棒ジャンプ制御用モータ、23…駆動アーム、24…支持筒、25…固定スリーブ、26…リング、27…布押え支持体、27a…キー溝、28…布押え体、29…ガイド、30…回転筒、31…プーリ、32…キー部材、33…ボビンブラケット、34…ボビン、35…駆動アーム、36…ガイド軸、37…昇降部材、38…基昇降部材、38a…係合片、39…ブロック、40…スプリング、41…布押え支持体昇降用モータ、42…駆動レバー、43…リンク部材、44…回動アーム、45…リンク部材、46…回動保持部材、46a…回動保持片、46b…当接片、47…支持部材、48…固定保持部材、48a…固定保持片、49…布押え体方向制御用モータ、50…シャフト、51…ベース部材、52…駆動プーリ、53…タイミングベルト、54…上糸道、55…中糸道、56…針板、H…ミシンヘッド、T…縫糸

    QQ群二维码
    意见反馈