sewing machine

申请号 JP2007055151 申请日 2007-03-06 公开(公告)号 JP2008212442A 公开(公告)日 2008-09-18
申请人 Brother Ind Ltd; ブラザー工業株式会社; 发明人 HAYAKAWA NORIKAZU; NAKANO MOTONARI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To prevent an end portion of a needle thread and a bobbin thread cut by a needle thread cutting means and a bobbin thread cutting means and held by a needle thread holding mechanism and a bobbin thread holding mechanism from being sewn when starting sewing. SOLUTION: A needle thread cutting device 30 for cutting the needle thread, the needle thread holding mechanism 31, and a needle thread direction adjusting mechanism 33 are arranged in the upper side of a head portion 2 and a bobbin thread cutting device 60 for cutting the bobbin thread, the bobbin thread holding mechanism 61, and a bobbin thread direction adjusting mechanism 63 are arranged in the head portion 2 in a pattern sewing machine 1. The pulling direction of the needle thread 14 can be changed by the needle thread direction adjusting mechanism 33 such that the pulling direction of the needle thread 14 in a thread end holding state differs from the sewing direction when starting pattern sewing. The pulling direction of the bobbin thread 21 can be set to be the same direction advancing from a needle dropping point 5a to a thread guide hole 23b of a bobbin case 23 by the bobbin thread direction adjusting mechanism 63. COPYRIGHT: (C)2008,JPO&INPIT
权利要求
  • 縫針を取付けた針棒と、回転釜と、針板の上方で加工布から縫針の目孔に延びる上糸を切断する上糸切断手段とを備えたミシンにおいて、
    前記上糸切断手段は、上糸用可動刃を含む上糸用糸切り機構と、この上糸用可動刃を縫針の直下で上糸を引っ掛ける糸取り位置とこの糸取り位置から所定距離離隔した糸切り位置とに亙って進退移動させる上糸用進退移動手段とを有し、
    前記上糸切断手段により糸切り位置で切断されて縫針の目孔へ延びる上糸の糸端を保持する上糸保持機構を設け、
    前記上糸用進退移動手段と前記上糸保持機構は、縫針の目孔から前記上糸保持機構へ延びる上糸の引っ張り方向を調節する為の上糸用方向調節機構を有することを特徴とするミシン。
  • 前記上糸用方向調節機構は、縫針側ほど下がる傾斜状に配設され且つ前記上糸用糸切り機構の上糸用可動刃を案内する上糸用案内部材と、この上糸用案内部材から延びた水平な上糸用張出し板と、この上糸用張出し板に形成された少なくとも1つの上糸用円弧スリットと、ミシン機枠に固定され且つ上糸用円弧スリットを介して上糸用張出し板に連結される上糸用支持部材とを有することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  • 針板の下方で加工布から前記回転釜に延びる下糸を切断する下糸切断手段を設け、
    前記下糸切断手段は、下糸用可動刃を含む下糸用糸切り機構と、この下糸用可動刃を針板の下側で下糸を引っ掛ける糸取り位置とこの糸取り位置から設定距離離隔した糸切り位置とに亙って進退移動させる下糸用進退移動手段とを有し、
    前記下糸切断手段により糸切り位置において切断されて回転釜のボビンケースの糸案内孔へ延びる下糸の糸端を保持する下糸保持機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  • 前記下糸用進退移動手段と前記下糸保持機構は、前記回転釜のボビンケースの糸案内孔から前記下糸保持機構へ延びる下糸の引っ張り方向を調節する為の下糸用方向調節機構を有することを特徴とする請求項3に記載のミシン。
  • 前記下糸用進退移動手段は、平面視において、前記下糸の引っ張り方向を針落ち点から前記ボビンケースの糸案内孔へ向かう方向と同一方向に設定可能に構成されたことを特徴とする請求項4に記載のミシン。
  • 前記上糸切断手段と前記上糸保持機構は、ミシンのアーム部の左側に配置されたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のミシン。
  • 前記上糸用方向調節機構は、前記上糸用案内部材が、加工布を押える布押え装置と干渉しない範囲で上糸の引っ張り方向を調節するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  • 前記下糸用方向調節機構は、前記下糸用糸切り機構の下糸用可動刃を案内する下糸用案内部材と、この下糸用案内部材から延びた水平な下糸用張出し板と、この下糸用張出し板に形成された少なくとも1つの下糸用円弧スリットと、ミシン機枠に固定され下糸用円弧スリッを介して下糸用張出し板に連結される下糸用締結部材を有することを特徴とする請求項5に記載のミシン。
  • 说明书全文

    本発明は、縫製終了時に上糸と下糸を夫々個別に切断する上下糸切断手段と、各糸切断手段で切断された糸の糸端を夫々保持する上下糸保持機構とを備えたミシンに関する。

    従来、本縫いミシンやパターン縫いミシン等のミシンは、加工布に連なる上糸と下糸を切断する糸切り装置と、この糸切り装置で切断された上糸や下糸の糸端を保持する糸保持機構を設けている。 縫製終了時に、自動的に、或いは作業者による糸切り指示により、加工布の上側或いは下側において、上糸と下糸を同時に切断してから、糸端を保持するようになっている。

    例えば、特許文献1に記載のミシンの上糸切断装置は、上糸挟持機構と、切断部材と、固定板と、シリンダ等からなる上糸切断手段をベッド部の上側に設けている。 縫製終了時の糸切断に際して、切断部材の発熱により上糸が布押えと加工布の間で切断される。 その後、上糸挟持機構は縫針側の上糸端部を保持した状態でシリンダの退入駆動により元の位置に復帰する。 次の縫製開始時に、上糸挟持機構が保持する上糸端部は、縫針の縫製動作により縫針側に引っ張られて上糸挟持機構から抜けるようになっている。

    特許文献2に記載のミシンの糸切装置は、加工布の上側に1対の上糸切りメスと挟持体を設けるとともに、加工布の下側に固定メス、動メス回動腕、下糸たぐり板等を設けている。 縫製終了時に、先に、上糸切りメスの協働で上糸を切断し、一方の上糸切りメスと挟持体とで上糸の糸端を保持する。 更に、動メス回動腕と下糸たぐり板とが同時に回動して下糸を固定メスとで切断後、回動復帰したときに、下糸たぐり板と動メスの先端とで下糸の糸端を保持するようにしてある。

    特開平4−26490号公報(第3〜5頁、図2,図4)

    特開平2−213385号公報(第3〜5頁、図2,図4)

    特許文献1に記載のミシンの上糸切断装置においては、縫製終了時に、上糸切断手段により切断された上糸の縫針側の糸端を保持するようにしている。 この縫針の目孔から延びる糸端部の保持方向が、次回において縫製を開始した際の縫製方向と一致するような場合、保持状態が解放された上糸端部が縫製方向に向かう加工布上に載置される。 その結果、この上糸端部が加工布に縫い込まれ、縫製開始時における縫目が汚くなるという問題がある。

    特許文献2に記載のミシンの糸切装置においても同様に、糸切断後に上糸と下糸の糸端を夫々個別に保持するようにしている。 縫製開始時の縫製方向と、上糸端部の保持方向、或いは下糸端部の保持方向が一致する場合、次回における縫製開始時に、糸保持が解放された上糸端部や下糸端部が加工布に縫い込まれるという問題がある。

    本発明の目的は、上糸切断手段や下糸切断手段で切断されて上糸保持機構や下糸保持機構により保持されていた上糸端部や下糸端部の縫製開始時における縫い込みを防止できるようにすることである。

    請求項1のミシンは、縫針を取付けた針棒と、回転釜と、針板の上方で加工布から縫針の目孔に延びる上糸を切断する上糸切断手段とを備えたミシンにおいて、上糸切断手段は、上糸用可動刃を含む上糸用糸切り機構と、この上糸用可動刃を縫針の直下で上糸を引っ掛ける糸取り位置とこの糸取り位置から所定距離離隔した糸切り位置とに亙って進退移動させる上糸用進退移動手段とを有し、上糸切断手段により糸切り位置で切断されて縫針の目孔へ延びる上糸の糸端を保持する上糸保持機構を設け、上糸用進退移動手段と上糸保持機構は、縫針の目孔から上糸保持機構へ延びる上糸の引っ張り方向を調節する為の上糸用方向調節機構を有するものである。

    上糸切断に際して、上糸用進退移動手段により、上糸用可動刃が、待機中の糸切り位置から糸取り位置に移動して、縫針の直下で、加工布から縫針の目孔に延びる上糸を引っ掛けてから、元の糸切り位置に移動する。 このとき、上糸用可動刃に引っ掛けられている上糸が上糸用糸切り機構により切断されるとともに、切断された上糸の糸端は上糸保持機構により保持される。 この上糸保持状態において、縫針の目孔から上糸保持機構へ延びる上糸の引っ張り方向は、次回の縫製開始時における縫製方向と一致しないように、上糸用方向調節機構で調節される。

    このように、糸切り後に上糸保持機構により保持した上糸の糸端の引っ張り方向が、次の縫製開始時における縫製方向と一致しないように、上糸の糸保持方向を調節できるので、縫製開始後に糸端保持が解放されて糸端が加工布上に載置された際に、糸端の向きと縫製方向とが異なるため、糸端が加工布に縫い込まれることはない。

    請求項2のミシンは、請求項1において、前記上糸用方向調節機構は、縫針側ほど下がる傾斜状に配設され且つ上糸用糸切り機構の上糸用可動刃を案内する上糸用案内部材と、この上糸用案内部材から延びた平な上糸用張出し板と、この上糸用張出し板に形成された少なくとも1つの上糸用円弧スリットと、ミシン機枠に固定され且つ上糸用円弧スリットを介して上糸用張出し板に連結される上糸用支持部材とを有するものである。

    請求項3のミシンは、請求項1又は2において、針板の下方で加工布から回転釜に延びる下糸を切断する下糸切断手段を設け、下糸切断手段は、下糸用可動刃を含む下糸用糸切り機構と、この下糸用可動刃を針板の下側で下糸を引っ掛ける糸取り位置とこの糸取り位置から設定距離離隔した糸切り位置とに亙って進退移動させる下糸用進退移動手段とを有し、下糸切断手段により糸切り位置において切断されて回転釜のボビンケースの糸案内孔へ延びる下糸の糸端を保持する下糸保持機構を設けたものである。

    請求項4のミシンは、請求項3において、前記下糸用進退移動手段と下糸保持機構は、回転釜のボビンケースの糸案内孔から下糸保持機構へ延びる下糸の引っ張り方向を調節する為の下糸用方向調節機構を有するものである。

    請求項5のミシンは、請求項4において、前記下糸用進退移動手段は、平面視において、下糸の引っ張り方向を針落ち点からボビンケースの糸案内孔へ向かう方向と同一方向に設定可能に構成されたものである。

    請求項6のミシンは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記上糸切断手段と上糸保持機構は、ミシンのアーム部の左側に配置されたものである。

    請求項7のミシンは、請求項2において、前記上糸用方向調節機構は、上糸用案内部材が、加工布を押える布押え装置と干渉しない範囲で上糸の引っ張り方向を調節するように構成されたものである。

    請求項8のミシンは、請求項5において、前記下糸用方向調節機構は、下糸用糸切り機構の下糸用可動刃を案内する下糸用案内部材と、この下糸用案内部材から延びた水平な下糸用張出し板と、この下糸用張出し板に形成された少なくとも1つの下糸用円弧スリットと、ミシン機枠に固定され下糸用円弧スリッを介して下糸用張出し板に連結される下糸用締結部材を有するものである。

    請求項1の発明によれば、縫針を取付けた針棒と回転釜と上糸切断手段とを備え、上糸切断手段は上糸用糸切り機構と上糸用進退移動手段とを有し、上糸保持機構を設け、上糸用進退移動手段と上糸保持機構は上糸用方向調節機構を有するので、上糸用進退移動手段により、上糸用可動刃が糸取り位置に移動して上糸を引っ掛けた状態で元の糸切り位置に復帰移動して上糸が切断されたとき、加工布から延びる上糸の糸端部は所定長さの状態で上糸保持機構に保持させることができる。 しかも、切断後に上糸保持機構により保持される上糸の糸端の引っ張り方向が、次の縫製開始時における縫製方向と一致しないように糸保持方向を調節しておけるので、縫製開始後に糸端保持が解放されて糸端が加工布上に載置された際に、糸端の向きと縫製方向とが異なるため、糸端の加工布への縫い込みを確実に防止することができる。

    請求項2の発明によれば、前記上糸用方向調節機構は、縫針側ほど下がる傾斜状に配設され且つ上糸用糸切り機構の上糸用可動刃を案内する上糸用案内部材と、この上糸用案内部材から延びた水平な上糸用張出し板と、この上糸用張出し板に形成された少なくとも1つの上糸用円弧スリットと、ミシン機枠に固定され且つ上糸用円弧スリットを介して上糸用張出し板に連結される上糸用支持部材とを有するので、上糸用支持部材に連結された上糸用張出し板の上糸用円弧スリットを介して、上糸用案内部材の方向を傾斜状態を保持しながら容易に且つ迅速に調節することができる。 その他請求項1と同様の効果を奏する。

    請求項3の発明によれば、下糸切断手段を設け、下糸切断手段は下糸用糸切り機構と下糸用進退移動手段とを有し、下糸保持機構を設けたので、下糸用進退移動手段により、下糸用可動刃が糸取り位置に移動して下糸を引っ掛けた状態で元の糸切り位置に復帰移動して下糸が切断されたとき、加工布から延びる下糸の糸端部は所定長さの状態で下糸保持機構に保持させることができる。 その他請求項1又は2と同様の効果を奏する。

    請求項4の発明によれば、下糸用進退移動手段と下糸保持機構は、回転釜のボビンケースの糸案内孔から下糸保持機構へ延びる下糸の引っ張り方向を調節する為の下糸用方向調節機構を有するので、切断後に下糸保持機構により保持される下糸の糸端の引っ張り方向を、次の縫製開始時に縫い込まれないような方向に調節することができ、糸端の加工布への縫い込みを確実に防止することができる。 その他請求項3と同様の効果を奏する。

    請求項5の発明によれば、前記下糸用進退移動手段は、平面視において、下糸の引っ張り方向を針落ち点からボビンケースの糸案内孔へ向かう方向と同一方向に設定可能に構成されたので、縫製開始時に解放された下糸の糸端部が縫い込まれることがない。 その他請求項4と同様の効果を奏する。

    請求項6の発明によれば、前記上糸切断手段と上糸保持機構は、ミシンのアーム部の左側に配置されたので、作業者が上糸を糸駒から縫針に糸掛けする糸掛け作業は、ミシンの右側であるため、これら上糸切断手段と上糸保持機構により、糸掛け作業を邪魔さることがなく、作業性がよい。 その他請求項1〜5の何れかと同様の効果を奏する。

    請求項7のミシンは、前記上糸用方向調節機構は、上糸用案内部材が、加工布を押える布押え装置と干渉しない範囲で上糸の引っ張り方向を調節するように構成されたので、上糸用進退移動手段と上糸保持機構の引っ張り方向を、布押え装置との干渉を回避しながら調節することができる。 その他請求項2と同様の効果を奏する。

    請求項8のミシンは、前記下糸用方向調節機構は、下糸用糸切り機構の下糸用可動刃を案内する下糸用案内部材と、この下糸用案内部材から延びた水平な下糸用張出し板と、この下糸用張出し板に形成された少なくとも1つの下糸用円弧スリットと、ミシン機枠に固定され下糸用円弧スリッを介して下糸用張出し板に連結される下糸用締結部材を有するので、下糸用張出し板の下糸用円弧スリットを介して、下糸用案内部材の方向を容易に且つ迅速に調節することができる。 その他請求項5と同様の効果を奏する。

    ベッド部の上側に上糸切断装置と上糸保持機構と上糸方向調節機構とを設け、上糸切断装置で切断された後に上糸保持機構で保持される上糸の糸端を保持する保持方向(上糸の引っ張り方向)を調節でき、ベッド部の内部に下糸切断装置と下糸保持機構と下糸方向調節機構とを設け、下糸切断装置で切断された後に下糸保持機構で保持される下糸の糸端を保持する保持方向(下糸の引っ張り方向)を調節できるようにしてある。

    図1に示すように、パターン縫いミシン1は、ミシン本体部であるベッド部2と、ベッド部2に連続する脚柱部3と、脚柱部3からベッド部2と平行に延びるアーム部4とをミシンテーブル13上に備えている。 ベッド部2の上面部に針板5(図7参照)と布押え装置15とが設けられている。

    布押え装置15は、縫製対象である加工布Wを布押え板16と送り板17とで保持しつつ、送り板17をX軸駆動モータ98により駆動されるX方向駆動機構(図示略)を介して主軸と直交する方向である左右方向(X方向)と、Y軸駆動モータ99により駆動されるY方向駆動機構(図示略)を介して主軸と平行方向である前後方向(Y方向)とに移動させるものである。 この布押え装置15は図2に示すように、針板5上を前後左右に移動可能な送り板17と、送り板17上に設けられた押え腕18と、その押え腕18の前端部に昇降可能に取付けられた矩形枠状の布押え板16等から構成されている。

    矩形枠状の布押え板(布保持枠)16は、常には圧縮コイルバネ19により付勢されて上昇しており、送り板17から離れた上側に位置している。 縫製に際して、アーム部4に取付けられた押えソレノイド20の駆動によって、圧縮コイルバネ19のバネに抗して押え腕18が回動付勢されたときには、布押え板16が送り板17に接触する位置まで下降して、送り板17との間に加工布Wを狭持しながら送り板17と同期して、X方向とY方向とに移動可能になっている。

    アーム部4には、前後方向向きに主軸(図示略)が配設され、上下に往復移動する針棒8と天秤6(図3参照)が設けられ、針棒8の下端には縫針9が装着されている。 針棒8の左側に押え棒11が上下動可能に設けられ、この押え棒11の下端部に、縫針9を挿通可能な円筒状の布押え12が固着されている。 上糸供給源である糸駒(図示略)から延びる上糸14は、糸調子器7と天秤6と複数の糸案内10を順々に経て、最終的に縫針9の目孔9aに糸通しされている。

    ベッド部2には、縫針9と協働して縫目を形成する垂直回転釜22(図3参照)が設けられている。 この垂直回転釜22は、下糸ボビン(図示略)を収容したボビンケース23を有する一般的な構造であり、その詳細な説明を省略する。 下糸ボビンから延びる下糸21はボビンケース23の部23aの糸案内孔23bを経て、糸案内板24と針板5を通ってベッド部2の上側に延びている。 これら縫針9を取付けた針棒8と天秤6と垂直回転釜22等から縫製手段が構成されている。

    図1に示すように、ミシンテーブル13の下側に、制御ボックス26が設けられている。 この制御ボックス26には、後述する制御装置90や加圧エア供給系の駆動部が内蔵されている。 ミシンテーブル13の下側には、縫製動作の開始/終了と、布押え板16の上昇動作と下降動作の切換え操作を行うためにペダル型の起動停止スイッチ27が配置されている。

    パターン縫いミシン1のアーム部4の前方左側近傍には、針板5の上方で加工布Wから縫針9の目孔9aに延びる上糸14を切断する上糸切断装置(上糸切断手段)30と、上糸14の糸端を保持する上糸保持機構31と、上糸保持機構31に上糸保持を解放させる上糸解放機構32と、上糸方向調節機構33が設けられている。

    先ず、上糸切断装置30について説明する。
    この上糸切断装置30は、第1可動刃(上糸用可動刃)40を含む上糸切り機構(上糸用糸切り機構)35と、この第1可動刃40を進退移動させる上側進退移動機構(上糸用進退移動手段)36と、これらの機構35,36を装着する第1本体フレーム37等を有している。

    上糸切り機構35は、所定長さを有する第1可動刃40と、第1固定刃41とを有し、第1本体フレーム37(上糸用案内部材)に装備されている。 第1本体フレーム37は、図4〜図6に示すように、底壁部37aと、側壁部37bと、先端壁部37c及び後端壁部37eとを一体に構成されている。 この先端壁部37cは、その殆どの部分において高さ方向寸法を小さくした保持壁部37dを有し、この保持壁部37dの下端部に、第1可動刃40を長さ方向にスライド可能に案内する案内溝37f(図6参照)が形成されている。

    第1可動刃40は、所定幅を有する板部材からなり、先端壁部37cの案内溝37fに案内されて、縫針9の直下で上糸14を引っ掛ける糸取り位置(図15参照)と、この糸取り位置から縫針9の目孔9aから針板5までの距離よりも長い所定距離離隔した糸切り位置(図3,図4参照)とに亙って進退移動可能になっている。 第1可動刃40の刃部40b(図6参照)は、第1可動刃40の先端部に形成されたフック部40aに形成されている。 第1固定刃41は、先端壁部37cの下側に固定螺子42により固定された幅広の固定部41aと、この固定部41aの先端側に幅狭く形成された傾斜状の刃部41b(図6参照)を有している。

    次に、上側進退移動機構36について説明する。
    図3〜図5に示すように、上側進退移動機構36は、第1可動刃40の後端部に連結された第1移動ブロック44と、この第1移動ブロック44を介して第1可動刃40を進退移動させる第1進退エアシリンダ45を有している。

    第1移動ブロック44は、図4,図5に示すように正面視ほぼL字形状であり、ブロック状の移動本体部44aと、この移動本体部44aから上方に突出した解放連結部44bとを有している。 第1移動ブロック44は、第1本体フレーム37の底壁部37aの上面をスライド可能である。 第1本体フレーム37の後端壁部37eの下側に第1進退エアシリンダ45(第1エアシリンダ)の前端部が固定されている。

    この第1進退エアシリンダ45から前方に延びるピストンロッド45aの先端部が移動本体部44aの後端部に連結されるとともに、移動本体部44aの前端部に第1可動刃40の後端部が連結されている。 この第1進退エアシリンダ45の直径は約10mmで、しかもこの進出ストロークは約60mmになっている。

    次に、上糸切り機構35により切断された上糸14の糸端14bを保持する上糸保持機構31について説明する。 ここで、上糸切断機構30と上糸保持機構31は、夫々パターン縫いミシン1のアーム部4の左側に配置されている。 それ故、作業者が上糸14を糸駒から縫針9に糸掛けする糸掛け作業は、パターン縫いミシン1の右側であるため、これら上糸切断機構30と上糸保持機構31により糸掛け作業を邪魔さることがなく、作業性がよい。

    図4,図5に示すように、上糸保持機構31は、第1本体フレーム37の保持壁部37dの上側に配置された第1保持バネ47と、この第1保持バネ47の保持力を調節する第1板バネ48及びこのバネ力を調節する調節螺子49等を有している。

    第1保持バネ47は、矩形状の弾性板部材からなり、後端部において固定螺子50で保持壁部37dの上側に固定されるとともに、段落ちした前端部において、第1可動刃40の前端部に上側から弾性付勢されている。 第1板バネ48は、第1保持バネ47の上側に重ねるように配置され、後端部において固定螺子50で保持壁部37dの上側に固定されるとともに、前端部で第1保持バネ47を下側に付勢している。 調節螺子49は、保持壁部37dに螺合され、直ぐ下側の第1板バネ48を第1保持バネ47に付勢させる付勢力、つまり第1可動刃40と第1保持バネ47との間で上糸14の端部を保持する保持力を調節可能になっている。

    次に、上糸保持機構31に上糸保持を解放させる上糸解放機構32について説明する。
    図4,図5に示すように、上糸解放機構32は、第1解放エアシリンダ53(上糸解放駆動手段の一部であり、第2エアシリンダ)と、第1移動ブロック44と、第1可動刃40等を有している。 第1本体フレーム37の後端壁部37eの上側に第1解放エアシリンダ53の前端部が固定されている。 この第1解放エアシリンダ53から前方に延びるピストンロッド53aの先端部が第1移動ブロック44の解放連結部44bに連結されている。 この第1解放エアシリンダ53の直径は約20mmで、しかもこの進出ストロークは約10mmになっている。

    このように、第1解放エアシリンダ53のストロークは第1進退エアシリンダ45のストロークよりも短く設定されている。 また、第1解放エアシリンダ53の直径が第1進退エアシリンダ45の直径よりも大きいため、同じエア圧力を供給した場合、第1解放エアシリンダ53の駆動力は第1進退エアシリンダ45の駆動力よりも強くなる。 それ故、第1進退エアシリンダ45のピストンロッド45aが後退駆動された状態で第1解放エアシリンダ53を進出駆動させることができる。

    つまり、第1可動刃40の先端部と第1保持バネ47とで上糸14の糸端14bを保持する上糸保持状態であっても、第1解放エアシリンダ53が進出駆動された場合、第1進退エアシリンダ45のピストンロッド45aは第1移動ブロック44と共に前進する。 すると、第1可動刃40が前方に約10mmだけ移動し、上糸保持機構31による糸端14bの上糸保持が解放される。

    次に、縫針9の目孔9aから延びる上糸14の引っ張り方向を調節する上糸方向調節機構(上糸用方向方向調節機構)33について説明する。
    図4〜図6に示すように、上糸方向調節機構33は、前述した第1本体フレーム37と、1対の円弧スリット(上糸用円弧スリット)55aが形成された第1張出し板(上糸用張出し板)55と、支持部材(上糸用支持部材)56等を有している。

    第1張出し板55は、平面視にて湾曲状に形成され、2つの円弧スリット55aを所定間隔おきに湾曲状に形成するとともに、後端から下方に曲げ形成された固定部55bを一体形成している。 第1本体フレーム37は側壁部37bを固定部55bに固定ボルト57で固着されている。 この場合、第1本体フレーム37は、固定部55bにより、先端壁部37c側を低く、つまり縫針9側ほど下がる傾斜状に配設されている。 パターン縫いミシン1の前端部に左右方向向きの支持部材56が固定ボルト56aで固着され、この支持部材56の左端部分に、第1張出し板55が1対の円弧スリット55aを介して固定ボルト58で位置調節可能に連結されている。

    即ち、図5,図7に示すように、第1本体フレーム37は、平面視にてX方向に対して時計回りに約13°傾いてパターン縫いミシン1に固定されている。 それ故、図7に示すように、第1本体フレーム37は、布押え装置15の布押え板16よりも後側で、しかも布押え装置15の押え腕18の前端部に左方から干渉しない範囲で上糸14の引っ張り方向を調節できるように構成されている。

    それ故、第1本体フレーム37の方向、つまり上糸14の引っ張り方向は、図7に示す時計回り限界方向から、図17に示すように、X方向に平行な反時計回り限界方向にまで調節可能になっている。 但し、第1本体フレーム37の向きを上糸方向調節機構33を介して調節する場合、第1本体フレーム37は湾曲状の1対の円弧スリット55aを介して必ず縫針9方向を向くようになっている。

    次に、図8〜図10に示すように、パターン縫いミシン1のベッド部2において、垂直回転釜22の左側近傍には、針板5の下方で加工布Wから垂直回転釜22に延びる下糸21を切断する下糸切断装置60(下糸切断手段)と、下糸21の糸端21bを保持する下糸保持機構61と、下糸保持機構61に下糸保持を解放させる下糸解放機構62と、下糸方向調節機構(下糸用方向調節手段)63が設けられている。

    先ず、下糸切断装置60について説明する。
    この下糸切断装置60は、第2可動刃(下糸用可動刃)70を含む下糸切り機構(下糸用糸切り機構)65と、この第2可動刃70を進退移動させる下側進退移動機構(下糸用進退移動手段)66と、これらの機構65,66を装着する第2本体フレーム67等を有している。

    下糸切り機構65は、所定長さを有する第2可動刃70と、第2固定刃71とを有し、第2本体フレーム(下糸用案内部材)67に装備されている。 第2本体フレーム67は、図8〜図10に示すように、底壁部67aと、側壁部67bと、先端壁部67c及び後端壁部67eとを一体に構成されている。 この先端壁部67cは、その殆どの部分において高さ方向寸法を小さくした保持壁部67dを有し、この保持壁部67dの上面に、第2可動刃70を長さ方向にスライド可能に案内する案内溝67f(図10参照)が形成されている。

    第2可動刃70は、所定幅を有する板部材からなり、先端壁部67cの案内溝67fに案内されて、針板5の下側で下糸21を引っ掛ける糸取り位置(図18参照)と、この糸取り位置から所定距離離隔した糸切り位置(図3,図8参照)とに亙って進退移動可能になっている。 第2可動刃70の刃部70b(図10参照)は、第2可動刃70の先端部に形成されたフック部70aに形成されている。 第2固定刃71は、先端壁部67cの上側に固定螺子72により固定された幅広の固定部71aと、この固定部71aの先端側に幅狭く形成された傾斜状の刃部71b(図10参照)を有している。

    次に、下側進退移動機構66について説明する。
    図3,図8〜図9に示すように、下側進退移動機構66は、第2可動刃70の後端部に連結された第2移動ブロック74と、この第2移動ブロック74を介して第2可動刃70を進退移動させる第2進退エアシリンダ75を有している。

    第2移動ブロック74は、図8,図9に示すように正面視ほぼL字形状であり、ブロック状の移動本体部74aと、この移動本体部74aから下方に突出した解放連結部74bとを有している。 第2移動ブロック74は、第2本体フレーム67の底壁部67aの上面をスライド可能になっている。 第2本体フレーム67の後端壁部67eの上側に第2進退エアシリンダ75の前端部が固定されている。 この第2進退エアシリンダ75から前方に延びるピストンロッド75aの先端部が移動本体部74aの後端部に連結されるとともに、移動本体部74aの前端部に第2可動刃70の後端部が連結されている。 この第2進退エアシリンダ75の直径は約10mmで、しかもこの進出ストロークは約60mmになっている。

    次に、下糸切り機構65により切断された下糸21の糸端21bを保持する下糸保持機構61について説明する。 ここで、下糸切断機構60と下糸保持機構61は、夫々パターン縫いミシン1の垂直回転釜22の左側に配置されている。
    図8,図9に示すように、下糸保持機構61は、第2本体フレーム67の保持壁部67dの下側に配置された第2保持バネ77と、この第2保持バネ77の保持力を調節する第2板バネ78及びこのバネ力を調節する調節螺子79等を有している。

    第2保持バネ77は、矩形状の弾性板部材からなり、後端部において固定螺子80で保持壁部67dの下側に固定されるとともに、段落ちした前端部において、第2可動刃70の前端部に下側から弾性付勢されている。 第2板バネ78は、第2保持バネ77の下側に重ねるように配置され、後端部において固定螺子80で保持壁部67dの下側に固定されるとともに、前端部で第2保持バネ77を上側に付勢している。 調節螺子79は、保持壁部67dに螺合され、直ぐ上側の第2板バネ78を第2保持バネ77に付勢させる付勢力、つまり第2可動刃70と第2保持バネ77との間で下糸21の端部を保持する保持力を調節可能になっている。

    次に、下糸保持機構61に下糸保持を解放させる下糸解放機構62について説明する。
    図8,図9に示すように、下糸解放機構62は、第2解放エアシリンダ83と、第2移動ブロック74と、第2可動刃70等を有している。 第2本体フレーム67の後端壁部67eの下側に第2解放エアシリンダ83の前端部が固定されている。 この第2解放エアシリンダ83から右方に延びるピストンロッド83aの先端部が第2移動ブロック74の解放連結部74bに連結されている。 この第2解放エアシリンダ83の直径は約20mmで、しかもこの進出ストロークは約10mmになっている。

    このように、第2解放エアシリンダ83のストロークは第2進退エアシリンダ75のストロークよりも短く設定されている。 また、第2解放エアシリンダ83の直径が第2進退エアシリンダ75の直径よりも大きいため、同じエア圧力を供給した場合、第2解放エアシリンダ83の駆動力は第2進退エアシリンダ75の駆動力よりも強くなる。 それ故、第2進退エアシリンダ75のピストンロッド75aが後退駆動された状態で第2解放エアシリンダ83を進出駆動させることができる。

    つまり、第2可動刃70の先端部と第2保持バネ77とで下糸21の糸端21bを保持する下糸保持状態であっても、第2解放エアシリンダ83が進出駆動された場合、第2進退エアシリンダ75のピストンロッド75aは第2移動ブロック74と共に前進する。 すると、第2可動刃70が前方に約10mmだけ移動し、下糸保持機構61による糸端21bの下糸保持が解放される。

    次に、垂直回転釜22のボビンケース23の糸案内孔23bから下糸保持機構61へ延びる下糸21の引っ張り方向を調節する為の下糸方向調節機構(下糸用方向調節機構)63について説明する。
    図8〜図10に示すように、下糸方向調節機構63は、前述した第2本体フレーム67と、1対の円弧スリット(下糸用円弧スリット)85aが形成された第2張出し板(下糸用張出し板)85と、固定ボルト86(下糸用締結部材)等を有している。

    第2張出し板85は、平面視にて湾曲状に形成され、2つの円弧スリット85aを所定間隔おきに形成するとともに、前端から下方に曲げ形成された固定部85bを一体形成している。 第2本体フレーム67は側壁部67bを固定部85bに固定ボルト87で固着されている。 この場合、第2本体フレーム67は、固定部85bにより、先端壁部67c側を高く、つまり縫針9側ほど上がる傾斜状に配設されている。 パターン縫いミシン1のベッド部2に、1対の円弧スリット85aを介して第2張出し板85が下側から固定ボルト86で固定されている。

    即ち、図9に示すように、第2本体フレーム67は、平面視にてX方向に対して反時計回りに約45°傾けてベッド部2の下面に固定されている。 それ故、図9に示すように、平面視において、下糸21の引っ張り方向を針板5の針落ち点5aからボビンケース23の糸案内孔23bへ向かう方向と同一方向に設定可能に構成されている。 このように、第2本体フレーム67の方向、つまり下糸21の引っ張り方向は、図9に示す反時計回り限界方向から、図20に示すように、X方向に対して約20°反時計回り限界方向にまで調節可能になっている。

    次に、このパターン縫いミシン1の制御系について説明する。
    図11に示すように、制御装置90は、CPU91とROM92とRAM93等を含むコンピュータから構成されている。 この制御装置90には、起動停止スイッチ94と、押え腕18を押え位置と押え解除位置とに切換える為の押えスイッチ95と、主軸の回転角度を検出する回転角度検出センサ96と、ミシンモータ97の為の駆動回路100と、押え腕18を押え位置に切換え可能な押えソレノイド20の為の駆動回路101と、X軸駆動モータ98の為の駆動回路102と、Y軸駆動モータ99の為の駆動回路103とが夫々接続されている。

    ROM92には、パターン縫いミシン1を制御する各種の制御プログラム、縫製する為の複数種類の縫製データ等が予め格納されている。 これら複数種類の縫製データの各々には、図12に示すように、第1針目から最終の第n針目の針落ち位置データに加えて、第2針目と第3針目の間に、下糸21を解放させる為の下糸解放指令コードと、上糸14を解放させる為の上糸解放指令コードとが夫々追加して予め記憶されている。 第n針目針落ちデータの次に、上糸14を切断する為の上糸切断指令コードと、下糸21を切断する為の下糸切断指令コードとが夫々追加して記憶されている。

    RAM93には、CPU91で演算した演算結果を一時的に格納するメモリ、ワークメモリ等、パターン模様を縫製処理したり、後述する布送り制御を実行するに際して必要なカウンタメモリやバッファが適宜設けられている。

    制御装置90には、更に、第1進退電磁切換え弁104と、第1解放電磁切換え弁105と、第2進退電磁切換え弁106と、第2解放電磁切換え弁107の為の駆動回路110〜113が夫々接続されている。 但し、これら第1,第2進退電磁切換え弁104,106と、第1,第2解放電磁切換え弁105,107は、排気絞り弁104A〜107A,104B〜107Bを夫々内蔵している。 先ず、第1,第2進退エアシリンダ45,75への加圧エア供給系について簡単に説明する。

    図13−1(図13−3)に示すように、第1進退エアシリンダ45(第2進退エアシリンダ75)は複動型であり、エア供給源115からの加圧エアが第1進退電磁切換え弁104(第2進退電磁切換え弁106)で切換えられる。 即ち、進出駆動時には、加圧エアは第1進退エアシリンダ45(第2進退エアシリンダ75)の進出側ポートに供給され、後退駆動時には加圧エアは第1進退エアシリンダ45(第2進退エアシリンダ75)の後退側ポートに供給される。

    但し、排気絞り弁104A(排気絞り弁106A)のエア通過量の方が、排気絞り弁104B(排気絞り弁106B)のエア通過量よりも大きく設定されている。 それ故、ピストンロッド45a(ピストンロッド75a)が進出駆動されて、第1可動刃40(第2可動刃70)が糸取り位置へ進出移動する速度もよも、ピストンロッド45a(ピストンロッド75a)が後退駆動されて、第1可動刃40(第2可動刃70)が糸切り位置へ復帰する復帰速度の方が遅くなる。

    図13−2(図13−4)に示すように、第1解放エアシリンダ53(第2解放エアシリンダ83)は複動型であり、エア供給源115からの加圧エアが第1解放電磁切換え弁53(第2解放電磁切換え弁83)で切換えられる。 即ち、進出駆動時には加圧エアは第1解放エアシリンダ53(第2解放エアシリンダ83)の進出側ポートに供給され、後退駆動時には加圧エアは第1解放エアシリンダ53(第2解放エアシリンダ83)の後退側ポートに供給される。

    但し、排気絞り弁105A(排気絞り弁107A)のエア通過量よりも、排気絞り弁105B(排気絞り弁107B)のエア通過量の方が大きく設定されている。 それ故、ピストンロッド53a(ピストンロッド83a)が進出駆動されて、第1可動刃40(第2可動刃70)が微小距離だけ糸取り位置側へ解放移動する解放速度の方が、ピストンロッド53a(ピストンロッド83a)が後退駆動されて、第1可動刃40(第2可動刃70)が糸切り位置へ復帰する復帰速度よりも遅くなる。

    即ち、上糸14(下糸21)の解放速度は、所定の低速度となるようにゆっくりになる。 特に、上糸14については、じわっと解放される。 所定の低速度は、送り速度に基づいて設定される。 上糸解放指令コードに基づいて、第1解放エアシリンダ53を駆動後、次の針目の縫いが終了するまで、第1可動刃40が徐々に移動する。 上糸14が解放されるのは、次の針目の縫いが終了した以降となる。

    次に、パターン縫いミシン1において、パターン縫いの縫製終了後に、上糸14が上糸切り機構35により切断されてから上糸保持機構31によりその糸端14bが保持されるのと同時に、下糸21が下糸切り機構65により切断されてから下糸保持機構61によりその糸端21bが保持される作用及び効果について、図12の縫製データと図14のタイミングチャートに基づいて説明する。

    図14において、最終縫目である第n針目の針落ち位置データによりパターン縫いが終了したT1の時点で、読み込んだ上糸切断指令コードに基づいて上糸切断装置30により上糸14(1点鎖線で図示)が切断され、上糸保持機構31により上糸14の糸端14bが保持されるとともに、続いてT2の時点で、次に読み込んだ下糸切断指令コードに基づいて下糸切断装置60により下糸21(2点鎖線で図示)が切断され、下糸保持機構61により下糸21の糸端21bが保持される。

    そこで、先ず、上糸14の切断及び上糸保持について説明する。
    図13−1で説明したように、T1の時点で、第1進退電磁切換え弁104により第1進退エアシリンダ45のピストンロッド45aが進出駆動され、第1可動刃40が図4に示す糸切り位置から図15に示す糸取り位置へ一気に進出移動する。 このとき、第1可動刃40のフック部40aが縫針9の直下に移動して、加工布Wから目孔9aに延びる上糸14がフック部40aに引っ掛かる。

    このとき、第1進退電磁切換え弁104により第1進退エアシリンダ45のピストンロッド45aが後退駆動され、第1可動刃40が時点T3において図4の糸切り位置へ一気に後退移動する。 このとき、フック部40aに形成された刃部40bと第1固定刃41の刃部41bとで上糸14が切断されるのと同時に、切断されて目孔9aに連なる上糸14の糸端14bが第1可動刃40と第1保持バネ47とで保持される。

    即ち、第1可動刃40は糸駒から上糸14を繰り出しながら糸取り位置から約50mm離れた糸切り位置で上糸14を切断するので、加工布Wに連なる上糸端部14aは約50mmになっている。 それ故、作業者は約50mmも長い上糸端部14aを指で掴み易くなり、加熱したコテを用いたほつれ防止作業が格段にし易くなる。

    次に、下糸21の切断及び下糸保持について説明する。
    図13−3で説明したように、T2の時点で、第2進退電磁切換え弁106により第2進退エアシリンダ75のピストンロッド75aが進出駆動され、第2可動刃70が図8に示す糸切り位置から図18に示す糸取り位置へ一気に進出移動する。 このとき、第2可動刃70のフック部70aが縫針9の直下に移動して、加工布Wから垂直回転釜22に延びる下糸21がフック部70aに引っ掛かる。

    このとき、第2進退電磁切換え弁106により第2進退エアシリンダ75のピストンロッド75aが後退駆動され、第2可動刃70が時点T4において図8の糸切り位置へ一気に後退移動する。 このとき、フック部70aに形成された刃部70bと第2固定刃71の刃部71bとで下糸21が切断されるのと同時に、切断されて垂直回転釜22に連なる下糸21の糸端21bが第2可動刃70と第2保持バネ77とで保持される。

    即ち、第2可動刃70は下糸21を繰り出しながら糸取り位置から約50mm離れた糸切り位置で下糸21を切断するので、加工布Wに連なる下糸端部21aの長さは約50mmになっている。 それ故、作業者は約50mmも長い下糸端部21aを指で掴み易くなり、加熱したコテを用いたほつれ防止作業が格段にし易くなる。

    次に、パターン縫いミシン1において、パターン縫いの縫製開始時に、保持状態の上糸14が上糸解放機構32により解放されるのと同時に、保持状態の下糸21が下糸解放機構62により解放される作用及び効果について、図12の縫製データと図14のタイミングチャートに基づいて説明する。

    図12に示す縫製データに基づいて縫製が開始された直後、第1,第2針目の針落ちデータの次に下糸解放指令コードが読み込まれ、図14において、先ず、T11の時点で、下糸解放機構62により下糸21の糸端21bが解放される。 続いて、上糸解放指令コードが読み込まれ、T12の時点で、上糸解放機構32により上糸14の糸端14bが解放される。

    そこで、先ず、下糸保持の解放動作について説明する。
    図13−4で説明したように、T11の時点で、第2解放電磁切換え弁107により第2解放エアシリンダ83のピストンロッド83aが、第2進退エアシリンダ75の後退駆動力に打ち勝って解放駆動され、第2可動刃70が図8に示す糸切り位置から図19に示す糸解放位置へ一気に解放移動する。 このとき、第2可動刃70と第2保持バネ77とで保持されていた下糸21の糸端21bが解放される。

    次に、上糸保持の解放動作について説明する。
    その後、図13−2で説明したように、T12の時点で、第1解放電磁切換え弁105により第1解放エアシリンダ53のピストンロッド53aが、第1進退エアシリンダ45の後退駆動力に打ち勝って解放駆動され、第1可動刃40が図4に示す糸切り位置から図16に示す糸解放位置へ一気に解放移動する。 このとき、第1可動刃40と第1保持バネ47とで保持されていた上糸14の糸端14bが解放される。

    このパターン縫いミシン1には、上糸方向調節機構33を装備しているので、第1本体フレーム37の方向であって、上糸14の引っ張り方向は、図7に示す時計回り限界方向から、図17に示すX方向に平行な反時計回り限界方向の範囲内で調節可能になっている。 そこで、パターン縫いを行なうに際して、糸端保持状態の上糸14の引っ張り方向がパターン縫い開始時の縫製方向と異なるように、上糸方向調節機構33を介して上糸14の引っ張り方向を変更することができるので、パターン縫いの開始時に上糸解放機構32により解放された上糸14の糸端部14bが縫い込まれることがない。

    同様に、このパターン縫いミシン1には、下糸方向調節機構63を装備しているので、第2本体フレーム67の方向であって、下糸21の引っ張り方向は、図9に示すX方向に対する約45°の反時計回り限界方向から、図20に示すX方向に対する約20°の反時計回り限界方向の範囲内で調節可能になっている。 そこで、図9に示すように、下糸21の引っ張り方向を針落ち点5aからボビンケース23の糸案内孔23bへ向かう方向と同一方向に設定することができるので、パターン縫いの開始時に下糸解放機構62により解放された下糸21の糸端部21bが縫い込まれることがない。

    また、上糸切断機構30と上糸保持機構31は、パターン縫いミシン1のアーム部4の左側に配置されたので、作業者が上糸14を糸駒から縫針9に糸掛けする糸掛け作業は、パターン縫いミシン1の右側であるため、これら上糸切断機構30と上糸保持機構31により、糸掛け作業を邪魔さることがなく、作業性がよい。

    また、上糸方向調節機構33は、第1本体フレーム37が、加工布Wを押える布押え装置15と干渉しない範囲で上糸14の引っ張り方向を調節するように構成されたので、上糸進退移動機構33と上糸保持機構31の引っ張り方向を、布押え装置15との干渉を回避しながら調節することができる。

    また、下糸方向調節機構63は、下糸切り機構65の第2可動刃70を案内する第2本体フレーム67と、この第2本体フレーム67から延びた水平な第2張出し板85と、この第2張出し板85に形成された少なくとも1つの円弧スリット85aと、ベッド部2に固定され円弧スリット85aを介して第2張出し板85に連結される固定ボルト86を有するので、第2張出し板85の円弧スリット85aを介して、第2本体フレーム67の方向を容易に且つ迅速に調節することができる。

    次に、前記実施例を部分的に変更した変更形態について説明する。
    1)本実施例では、パターン縫いミシンについて説明したが、上糸切断装置及び下糸切断装置を備えた本縫いミシン等、種々のミシンに本発明を適用し得ることは勿論である。

    本発明の実施例に係るパターン縫いミシンの斜視図である。

    パターン縫いミシンの要部拡大部分斜視図である。

    パターン縫いミシンの部分正面図である。

    パターン縫いミシンの要部拡大正面図である。

    上糸切断装置と上糸保持機構と上糸解放機構の平面図である。

    第1本体フレームの部分底面図である。

    パターン縫いミシンのベッド部の要部部分平面図である。

    パターン縫いミシンのベッド部内部の正面図である。

    パターン縫いミシンのベッド部内部の底面図である。

    第2本体フレームの部分底面図である。

    パターン縫いミシンの制御系のブロック図である。

    縫製データのデータ構成を説明する図表である。

    第1進退エアシリンダに対するエア供給系の回路図である。

    第1解放エアシリンダに対するエア供給系の回路図である。

    第2進退エアシリンダに対するエア供給系の回路図である。

    第2解放エアシリンダに対するエア供給系の回路図である。

    上糸と下糸の切断及び解放のタイムチャートである。

    上糸切断装置による糸取り状態における図4相当図である。

    上糸解放状態における図4相当図である。

    上糸の引っ張り方向が異なる図5相当図である。

    上糸切断装置による糸取り状態における図8相当図である。

    下糸解放状態における図8相当図である。

    下糸の引っ張り方向が異なる図9相当図である。

    符号の説明

    1 パターン縫いミシン4 アーム部5 針板8 針棒9 縫針9a 目孔14 上糸15 布押え装置18 押え腕21 下糸22 垂直回転釜23 ボビンケース23b 糸案内孔30 上糸切断機構(上糸切断手段)
    31 上糸保持機構33 上糸方向調節機構(上糸用方向調節機構)
    35 上糸切り機構(上糸用糸切り機構)
    36 上側進退移動機構(上糸用進退移動手段)
    37 第1本体フレーム(上糸用案内部材)
    40 第1可動刃(上糸用可動刃)
    45 第1進退エアシリンダ53 第1解放エアシリンダ55 第1張出し板(上糸用張出し板)
    55a 円弧スリット(上糸用円弧スリット)
    56 支持部材(上糸用支持部材)
    60 下糸切断機構(下糸切断手段)
    61 下糸保持機構63 下糸方向調節機構(下糸用方向調節機構)
    65 下糸切り機構(下糸用糸切り機構)
    66 下側進退移動機構(下糸用進退移動手段)
    67 第2本体フレーム(下糸用案内部材)
    70 第2可動刃(下糸用可動刃)
    75 第2進退エアシリンダ83 第2解放エアシリンダ85 第2張出し板(下糸用張出し板)
    85a 円弧スリット(下糸用円弧スリット)
    86 固定ボルト(下糸用締結部材)
    90 制御装置92 ROM

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