Sewing machine

申请号 JP2004339074 申请日 2004-11-24 公开(公告)号 JP2006141869A 公开(公告)日 2006-06-08
申请人 Brother Ind Ltd; ブラザー工業株式会社; 发明人 TERAO AKIRA; NAKAGAWA YOKO; HIROSE HIROKAZU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To reduce the operating physical force of a presser foot lifting lever for the manual operation to improve the maneuverability when the thread is stretched and to enable the reduction of the number of component parts of an opening and closing drive mechanism which opens and closes a shielding member. SOLUTION: A sewing machine is equipped with a presser foot lifting detection switch to detect the presser foot lifting operation by the presser foot lifting lever, the shielding member which can move between a close position to close at least a part of a thread guiding groove and an open position to open the same and moves to the close position when a presser foot is in a descending situation, and a thread tension motor to drive the shielding member at least from the close position to the open position, wherein when the presser foot lifting detection switch is 'ON', the presser foot lifting operation by the presser foot lifting lever is detected and the presser foot 12 is in an ascending position (S11: No), a thread tension device 30 is left open, an auxiliary threat tension mechanism 22 is left open and the shielding member 70 is driven to the open position by the drive of the thread tension motor 32 (S18). COPYRIGHT: (C)2006,JPO&NCIPI
权利要求
  • 下降状態において布を押える押え足と、その押え足を上げるために操作される押え上げレバーと、上糸の糸調子を糸調子器により調節可能な糸調子機構であって、前記押え上げレバーによる押え上げ操作に基づき前記糸調子器を開放する糸調子機構と、糸掛けの際に糸供給源から引き出された上糸を少なくとも前記糸調子機構に案内する糸案内溝とを備えたミシンにおいて、
    前記押え上げレバーによる押え上げ操作を検出する検出手段と、
    前記糸案内溝の少なくとも一部を遮蔽する閉位置と開放する開位置との間を移動可能で、前記押え足が下降状態のとき閉位置となる遮蔽部材と、
    前記遮蔽部材を少なくとも閉位置から開位置へ駆動するためのアクチュエータと、
    前記検出手段が前記押え上げ操作を検出したとき、前記遮蔽部材を開位置へ駆動するように前記アクチュエータを駆動制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするミシン。
  • 前記糸調子機構と前記アクチュエータとが連結され、
    前記制御手段は、前記糸調子器により上糸に付与される張力を所望の張力とするように前記アクチュエータを駆動制御するとともに、前記検出手段が押え上げ操作を検出したときに前記糸調子器を開放するように前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  • 前記糸調子器と糸供給源との間に配設され、上糸に補助的な張力を付与する補助糸調子機構を備え、
    前記制御手段は、前記検出手段により押え上げ操作が検出されたときに、前記糸調子器とともに前記補助糸調子機構を開放するように前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
  • 前記糸案内溝に沿った糸掛け操作の準備を指令する為の準備指令手段を備え、
    前記制御手段は、前記準備指令手段が操作されたとき、前記検出手段により前記押え上げレバーによる押え上げ操作が検出されていない場合には、前記遮蔽部材を前記開位置へ駆動するとともに、前記糸調子器を開放するように前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシン。
  • 前記検出手段は、前記押え上げレバーの操作による押え下げ操作をも検出可能に構成され、
    前記アクチュエータは、前記遮蔽部材の前記開位置への駆動に加え、前記検出手段による押え上げレバーの押え下げ操作の検出に基づき、前記閉位置への駆動を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のミシン。
  • 縫針の目孔に糸通しする糸通し機構と、この糸通し機構を作動させる糸通しレバーと、この糸通しレバーの操作を検出する糸通しレバー検出手段とを更に備え、
    前記制御手段は、前記糸通しレバー検出手段により糸通しレバーの操作が検出されたとき、前記遮蔽部材を前記閉位置へ駆動するとともに、前記糸調子器を所定の糸調子とするように前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項5に記載のミシン。
  • 刺繍枠に保持された加工布に刺繍縫目を形成する縫目形成手段と、前記刺繍枠を移動駆動する枠駆動手段と、刺繍データに基づいて刺繍模様を縫製するように前記縫目形成手段と枠駆動手段を駆動制御する縫製制御手段と、糸掛け操作の際に糸供給源から引き出された上糸を所定の糸道に案内する糸案内溝とを備えたミシンにおいて、
    前記糸案内溝の少なくとも一部を遮蔽する閉位置と開放する開位置との間を移動可能で、縫目形成状態のとき閉位置となる遮蔽部材と、
    前記遮蔽部材を少なくとも閉位置から開位置へ駆動するためのアクチュエータと、
    前記縫製制御手段による刺繍模様の刺繍縫いが終了したとき、前記遮蔽部材を前記開位置へ駆動するように前記アクチュエータを制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とするミシン。
  • 前記刺繍データは、複数の刺繍模様部に区分されており、
    前記制御手段は各刺繍模様部の刺繍縫いが終了するその都度前記遮蔽部材を前記開位置へ駆動するように前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項7に記載のミシン。
  • 前記アクチュエータと連結され且つ上糸の糸調子を糸調子器により調節可能な糸調子機構を更に備え、
    前記制御手段は、前記各刺繍模様部の刺繍縫い終了毎に、前記糸調子器を開放するように前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項8に記載のミシン。
  • 前記縫目形成手段による縫製に供した糸を切断する糸切り手段を備え、
    前記制御手段は、前記各刺繍模様部の刺繍縫いの終了時に実行される前記糸切り手段による糸切断完了後に、前記アクチュエータを駆動制御する請求項8又は9に記載のミシン。
  • 前記糸案内溝は、前記糸調子器に加え、その糸調子器の下流側に配設された天秤及び糸取りバネに上糸を案内するように形成され、
    前記遮蔽部材は、前記閉位置において前記天秤上方に対応する糸案内溝の一部を遮蔽するように配設されたことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のミシン。
  • 说明书全文

    本発明は、糸供給源(糸駒)から引き出される上糸を糸案内溝に沿って、糸調子機構の糸調子器や天秤等を経て縫針まで糸掛けする際に、特に糸調子器への糸掛けミスを防止するようにしたものに関する。

    従来、1対の糸調子皿からなる糸調子器を開閉する糸調子機構を備えたミシンにおいては、糸調子機構の糸調子器に上糸掛けを行う際には、作業者は押え上げレバーを上げ操作し、糸調子器を開放状態にして、両糸調子皿の間に上糸を掛けるようにしている。 即ち、押え上げレバーと糸調子機構とがリンク等により連結されており、押え上げレバーを下げた状態では糸調子器は閉じているので、上糸を両糸調子皿間に掛けることができず、押え上げレバーを必ず押え上げ操作して糸調子器を開放してから上糸を掛けていた。

    例えば、特許文献1に記載の糸掛けミス防止装置は、押え足を上下動させる押え上げレバーに連動させて、上糸調子機構を開閉するとともに、押え上げレバーの押え上げ操作に連動させてカムや連結部材や取付け部材を介してガイド板を、天秤糸掛け口を開口状態又は閉鎖状態に切換えるように揺動可能に構成されている。

    それ故、作業者により、押え上げレバーが上げ操作された場合、糸調子器を開放し且つ天秤糸掛け口をガイド板により開放状態に切換え、上糸を糸調子器及び天秤に糸掛けできるが、押え上げレバーが下げ操作された場合、糸調子器を閉じ状態に且つ天秤糸掛け口をガイド板により遮蔽状態に切換え、上糸を糸調子器や天秤に糸掛けできないようになっている。

    実用登録第2588723号公報 (第2〜3頁、図2,図3)

    前述したように、特許文献1においては、押え上げレバーを、カムや連結部材や取付け部材を介して上糸調子機構とガイド板に連結し、更に、ガイド板は引きバネにより天秤糸掛け口を塞ぐ遮蔽方向に付勢されているため、糸掛けに際して、作業者が押え上げレバーを上げ操作する場合、押え足を上昇させる操作に加えて、引きバネのバネ力に抗して連結部材や取付け部材を移動操作するため、操作荷重が大きくなり、操作性が非常に悪いという問題がある。

    更に、ガイド板を開閉させるために、カムや連結部材や取付け部材等の複数の部材を設けるため、部品点数が多くなること、等の問題がある。

    請求項1のミシンは、下降状態において布を押える押え足と、その押え足を上げるために操作される押え上げレバーと、上糸の糸調子を糸調子器により調節可能な糸調子機構であって、押え上げレバーによる押え上げ操作に基づき糸調子器を開放する糸調子機構と、糸掛けの際に糸供給源から引き出された上糸を少なくとも糸調子機構に案内する糸案内溝とを備えたミシンにおいて、押え上げレバーによる押え上げ操作を検出する検出手段と、糸案内溝の少なくとも一部を遮蔽する閉位置と開放する開位置との間を移動可能で、押え足が下降状態のとき閉位置となる遮蔽部材と、遮蔽部材を少なくとも閉位置から開位置へ駆動するためのアクチュエータと、検出手段が押え上げ操作を検出したとき、遮蔽部材を開位置へ駆動するようにアクチュエータを駆動制御する制御手段とを備えたものである。

    縫製中であって押え足が下降状態のときには、遮蔽部材は閉位置に移動されて、糸案内溝の少なくとも一部が遮断されている。 しかし、縫製の終了に伴って押え上げレバーを手動で押え上げ操作したとき、検出手段によりその押え上げ操作が検出されると、アクチュエータが駆動制御されるので、遮蔽部材が閉位置から開位置へ駆動される。

    その結果、糸案内溝が遮蔽状態から開放状態に切換えられ、糸供給源から引き出された上糸を遮蔽部材で何ら遮蔽されることなく糸案内溝を介して糸調子機構に案内することで、少なくとも糸調子機構の糸調子器への糸掛けが可能になる。

    請求項2のミシンは、請求項1の発明において、前記糸調子機構とアクチュエータとが連結され、制御手段は、糸調子器により上糸に付与される張力を所望の張力とするようにアクチュエータを駆動制御するとともに、検出手段が押え上げ操作を検出したときに糸調子器を開放するようにアクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項3のミシンは、請求項1又は2の発明において、前記糸調子器と糸供給源との間に配設され、上糸に補助的な張力を付与する補助糸調子機構を備え、制御手段は、検出手段により押え上げ操作が検出されたときに、糸調子器とともに補助糸調子機構を開放するようにアクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項4のミシンは、請求項1〜3の何れかの発明において、前記糸案内溝に沿った糸掛け操作の準備を指令する為の準備指令手段を備え、制御手段は、準備指令手段が操作されたとき、検出手段により押え上げレバーによる押え上げ操作が検出されていない場合には、遮蔽部材を開位置へ駆動するとともに、糸調子器を開放するようにアクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項5のミシンは、請求項1〜4の何れかの発明において、前記検出手段は、押え上げレバーの操作による押え下げ操作をも検出可能に構成され、アクチュエータは、遮蔽部材の前記開位置への駆動に加え、検出手段による押え上げレバーの押え下げ操作の検出に基づき、閉位置への駆動を行うものである。

    請求項6のミシンは、請求項5の発明において、縫針の目孔に糸通しする糸通し機構と、この糸通し機構を作動させる糸通しレバーと、この糸通しレバーの操作を検出する糸通しレバー検出手段とを更に備え、制御手段は、糸通しレバー検出手段により糸通しレバーの操作が検出されたとき、遮蔽部材を閉位置へ駆動するとともに、糸調子器を所定の糸調子とするようにアクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項7のミシンは、刺繍枠に保持された加工布に刺繍縫目を形成する縫目形成手段と、刺繍枠を移動駆動する枠駆動手段と、刺繍データに基づいて刺繍模様を縫製するように縫目形成手段と枠駆動手段を駆動制御する縫製制御手段と、糸掛け操作の際に糸供給源から引き出された上糸を所定の糸道に案内する糸案内溝とを備えたミシンにおいて、糸案内溝の少なくとも一部を遮蔽する閉位置と開放する開位置との間を移動可能で、縫目形成状態のとき閉位置となる遮蔽部材と、遮蔽部材を少なくとも閉位置から開位置へ駆動するためのアクチュエータと、縫製制御手段による刺繍模様の刺繍縫いが終了したとき、遮蔽部材を開位置へ移動するようにアクチュエータを制御する制御手段とを備えたものである。

    刺繍枠に保持された加工布に刺繍縫目を形成している縫目形成状態のときには、遮蔽部材は閉位置に移動駆動されているため、糸案内溝の少なくとも一部が遮断されている。 しかし、刺繍模様の刺繍縫いが終了したとき、アクチュエータが駆動制御されるので、遮蔽部材が開位置へ駆動される。

    その結果、糸案内溝が遮蔽状態から開放状態に切換えられ、糸供給源から引き出された上糸を遮蔽部材で何ら遮蔽されることなく糸案内溝を介して糸調子機構に案内することで、少なくとも糸調子機構の糸調子器への糸掛けが可能になる。

    請求項8のミシンは、請求項7の発明において、前記刺繍データは、複数の刺繍模様部に区分されており、制御手段は各刺繍模様部の刺繍縫いが終了するその都度遮蔽部材を開位置へ駆動するようにアクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項9のミシンは、請求項8の発明において、前記アクチュエータと連結され且つ上糸の糸調子を糸調子器により調節可能な糸調子機構を更に備え、制御手段は、各刺繍模様部の刺繍縫い終了毎に、糸調子器を開放するようにアクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項10のミシンは、請求項8又は9の発明において、前記縫目形成手段による縫製に供した糸を切断する糸切り手段を備え、制御手段は、各刺繍模様部の刺繍縫いの終了時に実行される糸切り手段による糸切断完了後に、アクチュエータを駆動制御するものである。

    請求項11のミシンは、請求項1〜10の何れかの発明において、前記糸案内溝は、糸調子器に加え、その糸調子器の下流側に配設された天秤及び糸取りバネに上糸を案内するように形成され、遮蔽部材は、閉位置において天秤上方に対応する糸案内溝の一部を遮蔽するように配設されたものである。

    請求項1の発明によれば、押え足と押え上げレバーと糸調子機構と糸案内溝とを備えたミシンにおいて、検出手段と、遮蔽部材と、アクチュエータと、制御手段とを備えたので、縫製の終了時に押え上げレバーを手動で押え上げ操作する場合、その押え上げ操作の検出によりアクチュエータが駆動制御されて遮蔽部材が閉位置から開位置へ駆動されるため、押え上げレバーを押え上げ操作するときの操作荷重が格段に小さくなり、操作性を向上させることができる。

    更に、遮蔽部材の開位置への駆動をアクチュエータの作動に連動させてあるため、押え上げレバーに、カムや連結部材や取付け部材等の複数の部材を連結させる必要がなく、遮蔽部材を開位置へ駆動させる開閉駆動機構のための部品点数を格段に減少させることができ、開閉駆動機構の低コスト化を図ることができる。

    請求項2の発明によれば、前記糸調子機構とアクチュエータとが連結され、制御手段は、糸調子器により上糸に付与される張力を所望の張力とするようにアクチュエータを駆動制御するとともに、検出手段が押え上げ操作を検出したときに糸調子器を開放するようにアクチュエータを駆動制御するので、縫製中においては押え上げレバーが押え上げ操作されないため、糸調子器を介して上糸には縫製に最適な張力が適宜付与されるため、安定状態で縫製処理することができる。

    一方、縫製終了時に押え上げレバーを押え上げ操作して糸替えする際に、糸調子器が開放されるので、糸替えした上糸を既に開放された糸調子器に直ぐに糸掛けすることができ、糸掛け操作の操作性を高めることができる。 また、アクチュエータを、遮蔽部材の駆動のみではなく、糸調子器の駆動制御の為の駆動源として用いることにより、遮蔽部材と糸調子器とに専用の駆動源を設ける必要がなく、関連駆動機構の為の部品点数を減少させ、低コスト化を図ることができる。 その他請求項1と同様の効果を奏する。

    請求項3の発明によれば、前記糸調子器と糸供給源との間に配設され、上糸に補助的な張力を付与する補助糸調子機構を備え、制御手段は、検出手段により押え上げ操作が検出されたときに、糸調子器とともに補助糸調子機構を開放するようにアクチュエータを駆動制御するので、押え上げ操作時に、糸調子器を開放させるだけでなく、補助糸調子機構の開放状態への切換えを同時に行うことができ、補助糸調子機構への糸掛けが可能になる。 その他請求項1又は2と同様の効果を奏する。

    請求項4の発明によれば、前記糸案内溝に沿った糸掛け操作の準備を指令する為の準備指令手段を備え、制御手段は、準備指令手段が操作されたとき、検出手段により押え上げレバーによる押え上げ操作が検出されていない場合には、遮蔽部材を開位置へ駆動するとともに、糸調子器を開放するようにアクチュエータを駆動制御するので、押え足が下降状態であっても、準備指令手段からの糸掛け準備指令に基づいて、アクチュエータの駆動制御により、遮蔽部材の開位置への移動駆動と糸調子器の開放が同時に行われ、糸掛け操作の操作性を高めることができる。 その他請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏する。

    請求項5の発明によれば、前記アクチュエータは、遮蔽部材の開位置への駆動に加え、検出手段による押え上げレバーの押え下げ操作の検出に基づき、閉位置への駆動も行うので、糸調子器や天秤等への糸掛け終了後、縫製を開始する際には、押え上げ状態となっている押え上げレバーを操作して押え足を下降状態に切換えることに基づいて、アクチュエータにより遮蔽部材を閉位置に移動させることができる。 その他請求項1〜4の何れかと同様の効果を奏する。

    請求項6の発明によれば、縫針の目孔に糸通しする糸通し機構と、この糸通し機構を作動させる糸通しレバーと、この糸通しレバーの操作を検出する糸通しレバー検出手段とを更に備え、制御手段は、糸通しレバー検出手段により糸通しレバーの操作が検出されたとき、遮蔽部材を閉位置へ駆動するとともに、糸調子器を所定の糸調子とするようにアクチュエータを駆動制御するので、上糸を糸掛けしてから糸通しレバーを操作して糸通しを行う際に遮蔽部材が閉位置へ駆動され、しかも糸調子器は上糸を糸掛けした状態で閉じることで、糸調子器から糸通し機構に至る上糸に所定の張力を発生でき、糸通し機構による縫針の目孔への糸通しを円滑に行うことができるとともに、糸通し完了後、直ちに縫製を開始することができる。 その他請求項5と同様の効果を奏する。

    請求項7の発明によれば、縫目形成手段と枠駆動手段と縫製制御手段と糸案内溝とを備えたミシンにおいて、遮蔽部材と、アクチュエータと、制御手段とを設けたので、刺繍模様の刺繍縫いの終了時にアクチュエータが駆動制御されて遮蔽部材が自動的に開位置へ駆動されるため、次の刺繍模様の縫製を行う際の糸替え操作の操作性を向上させることができる。

    即ち、遮蔽部材の開位置への駆動を押え上げレバーの押え上げ操作に連動させるのではなく、刺繍模様の刺繍縫い終了時にアクチュエータを駆動して自動的に開位置へ駆動するようにしたので、刺繍ミシンの使用者は、縫製中の刺繍模様の縫製終了時に次の刺繍模様の縫製を開始する際には、押え上げレバーを操作して遮蔽部材を開位置へ移動させるといった手間を要することなく、次の刺繍模様を縫製する為の糸替え操作を容易に行うことがてきる。

    請求項8の発明によれば、複数の刺繍模様部に区分されており、制御手段は各刺繍模様部の刺繍縫いが終了するその都度遮蔽部材を開位置へ駆動するようにアクチュエータを駆動制御するので、刺繍模様部毎の刺繍縫いの終了時に、アクチュエータが制御されて遮蔽部材が開位置へ駆動されるため、糸替え操作の操作性を高めることができる。 その他請求項7と同様の効果を奏する。

    請求項9の発明によれば、前記アクチュエータと連結され且つ上糸の糸調子を糸調子器により調節可能な糸調子機構を更に備え、制御手段は、各刺繍模様部の刺繍縫い終了毎に、糸調子器を開放するようにアクチュエータを駆動制御するので、刺繍模様部毎の刺繍縫いの終了時に糸替えする際に、アクチュエータにより糸調子器が開放されるので、糸替えした上糸を既に開放された糸調子器に直ぐに糸掛けすることができ、糸掛け操作の操作性を高めることができる。 また、アクチュエータを、遮蔽部材の駆動のみではなく、糸調子器の駆動制御の為の駆動源として用いることにより、遮蔽部材と糸調子器とに専用の駆動源を設ける必要がなく、関連駆動機構の為の部品点数を減少させ、低コスト化を図ることができる。 その他請求項8と同様の効果を奏する。

    請求項10の発明によれば、前記縫目形成手段による縫製に供した糸を切断する糸切り手段を備え、制御手段は、各刺繍模様部の刺繍縫いの終了時に実行される糸切り手段による糸切断完了後に、アクチュエータを駆動制御するので、糸切断されて刺繍縫いが終了する毎に、アクチュエータにより遮蔽部材が開位置へ駆動され、糸調子器が開放されるため、糸替え操作の操作性を高めることができる。 その他請求項8又は9と同様の効果を奏する。

    請求項11の発明によれば、前記糸案内溝は、糸調子器に加え、その糸調子器の下流側に配設された天秤及び糸取りバネに上糸を案内するように形成され、遮蔽部材は、閉位置において天秤上方に対応する糸案内溝の一部を遮蔽するように配設されたので、糸掛けに際して、例えば、押え足が下降状態のときや使用者が刺繍模様の縫製途中でミシンを停止させたときのように、糸調子器が糸掛けに不適切な状態である場合には、天秤上方に対応する糸案内溝の一部が遮蔽されているため、上糸を糸案内溝に沿わせて案内させようとしても、遮蔽部材により天秤や糸取りバネに案内できず、糸掛け可能な状態でないことを容易に且つ確実に見分けることができる。 その他請求項1〜10の何れかと同様の効果を奏する。

    本実施例の電子ミシンは、押え足を上げる押え上げレバーの押え上げ操作時と、刺繍模様を構成する複数の刺繍模様部の縫製終了時に、糸調子機構の糸調子器の押圧力(糸張力)の大きさを変更する糸調子モータを駆動源として、糸案内溝の一部を遮断する遮蔽部材を開位置へ切換え駆動できるようにしてある。

    以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
    図1に示すように、電子ミシンMは、ベッド部1と、ベッド部1の右側部分に立設された脚柱部2と、ベッド部1と対向するように脚柱部2の上部から左方へ延びるアーム部3と、アーム部3の左部に設けられた頭部4とを有する。 ベッド部1には針板5が設けられ、針板5の下側に糸切り機構85(図示略)と回転釜(図示略)等が設けられ、その回転釜に下糸が巻かれたボビンが着脱自在に装着される。 脚柱部2の前面には、大型で縦向きの液晶ディスプレイ6が設けられている。

    アーム部3には、その上部側を覆う開閉カバー15が開閉可能に取り付けられている。 この開閉カバー15はアーム部3の左右全長に亙って設けられ、アーム部3の上側後端部に左右方向向きの軸回りに開閉可能に枢支されている。 頭部4の右側において、アーム部3の上部の第1カバー部16aに糸駒収容部16gが形成され、その糸駒収容部16gに糸立棒(図示略)が配設されている。

    糸供給源である糸駒7が横向き姿勢で糸立棒に装着され、この糸駒7から引き出される上糸8が、後述する糸案内溝17により糸調子機構20、糸取りバネ21、天秤19等の複数の糸掛け部を順々に経由して、最終的に針棒9の下端部に装着された縫針10の目孔に供給される。 ここで、これら縫針10を取付けた針棒9と、回転釜等により縫目形成手段が構成されている)

    図1〜図2に示すように、アーム部3の上部を覆うミシンカバー16は、第1カバー部16a、第2カバー部16b等が設けられ、アーム部3の下前部の大部分を覆うフロントカバー部16c、所定幅を有する縦長の第1カバー部材16d及び第2カバー部材16e等、複数に分割されたカバー部を有し、頭部4の大部分には、大型の面板16fが設けられている。 尚、第1カバー部16aに糸駒収容部16gが形成されている。

    また、天秤19の前方及び上方を覆う第2カバー部材16eの上部には、透明窓部16wが設けられ、糸掛け位置に位置する天秤19及びその天秤19に掛けられた上糸8を視認可能になっており、作業者が天秤19に上糸8が糸掛けされているか否かを、透明窓部16wを通して容易に確認できるように構成されている。

    ところで、ミシンカバー16には、上糸8を糸掛けする為の糸案内溝(糸導入部)17が形成されている。 即ち、第1カバー部16aとその左側の第2カバー部16bとの間に左向きの第1糸案内溝17aが形成され、第2カバー部16bとその左側の第1カバー部材16dとの間に、第1糸案内溝17aに連なる下向きの第2糸案内溝17bが形成され、第1カバー部材16dとその左側の第2カバー部材16eとの間に、第2糸案内溝17bに連なる上向きの第3糸案内溝17cが形成され、第2カバー部材16eとその左側の面板16fとの間に、第3糸案内溝17cに連なる下向きの第4糸案内溝17dが形成されている。

    そこで、電子ミシンMによる縫製途中で上糸8が切れた場合や、糸駒7を交換した場合には、作業者が手動操作にて、天秤19や後述する糸調子機構20糸取りバネ21に対する上糸掛け操作を行う。 この上糸掛け操作に際して、作業者は糸駒7から引き出した上糸8を、左向きの第1糸案内溝17a→下向きの第2糸案内溝17b→上向きの第3糸案内溝17c→下向きの第4糸案内溝17dの順に挿入する。

    次に、縫針10に接近して設けられた針棒糸案内(図示略)及び図示しない糸通し機構による縫針10の目孔への糸通しを準備する為の糸掛け部材(図示略)に上糸8を掛けた後、上糸端部を面板16fの下端部に設けたカッター18で切断し、切断された上糸端部をカッター18の近傍に設けられた糸端保持部(図示略)に保持させることにより、糸調子機構20や天秤19等への上糸8の糸掛け操作及び縫針10の目孔への糸通し準備作業が終了する。

    その後、糸通しレバー24を操作して図示しない糸通し機構を作動させることにより、縫針10の目孔への糸通しが行われ、電子ミシンMによる縫製が可能な状態となる。

    図1〜図5に示すように、頭部4には、ミシンモータ110による主軸(図示略)の回転駆動により上下動する針棒9、押え足12を下端に装着した押え棒11、天秤19、糸調子機構20、糸取りバネ21、補助糸調子機構22、遮蔽部材70を糸案内溝17の途中において開位置と閉位置とに切換える開閉駆動機構23、糸通しレバー24の下げ操作で上糸8を縫針10の目孔に通す糸通し機構(図示略)及び図10に示すように、押え足12を押え上げレバー76の手動操作により昇降させる押え上げ機構25等が設けられている。

    針棒9はミシン機枠に上下往復動可能に支持され、針棒9の下端部に針棒糸案内(図示略)が設けられると共に、縫針10が装着されている。 この針棒9はミシンモータ110を有するミシン駆動機構(図示略)により上下駆動される。

    押え棒11は針棒9の後側に配設されてミシン機枠に昇降可能に支持され、押え棒11の下端部に押え足12(図1参照)が装着されている。 尚、アーム部3のフロントカバー部16cには、縫製処理の開始と終了を指令する起動停止スイッチ26と、上糸8の糸通掛けに際して操作する糸掛け準備スイッチ27(これが準備指令手段に相当する)等が設けられている。

    先ず、糸調子機構20について説明する。 糸調子機構20は、上糸8を挟持して糸調子を調節する為に、上糸8に張力を適宜付与する糸調子器30である1対の糸調子皿30a,30bと、固定側の糸調子皿30aに対して可動側の糸調子皿30bを押圧させる圧縮コイルバネ42のバネ力を可変調整する張力調整機構31と、その張力調整機構31を作動させる糸調子モータ32(これがアクチュエータに相当する)からなる。 ここで、図2,図3に示すように、前述した第2糸案内溝17bの奥側に、1対の糸調子皿30a,30bが配設されている。

    張力調整機構31について説明すると、前後方向向きで上下方向に長いガイドフレーム35の上端部に上下方向向きの取付け板36が固着され、その取付け板36に固定した前後方向向きの枢支軸37に円形の張力調整ギヤ38が回転可能に枢支されている。 張力調整ギヤ38の後半部に螺旋状のカム38aが凹設され、その螺旋状カム38aに平面視L字状の糸調子板39に固着された前向きの係合ピン40が係合し、糸調子板39に円筒状のバネ受け部材39aが固着されている。

    そのバネ受け部材39a内に、ガイドフレーム35に固着した糸調子軸41の右端部が左方から嵌入され、可動側の糸調子皿30bとバネ受け部材39aとの間の糸調子軸41に圧縮コイルバネ42が介装されている。 但し、固定側の糸調子皿30aはガイドフレーム35に固着されている。

    糸調子モータ32は取付け板36に後側から固定され、取付け板36を貫通した駆動軸32aに駆動ギヤ43が固定され、その駆動ギヤ43に張力調整ギヤ38が噛合されている。 それ故、糸調子モータ32が駆動されると、駆動ギヤ43を介して張力調整ギヤ38が回転駆動され、その螺旋状カム38aに係合した係合ピン40を介して糸調子板39が左右に移動する。

    糸調子板39が右方に移動する程、圧縮コイルバネ42のバネ力が小さくなり、両糸調子皿30a,30b間の押圧力が弱まって上糸8の張力も徐々に小さくなり、「零」の状態を経て、最終的には、両糸調子皿30a,30bが離間する開放状態になる。 一方、糸調子板39が左方に移動する程、圧縮コイルバネ42のバネ力が大きくなり、両糸調子皿30a,30b間の押圧力が強くなって上糸8の張力も徐々に大きくなる。

    次に、糸取りバネ21は、糸調子機構20の下方で、ガイドフレーム35の下端部分に、上糸8を弾性付勢可能な状態で取り付けられている。 それ故、第2糸案内溝17bに沿って糸掛けすることにより、上糸8が両糸調子皿30a,30bの間に糸掛けされるとともに、第2糸案内溝17bから第3糸案内溝17cに折り返して糸掛けすることにより、糸取りバネ21にも下側から糸掛けされるようになっている。

    次に、補助糸調子機構(プリテンション機構)22について説明する。 所定幅を有する平状の支持板50の前端部が取付け板36の上端部に固着され、支持板50の右端部にバネ受けピン51が立設され、支持板50の上面に配設された薄板状のプリテンション板52の右端部が、バネ受けピン51に嵌め込まれている。

    バネ受けピン51の上端に固着された止め部材とプリテンション板52の間に圧縮コイルバネ(図示略)が介装されており、プリテンション板52の右端部が圧縮コイルバネの弱いバネ力で常に支持板50側に付勢されている。

    プリテンション板52の左端部に対応するように、上下向きのテンション開放ピン53が支持板50及びプリテンション板52を貫通して下方に延び、テンション開放ピン53はその上端において、円形のテンション調節板54が固着され、その下端近傍部において、支持板50の鉛直壁の下端部で上下動可能に支持されている。

    テンション開放ピン53の下端近傍部にバネ受け部材55が固着され、そのバネ受け部材55と支持板50との間のテンション開放ピン53に圧縮コイルバネ56が介設されている。 一方、支持板50の鉛直壁の後側に配設された背面視略L字状の揺動部材57の基端部が枢支ピン58で鉛直壁に回動可能に枢支されている。

    糸調子板39に前端が固着された作動ピン59が取付け板36を貫通して後方に延び、揺動部材57の鉛直アームの上端に左方から係合している。 揺動部材57の水平アームは、テンション開放ピン53に固着したバネ受け部材55の下端に当接し、テンション開放ピン53が下方向きに付勢されるため、テンション調節板54を介してプリテンション板52の左端部が圧縮コイルバネ56のバネ力で常に支持板50側に付勢されている。

    それ故、両糸調子皿30a,30bが押圧状態(張力が作用する状態)では、糸調子板39が左方に移動しているため、作動ピン59で揺動部材57を回動させることがなく、バネ受け部材55が上動しないため、テンション調節板54は両圧縮コイルバネ56のバネ力により支持板50に上側から押圧され、支持板50とテンション調節板54との間を通る上糸8にプリテンションが作用する。

    しかし、両糸調子皿30a,30bの張力が「零」から開放状態(張力が作用しない状態)では、糸調子板39が右方に移動するため、作動ピン59で揺動部材57を時計回りに回動させるようになり、バネ受け部材55の上動を介してテンション開放ピン53が上方に移動し、テンション調節板54が支持板50から離間(開放)し、上糸8には最早プリテンションが作用することはない。

    次に、開閉駆動機構23について説明する。 図2〜図5に示すように、水平状の支持板50の後端部が部分的に下方に曲げ形成した支持部36aが形成され、その支持部36aの裏面に背面視にて略横向きT字状の枢支部材65が固定されている。 その枢支部材65に前後方向向きの枢支軸66の後端が固着され、その枢支軸66に揺動軸部材67が回動可能に枢支されている。

    揺動軸部材67の前端部に水平な上下1対の挟持ピン67aが一体形成され、これら挟持ピン67aがバネ受け部材55の上下両端に当接している。 揺動軸部材67の後端部に上方に延びるレバー部67bが一体形成されている。 一方、支持板50上に、平面視にて略L字状の回動レバー68の基端部が枢支ピン69で回動可能に枢支されている。 回動レバー68の後方に延びる第1レバー部68aは二股状に形成され、揺動軸部材67のレバー部67bが二股状の第1レバー部68aに係合している。

    更に、回動レバー68の直ぐ左側の支持板50上に、前後方向に延びる平面視にて略クランク状の遮蔽部材70が配設されている。 遮蔽部材70の略後半部分に前後1対の長穴70aが形成され、これら長穴70aの夫々に係合する係合ピン71が支持板50に固着されている。 各係合ピン71の上端は長穴70aの幅寸法よりも大きい係止部が形成され、遮蔽部材70は長穴70aを介して係合ピン71で支持板50上を、係止部で浮き上がることなく前後方向に移動可能に支持されている。

    回動レバー68の左方に延びる第2レバー部67bの先端部が遮蔽部材70に連結されている。 遮蔽部材70の一段高い前端部に糸導入遮蔽部70bが形成され、その糸導入遮蔽部70bが前述した第3糸案内溝17cと第4糸案内溝17dとを繋げる左右向きの連絡通路部17e、つまり天秤19の上方に対応する糸案内溝17の一部に出没可能になっている。

    そこで、前述したように、両糸調子皿30a,30bが押圧状態(張力が作用する状態)では、糸調子板39が左方に移動しているため、作動ピン59で揺動部材57を回動させることがなく、バネ受け部材55が上動しないため、揺動軸部材67と回動レバー68とが共に回動しないため、図2に示すように、遮蔽部材70は前方の閉位置に移動し、糸導入遮蔽部70bで連絡通路部17eを遮蔽している。

    しかし、糸調子板39が右方に移動して、両糸調子皿30a,30bが張力を作用させない開放状態では、作動ピン59で揺動部材57が時計回りに回動するので、バネ受け部材55の上動を介して揺動軸部材67が正面視にて時計回りに回動し、同時に回動レバー68が平面視にて時計回りに回動し、図6〜図9に示すように、遮蔽部材70は後方の開位置に移動し、その糸導入遮蔽部70bが退避するため、連絡通路部17eが開放状態となり、上糸8を第3糸案内溝17cから連絡通路部17eを経て第4糸案内溝17dへ導入する糸導入が可能になる。

    次に、糸通し機構は、詳しくは図示しないが、縫針10が略最上位置のときに、頭部4に設けられた糸通しレバー24を下方に移動操作することにより、糸通し軸(図示略)が所定高さまで下降して回動する。 このとき、糸通しフック(図示略)が縫針10の目孔を挿通して上糸8を係合した状態で引くので、上糸8が目孔に糸通しされる。 ここで、糸通しレバー24の糸通し操作を糸通しレバー検出スイッチ109(これが糸通しレバー検出手段に相当する。図13参照)で検出可能になっている。

    次に、押え上げレバー76で押え足12を昇降させる押え上げ機構25について説明する。 図10に示すように、押え棒11の側部において取付けフレーム75が機枠に固着され、その取付けフレーム75に押え上げレバー76が枢支ピン77で回動可能に枢支されている。 押え上げレバー76は、押え棒抱き78に一体形成されたカム従動子78aに当接するカム面を形成した昇降カム部76bを有する。

    取付けフレーム75には、更に、縦長の検出板79が枢支ピン80により左右方向に回動可能に枢支されている。 押え上げレバー76は作動カム部76bを有し、検出板79の下端部がピン80を介して作動カム部76bに当接している。 ここで、検出板79は、枢支ピン80に設けられた巻きバネ81により常に時計回りに付勢され、非検出姿勢に保持されている。

    操作部76cの手動操作により押え上げレバー76を下げ操作した場合、図10に示すように、昇降カム部76bのカム面を介して押え棒抱き78が押え棒11と共に下降する。 このとき、ピン80を介して検出板79が非検出姿勢に切換えられた状態では、検出板79の上端部に対応する取付けフレーム75に取付けられた押え上げ検出スイッチ82(これが検出手段に相当する)がONしないようになっている。

    一方、押え上げレバー76を手動操作により上げ操作した場合、図11に示すように、昇降カム部76bのカム面を介して押え棒抱き78が押え棒11と共に上昇する。 このとき、ピン80を介して検出板79が検出姿勢に切換えられるため、押え上げ検出スイッチ82は検出板79の上端部によりONする。 即ち、押え上げ検出スイッチ82がOFF状態では押え上げレバー76の押え下げ操作を検出でき、押え上げ検出スイッチ82がON状態では押え上げレバー76の押え上げ操作を検出できる。

    但し、押え棒11は押え棒駆動モータ83(図13参照)により図示外の昇降機構を介して昇降できるようにも構成されており、特に後述する刺繍縫製時に、押え棒11を電気的に昇降駆動できるようになっている。

    次に、ベッド部1に設けられた糸切り機構85(図13参照)は、詳しくは図示しないが、縫製終了時に、糸切りモータ86により可動刃が往動する際に上糸8と下糸を係合しておき、糸切りモータ86により可動刃が復動する際にその係合した上糸8と下糸を固定刃との協働で糸切りするようになっている。

    次に、刺繍縫いするに際して使用する刺繍機90について説明する。 図1に示すように、針板5の手前側からベッド部1の左端部を介して針板5後方に延びるコ字状に形成された補助ベッド1Aを電子ミシンMから左方に取外し、フリーアーム部1Bを露出させたフリーアーム状態とし、図12に示すように、刺繍機90をそのフリーアーム部1Bに左方から装着することにより、刺繍機90と電子ミシンMとがコネクタ117(図13参照)を介して制御装置100に電気的に接続され、電子ミシンMは刺繍ミシンMAとして使用される。

    この刺繍機90のY駆動機構部91に設けられたキャリッジ92に刺繍枠93を装着し、刺繍機90本体に内蔵されたX駆動機構部と、そのX駆動機構部に連動されたY駆動機構部91により刺繍枠93を移動駆動することにより、刺繍枠93に保持された加工布に刺繍縫いが行われる。 ここで、X駆動機構部はX駆動機構とこれを駆動するX送りモータ94を有し、Y駆動機構部91はY駆動機構とこれを駆動するY送りモータ95を有している。 ここで、これらX送りモータ94及びX駆動機構と、Y送りモータ95及びY駆動機構等から枠駆動機構96(これが枠駆動手段に相当する)が構成されている。

    次に、電子ミシンMの制御系の概要について、図13のブロック図に基づいて説明する。 電子ミシンMの制御装置100(これが制御手段に相当する)は、CPU101とROM102とRAM103及びフラッシュメモリ104等を含むマイクロコンピュータと、そのマイクロコンピュータにデータバスなどのバス105を介して接続された入力インターフェース106及び出力インターフェース107等から構成されている。

    入力インターフェース106には、起動停止スイッチ26と、タッチキーを有する操作パネル108と、押え上げ検出スイッチ82と、糸通しレバー検出スイッチ109と、糸掛け準備スイッチ27等が接続されている。

    出力インターフェース107には、糸通しが可能か否かを表示する糸通しモードLED28と、針棒9を上下駆動するミシンモータ110の為の駆動回路111と、糸切り機構85を糸切り作動させる糸切りモータ86の為の駆動回路112と、押え棒モータ83の為の駆動回路113と、張力調整機構31を作動させる糸調子モータ32の為の駆動回路114と、液晶ディスプレイ6の為の表示駆動回路115と、刺繍機90の枠駆動機構96に設けられたX送りモータ94とY送りモータ95の為の駆動回路116等が接続されている。

    ROM102には、図示しない送り歯による布送りにより縫製する複数種類の実用模様の為の実用縫目データと、刺繍機90を電子ミシンMに装着して枠駆動機構96を駆動することにより縫製する複数種類の刺繍模様の為の刺繍縫目データと、これら縫目データに基づいてミシンモータ110やX送りモータ94及びY送りモータ95を駆動制御して縫目形成する縫製制御プログラム、後述する実用縫製時の糸掛け準備制御の制御プログラムと、刺繍縫製時の糸掛け準備制御の制御プログラムなどが格納されている。

    ここで、制御装置100や縫製制御プログラム等から縫製制御手段が構成されている。 ところで、刺繍縫目データの各々には、図14に示すように、刺繍模様名に加えて刺繍模様を構成する糸色毎に区分された複数の刺繍模様部(第1刺繍模様部、第2刺繍模様部、・・・)からなる多数の針落ちデータが設けられている。

    各刺繍模様部にはその末尾にストップコードが記憶され、そのストップコードにより糸替え時にミシンモータ110の駆動を一時的に停止できるようになっている。 RAM103には、読み込まれた実用縫目データや刺繍縫目データを格納する縫目データメモリ、各種のワークメモリに加えて、CPU101が演算した演算結果を一時的に格納する各種のバッファなどが設けられている。

    次に、電子ミシンMの制御装置100により実行される実用縫製時の糸掛け準備制御について、図15のフローチャートに基づいて説明する。 但し、図中符号Si(i=11、12、13・・・)は各ステップである。 ここで、糸調子モータ32はステッピングモータからなり、電源投入時の初期設定において糸調子モータ32が回転駆動され、両糸調子皿30a,30bによる張力が略「零」になる張力調整ギヤ38の回動位置が初期設定位置として設定される。

    糸調子モータ32は、その初期設定位置「0パルス」から「+144パルス」の範囲において糸調子が設定され、糸調子モータ32が糸調子設定範囲とは反対側に「−20パルス」まで回転したときの張力調整ギヤ38により、糸調子皿30a,30bが相互に離間し、糸調子器30が開放され、補助糸調子機構22も同時に開放されるとともに、遮蔽部材70は後方の開位置に移動して糸導入遮蔽部70bが退避し、連絡通路部17eが開放状態となる。

    電源が投入されるとこの制御が開始され、先ず押え上げ検出スイッチ82のスイッチ信号が読み込まれ、押え上げ検出スイッチ82が「OFF」の場合(押え足12が下降位置)であって(S11:Yes )、糸掛け準備スイッチ27が操作されてONになった場合(S12:Yes )、糸調子モータ32が駆動され、糸調子機構20の糸調子器30が開放され、補助糸調子機構22も開放され、遮蔽部材70は開位置に駆動される(S13)。 このとき、アーム部3に設けられた糸通しモードLED28が「緑」に点灯し、起動許可LED(図示略)は起動不可を示す「赤」で点灯する。

    この状態で、作業者は糸駒7からの上糸8を所定の糸案内溝17(17a〜17d)に沿って糸掛けする。 このとき、糸調子器30及び補助糸調子機構22が夫々開放状態であり、遮蔽部材70は開位置に駆動されて糸案内溝17のうちの連絡通路部17eを遮蔽しないため、上糸8を全ての糸案内溝17に亙って糸掛けでき、糸掛けされた上糸8を、補助糸調子機構22と、糸調子器30である糸調子皿30a,30b間に、更には天秤19にも正常に糸掛けすることができる。

    尚、作業者は、上糸8を全ての糸案内溝に沿って糸掛けした後、前述したように、上糸端部を面板16fの下端部に設けたカッター18で切断し、切断された上糸端部をカッター18の近傍に設けられた糸端保持部(図示略)に保持させることにより、糸通し機構(図示略)による上糸8の縫針10の目孔への糸通しの準備を行うこととなる。

    次に、作業者が糸通しレバー24の操作により糸通しレバー検出スイッチ109が「ON」になったとき、つまり上糸8を縫針10の目孔に糸通しする為に、糸通し機構の作動が開始されたとき(S14:Yes )、糸通しフックに係合する上糸8に張力を付与する為に、糸調子モータ32が駆動され、糸調子器30及び補助糸調子機構22が張力付与状態に切換えられ、遮蔽部材70は閉位置に駆動される(S15)。

    これにより、糸導入遮蔽部70bが、糸案内溝17の連絡通路部17eを遮蔽する閉位置へ移動されることとなる。 このように、糸掛け及び糸通しが完了したので、作業者は縫製に供する加工布をベッド部1上に載置し、起動停止スイッチ26を操作して縫製が開始される。

    このように、起動停止スイッチ26が操作され(S16:Yes )、実用縫いが実行された後、縫製処理が終了した場合(S17:Yes )、S11以降が繰返して実行される。 一方、この制御が開始されたときに、押え上げ検出スイッチ82が「ON」であって押え足12が上昇位置の場合には(S11:No)、糸調子モータ32の駆動により、糸調子器30が開放され、補助糸調子機構22も開放され、遮蔽部材70は開位置に駆動される(S18)。 これにより、糸導入遮蔽部70bが糸案内溝17(連絡通路部17e)より退避するので、作業者による糸案内溝17に沿った上糸8の糸掛け操作が可能な状態となる。

    このように、糸案内溝17に沿った上糸8の糸掛け操作の終了後、作業者は、次に、押え上げレバー76を押え下げ操作し、押え上げ検出スイッチ82が「OFF」であって押え足12が下降位置の場合(S19:Yes )、S14以降が実行されるが、押え上げ検出スイッチ82が「ON」であって押え足12が上昇位置の場合に(S19:No)、作業者により糸掛け準備スイッチ27が操作された場合には(S20:Yes )、押え足12と糸通し機構とが干渉しないように、押え棒モータ83が駆動され、押え足12が下降位置まで下降され(S21)、S14以降が実行される。

    但し、糸掛け準備スイッチ27が操作されないで(S20:No)、作業者による糸通しレバー24の下降操作により糸通しレバー検出スイッチ109が「ON」になった場合(S22:Yes )、押え足12と糸通し機構とが干渉するため、押え足12を下降させるように警告表示が液晶ディスプレイ6に表示される(S23)。 そこで、作業者が気付いて、押え上げレバー76を操作して、或いは糸掛け準備スイッチ27を操作し、押え足12を下降させる。

    次に、補助ベッド1Aを電子ミシンMから取外して前述した刺繍機90をフリーアーム部1Bに装着し、刺繍ミシンMAにより刺繍縫いする場合の糸掛け準備制御について、図16のフローチャートについて説明する。

    電源が投入されるとこの制御が開始され、先ず、糸掛け準備スイッチ27のスイッチ信号が読み込まれ、糸掛け準備スイッチ27が「ON」の場合には(S31:Yes )、糸調子モータ32が駆動され、糸調子器30が開放され、補助糸調子機構22も開放され、遮蔽部材70は開位置に駆動される(S32)。 これにより、糸導入遮蔽部70bが糸案内溝17(連絡通路部17e)より退避するので、作業者による糸案内溝17に沿った上糸8の糸掛け操作が可能な状態となる。

    次に、加工布を縫製開始位置に移動させる等、刺繍枠93を移動可能にするために、押え棒モータ83が駆動され、押え足12が上昇位置まで上昇される(S33)。 次に、作業者が糸通しレバー24の操作により糸通しレバー検出スイッチ109が「ON」になったとき(S34)、糸調子モータ32が駆動され、糸調子器30及び補助糸調子機構22が張力付与状態に切換えられ、遮蔽部材70は閉位置に駆動される(S35)。 これにより、糸導入遮蔽部70bが、糸案内溝17の連絡通路部17eを遮蔽する閉位置へ移動されることとなる。

    次に、押え棒モータ83が駆動され、押え足12が下降位置よりも若干だけ高い縫製位置まで下降される(S36)。 このように、糸掛けが完了したので、作業者は刺繍枠93を刺繍機90に装着し、刺繍模様を選択した後、起動停止スイッチ26を操作して刺繍縫いが開始される。

    そこで、起動停止スイッチ26の操作により刺繍縫いが開始され(S37:Yes )、各刺繍模様部の最後にあるストップコードを検出した場合(S38:Yes )、ミシンモータ110の駆動も停止して刺繍縫いが中断した後、糸切り機構85による糸切断が完了したとき(S39:Yes )、上糸8の糸替えのために、糸調子モータ32が駆動され、糸調子器30が開放され、補助糸調子機構22も同時に開放され、遮蔽部材70は開位置に駆動される(S40)。 これにより、糸導入遮蔽部70bが糸案内溝17(連絡通路部17e)より退避するので、作業者による糸案内溝17に沿った上糸8の糸掛け操作が可能な状態となる。

    このように、糸案内溝17に沿った上糸8の糸掛け操作の終了後、作業者による糸通しレバー24の操作により糸通しレバー検出スイッチ109が「ON」になったとき(S41:Yes )、糸調子モータ32が駆動され、糸調子器30及び補助糸調子機構22が張力付与状態に切換えられ、遮蔽部材70は閉位置に駆動される(S42)。 次に、後続の刺繍データがあり、刺繍処理が終了していない場合には(S43:No)、S37以降が繰り返して実行される。

    しかし、終了コードにより刺繍処理の全てが終了した場合(S43:Yes )、ミシンモータ110の停止後にS32とS33が実行され、糸調子器30が開放され、補助糸調子機構22も開放され、遮蔽部材70は開位置に駆動され、連絡通路部17eが開放状態となるため、次の縫製に際して、上糸8の糸掛け操作を迅速に行えるようになる。

    このように、押え足12と押え上げレバー76と糸調子機構20と糸案内溝17とを備えた電子ミシンMにおいて、押え上げ検出スイッチ82と、遮蔽部材70と、糸調子モータ32と、制御装置100とを備えたので、縫製の終了時に押え上げレバー76を手動で押え上げ操作する場合、その押え上げ操作の検出により糸調子モータ32が駆動制御されて遮蔽部材70が閉位置から開位置へ駆動され、糸導入遮蔽部70bが糸案内溝17の連絡通路部17eを遮蔽する閉位置から開位置へ退避するため、押え上げレバー76を押え上げ操作するときの操作荷重が格段に小さくなり、操作性を向上させることができる。

    また、遮蔽部材70の開位置への移動を糸調子モータ32に連動させてあるため、押え上げレバー76に、カムや連結部材や取付け部材等の複数の部材を連結させる必要がなく、遮蔽部材70を開位置へ駆動させる開閉駆動機構23のための部品点数を格段に減少させることができ、開閉駆動機構20の低コスト化を図ることができる。

    更に、糸通し機構20(糸通し器30)により上糸8に付与される張力(糸調子)を所望の張力とするように制御する為の糸調子モータ32を、遮蔽部材70の閉位置から開位置、及び開位置から閉位置へ移動駆動用の駆動源として兼用することにより、遮蔽部材70と糸調子機構20とに専用の駆動源を設ける必要がなく、関連駆動機構の為の部品点数を減少させ、一層の低コスト化を図ることができる。

    また、糸調子機構20と糸調子モータ32とが連結され、制御装置100は、糸調子器30により上糸8に付与される張力を所望の張力とするように糸調子モータ32を駆動制御するとともに、押え上げ検出スイッチ82が押え上げ操作を検出したときに糸調子器30を開放するように糸調子モータ32を駆動制御するので、縫製中においては押え上げレバー76が押え上げ操作されないため、糸調子器30を介して上糸8には縫製に最適な張力が適宜付与されるため、安定状態で縫製処理することができる。

    一方、縫製終了時に押え上げレバー76を押え上げ操作して糸替えする際に、遮蔽部材70が開位置へ移動されるとともに、糸調子器30が開放されるので、糸替えに供する上糸8を既に開放された糸調子器30に直ぐに糸掛けすることができ、糸掛け操作の操作性を高めることができる。

    また、糸調子器30と糸駒7(糸供給源)との間に配設され、上糸8に補助的な張力を付与する補助糸調子機構22を備え、制御装置100は、押え上げ検出スイッチ82により押え上げ操作が検出されたときに、糸調子器30とともに補助糸調子機構22を開放するように糸調子モータ32を駆動制御するので、押え上げ操作時に、糸調子器30を開放させるだけでなく、補助糸調子機構22の開放状態への切換えを同時に行うことができ、補助糸調子機構22への糸掛けが可能になる。

    また、糸案内溝17に沿った糸掛け操作の準備を指令する為の糸掛け準備スイッチ27を備え、押え上げ検出スイッチ82により押え上げレバー76による押え上げ操作が検出されていない場合に、糸掛け準備スイッチ27が操作されたとき、遮蔽部材70が開位置へ駆動されるとともに、糸調子器30を開放するように糸調子モータ32が駆動制御されるので、押え足12が下降状態であっても、糸掛け準備スイッチ27からの糸掛け準備指令に基づいて、糸調子モータ32の駆動制御により、遮蔽部材70の開位置への移動と糸調子器30の開放が同時に行われ、糸掛け操作の操作性を高めることができる。

    また、糸調子モータ32は、遮蔽部材70の開位置への駆動に加え、閉位置への駆動を行うので、押え上げレバー76を操作して押え足12を下降状態に切換えて縫製を開始する場合には、遮蔽部材70を閉位置から開位置へ駆動させるだけでなく、開位置から閉位置への駆動をも実現させることができる。

    また、縫針10の目孔に糸通しする糸通し機構と、この糸通し機構を作動させる糸通しレバー24と、この糸通しレバー24の操作を検出する糸通しレバー検出スイッチ109とを更に備え、糸通しレバー検出スイッチ109により糸通しレバー24の操作が検出されたとき、遮蔽部材70が閉位置へ駆動されるとともに、糸調子器30を所定の糸調子とするように糸調子モータ32が駆動制御されるので、上糸8を糸掛けしてから糸通しレバー24を操作して糸通しを行う際に、遮蔽部材70が閉位置へ駆動し、しかも糸調子器30は上糸8を糸掛けした状態で閉じることで、糸調子器30から糸通し機構に至る上糸8に所定の張力を発生でき、糸通し機構による糸通しを円滑に行うことができる。

    更に、糸案内溝17は、糸調子器30に加え、その糸調子器30の下流側に配設された天秤19及び糸取りバネ21に上糸を案内するように形成され、遮蔽部材70は、閉位置において天秤19上方に対応する糸案内溝17の一部である連絡通路部17eを遮蔽するように配設されたので、糸掛けに際して、例えば、押え足12が下降状態のときや作業者が刺繍模様の縫製途中で電子ミシンMを停止させたときのように、糸調子器30が糸掛けに不適切な状態である場合には、天秤19上方に対応する連絡通路部17eが遮蔽されているため、上糸8を糸案内溝17に沿わせて案内させようとしても、遮蔽部材70により天秤19や糸取りバネ21に案内できず、糸掛け可能な状態でないことを容易に且つ確実に見分けることができる。

    一方、刺繍データに基づいて所望の刺繍模様の縫製に際しては、刺繍データは、複数の刺繍模様部に区分されており、各刺繍模様部の刺繍縫いが終了するその都度、遮蔽部材70が自動的に開位置へ駆動するように糸調子モータ32が駆動制御されるので、刺繍模様部毎の刺繍縫いの終了時に、糸調子モータ32が制御されて遮蔽部材70が開位置へ駆動されるため、糸替え操作の操作性を高めることができる。

    また、各刺繍模様部の刺繍縫い終了毎に、遮蔽部材70の開位置への移動とともに、糸調子器30を開放するように糸調子モータ32が駆動制御されるので、刺繍模様部毎の刺繍縫いの終了時に糸替えする際に、糸替えした上糸8を、開放された糸案内溝17に沿って、既に開放された糸調子器30に直ぐに糸掛けすることができ、糸掛け操作の操作性を高めることができる。

    更に、各刺繍模様部の刺繍縫いの終了時に実行される糸切り機構85による糸切断完了後に、糸調子モータ32が駆動制御されるので、糸切断されて刺繍縫いが終了する毎に、糸調子モータ32により遮蔽部材70が開位置へ駆動され、糸調子器30が開放されるため、糸替え操作の操作性を高めることができる。

    次に、前記実施例を部分的に変更した変更形態について説明する。

    1〕遮蔽部材70は、糸案内溝17のうちの第2糸案内溝17b、第3糸案内溝17c、第4糸案内溝17dの何れの一部を開閉可能に構成するようにしてもよい。

    2〕糸調子器30は、1対の糸調子皿30a,30bに代えて、1対の糸繰り出しローラで構成するようにしてもよい。

    3〕上述した実施例においては、遮蔽部材70の開位置から閉位置への移動についても糸調子モータ32を駆動することにより行っているが、遮蔽部材70を引っ張りバネにより常には閉位置に弾性付勢しておき、押え上げレバー76の押え上げ操作時に、糸調子モータ32により遮蔽部材70を開位置へ駆動させる一方、押え上げレバー76の押え下げ操作時には、引っ張りバネのバネ力で遮蔽部材70を閉位置に復帰移動させるように構成してもよい。

    4〕遮蔽部材70を、糸調子モータ32とは別体のソレノイドで開位置へ駆動させる一方、引っ張りバネのバネ力で閉位置に復帰移動させるように構成してもよい。

    5〕実用縫い時の糸掛け準備制御に関する上述の実施例においては、作業者による糸通しレバー24の操作の検出に基づいて糸調子モータ32を駆動し、遮蔽部材70を閉位置に移動させるとともに、糸調子器30及び補助糸調子機構22を張力付与状態に切換えるように構成したが、作業者による押え上げレバー76の押え下げ操作を検出し、この検出に基づいて糸調子モータ32を駆動することにより、遮蔽部材70の閉位置への移動、及び糸調子器30や補助糸調子機構22の張力付与状態への切換えが行われるように構成してもよい。

    6〕本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。

    本発明の実施例に係る電子ミシンの斜視図である。

    遮蔽部材が閉位置におけるアーム部の内部構造を示す部分平面図である。

    遮蔽部材が閉位置におけるアーム部の内部構造を示す部分正面図である。

    遮蔽部材が閉位置におけるアーム部の内部構造を示す部分側面図である。

    遮蔽部材が閉位置におけるアーム部の内部構造を示す部分背面図である。

    遮蔽部材が開位置におけるアーム部の内部構造を示す部分平面図である。

    遮蔽部材が開位置におけるアーム部の内部構造を示す部分正面図である。

    遮蔽部材が開位置におけるアーム部の内部構造を示す部分側面図である。

    遮蔽部材が開位置におけるアーム部の内部構造を示す部分背面図である。

    押えレバーが下降位置における押え上げ機構の正面図である。

    押えレバーが上昇位置における押え上げ機構の正面図である。

    刺繍機の斜視図である。

    電子ミシンの制御系のブロック図である。

    刺繍データのデータ構造を説明する図表である。

    実用縫いの為の糸掛け準備制御のフローチャートである。

    刺繍縫いの為の糸掛け準備制御のフローチャートである。

    符号の説明

    M 電子ミシン9 針棒8 上糸7 糸駒10 縫針12 押え足17 糸案内溝17a 第1糸案内溝17b 第2糸案内溝17c 第3糸案内溝17d 第4糸案内溝17e 連絡通路部19 天秤20 糸調子機構21 糸取りバネ22 補助糸調子機構23 開閉駆動機構24 糸通しレバー27 糸掛け準備スイッチ30 糸調子器30a 糸調子皿30b 糸調子皿32 糸調子モータ70 遮蔽部材70b 糸導入遮蔽部76 押え上げレバー82 押え上げ検出スイッチ85 糸切り機構93 刺繍枠96 枠駆動手段100 制御装置102 ROM
    103 RAM

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