【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は外部記憶媒体を利用した織機制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】制御データに基づいて織機稼働を制御する制御コンピュータを備えた織機では、制御コンピュータに入力設定されている制御データの書き替えが必要に応じて行われる。 特開昭63−21951号公報及び特開昭63−21953号公報では、糸種類、織幅、織密度、織物組織等の仕掛け織物条件に基づいて経糸送り出し装置、織布巻き取り装置、機台回転装置等における織成条件を設定する方法が開示されている。 即ち、仕掛け織物条件毎に多数の織成条件が制御装置に予め入力設定されており、仕掛け織物条件の入力に基づいて多数の織成条件から適正な織成条件が自動選択される。 これにより作業者の熟練及び経験に頼ることなく短時間で適正な織成条件を設定することができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような織成条件設定方式において自動選択された織成条件は過去の多数の経験から得られた平均値であり、同じ織物条件の場合にも個々の織成の際には自動選択された織成条件を変更して更に適切な織成条件を設定する必要がある場合もある。 従って、制御データに基づいて織機稼働を制御する制御コンピュータを備えた織機では、データ変更のための入力設定装置が付随しているが、この入力設定装置の不用意な操作によって不要なデータ書き替えを行なうおそれがある。 【0004】本発明は、特開平1−280050号公報に開示されるように多数台の織機を制御する上で有利なメモリカード等の外部記憶媒体を利用してデータの不用意な書き替えを防止することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】そのために本発明では、 入力設定装置の入力操作によって制御データを入力される制御コンピュータと外部記憶媒体との間の通信非接続状態では入力設定装置による制御データ書き替えを禁止するようにした。 【0006】 【作用】制御コンピュータと外部記憶媒体とが電気的非接続状態にある場合には、入力設定装置におけるデータ入力操作による出力信号は無効化され、制御コンピュータにおける設定制御データが変更されることはない。 制御コンピュータと外部記憶媒体とが電気的接続状態にある場合には、入力設定装置におけるデータ入力操作による出力信号は有効化され、制御コンピュータにおける設定制御データが変更される。 【0007】 【実施例】以下、本発明をジェットルームに具体化した一実施例を図1〜図6に基づいて説明する。 【0008】図1に示すMは織機駆動モータであり、織機駆動モータMは主制御コンピュータ(Ce,Cg)の作動制御を受ける。 1は織機駆動モータMから独立した送り出しモータである。 送り出しモータ1はワープビーム2を駆動し、ワープビーム2から送り出される経糸T はバックローラ3及びテンションローラ4を経由して綜絖5及び筬6側へ案内される。 織布Wはエキスパンションバー7、サーフェスローラ8、プレスローラ9を経由してクロスロール10に巻き取られる。 【0009】テンションローラ4はテンションレバー1 1の一端に取り付けられており、テンションレバー11 の他端に取り付けられた引っ張りばね12により所定の張力が経糸Tに付与されるようになっている。 テンションレバー11は検出レバー13の一端に回転可能に支持されており、検出レバー13の他端にはロードセル14 が連結されている。 経糸張力はテンションローラ4、テンションレバー11及び検出レバー13を介してロードセル14に伝えられ、ロードセル14は経糸張力に応じた電気信号を送り出し制御コンピュータCsに出力する。 【0010】送り出し制御コンピュータCsは入力設定されている経糸張力とロードセル14からの入力信号で把握される検出張力との比較に基づいて送り出しモータ1の回転速度を制御する。 この回転速度制御により通常運転時の経糸張力が制御される。 又、送り出し制御コンピュータCsは送り出しモータ1に組み込まれたロータリエンコーダ1aからの回転速度検出信号に基づいて送り出しモータ1の回転速度をフィードバック制御する。 【0011】サーフェスローラ8は織機駆動モータMから独立した巻き取りモータ15に作動連結されている。 巻き取りモータ15は巻き取り制御コンピュータCrの作動制御を受け、巻き取り制御コンピュータCrは巻き取りモータ15に組み込まれたロータリエンコーダ15 aからの回転速度検出信号に基づいて巻き取りモータ1 5の回転速度をフィードバック制御する。 【0012】緯入れ用ノズル16は巻き付け方式の緯糸測長貯留装置17から緯糸を引き出す。 緯入れノズル1 6への流体供給を行なう電磁バルブ18の開閉は緯入れ制御コンピュータCyによって制御される。 緯糸測長貯留装置17の駆動は測長制御コンピュータCdによって制御される。 【0013】主制御コンピュータ(Ce,Cg)、送り出し制御コンピュータCs、巻き取り制御コンピュータCr、測長制御コンピュータCd及び緯入れ制御コンピュータCyにはいずれも通信制御装置Fm,Fs,F r,Fd,Fyが接続されている。 各通信制御装置F m,Fs,Fr,Fd,Fyは伝送経路Lでシリアル接続されている。 【0014】各制御コンピュータ(Ce,Cg),C s,Cr,Cd,Cyには機台回転角度検出用のロータリエンコーダ19の出力信号が入力される。 各制御コンピュータ(Ce,Cg),Cs,Cr,Cd,Cyはロータリエンコーダ19からの角度検出情報に基づいて駆動制御を遂行し、主制御コンピュータ(Ce,Cg)は駆動制御以外にシリアル伝送経路Lを介して制御データの送信制御を行なう。 【0015】主制御コンピュータ(Ce,Cg)には入力設定装置20e,20gが接続されている。 入力設定装置(20e,20g)にはカード接続口20aが設けられている。 カード接続口20aにメモリカード26, 26Aを挿入接続することによって主制御コンピュータ(Ce,Cg)とメモリカード26,26Aとが電気的に接続される。 【0016】図2は複数の織機Le,Lg(e,g= 1,2,3・・・、e≠g)、主制御コンピュータC e,Cg及び入力設定装置20e,20gを示す。 入力設定装置20e,20gは転送データ選択装置21、転送指令装置22、データ書き替え装置23、表示装置2 4及び比較指令装置25からなる。 【0017】転送指令装置22は主制御コンピュータC e,Cgからメモリカード26への転送及びメモリカード26,26Aから主制御コンピュータCe,Cgへの転送のいずれか一方を選択指令するものである。 主制御コンピュータCeのメモリMeにはワープビーム径、経糸切れ、緯入れミス等の稼動製織データ群Eが検出器からの検出データとして取り込み記憶されていると共に、 経糸張力、経糸送り出し速度、巻き取り速度等の経糸送り出しデータ群A、緯入れ長さ、緯入れ開始タイミング、緯入れ終了タイミング等の測長データ群B、緯入れ用ノズルの噴射開始タイミング、噴射停止タイミング等の緯入れデータ群C、起動時の機台回転角度位置、機台停止時の機台回転角度位置等の始動データ群Dがデータ書き替え装置23の入力設定操作により取り込み記憶されている。 【0018】第2図に示すように、経糸送り出しデータA(1),A(2) ・・・A(i) により構成される経糸送り出しデータ群AはメモリMeのアドレスn 1 ,n 2・・・ n iに格納されており、測長データB(1),B(2) ・・・ B(j) により構成される測長データ群Bはアドレスn i+1 ,n i+2・・・n i+jに、緯入れデータC(1),C (2) ・・・C(k) により構成される緯入れデータ群Cはアドレスn i+j+1 ,n i+j+ 2・・・n i+j+kに、始動データD(1),D(2) ・・・D(p)により構成される始動データ群Dはアドレスn i+j+k+1 ,n i+j+k+2・・・n i+j+k+pに格納されている。 そして、稼動製織データ群Eは前記以外のアドレスに格納されている。 【0019】同様に織機LgのメモリMgには、経糸送り出しデータa(1),a(2) ・・・a(i) により構成される経糸送り出しデータ群A'がメモリMgのアドレスn 1 ,n 2・・・n iに格納されており、測長データb (1),b(2) ・・・a(j) により構成される測長データ群B'がアドレスn i+1 ,n i+2・・・n i+jに、緯入れデータc(1),c(2) ・・・c(k) により構成される緯入れデータ群C'がアドレスn i+j+1 ,n i+j+2・・・n i+j+kに、始動データd(1),d(2) ・・・d(p)により構成される始動データ群D'がアドレスn i+j+k+1 , n i+j+k+2・・・n i+j+k+pに格納されている。 そして、稼動製織データ群E'は前記以外のアドレスに格納されている。 【0020】同一の織物を織っている織機Le,Lgのうち、織機Lgの稼動率のみが異常に低い場合、織機L gのデータ群A',B',C',D'と正常な稼動効率を示す織機Leのデータ群A,B,C,Dとの不一致、 即ち織機のデータ群として適正なデータ群A,B,C, Dが採用されていない場合がある。 そこで、織機Lgのデータ群A',B',C',D'とデータ群A,B, C,Dとの一致あるいは不一致のチェックがメモリカード26Aを用いて行われる。 【0021】まず、正常な稼動率を示す織機Leの入力設定装置20eにメモリカード26Aを挿入接続する。 主制御コンピュータCeはこの挿入接続に伴う挿入信号に応答して転送待機状態に入る。 転送指令装置22の操作による転出指令及び転送データ選択装置21の操作による転送データ群の指定に基づいて主制御コンピュータCeは指定された転送データ群A,B,C,DをメモリMeからメモリカード26Aへ転送する。 この転送により主制御コンピュータCeの経糸送り出しデータ群A (1),A(2) ・・・A(i) がメモリカード26Aのアドレスm 1 ,m 2・・・m iへ転写される。 次いで、測長データ群B(1),B(2) ・・・B(j) がメモリカード26A のアドレスm i+1 , m i+2・・・m i+jへ、緯入れデータC(1),C(2) ・・・C(k) がアドレスm i+j+1 ,m i+j+2・・・ m i+j+kへ、始動データD(1),D(2) ・ ・・D(p)がアドレスm i+j+k+1 ,m i+j+k+2・・・ m i+ j+k+pへ転写される。 【0022】織機Leの制御データA,B,C,Dを記憶するメモリカード26Aを織機Lgの入力設定装置2 0gに挿入した後、比較指令装置25の比較指令操作により主制御コンピュータCgはメモリカード26A側の記憶データA(i),B(j),C(k),D(p)と織機Lg側の記憶データa(i),b(j),c (k),d(p)との比較を行なう。 この比較はメモリカード26A側のアドレスm 1 ,m 2 〜m i+j+k+pと織機Lg側のアドレスn 1 ,n 2 〜n i+j+k+pとの1対1 対応で順次行われ、不一致データの比較毎に不一致データが表示装置24に表示される。 例えば織機Leのアドレスn i+2のデータb(2) がメモリカード26のアドレスm i+2のデータB(2) に一致しない場合には、主制御コンピュータCgはアドレスn i+2及びデータb(2) を表示装置24に表示する。 【0023】このような不良データ表示は織機Lgにおける制御データの設定不良を意味し、この設定不良が織機Lgの異常な稼動効率低下の原因であると特定することができる。 そこで、不良データとして表示されている制御データb(2) をデータ書き替え装置23の操作により適正な制御データB(2) に書き替えれば織機Lgの制御データが織機Leの適正な制御データに一致し、織機Lgの異常な稼動率低下が解消される。 【0024】図3に示すようにメモリカード26Aには書き替え許可プログラムX 0が書き込まれており、主制御コンピュータCe,Cgのメモリには書き替え許可判定プログラムY 0が書き込まれている。 主制御コンピュータCe,Cgは図4にフローチャートで示す書き替え許可判定プログラムに基づいて前述した書き替えを遂行する。 【0025】即ち、メモリカード26,26Aが入力設定装置20gに挿入接続されていない場合には主制御コンピュータCgは書き替え不能モードに入り、入力設定装置20gの入力設定操作が行われてもそのデータ書き替え指令は無効化される。 メモリカード26Aが入力設定装置20gに挿入接続されると、主制御コンピュータCgはカード挿入信号に基づいてメモリカード26A内の書き替え許可プログラムの読み取りを行なう。 主制御コンピュータCgはこの読み取りに基づいて書き替え可能モードに入り、書き替え許可プログラムで指定される書き替え許可内容のみのデータ書き替えが有効化される。 この実施例では前述した不一致データb(2) の書き替えが許可されており、アドレスn i+2を指定したデータb(2) からデータB(2) への書き替えのみが可能である。 従って、入力設定装置20gの不用意な書き替え操作によってデータの誤変更が行われることはない。 【0026】なお、主制御コンピュータCeのメモリM eに対するデータ群A,B,C,D,Eの入力及び主制御コンピュータCgのメモリMgに対するデータ群A',B',C',D',E'の入力は、全データ書き替え許可プログラムを書き込んだメモリカードを用いて行われる。 【0027】本発明は勿論前記実施例にのみ限定されるものではなく、例えばメモリカードの挿入接続に伴うカード挿入信号のみによってデータ書き替えを許可するようにしてもよい。 【0028】 【発明の効果】以上詳述したように本発明は、制御コンピュータと外部記憶媒体との間の通信非接続状態では入力設定装置による制御データ書き替えを禁止するようにしたので、制御コンピュータと外部記憶媒体とが電気的非接続状態にある場合には入力設定装置におけるデータ入力操作による出力信号が無効化され、制御コンピュータにおける設定制御データを誤変更を防止し得るという優れた効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】 織機の略体側面と制御回路との組合せ図である。 【図2】 主制御コンピュータとメモリカードとの関係を示すブロック図である。 【図3】 記憶データを説明するための表図である。 【図4】 データ書き替え許可判定プログラムを示すフローチャートである。 【符号の説明】 20e,20g…入力設定装置、20a…カード接続口、26,26A…メモリカード、Ce,Cg…主制御コンピュータ。 |