タイヤコード製織装置の経糸張調整装置における経糸付勢方法

申请号 JP2012120041 申请日 2012-05-25 公开(公告)号 JP6118508B2 公开(公告)日 2017-04-19
申请人 津田駒工業株式会社; 发明人 伊藤 直幸; 角谷 和人; 安宅 威;
摘要
权利要求

スダレ製織部とタビー部とを含むタイヤコード織物を製織するためのタイヤコード製織装置(1)であって、 経糸を供給するクリール装置(2)と、 前記クリール装置(2)から引き出された多数本の経糸の張を均一化するためのダンサローラ(10a,10b)及び前記ダンサローラ(10a,10b)よりも経糸の上流側に配置される経糸切れ検出用のドロッパ装置(8)を含む経糸張力調整装置(3)と、 前記経糸張力調整装置(3)を経由して供給される経糸によりタイヤコード織物を製織する織機(4)と、 を含むタイヤコード製織装置(1)における経糸張力調整装置(3)において、 シート状の経糸の上側の位置で経糸の進行方向と直交する方向に延在するとともに上下方向に移動可能に設けられる付勢ローラ(10a)であって自重と経糸の張力とが釣り合うように設けられた付勢ローラ(10a)と、 前記付勢ローラ(10a)に対し引き下げる方向の付勢力を作用させるための流体圧シリンダ(15)を含む付勢装置(11)と、 を備え、 ダンサローラ(10a)は付勢ローラ(10a)として兼用され、 スダレ製織部を製織中に前記織機(4)が停止したことにともない、その停止時点以降の第1の時点から少なくとも前記織機(4)の再始動までの期間に亘って前記流体圧シリンダ(15)を作動させることにより、前記付勢ローラ(10a)に対し前記付勢力を流体圧シリンダ(15)によって作用させ、 前記期間以降では、前記付勢ローラ(10a)に対し前記付勢力が作用せず、前記付勢ローラ(10a)の自重と経糸の張力とが釣り合う状態とする ことを特徴とするタイヤコード製織装置の経糸張力調整装置における経糸付勢方法。前記第1の時点からの前記流体圧シリンダ(15)の作動にともなう前記付勢ローラ(10a)の下方への変位の過程において、前記付勢ローラ(10a)の変位速度が遅くなる方向へ変化するように前記流体圧シリンダ(15)の作動を調整することを特徴とする請求項1に記載のタイヤコード製織装置の経糸張力調整装置における経糸付勢方法。

说明书全文

本発明は、スダレ製織部とタビー部とを含むタイヤコード織物を製織するタイヤコード製織装置であって、経糸を供給するクリール装置と、前記クリール装置から引き出された多数本の経糸の張を均一化するためのダンサローラを含む経糸張力調整装置と、前記経糸張力調整装置を経由して供給される経糸によりタイヤコード織物を製織する織機と、を含むタイヤコード製織装置における経糸張力調整装置に関する。

タイヤコード織物とは、ゴムタイヤの骨格となるカーカス層やベルト層の製造に用いられるゴム補強用織布の一種であり、緯糸密度が一般的な織物に比べて非常に粗いスダレ製織部と緯糸密度がスダレ製織部に比べて密なタビー部とを含んでいる。

図17に示すとおり、タイヤコード織物を製織するタイヤコード製織装置91は、主要な構成として、経糸7を供給するクリール装置2、経糸7の張力を調整する経糸張力調整装置92、製織を行う織機4及び製織されたタイヤコード織物を巻き取る別巻き取り装置5を備えている。経糸7は、織機4が備える送り出し装置4aに牽引されてクリール装置2の多数個のボビン2aから一斉に引き出されるが、多数個のボビン2aの各々から引き出された各経糸7の張力はそれぞれ異なるため、クリール装置2と織機4との間に設置された経糸張力調整装置92により、クリール装置2から引き出された経糸7を横一列に整列させてシート状にするとともに、各経糸7の張力をほぼ均一化している。

経糸張力調整装置92は、クリール装置2から引き出された多数本の経糸7の張力を均一化し、張力を一定の範囲に保つためのダンサローラ93を有している。ダンサローラ93は、クリール装置2から引き出されて横一列に整列させられたシート状の経糸7の上に乗った状態で設けられ、自重によって経糸7の張力を均一化するとともに、上下方向において各経糸7の張力の合力(以下、単に「経糸の張力」ともいう。)と釣り合った位置をとる。したがって、織機4の製織中に経糸7の張力が変動した場合、ダンサローラ93は、その自重と経糸7の張力との釣り合いを維持するように上下動する。また、経糸張力調整装置92は、経糸切れによる経糸7の張力の消失にともなうドロッパピンの落下を検知して経糸切れを検出するドロッパ装置94を前記ダンサローラ93よりも経糸7の上流側(クリール装置2側)に備えており、クリール装置2から経糸張力調整装置92へ供給される経糸7の経糸切れを監視している。

ところで、前述したとおり、タイヤコード織物におけるスダレ製織部は、緯糸密度が2.5インチ/本程度とタビー部や他の一般的な織物に比べて非常に粗い。そのため、タイヤコード製織装置91においては、スダレ製織部を製織する際は、経糸7の送り速度が非常に速いものとなっており、クリール装置2から経糸7が非常に高速で引き出され、ボビン2aが高速で回転している状態となっている。そのような状態において、スダレ製織部を製織中に何らかの異常(例えば、緯入れミス等の製織不良)が発生して制御装置からタイヤコード製織装置91を構成する各装置に対し停止信号が出力されると、織機4では、送り出し装置4aが比較的速やかに停止するが、クリール装置2では、経糸7の引き出しにともなって高速回転していたボビン2aが自身の慣性によってすぐに停止しないため、織機4が停止して送り出し装置4aによる経糸7の牽引が止まった後も経糸7が惰性でクリール装置2から経糸張力調整装置92側へ送り出される、所謂「経糸のオーバラン」の状態が発生する。

そのような「経糸のオーバラン」の状態でクリール装置2から経糸7が送り出されると、経糸張力調整装置92へ余分に送り出された経糸7は、主にダンサローラ93よりも上流側での緩みとなる。何故ならば、織機4が停止した状態では織機4の送り出し装置4aによる経糸7の牽引はなく、経糸7の緩みの吸収はダンサローラ93のみが担うこととなるが、経糸7はダンサローラ93の上流側に存在するガイドロール95に巻き掛けられ、経糸7の経路はガイドロール95によって転向されるものとなっているため、ガイドロール95と経糸7との間に生じる摺動抵抗により、ダンサローラ93の自重による牽引力がガイドロール95よりも上流側の経糸7に波及しにくいからである。

経糸7がダンサローラ93よりも上流側で緩み、経糸7の張力が減少した状態になると、それにともない前述したドロッパ装置94のドロッパピンの位置が下がり、糸切れが発生したときと同じ状態、すなわちドロッパピンとコンタクトバー(電極)とが接触した状態となってしまう。その結果、経糸切れが発生していないにもかかわらず、ドロッパ装置94から経糸切れ検出信号が出力され、織機4の再始動に支障を与えてしまう。

そのような問題に対応する公知技術としては、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された技術は、織機が停止したとき、ダンサローラをアクチュエータにより強制的に引き下げ、経糸のオーバランによる経糸の緩みを吸収している。具体的には、ダンサローラを支持する支持部材に流体圧シリンダを連結し、織機停止時には流体圧シリンダを作動させることによりダンサローラに対しダンサローラの自重による力に加えてダンサローラを引き下げる力を作用させてダンサローラを強制的に引き下げ、ダンサローラとダンサローラの両側に位置するガイドロールとの間での経糸経路長を増加させ、経糸のオーバランによる経糸の緩みを吸収している。

特開平11−117149号公報

特許文献1に記載の技術のように、経糸の緩みを吸収してドロッパの下降を防止するために流体圧シリンダでダンサローラを引き下げる場合において、経糸の緩みを確実に吸収するためには、ダンサローラの引き下げに伴って経糸を積極的に牽引する必要がある。そのため、ダンサローラの引き下げ時において、経糸にはダンサローラの自重による力と流体圧シリンダによる力とを合計した牽引力が作用する。そして、ダンサローラは、前記牽引力を経糸に作用させた状態で、最下降位置まで変位して停止する。

したがって、ダンサローラが、最下降位置まで変位して停止した状態においては、経糸張力調整装置内における経糸の張力は、製織中の状態、すなわち、ダンサローラの自重によって張力調整されている場合と比べ、ダンサローラを流体圧シリンダによる力で積極的に牽引している分だけ高い状態となっている。また、その状態における経糸張力調整装置内における経糸経路長は、ダンサローラの下方への変位に応じてクリール装置から経糸が引き出された分だけ増加した状態となっている。

ところで、上記のようにダンサローラを引き下げた後の織機の停止中において、流体圧シリンダの作動を停止して流体圧シリンダによる力を解除すると、経糸に作用する牽引力はダンサローラの自重による力のみとなる。その結果、経糸張力の方が経糸に作用している牽引力よりも高い状態となり、ダンサローラが経糸によって持ち上げられることとなる。

そして、上記ダンサローラが経糸によって持ち上げられると、そのダンサローラの上方への変位量に応じて、経糸張力調整装置内における経糸経路長が短くなる。このとき、経糸を積極的に牽引する織機の送り出し装置は停止しているため、経糸張力調整装置内において経糸の下流側へ向けた移動はなく、経糸は停止状態となっている。そのため、経糸張力調整装置内において前記短くなった分の経糸経路長が、ダンサローラと同様に経糸に自重を作用させているドロッパピンの変位によって吸収されることになる。その結果、ドロッパピンは、経糸切れ時と同様に下方へ向けて変位することになる。そして、ドロッパピンが下方へ変位した結果としてドロッパピンがコンタクトバーに接触してしまい、経糸切れ検出信号が出力される状態となってしまう。

なお、上記のようにドロッパピンが下降して経糸切れ検出信号を検知したままの状態では織機の再始動にあたり、織機の制御装置において、再始動から一定期間に亘って経糸切れ検出信号を無視する(検出しない)状態とする必要性が生じる。しかし、その場合、当初の停止原因が経糸切れを含む複数のものであった場合において、経糸切れが見過ごされた場合、ドロッパ装置が真の経糸切れを検知して経糸切れ検出信号を出力しているにもかかわらず織機が再始動されることになるため、再始動直後に再び織機が停止し、その修復作業等に多大な手間を要するといった問題が発生する。

そこで、本発明の課題は、タイヤコード製織装置の織機の停止期間中に経糸が緩んで経糸張力調整装置におけるドロッパ装置による誤検出発生を防止し、織機の再始動が安定して行えるようにすることである。

本発明は、スダレ製織部とタビー部とを含むタイヤコード織物を製織するためのタイヤコード製織装置(1)であって、経糸を供給するクリール装置(2)と、前記クリール装置(2)から引き出された多数本の経糸の張力を均一化するためのダンサローラ(10a,10b)及び前記ダンサローラ(10a,10b)よりも経糸の上流側に配置される経糸切れ検出用のドロッパ装置(8)を含む経糸張力調整装置(3)と、前記経糸張力調整装置(3)を経由して供給される経糸によりタイヤコード織物を製織する織機(4)と、を含むタイヤコード製織装置(1)における経糸張力調整装置(3)を前提とする。

そして、本発明による経糸付勢方法は、前記課題の下に、その前提とするタイヤコード製織装置(1)における経糸張力調整装置(3)において、シート状の経糸の上側の位置で経糸の進行方向と直交する方向に延在するとともに上下方向に移動可能に設けられる付勢ローラ(10a)であって自重と経糸の張力とが釣り合うように設けられた付勢ローラ(10a)と、前記付勢ローラ(10a)に対し引き下げる方向の付勢力を作用させるための流体圧シリンダ(15)を含む付勢装置(11)と、を備え、ダンサローラ(10a)は付勢ローラ(10a)として兼用され、スダレ製織部を製織中に前記織機(4)が停止したことにともない、その停止時点以降の第1の時点から少なくとも前記織機(4)の再始動までの期間に亘って前記流体圧シリンダ(15)を作動させることにより、前記付勢ローラ(10a)に対し前記付勢力を流体圧シリンダ(15)によって作用させ、前記期間以降では、前記付勢ローラ(10a)に対し前記付勢力が作用せず、前記付勢ローラ(10a)の自重と経糸の張力とが釣り合う状態とすることを特徴とする。

ただし、ここでいう「流体圧シリンダ(15)を作動させる」とは、付勢ローラ(10a)に引き下げる方向の付勢力が作用するように流体圧シリンダ(15)に圧力流体を供給することをいう。

また、ここで言う「第1の時点」とは、織機(4)の図示しない主制御装置が停止信号を出力する時点から織機(4)の停止にともなう経糸の緩みをドロッパ装置(8)が経糸切れとして誤検出してしまうまでの間の期間内において任意に設定される時点のことをいう。

さらに、その経糸付勢方法において、前記第1の時点からの前記流体圧シリンダ(15)の作動にともなう前記付勢ローラ(10a)の下方への変位の過程において、前記付勢ローラ(10a)の変位速度が遅くなる方向へ変化するように前記流体圧シリンダ(15)の作動を調整してもよい。

本発明は、タイヤコード織物のスダレ製織部を製織中に織機が停止したときに、織機停止時点以降の第1の時点から、特に、織機の再始動までの織機の停止期間中に亘って流体圧シリンダにより付勢ローラに対し引き下げる方向の付勢力を作用させ続けるので、付勢ローラが経糸によって持ち上げられない。これにより、経糸張力調整装置の付勢ローラよりも上流側に経糸切れを検出するためのドロッパ装置が設けられる場合において、付勢ローラが経糸に持ち上げられてドロッパピンが下降することがなく、ドロッパピンの下降に起因してドロッパ装置が経糸切れを誤検出してしまうことを防止できる。したがって、織機の再始動にあたり、経糸切れをドロッパ装置で監視したままの状態を維持することができ、経糸切れが見過ごされて織機が再始動されて再び織機が停止することや、それに伴う修復作業等に多大な手間を要すことなく、織機の再始動を安定して行える。

なお、織機の停止後の再始動に際し、織機による経糸の牽引が再開されても、クリール装置におけるボビンの静止慣性や、クリール装置から付勢ローラまでの経糸経路に存在するガイドロール等との間で経糸に作用する静摩擦力により、織機を再始動後において実際に経糸がクリール装置から引き出されるまでに若干の時間を要する。そのため、織機を再始動した直後に経糸の張力が瞬間的に高まり、付勢ローラに対し引き上げる方向の力が作用し、付勢ローラが跳ね上ってしまう現象が生じる場合がある。そして、そのような付勢ローラの跳ね上がりが生じると、それに起因して経糸の張力が振動するため、張力が緩んだときにドロッパピンが下降してコンタクトバーに接触してしまう可能性が生じ、その結果として、経糸切れが発生していないにもかかわらず、ドロッパ装置が経糸切れ検出信号を出力してしまう場合が生じる。

そこで、織機停止時点以降の第1の時点から少なくとも織機の再始動までの期間に亘って、流体圧シリンダの作動を継続して付勢ローラに対し引き下げる方向の付勢力を作用させ続けるものとすれば、織機の再始動直後における前述のような付勢ローラの上方への跳ね上がりを防止することができる。それにより、織機の再始動後に生じる経糸張力の振動(経糸の緩み)が防止され、ドロッパ装置による経糸切れの誤検出を有効に防止でき、織機の再始動が支障なく行われる。なお、前記期間の終わりの時点、つまり第2の時点としては、織機がスダレ製織の定常運転回転数に達する時点、織機を再始動した直後にクリール装置のボビンの静止慣性等の作用で高まった経糸張力がスダレ製織の定常運転における経糸張力まで低下した時点、又はそれらの時点以降の任意の時点に設定すればよい。

さらに、前述のように付勢ローラを引き下げる場合において、引き下げ終了時に流体圧シリンダが急停止すると、付勢ローラは直ちに停止する。しかし、前記のように、付勢ローラの引き下げ過程においては、付勢ローラが経糸を牽引しており、クリール装置においては、その牽引による経糸の引き出しに伴ってボビンが回転しているため、付勢ローラが停止しても、ボビンは停止せずに惰性により回転し続ける場合がある。そして、その場合、前記した所謂「経糸のオーバラン」の状態が結果的に生じ、経糸が付勢ローラよりも上流側で緩む場合が生じる。

そこで、付勢ローラを下方へ変位させる過程で、付勢ローラの変位速度を、特に、遅くなる方向へ変化するように流体圧シリンダの作動を調整すれば、付勢ローラの急停止を防止することができ、急停止にともなう経糸のオーバランを防止することができる。それにより、付勢ローラの停止時に付勢ローラよりも上流側で経糸の緩みが生じるのを防止でき、経糸の緩みによりドロッパピンが下降することがなく、ドロッパピンの下降に起因してドロッパ装置が経糸切れを誤検出してしまうことを防止でき、織機の再始動を安定して行える。

本発明のタイヤコード製織装置1の概略を示す断面側面図である。

経糸張力調整装置3の断面側面図である。

作動伝達機構12の各部材の回転中心を結ぶ線に沿った断面図である。

係合部材21及び流体圧シリンダ15の平面図である。

経糸張力調整装置3の流体供給装置13を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の流体供給装置13を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の動作を示すタイムチャートである。

経糸張力調整装置3の流体供給装置14を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の流体供給装置14を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の流体供給装置60を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の流体供給装置67を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の流体供給装置73を説明する流体圧回路である。

経糸張力調整装置3の動作を示すタイムチャートである。

経糸張力調整装置3の動作を示すタイムチャートである。

経糸張力調整装置3の流体供給装置76を説明する流体圧回路である。

付勢ローラ10a、作動伝達機構12、流体圧シリンダ15の配置を示す模式図である。

従来のタイヤコード製織装置91の概略を示す側面図である。

以下、本発明の一実施例について、図1〜図7に基づいて説明する。

図1は、本発明の経糸付勢方法及びその装置が適用されるタイヤコード製織装置1の一実施例を示している。図1に示したタイヤコード製織装置1は、主要な構成として、経糸7を供給するクリール装置2、経糸7の張力を調整する経糸張力調整装置3、製織を行う織機4及び製織されたタイヤコード織物を巻き取る別巻き取り装置5を備えている。

クリール装置2には、多数の図示しないペグが多段多列状に設けられており、これらのペグに対して多数個のボビン2aが整然と仕掛けられている。経糸7は、このクリール装置2上の多数個のボビン2aから一斉に引き出され、織機4に導かれている。

経糸7は、織機4が備える送り出し装置4aのニップ式ロール4bとフィードロール4cとに挟持されており、回転駆動されるフィードロール4cに牽引されてクリール装置2の多数個のボビン2aから一斉に引き出されるが、多数個のボビン2aの各々から引き出された各経糸7の張力はそれぞれ異なるため、クリール装置2と織機4との間に設置された経糸張力調整装置3によりクリール装置2から引き出された経糸7を横一列に整列させてシート状にするとともに、各経糸7の張力をほぼ均一化している。

次に、本実施例の経糸張力調整装置3の構成について説明する。なお、以下の説明では、経糸の進行方向におけるクリール装置2側を上流側とし、別巻き取り装置5側を下流側とする。また、後述のダンサローラの軸線方向を「幅方向」、ダンサローラの軸線と直交する方向を「直交方向」とする。

経糸張力調整装置3のフレームは、幅方向に関し離間した位置に一対の板状のフレーム6を平行に立てて並べこれらを複数のビーム6cで連結した構造を有している。図2は、経糸張力調整装置3を前記一対のフレーム6間で経糸の進行方向に平行な垂直断面で切断した状態を示しており、したがって、図2では、一対のフレーム6のうちの一方をフレーム6の内側から見た状態を示している。各フレーム6は、クリール装置2側の第1のフレーム6aと、織機4側の第2のフレーム6bとで構成されている。

一対のフレーム6の間には、経糸7の経路に沿って、上流側から順に、2本のリーズロッド35と、ドロッパ装置8と、4本のガイドロール36a、36b、36c、36dと、4本のガイドロール36a、36b、36c、36dのうちの上流側の3本のガイドロール36a、36b、36c間にこれらと交互に配置された2本のダンサローラとが設けられている。

2本のリーズロッド35は、丸棒状の部材であり、その両端は、一対の第1のフレーム6aのそれぞれに回転不能に固定されている。この2本のリーズロット35は、経糸7の綾を取るための糸捌きを行うことを目的として設けられるものであり、経糸経路と交差する位置で、互いの軸線を平行にして平方向に延在している。クリール装置2から供給される多数の経糸7は、隣り合う経糸7の経路が横からみて交差するように2本のリーズロッド35の上下を交互にくぐらされ、経糸7の配列が交錯しないように整理される。なお、リーズロッド35の本数や間隔は、経糸7の摩擦抵抗を変化させる目的で、必要に応じて変更される。

4本のガイドロール(上流側から順に第1、第2、第3、第4のガイドロール36a、36b、36c、36dという。)は、一対の第2のフレーム6bにより回動可能に支持されおり、これらは、一対の第2のフレーム6b間において、互いの軸線が平行となる状態で、水平方向に延在している。第1、第2、第3の3本のガイドロール36a、36b、36cは、リーズロッド35の下流側において、経糸7の経路における後述のダンサローラの両側に位置するように配置されており、ダンサローラの自重の作用を受けて下方へ引き下げられる経糸7をダンサローラの両側で支持する目的で設けられている。第4のガイドロール36dは、第3のガイドロール36cの下方に配置されており、第3のガイドロール36cに巻き掛けられて下方へ案内された経糸7の経路を織機4側へ転向させる目的で設けられている。

ドロッパ装置8は、第2のフレーム6bのリーズロッド35と第1のガイドロール36aとの間に配置されており、各経糸7に吊り下げられる多数のドロッパピン8aと、ドロッパピン8aと接触することで経糸切れを検知するコンタクトバー(電極)8bとを含む。ドロッパ装置8は、経糸切れを検出することを目的として設けられるものであり、経糸7が切れて経糸7の張力が消失すると、ドロッパピン8aが落下してコンタクトバー8bと接触するようになっている。ドロッパ装置8は、ドロッパピン8aとコンタクトバー8bとの接触による通電によって経糸切れを検知し、糸切れ検出信号を織機4の図示しない主制御装置に出力する。

次に、本発明の特徴的な発明特定事項である付勢ローラ、作動伝達機構、付勢装置について説明する。

〔付勢ローラ〕 2本のダンサローラ、すなわち第1のダンサローラ10a及び第2のダンサローラ10bは、シート状の経糸列上に載置された状態で設けられている。前記のとおり、本実施例では、第1のダンサローラ10aは、第1のガイドロール36aと第2のガイドロール36bとの間に位置し、第2のダンサローラ10bは、第2のガイドロール36bと第3のガイドロール36cとの間に位置している。これらダンサローラは、その自重を経糸7に作用させることにより、各経糸7の張力を均一化し、かつ一定の範囲に保つことを目的として設けられるものであり、その自重と経糸張力との釣り合いを維持するように、経糸の張力変動にともなって上下動する。

そして、本実施例では、前記2本のダンサローラうち、クリール装置2に近い側の第1のダンサローラ10aを、本発明の付勢ローラとして兼用する。このため、経糸張力調整装置3は、付勢ローラとしての第1のダンサローラ10aに対し引き下げる方向の付勢力を作用させるための構成として、後述の作動伝達機構12および付勢装置11を備えている。

一方、第2のダンサローラ10bは、主として、疵戻し操作等のために織機4を逆転させた場合に織機4よりも上流側へ経糸7が戻されることにより生じる経糸7の経路長の増加を吸収させる目的で設けられている。すなわち、織機4を逆転させる場合に、製織中における経糸7の張力変動を吸収するためだけであれば第1のダンサローラ10aのみでよいが、上記疵戻し操作等のために織機4を逆転させる場合、経糸7が織機4の上流側へ大きく戻されるため、それによる経糸7の大きな緩みを吸収すべく、第2のダンサローラ10aに加えて更に第2のダンサローラ10bを設け、両ダンサローラ10a、10bの協働で上記のような経糸7の巻き戻し量に対応できるものとしている。

〔作動伝達機構〕 図2に示すとおり、作動伝達機構12は、主要な構成として、付勢ローラとしての第1のダンサローラ10aの両端部に相対回転可能に連結された一対の第1のレバー16と、各第1のレバー16に対し第1の軸17を介して連結された一対の第2のレバー18とを含む。更に、本実施例では、作動伝達機構12は、第2のレバー18と後述の付勢装置11におけるエアシリンダ15aとの間に介装されてエアシリンダ15aのロッド24の推力を第2のレバー18に伝達するための第3のレバー20と、エアシリンダ15aのロッド24に取り付けられて第3のレバー20と係合する係合部材21とを含む。作動伝達機構12は、エアシリンダ15aのロッド24の推力を、第1のダンサローラ10aを引き下げる付勢力に変換して第1のダンサローラ10aへ伝達することを目的として設けられている。

なお、図2では、第1のダンサローラ10aの両端に連結された一対の第1のレバー16のうちの一方の第1のレバー16、及びこれに連結された第2のレバー18を示している。また、本実施例では、一対のフレーム6の各々にエアシリンダ15aが設置されているため、エアシリンダ15aのロッド24に取り付けられる係合部材21及びこれに係合する第3のレバー20も各エアシリンダ15aごとに設けられているが、図2では、一方のエアシリンダ15aに関する係合部材21及び第3のレバー20を示している。そして、本実施例の作動伝達機構12は、織幅方向に関し左右対称の構造であるので、以下の説明では、第1のダンサローラ10aの一方の端部に連結された第1のレバー16及び第2のレバー18並びに一方のエアシリンダ15aに取り付けられた係合部材21及びこれに係合する第3のレバー20について説明し、他方の第1のレバー16等については説明を省略する。

さらに、本実施例では、エアシリンダ15aのロッド24の縮動時に第1のダンサローラ10aに対し引き下げる方向の付勢力が作用するため、図2に示すとおり、エアシリンダ15aにおけるロッド24の縮動方向が、本発明における「作動方向」に相当する。また、本実施例では、エアシリンダ15aのロッド24の縮動時にのみ第1のダンサローラ10aに対しエアシリンダ15aの推力が伝達されるように作動伝達機構12の第3のレバー20と係合部材21とが連結されている。

次に、図2〜図4を参照して、作動伝達機構12の各部の構成について詳細に説明する。第1のレバー16は、その一端が第1のダンサローラ10aの端部に連結されており、前記端部から第1のダンサローラ10aの軸線方向に対し直交方向へ延在している。図3に示すとおり、第1のレバー16の前記一端は、第1のダンサローラ10aの端部に設けられた軸受37に嵌合された連結軸38を介して第1のダンサローラ10aの端部に連結されている。したがって、第1のレバー16と第1のダンサローラ10aとは、相対回転可能となっている。

連結軸38は、第1のダンサーローラ10aを貫通しており、その両端が、一対の第1のレバー16の前記一端に割締め機構により固定されている。第1のレバー16の他端には、連結軸38と平行に延在する状態で、第1の軸17が割締め機構により固定されている。

第2のレバー18は、その一端に軸受40が固定されており、軸受40には第1の軸17が嵌合されている。したがって、第1のレバー16と第2のレバー18とは第1の軸17を介して回動可能に連結されている。一方、第2のレバー18の他端には、第2の軸19が例えば割締め機構により固定されている。図2、3に示すとおり、第2の軸19は、第1のガイドロール36aよりも下方の位置で、第1のガイドロール36aと平行となるように、その両端を軸受39を介して一対の第2のフレーム6bに回動可能に支持されている。したがって、第2のレバー18は、その一端において、第2の軸19を介して第2のフレーム6bに回動可能に支持されている。そして、第2のレバー18は、この第2の軸19を介して第2のフレーム6bに支持されている。

図2に示すとおり、第2の軸19が第1のダンサローラ10aよりも上流側に配置されており、第1のレバー16と第2のレバー18とが第1の軸17を介して連結された状態において、第1の軸17の軸心が、第2の軸19の軸心と第1のダンサローラ10aの軸心とを結ぶ直線上を除く位置(図示の例では、当該直線の下側)にあるように、第2のレバー18及び第1のレバー16の長さが設定されている。すなわち、第2の軸19と第1のダンサローラ10aとの軸間距離が最も大きくなる状態(第1のダンサローラ10aの載置される経糸の経路が第1のガイドロール36aと第2のガイドロール36bとの間で直線状に張られた状態)において、第2の軸19と第1の軸17の軸間距離と、第1の軸17とダンサローラ10aの軸間距離との和が、第2の軸19と第1のダンサローラ10aとの軸間距離よりも大きくなるように、第1のレバー16及び第2のレバー18の長手方向(延在方向)の寸法が設定されている。これにより、第1の軸17の軸芯は、必然的に第2の軸19の軸芯と第1のダンサローラ10aの軸芯とを結ぶ直線上を除く位置、すなわち思案点を除く位置に存在することとなり、第1のレバー16と第2のレバー18とは、ダンサローラ10aの上下動にかかわらず、第1の軸17の位置で、常に下に凸に屈曲した状態となる。

なお、前述したとおり、第2の軸19は、その両端を一対の第2のフレーム6bに支持された一対の第2のフレーム6b間に掛け渡された通しの軸であり、第2の軸19の一端には一対の第2のレバー18のうちの一方が固定され、他端には図示しない他方の第2のレバー18が固定されている。このため、一対の第1のレバー16及び一対の第2のレバー18は、それぞれ連結軸38及び第2の軸19によって連結されている。これにより、第1のダンサローラ10aを引き下げる方向に作用する付勢力を一対の第1のレバー16間で平均化し、第1のダンサローラ10aの両端に均等に力が作用するようにしている。

第3のレバー20は、第2の軸19の軸線と直交する方向に延在するレバーであり、その一端が第2の軸19に固定され、第2の軸19を介して第2のフレーム6bに対して回転可能に支持されるとともに、第2の軸19を介して第2のレバー18に固定されている。したがって、第3のレバー20が後述するエアシリンダ15aによって第2の軸19を中心に回動させられると、第2の軸19が自身の軸線を中心として回転し、これにともなって第2のレバー18も第3のレバー20と一体となって第2の軸19周りで回動する。

図2に示すとおり、第3のレバー20は、幅方向で見た延在方向の形状として、第2の軸19に固定された一端と他端とを結ぶ直線を弦とする略弧形の湾曲形状をなしており、弧の弦を下流側へ向けた状態で第2の軸19に固定されている。第3のレバー20の弧の凹側の端面には係合面20aが形成されており、係合面20aに後述の係合部材21の係合用ローラ44が当接することにより、係合部材21が固定されるエアシリンダ15aのロッド24と第3のレバー20とは、接離可能に連結される。

なお、第3のレバー20の係合面20aの形状について、その円弧の曲率は、第3のレバー20の回動にともなって第3のレバー20とエアシリンダ15aのロッド24とのなす度が変化した場合でも、ロッド24の変位量に対する第3のレバー20の回動量をほぼ一定の回転量に保つように設定されている。

第3のレバー20に係合する係合部材21は、図4に示すとおり、後述のエアシリンダ15aのロッド24の先端に取り付けられたクレビス41と、クレビス41に取り付けられた2枚の係合プレート42と、係合プレート42に支持軸43を介して支持される係合用ローラ44及び一対の転動用ローラ45とを備えている。クレビス41は、コの字形の開口部41aを備え、開口部41aを下流側(エアシリンダ15aのロッド24の延在方向)へ向けた状態で、エアシリンダ15aのロッド24の先端に固定されている。

クレビス41の開口部41aの内側には、2枚の係合プレート42の一端がそれぞれ固定されており、2枚の係合プレート42は、エアシリンダ15aのロッド24の延在方向(経糸方向と平行な方向)に向けて、幅方向に関し第3のレバー20の通過を許容する間隔(第3のレバー20の厚さ以上の間隔)をもって平行に延在している。また、2枚の係合プレート42の他端は、支持軸43が両係合プレート42を貫通するように設けられている。支持軸43は、2枚の係合プレート42間で係合用ローラ44を回転可能に支持し、また、2枚の係合プレート42の外側で一対の転動用ローラ45を回転可能に支持している。転動用ローラ45は、後述するエアシリンダ15aが載置されるベース部材46の載置部47上でロッド24の伸縮にともなって転動する。そして、2枚の係合プレート42の間には、係合用ローラ44よりも上流側において、第3のレバー20が挿入されている。

以上のような第3のレバー20と係合部材21との連結構造により、エアシリンダ15aのロッド24が縮動したとき、係合部材21は第3のレバー20と係合して第3のレバー20を押圧し、第3のレバーは、図2において第2の軸19及び第2のレバー18とともに第2の軸19の軸芯周りで時計回りに回動させられ、エアシリンダ15aの推力が作動伝達機構12によって第1のダンサローラ10aを引き下げる付勢力に変換されて第1のダンサローラ10aへ伝達される。一方、第2の軸19及び第2の軸19に固定された第3のレバー20が第1のダンサローラ10a等の自重によるトルクにより、図2において第2の軸19の軸芯周りで時計回りに回動したとき、第3のレバー20と係合部材21(係合用ローラ44)とは押圧方向に関し離間可能となっている。この構造により、第1のダンサローラ10a等の自重による第3のレバー20の回動が係合部材21によって規制されることはないため、第1のダンサローラ10aの自重が作動伝達機構12を介してエアシリンダ15aのロッド24に支持されることは無い。

なお、作動伝達機構12を構成する各部材の寸法並びに第2の軸19に対する第2のレバー18及び第3のレバー20の取り付け位相は、次の関係を満たすように設定される。 エアシリンダ15aのロッド24が伸び方向(縮動方向と正反対の方向)のストロークエンドに位置し、かつ第1のダンサローラ10aが上下動の上限に位置するとき、すなわち経糸7が第1のガイドロール36aと第2のガイドロール36bとの間で直線状に張られた状態であるとき、ロッド24に固定された係合部材21の係合用ローラ44は第3のレバー20の係合面20aよりも下流側に位置する。

このように作動伝達機構12を構成する各部材の寸法並びに取り付け位相を設定することにより、エアシリンダ15aのロッド24が伸び方向のストロークエンドに位置するとき、すなわち、エアシリンダの不作動状態において、第1のダンサローラ10aが上下動しても第3のレバー20と係合部材21とは係合せず、付勢装置11は経糸7の張力変動にともなう第1のダンサローラ10aの上下動を妨げない。したがって、このとき第1のダンサローラ10aは一般的なダンサローラ、例えば本実施例の第2のダンサローラ10bと同様に機能する。

なお、本実施例の第2のダンサローラ10bは、第1のダンサローラ10aと同一構造であり、また第2のダンサローラ10bの支持構造は、第1のダンサローラ10aの作動伝達機構12から第3のレバー20、係合部材21を省いたものと同じであるから、第2のダンサローラ10bに関する説明は省略する。

〔付勢装置〕 次に、エアシリンダ15a及びエアシリンダ15aを作動させる流体供給装置13を備える付勢装置11について説明する。本実施例の経糸張力調整装置3では、付勢装置11は、流体圧シリンダ15として一対のフレーム6の各々に設置された二つのエアシリンダ15aを有しており、各エアシリンダ15aは、作動流体を供給するための流体供給装置13に接続されている。なお、以下の説明では、二つのエアシリンダ15aのうちの一方に着目して付勢装置11を説明するが、エアシリンダ15aのロッド24の位置を検出する位置検出器22の有無以外は他方のエアシリンダ15a側の付勢装置11の構成も基本的に同じである。

図2及び図4に示すとおり、エアシリンダ15aは、フレーム6の内側に固定されたベース部材46上に設けられた揺動ブラケット48によって揺動可能に支持されており、ロッド24の軸線が経糸方向と平行な状態となるように、かつロッド24が下流側へ向くように設置されている。

ベース部材46は、第2の軸19よりも下方の位置で、第1のフレーム6aと第2のフレーム6bとに跨がるかたちで、フレーム6に対して固定されている。また、ベース部材46は、フレーム6から内側へ延びる載置部47を有し、この載置部47上に揺動ブラケット48が設けられる。なお、このベース部材46の載置部47には、第3のレバー20との干渉を避けるために、第3のレバー20の揺動範囲に亘って第3のレバー20の通過を許容する穴49が形成されている。

また、揺動ブラケット48は、エアシリンダ15aをベース部材46に対して第1のガイドロール36aの軸線と平行な軸線周りに揺動可能に支持している。前述したとおり、エアシリンダ15aのロッド24の先端に取り付けられた係合部材21の転動ローラ45は、載置部47上でロッド24の伸縮にともなって転動するので、エアシリンダ15aは、シリンダ側が揺動ブラケット48に支持され、ロッド側が係合部材21を介してベース部材46に支持された状態となっている。

次に、図5及び図6を参照して、流体供給装置13の空気圧回路について説明する。図5及び図6はいずれも本実施例の流体供給装置13に関する空気圧回路を示している。ここで、図5は、スダレ製織部の製織時における流体供給装置13の空気圧回路の状態を示しており、図6は、織機停止後、エアシリンダ15aのロッド24の縮動中における流体供給装置13の空気圧回路の状態を示している。

エアシリンダ15aは、複動式のエアシリンダであり、ピストン34と、ピストン34に連結されたロッド24と、ピストン34に対し空気圧を作用させる第1の圧力室25及び第2の圧力室26と、それぞれの圧力室へ通じる給排気ポート25a、給排気ポート26aとを備えている。第1の圧力室25は、給排気ポート25aからの圧力空気の供給により、ロッド24を縮動方向へ変位させる空気圧をピストン34に対し作用させる。一方、第2の圧力室26は、給排気ポート26aからの圧力空気の供給により、ロッド24を伸び方向へ変位させる空気圧をピストン34に対し作用させる。第1の圧力室25及び第2の圧力室26の一方へ圧力空気が供給されると、前記他方の圧力室への吸排気ポートから圧力空気が排出される。

エアシリンダ15aに圧力流体を供給する流体供給装置13は、主要な構成として、エアシリンダ15aのロッド24の位置を検出する位置検出器22と、エアシリンダ15aの第1の圧力室25に接続された第1の供給・排出経路27と、第2の圧力室26に接続された第2の供給・排出経路28と、流体供給源50から供給される圧力空気の経路を第1の供給・排出経路27及び第2の供給・排出経路28のいずれか一方に選択的に切り換える第1の電磁弁51と、エアシリンダ15aへの圧力空気の供給・排出を制御する制御装置23とを備えている。

さらに、本実施例では、エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向(作動方向)への変位の過程でロッド24の変位速度を変化させるために、エアシリンダ15aの作動にともなうロッド24の縮動方向への変位過程において、第2の圧力室26からの圧力空気の排出量を変化させている。そして、そのための構成として、第2の供給・排出経路28は、第2の圧力室26からの圧力空気の排出用の2つの経路、すなわち第1の流体流路28a及び第2の流体流路28bと、ロッド24の変位に応じて前記2つの流体流路28a及び28bのうちの一方から他方へ選択的に切り換える第2の電磁弁29を有している。

ここで、本実施例では、第2の供給・排出経路28が、本発明における「供給・排出経路」に相当し、第2の電磁弁29が、本発明における「切換装置」に相当する。

位置検出器22は、フレーム6側に固定配置された近接センサ22aと、エアシリンダ15aのロッド24側に固定されたセンサプレート22bとで構成されている。図4に示すとおり、センサプレート22bは、板状の部材であり、ロッド24の軸線方向へ延在するように、係合部材21のクレビス41における第1のフレーム6a側の側面にボルトで固定されている。一方、近接センサ22aは、センサプレート22bを検知可能な高さ位置(上下方向におけるセンサプレート22bの存在範囲)で、幅方向におけるフレーム6とセンサプレート22bとの間に位置するように、ブラケット54を介して第1のフレーム6aに取り付けられている。

ブラケット54は、エアシリンダ15aのロッド24の軸線方向に延在する断面L字形の部材であり、L字形の一方の面を第1のフレーム6aの内側側面に対して固定されるとともに、L字形の他方の面に長孔54aを有している。近接センサ22aは、ブラケット54の長孔54aに挿通されたボルトによって支持されている。したがって、近接センサ22aは、ブラケット54の長孔54aの範囲内において、エアシリンダ15aのロッド24の軸線方向に関し取り付け位置が調整可能となっている。

位置検出器22は、エアシリンダ15aのロッド24の変位にともなってセンサプレート22bと近接センサ22aとが対向した状態となったとき、検出信号S2を制御装置23に出力する。なお、近接センサ22aの取り付け位置を調節することにより、ロッド24の変位に対する検出信号S2の発生時期を調整可能となっている。近接センサ22aの調整範囲とセンサプレート22bの延在長さとは、次の関係を考慮して設定される。すなわち、エアシリンダ15aのロッド24が伸び方向のストロークエンドに位置した状態では、近接センサ22aはセンサプレート22bを検出しない。ロッド24の縮動方向(作動方向)への変位の過程で近接センサ22aはセンサプレート22bを検出し、以後ロッド24が縮動方向のストロークエンドに達するまでに亘って、近接センサ22aはセンサプレート22bを検出し続ける。また、ロッド24が縮動方向のストロークエンドに達した後も、近接センサ22aはセンサプレート22bを検出した状態を維持する。

上記設定により、エアシリンダ15aのロッド24の作動方向への変位過程で、近接センサ22aがセンサプレート22bを検出し始めてからエアシリンダ15aのロッド24が縮動方向のストロークエンドに達するまでに亘って、近接センサ22aがセンサプレート22bを検出し続け、その検出信号を制御装置23に出力し続ける。

図5、図6に示すとおり、圧力流体としての圧力空気を供給する流体供給源50には、圧力空気の圧力を一定の圧力に減圧する減圧弁53を介して、エアシリンダ15aの伸縮を切り換える第1の電磁弁51が接続されている。第1の電磁弁51には、エアシリンダ15aの第1の圧力室25に接続される第1の供給・排出経路27と、エアシリンダ15aの第2の圧力室26に接続される第2の供給・排出経路28とが接続されている。第1の電磁弁51は、流体供給源50からの圧力空気の経路を、第1の供給・排出経路27と第2の供給・排出経路28とのいずれか一方に選択的に切り換えることにより、エアシリンダ15aの伸縮を切り換える。なお、本実施例では、第1の電磁弁51は、流体供給源50から供給される圧力空気の経路を、励磁状態(図7のタイムチャートにおける「ON」の状態)で第1の供給・排出経路27へ接続し、非励磁状態(図7のタイムチャートにおける「OFF」の状態)で第2の供給・排出経路28へ接続するものとする。

第2の供給・排出経路28は、エアシリンダ15aの第2の圧力室26に接続される第1の流体流路28a、第2の流体流路28b及び第3の流体流路28cと、第2の圧力室26から排出される圧力空気の経路を第1の流体流路28a及び第2の流体流路28bのいずれか一方から他方へ選択的に切り換える切換装置としての第2の電磁弁29とを備えている。

第1の流体流路28aは、第2の圧力室26からの圧力空気の排出と、第2の圧力室26への圧力空気の供給とに兼用される。第2の流体流路28bは、第2の圧力室26からの圧力空気の排出用であり、第3の流体流路28cは第2の圧力室26への圧力空気の供給用である。また、これら流体流路は、第1の電磁弁51のポートに連通する部分が共通の流路として形成され、第1の電磁弁51よりも第2の電磁弁29側で第1の流体流路28aと、第2及び第3の流体流路28b、28cとに分岐させられ、それぞれ第2の電磁弁29の異なるポートに接続されている。さらに、第2、第3の流体流路28b、28cは、第1、第2の電磁弁51、29のそれぞれに連通する部分が共通の流路として形成され、第1の電磁弁51よりも第2の電磁弁29側で一旦分岐した後、再び合流して第2の電磁弁29に接続されている。

第2の流体流路28bは、流路中に絞り弁52を備えている。絞り弁52は、絞り作用によって通過する圧力空気の流量を規制する流量制御弁であり、調節によって、第2の圧力室26からの排出方向について、第2の流体流路28bの流量は第1の流体流路28aの流量よりも少なく設定されている。

また、第3の流体流路28cは、その流路中に逆止弁52aを備えており、逆止弁52aは、第2の圧力室26からの排出方向で流路を閉じ、第2の圧力室26への供給方向で流路を開放するように設けられている。なお、第3の流体流路28cは、第1の流体流路28aと同じ直径のエアチューブで構成されている。したがって、第3の流体流路28cを通る圧力空気の流量は、第1の流体流路28aを通る圧力空気の流量と等しいものとなる。

第2の電磁弁29は、第2の圧力室26から排出される圧力空気の経路を、第1の流体流路28aと第2の流体流路28bとのいずれか一方に選択的に切り換えることにより、エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向(作動方向)への変位過程において、ロッド24の変位速度を切り換える。なお、本実施例では、第2の電磁弁29は、第2の圧力室26から排出される圧力空気の経路を、非励磁状態(図7のタイムチャートにおける「OFF」の状態)で第1の流体流路28aへ、励磁状態(図7のタイムチャートにおける「ON」の状態)で第2の流体流路28bへ接続する。

第1の電磁弁51及び第2の電磁弁29は、制御装置23に接続されている。制御装置23は、織機4の図示しない主制御装置に接続されており、前記主制御装置からの運転信号(起動信号、停止信号S1)、及び、位置検出器22からの検出信号S2に基づき、図7のタイムチャートに記載するように、第1の電磁弁51及び第2の電磁弁29の動作を制御する。なお、本実施例では、流体圧シリンダ15を作動させる始点である第1の時点を織機停止時点、すなわち、織機4の主制御装置が停止信号S1を発生した時点としている。

次に、図5、6及び図7のタイムチャートを参照して、本実施例の経糸張力調整装置3の動作とその効果を、織機4の運転状況に対応させて説明する。

〔織機運転中の動作〕 図7のタイムチャートは織機4の運転状況に対する経糸張力調整装置3の動作を示すタイムチャートである。タイムチャートの左端に示すとおり、織機4の運転中、特にスダレ製織部の製織中において、制御装置23は、第1、第2の電磁弁51、29をともに非励磁状態(図7における「OFF」の状態)としている。第1、第2の電磁弁51、29がともに非励磁状態(OFF)のとき、図5に示すとおり、第2の供給・排出経路28が流体供給源50に接続されるとともに、第1の供給・排出経路27が第1の電磁弁51の排出ポートに接続される。また、第2の電磁弁29により、第1の流体流路28aが第2の圧力室26へ接続される。したがって、織機運転中、エアシリンダ15aには流体供給源50から供給される圧力空気が第1の流体流路28aを経由して第2の圧力室26に供給されている。その結果、エアシリンダ15aのピストン34に対し伸び方向(図5のピストン34における左側の面)に空気圧が作用しており、ロッド24は伸び方向のストロークエンドに位置した状態となっている。

前述したとおり、エアシリンダ15aのロッド24が伸び方向のストロークエンドに位置するとき、第3のレバー20と係合部材21とは係合せず、したがって、付勢装置11は経糸7の張力変動にともなう第1のダンサローラ10aの上下動を規制しない。このため、織機運転中、第1のダンサローラ10aは、作動伝達機構12に支持されることなくシート状の経糸列上に載置された状態となっており、経糸7に対しその自重の全てを作用させながら、その自重と製織中の経糸張力との釣り合いを維持するように経糸7の張力変動にともなって上下動する。なお、このとき、作動伝達機構12における第1、第2のレバー16、18等は、第1のダンサローラ10aにぶら下がった状態となっているため、これらの自重も経糸7に作用している。

その結果、織機4の運転中において、経糸張力調整装置3の第1のダンサローラ10aは、経糸7の張力が変動した場合、第2のダンサローラ10bと同様に、その自重と経糸7の張力との釣り合いを維持するように上下動し、その自重によって経糸7の張力を均一化するとともに一定の範囲に保つ。

〔織機停止時点(第1の時点)から織機再始動時点までの動作〕 織機4の運転中におけるスダレ製織部の製織中において、製織不良の発生、あるいは作業者による停止ボタン等の操作にともない織機4が停止すると共に、織機4の主制御装置は制御装置23に対し停止信号S1を出力する。図7に示すとおり、停止信号S1の入力を受けた制御装置23は、第1の電磁弁51を励磁状態(図7における「ON」の状態)とする。第1の電磁弁51が非励磁状態(OFF)から励磁状態(ON)に切り換えられることにより、第2の供給・排出経路28が流体供給源50に接続された状態から、第1の供給・排出経路27が流体供給源50に接続された状態へと切り換えられる。また、第2の供給・排出経路28は、第1の電磁弁51の排出ポートに接続された状態となる。

これにより、第1の時点としての織機停止時点から、エアシリンダ15aの第1の圧力室25に対し第1の供給・排出経路27を経由して流体供給源50からの圧力空気が供給される。その結果、エアシリンダ15aのピストン34に対し縮動方向(図5のピストン34における右側の面)に空気圧が作用し、エアシリンダ15aが作動状態となってロッド24が縮動方向へ変位する。また、ロッド24(ピストン34)の縮動方向への変位にともない、第2の圧力室26から第2の供給・排出経路28へ圧力空気が排出される。ただし、この時点においては、第2の電磁弁29は非励磁状態(OFF)であるため、第2の圧力室26から排出される圧力空気は、第1の流体流路28aを経由して排出される。なお、本実施例では、ロッド24は縮動方向のストロークエンドまで変位する。

エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向への変位にともない、自重で経糸7の張力と釣り合う位置にある第1のダンサローラ10aに対し、エアシリンダ15aの推力が作動伝達機構12を介して伝達される。より詳しく説明すると、エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向への変位にともない、係合部材21が第3のレバー20の係合面20aに当接し、エアシリンダ15aのピストン34に作用する圧力空気の流体圧がロッド24を介して第3のレバー20に作用する状態となる。これにより、第3のレバー20が第2の軸19周りに第1のダンサローラ10aを引き下げる方向(図2の時計回り方向)へ回動し、その回動が第2の軸19、第2のレバー18、第1の軸17、第1のレバー16の順で伝達され、第1のダンサローラ10aに対し、引き下げる方向の付勢力が作用する。その結果、第1のダンサローラ10aは、エアシリンダ15aのロッド24の変位速度に応じた速度で、その自重が経糸7の張力と釣り合う位置よりも下方へ向けて変位し、経糸7を牽引するとともに経糸経路を長くする。

なお、クリール装置2のボビン2aの惰性回転は次第に収束するため、第1のダンサローラ10aの下方への変位の過程において、ボビン2aの回転は、惰性で回転する状態から第1のダンサローラ10aによる経糸7の牽引によって回転させられる状態へと移行する。

エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向への変位過程で、ロッド24に取り付けられているセンサプレート22bが近接センサ22aによって検出されると、制御装置23に対し位置検出器22から検出信号S2が出力される。制御装置23は、その検出信号S2を受けた時点で第2の電磁弁29を励磁状態(ON)とする。すなわち、ロッド24の縮動方向への変位過程でロッド24の変位量が所定量に達したことにともない、第2の電磁弁29が励磁状態(ON)とされる。なお、位置検出器22は、近接センサ22aがセンサプレート22bを検出している間は検出信号S2がONの状態を維持する。そして、制御装置23は、その検出信号S2がONの状態である限り、第2の電磁弁の励磁状態(ON)を維持する。

第2の電磁弁29が非励磁状態(OFF)から励磁状態(ON)に切り換えられることにより、図6に示すとおり、第2の圧力室26は、第1の流体流路28aに接続された状態から第2、第3の流体流路側28b、28cに接続された状態へ切り換えられる。第3の流体流路側28cの逆止弁52aは圧力空気が第2の圧力室26からの排出方向に流れるときは閉じるので、制御装置23に検出信号S2が入力された時点から、エアシリンダ15aの第2の圧力室26からの圧力空気の排出は、第2の流体流路28bを経由して行われる。これにより、第2の圧力室26からの圧力空気の単位時間当たりの排出量が減少し、ロッド24の変位速度が遅くなる方向へ変化する。

この結果、第1のダンサローラ10aの下降速度も、エアシリンダ15aにおけるロッド24の変位速度の変化に応じて、これまでよりも遅い速度に変更される。これにともない、第1のダンサローラ10aに牽引されてクリール装置2から引き出されている経糸7の引き出し速度がそれまでよりも遅い速度に変更され、経糸7が引き出されることによって回転されていたクリール装置2におけるボビン2aの回転速度も遅い速度に変更される。その後、エアシリンダ15aのロッド24は、縮動方向のストロークエンドに達した時点で移動を停止し、これにともなって第1のダンサローラ10aの下方への移動も停止する。

エアシリンダ15aのロッド24が縮動方向のストロークエンドに達した時点以降も、制御装置23は、エアシリンダ15aの第1の圧力室25へ圧力空気が供給されるように流体供給装置13の空気圧回路の状態を維持している。その結果、エアシリンダ15aのロッド24は、縮動方向のストロークエンドで縮動方向に付勢された状態のままとなっている。したがって、第1のダンサローラ10aは、引き下げる方向の付勢力が作用した状態に維持されており、経糸7の緊張状態が保たれる。

このように、織機停止時点(第1の時点)から織機再始動時点までの期間において、経糸張力調整装置3の第1のダンサローラ10aは、下方へ向けて変位され、第1のダンサローラ10aによって経糸7を牽引するとともに経糸経路を長くするので、織機4の停止時にクリール装置2でのボビン2aの惰性回転に起因して発生する経糸7の緩みを吸収する。

そして、本発明による経糸張力調整装置3では、エアシリンダ15aのロッド24が縮動方向のストロークエンドに達した時点以降も織機4の再始動までの織機4の停止期間中に亘って流体圧シリンダ15により第1のダンサローラ10aに引き下げる方向の付勢力を作用させ続けるので、経糸7の緊張状態を保つことができ、第1のダンサローラ10aが最下降位置から経糸によって持ち上げられて第1のガイドローラ36aよりも上流側のドロッパ装置8で誤検出により経糸切れ検出信号S1が出力されてしまうことが防止される。したがって、織機4を再始動するために経糸切れ検出信号を無視する必要が生じず、経糸切れをドロッパ装置8で監視したままの状態を維持することができるので、経糸切れが見過ごされて織機4が再始動されて再び停止することがなく、織機4の再始動を安定して行える。

さらに、本実施例の経糸張力調整装置3では、制御装置23が、エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向への変位過程において、ロッド24の変位速度を、ロッド24が縮動方向のストロークエンドに到達する前に減速し、経糸7を牽引する第1のダンサローラ10aが急停止するのを防止している。これにより、第1のダンサローラ10aの急停止にともなう経糸7のオーバランを防ぐことができ、そのオーバランに起因する経糸7の緩みの発生を防止することができる。

〔織機再始動時点からスダレ製織の定常運転回転数に達する時点(第2の時点)までの動作〕 タイヤコード製織装置1においては、スダレ製織部を製織中に停止した織機4を再始動する際、その再始動に伴ってクリール装置2のボビン2aから経糸7が急激に引き出されて乱れることを防止する目的で、織機4を、任意設定された起動主軸回転数(例えば、300rpm)で始動させ、その後、数ピック(例えば、30ピック程度、時間にして3〜5秒間)をかけて加速させてスダレ製織の定常運転回転数(例えば900rpm)に達するような始動運転を行う場合があり、本実施例でも、そのような始動運転が行われるものとする。

そして、経糸等力調整装置3においては、織機4の再始動にともない、制御装置23に対し織機4の主制御装置からの再始動を示す起動信号が出力される。制御装置23は、前記起動信号を受けて作動するタイマー(図示せず)を備えており、予め設定された時間が経過したことを示す信号が前記タイマーから出力された時点で、第1の電磁弁51を非励磁状態(OFF)にする。なお、前記タイマーに予め設定されている時間とは、織機の再始動時点から再始動後の第2の時点までの期間に相当する時間であり、第2の時点とは、本実施例では、前記した始動運転で織機4の主軸回転数が再始動後においてスダレ製織の定常運転回転数に達する時点としている。具体的には、スダレ製織の定常運転回転数900rpmに達する再始動から30ピック程度の製織が行われる期間に相当する3〜5秒程度が前記タイマーに予め設定される。

制御装置23は、前記タイマーの作動中の前記第2の時点までは、第1の電磁弁51の励磁状態(ON)を維持している。したがって、エアシリンダ15aのロッド24は、縮動方向のストロークエンドで縮動方向に付勢されたままの状態となっており、第1のダンサローラ10aに引き下げる方向の付勢力が作用した状態が維持される。また、位置検出器22からの検出信号S2もONの状態のままとなっているため、第2の電磁弁29も励磁状態(ON)に維持されている。

このように、織機4の再始動後の第2の時点まで、第1のダンサローラ10aに引き下げる方向の付勢力を作用させ続けるので、織機の再始動とともに第1のダンサローラ10aに対する付勢力を解除する場合に比べて、織機4の再始動直後に発生する経糸張力の上昇による第1のダンサローラ10aの跳ね上りをより防止できる。それにより、織機4の再始動後に生じる経糸7の振動が防止され、その経糸7の振動に起因するドロッパ装置8による経糸切れの誤検出を有効に防止でき、織機4の再始動が支障なく行われる。

〔第2の時点以降の動作〕 制御装置23は、予め設定された時間が経過したことを示す信号を前記タイマーから受信すると、第1の電磁弁51を非励磁状態(OFF)にする。これにともない、第1の供給・排出経路27が流体供給源50に接続された状態から第2の供給・排出経路28が流体供給源50に接続された状態へ切り換えられる。また、第1の供給・排出経路27は、第1の電磁弁51の排出ポートに接続された状態となる。したがって、第2の時点以降では、流体供給源50から供給される圧力空気は第2の供給・排出経路28を経由してエアシリンダ15aの第2の圧力室26に供給される。

その結果、エアシリンダ15aのピストン34に対し伸び方向に空気圧が作用し、ロッド24は伸び方向へ変位し、ストロークエンドで静止する。また、ロッド24(ピストン34)の伸び方向への変位にともない、第1の圧力室25から第1の供給・排出経路27へ圧力空気が排出される。なお、第2、第3の流体流路28b、28cを経由して第2の圧力室26へ圧力空気を供給するとき、第2の流体流路28bには絞り弁52が設けられていて流路抵抗が大きく、一方で、第3の流体流路28cには逆止弁52aが設けられているが、この逆止弁52aは圧力空気が第2の圧力室26への供給方向へ流れるときに開放されるものであって絞り弁52より流路抵抗が小さい。このため、流体供給源50からの圧力空気は、主として第3の流体流路28cにより第2の圧力室26へ供給されることになる。

なお、ロッド24の伸び方向への変位過程で、位置検出器22からの検出信号S2がONからOFFに切り換わり、これにより第2の電磁弁29も励磁状態(ON)から非励磁状態(OFF)に切り換わるため、第2の圧力室26へ圧力空気を供給する流路も第2、第3の流体流路28b、28cから第1の流体流路28aへ切り換わる。ただし、前述したとおり、第3の流体流路28cを通る圧力流体の流量と、第1の流体流路28aを通る圧力流体の流量とは同じなので、ロッド24の伸び方向への変位過程でロッド24の変位速度は一定である。

エアシリンダ15aのロッド24が伸び方向へ変位するのにともない、第1のダンサローラ10aに対してエアシリンダ15aによる引き下げる方向の付勢力が作用しない状態となり、第1のダンサローラ10aは、その自重と、経糸張力とが釣り合う上方の位置へ向けて変位する。

以上、本発明の一実施例を図1〜図7に基づいて説明したが、本発明の実施態様は、前記一実施例に限定されるものではなく、以下のような変形例が考えられる。

〔流体圧シリンダとして単動式シリンダを用いた変形例〕 図1〜図7で示した実施例では、流体圧シリンダ15として複動式のエアシリンダ15aを採用しているが、これに代えて、流体圧シリンダ15として単動式のシリンダを採用してもよい。このように、本発明の流体圧シリンダ15は、複動式及び単動式のいずれの作動方式でもよい。例えば、図8、図9に示す流体供給装置14では、流体圧シリンダ15として単動型式の流体圧シリンダ15を採用している。

また、流体圧シリンダ15に供給される圧力流体は、圧力空気等の圧縮性の圧力流体及び作動油等の非圧縮性の圧力流体のいずれでもよい。以下に示す図8、図9の例では、流体圧シリンダ15に供給される圧力流体として作動油を採用しており、流体圧シリンダ15として単動式の油圧シリンダ15bを採用している。なお、経糸張力調整装置3を構成する部分のうち流体供給装置14以外の部分は、図1〜図7で示した実施例と共通であるので、説明を省略する。

ここで、図8、図9の例における経糸張力調整装置3と、本発明の発明特定事項との対応関係を簡単に説明する。図8、図9において、作動油の油圧で作動する油圧シリンダ15bは、本発明の付勢装置11における流体圧シリンダ15に相当する。また、図8、図9に示す例は、図1〜図7で示した実施例と同様に、付勢ローラ10aの下降中の変位速度を変位過程で切り換えている。そして、付勢ローラ10aの変位速度を切り換えるための構成として、図8、図9に示す例の付勢装置11は、流体供給装置14を備えている。

次に、図8、図9に示す実施例の流体供給装置14の構成について説明する。図8及び図9はいずれも同一の流体供給装置14に関する油圧回路を示している。図8は、スダレ製織部の製織中における流体供給装置14の油圧回路の状態を示しており、図9は、織機停止後、油圧シリンダ15bのロッド57の縮動中における流体供給装置14の油圧回路の状態を示している。

油圧シリンダ15bは、単動式の油圧シリンダであり、ピストン34と、ピストン34に連結されたロッド57と、ピストン34に対し油圧を作用させる圧力室30と、圧力室30へ通じる吸排ポート30aと、ピストン34に対してロッド57を伸び方向に付勢力を作用するスプリング30bとを備えている。油圧シリンダ15bは、吸排ポート30aからの作動油の供給により、ロッド57を縮動させる油圧をピストン34に対し作用させる。一方、スプリング30bは、ピストンに対しロッドを伸ばす方向の付勢力を常に作用させている。そして、吸排ポート30aが、作動油の排出用の作動油タンク65に連通されると、スプリング30bの付勢力によりピストン34が移動するのに伴って、吸排ポート30aから作動油が排出される。

油圧シリンダ15bに作動油を供給する流体供給装置14は、主要な構成として、エアシリンダ15bのロッド57の位置を検出する位置検出器22と、油圧シリンダ15bの圧力室30に接続された供給・排出経路32と、供給・排出経路32への経路を流体供給源58から供給される作動油の経路と作動油タンク65へ排出される作動油の経路とのいずれか一方に選択的に切り換える第1の電磁弁55と、油圧シリンダ15bへの作動油の供給・排出を制御する制御装置31とを備えている。

さらに、図8、図9の例では、油圧シリンダ15bのロッド57の縮動方向(作動方向)への変位の過程でロッド57の変位速度を変化させるために、油圧シリンダ15bの作動にともなうロッド57の縮動方向への変位過程において、圧力室30への作動油の供給量を変化させている。そして、そのための構成として、供給・排出経路32は、圧力室30への作動油の供給用の2つの経路、すなわち第1の流体流路32a及び第2の流体流路32bと、ロッド57の変位に応じて前記2つの流体流路32a、32bのうちの一方から他方へ選択的に切り換える第2の電磁弁33を有している。

ここで、図8、図9の例では、第2の電磁弁33が、本発明における「切換装置」に相当する。なお、位置検出器22は、前記実施例と同様のフレーム6側に固定配置された近接センサ22aと、エアシリンダ15aのロッド24側に固定されたセンサプレート22bとで構成されており、油圧シリンダ15bのロッド57の変位にともなってセンサプレート22bと近接センサ22aとが対向した状態となったとき、検出信号S2を制御装置31に出力する。

図8、図9の例では、圧力流体としての作動油を供給する流体供給源58には、作動油の圧力を一定の圧力に減圧する減圧弁59を介して、油圧シリンダ15bの伸縮を切り換える第1の電磁弁55が接続されている。第1の電磁弁55には、油圧シリンダ15bの圧力室30に接続される供給・排出経路32と、作動油タンクへの排出経路とが接続されている。第1の電磁弁55は、流体供給源58からの作動油の経路を供給・排出経路32に接続する状態と、流体供給源58からの作動油の経路を遮断すると共に供給・排出経路32を作動油タンクへの排出経路に接続する状態とのいずれか一方に選択的に切り換えることにより、油圧シリンダ15bの伸縮を切り換える。なお、第1の電磁弁55は、流体供給源58から供給される作動油の経路を、励磁状態(「ON」の状態)で供給・排出経路32に接続し、非励磁状態(「OFF」の状態)で流体供給源58から供給される作動油の経路を遮断すると共に、供給・排出経路32を作動油タンクへの排出経路に接続するものとする。

供給・排出経路32は、油圧シリンダ15bの圧力室30に接続される第1の流体流路32a、第2の流体流路32b及び第3の流体流路32cと、圧力室30へ供給される作動油の経路を第1の流体流路32a側及び第2の流体流路32b側のいずれか一方側から他方側へ選択的に切り換える切換装置としての第2の電磁弁33とを備えている。

第1の流体流路32aは、圧力室30への作動油の供給と、圧力室30からの作動油の排出とに兼用される。第2の流体流路32bは、圧力室30への作動油の供給用であり、第3の流体流路32cは圧力室30からの作動油の排出用である。また、これら流体流路は、圧力室30の吸排ポート30aに連通する部分が共通の流路として形成され、吸排ポート30aよりも第2の電磁弁33側で第1の流体流路32aと、第2及び第3の流体流路32b、32cとに分岐させられ、それぞれ第2の電磁弁33の異なるポートに接続されている。さらに、第2、第3の流体流路32b、32cは、第2の電磁弁33に連通する部分が共通の流路として形成され、吸気排ポート30aよりも第2の電磁弁33側で一旦分岐した後、再び合流して第2の電磁弁33に接続されている。

第2の流体流路32bは、流路中に絞り弁56を備えている。絞り弁56は、絞り作用によって通過する作動油の流量を規制する流量制御弁であり、調節によって、圧力室30への供給方向について、第2の流体流路32bの流量は第1の流体流路32aの流量よりも少なく設定されている。

また、第3の流体流路32cは、その流路中に逆止弁56aを備えており、逆止弁56aは、圧力室30への供給方向で流路を閉じ、圧力室30からの排出方向で流路を開放するように設けられている。なお、第3の流体流路32cは、第1の流体流路32aと同じ直径の油圧管で構成されている。したがって、第3の流体流路30cを通る作動油の流量は、第1の流体流路32aを通る作動油の流量と等しいものとなる。

第2の電磁弁33は、第1の電磁弁のポートに接続されると共に、第1の電磁弁から供給される作動油の経路を第1の流体流路32a側と第2の流体流路32b側とのいずれか一方に選択的に切り換えることにより、油圧シリンダ15bのロッド57の縮動方向(作動方向)への変位過程において、ロッド57の変位速度を切り換える。なお、図8、図9の例では、第2の電磁弁33は、圧力室30へ供給される作動油の経路を、非励磁状態(「OFF」の状態)で第1の流体流路32a側へ、励磁状態(「ON」の状態)で第2の流体流路32b側へ接続する。

第1の電磁弁55及び第2の電磁弁33は、制御装置31に接続されている。制御装置31は、織機4の図示しない主制御装置に接続されており、該主制御装置からの運転信号(起動信号、停止信号S1)、及び、位置検出器22からの検出信号S2に基づき、第1の電磁弁55及び第2の電磁弁33の動作を制御する。

以上のような流体供給装置14において、制御装置31が、前記実施例と同様に図7に示したタイムチャートに従って第1の電磁弁55及び第2の電磁弁33を制御する場合を考えると、油圧シリンダ15b及び第1のダンサローラ10aの動作は以下のとおりとなる。なお、この場合において、図7中、第1の電磁弁51、第2の電磁弁29、エアシリンダ15aとあるのは、それぞれ第1の電磁弁55、第2の電磁弁33、油圧シリンダ15bとする。

織機4の運転中、第1の電磁弁55及び第2の電磁弁33は非励磁状態(OFF)とされ、油圧シリンダ15bのロッド57はスプリング30bの付勢力によって伸び方向へ付勢された状態で伸び方向のストロークエンドで静止している。そのため、係合部材21と第3のレバー20とは係合せず、第1のダンサローラ10aは付勢装置11によって上下動を規制されない。したがって、第1のダンサローラ10aは、その自重と経糸7の張力との釣り合いを維持するように上下動し、経糸7の張力を均一化するとともに一定の範囲に保つ。

織機4が停止した場合、図示しない織機4の主制御装置は制御装置31に対し停止信号S1を出力し、停止信号S1の入力を受けた制御装置31は、第1の電磁弁55を励磁状態(ON)へ切り換える。それにより、供給・排出経路32が、流体供給源58からの作動流体の経路を、遮断された状態から接続された状態へと切り換えられる。

これにより、第1の時点としての織機停止時点から、油圧シリンダ15bの圧力室30に対し供給・排出経路32を経由して流体供給源58からの作動油が供給される。その結果、油圧シリンダ15bのピストン34に対し油圧が作用し、油圧シリンダ15bが作動状態となってロッド57が縮動方向へ変位する。この時点においては、第2の電磁弁33は非励磁状態(OFF)であるため、圧力室30へ供給される作動油は、第1の流体流路32aを経由して供給される。なお、図8、図9の例でも、ロッド57は、ストロークエンドまで変位する。

ロッド57の縮動方向への変位にともない、自重で経糸7の張力と釣り合う位置にある第1のダンサローラ10aに対し、油圧シリンダ15bの推力が作動伝達機構12を介して伝達され、第1のダンサローラ10aに対し、引き下げる方向の付勢力が作用する。その結果、第1のダンサローラ10aは、油圧シリンダ15aのロッド57の変位速度に応じた速度で、その自重が経糸7の張力と釣り合う位置よりも下方へ向けて変位し、経糸7を牽引するとともに経糸経路を長くする。

第1のダンサローラ10aの下方への変位過程、すなわち、油圧シリンダ15bのロッド57の縮動方向への変位過程でロッド、位置検出器22の近接センサ22aがセンサプレート22bを検出すると、近接センサ22aの検出信号S2を受信した制御装置31は、第2の電磁弁33を励磁状態(ON)とし、圧力室30への作動油の供給経路を第1の流体流路32aから第2の流体流路32bへ切り換え、圧力室30への作動油の供給量を絞り、ロッド57の変位速度すなわち第1のダンサローラ10aの下方への変位速度を遅くする。このとき、流体供給装置14に関する油圧回路は図9の状態となっている。

油圧シリンダ15bのロッド57が縮動方向のストロークエンドまで変位した後、制御装置31は、織機再始動時点以降の第2の時点まで図9に示した油圧回路の状態を保持し、油圧シリンダ15bの圧力室30に油圧を作用させ続けて油圧シリンダ15bの作動を継続する。これにより、第2の時点まで、第1のダンサローラ10aには引き下げる方向の付勢力が作用し続ける。

第2の時点において、制御装置31は、第1の電磁弁55を非励磁状態(OFF)として油圧シリンダ15bへの作動油の供給を遮断し、油圧シリンダ15bのロッド57はスプリングの付勢力により伸び方向へ変位する。ロッド57の伸び方向への変位過程で近接センサ22aの検出信号S2がOFFとなると、制御装置31は、第2の電磁弁33を非励磁状態(OFF)とし、圧力室30からの作動油の排出経路を第2の流体流路32bから第1の流体流路32aへ切り換える。これにより、流体供給装置14は図8に示した油圧回路の状態へ戻り、係合部材21と第3のレバー20との係合が解除され、第1のダンサローラ10aは、その自重を経糸7の張力との釣り合いを維持するように上下動し、その自重によって経糸7の張力を均一化するとともに一定の範囲に保つ。

なお、図8、図9に示す実施例の流体供給装置14の動作にともなう効果は、図1〜図7で示した実施例と同様であるので、説明を省略する。

〔切換装置としての電磁弁の変形例〕 以上で説明した図5、図6の実施例や図8、図9の変形例では、第1の電磁弁と切換装置としての第2の電磁弁とをそれぞれ別体の電磁弁として設けているが、これに限らない。第1の電磁弁と切換装置としての第2の電磁弁とを切換装置としての一体の電磁弁として設けるようにしてもよい。例えば、図10に示す実施例の流体供給装置60は、図8、図9に示した流体供給装置14における二つの電磁弁すなわち第1の電磁弁55、第2の電磁弁33に換えて、切換装置としての電磁弁61を一つ設けたものである。油圧シリンダ15bは、供給・排出経路63を介して流体供給源58に接続されている。流体供給装置58の下流には油圧を調整するリリーフ弁62が接続されている。供給・排出経路63は、第1の流体流路63aと、絞り弁64が取り付けられる第2の流体流路63bと、第1の流体流路63a及び第2の流体流路63bの一方から他方へ切り換える切換装置としての電磁弁61とを備えている。

電磁弁61は、ダブルソレノイド式の3位置電磁弁であり、第1の励磁状態で流体供給源58と第1の流体流路63aとを接続し、第2の励磁状態で流体供給源58と第2の流体流路63bとを接続し、非励磁状態で作動油タンク65と第1の流体流路63aとを接続するとともに流体供給源58と油圧シリンダ15bとの接続を遮断するように構成されている。なお、図10は、スダレ製織部の製織中における流体供給装置60の油圧回路の状態を示しており、電磁弁61は非励磁状態であり、油圧シリンダ15bのロッド57は伸び方向のストロークエンドで静止し、第3のレバー20と係合部材21とは係合せず、第1のダンサローラ10aは経糸7の張力変動に応じて自由に上下動できる状態である。

織機4が停止した場合、織機4の図示しない主制御装置は、制御装置66に対し停止信号S1を出力し、制御装置66は電磁弁61を第1の励磁状態とし、供給・排出経路63の第1の流体流路63aを通じて油圧シリンダ15bの圧力室30へ作動油を供給する。これにより、油圧シリンダ15bのロッド57は縮動方向へ変位し、係合部材21と第3のレバー20とを係合させ、第2の軸19等の作動伝達部材12を介して第1のダンサローラ10aに対し引き下げる方向の付勢力を作用させる。第1のダンサローラ10aは経糸7を牽引しつつ下方へ変位する。

第1のダンサローラ10aの下方への変位過程、すなわち、油圧シリンダ15bのロッド57の縮動中、位置検出器22の近接センサ22aがセンサプレート22bを検出すると、近接センサ22aの検出信号S2を受信した制御装置66は、電磁弁61を第2の励磁状態とし、圧力室30への作動油の供給経路を第1の流体流路63aから第2の流体流路63bへ切り換え、圧力室30への作動油の供給量を絞ることで、第1のダンサローラ10aの下方への変位速度を遅くしている。

〔第1の時点に関する変形例〕 以上で説明した実施例では、流体圧シリンダ15を作動させる始点である第1の時点を織機停止時点、すなわち、織機4の主制御装置が停止信号S1を発生した時点としているが、第1の時点は織機停止時点に限定されない。第1の時点は、停止信号S1が発生した時点から織機4の停止にともなう経糸の緩みをドロッパ装置8が経糸切れとして誤検出してしまうまでの間の期間内であればよく、その期間内において任意に設定可能である。

なお、織機停止時点よりも後の時点を第1の時点とする場合は、例えば、制御装置23、31、66が停止信号S1を受けて作動する第1の時点用のタイマーを備えるものとし、タイマーに織機停止時点から第1の時点までの期間に相当する時間を予め設定しておき、設定した時間が経過したことを示すタイマーからの信号を受けた制御装置がエアシリンダを作動状態とする(第1の電磁弁51、55、61を励磁状態とする)ようにしてもよい。

〔第2の時点に関する変形例〕 以上で説明した実施例では、流体圧シリンダ15の作動を制御する制御装置23、31、66がタイマーを備え、制御装置自身が織機再始動時点から第2の時点までの期間(織機再始動時点からスダレ製織の定常運転回転数に達する時点)までの期間の経過を監視するものとしたが、期間の経過を監視する装置は制御装置に限定されない。例えば、織機4の主制御装置が第2の時点までの期間の経過を監視するものとし、第2の時点に達した時点で織機4の主制御装置から経糸張力調整装置3の制御装置23、31、66に対し信号が出力され、信号を受けた制御装置23、31、66が流体圧シリンダ15を作動方向と逆方向へ動作させ、第1のダンサローラ10aに対する付勢力を解除してもよい。なお、この場合、制御装置23、31、66に備えられていたタイマーは省略される。

なお、織機4の主制御装置による、織機再始動時点から第2の時点までの期間の経過の監視については、例えば、次の構成が考えられる。織機4の主制御装置が備えるタイマーに織機再始動時点から第2の時点までの期間に相当する時間を予め設定しておき、織機再始動後、タイマーが第2の時点に達したことを示す信号を発した時点で、織機4の主制御装置が経糸張力調整装置3の制御装置23、31、66に対して流体圧シリンダ15を作動方向と逆方向へ動作させるための信号を出力し、信号を受けた制御装置23、31、66が流体圧シリンダ15を作動方向と逆方向へ動作させ、第1のダンサローラ10aに対する付勢力を解除する。

または、織機4の主制御装置が、織機4の主軸回転数に基づいて織機再始動時点から第2の時点までの期間の経過を監視するものとしてもよい。例えば、図示しない主軸の回転数を検出するエンコーダからの信号により、織機再始動後、主軸回転数がスダレ製織の定常運転回転数に達した時点で第2の時点に達したことを把握し、把握した時点で、織機4の主制御装置が経糸張力調整装置3の制御装置23、31、66に対して流体圧シリンダ15を作動方向と逆方向へ動作させるための信号を出力し、第1のダンサローラ10aに対する付勢力を解除してもよい。

さらに、以上で説明した実施例では、織機再始動以降も第2の時点までに亘って流体圧シリンダ15の作動を継続しているが、織機再始動と同時に流体圧シリンダ15を作動方向と逆方向へ動作させ、第1のダンサローラ10aに対する付勢力を解除してもよい。この場合、前記タイマーは省略される。また、経糸張力調整装置3の制御装置23、31、66による織機再始動の把握は、織機再始動の操作にともなって織機4の主制御装置から経糸張力調整装置3の制御装置23、31、66に対し織機再始動を示す信号が出力されるものとすればよい。

〔付勢ローラの下方への変位に関する変形例〕 以上で説明した実施例では、第1の時点からの付勢ローラとしての第1のダンサローラ10aの下方への変位過程において、流体圧シリンダ15におけるロッド24、57の変位速度を変化させて付勢ローラの下方への変位速度を変化させているが、本発明においては、付勢ローラの下方への変位速度を変化させることは必須では無く、付勢ローラの下方への変位が一定の速度で行われるようにしてもよい。なお、その場合、例えば図1〜図7で示した実施例では、第2の供給・排出経路28における第2の電磁弁29及び第2、第3の流体流路28b、28cを省略することが可能である。また、図8、図9に示す実施例では、供給・排出経路32における第2の電磁弁33及び第2の流体流路32bを省略することが可能である。

また、以上で説明した実施例のように変位速度を一段階で変化させるものに換えて、複数段階に亘って変位速度をより遅い速度に段階的に変化させてもよいし、変位速度を連続的に無段階に遅い速度へ変化させるようにしてもよい。

例えば、図1〜図7で示した実施例の第2の供給・排出経路28の第2の流体流路28bの絞り弁52に換えて、電動式の絞り弁を設け、制御装置23が電動式の絞り弁の絞り量をロッド24の変位に応じて増やすように制御し、第2の流体流路28bを通過する圧力流体の流量を段階的に変化させるようにしてもよいし、第2の流体流路28bを通過する圧力流体の流量を連続的に変化させるようにしてもよい。

また、付勢ローラの下方への変位速度を複数段階に亘ってより遅い速度に段階的に変化させる場合、例えば、流体供給装置67を図11に示すように構成してもよい。流体供給装置67は、第1の供給・排出経路69と第2の供給・排出経路70とを備え、第2の供給・排出経路70は、第1の流体流路70aと、逆止弁付きの絞り弁72により各々が異なる流量に設定された複数の第2の流体流路70bと、各流体流路に接続された複数の第2の電磁弁71とを備えている。第1のダンサローラ10aの下方への変位過程において、制御装置68はロッド24の変位に応じて各電磁弁71により流体流路を順次切り替え、付勢ローラとしての第1の電磁弁10aの下方への変位速度を段階的に変化させる。この場合、流体供給装置67の位置検出器22は、エアシリンダ15aのロッド24の縮動方向に複数の近接センサ22aを備え、各近接センサ22aからの信号に基づいて、制御装置68が各第2の電磁弁71の励磁状態を順次切り換える。

なお、図示しないが、流体供給装置67は、近接センサ22aを1つ備える位置検出器22と、位置検出器22からの信号によって作動する複数のタイマーとを備える制御装置68とを有し、制御装置68は、複数の異なる切換時間が設定されたタイマーからの信号に基づいて各第2の電磁弁71の励磁状態を順次に切り換えてもよい。

〔供給・排出経路に関する変形例〕 以上で説明した実施例、例えば、図1〜図7で示した実施例では、第2の供給・排出経路28の第2の流体流路28bに絞り弁52を設け、絞り弁52の調節により第2の流体流路28bの流量を第1の流体流路28aの流量よりも少なくしているが、流量の調整は、絞り弁によるものに限らない。例えば、第2の流体流路28bに絞り弁52を設けずに、第2の流体流路28bを第1の流体流路28aよりも直径の小さい管(エアチューブ)で構成することにより、第2の流体流路28bの流量を第1の流体流路28aの流量に対して少なく設定するようにしてもよい。

また、以上で説明した実施例、例えば、図1〜図7で示した実施例では、第2の供給・排出経路28に逆止弁52aを備える第3の流体流路28cを設けて、圧力室26へ圧力空気を供給するときは圧力空気の流量を絞らない構成としているが、圧力室26へ圧力空気を供給するときに圧力空気の流量を絞る構成としてもよい。例えば、第2の供給・排出経路28に逆止弁を備える第3の流路28cを設けずに、圧力室26への供給方向においては、第1の流体流路28aよりも流量を少なく設定された第2の流体流路28bから圧力空気を供給するようにしてもよい。

あるいは、第2の供給・排出経路28に逆止弁を備える第3の流路28cを設けずに、圧力室26への供給方向においては、必ず第1の流体流路28aから圧力空気を供給するようにしてもよい。なお、この場合、制御装置23は、第1の電磁弁51の非励磁状態への切り換えと同時に第2の電磁弁29も非励磁状態へと切り換える。

図12に示す流体供給装置73は、図5、図6で示した流体供給装置13にから逆止弁52aが接続される第3の流体流路28cを省き、第2の供給・排出経路75を第1の流体流路75a、第2の流体流路75b及び第2の電磁弁29により構成したものである。この場合、制御装置74は、図13のタイムチャートに示すとおり、第1の電磁弁51の非励磁状態(OFF)への切り換え時点では第2の電磁弁29を励磁状態(ON)のままとし、位置検出器22からの信号がOFFとなった時点で、第2の電磁弁29を非励磁状態(OFF)へと切り換えて、第2の圧力室26へ圧力空気を供給する流路を第2の流体流路75bから第1の流体流路75aへ切り換えるようにしてもよい。図12、図13に示す実施例では、エアシリンダ15aのロッド24は、伸び方向への変位過程で、位置検出器22からの信号がOFFとなった時点以降、変位速度は遅い速度から速い速度へと変化する。

あるいは、図14に示すタイムチャートに示すとおり、第1の電磁弁51の非励磁状態(OFF)への切り換えと同時に第2の電磁弁29を非励磁状態(OFF)へと一旦切り換えた後、更に、例えば位置検出器22からの信号に基づいて、制御装置74が第2の電磁弁29を再び励磁状態(ON)に切り換え、ロッド24の伸び方向への変位過程で変位速度を遅い速度に変化させ、付勢ローラとしての第1のダンサローラ10aが上方へ跳ね上がることを抑制するようにしてもよい。そして、制御装置74は、ロッド24が伸び方向のストロークエンドへ変位を完了した後、位置検出器22の信号がOFFになった時点から動作しているタイマーからの信号に基づいて、第2の電磁弁29を非励磁状態(ON)に切り換える。なお、タイマーは制御装置74または織機4の主制御装置のいずれかに設けられる。

図15に示す流体供給装置76は、図8、図9で示した流体供給装置14から逆止弁が接続される第3の流体流路32cを省き、供給・排出経路78を第1の流体流路78a、第2の流体流路78b及び第2の電磁弁33により構成したものである。制御装置77が例えば図7に示したタイムチャートにしたがって第1の電磁弁55及び第2の電磁弁33を制御する場合を考えれば、油圧シリンダ15bのロッド57は、縮動方向への変位過程で変位速度が速い速度から遅い速度へ変化し、伸び方向への変位過程で変位速度が遅い速度から速い速度へ戻る。なお、この場合において、図7中、第1の電磁弁51、第2の電磁弁29、エアシリンダ15aとあるのは、それぞれ第1の電磁弁55、第2の電磁弁33、油圧シリンダ15bとする。

以上で説明した実施例、例えば、図5、図6で示した実施例では、供給・排出経路28を流量の異なる二つの流路(第1の流体流路28a、第2の流体流路28b)により構成し、前記二つの流路を第2の電磁弁29により切り換えて流体圧シリンダ15に対する圧力流体の供給量または排出量を変化させて、流体圧シリンダ15の変位速度すなわち付勢ローラとしての第1のダンサローラ10aの下方への変位速度を変化させているが、例えば、第2の供給・排出経路を一つの流体流路により構成し、一つの流体流路に切換装置としての電動式の絞り弁を設け、位置検出器からの信号に基づいて、制御装置が電動式の絞り弁を制御して、流体圧シリンダ15に対する圧力流体の供給量または排出量を増減させてもよい。

〔流体圧シリンダの配置に関する変形例〕 以上で説明した実施例、例えば、図1〜図7で示した実施例では、流体圧シリンダ15としてのエアシリンダ15aを一対のフレーム6のそれぞれに設けているが、これに限らない。例えば、図1〜図7で示した実施例において、流体圧シリンダ15をひとつのみ設け、一対のフレーム6間に掛け渡された通しの第2の軸19を介して第1のダンサローラ10aに対し引き下げる方向の付勢力を作用させるようにしてもよい。なお、流体圧シリンダ15をひとつのみ設ける場合、幅方向における流体圧シリンダ15の配置は、流体圧シリンダ15を一対のフレーム6間の任意の位置としてもよいし、一対のフレーム6のいずれか一方側に配置するようにしてもよい。

図1〜図7で示した実施例では、直交方向における流体圧シリンダ15の配置を第2の軸19よりも上流側かつ下方とし、第3のレバー20が、第2の軸19よりも下方の位置で回動方向に面する両端面のうちの下流側の端面を係合部材21で押圧される構成としているが、これに限らず、例えば、図16(b)〜図16(d)に記載した配置としてもよい。なお、図(a)は、図1〜図7で示した実施例における流体圧シリンダ15の配置を模式的に示したものである。

図16(b)は、流体圧シリンダ15が第2の軸19よりも上流側かつ上方に配置され、第3のレバー20が、第2の軸19よりも上方の位置で、上流側の端面を係合部材12で押圧される構成を示している。この構成では、流体圧シリンダ15の作動方向は伸び方向となる。図16(c)は、流体圧シリンダ15が第2の軸19よりも下流側かつ下方に配置され、第3のレバー20が、第2の軸19よりも下方の位置で下流側の端面を係合部材21で押圧される構成を示している。この構成では、流体圧シリンダ15の作動方向は伸び方向となる。図16(d)は、流体圧シリンダ15が第2の軸19よりも下流側かつ上方に配置され、第3のレバー20が、第2の軸19よりも上方の位置で上流側の端面を係合部材21で押圧される構成を示している。この構成では、流体圧シリンダ15の作動方向は縮動方向となる。

以上で説明した実施例では、第1の軸17を第1のレバー16と別体の部材として設けているが、第1の軸17を第1のレバー16から突出するかたちで一体的に形成された軸部として設けてもよい。また、第1の軸17を一対の第1のレバー16のそれぞれに設けているが、例えば、第1の軸17を一対の第1のレバー16の間に掛け渡される通しの軸として設け、第1の軸17によって第1のダンサローラ10aを引き下げる方向に作用する付勢力を一対の第1のレバー16間で平均化するようにしてもよい。さらに、以上で説明した実施例では、第2の軸19を、一対のフレーム6間に掛け渡される通しの軸としているが、第2の軸19を通しの軸とせずに、一対のフレーム6のそれぞれに対して設けてもよい。

以上で説明した実施例では、連結軸38をその両端が一対の第1のレバー16に固定される通しの軸としているが、例えば、連結軸38を通しの軸とせずに、一対の第1のレバー16のそれぞれに設けてもよい。また、その際に、連結軸38を第1の軸17を第1のレバー16から突出するかたちで一体的に形成された軸部として設けてもよい。或いは、連結軸38を第1のダンサローラ10aの幅方向の両端部から突出させるかたちで一体的に成形された軸部として設け、軸受を介して第1のレバー16が連結されるものとしてもよい。

〔ダンサローラに関する変形例〕 図1〜図7で示した実施例では、主として疵戻し操作等により生じる経糸7の緩みを吸収させる目的で第2のダンサローラ10bを設けられているが、第2のダンサローラ10bは必須ではないため、経糸張力調整装置3が第2のダンサローラ10bを備えないものであってもよい。また、図1〜図7で示した実施例のように経糸張力調整装置3が第2のダンサローラ10bを備える場合において、図16(f)に示すとおり、第1のダンサローラ10aと同様に、第2のダンサローラ10bにも付勢装置11が連結され、織機4の停止時に第1のダンサローラ10aと同様に第2のダンサローラ10bが作動する構成としてもよい。

1 タイヤコード製織装置 2 クリール装置 2a ボビン 3 経糸張力調整装置 4 織機 4a 送り出し装置 4b ニップ式ロール 4c フィードロール 5 別巻き取り装置 6 フレーム 6a 第1のフレーム 6b 第2のフレーム 6c ビーム 7 経糸 8 ドロッパ装置 8a ドロッパピン 8b コンタクトバー 10a 付勢ローラとしての第1のダンサローラ 10b 第2のダンサローラ 11 付勢装置 12 作動伝達機構 13 流体供給装置 14 流体供給装置 15 流体圧シリンダ 15a エアシリンダ 15b 油圧シリンダ 16 第1のレバー 17 第1の軸 18 第2のレバー 19 第2の軸 20 第3のレバー 20a 係合面 21 係合部材 22 位置検出器 22a 近接センサ 22b センサプレート 23 制御装置 24 ロッド 25 第1の圧力室 25a 給排気ポート 26 第2の圧力室 26a 給排気ポート 27 第1の供給・排出経路 28 第2の供給・排出経路 28a 第1の流体流路 28b 第2の流体流路 28c 第3の流体流路 29 切換装置としての第2の電磁弁 30 圧力室 30a 吸排ポート 30b スプリング 31 制御装置 32 供給・排出経路 32a 第1の流体流路 32b 第2の流体流路 32c 第3の流体流路 33 切換装置としての第2の電磁弁 34 ピストン 35 リーズロッド 36a 第1のガイドロール 36b 第2のガイドロール 36c 第3のガイドロール 36d 第4のガイドロール 37 軸受 38 連結軸 39 軸受 40 軸受 41 クレビス 41a 開口部 42 係合プレート 43 支持軸 44 係合用ローラ 45 転動用ローラ 46 ベース部材 47 載置部 48 揺動ブラケット 49 穴 50 流体供給源 51 第1の電磁弁 52 絞り弁 52a 逆止弁 53 減圧弁 54 ブラケット 54a 長孔 55 第1の電磁弁 56 絞り弁 56a 逆止弁 57 ロッド 58 流体供給源 59 減圧弁 60 流体供給装置 61 切換装置としての電磁弁 62 リリーフ弁 63 供給・排出経路 63a 第1の流体流路 63b 第2の流体流路 64 絞り弁 65 作動油タンク 66 制御装置 67 流体供給装置 68 制御装置 70 第2の供給・排出経路 70a 第1の流体流路 70b 第2の流体流路 71 切換装置としての第2の電磁弁 72 逆止弁付きの絞り弁 73 流体供給装置 74 制御装置 75 第2の供給・排出経路 75a 第1の流体流路 75b 第2の流体流路 76 流体供給装置 77 制御装置 78 供給・排出経路 78a 第1の流体流路 78b 第2の流体流路 79 絞り弁 91 タイヤコード製織装置 92 経糸張力調整装置 93 ダンサローラ 94 ドロッパ装置 95 ガイドロール S1 停止信号 S2 検出信号

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