工業用多層織物の接合用ループ構造

申请号 JP2012028152 申请日 2012-02-13 公开(公告)号 JP5937838B2 公开(公告)日 2016-06-22
申请人 日本フイルコン株式会社; 发明人 高橋 弘明; 馬場 美敏;
摘要
权利要求

緯糸及び経糸を多層に配置した有端状の工業用多層織物の両端部に経糸の一部又は全端部を折り返すことにより接合用ループを形成し、当該織物の両端部における接合用ループを相互に噛み合わせて形成した接合用ループの共通孔に芯線を挿通することにより接合される工業用多層織物の接合用ループにおいて、前記工業用多層織物の両端部において2本の上面側緯糸が残存し、当該2本の上面側緯糸の間に上面側接合用ループの共通孔を形成し、当該上面側接合用ループの共通孔は工業用多層織物の両端部の上面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を下面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成されており、また前記2本の上面側緯糸の下方に位置する緯糸を取り除いて2つの接合用ループの共通孔を配置し、当該下面側接合用ループの共通孔は工業用多層織物の両端部の下面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を残存した上面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成され、前記残存した上面側緯糸の間及び前記残存した上面側緯糸の下方に芯線が挿通される3つの接合用ループの共通孔が形成されていることを特徴とする工業用多層織物の接合用ループ構造。前記工業用織物が、上面側織物と下面側織物とを緯糸接結糸により接結した二層織物であることを特徴とする請求項1に記載された工業用多層織物の接合用ループ構造。前記上面側織物を形成する糸がフッ素樹脂によって形成され、前記下面側織物を形成する糸が前記上面側織物を形成する糸と異なった糸で形成されていることを特徴とする請求項2に記載された工業用多層織物の接合用ループ構造。前記工業用織物が、エアレイド用多層織物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載された工業用多層織物の接合用ループ構造。

说明书全文

本発明は、下面側経糸の表面への露出を防止する工業用多層織物の接合用ループ構造に関し、特にエアレイド用多層織物の接合構造に関する。

従来、工業用織物としては、例えば抄紙用織物や抄紙用キャンバス等の製紙用織物、不織布製造用織物、汚泥脱用織物、建材製造用ベルト、コンベアベルト等多くのものが知られている。これらの工業用織物は、無端状に加工され、抄紙機や脱水機等のそれぞれの機械に取り付けられて使用されているのが現状である。 ここで、工業用織物を無端状に加工する方法としては、いわゆる織継による方法、両端部に工業用織物自体の経糸を使用して形成したループを噛み合わせた後に当該ループの共通孔に接合用の芯線を挿入することによる方法、織物の両端部に設置したスパイラル状ループを噛み合わせて芯線を挿入することによる方法、又はクリッパーレーシングと呼ばれている織物の両端部に取り付けた金属製フックを噛み合わせて芯線を通すことによる方法等、等が挙げられる。そして、これらの多くの周知の方法は、それぞれの用述に応じて採用されている。

中でも工業用織物の端部に形成したループを噛み合わせて無端状にする方法では、接合用の芯線を挿入したり抜き取ったりすることにより、織物を自由に無端状や有端状に形成することが可能である。織物を自由に無端状や有端状に形成することが可能であれば、使用する装置に取り付ける際に有端状の状態で装置のロール間に掛け渡した後、装置に掛け渡した状態で織物を無端状に形成することができ、装置への織物の取り付けを非常に容易にかつ効率的に行うことができる。

例えば、古い使用済みの工業用織物を装置に取り付けられている状態で有端状にした後、その一端にこれから取り付ける新しい工業用織物の一端を接合し、装置を作動することができる。これにより工業用織物を装置のロール間を移動させて掛け渡し、織物が1周して全体に掛け渡った後を確認した後に、古い工業用織物を取り外して、新しい工業用織物を無端状に形成して取り付けることができる。 これに対し、自由に無端状や有端状に形成することが不可能な織継方法の場合は、装置におけるロールを片側で支え、反対側の邪魔になる支柱等を取り外して工業用織物を装置の片側から巾方向に向かって挿入して掛け入れる、いわゆるカンチレバー方式によって行なわなければならなかった。しかし、カンチレバー方式で織継方法を行うには、機械自体に織物を脱着するための特殊な構造が必要となり、機械の製造コストが高くなる欠点があった。又、装置が大型になる欠点や、広い設置スペースが必要となる等の欠点も指摘されていた。更に、重量が大きかったり非常に長い工業用織物を使用する場合には、織物を挿入するのが困難であり不向きであった。

そのため表面平滑性が非常に重要視される製紙機の抄造部で使用される抄紙用織物を除いて上記カンチレバー方式はほとんど採用されていないのが実状である。従って、無端状の織物を形成する方法としては、再度有端状に形成することが可能な、端部にスパイラル状ループを形成する方法や金属製フックを形成する方法が採用されている。 ところが、上記方法では工業用織物を形成する糸とは全く異なる構造及び材料である別体のスパイラル線や金属製フックを取り付けることになる。又、ループを形成する場合においてもループ形成部と普通部とが異なっており、端部からループが突出して形成されている状態であり、接合部の構造が普通部と全く異なることになる。

ここで特許文献1に記載された不織布用二層織物の如く、上面側織物と下面側織物を接結糸で結合した工業用二層織物が知られている。このような織物は不織布の製法に用いられるため、上面側織物と下面側織物を構成する糸の材質が使い分けられている。すなわち、特許文献1に記載された不織布用二層織物では、上面側織物は汚れ対策のためにフッ素系樹脂で構成し、下面側織物には剛性等の物性面における要求特性を満たすためポリエチレンテレフタレート(PET)等の一般糸が使用されている。 このような工業用織物の両端部の接合構造として、ループを形成する方法を採用すると、ループ形成部と普通部の構造が異なっている点が問題となる。特許文献1の場合は、ループ形成部をフッ素系樹脂より強度の高いPET等の糸で形成する必要があるため、下面側経糸でループ部を形成することになるが、ループ形成部においてはPET等で形成された下面側経糸が表面に露出することになり、汚れ防止の為に上面側織物をフッ素系樹脂で構成した作用効果が劣ってしまう。

一方、特許文献2に記載された接合部の如く、ループ形成部を積極的に上面側緯糸で隠す接合用ループ構造が知られている。しかし、特許文献2に記載された接合用ループに係る発明は、ループ形成部を普通部とほぼ同等にすることを目的としており、下面側織物が表面に露出しないという点に配慮されておらず、ループを形成する下面側経糸が表面に露出する欠点を有している。

特願2011−87484号

特許3938817号公報

本発明は、上記問題点に鑑み、自由に無端状や有端状の織物を形成することが可能である接合用ループを形成すると共に、ループを噛み合わせて無端状にする接合方法であるにもかかわらずループ形成部に加えて下面側織物を形成する糸の織物表面への露出を防止することができる工業用多層織物の接合構造を提供することを目的とする。 更に、工業用多層織物に係るループ形成部における接合強度を強化し、ループ形成部の延伸を防止することができる工業用多層織物の接合構造を提供することを目的とする。

本発明に係る工業用多層織物の接合用ループは、織物の表面上に下面側織物の露出を防止する構造を有する。本発明に係る接合用ループ構造は、上記従来技術の課題を解決するために、以下の構成を採用した点に特徴を有する。 (1)緯糸及び経糸を多層に配置した有端状の工業用多層織物の両端部に経糸の一部又は全端部を折り返すことにより接合用ループを形成し、当該織物の両端部における接合用ループを相互に噛み合わせて形成した接合用ループの共通孔に芯線を挿通することにより接合される工業用多層織物の接合用ループにおいて、前記工業用多層織物の両端部において少なくとも1本以上の余剰の上面側緯糸が残存し、当該残存した上面側緯糸の下方に位置する緯糸を取り除いて接合用ループの共通孔を形成し、当該接合用ループの共通孔は工業用多層織物の片端部又は両端部の下面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を残存した上面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成され、前記残存した上面側緯糸の下方に芯線が挿通される接合用ループの共通孔が形成されていることを特徴とする工業用多層織物の接合用ループ構造である。

(2)緯糸及び経糸を多層に配置した有端状の工業用多層織物の両端部に経糸の一部又は全端部を折り返すことにより接合用ループを形成し、当該織物の両端部における接合用ループを相互に噛み合わせて形成した接合用ループの共通孔に芯線を挿通することにより接合される工業用多層織物の接合用ループにおいて、前記工業用多層織物の両端部において2本の上面側緯糸が残存し、当該2本の上面側緯糸の間に上面側接合用ループの共通孔を形成し、当該上面側接合用ループの共通孔は工業用多層織物の両端部の上面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を下面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成されており、また前記2本の上面側緯糸の下方に位置する緯糸を取り除いて2つの接合用ループの共通孔を配置し、当該下面側接合用ループの共通孔は工業用多層織物の両端部の下面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を残存した上面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成され、前記残存した上面側緯糸の間及び前記残存した上面側緯糸の下方に芯線が挿通される3つの接合用ループの共通孔が形成されていることを特徴とする工業用多層織物の接合用ループ構造である。

(3)前記工業用織物が、上面側織物と下面側織物とを緯糸接結糸により接結した二層織物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された工業用多層織物の接合構造である。 (4)前記上面側織物を形成する糸がフッ素樹脂によって形成され、前記下面側織物を形成する糸が前記上面側織物を形成する糸と異なった糸で形成されていることを特徴とする上記(3)に記載された工業用多層織物の接合構造である。 (5)前記工業用織物が、エアレイド用多層織物であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載された工業用多層織物の接合構造である。

本発明に係る工業用多層織物の接合用ループは、自由に無端状や有端状の織物を形成することが可能である織物の接合用ループを形成すると共に、ループを噛み合わせて無端状にする接合方法であるにもかかわらずループ形成部に加えて下面側織物の織物表面への露出を防止することができるという優れた効果を奏する。 更に、工業用多層織物に係るループ形成部における接合強度を強化し、ループ形成部の延伸を防止することができるという優れた効果を奏する。

本発明の実施形態1に係る接合用ループを示す概念図である。

実施形態1における織組織を示す経糸に沿った断面図である。

実施形態1における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

実施形態1における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

実施形態1における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

実施形態1における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

図3から図6に示した経糸によって形成される接合部の上面側平面図である。

図3から図6に示した経糸によって形成される接合部の下面側平面図である。

本発明の実施形態2に係る接合用ループを示す概念図である。

実施形態2における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

実施形態2における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

実施形態2における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

実施形態2における接合部の巾方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。

図9に示した接合用ループを有する工業用多層織物の上面側平面図である。

図9に示した接合用ループを有する工業用多層織物の下面側平面図である。

以下、本発明に係る工業用多層織物の接合用ループ構造を説明する。その後、図面を参照して本発明の工業用多層織物の接合用ループ構造に係る実施形態を詳述する。 本発明に係る工業用多層織物の接合用ループ構造は、織物の端部における上面側緯糸を少なくとも1本残し、残存した上面側緯糸の下方における下面側緯糸を取り除いてループ形成部を形成している。そして、前記ループ形成部において、織物の片側端部又は両側端部の下面側経糸の全部又は一部を折り返してループとし、適宜下面側緯糸と織り合わせて接合用ループを形成する。複数の前記ループを噛み合わせることにより上面側緯糸の下方に芯線を挿入するための接合用ループ構造における共通孔が形成される。

上記構成を採用すれば、接合用ループを噛み合わせて形成する共通孔の上側、すなわち接合部の上層面には普通部と同様に上面側層緯糸が存在することとなり、織物の表面に下面側に配置された接合用ループ及び下面側経糸が現れることがない。 本発明において接合用ループとは、芯線等を挿入するための共通孔を形成するループを意味し、端部の緯糸を押える機能のみの単に折り返された経糸を意味するものではない。又、ループ形成部は残存する上面側緯糸の下側にあって下面側緯糸が取り除かれた部分に配置され、ここに下面側経糸によって形成されている。 ここで、本発明にかかる工業用多層織物の接合用ループ構造における普通部とは、接合部ではない織物の部分をいう。 又、通常はループを形成して折り返された経糸は、普通部の隣接する経糸が存在すべきところに織り込まれて、普通部の適当な部分で切断されている隣接する経糸と突き合わされる。すなわち2本1組の経糸で一つのループを形成するのであるが、本発明ではこれに限定されるものではなく、ループを形成して折り返された経糸を、隣接しない離れた経糸部分に織り込んでもよいし、隣接する2本の経糸と経糸の間に織り込んでもよい。又、ループを形成しない経糸が含まれる場合も同様に織り込むことができる。なお、ループを形成しない経糸については折り返さずに、普通部の途中や端部で単に切断するだけでもよい。

本発明に係る他の実施形態としては、工業用多層織物の両端部において2本の上面側緯糸の下方に位置する緯糸を取り除いて2本の上面側緯糸のみを残存させ、前記2本の上面側緯糸の間に上面側接合用ループの共通孔を形成する。又、前記上面側接合用ループの共通孔は工業用多層織物の両端部の上面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を下面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成されている。更に、前記2本の上面側緯糸の下方に位置する緯糸を取り除いて2つの下面側接合用ループの共通孔を形成し、工業用多層織物の両端部の下面側経糸の全部又は一部を折り返し、折り返した糸を残存した上面側緯糸と織り合わせることなく普通部に織り込んで形成されている。そのため、前記残存した上面側緯糸の間及び前記残存した上面側緯糸の下方に芯線が挿入される3つの接合用ループの共通孔が形成されることを特徴とする。

上記構成を採用すれば、接合用ループを噛み合わせて形成する共通孔の上側、すなわち接合部の上層面には、上面側層緯糸及び上面側接合用ループが存在することとなり、織物の表面に下面側に配置された接合用ループ及び下面側経糸が現れることがない。 また上面側に接合用ループを形成することによって、一方の織物の端部における経糸の一部を上面側接合用ループに挿入された芯線にかけて折り返し、他方の織物の端部における経糸の一部を上面側接合用ループにかけて折り返し、上面側にも接合用ループ構造を形成することができる。 更に上記上面側接合用ループの下方には、2つの下面側接合用ループの共通孔が形成されている。2つの下面側接合用ループを形成し、そこに2本の芯線を挿入することによって、一方の織物の端部における経糸の一部又は全部を2本の芯線の夫々にかけて折り返し、他方の織物の端部における経糸の一部又は全部を2本の芯線の夫々にかけて折り返し、工業用多層織物に係るループ形成部における接合強度をより強化することができ、結果的にループ形成部の延伸を防止することができる。

又、通常はループを形成して折り返された経糸は、普通部の隣接する経糸が存在すべきところに織り込まれて、普通部の適当な部分で切断されている隣接する経糸と突き合わされる。すなわち2本1組の経糸で一つのループを形成するのであるが、本発明ではこれに限定されるものではなく、ループを形成して折り返された経糸を、隣接しない離れた経糸部分に織り込んでもよいし、隣接する2本の経糸と経糸の間に織り込んでもよい。又、ループを形成しない経糸が含まれる場合も同様に織り込むことができる。なお、ループを形成しない経糸については折り返さずに、普通部の途中や端部で単に切断するだけでもよい。

本発明に係る接合用ループを備えた工業用織物は、異なる糸で上面側織物と下面側織物を構成した場合であっても、ループ接合部において上面側織物以外の糸を表面に露出させずに織物を形成することが可能となる。 例えば、特許文献2に示す織物構造であれば、ループ部においてループを形成する経糸が織物の表面に露出する。又、特許文献1に示す如く上面側織物を防汚性を有するフッ素系樹脂で構成している工業用織物においては、下面側経糸がループ部において織物の表面に露出する事によって、その部分のみ防汚性の低い糸が織物の表面に露出することになり、工業用織物の防汚性の目的からして好適ではない。 本発明に示す接合用ループ構造を採用することによって、ループ形成部においても下面側経糸が織物の表面露出することなく、上面側経糸と上面側緯糸、場合によっては上面側接合用ループが存在するため上面側織物と下面側織物を構成する糸の材質がそれぞれ上面側織物と下面側織物で異なっている工業用織物でも、上面側織物の機能を損なうことなく、ループ部を形成することができる。 また本発明の接合用ループが用いられる織物構造としては、上面側経糸及び上面側緯糸からなる上面側織物と、下面側経糸及び下面側緯糸からなる下面側織物とを、緯糸接結糸によって接合した経糸2重緯糸2重織物や、上面側経糸と上面側緯糸及び上面側浮糸からなる上面側織物と、下面側経糸及び下面側緯糸からなる下面側織物とを、緯糸接結糸によって接合した経糸2重緯糸2.5重織物等を採用することができる。勿論、少なくとも上面側織物が存在するのであれば、他の多層織構造を採用しても良い。

本発明に係る織物に使用される糸としては、工業用織物に望まれる特性によって自由に選択でき特に限定されない。例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や崇高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーン、タスラン糸と称される加工糸、モール糸、あるいはこれらを撚り合わせる等して組み合わせた糸等が使用できる。また、糸の断面形状も円形だけでなく四形状、星型等の矩形状、偏平形状、楕円形状、中空等の糸が使用できる。また、糸の性質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、綿、ウール、金属等が使用できる。勿論、共重合体やこれらの性質に目的に応じて色々な物質をブレンドしたり含有させた糸を使用してもよい。特に上層緯糸にスパンヤーン、捲縮加工や崇高加工等を施した加工糸、モール糸等の柔軟性があって見掛け線径が太い糸を用いると、上層面がこれらの糸で覆われやすくなるため、より普通部と接合部の差異を上層側から見たのではわからない程度まで近付けることができ好適である。

本発明に使用される糸は用途によって選択すればよいが、例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、あるいはこれらをより合わせるなどして組み合わせた糸が使用できる。また、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形状、中空等の糸が使用できる。また、糸の材質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロ、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、綿、ウール、金属等が使用できる。もちろん、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を使用しても良い。一般的に不織布用織物を構成する糸には剛性があり、寸法安定性に優れるポリエステルモノフィラメントを用いるのが好ましい。

更に本発明に係る工業用織物をエアレイド用の織物として採用する場合は、上面側織物を構成する上面側経糸と上面側緯糸及び上面側浮糸、場合によっては上面側接合用ループに挿通される芯線をフッ素樹脂によって形成された糸で形成するのが好ましい。このようなフッ素樹脂としては、防汚性の高いフッ素を含有する複合樹脂であれば良いが、例えば、ポリテトラフロロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフロロエチレン−パーフロロビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフロロエチレン共重合体(ECTFE)から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。特にETFEが防汚性、コストの面から適している。 なお、フッ素樹脂原料(水分散液)中にシリコン樹脂を含ませておくと柔軟性の面で更に好ましい。又、フッ素樹脂原料(水分散液)中に各種顔料を添加しておくと、織物表面の色を任意に変えることができる。

更に、本発明に係る接合用ループを備えた工業用織物は、上面側織物と下面側織物とを緯糸接結糸により接結した二層織物であるのが好ましい。 例えば、上面側織物をフッ素樹脂等で形成した場合、接結糸はフッ素系樹脂等よりも強度の高いPET等の糸で形成することができる。ここで、接結糸を緯糸接結糸とすることによって、接結糸が表面に露出しない内部接結を採用することができる。すなわち、フッ素系樹脂等のみで形成された上面側織物の表面に、PET等の糸が露出することを防止することができるという、より大きな効果を奏することができる。 更に、上面側経糸と下面側経糸及び上面側緯糸と下面側緯糸とを垂直方向に配置するように織り合わされたオンスタック構造を採用することができる。このようなオンスタック構造を採用することによって、上面側織物によって下面側織物への繊維の付着をより強固に防止することができ、防汚性をより高めた織物を提供することができる。

以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。 実施形態1 図1は本発明の接合用ループの一実施形態を示す概念図である。図1においては、完全組織全ての経糸が示されている。本接合用ループが用いられる織物構造は、上面側経糸3,4,7,8と上面側緯糸及び上面側浮糸からなる上面側織物と、下面側経糸5,6,9,10及び下面側緯糸からなる下面側織物とを、緯糸接結糸によって接合した経糸2重緯糸2.5重織物である。 織物の両端部を突き合わせた部分では、両端部の上面側緯糸が1本残され、その下方の下面側緯糸が取り除かれた上で、ループ形成部が形成されている。図1に示す如く、残存する上面側緯糸1が、右側端部の残された上面側緯糸、残存する上面側緯糸2が左側端部の残された上面側緯糸に相当する。 図2は図1に示した本実施形態における織物の普通部の経糸組織を示す経糸断面図である。図2に示す如く本実施形態の織組織は、上面側経糸が2本の上面側緯糸と1本の上面側浮糸15を上側から織り込み、2本の上面側緯糸と3本の上面側浮糸、さらに1本の緯糸接結糸16の下側を織り込んでいる組織である。図2より下面側経糸が2本の下面側緯糸と1本の緯糸接結糸16を上側から織り込み、2本の上面側緯糸と3本の緯糸接結糸16の下側を織り込んでいる組織であることがわかる。

図3乃至図6は、本実施形態の接合用ループを形成した接合部の緯糸方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。 すなわち、図3は上面側経糸3,4と緯糸との織り込んだ状態を示し、図4は下面側経糸5,6と緯糸との織り込んだ状態を示し、図5は上面側経糸7,8と緯糸との織り込んだ状態を示し、図6は下面側経糸9,10と緯糸との織り込んだ状態を示し、図3乃至図6が順に緯糸方向に配置され、接合部及び織物が形成されている状態を表している。 本実施形態では、右側端部と左側端部の同符号の経糸は連続した同一の経糸である。経糸3〜10の8本の経糸で繰り返し単位を形成し、図3に示した上面側経糸3及び4、図4に示した下面側経糸5及び6、図5に示した上面側経糸7及び8、図6に示した下面側経糸9及び10、の隣り合った経糸同士で組を形成している。 すなわち、上面側経糸3が折り返されて上面側経糸4の部分に、下面側経糸5が折り返されて下面側経糸6の部分に、上面側経糸7が折り返されて上面側経糸8の部分に、下面側経糸9が折り返されて下面側経糸10の部分に、組織通りに折り返されて織り込まれているのである。 本来、経糸4、6、8、10の部分に存在する経糸は途中で切断されて、折り返された経糸3、5、7、9と突き合わされて全体として一本の糸となっている。折り返された経糸3、5、7、9は本来存在して織物を構成すべき経糸と組織上同じ経糸となっている。明細書中では説明の都合上、これらの糸を同じ糸として表現する場合がある。

図3において、右側の上面側経糸3が残存させた上面側緯糸1を織り込んでいる。左側の上面側経糸3は残存させた上面側緯糸2は織り込んでいない。 また、図5でも左側の上面側経糸7が残存させた上面側緯糸2を織り込んでから普通部に上面側経糸8として織り込まれている。右側端部の上面側経糸7、8は残存させた上面側緯糸1は織り込んでない。 以上のように、右側端部の残存させた上面側緯糸1は図3に示した上面側経糸3によって織り込まれ、左側端部の残存させた上面側緯糸2は図5に示した上面側経糸7によって織り込まれており、巾方向において両端の残存させた上面側緯糸が1回経糸によって織り込まれているため、残存させた上面側緯糸が組織から脱落することがない。 図4では右側端部の下面側経糸5が折り返されて接合用ループを形成し、折り返された経糸は普通部に織り込まれる。

点線で示される下面側経糸6が前記の下面側経糸5の折り返された普通部に織り込まれた部分である。本実施例では下面側経糸5は、本来下面側経糸5と隣接する経糸が存在する部分に組織通りに織り込まれており、本来存在すべき経糸は途中で切断されて折り返されて織り込まれた下面側経糸5と突き合わされ全体として一本の経糸を形成している。また、下面側経糸5は折り返されるときに捩られることによって、折り返された下面側経糸5の曲がり形状が本来存在すべき経糸の曲がり形状と同じくなるようにして各緯糸と組織上でぴったりと噛み合わされるように構成されている。 また、当然であるが、本来下面側経糸6の部分に存在する経糸を折り返して下面側経糸5の部分に織り込んでもよいのである。

図6では左側端部の経糸は下面側経糸9が折り返されて接合用ループ12を形成し、折り返された経糸は右側端部同様普通部に織り込まれている。 点線で示される下面側経糸10が前記の下面側経糸9の折り返されて普通部に織り込まれた部分である。また、言うまでもないが接合用ループを形成している両端のそれぞれの経糸は連続する同じ糸であっても良いし、異なる糸であっても良い。噛み合わせる接合用ループを同じ糸で形成しても良く、異なる糸で形成しても良い。 そして、両端の接合用ループ11、12が噛み合わされて共通孔13が形成され、その共通孔13に芯線14が挿通され両端部が接合されるのである。上面側に残存させた上面側緯糸1、2が存在し、その下方に接合用ループが形成されているため上面側面に接合用ループが突出したり下面側織物が露出することはない。

図7は、図3乃至図6に示した接合部の上面側からみた平面図であり、図8は下面側からみた平面図である。図3、図5に示した上面側経糸3、4、7、8が図7の上面側経糸3、4、7、8に対応しており、図4、図6に示した下面側経糸5,6,9,10が図8の下面側経糸5,6,9,10に対応している。図7に示した接合部の平面図においても、ループ形成部において下面側織物が露出していないことがよく理解できる。 図中では芯線が完全に隠れているが、実際にはループ接合部両端に多少の開きがあっても問題ない。又、図8では下面側経糸のみでループ接合部を形成していることがよく理解できる。 従って、本実施形態においては前述したようにループ形成部でも下面側織物が表面に露出することがないという利点を有しているのである。 また本実施形態は、本発明に係る工業用多層織物の接合用ループの一例を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。

実施形態2 図9は本発明の接合用ループの他の実施形態を示す概念図である。図9においては、完全組織の経糸及び緯糸が示されている。本接合用ループが用いられる織物構造は、上面側経糸23,24,27,28と上面側緯糸及び上面側浮糸からなる上面側織物と、下面側経糸25,26,29,30及び下面側緯糸からなる下面側織物とを、緯糸接結糸によって接合した経糸2重緯糸2.5重織物である。 織物の両端部を突き合わせた部分では、両端部の上面側緯糸22,23が残され、その下方の下面側緯糸が取り除かれた上で、前記2本の上面側緯糸の間に上面側接合用ループの共通孔が形成されている。図9に示す如く、残存する上面側緯糸22,23が、右側端部の残された上面側緯糸23、残存する上面側緯糸22が左側端部の残された上面側緯糸に相当する。

図10乃至図14は、本実施形態の接合用ループを形成した接合部の緯糸方向の繰り返し単位を構成する経糸断面図である。 すなわち、図10は上面側経糸23,24と緯糸との織り込んだ状態を示し、図11は下面側経糸25,26と緯糸との織り込んだ状態を示し、図12は上面側経糸27,28と緯糸との織り込んだ状態を示し、図13は下面側経糸29,30と緯糸との織り込んだ状態を示し、図10乃至図13が順に緯糸方向に配置され、接合部及び織物が形成されている状態を表している。 本実施形態2では、右側端部と左側端部の同符号の経糸は連続した同一の経糸である。経糸23〜30の8本の経糸で繰り返し単位を形成している。 すなわち、上面側経糸23が折り返されて上面側経糸24の部分に、下面側経糸25が折り返されて下面側経糸26の部分に、上面側経糸27が折り返されて上面側経糸28の部分に、下面側経糸29が折り返されて下面側経糸30の部分に、組織通りに折り返されて織り込まれているのである。 本来、経糸24、26、28、30の部分に存在する経糸は途中で切断されて、折り返された経糸23、25、27、29と突き合わされて全体として一本の糸となっている。折り返された経糸23、25、27、29は本来存在して織物を構成すべき経糸と組織上同じ経糸となっている。明細書中では説明の都合上、これらの糸を同じ糸として表現する場合がある。

図10において、右側の上面側経糸24が残存させた上面側緯糸22を織り込んでいる。左側の上面側経糸23は残存させた上面側緯糸21を織り込んでいる。 また、図12では左側の上面側経糸27は、残存させた上面側緯糸21及び芯線20が挿通される上面側接合用ループを形成してから普通部に上面側経糸28として織り込まれている。右側端部の上面側経糸28は残存させた上面側緯糸22及び芯線20が挿通される上面側接合用ループを形成してから普通部に上面側経糸27として織り込まれている。 図11では、左側端部の下面側経糸25が折り返されて一つの下面側接合用ループを形成し、折り返された経糸26は普通部に織り込まれる。又、右側端部の下面側経糸26が折り返されて他の下面側接合用ループを形成し、折り返された経糸25は普通部に織り込まれる。

点線で示される下面側経糸25が前記の下面側経糸26の折り返された普通部に織り込まれた部分である。本実施例では下面側経糸26は、本来下面側経糸と隣接する経糸が存在する部分に組織通りに織り込まれており、本来存在すべき経糸は途中で切断されて折り返されて織り込まれた下面側経糸25と突き合わされ全体として一本の経糸を形成している。また、下面側経糸26は折り返されるときに捩られることによって、折り返された下面側経糸26の曲がり形状が本来存在すべき経糸の曲がり形状と同じくなるようにして各緯糸と組織上でぴったりと噛み合わされるように構成されている。 また、当然であるが、本来下面側経糸26の部分に存在する経糸を折り返して下面側経糸25の部分に織り込んでもよいのである。

図13では左側端部の経糸及び右側端部の下面側経糸30が共に折り返されて共同で下面側接合用ループを形成し、折り返された経糸は夫々普通部に織り込まれている。 点線で示される下面側経糸30が前記の下面側経糸29の折り返されて普通部に織り込まれた部分である。また、言うまでもないが接合用ループを形成している両端のそれぞれの経糸は連続する同じ糸であっても良いし、異なる糸であっても良い。噛み合わせる接合用ループを同じ糸で形成しても良く、異なる糸で形成しても良い。 そして、残存した上面側緯糸の間及び前記残存した上面側緯糸の下方に芯線が挿通される3つの接合用ループの共通孔が形成されるのである。夫々の接合用ループには、芯線20,33,34が挿通される。 上面側に残存させた上面側緯糸21、22及び芯線20が挿通された上面側接合用ループが存在し、その下方に下面側接合用ループが形成されているため上面側面に下面側の接合用ループが突出したり下面側織物が露出することはない。

図14は、図9に示した実施形態2に係る工業用多層織物の上面側からみた平面図であり、図15は下面側からみた平面図である。 図10、図12に示した上面側経糸23、24、27、28が図14の上面側経糸23、24、27、28に対応しており、図11、図13に示した下面側経糸25,26,29,30が図15の下面側経糸25,26,29,30に対応している。図14に示した接合部の平面図においても、ループ形成部において下面側織物が露出していないことがよく理解できる。 図中では芯線が完全に隠れているが、実際にはループ接合部両端に多少の開きがあっても問題ない。又、図15では下面側経糸のみでループ接合部を形成していることがよく理解できる。 従って、本実施形態2においては前述したようにループ形成部でも下面側織物が表面に露出することがないという利点を有しているのである。 本実施形態2に係る接合用ループ構造における継手強度試験を行った。上記の接合用ループ構造を採用した工業用二層織物を製造し、温度条件180℃の環境下にて、張2kN/m〜6kN/m、繰り返し荷重回数500回にて、繰返し荷重サイクル試験を行った。 その結果、端末抜けが生じないことを確認した。そのため、本実施形態2に係る工業用多層織物の接合用ループ構造を採用すれば、ループ形成部における接合強度が強化され、更に、ループ形成部の延伸を防止することが可能であることが分かった。

1,2 残存させた上面側緯糸 3,4,7,8 上面側経糸 5,6,9,10 下面側経糸 11,12 接合用ループ 13 共通孔 14 芯線 15 上面側浮糸 16 緯糸接結糸

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