エアバッグ用基布およびその製造方法

申请号 JP2015518094 申请日 2015-03-13 公开(公告)号 JPWO2015137495A1 公开(公告)日 2017-04-06
申请人 東レ株式会社; 发明人 横井 大輔; 大輔 横井;
摘要 本発明は、エアバッグ用基布に求められる機械特性を保持しつつ、軽量で薄地な低通気エアバッグ用基布を提供することを課題とする。下記A〜Dの特性を満たすエアバッグ用基布。A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1)B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2)C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。D.織物を構成するマルチフィラメント糸の総繊度が145〜720dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、引張強度が6.5〜8.5cN/dtexである。
权利要求

下記A〜Dの特性を満たすエアバッグ用基布。 A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0 FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2) C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。 D.織物を構成するマルチフィラメント糸の総繊度が145〜720dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、引張強度が6.5〜8.5cN/dtexである。総繊度が150〜700dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、マルチフィラメント糸の引張強度が8.0〜9.5cN/dtexで、単繊維断面形状が円形の合成繊維マルチフィラメント糸を用いて得られる、下記A〜Cの特性を満たすエアバッグ用基布。 A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0 FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2) C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。式1で計算されるタテ糸断面変形度(WR)が4.3〜5.7で、式2で計算されるヨコ糸断面変形度(WR)が2.6〜3.7である、請求項1または2記載のエアバッグ用基布。JIS L 1096のフラジール形法に準じ、試験差圧500Pa下で測定した静的通気度が、0.1〜5.0L/dm2/minで、ASTM D 6476−02に則り測定した動的通気度が100〜1000mm/secである請求項1〜3いずれかに記載のエアバッグ用基布式3で計算されるタテ糸カバーファクター(WCF)と、式4で計算されるヨコ糸カバーファクター(FCF)と、式5で計算されるWCFとFCFの和(CF)が2000〜2400である、請求項1〜4いずれかに記載のエアバッグ用基布 WCF=(織物を構成するタテ糸の総繊度(dtex))1/2×タテ糸密度(本/2.54cm) (式3) FCF=(織物を構成するヨコ糸の総繊度(dtex))1/2×ヨコ糸密度(本/2.54cm) (式4) WCF+FCF=CF (式5)樹脂コートされていない請求項1〜5いずれかのエアバッグ用基布。請求項1〜6いずれかのエアバッグ用基布を用いたエアバッグ。i)タテ糸準備工程および製織工程を順次経て生機を得る工程、ならびに ii)得られた生機を順に、巻出し機から巻出す工程、オープンソーパー型精練機で精練する工程、乾燥機で乾燥する工程、ピンテンターで熱セットする工程および巻取り機で巻き取る工程を有し、前記巻出し機から前記ピンテンターの入口、およびピンテンター出口から巻取り機までの間において、生機のタテ糸方向に対し、乾燥機によって乾燥された生機の幅当たり10〜50kgf(98〜490N)/mの張を付与し、 前記熱セットする工程では、乾燥機によって乾燥された生機の幅に対し98〜100.5%の範囲内の織物幅となる幅出しを行い、温度は120〜180℃とするものであり、 前記iiの工程ではカレンダー加工を含まない、請求項1〜6いずれか記載のエアバッグ用基布の製造方法。タテ糸準備工程が、粗巻整経機にて粗巻きビームを作成し、その後、糊付けすることなくビーミング機にて織布ビームを作成する工程を含む請求項8記載のエアバッグ用基布の製造方法。

下記A〜Dの特性を満たす樹脂コートされていないエアバッグ用基布。 A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0 FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2) C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。 D.織物を構成するマルチフィラメント糸の総繊度が145〜720dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、引張強度が6.5〜8.5cN/dtexである。総繊度が150〜700dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、マルチフィラメント糸の引張強度が8.0〜9.5cN/dtexで、単繊維断面形状が円形の合成繊維マルチフィラメント糸を用いて得られる、下記A〜Cの特性を満たす樹脂コートされていないエアバッグ用基布。 A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0 FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2) C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。式1で計算されるタテ糸断面変形度(WR)が4.3〜5.7で、式2で計算されるヨコ糸断面変形度(WR)が2.6〜3.7である、請求項1または2記載のエアバッグ用基布。JIS L 1096のフラジール形法に準じ、試験差圧500Pa下で測定した揉まれる前の静的通気度が、0.1〜5.0L/dm2/minで、ASTM D 6476−02に則り測定した動的通気度が100〜1000mm/secである請求項1〜3いずれかに記載のエアバッグ用基布式3で計算されるタテ糸カバーファクター(WCF)と、式4で計算されるヨコ糸カバーファクター(FCF)と、式5で計算されるWCFとFCFの和(CF)が2000〜2400である、請求項1〜4いずれかに記載のエアバッグ用基布 WCF=(織物を構成するタテ糸の総繊度(dtex))1/2×タテ糸密度(本/2.54cm) (式3) FCF=(織物を構成するヨコ糸の総繊度(dtex))1/2×ヨコ糸密度(本/2.54cm) (式4) WCF+FCF=CF (式5)請求項1〜5いずれかのエアバッグ用基布を用いたエアバッグ。i)タテ糸準備工程および製織工程を順次経て生機を得る工程、ならびに ii)得られた生機を順に、巻出し機から巻出す工程、オープンソーパー型精練機で精練する工程、乾燥機で乾燥する工程、ピンテンターで熱セットする工程および巻取り機で巻き取る工程を有し、 前記ii)の工程において、生機に対し、片面あたり70本以上のロールに接触させ、 前記巻出し機から前記ピンテンターの入口、およびピンテンター出口から巻取り機までの間において、生機のタテ糸方向に対し、乾燥機によって乾燥された生機の幅当たり10〜50kgf(98〜490N)/mの張力を付与し、 前記熱セットする工程では、乾燥機によって乾燥された生機の幅に対し98〜100.5%の範囲内の織物幅となる幅出しを行い、温度は120〜180℃とするものであり、 前記iiの工程ではカレンダー加工を含まない、請求項1〜5いずれか記載のエアバッグ用基布の製造方法。タテ糸準備工程が、粗巻整経機にて粗巻きビームを作成し、その後、糊付けすることなくビーミング機にて織布ビームを作成する工程を含む請求項7記載のエアバッグ用基布の製造方法。

说明书全文

本発明は、自動車事故発生時の安全装置として用いられるエアバッグを構成するエアバッグクッションに用いられる、エアバッグ用基布およびその製造方法に関する。

近年、交通安全意識の向上に伴い、自動車の事故が発生した際に乗員の安全を確保するためにエアバッグが用いられるようになった。種々のエアバッグが開発されるに伴いその有効性が認識され、急速に実用化が進んでいる。

エアバッグは、車両が衝突してから極めて短時間に車内で膨張展開することで、衝突の反動で移動する乗員を受け止め、その衝撃を吸収して乗員を保護するものである。一方、通常に自動車が使用されている時は、エアバッグは使用されないため折りたたまれ、格納されている。エアバッグを軽量にすることができれば、車重軽減を図ることができる。また、エアバッグをコンパクトに折りたたむことができればそれを格納するスペースも小さくでき、ひいては車内空間を広げることができる。よって、エアバッグクッションを構成する基布についても車内空間拡大や燃費向上のため、コンパクト性や軽量性の要求が高まっている。

一方、エアバッグを構成する部品の中で重量割合の大きいガス発生装置(インフレーター)についても、軽量性やコンパクト性の要求が高く、圧縮ガスや高圧ガス容器を使用するコールドインフレーターや、火薬と圧縮ガスを併用するハイブリットインフレーターに替わり、軽量かつ安価なパイロインフレーターが主流となりつつある。パイロインフレーターは主に火薬でガスを発生させるため、発生するガスは高温かつ、急激に熱膨張するため、エアバッグ基布には高い耐熱性や機械特性が求められていた。

従来、エアバッグ基布の耐熱性を高め、軽量・コンパクト性を達成する手段として、熱硬化性のシリコーン樹脂を塗布したコート基布や、フィルムを貼り付けたコート基布が提案されている。しかし、コート基布は高価な樹脂を使用するため、樹脂を塗布していない(以下「ノンコート」と言うことがある。)基布と比べコストが高いという問題があった。

そこで、このような問題を解決するために、ノンコート基布の開発もなされている。たとえばノンコート基布を構成する合成繊維マルチフィラメントの単繊維断面を扁平形状とし、単糸繊維の断面を整列させることで、ノンコート基布として十分な低通気性と機械特性を保持しつつ、コンパクト性に優れたエアバッグ基布が開示されている。(特許文献1参照)。さらに、この単糸断面扁平糸を用いて製織した織物に収縮加工を施すことにより、さらなる低通気性を達成できるエアバッグ基布の製法が開示されている(特許文献2参照)。

しかし、エアバッグ基布を用いてエアバッグクッションを製造する際、特に運転席、助手席エアバッグ用途には、袋状にクッションを縫製した後、縫製部分をクッションの内側に配置させるため、クッションの反転作業を行い、その後クッションを折り畳む際に、基布が揉まれる。当然、従来の反転作業や折り畳み作業に対して、扁平糸を用いた基布は、問題なく使用することができるが、今般のコンパクト要求の強まりにより、この折り畳み後のクッション体積を小さくするため、より強いで折りくせを付けたり、非常に狭いパッケージに収納されるため、より大きな力で揉まれる。このときクッションを構成する基布部分において整列していた単繊維の配列が乱れ、通気度が上昇する懸念があり、強い揉みに対して通気度変化の小さい丸断面糸で、かつ、薄地・コンパクトなエアバッグ用基布が求められている。

また例えば、低通気で柔軟・軽量かつ安価なノンコート基布を提供するために、構成するタテ糸およびヨコ糸の糸幅を大きくしたり(特許文献3参照)、構成する合成繊維マルチフィラメントの相対粘度やアミノ末端基量や分解した織り糸の特性を特定の範囲とすることで、機械特性および難燃性を保持しつつ、軽量で収納性に優れたエアバッグ用基布や(特許文献4参照)、インフレーターガスを効率的に利用することで、インフレーター自体を軽量するために、織物を構成するポリアミド繊維分解糸の特性、織物の通気度や糸幅の状態を特定の範囲としたエアバッグ用織物が開発されている(特許文献5参照)。

特開2003−171841号公報

特開平10−37039号公報

特開2005−105445号公報

特開平9−279437号公報

国際公開第2011/055562号

しかし、近年、膝を保護するニーエアバッグや、追突から後部座席の乗員を保護するリアエアバッグ、歩行者を保護する歩行者エアバッグ等、エアバッグの装着部位が増えており、エアバッグ基布に対する軽量、薄地要求は高まる一方であり、これら要求を満足するエアバッグ基布は未だ開発されていなかった。

本発明の目的は、エアバッグとして必要な機械特性と低通気性を保持しつつ、軽量かつ薄地なエアバッグ用基布、および、その製造方法を提供しようとするものである。

本発明は、前記目的を達成するために、次のような構成の基布を提供する。すなわち、 (1) 下記A〜Dの特性を満たすエアバッグ用基布。 A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0 FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2) C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。 D.織物を構成するマルチフィラメント糸の総繊度が145〜720dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、引張強度が6.5〜8.5cN/dtexである。 (2)総繊度が150〜700dtex、単繊維繊度が2〜7dtex、マルチフィラメント糸の引張強度が8.0〜9.5cN/dtexで、単繊維断面形状が円形の合成繊維マルチフィラメント糸を用いて得られる、下記A〜Cの特性を満たすエアバッグ用基布。 A.式1で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のタテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) B.式2で計算される織物を構成するマルチフィラメント糸のヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0 FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2) C.織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。

本発明の基布の好ましい実施態様として以下のものがある。 (3) 式1で計算されるタテ糸断面変形度(WR)が4.3〜5.7で、式2で計算されるヨコ糸断面変形度(WR)が2.6〜3.7である、前記いずれかのエアバッグ用基布。 (4)JIS L 1096のフラジール形法に順次、試験差圧500Pa下で測定した静的通気度が、0.1〜5.0L/dm2/minで、ASTM D 6476−02に則り測定した動的通気度が100〜1000mm/secである前記いずれかに記載のエアバッグ用基布 (5)式3で計算されるタテ糸カバーファクター(WCF)と、式4で計算されるヨコ糸カバーファクター(FCF)と、式5で計算されるWCFとFCFとの和(CF)が2000〜2400である、前記いずれかに記載のエアバッグ用基布 WCF=(織物を構成するタテ糸の総繊度(dtex))1/2×タテ糸密度(本/2.54cm) (式3) FCF=(織物を構成するヨコ糸の総繊度(dtex))1/2×ヨコ糸密度(本/2.54cm) (式4) WCF+FCF=CF (式5) (6)樹脂コートされていない前記いずれかのエアバッグ用基布。

そして本発明またはその実施態様が使用される用途として以下のものがある。 (7)前記いずれかのエアバッグ用基布を用いたエアバッグ。

また前記いずれかのエアバッグ用基布の製造方法として以下の方法がある。 (8)i)タテ糸準備工程および製織工程を順次経て生機を得る工程、ならびに ii)得られた生機を順に、巻出し機から巻出す工程、オープンソーパー型精練機で精練する工程、乾燥機で乾燥する工程、ピンテンターで熱セットする工程および巻取り機で巻き取る工程を有し、前記巻出し機から前記ピンテンターの入口、およびピンテンター出口から巻取り機までの間において、生機のタテ糸方向に対し、乾燥機によって乾燥された生機の幅当たり10〜50kgf(98〜490N)/mの張力を付与し、 前記熱セットする工程では、乾燥機によって乾燥された生機の幅に対し98〜100.5%の範囲内の織物幅となる幅出しを行い、温度は120〜180℃とするものであり、 前記iiの工程ではカレンダー加工を含まない、 前記いずれか記載のエアバッグ用基布の製造方法。 (9)タテ糸準備工程が、粗巻整経機にて粗巻きビームを作成し、その後、糊付けすることなくビーミング機にて織布ビームを作成する工程を含む前記エアバッグ用基布の製造方法。

本発明のエアバッグ用基布によれば、以下に説明するとおり、機械特性を保持しつつ、軽量かつ薄地であるとともに、ノンコートであっても通気度の低いエアバッグ用基布およびエアバッグが得られる。

図1は本発明のエアバッグ用基布のタテ糸の断面構造を撮影したSEM写真である。

図2は本発明のエアバッグ用基布のヨコ糸の断面構造を撮影したSEM写真である。

図1および図2のSEM写真断面図を撮影するための試料作成において、織物への切断線を説明した概略図である。

以下、本発明について詳細に説明する。

本発明のエアバッグ用基布の製造に用いる合成繊維マルチフィラメントの総繊度は150〜700dtexであることが好ましい。総繊度が低いと基布の引張強度や引裂強度が低下する傾向がある。また、そのためマルチフィラメント糸および基布の生産性が下がる傾向がある。一方、繊度が大きすぎると、エアバッグ装置に収納するときに大きくなったり、全体として質量が多くなったりする傾向がある。

エアバッグ展開時に必要な機械特性とエアバッグ収納時のコンパクト性や軽量性を両立するための好ましい繊度範囲は200〜600dtexであり、より好ましくは300〜500dtexである。

マルチフィラメント、基布の強度、およびそれらの生産性、エアバッグの収納性の観点から、単繊維の繊度は2〜7dtexであることが好ましい。さらに3〜6dtexとすることが好ましい。適切な単繊維繊度とするとエアバッグとして必要な機械特性と低通気性を保持しつつ、軽量かつ薄地エアバッグ用基布を得ることができる。

織物に用いられるためのマルチフィラメント糸の引張強度は、エアバッグ用に必要な機械特性を得るため、8.0N/dtex以上であることが好ましく、9.2N/dtex以上が好ましい。また安定してマルチフィラメントが得られるという観点から、9.5cN/dtex以下、さらに9.2cN/dtex以下、さらに9.0cN/dtex以下が好ましい 織物に用いられるためのマルチフィラメント糸の破断伸度は、エアバッグ展開時にクッションに掛かる応力を分散させることが容易となるという観点から20〜26%であることが好ましく、さらに、21〜25%、さらに22〜24%が好ましい。

なお、上記引張強度、破断伸度はJIS L1013 8.5.1で測定される値である。

沸騰収縮率は、加工中の精練温度や熱セット温度により、織物を構成するタテ糸およびヨコ糸の断面形状が円形に近づこうとする動きを表す指標である。沸騰水収縮率が小さいと、加工中の織物を構成するマルチフィラメント糸の動きを小さくすることができるため、沸騰水収縮率が3%以上、さらに4%以上、さらに5%以上であること好ましく、また9%以下、さらに8%以下、さらに7%以下が好ましい。

沸騰水収縮率の測定方法は以下のとおりである。マルチフィラメント糸をカセ状にサンプリングして、20℃、65RH%の温湿度調整室で24時間以上調整し、試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけて長さL1を測定する。次に、この試料を無緊張状態で沸騰水中に30秒間浸漬した後、上記温湿度調整室で4時間風乾し、再び試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけて長さL2を測定する。それぞれの長さL1およびL2から次式により沸騰水収縮率を求める。測定は3回行い、平均値とする。 沸騰水収縮率=[(L1−L2)/L1]×100(%) 。

織布を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状は略円形とすることで、クッション反転作業により基布が揉まれても、必要な通気度を保持することが可能となる。「略円形」を定義するのであれば、長径/短径の比が1.1以下、さらに1.05以下、さらに1.02以下とするのが好ましい。織布を構成するマルチフィラメント糸を略円形とするためには、使用するマルチフィラメントの単繊維断面形状を円形とすることが好ましい。円形としては厳密な円形である必要はない。例えば長径/短径の比が1を超えていてもよく、一方1.1以下、さらに1.05以下、さらに1.02以下であることが好ましい。

合成繊維マルチフィラメントを構成するポリマーは、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン5・6、ナイロン6.10などのポリアミドや、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルのホモポリマーや共重合ポリマーなど、高分子配列体繊維が得られるポリマーから選択することができる。中でも、ポリアミド、ポリエステルのホモポリマーが好ましく、さらにはナイロン6・6やナイロン6などのポリアミドが耐衝撃性の面から好ましい。

かかるポリマーを用いて、合成繊維マルチフィラメント糸を製造する際、その製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されている各種添加剤を含んでもよい。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有させることができる。

本発明の基布は、タテ糸断面変形度(WR)が4.0〜6.0、ヨコ糸断面変形度(FR)が2.4〜4.0である。そして織物を構成するマルチフィラメント糸の単繊維断面形状が略円形である。ここでWRおよびFRは以下のとおり定義されるものである。 WR=織物中のタテ糸断面の長径/織物中のタテ糸断面の短径 (式1) FR=織物中のヨコ糸断面の長径/織物中のヨコ糸断面の短径 (式2)。

図1および図2は本発明のノンコートエアバッグ基布の糸断面構造を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図1はタテ糸の断面を撮影したものであり、図2はヨコ糸の断面を撮影したものである。なお、上記写真は後述する方法で基布を木工用接着材で固定し、その断面を撮影したものである。WRおよびFRの定義において、長径、短径という用語を使用しているが、図1および図2においてわかるようにマルチフィラメント糸の断面は楕円形である必要はない。マルチフィラメント糸の断面の長径は、断面の形状における幅ということができ、短径は、断面の形状における厚さということができる。

本発明において、タテ糸断面変形度(WR)は、エアバッグ用基布である織物中のタテ糸の変形度であって、例えば図1に示すように、本発明のエアバッグ用基布である織物を構成するタテ糸断面の長径1をタテ糸断面の短径2で除して算出される値である。この値が大きいほど、タテ糸が織物の幅方向に広がり、基布の厚みが薄くなり、さらにはヨコ糸のクリンプ率が小さくなる。その結果として基布のヨコ糸方向単位長さあたりに存在するヨコ糸の実質長さが短くなるため、軽量であることを示す。また、タテ糸を構成する単繊維を最密充填に近い状態に整列させたり、基布表面の単繊維を水平に近い状態で整列させたりすることで、さらにWRを小さくすることができる。

本発明においてはタテ糸断面変形度(WR)を4.0以上とすることが、軽量性、薄地性を両立するために重要である。WRはさらに4.3以上、さらに4.6以上であることが好ましい。またWRが6.0以下、さらに5.7以下、またさらに5.4以下であることが好ましい。短径が小さいと、基布の厚さが薄いことを示し、長径が大きいと、マルチフィラメントが広がっていることを示す。図1に示すように単繊維を基布平面方向で最密充填に近い状態に整列させ、さらに基布表面の単繊維を、なるべく平らに近い状態に整列させることで、前記WRの範囲内とすることが可能となる。

本発明において、ヨコ糸断面変形度(FR)は、エアバッグ用基布である織物を構成するヨコ糸の変形度であって、例えば図2に示すように、ヨコ糸断面についてもタテ糸断面と同様に、ヨコ糸断面の長径3をヨコ糸断面の短径4で除して算出される値であって、この値が大きいほど、ヨコ糸が織物の幅方向に広がり、基布の厚みが薄くなり、さらにはタテ糸の厚さ方向のふくらみが減り、タテ糸のクリンプ率が小さくなる。その結果として基布のタテ糸方向単位長さあたりに実際に存在するタテ糸の長さが小さくなるため軽量であることを意味する。

本発明においてはヨコ糸断面変形度(FR)を2.4以上とすることが重要であり、好ましくは2.6以上であり、より好ましくは2.8以上である。またFRが4.0以下、さらに3.7以下、さらに3.4以下が好ましい。ヨコ糸はタテ糸準備工程を通過せず、製織工程にて打ち込まれるため、タテ糸に比べて断面変形度は小さくなる。しかしながら、同じく単繊維を最密充填に近い形で整列させ、さらに基布表面の単繊維を水平に近い形に整列させることで、前記FRの範囲内とすることが可能となる。 織物に対して10N/mmを超える線圧をかけるカレンダー加工を施すと、丸断面糸であっても、WRおよびFRを大きくできるが、このような加工を施すと、単繊維の断面形状が過剰に変形し、機械特性が低下する。そのため、本発明のノンコートエアバッグ用基布は、単繊維が、強くカレンダー加工を行った跡のない略円形であることが重要である。ここで、略円形とは、織物表面の単繊維において、隣り合う単繊維と接触しない部分が円弧形状である状態を指す。強くカレンダー加工を行うと、圧力によって、織物内部の単繊維のみならず、織物表面の単繊維までもが押しつぶされて、4形や、6角形、5角形等の多角形に変形する。カレンダー加工しない場合も、織物内部の単繊維は隣り合う単繊維との接触により、丸みを帯びた多角形に変形する場合があるが、機械特性が低下するまでは変形しない。よって、本発明のノンコートエアバッグ用基布は、カレンダー加工を施さないため、織物表面に偏在する単繊維において、隣り合う単繊維と接触していない部分は、円弧形状を保持することができる。

特にWRおよびFRを大きくするための要素として、織物を構成している糸の特性がある。ここでいう織物を構成している糸とは、基布を分解して取り出される糸(以下「分解糸」という。)のことである。分解糸の総繊度は145dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは195dtex以上であり、より300dtex以上であることが好ましい。また720dtex以下が好ましく、さらに好ましくは610dtex以下であり、より好ましくは500dtex以下である。つまり、後述する本発明のエアバッグ用基布の製造工程において、マルチフィラメント糸の収縮励起を抑制し、総繊度を可能な限り維持することで、単繊維を最密充填に近い形で整列させ、さらに基布表面の単繊維をなるべく水平に整列させることができるので、前記WRおよびFRを特定の範囲内とすることが可能となる。分解糸総繊度が元のマルチフィラメント糸の総繊度に対し、変化率が3〜−2%の範囲内に抑制すると、単繊維が整列使用とする動きを妨げない点で好ましく、より好ましくは1〜−1%であり、さらに好ましくは0.5〜−0.5%である。また、分解糸の単繊維繊度についても同じことが言える。

また、本発明のエアバッグ用基布がエアバッグ用に耐えうる機械特性を付与する上で、基布を構成する糸、すなわち分解して得られる糸(分解糸)の強度も別に注目すべきである。分解糸強度は6.5cN/dtex以上が好ましく、さらに6.8cN/dtex以上が好ましく、さらに7.0cN/dtex以上が好ましい。また8.5cN/dtex以下が好ましく、さらに8.3cN/dtex以下が好ましく、さらに8.0cN/dtex以下が好ましい。通常、基布を製造する前のマルチフィラメント糸の引張強度に対し、基布製造後の分解糸強度は、後述する各種工程を通過する際の処理温度や工程部品との摩擦により通常は低下する。また、織密度が高いほど、基布から分解糸を取り出すときに、糸同士が擦れるため、同様に分解糸の強度は低下する。毛羽品位や収縮特性、マルチフィラメント糸の引張強度等の糸の選択範囲を広げることができる点で、その低下の割合を、製織前のマルチフィラメント糸の引張強度に対し20%以下とすることが好ましい。より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。上述の分解糸の強度および強度の低下率を達成するためには、後述するエアバッグ用基布の製造工程を通過する際、マルチフィラメント糸に過度な緊張(例えば張力)や、プレスする工程や200℃以上の高温環境下に晒さないことが好ましい。また、当然のことながら、各工程を通過する際、マルチフィラメント糸や織物に傷がつくような部品を使用しないことも重要である。このような製造工程および条件とすることで、マルチフィラメント糸が有する強度をできる限り保持した状態で、エアバッグ基布を製造することが重要である。

上述のとおりWRおよびFRを大きくすると、その結果としてクリンプ率が小さくなる。しかし、クリンプ率はWR、FR以外にも織機の種類、織密度、マルチフィラメント糸と基布製造条件との関係等によって変化する。本発明の基布のクリンプ率は、基布の薄地性を示す目安として、タテ方向で12%以内、ヨコ方向で6%以内であることが好ましく、より好ましくはタテ方向で10%以内、ヨコ方向で5%以内、さらに好ましくはタテ方向で9%以内、ヨコ方向で4%以内である。

WRおよびFRを大きくすることで、単繊維が配列され、タテ糸とヨコ糸がしっかりと接触するため、同じマルチフィラメント糸や同じ織密度であっても、WRおよびFRが小さい基布に比べて、低通気となる。ここで、基布の通気性を表す通気度は、エアバッグ展開時の乗員拘束性能の観点から、JIS L 1096により試験差圧500Paでの静的通気度が0.1〜5.0L/dm2/minであることが好ましい。さらに好ましくは0.3〜4.0L/dm2/min、さらに好ましくは0.5〜3.0L/dm2/minである。またASTM D 6476−02に則り測定した動的通気度が100〜1000mm/secの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、動的通気度が200〜800mm/secであり、さらに好ましくは250〜650mm/secである。

また、クッション反転作業や折り畳み作業、収納作業時に基布が揉まれる。これら揉みに対し、通気度変化は小さい方が、エアバッグ展開時の乗員拘束性能が安定する。すなわち、もみ後の静的通気度は、揉まれる前の静的通気度に対し、2倍以内の変化率であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以内、さらに好ましくは1.3倍以内である。

また、動的通気度を測定すると、測定サンプルに掛かる圧力と動的通気度の曲線から算出される、動的通気度曲線指数(Exponent)が同時に得られる。エアバッグ展開時にインフレーターガスを有効利用するため、Exponentは1.0〜1.8の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1.2〜1.6の範囲内である。

ここで、Exponentとは、その値が1.0であると、バッグ内圧の変化に拘らず一定の通気度であることを示す。Exponentが1.0より大きいと、バッグ内圧の増加に伴い、通気度が上昇することを示す。逆に1.0より小さいと、バッグ内圧の増加に伴い、通気度が低下することを示す。一般的に、動的通気度が小さければ小さいほど、動的通気度曲線指数は大きくなる。つまり、空気が通過できる流路があると、その流路がバッグ内圧の増加に伴い、拡大し通気度が上昇することを意味する。エアバッグの展開においては、乗員が膨らんだエアバッグに当たると、バッグ内部の圧力に増加が生じ、圧力増加が通気度の増加を引き起こすことから、動的通気度曲線指数が高い織物は、低い織物に比べて、インフレーターガスのロスが大きくなる。なお、Exponentは、後述するTEXTEST社製エアバッグ専用通気性試験機FX3350が、自動的に算出し、その算出方法は開示されていない。

他にもWRおよびFRを大きくするためには、低総繊度かつ低単繊維繊度のマルチフィラメント糸を用いて、低織密度で製織する方法があるが、エアバッグ用に必要な機械特性の点から、分解糸の総繊度および織密度は次の範囲とすることが好ましい。具体的には、エアバッグ展開時に十分な機械特性を付与するための好ましいタテ糸カバーファクター(WCF)およびヨコ糸カバーファクター(FCF)の和(CF)は、2000〜2400であることが好ましく、より好ましくは2100〜2350、さらに好ましくは2200〜2300である。

ここで、WCF、FCFおよびCFは以下の式3、4および5にて算出する。 WCF=(織物を構成するタテ糸の総繊度(dtex))1/2×タテ糸密度(本/2.54cm) (式3) FCF=(織物を構成するヨコ糸の総繊度(dtex))1/2×ヨコ糸密度(本/2.54cm) (式4) WCF+FCF=CF (式5)。

基布の目付は、エアバッグの強度の点から、120g/m2以上であることが好ましく、さらに150g/m2以上、さらに170g/m2以上であることが好ましい。また軽量性の観点から320g/m2以下が好ましく、さらに280g/m2以下、さらに230g/m2以下が好ましい。

基布の厚みは、強度と、エアバッグクッションを折り畳んで、収納する際のコンパクト性との観点から、0.20mm以上が好ましく、さらに0.23mm以上、さらに0.28mm以上が好ましい。また0.40mm以下が好ましく、さらに0.38mm以下、さらに0.34mm以下である。

本発明の基布を用いてエアバッグクッションに縫製したり、エアバッグクッションを折り畳んで収納したりする際の作業性の点から、好ましい剛軟度は5N以上が好ましく、さらに7N以上、さらに9N以上が好ましい。また25N以下が好ましく、さらに21N以下、さらに19N以下が好ましい。

基布の引張強度は、機械特性の点から、タテ・ヨコ方向共に2500N/5cm以上が好ましく、さらに3000N/5cm以上が好ましい。また上の値を定めるのであれば、タテ・ヨコ方向共に5000N/5cm以下、さらに4000N/cm以下が好ましい。

エアバッグ展開時のクッション動作による応力集中を緩和するようにするため、基布の伸度は、タテ・ヨコ方向共に、25%以上が好ましく、さらに30%以上が好ましい。また上の値を定めるのでれば、50%以下、さらに45%以下が好ましい。

基布の引裂強度は、エアバッグ展開時にクッション縫製部からの引裂による通気部の発生を防止するため、タテ・ヨコ方向共に100N以上が好ましく、120N以上が好ましい。また上の値を定めるのであれば、400N以下、さらに300N以下が好ましい。 滑脱抵抗は、クッションの縫製部の目ズレをより小さくするためタテ・ヨコ方向共に200N以上、さらに230N以上が好ましい。上の値を定めるのであれば900N以下、800N以下である。

次に、本発明のエアバッグ用基布を製造する方法の一例を説明する。

タテ糸準備工程、製織工程を順次経て生機を得る。生機の幅は通常は1〜3mであり、2m幅程度のものが多い。少なくとも巻出し機、オープンソーパー型精練機、乾燥機、ピンテンター、巻取り機からなる加工機を準備する。得られた生機を、順に、巻出し機から巻出す工程、オープンソーパー型精練機で精練する工程、乾燥機で乾燥する工程、ピンテンターで熱セットする工程および巻取り機で巻き取っていく。加工機の巻出し機からピンテンター入口、およびピンテンター出口から巻取り機までの間、生機のタテ糸方向に対し、乾燥機によって乾燥された生機の幅当たり10〜50kgf(98〜490N)/mの範囲内の張力が掛かるようにする。例えば精練機で精練され、乾燥機で乾燥された生機に対し、ピンテンターでは、生機の幅に対し98〜100.5%となるように幅出しを行い、120〜180℃で熱セットする。そして、生機を巻取り機で巻取る。そこで、加工機の中において、少なくとも前記生機の片面あたりに70本以上のロールに接触させて加工する必要がある。

特に、ヨコ糸は、タテ糸準備工程を経ることなく、製織工程にて挿入されるため、加工工程にてFRを小さくする必要がある。より小さなFRを得るための好ましいロール本数は片面につき85本以上であり、より好ましくは95本以上である。

(タテ糸準備工程) 製織工程に用いるタテ糸を引き揃えて巻き取るため、製織工程の前にタテ糸準備工程を行う。タテ糸準備工程では、一本整経機や部分整経機のように一度に織布ビームを巻き取る方法と、粗巻整経後にビーミング機にて織布ビームを2段階で巻き取る方法等がある。本発明で規定する基布が得られる限り何れの方法を採用しても良いが、製織性と薄地化の点から、2段階で巻き取る方法が好ましい。タテ糸準備工程に投入するタテ糸は、前記の素材および総繊度、単繊維繊度を有するマルチフィラメント糸を、糊付けすることなく、無撚りで粗巻き整経機のクリールに仕掛けることが、コストを下げることができるので好ましい。

その後、タテ糸に一定のストレッチを与えるため、0.05〜0.13gf(0.05〜0.13cN)/dtexの範囲内の整経張力にて、前記タテ糸を引き揃えて巻取り、そして粗巻きビームを作成することが好ましい。その際、毛羽伏せや工程通過性を向上させるためにWAXや追油剤を、タテ糸に付与しても良い。その後、ビーミング機に前記粗巻きビームを仕掛けから、同じくタテ糸に一定のストレッチを掛けるため、0.08〜0.20gf(0.08〜0.20cN)/dtexの範囲内のビーミング張力にて、タテ糸を引き揃えて巻取り、そして織布ビームを作成するのが好ましい。

一方、タテ糸準備工程にて、糊剤を付与する場合には、製織性は向上するが、精練工程にて糊剤を除去するのが通常である。しかし、オープンソーパー型精練機以外の糊抜き精練機を選択したり、精練温度を上げたりすると、FRが小さくなる。オープンソーパー型精練機を用いて糊抜きを行うに際し、効率的に糊剤を除去できる精練剤の選択、容易に除去できる糊剤の選択など、FRが大きくなる条件の選択等の配慮をすることが望ましい。そのような配慮をしなくてもいいように、糊剤は付与しない方が好ましい。

(製織工程) 製織工程では、上記で作成した織布ビームをタテ糸として用いて、生機を製織する。

織機はウォータージェットルーム、レピアルーム、エアージェットルーム等、何れの織機を用いても構わないが、高速製織が比較的容易なウォータージェットルームを用いることが好ましい。織機に仕掛けるヨコ糸としては、基布の機械特性がタテ・ヨコ方向で同じになる点で、前記タテ糸と同じマルチラメント糸を無撚りかつ無糊のままで用いることが好ましい。

タテ糸の糸束中の単繊維を整列させ、かつ、安定した製織性とするため、タテ糸張力は0.15〜0.50gf(0.15〜0.49cN)/dtexの範囲内とすることが好ましく、0.20〜0.40gf(0.20〜0.39cN)/dtexの範囲内とすることがより好ましい。この時、ビーミングで付与した張力よりも製織張力を同等以上にすると、製織性が向上する。

タテ糸方向、ヨコ糸方向に関係なく同等の機械特性を有するエアバッグ用基布を得るための好ましい態様としては、タテ糸とヨコ糸の密度差を±2.0本/2.54cm以内とすることが好ましく、さらに好ましくは±1.0本/2.54cm以内である。

織機のテンプルとしては、織物の部を把持するリングテンプルと、織物の全面を把持するバーテンプルと、どちらを用いても構わない。しかし高密度の生機を製織する観点で、より安定したヨコ入れを可能とするためバーテンプルを用いることが好ましい。

(精練工程) タテ糸準備工程、製織工程を順次通過させて得た生機は、オープンソーパー型精練機を用いて、生機の幅あたりタテ糸方向に10〜50kgf(98〜490N)/mの範囲内の張力が掛かるよう制御しつつ精練することが好ましい。精練機としては以下のものがあげられる。ソフサー、糊抜き精練等の精練工程内で生機に掛かるタテ糸方向の張力をできるだけ小さくしつつ、少ないロールを介して生機を搬送し、収縮を励起させつつ、糊剤やサイジング剤の洗浄効果を高めるタイプ。オープンソーパー型に代表される、精練工程内のタテ糸方向の生機の張力を制御しつつ、多くのロールを介して生機を搬送することで、生機のヨコ糸方向の収縮を抑制できるタイプ。他にも浸漬型収縮槽等の生機のタテ糸方向の張力は自由に設定できるが、ロール数や浴槽数が少ないため、生機のヨコ糸方向の収縮が制御しにくいが、設備費が安価なタイプがある。

本発明の基布を得るためには、精練工程内での生機のタテ糸方向の張力を制御しつつ、ヨコ糸方向の収縮を抑制するため、オープンソーパー型精練機を用いることが好ましい。タテ糸方向の張力は、生機の幅あたりの張力として、15〜40kgf(147〜392N)/mであることが、WRおよびFRをより大きくできるため、好ましい。精練機内では、生機の片側面に対して少なくとも10本以上のロールが接触するよう配置することで、乾燥中に励起する生機の収縮を抑制しつつ、WRおよびFRを大きくできるため好ましい。

途中で巻取りをすることなく、連続して生産をするために、巻き出し機と精練機の間、および、ピンテンターと巻取り機の間に加工布貯留装置(アキュームレーター)を配置することが好ましい。10〜50kgf(98〜490N)/mの範囲内で一定張力が掛けられるアキュームレーターを配置し、上記張力で処理することが、WRおよびFRをより大きくできるため好ましい。なかでも15〜40kgf(147〜392N)/mとすることが好ましい。

精練機内の薬液および水洗各槽の水温は、マルチフィラメント糸の収縮応力を強く励起させないよう、それぞれ70℃以下とすることが好ましい。好ましくは65℃以下である。

下のほうの温度としては40℃以上とすることが、精練剤を活性化させ、また織り糸に付着した油剤やWAXを効率的に除去できる点から好ましい。

(乾燥工程) 精練工程を経た生機は、引き続き一旦巻き取ることなく、タテ糸方向に生機の幅あたり10〜50kgf(98〜490N)/mの範囲内の張力が掛かるよう制御し、前記張力を与えつつ乾燥する。WRおよびFRをより大きくできる点から張力としては15〜40kgf(147〜392N)/mが好ましい。

乾燥機は本発明で規定する基布が得られる限り熱風乾燥機、サクションドラム乾燥機、ノンタッチドライヤー等、何れの乾燥機を用いても構わないが、生機の走行張力を一定に保つことが容易な、熱風乾燥機を用いることがより好ましい。

乾燥機内でも、WRおよびFRを大きくするためタテ糸方向に生機の幅当たり10〜50kgf(98〜490N)/mの範囲内の張力が掛かるよう制御しつつ、上記張力で乾燥することが好ましい。乾燥機内では、生機の片側面に対して少なくとも5本以上のロールが接触するよう配置することで、乾燥中に励起する生機の収縮を抑制しつつ、WRおよびFRを大きくできるため好ましい。

乾燥機の設定温度は、マルチフィラメント糸の収縮応力を強く励起させず、かつ、濡れた生機を十分乾燥させるために、80℃以上、さらに100℃以上とすることが好ましく、また160℃以下、さらに140℃以下とすることが好ましい。

(熱セット工程) 乾燥工程を経た生機は一旦巻き取る必要もなく、ピンテンターにて、乾燥された生機の幅に対し98〜100.5%の範囲内の織物幅が得られるようテンター幅が設定された状態で、120〜180℃の温度範囲内で熱セットし、その結果乾燥された生機の幅に対し98〜100.5%の範囲内の織物幅の生機とする。

この織物の幅とする理由は、ピンテンターにて、乾燥された生機を熱セットする際、熱セット中に励起する生機の収縮を抑制しつつ、WRおよびFRを大きくすることができるからである。

また、乾燥後の生機の幅に対して上記範囲より大きな幅が得られるよう幅出し率を設定すると、ピンに負荷が掛かり、ピン折れやピン曲がりの懸念がある。また乾燥後の生機の幅に対して上記範囲より小さい幅が得られるよう幅出し率を設定すると、熱セット中に励起する生機の収縮に任せて縮むため、WRおよびFRが小さくなってしまう。好ましくは乾燥後の生機の幅に対して99〜100%の範囲内で幅出しを行って熱セットすることが、生産性と軽量性・薄地性を両立できる。

熱セット温度は120〜180℃の温度範囲とするのが好ましい。熱セット温度が高すぎると、基布の機械特性が低下する懸念があり、低過ぎると、加工後基布の寸法が安定しない場合がある。加工後基布の寸法を安定させるため、熱セット温度は140℃以上、さらに160℃以上とすることが好ましい。

十分な寸法安定性を得るため、熱セット時間は15秒以上、さらに30秒以上が好ましく、また120秒以下、さらに90秒以下とすることが好ましい。

(ロール) 前記のように製織後生機は、巻き取り工程までの間に精練工程、乾燥工程、熱セット工程を経る。生機は、これら工程を、ロールを介して搬送されるが、WRおよびFRを大きくするため、生機に対し、片面あたり70本以上のロールに接触させることが好ましい。この好ましい態様によれば、生機の両面では少なくとも140本以上のロールが接触することになる。

これらロールは、生機のタテ糸方向に掛かる張力が10〜50kgf(98〜490N)/mの範囲内で調整されている領域に配置されることが好ましい。

ここで、ロールとは、加工機内に配置され、生機の全幅または一部が接触するフリーロール、固定ロールおよびバー、駆動ロール、エキスパンダーロール等、全ての円柱状のロールを指し、素材は金属でも樹脂でも、テープ類が巻かれていても良い。フリーロールや駆動ロール等の回転するロールであると、生機のタテ糸方向に掛かる張力を一定にできるため好ましい。 そしてロールによる生機への線圧は10N/mm以下であることが好ましい。

このように生機に片面当たり70本以上のロールに接触させることで、基布中のタテ糸、ヨコ糸それぞれを構成する単繊維が、基布水平面方向に細密充填化されていく。その結果、FR、WRが最適化され、軽量かつコンパクトなエアバッグとすることができる。好ましくは85本以上であり、さらに好ましくは95本以上である。本発明で規定する基布が得られる限り上限は特にないが、加工機の投資コスト抑制の観点から120本以下であることが好ましい。

(張力) 本発明のエアバッグ用基布を得るための加工工程では、巻き出しから巻取りまで、張力制御が実質困難なピンテンター内を除き、同じ張力で走行させることで、タテ糸およびヨコ糸中の単繊維を整列させ、かつ、WRおよびFRを大きくでき、結果として軽量・薄地なエアバッグ用基布を得ることが可能となるため好ましい。上記において同じ張力としては、例えば10〜50kgf(98〜490N)/mで維持されることが好ましく、15〜40kgf(147〜392N)の範囲内で維持されるのが望ましい。

(加工布貯留) 複数の生機ロールを連続的に加工投入し、加工後の基布を一定長さでバッチアップしつつ加工を継続させるため、生機巻き出し後、および/または巻取り前にアキュームレーターを配置して、加工されている布を貯留させることも可能である。その場合も、WRおよびFRを大きくするため、上記一定張力にて走行させることが好ましい。巻き出し側アキュームレーター、巻取り側アキュームレーター共に、生機の片側面に対して少なくとも10本以上のロールが接触するよう配置するのが好ましい。

他にも、アキュームレーターと精練機の間、精練機と乾燥機の間、乾燥機とピンテンターの間およびピンテンターとアキュームレーターの間にも、一定張力で走行させるための装置が具備されていることが好ましく、例えば、エアーダンサー、スイベルガイド等があると、ロールを介して、容易に張力を制御できるため好ましい。

本発明においては、これら各工程で行われるロールにての搬送に関し、生機の片面に70本以上のロールに接触させることが望ましい。

本発明のエアバッグ用基布は、エアバッグとして必要な機械特性と低通気性を保持しつつ、これまで困難とされてきた軽量性、薄地性との両立を達成できる。そのため、基布にコートすることなく基布をエアバッグとした時に、必要な乗員保護機能を有したまま、車内空間を広くできるコンパクト性、燃費を改善する軽量性、を改善するができる。もちろん本発明のエアバッグ用基布はさらに樹脂コートしてそれをエアバッグとして使用してもよい。

本発明のエアバッグ用基布は、運転席、助手席用および後部座席用、側面用エアバッグ、歩行者エアバッグなどのいずれのエアバッグにも好適に使用することができる。

以下、実施例により本発明を詳細に説明する。

[測定方法] 本発明における各特性の定義および測定法は以下のとおりである。

(1)総繊度:JIS L1013:2010 8.3.1 A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とした。

(2)クリンプ率:JIS L1096:2010 8.7 B法に基づき、初荷重は下記式6で示す計算式にて設定し、タテ・ヨコそれぞれのクリンプ率を算出した。

Cw=(L−200)/200×100 (式6) ここに、Cw:クリンプ率(%) L:真っ直ぐに張った長さ(mm)。

(3)分解糸総繊度:JIS L1096:2010 8.9.1.1 B法に基づき、基布から切り出した25cm×25cm正方形サンプルから、タテ・ヨコ方向それぞれの分解糸を採取し、前記(2)記載の方法で算出したクリンプ率を用いて、タテ・ヨコそれぞれの分解糸総繊度(dtex)を算出した。

(4)単繊維繊度:総繊度を単繊維数で除することで算出した。

(5)分解糸の単繊維繊度:分解糸総繊度を単繊維数で除して算出した。

(6)強度・伸度:JIS L1013:2010 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン/TENSILON”(登録商標。以下同じ)UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。なお、伸度は応力−ひずみ曲線における最大強度を示した点の伸びから求めた。

(7)分解糸強度:JIS L1013:2010 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件に準じ、20回/25cmの撚り掛けをして測定した。測定器はオリエンテック社製“テンシロン”UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。得られた分解糸の強力(cN)を分解糸の総繊度で除して、分解糸強度(cN/dtex)を算出した。

(8)タテ糸・ヨコ糸の織密度 JIS L 1096:2010 8.6.1 A法に基づき測定した。 試料を平らな台上に置き、不自然なしわや張力を除いて、異なる5か所について、タテ糸およびヨコ糸をほぐすことなく、TEXTEST社製FX3250を用いて、2.54cmあたりのタテ糸およびヨコ糸の本数を測定し、それぞれの平均値を算出した。

(9)断面変形度 織物の異なる5か所について、タテ糸とヨコ糸に沿った3cm×3cmの四角形のサンプルを切り出した。織り糸の構造を固定するため、重さ50g/m2以下の離型フィルムを5cm×5cmの四角形に切り出し、市販の木工用接着材を厚さ0.5mm以下となるように塗布したものを2枚作成した。その一方の接着材塗布面に静かにサンプルを置き、更にもう一方の接着材付き離型フィルムについて、接着材の塗布面を下にし、サンプルの上方に置く。そのまま荷重をかけることなく24時間室温にて放置した。次に離型フィルムを剥がした。フェザー安全剃刃社製の“フェザー”(登録商標)剃刃S片刃FAS−10を切断刃として用いて、図3のようにタテ糸およびヨコ糸それぞれの織り糸頂点部を切断した。日立製作所製の走査型電子顕微鏡S−3400N(製品名:Scanning Electron Microscope)を用いて断面を撮影した。織物の2つの面のうち、切断刃が挿入していった面の側にあるタテ糸およびヨコ糸を撮影したほうが、切断刃が抜け出していった面の側のタテ糸およびヨコ糸を撮影したときよりも、試料である織物の断面のもとの単繊維配列を忠実に観察できる。なぜなら切断刃が抜け出す面の側であると切断刃が抜け出すことにより、束になっている繊維がゆるんだり、ばらけたりするからである。したがって、フィラメント束の観測は切断刃が挿入していった面の側にあるタテ糸およびヨコ糸を対象とした。

切断刃挿入面のタテ糸およびヨコ糸それぞれの断面の長径と短径(例えば図1ではそれぞれ、符号1および符号2の線分の長さ)を測定し、式7、式8で表されるタテ糸断面変形度(WR)およびヨコ糸断面変形度(WF)を求める。本測定においてはタテ糸断面、ヨコ糸断面それぞれ無作為に抽出した5点について、長径/短径を求め、それらの平均値をWR、FRとした。 尚、切断刃は、1回切断する度に、毎回新しい刃に交換した。

タテ糸断面変形度(WR)=タテ糸断面の長径/タテ糸断面の短径 (式7) ヨコ糸断面変形度(WF)=タテ糸断面の長径/タテ糸断面の短径 (式8) (10)目付 JIS L 1096:2010 8.3.2 A法に準じ、試料の異なる3か所について、25cm×25cmの試料を作成し、電子天秤を用いて、質量を測定し、1平方mあたりの質量を算出し、平均値を目付とした。

(11)厚さ JIS L 1096:2010 8.4 A法に準じ、試料の異なる5か所について、直径が1.05cmの円形の測定子の厚さ測定機を用いて、1.0kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。

(12)引張強度・伸度 JIS L 1096:2010 8.14 A法(ストリップ法)に準じ、試料の異なる3か所について、幅6cm×長さ35cmの試料片を作成し、幅の両側から糸を取り除き幅5cmとなるように調製した。インストロン社製“インストロン”(INSTRON)(登録商標。以下同じ。)5965を用い、調製した試料を掴み間隔20cm、引張り速度20cm/分でサンプルが破断するまで試験を行い、破断時の応力を求め、平均値を引張強度(N/5cm)とした。なお、伸度は応力−ひずみ曲線における最大強度を示した点の伸びから求めた。

(13)引裂強度 JIS L 1096:2010 8.17 A法(シングルタング法)に則り、試料の異なる3か所について、15cm×20cmの試験片を作成し、短辺の中央(7.5cm)に短辺と直角に10cmの切れ目を入れて、インストロン社製“インストロン”5965に幅15cm以上のクランプを用いて、各切片(7.5cm×10cmの部分)を上下のクランプと直角に挟み、引張速度10cm/minにて、試験片が9cm引き裂かれるまで試験を行った。得られた応力—ひずみ曲線の最初の極大点から試験終点までを4分割し、最初の1分(最初の1/4)を除いた3分(2/4〜4/4)について、最大点の平均を求め、平均値を引裂強度(N)とした。尚、最大点とは、前記3分の平均応力に対し10%以上、直前の凹部から変化した点を最大点として読み取った。

(14)滑脱抵抗 ASTM D 6479−02に則り、試料の異なる5か所より試験片を採取し、インストロン社製“インストロン”5965を用いて試験を行い、平均値を滑脱抵抗(N)とした。

(15)剛軟度 ASTM D 4032−94のサーキュラーベンド法(Circular Bend)に則り測定した。

(16)静的通気度 JIS L 1096:2010 8.26.1 A法(フラジール形法)に準じ、試料の異なる6か所について、測定面積100cm2、500Pa差圧下での、試験片を通過する空気量(L/dm2/min)を求め、平均値を算出し静的通気度(L/dm2/min)とした。

(17)もみ後の静的通気度 タテ糸方向に沿って120mm、ヨコ糸方向に沿って120mmの正方形のサンプルを、試料の異なる6箇所について切り出した。それぞれのサンプルをヨコ糸に沿って(タテ糸が折れるよう)2回折り畳み、120mm×30mmのサンプルを得た。このサンプルを、JIS K 6404−6:1999に則り、スコット形もみ試験機を用いて、つかみ間隔30mm、荷重9.8N、つかみ具移動距離50mm、もみ速さ120回/分で、ヨコ糸の両端が把持され揉まれるよう、50回のもみ試験を行った。得られたもみ後のサンプルを、JIS L 1096:2010 8.26.1 A法(フラジール形法)に準じ、前記(12)項と同様の試験方法にて測定を行い、平均値を算出しもみ後の静的通気度(L/dm2/min)とした。

上記揉み後の静的通気度を、前記(16)で測定した揉み前の静的通気度で除した結果を揉み後の静的通気度変化とした。

(18)平均動的通気度・動的通気度曲線指数 ASTM D 6476−02に則り、TEXTEST社製エアバッグ専用通気性試験機FX3350を用い、テストヘッドは400cm3のものを用い、テストヘッドに充填する圧縮空気の圧力(START PRESSURE)は、織物にかかる最大圧力が100±5kPaになるように調整し、テストヘッドに充填した圧縮空気を解放して布帛の試料に当て、経時的に圧力および通気度を測定した。測定は試料の異なる場所の6か所にて行った。測定の結果得られた圧力−動的通気度曲線において最大圧力到達後の上限圧力(UPPER LIMIT:70kPa)〜下限圧力(LOWER LIMIT:30kPa)の範囲内の平均流速(mm/sec)を求め、平均値を動的通気度(mm/sec)として求めた。また、FX3350が自動的に算出するExponentについても、平均値を算出して動的通気度曲線指数とした。

[実施例1] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度6.5dtex、フィラメント数72、総繊度470dtex、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%、沸騰水収縮率6.0%、無撚りの合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。

(タテ糸準備工程) 粗巻き整経機を用いて、上記タテ糸の単位繊度あたりに0.1gf(0.1cN)/dtexの張力をかけて巻取り、粗巻きビームを作成した。その後、ビーミング機を用いて、タテ糸の単位繊度あたりに0.15gf(0.15cN)/dtexの張力をかけて粗巻きビームを引き揃え、織布ビームを作成した。

(製織工程) 上記織布ビームを、ウォータージェットルーム(WJL)に仕掛け、上記ヨコ糸を用いて、タテ糸密度が54.5本/2.54cm、ヨコ糸密度が55本/2.54cmで、幅が2.0mの生機を製織した。

筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置し、タテ糸の単位繊度あたり0.42gf(0.41cN)/dtexの張力をかけ、織機回転数600rpmとした。

(加工工程) 上記生機を巻出し機にセットした。生機を巻き出し、生機片面につき10本の回転するロールと、5本の回転しないロールとを有するアキュームレーターを通じさせた。さらに生機片面につき25本の回転するロールと7本の回転しないロールとを有するオープンソーパー型精練機を通じ、生機を精練した。精練の条件は精練槽の水温を65℃とし、湯洗槽の水温40℃とした。精練が終わった生機を引き続き、生機片面につき10本の回転するロールと2本の回転しないロールを有し、乾燥温度120℃の熱風型乾燥機を通じた。引き続き、生機をピンテンター乾燥機に通じさせた。乾燥後の生機幅と同じ幅になるよう幅出し率を設定し、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で180℃にて60秒間の条件で生機を熱セットした。生機をさらに生機片面につき8本の回転するロールと3本の回転しないロールを有するアキュームレーター通じさせた。生機をさらに巻き取り、エアバッグ用基布を得た。

巻き出し後のアキュームレーターから乾燥機内、および、熱セット後のアキュームレーター内は、タテ糸方向に30kgf(294N)/mの張力が掛かるよう調整し、片側あたり、アキュームレーターと精練機との間等に配置したロールと合わせて、計83本の回転するロールと計17本の回転しないロールに生機を接触させつつ加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表1に示したとおり、良好な機械特性を保持しかつ丸断面糸を使用して、高密度な織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果軽量かつ薄地で、低通気であった。

[実施例2] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1のタテ糸およびヨコ糸を用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。 (製織工程) 実施例1と同様にして、生機を製織した。 (加工工程) 上記生機を、生機片面につき10本の回転するロールを有するアキュームレーターと、18本の回転するロールと2本の回転しないロールを有するオープンソーパー型精練機と、8本の回転するロールを有する熱風型乾燥機と、8本のロールを有するアキュームレーターから構成され、アキュームレーターと精練機との間等に配置したロールと合わせて、片側あたり計70本の回転するロールと4本の回転しないロールに生機を接触させた以外は実施例1と同様にして加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表1に示したとおり、良好な機械特性を保持し、かつ丸断面糸を使用して、高密度の織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果軽量かつ薄地で、低通気であった。

[実施例3] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度3.5dtex、フィラメント数136、総繊度470dtex、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%、沸騰水収縮率6.5%、無撚りの合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。 (タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを準備した。 (製織工程) タテ糸密度を54.0本/2.54cmとした以外は、実施例1と同様にして、生機を製織した。 (加工工程) 実施例1と同様にして、エアバッグ用基布を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表1に示したとおり、良好な機械特性を保持し、かつ丸断面糸を使用して、高密度の織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果軽量かつ薄地で、低通気であった。

[比較例1] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度3.5dtex、フィラメント数136、総繊度470dtex、強度8.5cN/dtex、伸度23.0%、沸騰水収縮率7.2%、無撚りの合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。 (タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを準備した。 (製織工程) 実施例1と同様にして、生機を製織した。 (加工工程) 上記生機を、巻き出し後および巻取り前共にアキュームレーター、精練機、乾燥機を具備しない、ピンテンター乾燥機を用いて生機と同じ幅になるよう幅出し率を設定し、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で180℃にて30秒間熱セット加工した。尚、本加工機には、巻き出し機〜ピンテンター乾燥機、および、ピンテンター乾燥機と巻取り機との間を繋ぐため、片面あたり計15本の回転するロールと3本の回転しないロールを配置し、生機の張力を制御することなく巻取り、エアバッグ用基布を得た。

得られたエアバッグ用基布は、表1に示したとおり、良好な機械特性は保持していたが、加工工程内で生機が接触したロール数が少なかったこともあり、ヨコ糸の断面変形度が小さく、その結果重量かつ厚地で、実施例3に比べ高い通気度であった。

[比較例2] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度6.5dtex、フィラメント数72、総繊度470dtex、強度8.0cN/dtex、伸度21.0%、沸騰水収縮率6.9%、無撚りの合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。

(タテ糸準備工程) 糊付けビーミング機を用いて、タテ糸へ糊剤を付与した以外は、実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。粗巻き整経工程では、タテ糸の単位繊度あたりに0.1gf(0.1cN)/dtexの張力をかけて巻き取り、糊付けビーミングでは、タテ糸の単位繊度あたりに0.13gf(0.13cN)/dtexの張力をかけて巻き取った。

(製織工程) 上記織布ビームを、レピアルームに仕掛け、上記ヨコ糸を用いて、タテ糸密度が54本/2.54cm、ヨコ糸密度が53本/2.54cmで、幅が2.0mの生機を製織した。

筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置し、タテ糸の単位繊度あたりに0.32gf(0.31cN)/dtexの張力をかけ、織機回転数450rpmとした。

(加工工程) 上記生機を、巻き出し、アキュームレーターを経て、糊抜き精練機を用いて、常温のプリウェット槽、糊抜き精練槽水温80℃、湯洗槽水温80℃にて精練した。引き続き、熱風型乾燥機を用いて、乾燥温度120℃にて乾燥し、引き続き、ピンテンター乾燥機を用いて、乾燥後の生機幅と同じ幅になるよう幅出し率を設定し、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で、180℃にて1分間の熱セット加工をした。さらに生機を、アキュームレーターを通じて巻き取り、エアバッグ用基布を得た。

巻き出し後のアキュームレーター、乾燥機内、および、熱セット後のアキュームレーター内は、タテ糸方向に20kgf(196N)/mの張力が掛かるよう調整し、片側あたり79本の回転するロールと20本の回転しないロールに生機を接触させつつ加工した。ここで、プリウェット槽から水洗槽内は、糊剤を除去するため、液体の生地への浸み込みが大きくなるよう、生機の幅当たり5kgf(49N)/mの走行張力を掛けつつ、片側面あたり33本の回転するロールと7本の回転しないロールに生機を接触させた。

得られたエアバッグ用基布は、表1に示したとおり、加工工程にて収縮したためか、タテ糸、ヨコ糸共に断面変形度が小さく、その結果重量かつ厚地で、実施例1および2に比べて高い通気度であった。

[比較例3] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1のタテ糸およびヨコ糸を用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。

(製織工程) 実施例1と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) 乾燥後の生機幅に対し、96%の幅になるよう幅出し率を設定した以外は、実施例2と同様に加工し、エアバッグ用基布を得た。

得られたエアバッグ用基布は、表1に示したとおりテンター内で収縮したためか、ヨコ糸断面変形度が小さく、その結果重量かつ厚地で、実施例1および2に比べて高い通気度であった。

[比較例4] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1のタテ糸およびヨコ糸を用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。

(製織工程) 実施例1と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) 上記生機を、生機片面につき10本の回転するロールを有するアキュームレーターと、8本の回転するロールと2本の回転しないロールを有するオープンソーパー型精練機と、8本の回転するロールを有する熱風型乾燥機と、7本のロールを有するアキュームレーターから構成され、アキュームレーターと精練機との間等に配置したロールと合わせて、生機片面につき計55本の回転するロールと5本の回転しないロールを有する加工機を用いた以外は、実施例1と同様に加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表2に示したとおり、基布表面に偏在するヨコ糸単繊維の整列が不十分となったためヨコ糸断面変形度が小さくなった。その結果、実施例1および2に比べて高い通気度となった。

[実施例4] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例3のタテ糸およびヨコ糸を用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを準備した。

(製織工程) タテ糸密度を52.5本/2.54cm、ヨコ糸密度を53本/2.54cmとした以外は、実施例1と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) テンターの温度を160℃とした以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表2に示したとおり、必要な機械特性を保持し、かつ丸断面糸を使用し、高密度な織物でありながら、断面変形度が大きく、軽量かつ薄地で、低通気であった。

[比較例5] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度3.3dtex、フィラメント数144、総繊度470dtex、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%、沸騰水収縮率7.9%の合成繊維マルチフィラメントを無撚りのままタテ糸およびヨコ糸として用いた。 (タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。 (製織工程) タテ糸密度を50本/2.54cm、ヨコ糸密度を50本/2.54cmとした以外は、実施例1と同様にして、生機を製織した。 (加工工程) 上記生機を、オープンソーパー型精練機の替わりに、アキュームレーターを具備しない、浸漬型収縮槽を用いて95℃の熱水に浸漬して収縮加工を施し、次いで130℃で熱風乾燥機にて乾燥仕上げして、片面あたり15本の回転するロールに生機を接触させつつ加工し、エアバッグ用基布を得た。

収縮加工中および乾燥機中は、生機に、幅当たり40kgf(392N)/mの張力が掛かるようにした。

得られたエアバッグ用基布は、実施例4のエアバッグ基布と同じ総繊度のマルチフィラメント糸を用い、加工後の織密度も同じであったが、収縮加工を行い、かつ、通過させたロール数が少なかったため、表2に示したとおり、良好な機械特性と低通気性は保持していたが、単繊維繊度が実施例4より小さいにもかかわらず、単繊維の配列が乱れ、タテ方向の断面変形度が小さく、さらに、収縮加工により分解糸の総繊度が製織前のマルチフィラメントの総繊度より大きくなったため、実施例4と比較して重たく、厚地となった。

[実施例5] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例3のタテ糸およびヨコ糸を用いた。 (タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。 (製織工程) タテ糸密度を50本/2.54cm、ヨコ糸密度を50本/2.54cmとした以外は、実施例1と同様にして、生機を製織した。 (加工工程) テンター設定温度を120℃とした以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表2に示したとおり、良好機械特性を保持しつつも、丸断面糸であり、高密度な織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果、軽量かつ薄地で、低通気であった。

[比較例6] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、単繊維の断面扁平度が3.3、単繊維繊度4.9dtex、フィラメント数96、総繊度470dtex、強度7.9cN/dtex、伸度24.5%、沸騰水収縮率6.2%、無撚りの合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例4と同様にして、織布ビームを準備した。

(製織工程) タテ糸の単位繊度あたりの張力を0.2gf(0.2cN)/dtexとした以外は、実施例4と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) 実施例1と同様にして、エアバッグ用基布を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表2に示したマルチフィラメント糸、分解糸および基布の特性、基布製造条件のとおり、扁平断面糸を用いたため、断面変形度が大きく、軽量かつ薄地であったが、もみ後に、単繊維配列が乱れたため、静的通気度変化率が大きく、必要な低通気性の保持を達成することができなかった。

[実施例6] (タテ糸・ヨコ糸) ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度2.6dtex、フィラメント数136、総繊度350dtex、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%、沸騰水収縮率6.5%,無撚りの合成繊維マルチフィラメントをタテ糸およびヨコ糸として用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。

(製織工程) タテ糸密度を59.5本/2.54cm、ヨコ糸密度を60本/2.54cm、タテ糸の単位繊度あたりの張力を0.18gf(0.18cN)/dtexとした以外は、実施例1と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) テンター設定温度を160℃とした以外は、実施例1と同様にして、エアバッグ用基布を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表2に示したとおり、良好な機械特性を保持しつつも、丸断面糸であって、高密度の織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果、軽量かつ薄地で、低通気であった。

[実施例7] タテ糸およびヨコ糸に用いる合成繊維マルチフィラメント糸の強度を9.2cN/dtex、伸度を22.8%とした以外は、実施例6と同様にして、エアバッグ用基布を得た。 得られたエアバッグ用基布は、表3に示したとおり、良好な機械特性を保持しつつも、丸断面糸であって、高密度の織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果、軽量かつ薄地で、低通気であった。

[実施例8] (タテ糸・ヨコ糸)フィラメント数を108、総繊度を350dtexとした以外は、実施例6と同じ無撚りの合成繊維マルチフィラメントを用いた。

(タテ糸準備工程) 実施例1と同様にして、織布ビームを作成した。

(製織工程) タテ糸密度を57.5本/2.54cm、ヨコ糸密度を58本/2.54cmとした以外は、実施例6と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) 実施例6と同様にして、エアバッグ用基布を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表3に示したとおり、良好な機械特性を保持しつつも、丸断面糸であって、高密度な織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果、軽量かつ薄地で、低通気であった。

[実施例9] (タテ糸・ヨコ糸) 実施例1のタテ糸およびヨコ糸を用いた。

(タテ糸準備工程) 部分整経機を用いて、織布ビームを作成した。

(製織工程) 実施例1と同様にして、生機を製織した。

(加工工程) 実施例2と同様にして、生機を加工した。

得られたエアバッグ用基布は、表3に示したとおり、良好な機械特性を保持しつつも、丸断面糸であって、高密度な織物でありながら、断面変形度が大きく、その結果軽量かつ薄地で、低通気であった。

[比較例7] 実施例1の方法にて作成した生機を、生機片面につき10本の回転するロールと2本の回転しないロールを有し、乾燥温度120℃で熱風型乾燥機を通じて乾燥後、カレンダー加工を施した。

得られたエアバッグ用基布は、表3に示したとおり、断面変形度が大きく、軽量かつ薄地であったが、カレンダー加工時のプレス圧力により単繊維の断面形状が変形し、分解糸強度および基布の機械特性が低いものであった。

本発明のエアバッグ用基布は、ノンコートのままでも運転席、助手席用後部座席用および側面用エアバッグならびに歩行者エアバッグなどに好適に用いることができる。

1:タテ糸断面の長径 2:タテ糸断面の短径 3:ヨコ糸断面の長径 4:ヨコ糸断面の短径 5:加工後の織物 6:タテ糸 7:ヨコ糸 A−A:タテ糸の断面写真を撮影するための切断線 B−B:ヨコ糸の断面写真を撮影するための切断線

QQ群二维码
意见反馈