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申请号 JP2014078579 申请日 2014-04-07 公开(公告)号 JP5597784B1 公开(公告)日 2014-10-01
申请人 有限会社Itoi生活文化研究所; 发明人 徹 糸井;
摘要 【課題】吸湿性と耐久性と良好な触感を併立させた、和紙を素材とする用品に用いる織物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】主糸と副糸とが混織されてなる織物であって、前記主糸が細幅にスリットされた和紙を少なくとも50重量%含む糸であり、前記副糸の単位長さ当たり重量が前記主糸の単位長さ当たり重量の1/5〜2/3であり、前記織物は、前記主糸からなる経糸Aと、前記主糸からなる緯糸Aと、前記副糸からなる経糸Bと、前記副糸からなる緯糸Bとからなる織組織構造を有し、前記織組織構造において、経糸列が2本の経糸Aの間に複数本の経糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、緯糸列が2本の緯糸Aの間に複数本の緯糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、経糸Aと緯糸Aとが平織組織構造で交錯し、前記織物の織 密度 係数が8.5〜14である織物である。
【選択図】 図2
权利要求
  • 主糸と副糸が混織されてなる織物であって、
    前記主糸がテープ状にスリットされた和紙を50重量%以上含む糸であり、
    前記副糸が紡織用天然繊維または人造繊維からなる糸であって、単位長さ当たり重量が前記主糸の単位長さ当たり重量の1/5〜2/3であり、
    前記織物は、前記主糸からなる経糸Aと、前記主糸からなる緯糸Aと、前記副糸からなる経糸Bと、前記副糸からなる緯糸Bとからなる織組織構造を有し、
    前記織組織構造において、
    経糸列が2本の経糸Aの間に1または2本の経糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、
    緯糸列が2本の緯糸Aの間に1または2本の緯糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、
    経糸Aと緯糸Aとが前記織物中で平織組織構造または綾織組織構造で交錯し、
    前記織物の織密度係数が8.5〜14であり、
    前記織物の単位エリア中に存在する経糸の本数と緯糸の本数の積をPとし、該単位エリアの一の面側に存在する、前記主糸の飛び越し糸本数が3〜4の浮きの個数をtとしたときのt/Pの値が1/15〜1/4である織物。
  • 前記織物の経糸密度をW 、緯糸密度をW としたとき、2×|W −W |/(W +W )の値が0〜0.15である、請求項1に記載の織物。
  • 前記副糸が熱融着性繊維を含み、該熱融着性繊維は熱溶融性ポリマーを含み、該熱溶融性ポリマーの溶融により該熱融着性繊維の熱融着性が発揮される、請求項1または2に記載の織物。
  • 前記主糸が前記和紙と熱融着性繊維とを含む複合糸であり、該熱融着性繊維は熱溶融性ポリマーを含み、該熱溶融性ポリマーの溶融により該熱融着性繊維の熱融着性が発揮される、請求項1から3のいずれかに記載の織物。
  • 前記熱融着性繊維が前記熱溶融性ポリマーと該熱溶融性ポリマーより融点の高い高融点ポリマーとの複合繊維であり、該高融点ポリマーと前記熱溶融性ポリマーとが芯鞘構造あるいはバイメタル構造で複合されてなる複合繊維である請求項3または4に記載の織物。
  • 請求項3から5のいずれかに記載の織物を前記熱溶融性ポリマーが溶融する温度で加熱処理して得られた織物。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を用いた履物用の生地部材。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物をアッパーに用いたシューズ。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を生地部材に用いたサンダル。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を袋部に用いたバッグ。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を収納部に用いた物入れ用品。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を生地に用いた衣服。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を生地に用いた移動体の内装用材。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を生地に用いたインソール。
  • 請求項1,2,6のいずれかに記載の織物を生地に用いたインテリア用の用品材。
  • 说明书全文

    本発明は、吸湿性と耐久性と良好な触感を併立させた、和紙を素材とする用品に用いる織物に関する。 とくには、耐久性に優れかつ足のダメージが少ないランニングシューズ等に好適に用いることのできる織物に関する。

    ランニングシューズの耐久性向上については靴底の改善に主眼がおかれて、アウトソールの底部に形成された溝内に、ミッドソールの底端面に設けられた畝状突起を嵌合固着することによって、一体構造の靴底を形成することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。 しかし、競技用、とくに長距離走用のランニングシューズについては、軽量化が極限まで追求された結果として、アッパーの部分の損傷も重要視される。 また、耐久性を追求するあまり足にダメージを与えることも避けなければならない。 例えば、競技中に靴内がむれて皮膚が軟化しマメができ破れるなどのトラブルを避けなければならない。

    靴内のむれを少なくするアッパーの素材としては吸湿性と速乾性に優れた繊維からなる布が考えられるが、コットンやレーヨンなどの吸湿性が比較的高い繊維を用いたとしても、靴内がむれて皮膚が軟化しマメができ破れるなどのトラブルを、過酷な使用条件のもとでは避けることができないのが現状である。 また、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は強度の点では満足する性能を得る可能性があるが、吸湿性に劣るので、競技中に靴内がむれて皮膚が軟化しマメができ破れるなどのトラブルを避けることができない。

    吸湿性と高強度を両立させる糸の素材としては和紙からなる糸が考えられる(例えば、特許文献2参照)。 単に和紙からなる糸を特許文献2などに見られるような平織り組織の織物にしたり、経糸に補強用の合成繊維糸などを用いて和紙からなる糸を緯糸として打ち込むなどしたものをアッパーの素材に用いた場合は、過酷な競技下での耐久性や足の皮膚の損傷について問題を生ずることが懸念される。

    特開平08−182504号公報

    特開2005−192724号公報

    本発明は、吸湿性と耐久性と良好な触感を併立させた、和紙を素材とする用品に用いる織物を提供することを目的とする。

    本発明は、耐久性に優れかつ足のダメージが少ないランニングシューズを提供することを目的とする。

    本発明の要旨とするところは、
    主糸と副糸が混織されてなる織物であって、
    前記主糸がテープ状にスリットされた和紙を50重量%以上含む糸であり、
    前記副糸が紡織用天然繊維または人造繊維からなる糸であって、単位長さ当たり重量が前記主糸の単位長さ当たり重量の1/5〜2/3であり、
    前記織物は、前記主糸からなる経糸Aと、前記主糸からなる緯糸Aと、前記副糸からなる経糸Bと、前記副糸からなる緯糸Bとからなる織組織構造を有し、
    前記織組織構造において、
    経糸列が2本の経糸Aの間に1または2本の経糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、
    緯糸列が2本の緯糸Aの間に1または2本の緯糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、
    経糸Aと緯糸Aとが前記織物中で平織組織構造または綾織組織構造で交錯し、
    前記織物の織密度係数が8.5〜14であり、
    前記織物の単位エリア中に存在する経糸の本数と緯糸の本数の積をPとし、該単位エリアの一の面側に存在する、前記主糸の飛び越し糸本数が3〜4の浮きの個数をtとしたときのt/Pの値が1/15〜1/4である織物であることにある。

    前記織物の経糸密度をW 、緯糸密度をW としたとき、2×|W −W |/(W +W )の値が0〜0.15であり得る。

    前記織物においては、前記副糸が熱融着性繊維を含み得、該熱融着性繊維は熱溶融性ポリマーを含み得、該熱溶融性ポリマーの溶融により該熱融着性繊維の熱融着性が発揮され得る。

    前記織物においては、前記主糸が前記和紙と熱融着性繊維とを含む複合糸であり得、該熱融着性繊維は熱溶融性ポリマーを含み得、該熱溶融性ポリマーの溶融により該熱融着性繊維の熱融着性が発揮され得る。

    前記織物においては、前記熱融着性繊維が前記熱溶融性ポリマーと該熱溶融性ポリマーより融点の高い高融点ポリマーとの複合繊維であり得、該高融点ポリマーと前記熱溶融性ポリマーとが芯鞘構造あるいはバイメタル構造で複合されてなる複合繊維であり得る。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を前記熱溶融性ポリマーが溶融する温度で加熱処理して得られた織物であることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を用いた履物用の生地部材であることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物をアッパーに用いたシューズであることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を生地部材に用いたサンダルであることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を袋部に用いたバッグであることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を収納部に用いた物入れ用品であることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を生地に用いた衣服であることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を生地に用いた移動体の内装用材であることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を生地に用いたインソールであることにある。

    さらに、本発明の要旨とするところは、前記織物を生地に用いたインテリア用の用品材であることにある。

    本発明により、吸湿性と耐久性と良好な触感を併立させた、和紙を素材とする用品に用いる織物が提供される。

    本発明により、耐久性に優れかつ足のダメージが少ないランニングシューズが提供される。

    ランニングシューズの構造を示す斜視図。

    本発明の織物の組織を示す説明図。

    本発明の織物の表面の状態を示す模式図。

    織物組織に関する用語を説明するための断面模式図。

    本発明の織物の図2とは異なる組織を示す説明図。

    本発明の織物の図5とは異なる組織を示す説明図。

    本発明の織物は、和紙を主成分とする糸を用いた織物である。 本発明の織物は、図1に示すようなランニングシューズ2のアッパー4などに用いられる。

    和紙はこうぞ、みつまた、麻類、針葉樹、笹等の和紙に適した原料植物を叩解して得られる繊維からなる和紙原料を漉いて作られる紙である。 和紙の目付けは略10〜20g/m 程度である。 本発明において用いられる和紙には10重量%以下であれば上記の和紙原料以外の繊維が含まれていてもよい。 この和紙原料以外の繊維の含有率が10重量%を越えると、和紙特有の吸湿性、強度が劣って、本発明におけるランニングシューズ等の製品の特性に影響することがある。 本発明に用いられる和紙においては、上記の和紙原料の含有率が95重量%以上であることが最も好ましい。

    本発明において用いられる和紙を主成分とする糸(以下和紙糸と称する)は、和紙を細幅(例えば1〜5mm幅)のテープ状にスリットした和紙テープを加撚して得られるものであることが好ましい。 和紙糸は和紙テープと他の糸との合撚糸であってもよいが、和紙糸には50重量%以上の和紙が含まれていることが必要である。 70重量%以上の和紙が含まれていることがさらに好ましい。 和紙糸は、和紙テープに他の糸をカバリングしたものであってもよく、あるいは他の糸に和紙テープをカバリングしたものであってもよい。 和紙糸における和紙以外の糸(他の糸)の比率が50重量%を越えると、本発明におけるランニングシューズ等の製品の良好な吸湿性やムレ感のなさに影響する。 和紙糸は和紙のみからなることが好ましい。 和紙糸は単糸であってもよいが、双糸であってもよい。 和紙糸の線密度(単位長さ当たりの重量)は1/60(g/m)〜1/10(g/m)であることが好ましい。 すなわち、単糸の場合は10〜60番手(メートル番手)であることが好ましい。 和紙糸は加撚されていることが、強度と織物表面の均一なアピアランスを得るうえで好ましい。 和紙糸の撚数T(回/m)をT=K ×√N(Nは和紙糸のメートル番手)とするとき、撚係数K が50〜160であることが好ましい。

    本発明の織物においては、和紙糸の他に、織物の引っ張り強度を向上するための補強糸が用いられる。 補強糸は和紙糸と混織して用いる。 補強糸としてはポリエステル、ナイロン、レーヨンなどの人造繊維からなるフィラメント糸あるいはスパン糸であることが強度の点で好ましい。 綿、麻、絹などの紡織用天然繊維からなるスパン糸あるいはフィラメント糸であってもよい。

    この補強糸を経糸として用い、和紙糸を緯糸として打ち込むことが製織性のうえでは好ましいが、このような方法で得られた織物は、剪断剛性や、曲げ剛性が織物の縦横で大きく異なるので、アッパー4に用いられた場合に寸法安定性が悪くなり、かつ、変形のバランスが悪く、アッパー4に適した曲面に仕上げることが難しいという問題がある。 さらに、補強糸も織物の表面にかなりの割合で露出しているので、シューズを履いたときに足にじかに触れる補強糸の割合が多く、ムレ感の解消という目的に関しては問題がある。 本発明はこれらの問題点を解消するためになされたものである。

    上述の和紙糸を用いた、本発明の織物の組織チャートの一例を図2に示す。 本発明の織物は主糸と副糸が混織されてなる織物であって、図2に示すように、組織チャート10において、主糸12と副糸14が織組織されてなる。 主糸12は和紙糸であり、副糸14は単位長さ当たり重量が主糸12の単位長さ当り重量の1/5〜2/3である。 副糸14などの本発明における副糸は上述の補強糸として用いられる糸である。 副糸14はフィラメント糸であることが、製品のケバが少なくかつ糸の嵩が小さいので好ましい。 ケバが少ないことで製品の使用時における足との摩擦による足の損傷が軽減され、また、糸の嵩が小さいことにより、副糸14は織物の表面に露出しにくくなり、製品の使用時に副糸が足に接する面積が小さくなる。 これにより、製品の使用時に主糸12が足に接する面積を大きくすることができる。

    組織チャート10に示される本発明の織物は、主糸12からなる経糸TAと主糸12からなる緯糸WA、副糸14からなる経糸TB、副糸14からなる緯糸WBが織組織されてなる織組織構造を有し、この織組織構造において経糸TAと緯糸WAの両者のみに注目すると、両者が織物中で平織組織構造により交錯している。 また、経糸列が2本の経糸TA(経糸TBを無視して見た場合の互いに隣り合う経糸TA)の間に2本の経糸TBが配される繰りかえしの列構造を有し、緯糸列が2本の緯糸WA(緯糸WBを無視して見た場合の互いに隣り合う緯糸WA)の間に2本の緯糸WBが配される繰りかえしの列構造を有している。 また、本発明において用いられる織物では、この織組織を有しかつ織密度を大きくすることにより、図3に示すように、主糸12が副糸14よりも織物の表面の大きな部分を占めるように配される構造の織物16が得られる。

    和紙糸は綿糸などの紡織用天然繊維からなる糸に比べて、本発明の織物における織組織構造により織り込まれたときに扁平になりやすいので、主糸12が副糸14よりも織物の表面の大きな部分を占めるように効果的に配される構造の織物16が得られる。

    長距離ランナーが本発明のこの織物をアッパーに用いたランニングシューズを着用すると、発汗による分が、和紙の高い吸湿性と相俟って織物の足に接する側の表面から素早く吸収され、かつ、吸収された水分が織物の足に接する側と反対側の表面から素早く外気に放出される。 したがって、本発明の織物をアッパーに用いることによりムレ感のないシューズを得ることができる。

    従来のランニングシューズでは、アッパーに用いる織物の目開きを大きくすることにより発汗による水分を外部へ放出しやすくする方策がとられているが、この場合は雨天時に雨水が侵入しやすくなり靴の内部がこの水でグチャグチャになるという逆効果を生ずることとなる。 本発明の織物は織密度が比較的高いの雨水が侵入しにくくかつ発汗による水分が織物の足に接する側の表面から素早く吸収され、かつ、吸収された水分が織物の足に接する側と反対側の表面から素早く外気に放出される。 したがって、本発明の織物をアッパーに用いることにより雨天での使用においてもムレ感のないシューズを得ることができる。

    本発明の織物に用いられる和紙が笹の繊維を混抄したものである場合は、この織物をアッパーに用いたランニングシューズは抗菌性を有し、足のかぶれを軽減する効果を有する。

    2種類の糸使いで一方の糸を優先して表面に出す織物としては2重織組織のものが挙げられるが、目付が大きくなり、軽量化が求められるランニングシューズ用の素材としては不適である。 また一方の糸を朱子織の組織により浮かせることにより表面に出すことも考えられるが、経緯の交錯個所が少なく、織物16の面方向の剪断に対する抵抗(剪断弾性率)が低下するので、アッパー4に用いられた場合に寸法安定性が悪くなり、かつ、織物16の曲げ弾性率が曲げ方向により異なるので変形のバランスが悪く、アッパー4に適した曲面に仕上げることが難しい。 また、使用時に型くずれしやすい。

    織物16は、上述のように、主糸12である経糸TAと緯糸WAのみに注目すると、両者が平織組織構造で交錯しており、かつ、副糸14も経緯の交錯が平織組織構造に近くて経緯の交錯点が多く、また、交錯のバランスがよく、このため、織物16は縦横の引っ張り弾性がほぼ等しくなりバランスがよい。 また、織物16の単位エリア(例えば1cm×1cm)中に存在する経糸(経糸TAと経糸TB)と緯糸(緯糸WAと緯糸WB)とが交差する個所の個数(単位エリア中の経糸の本数と緯糸の本数の積)をPとし、そのエリア中で織物16の一の面(主糸の露出面積が副糸の露出面積より多い面、あるいは両者が同じ面。図2、図5、図6では図面視上面側の面)側に存在する主糸の、飛び越し糸本数が4の浮きの個数をtとすると、t/Pが1/9となっている。

    本明細書では、飛び越し糸本数は図4の断面模式図に示すように、織物組織中のある糸20について、糸20の一の交錯点22と、交錯点22に隣合う他の交錯点24との間に存在する、糸20と交差する糸26の本数Fをいうものとする。 Fが2以上のとき、糸20の、一の交錯点22と他の交錯点24との間に存在する部分を浮き28というものとする。 交錯点とは、織物組織中の、互いに隣接の平行な2本の糸(例えば糸25と糸27)の間を、その糸と交差する糸(例えば糸20)が通過する通過点をいうものとする。 すなわち、交錯点とは、互いに隣接の2本の経糸の間を緯糸が通過する通過点、または互いに隣接の2本の緯糸の間を経糸が通過する通過点をいうものとする。 交錯点22は糸25と糸27の間を糸20が通過する通過点であり、交錯点22は糸29と糸31の間を糸20)が通過する通過点である。 図4には飛び越し糸本数Fが4の浮き28が例示されている。

    織物16は、t/Pが1/9となっていることと、副糸14の単位長さ当たり重量が主糸12の単位長さ当たり重量の1/5〜2/3であることにより、図3に示すように、織物16は副糸14に比べて主糸12がより多い面積比率で露出する構造が得られている。 これにより、織物16は、主糸を表面に露出させることと、アッパー4に適した曲面に仕上げるうえで好ましい変形特性、すなわち、高い曲げ弾性と、とくには面方向の高い剪断弾性と、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを得ることができる。 また、平滑な表面を得ることができる。 副糸14の単位長さ当たり重量が主糸12の単位長さ当たり重量の1/5〜1/2であることが、副糸14に比べて主糸12がより多い面積比率で露出するうえでより好ましい。

    また、織物16においては、主糸12の浮きの飛び越し糸本数が4以下であり、このことも面方向の高い剪断弾性と、縦横の引っ張り弾性のバランスを得ることに寄与している。

    さらに、織物16においては、副糸14の浮きの飛び越し糸本数が2以下であり、このことも、織物16における縦横の引っ張り弾性がほぼ等しくなりバランスがよいことや、面方向の高い剪断弾性や寸法安定性や、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを得ることに寄与している。 また、織物16の良好な形態安定性にも寄与している。

    織物16は、このことに加えて、上述のように、主糸12が織物の表面を覆うように配される構造となっているので、吸湿性に優れた主糸12がランナーの足に面するような態様で用いられる。 これにより、競技中に靴内がむれて皮膚が軟化しマメができ破れるなどのトラブルを避けることができる。

    また、和紙は一般に乾燥時より湿潤時のほうが強力が高いので、本発明のランニングシューズ2は、レーヨン糸、合繊糸などをアッパーの素材とするランニングシューズに比べて極めて高い耐久性を有し、繰り返しての使用が可能である。 合繊糸のみからなる布をアッパーとして使用したランニングシューズは使用時の昇温によりクリープ変形や強力低下を招き変形や破損を生ずることがあるが、湿潤時の和紙は使用時の昇温による強力低下や変形が極めて少ない。

    本発明の他の態様の織物の組織チャート10aを図5に示す。 この態様においても、主糸12からなる経糸TAと主糸12からなる緯糸WA、副糸14からなる経糸TB、副糸14からなる緯糸WBが織組織されてなる織組織構造を有し、この織組織構造において経糸TAと緯糸WAの両者のみに注目すると、両者が織物中で平織組織構造で交錯している。 また、経糸列が2本の経糸TAの間に2本の経糸TBが配される繰りかえしの列構造を有し、緯糸列が2本の緯糸WAの間に2本の緯糸WBが配される繰りかえしの列構造を有している。 また、t/Pの値が1/9となっている。

    さらに、組織チャート10aによる織物は、一の面の側の副糸14の浮きの飛び越し糸本数が2以下である。 このことも、織物における縦横の引っ張り弾性がほぼ等しくなりバランスがよいことや、面方向の高い剪断弾性や、寸法安定性や、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを得ることに寄与している。 また、織物の良好な形態安定性にも寄与している。

    かかる構成の組織チャート10aにおいても、織密度を高くすることにより、主糸12が織物の表面を覆うように配され副糸14は織物の厚さ方向に関して中央部に配される構造が実現されていて、図3に示す織物16と同様に、アッパー4に適した曲面に仕上げるうえで好ましい変形特性、すなわち、高い曲げ弾性と、とくには面方向の高い剪断弾性と、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを有している。 このことに加えて、上述のように、主糸12が織物の表面を覆うように配される構造となっているので、吸湿性に優れた主糸12がランナーの足にじかに接するような態様で用いられる。 これにより、競技中に靴内がむれて皮膚が軟化しマメができ破れるなどのトラブルを避けることができる。 また、この好ましい変形特性は、シューズの使用によるアッパー4の形崩れが少ないことやシューズの耐久性が良好であることにも寄与している。

    本発明のさらに他の態様の織物の組織チャート10bを図6に示す。 この態様においても、主糸12からなる経糸TAと主糸12からなる緯糸WA、副糸14からなる経糸TB、副糸14からなる緯糸WBが織組織されてなる織組織構造を有し、この織組織構造において経糸TAと緯糸WAの両者のみに注目すると、両者が綾織り組織構造で交錯している。 また、経糸列が2本の経糸TAの間に1本の経糸TBが配される繰りかえしの列構造を有し、緯糸列が2本の緯糸WAの間に1本の緯糸WBが配される繰りかえしの列構造を有している。 また、t/Pの値が1/8となっている。

    さらに、組織チャート10bによる織物には飛び越し糸本数が3以上の副糸14の浮きはなく、このことも、織物の縦横の引っ張り弾性がほぼ等しくなりバランスがよいことや、面方向の高い剪断弾性や、寸法安定性や、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを得ることに寄与している。 また、織物の良好な形態安定性にも寄与している。

    かかる構成の組織チャート10a、組織チャート10bにおいても、織密度を高くすることにより、主糸12が織物の表面を覆うように配され副糸14は織物の厚さ方向に関して中央部に配される構造が実現されていて、図3に示す織物16と同様に、アッパー4に適した曲面に仕上げるうえで好ましい変形特性、すなわち、高い曲げ弾性と、とくには面方向の高い剪断弾性と、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを有している。 このことに加えて、上述のように、主糸12が織物の表面を覆うように配される構造となっているので、吸湿性に優れた主糸12がランナーの足にじかに接するような態様で用いられる。 これにより、競技中に靴内がむれて皮膚が軟化しマメができ破れるなどのトラブルを避けることができる。

    なお、図2、図5、図6は織組織を示すことを目的とするものであり、織組織を明確にするため、糸の太さと糸間の間隔の関係などは、実際の織物とは異なって記されている。

    本発明の織物は、このように経糸として配された主糸(経糸A)と緯糸として配された主糸(緯糸A)とが平織組織構造または綾織組織構造をなし(主糸のみについて考えると経糸Aと緯糸Aとで平織組織構造または綾織組織構造をなし)、経糸列が主糸からなる2本の経糸の間に副糸からなるm本(m=1または2)の経糸Bが配される繰りかえしの列構造を有し、緯糸列が主糸からなる2本の緯糸の間に副糸からなるn本(n=1または2)の緯糸Bが配される繰りかえしの列構造を有するものである。 m=nであることが縦横の引っ張り弾性及び曲げ弾性のバランスのうえで好ましい。 m、nが3以上であると、織物表面に主糸が露出する割合が小さくなり、副糸がランナーの足にじかに接する機会が多くなり、むれ感の原因となる。 また、足にダメージを与える原因にもなる。

    また、本発明の織物はt/Pが1/15〜1/4であることが、織物の平滑性と、上述の好ましい変形特性の両者を満たすうえで好ましい。 t/Pが1/15未満であると、表面に露出した主糸の比率が低くなり、平滑な表面が得られない。 t/Pが1/4を越えて大きいと、耐久性と寸法安定性が悪くなる。 t/Pが1/10〜1/6であることが、織物の平滑性と、上述の好ましい変形特性の両者を満たすうえでさらに好ましい。

    また、本発明の織物は単位エリア中に、一の面側の副糸の、飛び越し糸本数が3以上の浮きがないことが、織物の縦横の引っ張り弾性がほぼ等しくなりバランスがよいことや、寸法安定性や、面方向の高い剪断弾性と、上述の縦横の引っ張り弾性のバランスを得るうえでさらに好ましい。 単位エリア中に、飛び越し糸本数が3以上の副糸の浮きがないことがこの点で最も好ましい。

    組織チャート10、組織チャート10a、組織チャート10bに示される織組織を有する、本発明の織物の糸密度(織密度)は上述のように通常の織物より比較的高いことが好ましいが、主糸である和紙糸が織物表面に露出する割合を高くするうえで、織物の織密度係数Kが8.5以上であることが好ましい。 また、織密度係数Kが14を越えて大きいと製織性が困難になる限界に近づくので、織密度係数Kは8.5〜14であることが好ましい。 主糸12が織物の表面を覆うように配されるうえで、織密度係数Kは9.5〜14であることがさらに好ましい。

    本発明においては、織物の織密度係数KはK=W×√Gで定義される。 ここで、Wは経糸密度をW (本/25.4mm)、緯糸密度をW (本/25.4mm)としたとき、W=(W +W )/2で定義される値であり、Gは主糸(和紙糸)の線密度をG (g/m)、副糸の線密度をG (g/m)としたとき、(4×G +G ×(m+n))/(4+m+n)で定義される値(算術平均)である。 m=n=2のとき、G=(G +G )/2である。 経糸密度は織物の緯方向単位幅当たりの経糸(経糸A+経糸B)の本数を表わす値である。 緯糸密度は織物の経方向単位幅当たりの緯糸(緯糸A+緯糸B)の本数を表わす値である。

    Gの算出において、線密度の平均値として経糸と緯糸の算術平均を用いることにより、幾何平均や調和平均(番手の算術平均)にくらべて平均値に主糸の線密度がより多く反映され、実態にかなっているとわかった。

    なお、主糸が異なる番手の和紙糸を混用している場合はG は織密度を主糸全体について算術平均したものであり、副糸のG についても同様である。

    なお、本発明においては、織物の縦横の引っ張り弾性や曲げ弾性のバランスを良好にするうえでは、経緯の糸密度の偏差の度合いを表わす値であるところの、2×|W −W |/(W +W )の値が0〜0.15であることが、さらに好ましい。

    本発明における織物組織構造は、主糸12と、主糸12より線密度の小さい副糸14とを用いた混織織物の組織構造として優れており、この織物組織構造により、吸湿性や寸法安定性や耐久性に優れ触感が良好な本発明の織物を得ることができる。 また、この織物を用いて足のダメージが少ないランニングシューズを得ることができる。

    この織物組織構造については、織物全体がこの織物組織構造を有することが好ましいが、織物全体のうち一部分がこの織物組織構造と異なる織物組織構造を有していても、その織物組織構造と異なる織物組織構造を有する部分の面積が織物全体の面積の20%以下であれば、上述の本発明の効果を得ることができる。 この織物組織構造と異なる織物組織構造とは、例えば、主糸や副糸と異なる種類の糸が、本発明の織物の織物構造を有する織物中に、例えば5mm以上の所定の間隔をおいて井桁状あるいは縞状に配された織物組織構造や、この織物組織構造と異なる織物組織構造を有する幅が5mm以下の帯状の組織構造の部分が、本発明の織物の織物構造を有する織物中に、例えば5mm以上の所定の間隔をおいて井桁状あるいは縞状に配された織物組織構造などが挙げられる。 このような態様の織物も、実質的に本発明の織物の範疇に入る。

    本発明の織物は競技用のランニングシューズに限らず、トレッキングシューズ、運動靴、ビジネスシューズ、ニューブーツ、サンダル調シューズ、地下足袋調シューズ、カジュアルなシューズのような一般のシューズのアッパーとしても好適に用いることができ、吸湿性や寸法安定性や耐久性に優れ触感が良好でかつ足のダメージが少ないシューズを得ることができる。 さらに、アッパーに適した曲面に仕上げるうえで好ましい変形特性、すなわち、高い曲げ弾性と、とくには面方向の高い剪断弾性を得ることができる。 さらには、アッパーに適した曲面に仕上げるうえでさらに好ましい変形特性である縦横の引っ張り弾性や曲げ弾性のバランスを得ることができる。 また、このアッパーは平滑な表面を得ることができる。

    本発明の織物がランニングシューズなどのシューズのアッパーとして用いられる場合、この織物は、補強や装飾や保護などの付加的な機能付与を目的として、布地や膜状物のようなシート地が張り合わされたものであってもよい。 このシート地としては、編地、織地、皮革、人造皮革などが用いられてもよい。

    本発明の織物に用いる和紙が笹の繊維を混抄したものである場合は、シューズに抗菌性を付与することができ、足のかぶれを軽減する効果を付与することができる。

    本発明の織物は、吸湿性や寸法安定性や耐久性に優れ触感が良好でかつ足のダメージが少ないという特徴を活かして、シューズのアッパーに限らず、サンダル、スリッパなどを含む履物用品の生地部材として好適に使用することができる。

    また、本発明の織物は、ハンドバッグ、ポシェットなどのバッグ類の袋部に袋材や表面材として用いる素材としても好適に用いることができる。 また、財布やカードケースなどの物入れ用品類の収納部の用材や表面材などの素材としても好適に用いることができ、さらに、本発明の織物は、生地として衣料に用いることができる。 これらは、吸湿性や寸法安定性や耐久性に優れ、合成繊維からなる布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした良好な触感を有する。

    また、本発明の織物は、カーテン地、壁紙、家具や自動車などの移動体の内装具の張地などのインテリア用の用品材や移動体の内装用材として用いることにより、吸湿性や寸法安定性や耐久性に優れ、合成繊維からなる従来の布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした良好な触感を有する用材を得ることができる。 また、この用材は脱臭性を有し、室内や庫内の臭気を軽減する効果がある。 本発明の織物に用いる和紙が笹の繊維を混抄したものである場合は、この用材により、室内の臭気を軽減する効果がさらに顕著になる。

    本発明の織物がこのようなインテリア用の用品材として用いられる場合、この織物は、補強や装飾や保護などの付加的な機能付与を目的として、布地や膜状物のようなシート地が張り合わされたものであってもよい。 このシート地としては、編地、織地、皮革、人造皮革、フィルムなどが用いられてもよい。

    さらに、本発明の織物は、副糸として熱融着性を有する繊維を含む糸を用いることができる。 熱融着性繊維は加熱により溶融するポリマーからなる繊維、あるいは、加熱により溶融するポリマーが繊維の表面の少なくとも一部分に露出するように配された繊維である。 すなわち、副糸が熱融着性繊維を含み、該熱融着性繊維が熱溶融性ポリマーを含み、該熱溶融性ポリマーの溶融により該熱融着性繊維の熱融着性が発揮される態様であってもよい。 このような態様においては、主糸とこの副糸とで製織して織物を得たのち、この織物を加熱して、この熱融着性を有する繊維(熱融着性繊維)を構成するこのポリマーの少なくとも一部分を溶融させることにより、互いに隣接のこの熱融着性繊維同士あるいは、この熱融着性繊維に隣接の繊維あるいは糸同士がこの熱融着性繊維を介して融着する。 これにより、本発明の織物は構成糸のほつれが極めて少ない織物となる。

    また、本発明の織物は、主糸として和紙テープと熱融着性繊維を含む糸との複合糸を用いてもよい。 すなわち、主糸が和紙テープと熱融着性繊維とを含む複合糸であり、該熱融着性繊維が熱溶融性ポリマーを含み、該熱溶融性ポリマーの溶融により該熱融着性繊維の熱融着性が発揮される態様であってもよい。 このような態様においては、この主糸と副糸とで製織して織物を得たのち、この織物を加熱して、この熱融着性繊維の少なくとも一部分を溶融させることにより、互いに隣接のこの熱融着性繊維同士あるいは、この熱融着性繊維に隣接の繊維あるいは糸同士が融着する。 これにより、本発明の織物は構成糸のほつれが極めて少ない織物となる。 この複合糸の複合の態様としては、合糸、カバリングが挙げられる。

    このような態様で熱融着性繊維が含有されている本発明の織物は、裁断による切断端がきわめてほつれにくいので、所定の形状に裁断加工して用いる場合、切断端にほつれ止めの縫製などを施す必要がなく、切断後そのまま使用することができ、この加工工程を簡略化して合理化できる。 例えば、このような態様の本発明の織物は、シューズのインソールとして好適に用いることができる。 すなわち、主糸と、熱融着性を有する繊維を含む副糸とで製織して織物を得たのち、この織物を加熱して、この熱融着性を有する繊維(熱融着性繊維)を溶融させることにより、シューズのインソールとして好適に用いることができる本発明の織物が得られる。 この場合、加熱手段として所定の金型による熱プレスを用いれば、裁断(トリミング)とともに、インソールとして適した曲面形状や表面形状を賦型により得ることができ、効率的に型抜きを行うことができる。

    加熱手段としては熱ロールを用いてもよい。 この熱ロールにより表面にエンボスによる凹凸の賦型が行われてもよい。

    インソールは靴内で足裏に接する部分であり、靴の底に取り外し可能に敷いて用いられるもの、あるいは、靴底部に一体的に組み込まれている部分をいう。

    この熱融着性を有する繊維(熱融着性繊維)を上述の加熱で溶融させることにより、この熱融着性繊維を介して、織物中で互いに隣り合う糸同士、あるいは糸を構成する繊維同士が融着し、あるいはアンカー効果で互いに拘束される。 これにより、裁断による切断端がきわめてほつれにくい性質を有する本発明の織物が得られる。

    熱融着性繊維を構成する熱溶融性ポリマーとしては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維などの熱可塑性樹脂が挙げられる。 副糸として、融点の異なる2種類の繊維を含む糸条が用いられてもよい。 この場合、両者の融点の間の温度で織物を加熱することにより、融点の低い繊維を熱融着性繊維として機能させることが好ましい。 この態様にあっては、融点の高い繊維はこの加熱により溶融せず強力がほぼ維持されるので、織物の強力がこの加熱により大きく損なわれることがない。

    熱融着性繊維が融点がT℃の1種類のポリマーからなる場合は、織物の加熱温度Hが、T≦H≦T+3℃であることが織物の強力がこの加熱により大きく損なわれることを避けるうえで好ましい。

    さらに、熱融着性繊維としては、融点の異なる2種類の樹脂が芯鞘状、あるいはバイメタル状に複合されてなる繊維であってもよい。 この態様においても、両者の融点の間の温度で織物を加熱することにより、融点の高い樹脂がこの加熱により溶融せず、強力がほぼ維持されるので、織物の強力がこの加熱により大きく損なわれることがない。

    熱融着性繊維は、フィラメントであってもよい。 ステープルであってもよい。 フィラメントである場合は、他のフィラメントと混繊して用いられてもよい。 あるいは、他の糸条と合糸や交撚して用いられてもよい。 ステープルである場合は他の繊維と混紡されて用いられてもよい。

    本発明の織物がインソールとして用いられる場合、この織物は、補強や装飾や保護などの付加的な機能付与を目的として、布地や膜状物のようなシート地が張り合わされたものであってもよい。 このシート地としては、編地、織地、皮革、人造皮革、熱可塑性フィルムなどが用いられてもよい。

    また、このような態様の本発明の織物は、高周波ミシンのような加熱接合装置を用いて布同士を縫合によらず簡単に縁接合することができる。

    また、このような態様の本発明の織物は、上述のほつれのなさや、熱による縁接合することができるなどの良好な加工性を活かして、インソールに限らず、サンダル、スリッパなどを含む履物の履物用材、カーテン地、壁紙、家具や自動車などの移動体の内装具の張地などのインテリア用の用品材や移動体の内装用材、ハンドバッグ、ポシェットなどのバッグ類の袋部に袋材や表面材として用いる素材、財布やカードケースなどの物入れ用品類の収納部の用材や表面材などの素材、さらには、衣料の生地として好適に用いることができる。 これらは、吸湿性に優れ、寸法安定性や耐久性にきわめて優れ、皮革類や合成繊維からなる布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした良好な触感を有する。 また、これらは脱臭性を有し、室内、車内や庫内の臭気を軽減する効果がある。 また、これらは、プレス加工などによりきわめて平滑な表面、あるいは特殊な凹凸が賦与された表面を得ることができる。

    本発明のこのような態様の織物がこのような用途に用いられる場合、この織物は、補強や装飾や保護などの付加的な機能付与を目的として、布地や膜状物のようなシート地が張り合わされたものであってもよい。 このシート地としては、編地、織地、皮革、人造皮革、フィルムなどが用いられてもよい。

    熱融着性繊維が含有されている本発明の織物は、熱融着性繊維が織物中の和紙の重量に対して5〜60重量%含有されていることが好ましい。 熱融着性繊維の含有率がこの範囲未満であると、切断端のほつれ防止効果が不十分となる。 熱融着性繊維の含有率がこの範囲を超えて大きいと、この熱融着性繊維がすべて融着効果を発揮した場合に織物の剛性が過大になる。 これらの点に関して、熱融着性繊維が織物中の和紙の重量に対して20〜40重量%含有されていることがさらに好ましい。

    [実施例、比較例]
    実施例、比較例で得られた織物から以下の製品を作製した。
    (1)アッパーとしてランニングシューズ(実施例1〜4、比較例1〜4)
    (2)財布(実施例5)
    (3)婦人靴(実施例6)
    (4)ハンドバッグ(実施例7)
    (5)スーツ(実施例8)
    (6)自動車用シート張地(実施例9)
    (7)インソール(実施例10)
    (8)サンダル(実施例11)

    和紙糸の種類和紙糸1・・・和紙原料を漉いて作られた和紙をテープ状にスリットし加撚した和紙糸(31番手(メートル番手):撚り数Z470T/m)
    和紙糸2・・・和紙原料を漉いて作られた和紙をテープ状にスリットし加撚した和紙糸(32番手(メートル番手):撚り数Z500T/m)
    和紙糸3・・・和紙原料を漉いて作られた和紙をスリットした無撚のテープ状和紙(35番手(メートル番手))と、30デニールポリエステルフィラメント糸とを合撚(撚り数Z470T/m)加撚した和紙糸和紙糸4・・・和紙原料を漉いて作られた和紙をテープ状にスリットし加撚した和紙糸(40番手(メートル番手):撚り数Z750T/m)
    和紙糸5・・・和紙原料を漉いて作られた和紙をテープ状にスリットし加撚した和紙糸(30番手(メートル番手):撚り数Z650T/m)

    実施例1
    主糸として和紙糸1
    副糸として75デニールポリエステルフィラメント糸:撚り数110T/m
    経糸密度:324本/10cm、緯糸密度307本/10cm
    織組織:図2
    織密度係数:11.4

    実施例2
    主糸として和紙糸2
    副糸として100デニールポリエステルフィラメント糸:撚り数130T/m
    経糸密度:290本/10cm、緯糸密度284本/10cm
    織組織:図5
    織密度係数:10.6

    実施例3
    主糸として和紙糸3
    副糸として75デニールポリエステルフィラメント糸:撚り数110T/m
    経糸密度:296本/10cm、緯糸密度290本/10cm
    織組織:図2
    織密度係数:10.6

    実施例4
    主糸として和紙糸2
    副糸として150デニールポリエステルフィラメント糸:撚り数110T/m
    経糸密度:296本/10cm、緯糸密度290本/10cm
    織組織:図6
    織密度係数:11.5

    比較例1
    経糸、緯糸として実施例1に用いた主糸経糸密度:288本/10cm
    緯糸密度:284本/10cm
    織組織:平織織密度係数:10.3

    比較例2
    経糸として実施例1に用いた主糸緯糸として実施例1に用いた副糸経糸密度:220本/10cm、緯糸密度300本/10cm
    表面の凹凸が顕著でざらついた感触であった。
    織組織:平織

    比較例3
    経糸、緯糸として150デニールポリエステルフィラメント糸(撚り数130T/m)を用いた。
    経糸密度:292本/10cm
    緯糸密度:288本/10cm
    織組織:平織織密度係数:9.5

    比較例4
    経糸、緯糸として20/2s綿糸経糸密度:156本/10cm
    緯糸密度:152本/10cm
    織組織:平織織密度係数:9.5

    [実施例1〜4、比較例1〜4の評価試験]
    現役のマラソン選手をモニターとして、3名×8組に分け、各組に実施例あるいは比較例の織物をアッパーとして用いたランニングシューズを割り当ててトレーニング時に着用してもらった。 延べ走行距離100km後のムレ感、足の損傷、アッパーの損傷を組内でまとめて評価した。 ただし、足の損傷やアッパーの損傷の評価試験では、走行に問題を生じた時点でランニングシューズの使用を中止した。

    [実施例1〜4、比較例1〜4の評価項目]
    ムレ感 :○...使用時に感じなかった。
    △...ムレ感を感じた。
    ×...使用時にシューズ内が水分でベトつく感じになった。
    足の損傷 :○...延べ走行距離100kmを走った時点で足の損傷はなかった。
    △...50km以上を走った時点でマメができた。
    ×...50km以上を走った時点で足の皮膚が擦り剥けた。
    アッパーの損傷 :○...使用時に損傷はなかった。
    △...アッパーが型崩れした。
    ×...アッパーが破損した。
    表面のざらつき感:あり、なしで評価

    [実施例1〜4、比較例1〜4の評価結果]

    表1より、本発明のランニングシューズは、ムレ感、足の損傷、アッパーの損傷(耐久性)のいずれの項目でも満足すべき性能を有し、かつ表面が平滑で履き心地もよい。

    実施例5
    実施例1で得られた織物を収納部の表面材として用いて財布を製作した。 触感がナチュラルで皮革製品では得られないサラッとしたな風合いを有し、1年以上の使用後も形状の崩れは認められなかった。

    実施例6
    実施例1で得られた織物をアッパー材として用いて婦人靴(パンプス)を製作した。 触感がナチュラルで皮革製品では得られないサラッとしたな風合いを有し、着用時のムレ感もなく、1年以上の通常の態様での使用後も形状の崩れは認められなかった。

    実施例7
    実施例1で得られた織物を袋部材として用いてハンドバッグを製作した。 触感がナチュラルで皮革製品では得られないサラッとしたな風合いを有し、1年以上の使用後も形状の崩れは認められなかった。

    実施例8
    実施例3で得られた織物を春夏用スーツに仕立てた。 触感がナチュラルで従来のスーツ用生地では得られないサラッとしたな風合いを有し、1シーズンの使用後も形状の崩れは認められなかった。 耐洗濯性も良好であった。

    実施例9
    主糸として和紙糸4
    副糸として50デニールポリエステルフィラメント加工糸:撚り数Z1000T/m
    経糸密度:463本/10cm、緯糸密度425本/10cm
    織組織:図6
    実施例9で得られた織物を自動車のシートの張地として用いた。 この張地を用いた自動車のシートは、合成繊維からなる布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした良好な触感を有した。 また、このシートを用いた自動車は、従来と比べて車内の臭気が軽減されていた。

    実施例10
    主糸として和紙糸5
    副糸として54dtex24filポリエステル特殊フィラメント糸(ユニチカトレーディング社製:商品名メルセット):撚り数Z800T/m
    経糸密度:429本/10cm、緯糸密度393本/10cm
    織組織:図2
    注:メルセットは、芯材としてレギュラーポリエステル、鞘材として低融点(180℃)ポリエステルを用いた芯鞘構造の繊維からなるマルチフィラメント糸である。
    この構成で得られた織物を190℃、2分でテンターを用いて定長加熱セットして布帛を得た。 この布帛を型抜き機により、インソールの形状に打ち抜いた。 打ち抜き後に縁部のほつれがなく、そのままインソールとして使用できた。 このインソールは、合成繊維からなる布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした良好な触感を有した。 また、従来の皮製のインソールを使用した場合に比べ、使用後の靴内の臭気が軽減されていた。

    実施例11
    実施例10で得られた布帛をサンダル用材として所定の形状にカッターで切断した。 切断端にほつれがなく、そのまま所定のサンダルの形態に加工できた。 このサンダルは、合成繊維からなる布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした良好な触感を有した。

    本発明の織物は、耐久性と、皮革や合成繊維からなる布帛や綿布では得られないナチュラルで平滑なサラッとした触感を活かして、日用雑貨類、家具類、インテリア用材、自動車用内装用材、衣料の分野に広く適用される。

    2:ランニングシューズ4:アッパー12:主糸14:副糸16:織物

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