閉口補助具

申请号 JP2015559643 申请日 2014-01-28 公开(公告)号 JP6264713B2 公开(公告)日 2018-01-24
申请人 有限会社エル・プランナー; 发明人 橋本 佐栄子; 橋本 友希;
摘要
权利要求

下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるために脱脂綿又はガーゼである詰め物(70)を口から喉頭蓋の周囲に押し込む際に用いられる閉口補助具(1)であって、 口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して棒状のもの又は板状のものを曲げたような形状に形成された湾曲部(10)と、前記湾曲部(10)の一方の端に連なり、口腔と咽頭との境界付近に入れられた前記詰め物(70)を押圧するために先端面が前記湾曲部(10)の端面よりも広く形成された押圧部(20)と、前記湾曲部(10)の他方の端に連なり、手で掴む部分である柱状の把持部(30)とを備え、 前記柱状の把持部(30)の中心線が平となるように且つ前記把持部(30)の中心線に直交する方向であって前記把持部(30)に連なる前記湾曲部(10)の一方の端部が他方の端部に向かって湾曲している側の方向が上方向となるように前記把持部(30)を維持したときに、前記押圧部(20)の先端面は前記把持部(30)の下端から3mm〜15mm下方に突出し、前記湾曲部(10)の一部は前記把持部(30)の上端から上方に突出しており、そのうち最も上方に突出している前記湾曲部(10)の頂端と前記把持部(30)の上端との上下方向の距離(d2)は10mm〜30mmであり、 口腔と咽頭との境界付近に入れられた前記詰め物(70)を押圧する前記押圧部(20)の先端面は、口腔及び咽頭内を通過できる程度の大きさの平坦面(21)になっていて、その平坦面(21)は、長辺の長さ(La)が10mm〜20mm、短辺の長さ(Lb)が5mm〜15mmである略長方形状、又は、直径が5mm〜20mmである略円形状に形成されており、 作業者が前記把持部(30)を掴んで前記押圧部(20)及び前記湾曲部(10)を遺体の口から口蓋に沿って挿入し、口腔と咽頭との境界付近に入れられた前記詰め物(70)を前記押圧部(20)の先端面で押圧して押し込むことにより前記詰め物(70)を喉頭蓋の周囲に配置することを特徴とする閉口補助具(1)。前記押圧部の平坦面(21)が略長方形状に形成されている場合、前記柱状の把持部(30)の中心線が水平となるように且つ前記把持部(30)の中心線に直交する方向であって前記把持部(30)に連なる前記湾曲部(10)の一方の端部が他方の端部に向かって湾曲している側の方向が上方向となるように前記把持部(30)を維持して、前記押圧部(20)及び前記把持部(30)を下方向から見たときに、前記押圧部(20)の平坦面(21)における長辺に平行な直線が前記把持部(30)の下端の中央位置と前記押圧部(20)の平坦面(21)の中心位置とを結ぶ直線と略平行になっていることを特徴とする請求項2記載の閉口補助具(1)。前記湾曲部(10)が連なる側と反対側の前記把持部(30)に連なり、少なくとも先端部が略平坦な板状に形成された詰め物挿入部(40)を更に備え、 作業者は前記把持部(30)を掴んで前記詰め物挿入部(40)の先端部で前記詰め物(70)を遺体の口から口腔と咽頭との境界付近に押し入れることを特徴とする請求項1又は2記載の閉口補助具(1)。前記柱状の把持部(30)の中心線が水平となるように且つ前記把持部(30)の中心線に直交する方向であって前記把持部(30)に連なる前記湾曲部(10)の一方の端部が他方の端部に向かって湾曲している側の方向が上方向となるように前記把持部(30)を維持したときに、前記詰め物挿入部(40)については、その長手方向に沿った長さ(L4)が80mm〜140mm、前記把持部(30)に連なる側と反対側における先端部を下方向からみたときの幅(W4)が3mm〜8mm、その上下方向に沿った長さ(D4)が10mm〜25mmであることを特徴とする請求項3記載の閉口補助具(1)。前記把持部(30)に連なる側と反対側における前記詰め物挿入部(40)の先端部にはその詰め物挿入部(40)の長手方向に沿って、前記詰め物(70)を挟んで一時的に保持するための切り欠き部(41)が形成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の閉口補助具(1)。

说明书全文

本発明は、下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるために脱脂綿等の詰め物を口から喉頭蓋の周囲に押し込む際に用いられる閉口補助具に関するものである。

人は死亡すると、顎を支える筋肉の弛緩により口が開いた状態なってしまう。従来、遺体の口を閉じる方法としては、顎バンドを顎に装着したり、包帯を顎に巻いたりして、死後硬直が始まるのを待つという方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかし、高齢者の多くは側頭筋や舌骨筋が衰えており、そのような高齢者が亡くなった場合、死後硬直の発現が極めて弱い。このため、かかる高齢者の遺体に対しては、顎バンド等を死後硬直前に装着し、死後硬直を待って取り外したとしても、顎を固定することはできず、遺体の口は開いたままである。そこで、このような場合には、遺体に対して、脱脂綿等の詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することにより、喉頭蓋軟骨を前方に押し出し、下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるという閉口処置が行われることがある。

特開平8−71112号公報

特許第3732091号公報

ところで、上述したような詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入するという閉口処置を行う場合、作業者は、ピンセットや割り箸等を用いて脱脂綿を喉頭蓋の周囲に押し込んでいた。しかし、口蓋は湾曲しているため、脱脂綿を口蓋に沿って喉の奥に押し込む作業は容易ではなく、熟練を要すると共に手間がかかるという問題があった。このため、誰でも簡単に詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することができる閉口補助具の実現が望まれている。

本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、誰でも簡単に詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することができる閉口補助具を提供することを目的とするものである。

上記の目的を達成するための本発明は、下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるために脱脂綿又はガーゼである詰め物を口から喉頭蓋の周囲に押し込む際に用いられる閉口補助具であって、口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して棒状のもの又は板状のものを曲げたような形状に形成された湾曲部と、湾曲部の一方の端に連なり、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧するために先端面が湾曲部の端面よりも広く形成された押圧部と、湾曲部の他方の端に連なり、手で掴む部分である柱状の把持部とを備え、作業者が把持部を掴んで押圧部及び湾曲部を遺体の口から口蓋に沿って挿入し、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部の先端面で押圧して押し込むことにより詰め物を喉頭蓋の周囲に配置することを特徴とするものである。

本発明の閉口補助具では、湾曲部を口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成したことにより、湾曲部を遺体の口から口蓋に沿ってスムースに挿入することができる。しかも、湾曲部の一方の端に、先端面が湾曲部の端面よりも広く形成された押圧部を設けたことにより、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部の先端面でしっかりと押圧して、喉頭蓋の周囲にまで容易に押し込むことができる。したがって、本発明の閉口補助具を用いると、誰でも簡単に詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することができる。

また、本発明に係る閉口補助具では、柱状の把持部の中心線が平となるように且つ把持部の中心線に直交する方向であって把持部に連なる湾曲部の一方の端部が他方の端部に向かって湾曲している側の方向が上方向となるように把持部を維持したときに、押圧部の先端面は把持部の下端から3mm〜15mm下方に突出し、湾曲部の一部は把持部の上端から上方に突出しており、そのうち最も上方に突出している湾曲部の頂端と把持部の上端との上下方向の距離は10mm〜30mmであることが望ましい。湾曲部をこのように設計したことにより、湾曲部を横向きにして口に入れた後に湾曲部を口腔内で回転して縦向きにしても、その湾曲部の動きが口蓋又は歯茎によって規制されることはない。このため、遺体の口が大きく開いていない場合に、作業者は、湾曲部を横向きにして口に入れた後に湾曲部を回転して縦向きにすることにより、押圧部及び湾曲部を口から口蓋に沿って挿入する作業を容易に行うことができる。

また、本発明に係る閉口補助具では、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧する押圧部の先端面は、口腔及び咽頭内を通過できる程度の大きさの平坦面になっていることが望ましい。押圧部の先端面を平坦に形成したことにより、例えば詰め物として脱脂綿を用いた場合、押圧部で脱脂綿を押圧する際に、押圧部が脱脂綿を突き抜けてしまうことはなく、押圧部の平坦面からを脱脂綿に均等に加えて、脱脂綿を確実に押し込むことができる。

ここで、押圧部の平坦面は、長辺の長さが10mm〜20mm、短辺の長さが5mm〜15mmである略長方形状に形成されていることが望ましい。押圧部の平坦面の大きさをこれよりも小さくすると、押圧部で脱脂綿を押圧する際に、押圧部が脱脂綿を突き抜けてしまうおそれがあるからである。一方、押圧部の平坦面の大きさをこれよりも大きくすると、口が大きく開いていない遺体に対しては押圧部を口腔内に入れるのが困難になったり、また、押圧部が口腔内に入ったとしても押圧部が咽頭内で引っ掛かってしまうおそれがあったりするからである。

更に、柱状の把持部の中心線が水平となるように且つ把持部の中心線に直交する方向であって把持部に連なる湾曲部の一方の端部が他方の端部に向かって湾曲している側の方向が上方向となるように把持部を維持して、押圧部及び把持部を下方向から見たときに、押圧部の平坦面における長辺に平行な直線が把持部の下端の中央位置と押圧部の平坦面の中心位置とを結ぶ直線と略平行になっていることが望ましい。これにより、湾曲部を口に対して横向きにすれば、特に遺体の口が大きく開いていない場合でも、押圧部及び湾曲部を口の中に容易に入れることができる。

また、本発明に係る閉口補助具では、湾曲部が連なる側と反対側の把持部に連なり、少なくとも先端部が略平坦な板状に形成された詰め物挿入部を更に備えることが望ましい。この場合、作業者は把持部を掴んで詰め物挿入部の先端部で詰め物を遺体の口から口腔と咽頭との境界付近に押し入れることができる。このように湾曲部が連なる側と反対側の把持部に詰め物挿入部を設けたことにより、この詰め物挿入部を、詰め物を口から口腔と咽頭との境界付近に押し入れるための道具として利用することができる。したがって、作業者は、本発明の閉口補助具だけを用いて、詰め物を口に押し入れる作業とその詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業とを行うことができるので、閉口処置を行う際の作業効率の向上を図ることができる。

ここで、柱状の把持部の中心線が水平となるように且つ把持部の中心線に直交する方向であって把持部に連なる湾曲部の一方の端部が他方の端部に向かって湾曲している側の方向が上方向となるように把持部を維持したときに、詰め物挿入部については、その長手方向に沿った長さが80mm〜140mm、把持部に連なる側と反対側における先端部を下方向からみたときの幅が3mm〜8mm、その上下方向に沿った長さが10mm〜25mmであることが望ましい。詰め物挿入部をこのような大きさに設計したことにより、作業者は、詰め物挿入部の先端部で詰め物をしっかりと捉えて、詰め物を口腔と咽頭との境界付近まで容易に押し入れることができる。

更に、把持部に連なる側と反対側における詰め物挿入部の先端部にはその詰め物挿入部の長手方向に沿って、詰め物を挟んだ状態で一時的に保持するための切り欠き部が形成されていることが望ましい。これにより、詰め物が詰め物挿入部の切り欠き部に挟まれた状態で詰め物挿入部を口から口腔内に挿入するだけで、その詰め物の一部を口腔と咽頭との境界付近にまで簡単に持って行くことができる。その後、詰め物挿入部の先端部で詰め物を少しずつ押し入れることにより、詰め物の全体を口腔と咽頭との境界付近に容易に配置することができる。

本発明に係る閉口補助具では、湾曲部を口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成したことにより、湾曲部を遺体の口から口蓋に沿ってスムースに挿入することができると共に、湾曲部の一方の端に、先端面が湾曲部の端面よりも広く形成された押圧部を設けたことにより、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部の先端面でしっかりと押圧して、喉頭蓋の周囲にまで容易に押し込むことができる。したがって、本発明の閉口補助具を用いると、誰でも簡単に詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することができる。

図1(a)は本発明の一実施形態である閉口補助具の概略正面図、図1(b)はその閉口補助具の概略底面図である。

図2は本実施形態の閉口補助具における詰め物挿入部を用いて詰め物を口腔と咽頭との境界付近にまで挿入する作業を説明するための図である。

図3は本実施形態の閉口補助具における詰め物挿入部を用いて詰め物を口腔と咽頭との境界付近にまで挿入する作業を説明するための図である。

図4は本実施形態の閉口補助具における詰め物挿入部を用いて詰め物を口腔と咽頭との境界付近にまで挿入する作業を説明するための図である。

図5は本実施形態の閉口補助具における詰め物挿入部を用いて詰め物を口腔と咽頭との境界付近にまで挿入する作業を説明するための図である。

図6は本実施形態の閉口補助具における押圧部及び湾曲部を用いて詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業を説明するための図である。

図7は本実施形態の閉口補助具における押圧部及び湾曲部を用いて詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業を説明するための図である。

図8は本実施形態の閉口補助具における押圧部及び湾曲部を用いて詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業を説明するための図である。

図9は詰め物が喉頭蓋の周囲に押し込まれたときに下顎骨が挙上する様子を説明するための図である。

図10は本発明の変形例である閉口補助具における押圧部及び湾曲部の概略拡大正面図である。

以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。

人が亡くなると、その遺体に対してさまざまな処置が施されるが、そのうちの一つの処置として、脱脂綿等の詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することにより、喉頭蓋軟骨を前方(顔の正面側)に押し出し、下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるという閉口処置がある。本発明の閉口補助具はかかる閉口処置を行う際に、すなわち、下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるために脱脂綿等の詰め物を口から喉頭蓋の周囲に押し込む際に用いられるものである。また、この閉口処置は、主に、側頭筋が衰えているために死後硬直の発現が極めて弱い高齢者の遺体に対して行われるが、必ずしも高齢者に限らず、開口した状態の遺体に対しても行われ得る。但し、顎関節が硬縮して下顎骨が可動しない遺体に対しては、当然、詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入しても、口を閉じることはできない。

図1(a)は本発明の一実施形態である閉口補助具の概略正面図、図1(b)はその閉口補助具の概略底面図である。ここで、閉口補助具又はその各部の上側とは図1(a)における上側を意味し、閉口補助具又はその各部の下側とは図1(a)における下側を意味する。

本実施形態の閉口補助具1は、図1に示すように、棒状の湾曲部10と、押圧部20と、把持部30と、詰め物挿入部40とを備える。湾曲部10の一方の端には押圧部20が連なり、湾曲部10の他方の端には把持部30が連なっている。そして、湾曲部10が連なる側と反対側の把持部30には詰め物挿入部40が連なっている。図1(a)に示すように、閉口補助具1の長手方向の長さLは約240mmである。また、閉口補助具1の材料としては、強度及び剛性に優れた樹脂等を用いることができる。特に、本実施形態では、ポリプロピレンで閉口補助具1を一体的に作製している。

把持部30は、閉口補助具1を手で掴む部分であり、図1に示すように、閉口補助具1の略中央に位置している。この把持部30は略四柱形状に形成されている。把持部30の長さL3は約25mmである。また、把持部30の幅W3は約13mm、その奥行きD3は約16mmである。この把持部30は湾曲部10よりも太いが、これは、誰でも把持部30を安定して持つことができるようにするためである。また、把持部30とそれに連なる湾曲部10の一部との表面には、多数の溝31が刻まれている。これらの溝31は、手の滑りを防止するためのものである。

湾曲部10は、図1(a)に示すように、口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成されている。また、湾曲部10の断面形状は略四角形状である。湾曲部10は遺体の口の中に挿入される部分であるので、口があまり大きく開いていない遺体に対しても本実施形態の閉口補助具1を使用することができるように、湾曲部10を細く形成している。本実施形態では、押圧部20に近い側の湾曲部10の幅W1は約8mmである。したがって、ほとんど歯のない遺体や無歯の遺体に限らず、歯がある遺体であっても、上の歯と下の歯との間に約8mm以上の隙間がある遺体であれば、湾曲部10を口の中に挿入することができる。尚、使用する材料にもよるが、湾曲部10の強度を十分に確保することができれば、湾曲部10の幅W1を約5mm程度にすることも可能である。

具体的に、湾曲部10は、図1(a)に示すように、三つの部分、すなわち、第一部分11と、第二部分12と、第三部分13とからなる。第一部分11は押圧部20に連なる側の部分であり、最も大きく湾曲している。また、第二部分12は湾曲部10の中央に位置する部分であり、第一部分11よりも湾曲の度合いは小さい。本実施形態では、第一部分11の曲率半径R1は約30mmであり、第二部分12の曲率半径R2は約40mmである。第三部分13は把持部30に連なる側の部分であり、ほとんど湾曲していない。但し、第三部分13の上側の面には若干Rを付けて少し凹ませておくことが望ましい。湾曲部10を遺体の口から口蓋に沿って入れたときに、この第三部分13の上側の面が上の歯茎に強く当たることがないようにするためである。このように湾曲部10を口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成したことにより、湾曲部10を遺体の口から口蓋に沿ってスムースに挿入することができる。

押圧部20は、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧するためのものである。この押圧部20は、図1に示すように、先端面が湾曲部10の端面よりも広く形成されている。このため、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部20の先端面でしっかりと押圧して、喉頭蓋の周囲にまで容易に押し込むことができる。本実施形態では、図1(b)に示すように、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧する押圧部20の先端面は、口腔及び咽頭内を通過できる程度の大きさの平坦面21になっている。具体的には、この押圧部20の平坦面21を、長辺の長さLaが14mm、短辺の長さLbが8mmである略長方形状に形成している。また、押圧部20の平坦面21に垂直な方向(閉口補助具1の底面側)から見たときに、押圧部20の平坦面21における長辺に平行な直線が把持部30と押圧部10とを結ぶ直線と略平行になっている。押圧部20の短辺の長さLbは湾曲部10の幅W1と略同じであるので、湾曲部10を口に対して横向きにすれば、特に遺体の口が大きく開いていない場合でも、押圧部20及び湾曲部30を口の中に容易に入れることができる。

尚、一般には、押圧部20の平坦面21を、長辺の長さLaが10mm〜20mm、短辺の長さLbが5mm〜15mmである略長方形状に形成することが望ましい。押圧部20の平坦面21の大きさをこれよりも小さくすると、例えば詰め物として脱脂綿を用いた場合、押圧部20で脱脂綿を押圧する際に、押圧部20が脱脂綿を突き抜けてしまうおそれがあるからである。一方、押圧部20の平坦面21の大きさをこれよりも大きくすると、歯がある遺体であって口が大きく開いていない遺体に対しては押圧部を口腔内に入れるのが困難になったり、また、押圧部20が口腔内に入ったとしても押圧部20が咽頭内で引っ掛かってしまうおそれがあったりするからである。

このように、押圧部20及び湾曲部10は、脱脂綿等の詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業を行うために使用される部位である。実際、作業者は、湾曲部10を口に対して横向きにした状態で、すなわち閉口補助具1の長手方向が唇と平行となり且つ押圧部20の平坦面21が唇と対向する状態で、押圧部20及び湾曲部10の一部を口の中に入れる。その後、閉口補助具1の長手方向が唇と垂直になるように閉口補助具1の向きを変えると共に湾曲部10の上側が上顎と対向するように閉口補助具1を回転して湾曲部10を縦向きにする。そして、このように湾曲部10を縦向きにしながら、押圧部20と湾曲部10とを口腔内に挿入する。次に、押圧部20及び湾曲部10を口蓋に沿ってさらに挿入し、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部20の平坦面21で押圧して押し込むことにより、詰め物を喉頭蓋の周囲に配置することができる。

また、把持部30に対する湾曲部10及び押圧部20の位置関係は次のようになっている。すなわち、図1(a)に示すように、押圧部20の平坦面21は把持部30の下端から上下方向に沿って下方に突出しており、押圧部20の平坦面21と把持部30の下端との上下方向の距離d1は約8mmである。また、湾曲部10の一部は把持部30の上端から上下方向に沿って上方に突出しており、そのうち最も上方に突出している湾曲部10の頂端と把持部30の上端との上下方向の距離d2は約16mmである。したがって、最も上方に突出している湾曲部10の頂端と押圧部20の平坦面を含む平面との距離d2+D3+d1は約40mmである。一般には、押圧部20の平坦面21は把持部30の下端から上下方向に沿って3mm〜15mm程度下方に突出し、最も上方に突出している湾曲部10の頂端は把持部30の上端から上下方向に沿って10mm〜30mm程度上方に突出していることが望ましい。押圧部20の平坦面21を把持部30の下端から上下方向に沿って3mm〜15mm程度下方に突出させておくことにより、押圧部20で詰め物を喉頭蓋の周囲に容易に押し込むことができるからであり、湾曲部10の一部を把持部30の上端から上下方向に沿って10mm〜30mm程度上方に突出させておくことにより、湾曲部10を横向きにして口に入れた後に湾曲部10を口腔内で回転して縦向きにしても、その湾曲部10の動きが口蓋又は歯茎によって規制されることがなく、押圧部20及び湾曲部10を口から口蓋に沿って挿入する作業を容易に行うことができるからである。

詰め物挿入部40については、図1に示すように、少なくともその先端部が略平坦な板状に形成されている。この詰め物挿入部40は、押圧部20及び湾曲部10を使って詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業を行う前に、詰め物を遺体の口から口腔と咽頭との境界付近に押し入れる作業を行うために用いられる。すなわち、作業者は、詰め物挿入部40を横向き(詰め物挿入部40の長手方向が唇と垂直となり且つ詰め物挿入部40の平坦な面が唇と平行となる状態)にして口の中に入れ、詰め物挿入部40の先端部で詰め物を遺体の口から口腔と咽頭との境界付近にまで押し入れる。

本実施形態では、図1(a)に示すように、詰め物挿入部40の長手方向に沿った長さL4は約110mmであり、その奥行きD4は約16mmである。また、図1(b)に示すように、詰め物挿入部40の先端側の幅W4は約4mmである。ここで、把持部30に連なる側の詰め物挿入部40は把持部30に近付くにつれて緩やかに幅広になっている。詰め物挿入部40をこのような大きさに設計したことにより、作業者は、詰め物挿入部40の先端部で詰め物をしっかりと捉えて、詰め物を口腔と咽頭との境界付近にまで容易に押し入れることができる。一般に、詰め物挿入部40の長手方向に沿った長さL4は80mm〜140mmであるのが望ましい。詰め物挿入部40の先端部を喉頭付近まで入れるには、詰め物挿入部40の長さL4が最低でも50mm程度必要であり、一方、詰め物挿入部40の長さL4があまりに長いと作業がしにくくなるからである。また、詰め物挿入部40の奥行きD4は10mm〜25mmであることが望ましい。詰め物挿入部40の奥行きD4が10mmより小さいと、詰め物挿入部40の先端部で詰め物を押し入れることが困難になり、一方、詰め物挿入部40の奥行きD4が25mmより大きいと、詰め物挿入部40の先端部を喉頭付近までうまく入れることができないからである。更に、詰め物挿入部40の強度を維持すると共にその軽量化を図るため、詰め物挿入部40の先端側の幅W4は3mm〜8mmであることが望ましい。

また、図1(a)に示すように、詰め物挿入部40の先端部にはその詰め物挿入部40の長手方向に沿って、詰め物を挟んだ状態で一時的に保持するための切り欠き部41が形成されている。ここで、詰め物挿入部40の長手方向に沿った切り欠き部41の長さLcは約20mm、その切り欠き部41の横幅Ldは約5mmである。これにより、詰め物が詰め物挿入部40の切り欠き部41に挟まれた状態で詰め物挿入部40を口から口腔内に挿入するだけで、その詰め物の一部を口腔と咽頭との境界付近にまで簡単に持って行くことができる。その後、詰め物挿入部40の先端部で詰め物を少しずつ押し入れることにより、詰め物の全体を口腔と咽頭との境界付近に容易に配置することができる。

次に、本実施形態の閉口補助具1の使い方について詳しく説明する。図2〜図8は本実施形態の閉口補助具1の使い方を説明するための図である。具体的に、図2〜図5は本実施形態の閉口補助具1における詰め物挿入部40を用いて詰め物を口腔と咽頭との境界付近にまで挿入する作業を説明するための図、図6〜図8は本実施形態の閉口補助具1における押圧部20及び湾曲部10を用いて詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業を説明するための図である。また、図9は詰め物が喉頭蓋の周囲に押し込まれたときに下顎骨が挙上する様子を説明するための図である。

作業者は、遺体の開口の度合いを見て、口が開いている場合であって口を閉じると遺体の表情をより美しく且つ穏やかにすることができると判断したときに、遺体の口を閉じるために詰め物を口から喉頭蓋の周囲に押し込む閉口処置を行うことを決定する。ここで、詰め物としては、脱脂綿やガーゼ等を用いることができるが、本実施形態では、脱脂綿を用いることにする。この閉口処置を行う際には、例えば、長さ約400mm、幅約35mm、厚さ約3mmの脱脂綿を5枚程度用意しておく。具体的には、市販されている業務用の大判の脱脂綿を上記サイズに割くことにより、本実施形態で使用する脱脂綿を得ることができる。尚、一般に、本実施形態で使用するのに適した脱脂綿は、長さ250〜450mm、幅25mm〜40mm、厚さ2mm〜5mmのものである。

まず、作業者は、一枚の脱脂綿70を手に取り、図2に示すように、その脱脂綿70の先端から約50mm離れた部位を、閉口補助具1の詰め物挿入部40の切り欠き部41に差し込む。ここで、脱脂綿70の先端に近い部位を切り欠き部41に差し込むことにすると、脱脂綿70が切り欠き部41からすぐに外れてしまう。このため、脱脂綿70の先端からある程度離れた部位を切り欠き部41に差し込んで、脱脂綿70が詰め物挿入部40の切り欠き部41から容易に外れてしまわないようにすることが必要である。

次に、作業者は、脱脂綿70を口から口腔の奥に押し入れる作業を行う。具体的には、まず、作業者は、図3に示すように、開口補助具1を持つ手とは別の手の指で舌110を押さえる。そして、図4に示すように、指で舌110を押さえた状態のまま、脱脂綿70が切り欠き部41に差し込まれた詰め物挿入部40を横向きにして口から口腔の奥へ挿入する。このように、脱脂綿70を入れる際に舌110を指で押されるのは、脱脂綿70で舌110を巻き込まないようにすると共に、脱脂綿70が舌にくっついてしまうのを防止するためである。詰め物挿入部40の先端が喉の奥まで達したら、脱脂綿70をそのままにして、詰め物挿入部40だけを一度引き抜く。そして、喉の奥に達している脱脂綿70の一部を除く他の部分を、詰め物挿入部40の先端部で少しずつ押して、喉の奥に送り込む。これにより、図5に示すように、脱脂綿70の全体は喉の奥に挿入され、小さな塊となって、口蓋垂120の周辺に留まるようになる。

次に、作業者は、押圧部20及び湾曲部10で脱脂綿70をさらに奥へ押し込む作業を行う。具体的には、まず、作業者は、閉口補助具1の押圧部20が唇と対向するように閉口補助具1を持ち替える。そして、図6に示すように、指で舌110を押さえると共に湾曲部10を横向きにした状態で、押圧部20及び湾曲部10の一部を口腔内に入れる。その後、閉口補助具1の長手方向が唇と垂直になるように閉口補助具1の向きを変えると共に閉口補助具1を回転して湾曲部10を縦向きにしながら、押圧部20と湾曲部10とを口腔内に挿入する。そして、舌110を押さえていた指を口から引き抜く。次に、作業者は、図7に示すように、押圧部20及び湾曲部10を口蓋に沿ってさらに挿入し、押圧部20の平坦面21を、口蓋垂120の周辺に留まっている脱脂綿70に当接させる。

尚、押圧部20及び湾曲部10を口腔内に入れる際には、それらを必ずしも横向きにする必要はない。例えば、ほとんど歯のない遺体、無歯の遺体、口が大きく開いている遺体等に対しては、押圧部20及び湾曲部10を横向きにしなくても、縦向きにしたまま口腔内に入れることが可能である。

作業者が上述のように押圧部20の平坦面21を脱脂綿70に当接させた後、押圧部20及び湾曲部10をさらに押し込むことにより、図8に示すように、脱脂綿70は喉頭蓋130の周囲に達するようになる。本実施形態の閉口補助具1では、湾曲部10を口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成したことにより、押圧部20及び湾曲部10を口蓋に沿ってスムースに移動させて、押圧部20で脱脂綿70を喉頭蓋130の周囲にまで容易に押し込むことができる。ここで、閉口補助具1は湾曲した形状の部分と直線的な形状の部分とからなるので、押圧部20は喉頭蓋130より深くに入り込むことはない。こうして、押圧部20及び湾曲部10を用いて脱脂綿70を押し込む作業を行うと、脱脂綿70は喉頭蓋130の周囲に留まることになる。

このように脱脂綿70が喉頭蓋130の周囲に押し込まれると、喉頭蓋130の周囲の咽頭はその脱脂綿70で塞がれて膨らむようになる。これにより、喉頭蓋軟骨が前方に押し出されると共に、その喉頭蓋軟骨に繋がる舌骨等も前方に押し出される。このため、図9に示すように、下顎骨140は顎関節150を支点にして回転することにより挙上し、口が閉じるようになる。その後、作業者は、閉口補助具1を口から取り出す。具体的には、押圧部20及び湾曲部10を口腔内にまで引き戻した後、押圧部20及び湾曲部10を横向きにして口から取り出すようにすればよい。こうして、一枚の脱脂綿70を喉頭蓋130の周囲に押し込む作業が終了する。

次に、作業者は、その遺体の開口の度合いを見て、再度、脱脂綿を口から喉頭蓋の周囲に押し込む閉口処置を行うかどうかを判断する。口が未だ大きく開いていれば、作業者は、上述した手順にしたがってもう一度、閉口処置を行う。この閉口処置は、遺体の口が十分閉じた状態になるまで複数回繰り返される。ここで、咽頭の大きさや喉の皮膚の弛み具合等は人によって異なるため、たとえ開口の程度が同じであったとしても遺体毎に閉口するために必要な脱脂綿の枚数は異なる。例えば喉の皮膚の弛みが多い遺体については、その弛みが少ない遺体よりも喉の皮膚が伸びやすいため、多くの枚数の脱脂綿を喉頭蓋の周囲に詰め込まなければ、喉頭蓋軟骨を十分に前方に押し出すことができない。

作業者は、歯がある遺体に対しては、閉口の度合いが閉口補助具1の幅と同程度になるまで、例えば約10mm程度になるまで閉口処置を行う。すなわち、閉口処置は口が完全に閉じるようになるまで行う必要はない。口が閉じるようになるまで閉口処置を行うことにすると、閉口補助具1を口から引き抜くことができなくなってしまうからである。また、ほとんど歯のない遺体や無歯の遺体に対しては、閉口の度合いが上記歯のある人の閉口の度合いと同程度となるまで閉口処置を行う。ここで、この場合には、歯がない分だけ、上の歯茎と下の歯茎のとの間に十分な隙間があるので、閉口補助具1を口から引き抜くことができないという状況は生じない。こうして、閉口補助具1を用いて脱脂綿を喉頭蓋の周囲に押し込む閉口処置が終了すると、作業者は、最後に、少し開いている口を閉じる作業を行う。例えば下唇を上唇の方へ引っ張ることにより、遺体の口を閉じた状態にすることができる。或いは、遺体に使用する枕の高さを高くすることにより、口を閉じることができる。

本実施形態の閉口補助具では、湾曲部を口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成したことにより、湾曲部を遺体の口から口蓋に沿ってスムースに挿入することができる。しかも、湾曲部の一方の端に、先端面が湾曲部の端面よりも広く形成された押圧部を設けたことにより、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部の先端面でしっかりと押圧して、喉頭蓋の周囲にまで容易に押し込むことができる。したがって、本実施形態の閉口補助具を用いると、誰でも簡単に詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することができる。また、本実施形態の閉口補助具は、確実に喉の奥に詰め物をすることができるため、遺体の口を閉じるようにする役割を果たすことに加えて、血液・体液が口から流出するのを防ぎ、作業者や関係者等が体液等から感染症にかかってしまうのを予防する役割を果たすことができる。

また、本実施形態の閉口補助具では、押圧部の先端面を平坦に形成したことにより、例えば詰め物として脱脂綿を用いた場合、押圧部で脱脂綿を押圧する際に、押圧部が脱脂綿を突き抜けてしまうことはなく、押圧部の平坦面から力を脱脂綿に均等に加えて、脱脂綿を確実に押し込むことができる。しかも、押圧部の平坦面に垂直な方向から見たときに、押圧部の平坦面における長辺に平行な直線が把持部と押圧部とを結ぶ直線と略平行になっていることにより、湾曲部を口に対して横向きにすれば、特に遺体の口が大きく開いていない場合でも、押圧部及び湾曲部を口の中に容易に入れることができる。

更に、本実施形態の閉口補助具では、湾曲部が連なる側と反対側の把持部に連なり、少なくとも先端部が略平坦な板状に形成された詰め物挿入部を備えることにより、この詰め物挿入部を、詰め物を口から口腔と咽頭との境界付近に押し入れるための道具として利用することができる。したがって、作業者は、本実施形態の閉口補助具だけを用いて、詰め物を口に入れる作業とその詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込む作業とを行うことができるので、閉口処置を行う際の作業効率の向上を図ることができる。

尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。

例えば、上記の実施形態では、湾曲部の断面形状が略四角形状である場合について説明したが、湾曲部は丸棒状のものであって、その断面形状が略円形状であってもよい。また、上記の実施形態では、湾曲部として棒状のものを用いた場合について説明したが、湾曲部としては板状のものを用いるようにしてもよい。

また、上記の実施形態では、押圧部の平坦面を略長方形状に形成し、閉口補助具を押圧部の平坦面に垂直な方向から見たときに、押圧部の平坦面における長辺に平行な直線が把持部と押圧部とを結ぶ直線と略平行になっている場合について説明したが、押圧部の平坦面に垂直な方向から見たときに、押圧部の平坦面における長辺に平行な直線が把持部と押圧部とを結ぶ直線と例えば45度、90度等、一定の角度をなすように閉口補助具を構成するようにしてもよい。図10は本発明の変形例である閉口補助具における押圧部及び湾曲部の概略正面図である。この図10の例では、押圧部20aの平坦面21に垂直な方向から見たときに、押圧部20aの平坦面21における長辺に平行な直線Aは把持部30と押圧部20aとを結ぶ直線Bと略直交している。

また、上記の実施形態では、押圧部の平坦面を略長方形状に形成した場合について説明したが、押圧部の平坦面は例えば正方形や円形等の形状に形成するようにしてもよい。

更に、上記の実施形態では、湾曲部の幅W1を約8mmにした場合について説明したが、この湾曲部の幅W1は15mm程度にすることも可能である。このように湾曲部の幅W1が太い閉口補助具はもっぱら、ほとんど歯のない遺体や無歯の遺体に対して使用するようにする。そうすれば、詰め物を喉頭蓋の周囲に押し込んだ後に押圧部及び湾曲部を口から引き抜くことができないという事態が生じることはない。

以上説明したように、本発明の閉口補助具では、湾曲部を口腔から咽頭にかけての口蓋の形状に対応して湾曲した形状に形成したことにより、湾曲部を遺体の口から口蓋に沿ってスムースに挿入することができると共に、湾曲部の一方の端に、先端面が湾曲部の端面よりも広く形成された押圧部を設けたことにより、口腔と咽頭との境界付近に入れられた詰め物を押圧部の先端面でしっかりと押圧して、喉頭蓋の周囲にまで容易に押し込むことができる。このため、本発明の閉口補助具を用いると、誰でも簡単に詰め物を喉頭蓋の周囲に挿入することができる。したがって、本発明は、下顎骨を挙上させて遺体の口を閉じるために脱脂綿等の詰め物を口から喉頭蓋の周囲に押し込む道具として使用するのに好適である。

1 閉口補助具10 湾曲部11 第一部分12 第二部分13 第三部分20,20a 押圧部21 平坦面30 把持部31 溝40 詰め物挿入部41 切り欠き部70 脱脂綿110 舌120 口蓋垂130 喉頭蓋140 下顎骨150 顎関節

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