炭素繊維含有束を備えたパイル層

申请号 JP2013523646 申请日 2011-11-03 公开(公告)号 JP5745052B2 公开(公告)日 2015-07-08
申请人 エスゲーエル・オートモーティブ・カーボン・ファイバーズ・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー; 发明人 ビルジット・ライター; マルティン・ダンザー; シルヴァン・バスティアン; ヨールン・ボエス;
摘要
权利要求

個々の繊維に部分的に分解されていて且つ炭素繊維(10)を含む複数の束(2)と前記炭素繊維とは素材が異なる異種材料(20)とを有するパイル層(1)であって、 前記炭素繊維(10)が前記パイル層(1)の総重量の少なくとも70重量%を有し、前記異種材料(20)が前記パイル層(1)の総重量の30重量%以下であって且つ2重量%以上を有し、前記異種材料(20)が再利用プロセスに由来し、前記束が湾曲した形状を有し、前記束が比較可能な配向を有することを特徴とするパイル層。前記炭素繊維(10)を含む複数の束(2)が少なくとも部分的に再利用プロセスに由来していることを特徴とする請求項1に記載のパイル層。前記異種材料(20)が炭素繊維(10)ではない異種繊維(20)を少なくとも部分的に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパイル層。前記炭素繊維(10)が、第一パターン(31)を決める互いに相対的な所定の第一配置を有し、前記異種繊維(20)が第二パターン(32)を決める互いに相対的な第二配置を有し、前記第一パターン(31)が前記第二パターン(32)と異なることを特徴とする請求項3に記載のパイル層。前記異種繊維(20)の少なくとも10%が、前記炭素繊維(10)と比較して1/1.5倍以下の引張強度を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のパイル層。前記異種繊維(20)の少なくとも一部が縫糸又は編糸であることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のパイル層。前記異種繊維(20)の少なくとも一部が前記炭素繊維(10)と異なる色を有することを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のパイル層。前記異種繊維(20)の少なくとも一部が前記束(2)内の炭素繊維(10)よりも平均で少なくとも50%長いことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載のパイル層。前記異種材料(20)が少なくとも部分的に化学的バインダーを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のパイル層。前記炭素繊維(10)を含む複数の束(2)の長さが15cm以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のパイル層。前記束(2)が少なくとも200本の炭素繊維(10)を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のパイル層。前記パイル層(1)が最大50g/m2であって10g/m2以上の単位面積当たりの質量を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のパイル層。特に互いにニードリング処理されている請求項1から12のいずれか一項に記載のパイル層(1)を少なくとも二つ有することを特徴とする不織布又は不織布材。固めるためにニードリング処理されている請求項1から12のいずれか一項に記載のパイル層(1)を有することを特徴とする不織布材。少なくとも二つのパイル層(1)が互いにニードリング処理されているか、又は一つのパイル層(1)が固めるためにニードリング処理されていて、1cm2の面積に対して平均で少なくとも1つのニードリングパンチが存在していることを特徴とする請求項13又は14に記載の不織布又は不織布材。炭素繊維を含む束(2)を有し且つ前記炭素繊維とは素材が異なる異種材料(20)によって少なくとも部分的に固定されている平坦構造体を切断するステップと、 開反機において、切断された前記平坦構造体を処理して、前記束(2)を部分的に個々の繊維に分解するステップと、 処理されて部分的に分解された結果物のバッチをパイル成形機内に導入するステップと、 前記束(2)を完全には個々の繊維に分解せずに、前記束(2)内の炭素繊維(10)を追加の繊維と絡み合わせるように前記パイル成形機を作動させるステップと、 前記パイル成形機からパイル層(1)を取り外すステップとを含むパイル層(1)の製造方法。前記異種材料(20)を分離するステップを含まないこと、又は前記異種材料(20)を部分的に分離するステップを含まないことを特徴とする請求項16に記載のパイル層(1)の製造方法。請求項16又は17に記載の製造方法を実施して、パイル層(1)を製造するための、炭素繊維(10)を含み且つ再利用プロセスで得られた束(2)の使用。請求項1から12のいずれか一項に記載のパイル層(1)、又は請求項13から15のいずれか一項に記載の不織布又は不織布材を含む樹脂含浸部品であって、該樹脂含浸部品が特に自動車部品として設計されている、樹脂含浸部品。

说明书全文

本発明は、請求項1の前提部に係る部分的に一本一本の個々の繊維に分解されていて且つ炭素繊維を含む複数の束と異種材料とを有するパイル層と、請求項14の前提部に係るこのようなパイル層の製造方法に関する。更に、本発明は、このようなパイル層を含む不織布又は不織布材に関する。

炭素繊維を含むパイル層は、自動車産業における多数の応用に用いられている不織布又は不織布材を製造するための開始構造として特に適している。これらは、自動車部品を製造するのに特に用いられる。特に、樹脂で適切に含浸させた後において(例えば、RTMプロセスにおいて)、対象の不織布又は不織布材は、軽量であるが機械的に非常に弾性のある繊維複合体構造へと有利に処理されて、これは、益々好ましくて画期的な材料であるとみなされてきている。

パイル成形は典型的に、適切な供給デバイスを用いてパイル成形機に対して所定の長さ分布を有する一本一本の個々の繊維を供給することを含む。例えば、このようなパイル成形機は、梳綿機として設計可能である。しかしながら、空気作動式、空気式又は溶離剤補助式パイル成形機も代替例として知られている。パイル成形機の適切な機能部品が、一本一本の繊維を絡み合わせて、パイル層の処理を続けている間に生じる外部機械的応に十分耐えられる固有の安定性を絡み合わされた繊維が与える平坦構造体が形成される。

パイル成形機から取り外されたパイル層を、追加ステップにおいて不織布材へと処理することができる。例えば、パイル層を二重にして、つまり、パイル層を積層して、所望の厚さ及び適切な総繊維含有量を有する不織布を形成することができて、その不織布は、例えばニードリングによって固められると、不織布材として他の処理ステップへと送られ得る。一般的に、不織布材は、化学的、機械的又は熱的に固められている点において、従来の不織布とは異なる。

本発明の枠組み内において、パイル層と不織布は区別されない。これらの構造は全て、機械的に比較的安定な平坦構造に繊維を絡み合わせるプロセスにおいて得られる。他方、不織布材は、上述のような追加の固める後続ステップによって不織布又はパイル層と区別される。

上述のプロセスに関する問題点は、パイル成形機に供給される一本一本の繊維を典型的には複雑な機械的前処理に晒す必要がある点である。このため、開反ユニット及び/又は混合ユニットが用いられ、これらは、例えば従来の回転ミルにおいて、繊維をバラバラに分解して前処理する。特に、炭素繊維を用いたパイル層の製造は、炭素繊維の複雑な前処理も要する。例えば、炭素繊維を炭素繊維の撚糸から解き得る。このため、その撚糸をまず糸巻から外して、切断デバイスに供給する。適切な長さに切断した後、炭素繊維の束を、束の部分の炭素繊維を分解することによって、バラバラにする必要がある。また、パイル成形機に供給する前に、繊維を適切にまとめてパイル成形プロセスに送る必要もある。その後において初めて、分解された、つまり完全にバラバラにされた繊維をパイル成形機に供給して、繊維をパイルへと処理することができる。

しかしながら、これら全ての処理プロセスは、比較的コストのかかるものであるだけでなく、処理シーケンス全体におけるデバイスの維持費用も高いものである。

こうした前処理のコストは、繊維屑及び/又は再利用された炭素繊維に基づいて繊維強化複合材を製造する場合に更に上昇する。炭素繊維産業における多数の製造プロセスは、多数の切断屑を生じさせるが、そうした切断屑は、コストを節約するために他の用途に向けられる。このような切断屑の他に、布製造プロセスにおいて生じた不合格品も得られて、そうした不合格品は、コスト及び原材料を節約するための更なる応用における使用にとって同等の価値のある炭素繊維を提供することができる。また、将来、炭素繊維増強プラスチックからの炭素繊維の熱分解回収において、更に多量の炭素繊維屑がもたらされることも想定され、そうした炭素繊維屑を、再利用材料として再循環させて、再利用材料の連鎖が可能となる。

しかしながら、繊維屑や再利用繊維を処理する際に特に複雑になるのはその前処理である。何故ならば、複数の追加処理ステップが、繊維をバラバラに分解して解き、場合によっては洗浄して、分解された繊維を得るために必要になるからである。多数の前処理ステップの後において初めて、典型的にはオリジナル、つまり未使用の炭素繊維と共に行われるプロセスに流すことができる繊維を得ることができる。

また、再利用のためには、十分に純粋な炭素繊維含有量を有する原材料を得るために、炭素繊維屑を洗浄して異種材料を除去する必要がある。このような洗浄プロセスも非常にコストがかかるものであり、現状においては、特定の親物質と共にのみ十分に管理されて又は制御可能に適用されているものである。また、優れた材料特性が、十分高い品質及び一定レベルの品質で製造される物質の特性を得るために必要である。

本発明の課題は、再利用プロセスで得られた材料、特に炭素繊維を技術的応用に適した布構造に単純に戻すことを可能にするパイル層及びそのようなパイル層の製造方法を提案することである。特に、本発明の課題は、技術的応用に対するパイル層の適性を低下させることなく、再利用炭素繊維の使用を可能にするパイル層を提案することである。特に、所望の応用に対して品質を十分に保証することができるようにする必要がある。同様に、本発明の課題は、こうしたタイプのパイル層を含む不織布又は不織布材を提案することである。本製造方法で達成される更なる課題は、従来技術で知られている方法と比較して安価なパイル層の製造方法を提供することである。

本発明において、本課題は、請求項1に係るパイル層及び請求項14に係る製造方法で達成される。また、本発明の課題は、請求項13に係る不織布又は不織布材で達成される。

特に、本発明の課題は、部分的に一本一本の個々の繊維に分解されていて且つ炭素繊維を含む複数の束と異種材料とを備えたパイル層によって達成され、炭素繊維が、パイル層の総重量の少なくとも70重量%を有し、異種材料が30重量%以下であって2重量%以上を有し、異種材料が再利用プロセスに由来するものである。

本発明に係る解決策は更に、以下のステップを含むパイル層の製造方法を含む:炭素繊維を含む束を有し且つ異種材料(特に編糸若しくは縫糸又はバインダー)によって少なくとも部分的に固定されている平坦構造体を切断するステップ; 開反機(特に引裂機)において切断された平坦構造体を処理して部分的に束を一本一本の個々の繊維に分解するステップ; このようにして処理された結果として部分的に分解されたバッチをパイル成形機(特に梳綿機)に導入するステップ; 完全には束を一本一本の個々の繊維には分解せずに束内の繊維を追加の繊維を絡み合わせるようにパイル成形機を作動させるステップ; パイル成形機からパイル層を取り外すステップ。

本発明に係るパイル層は、異種材料のパーセンテージが最大30%であり、炭素繊維が少なくとも70%の重量パーセンテージを有する点において有利に区別される。この場合、第一に、炭素繊維のパーセンテージがパイル層の強度及び品質を定め、異種材料のパーセンテージは、全体として布の基本重量に寄与するが、強度及び品質には顕著に影響しない。品質及び強度は特に、パイル層が組み込まれる複合材の品質及び強度に関する。

出願人によって行われた試験過程において、再利用プロセスに由来する異種材料のパーセンテージは、パイル層の品質を僅かに損ない得るが、総炭素繊維含有量の総重量に対して70重量%の炭素繊維は、このような悪影響を相殺するのに十分高いものであることがわかった。特に、そのパーセンテージの炭素繊維は、自動車産業における要求を満たすことができるパイル層を製造するのに十分である。従って、パイル層は、対応する最大重量において最小強度に達する。しかしながら、自動車産業においては、例えば品質及び純度に関して航空機産業よりも製造される布に対する要求が厳しくない。例えば、自動車産業では、布に対するより高い総重量においてより低い強度が許容される。このような航空機産業と比較して低い強度又は重量に対する要求は、布セグメント当たりの炭素繊維の低いパーセンテージによって達成可能であり、異種材料は顕著な悪影響を生じさせない。また、最大パーセンテージの異種材料でも、得られる基本重量に対して自動車産業の規定に達するのに許容可能である。

本発明に係るパイル層は、炭素繊維を含む複数の束を有する。束は典型的に、パイル層を製造するための繊維を得る再利用プロセスに送られた布に由来するものである。従って、その再利用プロセスでは、パイル層を製造するために繊維を完全に一本一本の個々の繊維にバラバラに分解することは要しない。布は典型的には炭素繊維を有する布であるが、応用分野に応じて、炭素繊維を有さないものでもあり得る。

本発明に係るパイル成形機でのパイル層の製造プロセスは、パイル成形機に導入された束が一本一本の個々の繊維に分解される必要がないように調整可能である。しかしながら、これは、束の他に、一本一本の個々の繊維がパイル成形機内に導入されないということではない。特に、束は、固められていない又は処理されていない繊維のランダムな配置で存在し得て、部分的に分解された繊維が束から飛び出して他の繊維と絡み合っていて、他の繊維も束内に存在し得る。実施形態に応じて、束は、完全に炭素繊維製であるか、又は或るパーセンテージの炭素繊維で構成される。パイル成形機に送られる繊維も、部分的に、再利用プロセスに由来しないオリジナルの繊維で構成可能である。

パイル成形機内における束の完全な分解を防止するため、処理ステップの数や、パイル成形機の機能部品を調整することができる。また、パイル成形機の機能部品の幾何学的な調整も想定可能である。

この点に関して、本発明の応用の枠組み内において、束は、実質的に平行な方向に少なくとも部分的に延伸している繊維の塊として理解され、束内の繊維密度は、周囲の繊維密度と比較して少なくとも部分的に高い。この点に関して、束は、周囲から目立っているので、目視でも良好に識別可能であり、大抵の場合、束として容易に識別可能である。また、束は、一本一本の個々の繊維の凝集物も有し得て、機械的応力に晒された際に束が一本一本の個々の繊維になることを防止する。

本発明に係るパイル層の利点は、パイル層が束を含み、繊維が一本一本の個々の繊維に分解していない点である。これは、特に、繊維の長手方向において束に作用する機械的応力に関して、パイル層に特別な強度を与える。互いに整列していない孤立した繊維と比較して、これは、顕著に優れた程度で壊れずに、繊維の延伸方向において、後で製造される繊維複合材に作用する外力を束が吸収することを可能にする。

本発明に係るパイル層の特に有利な一実施形態は、炭素繊維を含む束が再利用プロセスから少なくとも部分的に得られたものである点において区別される。例えば、本実施形態において、パイル層に含まれる繊維と共に、束が少なくとも部分的に再利用プロセスから得られたものであることも想定される。これはパイル層に特にコスト効率的な製造を可能にする。何故ならば、ステップの数がより少なくなると予想されるからである。更に、場合によっては、パイル層に用いられる物質が既に互いに調整されている。一方、製造されるパイル層は、オリジナル、つまり未使用の炭素繊維と共に混合可能であり、再利用炭素繊維に起因して考えられる品質低下を相殺する。例えば、再利用プロセスが、その再利用プロセスにおいて炭素繊維を短くした後に、特定の最小長さを有する新しい一本一本の個々の炭素繊維を或るパーセンテージで加えることができて、パイル層における全体的な繊維長さの分布を向上させる。

本実施形態では、異種材料が少なくとも部分的に炭素繊維ではない異種繊維を有するようにすることもできる。特に、このような異種繊維はガラス繊維及び合成繊維であり、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン製等の化学繊維である。パイル成形プロセス中に、こうした繊維もパイル層内に組み込まれる。好ましくはこうした繊維は、パイル層に含まれる炭素繊維又は他の繊維と絡み合う。しかしながら、異種繊維はパイル層の強度に無視できる程度にしか寄与しない。何故ならば、強度は実質的に炭素繊維に起因するからである。これは、特に、パイル層が繊維複合ワークピースに与える強度に関する。しかしながら、本実施形態に係るパイル層は十分な炭素繊維を有するので、必要な最小強度は保証可能である。

本発明の特に好ましい更なる実施形態では、炭素繊維が第一パターンを定める所定の第一配置を互いに有し、異種繊維が第二パターンを定める所定の第二配置を有し、第一パターンは第二パターンと異なる。

本願において、パターンとは、対象となる表面領域に対する物質密度分布として理解され、物質密度の変化が少なくとも部分的に存在する。特に、こうした物質密度の変化は視覚的に識別可能であり、系統的に比較可能である。

特に、二つのパターン間の相違は、平坦な自己相関関数を用いて解明可能である。例えば、本実施形態に係るパイル層の表面セクション(例えば15cm×15cmの表面セクション)を選択して、同じ表面領域のより小さな表面サブユニット(例えば1.5mm×1.5mm)に分割する。それらの表面サブユニットに広がる標準化繊維密度に基づいて、所定の尺度(例えば−5から5の範囲の尺度)で、個々の表面サブユニットに値を割り当てる。

標準化は、検査対象の表面セクション内の総繊維含有量に対して行われる。二次元積分又は二次元和を、各表面サブユニットに対する全ての隣接表面サブユニットにわたって計算し、その積分又は和は、所定の表面サブユニットに対する値と隣接する表面サブユニットの値の積にわたって計算される。従って、その計算には、表面サブユニット自体に対する繊維表面密度の相関、つまり繊維表面密度の自己相関が含まれる。このようにして求めた値を、所定の表面サブユニットにそれぞれ割り当てて、その計算を、他の全ての表面サブユニットに対しても行う。

計算を単純化するため、二次元重み関数を考慮することもできて、例えば、積分又は和を、隣接する10個までの積分又は和に限定する。しかしながら、選択される数は、積分又は和が、炭素繊維密度に対して考えられる繰り返しパターン(例えば、パイル層内の束の対応する配置によって生じる)にまで伸びるのを妨げるほど小さくてはならない。個々の計算から得られた結果をもう一度標準化して、全ての表面サブユニットに互いに比較可能にする。また、標準化によって、エッジ効果も考慮することが可能になり、そのエッジ効果は、略15cm×15cmの選択及び検査される表面セクションのエッジ近くの表面サブユニットによるものであり得る。

例えば炭素繊維のパターンの繰り返しが、パイル層に多かれ少なかれ一定の間隔を空けて束に配置されていると、自己相関関数に対する値は、ゼロ又は他の基準値から逸脱して、繰り返しの規則性が存在しない、つまり値の分布が純粋にランダムであることを示す。結果として、自己相関関数は、パターンの規則性を考慮することができる。しかしながら、こうした規則性は、値の厳密に静的なシーケンスとは異なる。パターンが純粋にランダムであると、つまり、パターンが個々の値の純粋に統計的にランダムな分布の結果のみによるものであると、自己相関関数は、全ての表面サブユニットに基準値又はゼロの値を与える。基準値は、予め選択された尺度の値に依存し、つまり、純粋にランダムな分布が存在することを示す基準値も、特に最初に選択された尺度に依存する。

炭素繊維の分布に対する平坦な自己相関関数を異種材料又は異種繊維の分布に対する平坦な自己相関関数と比較すると、多様なパターンが得られる。全ての比較可能な表面サブユニットに対して標準化され足し合わされた値が平均に対して5%以上逸脱すると、パターンが異なるとされる。他の数学的に合理的な又は技術的に合理的な方法も、表面サブユニットの二つの配置又はパターンがどのように逸脱しているのかを区別するために考えられる。このためには、表面領域内のパターンに対する数学的又は複雑な秩序を計算することも特に適している。

一代替例として、単純化された検査方法を用いて、二つのパターンを比較することもできる。図面の説明において詳述されるように、異種材料密度又は異種繊維密度が、異種材料密度又は異種繊維密度に対する或るパーセンテージの表面サブユニットしか重なりを有しておらず、他の表面サブユニットが重なりを有していない場合に、これが好ましいものとなる。この単純化され、大抵の場合は好ましい比較方法に関する更なる説明は、図面の説明から把握可能である。

パターンの多様性は、選択された表面セクションにおける一本一本の個々の繊維の変化分布を明らかにする。パイル層製造プロセスにおいて炭素繊維又は炭素繊維を含む束とは異なる挙動を示す異種材料又は異種繊維が典型的には確率的に分布している場合、炭素繊維を含む束は典型的に、パイル層の全表面領域にわたって均一に分布して、部分的には規則的な間隔で離隔されている。この状況は、パイル成形機におけるパイル成形プロセスにおいて、機械的応力に晒されると、束が表面領域全体にわたって均一に分布する傾向を増大させることにも起因する。対照的に、場合によってははるかに少ない数でパイル層に含まれる異種繊維は、パイル層の表面領域にわたってランダムに分布し得るが、場合によっては極めて低い濃度で存在する。また、こうした一本一本の個々の繊維の挙動は、パイル成形機において機械的に処理される間において異なり、典型的には異なる分布を有する。更に、異種繊維は個々の炭素繊維又は炭素繊維の塊と結合することによって、パイル成形プロセスにおける残りの炭素繊維の自由な独立運動を部分的に防止し得る。また、異種繊維は、炭素繊維と全く異なる長さ分布を有し得る。従って、パイル層内の炭素繊維のパターンは、異種材料又は異種繊維のパターンと明確に異なると予想される。

本発明の他の更なる発展では、第一パターンが第二パターンよりも高い秩序を有するようにできる。この場合、その秩序は、パターン及び複雑な配置に関して適用される数学的側面に基づいて求められる。複雑な秩序の意義の範囲内において秩序を求めることによって、自己相関を計算するための上述の側面の一般化が可能になる。秩序を計算するための論理的方法は当業者には既知であり、場合に応じて適用可能である。

本発明の更なる実施形態では、異種繊維の少なくとも10%が、炭素繊維と比較して1.5倍、特に2倍小さな引張強度を有するようにできる。しかしながら、異種繊維の低い強度は、パイル層又はそれで製造される繊維複合材の強度を減少させるにしても僅かにしか減少させない。何故ならば、炭素繊維が十分な量で存在しているからである。特に、自動車産業における応用では、強度の非常に小さな低下は重要ではない。

他の実施形態では、少なくとも一部の異種繊維が縫糸又は編糸である。従って、再利用される布を固定するために元々は提供された縫糸又は編糸を、その繊維に含まれる炭素繊維と共にパイル成形プロセスに送ることができて、炭素繊維又は炭素繊維束から分離する必要は 無い。これは、製造コストを減少させて、比較的コスト効率的なパイル層の生成を保証する。

また、少なくとも一部の異種繊維が、炭素繊維と比較して異なる色を有してもよい。一方では、これは、異種繊維の塊が生じている箇所(品質を損なう可能性がある)を容易に識別することを可能にし、他方では、必要に応じて、後で、異種繊維をパイル層から除去することもできる。第一には、視覚的な障害を回避するため、異種繊維をパイル層複合材から除去することが検討される。

一実施形態では、少なくとも一部の異種繊維が縮れを有し得る。縮れを有する繊維は周囲の炭素繊維でより良く固定されて、追加的な局所的凝固がパイル層に対して達成可能である。これは、特に、製造後においてパイル層が機械的応力(場合によっては取り扱いの結果としてパイル層を損傷し得る)に晒される場合に有利である。

他の実施形態では、少なくとも一部の異種繊維が、束内の炭素繊維よりも略50%、好ましくは100%長い。例えば、再利用プロセス由来の凝固糸がパイル層内に存在し得る。凝固糸は、特に、炭素繊維を固めるために使用可能な編糸又は縫糸を含むが、再利用プロセスにおいて更に分離されない。こうした糸は典型的には炭素繊維よりもはるかに壊れ難いので、こうした糸は、ミル、特にハンマーミルで処理されたとしても、炭素繊維程には短くならない。また、こうした糸は典型的には、再利用される布製品において元々長いものである。

上述のものの一つに基づいた他の実施形態では、異種繊維がガラス繊維及び/又はポリエステル繊維であり得る。特に、炭素繊維に関連して、好ましくは、異種繊維は、予備的な凝固のために布構造において特に容易に利用される任意の繊維である。特に、ポリエステル繊維が、個々の布層を縫うか編むために好適に用いられる。他の繊維も考えられ、ポリイミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられる。

本発明の他の実施形態では、異種物質が少なくとも部分的に化学的バインダー、特に樹脂を有し得る。従って、本実施形態では、バインダーを繊維表面から除去したり、パイル成形プロセスに繊維を送る前に完全に除去する必要がない。むしろ、或るパーセンテージのバインダーがパイル層に組み込まれ得るが、これは、後に製造させる繊維複合材に課される強度要求を低下させない。バインダーはパイル層内において繊維を予め固めるのに役立ち、例えば、パイル層の繊維の凝集が改善される。従って、この種のパイル層は、取り扱いが簡単であり、例えば後続の処理においてより強い機械的応力に晒すことができる。更に、バインダーは、後にパイル層を処理するのに用いられる樹脂と同一のものであり得て、繊維複合材が製造される。代替例として、バインダーは、パイル層を用いて繊維複合材を後で製造するための他の樹脂と化学的に適合可能である。

本発明の他の実施形態では、炭素繊維を含む複数の束が、15cm以下、特に10cm以下の長さであり得る。長さが短くなると、繊維の含有量を一定に保ちながら、パイル層内の相対的な束の含有量を改善することができる。これは、束によってパイル層に与えられる強度を改善する。束が好ましくは一つの優先方向において適切な配向を有する部分を有して、強度の方向特定改善を達成するという要求が必要となり得る。また、場合によっては、これは、湾曲した束が最小長さ以下にならないようにすることも要する。他の実施形態では、湾曲した束が、略2cmの下限長さ以下にならないようにすることが有利となり得る。

好ましい実施形態では、束が、少なくとも200本、好ましくは少なくとも500本、特に好ましくは1000本の炭素繊維を含み得る。これは、束の可能な整列によってパイル層に与えられる強度を増大させることを可能にし、その結果として、例えば、改善された方向依存性強度が、後に製造させる繊維複合材に与えられる。また、これは、再利用プロセスからの炭素繊維布(典型的には撚糸毎に1000本以上の繊維を備えた撚糸を有する)を使用することを可能にする。適切なプロセスにおいて、これは、再利用される炭素繊維布において前処理されて、撚糸が最少数の繊維へと解かれる。続いてパイル成形機で処理することによって、撚糸又は束を部分的に分解することができるが、本実施形態に係るパイル層内に複数の繊維を残す程度以上にはバラバラにしない。

特に好ましい実施形態では、パイル層が、最大50g/m2で10g/m2以上、好ましくは35g/m2から25g/m2の間の単位面積当たりの質量(単位面積当たりの重量)を有し得る。このようなパイル層は、後に製造される炭素繊維材において十分な強度を有する一方、部品の重量を大幅に減少させることができるので、特に自動車産業において望まれる。特に、本実施形態に係る単位面積当たりの質量は、貴重な原材料、炭素繊維を効率的に使用することを可能にするのと同時に、強度に課される最少要求の順守を保証する。従って、必要とされる強度と示される重量との間の比が特に有利である。

また、本発明の課題は、上記又は下記のパイル層の実施形態のうち一つに係るパイル層を少なくとも二つ有する不織布又は不織布材(特に互いにニードリングされている)を含む実施形態においても達成される。少なくとも二つのパイル層を不織布又は不織布材へと処理することによって、パイル層の強度増強特性を更に改善することができる。特に、方向特性又は配向特性を、少なくとも二つのパイル層を互いに適切に配向させることによって、調整することができる。例えば、一つのパイル層を第一配向で配置する一方、第二パイル層を第一配向とは異なる第二配向で配置することができる。これによって、不織布又は不織材内に複数の優先方向を定めることができる。この場合、束が予備的な配向を既に有していることによって、パイル層に適切な配向を与える。本発明では、ニードリング処理の結果として束が一本一本の個々の繊維にバラバラに分解することを防止することが意図されている。

不織布材の他の好ましい実施形態では、上述の実施形態に係るパイル層を固めるためにニードリング処理し得る。ニードリング処理は、パイル層に含まれる繊維を更に絡み合わせることによって(特に局所的なレベルで絡み合わせる)、局所的に固めることができる。パイル層が、十分な数の十分に密なステッチでニードリング処理されると、顕著に改善された強度を、パイル層構造全体に与えることができる。

不織布又は不織布材の他の実施形態では、一つのパイル層内の湾曲した束の配向が、他のパイル層内の湾曲した束の配向から、少なくとも5°、特に15°、30°、45°、60°、75°、又は90°の度で異なって逸脱し得る。特に、これは、定められた角度逸脱で不織布又は不織布材内に優先方向を簡単に発生させることを可能にする。これは、自動車を製造する処理の枠組み内において非常に有利である。何故ならば、優先方向を、その応用に応じて適切に調整することができるからである。

本発明の他の実施形態では、固めるために、少なくとも二つのパイル層を互いにニードリング処理するか、一つのパイル層をニードリング処理することもでき、平均で、1cm2の面積に対して、少なくとも1個のニードリングパンチ、好ましくは少なくとも5個のニードリングパンチが存在する。指定される領域は、ニードリング処理されたパイル層の領域に関係し、好ましくは、パイル層の全領域を表す。ニードリングパンチを導入することで、パイル層を固めてその処理を改善することができる。ニードリングプロセスは、上述のように、特に局所的に固める。ニードリングパンチの選択された密度によって、本実施形態では、複数の局所的に固められた箇所が、パイル層の選択された領域全体を固めるのに十分高いものであることが保証される。これは、特に、パイル層の均一な分布が1cm2の個々のサブユニット内に存在していて、各サブユニットが本発明に係るニードリングパンチの数を有する場合に可能となる。更に、ニードリングパンチは、パイル層に十分な数の開口を提供して、液体樹脂又はポリマーでのより効率的な含浸を可能にする。この理由は、開口がニードリングの厚さ全体にわたって、つまりは本実施形態において規定されるように、パイル層の厚さ全体にわたって、樹脂又はポリマーを効率的に伝えることを可能にするからである。これは、含浸時間を減少させて、パイル層を含む部品の製造時間も減少させる。

本発明の課題に対する解決策の更なる側面では、上述のパイル層、上述の不織布又は上述の不織布材を有する樹脂含浸部品を提供することもできて、その部品は特に自動車部品として設計されている。このような部品は、他の布構造とは別に又は共に、上述のパイル層、不織布、不織布材を有することができる。特に、上述のパイル層、不織布、不織布材が、主に応力を吸収するために設けられた構造及び/又は織物と共にその部品に含まれることができる。更に、上述のパイル層、不織布又は不織布材を有する自動車部品は、自動車のパッシブセーフティを保証するように提供されなくてもよい。特に、こうした部品は、自動車の外皮の一部として設計されることが好ましい。部品は樹脂で含浸可能であり、完全な含浸、又は部分的な含浸を得ることができる。また、樹脂含浸部品を硬化させることができる。本実施形態に係る樹脂での含浸は、適切なポリマーでの含浸も含む。

本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、その方法が、異種材料を分離するステップを含まず、又は、異種材料を部分的に分離するステップを含まないものとすることができる。これは、パイル層へと処理される或る量の材料又は繊維を前処理するためのステップを削減する。何故ならば、これは、異種材料、特に異種繊維を分離する又は部分的に分離するステップを省略するからである。従って、異種材料がパイル層内に組み込まれて、その基本重量を増大させる一方、異種材料、特に異種繊維は、後に製造される繊維複合材の強度に対して影響するにしても無視可能な程度にしか影響せず、存在している炭素繊維が、十分で所望の強度を保証することができる。

更に、炭素繊維を含む再利用プロセスで得られた束を、パイル層の製造、特に上述のパイル層の製造に用いることができ、本発明又は本実施形態に係る方法を実現する。

以下、本発明に係るパイル層、不織布、不織布材及びパイル層の製造方法の多様な実施形態が、図面に基づいて本発明を詳述するために用いられる。説明される実施形態は、特許請求される発明の全容を限定するものではない。特に、特許請求される特徴はそれぞれ、別々に、また上述の特徴と共に特許請求される。結果として、本発明の観点から適切な全ての技術的に可能な特徴の組み合わせが本願において特許請求される。

追加的な実施形態は従属項から把握可能である。

本発明に係るパイル層の第一実施形態の平面図である。

図1aに係るパイル層内の炭素繊維の割合の分離図である。

図1aに係るパイル層内の異種繊維の割合の分離図である。

異種繊維のパターン又はそのパターンの秩序を特徴付けるための平坦な分布図と共に図1cに係る異種繊維の割合を示す概略図である。

本発明に係る不織布又は不織布材の第一実施形態の平面図である。

本発明に係る製造方法の一実施形態に含まれる各ステップのシーケンスを示すフローチャートである。

完全を期すため、図面に示される実施形態は概略的な表示に過ぎない点に留意されたい。特に、本発明の具体的な対象に対する寸法及び比率は、図示されているものから逸脱し得る。

図1は、炭素繊維10を含む複数の束2を備えた本発明に係るパイル層1の第一実施形態を表す。この場合、束は好ましくは湾曲した延伸方向を有するが、技術的に考えられる他の延伸方向も有し得る。示されている束の曲率は、梳綿機で処理された結果である。束2が、パイル層1に含まれる他の繊維(炭素繊維10であり得る)と絡み合っていることによって、十分に強いパイル層1を作製することができて、例えば、完全な構造でパイル成形機から取り外したり、更なる機械的処理にかけるのに十分に強い。

図1bの分離図に示される割合の炭素繊維に加えて、図1aに係るパイル層1は、太線で示される複数の異種材料20(特に異種繊維20)も含む。こうした異種材料20又は異種繊維20は図1cの分離図にも示されている。この場合、異種材料20又は異種繊維20は各々ランダムに配置される。特に、異種材料20又は異種繊維20の延伸方向は規則性を有さない。また、個々の異種材料20又は異種繊維20は、互いに相対的に純粋にランダムな配置も有する。

しかしながら、炭素繊維10、特に束2に含まれる炭素繊維10については、状況が異なる。図1bから明らかなように、束は比較的同様の湾曲した延伸方向を有する。これは、束の延伸方向において最大の曲率を有する頂点領域によって特徴付けられる。頂点領域は束末端の間に位置し、束末端領域は、頂点領域と比較して僅かな曲率しか有さない。場合によっては、束末端領域は全く湾曲していない。

湾曲した延伸方向に起因して、束2は、ほぼ束末端領域における繊維の延伸方向内の優先方向だけではなく、ほぼ頂点領域の接線方向内の優先方向も有する。従って、湾曲した延伸方向によって、束2が、力を吸収する点に関する第一優先方向だけではなく、頂点領域に起因する優先方向(特に、第一優先方向に垂直である)も有する。

本発明の枠組み内において、束2の曲率は、束2内の全ての繊維の平均化された延伸方向から求められる。このため、束内の繊維の個々の空間的位置を得て、平均位置を束2内の個々の繊維の比較可能な部分から計算する。特に、束2内の繊維が円形断面に対して密に詰まっている領域において、平均延伸方法は実質的に、その断面に対する束2の中心に位置する繊維のものである。しかしながら、繊維が散開していると、束の末端における場合において典型的なように、個々の繊維の全ての比較可能な部分の層を平均化することによって、束の平均延伸方向を計算することができる。十分な検討に基づいて、当業者は、平均延伸方向を求めるように平均値を計算することができる。

また、図1bから明らかなように、束2は比較可能な配向を有する。この場合、これは、束2の頂点領域が、パイル層1の一方の側に配向していて、個々の束2の各束末端がパイル層1の反対側を指していることを意味する。

また、個々の束2と最近接の束2との間の距離は、全ての束2に対して無視可能な程度にしか変化しない。これは、図1bに示されるように、横方向に隣接する束の間の距離、及び、一つの束2とその上下の束2との距離の両方に関するものである。

結果として、一つのパターンを図1bの個々の束2の配置から導出することができて、これは、図1cに係る異種材料の配置においては識別不能である。

このパターンをより正確に求めるため、パイル層1の検査表面セクション(例えば20cm×20cmの表面セクション)を、個別の表面サブセクションに簡単に分割することができる。これは、図2に概略的に示されている。この場合、図示されている表面セクションは、32×32の表面サブセクションのチェッカーボードパターンに分割されている。個々の表面サブセクションにおける異種材料密度又は異種繊維密度に依存して、個々の表面サブセクションに数値を割り当てることができる。異種材料密度又は異種繊維密度は、総材料密度又は総繊維密度に対して標準化される。最も単純な場合、或るパーセンテージの異種材料又は異種繊維がその表面サブセクション内に存在している場合に、1の数値を割り当てることができる。しかしながら、この最も単純な分析は、十分多数のサブセクションが、その分布内にゼロパーセンテージの異種材料又は異種繊維を有する場合にしか、意味をなさない。そうでなければ、大抵の場合、より細かな分析が必要とされる。上述のように、例えば、このような分析は、−5から+5の尺度を用いて、異種材料密度又は異種繊維密度の関数として、整数値を割り当てることを含み得て、最低密度が−5と評価されて、最高密度が+5と評価される。

図1bに示されるような炭素繊維の分布に対しても比較可能な方法を取ると(ここでは詳述しない)、その結果は、標準化された繊維密度の変化分布となる。従って、大抵の場合、異種材料密度又は異種繊維分布の場合とは異なる値が、個々の比較可能な表面サブユニットに割り当てられる。図1bに係る炭素繊維分布のパターンと図1cに係る異種材料分布のパターンを比較するため、それぞれの対応する表面サブユニットの値を互いに比較することができる。この比較は、各比較可能な表面サブユニットに対する値に引き算することによって、数学的に実行可能である。

両方のパターンが同一である場合、引き算によって、各表面サブユニットにゼロの値がもたらされる。しかしながら、パターンが変化するほど、表面サブユニットの引き算によって、異なる値がそれぞれもたらされる。これは、比較されるパターン間の相違の測定基準をもたらす。実際的な観点からは、全ての比較可能な表面サブユニットに対する引き算された値が平均を超える場合に、二つのパターンが異なると決めるすることができる。例えば、表面サブユニットの総数に対して標準化された全ての表面サブユニットに対する全ての引き算された値の和が、所定の値を超えている場合に、パターンが異なるとされる。この値は、上記で選択された尺度目盛に従って合理的に決められる。例えば、この値は、−5から+5の範囲の尺度において、0.1となり得る。

この場合、双方の検査表面セクションに対するパターン間の相違を決めることは、比較的簡単である。何故ならば、炭素繊維10の分布が異種材料20又は異種繊維20の分布とは明らかに異なるからである。この場合、その相違は裸眼でも評価可能である。これは、特に、異種材料20又は異種繊維20の分布が検査表面セクションの多数の表面サブユニットを覆っていない場合に当てはまる。しかしながら、多くの又は全ての表面サブユニットが覆われている場合、個々の比較可能な表面サブセクションに対する値を引き算することによる単純なパターンの比較は、誤った描写を与えることがある。また、特定のパターンはすぐに明らかになるものではなくなり得る。何故ならば、パターンが、存在炭素繊維10又は異種材料20の量においてほとんど認知できないからである。この点に関して、より精巧なパターン比較方法を用いることが適切となり得る。例えば、上述のように、全ての表面サブユニットに対する平坦な自己相関を計算することができて、これは場合によっては、計算に含まれる存在パターンの規則性をより良く得ることを可能にする。

紹介した二つの方法は、本発明の枠踏み内においてパターンを比較する点に関しては等価であり、パターン比較のために選択された表面セクションの識別される表面サブセクションの少なくとも5%が、重複状態において異種材料を示さないような異種材料分布においては、単純な方の方法を用いるのが好ましい。

図3は、本発明に係る不織布又は不織布材の第一実施形態を示し、二重にすることで形成された二層プライのパイル層1で構成されている。不織布の場合、それは、二層プライのパイル層2をニードリング処理することによって固められたものであり得る。一実施形態では、二つのパイル層2が、それぞれの優先方向が互いに対して特定の角度で回転されているように互いに配置される。このようにして、個々のパイル層2の優先方向に起因し得る強度増強特性を、方向に関して具体的に調整することができる。この場合、二つのパイル層1の相対的な配置として、好ましくは、15°、30°、45°、60°、75°、90°回転させることが挙げられる。本実施形態では、二つのパイル層1の相対的配置は、互いに略45°回転させたものである。

図4は、パイル層を製造するための本発明に係る方法の一実施形態が含む各ステップのシーケンスを示すフローチャートに関する。これによると、炭素繊維10を含む束2を有し且つ異種材料20によって(特に編糸によって)少なくとも部分的に固定されている平坦構造体を切断する必要がある。ここで、切断は、その最も一般的な意味において理解されるものであり、例えば、ブランキングステップを含む。また、切断された平坦構造体を、特にハンマーミルにおいて処理して、束2を部分的に一本一本の個々の繊維に分解する必要があり、この処理ステップにおいて、部分的に分離されたバッチを梳綿機に導入するステップも含まれる。その後、束2を完全に一本一本の個々の繊維に分解せずに束2内の炭素繊維10を他の繊維と絡み合わせるようにパイル成形機を作動させる。そして、このようにして製造されたパイル層をパイル成形機から取り外す。特に、本方法は、異種材料20又は異種繊維20を分離するステップを含まない。

更なる製造方法では、続いて、パイル層1を不織布又は不織布材へと処理することができる。互いに積層した複数のパイル層1を固めるために、ニードリング、縫い合わせ、編み込みも想定される。この場合、パイル層1に含まれる湾曲した束2を、損傷するにしても、部分的にしか損傷しないようにする必要がある。

1 パイル層 2 束 10 炭素繊維 20 異種材料/異種繊維 31 第一パターン 32 第二パターン

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