A method of manufacturing a multi-filament spread sheet, and its manufacturing equipment

申请号 JP53874397 申请日 1997-04-25 公开(公告)号 JP3064019B2 公开(公告)日 2000-07-12
申请人 福井県; 发明人 茂 友田; 和正 川辺;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】複数のフィラメントの集合せるマルチフィラメントを一定のオーバーフィード状態が生ずるようにフィード制御しながら給糸部から巻取部へ流送供給する一方、こうして流送されてくる前記マルチフィラメントに対し交差方向に気流を通過させて当該マルチフィラメントを風下方向へ弓なりに撓ませることにより、このマルチフィラメントを構成するフィラメントを幅方向に解き分けて開繊シートに変形加工してゆくことを特徴とするマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項2】マルチフィラメントを通過する気流が、吸引気流である請求項1記載のマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項3】流送されるマルチフィラメントに対して開口する所要横断幅の吸引風洞が配設されており、この吸引風洞からのサクションにより気流を発生させて前記マルチフィラメントに会合せしめる請求項1記載のマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項4】給糸部から流送供給されるマルチフィラメントが気流に会合する前に予め当該マルチフィラメントを幅方向へ拡展させておき、この拡展面に対し気流を通過せしめる請求項1記載のマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項5】給糸部から巻取部へ流送されるマルチフィラメントに対し、複数回にわたり気流を会合せしめる請求項1記載のマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項6】一定のオーバーフィード状態が生ずるようにフィード制御しながら給糸部から巻取部へマルチフィラメントを流送供給する一方、こうして流送されてくるマルチフィラメントに対し交差方向に気流を通過させて作製される開繊シートを、上下に複数段または並列に集合させ、こうして集合された開繊シートに対し、さらに同様の開繊加工を施して複合開繊シートを製造することを特徴とするマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項7】フィード制御されてオーバーフィード状態で流送供給されてくる複合開繊シートを、さらに複数段または並列に集合せしめ、その流送方向に対し交差方向に気流を通過させる開繊加工を反復して施す請求項6記載のマルチフィラメント開繊シートの製造方法。
  • 【請求項8】給糸部と巻取部との間の移動行路に対面するごとく所要横断幅の吸引風洞が配設されており、其処を一定のオーバーフィード状態で移動するマルチフィラメントに対し連続的に吸引気流を通過させることによって当該マルチフィラメントを弓なりに撓ませてフィラメントを幅方向に解き分けて開繊するように構成したことを特徴とする開繊シート製造装置。
  • 【請求項9】吸引風洞に其処を移動するマルチフィラメントの撓み量を検出する撓み測定センサーが配設してあり、この測定センサーの出力する制御信号によって当該吸引風洞を挟む前後位置間におけるオーバーフィード量をコントロール可能に構成した請求項8記載の開繊シート製造装置。
  • 【請求項10】給糸部を搭載し、給糸部に巻かれたマルチフィラメントを解舒して巻取部側へ供給する給糸機台が、当該マルチフィラメントの移動行路と解舒寸前における給糸部の糸巻き方向とが同一直線に並ぶように移動行路に対して揺動可能に、かつ、同給糸機台上の給糸部が進退移動可能に構成されている請求項8記載の開繊シート製造装置。
  • 【請求項11】給糸機台と吸引風洞との間の移動行路上に、其処を通過するマルチフィラメントに予備的に拡展傾向を付与する予備解延機構が配設されてある請求項8
    記載の開繊シート製造装置。
  • 【請求項12】給糸部を搭載し、内装された給糸部より解舒されて巻取部へ向かうマルチフィラメントの移動行路と解舒寸前における給糸部の糸巻き方向とが同一直線に並ぶように移動行路に対して揺動可能に、かつ、前記給糸部が巻軸進退可能に構成されている給糸機台と;この給糸機台から流送供給されてくるマルチフィラメントに予備的に拡展傾向を付与する予備解延機構と;この予備解延機構によって予備的に拡展傾向が付与されたマルチフィラメントを一定のオーバーフィード状態にフィード制御するフィーダ機構と;このフィーダ機構によって一定のオーバーフィード状態に制御された前記マルチフィラメントに対し所要の横断幅で連続的に吸引気流を通過させて当該マルチフィラメントを弓なりに撓ませることにより、このマルチフィラメントを構成するフィラメントを幅方向に解き分けて開繊シートに変形加工する吸引風洞と;この吸引風洞で幅方向に展延開繊された開繊シートを巻き取る巻取部とを包含することを特徴とする開繊シート製造装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、複数のフィラメントが接合しているマルチフィラメント(multifilament:トウ(tow)を含む)を展延して開繊シートを製造する新技術、更に詳しくは、
    マルチフィラメントをその構成フィラメントが平行かつ品質劣化のない状態に展延して良質の開繊シート、例えば長繊維強化複合材料の補強材に要求されるところの樹脂含浸性およびフィラメントの整列性に優れる開繊シートを、通常形態のマルチフィラメントから高能率に量産できる画期的な開繊シートの製造方法、およびその製造装置に関するものである。

    背景技術 近年、合成樹脂等のマトリックスに強化材としてカーボン繊維やガラス繊維、あるいはアロマティック・ポリアミド繊維(aromatic poiyamidefilament:例えば:KEVL
    AR49)等を混入、ないしは挟み混んだ繊維強化の複合材料が数多く開発され市販されている。

    しかして、これらの繊維強化複合材料は、マトリックスと強化材の選択に応じて、強度、耐熱性、耐食性、電気特性、および軽量性等の諸点で目的に合致した優れた性能を得ることができるところから、航空宇宙、陸上輸送、船舶、建築、土木、工業用部品、スポーツ用品等の広い分野に利用されており、大きな社会的需要を有している。 ちなみに、強化繊維の使用形態としては、必要な幅に複数本のフィラメントを配列したもの、ないしはフィラメントを所定寸法にカットしたもの、織物、編物、
    組物、不織布などの布状にしたものがあり、これらの強化繊維をマトリックスによって直接的に複合化するもの、あるいはフィラメントを規則的に配列したシートや織物等に合成樹脂を含浸させプリプレグ(preimpregnat
    ion)と呼ばれる半製品を製造し、このプリプレグを必要に応じて適当な枚数を重ね合わせ、オートクレーブなどの装置で目的とする最終製品に完成させるものなどが挙げられる。

    ところで、かゝる繊維強化複合材料の中で最近注目を浴びて来ているのは、上記カーボンフィラメントやアロマティック・ポリアミドフィラメント、セラミックフィラメントなど高機能繊維素材の強化繊維材料としての利用である。 これらの高機能繊維素材は、通常、例えば引き揃えられサイジング剤で接合したマルチフィラメントの形態で提供されるのであるが、かゝるマルチフィラメントを強化繊維材料として用いる場合には、各フィラメントとマトリックスとの接触面積を大きくして接合強度を構造的に強化できることが必要であり、そのためには、これらのマルチフィラメントを薄くシート状に展延しておくことが有効である。 換言すると、強化材料としてのマルチフィラメントを構成する各々のフィラメント1本1本のすべての表面がマトリックスに密着していて、しかも各フィラメントとマトリックスが強に接着していることが極めて重要なのであり、このような構造に接合して始めて当該複合材料は最大の機能を発揮し得るのである。

    しかしながら、強化繊維とて採択する材料がマルチフィラメントの場合、これを構成する各フィラメントの間にマトリックスを一様に均一に浸透させるのは極めて難しい。 そこで、そのような問題の対策として採られている措置は、マルチフィラメントを薄い一定の幅のシート状に開繊してマトリックスがマルチフィラメント内部の微小隙間に浸透し易くしようとするものである。

    しかして、従来のマルチフィラメントの開繊は、給糸体からマルチフィラメントを解舒し、これを巻取管に巻き取ってゆくプロセスの中で施されており、次のような方法が知られている。

    移動するマルチフィラメントに一定張力を付与しながら静電気を作用させ構成フィラメント間に反発力を生じさせて開繊する静電開繊法。

    マルチフィラメントを回転するプレスロールの間に通し偏平に押し潰して開繊するプレス開繊法。

    マルチフィラメントに流や空気流を当て、その噴射力によって開繊するジェット開繊法。

    マルチフィラメントに超音波振動を与えて構成フィラメント同士の接合(例えば、サイジング剤による接合)を錠ばせて開繊する超音波開繊法。

    ところで、マルチフィラメントをシート状に開繊して強化繊維材料として利用しようとする場合に求められる製品としての理想的条件は、糸切れのない連続したフィラメント1本1本が真っ直ぐに伸びて絡み合わず、かつ、互いに平行で一定密度を保ち、一定幅に整然と配列されていることである。

    しかしながら、上記従来の開繊方法は、何れもマルチフィラメントに電気的反発力、荷重圧力、流体の衝撃力、超音波振動力など強力な物理的外力を作用させて開繊しようとするものである。 それゆえ、開繊効率を高めようとすると、例えば空気流を使用する場合にあっては、その流速を高めてマルチフィラメントの繊維束に強力な空気流を噴射する必要があった。

    ところが、開繊効率を高めるためにマルチフィラメントに加える外力(例えば、静電気力やロール圧力、ジェット噴射力や超音波振動力など)を増強する場合には、
    求める必要幅、薄さが得られないばかりか、却って、加えられた強い外力によってフィラメントが切断されたり、毛羽立ったりする等、繊維そのものが損傷される弊害が避けられず、特にカーボンフィラメント糸やセラミック繊維等のごとく折れに弱い繊維は、その損傷が著しく使用に耐えない状態となった。

    加えてまた、上記従来の開繊法は、外力でマルチフィラメントを無理遣り開繊することになるから、開繊されたフィラメント同士は複雑に絡み合ってしまい、目的とする必要な幅やフィラメント同士の平行性を得難いうえに、静電気による方法などは導電性繊維(例えば、カーボンフィラメント、金属フィラメント)には適用できないという難点もあった。

    さらに、マルチフィラメントの開繊加工においては、
    開繊効率を上げるために撚りの無い無撚のマルチフィラメントを用いるのが普通であるが、その場合、繊維束全体としては無撚の状態であってもフィラメント同士がその糸束内において部分的に交絡した部分を有していることがあるため、上記従来の方法によってはこれらの交絡部分の開繊に対応できなかったのである。 この点について若干の注釈を加えておくならば、次のとおりである。

    いま、糸束内に交絡部分のない良好な無撚のマルチフィラメントを用いているとして、Fig.1を以て図解すれば、巻き度γの給糸部1′における解舒点oに存在する無撚マルチフィラメントが解舒されるときは、当該給糸体における解舒支点pと送り出しロールの把持点qとを結ぶ線、つまり最短距離ラインlに戻ろうとして矢印Δの力が働く、このとき、給糸部の表面と解かれる無撚マルチフィラメントF 1との摩擦によって、当該F 1は回転して部分的な撚りが生ずる現象が起こる。 換言すると、
    使用される無撚マルチフィラメントF 1に撚りがなくても、解舒の際に後発的に部分的な仮撚り現象が起こり、
    開繊の平行性を阻害する原因を成していたのである。 ちなみに、給糸部1′におけるマルチフィラメントF 1は、
    巻き角度が巻層毎に交互に反対向きになるため、この巻き角度の変化に応じてマルチフィラメントF 1の前記回転方向も交互に反対となってS撚りとZ撚りの仮撚りが交代的に生ずることになるのである。 もっとも、このような仮撚り現象は、紡糸メーカーの段階でも生じていることがあり、仮に巻き取り前までは無撚の状態であっても、その巻取り工程で仮撚りが出来てしまうこともあった。

    更にまた、上記従来の方法では異種のマルチフィラメントを開繊しながら混繊する並行処理も、かつまた、同種または異種のマルチフィラメントを開繊しながら積み重ねて積層開繊シートにしたり、あるいは同種または異種のマルチフィラメントを並列状態に開繊して広幅の開繊シートにしたりするといったことも不可能であった。

    本発明は、従来法の開繊技術には前述の如き難点があったことに鑑みて為されたものであって、マルチフィラメントをその構成フィラメントが切れることなく連続して1本1本が真っ直ぐに伸びて、しかも互いに平行で一定密度で必要な幅を成して均一に整然と並んで毛羽立ちなどの障害もない状態に展延した良質の開繊シートを提供することを技術的課題とする。

    また、本発明の他の技術的課題は、繊維強化複合材料の補強材には重要となる樹脂含浸性およびフィラメント真直性などの特性に優れた開繊シートを通常形態のマルチフィラメントから高能率に量産できる画期的な開繊シートの製造方法、およびその製造装置を提供するにある。

    また、本発明の他の技術的課題は、異種のフィラメントが混繊されたブレンド開繊シートを、複数種のマルチフィラメントの同時並行的な開繊と混繊処理によって効率的に製造できる方法、および装置を提供するにある。

    また、本発明の他の技術的課題は、同種または異種のマルチフィラメント糸を開繊しながら積み重ねて積層開繊シートを効率的に製造できる方法と装置を提供するにある。

    さらに、本発明の他の技術的課題は、同種または異種のマルチフィラメントを並列状態に開繊して任意の広幅開繊シートを製造することができる方法と装置を提供するにある。

    本発明の更に他の目的と効果は、以下の説明によって一層明確になろう。

    発明の開示 本発明者らが上記技術的課題を解決するために採用した方法的手段は、複数のフィラメントが集合せるマルチフィラメントを一定のオーバーフィード状態が生ずるようにフィード制御しながら給糸部から巻取部へ流送供給する一方、こうして流送されてくるマルチフィラメントに対し交差方向に気流を通過させて当該マルチフィラメントを風下方向へ弓なりに撓ませることによって、このマルチフィラメントを構成するフィラメントを幅方向に無理なく穏やかに解き分けて開繊シートに変形加工してゆくというものであり(以下、本発明方法と略称)、その巧みな流体力学的処理に特徴がある。

    また、本発明者らが上記技術的課題を解決するために採用した装置的な手段は、給糸部と巻取部との間をマルチフィラメントが一定のオーバーフィード状態で流送される移動行路に対面する如く所要横断幅の吸引風洞を配設するというものであり(以下、本発明装置と略称)、
    其処を移動するマルチフィラメントを連続的な吸引気流で弓なりに撓ませて幅方向に開繊可能に構成した点に特徴がある。

    そこで、上記課題解決手段について注釈を加えておくと、本発明が対象とするマルチフィラメントとは、長い連続した複数のフィラメント(例えば、合成繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、メタル繊維など)が集合した繊維集合体であって、束状形態を成せるトウ(tow)
    を含む。

    また、本発明においては、対象とするマルチフィラメントを一定のオーバーフィード状態が生ずるように流送し、こうして流送されるマルチフィラメントに気流を通過させることによって当該マルチフィラメントを弓なりに撓曲させて開繊シートにするものであるが、この場合におけるマルチフィラメントの撓みの長さ域と其処に交差的に作用する気流の横断幅は大きければ大きいほど良い。 しかし、実際には、マルチフィラメントの撓みの長さ域を大きくすると、其処に作用する重力によって撓みの深さも当然に大きくなり、また撓みの長さ域を大きくすると、その広域の撓みの長さ域の全体に亙って一様で、かつ、所要流速の気流を発生せしめる気流発生手段に技術的・経済的限界があることから、マルチフィラメントの撓み長さ、およびこれに対する気流の横断幅には必然的に制約があったのに加えて、マルチフィラメントを構成する各フィラメントが広がり過ぎると、構成フィラメント間の分布の均一性が損なわれるという実際上の問題もあったのである。

    そこで、本発明にあっては、必要に応じて、マルチフィラメントの撓み部位を複数形成して、その各々の撓み部位に交差的な気流を複数回履歴させたり、あるいはマルチフィラメントが撓み部位で交差気流に会合するに先立ってプレスロールによる軽い押圧や軽い超音波振動など障害が起こらない程度の外力を与えてサイジング剤などによる各フィラメントの接合を弛め、かつ、予備的に幅方向へ解延させておくのが好ましい。 そうすれば、気流による開繊効率が高まるうえに、給糸部におけるマルチフィラメントの巻層毎に交互に反対向きとなる巻き角度の変化に起因して解舒時にS撚りとZ撚りと後発的に交代的に出来る不可避的な仮撚り部位が、当該マルチフィラメントの拡展域と開繊域との間に働く引張力によって前後のS撚り(S twist)とZ撚り(Z twist)とが互いに打ち消し合って順次解消されてゆくといった利点も得られる。

    また、本発明では、給糸部から巻取部に一定のオーバーフィード状態で流送されるマルチフィラメントに対し気流を通過させて当該マルチフィラメントを弓なりに撓ませるという処理を施すが、其処に作用させる気流は吸引気流が適しており、渦流や乱流成分は少ないほど好ましい。

    また、本発明の主要部は、マルチフィラメントを一定のオーバーフィード状態で流送し、このように流送されるマルチフィラメントに対して気流を通過させることによって当該マルチフィラメントを幅方向へ解き分けて開繊シートを製造する点に存するが、かゝる処理工程を複数並行させて、出来てくる開繊シートを合流させ、これらの開繊シートを面状に並列または上下に複数段積層して撓み部位を形成しながら流送し、これに更に気流を通過させて複合開繊シートを製造することも可能である。
    そうすれば、任意種類のマルチフィラメントの開繊シートが積層状態に合体した繊維集合体であって、積層ブレンド混繊シート、任意種類のマルチフィラメントの各開繊シート側縁が組積みされて整層状態に合体した積層ブレンド混繊シート、任意種類のマルチフィラメントの各開繊シート側縁が段逃げ式に組積みされて合体した積層ブレンド混繊シートを製造することも可能であり、これらの複合開繊シートを構成するフィラメントには毛羽立ちや切断箇所はなく無傷で整然と平行に整列した製品を得ることができるのである。

    図面の簡単な説明 Fig.1は解舒の際に給糸部においてS撚りおよびZ撚りの仮撚りが出来易い原因を説明した説明図、 Fig.2は本発明の第1実施形態に用いられる開繊装置を概略的に表わす機構側面図、Fig.3は同平面図、Fig.4
    は同開繊装置のフィーダ機構をマルチフィラメントの移動方向から見た拡大立面図、Fig.5は同フィーダ機構の拡大側面図、 Fig.6は本発明の第2実施形態に用いられる開繊装置を概略的に表わす機構側面図、Fig.7は同平面図、 Fig.8〜Fig.10は本発明におけるマルチフィラメントの開繊理論を空気力学的に説明するための模式図、 Fig.11はマルチフィラメントを撓ませて気流接触により開繊する場合の力学的説明のための模式図、 Fig.12〜Fig.15はマルチフィラメントの開繊理論を更に別の角度から説明した説明図、 Fig.16は本発明の第3実施形態に用いられる開繊装置を概略的に表わす機構側面図、Fig.17は同平面図、Fig.
    18は第3実施形態の開繊装置における給糸機台をマルチフィラメントの流送方向に見た立面図、Fig.19は同給糸機台の平面図、Fig.20は同給糸機台の側面図、 Fig.21は本発明の第4実施形態に用いられる開繊装置を概略的に表わす機構説明図、Fig.22は同平面図、Fig.
    23は本発明の第5実施形態に用いられる開繊装置を概略的に表わす機構説明図、 Fig.24は多段状に流送されてくる複数の開繊シートを少し幅方向へずらせて側縁部分を重ねて混繊させようとする状態を表わす斜視説明図、 Fig.25の(1)は複数の開繊シートの側縁を重ねた状態の斜視図、 Fig.25の(2)は重ねた部分を混繊一体化して製造した複合開繊シートの斜視図、 Fig.26は多段状に流送されてくる複数の開繊シートの側縁を並行隣接させて側縁部分を接合一体化させようとする状態を表わす斜視説明図、 Fig.27は第3実施形態の装置の開繊効果の測定値を表わしたグラフ、 Fig.28およびFig.29は第3実施形態の装置の開繊効果の測定結果を表わした比較表である。

    発明を実施するための好ましい形態 1.本発明の第1実施形態 本発明の方法と装置を具体的に表わす第1実施形態は、Fig.2およびFig.3に示される。

    即ち、本実施形態においては、給糸部1側から巻取部2へマルチフィラメントF(無撚カーボン繊維:7μフィラメントの12,000本束=元幅約6mm、元厚約0.1mm)を流送する過程で当該マルチフィラメントの構成フィラメントを幅方向へ解き分けることによって開繊シートを製造しようとするものである。

    本実施形態においては、給糸部1から解舒されて送り出されるマルチフィラメントFは、フロントフィーダ3
    とバックフィーダ3′とによって一定のオーバーフィード状態が形成されるように調速制御を受けつゝ、両フィーダ3・3′の間に配設された吸引風洞4に送り込まれる。 そして、この吸引風洞4上を移動する際に当該マルチフィラメントFは、吸引風洞の吸引口41の中へ向けて作用する吸引気流(風速:50m/sec)に会合することによって口内に引き込まれて弓なりに撓曲され、そのときの撓み力によってマルチフィラメントFは構成フィラメントに軋みが生じてフィラメント同士の接合が弛む。 そして、その状態のマルチフィラメントFに対して交差方向(本実施形態では、上から下へ)の吸引気流が吹き抜け通過することになる。 すると、マルチフィラメントFに出会った吸引気流は、ベルヌーイ(Bernoulli)の式から当然に導かれるところからも明らかであるとおり、マルチフィラメントFとの向流面両側を低圧化させ、当該マルチフィラメントには両側方向へ拡開しようとする推力が作用することになる。 かくして、前述の撓曲作用によって構成フィラメント同士の接合が弛み、しかもフィラメント間に弛みの生じたマルチフィラメントFは、吸引風洞4の吸引口41を通る際に幅方向に解き分かたれて平均で幅が約12mm、厚さは約0.07mmに導く拡展された開繊シートFSになるのである。

    そこで、第1実施形態に使用の開繊シート製造装置について説明すると、次のとおりである。

    即ち、Fig.2およびFig.3に略示する開繊シート製造装置における給糸部1および巻取部2は、その具体的構成を図示してないが、従来周知のものを採用している。

    次に、上記フロントフィーダ3およびバックフィーダ3′は、何れもトップロール31とボトムロール32との間にマルチフィラメントFを挟んで回転送りするものであるが、その送り速度はボトムロール32の回転軸に接続されたサーボモータ33の制御によって調速自在であり(Fi
    g.4参照)、このサーボモータ33は吸引風洞4に付設された撓み測定センサーが出力する制御信号に支配されてフィーダ3・3′間におけるオーバーフィード量が一定になるように流送速度をコントロールされる。 ちなみに、本実施形態においては、フロントフィーダ3を10m/
    minを標準速度として後述の撓み測定センサーから出力される制御信号によって、常時、10cmの送り残りが生ずるように制御し、バックフィーダ3′の流送速度は10m/
    minの定速に設定してある。 他方また、トップロール31
    とボトムロール32との圧接力はトップロール31の回転軸を昇降調節するエアシリンダ34によって適宜調節可能になっている(Fig.4およびFig.5参照)。

    他方、上記吸引風洞4は、上記フロントフィーダ3とバックフィーダ3′との間のマルチフィラメントFが流送される移動行路下側に対面するごとく、その吸引口41
    がマルチフィラメントFに接するように開口している。
    この吸引風洞4は、これに接続されたバキュームポンプ
    42の駆動によってによってマルチフィラメントFの流送される移動行路側に一様な吸引気流を発生せしめる。 ちなみに、マルチフィラメントFに作用させる吸引気流は、吸引風洞4とバキュームポンプ42との間に開設された気流調整バルブ43によって適宜調節することができる。 そして、この吸引風洞4には、マルチフィラメントFの移動行路を挟むごとく、投受光型のCCDラインセンサーが撓み測定センサー44として付設してあり、当該吸引風洞4を通るマルチフィラメントFの撓み量を常時測定し、測定された値の制御信号を上記フロントフィーダ3のサーボモータ33に送致して一定の撓み量が維持されるように回転速度を制御する。 また、この吸引風洞4には、上流側に入口ガイドロール45、下流側に出口ガイドロールが配設してあって、マルチフィラメントFの導入および導出が滑らかになるように配慮されてある。

    2.本発明の第2実施形態 本発明の第2実施形態である方法と装置は、Fig.6およびFig.7に示される。

    この第2実施形態が上記第1実施形態と異なる点は、
    第2実施形態にあっては、フロントフィーダ3と吸引風洞4との間に予備解延機構5を介在させた点である。 そして、この予備解延機構5としては、上下にロール51・
    51・・・・をジグザグ配列して成るロール列機構のものを採用している。 給糸部1から流送されてくるマルチフィラメントF(無撚カーボン繊維:7μフィラメントの1
    2,000本束=元幅約6mm、元厚約0.1mm)は、このロール列51・51・・・・に所定の張力で接触し下降・上昇・下降・・・・下降・上昇と下側ロール51と上側ロール51に交互に接触して曲折しながら進行する間に、恰も手揉みされるように山折り・谷折りを繰り返してソフトに扱き解ぐされてフィラメント同士の接合(例えば、サイジング剤による接合)が弛められて幅方向へ偏平に予備解延(幅:約10mm、厚さ:約0.08mm)される。

    こうして予備解延されたマルチフィラメントFは、上記第1実施形態におけるのと同様に、フロントフィーダ3とバックフィーダ3′とによって一定のオーバーフィード状態が形成されるように調速制御を受けつゝ、吸引風洞4に送り込まれる。 そして、この吸引風洞4上を移動する際に当該マルチフィラメントFは、吸引風洞の吸引口41における風速:50m/sec吸引気流によって吸引口41
    内に引き込まれて弓なりに撓曲され、そのときの撓み力によってマルチフィラメントFにおける構成フィラメント同士の接合は更に弛み、かつ、マルチフィラメントF
    を構成するフィラメント同士間の空隙も更に拡大される。

    すると、マルチフィラメントFを通過してマルチフィラメントFとの向流面両側を低圧化させる吸引気流は、
    当該上記予備解延機構5においてフィラメント同士の接合が弛むられたマルチフィラメントFの開繊効果を増進するのであって、得られる開繊シートFSは平均で幅が約
    18mm、厚さが約0.05mmと極めて幅広く薄い製品を得ることができるのである。

    3.第1実施形態および第2実施形態におけるマルチフィラメントの空気力学的説明 次に、上記第1実施形態および第2実施形態におけるマルチフィラメントFが吸引風洞4の吸引口41において拡展開繊される空気力学的作用について説明しておきたい。

    Fig.8〜Fig.11は気流中に存在するマルチフィラメントを模式的に表わした概念図であり、各図中の円はマルチフィラメントを構成する各フィラメントを表わしている。

    まず、Fig.8は、構成フィラメントの集合に何ら変形が加わっていない初期状態のマルチフィラメントFに気流が会合する状態を示している。 このような初期状態のマルチフィラメントFに気流が会合するときには、気流は当該マルチフィラメントFの両側に回り込むように分れて流れる。 この状態にあっては、マルチフィラメントFの真上の流速は大略「0」に等しくなる。

    しかして、この場合、位置エネルギーは無視できるので、ベルヌーイの式は、(1/2ρω +P=const.)となる。 なお、変数ρは流体の密度、ωは流体の速度、P
    は圧力を表わす。

    上記ベルヌーイの式からマルチフィラメントFの真上中心における圧力P 1とマルチフィラメント両側の圧力P 2
    との関係はP 1 >P 2となり、マルチフィラメントFの両側にある構成フィラメントには幅方向への推力が働く。

    Fig.9は構成フィラメント同士の接合が弛み、開繊が進行した状態を表わしている。 この状態のマルチフィラメントFに気流が会合すると、気流は当該マルチフィラメントの真上中心に当って両側へ分流することになるが、その際、両側に位置する接合の弛んだ構成フィラメントと中央の繊維塊との間の空隙にも吹き込んで開繊が進む。 この場合、中央部分の繊維塊に働く圧力P 1と空隙によって外側へ離れている構成フィラメントとの間の空隙に働く圧力P 2 、そして、その空隙を挟んで存する構成フィラメントの外側に働く圧力P 3の関係は、P 1 >P 2 >P 3
    となり、中央の繊維塊の中で空隙に近接して存する構成フィラメントには空隙側への推力、空隙の外側に離れて存する構成フィラメントには更に強い外側への推力が働いて更に開繊が進行する。

    Fig.10は開繊進行の安定状態を表わしたものである。
    マルチフィラメントFの構成フィラメント間に空隙が生じ、其処へ気流が吹き抜けることにより開繊は安定することになる。

    Fig.11は、吸引風洞4で撓曲されたマルチフィラメント中の1本の構成フィラメントA 1およびA 2を例にとって、気流の作用でマルチフィラメントが移動し開繊される状態を模式的に説明したものである。

    構成フィラメントに撓み量t 1またはt 2が付与されているとき、吸引風洞4の中央位置では、構成フィラメントには点A 0を中心にt 1またはt 2を半径とする円内であれば、何処へでも自由に動くことができるはずである。 ところが、本発明にあっては、其処に吸引気流が作用しているために、構成フィラメントには外側へ移動させようとする力と気流の下流へ押し流そうとする力が働き、構成フィラメントは点A 0を中心とする半径t 1またはt 2とする円周上を移動するように規制される。

    かくして、この円周上を移動したフィラメントは、元の位置よりも距離h 1またはh 2だけ高くなるため、位置エネルギーを持ち、元の位置に戻ろうとする力が働く。 また、繊維の移動が点A 0を中心としているため、移動によりフィラメントは捩じれた状態になって元の位置に戻ろうとする力が働く。 この2つの力を合せた力d 1 d 2が元の位置に戻ろうとする力としてフィラメントに働いているのである。 そして、フィラメントを外側に移動させる力と元に戻ろうとする力d 1またはd 2の釣り合う位置にフィラメントは移動し、この状態で平衡が保たれることになる。

    換言すると、撓み量が大きいときは、小さいときよりも、同じ水平間距離を得るにも位置エネルギーおよび捩じれ量が少ないために開繊に必要な力つまり吸引気流は小さくてよいのである。 この点を別の角度から考察しておくと、いま、マルチフィラメントを構成する中の1本のフィラメントfについて注目すると、このフィラメントfがFig.12に示すように直線状である場合、これに気流を作用させて横方向へ移動させようとすると、相当に大きな風力が必要である。 ところが、このフィラメントfをFig.13に示すように少し撓ませると、小さな風力で移動させることが可能になる。 つまり、この撓みがあると移動し易くなるのは、言うなればクランク作用によるのであって、Fig.14に示すごとく、このようにして形成される撓みはマルチフィラメントを構成するフィラメントfの1本1本をクランク形状に形成したのと同じことである。 クランク形状にすることにより、そのフィラメントfは微小な外力Wによって点p・pを支点としてテコの原理により揺れ動かされる。 そして、その結果、マルチフィラメントを構成する各フィラメントfは開繊されてゆくのである(Fig.15)。

    4.本発明の第3実施形態 本発明の第3実施形態である方法と装置は、Fig.16およびFig.17に示される。

    この第3実施形態が上記第2実施形態と異なる点は、
    給糸部1を搭載した給糸機台Rを、給糸部1で解舒寸前にあるマルチフィラメントの糸巻き方向と解舒されて移動行路を進行するマルチフィラメントFとが一直線に並ぶように揺動制御し、かつ機台R上で給糸部1を進退制御するように構成してあるという点である。

    即ち、第3実施形態に用いられる本発明装置において、給糸機台Rは、旋回駆動用サーボモータ11の旋回軸
    11a上に往復的に水平旋回可能に支承されたベッド12
    と;このベッド12の往復旋回行程を制御するタッチセンサー(13a・13b)と;前記ベッド12の上に配設され、進退用サーボモータ14aの正逆回転によって給糸部1を全体的に進退動作せしめるボールネジ14と;このボールネジ14の進退運動を行程制御するストロークセンサー(15
    a・15b)と;前記ボールネジ14の駆動によって進退運動を付与される給糸部1から解舒されるマルチフィラメントFの位置を検出する解舒糸位置検出センサ16と;前記解舒されるマルチフィラメントFの張力を測定検出し、
    給糸部1を回転駆動して解舒されるマルチフィラメントFの張力を増減調節するブレーキモータ1aに対して制御信号を送致する解舒糸張力センサ17とから構成されている(Fig.18〜Fig.20参照)。

    そして、解舒糸位置検出センサ16が検出して出力する位置信号は、ボールネジ14の進退用サーボモータ14aへ送致されて、同サーボモータ14aを適宜に正または逆回転させて給糸体1におけるマルチフィラメントFの解舒位置を移動行路に合致させるように進退運動させると共に、ベッド13の往復旋回を限界制御する上記タッチセンサ(13a・13b)からは旋回方向指令信号、給糸部1の進退運動を限界制御するストロークセンサ(15a・15b)からは給糸部移動方向指令信号が出力される。 この場合において、給糸部1に巻かれたマルチフィラメントFの巻層の層数、各巻層における巻き角度と巻数、各巻層の巻幅、および巻径が減少することによって変化するマルチフィラメントFの張力変化係数などは対象とするマルチフィラメントの種類に対応した所与の条件であるので、
    この条件をスタート時に設定しておくことにより、給糸機台Rの給糸部1から解舒される寸前の糸巻方向は当該マルチフィラメントFの移動行路に対して常に一直線に並らばせることができる。

    第3実施形態における給糸機台Rは、上記の機構の作用によって、其処に搭載された給糸部1から解舒される寸前のマルチフィラメント1の糸巻き方向を流送されるべき移動行路に適時合致させることが可能なのである。
    そして、このような給糸機台Rを採用したことにより、
    従来不可避的と諦められていたFig.1における給糸部1′の表面でのマルチフィラメントの回転Δも解消して、後発的な仮撚り現象も生ずることがなくなったのである。

    かくして、給糸機台Rの給糸部1から解舒されたマルチフィラメントFは、予備解延機構5のロール列51・51
    ・・・・を通ることによって山折り・谷折りを繰り返してソフトに扱き解ぐされてフィラメント同士の接合が弛まって幅方向へ偏平に予備解延され、ついで、吸引風洞4を経由することよにって第2実施形態における場合と同じ撓曲開繊作用と空気力学的な開繊作用との巧みな相乗効果を受けて非常に整然とした平行状態の広幅で極薄の開繊シートFSに変形加工され、巻取部2に巻き取られてゆくのである。 ちなみに、本実施形態における巻取部2は、進退用サーボモータ24aで正逆回転されるボールネジ24によって巻取スタンドS上を一定のタイミングで進退移動可能に搭載されており、巻取用サーボモータ2a
    によって巻取動作を行うように構成してある。

    5.本発明の第4実施形態 本発明の第4実施形態である方法と装置は、Fig.21およびFig.22に示される。

    この第4実施形態が上記第3実施形態と異なる点は、
    予備解延機構5と巻取部2との間にフロントフィーダ3、センターフィーダ3′およびバックフィーダ3″が3台配設されてあり、フロントフィーダ3とセンターフィーダ3′の間に第1段階の吸引風洞4、センターフィーダ3′とバックフィーダ3″との間に第2段階の吸引風洞4が配設してあって、第1段階の吸引風洞4の撓み測定センサ44はフロントフィーダ3を制御し、第2段階の吸引風洞4の撓み測定センサ44はバックフィーダ3″
    を制御するように構成してある点である。

    このFig.21およびFig.22に図示する開繊シート製造装置を使ってマルチフィラメントFを開繊処理すると、給糸部1から解舒されて送り出されるマルチフィラメントFは、予備解延機構でソフトに扱き解ぐされてフィラメント同士の接合が弛まって幅方向へ偏平に予備解延された後で、2度にわたって吸引風洞4において撓曲開繊作用と空気力学的な開繊作用との巧みな相乗効果を受けることによって第3実施形態におけるよりも、更に一層広幅で薄手の開繊シートFSが得られるのであって、しかもフィラメントの配列は整然とした平行状態を成しているのである。

    6.本発明の第5実施形態 本発明の第5実施形態である方法と装置は、Fig.23に示される。

    この第5実施形態は、上記Fig.12に示される第3実施形態の装置を上下に3段配置して、各々、第1回の吸引風洞処理の後、上下3段に流送されてくる開繊シートを合流積重させて、更に吸引風洞処理をして複合開繊シートを得ようとするものである。

    即ち、第5実施形態の開繊装置は、上段・中段および下段の給糸部1・1・1から、各々、解舒されて流送されてくるマルチフィラメントF 1・F 2・F 3は予備解延機構5・5・5を通ることによってソフトに扱き解ぐされてフィラメント同士の接合が弛まった偏平の予備解延状態となって吸引風洞4に至り、其処で撓曲開繊作用と空気力学的な開繊作用との相乗的開繊作用を受けて、各々が薄く広幅の開繊シートFS 1・FS 2・FS 3に変形加工される。 そして、このように変形加工された開繊シートFS 1
    ・FS 2・FS 3は、センターフィーダ3′に引き取られて其処で合流積重され、オーバーフィード状態に制御調速されて第2段階の吸引風洞4に送られることになる。 第2
    段階の吸引風洞4に送られた積重状態の開繊シート(FS
    1・FS 2・FS 3 )は、其処で吸引気流に会合して風下方向に弓なりに撓曲して、さらに撓曲開繊作用と空気力学的な開繊作用との相乗的開繊作用を受け、このとき、前記開繊シートFS 1・FS 2・FS 3の各構成フィラメントは吸引気流によって整列した状態で一体化され一枚の複合開繊シートに混繊される。

    しかして、この第5実施形態の方法によれば、マルチフィラメントの種類を選択することによって、様々の特性を帯有したバラエティーに富んだ製品展開が可能になる。

    例えば、上記第5実施形態の装置における上段・中段および下段における各段のマルチフィラメントF 1・F 2
    F 3は各々のラインにおける予備解延機構5・5・5を通り、第1段階の吸引風洞4・4・4を経由することによって前述のごとく、開繊シートFS 1・FS 2・FS 3に変形加工されることになるが、この際、上下各段の流送ラインがFig.24に示すとおり、少し幅方向へずれていると、重合部分が第2段階の吸引風洞4において混繊一体化されるので、マルチフィラメントの種類選択によって性能が複合した特別の開繊シートを得ることが可能である(Fi
    g.25参照)。

    また、第1段階の吸引風洞4・4・4より送り出される開繊シートFS 1・FS 2・FS 3がFig.26に示すような並行隣接状態に並列させて第2段階の吸引風洞4に導入させれば開繊シートFS 1・FS 2・FS 3の側縁部分が接合一体化した広幅の複合開繊シートを得ることが可能である。 この場合においても、マルチフィラメントの種類を選択的に組み合わせれば目的に合わせて様々の特性の複合開繊シートが得られる。

    本発明の第3実施形態の装置を用いた開繊効果の実験例 本発明の第3実施形態の装置(以下、本装置と略称)
    の開繊性能を、本装置の予備解延機構5に使用したロール列の開繊性能と比較して示す。

    Fig.27に示すグラフは、無撚カーボン繊維の7μフィラメントの12,000本束(12K)および同6、000本束(6
    K)について本装置による開繊効果を測定して示したものである。 なお、Fig.27中に〜の各線で指示するものは、次のとおりである。

    カーボン繊維束 12K ロール開繊後の幅 10mm 撓み量 8mm カーボン繊維束 12K ロール開繊後の幅 10mm 撓み量 6mm カーボン繊維束 12K ロール開繊後の幅 10mm 撓み量 4mm カーボン繊維束 6K ロール開繊後の幅 5mm 撓み量 8mm カーボン繊維束 6K ロール開繊後の幅 5mm 撓み量 6mm カーボン繊維束 6K ロール開繊後の幅 5mm 撓み量 4mm Fig.27のグラフによれば、繊維束にあたる気流の速度は、大きければ大きいほど開繊幅が増加し、また撓み量も増加するほど開繊幅が増加していることが理解できる。

    次に、Fig.28およびFig.29は、上記カーボン繊維束6K
    と2Kおよびガラス繊維単糸直径13μmの2,000本束と単糸直径17μmの2,000本束を対象として、開繊幅と初期状態の幅に対する開繊倍率を比較したものである。

    Fig.28およびFig.29によれば、本装置を使用した場合に約3倍以上の開繊幅が得られ、大きな展延効果があることが分かる。 これに対して従来のロール列を使用する開繊幅には限界があり、初期状態の約2倍前後である。
    ところが、本装置を用いると、約3〜5倍の開繊倍率が得られ、その効果は従来の水準を大きく超越しているものと言える。

    産業上の利用可能性 以上説明したとおり、本発明にあっては、マルチフィラメントに対する気流の空気力学的な開繊作用とマルチフィラメントの撓み量を一定に制御することによって得られる撓曲開繊作用とを相乗的に巧みに利用して開繊するので、様々な種類のマルチフィラメントを非常に幅広く、しかも極薄な形態の開繊シートを製造することが可能である。

    また、本発明によれば、一定のオーバーフィード状態で流送されてくるマルチフィラメントに気流を通過させて風下方向へ弓なりに撓ませて構成フィラメントを幅方向に解き分けて開繊するので、構成フィラメントに殆ど無理が掛かることがなくて切れずに連続しており、しかも1本1本が真っ直ぐに近い状態に伸びて、互いに平行かつ一定密度で均一に整然と並んで毛羽立ちなどの障害も皆無に近い良質の開繊シートを製造することができるのである。

    また、本発明によれば、カーボン繊維やセラミック繊維、アロマティック・ポリアミド繊維などからなるマルチフィラメントを広幅かつ薄厚に開繊処理できるので、
    繊維強化複合材料の補強材には重要な樹脂含浸性およびフィラメント真直性などの優れた開繊シートを高能率に量産することが可能となる。

    また、本発明にあっては、任意種類のマルチフィラメントを制約を受けることなく自由に選択して処理できるので、様々な特性を有するマルチフィラメントを選択して開繊処理することによって、従前には得ることが困難であった特殊性能のブレンド開繊シートを製造することも可能である。

    また、本発明によれば、同種または異種のマルチフィラメントを開繊しながら積み重ねて効率的に積層開繊シートを製造することも可能である。

    このように本発明は、マルチフィラメントの開繊技術を飛躍的に革新するものであって、その産業上の利用可能性は極めて大きく、また幅広いものである。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) D01G 9/08 D04H 3/00

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