多孔質繊維、吸着材料及び浄化カラム

申请号 JP2015555493 申请日 2015-10-20 公开(公告)号 JPWO2016067967A1 公开(公告)日 2017-08-03
申请人 東レ株式会社; 发明人 洋暁 藤枝; 洋暁 藤枝; 上野 良之; 良之 上野; 和実 田中; 和実 田中;
摘要 被浄化物質除去性能に優れた多孔質の繊維および該繊維を束として吸着材料としたものを内蔵した浄化カラムを提供する。中実の繊維の外周部に3個以上のフィンが長手方向に連続して存在する形状を有し、以下(a)及び(b)の要件を満たす、多孔質繊維。(a)横断面において、内接円の直径をDi、外接円の直径をDoとすると、異形度Do/Diが1.2〜6.6(b)細孔の比表面積が50m2/g以上
权利要求

中実の繊維の外周部に3個以上のフィンが長手方向に連続して存在する形状を有し、以下(a)及び(b)の要件を満たす、多孔質繊維。 (a)横断面において、内接円の直径をDi、外接円の直径をDoとすると、 異形度Do/Diが1.2〜6.6 (b)細孔の比表面積が50m2/g以上前記横断面における全てのフィンの幅の平均をωとしたとき、ω/Diが0.05〜2.0である、請求項1記載の多孔質繊維。前記ωが100μm以下である、請求項1又は2記載の多孔質繊維。横断面方向に均質な構造を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の多孔質繊維。平均細孔半径が0.5nm以上、100nm以下である、請求項1〜4のいずれか一項記載の多孔質繊維。細孔径分布指数が1.0以上、2.8以下である、請求項1〜5のいずれか一項記載の多孔質繊維。表面開孔率が0.5%以上30%以下である、請求項1〜6のいずれか一項記載の多孔質繊維。繊維の表面近傍緻密層厚みが0.01μm以上である、請求項1〜7のいずれか一項記載の多孔質繊維。繊維の表面近傍緻密層厚みが3.90μm以下である、請求項1〜8のいずれか一項記載の多孔質繊維。孔形状の指数Dxyが0.2以上、6.0以下である、請求項1〜9のいずれか一項記載の多孔質繊維。横断面の円相当直径が10μm以上300μm未満である、請求項1〜10のいずれか一項記載の多孔質繊維。非晶性の高分子材料を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の多孔質繊維。前記非晶性の高分子材料がエステル基含有ポリマーである、請求項12記載の多孔質繊維。請求項1〜13のいずれか一項記載の多孔質繊維を18%以上含む繊維束として用いてなる吸着材料。医療用途であることを特徴とする、請求項14の吸着材料。β2−マイクログロブリンの吸着量が0.005mg/cm3以上である、請求項15記載の医療用吸着材料。プラスチックケーシングに、前記請求項14〜16記載の吸着材料がケース軸方向にストレート形状に配列され、前記ケーシングの両端に被処理液の入口ポート、出口ポートが取り付けられてなる、浄化カラム。

说明书全文

本発明は、多孔質繊維に関する。特に、被処理液中の除去対象物質を効率的に吸着させることが可能な多孔質繊維、かかる多孔質繊維を束として用いてなる吸着材料及びかかる繊維が内蔵された浄化カラムに関する。

従来、被処理液中の除去対象物質を吸着により除去する浄化カラムに用いる吸着材の形態としては、多孔質のビーズを用いることが多かった。この理由としては、ビーズ形状の吸着担体は吸着カラム内に均一に充填できるため、血液流れの偏りが少なく、カラム設計をしやすいという利点を有することが挙げられる。一方で、吸着性能向上のための手段としては、吸着担体の体積あたりの表面積を増やすことが挙げられる。しかし、吸着担体がビーズ状である場合は、吸着担体の体積あたりの表面積を増大させるためにビーズ径を小さくすると、各ビーズ間の隙間が狭くなる。そうすると、流路抵抗が高くなって圧損失が増大することにより、被処理液を流すことが困難になる。また、吸着担体として用いられるビーズは通常球形であるために、もともと体積あたりの表面積が小さいというデメリットがある。すなわち、ビーズ内部に吸着余力があっても、有効にそれらの吸着サイトが活用できなくなる。

ビーズ以外の吸着材の形態として繊維が挙げられ、通常の円形断面の繊維を用いることも考えられている。その形態としては、多数の繊維をカラムケースの長手方向に対して平行にストレート形状で挿入したものや、または編み地にしたものなどが挙げられる。

この内、編み地にしたものは、繊維に吸着孔を設けるための多孔質化を施すことが製造上困難である。また、被処理液が多くの溶質を含み、かつ粘性が高い場合には、カラムの圧力上昇などを招き易いため、あまり好ましいとはいえない。

一方、中実繊維や中空繊維といった長繊維をカラムケースの長手方向に対して平行にストレート形状で挿入した形態のものは、被処理液の流路を吸着材とは別に確保できる。そのため、流路抵抗の抑制や被処理液中の溶質の付着などに対して有利である。これまでに中空繊維や中実繊維を内蔵した浄化カラムに関する発明が開示されている(特許文献1,2)。しかしながら、これらの文献において用いられている繊維の断面形状は円形であり、吸着体の体積に対する表面積が小さいために吸着性能は低かった。

ここで、繊維の断面を円形以外の形状、すなわち異形断面の繊維とする方法が知られている。しかし、繊維の異形度が増大すると、紡糸の安定性が低下するという要因で、従来、異形度の増大が抑制されてきたと考えられている。特に多孔質繊維の場合、異形断面化によって繊維の強伸度が著しく低下することやドローレゾナンスと呼ばれるような繊維径ムラの増大が懸念され、加えて、断面形状の変形、特に単一の繊維断面におけるフィンの癒着が起きることも懸念されていた。

それでも、これまで、多孔質の繊維の断面を円形以外の形状とした異形断面繊維に関する発明は、特許文献3から5に記載されている。しかしながら、これらの繊維は全て中空繊維型の分離膜に関する点で、本発明と異なる。中空繊維の場合には、その成形(=紡糸)時において繊維の内部(=中空部)と外部の両側から同時に構造固定化できるため上述したような断面形状の変形などが起きにくい。構造固定化は、冷風による冷却であったり、貧(非)溶媒と接触させるなどによって行われる。そのため、繊維の外部からしか冷却できない中実繊維に比べて有利である。また、上記特許文献における異形化の思想・目的を個々に見ていくと、繊維を束にした際の束同士の密着防止(特許文献3)や、中空繊維膜外表面の流れを複雑化し乱すことでファウリングを抑制する(特許文献4、5)というものに主眼が置かれている。すなわち、本発明とは異なる目的のために繊維の外周部に短い突起を設けた形状としているに過ぎない。特に、上記ファウリングを抑制するという思想は、繊維に溶質を吸着させるという吸着カラムの思想とは言わば逆の思想である。従って、体積あたりの表面積を増加させることで吸着性能を向上させるという思想は存在しない。そのため、比較的異形度が高いとはいえない形状のものが示されている。

特許文献6においては、異形断面化された分離膜が記載されている。しかし、その「分離」機能については、その明細書0005段に「多層複合分離膜としての性能指標の1つに透過速度があるが、膜素材が同じであれば透過速度を高くするためには、分離層をより薄膜化するとともに、分離層の膜面積を増大させることが重要である。」と記載されている。すなわち、膜を透過させることにより対象物質の分離を行うことを想定している。かかる観点から、分離膜の膜面積の増大による分離性能の向上を図って異形断面化している。したがって、具体例には中空繊維膜が記載されており、実質的に中実形状の繊維について記載があると言えない。

すなわち、上記文献において用いられている中空繊維の異形断面化技術は、繊維を吸着材として用いることを考慮して設計された技術ではなかった。

一方で、中空部をもたないものの、表面に孔を有する異形断面繊維についての発明が特許文献7に記載されている。しかし、かかる発明においては、孔は、繊維にボリュームを出すために割繊するための小さなものである。すなわち、吸着のための孔とは細孔径、細孔径分布、その比表面積が大きく異なり、一般的に多孔質繊維と呼ばれる材料とすら言い難い。

特開2011−156022号公報

特開2010−148851号公報

特開昭58−169510号公報

国際公開第2011/129023号

特開2010−188253号公報

特開平7−171360号公報

特開平10−251915号公報

Kazuhiko Ishikiriyama et al. ; JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE, 171, 103−111, (1995)

本発明が解決しようとする課題は、被吸着物質除去性能に優れた、多孔質の繊維および該繊維を束として吸着材料としたものを内蔵した浄化カラムを提供することである。

本発明者らの検討によれば、特許文献3、5においては、繊維の表面に厚い緻密層(分離層)が存在し、これにより吸着対象物質が繊維内部の細孔に到達することができず、吸着性能の低下を招く。また、かかる繊維においては、分離用途での使用を想定していることから、細孔の比表面積が小さい。なお、繊維が膜厚方向に非対称構造であるため、細孔の孔径の分布が広いものである。

特許文献6においては、溶融紡糸した異形断面糸を延伸により開孔している。したがって、多数の孔によるネットワーク構造を形成させて細孔の比表面積をコントロールすることが難しい。延伸時にそのミクロクラック構造が引き伸ばされ、大小様々なサイズの孔が形成されるため、比表面積としては低下するのである。また、孔径の分布も広くなる傾向にあるため、被吸着物質のサイズに比べてはるかに小さい孔径を有する細孔は吸着に寄与することができない。すなわち、細孔の比表面積のうち、吸着に寄与しない面積が一部存在することになる。また、延伸開孔するため、支持材料は結晶性のポリマーに限定される。 以上の従来技術が有する課題に対し、本発明において解決を図ったものである。

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、多孔質繊維の外周部に3つ以上のフィンを有し、かつ該フィンが繊維長手方向に連続する形状とすることが、吸着性能の向上に重要であることを見出した。

さらに、本発明において見出したところによれば、吸着材料の設計においては、異形断面として繊維表面の体積あたりの表面積を上げるのみならず、繊維内部の細孔の比表面積を大きくすることが重要である。比表面積を増大させることで、吸着できる面積を増大できるためである。

すなわち、本発明は、以下の構成を有する。 (1)中実の繊維の外周部に3個以上のフィンが長手方向に連続して存在する形状を有し、以下(a)及び(b)の要件を満たす、多孔質繊維。 (a)横断面において、内接円の直径をDi、外接円の直径をDoとすると、 異形度Do/Diが1.2〜6.6 (b)細孔の比表面積が50m2/g以上 (2)前記(1)の多孔質繊維を束として用いてなる吸着材料。 (3)プラスチックケーシングに、前記(2)記載の吸着材料がケース軸方向にストレート形状に配列され、前記ケーシングの両端に被処理液の入口ポート、出口ポートが取り付けられてなる、浄化カラム。

本発明によれば、被処理液中の除去対象物質の効率的な吸着が可能な多孔質繊維および多孔質繊維を内蔵した浄化カラムを提供できるものである。

内接円、外接円を説明するための繊維断面を示す図

断面の中心部領域、外表面近傍領域を示す図

フィン厚みωを説明する図

フィン数3の繊維を製造するための口金の図であり、口金の各部位を説明する図

フィン数3の繊維を製造するための口金の図

フィン数4の繊維を製造するための口金の図

フィン数5の繊維を製造するための口金の図

フィン数6の繊維を製造するための口金の図

フィン数3の繊維を製造するための口金の図

カラムの吸着性能測定時の回路の図

本発明の多孔質繊維は、中実繊維と呼ばれる、中空部をもたない多孔質繊維の形状・形態をとる。中空繊維の場合には、中空繊維の外表面を異形断面として中空繊維外側のみに処理液を接触させても、中空繊維内側の表面積を有効活用できない。また、中空繊維内側に処理液を流した場合には、異形断面による効果は得られない。中空繊維の内側・外側両側に処理液を流す手法もあるが、内側と外側の流量を均等に分配するのが困難であり、流れムラが生じやすい。例えば、被処理液として血液を流した後に、カラムに残った血液を生理食塩を用いて体内に戻す作業(「返血」と称されることもある)を行うが、特に中空繊維内径が小さい場合、返血の際に血液が中空繊維内側に多数残存する、残血と呼ばれる現象の発生が懸念されるため好ましくない。

また、中実繊維の単繊維を複数絡み合わせることでマルチフィラメントにしても良いが、絡み合った部分が被処理液と接触しにくく、表面積を吸着に有効活用できない可能性が高いため好ましくない。なお、ここでいうマルチフィラメントとは、多数の単繊維で構成されている糸のことを意味する。マルチフィラメントとは、同一繊維から構成されているもの、異なる種類の繊維から構成されているものの両方を含む。

本発明に係る多孔質繊維は、繊維の外周部に3個以上のフィンを有し、かつ該フィンが繊維長手方向に連続して存在する形状を有する。ここでいうフィンとは、繊維横断面外周部に存在する突起である。フィンを有することで、異形化し、体積当たりの表面積を増大する結果、吸着性能の向上が期待できる。

フィンの数の上限としては、12個以下であることが好ましく、さらに好ましくは8個以下、特に好ましくは6個以下である。フィン数が増えすぎると、フィン間の隙間が狭窄して体積あたりの表面積量が低下したり、被処理液がフィン間に接触しにくくなるため好ましくない。 多孔質繊維の異形度は、繊維断面を観察した際の内接円と外接円の直径の比、すなわち、内接円の直径Diと外接円の直径Doの比Do/Diによって表す。

ここで、異形断面については線対称性、点対称性などの対称性を保持した形状であっても、非対称性であってもよいが、均一な繊維物性を有する点で概ね対称性を有する形状であることが好ましい。異形断面が概ね線対称性、点対称性を保持すると判断される場合、内接円とは繊維横断面において繊維の輪郭をなす曲線に内接する円であり、外接円とは繊維横断面において繊維の輪郭をなす曲線に外接する円である。図1には、フィン数3の異形断面繊維とした場合の外接円、内接円及び直径Do、Diを示す。

一方、異形断面が線対称性、点対称性を全く保持しない形状であると判断される場合には、以下のとおり内接円および外接円を定義する。内接円は、繊維の輪郭をなす曲線と少なくとも2点で内接し、繊維の内部にのみ存在して内接円の円周と繊維の輪郭をなす曲線とが交差しない範囲においてとりうる最大の半径を有する円とする。外接円は、繊維の輪郭を示す曲線において少なくとも2点で外接し、繊維横断面の外部にのみ存在し、外接円の円周と繊維の輪郭が交差しない範囲においてとりうる最小の半径を有する円とする。

いかなる異形の形状であれ、異形度が1.2以上あれば、繊維が除去対象物質を吸着する能力を高くすることが可能となる。異形度は、一般には、増大するにしたがって体積当りの表面積が増大するため、吸着性能を向上させることができるためである。したがって、好ましい異形度の下限は1.2以上であり、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.8以上、特に好ましくは2.0以上である。一方、異形度が増大しすぎる場合、別の問題が生じ得る。すなわち、繊維断面中心部やフィン部が細長くなり、繊維の強伸度が低下することでフィンの折れ曲がりやフィンの切断が起きやすくなり、紡糸安定性が低下したり、繊維形状の保持が困難となる。また、繊維として成型する前の紡糸原液を風や液を用いて速やかに冷却する場合、上記フィンが風や液体の流れを妨げる。その結果、繊維形状や、細孔・表面開孔部といったミクロ構造にもムラが生じることが懸念される。このことから、異形度には一定の上限を設けることがよく、本発明においては6.6以下としており、好ましくは4.5以下、より好ましくは3.6以下である。

異形度の測定方法としては、測定対象となる繊維の両端を、0.1g/mm2の張力を付与した状態で固定し、無作為の位置で切断する。その後、切断面を光学顕微鏡、例えばスカラ社製DIGITAL MICROSCOPE DG−2で拡大して写真撮影する。撮影の際、同一倍率でスケールも撮影する。当該画像をデジタル化した後、例えばスカラ(株)の画像解析ソフト「Micro Measure ver.1.04」を用い、繊維の横断面の外接円の直径Doと、内接円の直径Diを計測する。そして次式により各繊維の異形度を求める。この測定を30箇所について行い、値を平均化し、小数点以下第2位を四捨五入した値を異形度とする。 異形度=Do/Di また、本発明における多孔質繊維は、内部に細孔を有する。内部の細孔の平均細孔半径の下限としては、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1.5nm以上、特に好ましくは2.0nm以上である。一方、上限としては、好ましくは100nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下である。内部が細孔を有していても、平均細孔径が小さいと、被吸着物質が孔に入らないため、吸着効率が低下することがある。 一方で細孔径が大きすぎても、空隙部分に被吸着物質が吸着されないため、逆に吸着効率が低下することがある。上記の孔径範囲内で、除去対象とする被吸着物質の大きさに応じて最適な孔径が存在する。そのため、孔径の選択を誤ると十分な被吸着物質の吸着が出来ないことがある。

多孔質繊維の平均細孔半径は、示差走査熱量計(DSC)を用いた示差走査熱量(DSC)測定により、細孔内の水の毛管凝集による氷点降下度を測ることで1次平均細孔半径として求められる。すなわち、吸着材料を−55℃に急冷し、5℃まで0.3℃/minで昇温させて測定し、得られた曲線のピークトップ温度を融点として、次式から細孔の1次平均細孔半径を算出する。

1次平均細孔半径[nm]=(33.30−0.3181×融点降下量[℃])/融点降下量[℃] なお、上記測定・算出方法においては、上述した非特許文献1の記載を参照する。

本発明の多孔質繊維は、被吸着物質を吸着するために、細孔比表面積を大きくすることで、吸着性能を向上させることができる。そのため、細孔比表面積の下限としては50m2/g以上であり、好ましくは90m2/g以上、より好ましくは120m2/g以上、さらに好ましくは170m2/g以上、特に好ましくは250m2/g以上となる。一方で、細孔比表面積が大きすぎると機械的強度が不足することから、細孔比表面積の上限としては好ましくは1000m2/g以下であり、より好ましくは800m2/g以下、さらに好ましくは650m2/g以下、特に好ましくは500m2/g以下となる。

細孔比表面積の測定は、平均細孔半径の測定方法と同様にDSCを用いて行う。細孔比表面積の算出方法は、非特許文献1に記載の通りである。

本発明に係る多孔質繊維は、繊維の断面が不均質な構造であっても、均質な構造であっても良い。特に、均質構造をもつ繊維では繊維の厚み方向に均質な多孔質構造を有することで吸着面積をより確保できるため好ましい。 ただし、繊維中心部への拡散抵抗を軽減させるために、繊維外周部の孔を大きくし、繊維中心部へ向けて除々に孔が少しずつ縮小するような、ややグラジエントな構造を有しても良い。また、経時的なファウリングによって繊維最表面の孔が完全に閉塞するような条件などにおいては、かかるグラジエントな構造を有することにより、繊維内部の孔まで閉塞するリスクが小さくなる。その結果、繊維中心部への被吸着物質の拡散性が低下する現象を抑制することもできる。かかる均質な構造においては、繊維の中心部領域における平均孔径に対する繊維の外表面近傍領域における平均孔径(外表面近傍領域における平均孔径/中心部領域における平均孔径)の比率は、0.50倍以上3.00倍以下、より好ましくは0.75倍以上2.00倍以下、さらに好ましくは0.90倍以上1.50倍以下である。また、非溶媒誘起型相分離法で作製した繊維などによく見られるマクロボイドなどを有する不均質な構造は、体積当たりの表面積を低下させることや、繊維の物理的性質を低下させることから好ましくない。ここでいうマクロボイドとは、直径25μm以上の球形の孔のことである。ここでいう直径とは、孔の形状が球形以外例えば卵型などである場合には、その孔の短径を指す。

次に、本発明における均質構造の判定方法について説明する。 まず、多孔質繊維を十分に湿らせた後に液体窒素に浸し、細孔内の水分を液体窒素で瞬間的に凍結させる。その後、速やかに繊維を折り、繊維断面を露出させた状態で、0.1torr以下の真空乾燥機内で凍結させた水分を除去して乾燥試料を得る。その後、スパッタリングにより、白金(Pt)や白金−パラジウム(Pt−Pd)などの薄膜を繊維表面に形成して、観察試料とする。該試料の断面を走査型電子顕微鏡(たとえば株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、S−5500)にて観察する。ここで、繊維断面の中心点を通る半径を任意に選択し、図2のように、この半径の線分を均等な長さに5分割する点を通る同心円を描き、中心点を含む領域を中心部領域とし、最も外周部に近い側を外表面近傍領域とする。

中心部領域、外表面近傍領域、それぞれに存在する孔の円相当径を求め、それぞれの領域における平均孔径を得る。それぞれの領域における平均孔径の算出に際しては、走査型電子顕微鏡(5万倍)で2μm×2μmの範囲を任意に20箇所選択し、撮影した写真の中に孔全体が含まれるものについて測定し、平均の孔径を算出するものとする。孔径の測定においては、電子顕微鏡像を印刷したものの上に透明シートを重ね、黒いペンなどを用いて孔部分を黒く塗りつぶす。その後、透明シートを白紙にコピーすることにより、孔部分は黒、非孔部分は白と明確に区別し、画像解析ソフトにて孔径を求める。

繊維の中心部領域における平均孔径と、繊維の外表面近傍領域における平均孔径の比(外表面近傍領域における平均孔径/中心部領域における平均孔径)が0.50倍以上3.00倍以下の場合に、当該多孔質繊維は均質構造を持つものとする。上記平均孔径比のより好ましい範囲は0.75倍以上2.00倍以下、さらに好ましい範囲は0.90倍以上1.50倍以下である。

また、多孔質繊維の細孔径分布指数は、1.0以上、2.8以下が好ましく、上限に関してはより好ましくは2.4以下、さらに好ましくは1.9以下であることが好ましい。これは、孔径分布をできるだけ均一にすることで、被吸着物質のサイズ選択性を付与できるためである。2.8を超えると、非特異的な吸着が増大するため好ましくない。

細孔径分布指数の測定方法としては、平均細孔径と同様にDSCを用いた測定により求められ、2次平均細孔半径を1次平均細孔半径で除した値を細孔径分布指数とする。詳細な測定・算出方法は非特許文献1の記載を参照する。 さらに、本発明に用いる多孔質繊維は3次元網目構造を持つことが好ましい。ここでいう3次元網目構造とは、孔形状の指数Dxyが制御されている構造のことを指す。

繊維軸方向の断面における孔形状の指数Dxy=(繊維長手方向の孔径)/(繊維横断面方向の孔径) Dxyの下限としては、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.6以上である。Dxyの上限としては、好ましくは6.0以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは2.5以下となる。延伸開孔法などで作製した繊維は、繊維長手方向に特徴的な配向構造をもつため、一般的にDxyが非常に高い構造となるため、好ましいとはいえない。

Dxyの測定方法を以下に示す。ポリスチレンなどプラスチック製の板に両面テープを貼り付け、その上に測定対象の繊維を固定する。貼り付けた繊維を片刃で長手方向にそぎ切り、繊維の長手方向断面を露出させ、これを走査型電子顕微鏡の試料台に両面テープで貼り付ける。そぎ切ることにより孔が潰れてしまうと正確な像が得られないため注意する。その後、スパッタリングにより、白金(Pt)やPt−Pdなどの薄膜を繊維表面に形成させて観察試料とする。この繊維長手方向断面をフィールドエミッション型走査型電子顕微鏡(たとえば、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、S−5500)にて、倍率50000倍で観察し、任意に選んだ10点の像をコンピュータに取り込む。取り込む画像のサイズとしては640ピクセル×480ピクセルが好ましい。得られた1点の画像から任意に5つの孔を抽出し、それぞれの孔について繊維長手方向の孔径、繊維軸方向の孔径及び両者の比を求める。これを上記10点の画像について行って、計50の孔について上記比を求め、その平均値を算出し、小数点第2位で四捨五入したものをDxyとする。

吸着性能を十分なものとするため、多孔質繊維における表面近傍に存在する緻密層の厚みを制御することが重要である。緻密層の厚みが厚すぎると、被吸着物質が繊維内部の細孔に効果的に拡散できず、吸着性能が低下する。そのため、繊維の表面近傍緻密層厚みとしては、好ましくは3.90μm以下、さらに好ましくは2.10μm以下、特に好ましくは1.60μm以下となる。また、緻密層が存在しない場合、すなわち内部の3次元網目構造が外部に露出する繊維の場合、3次元網目構造は力学的に脆いため、外部からの物理的な力が加わることによって破損する可能性が有る。その結果、吸着性能の低下や、破損して発生した微粒子などがカラム外部へ流出する可能性もある。さらに、異形断面形状を安定して保持する観点からも、0.01μm以上の緻密層が存在することが好ましい。

繊維の表面近傍緻密層厚みを測定するために、先述の均質構造の判定時に作製した観察試料と同様の手法にて得た繊維断面を用いる。繊維断面を走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、S−5500)にて30000倍で観察し、像をコンピュータに取り込む。取り込んだ画像のサイズとしては、640ピクセル×480ピクセルがよい。次いで、SEMで観察して、繊維断面に確認できる孔の孔径を測定する。ここで、断面の孔が閉塞している場合は試料作成をやりなおす。なお、孔の閉塞は、多孔質繊維の切断処理時に応力が加わることで繊維が変形して起きることがある。SEM画像を多孔質繊維の表面と平行方向に6μm、かつ多孔質繊維の表面と垂直方向に任意の長さとなる四方体形状に切り取り、画像処理ソフトにて画像解析を行う。表面と垂直方向の長さは、緻密層がおさまる長さであればよい。二値化処理によって繊維を構成する構造体部分を明輝度に、それ以外の部分が暗輝度となるように閾値を決め、明輝度部分を白、暗輝度部分を黒とした画像を得る。画像内のコントラストの差が小さいために、構造体部分とそれ以外の部分を分けられない場合、コントラストの範囲が同程度の部分で画像を切り分けてそれぞれ二値化処理をした後に、元のとおりに繋ぎ合わせて一枚の画像に戻す。または、構造体部分以外を黒で塗りつぶして画像解析をしてもよい。画像には断面の最表層より奥の層まで写り、孔が深さ方向に二重に観察される場合があるが、その場合は浅い方の孔で測定する。孔の一部が計測対象の画像の範囲から外れる場合は、その孔を除外する。画像内で既知の長さを示しているスケールバーのピクセル数を計測し、1ピクセル数あたりの長さを算出する。孔のピクセル数を計測し、孔のピクセル数に1ピクセル数あたりの長さの2乗を乗ずることで、孔面積を求める。下記式で、孔面積に相当する円の直径を算出し、孔径とする。円周率を「3.14」とすると、孔径10nmとなる孔面積は78.5(nm2)である。

孔径=(孔面積÷円周率)0.5×2 孔径が10nm以上の孔を特定し、その孔が存在しない層を緻密層として、孔径10nm以上の孔から繊維表面までの最短距離を緻密層の厚みとする。すなわち、径が10nm以上の孔のうち、繊維表面に近い順に発見される5点をピックアップし、各々繊維表面に接する平面に対して垂線を引き、その垂線上における繊維表面と孔径10nm以上の孔との距離を各々求める。同様の測定を10枚の画像で行い、計50点の測定データの平均値について小数点第3位を四捨五入し、これを繊維の表面近傍緻密層の厚みとする。

また、繊維の表面近傍緻密層厚みの制御方法としては、紡糸乾式部での繊維表面の構造制御が重要である。流動性のある紡糸の原液を構造固定(固化)し、繊維形状とするために、その原液を貧(非)溶媒と接触させたり、冷却させたりすることがある。乾式部とは、紡糸原液が口金から吐出されてから貧溶媒と接触するまで、あるいは冷却によって完全に構造が固定化されるまでに空走する部分を指す。紡糸原液が構造固定化される際、原液の表面近傍はエネルギー的に高い状態である。そのため、貧溶媒や空気中に含まれる水分と接触した際にポリマーなどの支持成分が凝集することで繊維表面が形成されると考えられている。そのため、紡糸原液が貧溶媒に接触するまでに、すなわち、乾式部において多孔構造がある程度決定されている必要がある。具体的には、原液吐出後に素早く相分離を誘発して貧溶媒と接触するまでに十分に孔構造を成長・拡大させておくことや、乾式部で繊維を冷却して原液の粘度を上昇させ、支持成分の易動度の低下により凝集を抑制することなどが重要である。その実現のためには、乾式部の滞留時間を十分取ることが重要である。したがって、滞留時間が0.05秒以上であり、好ましくは0.20秒以上、より好ましくは0.40秒以上である。滞留時間は以下の式から算出される。

滞留時間(秒)=乾式長(m)/巻取り速度(m/秒) また、表面緻密層厚みを縮小することで、繊維表面の開孔面積も増大できる。多孔質繊維の表面開孔率は0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2.0%以上である。開孔率が高くなると、処理液中の被吸着物質が繊維内部の吸着サイトに拡散しやすいため好ましい。一方で、上限としては、30%以下であり、さらに好ましくは16%以下、特に好ましくは12%以下である。開孔率が高すぎる場合には、繊維強度の低下や、表面粗さの増大を招くため好ましくない。また、細孔内部で発生した微粒子などが繊維外部へ流出しやすくなる。

表面開孔率測定方法としては、先述の均質構造の判定時に作製した観察試料と同様の手法にて得た繊維断面を走査型電子顕微鏡で観察し、(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、S−5500)にて50000倍で観察し、像をコンピュータに取り込む。取り込んだ画像のサイズは640ピクセル×480ピクセルがよい。SEM像を任意の位置で6μm×6μmの範囲に切り取り、画像処理ソフトにて画像解析を行う。二値化処理によって構造体部分を明輝度に、それ以外の部分が暗輝度となるように閾値を決め、明輝度部分を白、暗輝度部分を黒とした画像を得る。画像内のコントラストの差が小さいために、構造体部分とそれ以外の部分を分けられない場合、コントラストの範囲が同程度の部分で画像を切り分けてそれぞれ二値化処理をした後に、元のとおりに繋ぎ合わせて一枚の画像に戻す。または、構造体部分以外を黒で塗りつぶして画像解析をしてもよい。画像にはノイズが含まれ、連続したピクセル数が5個以下の暗輝度部分については、ノイズと孔の区別がつかないため、構造体として明輝度部分として扱う。ノイズを消す方法としては、連続したピクセル数が5以下の暗輝度部分をピクセル数の計測時に除外する。または、ノイズ部分を白く塗りつぶしてもよい。暗輝度部分のピクセル数を計測し、解析画像の総ピクセル数に対する百分率を算出して開孔率とする。30枚の画像で同じ測定を行い、平均値を算出する。

多孔質繊維におけるフィンの形状は重要である。フィンの形状を示すものとして、フィンの幅ωと、フィン形状指数ω/Diが挙げられる。

フィン幅ωの定義について、図3に示す。フィンの先端部の点と、内接円の中心とフィンの先端部を結ぶ直線と内接円が交わる点とを結ぶ線分(線分1)を1/2にする点を通り、上記線分1と直に交わる線をフィンの両幅まで引いて線分(線分2)とし、その線分2の長さを求める。具体的な測定においては、先述のように光学顕微鏡および画像解析ソフトを用いて算出し、繊維断面における全てのフィンについて測定を行い平均する。この作業を任意に選んだ繊維断面25箇所について行い、平均値について小数点以下第3位を四捨五入したものをフィン幅ωとする。

Diは、先述の通り、異形度を求める際に測定する繊維断面の内接円の直径である。ωが厚すぎたり、また、ωが厚くなかったとしても、ω/Diが大きすぎる場合には、乾式部におけるフィン部の冷却が不十分なままに貧溶媒を含む凝固浴に入ることになる。この場合、表面近傍の支持成分が凝集・析出しやすく、表面近傍の緻密層厚みの増大や表面開孔率の低下を招くことがある。緻密層厚みの増大や表面開孔率の低下は、被吸着物質の細孔内部への拡散を妨げやすく、その場合、吸着性能の著しい低下を引き起こしやすい。そのため、フィンの幅ωの上限としては、200μm以下が好ましく、さらに好ましくは135μm以下、特に好ましくは100μm以下となる。また、ω/Diの好ましい上限としては2.0以下であり、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.1以下である。一方で、ωが薄すぎたり、ω/Diが小さすぎる場合には、フィン部の折れ曲がりや欠けが発生しやすく、また、体積当りの表面を十分に大きくできないことから好ましくない。そのため、フィンの幅ωの好ましい下限としては5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは25μm以上である。また、ω/Diの好ましい下限としては0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.20以上となる。

多孔質繊維のフィンを含めた横断面の円相当直径の上限としては、300μm以下であることが好ましく、より好ましくは240μm以下、さらに好ましくは190μm以下、特に好ましくは160μm以下である。円相当直径が大きすぎる場合、カラムに充填した際の単位体積あたりの繊維の充填量が減少し、体積当の表面積低下につながるため好ましくない。

また、吐出された繊維の冷却効率が低下したり、繊維の形状保持が困難となるために異形度が低下したりすることで、十分な冷却がされないままに貧溶媒を含む凝固浴に入ることがある。この場合、表面近傍のポリマー等の支持材が凝集・析出しやすく、表面近傍の緻密層厚みの増大や表面開孔率の低下を招く。一方で、円相当直径の下限としては、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上である。円相当直径が小さすぎる場合、繊維の強度が低下し、紡糸安定性・生産性や繊維が脆弱になるため好ましくない。また、表面積あたりの体積が小さすぎることで、吸着サイトが容易に飽和してしまうことが考えられる。

上記、横断面の円相当直径の測定方法としては、測定対象となる繊維の両端を、0.01〜0.1g/mm2の張力をかけた状態で固定し切断する。その後、切断面を光学顕微鏡で拡大して写真撮影する。その際には同一倍率でスケールも撮影する。該画像をデジタル化した後、例えばスカラ(株)の画像解析ソフト「Micro Measure ver.1.04」を用い、繊維の断面の外周部をなぞって断面積Sを算出し、以下の式により個々の目開きの円相当直径を算出する。30点の測定値の平均を算出し、小数点以下第1位を四捨五入する。 横断面の円相当直径=2×(S/π)1/2 本発明における多孔質繊維の素材としては、特に限定されるものではないが、成形加工のし易さやコストなどの観点から有機物が好適に用いられ、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)、ポリアクリロニトリル(以下、PANという)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、セルロース、セルローストリアセテート、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が用いられる。中でも、ある程度の疎水性でありタンパク質などを吸着できる特性を有する素材を含むことが好ましく、例えば、PMMA、PAN等が挙げられる。PMMA、PANは、また、厚み方向に均一構造を有する繊維の代表例であり、均質構造で孔径分布がシャープな構造を得やすいため好ましい。また、エステル基を含有するポリマーは、生体適合性に優れ、末端基を制御することによる機能発現が容易であり好ましい。特にPMMAは非晶性の高分子であり、成形加工性やコストに優れ、また、透明性も高いため、繊維の内部状態も比較的観察が容易であり、ファウリング状態を評価しやすく好ましい。 また、多孔質繊維は陰性荷電を有してもよい。素材の少なくとも一部に陰性荷電を有する官能基を含むことで親水性が増し、微分散(すなわち、細かな孔が数多く形成されること)する傾向にあることも報告されている。陰性荷電を有する官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、エステル基、亜硫酸基、次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシシリル基等の置換基を有する素材が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。スルホ基を有するものとしては、ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸パラスチレンスルホン酸、3−メタクリロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジン塩、キノリン塩、テトラメチルアンモニウム塩などがあげられる。陰性荷電量としては、乾燥した繊維1gあたり5μeq以上、30μeq以下のものが好ましい。陰性荷電量は、例えば、滴定法を用いて測定することが出来る。

本発明に係る多孔質繊維の製造において、紡糸原液の粘度は、多孔質繊維の作成に重要である。すなわち、粘度が低すぎると、原液の流動性が高く目的の形状を維持するのが困難である。そのため原液粘度の下限としては、10poise以上、より好ましくは90poise以上、さらに好ましくは400poise以上、特に好ましくは800poise以上となる。一方で、粘度が高すぎる場合には、原液吐出時の圧力損失の増大によって吐出の安定性が低下したり、原液の混合が困難になったりする。そのため、紡糸口金部の温度での原液粘度の上限としては、100000poise以下、より好ましくは50000poise以下となる。

粘度の測定は、JIS Z 8803に従って、紡糸温度に設定した恒温槽内で落球法にて測定する。具体的には、内径40mmの粘度管を紡糸原液で満たし、原液中に直径2mmの鋼球(材質はSUS316)の鋼球を投下し、200mmの落下に要する時間を測定することによって求められる。測定時の温度は92℃とする。

本発明に係る多孔質繊維を作製するためには、紡糸原液組成、乾式部における工夫以外に、紡糸口金の吐出口形状を制御することが重要である。特に、本発明における多孔質繊維は異形度が非常に大きい。そのため、従来の口金設計思想に見られるような、得られる繊維の断面とほぼ相似な形状の口金では、口金吐出口の断面積が大きいために乾式部でのドラフトが大きくなりドローレゾンナンスと呼ばれるような繊維径や異形度ムラが発生し易く紡糸困難である。すなわち、図4及び図5に示すように、紡糸口金吐出口の形状は、中心円部、スリット部、先端円部を有するものがよい。また、中心円径D、スリット部幅W、スリット部長さL、先端円径dをそれぞれ適切に設計する必要がある。

スリット部は異形度を決定する上で重要であり、そのLをWで除した値L/Wを増大させることで、異形度を向上させることができる。そのため、L/Wの下限としては、1.9以上が好ましく、より好ましくは2.8以上、さらに好ましくは、5.5以上、特に好ましくは9.5以上となる。一方で、L/Wが大きすぎる場合には、繊維のフィンの形状が細長く不安定となり単糸内でのフィンの癒着が発生しやすくなる。そのため、L/Wの上限としては50以下、特に好ましくは20以下となる。

先端円径dは、異形断面形状にする上では一定以上の大きさであることが好ましく、また、dを変更することでフィンの幅を制御することが可能である。すなわち、dの増大に伴ってフィン幅、フィン形状指数ω/Diを増大させることができる。しかしながら、フィン幅、ω/Diが大きすぎると先端部の肥大を生じ、乾式部での冷却不足による断面形状の変形(単一の繊維内でのフィンの癒着)、や肥大部において表面の緻密層厚み増大、表面開孔率の低下を引き起こす。そのため、dの上限としては、1.0mm以下、より好ましくは0.6mm以下、特に好ましくは0.3mm以下となる。

Wの値としては、小さすぎると口金部での圧損の増大、バラス効果の影響が大きくなったり、口金自体の加工が困難になる。そのため、Wの下限としては0.005mmであり、より好ましくは0.010mm、さらに好ましくは0.030mmとなる。一方で、大きすぎると、吐出部の断面積が大きくなり、乾式部でのドラフトが大きくなり、ドローレゾンナンスと呼ばれるような繊維径や異形度ムラが発生し易く紡糸困難である。。Wの上限としては、1.00mm以下であり、より好ましくは0.50mm以下、さらに好ましくは0.25mm以下となる。

中心円9はなくてもよいが、異形断面繊維の断面形状を制御する上であることが好ましい。すなわち、中心円9を設けることで、口金全体において中心部の流量を増大させることができる。そのため、Dの増大に伴ってフィン幅、フィン形状指数ω/Diを減少させることが可能である。 また、乾式部の冷風の風速は、高すぎる場合には断面形状の変形、特に単一の繊維断面におけるフィン同士の単糸内癒着が起きることがある。一方で、低すぎる場合には、繊維形状の固定が困難になり、糸径や形状のばらつきを招く。そのため、冷風速度の下限としては、0.5m/s以上であり、より好ましくは0.8m/s以上、さらに好ましくは1.5m/s以上となる。上限としては、20.0m/s以下であり、より好ましくは15.0m/s以下、さらに好ましくはな11.0m/s以下となる。

本発明における多孔質繊維の用途としては多種多様であり、医療や水処理、精製など様々な分野で用いることができる。特に、医療用途において、血液や血漿、体液中から病因タンパク質、細菌、ウイルスなどの除去に好適に用いられる。病因タンパク質としては、サイトカイン、β2−マイクログロブリン(β2−MG)、IgG,免疫複合体、LDLなどが挙げられる。他にも、水処理用途で用いる場合にはフミン質、金属腐食物などの除去に好適に用いられる。

また本発明における繊維を得るための紡糸方法としては、溶融紡糸、溶液紡糸のいずれでも良いが、溶液紡糸では支持成分を溶媒で均一に溶解させた状態から溶媒のみを速やかに除去することで、比較的均一な構造を有する多孔質繊維が得やすいため好ましい。そのため、紡糸原液としては、樹脂などの支持成分とそれを溶解することのできる良溶媒から成ることが好ましい。微粒子などの第3の成分を造孔材や分散材として混ぜることもできるが、洗浄効率が低下したり、使用条件によっては後架橋による固定化などが必要になる可能性がある。

多孔質繊維の体積あたりの吸着性能が低い場合には、吸着材料として好ましくなく、カラムなどに充填しても良好な吸着性能を示さない。吸着性能を確保するためには充填する繊維数を多くせざるを得ず、これによりカラム体積の増大を招き、コスト上昇、取り扱い性の低下が発生する。特に血液を被処理液とする場合、体外への血液持ち出し量が増大するため血圧低下などの重篤な副作用を引き起こす可能性がある、そこで、繊維の体積当りの吸着性能としては、被吸着物質をβ2−MGとした場合に、好ましくは0.005mg/cm3以上、より好ましくは0.014mg/cm3以上、さらに好ましくは0.020mg/cm3以上、特に好ましくは0.031mg/cm3以上である。

繊維の吸着性能は、長期透析合併症である透析アミロイドーシスの原因タンパク質であるβ2−MGを吸着対象として、バッチで容易に測定することができる。

吸着性能の測定方法は以下の通りである。まず、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを添加した血液について、ヘマトクリットが30±3%、総タンパク量が6.5±0.5g/dLとなるように調整する。尚、採血後5日以内の牛血漿を用いる。次に、β2−MG濃度が1mg/Lになるように加え、撹拌する。

さらに、多孔質繊維を長さ8cmの束にカットし、繊維の体積が0.0905cm3となるように、例えばグライナー社製の15mLの遠沈管に入れ、そこへ上記牛血漿12mLを入れ、シーソーシェーカー等、例えばTAITEC社製Wave−SIを用いて、目盛り38、角度最大(1.7秒で1往復)と設定し、室温(20〜25℃)で1h攪拌する。攪拌前のβ2−MG濃度C1(mg/mL)と、攪拌後のβ2−MG濃度C2(mg/mL)を測定するため、各々1mlずつサンプリングし、−20℃以下の冷凍庫で保存する。β2−MG濃度をラテックス凝集法で測定し、以下の式から繊維体積あたりの吸着量、繊維表面積あたりの吸着量を算出する。

繊維体積あたりの吸着量(mg/cm3)=(C1−C2)×12/0.0905 繊維表面積あたりの吸着量(μg/cm2)=(C1−C2)×12/(繊維の総表面積cm2)×1000 本発明における多孔質繊維は、処理液の流入口と流出口をもつケーシングに内蔵することで浄化カラムとして用いることができる。

ケーシングの形状としては、両端が開放端であり、例えば四角筒体、六角筒体等の角筒体や円筒体が挙げられ、中でも円筒体、特に断面が真円状の筒体が好ましい。これはケーシングが角をもたないことで、角部での血液の滞留を抑制できるためである。また、両側を開放端とすることで、処理液の流れが乱流になりにくく圧力損失を最小限に抑えることができる。また、ケーシングはプラスチックや金属等により構成される器具であることが好ましい。プラスチックの場合は、例えば機械的強度、熱安定性に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でもケーシングに求められる成形性、放射線耐性の点においてポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートおよびそれらの誘導体が好ましい。特に、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの透明性に優れた樹脂は、たとえば血液などの灌流時に内部の様子を確認できるため安全性の確保に好都合であり、放射線耐性に優れる樹脂は滅菌時に放射性照射する場合に好ましいためである。樹脂は、金型による射出成形や、素材を切削加工することにより製作される。中でもコストや成型性、重量、血液適合性などの観点からプラスチックが好適に用いられる。

浄化カラムの端部封止方法としては、メッシュを配置する方法や、樹脂で固定して隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を設ける手法もある。ここで、貫通孔とは隔壁部の多孔質繊維長手方向に貫通している開口部のことである。すなわち、隔壁部に存在してこれを貫通するものであり、ケーシングの内部と外部を連通する孔のことである。この中でも、メッシュを配置する方法は、隔壁を形成する手法に比べて工程が容易であり、またカラム内への液の分散性も高いためより好ましい。また、カラム内の被処理液の分散性をさらに高める目的で、メッシュの一部により圧力損失の大きいメッシュや、邪魔板と呼ばれるような流れを遮る板などを付与してもよい。

浄化カラムのケーシング長が長すぎる場合、カラム内への多孔質繊維の挿入性が悪化することや、浄化カラムとして実使用する際の取扱いが難しくなることが考えられる。また、短すぎる場合には、例えば隔壁部を形成する場合などに不利になったり、カラム化した際の取り扱い性に欠ける。そのため、浄化カラムのケーシング長は1cm以上、500cm以下であり、更に好ましくは3cm以上、50cm以下である。ここで、ケーシング長とは、隔壁が設けられたり、キャップが装着される前の、筒状ケーシングの軸方向の長さのことである。

カラムに内蔵する際の繊維の形状としてはストレート形状が好ましく、ストレート形状の繊維をカラムケースの長手方向に対して平行に挿入することが好ましい。ストレート形状の多孔質繊維は、被処理液の流路を確保しやすいため、カラム内に被処理液を均等に分配しやすい。また、流路抵抗の抑制ができ、被処理液中の溶質の付着などによる圧力損失の増大に対しても有利である。そのため、粘性の高い血液を被処理液とした場合においても、ケーシング内での凝固などのリスクを小さく抑えられる。多孔質繊維を編物、織物、不織布などとして加工することや、5mm未満に微塵切りにすることもできる。ただし、加工や細断に際して繊維に大きな張力や応力がかかるため、繊維の空孔率を高くできないなどの制約が生じる。さらに、繊維を加工することによって工程数が増加し、コストも増大する。また、被処理液が多くの溶質を含み、かつ粘性が高い場合には、カラム内での圧力上昇などを招き易いため、あまり好ましいとはいえない。 カラム内に挿入するストレート形状の繊維の本数としては約1000本〜500000本程度が好ましい。

本発明においては、被吸着物質がその繊維内部に入り込み、吸着される多孔質繊維を提供することを目的としている。そこで、繊維の内部まで被吸着物質が移動しやすいような形状及び構造を有することが好ましい。さらには、本発明では、カラムの圧力損失が大きくなると、多孔質繊維内部に被吸着物質が移動しやすくなることを見出している。ただし、圧力損失が大きすぎると、被吸着物質以外の溶質に影響を与えることになる。その観点から、カラムの圧力損失には好適な範囲が存在し、カラムにウシ血漿を流速200mL/分で流したときの圧力損失が0.5kPa以上、30kPa以下であることが好ましい。下限については、0.7kPa以上であることがより好ましく、1kPa以上であることがさらに好ましい。上限については、21kPa以下がより好ましく、さらに好ましくは9kPa以下である。圧力損失はカラムへの繊維の充填率、ケーシング内径、繊維径、繊維本数などによって制御することができる。本発明においては、ケーシングに対する繊維の充填率の上限としては70%以下が好ましく、より好ましくは65%、特に好ましくは62%以下である。充填率の下限としては、30%以上、より好ましくは45%以上、特に好ましくは52%以上である。充填率は、高すぎるとケースへの挿入性が悪く、低すぎるとケース内の繊維が偏ってしまい、カラム内の流れにムラができる。

充填率とは、ケーシングの断面積と長さから計算されるケーシング体積(Vc)と繊維断面積およびケーシング長、繊維本数から計算される繊維体積(Vf)の比率であり、以下のように求められる。 Vc=ケーシング胴部の断面積×有効長 Vf=繊維断面積×繊維本数×有効長 Vf/Vc×100(%) なお、ケーシング胴部の断面積については、ケーシングにテーパーがある場合は、ケーシング中央における断面積とする。

ここでいうVcは、繊維を含まない部材、例えばヘッダー、ヘッダーキャップと呼ばれるような被処理液の出入口ポートとなる部材についての体積は含まないものとする。また、Vfについては、ケース内で繊維同士の密着を防ぐためのスペーサー繊維などを用いる場合には、その体積も含むものである。繊維の有効長とは、ケーシング長から隔壁の長さを減じた長さを指すものであるが、繊維の有効長の上限としては、繊維が湾曲したり、カラム化した際に圧力損失が増大する等の観点から、5000mm以下が好ましく、より好ましくは500mm以下、特に好ましくは210mm以下となる。また、短すぎると、繊維の長さを揃えるためにカラムから飛び出た余分な繊維をカットする際などに廃棄する繊維の量が増し、生産性が低下するため好ましくない。また、繊維束の取り扱いが困難になるなどの欠点がある。そのため、繊維の有効長の下限としては、5mm以上が好ましく、より好ましくは20mm以上、特に好ましくは30mm以上となる。繊維の有効長の測定方法としては、クリンプ等の捲縮がかかった繊維の場合、繊維両端を伸ばしたストレートな形状の状態で繊維長さを測定する。具体的には、カラムから取り出した繊維の一片をテープ等で固定し、垂直に下げ、もう一片には、繊維の断面積(mm2)当たり8g程度のおもりを付与し、繊維が直線状になった際の全長を速やかに測定する。この測定をカラム等の内で任意に選んだ30本の繊維について行い、30本の平均値をmm単位で算出し、小数点以下第1位を四捨五入する。

また繊維束として用いる場合、繊維の体積あたりの表面積を高くするという観点から、本発明における多孔質繊維を束内に多く含むことが好ましいが、円形断面糸やフィン数が2である楕円糸などの他の形状の断面をもつ繊維と組み合わせることもできる。繊維束内における本発明の多孔質繊維の割合としては、18%以上、より好ましくは33%以上、さらに好ましくは67%以上、特に好ましくは90%以上となる。このようにして得られた繊維束は、高い吸着性能を有する吸着材料として、好適に用いることができる。

このような繊維束、およびそれを内蔵した浄化カラムの使用用途は多種多様であり、水処理、精製、医療などの用途として用いることができる。中でも、医療用途の場合、処理方法には全血を直接灌流する方法と、血液から血漿もしくは血清を分離した後に血漿もしくは血清をカラムに通す方法とがあるが、本発明の浄化カラムはいずれの方法にも用いることができる。

また、医療機器として用いる場合、1回の処理量や操作の簡便性などの観点から体外循環回路に組み込み、オンラインで吸着除去を行う手法が好ましい。この場合、本発明の浄化カラムを単独で用いても良いし、透析時などに人工腎臓と直列に繋いで用いることもできる。このような手法を用いることで、透析と同時に人工腎臓のみでは除去が不十分である物質を除去することができる。特に人工腎臓では除去が困難な大分子量物質を、本発明に係る浄化カラムを用いて吸着除去することで人工腎臓の機能を補完できる。

また、人工腎臓と同時に用いる場合には、回路内において、人工腎臓の前に接続しても良いし人工腎臓の後に接続しても良い。人工腎臓の前に接続するメリットとしては、人工腎臓による透析の影響を受けにくいため、浄化カラムの本来の性能を発揮し易いことがある。一方で人工腎臓の後に接続するメリットとしては、人工腎臓で除水を行った後の血液を処理するため、溶質濃度が高く、吸着除去効率の増加が期待できる。

以下に本発明に係る多孔質繊維およびそれを内蔵した浄化カラムの作成例について説明する。 [多孔質繊維の作製] ポリマーを溶媒に溶かした紡糸原液を調整する。このとき原液濃度(原液中の溶媒を除いた物質の濃度)が低い程、繊維の細孔径を大きくすることが出来るため、原液濃度を適宜設定することにより、細孔径・細孔量をコントロールすることが可能である。この他、陰性荷電基を有するポリマーを用いることでも細孔径・細孔量のコントロールが可能である。かかる観点から、本発明において好ましい原液濃度は30重量%以下であり、より好ましくは27重量%以下、さらに好ましくは24重量%以下である。また、陰性荷電基として、例えばメタクリルスルホン酸パラスチレンスルホン酸を有するポリマーを用いる場合、全ポリマー中に存在するメタクリルスルホン酸パラスチレンスルホン酸を有するポリマーの割合は10mol%以下であることが好ましい。繊維は、例えば図5(D=0.20mm、W=0.10mm、L=1.0mm、d=0.25mm)に示すような異形断面の吐出口をもつ口金を用い、原液を一定距離の乾式空中部分に通した後に、水などの貧溶媒もしくは非溶媒から成る凝固浴に吐出することにより得られる。上記観点から、乾式部での繊維の通過(滞留)時間の下限は上述した通りとなる。また、吐出した繊維の温度が乾式部において低下してゲル化や凝固するなど速やかに構造固定化される場合には、乾式部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させることができる。また、詳細なメカニズムは定かではないが冷風速度を上げて冷却効率を上げることで、繊維表面の開孔率や繊維外周部近傍の孔径を拡大させることができる。 口金から吐出された紡糸原液は凝固浴にて凝固される。凝固浴は通常、水やアルコールなどの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混合物からなる。通常は水を用いることが多い。また、凝固浴の温度をコントロールすることにより、細孔径を変化させることができる。細孔径は紡糸原液の種類等によって影響を受け得るために、凝固浴の温度も適宜選択される。一般に凝固浴温度を高くすることにより、細孔径を高くすることが出来る。この機序は正確には明らかではないが、原液からの脱溶媒と凝固収縮との競争反応により、高温浴では脱溶媒が速く、繊維内部が収縮する前に凝固固定されるからではないかと考えられる。しかしながら、凝固浴温度が高くなりすぎると、細孔径が過大になるため、比表面積の低下、強伸度の低下、非特異的な吸着などが増大する、などの影響が考えられる。そのため、例えば、繊維がPMMAを含む場合の凝固浴温度は90℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以下、特に好ましくは65℃以下である。一方で、凝固温度が低すぎる場合、孔径が縮小し、被吸着物質が細孔内部に拡散しにくくなる。そのため下限としては12℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。

次いで、凝固した繊維に付着している溶媒を除去するために繊維を洗浄する。繊維を洗浄する手段は特に限定されないが、多段の水を張った浴(水洗浴という)中に繊維を通過させる方法が好んで用いられる。水洗浴中の水の温度は、繊維を構成する重合体の性質に応じて決めればよい。例えばPMMAを含む繊維である場合、30〜50℃が採用される。

また、水洗浴の後に細孔の孔径を保持するために、繊維に保湿成分を付与する工程を入れても良い。ここでいう保湿成分とは、繊維の湿度を保つことが可能な成分、または、空気中にて、繊維の湿度低下を防止することが可能な成分をいう。保湿成分の代表例としてはグリセリンやその水溶液などがある。

水洗や保湿成分付与の修了後、収縮性の高い繊維の寸法安定性を高めるため、加熱した保湿成分の水溶液が満たされた浴(熱処理浴という)の工程を通過させることも可能である。熱処理浴には加熱した保湿成分の水溶液が満たされており、繊維がこの熱処理浴を通過することで、熱的な作用を受けて、収縮し、以後の工程で収縮しにくくなり、繊維構造を安定させることが出来る。このときの熱処理温度は、繊維素材によって異なるが、PMMAを含む繊維の場合には50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。また、95℃以下が好ましく、87℃以下がより好ましい温度として設定される。 [浄化カラムの作製] 得られた繊維を用いて浄化カラムとする手段の一例を示すと次の通りである。まず、複数本の繊維を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、浄化カラムの筒部分となるプラスチックケーシングに繊維束がケース軸方向にストレート形状になるように入れる。本数は、浄化カラムの用途によって定まるが、およそ5000本から20000本が好ましい。その後、繊維の両端をカッター等で繊維がケーシング内に収まるよう切断し、カラム両端のカラム両側端面の被処理液の流出入口に、内径と同じ径にカットしたメッシュフィルタを装着する。最後にケーシングの両端にヘッダーキャップと呼ばれる被処理液の入口ポート、出口ポートを取り付けて浄化カラムを得ることができる。

また、医療用具等、すなわち医療用吸着カラムとして用いる際には殺菌又は滅菌して用いることが好ましい。殺菌、滅菌方法としては、種々の殺菌・滅菌方法、例えば、高圧蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、薬剤殺菌、紫外線殺菌などが例示できる。これらの方法のうち、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌は、滅菌効率と材料に与える影響が少なく好ましい。

実施例1 [多孔質繊維の作製] 質量平均分子量が40万のsyn−PMMAを31.7質量部、質量平均分子量が140万のsyn−PMMAを31.7質量部、質量平均分子量が50万のiso−PMMAを16.7質量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む分子量30万のPMMA共重合体20質量部をジメチルスルホキシド376質量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液の92℃での粘度は1880poiseであった。得られた紡糸原液を、92℃に保温された図5に示す形状であって表1に示す寸法の吐出口をもつ口金から、1.1g/minの速度で空気中に吐出し、空中部分を380mm走行させた後、凝固浴に導き、浴内を通過させて中実繊維を得た。凝固浴には水を用いており、水温(凝固浴温度)は42℃であった。それぞれの繊維を水洗後、保湿剤としてグリセリンを70重量%含む水溶液から成る浴槽に導いた後、温度を84℃とした熱処理浴内を通過させて余分のグリセリンを除去した後に16m/minで巻き取った。

得られた繊維について、繊維断面の異形度・フィン幅、フィン形状指数、円相当直径、平均細孔半径、孔径分布指数、表面開孔率の測定、表面近傍緻密層厚みの測定、表面積当り・体積当りの吸着性能測定について、前述の手法で測定した。結果を表2に示した。 実施例2 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 実施例3 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 実施例4 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 実施例5 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 実施例6 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 比較例1 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 比較例2 図5に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 比較例3 φ0.3の円形吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で円形断面をもつ繊維を作製した。結果を表1,2に示した。 比較例4 図9に示す形状であり、表1に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表1,2に示した。

実施例7 図5に示す形状であり、表3に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表3,4に示した。 実施例8 図5に示す形状であり、表3に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表3,4に示した。 実施例9 図5に示す形状であり、表3に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表3,4に示した。 実施例10 図5に示す形状であり、表3に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は、実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表3,4に示した。なお、比較のために実施例3も表3,4に記載した。

実施例11 図5に示す形状であり、表5に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、原液の吐出量を0.71gとした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表5,6に示した。 実施例12 図5に示す形状であり、表5に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、原液の吐出量を1.6gとした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表5,6に示した。 実施例13 図5に示す形状であり、表5に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、原液の吐出量を2.1gとした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表5,6に示した。なお、比較のために実施例3も表5,6に記載した。

実施例14 図6に示す形状であり、表7に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表7,8に示した。 実施例15 図7に示す形状であり、表7に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表7,8に示した。 実施例16 図8に示す形状であり、表7に示す寸法の吐出口をもつ口金を用いた以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表7,8に示した。なお、比較のために実施例3も表7,8に記載した。

実施例17 図6に示す形状であり、表9に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、乾式部通過時間を0.75秒とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表9,10に示した。 実施例18 図6に示す形状であり、表9に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、乾式部通過時間を0.375秒とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表9,10に示した。 比較例5 図6に示す形状であり、表9に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、乾式部通過時間を0.034秒とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表9,10に示した。 比較例6 図6に示す形状であり、表9に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、乾式部通過時間を0.019秒とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表9,10に示した。なお、比較のために実施例14も表9、10に記載した。

実施例19 図6に示す形状であり、表11に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、凝固浴温度を85℃とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表11,12に示した。 実施例20 図6に示す形状であり、表11に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、凝固浴温度を60℃とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表11,12に示した。 実施例21 図6に示す形状であり、表11に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、凝固浴温度を30℃とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表11,12に示した。 実施例22 図6に示す形状であり、表11に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、凝固浴温度を20℃とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表11,12に示した。 実施例23 図6に示す形状であり、表11に示す寸法の吐出口をもつ口金を用い、凝固浴温度を10℃とした以外は実施例1と同様の条件で繊維を作製した。結果を表11,12に示した。なお、比較のために実施例14も表11、12に記載した。

実施例24 [カラムの作製] 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維を公知の方法を用いて束ね、内径56mm、軸方向長さ58mmのポリカーボネート製円筒状ケーシング内に、繊維の充填率が53%となるようにストレート形状で内蔵した。次にこのカラムの両側端面の被処理液の流出入口に、ケーシング内径と同等の径にカットした目開き円相当直径84μm、開口率36%のポリプロピレン製メッシュフィルタを装着した。最後に、ケーシング端部には被処理液の流入口、流出口をもつヘッダーと呼ばれるキャップをとりつけた。 [カラムの吸着性能測定] カラムの吸着性能評価として、β2−MGのクリアランスを測定した。β2−MGは、長期透析合併症である透析アミロイドーシスの原因タンパク質であることが知られている。 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを添加した牛血液から、遠心分離によって血漿を得た。該血漿について、ヘマトクリットが30±3%、総タンパク量が6.5±0.5g/dLとなるように調整した。尚、ウシ血漿は、採血後5日以内のものを用いた。次に、ウシ血漿β2−MG濃度が1mg/lになるように加え、撹拌した。かかる牛血漿について、その2Lを循環用に、1.5Lをクリアランス測定用として分けた。

回路は図10のようにセットした。回路のうち、被処理液を取り込む入り口部をBi、浄化カラム通液後の液出口部をBoとした。

Biを上記で調整した牛血漿2L(37℃)の入った循環用ビーカー内に入れ、流速を200mL/minとしてポンプをスタートし、Boから排出される液体90秒間分を廃棄後、ただちにBoを循環用ビーカー内に入れて循環状態とした。 循環を1時間行った後ポンプを停止した。

次に、Biを上記で調整したクリアランス測定用の牛血漿内に入れ、Boを廃棄用ビーカー内に入れた。流速は200mL/minとして、ポンプをスタートしてから2分経過後、クリアランス測定用の牛血漿(37℃)からサンプルを10ml採取し、Bi液とした。スタートから4分30秒経過後に、Boから流れたサンプルを10ml採取し、Bo液とした。これらのサンプルは−20℃以下の冷凍庫で保存した。

各液のβ2−MGの濃度からクリアランスを下記I式によって算出した。牛血液のロットによって測定値が異なる場合があるので、実施例、比較例には全て同一ロットの牛血漿を使用した。

Co(ml/min)=(CBi−CBo)×QB/CBi (I) I式において、CO2−MGクリアランス(ml/min)、CBi=Bi液におけるβ2−MG濃度、CBo=Bo液におけるβ2−MG濃度、QB=Biポンプ流量(ml/min)である。結果を表13に示した。 実施例25 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維と比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を、9:1の割合で混合し、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合が90%である繊維束を、実施例24と同様の方法でカラム作製した。該カラムについて実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。 実施例26 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維と比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を、5:1の割合で混合し、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合が83%である繊維束を、実施例24と同様の方法でカラム作製した。該カラムについて実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。 実施例27 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維と比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を、2:1の割合で混合し、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合が67%である繊維束を、実施例24と同様の方法でカラム作製した。該カラムについて実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。 実施例28 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維と比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を、1:1の割合で混合し、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合が50%である繊維束を、実施例24と同様の方法でカラム作製した。該カラムについて実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。 実施例29 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維と比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を、1:2の割合で混合し、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合が33%である繊維束を、実施例24と同様の方法でカラム作製した。該カラムについて実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。 比較例7 [カラムの作製] 比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を公知の方法を用いて束ね、内径56mm、軸方向長さ58mmのポリカーボネート製円筒状ケーシング内に、繊維の充填率が53%となるようにストレート形状で内蔵した。次にこのカラムの両側端面の被処理液の流出入口に、ケーシング内径と同等の径にカットした目開き円相当直径84μm、開口率36%のポリプロピレン製メッシュフィルタを装着した。最後に、ケーシング端部には被処理液の流入口、流出口をもつヘッダーと呼ばれるキャップをとりつけた。 [カラムの吸着性能測定] 実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。 比較例8 実施例3で得られたY字断面多孔質繊維と比較例3で得られた円形断面多孔質繊維を、1:9の割合で混合し、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合が17%である繊維束を、比較例7と同様の方法でカラム作製した。該カラムについて実施例24と同様の手法で吸着性能を測定した。結果を表13に示した。

実施例1〜6は、異形度を変更した実験であるが、表1、2より、異形度の増大に伴って体積当たりの吸着性能が向上するが、極大点があり、一定以上の異形度となると、吸着性能が減少に転じることがわかる。比較例1のように異形度が6.9と高くなりすぎると、表面積当たりの性能が低下するために、体積当たりの性能は大きく低下する。この原因として、表面開孔率低下が考えられる。具体的には、フィンが長くなることで、紡糸時の冷却にムラができ、場所によっては冷風が十分に当たらない箇所ができたためと推定する。そのため異形度は6.6以下であることが好ましい。比較例2では、口金形状の先端円の径dが小さいために異形度が低下して、吸着性能が良好ではない結果となっている。また、比較例3はフィンの無いいわゆる円形繊維の結果である。円形繊維では体積当たりの表面積が最小のため、体積当たりの吸着量に限界があることがわかる。比較例4は、目標とする繊維断面形状とほぼ相似な形状の口金で紡糸した結果である。得られた繊維は円形となり、目標の異形度は得られなかった。これは、口金にdが存在せず、L/Wも2.7と低いためである。また、口金吐出口の面積が大きいことによるドローレゾンナンスも発生し、紡糸が不安定となった。

実施例3、7〜10は、フィン幅、フィン形状指数を変更した実験であるが、表3,4より、フィン幅、フィン形状指数が一定以上となると、表面積あたりの吸着量が低下する傾向である。これは、フィン部分の体積が増えたことで、紡糸時の冷却効率が低下し、表面開孔率の低下及び表面の緻密層の厚みが増大したためと考えられる。

表5,6より、繊維そのものの体積である繊維断面の円相当直径を増大させると、表面積あたりの吸着量は低下する傾向であることがわかる。これも、体積が増大することで紡糸時の冷却効率が低下したことが原因と考えられる。

表7、8は、フィンの数を3〜6まで増大させた結果である。フィンの増大に伴って異形度が上昇し、体積当たりの吸着量も増大することがわかる。

表9,10より、実施例14,17,18、比較例5,6は、乾式長、より具体的には乾式部通過時間を変更した結果である。乾式部通過時間を0.034秒以下とすると、緻密層の増大、開孔率の著しい低下が起こり、表面積あたりの吸着量が大幅に低下することがわかる。

表11,12より、実施例14、19〜23は、凝固浴の温度を変更し、平均細孔半径、細孔径分布指数、細孔比表面積を変更した結果である。細孔比表面積の増大に伴って吸着性能も向上することがわかる。しかし一方で、平均細孔半径が0.8nmの実施例23では、表面積当たり、体積当たりの吸着量がやや低下している。これは、β2−MGのサイズに対して細孔径が小さすぎるためと考えられる。尚、実施例1〜18の細孔比表面積は未測定であるが、いずれも凝固浴は43℃であることから、250m2/g以上と予測できる。

表13記載の実施例24、比較例7は、カラムを作製し吸着性能を評価した結果である。異形断面の多孔質繊維を内蔵した実施例24では、円形繊維である比較例7に比べて性能が高い傾向であった。また、実施例25〜29および比較例8は、繊維束内におけるY字断面多孔質繊維の割合を17〜90%まで変更したカラムの結果である。Y字断面多孔質繊維の割合が高いほど吸着性能も向上する傾向であったが、17%では0%である比較例7の結果とほとんど同等で有り、本発明による効果はあまり認められなかった。

1 外接円 2 内接円 3 外接円の直径Do 4 内接円の直径Di 5 半径の線分を均等な長さに5分割する点を通る同心円 6 中心部領域 7 外表面近傍領域 8 内接円の中心 9 フィンの先端部 10 内接円の中心とフィンの先端部を結ぶ直線と内接円が交わる点 11 フィン幅ω 12 中心円 13 スリット部幅 14 スリット部長さ 15 先端円径 16 浄化カラム 17 ポンプ 18 37℃湯浴 19 廃棄用ビーカー 20 循環用血漿 21 クリアランス測定用血漿

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