The oil-absorbing cosmetic sheet

申请号 JP34383998 申请日 1998-12-03 公开(公告)号 JP3055778B2 公开(公告)日 2000-06-26
申请人 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー; 发明人 久美子 越中; 一則 近藤;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 プラスチック材料の多孔質延伸フィルムからな り、その際、前記多孔質延伸フィルムの単位面積
    当たりの空隙体積が、次式: 単位面積当たりの空隙体積=〔フィルムの厚さ(cm)×
    1(cm)×1(cm)×空孔率(%)〕÷100 (ここで、空孔率は、多孔質フィルム中に占める空孔の
    割合である)で計算して、0.0001〜0.005cm
    3 の範囲にあることを特徴とする化粧用脂取りシート。
  • 【請求項2】 前記多孔質延伸フィルム 中に占める空孔
    の孔径が0.2〜5μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の化粧用脂取り紙。
  • 【請求項3】 前記多孔質延伸フィルムの空孔率が5〜
    50%の範囲でありかつフィルム厚さが5〜200μm
    の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧用脂取りシート。
  • 【請求項4】 前記多孔質延伸フィルムの少なくとも一方の表面に、親水性液体吸収物質が少なくとも部分的に分布せしめられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧用脂取りシート。
  • 【請求項5】 前記液体吸収物質が前記多孔質延伸フィルムの製造後にそのフィルムの表面に塗工することにより分布せしめられたものであることを特徴とする請求項4に記載の化粧用脂取りシート。
  • 【請求項6】 前記液体吸収物質が前記多孔質延伸フィルムの製造過程でそのフィルム中に混入せしめられたものであり、その一部分がフィルムの表面に露呈していることを特徴とする請求項4に記載の化粧用脂取りシート。
  • 【請求項7】 前記多孔質延伸フィルムの液体吸収能力が、そのフィルムの吸水量に関して表した場合、単位面積当たり0.00003〜0.005cm 3の範囲であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の化粧用脂取りシート。
  • 【請求項8】 前記液体吸収物質の水溶液の表面張力が、15.0〜36.0dyn/cmの範囲であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の化粧用脂取りシート。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は化粧用脂取りシートに関し、さらに詳しく述べると、顔面に浮き出した皮膚の脂分(皮脂分)を拭き取るための好ましくは小片状の化粧用脂取りシートに関する。 本発明による脂取りシートは、吸脂性に優れるとともに、化粧途中において吸脂状態を容易に確認することができ、皮膚に対する刺激が少なく、また、顔面清拭効果に優れるので、その後の化粧料の馴染み及びのりも良好である。 さらに、本発明の脂取りシートは、皮脂分の吸収性に優れ、吸脂状態の容易な確認の指標となる透明化が顕著に起こり、しかも強靱であるばかりでなく、その表面に親性を付与したことにより、顔面の汗やそれに溶け込んだ皮脂分をも多量に吸収することが可能である。

    【0002】

    【従来の技術】従来、顔面、特に鼻、頬、額、眉間等の部位に浮き出した皮脂分を拭き取って顔面を清浄に保ったり、化粧料の馴染み及びのりを良くするため、いろいろなタイプの化粧用脂取り紙が使用されていることは周知の通りである。 すなわち、化粧時、顔面に皮脂分が浮き出たままの状態で化粧をすると、化粧料が皮膚に馴染まないため、化粧料ののりが悪くなり、化粧の効果が十分に発揮できないからである。 また、化粧を行った後には、化粧後の皮膚から経時的に浮き上がってきた皮脂分を油取り紙で吸い取ることによって、化粧くずれや「てかり」を未然に防止することができるという効果もある。

    【0003】多くの脂取り紙のなかでも、最も一般的に使用されている脂取り紙は、吸脂性を有する麻、合成パルプ等の植物繊維を抄紙して得た紙類である。 しかし、
    これらの紙類からなる脂取り紙は、その高い吸脂性とは裏腹に、使用した繊維材料の硬さ及び表面粗さに原因して皮膚に対する刺激が高いという欠点がある。 そして、
    この皮膚に対する刺激性を改善すべく、脂取り紙の製造時、強圧縮のロールプレスを行ったり、紙の表面に炭酸カルシウム粉末等の無機粉末を糊剤とともに塗布することが行われている。 しかし、前者には、ロールプレスにより押し潰した繊維が経時的に起毛状態となり、再び皮膚を刺激するという欠点があり、また、後者には、紙の表面が糊剤に覆われるために皮脂分の吸収能の低下を回避できないという欠点がある。

    【0004】実開平4−45591号公報は、特に、脂取り紙の製造時にロールプレスを行ったり、紙の表面に炭酸カルシウム粉末等の無機粉末を塗布する際に発生する問題点を解決しようとするもので、脂取り紙の表面に多孔質の球状ビーズを付着させることを教示している。
    この考案によると、多孔質の球状ビーズを付着させたことにより、皮脂を効果的に吸収できるという効果が得られる。

    【0005】また、特開平6−319664号公報は、
    皮脂の吸収性を改良するため、(A)植物繊維を主成分とするパルプ原料に、(B)無機質填料を配合して紙料を調製した後、紙の緊度(g/cm 2 )0.7以上であるように抄紙することを教示している。 これらの公開公報において教示される方法によって製造される脂取り紙は、使用時に皮膚に対する刺激を軽減することに関して有効である。 しかしながら、これらの油取り紙では皮脂分の吸収性の改良に限度があり、さらなる改良が望まれている。 さらに、これらの脂取り紙では、その使用時、
    皮脂分の吸収状態、すなわち、拭き取りの効果を容易かつ正確に確認できないという問題を有している。 拭き取りの効果の確認が困難であることは、使用者にとっては、顔面から皮脂分を除去したという満足度を得ることができないことを意味している。 すなわち、使用者の側からすれば、脂取り紙の使用により使用者自身の顔面からどれくらいの量の皮脂分が除去されたかということは、非常に重要な評価ポイントであり、化粧時の満足度もそれによって大きく変動可能である。

    【0006】従来、上記したような皮脂分の拭き取りの効果の確認を容易にすることに着眼した化粧用脂取り紙も公知である。 例えば、特公昭56−8606号公報は、麻繊維中にポリオレフィン樹脂繊維体を10〜70
    重量%の量で配合し、12〜50g/cm 2の紙厚に抄造したことを特徴とする化粧用脂取り紙を教示している。
    この脂取り紙では、不透明な麻繊維中に透明感のあるポリオレフィン繊維体を混在させた構成としたことにより、使用前は不透明な麻繊維が、吸脂した時点で透明感を呈するようになり、よって、皮脂分拭き取りの作用効果を明瞭に確認することができる。

    【0007】また、実開平5−18392号公報は、脂取り紙本体に、粘土粒子、シリカ微粒子、繊維の粉体等の無機又は有機の粉粒体が含有されかつ脂取り紙本体の表面が平滑面状に形成されてなることを特徴とする脂取り紙を開示している。 この脂取り紙では、脂取り紙本体の紙繊維の隙間に粉粒体が含有されているので、皮脂分が脂取り紙の全体に湿潤するとともに、紙繊維と粉粒体の間の隙間を埋め、脂取り紙本体の透明化を促進できるという効果、すなわち、使用者にとっての「皮脂を除去したという満足感」を得ることができる。

    【0008】しかしながら、上記した2種類の脂取り紙は、吸脂によるその透明化及びそれによる吸脂効果の確認に関してはある程度の効果を奏することができるけれども、脂取り紙で最も重要であるところの吸脂量に関して、悪い影響として吸脂量を低下させてしまい、さらに、吸脂後の脂取り紙において完全な透明化を達成することが困難である。 したがって、吸脂量をさらに改善し、使用者が十分な満足感を得ることができるような脂取り紙の透明化を可能とすることが依然として望まれている。

    【0009】さらに、従来の脂取り紙に共通した問題点であるが、それが繊維材料を薄く抄紙することによって製造した紙類からできていることに原因して、使用者がその顔面から皮脂分を拭き取っている間にたやすく破損してしまい、すぐに交換しなければならないという問題点がある。 市販の脂取り紙は比較的に高価であるので、
    すぐに交換しなくてもよい、より強靱な脂取り紙を提供することが望まれている。

    【0010】さらにまた、従来の脂取り紙では、特に夏季や暖房中の室内の如く発汗が顕著な場合に、通常の使用では皮膚表面の多量の汗をあわせて吸い取ることができず、また、残存する汗のなかに皮脂分が溶け込んだままであるので、化粧料の馴染みやのりが悪いという問題もある。 したがって、優れた吸脂性等に追加して、汗等の液体の吸収能力にすぐれた脂取り紙を提供することが望まれている。

    【0011】

    【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したような従来の化粧用脂取り紙の多くの問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸脂性に優れ、使用中に破損することがなく、吸脂すると透明化して吸脂効果を明確に確認でき、使用者に十分な拭き取り感、満足感を与えることができ、肌触りもよく、そして特性の改良等を目的とした表面に対する粉粒体等の付着を必要としないような改良された化粧用脂取り紙を提供することにある。

    【0012】また、本発明のもう1つの目的は、皮脂分の吸収性に優れ、吸脂状態の容易な確認の指標となる透明化が顕著に起こり、しかも強靱であるばかりでなく、
    顔面の汗やそれに溶け込んだ皮脂分をも多量に吸収することが可能な改良された化粧用脂取り紙を提供することにある。

    【0013】

    【課題を解決するための手段】前記した目的は、本発明によると、プラスチック材料の多孔質延伸フィルムから<br>なり、その際、前記多孔質延伸フィルムの単位面積当たりの空体積が、次式: 単位面積当たりの空体積=〔フィルムの厚さ(cm)×
    1(cm)×1(cm)×空孔率(%)〕÷100 (ここで、空孔率は、多孔質フィルム中に占める空孔の割合である)で計算して、0.0001〜0.005cm
    3の範囲にあることを特徴とする化粧用脂取りシートに
    よって達成することができる。 なお、「空孔率」は、その定義をさらに詳しく説明すると、多孔質フィルムの空孔のすべてにそのフィルムと同一組成の材料が充填された時、その充填材料の量の、対応の空孔を有しないフィルムに対する割合を意味する。

    【0014】また、この多孔質延伸フィルムの空孔率は、好ましくは、5〜50%の範囲でありかつフィルム厚さは、好ましくは、5〜200μm の範囲である。 さらに、本発明の化粧用脂取りシートにおいて、多孔質延伸フィルムの少なくとも一方の表面には、親水性液体吸収物質が少なくとも部分的に分布せしめられていることが好ましい。 多孔質延伸フィルムの表面における親水性液体吸収物質の分布は、多孔質延伸フィルムの製造中のいろいろな段階で得ることができるけれども、好ましくは、多孔質延伸フィルムの製造後にそのフィルムの表面に液体吸収物質の溶液や分散液などを所定の被覆量で塗工することにより得ることができる。 また、この塗工方法に代えて、多孔質延伸フィルムの製造過程でそのフィルムの原料あるいは中間製品中に親水性液体吸収物質を練り込みなどの手法で混入することによっても、液体吸収物質の分布を得ることができる。 この場合、液体吸収物質の一部分がフィルムの表面に露呈して、所期の効果を奏することになる。

    【0015】上記のような親水性液体吸収物質含有の多孔質延伸フィルムにおいて、そのフィルムの液体吸収能力は、そのフィルムの吸水量に関して表した場合、単位面積当たり0.00003〜0.005cm 3の範囲であることが好ましい。 また、多孔質延伸フィルムの表面に分布せしめられている液体吸収物質の水溶液の表面張力は、15.0〜36.0dyn/cmの範囲であることが好ましい。

    【0016】

    【発明の実施の形態】本発明による化粧用脂取りシートは、紙本体として、従来の脂取り紙のように紙類を使用しないで、プラスチック材料を使用し、しかもその材料を多孔質延伸フィルムの形としたことを特徴としている。 本発明の多孔質延伸フィルムは、プラスチック材料を出発物質として使用していろいろな手法に従って製造することができるというものの、好ましくは、透明性の高い結晶性熱可塑性樹脂に充填剤を添加して主原料とし、これを成膜してプラスチックフィルムとなし、さらにこのフィルムを延伸し、微細な空孔を付与することによって製造できる。

    【0017】このようにして得られる多孔質延伸プラスチックフィルムは、シートの体積に占める空間の割合が従来の脂取り紙と比較して大きいので、皮膚表面の皮脂分の吸脂性に優れており、また、したがって、単位面積当たりの吸脂量が顕著に大である。 また、このプラスチックフィルムは、多数個の微細な空孔を均一に含有する構造を有しているので、皮膚表面の皮脂分を拭き取る前には、光の拡散に原因して不透明性を呈示し、しかし、
    吸脂後には、それぞれの空孔に皮脂分が充填されて光の拡散が防止ないし緩和されるので、フィルム本体の本来の性質である透明性が相俟って、吸脂効果を明確に確認することが可能になる。

    【0018】本発明の多孔質延伸プラスチックフィルムを製造するに当たり、主たる原材料として使用する透明性の高い結晶性熱可塑性樹脂の好ましい例は、以下に列挙するものに限定されないけれども、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレンブロック共重合体などを包含し、特に、成膜時に溶融強さを有する点において、変性ポリプロピレンが最適である。

    【0019】また、微細な空孔の付与のために上記した熱可塑性樹脂と組み合わせて用いられる充填剤の好ましい例は、吸脂時の透明性発現の点から、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、鉱油、グリセリン、石油ゼリー、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、軟質カルボワックス、そしてその混合物を包含する。 これらの充填剤のなかで、鉱油は、
    それが比較的に安価であるため、より好ましい。

    【0020】上記した充填剤は、フィルムの製造時、使用する原材料中で広い範囲で変更して使用することができる。 充填剤の適当な添加量は、好ましくは、原材料の20〜60重量%の範囲であり、さらに好ましくは25
    〜40重量%の範囲である。 ここで、原材料に対する充填剤の添加量が20重量%を下回ると、延伸後に得られるフィルムの空孔率が低下するために吸脂量が低下してしまい、反対に60重量%を上回ると、成膜が困難になり、脆いフィルムしか得ることができない。

    【0021】さらに、多孔質延伸プラスチックフィルムを製造するに当たり、主原材料としての熱可塑性樹脂及び充填剤に加えて、必要に応じてその他の添加剤を添加してもよい。 例えば、主原料の結晶化を容易にする目的で、有機核剤を添加してもよい。 適当な有機核剤としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸等の有機酸、あるいは有機アルコールなどを挙げることができる。 その他の適当な添加剤としては、例えば、無機又は有機の顔料、香料、界面活性剤、帯電防止剤などを挙げることができる。

    【0022】充填剤含有プラスチックフィルムを得るため、上記したような主原料及び任意の添加剤を溶融混合して成膜する。 この溶融混合工程及び引き続く成膜工程は、常法に従って行うことができる。 例えば、適当な溶融混合法として、ニーダーなどによる混練などを挙げることができ、また、適当な成膜方法として、インフレーション法、キャスト法などを挙げることができる。 例えば、インフレーション法は、上記した主原料等を溶融混合した後、円形のダイより吹き上げて筒状に成膜することができる。 キャスト法は、主原料等を溶融混合した後、ダイよりチルロール(冷却ロール)上に押し出して成膜することができる。 また、このキャスト法の1変形例として、溶融混合物をチルロール上に押し出した後、
    適当な溶剤で添加剤を洗い流すことによって除去することができる。

    【0023】次いで、微細な空孔の付与のため、成膜後のプラスチックフィルムの延伸を行う。 延伸も、成膜と同様、常法に従って一軸延伸あるいは二軸延伸で行うことができる。 例えば、二軸延伸を行う場合、長手方向の延伸は駆動ロールの周速を変化させることで行うことができ、幅方向の延伸はフィルムの左右端をチャックでつかみ、機械的に横方向に引っ張ることで行うことができる。

    【0024】フィルム延伸の条件は、特に限定されないというものの、空孔率が5〜50%の範囲及び延伸後のフィルムの厚さが5〜200μm の範囲となるように延伸するのが好ましい。 フィルムの延伸時、空孔率が5%
    を下回ると、吸脂量が低下してしまい、また、反対に5
    0%を上回ると、吸脂量が多くなりすぎてしまい、吸脂効果を明確に確認することが困難になる。 さらに、フィルムの厚さが5μm を下回ると、吸脂量が低下すると同時に、顔面の脂取りが不要な部位にまでフィルムが付着してしまい、取扱いが難しくなり、また、反対に200
    μm を上回ると、吸脂量が多くなりすぎてしまう。

    【0025】また、プラスチックフィルムの延伸倍率は、通常、1.5〜3.0の範囲であるのが好ましい。
    延伸倍率が1.5を下回ると、吸脂のために十分な空孔率を得ることができず、反対に3.0を上回ると、孔数が多すぎて、吸脂量が多くなりすぎてしまう。 さらに、
    フィルムの延伸により形成される空孔の孔径は、通常、
    0.2〜5μm の範囲であるのが好ましい。 この孔径が0.2μm を下回ると、透明化に必要な皮脂分を吸収させることができず、反対に5μm を上回ると、吸脂量が多くなりすぎてしまう。

    【0026】さらにまた、上記のような延伸処理により得られる多孔質延伸プラスチックフィルムにおいて、そのフィルムの単位面積当たりの空体積は、前記した式で計算して、0.0001〜0.005cm 3の範囲にあることが好ましく、0.0002〜0.001cm 3の範囲にあるのがさらに好ましい。 フィルムの上記空体積が0.0001cm 3を下回ると、使用者が脂取りシートを持ちにくくなり、反対に0.005cm 3を上回ると、
    吸脂量が多くなりすぎてしまい、吸脂効果を明確に確認することが困難になる。

    【0027】本発明の化粧用脂取りシートは、上記したように、皮脂分の吸収力に優れる、吸脂状態の容易な確認の指標となる透明化が顕著に起こる、強靱である、等の多くの効果を奏することができる。 しかし、このようなプラスチック材料製の脂取りシートは、それを紙製の脂取りシートと比較した場合、水分、例えば汗などの吸収がうまくいかないという欠点を有している。 本発明者らは、この欠点をあわせて解消すべく鋭意研究の結果、
    低い吸汗性の主たる原因はプラスチックシートの表面の疎水性にあることをつきとめ、シートの表面に親水性を付与することにより、顔面の汗やそれに溶け込んだ皮脂分を容易に吸収することが可能であることを見い出した。

    【0028】すなわち、本発明の好ましい1態様に従うと、多孔質延伸フィルムの少なくとも1つの表面に、親水性液体吸収物質が少なくとも部分的に分布せしめられていることを特徴とする親水性に優れた化粧用脂取りシートが提供される。 本発明の親水性脂取りシートにおける親水性液体吸収物質の分布形態は、通常、液体吸収物質の微細な粒子が多孔質延伸フィルムの表面にほぼ均一に分散せしめられている状態である。 また、液体吸収物質の適用にはいろいろな方法が使用できるので、それに応じて、フィルムの内部にも液体吸収物質が含有されていてもよい。 さらに、液体吸収物質の分布表面は、もしも脂取りシートがその片面のみを使用するようにデザインされているような場合には、多孔質延伸フィルムの片面のみに液体吸収物質を分布せしめてもよく、さもなければ、両面に分布せしめてもよい。

    【0029】親水性液体吸収物質の適用は、いろいろな方法によって実施することができる。 例えば、多孔質延伸フィルムの製造後、液体吸収物質を多孔質延伸フィルムの表面に塗工することにより有利に適用することができる。 この方法の場合、例えば、液体吸収物質を適当な溶剤に溶解した後、得られた塗工液を適当な手法で多孔質延伸フィルムの片面あるいは両面に薄く塗工し、さらにそれを乾燥させ、溶剤を除去することにより、所望とする親水性脂取りシートを製造することができる。

    【0030】本発明の実施において有利に使用することのできる親水性液体吸収物質は、それが所期の作用効果を奏し得る限りにおいて特に限定されないというものの、好ましくは、界面活性剤である。 なぜなら、本発明の場合、脂取りシートで顔面の汗などの液体(液滴)を拭き取る場合、その液滴に液体吸収物質が取り込まれ、
    液滴の表面張力が低下せしめられることが必要であり、
    そのためには、低濃度で著しい表面活性示す物質、すなわち、界面活性剤の存在が有効であるからである。 なお、プラスチックフィルムの製造の際に主原料に対して各種の添加剤を添加することができ、その一例として界面活性剤が含まれるということを前記したが、この場合の界面活性剤は、特に親水性の付与を目的としてものではなくて、主原料の混練時にそれらの良好な分散を補助することなどを目的としている。

    【0031】親水性液体吸収物質として使用するのに適当な界面活性剤は、以下に列挙するものに限定されないけれども、例えば、 陰イオン界面活性剤:アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステルなど、 非イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、 陽イオン界面活性剤:アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩など、 親水性ポリマー:ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど、 を挙げることができる。 このような界面活性剤のなかでも、親水性の付与に優れ、肌に対する安全性も良好であることから、ソルビタンモノラウレートに代表されるソルビタン脂肪酸エステルを特に有利に使用することができる。

    【0032】上記のような親水性液体吸収物質から塗工液を調製する場合、適当な溶剤としては、以下に列挙するものに限定されないけれども、例えば、イソプロピルアルコール、エタノール、水、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、ヘプタンなどを挙げることができる。 このような溶剤のなかでも、イソプロピルアルコールは、液体吸収物質の溶解性が比較的に高いこと、揮発性が高いこと、などから、特に有利に使用することができる。

    【0033】塗工液における親水性液体吸収物質の濃度は、使用する液体吸収物質の種類や界面活性の度合い、
    所望とする効果などに応じて広く変更することができるけれども、通常、親水性付与後の多孔質延伸フィルムの液体吸収能力が、そのフィルムの吸水量に関して表した場合、単位面積当たり0.00003〜0.005cm 3
    の範囲となるのに十分な量であることが好ましい。 液体吸収能力が上記の範囲を外れると、得られる化粧用脂取りシートにおいて満足し得る吸汗性を得ることができない。 なお、このような液体吸収能力の好ましい範囲は、
    得られる化粧用脂取りシートの全体について適用し得る基準である。

    【0034】また、多孔質延伸フィルムの表面に分布せしめられている液体吸収物質の水溶液の表面張力は、1
    5.0〜36.0dyn/cmの範囲であることが好ましい。
    多孔質延伸フィルムの表面の表面張力が上記の範囲を外れると、得られる化粧用脂取りシートにおいて満足し得る吸汗性を得ることができず、また、汗の吸収や脂取りの度合いを脂取りシートの色の変化により評価する場合にこれを有効に利用することができない。

    【0035】塗工液を多孔質延伸フィルムに塗工する際には、常法に従って塗工作業を行うことができる。 適当な塗工方法として、例えば、グラビアコーティング、フレキソコーティング、スクリーンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングなどを挙げることができる。 多孔質延伸フィルムの表面における塗工液の被覆量は、使用する液体吸収物質の種類や界面活性の度合い、所望とする効果などに応じて広く変更することができるけれども、通常、約0.1〜3g/m 2の量で十分である。

    【0036】本発明の脂取りシートの製造では、上記したような塗工方法に代えて、多孔質延伸フィルムの製造過程でそのフィルム中に液体吸収物質を混入せしめる方法も採用できる。 例えば、多孔質延伸フィルムの製造に当たり、フィルムの原材料である熱可塑性樹脂、充填剤、有機核剤などを溶融し、混合する際に、その任意のタイミングで液体吸収物質を混入することによって、所望とする親水性脂取りシートを製造することができる。
    この方法の場合にも、塗工による液体吸収物質の適用のところで列挙した液体吸収物質を同様に使用することができ、また、その混入量も、上記したような液体吸収能力が保証されるような量が適当である。 なお、この方法の場合、使用可能な多数の液体吸収物質のなかでも、物質自体の耐熱性、親水性などの面から、ラウリン酸ジエタノールアミドなどを特に有利に使用することができる。

    【0037】

    【実施例】引き続いて、本発明をその実施例について説明する。 なお、下記の実施例において、「部」は、特に断りのある場合を除いて「重量部」を意味する。 また、
    本発明は下記の実施例に限定されるものではないことを理解されたい。 例1下記の原料を記載の量で溶融混合した。

    【0038】 ポリプロピレン樹脂(ユニオン・カーバイド社から商 63.3部 品名「5D45」として入手可能) 鉱油(アモコ・オイル・アンド・ケミカル社から商品 34.0部 名「White Mineral Oil #31」 として入手可能) 有機核剤(ヘキスト・セラネーズ社から商品名「Blue 2.75部 P−526」として入手可能) 次いで、得られた溶融混合物を押し出しダイから冷却ロール上にキャストして成膜した。 次いで、得られたフィルムを二軸延伸(長手方向に1.8倍、幅方向に1.8
    倍)した。 下記の特徴を有する多孔質延伸プラスチックフィルムが得られた。

    【0039】 フィルムの厚さ 0.0035cm 空孔率 25% 単位面積当たりの空体積 0.000875cm 3得られた多孔質フィルムを長さ9cm×幅6cmの矩形に切断して供試フィルムを作成し、下記の手法に従って、
    (1)吸脂性、(2)使用後の透明感及び(3)フィルムの肌触りに関して品質評価を行った。 (1)吸脂性の評価 供試フィルムの重量(mg)を測定した後、市販のミネラルオイルをフィルムに含浸させた。 1分間の放置後、フィルム表面に残留しているオイルをペーパータオルで拭き取り、再び供試フィルムの重量(mg)を測定した。 ミネラルオイルの含浸によるフィルムの重量変化値から、
    単位面積当たりの吸脂量(mg/cm 2 )及び理論吸脂量(フィルムの空がすべてミネラルオイルで充填された時の吸脂量、mg/cm 2 )を求めた。 (2)使用後の透明感 供試フィルムを化粧用脂取りシートとして使用して、2
    0人のパネラーによるモニターテストを実施した。 使用後のフィルムにおいて、透明感が非常に優れているものを優(◎)、透明感が良好なものを良(○)、許容できる透明感を示したものを可(△)、透明感に劣るものを不可(×)とした。 (3)フィルムの肌触り 供試フィルムを化粧用脂取りシートとして使用して、2
    0人のパネラーによるモニターテストを実施した。 使用中のフィルムにおいて、肌触りが非常に優れているものを優(◎)、肌触りが良好なものを良(○)、許容できる肌触りを示したものを可(△)、ゴワゴワ感があり肌触りに劣るものを不可(×)とした。

    【0040】それぞれの評価試験の結果を以下に記載する。 フィルムの重量(吸脂前) 121mg フィルムの重量(吸脂後) 174mg 重量変化(増加量) 53mg 単位面積当たり吸脂量 0.98mg/cm 2理論吸脂量 0.73mg/cm 2使用後の透明感 優(◎) 肌触り 優(◎) 上記した結果から理解されるように、本例において得られた多孔質延伸プラスチックフィルムは、化粧用脂取りシートとして非常に好適なものであった。 また、このフィルムは、評価試験の途中で破れるようなこともなかった。 例2前記例1に記載の手法を繰り返した。 しかし、本例では、下記の原料を記載の量で溶融混合した。

    【0041】 ポリプロピレン樹脂(ユニオン・カーバイド社から商 62.0部 品名「5D45」として入手可能) 鉱油(アモコ・オイル・アンド・ケミカル社から商品 35.0部 名「White Mineral Oil #31」 として入手可能) 顔料(PMS Consolidated社から商品名 3.0部 名「18P805 Blue Pigment」とし て入手可能) 有機核剤(Milliken Chemical社から 0.08部 商品名「Millad 3905」として入手可能) また、本例では、多孔質延伸プラスチックフィルムの作成のため、前記例1のキャスト法に代えてインフレーション法を使用し、溶融混合物を円形のダイより吹き上げてチューブ状フィルムに成膜し、得られたフィルムをさらに切断して2枚のシート状フィルムとした。 次いで、
    得られたフィルムを一軸延伸(長手方向に1.6倍)した。

    【0042】得られた多孔質延伸プラスチックフィルムの特徴及びそれぞれの評価試験の結果を以下に記載する。 フィルムの厚さ 0.0035cm 空孔率 20% 単位面積当たりの空体積 0.0007cm 3フィルムの重量(吸脂前) 172mg フィルムの重量(吸脂後) 211mg 重量変化(増加量) 39mg 単位面積当たり吸脂量 0.72mg/cm 2理論吸脂量 0.59mg/cm 2使用後の透明感 優(◎) 肌触り 優(◎) 上記した結果から理解されるように、本例において得られた多孔質延伸プラスチックフィルムは、化粧用脂取りシートとして非常に好適なものであった。 また、このフィルムは、評価試験の途中で破れるようなこともなかった。 例3前記例1に記載の手法を繰り返した。 しかし、本例では、下記の原料を記載の量で溶融混合した。

    【0043】 ポリプロピレン樹脂(ユニオン・カーバイド社から商 79.0部 品名「DX5E98」として入手可能) 鉱油(アモコ・オイル・アンド・ケミカル社から商品 21.0部 名「White Mineral Oil #31」 として入手可能) 有機核剤(Milliken Chemical社から 0.09部 商品名「Millad 3905」として入手可能) また、本例では、多孔質延伸プラスチックフィルムの作成のため、前記例1のキャスト法に代えてインフレーション法を使用し、溶融混合物を円形のダイより吹き上げてチューブ状フィルムに成膜し、得られたフィルムをさらに切断して2枚のシート状フィルムとした。 次いで、
    得られたフィルムを一軸延伸(長手方向に1.6倍)した。

    【0044】得られた多孔質延伸プラスチックフィルムの特徴及びそれぞれの評価試験の結果を以下に記載する。 フィルムの厚さ 0.0075cm 空孔率 20% 単位面積当たりの空体積 0.0015cm 3フィルムの重量(吸脂前) 281mg フィルムの重量(吸脂後) 338mg 重量変化(増加量) 57mg 単位面積当たり吸脂量 1.06mg/cm 2理論吸脂量 1.26mg/cm 2使用後の透明感 可(△) 肌触り 良(○) 上記した結果から理解されるように、本例において得られた多孔質延伸プラスチックフィルムは、化粧用脂取りシートとして使用可能であるけれども、前記例1及び例2のフィルムに比較して特性的に劣っていた。 また、このフィルムは、評価試験の途中で破れるようなこともなかった。 例4本例は、比較例である。

    【0045】前記例1に記載の手法を繰り返した。 しかし、本例では、比較のため、下記の原料を記載の量で溶融混合した。 ポリエチレン樹脂(Fina Oil and 38.0部 Chemical社から商品名「Fina 1285」として入手可能) 鉱油(ウィトコ社から商品名「Witco 62.0部 Protol」として入手可能) また、本例では、多孔質延伸プラスチックフィルムの作成のため、前記例1のキャスト法に代えて変形キャスト法を使用した。 すなわち、得られた溶融混合物を押し出しダイから冷却ロール上にキャストして成膜した後、鉱油を有機溶剤で溶解除去した。 次いで、得られたフィルムを二軸延伸(長手方向に2.4倍、幅方向に2.8
    倍)した。

    【0046】得られた多孔質延伸プラスチックフィルムの特徴及びそれぞれの評価試験の結果を以下に記載する。 フィルムの厚さ 0.005cm 空孔率 75% 単位面積当たりの空体積 0.004cm 3フィルムの重量(吸脂前) 65mg フィルムの重量(吸脂後) 269mg 重量変化(増加量) 204mg 単位面積当たり吸脂量 3.78mg/cm 2理論吸脂量 3.14mg/cm 2使用後の透明感 可(△) 肌触り 良(○) 上記した結果から理解されるように、本例において得られた多孔質延伸プラスチックフィルムは、化粧用脂取りシートとして使用可能であるけれども、前記例1及び例2のフィルムに比較して特性的に劣っていた。 例5本例は、比較例である。

    【0047】前記例1に記載の手法を繰り返した。 しかし、本例では、比較のため、下記の原料を記載の量で溶融混合した。 ポリプロピレン樹脂(シエル・ケミカル社から商品名 30.0部 「DS 5D45」として入手可能) 鉱油(アモコ・オイル・アンド・ケミカル社から商品 70.0部 名「White Mineral Oil #31」 として入手可能) 有機核剤(Milliken Chemical社から 0.08部 商品名「Millad 3905」として入手可能) また、本例では、多孔質延伸プラスチックフィルムの作成のため、前記例1のキャスト法に代えて変形キャスト法を使用した。 すなわち、得られた溶融混合物を押し出しダイから冷却ロール上にキャストして成膜した後、鉱油を有機溶剤で溶解除去した。 次いで、得られたフィルムを二軸延伸(長手方向に1.8倍、幅方向に2.7
    倍)した。

    【0048】得られた多孔質延伸プラスチックフィルムの特徴及びそれぞれの評価試験の結果を以下に記載する。 フィルムの厚さ 0.011cm 空孔率 84% 単位面積当たりの空体積 0.00924cm 3フィルムの重量(吸脂前) 90mg フィルムの重量(吸脂後) 550mg 重量変化(増加量) 460mg 単位面積当たり吸脂量 3.52mg/cm 2理論吸脂量 7.74mg/cm 2使用後の透明感 不可(×) 肌触り 良(○) 上記した結果から理解されるように、本例において得られた多孔質延伸プラスチックフィルムは、化粧用脂取りシートとして使用可能であるけれども、吸脂効果の確認が非常に困難であり、前記例1及び例2のフィルムに比較して特性的に劣っていた。 例6本例は、参考例である。

    【0049】参考のため、以下に記載する3種類の化粧用脂取り紙(市販品)を用意し、前記例1に記載の手法に従って品質評価を行った。 それぞれの化粧用脂取り紙の特徴及びそれぞれの評価試験の結果を以下に記載する。 Y社製化粧用脂取り紙(金箔うち紙)脂取り紙の厚さ 0.0025cm 空孔率 − 単位面積当たりの空体積 − 脂取り紙の重量(吸脂前) 121mg 脂取り紙の重量(吸脂後) 136mg 重量変化(増加量) 15mg 単位面積当たり吸脂量 0.27mg/cm 2理論吸脂量 − 使用後の透明感 良(○) 肌触り 可(△) K社製化粧用脂取り紙(天然植物紙)脂取り紙の厚さ 0.0025cm 空孔率 − 単位面積当たりの空体積 − 脂取り紙の重量(吸脂前) 86mg 脂取り紙の重量(吸脂後) 104mg 重量変化(増加量) 18mg 単位面積当たり吸脂量 0.33mg/cm 2理論吸脂量 − 使用後の透明感 良(○) 肌触り 良(○) S社製化粧用脂取り紙(天然パルプ100%、天然マニラ麻配合)脂取り紙の厚さ 0.0002cm 空孔率 − 単位面積当たりの空体積 − 脂取り紙の重量(吸脂前) 33mg 脂取り紙の重量(吸脂後) 100mg 重量変化(増加量) 17mg 単位面積当たり吸脂量 0.31mg/cm 2理論吸脂量 − 使用後の透明感 良(○) 肌触り 良(○) 上記した結果から理解されるように、本例において参考のために試験した化粧用脂取り紙は、化粧用脂取り紙として使用可能であるけれども、前記例1及び例2のフィルムに比較して特性的にかなり劣っていた。 例7下記の原料を記載の量で溶融混合した。

    【0050】 ポリプロピレン樹脂(ユニオン・カーバイド社から商 63.3部 品名「5D45」として入手可能) 鉱油(アモコ・オイル・アンド・ケミカル社から商品 34.0部 名「White Mineral Oil #31」 として入手可能) 有機核剤(ヘキスト・セラネーズ社から商品名「Blue 2.75部 P−526」として入手可能) 得られた溶融混合物を押し出しダイから冷却ロール上にキャストして成膜した後、得られたフィルムを二軸延伸(長手方向に1.8倍、幅方向に1.8倍)した。 多孔質延伸プラスチックフィルムが得られた。

    【0051】次いで、レオドールスーパーL−10
    (F)(花王社製の界面活性剤)をイソプロピルアルコールに溶解して5重量%の界面活性剤を含む塗工液を調製した。 得られた塗工液を先の工程で作製した多孔質フィルムの表面に180線のグラビアロールで塗工し、さらに乾燥した。 親水化処理後の多孔質フィルムの特徴は、次の通りである。

    【0052】 フィルムの厚さ 0.0035cm 空孔率 25% 単位面積当たりの空体積 0.000875cm 3得られた多孔質フィルムを長さ9cm×幅6cmの矩形に切断して供試フィルムを作成し、下記の手法に従って、
    (1)吸脂性及び(2)吸水性に関して品質評価を行った。 (1)吸脂性の評価 供試フィルムの重量(mg)を測定した後、市販のミネラルオイルをフィルムに含浸させた。 1分間の放置後、フィルム表面に残留しているオイルをペーパータオルで拭き取り、再び供試フィルムの重量(mg)を測定した。 ミネラルオイルの含浸によるフィルムの重量変化値から、
    単位面積当たりの吸脂量(cm 3 /cm 2 )を求めた。 (2)吸水性の評価 供試フィルムの重量(mg)を測定した後、水道水に含浸させた。 1分間の放置後、フィルム表面に残留している水をペーパータオルで拭き取り、再び供試フィルムの重量(mg)を測定した。 水道水の含浸によるフィルムの重量変化値から、単位面積当たりの吸水量(cm 3 /cm 2
    を求めた。

    【0053】得られた評価結果を下記の第1表に示す。 例8前記例7に記載の手法を繰り返したが、本例の場合、下記の原料を記載の量で溶融混合した。 ポリプロピレン樹脂(ユニオン・カーバイド社から商 58.0部 品名「5D45」として入手可能) 鉱油(アモコ・オイル・アンド・ケミカル社から商品 35.0部 名「White Mineral Oil #31」 として入手可能) 有機核剤(ヘキスト・セラネーズ社から商品名「Blue 5.0部 P−526」として入手可能) 界面活性剤(ヘキスト・セラネーズ社から商品名「Ho 2.0部 stastat System E5952」として 入手可能) 得られた評価結果を下記の第1表に示す。

    【0054】

    【表1】

    【0055】上記第1表において、「参考例」は、 参考のため、Y社製化粧用脂取り紙(金箔うち紙)を用意し、前記例7に記載の手法に従って品質評価を行った結果である。 第1表に記載の評価結果から理解されるように、親水性を付与した本発明の脂取りシートの場合、従来の脂取り紙に比較して、吸脂性及び吸水性(吸汗性)
    の両面において優れた作用を発揮することができる。 例9前記例7に記載の手法を繰り返したが、本例の場合、吸脂性及び吸水性(吸汗性)に及ぼす界面活性剤の影響を調べるため、下記の第2表に化学名及び商品名を記載する各種の界面活性剤を前記例7と同一の量で使用して脂取りシートを調製した。 また、比較に供するため、市販のマイクロポーラスフィルム(未処理品)及びY社製化粧用脂取り紙(金箔うち紙)もあわせて使用した。 なお、第2表には、それぞれの界面活性剤のHLB値(親水性/親油性比)及びそれを溶解した塗工液の表面張力(dyn/cm)もあわせて記載する。

    【0056】前記例7に記載の手法に従って評価試験を行った結果、下記の第2表に記載するような結果が得られた。 表中、吸脂量は単位面積当たり吸脂量(cm 3 /cm
    2 )であり、吸水量は単位面積当たり吸水量(cm 3 /cm
    2 )である。 さらに、それぞれの脂取りシートの吸脂時及び吸水時の色の変化を目視により観察し、変化が優れている場合を「優」、変化が良好な場合を「良」、変化に乏しい場合を「不可」として評価した結果、下記の第2表に記載するような結果が得られた。

    【0057】

    【表2】

    【0058】上記第2表に記載の評価結果から、親水性を付与した脂取りシートであっても、本発明の範囲外の界面活性剤を使用した場合には、本発明で所望の吸脂性及び吸水性(吸汗性)を得ることができないこと、また、このような不都合は、主として界面活性剤の表面張力に依存していることがわかる。 さらに、界面活性剤の表面張力について見ると、所望の吸脂性及び吸水性(吸汗性)を得るため、使用する界面活性剤の水溶液の表面張力は36dyn/cm以下であることが望ましいことがわかる。

    【0059】

    【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、脂取り紙そのものを従来のそれのように繊維材料からなる紙ではなくて、プラスチック材料の多孔質フィルムから形成し、そのフィルム中の微細な空孔に、顔面に浮き出した油脂分を吸着させるように構成したので、高い吸脂性を具現することができ、吸脂部の優れた透明化ににより吸脂効果を明確に確認でき、よって、使用者に十分な拭き取り感、満足感を与えることができ、肌触りもよく、使用中に破損することもなく、また、特性の改良等を目的として表面に粉粒体等を付着させることも必要でなくなる。

    【0060】さらに、本発明によれば、プラスチック材料の多孔質フィルムの表面に親水性を付与したことにより、皮脂分の吸収性に優れる、吸脂状態の容易な確認の指標となる透明化が顕著に起こる、強靱である、等の上記した効果ばかりでなく、顔面の汗やそれに溶け込んだ皮脂分をも多量に吸収することが可能であるという注目すべき効果を得ることができる。 この吸汗効果は、特に夏季のような発汗作用が顕著な季節において有効であり、汗を十分に拭き取ることができることに加えて、脂取りシートが肌に貼り付くことがなくなり、不快感なく使用することができる。 また、親水性の付与は、付加的な作用として帯電防止性の付与を有しており、したがって、使用済みの脂取りシートを廃棄する時にそのシートが手にまとわりつくという不快感も解消することができる。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−127954(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) A45D 8/00 - 8/40 504 A45D 24/00 - 31/00 A45D 42/00 - 44/22 A61K 7/00 - 7/50 A45D 33/00 - 40/30 A47K 7/00 - 7/08 D21H 5/00 - 5/26 D21B 1/00 - 13/12 D21H 1/00 - 3/82 D21H 5/00 - 5/26 D21C 1/00 - 11/14 D21D 1/00 - 5/28 D21F 1/00 - 13/12 D21G 1/00 - 9/00 D21J 1/00 - 5/00 B01J 20/00 - 20/34 B32B 1/00 - 35/00 B65D 65/00 - 65/46 B65D 67/00 - 79/02 B65D 81/18 - 81/30 B65D 81/38

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