ティシュペーパー

申请号 JP2015074102 申请日 2015-03-31 公开(公告)号 JP2016193042A 公开(公告)日 2016-11-17
申请人 大王製紙株式会社; 发明人 保井 秀太;
摘要 【課題】「しっとり感」と「滑らかさ」とに優れるティシュペーパーを提供する。 【解決手段】2プライのティシュペーパーであって、1プライ当たりの坪量が15g/m 2 〜18g/m 2 であり、2プライでの紙厚が135μm〜160μmであり、グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上、含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m 2 以上8.0g/m 2 以下含有する。 【選択図】図1
权利要求

2プライのティシュペーパーであって、 1プライ当たりの坪量が15g/m2〜18g/m2であり、 2プライでの紙厚が135μm〜160μmであり、 グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上、含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールの配合比率(グリセリン1に対する1,3−プロパンジオールの配合比)が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m2以上8.0g/m2以下含有する、 ことを特徴とするティシュペーパー。2プライのティシュペーパーであって、 1プライ当たりの坪量が16.2g/m2以上17.4g/m2以下であり、 2プライでの紙厚が136μm以上156μm以下であり、 グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上、含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールの配合比率(グリセリン1に対する1,3−プロパンジオールの配合比)が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m2以上8.0g/m2以下含有する、 ことを特徴とするティシュペーパー。2プライのCD方向の乾燥引張強度が51cN/25mm以上62cN/25mm以下であり、 2プライのCD方向の湿潤引張強度が39cN/25mm以上58cN/25mm以下であり、 2プライのCD方向の乾燥引張強度に対する2プライのCD方向の湿潤引張強度の比が、0.68以上である、請求項1又は2記載のティシュペーパー。

说明书全文

本発明は、ティシュペーパーに関し、特に、保湿剤を含むティシュペーパーに関する。

ティシュペーパーは、抄紙したティシュー原紙に保湿剤を含ませた、ローションティシュー、薬液付与タイプなどと称される保湿ティシューと、保湿剤を含まない汎用タイプ、一般タイプなどと称される非保湿ティシューとに大別することができる。

保湿ティシューは、洟かみや化粧落とし等の肌に直接触れる用途を主とするものであり、特に、使用時の肌触りの良さが求められる。

ところで、ティシュペーパーの品質特性としては、主に「柔らかさ」、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」、「厚み感」、「丈夫さ(強度・安心感)」が挙げられる。

なかでも保湿ティシューは、保湿剤の効果によって非保湿ティシューよりも「柔らかさ」、「滑らかさ」、「しっとり感」において優れるものではあるが、従来の保湿ティシューにおいては、特に、「滑らかさ」、「しっとり感」において、その双方を高い次元で満足するものがない。また、より一層の肌触りの向上は、使用者に求められるところであるが、これら「滑らかさ」、「しっとり感」の双方を、ともに向上させることが極めて難しい。

すなわち、従来の保湿ティシューは、保湿剤の吸湿作用によって、紙中の分保持性を高めることで、「柔らかさ」や「しっとり感」を向上させ、それに不随して「滑らかさ」も感じられるというものであった。しかし、従来の保湿剤では、その含有量を増量するなどすると、「しっとり感」は高まるものの「べたつき感」も同時に高まり、それにともなって表面の「滑らかさ」が低減して感じられ難くなる。また、過度の保湿剤の含有は、紙のコシを低下させる要因となり、この紙のコシの低下も「滑らかさ」を感じ難くする要因となる。

特表2013−511509号公報

特表2013−511626号公報

特開平2−74694号公報

そこで、本発明の主たる課題は、保湿ティシューにおいて、特に「しっとり感」と「滑らかさ」をともに向上させ、従来の保湿ティシューにはない、「しっとり感」を有しつつも、「滑らかさ」を顕著に感じることができる、保湿ティシューを提供することにある。

上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。

〔請求項1記載の発明〕 2プライのティシュペーパーであって、 1プライ当たりの坪量が15g/m2〜18g/m2であり、 2プライでの紙厚が135μm〜160μmであり、 グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上、含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールとの質量比が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m2以上8.0g/m2以下含有する、 ことを特徴とするティシュペーパー。

〔請求項2記載の発明〕 2プライのティシュペーパーであって、 1プライ当たりの坪量が16.2g/m2以上17.4g/m2以下であり、 2プライでの紙厚が136μm以上156μm以下であり、 グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上、含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールとの質量比が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m2以上8.0g/m2以下含有する、 ことを特徴とするティシュペーパー。

〔請求項3記載の発明〕 2プライのCD方向の乾燥引張強度が51cN/25mm以上62cN/25mm以下であり、 2プライのCD方向の湿潤引張強度が39cN/25mm以上58cN/25mm以下であり、 2プライのCD方向の乾燥引張強度に対する2プライのCD方向の湿潤引張強度の比が、0.68以上である、請求項1又は2記載のティシュペーパー。

本発明者らは、保湿ティシューにおける「しっとり感」と「滑らかさ」との両立を目指して、種々の薬剤の選択・配合割合・紙物性について検討した結果、本発明に係るティシュペーパーを完成した。

本発明に従って、2プライのティシュペーパーにおいて、1プライ当たりの坪量を15g/m2〜18g/m2、好ましくは1プライ当たりの坪量を16.2g/m2超17.4g/m2未満、2プライでの紙厚を135μm〜160μm、好ましくは2プライでの紙厚を136μm以上156μm以下として、特に、グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールとの質量比(グリセリン1に対する1,3−プロパンジオールの質量比)が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m2以上8.0g/m2以下含有せしめたものとしても、従来の保湿ティシューに比して、「しっとり感」と「滑らかさ」とが、極めて高い次元で両立される。係る効果については、特に下記の実施例において示される。

また、この場合、2プライのCD方向の乾燥引張強度が51cN/25mm以上62cN/25mm以下であり、2プライのCD方向の湿潤引張強度が39cN/25mm以上58cN/25mm以下であり、2プライのCD方向の乾燥引張強度に対する2プライのCD方向の湿潤引張強度の比が、0.68以上であるのが望ましい。係る乾燥引張強度の範囲とすることにより、使用に耐えうる強度が確保されるとともに、薬剤含有による湿潤強度の低下を抑え濡れた手で使用する場合等でも強度を確保できる。

実施形態に係る試験例の結果を示すグラフである。

実施形態に係る試験例の結果を示すグラフである。

以下、本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係るティシュペーパーは、2プライのティシュペーパーであって、1プライ当たりの坪量が15g/m2〜18g/m2、好ましくは1プライ当たりの坪量が16.2g/m2以上17.4g/m2以下であり、2プライでの紙厚が135μm〜160μm、好ましくは136μm以上156μm以下であり、比較的高坪量のティシュペーパーである。

このティシュペーパーは、ティシュペーパーの中でも比較的高い坪量及び紙厚で厚み感のあるものであり、このような坪量及び紙厚とすることで、それとの関係で特有の保湿剤及び保湿剤付与量と相まって、特に、「しっとり感」と「滑らかさ」とが感じられるものとなる。なお、坪量は、JIS P 8124(1998)に基づいて測定した値とする。また紙厚の測定方法は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて2プライの状態で測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、上記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお、紙厚は測定を10回行って得られる平均値とした。

一方、本実施形態に係るティシュペーパーは、グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比(グリセリン1に対する1,3−プロパンジオールの質量比)が1:0.04超1:5.58以下である薬剤を、2.9g/m2以上8.0g/m2以下含有する。グリセリンと1,3−プロパンジオールとが合わせて83.7質量%未満であると、「しっとり感」、「滑らかさ」ともに十分に向上されない。加えて、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が1:0.04超1:5.58以下の範囲外となると「しっとり感」、「滑らかさ」の双方又は何れかが感じられ難くなる。また、保湿剤の含有量が2.9g/m2以下であると、「しっとり感」、「滑らかさ」の双方が感じられず、また、9.2g/m2以上であると、コスト高となるとともに、「滑らかさ」のみならず「しっとり感」も感じられ難くなる。

他方、本実施形態に係るティシュペーパーを構成する繊維素材も、パルプ繊維であり、ティシュペーパーに用いられるNBKP及びLBKPであるのが望ましい。古紙パルプが配合されていてもよいが、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。配合割合としては、質量比でNBKP:LBKP=25:75〜40:60が望ましい。この範囲であると紙及び「柔らかさ」を発現させやすい。

一方、本実施形態に係るティシュペーパーでは、2プライのCD方向の乾燥引張強度が51cN/25mm以上62cN/25mm以下であり、2プライのCD方向の湿潤引張強度が39cN/25mm以上58cN/25mm以下であり、2プライのCD方向の乾燥引張強度に対する2プライのCD方向の湿潤引張強度の比が、0.68以上であるのが望ましい。乾燥引張強度は、JIS P 8113に規定されるものであり、湿潤引張強度は、JIS P 8135(1998)に規定されるものである。このティシュペーパーでは、上記の各強度とすることにより、使用に耐えうる十分な強さを発揮でき、また、使用者に「丈夫さ(強度・安心感)」を与えるものとなる。また、本実施形態に係るティシュペーパーは、2プライのCD方向の乾燥引張強度に対する2プライのCD方向の湿潤引張強度の比が、0.68以上であり、一般的な保湿ティシューに比して、乾燥時と湿潤時における強度差が比較的小さい。これは、本実施形態に係るティシュペーパーに係る坪量等と特徴的な保湿剤構成とすることで容易に達成することが可能となり、また、このような強度差であることにより、特に洟をかむ際などに、乾燥時から湿潤時へと変化する使用態様において、使用者が「丈夫さ(強度・安心感)を感じるようになる。さらに、そのような使用態様における紙の強さの変化が感じられ難くなり、使用の際に「滑らかさ」が変化する違和感を感ずることもなくなる。

本実施形態に係るティシュペーパーに係る保湿剤構成とすることとして、乾燥引張強度及び湿潤引張強度を上記値に調整するにあたっては、乾燥紙力増強剤や湿潤紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添することができる。乾燥紙力増強剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性塗工PAM等を用いることができる。なお、乾燥紙力増強剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度である。また、湿潤紙力増強剤は、カチオン性のものが望ましく、その添加量はパルプスラリーに対して、重量比で5.0〜20.0kg/パルプt程度である。

ここで、本実施形態に係るティシュペーパーは、従来の保湿ティシューの製造方法と同様の方法により製造することが可能である。すなわち、抄紙設備で抄紙したクレープを有する単層のティシュペーパー原紙を巻き取って一次原反ロールを形成し、これを二つ、プライマシンとも称される積層設備にてセットし、各々の一次原反ロールから単層の連続シートを繰出して積層した後、適宜にスリットする等して二次原反ロールとして巻き取る。そして、この二次原反ロールを用いて、インターフォルダーとも称される折畳み設備などにおいて積層束を形成し適宜の大きさに裁断する等して、ティシュペーパーに係る製品化する。そして、この一連の製品化する製造工程のいずれかの工程において又は工程間に別途薬液付与工程を設けて、ティシュペーパーに保湿剤を含む保湿薬液を付与することにより製造することができる。

本実施形態に係る保湿薬液は、有効成分中にグリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせて83.7質量%以上含み、かつ、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が1:0.04超1:5.58以下となるように調整すればよい。具体的には、上記有効成分を基本として、適宜に水などの溶媒を用いて塗布方法に応じた粘度に保湿薬液を調整する。保湿薬液中には、グリセリン及び1,3−プロパンジオールの効果を妨げない範囲で、その他に公知の助剤を含有させることができる。もちろん、これらの保湿薬液中の助剤は、塗布後にティシュペーパー中に含有され薬剤を構成するものとなってもよい。助剤の例としては、ソルビトール等の保湿補助成分、ティシュペーパー中の水分の保持性を高めるための、グルコマンナン等の親水性高分子ゲル化剤、界面活性剤やリン酸エステル等の柔軟性向上剤、滑らかさの発現を補助する流動パラフィンなどの油性成分、その他、保湿剤の安定化、塗布性を向上させるための乳化剤、防腐剤、消泡剤等が挙げられる。これらの、助剤は、有効成分(絶乾)として合計16.3質量%未満まで含有せしめることができる。

他方、保湿薬液のティシュペーパー原紙への付与は、フレキソ印刷機、グラビア印刷機等のロール転写装置、スプレー塗布装置など公知の薬液塗布設備を用いて外添によって行なわれる。なお、ティシュペーパー原紙に対する保湿薬液の付与は、一方面から行なってもよいが、両面の滑らかさを均一にし易いことから、両面塗布とするのが望ましい。また、保湿薬液のティシュペーパー原紙への付与量は、製造過程における溶媒である水の蒸発及び製造過程で生ずるティシュペーパー原紙の伸びを考慮して適宜に調整する。伸びに関しては、ティシュペーパー原紙はクレープを有するクレープ紙であるため、保湿薬液を付与した後、その保湿薬液付与後に巻き取り工程や折畳み工程を行なうとティシュペーパー原紙が伸びて、付与量が若干低下する傾向が見られる。したがって、このような製造工程における伸びを考慮して、所望の付与量に比して若干、有効成分の付与量が多くなるように調整するのが望ましい。

次いで、以上説明の本実施形態に係るティシュペーパーについて、さらに、「実施例」において特にその効果について説明する。

本発明に係るティシュペーパー及び本発明とは異なるティシュペーパーに係る試験試料を作成し、「柔らかさ」、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」を評価項目として、下記官能試験を行ない検討した。また、各試料の物性値・組成値は、下記のとおり測定した。各試料の物性値・組成値及び試験結果は、下記表1及び2に示すとおりである。

〔米坪〕 JIS P 8124(1998)に従って測定した。表中の値は、各プライの平均値である。

〔紙厚〕 JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて上述の厚みの測定方法に従って測定した。

密度〕 密度は、JIS P 8111 条件下において調湿させたティシュペーパーの米坪を2倍した値(C)を、上述のティシュペーパー(2プライ)の紙厚(D)で除した値で、単位をg/cm3、小数点3桁で表した。

〔乾燥引張強度〕 JIS P 8113(1998)の引張試験に従って測定した。

〔湿潤引張強度〕 JIS P 8135(1998)の引張試験に従って測定した。

〔伸び率〕 JIS P 8113(1998)の引張試験に従って、ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG−200N」を用いて測定した。

〔ソフトネス〕 JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従って測定した。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとして実施した。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を、cN/100mmを単位として表した。

〔MMD〕 このMMDは静摩擦係数の平均偏差MMDであり、滑らかさの指標の一つである。数値が小さいほど滑らかであり、数値が大きいほど滑らかさに劣るとされる。なお、MMDの測定方法は、摩擦子の接触面を所定方向に20g/cmの張力が付与された測定試料の表面に対して25gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向と略同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させ、このときの、摩擦係数を、摩擦感テスター KES−SE(カトーテック株式会社製)を用いて測定する。その摩擦係数を摩擦距離(移動距離=2cm)で除した値がMMDである。なお、摩擦子は、直径0.5mmのピアノ線Pを20本隣接させてなり、長さ及び幅がともに10mmとなるように形成された接触面を有している。接触面には、先端が20本のピアノ線P(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されているものとした。

〔製品水分率〕 JIS P 8111(1998)の条件下で試料を調湿した後、JIS P 8127(1998)に準じて測定した。

〔薬剤含有率及び薬剤含有量〕 薬剤含有率及び薬剤含有量は、以下の(1)〜(4)の試料測定及び計算から算出することができ、表中の値は、試料測定に基づいた値である。なお、薬剤含有率及び薬剤含有量は、保湿薬液の組成及び原紙の物性に基づいて算出してもよい。

(1)試料の坪量測定 JIS P 8111(1998)に規定されている23℃50%R.H.環境下でティシュペーパーを調湿する。ティシュペーパー5組の縦寸法、横寸法をそれぞれ測定し、ティシュペーパーの面積を算出する(なお、プライされたシートを平面に垂直線上にある視点から見た面積であり、プライされた各シート、およびその表裏面の合計面積ではない)。次いで、秤量瓶に試料を入れ温度80℃の乾燥条件下で120分間乾燥する。秤量瓶に蓋をしてデシケーター内で放熱させ、ティシュペーパー1組(2枚)の絶乾質量を求める。その絶乾質量と先に測定した面積とから、5組各々の絶乾坪量(1枚当たり)を算出し、その平均値を試料の絶乾坪量(g/m2)とする。

(2)薬剤付着率 試料約10gを筒型秤量瓶に入れ80℃120分間乾燥させ絶乾した後、秤量瓶に蓋をしてデシケーター内で放熱させ、試料の絶乾質量を求める。試料を詰めた円筒ろ紙をソックスレー抽出器に入れ、平底フラスコにアセトン:エチルアルコール混合溶媒(混合容積比1:1)120〜140mLを入れ、湯浴上で抽出液が軽く沸騰を保つ程度に4時間加熱する。加熱後、抽出液をフラスコに集める。フラスコに分留用曲管と冷却器をセットし湯浴上で加熱し溶媒を除去する。さらにそのフラスコを温度105±2℃の恒温乾燥器中に90分間放置して、溶媒を完全に除去する。溶剤除去後のフラスコ質量から恒量したフラスコ質量を引いて、抽出物の質量(B)(g)を求める。次いで、次式によって、薬剤付着率を求める。 薬剤付着率=[(抽出物の質量)/{(試料の絶乾質量)−(抽出物の質量)}]×100

なお、抽出物中に含有されるグリセリンと1,3−プロパンジオールの量及び質量比は、ガスクロマトグラフー質量分析装置(GC−MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等によって測定することができる。

(3)薬剤含有量の算出 薬剤含有量は、次式によって算出する。 薬剤含有量(g/m2)=(上記(1)で算出した絶乾坪量)×(プライ数)×(上記(2)で算出した薬剤付着率)÷〔100+(上記(2)で算出した薬剤付着率)〕

(4)〔薬剤含有率(絶乾)〕 薬剤含有率(絶乾)は、JIS P 8111条件下において調湿したティシュペーパーの質量(A)(g)及び、上記(2)で求めた抽出物の質量(B)(g)とから次式によって算出する。薬剤含有率(質量%)=(B)÷(A)×100(質量%)

なお、ティシュペーパーの質量(A)(g)と、薬液中の水分を除いた固形分比率とから算出してもよい。

〔官能試験〕 評価者を30人とし、各試料について、「柔らかさ」、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」の各官能性を、基準試料との比較で「大変優れている」と感じたものについては「5」、「優れている」と感じたものについては「4」、「基準と同等」と感じたものについては「3」、「劣る」と感じたものについては「2」、「顕著に劣る」と感じたものについては「1」と評価し、各評価者の平均点を算出したものを評価値とした。なお、「総合評価」は、「肌触りが良く、購入意向が大変高い」と感じたものについては「5」、「肌触りが良く、購入意向が高い」と感じたものについては「4」、「肌触りは普通で、購入意向が高いとも低いとも言えない」と感じたものについては「3」、「肌触りに劣り、購入意向が低い」と感じたものについては「2」、「肌触りが非常に劣り、購入意向はほぼない」と感じたものについては「1」と評価したもので、各評価者の平均点を算出したものを評価値とした。

〔試験結果〕

表1は、原紙の抄造条件や薬液の塗布量等を一定として薬剤中の薬剤中の1,3−プロパンジオールの配合量、それとの関係でグリセリンとの割合を変化させた各試料について試験した結果を示すものである。官能評価の基準試料は、1,3−プロパンジオールを含まないグリセリンを主成分としたもの(比較例1)である。また、その官能評価の結果をグラフ化したものは図1に示す。

表1及び図1に示されるとおり、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が本発明の範囲である場合に「柔らかさ」、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」、「総合評価」の各評価項目において基準試料に比して顕著に優れた結果となった。特に、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」においては、非常に顕著に高い評価となった。このことから、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比を本発明の範囲とすると「滑らかで、しっとり」しつつも、「べたつき」を感じがたいものとなると認められる。

また、この表1から、薬剤の含有量が本発明の範囲内であっても、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が本発明の範囲外であると評価が良好とはならないことも確認できる。

表2は、主に薬剤の含有量を変化させた各試料について試験した結果を示すものである。官能評価の基準試料は、薬剤を付与していない汎用のもの(比較例8)である。また、実施例8〜15及び比較例8〜11の官能評価の結果をグラフ化したものを図2に示す。表2及び図2に示されるとおり、薬剤の含有量が本発明の範囲である場合に「柔らかさ」、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」の各評価項目において基準試料に比して顕著に優れた結果となった。特に、「滑らかさ」、「しっとり感」、「べたつき感」においては、非常に顕著に高い評価となった。このことから、薬剤の含有量を本発明の範囲とすると「滑らかで、しっとり」しつつも、「べたつき」を感じがたいものとなると認められる。また、この表2からは、薬剤の含有量が本発明の範囲よりも低い場合又は高い場合には、グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が本発明の範囲内であっても評価が良好とはならないことも確認できる。

また、比較例12に着目してみると、薬剤中におけるグリセリンと1,3−プロパンジオールと合わせた割合が本発明の範囲内であっても、グリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせた質量%グリセリンと1,3−プロパンジオールの質量比が本発明の範囲内ではない場合には、顕著な効果が確認されなかった。

〔まとめ〕 以上の各試験の結果から、薬剤中におけるグリセリンと1,3−プロパンジオールとを合わせた割合、グリセリンと1,3−プロパンジオールの配合割合及び薬剤含有量を本発明の範囲とすることにより、特に「しっとり感」と「滑らかさ」がともに向上し、「しっとり感」を有しつつも、「滑らかさ」を顕著に感じることができるティシュペーパーとなる。

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