浴室用床パン

申请号 JP2018077342 申请日 2018-04-13 公开(公告)号 JP2018178703A 公开(公告)日 2018-11-15
申请人 パナソニックIPマネジメント株式会社; 发明人 増川 功一; 楠 智和; 柴田 哲司;
摘要 【課題】運搬や据え付け作業が容易でかつ浴室使用時に不快感を感じさせることが少ない床パンを提供する。 【解決手段】洗場床構造部101と排 水 構造部102とを含む樹脂構造体10と、洗場床構造部の上面に設けられた溶射セラミック皮膜10cと、を備え、溶射セラミック皮膜の厚さが、0.05mm以上、1.0mm以下である。 【選択図】図1B
权利要求

洗場床構造部と排構造部とを含む樹脂構造体と、 前記洗場床構造部の上面に設けられた溶射セラミック皮膜と、 を備え、 前記溶射セラミック皮膜の厚さが、0.05mm以上、1.0mm以下である浴室用床パン。前記溶射セラミック皮膜の厚さが、0.5mm以下である請求項1記載の浴室用床パン。前記洗場床構造部の上面に目地溝が設けられたおり、該目地溝の内面に前記溶射セラミック皮膜が設けられた請求項1又は2に記載の浴室用床パン。前記樹脂構造体は、熱硬化樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の浴室用床パン。樹脂構造体は、無機フィラーを含む請求項1〜4のいずれかに記載の浴室用床パン。前記樹脂構造体と溶射セラミック皮膜の間に、前記溶射セラミック皮膜と比較して、充填密度が低いセラミック層もしくはセラミック粒子を添加分散させた樹脂層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の浴室用床パン。前記セラミック層又は前記樹脂層の色と前記溶射セラミック皮膜の色とは色相環における中心からの方向のなす度が60度以下の同系色である請求項6に記載の浴室用床パン。前記セラミック層の色又は樹脂層の色と前記溶射セラミック皮膜の色とは、色の明るさを0〜10の明度で表したときに、明度の差が2以下である請求項6に記載の浴室用床パン。前記樹脂構造体の色と前記溶射セラミック皮膜の色とは色相環における中心からの方向のなす角度が60度以下の同系色である請求項1〜8のいずれかに記載の浴室用床パン。前記樹脂構造体の色と前記溶射セラミック皮膜の色とは、色の明るさを0〜10の明度で表したときに、明度の差が2以下である請求項1〜9のいずれかに記載の浴室用床パン。前記樹脂構造体は、溶射セラミック皮膜が設けられた表面と対向する裏面に、補強リブを有する請求項1〜10のいずれかに記載の浴室用床パン。前記溶射セラミック皮膜の間隙部に樹脂を含む請求項1〜11のいずれかに記載の浴室用床パン。前記樹脂の色と前記溶射セラミック皮膜の色とは色相環における中心からの方向のなす角度が60度以内の同系色である請求項12に記載の浴室用床パン。前記樹脂の色と前記溶射セラミック皮膜の色とは、色の明るさを0〜10の明度で表したときに、明度の差が2以下である請求項12又は13に記載の浴室用床パン。前記樹脂は、フッ素または珪素を含む請求項12〜14のいずれかに記載の浴室用床パン。前記溶射セラミック皮膜の表面は、研磨面である請求項1〜15のいずれかに記載の浴室用床パン。

说明书全文

本発明は、浴室用床パンに関する。

回りの住宅設備機器としては、システムキッチン、ユニットバス、洗面化粧台及びトイレなどが挙げられる。これらの水回りの住宅設備機器には、耐久性が要求されるとともに、据え付けが容易であることが求められる。例えば、特許文献1には、床パン本体の洗い場にタイルを張った床パンが開示されている。

特開平8−303023号公報

しかしながら、タイルを張った床パンは、重いことから運搬や据え付け作業が容易ではないという問題がある。 また、タイルを張った床パンは、冷えたタイルの上に足をのせたときに急激に足の熱が奪われて冷やっとするなどの不快感を感じさせるという問題がある。

そこで、本発明は、運搬や据え付け作業が容易でかつ浴室使用時に不快感を感じさせることが少ない床パンを提供することを目的とする。

以上の目的を達成するために、本発明に係る浴室用床パンは、洗場床構造部と排水構造部とを含む樹脂構造体と、前記洗場床構造部の上面に設けられた溶射セラミック皮膜と、 を備え、前記溶射セラミック皮膜の厚さが、0.05mm以上、1.0mm以下である。

以上のように構成された本発明によれば、運搬や据え付け作業が容易でかつ浴室使用時に不快感を感じさせることが少ない床パンを提供することができる。

本発明に係る実施形態の浴室用床パンの斜視図である。

図1AのC−C線についての断面図である。

図1Bの一部を拡大して示す断面図である。

実施形態の浴室用床パンの断面を拡大して示す断面図である。

実施形態の浴室用床パンの製造工程の流れを模式的に示す図である。

実施形態に係る変形例の浴室用床パンの洗浄床部表面の一部を示す斜視図である。

実施形態に係る他の変形例の浴室用床パンにおける、溶射セラミック皮膜が形成される表面に対向する面を示す斜視図である。

以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態の浴室用床パンについて説明する。

実施形態 本発明に係る実施形態の床パン1は、図1Aに示すように、浴室用床パンであり、洗い場側の洗場床部11と排水部12とが一体で構成されている。実施形態の床パン1は、図1B及び図1Cに示すように、例えば、プレス成形により、洗場部と排水部が一体で成形された構造体である樹脂構造体10と、樹脂構造体10の上面に設けられた溶射セラミック皮膜10cとを備える。 尚、樹脂構造体10は、洗場床構造部101と排水構造部102とを有しており、洗場床構造部101の上面に設けられた溶射セラミック皮膜には10c1の符号を付し、排水構造部102の上面に設けられた溶射セラミック皮膜には10c2の部号を付している。また、図1B及び図1Cにおいて、15の符号を付して示しているのは、浴室用床パンを支える支持部である。

実施形態の床パン1において、溶射セラミック皮膜10cは、詳細後述するように構成される。 また、実施形態の床パン1は、図1A〜図1Cでは省略しているが図2及び図3に示すセラミック下地層10aを含んでいることが好ましい。

以上のように構成された実施形態の床パン1は、構造体が樹脂であることから軽量にでき、運搬や据え付け作業を容易にできる。例えば、実施形態の床パン1の外形は、長辺の長さが1500mm〜2000mm、短辺の長さが600mm〜1600mmの矩形であり、そのサイズでの重量を、大理石又はタイルを用いた床パンに比較すると15%〜30%軽くできる。

また、実施形態の床パン1は、主要な構造部である樹脂構造体10が熱伝導率の低い樹脂により構成されているので、床パン1の熱伝導を小さくできる。これにより、足をのせたときに足の裏からの熱が伝わりにくくなり急激に足の熱が奪われて冷やっとするなどの不快感を感じさせることがない。また、後述するように、溶射セラミック皮膜10cは気孔又は気孔に含浸(充填)された樹脂を含んでいるので、溶射セラミック皮膜10cそのものの熱伝導率もタイル等に比較すると小さくできる。加えて、溶射セラミック皮膜10cの厚さもタイル等に比較すると薄くできることから、溶射セラミック皮膜10cを伝わって奪われる熱も抑えることができる。このように、実施形態の床パン1は、主要な構造部が樹脂であること、溶射セラミック皮膜10cの熱伝導率を小さくできること、溶射セラミック皮膜10cの厚さを薄くできること等から浴室使用時の冷やっとするなどの不快感を極めて小さくできる。 また、床パン1は、大理石又はタイルを用いた床パンに比較すると冷め難いという利点もある。

さらに、実施形態の床パンは、樹脂構造体10の表面に耐熱性の高い溶射セラミック皮膜10cが設けられているので、耐熱性を高くでき、耐久性を高くできる。 また、溶射セラミック皮膜10cは、後述するように、溶射ガンにより溶射することにより形成することができる。これにより、洗場床部11と排水部12との屈曲した境界又は洗場床部11の屈曲部、排水部12内の屈曲部に均一の膜厚でかつ滑らかに形成することができ、美観に優れた床パンを提供することができる。 さらに、実施形態の床パン1は、溶射セラミック皮膜10cによって、例えば、大理石風の模様を再現したり、大理石のような質感を持たせたりすることが可能になり、美観及びデザイン性を向上させることができる。 以下、実施形態の床パン1の各構成部材について詳細に説明する。

樹脂構造体10 実施形態の床パン1において、樹脂構造体10は、洗場床構造部101と排水構造部102とを有しており、例えば、プレス成形により一体で作製される。樹脂構造体10の樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。また、樹脂構造体10は、無機フィラーを含んでいてもよい。無機フィラーを含むことにより、樹脂構造体10の熱膨張率を低下させ,後に堆積させる溶射セラミック皮膜の熱膨張率に近づけることができるとともに,樹脂構造体10の耐熱性を高めることができる。

溶射セラミック皮膜10c 実施形態の床パン1において、図2に示すように、溶射セラミック皮膜10cは、偏平なセラミック粒子100が隣接間で融着して堆積した被膜である。この溶射セラミック皮膜10cは、後述するように、加熱されて溶融又は軟化した多数のセラミック粒子が樹脂構造体10の表面に衝突して順次堆積することにより形成される。この溶射セラミック皮膜10cのセラミック材料としては、アルミナ(Al2O3)、ムライト(Al2O3−SiO2)、スピネル(Al2O3−MgO)、(チタニヤ(TiO2)、ジルコニア、ジルコン、酸化クロム、酸化コバルト等、またはそれらの混合物を用いることができる。溶射セラミック皮膜10cの膜厚は、特に限定されるものではないが、例えば、0.01〜3.0mmの範囲、好ましくは、0.05〜1.0mmの範囲、より好ましくは、0.2〜0.5mmの範囲に設定される。

ここで、溶射セラミック皮膜10cの膜厚を、好ましくは、1.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以下とすると、足をのせたときに急激に足の熱が奪われて冷やっとするなどの不快感を効果的に低減することができる。尚、不快感を効果的に低減することができるとは、溶射セラミック皮膜10cの膜厚を、1.0mm以上又は0.5mm以上とした場合に比較して1.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以下とすると効果的に低減できるという意味である。すなわち、溶射セラミック皮膜10cの膜厚を、1.0mm以下とした場合であっても、実施形態の床パン1によれば、タイルを用いた床パンに比較すると足をのせたときの冷やっとする不快感は大幅に抑えられる。 したがって、足をのせたときの冷やっとする不快感を抑えることを考慮すると、溶射セラミック皮膜10cの膜厚は、好ましくは、好ましくは、0.05以上、1.0mm以下の範囲、より好ましくは、0.05以上、0.5mm以下の範囲に設定される。

また、上述したように、溶射セラミック皮膜10cは、偏平なセラミック粒子100が隣接間で融着して堆積した被膜であることから、溶射後のセラミック粒子100間には気孔(間隙)が存在する。この溶射セラミック皮膜10cは、間隙部に充填された樹脂を含んでいてもよい。セラミック粒子100間の間隙部に充填された樹脂120は、溶射セラミック皮膜10cの内部への水や石けん水の侵入を防止して耐久性をさらに向上できる。溶射セラミック皮膜10cの間隙部に充填された樹脂102は、フッ素または珪素を含むことが好ましく、これにより、床パンの表面が汚れにくくなり、かつ清掃が容易になる。

また、溶射セラミック皮膜10cの表面は、研磨面であることが好ましく、これにより、美観に優れ、かつ汚れの付着を抑えることができ、さらに清掃が容易になる。

セラミック下地層10a 実施形態1の床パン1において、樹脂構造体10と溶射セラミック皮膜10cの間に、セラミック下地層10aを含んでいることが好ましい。セラミック下地層10aは、例えば、溶射セラミック皮膜10cに比較して、充填密度の低い、例えば、空孔の多いセラミック層からなる。また、セラミック下地層10aとして、セラミック粒子を添加分散させた樹脂層を用いてもよい。セラミック下地層10aは、溶射時の熱が樹脂構造体10に伝達されるのを抑制し、樹脂の溶融又は劣化を抑制する。また、溶射後は、溶射セラミック皮膜10cと樹脂構造体10の熱膨張率の差に起因する応を緩和することができ、セラミック下地層10aの剥離を防止し、床パン1の耐久性を向上させることができる。セラミック下地層10aのセラミック材料としては、ムライト、スピネル、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ジルコン、酸化クロム、酸化コバルト等、またはそれらの混合物を用いることができる。セラミック下地層10aは、気孔率を増加させた溶射法により形成することができる。あるいは、上記セラミック粒子を樹脂バインダで混合し、塗布することにより形成することができる。

次に、図3を参照しながら、床パン1の製造方法について説明する。 樹脂構造体成形工程 本製造方法では、まず、シート材を積層して金型で加熱加圧成形することにより樹脂構造体10をプレス成形により作製する。なお、実施形態1の床パン1では、例えば、型締めした金型のキャビティー内にモノマー樹脂を注入して硬化させて作製してもよい(注型成形)。尚、樹脂構造体10の成形方法は、プレス成形、注型成形に限定されず、例えば、射出成形により成形してもよい。

粗面化工程 次に、樹脂構造体10表面のうちの少なくとも溶射セラミック皮膜10cを形成する部分を粗面化する(図3(b))。具体的には、サンドブラスト、エッチング、サンドペーパーによる研磨を用いて、例えば、表面粗さが、Rz=1〜100μm好ましくは、Rz=5〜50μmより好ましくは、Rz=10〜30μmになるように粗面化する。以上のような方法によれば、例えば、洗場床部11と排水部12とが一体で構成された床パンであって、洗場床構造部101と排水構造部102とにわたって樹脂構造体10の上面全体を粗面化するような場合であっても均一な面粗さで粗面化できる。 また、この粗面化により、樹脂構造体10とセラミック下地層10a間、溶射セラミック皮膜10cを樹脂構造体10上に直接形成する場合には樹脂構造体10と溶射セラミック皮膜10c間の密着性を高くできる。さらに、上述の範囲の表面粗さになるように粗面化することにより、樹脂構造体10とセラミック下地層10a間、樹脂構造体10と溶射セラミック皮膜10c間の密着性をさらに高くできる。しかしながら、例えば、樹脂構造体10とセラミック下地層10aの材料適宜選択することにより、樹脂構造体10とセラミック下地層10a間の密着性が良好な場合には工程短縮のために粗面化工程を省略することができる。

アンダーコート工程 次に、粗面化した樹脂構造体10表面に、セラミック下地層10aを形成する(図3(c))。セラミック下地層10aは、溶射セラミック皮膜10cに比較して、充填密度が低い(言い換えれば、気孔率の高い)セラミック層であり、例えば、20〜50%により形成する。セラミック下地層10aの気孔率は、例えば、30%〜40%の範囲に設定する。 また、セラミック下地層10aはセラミック粒子を樹脂バインダと混合し、塗布することにより形成することもできる。前記、樹脂バインダは、エポキシ樹脂やアクリル樹脂により形成することができる。この、樹脂バインダとセラミック粒子の混合物を、スプレー塗装、コーターによる塗布、刷毛塗り等により粗面化した樹脂構造体10表面に配設することができる。乾燥後の樹脂バインダのセラミック粒子に対する体積配合比率は、通常、例えば、0.5〜50%、好ましくは5〜30%になるように調整される。しかしながら、乾燥後の樹脂バインダのセラミック粒子に対する体積配合比率は、用途により適宜変更され、例えば、床パンに適用される場合には、0.5〜60%、好ましくは10〜50%になるように調整される。

溶射工程 そして、セラミック下地層10aの上から溶射ガン7により溶融又は軟化させたセラミック粒子を衝突させてセラミック粒子を堆積させることにより溶射セラミック皮膜10cを形成する。溶射方法としては、フレーム溶射、アーク溶射、レーザー溶射、プラズマ溶射など、溶射対象、作業環境等を考慮して種々の溶射方法から選択することができる。 溶射工程では、複数の溶射ガン7を用いて同時に異なるセラミック粒子を溶射して溶射セラミック皮膜10cを形成するようにしてもよい。このようにすると、例えば、表面の色彩に変化を持たせて装飾性を向上させることができる。また、溶射工程では、複数の溶射ガンを用いて交互に異なるセラミック粒子を溶射して溶射セラミック皮膜10cを形成するようにしてもよい。このようにすると、例えば、耐食性と耐熱性などの複数の機能を併せ持った溶射セラミック皮膜を形成することができる。

封孔樹脂含浸工程 溶射により形成した溶射セラミック皮膜10cの気孔に樹脂を含浸(充填)させて硬化する(封孔処理)。含浸させる樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂やシリコーン樹脂等を使用することができる。この封孔処理は、溶射により溶射セラミック皮膜10cを形成すると、溶射直後の皮膜には、例えば、1〜10%の気孔率で気孔が存在する。このような気孔が存在すると、腐食の原因となる物質が気孔を通って樹脂構造体10に達して樹脂構造体10が腐食する可能性がある。封孔処理は、これを防止するために行う。また、溶射セラミック皮膜10cの気孔すなわち間隙部に樹脂を含むと、気孔が塞がれるので、間隙部が汚染されることがなく清掃が容易である。

以上のように構成された実施形態の製造方法によれば、安価な樹脂を用いて樹脂構造体10を例えばプレス成形により効率良く作製してそれぞれ溶射ガンにより溶射セラミック皮膜10cを形成することにより、床パンを大量生産することができる。 したがって、実施形態の製造方法によれば、軽量で耐久性が高い床パンを安価に製造することができる。

以上の実施形態の床パン1では、図1B及び図1Cに示すように、樹脂構造体10の洗場床構造部101と排水構造部102とにわたって樹脂構造体10の上面全体に溶射セラミック皮膜10cを形成した。 しかしながら、本発明では、樹脂構造体10の上面の少なくとも一部に溶射セラミック皮膜10cを設けるようにしてもよい。例えば、床パン1では、樹脂構造体10の洗場床構造部101の上面のみに溶射セラミック皮膜10c1を設けるようにしてもよい。このようにしても、軽量でかつ運搬や据え付け作業が容易な床パンを提供することができる。 また、足をのせたときに足の裏からの熱が伝わりにくくなり急激に足の熱が奪われて冷やっとするなどの不快感を感じさせることがない床パンを提供することができる。

以上の実施形態の床パン1では、好ましい形態として、セラミック下地層10aを含む床パン1及びその製造方法について説明した。 しかしながら、本発明において、セラミック下地層10aは必要に応じて形成されるものであり、任意である。 例えば、樹脂構造体10を耐熱性の高い樹脂を用いて構成することにより、樹脂構造体10の熱劣化を抑えてセラミック下地層10aを省略することができる。 また、溶射工程において、溶射するセラミック粒子の粒径を小さくしたり溶融又は軟化を維持しつつセラミック粒子の温度を抑えることにより、樹脂構造体10の熱劣化を抑え、セラミック下地層10aを省略することができる。

以上の実施形態の床パン1では、好ましい形態として、溶射セラミック皮膜10cのセラミック粒子100間の間隙に樹脂を含む構成について説明した。 しかしながら、本発明において、樹脂は、セラミック粒子100間の間隙に必要に応じて充填されるものであり、任意である。 例えば、樹脂構造体10及びセラミック粒子100を耐薬品性の高い材料で構成することにより、床パン1の耐久性を向上させて、セラミック粒子100間の樹脂充填をなくしてもよい。 また、セラミック粒子100間に樹脂を充填することなく、溶射セラミック皮膜10cの表面を樹脂コートするようにしてもよい。

実施形態の床パン1では、洗場床部11の上面に、デザイン性や滑り防止を目的として目地溝25を形成するようにしてもよい。例えば、目地溝25は、図4に示すように、交差するように設けられた縦目地溝25aと横目地溝25bを含む。図4では、目地溝25に囲まれた凸部には、29の符号を付し、縦目地溝25aと横目地溝25bとが交差する交差部には、26の符号を付して示している。 実施形態の床パン1において、目地溝25を形成することにより、洗場床部11の上面のデザイン性を高め、目地溝25により洗場床部11上を滑りにくくすることができる。

また、実施形態の床パン1は、樹脂構造体10の上面に溶射セラミック皮膜10cが設けられ、床パン1の表面が溶射セラミック皮膜10cの表面により構成されているので、目地溝25を設けた場合であっても長期間にわたり美観を維持できる。 すなわち、目地溝は、通常、タイルを用いた床パンにおいて、タイル間に形成されるものであるが、タイル間に形成された目地溝は、カビ等により一定期間使用した後は汚れが目立つようになり、その汚れは容易には落とすことができない。しかしながら、実施形態の床パン1は、樹脂構造体10の上面に溶射セラミック皮膜10cが設けらている。そして、その溶射セラミック皮膜10cは、間隙部にフッ素または珪素を含む樹脂120を充填することにより、表面の汚れを防止できかつ清掃しやすくできる。また、溶射セラミック皮膜10cの表面を研磨面とすることにより、さらに汚れの付着を抑えよりいっそう清掃しやすくできる。実施形態の床パン1において、目地溝25を形成した場合には、その目地溝の内部にも溶射セラミック皮膜10cを形成することにより、長期間にわたり汚れの少ない美観を維持することが可能になる。

実施形態の床パン1では、図5に示すように、樹脂構造体において溶射セラミック皮膜が設けられる表面と対向する裏面に補強リブ51を設けるようにしてもよい。 このようにすると、溶射時における樹脂構造体の反り又は変形を抑制することができる。

本発明では、さらに、実施形態の床パン1において、溶射セラミック皮膜10cの色と樹脂構造体の色及び/又はセラミック下地層10aの色とは同系色であることが好ましい。ここで、同系色とは、色相環における中心からの方向のなす度が60度以下であることをいう。より好ましくは、溶射セラミック皮膜10cの色と樹脂構造体の色及び/又はセラミック下地層10aの色が、色相環における中心からの方向のなす角度が30度以下となるようにする。これにより、樹脂構造体の色及び/又はセラミック下地層10aの色の影響(樹脂構造体及び/又はセラミック下地層10aの色が透けて見えること)による美観の低下を抑制できる。また、樹脂構造体の色及び/又はセラミック下地層10aの色の影響により表面の美観を低下させない範囲で溶射セラミック皮膜10cを薄くすることが可能になり、溶射時間が短縮できる。これにより実施形態の床パンを安価に製造できる。

溶射セラミック皮膜10cの色と樹脂構造体の色及び/又はセラミック下地層10aの色とを同系色とするためには、例えば、以下のようにすればよい。溶射セラミック皮膜10cの溶射材料として、例えば、茶系色のジルコニア、ジルコン、緑色の酸化クロム、濃紺色の酸化コバルト等、又はそれらの混合物を用いて所望の色相の溶射セラミック皮膜を形成することができる。また、溶射セラミック皮膜10cに比較して充填密度の低いセラミック層からなるセラミック下地層10aは、例えば、溶射セラミック皮膜10cと同様の材料を用いてセラミック層を形成する。これにより、溶射セラミック皮膜10cと同系色のセラミック下地層10aを形成することができる。また、セラミック粒子を分散させた樹脂層を用いたセラミック下地層10aの色は、セラミック粒子として溶射セラミック皮膜10cと同様の材料を用い、さらに樹脂材料として後述の樹脂構造体の色相を調整する顔料を用いて所望の色に調整できる。

樹脂構造体10は、数多くある公知の無機顔料又は有機顔料から適宜に選択して成形樹脂に含有させることにより所望の色の樹脂構造体を作製することができる。無機顔料としては、カーボンブラック,酸化チタンなど、有機顔料としては、アゾ顔料や多環顔料が使用可能である。

本発明では、さらに、実施形態の床パン1において、溶射セラミック皮膜10cと樹脂構造体及び/又はセラミック下地層10aとは、色の明るさである明度の差が小さいことが好ましい。具体的には、溶射セラミック皮膜10cと樹脂構造体及び/又はセラミック下地層10aとの明度差は、色の明るさを0〜10の明度で表したときに、明度の差が2以下であることが好ましい。より好ましくは、溶射セラミック皮膜10cと樹脂構造体及び/又はセラミック下地層10aとの明度差は、色の明るさを0〜10の明度で表したときに、明度の差が1以下である。このようにすると、樹脂構造体及び/又はセラミック下地層10aの明度の影響を小さくし、実質的に溶射セラミック皮膜10cの明度のみにより、樹脂成形体の表面の明度を設定できる。これにより、樹脂成形体の表面の明度の製造バラツキを小さくできる。また、樹脂構造体及び/又はセラミック下地層10aの明度の影響を小さく抑えつつ溶射セラミック皮膜10cを薄くすることが可能になり、溶射時間が短縮できる。これにより実施形態1〜4の樹脂成形体を安価に製造できる。

溶射セラミック皮膜10cの明度は、例えば、上記溶射材料から適宜選択し、単独又は複数の溶射材料の混合割合を調整して溶射することにより調整できる。溶射セラミック皮膜10cに比較して充填密度の低いセラミック層からなるセラミック下地層10aの明度は、例えば、溶射セラミック皮膜10cと同様にしてセラミック層を形成する。これにより、溶射セラミック皮膜10cとの明度差が小さいセラミック下地層10aを形成することができる。また、セラミック粒子を添加分散させた樹脂層を用いたセラミック下地層10aの明度は、セラミック粒子として溶射セラミック皮膜10cと同様の材料を用い、さらに樹脂材料として色相を調整する顔料の含有量を調整して明度を調整することができる。

樹脂構造体の明度は、成形樹脂に含有させる顔料の混合比及び含有量を調整することにより調整できる。

溶射セラミック皮膜10cを無彩色とする場合には、例えば、ホワイトアルミナとチタニアとの混合比を調整した溶射材料を用いて溶射セラミック皮膜を形成することにより明度を調整することができる。例えば、ホワイトアルミナのみを溶射材料として用いて溶射セラミック皮膜を形成すると、明度がほぼ10になる。例えば、チタニアのみを溶射材料として用いて溶射セラミック皮膜を形成すると、明度がほぼ0になる。

充填密度の低いセラミック層からなるセラミック下地層10aを無彩色とする場合は、溶射セラミック皮膜10cと同様に、例えば、ホワイトアルミナとチタニアとの混合比を調整した溶射材料を用いて明度を調整することができる。セラミック粒子を分散させた樹脂層であるセラミック下地層10aの明度は、セラミック粒子をホワイトアルミナとチタニアとしその混合比を調整することにより調整することができる。また、セラミック下地層10aの明度は、ホワイトアルミナとチタニアとしその混合比を調整することに代え又は加えて樹脂に含有させる顔料である酸化チタンとカーボンブラックの混合比及び含有量を調整することにより調整できることもできる。

無彩色である樹脂構造体の明度は、成形樹脂に含有させる顔料である酸化チタンとカーボンブラックの混合比及び含有量を調整することにより調整できる。ここで、酸化チタンは白色顔料であり、カーボンブラックは黒色顔料である。

またさらに、本発明では、溶射セラミック皮膜の間隙部に含ませる樹脂の色と溶射セラミック皮膜の色とは、色相環における中心からの方向のなす角度が60度以内の同系色であることが好ましい。溶射セラミック皮膜の間隙部に含ませる樹脂の色は、樹脂成形体と同様、注入する樹脂の色は、数多くある公知の無機顔料又は有機顔料から適宜に選択して注入樹脂に含有させることにより所望の色に調整できる。溶射セラミック皮膜の色は、上述したように調整できる。溶射セラミック皮膜の間隙部に含ませる樹脂の明度と溶射セラミック皮膜の明度とは、色の明るさを0〜10の明度で表したときに、明度の差が2以下であることが好ましい。

1 床パン 7 溶射ガン 10,20,30,40 樹脂構造体 10a セラミック下地層 10c 溶射セラミック皮膜 11 洗場床部 12 排水部 51 補強リブ 100 セラミック粒子 120 樹脂

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