樹脂組成物

申请号 JP2010546670 申请日 2010-01-19 公开(公告)号 JPWO2010082658A1 公开(公告)日 2012-07-05
申请人 味の素株式会社; 发明人 中村 茂雄; 茂雄 中村; 有希 山本; 有希 山本; 成一郎 大橋; 成一郎 大橋;
摘要 硬化物の誘電正接が低く、かつ導体との密着強度に優れた樹脂組成物を提供する。特定のシアネートエステル樹脂、硬化性ポリビニルベンジル化合物、および金属系硬化触媒を含有する樹脂組成物。
权利要求
  • (A)下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、(B)硬化性ポリビニルベンジル化合物、および(C)金属系硬化触媒、を含有することを特徴とする樹脂組成物。 (ただし、nは0〜5である。)
  • 樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(A)の含有量が3〜60質量%、成分(B)の含有量が0.5〜50質量%、成分(C)の金属系硬化触媒に基づく金属の含有量が25〜500ppmである、請求項1記載の樹脂組成物。
  • 金属系硬化触媒が、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガンおよびスズから選択される1種以上の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  • さらにポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびポリエステル樹脂から選択される1種以上の高分子樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  • 高分子樹脂の含有量が、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し1〜20質量%である、請求項4記載の樹脂組成物。
  • さらに無機充填材を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  • 無機充填材の含有量が、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、10〜70質量%である、請求項6記載の樹脂組成物。
  • 無機充填材がシリカである、請求項6又は7記載の樹脂組成物。
  • ピール強度が0.4kgf/cm〜1.0kgf/cmであって、算術平均粗さが50nm〜440nmであって、誘電正接が0.0030〜0.0079である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  • 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物が支持体上に層形成されてなる接着フィルム。
  • 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されてなるプリプレグ。
  • 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により絶縁層が形成されてなる多層プリント配線板。
  • 说明书全文

    本発明は、多層プリント配線板等の絶縁層形成に好適な樹脂組成物に関する。

    多層プリント配線板の絶縁層に使用する樹脂組成物としては、シアネートエステル樹脂を含有する樹脂組成物が誘電特性に優れた絶縁層を形成できることが知られており、例えば、特許文献1には、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂を含有する多層プリント配線板用の樹脂組成物が開示されているが、その誘電正接の低さは十分と言えるものでは無かった。

    また、近年さらに高密度微細配線の形成が望まれており、絶縁層表面の粗度を低く抑え、なおかつ十分な導体層との密着強度を得ることが重要な課題となっている。 これは粗度が大きいと、そのアンカーに潜り込んだめっき部がエッチングで除去されず、高密度配線形成が困難である上、その後の絶縁信頼性を著しく悪化させるからである。 また配線が高密度化された多層プリント配線板では、銅配線と絶縁層との熱膨張率の違いによるクラック発生等の問題が生じやすくなるため、絶縁層の熱膨張率を低く抑えることも要求される。

    低誘電正接を特徴とし絶縁層に適したものとしてはポリビニル化合物を含有する樹脂組成物が、特許文献2に開示されているが、該組成物の硬化物においては、エラストマー成分を必須としていたため熱膨張率の低さが十分でないという問題があったし、銅箔を支持体として使用したメッキによる導体層形成のみが検討されていた。

    国際公開2003/099952号パンフレット

    国際公開2006/059750号パンフレット

    本発明の課題は、硬化物の誘電正接が低く、かつ導体との密着強度に優れた樹脂組成物を提供することにあり、さらには、該硬化性樹脂組成物を用いた接着フィルム、およびプリプレグ、該接着フィルム等を用いたプリント配線板等の電子部品、並びにその製造方法を提供することにある。

    本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のシアネートエステル樹脂、硬化性ポリビニルベンジル化合物、および金属系硬化触媒、を含有することを特徴とする樹脂組成物により本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は以下の内容を含むものである。

    [1](A)下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、(B)硬化性ポリビニルベンジル化合物、および(C)金属系硬化触媒、を含有することを特徴とする樹脂組成物。 (ただし、nは0〜5である。)

    [2]樹脂組成物の不揮発分を100質量%とした場合、成分(A)の含有量が3〜60質量%、成分(B)の含有量が0.5〜50質量%、成分(C)の金属系硬化触媒に基づく金属の含有量が25〜500ppmである、上記[1]記載の樹脂組成物。
    [3]金属系硬化触媒が、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガンおよびスズから選択される1種以上の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩である上記[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
    [4]さらにポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびポリエステル樹脂から選択される1種以上の高分子樹脂を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
    [5]高分子樹脂の含有量が、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し1〜20質量%である、上記[4]記載の樹脂組成物。
    [6]さらに無機充填材を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
    [7]無機充填材の含有量が、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、10〜70質量%である、上記[6]記載の樹脂組成物。
    [8]無機充填材がシリカである、上記[6]または[7]記載の樹脂組成物。
    [9]ピール強度が0.4kgf/cm〜1.0kgf/cmであって、算術平均粗さが50nm〜440nmであって、誘電正接が0.0030〜0.0079である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
    [10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物が支持体上に層形成されてなる接着フィルム。
    [11]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材中に含浸されてなるプリプレグ。
    [12]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により絶縁層が形成されてなる多層プリント配線板。

    本発明によれば、多層プリント配線板の絶縁層形成に好適な樹脂組成物であって、樹脂組成物により形成される絶縁層が、低誘電正接、低熱膨張率であり、均一な粗化面が形成でき、低粗度においても絶縁層と導体層の高い密着性を維持できる樹脂組成物が提供される。

    [(A)下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂]
    本発明の樹脂組成物には、下記一般式(1)で表されるジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂が使用される。

    一般式(1)で示される樹脂は、ロンザジャパン(株)製、DT−4000、DT−7000として入手可能である。 繰り返し単位nは、特に限定されるものではないが、好ましくは0〜5であり、より好ましくは0〜3であり、更に好ましくは0〜2である。

    樹脂組成物中の該シアネートエステル樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、好ましくは3〜60質量%であり、より好ましくは10〜30質量%であり、更に好ましくは15〜25質量%である。 該シアネートエステル樹脂の含有量が少なすぎると、耐熱性が低下する傾向、熱膨張率が増加する傾向にある。 シアネートエステル樹脂の含有量が多すぎると、めっき導体層の密着強度が低下する傾向にある。

    なお、別構造のシアネートエステル樹脂、例えば、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型など)シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型など)シアネートエステル樹脂およびこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどを、該シアネートエステル樹脂と組み合わせて使用してもよい。
    市販されているシアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製、PT30)、ビスフェノールAジシアネート(ロンザジャパン(株)製、Badcy)、ビスフェノールAジシアネートの一部または全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー(ロンザジャパン(株)製、BA230)等が挙げられる。

    [(B)硬化性ポリビニルベンジル化合物]
    本発明における硬化性ポリビニルベンジル化合物は、分子内に2以上のビニルベンジル基を有する化合物であり、例えば、インデン化合物を、(i)ビニルベンジルハライドとアルカリ存在下に反応させる方法、(ii)ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物とアルカリ存在下に反応させる方法、もしくは(iii)フルオレン化合物、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物とアルカリ存在下に反応させる方法(特開2003−277440号公報参照)、または(iv)フルオレン化合物およびビニルベンジルハライドをアルカリ存在下に反応させる方法(国際公開02/083610号パンフレット)等により製造することができる。 硬化性ポリビニルベンジル化合物は、低誘電正接という観点から分子内にヘテロ原子を含まないものが好ましい。

    樹脂組成物中の硬化性ポリビニルベンジル化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、0.5〜50質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、5〜25質量%が更に好ましく、5〜15質量%が更に一層好ましい。 硬化性ポリビニルベンジル化合物の含有量が少なすぎると、誘電正接が増加する傾向にある。 一方、硬化性ポリビニルベンジル化合物の含有量が多すぎると、密着性が低下する傾向にある。

    インデン化合物としては、例えば、以下の式(2)で表されるインデン化合物が挙げられる。

    式中、R は、同一または異なっていてもよく、素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)およびチオアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のチオアルコキシ基)からなる群より選択される1つの基を示し(または2以上のR が一体となって環を形成していてもよい)、pは0〜4の整数を示す。 環を形成する場合としては、5〜8員のシクロアルキル環、ベンゼン環等の環が縮環した構造を挙げることができる。

    フルオレン化合物としては、例えば、以下の式(3)で表されるフルオレン化合物が挙げられる。

    式中、R は、同一または異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)およびチオアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のチオアルコキシ基)からなる群より選択される1つの基を示し(または2以上のR が一体となって環を形成していてもよい)、mは0〜4の整数を示す。 環を形成する場合としては、5〜8員のシクロアルキル環、ベンゼン環等の環が縮環した構造を挙げることができる。

    ビニルベンジルハライドとしては、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド及びこれらの任意の混合物等が挙げられる。 また炭素数2〜20のジハロメチル化合物としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタン等のアルキレンジハライド、o−キシリレンジクロライド、o−キシリレンジブロマイド、m−キシリレンジクロライド、m−キシリレンジブロマイド、p−キシリレンジクロライド、p−キシリレンジブロマイド、4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス(クロロメチル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(クロロメチル)ジフェニルスルフィド、2,6−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,4−ビス(クロロメチル)ナフタレン等のジハロメ� ��ル化合物を挙げることができる。

    アルカリとしては、例えば、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。

    このような硬化性ポリビニルベンジル化合物は、特開2003−277440号公報、国際公開02/083610号パンフレットの記載に従って容易に製造することができる。

    好ましい硬化性ポリビニルベンジル化合物としては、以下の式(4)で表されるものを挙げることができる。 式(4)の化合物は、ビニル基が重付加したダイマー構造となっていても良い。

    式(4)中、R は上記の炭素数2〜20のジハロメチル化合物の炭素鎖に由来する炭素数2〜20の2価の有機基を示し、R は、同一または異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基)およびチオアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5のチオアルコキシ基)からなる群より選択される1つの基を示し(または2以上のR が一体となって環を形成していてもよい)、mは0〜4の整数を示し、nは0〜20の整数を示す。 環を形成する場合としては、5〜8員のシクロアルキル環、ベンゼン環等の環が縮環した構造を挙げることができる。

    特に好ましい硬化性ポリビニルベンジル化合物としては、以下の式(5)で表されるものを挙げることができる。

    (式(5)中、R は上記の炭素数2〜20のジハロメチル化合物の炭素鎖に由来する炭素数2〜20の2価の有機基(好ましくはアルキレン基)、nは0〜20の整数を示す)

    市場で入手可能なものとしては昭和高分子(株)製のポリビニルベンジル樹脂V−5000X(硬化物のTg154℃、比誘電率2.63、誘電正接0.0016)、V−6000X(硬化物のTg136℃、比誘電率2.59、誘電正接0.0013)などが挙げられる。

    本発明における硬化性ポリビニルベンジル化合物は、硬化性ポリビニルベンジルエーテル化合物であっても良い。 例えば、1分子中に2個以上のヒドロキシベンジル基を有する化合物(ポリフェノール化合物)をビニルベンジルハライドとアルカリ存在下に反応させることによって得ることが出来る(特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報参照)。

    ポリフェノール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラック樹脂、フェノールとベンズアルデヒドの縮合物、ザイロック(Xylok)型フェノール樹脂等が挙げられる。 これら化合物の芳香環はアルキル基、ハロゲンなどで置換されていてもよい。

    ビニルベンジルハライドおよびアルカリとしては、上記で記載したものが挙げられる。

    代表的なポリビニルベンジルエーテル化合物としては、以下の式(6)で表されるものを挙げることができる(特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報等参照)。

    式(6)中、R はメチル基またはエチル基、R は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、R は水素原子またはビニルベンジル基(但し、水素原子とビニルベンジル基のモル比は60:40〜0:100の範囲である)、nは2〜4の整数を表す。
    炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基などが挙げられる。

    これらポリビニルベンジルエーテル化合物は特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報の記載に従って容易に製造することができる。

    市場で入手可能なものとしては昭和高分子(株)製V−1000X(硬化物のTg160℃、比誘電率2.7、誘電正接0.0045)、V−1100X(硬化物のTg171℃、比誘電率2.56、誘電正接0.0038)などが挙げられる。

    これらポリビニルベンジル化合物は、異なる種類のものを2種以上混合して用いてもよい。

    [(C)金属系硬化触媒]
    本発明において使用される金属系硬化触媒としては、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。 有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。 有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。 金属系硬化触媒としては、硬化性、溶剤溶解性の観点から、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトナートが好ましく、特にコバルト(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛が好ましい。 金属系硬化触媒は2種以上を組み合わせて使用してもよい。

    金属系硬化触媒の添加量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、金属系硬化触媒に基づく金属の含有量が25〜500ppm、より好ましくは40〜200ppmとなる範囲で添加するのが好ましい。 25ppm未満であると、低粗度の絶縁層表面への密着性に優れる導体層の形成が困難となる傾向にあり、500ppmを超えると、樹脂組成物の保存安定性、絶縁性が低下する傾向となる。

    本発明の樹脂組成物は(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有し、該樹脂組成物により形成される絶縁層が、低粗度、低誘電正接であり、絶縁層と導体層の高い密着性を維持できる。

    本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する樹脂組成物の硬化物のピール強度は、後述する<メッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定及び評価>に記載の測定方法により把握することができる。

    本発明の樹脂組成物の硬化物のピール強度の上限値は、0.5kgf/cmが好ましく、0.6kgf/cmがより好ましく、0.7kgf/cmが更に好ましく、1.0kgf/cmが更に一層好ましい。 本発明の樹脂組成物の硬化物のピール強度の下限値は、0.4kgf/cmが好ましく、0.45kgf/cmがより好ましい。

    本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する樹脂組成物の硬化物の表面粗度は、後述する<粗化後の算術平均粗さ(Ra値)の測定及び評価>に記載の測定方法により把握することができる。

    本発明の樹脂組成物の硬化物の表面粗度の上限値は、440nmが好ましく、400nmがより好ましく、370nmが更に好ましい。 本発明の樹脂組成物の硬化物の表面粗度の下限値は、250nmが好ましく、200nmがより好ましく、150nmが更に好ましく、100nmが更に一層好ましく、50nmが特に好ましい。

    本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する樹脂組成物の硬化物の誘電正接は、後述する<誘電正接の測定及び評価>に記載の測定方法により把握することができる。

    本発明の樹脂組成物の硬化物の誘電正接の上限値は、0.0079が好ましく、0.0075がより好ましく、0.0070が更に好ましい。 本発明の樹脂組成物の硬化物の誘電正接の下限値は、0.0050が好ましく、0.0040がより好ましく、0.0030が更に好ましい。

    [高分子樹脂]
    本発明の樹脂組成物は、さらに特定の高分子樹脂を含有させることで、硬化物の機械強度や接着フィルムの形態で使用する場合のフィルム成型能を向上させることが可能である。 このような高分子樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。 高分子樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。 高分子樹脂としては、特にポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂が好ましく、フェノキシ樹脂がより好ましい。

    ポリビニルアセタール樹脂としては、特にポリビニルブチラール樹脂が好ましい。 ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製、電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製エスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。 ポリビニルアセタール樹脂はガラス転移温度が80℃以上のものが特に好ましい。 ここでいう「ガラス転移温度」はJIS K 7197に記載の方法に従って決定される。 なお、ガラス転移温度が分解温度よりも高く、実際にはガラス転移温度が観測されない場合には、分解温度を本発明におけるガラス転移温度とみなすことができる。 なお、分解温度とは、JIS K 7120に記載の方法に従って測定したときの質量減少率が5%となる温度で定義される。

    フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、トリメチルシクロヘキサン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。 なかでも、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格が好ましい。 フェノキシ樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。 フェノキシ樹脂の末端はフェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。

    フェノキシ樹脂の具体例としては東都化成(株)製FX280、FX293、ジャパンエポキシレジン(株)製1256、4250(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、YX8100(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、YX6954、YL6974、YL7482、YL7553、YL6794(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、YL7213、YL7290等が挙げられる。 フェノキシ樹脂はガラス転移温度が80℃以上のものが好ましく、100℃以上のものが特に好ましい。

    高分子樹脂の重量平均分子量は5,000〜200,000の範囲であるのが好ましく、15,000〜100,000の範囲がより好ましく、30,000〜80,000の範囲が更に好ましい。 この範囲よりも小さいとフィルム成型能や機械強度向上の効果が十分発揮されない傾向にあり、この範囲よりも大きいとシアネートエステル樹脂及びエポキシ樹脂との相溶性が低下し、絶縁層表面の粗化処理後の粗度が増大する傾向にある。

    なお本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。 GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。

    樹脂組成物中の高分子樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは2〜15質量%であり、更に好ましくは2〜10質量%である。 高分子樹脂の含有量が少なすぎるとフィルム成型能や機械強度向上の効果が発揮されにくい傾向にあり、多すぎると粗化工程後の絶縁層表面の粗度が増大する傾向にある。

    [無機充填材]
    本発明の樹脂組成物には、当該樹脂組成物から得られる絶縁層の熱膨張率をさらに低下させるために無機充填材を添加してもよい。 無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられ、これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカが特に好適である。 シリカとしては球状のものが好ましい。 無機充填材は2種以上を組み合わせて使用してもよい。 無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、絶縁層への微細配線形成の観点から好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下である。 なお、無機充填材の平均粒径が小さくなりすぎると、当該樹脂組成物を樹脂ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下する傾向にあるため、平均粒径は0.05μm以上であるのが好ましい。 上記無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。 具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。 測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。 レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。

    無機充填材は、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の表面処理剤で表面処理してその耐湿性を向上させたものが好ましい。 無機充填材の添加量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、10〜70質量%の範囲が好ましく、15〜60質量%の範囲がより好ましく、20〜55質量%の範囲が更に好ましい。 無機充填材の含有量が多すぎると、硬化物が脆くなる傾向や、ピール強度が低下する傾向にある。

    [ゴム粒子]
    本発明の樹脂組成物には、メッキ密着性を向上させるという観点から、ゴム粒子をさらに添加することができる。 本発明において使用され得るゴム粒子は、例えば、当該樹脂組成物のワニスを調製する際に使用する有機溶剤にも溶解せず、必須成分であるシアネートエステル樹脂やポリビニルベンジル化合物などとも相溶しないものである。 従って、該ゴム粒子は、本発明の樹脂組成物のワニス中では分散状態で存在する。 このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。

    本発明で使用され得るゴム粒子の好ましい例としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。 コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、または外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。 ガラス状ポリマーの層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマーの層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。 ゴム粒子は2種以上を組み合わせて使用してもよい。 コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、スタフィロイドAC3832、AC3816N(商品名、ガンツ化成(株)製)、メタブレンKW−4426(商品名、三菱レイヨン(株)製)などが挙げられる。 架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、XER−91(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。 架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、XSK−500(平均粒径0.5μm、JSR(株)製)などが挙げられる。 アクリルゴム粒子の具体例としては、メタブレンW300A(平均粒径0.1μm)、W450A(平均粒径0.2μm)(三菱レイヨン(株)製)などを挙げることができる。

    配合するゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。 本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。 例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。

    ゴム粒子の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。

    [エポキシ樹脂]
    本発明の樹脂組成物は、密着性、絶縁性の向上という観点から、エポキシ樹脂を更に含有させることができる。 エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、リン含有エポキシ樹脂等を挙げることができる。 なかでも、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。 エポキシ樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。

    市販されているエポキシ樹脂としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製「jER828EL」(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、大日本インキ化学工業(株)製「HP4032」、「HP4032D」(ナフタレン型2官能エポキシ樹脂)、大日本インキ化学工業(株)製「HP4700」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「ESN−475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、日本化薬(株)製「NC3000H」、「NC3000L」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX8800� ��(アントラセン骨格含有型エポキシ樹脂)などが挙げられる。

    本発明のエポキシ樹脂の含有量の上限値は、誘電特性の低下を防止するという観点から、樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、40質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、25質量%がさらに好ましい。 一方、エポキシ樹脂の含有量の下限値は、エポキシ樹脂を配合する効果を得るという観点から、3質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。

    [その他の熱硬化性樹脂]
    本発明の樹脂組成物は、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲でマレイミド化合物、ビスアリルナジイミド化合物などの熱硬化性樹脂を配合することもできる。 このような熱硬化性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。 マレイミド樹脂としては、BMI−1000、BMI−2000、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100(大和化成工業(株)製)、BMI、BMI−70、BMI−80(ケイ・アイ化成(株)製)、ANILIX−MI(三井化学ファイン(株)製)など、ビスアリルナジイミド化合物としては、BANI−M、BANI−X(丸善石油化学工業(株)製)などが挙げられる。

    [アクリレート化合物、メタクリレート化合物]
    本発明の樹脂組成物は、必要に応じて本発明の効果が発揮される範囲でアクリレート化合物、メタクリレート化合物などの重合性化合物を配合することもできる。 このような化合物として、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)モノアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキ� ��−3−(メタ)アクリレート、エポキシアクレート(例えば、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート及びカルボキシル基含有クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等)、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。

    [難燃剤]
    本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で難燃剤を含有しても良い。 難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。 有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX305等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製のYL7613等のリン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。 有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)製のSPB100、SPE100、(株)伏見製作所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。 金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。

    [その他成分]
    本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を配合することができる。 他の成分としては、例えば、ダウ・ケミカル日本(株)製FORTEGRA等のタフナー、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シラン系カップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤などを挙げることができる。

    本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合する方法などが挙げられる。

    本発明の樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、接着フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、回路基板、ソルダーレジスト、アンダ−フィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途の広範囲に使用できる。 なかでも、多層プリント配線板の製造において絶縁層を形成するために好適に使用することができる。 本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して絶縁層を形成することもできるが、工業的には一般に、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料の形態で用いるのが好ましい。 樹脂組成物の軟化点は、シート状積層材料のラミネート性の観点から40〜150℃が好ましい。

    [接着フィルム]
    本発明の接着フィルムは、当業者に公知の方法、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。

    有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。 これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組みわせて用いてもよい。

    乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層への有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。 ワニス中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスを50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、樹脂組成物層が形成される。 当業者であれば、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。

    接着フィルムにおいて形成される樹脂組成物層の厚さは、導体層の厚さ以上とするのが好ましい。 回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層は10〜100μmの厚さを有するのが好ましい。

    支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。 支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。 また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。 また離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを使用してもよい。 なお、銅箔を使用した場合は、銅箔層をそのままサブトラクティブ法などによりパターン加工し回路形成することもできる。

    支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。

    樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。 保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、1〜40μmである。 保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。 接着フィルムは、ロール状に巻きとって貯蔵することもできる。

    [接着フィルムを用いた多層プリント配線板]
    次に、上記のようにして製造した接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。

    まず、接着フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面または両面にラミネートする。 回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。 なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。 また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。 なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。

    上記ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて接着フィルム及び回路基板をプレヒートし、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。 本発明の接着フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。 ラミネートの条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧を好ましくは1〜11kgf/cm (9.8×10 〜107.9×10 N/m )とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。 また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。

    真空ラミネートは、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。 市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。

    また、減圧下、加熱及び加圧を行う積層工程は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことも可能である。 例えば、加熱されたSUS板等の金属板を支持体層側からプレスすることにより行うことができる。

    プレス条件としては、減圧度を1×10 −2 MPa以下とするのが好ましく、1×10 −3 MPa以下とするのがより好ましい。 加熱及び加圧は、1段階で行うことも出来るが、樹脂のしみだしを制御する観点から2段階以上に条件を分けて行うのが好ましい。 例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cm の範囲、2段階目のプレスを、温度が150〜200℃、圧力が1〜40kgf/cm の範囲で行うのが好ましい。 各段階の時間は30〜120分で行うのが好ましい。 市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、MNPC−V−750−5−200(株)名機製作所製)、VH1−1603(北川精機(株)製)等が挙げられる。

    接着フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、樹脂組成物を熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。 熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20分〜180分、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。

    絶縁層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。 次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。 穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが最も一般的な方法である。

    次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより絶縁層上に導体層を形成する。 乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。 湿式メッキの場合は、まず、硬化した樹脂組成物層(絶縁層)の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。 酸化剤としては、特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。 次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。 また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。 その後のパターン形成の方法として、例えば、当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。

    [プリプレグ]
    本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を繊維からなるシート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸させ、加熱して半硬化させることにより製造することができる。 すなわち、本発明の樹脂組成物が繊維からなるシート状補強基材に含浸した状態となるプリプレグとすることができる。 繊維からなるシート状補強基材としては、例えば、ガラスクロスやアラミド繊維等のプリプレグ用繊維として常用されている繊維からなるものを用いることができる。

    ホットメルト法は、樹脂を、有機溶剤に溶解することなく、該樹脂との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする方法、あるいは樹脂を、有機溶剤に溶解することなく、ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工するなどして、プリプレグを製造する方法である。 またソルベント法は、接着フィルムと同様にして樹脂を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスを調製し、このワニスにシート状補強基材を浸漬し、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後乾燥させる方法である。

    [プリプレグを用いた多層プリント配線板]
    次に、上記のようにして製造したプリプレグを用いて多層プリント配線板を製造する方法の一例を説明する。 回路基板に本発明のプリプレグを1枚あるいは必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートで挟み、加圧・加熱条件下でプレス積層する。 加圧・加熱条件は、好ましくは、圧力が5〜40kgf/cm (49×10 〜392×10 N/m )、温度が120〜200℃で20〜100分である。 また接着フィルムと同様に、プリプレグを真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することも可能である。 その後、上記で記載した方法と同様にして、硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。

    以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

    [実施例1]
    ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、シアネート当量約140、不揮発分85質量%のトルエン溶液)40質量部、硬化性ポリビニルベンジル化合物(昭和高分子(株)製 V5000X、不揮発分65質量%)30重量部、コバルト(II)アセチルアセトナート(東京化成(株)製)の1質量%のN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)溶液4質量部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(積水化学工業(株)製「KS-1」(ガラス転移温度105℃)の固形分15質量%のメチルエチルケトン(以下MEKと略す)とシクロヘキサノンの1:1溶液)15重量部、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製「PB−3600」)1重量部、お� �び球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)80質量部さらにトルエン10質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
    樹脂組成物の不揮発分中、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂25質量%、硬化性ポリビニルベンジル化合物14質量%、有機金属系触媒として添加した金属(コバルト)53ppm、高分子樹脂1.7質量%、無機充填材59質量%となる。
    次に、かかる樹脂組成物ワニスを離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製AL5、厚さ38μm、以下PETフィルムと略す)の離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥した(樹脂組成物層中の残留溶媒量:約1.5質量%)。 次いで、樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。 ロール状の接着フィルムを幅507mmにスリットし、507×336mmサイズのシート状の接着フィルムを得た。

    [実施例2]
    ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、シアネート当量約140、不揮発分85質量%のトルエン溶液)30質量部、硬化性ポリビニルベンジル化合物(昭和高分子(株)製 V5000X、不揮発分65質量%)25重量部、ナフテン酸亜鉛(II)(東京化成(株)製、亜鉛含有量8質量%のミネラルスピリット溶液)の3質量%のシクロヘキサノン溶液3質量部、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン溶液)10質量部、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約124)4質 量部、フェノキシ樹脂溶液(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL−7553」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンとの混合溶液、重量平均分子量36000)10質量部、リン含有エポキシ樹脂(東都化成(株)製TX−0712、エポキシ当量約370、リン含有量2.8質量%、不揮発分75質量%のMEK溶液)8質量部、および球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)80質量部さらにトルエン10質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
    樹脂組成物の不揮発分中、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂18質量%、硬化性ポリビニルベンジル化合物11質量%、有機金属系触媒として添加した金属(コバルト)51ppm、高分子樹脂2.1質量%、無機充填材56質量%となる。
    次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。

    [実施例3]
    ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)30質量部およびジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、シアネート当量約140、不揮発分85質量%のトルエン溶液)10質量部をMEK10質量部と共に攪拌混合した。 これに、ナフトール型エポキシ樹脂として東都化成(株)製「ESN−475V」(エポキシ当量約340の不揮発分65質量%のMEK溶液)35質量部にビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)15質量部をシクロヘキサノン20質量部と共に加熱溶解させたものを添加した。 そこへ、フェノキシ樹脂溶液(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL−7553」、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンとの混合溶液、重量平均分子量36000)10質量部、不揮発分85質量%のトルエン溶液)30質量部、硬化性ポリビニルベンジル化合物(昭和高分子(株)製「V5000X」、不揮発分65質量%)3重量部、ナフテン酸亜鉛(II)(東京化成(株)製、亜鉛含有量8質量%のミネラルスピリット溶液)の3質量%のシクロヘキサノン溶液3質量部、および球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)95質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
    樹脂組成物の不揮発分中、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂5質量%、硬化性ポリビニルベンジル化合物1質量%、有機金属系触媒として添加した金属(亜鉛)60ppm、高分子樹脂1.9質量%、無機充填材59質量%となる。
    次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。

    [比較例1]
    実施例1のジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「DT−4000」、シアネート当量約140、不揮発分85質量%のトルエン溶液)40質量部を、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約124)34質量部に変更する以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。

    [比較例2]
    実施例1の硬化性ポリビニルベンジル化合物(昭和高分子(株)製 V5000X、不揮発分65質量%)30重量部を、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のメチルエチルケトン溶液)26質量部に変更する以外は、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た。

    [比較例3]
    ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)15質量部およびフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン(株)製「PT30」、シアネート当量約124)10質量部をMEK10質量部と共に攪拌混合した。 これに、ナフトール型エポキシ樹脂として東都化成(株)製「ESN−475V」(エポキシ当量約340の不揮発分65質量%のMEK溶液)15質量部にビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量269、日本化薬(株)製「NC3000L」)35質量部をシクロヘキサノン20質量部と共に加熱溶解させたものを添加した。 そこへ、ポリビニルブチラール樹脂溶液(積水化学工業(株)製「KS-1」(ガラス転移温度105℃)の固形分15質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)20質量部を混合し、ナフテン酸亜鉛(II)(東京化成(株)製、亜鉛含有量8質量%のミネラルスピリット溶液)の3質量%のシクロヘキサノン溶液3質量部、および球形シリカ((株)アドマテックス製「SOC2」をアミノシランで表面処理したもの、平均粒子径0.5μm)70質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
    次に、かかる樹脂組成物ワニスを使用し、実施例1と全く同様にして接着フィルムを得た

    <ピール強度および表面粗度の測定用サンプルの調製>
    (1)積層板の下地処理 内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、パナソニック電工(株)製R5715ES]の両面をメック(株)製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理をおこなった。
    (2)接着フィルムのラミネート 実施例1、2および比較例1〜3で作製した接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500(名機(株)製 商品名)を用いて、積層板の両面にラミネートした。 ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
    (3)樹脂組成物の硬化 ラミネート後、100℃、30分さらに、180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物を硬化した。 その後、接着フィルムからPETフィルムを剥離した。
    (4)粗化処理 積層板を、膨潤液である、アトテックジャパン(株)のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガントPに浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン(株)のコンセントレート・コンパクトP(KMnO :60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン(株)のリダクションソリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。 粗化条件:膨潤液に80℃で10分間浸漬、粗化液に80℃で25分間浸漬した。 この粗化処理後の積層板について、表面粗度(算術平均粗さ)の測定を行った。
    (5)セミアディティブ工法によるメッキ 絶縁層表面に回路を形成するために、積層板を、PdCl を含む無電解メッキ用触媒溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬した。 150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、30±5μmの厚さで導体層を形成した。 次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。 この積層板についてメッキ銅のピール強度の測定を行った。

    <メッキ導体層の引き剥がし強さ(ピール強度)の測定及び評価>
    積層板の導体層に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具(株式会社ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC−50C−SL)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定した。 ピール強度の値が、0.60kgf/cm以上の場合を「◎」とし、0.60kgf/cm未満0.50kgf/cm以上の場合を「○」とし、0.50kgf/cm未満0.40kgf/cm以上の場合を「△」とし、0.40kgf/cm未満の場合を「×」とした。

    <粗化後の算術平均粗さ(Ra値)の測定及び評価>
    接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により算術平均粗さ(Ra値)を求めた。 なお、表1に示す算術平均粗さ(Ra値)は、積層板から3cmの測定用サンプルを切り出し、同サンプル上のランダムな10点(10箇所)について測定した測定値の平均値である。 算術平均粗さ(Ra値)の値が、300nm未満の場合を「◎」とし、300nm以上370nm未満の場合を「○」とし、370nm以上450nm未満の場合を「△」とし、450nm以上600nm未満の場合を「×」とし、600nm以上の場合を「××」とした。

    <誘電正接の測定及び評価>
    実施例1、2、3および比較例1、2、3で得られた接着フィルムを190℃で90分熱硬化させてシート状の硬化物を得た。 その硬化物を長さ80mm、幅2mmに切り出し評価サンプルとした。 この評価サンプルについてアジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製HP8362B装置を用い空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。 誘電正接の値が、0.0060未満の場合を「◎」とし、0.0060以上0.0070未満の場合を「○」とし、0.0070以上0.0080未満の場合を「△」とし、0.0080以上0.0100未満の場合を「×」とし、0.0100以上の場合を「××」とした。

    <線熱膨張率の評価>
    実施例1、2、3および比較例1、2、3で得られた接着フィルムを190℃で90分熱硬化させてシート状の硬化物を得た。 その硬化物を、幅約5mm、長さ約15mmの試験片に切断し、(株)リガク製熱機械分析装置(Thermo Plus TMA8310)を使用して、引張加重法で熱機械分析を行った。 試験片を上記装置に装着後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。 2回目の測定における25℃から150℃までの平均線熱膨張率(ppm)を算出した。 線熱膨張率の値が、33ppm未満の場合を「○」とし、33ppm以上の場合を「△」とした。

    結果を表1に示す。

    表1の結果から、実施例1〜3で得られた接着フィルムにより形成された絶縁層は、誘電正接が比較例1〜3のどれよりも低く、かつ、32ppm以下と低線熱膨張率であり、また表面粗度がRa値360nm以下と低粗度で、0.5kgf/cm以上の導体層ピール強度が得られることが分かる。
    一方、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂を使用せず、フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂に変更した比較例1や、硬化性ポリビニルベンジル化合物を使用していない比較例2では、誘電正接が高く、かつ粗度が高いにも関わらず導体層ピール強度が弱いことが分かる。
    ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂および硬化性ポリビニルベンジル化合物を共に含まない比較例3においては、粗度及び導体層のピール強度は良好であるものの、エポキシ樹脂の使用量が多いため、誘電正接が0.011と実施例の2倍近く高くなっており、高周波分野での使用に適さない事が分かった。

    本発明によれば、硬化物の誘電正接が低く、かつ導体との密着強度に優れた樹脂組成物を提供することができ、さらには、該硬化性樹脂組成物を用いた接着フィルム、およびプリプレグ、該接着フィルム等を用いたプリント配線板等の電子部品、並びにその製造方法を提供することができる。
    本出願は、日本で出願された特願2009−008562を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。

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