接着剤組成物及びゴムとの接着方法

申请号 JP2002592425 申请日 2002-05-22 公开(公告)号 JPWO2002094962A1 公开(公告)日 2004-09-09
申请人 株式会社ブリヂストン; 发明人 エミール ギザ; エミール ギザ; 真明 中村; 真明 中村; 吉川 雅人; 雅人 吉川;
摘要 本発明の接着剤組成物は、(A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体および(B)電子対供与性の塩基性化合物;又は、(A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体、(C)分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は下記一般式(I):(R1、R2及びmは明細書で定義したとおり。)で表される官能基を有する化合物、及び(D)分子内に1個又は2個のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を含有する。被着体表面の少なくとも一部を上記接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成し、必要に応じて該接着剤層を紫外線又は放射線照射した後、未加硫ゴムを該接着剤層に圧着しながら加硫処理することにより、ゴムと被着体との間に強 力 な接着力が得られる。このようにして得られたゴム−被着体複合体は、ゴム補強材及びゴム物品に好適に利用される。
权利要求
  • (A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体および(B)電子対供与性の塩基性化合物を含有することを特徴とする接着剤組成物。
  • 前記電子対供与性の塩基性化合物(B)を、前記共役ジエン系重合体(A)100重量部当たり、0.2〜50重量部含むことを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  • 前記接着剤組成物100重量部と硫黄3重量部からなる混合物の、昇温速度5℃/分で示差走査熱量計により測定した反応熱曲線が、前記共役ジエン系重合体(A)100重量部と硫黄3重量部からなる混合物の、同様にして測定した反応熱曲線には見られない、加硫反応に伴う反応熱ピークを温度190℃以下の領域に示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  • 前記接着剤組成物と硫黄を含む被着ゴム混合物とを接着した複合体において、接着面に垂直な断面の硫黄原子による蛍光X線カウント量を電子顕微鏡−X線物質分析により測定した場合に、被着ゴム内での硫黄カウント量の平均分布量より、接着剤層の硫黄カウント量が多くなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • (C)紫外線又は放射線照射により架橋可能な官能基を1分子中に3個以上有する化合物及び/又は(D)紫外線又は放射線照射によりラジカル重合が可能な官能基を1又は2個有する化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • 前記共役ジエン系重合体(A)の末端基が、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又はアリル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • 前記共役ジエン系重合体(A)の末端基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • 前記電子対供与性の塩基性化合物(B)が、不対電子を有する窒素原子を含む化合物、又は、熱分解により不対電子を有する構造を含む化合物を生成する化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • 前記不対電子を有する窒素原子を含む化合物がアミン化合物、又は、脂肪族アミン残基または複素環系アミン残基を含み、かつ、炭素−炭素二重結合を有する重合性モノマーであることを特徴とする請求項8記載の接着剤組成物。
  • 前記アミン化合物が、脂肪族アミン、芳香族アミン、アルデヒドアミン、グアニジン類、チオ尿酸類、又は複素環系アミンであることを特徴とする請求項9記載の接着剤組成物。
  • 前記脂肪族アミンがジブチルアミン、エチレンジアミン、又は、ポリエチレンポリアミンあり、前記芳香族アミンがアニリン、m−フェニレンジアミン、又は、2,4−トルイレンジアミンであり、前記アルデヒドアミンがn−ブチルアルデヒドアニリンであり、前記グアニジン類がジフェニルグアニジン又はジオルトトリルグアニジンであり、前記チオ尿酸類がチオカルバニリド、ジエチルチオ尿素、又は、テトラメチルチオ尿素であり、前記複素環系アミンがピリジン又は2−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項10記載の接着剤組成物。
  • 前記重合性モノマーが、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、m−(N,N−ジメチルアミノ)スチレン、p−(N,N−ジメチルアミノ)スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニルイミダゾール、アリルアミン、2,5−ジスチリルピリジン、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニル−2H−インダゾール、4−ジイソプロピルアミノ−1−ブテン、トランス−2−ブテン−1,4−ジアミン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4−メチル−5−ビニルチアゾール、N−ビ� ��ルホルムアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミドからなる群より選ばれた少なくとも一の化合物であることを特徴とする請求項9記載の接着剤組成物。
  • 前記熱分解により不対電子を有する構造を含む化合物を生成する化合物が加硫促進剤であることを特徴とする請求項8記載の接着剤組成物。
  • 前記熱分解により不対電子を有する構造を含む化合物を生成する化合物がテトラメチルチウラムジスルフィドであることを特徴とする請求項8記載の接着剤組成物。
  • 前記化合物(C)を、前記共役ジエン系重合体(A)100重量部当たり、30〜80重量部含むことを特徴とする請求項5記載の接着剤組成物。
  • 前記化合物(C)が、アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基で変性されたノボラック型フェノール樹脂を含むことを特徴とする請求項5又は15に記載の接着剤組成物。
  • エポキシ化合物、無機フィラー、及び、高分子フィラーからなる群から選ばれた少なくとも一つの添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • (A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体、(C)分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は下記一般式(I):
    (R は炭素数2〜5のアルキレン基を示し、R は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは0〜5の整数である。)で表される官能基を有する化合物、及び(D)分子内に1個又は2個のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする紫外線又は放射線硬化性接着剤組成物。
  • 前記共役ジエン系重合体(A)の末端基が、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又はアリル基であることを特徴とする請求項18記載の紫外線又は放射線硬化性接着剤組成物。
  • 前記共役ジエン系重合体(A)の末端基が、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項18記載の紫外線又は放射線硬化性接着剤組成物。
  • 前記共役ジエン系重合体(A)成分100重量部に対して、前記化合物(C)成分を30〜80重量部及び前記化合物(D)を3〜60重量部含むことを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の紫外線又は放射線硬化性接着剤組成物。
  • エポキシ化合物、無機フィラー、高分子フィラー、及び、塩基性化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の接着剤組成物。
  • 被着体表面の少なくとも一部を請求項1〜22のいずれかに記載の接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成し、必要に応じて該接着剤層を紫外線又は放射線照射した後、未加硫ゴムを該接着剤層に圧着しながら加硫処理し、被着体とゴムとを接着剤組成物を介して接着することを特徴とする、ゴムと被着体との接着方法。
  • 請求項1〜17のいずれかに記載の接着剤組成物を使用し、前記接着剤層を紫外線又は放射線照射することなく加硫処理することを特徴とする請求項23の接着方法。
  • 請求項18〜22のいずれかに記載の接着剤組成物を使用し、前記接着剤層を紫外線又は放射線照射した後、加硫処理することを特徴とする請求項22の接着方法。
  • 放射線が、電子線又はガンマ線であることを特徴とする請求項25記載の接着方法。
  • 被着体が、プラスチックス材からなることを特徴とする請求項23〜26のいずれかに記載の接着方法。
  • プラスチックス材が、フィルム、繊維、不織布、モノフィラメントコード、マルチフィラメントコード及び樹脂成形品からなる群から選ばれることを特徴とする請求項27記載の接着方法。
  • ゴムがジエン系ゴムであることを特徴とする請求項23〜28のいずれかに記載の接着方法。
  • ゴムの加硫剤が硫黄であることを特徴とする請求項23〜29のいずれかに記載の接着方法。
  • 被着体表面の少なくとも一部に、アンダーコート層を塗膜した後、その上に前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項23〜30のいずれかに記載の接着方法。
  • アンダーコート層を紫外線又は放射線照射した後、前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項31記載の接着方法。
  • アンダーコート層を構成するアンダーコート組成物が、(E)下記一般式(II):
    (式中、R 及びR は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。nは1〜3の整数である。)で表されるビスフェノール骨格を有する化合物と、(F)分子内に3個以上のアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項31又は32記載の接着方法。
  • 前記アンダーコート組成物が、さらにエポキシ化合物、無機フィラー、高分子フィラー及び塩基性化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの添加剤を含むことを特徴とする請求項33記載の接着方法。
  • 請求項23〜34のいずれかに記載の接着方法により得られたことを特徴とするゴム補強材。
  • 請求項35のゴム補強材を用いて製造されたことを特徴とするゴム物品。
  • 請求項35のゴム補強材を用いて製造されたことを特徴とするタイヤ。
  • 说明书全文

    技術分野
    本発明は、接着剤組成物及び該接着剤組成物を用いた接着方法に関し、さらに詳しくは、ゴム用接着剤組成物、該接着剤組成物に必要に応じて紫外線等を照射した後、ゴムと被着体とを加硫接着するゴムとの接着方法、該接着方法を用いて得られたゴム補強材、及び該ゴム補強材を使用したゴム物品に関するものである。
    背景技術
    一般に、ゴムは高伸長、低弾性率を有する材料であるが、その特徴を生かして実用に供するために、プラスチックスなど他の材料と複合することが行われている。 この場合、ゴムと被着体とをゴム加硫の際に接着し両者を一体化することが、接着面の形状が複雑なものにも容易、簡便に適用できるので、有用な方法として用いられている。 また従来、接着確保のためには、プラスチックスを表面処理したり、接着剤組成物の成分を変更したり様々な方法が知られている。
    接着剤組成物によるゴムとの接着方法としては、従来よりゴム成分を含む接着剤組成物にや有機溶剤を溶剤として用いる溶剤型接着剤が広く用いられている。 この溶剤を用いる理由は、接着剤組成物を被着体に空隙なく被覆するために、液状にして被覆処理することなどであるが、接着部分が動的歪などの応力で破壊されないよう接着剤組成物の凝集破壊抗力を高めるために、接着層を固体化させる接着工程において、溶剤を蒸発などで除去してしまう場合が多い。 このような接着層を固体化させる時に溶剤を除去する必要がある接着剤組成物の場合には、溶剤は接着後の成分として有効に利用できないほか、環境保護のため溶剤の処理が必要になることが多く、無溶剤の接着剤組成物あるいは接着剤組成物を固体化させる接着工程において接着層に溶剤が取り込まれる接着剤組成物であることが望まれる。
    このような接着剤組成物として、紫外線、可視光線、電子線などの放射線の照射あるいは熱などの外的エネルギーにより重合できる単量体を含む接着剤組成物を用い、接着剤の被覆時は液状で被着体表面に空隙による接着不良が生じにくく、接着処理時に単量体を重合させることで、接着層を網状架橋化できる接着方法が知られている。 このような接着剤組成物でゴムと接着させる方法としては、例えば特開昭55−145768号公報(西独 公開特許2916909C公報)では、「少なくとも1種の二重結合を有する液状の炭化水素ポリマー、及び(又は)場合によっては少なくとも1種のポリアミン誘導体などからなる被覆加工用コンパウンドにより、電離放射線例えば電子ビームによって迅速かつ完全に外部から熱を供給することなく網状化することができ、またゴム基体に対し良好な接着力を有することができる」と記述されている。 また同号公報の接着の方法は「完全に加硫された成形体上に塗布し、次いで網状化するか又は、各層を網状化されていない粗混合物上に塗布し、これと一緒に網状化することもできる。後者の処理法は、加硫処理を電子ビームによって行う場合には、粗混合物を網状化するために、加硫剤としての硫黄を使用すること及び(又は)加硫促進剤を使用することを省くことができる」と記述される。 この接着の方法は、ゴム上で、ゴム成分と接着剤組成物を網状化させて固着させており、ゴムと接着剤組成物の網状化において加硫剤としての硫黄を使用すること及び(又は)加硫促進剤を使用することを省くことができることを特徴としている。 しかしながら本発明者らの検討では、本発明における接着剤組成物および接着方法においては、接着剤組成物を必要に応じて紫外線、可視光線あるいは電子線などの放射線で網状化させた場合においても、未加硫ゴムを圧着させながら加熱すると、ゴムから接着剤層に硫黄が移行し、硫黄架橋反応に伴う強固な接着が得られることを見出した。
    発明の開示
    このような状況下で、本発明は、ゴム加硫と同時に、ゴムと被着体との間に優れた接着力を生じさせることができる新規な接着剤組成物、該接着剤組成物を用いる接着方法、ゴムと被着体との間の接着力が改善されたゴム補強材、及び該ゴム補強材を用いたゴム物品を提供することを目的とするものである。
    本発明者は、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、被着体を特定の接着剤組成物で被覆し、該接着剤組成物を必要に応じて紫外線又は放射線で照射した後に未加硫ゴムを圧着して加硫すると、ゴムと被着体との間に強力で耐久性のある接着力が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
    すなわち、本発明は、(A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体および(B)電子対供与性の塩基性化合物を含有することを特徴とするゴム用接着剤組成物を提供するものである。
    また、本発明は、(A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体及び(C)分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又は下記一般式(I):

    (R

    は炭素数2〜5のアルキレン基を示し、R

    は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは0〜5の整数である。)で表される末端基を有する化合物、及び(D)分子内に1個又は2個のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする紫外線又は放射線硬化性ゴム用接着剤組成物を提供するものである。


    また、本発明は、ゴムと被着体とを接着剤組成物を介して接着するにあたり、被着体表面の少なくとも一部を前記接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成し、必要に応じて該接着剤層を紫外線又は放射線照射した後、未加硫ゴムを該接着剤層に圧着しながら加硫処理することを特徴とする被着体とゴムとの接着方法を提供するものである。


    さらに、本発明は、前記の接着方法を用いて得たゴム補強材、及びそのゴム補強材で補強したゴム物品、特にタイヤを提供するものである。


    発明を実施するための最良の形態


    本発明の第一の接着剤組成物は(A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体および(B)電子対供与性の塩基性化合物を含有する。


    (A)成分の重量平均分子量(Mw)は、接着剤組成物の粘度が高くなり過ぎて加工困難にならない限りその上限に特に制限はないが、100,000を超えると接着剤組成物の塗布が困難になることがある。 一方、Mwが500未満では圧着した未加硫ゴムを加硫したときに充分な接着力が得られないことがある。 この点から、好ましいMwの範囲は500〜100,000である。


    (A)成分としての共役ジエン系重合体は、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、及びこれらの変性重合体を含む。 共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエンが好ましい。 共役ジエン共重合体としては、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が好ましい。 芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましい。 また、これら共役ジエン系重合体の主鎖は、硫黄と架橋反応の架橋部位となりやすい、アリル位に水素原子を有する炭素−炭素二重結合を、分子鎖内の単位として含むことが好ましい。 本発明における上記共役ジエン系重合体としては、ポリイソプレン,ポリブタジエン,スチレン−ブタジエン共重合体,イソプレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。 また、上記共役ジエン系重合体は、接着剤組成物を配合する温度において液状、特に0℃以下でも液状であると作業性および接着剤組成物の混合工程が容易で好ましく、また50℃以上の温度でも液状でかつ蒸気圧が小さいことが好ましい。 接着剤組成物を配合する温度において液状でなくても、接着剤組成物において上記共役ジエン系重合体が液状になれば特に制限されない。


    さらに、共役ジエン系重合体の末端にラジカル重合性の不飽和二重結合を有する官能基を導入した変性重合体も用いることができる。 このような官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基などが挙げられる。 変性重合体としては、ブタジエン重合体の末端に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を導入したものが特に好ましい。 このような変性重合体は市販品あるいは試供品として入手可能である。


    例えばアクリロイル基(CH

    =CHCO−)をブタジエン重合体の末端に導入したアクリル化ポリブタジエンとして、大阪有機化学工業(株)製の商標「BAC45」(ポリブタジエン部位のMw=2800、粘度=3.4 Pa・s、ケン化価=約49)などが挙げられる。 また、例えば下記式:


    で表されるメタクリル化ポリブタジエンとして、Ricon Resins INC. 製の商標「RIACRYL3100」(Mw=5100,メタクリロイル(オキシ)基の個数=2/分子鎖);同社製の商標「RIACRYL3500」(Mw=6800,メタクリロイル基の個数=9/分子鎖);同社製の商標「RIACRYL3801」(Mw=3200,メタクリロイル(オキシ)基の個数=8/分子鎖)などが挙げられる。


    (B)成分の、電子対供与性の塩基性化合物は、不対電子を有する窒素原子を含む化合物、或いは、熱分解により不対電子を有する化合物を生成する化合物である。


    不対電子を有する窒素原子を含む化合物の例としては、(a)芳香族アミン、(b)アルデヒドアミン、(c)グアニジン類、(d)チオ尿酸類、(e)複素環系アミン、(f)脂肪族アミン残基または複素環系アミン残基を含み、かつ、炭素−炭素二重結合を有する重合性モノマーなどのアミン化合物を挙げることが出来る。 芳香族アミン(a)としては、アニリン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルイレンジアミンなどのアミノ基含有芳香族化合物が挙げられる。 アルデヒドアミン(b)としては、n−ブチルアルデヒドアニリンなどが挙げられる。 グアニジン類(c)としては、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。 チオ尿酸類(d)としては、チオカルバニリド、ジエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素などが挙げられる。 複素環系アミン(e)としては、ピリジン、2−メチルイミダゾールなどの窒素含有複素環を有する化合物が挙げられる。 重合性モノマー(f)としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、m−(N,N−ジメチルアミノ)スチレン、p−(N,N−ジメチルアミノ)スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、1−ビニルイミダゾール、アリルアミン、2,5−ジスチリルピリジン、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニル−2H−インダゾール、4−ジイソプロピルアミノ−1−ブテン、トランス−2−ブテン−1,4−ジアミン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4−メチル−5−ビニルチアゾール� ��N−ビニルホルムアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミドなどが挙げられる。


    上記の化合物に加えて、(g)脂肪族アミン、および、(h)上記(a)〜(g)以外のアミン化合物も不対電子を有する窒素原子を含む化合物として用いることができる。 脂肪族アミン(g)としては、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;エチレンジアミンなどのジアミン類;ポリエチレンポリアミンなどの高分子アミンなどが挙げられる。 上記(a)〜(g)以外のアミン化合物(h)としては、一級または二級アミノ基をアクリル化、メタクリル化などにより置換した置換アミン化合物が挙げられる。


    これらの不対電子を有する窒素原子を含む化合物(a)〜(h)のうち、化合物(a)〜(f)が好ましく、化合物(e)および(f)が特に好ましい。


    熱分解により不対電子を有する構造を含む化合物を生成する化合物としては、公知の加硫促進剤が好ましい。 例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド化合物が挙げられる。 なお、熱分解により不対電子を有する構造を含む化合物を生成する化合物は、接着のための加硫処理時に、加硫温度である130〜180℃で分解することが好ましい。


    被着体表面の少なくとも一部を前記接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成し、未加硫ゴムを該接着剤層に圧着しながら加硫処理する際に、未加硫ゴム中の硫黄が接着剤層に移行し、(A)成分とゴム成分が共加硫して被着体とゴムとの間に強固な接着が形成される。 (B)成分は、(A)成分の不飽和部分と未加硫ゴムから移行してくる硫黄との反応を触媒する。 (B)成分による加硫促進効果は、昇温速度5℃/分で示差走査熱量計により測定した反応熱曲線により確認することができる。 (A)成分100重量部と硫黄3重量部を混合した比較組成物((B)成分を含まない)の反応熱曲線においては、加硫反応に伴う反応熱ピークが190℃以下の領域に見られないが、本発明の接着剤組成物100重量部と硫黄3重量部からなる混合物の反応熱曲線には、加硫反応に伴う反応熱ピークが190℃以下の領域に存在する。 反応温度が190℃以下になると、一般に、ラジカル的な加硫反応よりも、加硫促進剤や電子対供与性塩基が関与した開環反応による加硫反応が促進される。 (メタ)アクリロイル基などの比較的酸性の末端基を有する成分を含む接着剤組成物では、電子対供与性塩基が加硫反応に関与しにくくなる。 従って、電子対供与性塩基((B)成分)を添加して加硫し易くする必要がある。


    また電子対供与性塩基((B)成分)から環状硫黄S

    などの硫黄系加硫剤に電子対を供与することは、ドナー・アクセプターの相互作用が生じていることを意味する。 このため、接着剤組成物中の電子対供与性塩基の量や硫黄に対する塩基性の強さなどにより、未加硫ゴムから接着剤組成物内に移行する硫黄量も変化する。 本発明者らは、一般的に電子対供与性塩基の量が多くなる、あるいは硫黄に対する塩基性が強くなると硫黄の移行量も多くなる傾向があることを見出した。 接着剤組成物による接着層内の硫黄量の分布レベルが高くなると、接着層とゴム組成物の界面における硫黄量も高くなり、ひいては硫黄加硫による接着レベルが高くなるため、電子対供与性塩基((B)成分)を添加し接着剤組成物へ加硫剤が移行し易くする必要がある。


    (B)成分の添加量は塩基の電子対供与性により異なるが、(A)成分100重量部に対して0.2〜50重量部が好ましい。 0.2重量部未満では(B)成分による加硫促進効果が得られない。 50重量部を超えると加硫が過剰になり、接着剤組成物の物性が低下する。


    前記接着剤組成物は、必要に応じて、下記の(C)成分((A)成分100重量部に対して30〜80重量部)及び/又は(D)成分((A)成分100重量部に対して3〜60重量部)を含むことができる。


    (C)成分は、紫外線又は放射線照射により架橋可能な官能基を1分子中に3個以上、通常3〜8個、有する化合物である。 前記官能基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、及び式(I):


    (R

    は炭素数2〜5のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基を示し、R

    は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基を示す。mは0〜5、好ましくは1〜3の整数である。)で表される官能基が好ましく、式(I)で表される官能基が特に好ましい。 アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を3個以上有する化合物としては、例えば、3価以上の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルが挙げられる。 多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが好ましく用いられる。 式(I)で表される官能基を3個以上有する化合物は、市販品として入手可能なものとして、例えば式


    (式中、m×a=3;a+b=3)で表されるペンタエリスリトールポリエトキシアクリレート(日本化薬(株)製の商標「KAYARAD THE−330」)、ペンタエリスリトールポリプロポキシアクリレート(同社製、商標「KAYARAD TPA−320」;同社製,商標「KAYARAD TPA−330」)や、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(荒川化学工業(株)製、商標「ビームセット700」)、ペンタエリスリトールポリアクリレート(同社製、商標「ビームセット710」)などが挙げられる。


    (D)成分は粘度調整剤であり、紫外線又は放射線照射によりラジカル重合が可能な官能基を1又は2個有する単官能又は2官能性液状化合物が好ましい。 このような化合物としては、分子中にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を1又は2個有するポリオキシアルキレン誘導体が好ましい。 このような粘度調整剤は市販品として入手可能であり、単官能の化合物としては、例えば、式


    (式中、n=4)で表されるフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート(新中村化学工業(株)製;商標「AMP−60G」,商標「APG−400」),テトラヒドロフルフリルモノアクリレート(SARTOMER社製,商標「SR−285」),イソオクチルモノアクリレート(SARTOMER社製,商標「SR−440」)などが挙げられる。 また、2官能の低分子化合物としては例えば


    (式中、m+n=7)で表されるポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業(株)製,商標「APG−400」),ポリプロピレングリコールジメタクリレート(同社製,商標「9PG」)などが挙げられる。


    さらに、加工上必要に応じて、ラジカル反応性を有する低粘度液体を適宜混合することもできる。


    前記接着剤組成物には、さらにエポキシ化合物、無機フィラー、及び高分子フィラーからなる群から選ばれた少なくとも一つの添加剤を、(A)成分100重量部に対して、合計で10〜40重量部加えることができる。


    エポキシ化合物は加熱により架橋し、接着剤組成物に延性と強靱性とを付与することができ、例えば、フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル基を導入したノボラック型フェノール類樹脂などが挙げられる。 これらの市販品としては、香川ケミカル(有)製のエポキシノボラックアクリレート(商標「ENA」)、エポキシ基とカルボキシ基を含むノボラックアクリレート(商標「ENC」)などがある。


    無機フィラーと高分子フィラーは、接着剤組成物のコスト低減のために好ましいが、同時に延性と強靱性を付与する効果も有する。 無機フィラーとしては、クレー、シリカ、タルク、カーボンブラックなどが挙げられる。 クレーとしては、NANOCOR INC. 社製のモンモリロナイトクレー(商標;「Nanomer PGW」、「Nanomer PGA」、「Nanomer PGV」、「Nanomer PGN」など)が市販されている。 また高分子フィラーとしては、例えば、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物、変性ポリブタジエン、変性アクリロニトリルブタジエンコポリマーなどが挙げられ、市販品としては、(株)クラレ製のイソブチレンと無水マレイン酸の共重合物(商標:「イソバン10」、「イソバン04」、「イソバン110」)や、宇部興産(株)製のアミン基変性アクリロニトリルブタジエンコポリマー(商標:「HYCAR ATBN 1300x16」)、カルボキシル基変性アクリロニトリルブタジエンコポリマー(商標:「HYCAR CTBN 1300x8」)などがある。


    本発明の第二の接着剤組成物は、(A)重量平均分子量500〜100,000の共役ジエン系重合体、(C)紫外線又は放射線照射により架橋可能な官能基を1分子中に3個以上有する化合物、及び(D)粘度調整剤を含有する。 第二の接着剤組成物の(A)成分、(C)成分および(D)成分は、前記した(A)成分、(C)成分および(D)成分と同じであり、ここではその詳細を記載するのを省略する。


    ゴムとの強力な接着力が得られる限り、前記(A)、(C)および(D)成分の配合量は特に限定されないが、(A)成分100重量部に対して、(C)成分を30〜80重量部、(D)成分を3〜60重量部配合するのが好ましい。


    第二の接着剤組成物には、さらにエポキシ化合物、無機フィラー、高分子フィラー及び塩基性化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの添加剤を、(A)成分100重量部に対して、合計で10〜40重量部加えることができる。 エポキシ化合物、無機フィラー、及び高分子フィラーは、第一の接着剤組成物に任意に添加されるものと同様である。 前記塩基性化合物としては、第一の接着剤組成物の(B)成分と同じ化合物が使用できる。


    第二の接着剤組成物には、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン(例えば日本化薬(株)製;商標「KAYACURE DETX−S」)や、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル(同社製;商標「KAYACURE DMBI」などの光開始剤を、(A)成分100重量部に対して、0.1〜10重量部配合するのが好ましい。さらに、硫黄(例えば軽井沢製作所製の粉末硫黄)、加硫促進剤(例えばメルカプトベンゾチアゾール(Flexys社製、商標「Perkacit MBT PDR−D」;ジサルファイド(AKZO社製、商標「Lucidol S−50」、又はパーオキシドなどを、(A)成分100重量部に対して、それぞれ0.1〜3重量部配合してもよい。


    本発明において、ゴムと接着される被着体の材質は特に限定されるものでないが、熱可塑性プラスチックスが好ましい。 熱可塑性プラスチックスとしては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアクリレート、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;塩化ビニル樹脂などが挙げられるが、これらの中では、機械的強度が高く、かつ通常の方法ではゴムとの接着が比較的困難なポリエステルが特に好ましい。 また 本発明で用いられるプラスチック被着体の形態は、フィルム、繊維、不織布、モノフィラメントコード、マルチフィラメントコードのいずれでもよく、押出成形品や射出成形品でもよい。


    本発明の接着方法においては、先ず被着体表面の少なくとも一部、例えばシート状被着体の一方の面に、浸漬、はけ塗り、流延、噴霧、ロール塗布、ナイフ塗布などにより上記接着剤組成物の塗膜を形成する。 かかる被着体表面は、予め電子線、マイクロ波、コロナ放電、プラズマ処理等の前処理加工されたものでもよい。 接着剤組成物層の厚みは0.5〜50μmが好ましく、1〜10μmが特に好ましい。


    次に、このようにして形成された接着剤組成物層は、紫外線又は放射線照射される。 放射線には、電子線やガンマ線などが含まれ、公知の方法で照射される。 一般に、紫外線照射の場合、照射量は100〜3000mJ/cm

    であり、照射時間は1〜30秒である。 電子線照射の場合、照射量は2〜50MRadであり、照射時間は0.5〜30秒である。 この照射によるラジカル反応で接着剤組成物はある程度硬化される。 第一の接着剤組成物を使用した場合には、紫外線又は放射線照射を省略することができる。 次いで、未加硫ゴムを接着剤組成物層に5〜50kgf/cm

    の圧力で圧着しながら140〜190℃で10〜30分間加熱することにより、接着剤組成物のベースポリマー((A)成分)とゴムとの間で共加硫反応が生じ、接着剤組成物とゴムとの間の強力な接着力が得られる。


    本発明の接着方法においては、被着体表面の少なくとも一部にアンダーコート層(プライマー層)を形成した後、その上に前記接着剤組成物を塗膜することが好ましい。 アンダーコート層の厚みは1〜10μmが好ましい。 アンダーコート組成物としては、被着体の材質に応じて適宜公知の接着処理剤を使用することができる。 アンダーコート組成物は特に限定されるものではないが、好ましくは、(E)下記一般式(II):


    (式中、R

    及びR

    は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基を表す。nは1〜3の整数である。)で表されるビスフェノール骨格を有する化合物100重量部に対して、(F)分子内に3個以上のアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を有する化合物を5〜50重量部含む組成物である。


    (E)成分は、一般式(II)で表されるビスフェノール骨格に加えて、式(III):


    (R

    は炭素数2〜5のアルキレン基、好ましくはエチレン基を示す。pは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)で表される末端基を有する化合物が好ましい。


    (E)成分は市販品として入手可能であり、例えば、式:


    (式中、m+n=4)で表されるエトキシ化ビスフェノールFジアクリレート(日本化薬(株)製、商標「KAYARAD R−712」)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(同社製、商標「KAYARAD R−551」)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(SARTOMER社製、商標「SR−348」、商標「SR−480」、商標「SR9036」)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(荒川化学工業(株)製、商標「ビームセット750」)などが挙げられる。


    前記(F)成分としては、前記接着剤組成物の(C)成分と同じ化合物を使用することができる。


    さらに、アンダーコート組成物には、塗膜の強度向上のために、前記接着剤組成物の(A)成分と同じ共役ジエン系重合体を成分(E)100重量部に対して0.5〜10重量部混合することもでき、所望により、前記粘度調整剤や光開始剤を成分(E)100重量部に対して、それぞれ、5〜30重量部、0.1〜5重量部添加することもできる。 また、ラジカル反応の促進剤としてスチレンモノマーを成分(E)100重量部に対して、1〜20重量部加えることもできる。 さらに、上記の成分に加えて、前記接着剤組成物で説明したのと同じエポキシ化合物,無機フィラー,高分子フィラー及び塩基性化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの添加剤を成分(E)100重量部に対して、合計で5〜10重量部加えることができる。


    このような組成のアンダーコート組成物の塗布面には、紫外線又は放射線照射することが好ましい。


    本発明においては、被着体にアンダーコート層を形成し、アンダーコート層の上に接着剤組成物層を積層し、さらに必要に応じて紫外線又は放射線照射をした後、未加硫ゴムを圧着して加硫を行い、被着体/アンダーコート層/接着剤組成物層/ゴムがこの順で積層された複合体を得るのが好ましい。


    本発明において用いられるゴム成分は特に限定されるものではなく、例えば天然ゴム;ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等の共役ジエン系合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、ポリシロキサンゴムなどか挙げられるが、これらの中では天然ゴム及び共役ジエン系合成ゴムが好ましい。 また、ゴムは二種以上を組み合わせて用いてもよい。


    これらのゴムの加硫は、例えば硫黄;テトラメチルチラリウムジスルフィド、ジペンタメチレンチラリウムテトラサルファイドなどのチラリウムポリサルファイド化合物;4,4−ジチオモルフォリン;p−キノンジオキシム;p,p'−ジベンゾキノンジオキシム;環式硫黄イミド;過酸化物を加硫剤として行うことができるが、好ましくは硫黄である。


    また、ゴムには、前記の配合成分以外に通常ゴム業界で用いられるカーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム等の充填剤加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤などの各種配合剤を、適宜配合することができる。 さらに、各種材質の粒子、繊維、布などとの複合体としてもよい。


    次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。


    下記の方法により、ゴムと被着体との複合体を作成し、各テストを行った。


    1. ポリエステルフィルム−ゴム複合体厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、商標;テトロン(タイプO))の一方の面に、第1表に示す組成のアンダーコート組成物をフィルムコーター装置により塗布してアンダーコート層を形成した後、紫外線照射装置((株)アイグラフィックス製;型式:ECS−301G1)で紫外線照射(500mJ/cm

    の強度で5秒間、又は、1000mJ/cm

    の強度で10秒間)、または、電子線照射装置((株)アイグラフィックス製;型式:エレクトロカーテンCB250/15/180L)で電子線照射(照射量:40又は25MRad)した。


    次に、このように処理されたアンダーコート層の上に、フィルムコーター装置を用いて、第1表に示す組成の接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成した。 紫外線照射(500mJ/cm

    の強度で5秒間、又は、1000mJ/cm

    の強度で10秒間)後、電子線照射(照射量:7、15又は20MRad)後、または、照射することなく以下のようにして加硫を行い80mm×80mmの大きさのポリエステルフィルム−ゴム複合体を得た。


    未加硫ゴム厚さ:2.3mm


    配合:下記表に示した


    加硫条件圧着圧力:15kg/cm


    加硫温度:160℃


    加硫時間:20分間2. ポリエステルコード−ゴム複合体連続工程において、撚り構造が1500d/2、下撚り数が39回/10cm、上撚り数が39回/10cmのポリエチレンテレフタレート製タイヤコードを第1表に示す組成のアンダーコート組成物に浸漬し、スクィーズロールを通過させて過剰のアンダーコート組成物を除いた。 次いで、150cm/分のコード速度で紫外線照射装置の光硬化ゾーンを通過させアンダーコート層を紫外線照射(1000mJ/cm

    の強度で10秒間)した。


    紫外線硬化アンダーコート層を有するコードを第1表に示す組成の接着剤組成物に浸漬し、スクィーズロールを通過させて過剰の接着剤組成物を除いた。 次いで、150cm/分のコード速度で紫外線照射装置の光硬化ゾーンを通過させ接着剤組成物層を紫外線照射(1000mJ/cm

    の強度で10秒間)した。


    このようにして得られた接着剤処理ポリエステルコードを、上記表に示した配合の厚さ2.3mmの未加硫ゴム組成物に埋め込み、圧力20kgf/cm

    、温度160℃で20分間加硫し、ポリエステルコード−ゴム複合体を得た。


    3. ナイロンコード−ゴム複合体撚り構造が1260d/2、下撚り数が39回/10cm、上撚り数が39回/10cmの東レ(株)製タイヤコードを用い、アンダーコート層を電子線照射(照射量:40MRad)下以外はポリエステルコード−ゴム複合体の作成と同様にしてナイロンコード−ゴム複合体を得た。


    4. フィルム剥離テストポリエステルフィルム−ゴム複合体を25mm幅にカットして剥離テスト用試験片を調製した。


    この試験片を用いて、ゴム層とポリエステルフィルムの剥離テストを、剥離180度(T形剥離)、引張り速度50mm/分で行い、剥離強度を求めた。 また、剥離後フィルムの表面積に対する被覆ゴムの面積率(ゴム付着率)を測定し、下表に従いゴム付着のランク付を行った。 これらの結果を表1に示した。


    5. コード引張テストポリエステルコード−ゴム複合体及びナイロンコード−ゴム複合体からコードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを複合体から剥離するときの抗力を測定し、これと接着力(張力)とした。 また、剥離後コードの表面積に対する被覆ゴムの面積率を測定し、下表に従いゴム付着のランク付を行った。 これらの結果を表1に示した。


    6. 反応熱曲線各接着剤組成物を紫外線照射して(500mJ/cm

    で5秒間)、フィルムを作製した。 フィルムを細かく切り刻み、30メッシュの金網で分別し各粉末を得た。 各粉末100重量部に対して3重量部の不溶性硫黄(80メッシュ以下)を加え、均一に混練し、各試料を作製した。


    試料を入れたステンレス製耐圧パンを示差走査熱量計にセットし、加硫が開始しない70℃に5分間保持した。 その後、5℃/分で昇温し反応熱量(W/g)を測定し、反応熱曲線を得た。


    このようにして得た反応熱曲線の一例を図1に示す。 各試料の組成は次の通りである。


    図1から明らかなように、(B)成分(電子対供与性塩基化合物:4−ビニルピリジン)を含まない場合(0%VP)には、190℃以下、特に180℃以下の領域で曲線のベースラインは平坦でありピークが見られない。 しかし、(B)成分を添加すると、加硫反応によるショルダーピーク(矢印で示した)が120〜190℃の領域に現れる。 このショルダーピークの変曲点を微分により求め、表1に反応熱ピーク温度として記載した。


    7. 硫黄の移行量(ゴム→接着剤組成物)


    前記した方法で作成したポリエステルフィルム−ゴム複合体をフィルム面に垂直な方向に切断した。 この断面を、X線物質分析装置を備えた走査型電子顕微鏡で観察し、さらに、ゴム層、接着剤層、フィルム層の硫黄による蛍光X線のカウント量を測定した。 ゴム層から接着剤層への硫黄の移行量を、接着剤層の硫黄含量が、ゴム層の硫黄含量の平均分布量に対してより高いか低いかで評価した。


    8. 空気入りタイヤ撚り構造が1500d/2、下撚り数が39回/10cm、上撚り数が39回/10cmのポリエチレンテレフタレート製タイヤコードを、第1表に示す組成のアンダーコート組成物に浸漬し、スクィーズロールを通過させて過剰のアンダーコート組成物を除いた。 次いで、150cm/分のコード速度で紫外線照射装置の光硬化ゾーンを通過させアンダーコート層を紫外線照射(1000mJ/cm

    の強度で10秒間)した。


    紫外線硬化アンダーコート層を有するコードを第1表に示す組成の接着剤組成物に浸漬し、スクィーズロールを通過させて過剰の接着剤組成物を除いた。 次いで、150cm/分のコード速度で紫外線照射装置の光硬化ゾーンを通過させ接着剤組成物層を紫外線照射(1000mJ/cm

    の強度で10秒間)し比較例14、および実施例37の接着剤処理ポリエステルコードを作成した。


    このようにして得られた比較例14、および実施例37の接着剤処理ポリエステルコードをカーカスプライとして1層用いて、155R13のサイズの空気入りラジアルタイヤを作成した。


    9. タイヤ走行後のポリエステルコード−ゴム複合体の接着力比較例14のタイヤと実施例37のタイヤをJIS D4202で決められる規定リムで組んだ後、一般乗用車に取り付けて、平坦なアスファルト路面上で速度30Km/hで10Km走行(慣らし走行)させた。 実施例37のタイヤはさらに一般路にて10000km走行させた。 走行後のコード強力(N)を JIS L1017に従い測定した。 又、両タイヤのサイド部からプライコード方向100mm、周方向25mmのサンプルをナイフで切り出し、コードを堀り起こし、30cm/分の速度でコードをサイドゴムから剥離する時の抗力(N)を測定し、これを接着力とし下表に記入した。 なお参考までに通常タイヤコード接着剤であるRFL処方を用いたタイヤを実施例37のタイヤと同様に走行させたときのコード強力及び接着力も下表に記入した。


    産業上の利用の可能性


    本発明によれば、ゴムと被着体とを接着剤組成物を介して接着するにあたり、接着剤組成物に紫外線又は放射線照射した後、これを未加硫ゴムと圧着して加硫することにより、ゴムと被着体との間に優れた接着力が得られる。 従って、本発明は、ゴムと被着体との接着を必要とするゴム補強材やゴム物品の製造に有効に適用することができる。


    【図面の簡単な説明】


    図1は、電子対供与性の塩基性化合物4−ビニルピリジンが共役ジエン系重合体メタクリル化ポリブタジエンの加硫反応を促進する様子を示す、示差走査熱量計により測定した反応熱曲線を示すグラフである。

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