【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、棒状材を被装着部材に保持するために、前記棒状材と被装着部材とを連結できるように構成された棒状材の棒状材ホルダに関し、例えば、店頭に配置される商品の表示用カード類を支持する棒状材あるいはそれに類する長尺状の棒状材等の棒状材ホルダに関する。 なお、ここで述べる棒状材とは、金属性の部材や、樹脂材あるいはロープや紐等の可撓性部材等を含むものとする。 【0002】 【従来の技術】従来、商品の表示用カードを支持するために棒状材を保持する棒状材ホルダは、棒状材の外周面の一部を把持するように構成されていた。 例えば、特開平10−286149号に示される棒状材ホルダ30では、図10に示すように、弾性変形する第1支持部材3 1と第1支持部材31を嵌入する第2支持部材32とから構成され、一端がくの字33aに曲げられた棒状材3 3を第1支持部材31の貫通孔34に挿入している。 そして、くの字33a部位を貫通孔34の周りの内周壁3 5に押圧することによって棒状材33を固定するようにしていた。 また、図11に示す棒状材ホルダ40では、 棒状材41を挿入して支持する支持部材42と、支持部材42を縮径可能に嵌め込まれるキャップ部材43とを有して構成され、支持部材42には、十字形にスリット44が形成されて4分割された支持片45が、中央に棒状材41を挿通してかつ外周面にテーパ面45aを有して配置され、内面にテーパ43aを形成したキャップ部材43が支持部材42を覆うように嵌め込まれることによって、各支持片45を、挿通されている棒状材41側に縮径するように変形させて棒状材41を固定するように構成していた。 【0003】従って、図10に示す棒状材ホルダ30では、内周壁35に当接しているくの字33a部位の頂点部と頂点部の反対側の屈折部で棒状材を保持するように構成され、また、図11に示す棒状材ホルダ40では、 縮径することによって4分割された各支持片45の上端部の4点で棒状材41を保持するように構成され、いずれも点当たりで棒状材を保持するように構成されていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、図10に示す棒状材ホルダ30は、第1支持部材31の貫通孔34に合わせて棒状材33をくの字33aに曲げる必要があり、特殊な棒状材を製作しなければならないことからコストが高くなり、また、棒状材33を点当りで保持するために、棒状材33を保持する面圧が小さく棒状材33 を引っ張ると第1支持部材31から脱着しやすいという欠点があった。 さらに、脱着する際に、くの字33aの頂点部で第1支持部材31を傷つけやすかった。 【0005】また、図11に示す棒状材ホルダ40は、 縮径するように変形した各支持片45の上端部の4点で棒状材41を押圧するために、棒状材41を保持する面圧が小さく棒状材41の保持力が弱かった。 しかも、十字形のスリット44の中心部を挿通する棒状材41は、 中心部からずれやすく、その結果十分な保持ができないという欠点があった。 【0006】この発明は、上述の課題を解決するものであり、棒状材を把持する面圧を高くすることによって、 棒状材を棒状材ホルダに強固に保持できるように構成した棒状材ホルダを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明にかかわる棒状材ホルダでは、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。 すなわち、棒状材を被装着部材に保持するために前記棒状材と被装着部材を連結する棒状材ホルダであって、前記棒状材を支持する第1支持部材と、前記棒状材を前記第1支持部材に把持可能に作動する第2支持部材と、を備えて構成され、前記第1支持部材が、捩じることによって縮径可能な捩じり縮径把持手段を有する棒状材把持部と、前記棒状材把持部に連接されて前記棒状材把持部を縮径可能に作動する作動部と、前記棒状材把持部を縮径位置で保持する縮径位置保持部と、を有し、前記第2支持部材が、前記第1支持部材の作動部及び縮径位置保持部とに係合可能に形成され、前記棒状材が前記捩じり縮径把持手段内を挿通するように配置されて、前記第2支持部材を回動することによって、前記捩じり縮径把持手段を縮径させて前記棒状材を把持可能に構成することを特徴とするものである。 【0008】また好ましくは、前記捩じり縮径把持手段が、螺旋部を形成するものであればよい。 【0009】さらに好ましくは、前記螺旋部が、2条に巻装された線状部材で形成されていればなおよい。 【0010】また、前記第1支持部材には、前記被装着部材に保持される装着部材との係合部が、反棒状材把持部側に形成されていればよい。 【0011】 【発明の効果】本発明の棒状材ホルダは、棒状材を棒状材把持部の捩じり縮径把持手段内に挿通させ、第1支持部材の作動部を第2支持部材に係合させた後、第2支持部材を一方の方向に回転させることによって作動部を回転させて、捩じり縮径把持手段を捩じることによって捩じり縮径把持手段を縮径させる。 そのため、捩じり縮径把持手段内に挿通された棒状材は、捩じり縮径把持手段の縮径によって把持されることとなる。 捩じり縮径把持手段は、棒状材の外周面を、形成された捩じり縮径把持手段の全周面で把持することから、把持面圧を高くすることができ棒状材を強固に把持することができる。 従って、棒状材を第1支持部材から脱着しにくくすることができる。 【0012】そして、捩じり縮径把持手段で把持された棒状材は、第2支持部材と縮径位置保持部で係合されることから、縮径位置で保持されて被装着部材に保持されることとなる。 【0013】また、捩じり縮径把持手段が、螺旋部で形成されていれば、例えば、棒状材が小径に形成されたものであっても、棒状材は、螺旋部における螺旋状に形成された長さ分を全周面にわたって把持されることから、 棒状材ホルダに強固に保持されることとなる。 【0014】また、前述の螺旋部が2条の線状部材で形成されていれば、棒状材を把持する把持面圧をさらに高くすることができ、さらに棒状材を強固に把持することとなる。 【0015】また、第1支持部材に被装着部材に保持される装着部材との係合部が、反棒状材把持部側に形成されていれば、棒状材ホルダを間に介在させて棒状材を被装着部材に保持させることができる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。 本形態の棒状材ホルダは、主に、 展示用カードを支持する金属製のワイヤまたはそれに類する棒状材を保持するものであり、以下、ワイヤホルダ1という。 なお、以下に説明するワイヤは長尺状に形成されたものであり、丸棒状や角棒状のもの、あるいは、 直線状に形成されたものや上部で屈曲してL字形やU字形に形成されたものも含み、さらに、その径の大きさを問うものではない。 【0017】実施形態のワイヤホルダ1は、図1に示すように、一方に被装着部材に保持されるベース部材(図例においては、パイプ等に取り付けるクリップ)3を装着して他方に棒状のワイヤ5を保持し、ワイヤ5の一端に装着した展示用カードをベース部材3に接続する接続部材として使用する。 図例において、ワイヤ5は、L字形に形成されて、展示用カードとしての幟Fを装着している。 もちろん、これに限定するものではない。 【0018】ワイヤホルダ1は、第1支持部材としてのワイヤ支持部材10と、第2支持部材としてのキャップ部材20から構成され、キャップ部材20側から挿通されたワイヤ5をワイヤ支持部材10で把持するように構成されている。 【0019】ワイヤ支持部材10は、弾性変形可能な樹脂材で、例えば、射出成形によって形成されていることが望ましく、図2〜4に示すように、一端が開口された基部11と、基部11に連接されるガイド部13と、ガイド部13の軸心に沿ってガイド部13の他端から延設するワイヤ把持部14と、ワイヤ把持部14の先端でキャップ部材20に係合してワイヤ把持部14を縮径可能に作動する作動部16と、ワイヤ把持部14を間にしてガイド部13他端の両縁部から延設されワイヤ把持部1 4を縮径位置で保持する一対の縮径位置保持部18と、 を有して形成されている。 【0020】基部11は、ベース部材3に連結できるように形成されるものであり、実施形態の基部11は、ベース部材3に形成された球部3aを係合するために、一端から開口された球状凹部111(図2参照)を有して円筒状に形成されている。 基部11とベース部材3との球面による係合は、ベース部材3に対してワイヤホルダ1が多方向に回動できるように配置されるためであり、 移動方向が限定されるものであれば球面による係合に限定するものではなく、丸軸による係合や角軸による係合、またはねじによる係合であってもよい。 いずれにしてもベース部材3に形成された係合部の形状によって基部11の係合部が形成される。 【0021】基部11の他端は、基部11の外径より小径の小径部12を介して大径のガイド部13がつば状に形成されて連接されている。 ガイド部13の外周面は、 キャップ部材20の内周面に当接可能に形成され、ワイヤ支持部材10とキャップ部材20との軸心を一致するようにガイドしている。 また、ガイド部13の他端には、ワイヤ5を挿入する挿入孔131がガイド部13の軸心上に沿って球状凹部111に貫通する直前位置まで延設するように形成されている。 【0022】ガイド部13の軸心部から延設されるワイヤ把持部14は、作動部16の回転によって捩じられて縮径されるように形成され、ワイヤ5の外周面を幅広く把持して、その把持面圧を高くすることが望ましく、実施形態では、図2及び図4に示すように、一対の線状部材140、140からなり、一対の線状部材140、1 40の各一端を、軸心から離れた位置でガイド部13の端面から延設するように連接する第1直線部141と、 捩じり縮径把持手段として作用される2条のコイル状に巻き込んだ螺旋部142と、一対の線状部材140、1 40の他端を軸心から離れた位置で作動部16に連接する第2直線部143とを有して形成されている。 また、 一対の線状部材140、140間は、ガイド部13の挿入孔131と連接するワイヤ挿通孔144として形成されている。 【0023】作動部16は、ワイヤ把持部14の第2直線部143に連接され、中央部にワイヤ挿通孔144と連接する貫通孔161を有して、図3に示すように、中央部外周が円弧状に形成された略細長板状に形成されている。 従って、略細長板状の作動部16を軸心に対して回動することによって、作動部16に連接された螺旋部142は、変形されてワイヤ挿通孔144に対して縮径及び拡径可能に形成される。 【0024】縮径位置保持部18は、ワイヤ把持部14 を間にしてガイド部13の外周面より内側でガイド部1 3端面から立ち上がる一対の板状壁体181、181を有して形成されている。 一対の壁体181、181には、それぞれ外方に突出する小径突起部182、182 が形成されて、キャップ部材20に係合可能に配置されている。 【0025】キャップ部材20は、ワイヤ支持部材10 と同様な樹脂材で、例えば、射出成形によって形成されることが望ましく、図5〜6に示すように、ワイヤ支持部材10の作動部16側からガイド部13を覆うように、ガイド部13側を開口したカップ状に形成されている。 キャップ部材20の元部側(ワイヤ支持部材10に係合された状態でのガイド部13側)の内周面は、ガイド部13の外周面が当接されるガイド面21として形成され、先端部側(ワイヤ支持部材10に係合された状態での作動部16側)には、ワイヤ支持部材10の作動部16を嵌入するために作動部16と略同形状の係合凹部22(図6参照)が形成されている。 元部側と先端部側との間に配置される中間部の内部には、軸方向に沿って多数の縦溝24が形成され、ワイヤ支持部材10の小径突起部182がいずれかの縦溝24に係合できるように形成されている。 【0026】また、先端部端面には、ワイヤ5が挿通されるワイヤ挿通孔23が形成され、外周面には、キャップ部材20を手で回動操作しやすくするための多数の縦突起部25が形成されている。 【0027】次に、上記のように構成されたワイヤホルダ1の作用を、図7〜9に基づいて説明する。 【0028】まず、キャップ部材20をワイヤ支持部材10に嵌入させる。 この際、ワイヤ支持部材10の作動部16とキャップ部材20の係合凹部22との形状を一致する位置に、キャップ部材20を合わせた後、キャップ部材20の元部側からワイヤ支持部材10のガイド部13を覆うように挿入する。 この状態では、ガイド部1 3の挿入孔131とワイヤ把持部のワイヤ挿通孔144 及び作動部16の貫通孔161、キャップ部材20のワイヤ挿通孔23は同心上に位置されている。 また、縮径位置保持部18の一対の小径突起部182、182はキャップ部材20に形成されたいずれかの縦溝24に係合されている(図8参照)。 【0029】次に、図7に示すように、ワイヤ5をキャップ部材20のワイヤ挿通孔23からガイド部13の挿入孔131まで挿入する。 各孔はワイヤ5より大径に形成されワイヤ5を容易に挿入することができる。 【0030】ワイヤ5が挿入されるとキャップ部材20 の縦突起部25に手を当てて、キャップ部材20を軸心に対して一方の方向に回転させる。 すると、図9に示すように、キャップ部材20の係合凹部22に係合されているワイヤ支持部材10の作動部16が、ワイヤ5の周りを回転するため、軸心から離れて配置されているワイヤ把持部14の2本の線状部材140、140を軸心に対して捩ることとなる。 この捩りによって螺旋部142 は絞られて縮径されワイヤ5の外周面を把持することとなる。 螺旋部142は、ある一定の長さを有して形成され、コイル状に形成された線状部材140はワイヤ5の全周面を螺旋状に押圧するため、ワイヤ5への把持面は一定の幅内に形成される。 このことから、螺旋部142 は、ワイヤ5の把持面の面圧を高くすることとなり、ワイヤ5の把持力を強固にすることができる。 しかも螺旋部142が2条で形成されているために、さらに強固に保持することができる。 【0031】一方、キャップ部材20の回転と同時に、 縦溝24が縮径位置保持部18の一対の壁体18、18 の周りを回転するため、回転が停止された位置で、多数の縦溝24のうち、いずれか2本の縦溝24が、小径突起部182、182と係合してその位置を保持することになる。 これによって、ワイヤ5はワイヤホルダ1に保持されることとなり、基部11の球状凹部111に所定のベース部材3を嵌合させ、ワイヤ5の先端部に展示カード類を装着すれば、そのまま、店頭に配置させることができる。 【0032】なお、本形態のワイヤホルダは、ワイヤ5 を強固に保持するために、線状部材を螺旋状に形成して、所定の幅を全周面で捩って把持するものであるため、この構成が満足できるものであれば上記の形態に限定するものではない。 例えば、線状部材が1条でもよくまた、3条以上でもよい。 また、螺旋部142の両端を牽引することによって縮径できるように構成するものであってもよい。 【0033】さらに、捩じり縮径把持手段として作用するものであれば、螺旋部142に限定するものではなく、例えば、円筒状に形成された薄板の外周面に、軸方向に沿って複数のスリットを形成して捩じりやすくしたものや、薄板を円周状に巻いて各端部を開放した割り円筒板ばね状に形成したものであってもよい。 【0034】また、螺旋部142を捩ることができれば、作動部16は細長板状に形成されていなくても、各線状部材140、140に別々に連接されて2分割に形成されていてもよい。 この場合、ワイヤ5は2分割された各作動部間を挿通することになることから、特に実施形態の貫通孔161を形成することはない。 【0035】また、螺旋部の縮径位置で保持できるものであれば、小径突起部182と縦溝24は上記の構成に限定するものではない。 例えば、一対の壁体181を全周にわたって形成して縦溝を形成し、キャップ部材20 の内周面に小径突起部を形成するものでもよく、他の係合対偶でももちろん可能である。 【0036】上記のように、本形態のワイヤホルダ1 は、ワイヤ5をワイヤ把持部14の螺旋部142内に挿通させ、ワイヤ支持部材10の作動部16をキャップ部材20に係合させた後、キャップ部材20を一方の方向に回転させることによって、作動部16を回転させ螺旋部142を縮径させる。 螺旋部142内に挿通されたワイヤ5は、螺旋部142の縮径によって把持されることとなる。 螺旋部142は、ワイヤ5の外周面を、形成された螺旋部142の長さで全周面にわたって把持することから、把持する面圧を高くすることができワイヤ5を強固に把持することができる。 従って、ワイヤ5がワイヤ支持部材10から脱着しにくくなる。 そして、螺旋部142で把持されたワイヤ5は、キャップ部材20と縮径位置保持部18で係合されることから、縮径位置で保持されて被装着部材に保持されることとなる。 【0037】また、ワイヤ支持部材10の螺旋部142 が2条の線状部材140、140で形成されていれば、 ワイヤ5を把持する把持面圧をさらに高くすることができ、さらにワイヤ5を強固に把持することとなる。 【0038】また、ワイヤ支持部材10に被装着部材に保持される装着部材との球状凹部111が、反ワイヤ把持部側に形成されていれば、ワイヤホルダ1を間に介在させてワイヤ5を被装着部材に保持させることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のワイヤホルダでワイヤとベース部材を連結させた状態を示す正面図である。 【図2】本発明の一形態のワイヤホルダのワイヤ支持部材を示す断面図である。 【図3】図2におけるA矢視図である。 【図4】図2における螺旋部を示す一部側面図である。 【図5】本発明の一形態のワイヤホルダのキャップ部材を示す断面図である。 【図6】図5におけるB矢視図である。 【図7】本発明のワイヤホルダにワイヤを挿通させた状態を示す断面図である。 【図8】図7におけるVIII−VIII断面図である。 【図9】ワイヤホルダの螺旋部を縮径させてワイヤを把持した状態を示す断面図である。 【図10】従来の棒状材ホルダを示す簡略図である。 【図11】従来の別の棒状材ホルダを示す簡略図である。 【符号の説明】 1…ワイヤホルダ(棒状材ホルダ) 3…ベース部材 5…ワイヤ(棒状材) 10…ワイヤ支持部材(第1支持部材) 14…ワイヤ把持部(棒状材把持部) 140…線状部材 142…螺旋部(捩じり縮径把持手段) 16…作動部 18…縮径位置保持部 20…キャップ部材(第2支持部) |