転倒防止装置

申请号 JP2013090010 申请日 2013-04-23 公开(公告)号 JP2014212831A 公开(公告)日 2014-11-17
申请人 株式会社テー・シー・アイ; Tci:Kk; 发明人 TAKESHITA MANABU;
摘要 【課題】前後方向の揺れが発生した場合に、設置物3を積極的に後方に傾けることにより、設置物3が前方に倒れるのを防止する。【解決手段】上架台10Aは、下面が設置面に当接可能な前方回転体40と、後方回転体50と、支持部70とを少なくとも備え、下架台10Bは、後方回転体50が載置される下り傾斜するレール面32を有するレール部30と、支持部70に支持される被支持部144とを少なくとも備えている。上架台10Aが下架台10Bに対して前方に移動すると前端部が後端部よりも高位となり、前方回転体40は、上架台10Aが前方に移動すると下方に移動し、上架台10Aを支持可能となっている。【選択図】図10
权利要求
  • 背面方向への移動が規制されている設置物に用いられる転倒防止装置であって、
    前記設置物の下面に固定される上架台と、設置面に設置される下架台とを備え、
    前記下架台は、後方部に設けられ後方から前方に向かって下り傾斜するレール面を上側に有するレール部と、前方部に設けられ前記上架台を一定の高さ位置で支持する支持部と、を少なくとも備え、
    前記上架台は、前方部に設けられた前方回転体と、後方部に設けられた後方回転体と、前記支持部によって支持される前後方向に長い被支持部とを少なくとも備え、
    前記前方回転体は、前方回転体の水平方向の回転軸を上下に移動可能とする縦溝部と、縦溝部に連続して形成された横溝部を有する前方回転体支持部に回転自在に支持され、前記回転軸が前記縦溝部の上端部にあるときには、前記前方回転体は前記上架台の内部となる収納位置に位置し、前記回転軸が前記横溝部にあるときには、前記前方回転体は前記上架台の下面よりも突出する突出位置に位置するとともに前記回転軸が前記横溝部の上縁に当接可能となり、
    前記下架台を設置面に設置した初期位置においては、前記レール部のレール面に前記後方回転体が載置され、前記前方回転体が収納位置に位置し、前記支持部に前記被支持部が支持された状態で、前記設置物との固定面が設置面と平行になるよう設置され、
    前記上架台が前記下架台に対して前方に移動した場合には、前記後方回転体が前記レール部のレール面を前方に下降移動して前記上架台の前端部が後端部よりも高位となり、前記前方回転体が突出位置へと下降してその下面が設置面に接触又は極めて近接した状態となるように形成されていることを特徴とする転倒防止装置。
  • 前記下架台の前後方向の中央部には、前記上架台の少なくとも上方への移動を規制する上方移動規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
  • 前記レール部には、前記上架台が原点位置にある場合に前記後方回転体の前方への移動を規制し、前記設置物に対して前方に移動する方向の力が働いた場合に前記後方回転体の前方への移動を可能とするストッパーが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の転倒防止装置。
  • 前記上架台には、前記上架台が前記下架台に対して前方に移動した場合に前記下架台の一部と係合して上架台の後方への移動を規制する後方移動規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の転倒防止装置。
  • 前記後方移動規制手段は、前記下架台の一部である支持部に係合する係合部と、この係合部が前記支持部と係合した状態で前記上架台の正面よりも前方に突出する操作部とを備え、前記操作部の操作により前記支持部と前記係合部との係合を解除可能に形成されていることを特徴とする請求項4記載の転倒防止装置。
  • 说明书全文

    本発明は、背面方向への移動が規制されている設置物に用いられる転倒防止装置に関する。

    従来、地震などの揺れが発生した場合に手前側に倒れてくるのを防止するための措置としては、設置物を床面や壁面に耐震金具で固定することや、設置物の上面と天井との間に伸縮自在な棒を介在させテンションを与えることにより設置物を床と天井の間に固定することが行われている。 しかし、これらの方法では、設置物を撤去した際に床や壁や天井に固定具の跡が残るため美観上問題があり、また、揺れが大きい場合には、金具で固定された設置物により床や壁が破壊されたり、横方向の揺れによって伸縮棒の位置がずれ、十分なテンションを保持できなくなって設置物が倒れたりしてしまうおそれがあり、安全性も万全とはいえない。

    これに対して、特許文献1に示すように、設置物を固定せずに、免震装置によって揺れを吸収し設置物の転倒を防止することが知られている。 また、背面を壁に添わせて設置する書棚やタンスなどの設置物においては、特に、横幅に対して前後方向の厚みが小さい場合、左右方向に倒れることはほとんど無く、背面側には壁があるため背面側にも倒れることはない一方、設置物は、後方に傾いた状態では、重心が後方にずれるため前方に倒れることはない。 特許文献2には、上架台に案内軸を設け、下架台に案内軸を支持する案内部を設け、ある程度の揺れは往復案内部に発生するによって吸収し、大きな揺れが発生した場合には案内軸を下方案内部に移動させるようにして、上架台の上に固定される設置物を後方に傾けるようにした機構が開示されている。

    特開平10−179303号公報

    特許第4349649号公報

    しかし、上記した特許文献2に記載の技術では、案内軸が下方案内部に移動(落下)したあと、上架台を上に持ち上げないと案内軸が下方案内部から往復案内部に移動できないので、設置物が重量物だと復帰作業が極めて困難である。
    そこで本願発明は、背面方向への移動が規制されている設置物において、前後方向の揺れが発生した場合に、設置物を積極的に後方に傾けることにより設置物が前方に倒れるのを防止することができ、現状復帰も容易に行うことができる転倒防止装置を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するための、本願発明の特徴点を以下に述べる。
    なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
    (請求項1)
    (特徴点)
    請求項1記載の発明は、背面方向への移動が規制されている設置物(棚本体3)に用いられる転倒防止装置であって、前記設置物(3)の下面に固定される上架台(10A)と、設置面(F)に設置される下架台(10B)とを備え、前記下架台(10B)は、後方部に設けられ後方から前方に向かって下り傾斜するレール面(32)を上側に有するレール部(30)と、前方部に設けられ前記上架台(10A)を一定の高さ位置で支持する支持部(支持ピン70)と、を少なくとも備え、前記上架台(10A)は、前方部に設けられた前方回転体(前方ローラ40)と、後方部に設けられた後方回転体(後方ローラ50)と、前記支持部(70)によって支持される前後方向に長い被支持部(ガイド溝144)とを少なくとも備えている。 また、前記前方回転体(40)は、前方回転体(40)の水平方向の回転軸(ローラ軸41)を上下に移動可能とする縦溝部(22A)と、縦溝部(22A)に連続して形成された横溝部(22B)を有する前方回転体支持部(ローラ保持部20)に回転自在に支持され、前記回転軸(41)が前記縦溝部(22A)の上端部にあるときには、前記前方回転体(40)は前記上架台(10A)の内部となる収納位置に位置し、前記回転軸(41)が前記横溝部(22B)にあるときには、前記前方回転(40)は前記上架台(10A)の下面よりも突出する突出位置に位置するとともに前記回転軸(41)が前記横溝部(22B)の上縁に当接可能となる。 そして、前記下架台(10B)を設置面に設置した初期位置においては、前記レール部(30)のレール面(32)に前記後方回転体(50)が載置され、前記前方回転体40)が収納位置に位置し、前記支持部(70)に前記被支持部(144)が支持された状態で、前記設置物(3)との固定面が設置面と平行になるよう設置され、前記上架台(10A)が前記下架台(10B)に対して前方に移動した場合には、前記後方回転体(50)が前記レール部(30)のレール面(32)を前方に下降移動して前記上架台(10A)の前端部が後端部よりも高位となり、前記前方回転体(40)が突出位置へと下降してその下面が設置面(F)に接触又は極めて近接した状態となるように形成されていることを特徴とする。

    (作用)
    本発明においては、設置面(F)が設置物(3)を正面視したときの前後方向に揺れた場合、設置面(F)に固定されている下架台(10B)に対して上架台(10A)が前後に移動することとなる。 そして、設置面(F)が後方に揺れて下架台(10B)に対して上架台(10A)が前方に移動した場合には、後方回転体(50)の高さ位置が低くなった上架台(10A)は前側が後ろ側よりも高くなり、上架台(10A)を固定した設置物(3)の全体が後方に傾くこととなる。 一方、設置面(F)が前方に揺れて下架台(10B)に対して上架台(10A)が後方に移動した場合であっても、上架台(10A)を固定した設置物(3)も後方に移動するが、背面の壁面(P)や柱にぶつかるため跳ね返って前方に移動する。 そうすると、上記と同様に上架台(10A)は前側が後ろ側よりも高くなり、上架台(10A)を固定した設置物(3)の全体が後方に傾くこととなる。 すなわち、設置物(3)は、後方に傾くことはあっても前方に傾くことがなく、結果、前方に倒れることがない。

    また、上架台(10A)が前方に移動するに伴い前方回転体(40)が下降し、回転軸(41)が横溝部(22B)に移動すると横溝部(22B)の上縁が回転軸(41)と当接するので、上架台(10A)の前方部にかかる加重を前方回転体(40)で支えることができ、設置物(3)を支える転倒防止装置(1)の奥行きが実質的に延びることとなる。 このため、設置物(3)の重心が上の方にある場合でも、下架台(10B)の安定状態を保つことができ、長周期、短周期の幅広い地振動に対応することが可能となる。 加えて、転倒防止装置(1)全体の前後方向の奥行き寸法を無駄に大きくする必要が無くなり、設置スペースを小さくすることができる。
    さらに、本発明では、前方に移動した上架台(10A)を、後方回転体(50)がレール部(30)のレール面(32)の傾斜を転動可能な力で押圧すれば、容易に初期位置に戻すことができる。

    (請求項2)
    (特徴点)
    請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、前記下架台(10B)の前後方向の中央部には、前記上架台(10A)の少なくとも上方への移動を規制する上方移動規制手段(センターピン60)が設けられていることを特徴とする。
    (作用)
    前記移動規制手段(60)は、上架台(10A)の前後方向への移動を規制可能であってもよい。

    本発明によれば、移動規制手段(60)が支点となって上架台(10A)の前後方向の中央部の高さを一定に保つので、上架台(10A)の回動がスムーズに行われ、上架台(10A)がバウンドすることがない。 結果として、設置物(3)を確実に後傾させることができる。
    (請求項3)
    (特徴点)
    請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、前記レール部(30)には、前記上架台(10A)が初期位置にある場合に前記後方回転体(50)の前方への移動を規制し、前記設置物(3)に対して前方に移動する方向の力が働いた場合に前記後方回転体(50)の前方への移動を可能とするストッパー(トリガー突起36)が設けられていることを特徴とする。

    (作用)
    本発明によれば、設置物(3)が前方に倒れない程度の揺れでは、ストッパー(36)に阻まれて上架台(10A)は前方に移動しないが、設置物(3)が前方に倒れようとすると、例えば後方回転体(50)がストッパー(36)を乗り越えて、上架台(10A)が前方に移動可能となる。 このため、設置物(3)が転倒しない程度の弱い振動によって転倒防止装置(1)が作動してしまうことがない。
    (請求項4)
    (特徴点)
    請求項4に記載の発明は、上記した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、前記上架台(10A)には、前記上架台(10A)が前記下架台(10B)に対して前方に移動した場合に前記下架台(10B)の一部と係合して上架台(10A)の後方への移動を規制する後方規制手段(ロック解除レバー80)が設けられていることを特徴とする。

    (請求項5)
    (特徴点)
    請求項5に記載の発明は、上記した請求項4に記載の発明の特徴点に加え、前記後方規制手段(80)は、前記下架台(10B)の一部である支持部(70)に係合する係合部(爪部82)と、この係合部(82)が前記支持部(70)と係合した状態で前記上架台(10A)の正面よりも前方に突出する操作部(レバー部83)とを備え、前記操作部(83)の操作により前記支持部(70)と前記係合部(82)との係合を解除可能に形成されていることを特徴とする。

    本発明は、以上のように構成されているので、背面方向への移動が規制されている設置物において、床や壁に設置物を固定することなく、前後方向の揺れが発生した場合に、設置物を積極的に後方に傾けることにより、設置物が前方に倒れるのを防止することができるとともに、容易に現状復帰が可能な転倒防止装置を提供することができる。

    本発明の実施の形態であって、設置物としての棚本体の斜視図である。

    転倒防止装置の(A)外観平面斜視図及び(B)外観底面斜視図である。

    上架台をスライドさせた転倒防止装置の(A)外観平面斜視図及び(B)外観底面斜視図である。

    転倒防止装置の(A)初期位置における側面図及び(B)突出位置における側面図である。

    転倒防止装置の分解側面図である。 下架台の部分拡大斜視図である。

    上架台の部分拡大斜視図である。

    前方ローラ保持部に保持されている前方ローラの(A)収納位置における側面図及び(B)突出位置における側面図である。

    下架台の部分拡大斜視図である。

    転倒防止装置の位置移動を示す側面図である。

    転倒防止装置の位置移動を示す側面図である。

    ロック解除レバーの作動を示す側面図である。

    棚本体の他の設置状態を示す側面図である。

    転倒防止装置を連結した部分断面図である。

    本発明の好適な実施の形態を、図面に基づき説明する。
    (棚本体3)
    本実施の形態における設置物としての棚本体3は、例えばスチール製の書棚や陳列棚であって、図1に示すように、左右の側板3Aと、底板3B及び天板3Dと、側板3Aに両端を支持される複数の棚板3Cを有している。 そして、底板3Bには、転倒防止装置1が固定されている。 なお、本実施の形態において、特に指定しない場合には、各構成部材の上下左右、前後(正面背面)の方向は、転倒防止装置1を固定した棚本体3を正面視したときの各構成部材の方向を指すものである。

    (転倒防止装置1)
    転倒防止装置1は、図2に示すように、全体として方形枠型を呈しており、図3乃至図5に示すように、大きく分けて、上架台10Aと、下架台10Bとから構成されている。
    (上架台10A)
    上架台10Aは、図2(A)及び図3(B)に示すように、方形薄枠状の支持枠11備えている。 支持枠11は、正面側に位置する前板12と、前板12に平行な後枠13と、前板12と後枠13の端部を繋ぐ左右の側枠14とから成り、各側枠14の後方下側には、図5示すように、後方回転体としての後方ローラ50がそれぞれ設けられている。 また、側枠14の内側(上架台10Aの中心側)には、前板12と後枠13の間に掛け渡された固定板15が2つ設けられている。

    側枠14は、図5に示すように、水平板141と、水平板141の両側端部から垂下する2つの側面板142を有する前後方向に長い枠材である。 また、後方ローラ50は、2つの側面板142を貫通するローラ軸51を介して側枠14の後方端部に取り付けられている。 すなわち、側面板142は、後方回転体支持部として機能している。 さらに、側面板142の前後方向の略中央部から後側に向かって、左右方向に貫通する略方形の開口部143が形成されているとともに、開口部143の手前側には、左右方向に貫通し前後方向に長いガイド溝144が形成されている。 そして、側面板142の外側には、ロック解除レバー80が取り付けられている。 ロック解除レバー80は、上架台10Aが下架台10Bに対して前方にスライド移動した状態でロックされた状態にするとともに、解除操作によってそのロックを解除するためのものであるが、詳細は後述する。

    前記固定板15は、その上面に棚本体3を固定するためのものである。 上架台10Aを棚本体3に固定する場合には、棚本体3の底板3Bの底面と固定板15の上面とを接合させた状態で、上側(底板3B側)からボルトで固定する。 さらに、各固定板15の前方下側には、前方回転体支持部としてのローラ保持部20を介して前方回転体としての前方ローラ40がそれぞれ設けられている。
    (ローラ保持部20)
    ローラ保持部20は、前方回転体支持部であって、図5乃至図7示すように、固定板15に固定される上板24と、上板24の側端から垂下する2つの側板21と、側板21の上側後端部を内側(ローラ保持部20の中心側)に折曲して形成した背板23を有している。 側板21には、前方ローラ40のローラ軸41が貫通可能な側面視略L字型の軸受溝22が形成されており、軸受溝22にローラ軸41を貫通させた状態で2つの側板21の間に前方ローラ40を保持可能となっている。 ここで、軸受溝22は、やや後方側に傾斜した縦溝部22Aと、縦溝部22Aと連続し上板24と平行な横溝部22Bとからなり、ローラ軸41が縦溝部22Aの上端部に位置しているときは、前方ローラ40は、図7(A)に示すように、側板21の間にほぼ収納された状態(収納位置)となる。 また、ローラ軸41が、縦溝部22Aの下端部から横溝部22Bの後端部の間に位置しているときは、前方ローラ40は、図7(B)に示すように、側板21から下方に突出した状態(突出位置)となる。

    なお、図6、図7に示すように、上架台10Aの前枠12の裏面には、水平片と垂直片からなる側面視かぎ型の板バネ25が取り付けられている。 板バネ25は、水平片を前枠12の裏面に固定してあり、図7(B)に示すように、ローラ軸41が軸受溝22の横溝部22Bの後端部に位置しているときはローラ軸41と干渉しないが、ローラ軸41が軸受溝22の縦溝部22Aに位置しているときには、板バネ25の垂直片がローラ軸41に当接して、ローラ軸41を後方に付勢するようになっている(図7(A)、図10(A)参照)。 これにより、上架台10Aが前方にスライドし前端部が設置面Fから浮き上がると、後方ローラ40の自重に加え板バネ25の付勢力によりローラ軸41が縦溝部22Aを下降して、後方ローラ40が突出位置まで移動するようになっている。 前方ローラ40が突出位置となったときには、ローラ面が背板23の下端部に当接し、ローラ保持部20にロックされた状態となる。

    (ロック解除レバー80)
    ロック解除レバー80は、後方移動規制手段であって、図4(A)及び図5に示すように、側面板142に取り付けられる固定部81と、固定部81から前方に延びる操作部としてのレバー部83と、固定部81の上部に設けられた係合部としての爪部82を有している。 そして、側面板142に設けられたレバー固定部145に固定部81の固定孔81Aを合致させると、レバー固定部145の下方に設けられた張出ピン146が固定部81の下面を支持するようになっており、ロック解除レバー80は、レバー部83が水平状態となるように側面板142に固定される。 レバー部83は、側面板142に固定したとき、上架台10Aの前枠12よりも前方から突出する長さとなっている。 また、ロック解除レバー80は、レバー固定部145を中心として、上方向に揺動可能となっている。

    前記爪部82は、上架台10Aを最も前方に移動した突出位置(図4(B)参照)にスライドさせたとき、後述する下架台10Bに設けられた支持ピン70と係合する(図10(B)参照)。 そして、図11に示すように、レバー部83を上方に持ち上げてロック解除レバー80を回動させ、爪部83と支持ピン70の係合を解除しないと、上架台10Aが初期位置(図4(A)参照)に戻らないようになっている。
    (下架台10B)
    下架台10Bは、図2(B)及び図3(A)に示すように、方形薄枠状の支持枠16を備えている。 支持枠16は、正面側に位置する前枠17と、前枠17に平行な後枠18と、前板17と後枠18の端部を繋ぐ左右の側枠19とから成り、各側枠19の後方上側に、レール部30がそれぞれ設けられている。

    側枠19は、図5に示すように、水平板191と、水平板191の両側端部から立ち上がる2つの側面板192とを有する前後方向に長い枠材である。 レール部30は、水平板191の後方上面に固定されている。 また、前方ローラ40は、2つの側面板192を貫通するローラ軸41を介して側枠19の前方端部に取り付けられている。 すなわち、側面板192は、前方回転体支持部として機能している。 また、側面板192の前後方向の略中央部には、2つの側面板192を貫通するセンターピン60が取り付けられている。 センターピン60は、上架台10Aの上方向への移動を規制するとともに後方向への最大移動距離を規制するための上方移動規制手段である。 また、側面板192の前端部には、センターピン60と平行な支持ピン70が2つの側面板192を貫通して取り付けられている。 支持ピン70は、上架台10Aをガイド溝144において一定の高さに支持する支持部である。 支持ピン70には、支持ローラ71が設けられており、支持ローラ71は上架台10Aの側枠14の水平板141の下面を支持可能となっている(図9参照)。

    さらに、水平板191の前後の端部には、アジャスタ90が設けられている。 アジャスタ90は、側枠19に溶接されているナット193に固定してあり、上架台10Aの前枠12及び後枠13に設けられたアジャスタ用孔12A、13A(図2参照)からドライバーを差し込んでネジ91(図8参照)を回転させることより、図5に二点鎖線で示すように、フット部92を水平板191から下側突出させることができるようになっている。 このアジャスタ90を設けることにより、設置面Fが傾いていても転倒防止装置1の上面を水平にすることができ、重量物を搭載しても設置物が歪むことがなく、例えば扉付きの書庫などで扉が開かなくなるようなトラブルを防ぐことができる。

    後枠18において側枠19の近傍には、図3(A)及び図8に示すように、端部が上側に屈曲した板状のスペーサー180が水平方向に回動自在に取り付けられている。 スペーサー180は、転倒防止装置1を設置する際、壁面Pとの間に適正な間隔をあけるためのものである(図1(B)参照)。 スペーサー180は、棚本体3の高さが例えば1600mm以下の場合には、図8に示すように、後枠18に重なるように位置させておき、棚本体3の高さが例えば1600mm以上の場合には、図3(A)に二点鎖線で示すように、後枠18の後方に突出するよう回転させて使用する。
    なお、下架台10Bに上架台10Aを重ね合わせると、下架台10Bの側枠19の側面板192の間に、上架台10Aの側枠14がすっぽり嵌り、センターピン60が上架台10Aの側枠14の開口部143の内部を貫通するとともに、支持ピン70が側枠14のガイド溝144を貫通するようになっている。 また、上架台10Aの枠板12と、下架台10Bの側枠19には、上架台10Aと下架台10Bを初期位置で固定するための固定孔12B及び19A(図3(B)参照)が設けられている。 固定孔12Bと固定孔19Aを図2(A)に示す固定ネジBで固定しておけば、転倒防止操作1の設置作業時や運搬時等に上架台10Aと下架台10Bがずれることがない。

    (レール部30)
    レール部30は、図5及び図8に示すように、側面視略楔形を呈しており、側枠19の水平板191に固定したとき上側となる面がレール面32となっている。 レール面32は、後方側に設けられた平坦部32Aと、平坦部32Aから前方に向かって下り傾斜して形成された傾斜部32Bを有している。 傾斜部32Bの傾斜度は、8〜12度程度とするのが好ましい。 また、レール部30には、レール面32よりも上側に突出する板状のガイド板33が形成されている。 ガイド板33は、図5に示すように、レール部30から水平板191にかけて設けられ、前後方向長い軸受溝34を備えている。 この軸受溝34の下縁は、レール面32の傾斜部32Bと平行な傾斜部34Aと、傾斜部34Aの前方端部からさらに前方に延接された水平板191と平行な平坦部34Bを有している。 そして、後方ローラ50がレール面32のレール面もしくは側枠19の水平板191に当接した状態で、軸受溝34の下縁に後方ローラ50のローラ軸51が当接可能に形成されている。

    さらに、前記軸受溝34の傾斜部34Aの後方端部には、上側に突出した側面視略三角形状のトリガー突起36が形成されている。 トリガー突起36は、後方ローラ50の前方への移動を規制するためのストッパー突起であって、側面視すると、図5に示すように、最も突出した頂部36Aの後側に設けられた湾曲部36Bと、頂部36Aの前側に設けられ軸受溝34の傾斜部34Aよりも傾斜角度の大きい傾斜部36Cを有している。 湾曲部36Bの曲率半径は、後方ローラ50のローラ軸51の半径と同等であり、ローラ軸51が湾曲部36Bに当接することにより、上架台10Aの前方への移動がロックされる。 ただし、後方から上架台10Aにある程度の力がかかると、ローラ軸51が頂部36Aを乗り越えて、ロック状態が解除されるようになっている。

    (転倒防止装置1の作動)
    次に、上記構成を有する転倒防止装置1の動きについて、図7及び図9乃至図11に基づき説明する。
    図9(A)は、転倒防止装置1の初期位置を示す。 初期位置においては、上架台10Aの支持枠11と下架台10Bの支持枠16とは、上下に重なっている。 具体的には、上架台10Aの側枠14は、下架台10Bの側枠19の側面板192の間に位置しており、上架台10Aの前板12は、下架台10Bの支持枠16の正面側を覆っている(図2参照)。 また、前方ローラ40は下架台10Bの前枠17に保持されており、図7(A)に示すようにローラ保持具20に保持された収納位置にある。 また、板バネ25は垂直片がローラ軸41と当接して前方側に湾曲しており、ローラ軸41は板バネ25によって後方に付勢されている。 後方ローラ50は、レール部30のレール面32の後端部にある平坦面32Aに位置しており、後方ローラ50のローラ軸51は、ガイド板33の軸受溝34に設けられたトリガー突起36の後方側に当接している。 この状態において、上架台10Aは水平状態であり、ロック解除レバー80のレバー部83も水平状態に保持されている。 さらに、センターピン60は、上架台10Aの側枠14の開口部143の最も前方側近傍に位置しているとともに、支持ピン70は側枠14のガイド溝144の最も前方側近傍に位置している。

    次に、上架台10Aが初期位置にある場合において、上架台10Aに前方向(図9における左方向)への力が加えられたものとする。 その力が弱い場合には、後方ローラ50のローラ軸51がトリガー突起36に係止されているため、上架台10Aは移動しない。 しかし、上架台10Aにかかる力がトリガー突起36の係止力を超えると、ローラ軸51はトリガー突起36を乗り越えて、図9(B)に示すように、後方ローラ50はレール面32の傾斜面32Bに移動する。 後方ローラ50が傾斜面32Bを転動することにより、上架台10Aが下架台10Bに対して前方に移動する。 そして、上架台10Aの移動に伴い、センターピン60の開口部143に対する相対的位置及び支持ピン70のガイド溝144に対する相対的位置は、後方側へと移動する。

    なお、上架台10Aを初期位置よりも後方に移動させようとしても、後方ローラ50のローラ軸51がガイド板33の軸受溝34の後端部に当接して移動が阻止され、上架台10Aをそれ以上後方に動かすことはできない。 しかし、上架台10Aは前方ローラ40及び後方ローラ50により下架台10Bに支持されているだけなので、上架台10Aを後方に移動させる力が働いた場合には、その反動で逆に前方に移動するものとなっている。
    図10(A)は、後方ローラ50がレール部30の傾斜面32Bをほぼ下りきった位置まで上架台10Aが移動した状態を示す。 この状態では、後方ローラ50は下架台10Bの側枠19の水平板191の上面すなわち初期位置よりも低い位置に位置しているが、支持ピン70の高さは変化しないので、上架台10Aは、前端部が初期位置よりも上方向に回動した状態となっている。 つまり、上架台10Aの上面は後方に下り傾斜した状態となっている。 上架台10Aの上面が傾斜していくと、前枠12と設置面Fとが離れていくが、これに伴って、前方ローラ40のローラ軸41は、前方ローラ40の自重及び板バネ25の付勢力によりローラ保持部20の軸受溝22の縦溝部22Aを下方に移動し、前方ローラ40のローラ面が設置面Fに接触した状態を維持する。

    図10(B)は、ロック解除レバー80の爪部82が支持ピン70に当接する位置まで上架台10Aが前方に移動した状態を示す。 この状態では、前方ローラ40のローラ軸41は、板バネ25の付勢力により軸受溝22の縦溝部22Aから横溝部22Bに移動する。 ローラ軸41が横溝部22Bに移動することにより、上架台10Aの前方にかかる上からの力を、横溝部22Bの上縁で受けることができる。 また、ローラ軸41が横溝部22Bの後端部に向かって移動すると、板バネ25の垂直片はまっすぐ延びた状態に戻る。 この後、さらに上架台10Aが前方に移動すると、爪部82の前方の傾斜面82aが支持ピン70の外周を滑ってロック解除レバー80全体がレバー固定部145を中心に上側に回動し(図11(B)参照)、爪部82が支持ピン70を乗り越え(図11(C)参照)、支持ピン70に爪部82が係合される(図11(A)参照)。

    図10(C)は、センターピン60が開口部143の後端縁部143aに当接し、かつ支持ピン70がガイド溝144の後端縁部144aに当接する位置まで上架台10Aが前方に移動した状態を示す。 上架台10Aは、センターピン60が開口部143の後端縁部143aを係止し、支持ピン70がガイド溝144の後端縁部144aを係止するため、それ以上前方には移動できない。 すなわち、図10(B)は上架台10Aが最大限前方に移動した状態を示す。 一方、この状態では、ロック解除レバー80の爪部82が支持ピン70に係止されているので、上架台10Aを後方に押しても移動しない。 後方ローラ50の高さ位置は、図10(A)に示した場合と変化していないが、上架台10Aが前方に移動するにつれ、後方ローラ50と支持ピン70の距離が短くなるため、上架台10Aの傾斜角度が大きくなる。

    ここで、開口部143の下縁部の形状は、上架台10Aが初期位置にあるときにセンターピン60が位置している前端部は、上架台10Aの上面と平行であり、そこから後方に向かって上り傾斜し、後端部手前は再び上架台10Aの上面と平行となる、特殊形状に形成されている。 この形状によって、上架台10Aの前進に伴い側枠14の傾斜角度が変化しても、センターピン60が上架台10Aの移動を阻止することなく常に開口部143の下縁部に当接することを可能としている。 これにより、上架台10Aが上方に浮き上がるのを防止できる。
    さて、最大限前方に移動した上架台10Aを初期位置に戻す場合には、図11(B)に示すように、前枠12の正面から突出しているロック解除レバー80のレバー部83を上側に持ち上げることにより、ロック解除レバー80を上側に回動させる。 これにより爪部82と支持ピン70との係合が解除され、図11(C)に示すように上架台10Aを後方に押圧すれば、上架台10Aが後方に移動する。 その後、後方ローラ50がレール部30の傾斜面32を上昇しかつローラ軸51がトリガー突起36を乗り越えることができる力で後方に押圧することにより、初期位置に戻すことができる。

    (転倒防止装置1の設置)
    転倒防止操作1の設置手順について説明する。
    まず、棚本体3の背面を壁面P(柱でもよい)に添わせて設置する場合には、棚本体3の高さに応じて、転倒防止操作1の背面を、壁面Pから所定の間隙Cをあけて設置する(図1参照)。 間隙Cは、上架台10Aが最大限前方に移動する前に、後方に傾いた棚本体3の背面部が壁面Pと当接しない寸法に設定する。 つまり、後方に傾いた棚本体3が壁面Pと衝突して、上架台10Aの最大突出長さまで移動することを阻害することがないような間隙を設ける。 例えば、棚本体3の横幅が900mm、奥行きが450mmの場合、高さが1600mm以下であれば壁面Pに背面が接するように設置可能(C=0)であり、高さが1600mm〜1800mm以下では壁面Pと背面との間が7.5mm以上離れ(C=7.5mm)、1800mm〜2100mm以下の場合には、スペーサー180を用いて壁面Pと背面との間が40mm離れる(C=40mm)ように設置する。 なお、スペーサー180は、水平方向に回動させた状態(図1(B)参照)で、後枠18からの突出長さが40mmとなるように形成されている。 次に、アジャスタ90を調節して上架台10Aの上面が水平になるように設定する。 そして、上架台10Aに棚本体3を載せ、固定板15に棚本体3の底板3Bを固定する。 棚本体3を固定したら、上架台10Aと下架台10Bを固定している固定ネジBを外す。

    一方、複数の棚本体3、3'を、背面合わせにして設置面Fに設置する場合を図12に示す。 この場合にも、棚本体3の高さに応じて、一方の転倒防止操作1の背面と他方の転倒防止操作1'の背面との間に、所定の間隙C'を設けて設置することになる。 この場合の間隙は、棚本体3の高さが1600mm以下であれば、2つの転倒防止操作1、1'の背面が接するように設置可能(C'=0)であり、高さが1800mm以下の場合にはC'=15mm、2100mm以下の場合にはC'=80mmに設定する。 ここで、2つの転倒防止操作1、1'を背面合わせに設置する場合、図13に示すように、連結板100を用いると好適である。 連結板100は、図示しないが、アジャスタ90のネジ91が貫通可能な2つの孔を有し、各転倒防止装置1、1'の下架台10Bの背面側のアジャスタ90のネジ91に跨って設置可能である。 そして、ネジ91にナット110を取り付けて固定することができる。 また、連結板100として、間隙C'に応じた長さのものを複数設けておけば、棚本体3の高さに応じて、適正な間隙C'をあけて転倒防止装置1を設置できる。 例えば、図13(A)はC'=0の場合、図13(B)はC'=15mmの場合を示す。

    (地震発生時の動き)
    続いて、本実施の形態における転倒防止装置1を装着した棚本体3の地震発生時の動きを、図1に基づき説明する。
    棚本体3は、前後方向の揺れが発生した場合において、設置面Fが棚本体3に対して前方(図1(A)の黒矢印方向)に移動することにより、上部に後方(同図の白矢印方向)へ倒れる力が働き、逆に、設置面Fが棚本体3に対して後方に移動することにより、上部に前方へ倒れる力が働く。 そして、棚本体3の上部が後方へ倒れる力が働いた場合には、棚本体3の下部には前方に移動する力が働き、後方ローラ50のローラ軸51が下後方レール30のトリガー突起36を乗り越えることにより(図9(B)参照)、上架台10Aは下架台10Bに対して前方に移動する。 そうすると、上述したように、棚本体3は後方に傾くが(図1(B)参照)、背面には壁面Pがあるため、後ろ側に転倒することはない。

    一方、棚本体3の上部が前方に倒れる力が働いた場合には、棚本体3の下部には後方に移動する力が働くが、前述したように、上架台10Aは下架台10Bに対して初期位置よりも後方へは移動しないようになっているので、反動によって前方に移動するものとなる。 そして、この場合にも、棚本体3は後方に傾くが、後ろ側に転倒することはない。
    このようにして、転倒防止装置1は、棚本体3が前後のいずれの方向に揺れた場合でも後側に倒すようにして、棚本体3が前側に倒れることを防止することができる。
    以上のことは、図12に示す設置例においても同様である。 図12の設置例の場合には、設置面Fが黒矢印方向に移動した場合にも、白矢印方向に移動した場合にも、背面合わせに配置されている棚本体3、3'はいずれも、若干の時間差をつけて後方に傾いた状態となる。 例えば、設置面Fが黒矢印方向に移動した場合には、左側に位置している棚本体3の上部には後方へ倒れる力が働き、直後に上架台10Aが移動開始する。 一方、右側に位置している棚本体3'の上部には前方へ倒れる力が働くが、その反動により、上架台10Aは、棚本体3の上架台10Aが移動開始してから僅かなタイムラグをおいて移動開始する。

    (総括)
    以上のように、本実施の形態によれば、上架台10Aの前方へのスライド移動によって、上架台10Aの後端部(後方ローラ50)の高さ位置が、支持ピン70に支持されている側面板142の前側の部分よりも低くなるので、棚本体3の正面下部が前方に移動すると同時に上方に持ち上がり、棚本体3を後方に傾いた状態とすることができる。 そして、上架台10Aは下架台10Bに対して初期位置よりも後方へは移動しないので、設置面Fが棚本体3の前後方向のどちらの方向に揺れた場合でも、棚本体3は後方に傾いた状態となり、前側に倒れることがない。 従って、地震発生時の安全を確保することができる。

    また、前方ローラ40のローラ軸41を側面視L字型の軸受溝22で支持し、上架台10Aが前方に移動するのと同期して前方ローラ40が下方に突出するように形成するとともに、突出位置ではローラ軸41が横溝部22Bに移動するようにしたので、それによっても、棚本体3が手前側に倒れるのを防止することができるものである。 すなわち、上架台10Aの前端部が設置面Fから離れても前方ローラ40により下方から支持されるので、転倒防止装置1全体の前後の長さが実質的に延長され、例えば棚本体3の高さが高い場合や棚の上部に重量物が置かれていて棚本体3の重心が上の方にある場合でも、下架台10Bの後端側にかかる上方向への力を吸収し、下架台10Bの後端部が浮き上がってしまうのを防ぎ、安定状態を保つことができる。 これにより、長周期、短周期の幅広い地振動に対応することが可能である。 加えて、転倒防止装置1全体の前後方向の奥行き寸法を無駄に大きくする必要が無くなり、設置スペースを小さくすることができる。

    また、本実施の形態における転倒防止装置1は、上架台10Aに固定される棚本体3が前後方向の力を受けた場合には、ローラ軸51がトリガー突起36を乗り越えた場合に、上架台10Aが前方に移動する。 換言すれば、揺れによって棚本体3が前方に倒れそうになると、上架台10Aが前方に移動するようになっている。 このため、弱い揺れによって棚本体3が後方に倒れてしまうことがなく、不要な現状復帰作業を行わなくてもよい。
    さらに、下架台10Bの前後方向の略中央部にセンターピン60を設け、上架台10Aの側枠14には、その下縁部が特定形状に形成された開口部143を設けてある。 そして、センターピン60が上架台10Aの開口部143の下縁部を常に上から押さえ、支持ピン70が上架台10Aのガイド溝144の上縁部を常に下から支えているので、センターピン60が支点となることにより、上架台10Aの回動(後方ローラ50が傾斜部32Bの下り傾斜を転動することに伴う上架台10Aの前端部の上昇)がスムーズに行われる。 また、地震による上下の揺れが発生した場合でも、上架台10Aが下架台10Bの上でバウンドし、棚本体3が前方に倒れてしまうようなことがない。

    加えて、上架台10Aが最前部まで突出したときに支持ピン70に係合する爪部82を有するロック解除レバー80を設け、上架台10Aを前方から押しただけでは移動しないようにしてある。 これにより、上架台10Aの前面(棚本体3の下方)に例えば地震により転がってきた物がぶつかるなどして何らかの力がかかり、棚本体3が意図せずに直立状態に戻ってしまうことがなく、直立状態に戻るときの反動で搭載物が棚から飛び出して思わぬ怪我をするといったトラブルを防止することができる。 その一方、ロック解除レバー80でロック解除をすれば、上架台10Aを前方から押すことにより、容易に初期位置に戻すことができる。

    (変形例)
    なお、本実施の形態では、初期位置において、後方ローラ50のローラ軸51がトリガー突起36によって係止されている構造となっていたが、トリガー突起をレール面に設けて、後方ローラ50が係止される構造としてもよい。
    また、ロック解除レバー80の爪部82は、支持ピン70と係合して上架台10Aの後方への移動を規制していたが、爪部82が上架台10Aの一部と係合し、レバー部83の操作によってその係合を解除可能となっていれば、支持ピン70に係合するものに限られない。 ただ、上架台10Aが最も前方に突出した位置でロックさせることと、係合部を別途設けなくてもよいことを考えると、支持ピン70に係合させるのが最も好適である。

    また、上架台10Aが突出位置に移動し、前方ローラ40のローラ軸41が軸受溝22の横溝部22Bに移動したとき、前方ローラ40のローラ面(下端部)は設置面Fに接触しているのが好ましいが、設置面Fと極めて近接した状態であって、上からの加重を前方ローラ40で受けることができるのであれば、設置面Fに接触していなくてもよい。
    本発明は、書棚や陳列棚の他、タンスなどの家具や自動販売機などの機械装置にも利用することができる。

    1 転倒防止装置 3 棚本体(設置物)
    3A 側板 3B 底板
    3C 棚板 3D 天板
    10A 上架台 10B 下架台
    11 支持枠 12 前板
    13 後枠 14 側枠
    141 水平板 142 側面板
    143 開口部 144 ガイド溝(被支持部)
    145 レバー固定部 146 張出ピン
    15 固定板 16 支持枠
    17 前枠 18 後枠
    19 側枠 191 水平板
    192 側面板
    20 ローラ保持部(回転体支持部) 21 側板
    22 軸受溝 22A 縦溝部
    22B 横溝部 23 背板
    24 上板 25 板バネ
    30 レール部 32 レール面
    32A 平坦面 32B 傾斜面
    33 ガイド板 34 軸受溝
    36 トリガー突起(ストッパー)
    40 前方ローラ(前方回転体) 41 ローラ軸(回転軸)
    50 後方ローラ(後方回転体) 51 ローラ軸
    60 センターピン(上方移動規制手段) 70 支持ピン(支持部)
    80 ロック解除レバー(後方移動規制手段)81 固定部
    82 爪部(係合部) 83 レバー部(操作部)
    90 アジャスタ 100 連結部材 F 設置面 P 壁面

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