Adaptive controller for cooling system using a pulse width adjustment duty cycle scroll compressor

申请号 JP2000514093 申请日 1998-09-09 公开(公告)号 JP2001518601A 公开(公告)日 2001-10-16
申请人 コープランド コーポレイション; 发明人 エム キャイラト,ジーン−ルック; シンフ,アブター; バス,マーク; エム ファム,ハング;
摘要 (57)【要約】 凝縮器(32)及び蒸発器(42)に接続された特別なパルス幅調整圧縮機(30)により冷媒を供給される冷却システム用の制御系を、開示している。 システムは分散型のものであり得、凝縮器(32)と圧縮機(30)は近接する一群の冷却ケースに利用できるように接続してよく、また各冷却ケースはそれ自体の蒸発器(42)を有していてよい。 負荷センサ(58)に対しコントローラ(52)を、可変の負荷サイクル制御 信号 (54)を生じさせるために接続してあり、ここに負荷サイクルは冷却に対する要求の関数である。 さらに系の自己適応同調制御を行うため、ファジイ論理法を利用してよい。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 電源に接続された状態において少なくとも2つの状態で選択的に作動可能な圧縮機であって1対の流体圧縮部材を有し、第1の容量に相当し該1対の流体圧縮部材がシールによって分離されている第1の状態とこの第1の容量よりも小さい第2の容量に相当し上記1対の流体圧縮部材間の上記シールによる密封が解除されている第2の状態とを含む圧縮機と、 冷却に対する要求を示す特性を感知する負荷センサと、 冷却に対する要求の関数である負荷サイクルの可変の制御信号を生じさせるために上記負荷センサに接続してあるコントローラと、 を備え、 上記コントローラが上記圧縮機に、可変の負荷サイクル制御信号に応じて圧縮機が上記した第1の状態と第2の状態とに選択的に切り替えられるように接続してあり、もって圧縮機が電源に接続された状態のままで冷却に対する要求を満たすように該圧縮機の容量を調整する圧縮機制御システム。
  • 【請求項2】 前記圧縮機が冷媒を圧力下でくみ出すものであり、前記コントローラが可変の負荷サイクル制御信号を、冷媒圧力の変動の関数である可変のサイクル時間と共に生じさせるものである請求項1の制御システム。
  • 【請求項3】 前記負荷センサが、温度センサである請求項1の制御システム。
  • 【請求項4】 前記コントローラに接続された圧力センサを備えている請求項1の制御システム。
  • 【請求項5】 前記負荷センサが温度センサであり、さらに前記コントローラに接続された圧力センサを備えている請求項1の制御システム。
  • 【請求項6】 前記負荷センサが第1の変化率を有する特性を感知するものであり、さらに第2の変化率を有する第2の特性を感知する第2の負荷センサを設けてあって、第2の変化率が第1の変化率よりも実質的に大である請求項1の制御システム。
  • 【請求項7】 前記負荷センサが温度変化を感知するものであり、前記第2
    の負荷センサが圧力変化を感知するものである請求項6の制御システム。
  • 【請求項8】 前記圧縮機が流体圧縮部材、及び該圧縮部材を選択的に有効及び無効として前記した第1の状態と第2の状態とをとらせる機構を含む請求項1の制御システム。
  • 【請求項9】 前記圧縮機が電動モータを含み、該圧縮機を、前記した第1
    の状態と第2の状態において上記電動モータが電源に接続された状態のままにとどめられるように構成してある請求項1の制御システム。
  • 【請求項10】 前記圧縮機が、シールによって互いに分離された2つの機械的な要素であって流体圧力を高めるように互いに対し相対的に可動である2つの機械的な要素を有しており、該圧縮機が、前記制御信号に応じ上記シールによる密封を選択的に解除し上記した2つの機械的な要素が実質的に一定した相対運動を維持することを許容しつつ流体圧力を変更させる機構を含んでいる請求項1
    の制御システム。
  • 【請求項11】 前記圧縮機がスクロール圧縮機である請求項1の制御システム。
  • 【請求項12】 前記圧縮機がスクロール圧縮機であり、前記した2つの機械的な要素が2つのスクロール部材である請求項10の制御システム。
  • 【請求項13】 冷凍ケース、 この冷凍ケース内に配置された蒸発器、 この蒸発器に対し流体的に接続してある凝縮器及び圧縮機、 を備えており、 上記凝縮器が上記冷凍ケース上に配置されており、また該凝縮器が大気中に熱を移動させる手段を有し、 上記圧縮機が、パルス幅調整される可変容量圧縮機であり、 また、 上記冷凍ケース内に配置された負荷センサ、 この負荷センサに応動するコントローラであって上記圧縮機に対し、該圧縮機を密封状態と非密封状態間で制御して冷凍システムの作動容量を該システムの熱負荷に合致させる可変の負荷サイクル制御信号を供給するように接続してあるコントローラ、 を備えた冷凍システム。
  • 【請求項14】 第2の冷凍ケース、及びこの第2の冷凍ケース内に配置されていて前記凝縮器に対し流体的に接続してある第2の蒸発器を備えた請求項1
    3の冷凍システム。
  • 【請求項15】 第2の冷凍ケース、及びこの第2の冷凍ケース内に配置されていて前記圧縮機に対し流体的に接続してある第2の蒸発器を備えた請求項1
    3の冷凍システム。
  • 【請求項16】 前記負荷センサが、温度センサである請求項13の冷凍システム。
  • 【請求項17】 前記コントローラが前記した可変の負荷サイクル制御信号を、圧力変動の関数である可変のサイクル時間と共に生じさせるものである請求項13の冷凍システム。
  • 【請求項18】 前記コントローラに接続された圧力センサを備えている請求項13の冷凍システム。
  • 【請求項19】 前記蒸発器に対し流体的に接続してある冷媒調整弁であって、前記した可変の負荷サイクル制御信号により電気的に制御されて冷凍システムの容量をさらに調整する冷媒調整弁を備えている請求項13の冷凍システム。
  • 【請求項20】 前記弁がステッパー電動機を含んでいる請求項19の冷凍システム。
  • 【請求項21】 ハウジング、 このハウジング内に配置された蒸発器、 この蒸発器に対し流体的に接続してある凝縮器及び圧縮機、 を備えており、 上記凝縮器が上記ハウジング上に配置されており、また該凝縮器が大気中に熱を移動させる手段を有し、 上記圧縮機が、パルス幅調整される可変容量圧縮機であり、 また、 上記ハウジング内に配置された負荷センサ、 この負荷センサに応動するコントローラであって上記圧縮機に対し、該圧縮機を密封状態と非密封状態間で制御して冷却システムの作動容量を該システムの熱負荷に合致させる可変の負荷サイクル制御信号を供給するように接続してあるコントローラ、 を備えた冷却システム。
  • 【請求項22】 第2のハウジング、及びこの第2のハウジング内に配置されていて前記凝縮器に対し流体的に接続してある第2の蒸発器を備えた請求項2
    1の冷却システム。
  • 【請求項23】 第2のハウジング、及びこの第2のハウジング内に配置されていて前記圧縮機に対し流体的に接続してある第2の蒸発器を備えた請求項2
    1の冷却システム。
  • 【請求項24】 前記負荷センサが、温度センサである請求項21の冷却システム。
  • 【請求項25】 前記コントローラが前記した可変の負荷サイクル制御信号を、圧力変動の関数である可変のサイクル時間と共に生じさせるものである請求項21の冷却システム。
  • 【請求項26】 前記コントローラに接続された圧力センサを備えている請求項21の冷却システム。
  • 【請求項27】 前記蒸発器に対し流体的に接続してある冷媒調整弁であって、前記した可変の負荷サイクル制御信号により電気的に制御されて冷却システムの容量をさらに調整する冷媒調整弁を備えている請求項21の冷却システム。
  • 【請求項28】 冷却システムにおいて冷媒圧力を生じさせる要素を制御するための適応自己同調コントローラであって、 上記した冷媒圧力を生じさせる要素に対し、偏差信号に基づいた閉ループ制御を該要素に提供するために接続してある制御処理装置を備え、 この制御処理装置が、少なくとも1つのプログラム的に調整可能なゲイン因数を含む制御アルゴリズムを実行するための第1の処理命令を貯蔵するメモリを含んでおり、 また上記制御処理装置が、新たなゲイン因数を周期的に発生することによって上記したプログラム的に調整可能なゲイン因数を適応的に変更するための第2の処理命令を貯蔵するメモリを含んでおり、 上記第2の処理命令が上記制御処理装置に、 (a)予定した時間にわたり、上記偏差信号の変動を監視させ該偏差信号の変動百分率を示す数値を発生させ、 (b)メンバーシップ関数を適用することにより上記数値をファジイ化して、
    メンバーシップの度合を示す一連のファジイ入力値を発生させ、 (c)上記ファジイ入力値に対し、上記メンバーシップ関数のうちの与えられたメンバーと結び付いたゲイン因数が変更されるべき度合を反映する予定した一連のルールを適用して、一連のファジイ出力値を発生させ、 (d)上記した新たなゲイン因数を生じさせる結合操作によって上記ファジイ出力値を非ファジイ化させる コントローラ。
  • 【請求項29】 前記第1の処理命令が、前記制御処理装置に比例閉ループ制御を行わせるものであり、前記ゲイン因数が比例定数である請求項28のコントローラ。
  • 【請求項30】 前記第1の処理命令がさらに、前記制御処理装置に積分閉ループ制御を行わせるものである請求項29のコントローラ。
  • 【請求項31】 前記第1の処理命令が、前記制御処理装置に積分閉ループ制御を行わせるものであり、前記ゲイン因数が積分定数である請求項28のコントローラ。
  • 【請求項32】 前記メンバーシップ関数が、偏差値の異なった複数範囲を表す複数の言語的変量を定義するものである請求項28のコントローラ。
  • 【請求項33】 前記言語的変量が、予め定義された大きい、中間及び小さい偏差値範囲を表す少なくも3つの言語的変量を含む請求項32のコントローラ。
  • 【請求項34】 前記メンバーシップ関数がメンバーシップ関数値の重なった少なくも3つの範囲を、変動百分率を示す前記数値のうちの少なくもいくつかが1つのメンバーシップ関数値よりも多い写像上にマッピングされるように定義するものである請求項28のコントローラ。
  • 【請求項35】 前記第2の処理命令がさらに、前記偏差信号の変動方向を前記制御処理装置に監視させるものであり、前記した予定した一連のルールが、
    正の偏差信号変動に対する一連のサブルールと負の偏差信号変動に対する一連のサブルールとを含むものである請求項28のコントローラ。
  • 【請求項36】 前記第2の処理命令が前記コントローラに、前記ファジイ出力値の重心を計算することにより該ファジイ出力値を非ファジイ化して乗数を引き出し、該乗数を前記したプログラム的に調整可能なゲイン因数に適用して前記した新たなゲイン因数を生じさせるものである請求項28のコントローラ。
  • 【請求項37】 前記した冷媒圧力を生じさせる要素が圧縮機である請求項28のコントローラ。
  • 【請求項38】 前記した冷媒圧力を生じさせる要素が弁である請求項28
    のコントローラ。
  • 【請求項39】 前記した冷媒圧力を生じさせる要素がステッパー制御弁である請求項28のコントローラ。
  • 【請求項40】 少なくとも2つの状態で選択的に作動可能な圧縮機であって1対の流体圧縮部材を有し、第1の容量に相当し該1対の流体圧縮部材がシールによって分離されている第1の状態とこの第1の容量よりも小さい第2の容量に相当し上記1対の流体圧縮部材間の上記シールによる密封が解除されている第2の状態とを含む圧縮機と、 冷却に対する要求を示す特性を感知する負荷センサと、 感知された上記特性に基づいて負荷の時定数よりも短いサイクル時間で反復する制御信号を生じさせるために上記負荷センサに接続してあるコントローラと、
    を備え、 上記コントローラが上記圧縮機に、上記制御信号に応じて圧縮機が上記した第1の状態と第2の状態とに選択的に切り替えられ該選択的な切り替えの累積効果により圧縮機の容量が調整されて冷却に対する要求を満たすように、接続してある圧縮機制御システム。
  • 【請求項41】 前記制御信号が可変の負荷サイクル制御信号であり、負荷サイクルが感知された前記特性に応じて変更される請求項40の制御システム。
  • 【請求項42】 前記圧縮機が冷媒を圧力下でくみ出すものであり、前記コントローラが可変の負荷サイクル制御信号を、冷媒圧力の変動の関数である可変のサイクル時間と共に生じさせるものである請求項40の制御システム。
  • 【請求項43】 前記負荷センサが、温度センサである請求項40の制御システム。
  • 【請求項44】 前記コントローラに接続された圧力センサを備えている請求項40の制御システム。
  • 【請求項45】 前記負荷センサが温度センサであり、さらに前記コントローラに接続された圧力センサを備えている請求項40の制御システム。
  • 【請求項46】 前記負荷センサが第1の変化率を有する特性を感知するものであり、さらに第2の変化率を有する第2の特性を感知する第2の負荷センサを設けてあって、第2の変化率が第1の変化率よりも実質的に大である請求項4
    0の制御システム。
  • 【請求項47】 前記負荷センサが温度変化を感知するものであり、前記第2の負荷センサが圧力変化を感知するものである請求項46の制御システム。
  • 【請求項48】 前記圧縮機が流体圧縮部材、及び該圧縮部材を選択的に有効及び無効として前記した第1の状態と第2の状態とをとらせる機構を含む請求項40の制御システム。
  • 【請求項49】 前記圧縮機が電動モータを含み、該圧縮機を、前記した第1の状態と第2の状態において上記電動モータが電源に接続された状態のままにとどめられるように構成してある請求項40の制御システム。
  • 【請求項50】 前記圧縮機が、シールによって互いに分離された2つの機械的な要素であって流体圧力を高めるように互いに対し相対的に可動である2つの機械的な要素を有しており、該圧縮機が、前記制御信号に応じ上記シールによる密封を選択的に解除し上記した2つの機械的な要素が実質的に一定した相対運動を維持することを許容しつつ流体圧力を変更させる機構を含んでいる請求項4
    0の制御システム。
  • 【請求項51】 前記圧縮機がスクロール圧縮機である請求項40の制御システム。
  • 【請求項52】 前記圧縮機がスクロール圧縮機であり、前記した2つの機械的な要素が2つのスクロール部材である請求項50の制御システム。
  • 【請求項53】 前記コントローラを前記圧縮機に対し、該圧縮機が前記サイクル時間で前記した第1の状態と第2の状態間で選択的に切り替えられるように接続してある請求項40の制御システム。
  • 【請求項54】 前記コントローラが、負荷の時定数よりも少なくも4倍短いサイクル時間で反復する制御信号を生じさせるものである請求項40の制御システム。
  • 【請求項55】 前記コントローラが、負荷の時定数よりも短いサイクル時間で反復する前記した可変の負荷サイクル制御信号を与えるものである請求項1
    の圧縮機制御システム。
  • 【請求項56】 前記コントローラが、負荷の時定数よりも短いサイクル時間で反復する前記した可変の負荷サイクル制御信号を与えるものである請求項1
    3の冷凍システム。
  • 【請求項57】 前記第1の状態が実質的に100パーセントの容量に対応し、前記第2の状態が実質的に0パーセントの容量に対応するものである請求項1の圧縮機制御システム。
  • 【請求項58】 前記密封状態が実質的に100パーセントの容量に対応し、前記非密封状態が実質的に0パーセントの容量に対応するものである請求項1
    3の冷凍システム。
  • 【請求項59】 前記密封状態が実質的に100パーセントの容量に対応し、前記非密封状態が実質的に0パーセントの容量に対応するものである請求項2
    1の冷却システム。
  • 【請求項60】 圧縮機用のコントローラの診断システムであって、 圧縮機に対し接続するものとされたコントローラであって、負荷サイクルが冷却に対する要求の関数であり圧縮機の容量を調整するための可変の負荷サイクル制御信号を生じさせるコントローラと、 負荷サイクルを監視し該負荷サイクルを、システム故障状態を示す少なくとも1つの予定された故障値と比較するために上記コントローラに接続してある診断モジュールと、 負荷サイクルが上記故障値に対し予定した関係を有する時に警報信号を発生するように、上記診断モジュールに応動する警報モジュールと、 を備えた診断システム。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 発明の背景と要約 この発明は一般に冷凍ないし冷却システム、圧縮機制御システム及び冷媒制御弁制御システムに関するものである。 より特別にはこの発明は、負荷センサからひき出された可変の負荷サイクル信号(variable duty cycl
    e signal)によって制御されるパルス幅調整圧縮機或いは蒸発器ステッパー制御器を用いる冷凍ないし冷却システムに関するものである。 可変の負荷サイクル信号は、適応コントローラによって発生させるのが好ましい。 圧縮機はシールにより分離された2つの機械的な要素を有し、これらの機械的な要素は流体を高めるために、互いに対し相対的に反復運動可能である。 圧縮機は制御信号に応じ上記シールによる密封を選択的に解除する機構を含み、それによってシステムの容量を調整できる。

    【0002】 冷却システムは冷却ケース等の中で分散システムとして配置できる。 好ましい配置では圧縮機及び凝縮器サブシステムを冷却ケース内又は冷却ケース上に設けることができ、そうすることによって冷媒導管の長さと必要な冷媒量を大きく減らせる。

    【0003】 従来一般にスーパーマーケットの冷却ケースのための冷却システムは、圧縮機台から冷媒を供給される空冷式又は冷式の凝縮器を用いて来ている。 複数の圧縮機は、冷却容量を負荷の要求に合わせため個別に発停できるように、並列に接続されている。 普通には複数の凝縮器は外部、建物の屋根の上、又は冷却ケースが配置されているショピング区域に隣接する機械室内に配置されている。

    【0004】 それぞれの冷却ケース内には該ケースを冷却するため、それを通して膨張された冷媒が循環する凝縮器からの管路を接続されている蒸発器が設けられている。
    所望のケース温度を維持するため蒸発器を通して流れる冷媒流は、閉ループ制御系によって制御される。 この目的のためには比例積分微分(PID)閉ループ制御系を、感知された状態入力を供給する温度センサ及び/又は圧力センサと一緒に用いることが一般的である。

    【0005】 スーパーマーケットでは異なった個別の冷却温度範囲、すなわち低温(冷凍食品及びアイスクリーム用、普通−25°F)、中間温度(肉類及び乳製品用、普通+20°F)、高温(花類及び青果物用、普通+35から+40°F)、に対し分離したシステムを用いるのが、一般的な習慣である。 分離した低温、中間温度及び高温システムはそれぞれ、その温度範囲に対して最適化されねばならない。 それぞれのシステムは普通、それ自身の圧縮機台と圧縮機及び凝縮器へと連なるそれ自身の冷媒導管を用いている。

    【0006】 上述した従来の配置は、構築及び維持するのに極めて高価につく。 コストの多くは、長い冷媒導管列に関係している。 長い導管列は設備及び組付けの点で高価につくばかりでなく、導管を満たすための冷媒量も高価な要因である。 導管列が長ければ長いほど、より多量の冷媒が必要となる。 コストの点の他に環境要因もある。 管継ぎ手が漏れを生じると冷媒が大気中に逸散する。 長い導管列は積極的に漏れを生じる、より多くのパイプ継ぎ手部を含むのが必然的である。 漏れが生じると、導管が長ければ長いほどより多くの冷媒が失われる。

    【0007】 今日、環境に優しい冷却システムに対する高い関心がある。 導管列を短縮することは、環境により優しいシステムを達成する1つの方法である。 これを達成するためには、新しい凝縮器/圧縮機構造と新しい制御システムを設計する必要がある。

    【0008】 環境により優しいシステムのための凝縮器/圧縮機構造の再設計は、システムの効率が犠牲にされてはならないことから単純な仕事ではない。 一般に従来の屋根載置式の凝縮器システムで、凝縮器によって与えられる経済上の長所は大きく効率も十分である。 これらの従来のシステムは、将来の環境に優しいシステムが尺度とする必要のある基準とすべきものである。

    【0009】 環境に優しいシステムを再設計することが困難であると判明している理由をみるために、熱力学的な問題を考慮する。 典型的な冷却ケースは、極めて予測困難な条件の下で作動する。 設計上の観点からみると、冷却される熱質量は一定であるのがまれである。 スーパーマーケットのおかれている環境下で温度及び湿度は、1日のうちの異なった時間及び年間を通じての異なった季節で大きく変動する。 製品(冷却ケース内の品物)負荷も予測不能に変動する。 顧客が製品を除去することと店員が製品を補充することとは、同時に行われるのがまれである。 スーパーマーケットの外部では外気の温度と湿度が、昼と夜とで及び/又は夏と冬とで大きく変動する。 システムの容量は、最も苛酷な状態(凝縮器のおかれている環境が最も暑い場合)に合わせて設計されなければならない。 したがってシステムはより苛酷でない状態、例えば涼しい夕方とか冬、では過剰の容量を有することになる。

    【0010】 周期的な除霜もシステム中に熱変動を招く。 除霜サイクルによって生じる熱変動は環境状態による熱変動とは異なり、制御システム自体に原因するもので周囲の環境によるものではない。

    【0011】 類似して多冷却ケースを扱う制御システムでは、予測するのが極く困難である熱変動を生じ得る。 多ケース系の全てのケースが突然、作動状態に切り替えられると、それぞれの冷却要求をみたすため冷却容量を最大値にまで急速に高めねばならない。 同様に全てのケースが突然、非作動状態に切り替えられると、冷却容量を急速に低めねばならない。 しかし冷却ケースが各独立に作動されるとすると、冷却容量に対するその時々の要求は広範に、かつ予測不能に変動しがちである。

    【0012】 上述のように環境に優しいシステムの設計を困難としてきた諸問題がある。 これらの問題に加えて、ユーザーの処理/人間工学上の問題がある。 今日のPID
    コントローラは、分散冷却システムに適応させることに困難がある。 経験をつんだ技術者はうまく同調されたPIDコントローラも、PIDアルゴリズムで使用される適切な制御定数を選択する上で或る程度の芸術を要求することを、知っている。 通常の建造物の大きな冷却システム(非分散型)ではそのシステムの規模が、制御定数パラメータを微細調節するために制御技術者がその場所に(おそらく繰り返し)訪れることを正当化している。

    【0013】 このような訪問は、構成要素が個別に規模がより小さく数がずっと多い分散系では実際的でないようである。 比較すると、通常のシステムでは全多ケース、店全体のシステムに対し1つのコントローラを使用するであろう。 同じ店の分散システムでは、店内の各ケース又は近接するケース群のために1つのコントローラを使用するであろう。 分散系は、最終ユーザーとの係わり合いを最小限とするように設計される必要がある。 したがってコントローラが自動的に適応できれば、
    それは望ましいことであろう。 現在のところ、制御システムはこの能力を欠いている。

    【0014】 この発明は次のような分散冷却システム、すなわち凝縮器が冷却ケース上に配置されており同様に冷却ケース内に配置してよい特別なパルス幅調整圧縮機から冷媒供給を受けることとされた冷却システムを、提供するものである。 所望の場合には凝縮器及び圧縮機を、個々のケースがそれ自体の蒸発器を有する一群の冷却ケースに冷媒を供給するように接続できる。

    【0015】 パルス幅調整圧縮機は、冷媒をくみ出すため流体圧力を高めるように互いに対し相対的に回転運動する2つの機械的な要素、例えば2つのスクロール部材、を備える。 圧縮機は該2つの機械的な要素間の密封を選択的に解除して、2つの機械的な要素が実質的に一定した相対運動を維持することとしながら圧縮機によって生ぜしめられる流体圧力を変更することとする機構を含む。 圧縮機は上記した機械的な要素を駆動する電動モータを発停させることなく、流体密封と同密封の解除によってパルス幅調整される。

    【0016】 パルス幅調整圧縮機は、測定されたシステム負荷に基づく可変の負荷サイクル制御信号を供給する制御システムによって駆動される。 コントローラも制御信号の周波数(又はサイクル時間)を制御して、冷媒系の圧力変動を最少化する。 したがってオン時間は負荷サイクルとサイクル時間の積に等しく、ここにサイクル時間は周波数の逆元である。

    【0017】 この発明に従った冷却システムは数多くの長所を有する。 その時々のシステム容量が可変の負荷サイクル制御によって容易に制御されるので、過大寸法の圧縮機を起動時及び除霜後により速やかな温度予冷を達成するために、従来の圧縮機システムのようにサイクル短縮を生じさせることなく使用できる。 可変の負荷サイクル制御の別の長所は、凝縮器温度或いはケース温度設定点の突然の変動に対しシステムが迅速に応動できる点にある。 コントローラは外乱に応じて容量を不安定な振動を生じることなく、また重大な行き過ぎなしに調整する。 また要求に合わせてその時々の容量を調整する能力を有することから、システムをより高い蒸発器温度で作動させ得る(従来のシステムで過大容量時に経験された温度の極度の下降が避けられる)。

    【0018】 より高い蒸発器温度での作動は、より高い温度では霜がよりゆっくりと生じることから除霜に必要なエネルギーを減少させる。 除霜間の時間も、実際の可変の負荷サイクル制御信号により指示される蓄積ルーチン時間に比例した比率だけ長くできる。 例えば60パーセントの負荷サイクルは除霜間の標準の3時間を5倍(3/0.60=5)に増加させるであろう。

    【0019】 システムのパルス幅制御作動によって油戻りが改善される。 冷媒流れは高容量と低容量(例えば100%と0%)間で脈動し、熱交換器中の油境界層を破壊するより高度の乱流をつくり出す。

    【0020】 可変の負荷サイクル制御システムの他の長所はそれが単なるオリフィス、熱膨張弁(TXV)及び電子膨張弁を含む様々な膨張器と共に作動する能力にある。
    膨張器コントローラから引き出された信号は、この発明に従った圧縮機に供給できる。 この信号は可変の負荷サイクル制御信号及び/又はその周波数を、膨張器のその時々の作動状態に合致させるように調整することを可能とする。 類似の方法を、空冷凝縮器システム中の可変速のファンを作動させるために使用してもよい。 その場合にはこの発明に従ったコントローラは、圧縮機の現在の作動負荷サイクルに基づいてファン速度を制御する信号を与える。

    【0021】 この発明の別の長所は重要な環境上の関心事である低冷媒充填量が生じたとき 、それを検出する能力にある。 低冷媒充填量は、システム中での漏れがあり得 ることを示す。 低充填量は、システム負荷サイクルが調整されるときに実際の温度と設定点温度間の誤差ないし偏差を観察することにより検出できる。 制御システムは、負荷サイクルにおける調整が温度維持に対する所望の効果を有しない時を検出するように構成できる。 この現象は冷媒充填量の損失、熱膨張弁の粘着、
    及び他の機能不良に起因する。

    【0022】 この発明、その目的及び長所をより完全に理解するためには、以下の説明と添付図を参照されたい。

    【0023】 好ましい実施例の説明 図1は従来のスーパーマーケットの冷凍システムについて、その構成方法を図解したものである。 前述したように圧縮機30と凝縮器32を、冷却ケース34
    から離れた位置に設置するのが普通である。 図例では複数の圧縮機30が、建物の屋根36上に並列配置されている。 一連の圧縮機30は冷媒を、空冷式又は水冷式のものであってよい単一の大型凝縮器32に供給する。 凝縮器30は受液器38に液状冷媒を供給する。 受液器38は冷媒を、図示のように並列接続してある個々の冷却ケース34へと供給する。 たいていの設備では液体ライン中の電磁弁40が、蒸発器42に対する流量を制御するために用いられる。 蒸発器42に対し冷媒は、膨張弁44のような適当な膨張器を介して供給される。 膨張弁44
    は液状の冷媒を液滴へと細分化する制限オリフィスを提供し、蒸発器42の入口側には液滴が導入される。 冷却ケース34内に位置させてある蒸発器42は、液状の冷媒滴を気体へと気化することによって該ケース34及びその内容物から熱を抽出する。 同気体は圧縮機30に吸引され、圧縮機30によって再び液状へと圧縮される。 液状の冷媒は次いで凝縮器32中で冷却され受液器38へと戻され、サイクルが継続する。

    【0024】 冷却能力を負荷と釣り合わせるため圧縮機30は、必要に応じ個別的に又はグループで運転及び停止させてよい。 典型的なスーパーマーケットにおける配列では図1に図解されているように、異なった作動温度範囲を処理するための数個の独立システムがあり得る。 液体ライン46及び吸入ライン48がそれぞれ、冷却ケース34から屋根36へ至る距離をまたがらせてカバーするため極く長いもの(例えば150フィートまでのもの)であることが必要であり得る点に、留意されたい。

    【0025】 図2は、この発明の原理とするところに従って構成された冷凍ないし冷却ケース34を示している。 凝縮器32と圧縮機30は共に、ケース34内に配置されているかケース34に取付けられている。 蒸発器42とそれと関連する膨張弁4
    4も同様に、ケース34内に配置されている。 凝縮器32には、熱を大気中へと移送する熱除去機構50を設けてある。 この熱除去機構50は、建物の屋根上に配置した水冷式クーリングタワーへと廃熱を運ぶ適当な配管へと接続された水ジャケットとしてよい。 また熱除去機構は、強制空気流冷却システム又は受動的空気対流冷却システムであってもよい。

    【0026】 この発明の冷凍ないし冷却システムでは、圧縮機30上の電磁弁56へと連なるライン54に対しパルス幅調整された制御信号を供給する圧縮機コントローラ52を用いる。 圧縮機コントローラ52は制御信号のパルス幅を、後述するアルゴリズムを用いて調整する。 パルス幅を決定するため温度センサ58のような適当な負荷センサによって、コントローラ52により使用される入力信号を供給する。

    【0027】 図3,4は圧縮機30の具体構造を示している。 図3は圧縮機を負荷状態で示し、図4は圧縮機を負荷解除状態で示している。 電磁弁56は圧縮機30をこれらの2つの状態の間で、該圧縮機のモータが作動状態に維持されている条件下で切り替える。 この構成の1つの重要な長所は、圧縮機のモータに対する電力の供給を中断することなしに圧縮機を、負荷状態と負荷解除状態との間で極めて迅速にパルス幅制御できる点にある。 モータが運動量の突然の変動を受けないことからして、このパルス幅制御サイクルは圧縮機の摩耗を少なくする。

    【0028】 図3,4には好ましい圧縮機30を示してある。 この圧縮機30は、出願人の米国特許No. 5,102,316に記載されている型式の密閉型のスクロール圧縮機である。

    【0029】 好ましい圧縮機30は外殻61、及び上部軸受ハウジング63上で支持されクランクピン65と駆動ブッシュ60とを介しクランク軸62へと連動連結されている旋回スクロール部材64を含む。 非旋回スクロール部材67を旋回スクロール部材64と噛合うように配置して設けて上部軸受ハウジング63に、軸線方向で移動可能に支持させてある。 外殻61の上端近くには仕切り板69を設けてあり、この仕切り板69によって外殻61内の上端に吐出室70が区画形成されている。 非旋回スクロール部材67を、旋回スクロール部材64に向けて移動付勢するための第1のチャンバ78と旋回スクロール部材64から離れる向きに移動付勢するための第2のチャンバ77とを、設けてある。 第1のチャンバ78には、非旋回スクロール部材67の端板に形成した通路86を介し中間圧力の流体を導いてあり、この中間圧力の流体からする付勢力によって、非旋回スクロール部材67を旋回スクロール部材64に対し密封的に係合させることとしてある。 第2のチャンバ77には、電磁弁56の位置に応じ吸入圧力又は吐出圧力の流体が導かれる。

    【0030】 圧縮機の作動中、旋回スクロール部材64が非旋回スクロール部材67に対し相対的に旋回するにつれて吸入ガスが吸入口71を通し外殻61内に吸引され、
    非旋回スクロール部材67に設けられた入口72を介し圧縮機30中に吸入される。 スクロール部材64,67上に設けられ互いに噛合わされている螺旋翼により、旋回スクロール部材64の旋回動につれて放射方向の内向きに移動しつつ容積を減少していく可動の流体ポケットが形成されて、入口72を介して吸入される吸入ガスが圧縮をうける。 圧縮されたガスは吐出室70中へ、非旋回スクロール部材67に設けられた吐出ポート73及び通路74を介して吐出される。

    【0031】 圧縮機30の負荷を解除するため電磁弁56は制御モジュール87からの信号に応じて作動され、流体連通を断って第2のチャンバ77内の圧力を吐出ガスの圧力にまで高める。 この吐出圧力からする付勢力が密封付勢力に打ち克つと非旋回スクロール部材67が、旋回スクロール部材64から離れて上方向きに移動せしめられる。 この非旋回スクロール部材67の軸線方向移動によりスクロール部材64,67の翼先と端板間に流体漏れ径路が形成されて、吸入ガスの引き続いての圧縮が実質的に無くされる。

    【0032】 可撓性の流体ライン91を、通路90の外端から外殻61の内外にまたがる管接手92にまで延設してあり、第2のライン93によって管接手92を電磁弁5
    6へと接続してある。 電磁弁56は吸入ライン83及び吐出ライン85へと接続されている流体ライン82,84を有し、センサ88により感知される状態に応じて制御モジュール87により制御され、非旋回スクロール部材67を図3に示す位置と図4に示す位置との間で移動させる。

    【0033】 吸入ガスの圧縮が再開されるべきときは、電磁弁56が作動されて非旋回スクロール部材67が旋回スクロール部材64との密封係合位置へと移動せしめられる。

    【0034】 図2に示した冷凍ないし冷却ケースは、自給式ユニット(self−cont
    ained unit)としてまとめてもよい。 そうすることは多くの用途において望ましいが、この発明は自給式ユニット構造に限定されるものではない。 むしろこの発明は、種々の分散された冷却システムに向いている。 図5はそのような分散システムの一例を示している。

    【0035】 図5について述べると、加熱及び冷却(HVAC)システムにおいて単一の圧縮機30及び凝縮器32が数個の分散された冷却ケースないし冷却ユニットのために用いられている。 図5において冷却ケースないし冷却系ハウジングは破線で示され、符号34a,34b及び34cを付してある。 圧縮機30及び凝縮器3
    2はこれらの冷却ケースないしハウジングのうちの1個、例えば冷却ケースないしハウジング34a、の内部に配置するか或いは同冷却ケースないしハウジングに取付けて設けるのがよい。

    【0036】 各冷却ケースないしハウジングは符号42(a,b,c)及び44(a,b,
    c)で示すように、それ自身の蒸発器とそれに結合された膨張弁を有する。 また各冷却ケースないしハウジングは圧縮機コントローラ52に対し入力情報を供給する、それ自身の温度センサ58(a,b,c)を有していてよい。 さらに圧力センサ60が吸入ライン48の圧力を監視し、その情報を圧縮機コントローラ5
    2へと供給する。 圧縮機コントローラ52は前述したように、電磁弁56に対し可変の負荷サイクル信号を供給する。

    【0037】 図5の複数個のケースないし冷却ユニットに係る実施例は圧縮機コントローラ52によって単一の圧縮機がどのようにして、冷却に対するその時々の要求(i
    nstantaneous demand)を満たすようにパルス幅制御され得るかを示している。 温度センサ58(a,b,c)は圧力センサ60がそうするように、システムに対する負荷の表示を集合的に提供する。 コントローラ52は制御信号のパルス幅を、冷媒に対するその時々の要求に合致させるため圧縮機を高容量状態(100%)と低容量状態(0%)との間で制御するように、調整する。

    【0038】 他の制御技術として蒸発器を出る1個又は複数個の吸入ラインに電気的に制御される弁、例えば蒸発器圧力制御弁45cを備えさせることができる。 弁45c
    は図示のようにコントローラ52へと接続されており、弁のタイプに依存して適当な制御信号を供給される。 ステッパー電動機弁をこの目的のために使用してよく、その場合にはコントローラ52は、ステッパー電動機の設定値を増加又は減少して弁のオリフィス寸法を調整する適当な信号を供給することとなろう。 またパルス幅制御弁も使用でき、その場合に同弁は、圧縮機30に対し供給されるのと同様の可変の負荷サイクル信号を用いて制御してよい。

    【0039】 コントローラ52は圧縮機制御用途のためのみに限定されない。 可変の負荷サイクル制御信号はまた、別のタイプの冷媒流量制御器及び圧力制御器、例えば冷媒制御弁を制御するためにも使用できる。 図7はそのような用途を示しており、
    コントローラ52は蒸発器ステッパー制御器43に対し制御信号を供給する。 この制御器はステッパー電動機45によって制御される流体圧力制御器である。 蒸発器ステッパー制御(ESR)弁43は吸入圧力を調整して、システムの容量を調整する。

    【0040】 好ましい圧縮機コントローラのブロック図を、図6に示してある。 本図及びそれに続く図に示された種々の信号及びデータ値に関する説明は、次の表1に要約してある。

    【0041】

    【表1】

    【0042】 コントローラの中核をなすものは制御ブロック・モジュール102である。 本モジユール102はリード線104に対し可変の負荷サイクル制御信号を供給するのに役立つ。 モジユール102はまた、リード線106に圧縮機オン・オフ信号を供給すると共にリード線108に対し作動状態指令信号を供給する。 圧縮機オン・オフ信号は、圧縮機のモータに対し作動電流を供給する接触器を駆動する。 作動状態信号は、その機械(図10)が現在どのような状態にあるかを示す。

    【0043】 制御ブロック・モジュール102は複数の源から入力信号を受取り、それには前述した温度センサ及び圧力センサからの温度読取り値及び圧力読取り値が含まれる。 これらの読取り値は信号コンディショニング・モジュール110を通過せしめられ、モジュール110の詳細は付録の翻訳言語表に示してある。 制御ブロック・モジュール102はまた、除霜制御モジュール112から除霜状態信号を受取る。 除霜制御モジュール112は、除霜がいつ行われるべきかを決定する論理を含んでいる。 本実施例は除霜を、リード線114を介して供給される外部論理信号によるか除霜制御モジュール自体により発生せしめられる内部論理信号によって制御することを可能とする。 外部論理信号を使用するか内部論理信号を使用するかの選択は、ユーザー入力116によってユーザーが設定できる。 内部論理信号は、ユーザー入力118を介して供給されるユーザー供給パラメータを利用する。

    【0044】 好ましい1つの型式の圧縮機コントローラは自動的なものに構成可能である。
    同コントローラは任意の適応同調モジュール120を含み、該モジュール120
    はシステムの作動状態に基づいて制御アルゴリズムのパラメータ(比例定数K)
    を自動的に調整する。 適応同調モジュール120はリード線104上の負荷百分率及びリード線108上の作動状態、並びにリード線122上の信号コンディショニング後の測定温度(条件付け温度)を感知する。 モジュール120は図示のように、制御ブロック102に対し適応同調パラメータを供給する。 図示の実施例はリード線124に比例定数Kを供給し、定常状態での負荷百分率を指示するSSLパラメータをリード線126に供給する。 リード線126上のシステム警報信号は、適応させて同調されたパラメータの変動に対しシステムが所期のように応動しなかった場合に制御ブロック・モジュール102に対し警告を行う。 したがって同警報は、システムの機能不良があるか冷媒の装填がない場合に発せられる。 所望の場合には警報によってより精巧な診断ルーチンを始動させうる。 圧縮機コントローラは多数のユーザー接触点を提供し、該接触点を介してユーザーにより供給される設定を入力できる。 除霜タイプ(内部か外部か)入力116と入力118への内部除霜パラメータ入力とについては、既に述べた。 ユーザー入力128はユーザーが、温度設定点を適応同調モジュール120に指定することを可能とする。 同様の情報はユーザー入力130から制御ブロック・モジュール102に供給される。 またユーザーは制御ブロック・モジュール102に対し、
    数多くの方法で直接に作用できる。 ユーザー入力132はユーザーが、除霜モード中に圧縮機をオン又はオフに切り替えることを可能とする。 ユーザー入力13
    4はユーザーが、初期比例定数Kを含む初期のコントローラ・パラメータを指定することを可能とする。 比例定数Kはその後、適応同調モジュール120によって調整されうる。 ユーザー入力136はユーザーが、システムが設定点として使用する圧力差(dP)を指定することを可能とする。

    【0045】 これらのユーザー入力に加えて他の複数個のユーザー入力が、信号コンディショニング・モジュール110に対し作用を及ぼすために設けられている。 ユーザー入力138は、信号コンディショニング・モジュール110のためのセンサ作動モードを選択する。 これについては後で詳細に述べる。 ユーザー入力140はユーザーが、信号コンディショニング・モジュール110によって使用されるサンプリング時間を指定することを可能とする。 ユーザー入力142はユーザーが、コントローラが温度センサ(T)のみを用いて作動されるか温度センサ及び圧力センサ(T/P)を用いて作動されるかを指定することを可能とする。

    【0046】 図8には、図6に図示の信号コンディショニング・モジュール110を詳細に示してある。 入力(温度及び/又は圧力センサ)は、符号144で模式的に示してある。 これらの入力はアナログ・デジタル転換器146で処理され、制御タイプ選択器148へ供給される。 温度及び/又は圧力センサからの読取り値が逐次的に取出され、アナログ・デジタル転換器146を介して連続的に制御タイプ選択器148へと供給される。 制御タイプ選択器148は同データを、圧力及び温度値が適正に解釈されるようにコードないし貯蔵する。

    【0047】 次に信号をデジタル・フィルタ150にかけて、見せかけの揺らぎ及びノイズを除去する。 次にモジュール152でデータを調べ、全ての読取り値が予期されたセンサ・レンジ限界内にあることを確認する。 これはデジタル計数値を対応する温度又は圧力値に転換し、それらの値を予め貯蔵してあるセンサ・レンジ限界と対比して行う。 読取り値がセンサ・レンジ限界内になければ、出力154に警報信号が発生される。

    【0048】 次に部分156でデータ操作を、センサ・モードについてのユーザー入力13
    8によって選択された形の温度及び/又は圧力データを与えるように実行する。
    図示の実施例ではデータを選択的に平均するか、或いはデータの最小値又は最大値を決定する(Min/Max/Avg)。 Min/Max/Avgモードは圧力差の変動、又は条件付け温度値を計算するのに使用できる。 平均モードは、条件付け温度値を供給するために使用できる。 これらは出力158及び160でそれぞれ示されている。

    【0049】 図9は、図6に図示の制御ブロック・モジュール102を詳細に示している。
    条件付け温度又は圧力信号は計算モジュール162へ供給され、同モジュール1
    62によって実際の温度又は圧力と設定された温度又は圧力との間の制御偏差ないし誤差が算出される。 モジュール162はまた、これらの値の変化率を算出する。

    【0050】 制御ブロック・モジュール102は、システムの作動状態を周期的に(Tc秒毎、公称は毎秒1回)更新するものに設計されている。 作動状態確認(Find
    Operating State)モジュール164が、この更新機能を実行する。 図10の状態ダイヤグラムは、この実行方法を詳細に示している。 基本的に作動状態は或る状態から他の状態へとセンサ警報(SA)が存在するかどうか、除霜状態信号(DS)が存在するかどうか、及び算出された偏差値がどのようであるかに基づいて進行する。 作動状態確認モジュール164は決定論理(de
    cision logic)モジュール166に対し、作動状態パラメータと予冷時間(Pull Down Time)パラメータとを供給する。

    【0051】 図10について述べると作動状態確認モジュール164は、或る状態から他の状態へと次のように進行する。 初期状態168から始めて、同モジュールは初期化後に通常作動状態170へと進行する。 同モジュールはその状態に、或る条件が出現するまでとどまる。 図10は説明を付した矢印によって通常作動状態17
    0から除霜状態172へ、予冷状態174へ、センサ警報予冷状態176へ、センサ警報作動状態178へ、そしてセンサ警報除霜状態180へ、それぞれ移行するのにどのような条件が要求されるかを示している。

    【0052】 決定論理モジュール166(図9)は、可変の負荷サイクル信号の負荷サイクルを決定する。 この負荷サイクルは、%負荷として示されているリード線182
    への出力である。 決定論理モジュール166はまた、圧縮機オン・オフ信号をリード線184に発生する。 実際の決定論理は、図11を参照して説明する。 決定論理モジュールは、適応計算されたサイクル時間Tcycに基づいた比例積分(
    PI)制御の型式のものである。 このサイクル時間は計算モジュール186により、モジュール188によって発生される算出偏差値に基づいて算出される。 図6を再び参照するとリード線122上の条件付け圧力差信号(Cond dP)
    は、ユーザー入力136(図6)を介して供給される圧力差設定点値と共に偏差計算モジュール188(図9)へ供給される。 実際の圧力差と設定点圧力差との差がモジュール188によって算出され、計算モジュール186へ供給される。
    適応サイクル時間Tcycは圧力差偏差と作動状態との関数であり、作動状態確認モジュール164によって次の数式1に従って決定される。

    【数1】

    ここにKcは比例定数であり、Errorは(実際−設定点)吸入圧力変動である。

    【0053】 決定論理モジュール166に組込まれている好ましいPI制御アルゴリズムを、図11に示してある。 ルーチンはステップ200で、ユーザー供給パラメータK,Ti,Tc及びStを読取ることから始められる。 これらのユーザー供給値の説明は図6を参照されたい。 定数Kpは初期に供給された値Kと等しいとして計算され、定数Kiは初期に供給された定数Kと比Tc/Tiとの積として計算される。

    【0054】 次にステップ202において、設定点温度と条件付け温度間の偏差の絶対値(
    図9のリード線190上)が5Fより大であるかどうかの決定が行われる。 もし大であると、ステップ204でKpは零に等しいと設定される。 もし大でなければルーチンはそのままステップ206に進み、そこで新たな負荷百分率値Loa
    d_New%が、図11のステップ206に掲げた式によって計算される。 この負荷百分率値が100よりも大であると(ステップ208)、ステップ210で負荷百分率が100%に等しいと設定される。 負荷百分率値が100%よりも大でなく0%より小であれば(ステップ212)、ステップ214で負荷百分率が0%に等しいと設定される。 負荷百分率値が0%と100%との限界値内にあれば、ステップ216で負荷百分率が新たな負荷百分率と等しいと設定される。

    【0055】 コントローラにより発生される可変の負荷サイクル制御信号は、いくつかの形をとり得る。 図12,13は2つの例を示している。 図12は、負荷サイクルは変わるが周波数ないし振動数は一定にとどまる可変の負荷サイクル信号を示している。 図12において両端矢印記号で示してあるサイクル時間220は、互いに等間隔をおいている点に留意されたい。 比較のために図13は、周波数ないし振動数も変えられる可変の負荷サイクル信号を示している。 図13において両端矢印記号で示してあるサイクル時間220は、等間隔のものではない点に留意されたい。 むしろ波形は一定周波数の領域、周波数が増大する領域、及び周波数が減少する領域を示している。 図13に示した可変の周波数は、サイクル時間Tcy
    cの適応調整の結果である。

    【0056】 図14はこの発明の制御系が、システムの効率を改善しつつより密な温度制御とより高い吸入圧力とを維持するといった長所を有することを、グラフ的に示している。 この発明で得られる温度カーブ222が対応する従来のコントローラの温度カーブ224よりもずっと少ない変動ないし揺らぎしか示さない点に、留意されたい。 同様にこの発明で得られる圧力カーブ226が、従来のコントローラの圧力カーブ228のベースラインよりも十分上方にベースラインを有する点に留意されたい。 またこの発明で得られるところの圧力における最高最低揺らぎ(
    peak−to−peak fluctuation)(カーブ226)は、従来のコントローラによって得られる最高最低揺らぎ(カーブ226)よりもずっと小さい。

    【0057】 この発明のコントローラは、負荷の熱時定数よりも少なくとも4倍速く(普通は少なくとも8倍速いオーダーで)作動する。 図示の好ましい実施例では可変の負荷サイクル信号のサイクル時間は、負荷の時定数よりも約8倍短い。 或る例では可変の負荷サイクル信号のサイクル時間は10ないし15秒のオーダーであり、一方冷却されるシステムの時定数は1ないし3分のオーダーである。 冷却されるシステムの熱時定数は一般に、システムの物理的或いは熱力学的特性によって記述される。 加熱或いは冷却システムの物理的或いは熱力学的応答を記述するのに種々のモデルを使用できるが、以下の解析は原理とするところを示す。

    【0058】 冷却されるシステムの熱時定数のモデル化 冷却システム或いはヒートポンプの蒸発器コイルの前後にわたる温度変化を一次系としてモデル化でき、温度変化を次の数式2に従ってモデル化できる。

    【数2】

    ここに、 △T =コイル前後の空気温度変化 △Tss =コイル前後の定常状態での空気温度変化 △To =時間零におけるコイル前後の空気温度変化 t =時間 Y =コイルの時定数 である。 ユニットの過渡容量は、上の数式2に空気質量流量(m)と一定圧力での比熱(Cp)を乗じ、時間について積分することにより得ることができる。

    【0059】 一般に定常作動状態に達するのに必要な時間、したがって凝縮器コイル前後の定常状態での温度変化を支配するのは、蒸発器からの冷媒の除去である。 所望の場合にはシステムを2つの時定数、つまり一つはコイルの質量に基づく時定数であり他の一つは過剰の冷媒が蒸発器からシステムの他の部分に到達するのに要する時間に基づく時定数、を用いてモデル化できる。 また別の時間遅延として、いくつかのシステムにおける蒸発器コイルと凝縮器コイル間の大きな物理的距離による時間遅れを考慮にいれておくのが、望ましい。

    【0060】 蒸発器コイルの熱応答は、次の数式3によってモデル化してよい。

    【数3】

    ここに、 θ =コイル前後の温度変化/コイル前後の定常状態での温度変化 t =時間 Y1 =コイルの質量に基づく時定数 Y2 =過剰の冷媒を蒸発器から除去するのに要する時間に基づく時定数 である。

    【0061】 実際にこの発明のコントローラは、従来のコントローラよりも著しく迅速に反復動作する。 これは従来のコントローラが、実際の温度と設定点温度(又は圧力)との比較に直接に応動してオン及びオフ動作するためである。 換言すると従来のコントローラは冷却に対する要求があるときにオン動作し、実際の温度と設定点温度間の偏差ないし誤差が予定した限界以下にあるときにオフ動作するためである。 したがって従来のコントローラのオン・オフ動作は、冷却されるシステムの時定数に高度に依存する。

    【0062】 これに対しこの発明のコントローラは、実際の温度又は圧力と設定点温度又は圧力間のその時々の関係に直接には関連しない計算値により指令される速度でオン・オフ動作する。 サイクル時間はむしろ、サイクル速度とコントローラにより供給される可変の負荷サイクル信号の負荷サイクルとの両者によって指令される。 とりわけコントローラが各サイクルにおいてオン状態からオフ状態に移行する点は、必ずしも冷却に対する要求がある場合ではなくむしろ、同要求を満たすことが必要とされる負荷サイクルによって指令される点である。

    【0063】 適応同調 前述したコントローラ「ジェネバ(Geneva)」は古典的な制御アルゴリズム、例えば通常の比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、を実行するように構成できる。 一般的な構成ではユーザーは普通、適当なプログラミングによって制御パラメータを設定する必要があろう。 コントローラはまた、ユーザーが適切な制御パラメータを決定しプログラムする必要をなくす適応タイプのものであってもよい。

    【0064】 したがって適応コントローラの1つの重要な長所は、その適応同調を実行する能力にある。 一般に同調は適切な制御パラメータを選択して閉ループ系が、広範囲の作動条件にわたり安定であり、閉ループに対する外乱の影響を迅速に減少し、また連続した反復動作中に機械要素の過剰な摩耗を生じさせないことを、必要とする。 これらはしばしば互いに排他的な規範であり、一般に妥協が行われなければならない。 図20(及び図6)中には2つの基本的な制御ループ、つまり冷却制御ループと適応同調ループ、が存在する。 冷却制御ループは制御ブロック・
    モジュール102によって処理され、適応同調ループは適応同調モジュール12
    0によって処理される。 適応同調モジュール120の詳細が図15−19に示されている。 好ましい適応同調モジュールは、図20−22に関連して述べるファジイ論理制御アルゴリズムを使用する。

    【0065】 図15について述べると、適応同調モジュールは基本的に3つの機能を実行する。 第1に同モジュールは、適応同調を実行すべきかどうかを決定する。 これはモジュール240により取扱われる。 第2に適応同調を実行するのに必要なパラメータを集める。 これはモジュール242により取扱われる。 第3に制御ループによって使用される適応ゲインを計算する。 これはモジュール244により取扱われる。

    【0066】 モジュール240は同調を始めるべきかどうかを2つのファクター、つまり現在のシステム作動状態と制御設定点、を基準として決定する。 図16のフローチャートは、この決定に伴う諸ステップを示している。 モジュール242は、モジュール244により実行される計算に必要な主要パラメータを積分する。 主としてモジュール242は負荷百分率、温度及び圧力値、設定点温度を入力される。
    同モジュール242は以下のデータ、すなわちS_ER(設定点値の0.5度ないし1Psig内にある条件付け温度及び圧力データ点の合計数)、S_Clo
    se(与えられたサンプリング間隔、例えば30分、中に零パーセントに移行する負荷百分率データ点の合計数)、S_Open(サンプリング間隔中に100
    %に移行する負荷百分率データ点の合計数)、及びSSLP(サンプリング間隔中の負荷百分率の移動平均ないしローリング平均)を、出力する。 モジュール2
    42は、モジュール240により設定される同調フラグに対し応動する。 モジュール242は同調フラグによりそうすべきことを指令されたとき、上記した主要パラメータの積分を実行する。 図17は、これらの主要パラメータの積分の実行に伴う諸ステップを示している。

    【0067】 最後に計算ブロック244がモジュール242により供給されるデータを受取り、図18に掲げたプロセスを用いて適応ゲインを計算する。

    【0068】 適応同調モジュール120はタイマーの状態に依存して、種々の作動状態を通して動作する。 図19は、図示の好ましい実施例がどのように機能するかを示す状態ダイヤグラムである。 同調フラグ(TF)が設定されているかどうかに依存して順次動作が、初期化モードから積分モード又は非同調モードの何れかに変わる点に留意されたい。 積分モードに一旦入ると系はタイマーの設定時間終了(通常30分)まで積分を実行し、そこで計算モードに入る。 計算が完結するとタイマーがリセットされ、系は初期化モードへと戻る。

    【0069】 適応スキームのブロック図を、図20に示してある。 2つの基本的なループがあり、その1つはdt秒毎に走行するPID制御ループ260であり、他の1つはta秒毎に走行する適応ループ262である。

    【0070】 制御システムがスタートしたときPID制御ループ260は、制御出力を計算するためにゲイン(K)の省略時値(default value)を使用する。 適応ループ262は、ta秒266(好ましくは0.2dt秒より小)毎に偏差e(t)264をチェックする。 モジュール268で、偏差e(t)の絶対値が所期のオフセット(OS)よりも小さいとカウンタEr_newが増される。
    オフセット(OS)は受容できる定常状態偏差である(例えば温度制御に対して+/1゜Fであってよい)。 このチェック過程はtsum秒(好ましくはdt秒の200ないし500倍)270の間、継続する。 tsum秒270の後、値E
    r_newは百分率に転換される(Er_new%272)。 パラメータEr_
    new%はtsum秒の間、受容されるオフセット(OS)内にあった偏差e(
    t)の百分率を示す。 換言すると同パラメータは、過去のtsum秒の間に制御変量がどのようにうまく制御されたかの尺度を示すものである。 100%の値は「密な」制御を意味し、0%の値は「劣等な」制御を意味する。 Er_new%
    が100%であるときはいつでも、それが密な制御を示すことからゲインは実質的に変更されないままに留められる。 しかしEr_new%が0%と100%との間にあったとすれば、適応ファジイ論理アルゴリズム・モジュール274が新たなゲイン(K_new 276)を計算し、同ゲインが制御アルゴリズム・モジュール278によって次のtsum秒の間、使用される。

    【0071】 好ましい実施例ではファジイ論理アルゴリズム・モジュール274に1個の出力と2個の入力がある。 出力は入力Er_new%を用いて計算される新たなゲイン(K_new%)であり、変量Dirは次の数式4のように定義される。

    【数4】

    ここに、 Signは括弧内の項の符号(+ve,−ve又は零)を表し、 Er_new%は過去tsum秒間のオフセット内にあるe(t)の百分 率であり、 Er_old%は(tsum−1)の反復中におけるEr_new%の値 であり、 K_newはtsum時間に用いられたゲインであり、 K_oldは(tsum−1)時間におけるゲインである。

    【0072】 例えばコントローラが0秒で省略時値K=0、ta=1秒、tsum=100
    0秒、OS=1でスタートするものとする。 また可能な1000データのうち6
    00e(t)データがオフセット内にあったとする。 したがって1000秒後、
    適応ファジイ論理アルゴリズム・モジュール274が第1回目に使用されるときEr_new%=60(すなわち600/1000*100)、K_new=1
    0、Er_old%及びK_oldが零にセットされることになる。 これらの数値を数式4に入れると、変量Dirの符号が正と与えられる。 したがって第1回目の反復中の適応ファジイ論理アルゴリズム・モジュール274に対する入力はそれぞれ、Er_new%=60、Dir=+veである。

    【0073】 次のステップはこれらの入力をファジイ入力へと、メンバーシップ関数を用いてファジイ化することである。

    【0074】 ファジイ化 メンバーシップ関数は、論議の領域(the universe of di
    scourse)(x軸)とグレード空間(the grade space)
    間の写像(マッピング)である。 論議の領域は入力或いは出力にとって可能な値の範囲である。 ER_new%に対して同範囲は、0から100であるのが好ましい。 グレード空間中の値は典型的には0から1の範囲にわたり、ファジイ入力、真理値又はメンバーシップ度と呼ばれる。 図21は入力ER_new%のメンバーシップ関数を含むグラフ300を示している。 ER_new%は3つの言語上の変量、つまり「大きい」(Large)(304)、「中間」(Mediu
    m)(306)及び「小さい」(Small)(308)に分割されている。 E
    R_new%=60に対しファジイ入力(或いはメンバーシップ関数度)は「大きい」が0.25、「中間」が0.75である。 入力変量Dirはうまく定義されており(+ve,−ve又は零)、本適用においてメンバーシップ関数を要求しない。 次のステップは、「真理値表」又はルール評価(Rule Evalu
    ation)をつくることである。

    【0075】 ルール評価 ルール評価はファジイ化ステップからファジイ入力を、知識ベースからルールを、取得してファジイ出力を計算する。 図22はルールを、真理値表として示している。 第1列、第1行においてルールは「Er_new%が大きく(Larg
    e)Dirが負であれば、新たなゲインは無変更(NC)であるということである(すなわち先のtsum秒の間オフセット(OS)内にあるe(t)の百分率が大きく(Large)方向(Dir)が負/零であれば、既存のK値を変更しない(無変化))。

    【0076】 例ではEr_new%が、Dirが正でLarge(0.25)及びMedi
    um(中間、0.75)であるので、次のルールが用いられることになる。 すなわちEr_new%が大きく(Large)(0.25)Dirが正であれば新たなゲインは無変更(NC=1)であり、Er_new%が中間であり(Med
    ium)(0.75)Dirが正であれば正の小さな変更(PSC=1.2)とする。

    【0077】 非ファジイ化 最後に非ファジイ化はルール評価ステップからのファジイ出力を、図23のグラフ310を用いて最終出力に転換する。 グラフ310は以下の標識を使用する:負の大きな変更に対してはNBC、負の小さな変更に対してはNSC、無変更に対してはNC、正の小さな変更に対してはPSC、正の大きな変更に対してはPBC。 非ファジイ化の好ましい実施例においては、重心法ないしセントロイド(centroid)法を使用する。 ゲインの変更についての出力メンバーシップ関数を、図23に示してある。

    【0078】 セントロイド(ファジイ論理出力)は、次の数式5で計算される。

    【数5】

    ここにμ(x)は、論議の領域の値xに対するファジイ出力値である。

    【0079】 上の例では出力(K_new)が、次の数式6のようになる。

    【数6】

    【0080】 ファジイ化、ルール評価及び非ファジイ化といった3つのステップが終了し出力が計算されると、プロセスは新たなEr_new%のために反復される。

    【0081】 上述の例では第1回目の1000秒後、適応アルゴリズムによってK_new
    =11.50といった新たなゲインが算出される。 この新たなゲインはPID制御ループによって、次の1000秒(すなわち実際の時間でt=1000から2
    000秒)のために用いられる。 カウンタt=1001秒でEr_newが零にセットされ、次の1000秒をカウントする。 この次の1000秒の終わりにE
    r_new%が再び計算される。

    【0082】 この時間にEr_new%が25であると仮定する。 このことはKの10から11.5への変更によって制御がより不良になったことを意味する。 したがってゲインを他の方向に変更する、つまりゲインを増加させるのではなく減少させる、のがよいであろう。 このためt=2000秒でEr_new%=25、Er_
    old%=60(Er_new%の以前の値)、K_new=11.5、K_o
    ld=10(Kの以前の値)とする。 数式4を適用して負のDirが得られる。
    Er_new%=25、Dir=負で再びファジイ論理計算を実行して、次の1
    000秒についての新たなゲインを算出する。 この新たなゲイン値はK_new
    =7.76であり、PIDループによってt=2000から3000秒まで用いられる。

    【0083】 3回目の反復、つまりt=2000から3000秒においてEr_new%が95%になったとする(これはより密な制御を表す)。 同じファジイ論理操作を実行すると同じK_newの値が与えられ、Er_new%が再び低下するまで同ゲインは変更しないままにとどめられる。

    【0084】 典型的な利用 パルス幅調整(PWM)圧縮機と電子ステッパー制御器(ESR)弁との両者を、蒸発器温度/圧力又は蒸発器冷却流体(空気又は水)温度を制御するために使用できる。 前者は冷媒流量を調整することによって制御し、後者は吸入側を絞って流量を制御する。 図20には冷却システム279におけるこの種アクチュエータの作用を示すために、制御系のブロック図を掲げてある。 図20において1
    個、好ましくは4個までの蒸発器冷却流体の温度又は1個の蒸発器吸入圧力がd
    t秒毎に採取される(符号282で一般的に示す)。 dt=10のサンプリング時間が、両者の利用に最適であることを見いだした。 アナログ・デジタル・モジュール284によってデジタル転換処理した後、採取した信号をモジュール28
    6で、系構成或いはユーザーの好みに従い4個の温度の平均値、最小値又は最大値を採用することによって1個の数値に減らす。 蒸発器コイルの全体が除霜に同時に移行する単一アクチュエータ(PWM/ESR)系では普通、制御信号の平均が好ましい。 蒸発器コイルの除霜が同時には起きない複数蒸発器−単一アクチュエータ系では最小値モードが好ましい。 avg/min/max後に得られる値は、調整信号(conditioned signal)と呼ばれる。 これを比較モジュール288で所望の設定点と比較して偏差e(t)を算出する。

    【0085】 ループ中で用いられる制御アルゴリズムは、比例積分(PI)制御法(PID
    )である。 PIアルゴリズムはESRの場合には弁位置(0−100%)を計算し、PWM圧縮機の場合には負荷百分率(0から100%)を計算する。 上記両者のアクチュエータに対し典型的な積分時間Tiは60秒である。 ゲインは適応ループによって適応同調される。 好ましい実施例において適応アルゴリズムは、
    以下の場合にはいつでもなくされる:システムが除霜中のとき、システムが予冷に移行するとき、大きな設定点変化があるとき、センサの故障が検出されたとき、他の何らかのシステム故障が検出されたとき。

    【0086】 したがって適応アルゴリズムは典型的に、システムが通常モードで作動しているときに用いられる。 用いられる時間taは好ましくは約1秒であり、tsum
    は約1800秒(30分)である。

    【0087】 PWM圧縮機/ESR弁に関連した診断法 図24について述べると放出冷却流体温度センサ312(Ta)、蒸発器コイル入口温度センサ314(Ti)及び蒸発器コイル出口温度センサ316(To
    )が、PWM/ESRを用いた蒸発器制御のための診断の特徴を付与可能である。 入口温度センサ314は蒸発器コイル中のどこにあってもよい。 しかし好ましい位置は、蒸発器コイル分配器320から全蒸発器長さの約3分の1の位置である。

    【0088】 これら3個の温度センサを用いて診断法に利用可能なシステム学習を実施できる。 例えば膨張弁付きの単一蒸発器において使用される場合のESR/PWMのための診断法を、次のように実施できる。 本例では適応ループ中で以下の変量が、tsum秒毎にトラッキングされる。 これらの変量は、適応ループ中でEr_
    new積分がされた直後に積分できる。 N_Close:PWM負荷が0%であったときの弁位置回数。 N_Open:PWM負荷が100%であったときの弁位置回数。 MAVP:弁位置の移動平均。 tsum秒間のPWM負荷時。 SSLP:定常状態での弁位置。 PWM負荷は、tsum期間のEr_ne w%が50%よりも大であるとMAVPと等しいと設定される。 dT:TaとTi(Ta−Ti)の差の移動平均。 SH:上記期間におけるToとTi(To−Ti)の差の移動平均。 これは ほぼ、蒸発器の過熱に対応する。 N_FL:上記期間、すなわちtsum秒間にToがTiよりも小であった 回数。 この数値は、どれだけ多く膨張弁が蒸発器をフラッディン グさせるかを示す。

    【0089】 また除霜後の予冷時間tpdも学習される。 これらの変量に基づいて以下の診断が実施される:温度センサの故障、膨張弁の劣化、ESR弁/PWM圧縮機の劣化、過大寸法のESR/PWM、過小寸法のESR/PWM、及び空気流なし。

    【0090】 温度センサの故障 温度センサの故障は、温度読取り値が予期された範囲内にあるかどうかをチェックすることによって検出される。 PWM/ESRが制御変量としてTaを用いて制御されていれば、制御は以下のように行われる:前述のアクチュエータがT
    iに基づいて制御されるか、或いはTa値が学習されたdTを用いて見積もられる(すなわちTiにdTを加えてTaを見積る)。 予冷中に弁/PWMは、学習された予冷時間(tpd)に対して全開/負荷にセットできる。 Tiが同時に故障するか利用できないとすると、アクチュエータが予冷時間の間、100%に開放され、次に予冷時間後に定常状態負荷百分率(SSLP)にセットされる。 この条件の下で管理者に警報が送られる。

    【0091】 膨張弁の劣化 膨張弁が粘着するか調子を狂わせるか過小/過大寸法にあるとトラッキングされる変量の以下の組合わせを、かかる問題を診断するために利用できる:N_F
    L>50%でありEr_new%>10%であると、膨張弁が開放状態で粘着しているか調子を狂わせているか或いは過大寸法ですらあり、蒸発器コイルがフラッディングしていることを示す。 このような状態の下では警報が送られる。 またSH>20でありN_FL=0%であると、膨張弁が調子を狂わせているか過小寸法であるか閉鎖状態で粘着していることを示す。

    【0092】 ESR弁/PWM圧縮機の劣化 ESR弁の劣化は、ステップを失わせるか動けなくする劣化である。 PWM圧縮機の劣化は、そのソレノイドが閉鎖状態又は開放状態で粘着する劣化である。
    これらの問題は、ESR/PWMを0%にセットすることにより除霜を実行する方法で検出される。 問題の検出法は次の通りである。

    【0093】 除霜前にEr_new%>50%であり除霜中にTi<32°F,SH>5°
    Fであれば、その値はステップが失われていることを決定する。 したがってその値を他の100%によって打ち切り、さらにTi及びSHが同じにとどまれば弁が粘着していることを顕著に示す。

    【0094】 Er_new%=0、N_Closeが100%、Ti<32°F、SH>5
    °Fであれば、PWM/ESRが開放状態で粘着していると決定される。 Er_
    new%=0、N_Openが100%、Ti>32°F、SH>5°Fであれば、PWM/ESRが閉鎖状態で粘着していると決定される。

    【0095】 過大寸法のESR/PWM N_Close>90%であり30%<Er_new%<100%であれば、
    過大寸法の弁/PWM圧縮機に対する警報が送られる。

    【0096】 過小寸法のESR/PWM N_Open>90%、Er_new%=0、SH>5であれば、過小寸法の弁/PWM圧縮機に対する警報が送られる。

    【0097】 空気流なし N_Open=100%、Er_new%=0、SH<5°F、Ti<25°
    F、N_FL>50%であれば、空気流がブロックされているかファンが正しく作動していないかの何れかである。

    【0098】 上述の診断方策はまた、電子的な膨張弁を有するコントローラにも適用できる。

    【0099】 上述した実施例は例示のためのものであり、この発明を限定する意図のものではない。 当業者であれば実施例に対し、添付の特許請求の範囲によって定義された発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更及び修正を加え得ることが、理解されよう。

    【0100】 付録 信号コンディシュニングを実行するための翻訳言語表 Ts秒毎に以下を反復: ユーザー入力を読取る: −サンプリング時間 −制御タイプ(P又はT) −センサモード(Avg/Min/Max) アナログ→デジタル転換(ADC)を実行 −全(4つの)温度センサ径路上で出力値を計数 計数値をデジタルフィルタにかける −Ynew=0.75*Yold+0.25*計数値 −出力データをフィルターリングされた計数値として フィルターリングされた計数値を度Fに転換 少なくとも1つのセンサが通常の作動限界内にあるかどうかをテスト −例えば−40から+90F内 何れも限界内になければ、センサ警報をTRUEにセット そうでない場合は、センサモードに基づいてAvg/Min/Max操作 を実行 制御タイプがT/P制御タイプでなければ エンド信号コンディショニング・ルーチン(次のTsサイクルまで) そうでない場合(制御タイプがT/P)には、以下を実行: 圧力センサ径路上でADCを実行 −出力データを計数値として 計数値をデジタルフィルタにかける −Ynew=0.75*Yold+0.25*計数値 −出力データをフィルターリングされた計数値として フィルターリングされた計数値をPsigに転換 圧力センサが通常の作動限界内にあるかどうかをテスト −例えば0から+200 限界内になければ セットdP=dPセットPt そうでない場合には dP=Pmax−Pminを計算 センサ警報を条件付けT/dPにセット エンド信号コンディショニング・ルーチン(次のTsサイクルまで)

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 従来の冷却システムのブロック図である。

    【図2】 この発明に従った冷却システムのブロック図である。

    【図3】 パルス幅調整圧縮機の一実施例の負荷状態での断面図である。

    【図4】 図3の実施例の負荷解除状態での断面図である。

    【図5】 この発明に従った冷却システムの他の実施例を示す図である。

    【図6】 コントローラのブロック図である。

    【図7】 蒸発器ステッパー制御器を調整するためにコントローラがどのように使用されるかを示すブロック図である。

    【図8】 図6のコントローラの信号コンディショニング・モジュールのブロック図である。

    【図9】 図6のコントローラの制御モジュールのブロック図である。

    【図10】 コントローラの作動状態を示す状態ブロック図である。

    【図11】 好ましいPI制御アルゴリズムを示すフローチャート図である。

    【図12】 コントローラによって生ぜしめられた負荷サイクル信号と一定周波数での作動を示す波形図である。

    【図13】 可変の負荷サイクル信号の波形図で、可変周波数での作動を示している。

    【図14】 この発明を利用したシステムの温度及び圧力挙動を、従来のシステムのものと比較して示す一連のグラフである。

    【図15】 この発明の適応同調モジュールを示すブロック図である。

    【図16】 適応同調モジュールの好ましい作動を、特にいつスタートすべきかの決定に関連して示すフローチャート図である。

    【図17】 積分モードにおいて適応同調モジュールにより実行される好ましいプロセスを示すフローチャート図である。

    【図18】 計算モードにおける適応同調モジュールの作動を示すフローチャート図である。

    【図19】 適応同調モジュールの作動状態を示す状態図である。

    【図20】 適応同調ループのファジイ論理ブロックを示すブロック図である。

    【図21】 図20のファジイ論理ブロックのためのメンバーシップ関数のダイヤグラムである。

    【図22】 図20のファジイ論理ブロックにより使用される図21のメンバーシップ関数に関する真理値表である。

    【図23】 図20のファジイ論理ブロックのための出力メンバーシップ関数のダイヤグラムである。

    【図24】 この発明の制御及び診断関連の例示的なセンサ位置を示す図である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 シンフ,アブター アメリカ合衆国、30144ジュージア州、ケ ネソウ、エル エスカイヤ レーン 3600、スターリング ハイランド アパー トメント (72)発明者 キャイラト,ジーン−ルック エム アメリカ合衆国、45414オハイオ州、デイ トン、セットルメント ウェイ 7001 (72)発明者 バス,マーク アメリカ合衆国、45365オハイオ州、シド ニー、アロウヘッド ドライブ 815、ア パートメント シィ Fターム(参考) 3H039 AA03 AA04 AA12 BB22 BB28 CC30 CC32 CC33 CC34 CC39 3H045 AA05 AA16 AA27 AA33 BA13 BA33 CA01 CA19 DA08 DA33 EA13 EA16 EA36 EA42

    QQ群二维码
    意见反馈