展示物又は表示物用カバー部材

申请号 JP2013506408 申请日 2013-02-12 公开(公告)号 JPWO2013132963A1 公开(公告)日 2015-07-30
申请人 日本電気硝子株式会社; 发明人 今村 努; 努 今村; 隆義 齊藤; 隆義 齊藤; 耕司 池上; 耕司 池上; 利之 梶岡; 利之 梶岡;
摘要 展示物又は表示物と鑑賞者の間にあたかも何もなかったかの如く視認でき、しかも展示物や表示物を保護できる展示物又は表示物用カバー部材を提供する。展示物又は表示物用カバー部材3は、透明基材31aと、透明基材の少なくとも片面に形成された反射防止膜31bとを備える。展示物又は表示物用カバー部材3の視感反射率は、0.5%以下である。
权利要求

透明基材と、該透明基材の少なくとも片面に形成された反射防止膜とを備え、視感反射率が0.5%以下であることを特徴とする展示物又は表示物用カバー部材。紫外光の透過率が30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の展示物又は表示物用カバー部材。前記反射防止膜の紫外光の透過率が30%以下であることを特徴とする請求項2に記載の展示物又は表示物用カバー部材。前記反射防止膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した膜であり、最外層がAl2O3を含有したSiO2膜からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の展示物又は表示物用カバー部材。SiO2膜におけるAl2O3の含有量が、1〜20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の展示物又は表示物用カバー部材。基台と、該基台の上に載置された展示物を収納し保護するように固定されたカバー部材からなり、該カバー部材が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバー部材からなることを特徴とする展示ケース。カバー部材が曲面を有することを特徴とする請求項6に記載の展示ケース。枠材と、収納する展示物と接触しないように枠材に固定されたカバー部材からなり、該カバー部材が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバー部材からなることを特徴とする額縁。表示物とカバー部材とを収納する収納体を有し、該カバー部材が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバー部材からなることを特徴とする表示デバイス。前記表示物と前記カバー部材とが、樹脂フィルムを介して接着固定されてなることを特徴とする請求項9に記載の表示デバイス。前記表示物が前記表示デバイスの一領域に設けられており、 前記カバー部材が前記表示物を覆うように、前記表示デバイスの一部の領域に設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の表示デバイス。側壁の少なくとも一部の上に、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカバー部材が設けられたことを特徴とする槽。前記カバー部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の水槽。

说明书全文

本発明は、展示物又は表示物用カバー部材及びそれを用いた展示ケース、額縁、表示デバイスに関する。

特定の分野に対して価値のある事物、学術資料、美術品等の展示物を美術館、博物館等で展示する場合、展示物が汚れたり、劣化したり、あるいは故意又は事故により外的なが加わり、傷ついたり、破損するといった虞れがある。

特開平9−000043号公報

これらを防止するため、展示物を透明のカバー部材で保護することがあるが、カバー部材を構成するガラスや樹脂の表面で写り込みがあり、展示物が視認しにくくなるという問題がある。

また、スマートフォン、モバイルパソコン、携帯ゲーム機等のモバイル機器においては、表示物が透明のガラス板等で保護されているが、太陽光や蛍光灯等の写り込みにより、液晶等の表示物による画像が見にくくなることがあった。

本発明は、特定の分野に対して価値のある事物、学術資料、美術品等の展示物、スマートフォン、モバイルパソコン、携帯ゲーム機等のモバイル機器、カーナビゲーション、据え置き型ゲーム機等の表示物を保護しながら、展示物又は表示物と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認できる展示物又は表示物用カバー部材、及びそれを用いた展示ケース、額縁、表示デバイスを提供することを主な目的とする。

本発明の展示物又は表示物用カバー部材は、透明基材と、該透明基材の少なくとも片面に形成された反射防止膜とを備え、視感反射率が0.5%以下であることを特徴とする。

本発明の展示物又は表示物用カバー部材の紫外光の透過率が30%以下であることが好ましい。

反射防止膜の紫外光の透過率が30%以下であることが好ましい。 反射防止膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した膜であることが好ましい。この場合、最外層は、SiO2膜からなることが好ましい。さらに、SiO2膜は、化学的耐久性向上のためにAl2O3を含むことが好ましい。SiO2膜におけるAl2O3の含有量は、1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。Al2O3の含有量が少ないと化学的耐久性向上の効果が十分得られにくく、また、Al2O3の含有量が多いと膜の屈折率が上昇して反射防止効果を損ないやすい。

また本発明の展示ケースは、基台と、該基台の上に載置された展示物を収納し保護するように固定されたカバー部材からなり、該カバー部材が、透明基材と、該透明基材の少なくとも片面に形成された反射防止膜とを備え、視感反射率が0.5%以下であるカバー部材からなることを特徴とする。

また本発明の展示ケースでは、カバー部材が曲面を有していてもよい。

また本発明の額縁は、枠材と、収納する展示物と接触しないように枠材に固定されたカバー部材からなり、該カバー部材が、透明基材と、該透明基材の少なくとも片面に形成された反射防止膜とを備え、視感反射率が0.5%以下であるカバー部材からなることを特徴とする。

また本発明の表示デバイスは、表示物とカバー部材とを収納する収納体を有し、該カバー部材が、透明基材と、該透明基材の少なくとも片面に形成された反射防止膜とを備え、視感反射率が0.5%以下であるカバー部材からなることを特徴とする。

また本発明の表示デバイスは、表示物とカバー部材とが、樹脂フィルムを介して接着固定されてなるものであってもよい。

また本発明の表示デバイスにおいて、表示物が表示デバイスの一領域に設けられており、カバー部材が表示物を覆うように、表示デバイスの一部の領域に設けられていてもよい。

本発明に係る槽は、側壁の少なくとも一部の上に、請求項1に記載のカバー部材が設けられたことを特徴とする。カバー部材が着脱可能に設けられていてもよい。

本発明によれば、展示物又は表示物と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認でき、しかも展示物や表示物を保護できるカバー部材を提供することができる。

図1(a)は、第1の実施形態に係るカバー部材を用いた展示ケースの斜視図、(b)は、カバー部材の一部断面図である。

図2(a)は、第2の実施形態に係るカバー部材を用いた展示ケースの縦方向断面図、(b)は、平面図である。

図3は、第3の実施形態に係るカバー部材を用いた絵画用額縁の縦方向断面図である。

図4(a)は、第4の実施形態に係るカバー部材を用いた表示デバイスの縦方向断面図、(b)は、カバー部材の一部断面図である。

図5は、第5の実施形態に係る表示デバイスの模式的平面図である。

図6は、図5の線VI−VIにおける模式的断面図である。

図7は、第6の実施形態に係る水槽の模式的正面図である。

図8は、図7の線VIII−VIIIにおける模式的断面図である。

図9は、第7の実施形態における実施例1のカバー部材を塩水煮沸試験した試験前及び試験後の反射率を示す図である。

図10は、第7の実施形態における実施例2のカバー部材を塩水煮沸試験した試験前及び試験後の反射率を示す図である。

以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。

また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。

本実施形態に係る展示物又は表示物用カバー部材は、展示物や表示物を汚染、劣化、破損等から保護できる透明基材を備えている。

透明基材は、可視光線の透過率が高いガラス、樹脂等から構成される。耐候性、耐光性、反射防止膜との密着性、ガスバリア性等の観点からガラスであることが好ましい。ガラス材質としては、ソーダ石灰系ガラス、珪酸塩系ガラス、アルミノケイ酸塩系ガラス、無アルカリガラス、風冷強化ガラス、イオン強化ガラス、低膨張結晶化ガラス等が利用可能である。透明基材の形状としては、板状体、箱体、曲板体、円筒体等が利用可能である。

透明基材は、厚みが大きくなるほど、強度が向上するが、透明基材をガラスから作成する場合、厚みが大きくなると、重量が大きくなりやすいため、軽量化を図る上では、できるだけ薄くすることが望ましい。特に透明基材(ガラス板)の厚みが10μm〜0.3mmであると、可撓性を有し、曲面を形成することが可能であるとともに、端面からの入射光及び端面での反射光を低減できるため好ましい。透明基材の好ましい厚みは、20μm〜0.2mm、さらには50μm〜0.1mmである。またガラスが板状の場合、その強度を補う目的で、ガラス板の表面に透明樹脂板を貼り合わせることも可能である。さらにガラス板の表面粗さが、Raで50nm以下であると、光の散乱を抑制できるため好ましい。

透明基材を構成するガラス板の成形方法としては、周知のオーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、フロート法、ロール成形法等が利用可能であるが、特に、オーバーフローダウンドロー法は、反りが少なく、平滑で(表面粗さが小さい)、厚みが小さいガラス板を得るのに適している。

反射防止膜は、透明基材の少なくとも片面に形成され、この反射防止膜の作用により、カバー部材の視感反射率は0.5%以下となる。そのため、このカバー部材で展示物や表示物を保護しても、展示物や表示物と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認できる。

反射防止膜を透明基材の片面に形成する場合、展示物や表示物と反対側の面(鑑賞者側の面)に反射防止膜を形成すると、透明基材による反射の影響が小さく、所望の視感反射率が得やすいため好ましい。反射防止膜を透明基材の両面に形成すると、視感透過率をより低減しやすい。ただし、その場合、展示物や表示物側の面にも、反射防止膜が存在することになる。展示物や表示物が、反射防止膜と密着(接触)した状態にあると、損傷したり、汚染する虞れがあるため、両者の間に一定の間隔を設けることが好ましい。

液晶等の表示物用のカバー部材において、表示物とカバー部材を樹脂フィルム等で接着固定した場合には、反射防止膜は、透明基材の展示物や表示物と反対側の面(鑑賞者側の面)に形成するだけで良いが、表示物とカバー部材を接着せずに間隔をおく場合には、反射防止膜は、透明基材の両面に形成する方が良い。また、この場合には、表示物の鑑賞者側の面にも反射防止膜を形成することが好ましい。

なお、視感反射率は、JIS Z 8701(1999年)に規定する三刺激値の色度Yであり、色度Yは、U−4100 日立製 分光光度計を用いて鑑賞者側面からの反射率を測定し、前記JISに従って、計算により求めることができる。このとき、視野は10°とした。

反射防止膜は、無機材料から構成されていることが好ましく、例えば、低屈折率層と高屈折率層の交互膜からなることがより好ましい。低屈折率層と高屈折率層の交互膜としては、両面合わせての層数が8〜40層であることが好ましい。層数が8層よりも少ないと、所望の視感反射率が得られず、40層よりも多いと、剥離しやすく、且つ経済的ではない。特に低屈折率層と高屈折率層の交互膜が、両面合わせての層数が10層以上になると、視感反射率が0.2%以下のカバー部材が得られやすくなり、また14層以上になると、視感反射率が0.16%以下のカバー部材が得られやすくなるため好ましい。透明基材の反り抑制の観点からは、それぞれの面の層数は同一であることが好ましく、材質や各層の膜厚も全く同一であることがより好ましい。

上記交互膜を片面に形成する場合、層数は、4〜20層であることが好ましい。

低屈折率層としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及びフッ化マグネシウムからなる群から選ばれた一種であることが好ましく、片面における低屈折膜の総物理膜厚は100nm〜700nmであることが好ましい。また、高屈折率膜としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化スズ及び酸化亜鉛からなる群から選ばれた一種であることが好ましく、片面における高屈折率膜の総物理膜厚は、50nm〜250nmであることが好ましい。

透明基材に反射防止膜を形成する方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、ディッピング法、スピンコート法、イオンプレーティング法、CVD法等の方法が利用可能であるが、特にスパッタ法を採用すると、膜厚が均一で、透明基材との接着が強固で、しかも膜硬度が高くなるため好ましい。

また本発明のカバー部材は、展示ケース、額縁、表示デバイスのカバー部材として好適である。展示ケースとして使用する場合は、複数枚のカバー部材を使用したり、曲面状のカバー部材と平面状のカバー部材を組み合わせて使用することができる。複数枚のカバー部材を使用する場合、接着材で接着固定しても良いし、フレームで接合させても良い。

また本発明のカバー部材には、表裏面等を識別するためのマーキングを施しても良い。また、鑑賞者が気付かずにカバー部材にぶつかることが無いよう安全性を確保するため、一部反射防止膜が形成されていない領域を形成したり、マーキング(目印)を施してもよい。

本発明のカバー部材は、紫外光の透過率が30%以下であるものであることが好ましく、紫外光の透過率が20%以下であるものであることがより好ましい。この場合、カバー部材により展示物等に紫外線が到達することが抑制されるため、展示物等の紫外線による劣化を抑制することができる。なお、「紫外光」とは、280nm〜380nmの波長域の光をいう。

カバー部材の紫外光の透過率を低くするために、透明基材及び反射防止膜の少なくとも一方が、紫外光を遮蔽するものであることが好ましく、透明基材及び反射防止膜の両方が紫外光を遮蔽するものであることがより好ましい。透明基材の紫外光の透過率が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。反射防止膜の紫外光の透過率が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。

(第1の実施形態) 図1(a)に、美術品等の展示物1を収納・展示するための展示ケース10を示している。展示ケース10は、載置面を有する基台2と、基台2の上に載置された展示物1を収納し保護するカバー部材3とを備えている。カバー部材3は、4枚の側板31と、1枚の天板32が接着固定された箱形状を有している。4枚の側板31は、図1(b)に示すように、厚みが5mmのソーダ石灰ガラスからなるガラス板31aと、ガラス板31aの両面に形成された反射防止膜31bからなる。なお、天板32は、側板31と同一のガラス板からなり、反射防止膜は形成されていない。

反射防止膜31bは、表1に示すように、SiO2からなる低屈折率膜と、Nb2O5からなる高屈折率膜との16層の交互膜(両面32層)であり、ガラス板31aには、Nb2O5からなる高屈折率膜が、最外層にはSiO2からなる低屈折率膜が形成されている。側板31の視感反射率は、0.12%であった。そのため、カバー部材3の側板31の表面での写り込みがなく、展示物1と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認できた。尚、上記低屈折率膜及び高屈折率膜は、いずれも反応性スパッタ法により成膜されている。

(第2の実施形態) 図2に、絵画等の展示物11を収納・展示するための展示ケース20を示している。展示ケース20は、壁12に固定された展示物11を収納し保護するカバー部材13からなる。カバー部材13は、1枚の曲面状の側板131と、1枚の天板132と、1枚の底板133が接着固定されたかまぼこ状を有している。側板131は、第1の実施形態と同様に、ガラス板31aと、ガラス板31aの両面に形成された反射防止膜31bからなる。尚、側面131の曲率半径Rが小さくなりすぎると、反射が大きくなりやすいため、曲率半径Rが400mm以上となるように規制することが好ましい。ここで、ガラス板31aは、厚みが0.3mmからなる硼珪酸塩系ガラスからなる点が第1の実施形態と異なる。なお、天板132及び底板133は、側板131と同一のガラス板からなり、反射防止膜は形成されていない。反射防止膜は、第1の実施形態と同一の構成である。上記のような構成のため、カバー部材13の側板131の表面での写り込みがなく、展示物11の正面にいる鑑賞者だけでなく、展示物11の斜め方向から鑑賞する鑑賞者も、展示物と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認できた。

(第3の実施形態) 図3に、絵画等の展示物21を収納・展示するための額縁30を示している。額縁30は、枠材24と、収納する展示物21と接触しないように展示物21と間隔をあけて、枠材24に嵌め込んだカバー部材23とからなる。カバー部材23は、第1の実施形態と同様に、ガラス板31aと、ガラス板31aの両面に形成された反射防止膜31bからなる。ここで、ガラス板31aは、厚みが0.5mmからなる無アルカリ硼珪酸塩系ガラス(日本電気硝子社製OA−10G)からなる点が第1の実施形態と異なる。反射防止膜は、第1の実施形態と同一の構成である。上記のような構成のため、カバー部材13の表面での写り込みがなく、展示物21と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認できた。また、展示物21とカバー部材23が接触することがないため、展示物21を損傷や汚染から保護できる。

(第4の実施形態) 図4(a)に、液晶等の表示物41を組み込んだ表示デバイス50を示している。表示デバイス50は、表示物41と、樹脂フィルム44を介して表示物41と接着固定されたカバー部材43と、表示物41とカバー部材43を収納する収納体42とからなる。カバー部材43は、図4(b)に示すように、1枚のガラス板43aと、ガラス板43aの樹脂フィルム44の非接触面に形成された反射防止膜43bからなる。ここで、ガラス板31aは、厚みが70μmからなる無アルカリ硼珪酸塩系ガラス(日本電気硝子社製OA−10G)からなる。

表2に示すように、反射防止膜は、SiO2からなる低屈折率膜と、Nb2O5からなる高屈折率膜との合計6層の交互膜であり、ガラス板31aには、Nb2O5からなる高屈折率膜が、最外層にはSiO2からなる低屈折率膜が形成されている。カバー部材43の視感反射率は0.16%であった。表示デバイス50は、上記のような構成のため、カバー部材43の表面での写り込みがなく、表示物41と鑑賞者の間にあたかも何も存在しないかの如く視認できた。また、太陽光等の写り込みがないため、屋外でも表示物による画像を鮮明に見ることができた。 尚、視感反射率を算出するに当たり、樹脂フィルム44を介して表示物41と接着固定した状態で、カバー部材43の鑑賞者側から反射率を測定した。また、上記低屈折率膜及び高屈折率膜は、いずれも反応性スパッタ法により成膜されている。

(第5の実施形態) 図5に、第5の実施形態に係る表示デバイスの模式的平面図を示す。図6に、図5の線VI−VIにおける模式的断面図を示す。

本実施形態の表示デバイス51は、例えばパチンコ台、スロットマシーン等の遊戯具等を構成している。表示デバイス51は、デバイス本体52を備える。デバイス本体52の一部分に表示物52aが設けられている。この表示物52aは、液晶パネルや、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスパネル等により構成されている。

デバイス本体52の前方には、ガラス板などにより構成された保護板53が設けられている。この保護板53の少なくとも一方の表面の上にカバー部材54が設けられている。カバー部材54は、側板31等と同様に、透明基材と、透明基材の上に設けられた反射防止膜とを有する。反射防止膜は、カバー部材54の片方の面の上に設けられていてもよいし、両方の面の上に設けられていてもよい。

表示デバイス51では、カバー部材54は、表示物52aを覆うように、表示デバイス51の一部の領域に設けられている。このため、背景などの映り込みなどに起因する表示物52aに表示される画像の視認性の低下を抑制することができる。特に、表示物52aがブラックアウトした際には、透過光の光量が低下し、背景などの映り込みが目立ちやすくなるため、カバー部材54を設けておくことが効果的である。カバー部材54を設けておくことにより、遊戯具の遊戯者の集中力が、映り込み等により発散することを抑制できる。

(第6の実施形態) 図7に、第6の実施形態に係る水槽の模式的正面図を示す。図8に、第6の実施形態に係る水槽の側壁の模式的断面図を示す。なお、図8は、図7の線VIII−VIIIにおける模式的断面図である。図7の紙面奥側、図8のx1側に水生生物が存在する。図7の紙面手前側、図8のx2側に水生生物の観者が位置する。

図8に示されるように、水槽60は、側壁61を有する。側壁61は、平板状であってもよいが、本実施形態では、観者側(x2側)凸状の曲板状に設けられている。側壁61は、ガラスや樹脂などにより構成されている。

側壁61の外壁面61aの上には、カバー部材63が設けられている。カバー部材63は、第1の実施形態の側板31、第4の実施形態のカバー部材43等と同様に、透明基材と、透明基材の上に設けられた反射防止膜とを有する。反射防止膜は、カバー部材63の片方の面の上に設けられていてもよいし、両方の面の上に設けられていてもよい。このような構成を有するカバー部材63を採用することにより、表面反射を抑制することができ、背景等の映り込みを抑制できる。従って、水槽60の内部の視認性を向上することができる。

水槽60の内部の視認性を向上する観点からは、側壁61の表面の上に反射防止膜を直接設けることも考えられる。しかしながら、水槽60の側壁61は、巨大であることもあり、側壁61の表面の上に反射防止膜を直接設けることは困難である。また、側壁61には観者が触れる場合もある。よって、観者との接触により反射防止膜が損傷することも考えられる。しかしながら、側壁61の上に反射防止膜を設けた場合は、設置された側壁61上の反射防止膜を修復することは困難である。

本実施形態のように、カバー部材63を外壁面61aの一部の上に設けるのであれば、反射防止膜の形成も容易で、また、反射防止膜が損傷した際のメンテナンス性にも優れている。より優れたメンテナンス性を実現する観点からは、カバー部材63が側壁61に対して着脱可能に設けられていることが好ましい。具体的には、例えば、カバー部材63が側壁61に粘着されていることが好ましい。もっとも、カバー部材63は、側壁61に接着されていてもよい。

水槽60の内部の視認性をより向上する観点からは、カバー部材63の透明基材は、側壁31と実質的に同様の屈折率を有することが好ましい。具体的には、透明基材の屈折率と、側壁31の屈折率との差が0.1以下であることが好ましい。また、カバー部材63と側壁61との間に粘接着層を設ける場合は、粘接着層と透明基材との間の屈折率差、粘接着層と側壁61との間の屈折率差は、それぞれ、0.1以下であることが好ましい。

また、側壁61の外壁面61aが曲面状であるような場合には、透明基材が可撓性を有する樹脂シートや、厚みが300μm以下のガラスシートなどにより構成されていることが好ましい。

(第7の実施形態) 本実施形態では、反射防止膜が、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した膜であり、最外層がAl2O3を含有したSiO2膜からなっている。 厚みが500μmである無アルカリ硼珪酸塩系ガラス(日本電気硝子社製OA−10G)をガラス板として用い、この上に、以下の表3に示すように、Al−SiO2からなる低屈折率層と、Nb2O5からなる高屈折率層とを合計5層交互に積層し、第7の実施形態に従う実施例1のカバー部材を得た。

比較として、以下の表4に示すように、No.5の最外層のSiO2膜を、Al2O3を含有しないSiO2膜とする以外は、上記実施例1と同様にしてガラス板の上に反射防止膜を形成し、実施例2のカバー部材を得た。

表3及び表4において、「Al−SiO2」は、Al2O3を含有したSiO2膜を示している。なお、Al2O3の含有量は、5.3質量%であった。 また、実施例1のカバー部材の視感反射率は0.23%であり、実施例2のカバー部材の視感反射率は0.29%であった。

得られた実施例1及び実施例2のカバー部材について、以下のようにして塩水煮沸試験を行った。 NaCl濃度4.8質量%、温度90℃の塩水に、上記のカバー部材を30分間浸漬させた後、引き上げて表面を純水で洗浄し、乾燥した。

塩水煮沸試験前と試験後のカバー部材について、入射角12°で、波長380〜780nmの波長域における反射率を測定した。図9は、実施例1のカバー部材の試験前及び試験後の反射率を示しており、図10は、実施例2のカバー部材の試験前及び試験後の反射率を示している。

図10に示すように、実施例2のカバー部材では、試験後の反射率が、試験前の反射率に比べ著しく変化している。これに対し、図9に示すように、実施例1のカバー部材では、試験前と試験後の反射率はほぼ同じであり、ほとんど変化していないことがわかる。これは、最外層のSiO2膜にAl2O3が含有されているため、SiO2膜の化学的耐久性が向上したためであると考えられる。

上記実施例1のカバー部材の反射防止膜においては、最外層以外のSiO2膜もAl2O3を含有しているが、最外層以外のSiO2膜は、必ずしもAl2O3を含有している必要はない。すなわち、最外層のSiO2膜がAl2O3を含有していれば、化学的耐久性を高めることができるという上記の効果を得ることができる。尚、上記「Al−SiO2膜」及びNb2O5膜は、いずれも反応性スパッタ法により成膜され、「Al−SiO2膜」の成膜にあたっては、金属Alを6.0質量%含有するSiターゲットを用いた。

本発明のカバー部材は、特定の分野に対して価値のある事物、学術資料、美術品、水生生物等の展示物、スマートフォン、モバイルパソコン、携帯ゲーム機等のモバイル機器、カーナビゲーション、据え置き型ゲーム機、パチンコ台、スロットマシーン等の表示物を保護するためのカバー部材として使用することができる。

1、11、21…展示物 2…基台 3、13、23、43、54、63…カバー部材 10、20…展示ケース 12…壁 24…枠材 30…額縁 31、131…側板 31a…ガラス板 32b…反射防止膜 32、132…天板 41、52a…表示物 42…収納体 44…樹脂フィルム 50、51…表示デバイス 52…デバイス本体 53…保護板 60…水槽 61…側壁 61a…外壁面 133…底板

QQ群二维码
意见反馈