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マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法

阅读:1034发布:2020-06-09

专利汇可以提供マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且マンガン 酸化 物含有物から不純物濃度の低いマンガン原料を回収することで、マンガン含有溶鉄の溶製コストを低減することができる、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法を提供すること。マンガン、カルシウム、シリコン、鉄及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、上記マンガン酸化含有物を粉砕による圧縮 力 により、nCaO・P 2 O 5 の化合物相と、強 磁性 体であるスピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相とが複合した複合物を生成し、複合物を含有する第1の粉砕マンガン酸化物含有物を生成する第1の粉砕工程(S100)と、粉砕工程にて生成された第1の粉砕マンガン酸化物含有物を、磁力で磁着物と非磁着物とに分離する第1の磁選工程(S102)と、第1の磁選工程で分離された非磁着物をマンガン原料として回収する工程(S104)と、を備える。,下面是マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法专利的具体信息内容。

マンガン、カルシウム、シリコン、鉄及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、前記マンガン酸化含有物を粉砕による圧縮により、nCaO・P2O5の化合物相と、強磁性体であるスピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相とが複合した複合物を生成し、前記複合物を含有する第1の粉砕マンガン酸化物含有物を生成する第1の粉砕工程と、 前記第1の粉砕工程にて生成された前記第1の粉砕マンガン酸化物含有物を、磁力で磁着物と非磁着物とに分離する第1の磁選工程と、 前記第1の磁選工程で分離された非磁着物をマンガン原料として回収する工程と、 を備えることを特徴とするマンガン原料の製造方法。前記第1の粉砕工程では、前記第1の粉砕マンガン酸化物含有物の粒径が500μm以下となるまで粉砕することを特徴とする請求項1に記載のマンガン原料の製造方法。前記第1の粉砕工程では、前記マンガン酸化物含有物として、マンガンケイ酸塩相を鉱物相として含有するものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のマンガン原料の製造方法。前記第1の磁選工程では、前記マンガンケイ酸塩相が磁着しない磁力で分離することで、前記マンガンケイ酸塩相を非磁着物として分離することを特徴とする請求項3に記載のマンガン原料の製造方法。前記第1の磁選工程では、印加する磁場が時間とともに変化する変動磁場であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマンガン原料の製造方法。前記第1の粉砕工程の後、前記第1の粉砕マンガン酸化物含有物を、30μm以上150μm以下の間で設定される分離径で粗粒と細粒とに分級する分級工程をさらに備え、 前記第1の磁選工程では、前記分級工程で分級された前記粗粒を分離することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマンガン原料の製造方法。前記分級工程で分級された前記細粒を磁力で磁着物と非磁着物とに分離する第3の磁選工程と、 前記第3の磁選工程で分離された磁着物をマンガン原料として回収する工程と、 をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のマンガン原料の製造方法。前記第1の磁選工程で分離された磁着物を粉砕し、第2の粉砕マンガン酸化物含有物を生成する第2の粉砕工程と、 前記第2の粉砕工程で生成された前記第2の粉砕マンガン酸化物含有物を、磁力で磁着物と非磁着物とに分離する第2の磁選工程と、 前記第2の磁選工程で分離された磁着物をマンガン原料として回収する工程と、 をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマンガン原料の製造方法。マンガン含有鋼の溶製方法であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマンガン原料の製造方法によって回収されたマンガン原料を、溶銑または溶鋼に添加することで、前記溶銑または前記溶鋼のマンガン濃度を調整することを特徴とするマンガン含有鋼の溶製方法。

说明书全文

本発明は、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法に関する。

近年の自動車等の車体の軽量化ニーズに伴い、ハイテン材と呼ばれる高張鋼板の需要が高まっている。このようなハイテン材では、マンガン(Mn)などの金属を添加することで高い引張強度を持たせることが一般的である。 マンガン原料として主に用いられるものとしては、マンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物やフェロマンガン、金属マンガンなどが挙げられる。マンガン純分あたりのコスト(単価)は、マンガン鉱石、フェロマンガン、金属マンガンの順に低くなる。このため、マンガン原料としてマンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物を選択することで、コスト低減を図ることができる。

しかし、一般的に安価なマンガン原料であるマンガン鉱石やフェロマンガンは、炭素(C)やりん(P)に代表される不純物を多く含んでおり、特にPが0.02mass%〜0.2mass%程度含まれている。このため、安価なマンガン原料を用いてマンガン含有溶銑もしくはマンガン含有溶鋼(溶銑及び溶鋼を総称して「溶鉄」ともいう。)を溶製する場合、これらのマンガン原料に含まれるPがマンガン含有溶鉄へと移るため、マンガン含有溶鉄に脱りん処理を施す必要が生じる。 マンガンの含有濃度の高い溶鉄に対して、脱りん処理を施す方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。

特開平7−034114号公報

特許文献1に記載の方法では、BaOやBaCO3、Ba(OH)2、BaSO4、BaCl2、BaF2等のBaを含有するフラックスを使用する。しかしながら、生成するBaOは日本国内では劇物に指定されており、取り扱いについては法律により規制がある。そのため、Baを含有するフラックスを用いる特許文献1の方法では、スラグ処理などに大きな課題が残る。

マンガン含有溶鉄を製造する際のマンガン酸化物含有物やフェロマンガンといった安価なマンガン原料の使用可能量は、製品のP規格(Pの上限濃度)により支配されている。従って、マンガン含有量が3mass%以上と高い、高マンガン鋼を溶製する場合、マンガン原料としてはP濃度が低く高コストな金属マンガンを用いる割合を高くせざるを得ないため、溶製に掛かるコストが非常に高くなることが問題であった。

そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、マンガン酸化物含有物から不純物濃度の低いマンガン原料を回収することで、マンガン含有溶鉄の溶製コストを低減することができる、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法を提供することを目的としている。

本発明の一態様によれば、マンガン、カルシウム、シリコン、鉄及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、上記マンガン酸化含有物を粉砕による圧縮力により、nCaO・P2O5の化合物相と、強磁性体であるスピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相とが複合した複合物を生成し、上記複合物を含有する第1の粉砕マンガン酸化物含有物を生成する第1の粉砕工程と、上記第1の粉砕工程にて生成された上記第1の粉砕マンガン酸化物含有物を、磁着物と非磁着物とに分離する第1の磁選工程と、上記第1の磁選工程で分離された非磁着物をマンガン原料として回収する工程と、を備えることを特徴とするマンガン原料の製造方法が提供される。

本発明の一態様によれば、マンガン含有鋼の溶製方法であって、上記のマンガン原料の製造方法によって回収されたマンガン原料を、溶銑または溶鋼に添加することで、上記溶銑または上記溶鋼のマンガン濃度を調整することを特徴とするマンガン含有鋼の溶製方法が提供される。

本発明によれば、マンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物から不純物濃度の低いマンガン原料を回収することで、マンガン含有溶鉄の溶製コストを低減することができる、マンガン原料の製造方法及びマンガン含有鋼の溶製方法が提供される。

本発明の第1の実施形態に係るマンガン原料の製造方法を示すフローチャートである。

本発明の第1の実施形態に係るマンガン原料の製造方法のメカニズムを示す模式図である。

本発明の第2の実施形態に係るマンガン原料の製造方法を示すフローチャートである。

実施例3の結果を示すグラフである。

マンガン酸化物含有物の一つであるマンガン鉱石はマンガン以外の成分として主に、Ca,Si,Mg,Al,Fe並びにPの酸化物及び硫化物を含有している。ここで、マンガン酸化物とは、マンガン化合物が元素として少なくとも酸素を含有しているという意味であり、Mn7SiO12に代表されるケイ酸塩や、MnFe2O4に代表されるスピネル化合物も含む。

発明者らは、発明に先立ち、マンガン鉱石の鉱物相をXRD(X‐ray diffraction)及びEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用いて調査した。その結果、Mn含有相は、非磁性体であるMnO2及びMnFe2O4に代表される強磁性体のスピネル化合物(以下、「スピネル相」ともいう。)、並びにMn7SiO12に代表される弱磁性体のケイ酸塩(以下、「ケイ酸塩相」ともいう。)として存在することが確認された。ここで、強磁性体、弱磁性体及び非磁性体は、透磁率の大きさにより分類されたものであり、ある一定の磁場強度による磁選を行った場合に磁着しやすいものから順に強磁性体、弱磁性体、非磁性体とする。一方、P含有相は、非磁性体のnCaO・P2O5の化合物相(以下、「nCaO・P2O5相」ともいう。)を主成分とすることが確認された。また、P含有相は、鉱物により異なるものの大きさが1μm〜100μm程度であり、しかもMn含有相とは別の相に存在していることが確認された。

発明者らは、上述の知見から、Mn含有相およびP含有相の磁気特性が異なることに着目し、鋭意検討した結果、粉砕と磁気分離によりマンガン鉱石に代表されるマンガン酸化物含有物から効果的に不純物を分離できる方法を見出した。 なお、以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するように、本発明の実施形態を例示して多くの特定の細部について説明する。しかしながら、かかる特定の細部の説明がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかである。また、図面は、簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。

<第1の実施形態> 図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係るマンガン原料の製造方法について説明する。第1の実施形態において、用いられるマンガン酸化物含有物は、マンガン鉱石に代表されるように、マンガン、カルシウム、シリコン、鉄及び燐を少なくとも含む。また、マンガン、カルシウム、シリコン、鉄及び燐の大部分は、酸化物としてマンガン酸化物含有物に含まれる。上記以外のマンガン酸化物含有物の限定はないが、マンガン原料を効果的に回収するには、マンガンケイ酸塩化合物を含有するマンガン酸化物含有物を用いることが望ましい。

まず、図1に示すように、原料であるマンガン酸化物含有物を粉砕する粉砕工程を行う(S100)。粉砕工程における粉砕方法については、マンガン酸化物含有物を所定の大きさに粉砕可能な方法であれば限定しないが、後述する理由から、圧力を加えることでマンガン酸化物含有物を粉砕する粉砕方法である方が好ましい。圧力が加わる粉砕方法としては、ボールミルやロッドミル、ローラーミルなどを用いる方法がある。また、ボールミルやロッドミルでの粉砕時は粉砕時間を1時間以上とすることが好ましく、ローラーミルでの粉砕時に掛かる圧力は3MPa以上とすることが好ましい。

粉砕後のマンガン酸化物含有物(以下、「粉砕マンガン酸化物含有物」ともいう。)の粒径は、次工程の磁選工程でのハンドリングのし易さから、中心粒径で500μm程度を下回り、かつ粒子同士の凝集の影響を受けないよう、30μmを上回る大きさであればよい。 粉砕工程では、粉砕の過程でマンガン酸化物含有物中の非磁性体であるnCaO・P2O5相はMnFe2O4に代表される強磁性体のスピネル相や、同じく強磁性体であるカルシウムフェライト相に抱き込まれる形で偏在するようになる。カルシウムフェライト相は、CaFe2O4に代表される相である。また、粉砕マンガンン酸化物含有物に含まれる強磁性体である、スピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方を、強磁性体化合物ともいう。つまり、粉砕マンガン酸化物含有物は、強磁性体化合物+非磁性体のnCaO・P2O5相と、弱磁性体のマンガンケイ酸塩相とが大部分を占める形態となる。

ここで、本発明者らは、粉砕の過程において、高P含有相であるnCaO・P2O5相は、強磁性体化合物と複合することで複合物を生成し、粒子として磁着しやすい高P含有粒子を形成することを、EPMAによる観察によって知見した。複合物とは、相として分離した二つ以上の相を含む粒子のことである。つまり、粉砕工程では、nCaO・P2O5相が強磁性体化合物に抱き込まれることで、粒子として磁性をもつ高P含有粒子が形成される。さらに、本発明者らは、この粒子として磁性をもつ高P含有粒子の形成は、鉱石中にマンガンケイ酸塩を含む場合に促進されることを実験により明らかにした。

次いで、粉砕マンガン酸化物含有物を磁気分離する磁選工程を行い、粉砕マンガン酸化物含有物を磁着物と非磁着物とに分離する(S102)。磁選工程では、粉砕マンガン酸化物含有物に印加する磁力を、弱磁性体であるマンガンケイ酸塩が磁着しない磁力とする。磁力をこのように設定することで、強磁性体化合物と、強磁性体化合物に抱き込まれる形で偏在しているnCaO・P2O5相とが主となる磁着物、及びマンガンケイ酸塩相が主となる非磁着物が得られる。

また、磁選工程では、印加する磁場が一定の場合、強磁性体化合物が磁着するときに弱磁性体のマンガンケイ酸塩相も巻き込んでしまう。このため、磁選工程では、時間の経過とともに磁場が変動する磁力選別装置を使用することが好ましく、多極磁場変動方式の磁力選別装置(例えば、特開2017−131869号公報に記載の磁力選別装置)を使用することがより好ましい。

ステップS102の後、磁選工程で分離した分離物のうち非磁着物をマンガン原料として回収する(S104)。ステップS104で回収される非磁着物は、主にマンガンケイ酸塩相を含み、粉砕マンガン酸化物含有物から強磁性体化合物に抱き込まれる形で偏在しているnCaO・P2O5相が除去されたものとなる。つまり、回収前のマンガン酸化物含有物に対して、Pの濃度を低下させ、Mnの濃度を上昇させることができる。これにより、回収前のマンガン酸化物含有物よりも、Pの濃度が低く、Mnの濃度が高いマンガン原料を製造することができる。

一方、ステップS102の後、磁選工程で分離した分離物のうち磁着物を不純物として回収する(S106)。ステップS106で回収される磁着物は、主に強磁性体化合物と強磁性体化合物に抱き込まれる形で偏在しているnCaO・P2O5相とを含む。この磁着物は、回収前のマンガン酸化物含有物に対して、Pの濃度が上昇し、Mnの濃度が低下したものとなる。

第1の実施形態に係るマンガン原料の製造方法によれば、粉砕したマンガン酸化物含有物を磁選する。この際、図2に示すように、粉砕工程において不純物であるPを含むnCaO・P2O5化合物が強磁性体化合物であるスピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相に抱き込まれせることで、粒子として磁性を持つが高P含有粒子が形成される(図2(A),(B))。磁選工程では、この高P含有粒子とマンガンケイ酸塩相とを分離することで、不純物であるPの濃度が低く、Mn濃度の高いマンガン原料である高純度マンガン原料を得ることができる(図2(C),(D))。

高純度マンガン原料として回収されたマンガン原料は、その後、マンガン含有鋼の溶製に用いられる。例えば、転炉型精錬炉等による脱炭処理が施される前の溶銑に、回収されたマンガン原料を添加することで、マンガン濃度の高い溶銑を溶製することができる。また、転炉型精錬炉等での精錬処理時、転炉型精錬炉等からの出湯時、または真空脱ガス装置や取鍋精錬装置といった2次精錬設備での溶製時において、溶鉄に回収されたマンガン原料を添加することで、マンガン濃度の高い溶鉄を溶製することができる。回収されたマンガン原料は、粉砕前のマンガン酸化物含有物に比べてP濃度が低いため、P濃度が低く高価な他のマンガン原料の少なくとも一部の代替として用いることができるようになり、溶製コストを大幅に低減することができるようになる。

この効果は、ハイテン材のようにMn濃度が高い高マンガン鋼の溶製においては、特に顕著なものとなる。また、Mnを含有する鋼種であれば、効果に違いはあるものの、高マンガン鋼に限らず適用することで溶製コストを低減することができる。特に、2次精錬設備で溶製をする際には、当該の溶製工程を含むそれ以降の工程において、脱りん処理を行うことが難しいため、回収されたマンガン原料を使用することによる効果が大きくなる。

<第2の実施形態> 次に、図3を参照して本発明の第2の実施形態に係るマンガン原料の製造方法について説明する。用いるマンガン酸化物含有物については、第1の実施形態と同様とする。 まず、図3に示すように、マンガン酸化物含有物を粉砕する第1の粉砕工程を行う(S200)。第1の粉砕工程では、第1の実施形態における粉砕工程と同様に、マンガン酸化物含有物の粉砕が行われる。

次いで、第1の粉砕工程にて粉砕された第1の粉砕マンガン酸化物含有物(第1の実施形態における「粉砕マンガン酸化物含有物」と同じ)を粗粒と細粒とに分級する分級工程を行う(S202)。分級工程では、粉砕時のマンガンケイ酸塩の粒径観察の結果から、分離径を150μm以下とすることが好ましい。この分離径より大きな粒径のものを粗粒、この境界値以下の粒径のものを細粒として分級する。また、一般的に粒径が30μm未満となる場合、粒子同士の凝集が発生することから、回収や搬送といったハンドリングが困難となる。このため、分離径は、30μm以上とすることが望ましい。分級方法は、サイクロンや篩等の一般的な製造工程で使用されるものであれば特に限定されない。例えば、篩を用いた分級方法の場合、篩目を30μm以上、150μm以下とすればよい。また、サイクロン等の分級方法においても、試行錯誤により流量条件に代表される分級条件を変更することにより、分離径を決定することができる。原料のマンガン酸化物含有物の変動により分級のサイズ変更が容易な篩を用いることが好ましい。分級工程では、粉砕された第1の粉砕マンガン酸化物含有物から、粒径が小さく、単独で存在している非磁性体のnCaO・P2O5相を細粒として分離する。また、分級工程で分級された細粒には、粒径が小さく、単独で存在している強磁性体のスピネル相や強磁性体のカルシウムフェライト相、弱磁性体のマンガンケイ酸塩相も含まれる。

ステップS202の後、ステップS202の分級工程にて粗粒として分離された第1の粉砕マンガン酸化物含有物を磁気分離する第1の磁選工程を行う(S204)。第1の磁選工程では、第1の実施形態における磁選工程と同様な方法で第1の粉砕マンガン酸化物含有物の磁選を行う。また、第1の磁選工程では、第1の粉砕マンガン酸化物含有物に印加する磁力を、弱磁性体であるマンガンケイ酸塩が磁着しない磁力(例えば、2000G以下)とする。第1の磁選工程では、主に強磁性体化合物と、強磁性体化合物に抱き込まれる形で偏在しているnCaO・P2O5相とが磁着物、主に弱磁性体であるマンガンケイ酸塩が非磁着物として分離される。

ステップS204の後、非磁着物として分離された、粒径の大きなマンガンケイ酸塩をマンガン原料として回収する(S206)。 また、ステップS204の後、磁着物として分離された、粒径の大きな強磁性体化合物と強磁性体化合物に抱き込まれる形で偏在しているnCaO・P2O5相とを主に含む第1の粉砕マンガン酸化物含有物をさらに粉砕する第2の粉砕工程を行う(S208)。第2の粉砕工程では、第1の粉砕マンガン酸化物含有物を粉砕することで、さらに粒径の小さな第2の粉砕マンガン酸化物含有物を得る。この際、中心粒径が30μm以下の粒径となるまで、第1の粉砕マンガン酸化物含有物を粉砕することが好ましい。また、粉砕方法は、圧力を加える粉砕方法でなくとも特によい。第2の粉砕工程では、第1の粉砕マンガン酸化物含有物をさらに粉砕することで、強磁性体化合物に抱き込まれたnCaO・P2O5相が、強磁性体化合物であるスピネル相及びカルシウムフェライト相と、非磁性体のnCaO・P2O5相とに分かれる。

ステップS208の後、粉砕された第2の粉砕マンガン酸化物含有物を磁気分離する第2の磁選工程を行う(S210)。第2の磁選工程では、例えば液体中で磁選分離を行うなどの、凝集を抑制できる方法で第2の粉砕マンガン酸化物含有物の磁選を行う。なお、第2の磁選工程では、第2の粉砕マンガン酸化物含有物に印加する磁力は、第1の実施形態における磁選工程と同様なものとしてもよいが、弱磁性体であるマンガンケイ酸塩相が磁着する磁力(例えば、5000G以上)とすることが望ましい。第2の磁選工程では、単独で存在している強磁性体化合物であるスピネル相及びカルシウムフェライト相、並びに弱磁性体のマンガンケイ酸塩相が磁着物、単独で存在しているnCaO・P2O5相が非磁着物として分離される。

ステップS210の後、磁着物として分離されたスピネル相及びマンガンケイ酸塩相をマンガン原料として回収する(S212)。このマンガン原料には、カルシウムフェライト相も含まれる。しかし、カルシウムフェライト相内のP含有量は少なく、また鉄鋼精錬においてこのマンガン原料を使用する場合には、カルシウムおよび鉄の酸化物は製鋼原料として用いることが出来る。このため、このマンガン原料を鉄鋼精錬に用いても問題とはならない。 また、ステップS210の後、非磁着物として分離されたnCaO・P2O5相を不純物として回収する(S214)。

ステップS202の後、ステップS202の分級工程にて細粒として分離された第1の粉砕マンガン酸化物含有物を磁気分離する第3の磁選工程を行う(S216)。第3の磁選工程では、例えば液体中で磁選工程を行うなど、凝集を抑制できる方法で第1の粉砕マンガン酸化物含有物の磁選を行う。なお、第3の磁選工程では、第1の粉砕マンガン酸化物含有物に印加する磁力は、強磁性体のスピネル相が磁着可能な磁力であればよく、例えば、第1の実施形態における磁選工程の磁力と異なるものであってもよい。1次磁選工程では、粒径が小さく単独で存在している強磁性体化合物であるスピネル相及びカルシウムフェライト相並びに弱磁性体であるマンガンケイ酸塩が磁着物、粒径が小さく単独で存在しているnCaO・P2O5相が非磁着物として分離される。

ステップS216の後、磁着物として分離されたスピネル相及びマンガンケイ酸塩相を高純度マンガン原料として回収する(S218)。このマンガン原料には、カルシウムフェライト相も含まれる。しかし、カルシウムフェライト相内のP含有量は少なく、また鉄鋼精錬においてこのマンガン原料を使用する場合には、カルシウムおよび鉄の酸化物は製鋼原料として用いることが出来る。このため、このマンガン原料を鉄鋼精錬に用いても問題とはならない。

また、ステップS216の後、非磁着物として分離されたnCaO・P2O5相を不純物として回収する(S220)。 これにより、第2の実施形態では、ステップS206,S212,S218で回収されたマンガン原料が、回収前のマンガン酸化物含有物よりも、Pの濃度が低く、Mnの濃度が高いマンガン原料として製造される。

第2の実施形態では、第1の実施形態に係る製造方法に加えて、ステップS202の分級工程、ステップS208の第2の粉砕工程、ステップS210の第2の磁選工程及びステップS216の第3の磁選工程を追加で行う。これにより、第1の実施形態では回収できなかったスピネル相に含まれるMnも回収できるようになることから、マンガン酸化物含有物からのMnの回収率が増加する。 なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、高純度マンガン原料として回収されたマンガン原料は、その後、マンガン含有鋼の溶製に用いられる。この際、ステップS206,S210,S218で回収された高純度マンガン原料は、まとめて1種類のマンガン原料として用いられてもよく、回収されたものごとに分けて用いられてもよい。

<変形例> 以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。

例えば、第2の実施形態では、第1の実施形態に係る製造方法に対して、分級工程、第2の次磁選工程、第2の粉砕工程及び第3の磁選工程を追加する構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、第1の実施形態に係る製造方法に対して、下記(A)〜(D)のいずれかに記載の工程を追加したものであってもよい。なお、下記(A)〜(D)の構成では、第2の実施形態に記載のように、各工程の後にマンガン原料(高純度マンガン原料)を回収する工程が含まれるものについては、その工程も含むものとする。 (A)分級工程 (B)分級工程+第2の磁選工程 (C)2次粉砕工程+第3の磁選工程 (D)分級工程+第2の粉砕工程+第3の磁選工程

<実施形態の効果> (1)本発明の一態様に係るマンガン原料の製造方法は、マンガン、カルシウム、シリコン、鉄及び燐を少なくとも含むマンガン酸化物含有物を原料とし、マンガン酸化含有物を粉砕による圧縮力により、nCaO・P2O5の化合物相と、強磁性体であるスピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相とが複合した複合物を生成し、複合物を含有する第1の粉砕マンガン酸化物含有物を生成する第1の粉砕工程(S100の粉砕工程またはS200)と、第1の粉砕工程にて生成された第1の粉砕マンガン酸化物含有物を、磁力で磁着物と非磁着物とに分離する第1の磁選工程(S102の磁選工程またはS204)と、第1の磁選工程で分離された非磁着物をマンガン原料として回収する工程(S104,S206)と、を備える。

上記(1)の構成によれば、粉砕工程にて圧力が加えながら粉砕をすることで、nCaO・P2O5化合物がスピネル相及びカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相である強磁性体化合物の相に抱き込まれた高P含有粒子を形成させる。そして、この高P含有粒子を、磁選工程にて磁気分離することで、P濃度が低くMn濃度が低い非磁着物がマンガン原料として回収される。このマンガン原料は、粉砕前のマンガン酸化物含有物に比べてP濃度が低いため、マンガン含有鋼の溶製に用いることで、フェロマンガンや金属マンガンといった高価なマンガン原料の使用量を低減させることができ、溶製に掛かるコストを低減することができる。 また、上記(1)の構成によれば、マンガン酸化物含有物を用いた場合において、溶製する溶鉄を脱りん処理する必要がなくなる。このため、BaOに代表される劇物を使用することなく、マンガン鋼を溶製することができるようになる。

(2)上記(1)の構成において、第1の粉砕工程では、第1の粉砕マンガン酸化物含有物の粒径が500μm以下となるまで粉砕する。 上記(2)の構成によれば、マンガン酸化物含有物内のnCaO・P2O5相とマンガンケイ酸塩相との分離を促進することができる。粒子としてPを含む粒子とマンガンケイ酸塩を含む粒子とが分離している割合が増加することから、第1の磁選工程における磁気分離が容易になる。

(3)上記(1)または(2)の構成において、マンガン酸化物含有物として、マンガンケイ酸塩相を鉱物相として含有するものを用いる。 上記(3)の構成によれば、粒子として磁性をもつ高P含有粒子の形成が促進される。

(4)上記(3)の構成において、第1の磁選工程では、マンガンケイ酸塩相が磁着しない磁力で分離することで、前記マンガンケイ酸塩相を非磁着物として分離する。 上記(4)の構成によれば、マンガンケイ酸塩相と、強磁性体化合物の相に抱き込まれたnCaO・P2O5相との分離をより確実に行うことができるようになる。このため、不純物の分離効果を向上させることができる。

(5)上記(1)〜(4)のいずれか1つの構成において、第1の磁選工程では、印加する磁場が時間とともに変化する変動磁場である。 上記(5)の構成によれば、磁選時に強磁性体化合物のスピネル相に巻き込まれた弱磁性体のマンガンケイ酸塩相を、強磁性体化合物の相から分離させることができるようになる。

(6)上記(1)〜(5)のいずれか1つの構成において、第1の粉砕工程の後、第1の粉砕マンガン酸化物含有物を、30μm以上150μm以下の間で設定される分離径で粗粒と細粒とに分級する分級工程(S202)をさらに備え、第1の磁選工程では、分級工程で分級された粗粒を分離する。 上記(6)の構成によれば、細粒として粉砕工程に含まれるnCaO・P2O5相を分離することができる。このため、磁選工程にて非磁着物として回収されるマンガン原料のP濃度をさらに低減させることができる。

(7)上記(6)の構成において、分級工程で分級された細粒を磁力で磁着物と非磁着物とに分離する第3の磁選工程(S216)と、第3の磁選工程で分離された磁着物をマンガン原料として回収する工程(S218)と、をさらに備える。 上記(7)の構成によれば、細粒に含まれ、マンガンを含有するスピネル相を、マンガン原料として回収することができる。このため、マンガン酸化物含有物からのマンガン原料の回収率を向上させることができる。

(8)上記(1)〜(7)のいずれか1つの構成において、第1の磁選工程で分離された磁着物を粉砕し、第2の粉砕マンガン酸化物含有物を生成する第2の粉砕工程(S208)と、第2の粉砕工程で生成された磁着物を、磁着物と非磁着物とに分離する第2の磁選工程(S210)と、第2の磁選工程で分離された磁着物をマンガン原料として回収する工程(S212)と、をさらに備える。 上記(8)の構成によれば、第1の磁選工程にて分離した磁着物である、スピネル相に抱き込まれたnCaO・P2O5相をさらに細粒化することで、強磁性体化合物の相とnCaO・P2O5相とを分けることができるようになる。さらに、2次磁選工程で、マンガンを含有するこの強磁性体化合物の相を磁着分離させ、回収することで、マンガン酸化物含有物からのマンガン原料の回収率を向上させることができる。

(9)本発明の一態様に係るマンガン含有鋼の溶製方法は、マンガン含有鋼の溶製方法であって、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のマンガン原料の製造方法によって回収されたマンガン原料を、溶銑または溶鋼に添加することで、溶銑または溶鋼のマンガン濃度を調整する。 上記(9)の構成によれば、上記(1)〜(8)と同様な効果を得ることができる。

次に、本発明者らが行った実施例1について説明する。実施例1では、はじめに、マンガン酸化物含有物の一つとして、組成成分の異なる2種類のマンガン鉱石について、成分組成の分析と、XRDによる鉱物相の調査を行った。次に、この2種類のマンガン鉱石1kgを乳鉢で粉砕し、磁選を行い、磁着物及び非磁着物の成分組成をそれぞれ調査した。 表1には、条件1及び条件2とした成分組成の異なるマンガン鉱石の成分組成の分析結果を示す。また、表2には、条件1及び条件2のマンガン鉱石のXRDによる鉱物相の分析結果を示す。表2に示すように、条件1のマンガン鉱石には、マンガンケイ酸塩相が含まれ、条件2のマンガン鉱石には、マンガンケイ酸塩相が含まれないことが確認できた。

表3には、乳鉢で粉砕した条件1のマンガン鉱石を磁気分離し、分離した磁着物及び非磁着物を分析した成分組成の分析結果を示す。また、表4には、乳鉢で粉砕した条件2のマンガン鉱石を磁気分離し、分離した磁着物及び非磁着物を分析した成分組成の分析結果を示す。なお、表3及び表4に示す試験では、条件1及び条件2のマンガン鉱石について、磁場強度を変えた4条件(1100G、1500G、2000G及び2500G)でそれぞれ磁気分離した。

表3に示すように、条件1のマンガン鉱石の場合、いずれの磁場強度においても、磁着物及び非磁着物として処理前の条件1のマンガン鉱石と異なる成分組成の粉砕マンガン鉱石が得られることが確認できた。特に、非磁着物については、処理前の条件1のマンガン鉱石に対して、P濃度及びFe濃度が低くなり、Mn濃度が高くなることが確認できた。一方、磁着物については、処理前の条件1のマンガン鉱石に対して、Mn濃度が低くなり、不純物であるP濃度が高くなることが確認できた。

この磁着物をEPMAで元素分析したところ、P濃度の高い高P含有粒子は、P濃度の高い相の周りが、MnFe2O4に代表されるスピネル相に囲まれていることが確認できた。このことから、表3における結果は、磁性を持つスピネル相にnCaO・P2O5の化合物を巻き込ませることで、Pを多く含む粒子を磁着させることで取り除くことができた結果であると考えられる。特に、磁着物においては、200μm〜500μm程度の大きさの高P含有粒子は、CaO、SiO2及びP2O5により構成される相を主としており、Mn、Fe及びMgの酸化物を主とするスピネル相及びCaFe2O4に代表されるカルシウムフェライト相の少なくとも一方の相に囲まれていることがわかった。

また、条件1のマンガン鉱石の場合、磁場強度が2000G以下での分離効果は、磁場強度が2500Gでの分離効果よりも大きくなることが確認できた。これは、マンガンケイ酸塩を非磁着物として回収し、マンガンケイ酸塩相と高P相とを分離できた結果と考えられる。 条件2のマンガン鉱石の場合においても、磁選分離無しのものと比較して、非磁着物のP濃度が低下しており、不純物の効果があることが確認できた。しかしながら、条件2のマンガン鉱石は、条件1のマンガン鉱石に比べて、不純物の分離効果(磁着物に対する非磁着物のP濃度の差)が小さかった。これは、条件2では、鉱物相としてマンガンケイ酸塩を含有していないことが起因していると考えられる。

また、実施例1では、条件1のマンガン鉱石について、ステップS100及びS102の処理を行い、ステップS102の磁選工程において磁場強度を時間に対して変動させた、変動磁場としてマンガン原料の回収の試験を行った。この試験では、多極磁場変動方式の磁力選別装置を用いて、時間経過に伴い磁場強度を0Gと1500Gとに変化させて磁気分離を行った。また、磁極ロールの回転数が異なる4条件(500rpm、1000rpm、1500rpm及び2000rpm)で試験を行い、それぞれの回転数の条件で得られる磁着物及び非磁着物の成分組成を分析した。なお、上記以外の条件については、表3に示すものと同じとした。 表5に、変動磁場とした試験の結果である、磁極ロールの回転数が異なる条件での、磁着物及び非磁着物の成分組成の分析結果を示す。表5に示すように、500rpm以上の回転数での試験では、不純物の分離効果に大きな違いは見られなかった。

さらに、実施例1では、ステップS100及びステップS102の処理を行い、ステップS100の粉砕工程において粉砕方法を変えた複数の条件で試験を行った。この試験では、第1の実施形態と同様に、条件1のマンガン鉱石を、ボールミル、ロッドミル、ローラーミル及びカッターミルをそれぞれ用いた異なる条件で粉砕し(粉砕工程)、粉砕された粉砕鉱石を磁気分離し(磁選工程)、磁着物と非磁着物との成分組成を分析した。試験の結果、すべての試験において、磁着粒に対して非磁着物の方が、P濃度が低下する傾向が確認された。さらに、ボールミル、ロッドミル及びローラーミルを用いた条件では、カッターミル及びジェットミルを用いた条件に比べ、非磁着物のP濃度がさらに低下し、不純物の分離効果が高くなることが確認できた。これは、ボールミルやロッドミル、ローラーミルのように圧力を加えてマンガン鉱石を粉砕する方法の方が、粒子として磁性をもつ高P含有粒子の生成が促進されたことに起因していると考えられる。

さらに、実施例1では、第2の実施形態と同様に、ステップS200,S202及びS204の処理を行い、ステップS204の1次磁選工程にて磁気分離した磁着物及び非磁着物の成分分析をすることで、分級工程を追加することによる不純物の分離効果を試験した。この試験では、条件1のマンガン鉱石を用い、ステップS202の分級工程では、325メッシュの篩を用いて分級を行い、分級した粗粒の粒径を45μm以上とした。そして、ステップS202の磁選工程では、変動磁場を用い、磁場強度の異なる4条件(1100G、1500G、2000G及び2500G)でそれぞれ磁気分離を行った。表6に、分級工程を追加した試験の結果である、磁場強度毎の磁着物及び非磁着物の成分組成の分析結果を示す。なお、1次磁選工程では、多極磁場変動方式の磁力選別装置を用い、磁極ロールの回転数を2000rpmとした。表6に示すように、分級工程を追加した処理では、表3の結果に比べ、非磁着物のP濃度が低くなることが確認できたことから、分級により不純物の分離効果が向上することがわかった。

さらに、表6に示す試験において、ステップS204の第1の磁選工程で磁気分離された磁着物に、ステップS208の第2の粉砕工程及びステップS210の第2の磁選工程を施し、磁気分離された磁着物及び非磁着物の成分組成を分析した。また、表6に示す試験において、ステップS202の分級工程にて分級された細粒について、ステップS216の第3の磁選工程を行い、磁気分離された磁着物及び非磁着物の成分組成を分析した。なお、第2の磁選工程及び第3の磁選工程では、磁場強度が異なる2条件(5000G及び10000G)でそれぞれ磁気分離を行った。表7に、第2の磁選工程後の磁着物及び非磁着物の成分組成、表8に、第3の磁選工程後の磁着物及び非磁着物の成分組成をそれぞれ示す。表7及び表8に示すように、第2の磁選工程及び第3の磁選工程の両方において、非磁着物に比べて磁着物のP濃度が大幅に低減し、Mn濃度が増加していることから、不純物の分離効果が得られることが確認できた。

次に、本発明者らが行った実施例2について説明する。実施例2では、実施例1における条件1のマンガン鉱石について、上記実施形態または変形例と同様にマンガン原料の回収を行い、回収したマンガン原料のMn濃度及びP濃度を分析した。また、実施例2では、粉砕前のマンガン鉱石に含まれるマンガン量に対する、回収されたマンガン原料のマンガン量を示す、マンガン原料の回収歩留りを調べた。

実施例2における条件を表9に示す。表9に示すように、実施例2では、条件の異なる実施例2−1〜2−6の6条件でマンガン原料の回収を行った。また、比較として、比較例2−1〜2−3の3条件でもマンガン原料の回収を行った。実施例2−1,2−2は、ステップS100,S102,S104の処理を行い、ステップS104でマンガン原料を回収した条件である。実施例2−3は、ステップS200,S202,S204,S206の処理を行い、ステップS206でマンガン原料を回収した条件である。実施例2−4は、ステップS200,S202,S204,S206,S208,S210,S212の処理を行い、最終的にステップS206,S212でマンガン原料を回収した条件である。実施例2−5,2−6は、ステップS200,S202,S204,S206,S208,S210,S212,S216,S218の処理を行い、最終的にステップS206,S212,S218でマンガン原料を回収した条件である。

また、実施例2では、ステップS100の粉砕工程またはステップS200の1次粉砕工程において、実施例2−1〜2−5ではローラーミル、実施例2−6ではボールミルをそれぞれ用いてマンガン鉱石を粉砕した。 ステップS102の磁選工程またはステップS204の第1の磁選工程では、多極磁場変動方式の磁力選別装置を用いた。さらに、実施例2−1では、磁場強度を0Gと3000Gとに変動させ、実施例2−2〜2−6では、磁場強度を0Gと1900Gとに変動させた。また、実施例2−4〜2−6では、ステップS206の2次磁選工程及びステップS216において、磁場強度を0Gと5000Gとに変動させた。

ステップS202の分級工程では、分級方法として篩を用いた分級を行った。さらに、実施例2−3では、分級メッシュを325メッシュ、実施例2−4では、分級メッシュを250メッシュ、実施例2−5,2−6では、分級メッシュを200メッシュとした。 一方、比較例2−1は、マンガン鉱石をそのままマンガン原料として回収する条件である。また、比較例2−2,2−3では、ステップS100,S102,S104と同様な処理を行った。さらに、比較例2−2では、ステップS100の粉砕工程でカッターミルを用いて粉砕を行い、ステップS102の磁選工程において、多極磁場変動方式の磁力選別装置を用いて磁場強度を0Gと3000Gとに変動させた。さらに、比較例2−3では、ステップS100の粉砕工程でジェットミルを用いて粉砕を行い、ステップS102の磁選工程において、多極磁場変動方式の磁力選別装置を用いて磁場強度を0Gと1900Gとに変動させた。

実施例2の結果を表10に示す。ここで、回収歩留は下記(1)式で表される計算式をもって算出した。また、回収されるマンガン原料のP濃度の目標は、粉砕前のマンガン含有酸化物の90%である、0.036mass%以下とし、回収歩留の目標は、60%として評価を行った。表10に示すように、実施例2−1〜2−6の条件では、マンガン鉱石である比較例2−1や比較例2−2,2−3に比べ、Mn濃度が増加し、P濃度が低減することが確認できた。また、磁場強度を1900Gとした実施例2−2においては、実施例2−1と比較して、回収歩留が向上することが確認できた。これは磁場強度を下げることで、マンガンケイ酸塩の回収歩留を向上させることができたと考えられる。篩分け処理を行った実施例2−3においては、実施例2−2と比較して、得られたマンガン原料のMn濃度が増加し、P濃度が低減することが確認できた。これは、強磁性体化合物と複合体を形成していないP含有相を磁選前に除去できたためであると考えられる。第1の磁選工程において得られた磁着物を第2の粉砕工程において粉砕した粉砕マンガン原料に対して、第2の磁選工程を行い、磁着物として得られたマンガン原料を加えた実施例2−4においては、実施例2−3と比較して、得られたマンガン原料の歩留が向上することが確認できた。また、分級工程において細粒として得られたマンガン原料に対して第3の磁選工程を加えた実施例2−5においては、実施例2−4と比較して、マンガン原料の歩留がさらに向上することが確認できた。さらに、ボールミルを用いて粉砕した実施例2−6においても、実施例2−5と同様の結果が得られており、圧力を加えて粉砕を行う粉砕を用いた場合に、効果的に分離効果が得られることが確認できた。 回収歩留(%)=(S206で回収されたマンガン原料の重量 +S212で回収されたマンガン原料の重量 +S218で回収されたマンガン原料の重量) ÷粉砕前のマンガン含有酸化物全体の重量×100 ・・・(1)

次に、本発明者らが行った実施例3について説明する。実施例3では、実施例2−4で回収されたマンガン原料を用いて、マンガン含有鋼の溶製を行った。実施例3では、350tの転炉型精錬炉に溶銑を装入し、底吹き撹拌と共に上吹きランスからO2ガスを炉内の溶銑に噴射することで脱炭吹錬を行い、この脱炭吹錬の際に、Mn源として実施例2−4で回収されたマンガン原料を上添加した。また、比較例3として、比較例2−1のマンガン原料であるマンガン酸化物含有物を優先的に用いて、マンガン含有鋼の溶製を行った。比較例3では、マンガン原料以外の条件を実施例3と同様な条件とした。また、比較例3では、Pの上限濃度から、マンガン酸化物含有物が利用できない場合には、P濃度が低い金属マンガンを用いた。

図4に、実施例3及び比較例3における、マンガン鉱石(実施例3の場合にはマンガン鉱石から回収されたマンガン原料)の使用量を示す。なお、図4に示す例は、マンガン含有鋼のPの上限濃度に対する、要求されるMn濃度の比が、1000程度の鋼種における、溶製時のマンガン鉱石の使用量を示す。また、図4の縦軸は、比較例3をマンガン鉱石の使用量を1とした指標である。図4に示すように、実施例3では、比較例3に比べてマンガン鉱石の使用量が飛躍的に増加することが確認できた。これにより、マンガン含有鋼の溶製時の溶製コスト(特に、合金コスト)を低減できることが確認できた。

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