Electric circuit and wave-function expressing method |
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申请号 | JP2008079805 | 申请日 | 2008-03-26 | 公开(公告)号 | JP2009239402A | 公开(公告)日 | 2009-10-15 |
申请人 |
Nippon Telegr & Teleph Corp |
发明人 | NAKAJIMA HIROKI; | ||||
摘要 | PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an electric circuit that basically executes the description of both steady state and time evolution of a quantum-mechanical wave function by the same circuit configuration while also expressing a wave function in a potential barrier. SOLUTION: The electric circuit has a first voltage source 5, which is connected on a first main signal line between a first terminal 1 and a second terminal 2 so as to output a prescribed voltage based on a value of a current flowing through a third terminal 3, a second voltage source 6, which is connected on a second main signal line between the third terminal 3 and a fourth terminal 4 so as to output a prescribed voltage based on a value of a current flowing in the first terminal 1, a first current source 9 connected between the second terminal 2 and the ground so as to output a prescribed current based on a value of a voltage of the fourth terminal 4, and a second current source 10 connected between the fourth terminal 4 and the ground so as to output a prescribed current based on a value of a voltage of the second terminal 2. First/second electric capacities 7, 8 each having a prescribed capacity value are connected between the second terminal 2 and the ground and between the fourth terminal 4 and the ground, respectively. COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT |
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权利要求 | 第1の端子と第2の端子との間の第1の主信号線上に接続され、第3の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源と、 前記第3の端子と第4の端子との間の第2の主信号線上に接続され、前記第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源と、 前記第2の端子と接地との間に接続され、前記第4の端子の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源と、 前記第4の端子と接地との間に接続され、前記第2の端子の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源とを有し、 前記第2の端子と接地との間および前記第4の端子と接地との間に、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1および第2の電気容量がそれぞれ接続されることを特徴とする電気回路。 第1の端子と第2の端子との間の第1の主信号線上に接続され、第3の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源と、 前記第3の端子と第4の端子との間の第2の主信号線上に接続され、前記第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源と、 前記第2の端子と接地との間に接続され、前記第4の端子の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源と、 前記第4の端子と接地との間に接続され、前記第2の端子の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源と、 を有することを特徴とする電気回路。 請求項1または2に記載の電気回路において、 前記第1の電圧源が、前記第1の主信号線上に出力端が接続される第1の電圧制御電圧源と、前記第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電流源と、前記第1の電圧制御電圧源の入力端と前記第1の電流制御電流源の出力端との間に並列に配置した第1の抵抗と、からなる回路であり、 前記第2の電圧源が、前記第2の主信号線上に出力端が接続される第2の電圧制御電圧源と、前記第1の主信号線上に入力端が接続される第2の電流制御電流源と、前記第2の電圧制御電圧源の入力端と前記第2の電流制御電流源の出力端との間に並列に配置した第2の抵抗と、からなる回路であり、 前記第1の電流源が、前記第2の端子と接地との間に接続される第1の電圧制御電流源であり、 前記第2の電流源が、前記第4の端子と接地との間に接続される第2の電圧制御電流源であることを特徴とする電気回路。 請求項3に記載の電気回路において、 前記第1の電圧制御電圧源および前記第2の電圧制御電圧源が、コレクタ接地型トランジスタ回路または演算増幅器によって構成され、 前記第1の電流制御電流源および前記第2の電流制御電流源が、ベース接地型トランジスタ回路によって構成され、 前記第1の電圧制御電流源および前記第2の電圧制御電流源が、あらかじめ定めたトランスコンダクタンスを有する増幅器によって構成されることを特徴とする電気回路。 請求項3または4に記載の電気回路を、単位回路として、多段に縦続接続し、 縦続接続した中央部に存在するあらかじめ定めた段数の各前記単位回路と、 入力端および出力端側にそれぞれ存在する残りの段数の各前記単位回路と、 の両者の間で、各前記単位回路を構成する前記第1の電圧制御電流源および前記第2の電圧制御電流源の利得を、異なる値に設定することを特徴とする電気回路。 請求項5に記載の電気回路において、 多段に縦続接続した前記単位回路のうち、最初の前記単位回路の入力端および最終の前記単位回路の出力端の終端抵抗の抵抗値を、無反射の終端器として構成することを特徴とする電気回路。 入射する電子波の量子力学的波動関数を電気回路を用いて表現する波動関数表現方法であって、 請求項3または4に記載の電気回路を、微小区間を示す単位回路として、多段に縦続接続し、 縦続接続した中央部に存在するあらかじめ定めた段数の各前記単位回路を、ポテンシャル障壁領域を示す区間として、各当該単位回路を構成する前記第1の電圧制御電流源および前記第2の電圧制御電流源の利得を、該ポテンシャル障壁領域のポテンシャルの大きさに応じてあらかじめ定めた値に設定し、 入力端および出力端側にそれぞれ存在する残りの段数の各前記単位回路を、ポテンシャル障壁以外の領域を示す区間として、各当該単位回路を構成する前記第1の電圧制御電流源および前記第2の電圧制御電流源の利得を、該ポテンシャル障壁以外の領域のポテンシャル零に応じてあらかじめ定めた値に設定し、 前記第1の主信号線上および前記第2の主信号線上の任意の位置におけるノード電圧値を、それぞれ、波動関数の実部および虚部として表現することを特徴とする波動関数表現方法。 請求項7に記載の波動関数表現方法において、 電子波が無限遠から入射し、透過した電子波が無限遠に伝播するように、多段に縦続接続した前記単位回路のうち、最初の前記単位回路の入力端および最終の前記単位回路の終端抵抗の抵抗値を、無反射の終端器として構成することを特徴とする波動関数表現方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、電気回路および波動関数表現方法に関し、シュレディンガー方程式によって記述される量子力学的波動関数の振舞いを電気回路上の電圧および電流によって表現する技術に関するものである。 電気回路によって量子力学的波動関数の振舞いを記述あるいは計算する手法は既にいくつか提案されている。 例えば、非特許文献1の大谷氏らによる“複素等価回路による量子効果現象の定式化”(電子情報通信学会論文誌C−I vol.J73−C−I No.11,pp.683−689)、非特許文献2の永井氏による“電子回路に量子力学を”(電気学会誌117巻8号pp.536−539)に記載された電気回路がある。 これらの非特許文献1,2には、一次元のポテンシャル障壁構造やポテンシャル井戸構造における電子波の振舞いについて、電子のエネルギーがポテンシャルエネルギーより大きい領域すなわちポテンシャル井戸領域については、無損失伝送線路により、また、電子のエネルギーがポテンシャルエネルギーより小さい領域すなわちポテンシャル障壁領域については、リアクタンス素子を用いた集中定数回路により構成した電気回路を用い、当該電気回路のノード電圧値に波動関数の値を対応させることにより、定常状態での電子波(平面波)伝播の様子を計算することが可能であることが開示されている。 また、非特許文献3のM.Suzukiらによる“A Complex-Valued Wave Digital Filter Which Simulates Time Evolution of One-Dimensional Electron”(The 3rd Asia-Pacific Microwave Conference Proceedings,Tokyo,1990,pp.359−362)においては、複素ウェーブディジタルフィルタ(Complex-Valued Wave Digital Filter)回路を用いることにより電子波の時間発展を記述することが可能であることが開示されている。 前述した非特許文献1および非特許文献2によって開示された電気回路は、シュレディンガー方程式を一種の電信方程式とみなし、その電信方程式としての構造を忠実に電気回路に書き直したものである。 しかしながら、当該電気回路は、平面波伝播としての電子波伝播の定常状態に関する記述を行うことはできるものの、電子波の時間発展を記述することができないという問題がある。 その理由は、非特許文献1に記載されているように、ポテンシャル障壁領域に対応する回路として集中定数回路を用いるため、信号波の伝播速度を求めることができなく、瞬時的現象の記述が困難であるためである。 また、非特許文献1および非特許文献2によって開示された電気回路では、ポテンシャル障壁領域内での波動関数を原理的に表現することができないという問題がある。 これは、当該電気回路が、主信号線1本で構成されているためである。 すなわち、ポテンシャル井戸領域では、平面波である電子波は、正弦振動現象を複素数で表現するフェーザー(phasor)表示が可能であるので、主信号線は1本で良いが、ポテンシャル障壁領域での電子波は、フェーザー表示が不可能であるため、主信号線1本だけでは波動関数の実部と虚部とを表現することができない。 実際、非特許文献1においては、ポテンシャル障壁内での波動関数は、当該電気回路の特性としてではなく、別途解析的に求めたものとして記述されている。 非特許文献3に記載の複素ウェーブディジタルフィルタ回路は、電子波の時間発展を記述することはできるものの、非特許文献1および2によって開示された電気回路とは異なり、シュレディンガー方程式の構造を忠実に電気回路に書き直したものというよりも、その動作を模擬(simulate)するように構成したものである上、その具体的な回路構成が詳らかではない。 このように、量子力学的波動関数の定常状態の記述と時間発展の記述とは、従来提案されている電気回路によれば、それぞれ別個の回路構成を用いなければならない。 そこで、本発明の主目的は、量子力学的波動関数の定常状態および時間発展の双方の記述が基本的に同一の回路構成で行うことができ、かつ、ポテンシャル障壁内の波動関数も表現することが可能な電気回路および波動関数表現方法を提供することにある。 本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。 第1の技術手段は、 第2の技術手段は、 第3の技術手段は、前記第1または第2の技術手段に記載の電気回路において、 第4の技術手段は、前記第3の技術手段に記載の電気回路において、 第5の技術手段は、前記第3または第4の技術手段に記載の電気回路を単位回路として多段に縦続接続し、 第6の技術手段は、前記第5の技術手段に記載の電気回路において、 第7の技術手段は、 第8の技術手段は、前記7の技術手段に記載の波動関数表現方法において、 本発明の電気回路および波動関数表現方法によれば、2本の主信号線を用いることにより、波動関数の実部と虚部とをそれぞれの信号線上のノード電圧値として表現する回路構成を採用している。 つまり、本発明による電気回路および波動関数表現方法は、シュレディンガー方程式の構造を電気回路として忠実に表現したものであって、主信号線が2本あり、それぞれの信号線上のノード電圧値が波動関数の実部および虚部に対応する回路構成を実現している。 したがって、ポテンシャル井戸領域のみならず、ポテンシャル障壁内における波動関数も表現することが可能であり、また、量子力学的波動関数の定常状態および時間発展の双方の様子を、基本的に、単一の回路構成を用いて記述することが可能であるという効果を奏することができる。 以下に、本発明に係る電気回路および波動関数表現方法の最良の実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。 (本発明の特徴) 以下、図面を参照して、本発明の実旋例についてその詳細に説明するが、その前に、本発明の基本となる回路構成を導出する考え方について説明する。 波動関数Ψ(x、t)に対する時間項を含んだシュレディンガー方程式は、 図1において、第1の端子1と第2の端子2とを結ぶ信号線が第1の主信号線であり、第3の端子3と第4の端子4とを結ぶ信号線が第2の主信号線である。 また、第1の端子1と第2の端子2との間の第1の主信号線上に接続された符号5は、第3の端子3に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第1の電圧源であり、第3の端子3と第4の端子4との間の第2の主信号線上に接続された符号6は、第1の端子に流れる電流の値に応じてあらかじめ定めた所定の電圧を出力する第2の電圧源である。 また、第2の端子2と接地との間に接続された符号7は、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第1の電気容量であり、第4の端子4と接地との間に接続された符号8は、あらかじめ定めた所定の容量値を有する第2の電気容量である。 また、第2の端子2と接地との間に接続された符号9は、第4の端子4の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第1の電流源であり、第4の端子4と接地との間に接続された符号10は、第2の端子2の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力する第2の電流源である。 図1に示す電気回路は、微小区間dxにおけるシュレディンガー方程式の構造を電気回路として忠実に構成したものであり、図1の電気回路を複数段縦続接続して第1、第2の主信号線上の各ノードの電圧、電流を測定することにより、任意の1次元ポテンシャル構造における量子力学的波動関数の定常状態および時間発展の様子を求めることができる。 なお、図1に示す電気回路は、時間項を含んだシュレディンガー方程式を表現しており、電気回路の形態として最も一般性を有しているものであるが、量子力学的波動関数の定常状態の記述に関しては、図1に示す電気回路を簡略化することが可能であることを以下に示す。 波動関数Ψ(x、t)が、次の式(7)のように、変数分離を行うことができる場合には、波動関数の絶対値|Ψ(x、t)|は、時間に依存することがない、いわゆる定常状態となる。 図2は、図1の第1の電気容量7および第2の電気容量8を第1の電流源9および第2の電流源10にそれぞれ繰り込んだ回路構成を示すものであり、本発明に係る電気回路の第2の基本構成を示す回路図である。 図2の第1の電流源11は、図1の第1の電気容量7を流れる電流と第1の電流源9を流れる電流とを統合したものであり、第2の端子2と接地との間に接続され、第4の端子4の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力するものである。 また、図2の第2の電流源12は、図1の第2の電気容量8を流れる電流と第2の電流源10を流れる電流とを統合したものであり、第4の端子4と接地との間に接続され、第2の端子2の電圧の値に応じてあらかじめ定めた所定の電流を出力するものである。 このように、量子力学的波動関数の定常状態を記述する場合に限り、図1の電気回路は、図2のように簡略化することができるが、前述した導出過程からも明らかなように、図1および図2の電気回路は、基本的には、同一のものである。 ここで、本発明による電気回路によれば、異なる領域間での波動関数に関する境界条件が、第1、第2の主信号線上の電圧および電流の連続条件として自然に満たされることを説明しておく。 例えば、対象となる材料等が、界面x=x 0において領域aとbとに分かれているものとした場合、波動関数は、当該界面において、次の式(11)の境界条件を満たさなければならない。 さらに、本発明による電気回路によれば、“確率の流れの密度”(probability current density)が、2本の主信号線上の電圧と電流とを用いて表されることを以下に述べておく。 確率の流れの密度S(x、t)は、*が複素共役量を表すものとして、 したがって、本発明による電気回路の2本の主信号線上それぞれの電圧と電流とを求めることにより、量子力学的波動関数による確率の流れの密度S(x、t)が得られることになる。 図1および図2に示した電気回路は、本発明の言わば最上位概念に当たるものであり、以下では、本発明のより具体的な電気回路の実施例について説明することにする。 図3は、本発明に係る電気回路の第1の実施例を示す回路図であり、図1の電気回路をより具体化したものである。 図3の電気回路において、符号VCVS,CCCS,VCCSは、それぞれ、電圧によって出力電圧値を制御する電圧制御電圧源(Voltage-Controlled Voltage Source)、電流によって出力電流値を制御する電流制御電流源(Current-Controlled Current Source)、電圧によって出力電流値を制御する電圧制御電流源(Voltage-Controlled Current Source)を意味している。 図3における第1の電圧制御電圧源51と第1の電流制御電流源52とにより、図1の第1の電圧源5を実現している。 すなわち、図1の第1の電圧源5は、第1の端子1と第2の端子2とを結ぶ第1の主信号線上において、第3の端子3に流れ込む電流の値に応じた電位差を生じさせるものであるが、図3のように、第1の主信号線上に出力端が接続される第1の電圧制御電圧源51(利得は“1”)と第2の主信号線上に入力端が接続される第1の電流制御電流源52(利得は“1”)と、さらに、第1の電圧制御電圧源51の入力端と第1の電流制御電流源52の出力端との両者の間に並列に配置された第1の抵抗Rとを用いれば、当該機能を実現することができる。 なお、第1の電圧制御電圧源51と第1の電流制御電流源52との間に配置される第1の抵抗Rの抵抗値は、次の式(14)のように設定される。 また、図3における第1の電圧制御電流源91および第2の電圧制御電流源101は、それぞれ、図1の第1の電流源9および第2の電流源10の機能を実現する。 第1の電流制御電流源52および第2の電流制御電流源62の利得は、いずれも、“1”であるから、例えばバイポーラトランジスタを用いたベース接地型トランジスタ回路によって実際に構成することが可能であるし、また、第1の電圧制御電圧源51および第2の電圧制御電圧源61の利得は、いずれも、“1”であるから、例えばバイポーラトランジスタを用いたコレクタ接地型トランジスタ回路あるいは演算増幅器を用いたいわゆるボルテージフォロア回路によって構成することが可能である。 さらに、第1の電圧制御電流源91および第2の電圧制御電流源101は、入力電圧信号を電流出力として増幅するものであるから、例えば電界効果トランジスタを用いることによってあらかじめ定めた所定のトランスコンダクタンスを有する増幅器として実際に構成することが可能である。 このように、図3の電気回路は、公知の回路素子や増幅回路技術により様々な形態で実際に作製することが可能であるが、ここで問題となるのは、図3の回路素子定数にディラック定数が含まれている点である。 ディラック定数は、およそ、1.05×10 −34 [J・s]と非常に小さな値であるため、回路定数値が非現実的な値となってしまう可能性がある。 しかしながら、これは、対象とする量子力学系が原子単位系で記述されるとすれば良い。 すなわち、原子単位は、ディラック定数を“1”、電子質量を“1”、また、距離の単位としてボーア半径を“1”とするものであるから、対象とする量子力学系を現実的な定数値を持つ回路素子によって構成することが可能となる。 なお、図3の電気回路は、図1の電気回路を具体化する回路構成として、唯一無二のものではなく、あくまでも一例に過ぎない。 例えば、図3においては、第2の電圧制御電圧源61の出力ポートが、第1の電流制御電流源52の入力ポートの第4の端子4側に接続されているが、第1の電流制御電流源52の入力ポートの第3の端子3側に接続されても、回路動作としては同一となる。 また、例えば、図3においては、第1の電流制御電流源52の利得は“1”であるが、この第1の電流制御電流源52の利得の値Gを、次の式(15)に示すように、第1の電流制御電流源52と第1の電圧制御電圧源51との間に接続された抵抗Rの値つまり式(14)で示す値と等しい値に設定し、その代わりに、当該抵抗Rの値を“1”に設定しても、回路動作としては同一となる。
図4は、本発明に係る電気回路の第2の実施例を示す回路図であり、図2の電気回路をより具体化したものである。 図4における第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121は、それぞれ、図2の第1の電流源11および第2の電流源12の機能を実現するものであり、図3における第1の電気容量7および第2の電気容量8それぞれに流れる電流を、それぞれの電流源側に統合したものである。 他の回路要素は、図3と同様であるので、ここでの説明は省略する。 なお、図1の回路構成を具体化した第1の実施例の場合と同様、図2の回路構成を具体化した第2の実施例についても、図4に示した構成以外に様々なものが考えられる。 以下、図4に示した電気回路を用いて当該回路が実際に量子力学的波動関数の振舞いを表現することが可能であることを、回路シミュレーション結果に基づき説明する。 なお、以下のシミュレーション結果は、すべて、図4の電気回路を用いた場合のものであるが、より一般性のある図3の電気回路を用いても、完全に同一の結果が得られる。 図5は、回路シミュレーションの対象とする1次元量子力学系をポテンシャル構造とともに模式的に示したものである。 図5の模式図において、0<x<1の領域に有限の大きさU 0を有するポテンシャル障壁(U=U 0 )が存在し、当該ポテンシャル障壁以外の領域ではポテンシャルUは零(U=0)である。 図5の左側の無限遠から式(16)に示すようなエネルギーEの電子波(平面波)が入射し、式(17)に示すように、その一部が、0<x<1の領域に存在するポテンシャル障壁を透過して、図5の右側の無限遠へと伝播していく。 ここで、式(17)の係数Tは、入射平面波に対する透過平面波の係数である。 図6は、図5に示す量子力学系を図4の電気回路を用いて構成したブロック図であり、図6中、符号13は、図4に示す電気回路を、微小区間Δx=0.01なる単位回路としたものであり、該単位回路13を多段に例えば300個縦続接続して、第1の主信号線および第2の主信号線同士がそれぞれ接続されるように構成している。 図6のように、図4に示す電気回路を単位回路13として多段に縦続接続した電気回路を構成することにより、量子力学系の波動関数を表現することができることを以下に説明する。 ここで、縦続接続した中央部に存在するあらかじめ定めた段数の各単位回路13と、入力端および出力端側にそれぞれ存在する残りの段数の各単位回路13と、の両者について、図4の第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121の利得を、異なる値に設定する。 中央部に存在する所定の段数の各単位回路13については、ポテンシャル障壁領域を示す区間として、第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121の利得を、該ポテンシャル障壁領域のポテンシャル(U=U 0 )の大きさに応じてあらかじめ定めた値に設定し、入力端および出力端側にそれぞれ存在する残りの段数の各単位回路13については、ポテンシャル障壁以外の領域を示す区間として、第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121の利得を、該ポテンシャル障壁以外の領域のポテンシャル零(U=0)に応じてあらかじめ定めた値に設定する。 つまり、図6のブロック構成においては、微小区間Δx=0.01なる単位回路13を300個縦続接続しているので、図6の回路構成によって表される空間領域の長さは“3”となるが、これを例えばx=−1からx=2までの領域に割り当てるものとすると、x=−1からx=0までの領域およびx=1からx=2までの領域に対応する単位回路13については、図4の第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121の回路定数Uを、図5のx≦0、x≧1の左右の領域のポテンシャルに相当する零とし、また、x=0からx=1までの領域に対応する単位回路13については、図4の第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121の回路定数Uを、図5のポテンシャル障壁に相当するU 0とすれば良い。 また、第1の電圧制御電流源111および第2の電圧制御電流源121の回路定数Eについては、x=−1からx=2までの全領域で、平面波として伝播する電子のエネルギー値とすれば良い。 なお、図4に示す抵抗Rの値は、(前述のように、原子単位を仮定しているので、)0.01Ωである。 図6において、300個縦続接続した単位回路13の入力側に配置した抵抗値Zinの入力終端抵抗14および出力側に配置した抵抗値Zoutの出力終端抵抗15は、いわゆる、無反射終端器を構成するものであり、図5において、電子波が無限遠から入射し、透過した電子波が無限遠にまで伝播するように、U=0の領域が半無限遠に拡がっている状況を図6の回路上で実現するためのものである。 これらの入力終端抵抗14の抵抗値Zin、出力終端抵抗15の抵抗値Zoutは、U=0に対する第1および第2の主信号線の特性インピーダンスの値と等しい値とすれば良く(すなわち、インピーダンス整合終端条件とすれば良く)、例えば、回路定数E=25の場合、式(19)に示す値になる。 0が“25”、電子のエネルギーEが“25”の場合について、図6の回路構成を用いて、シミュレーションによって得られた電圧値Vr(黒丸印)および電圧値Vi(黒三角印)の分布を示している。 式(2)で定義したように、第1主信号線上の電圧値Vrおよび第2主信号線上の電圧値Viは、それぞれ、波動関数の実部および虚部に対応しているので、両者の2乗和の平方根(図7中、白抜き四角印)は、波動関数の絶対値を表している。 なお、図7中の実線は、波動関数の絶対値を解析的に求めた結果を示すものであり、図7から明らかなように、図6の電気回路上の電圧値として得られた波動関数の絶対値(図7中の白抜き四角印)は、ポテンシャル障壁内を含めて解析解(図7中の実線)を正しく再現している。 すなわち、本発明の電気回路によれば、量子力学的波動関数の振舞いを電気回路によって忠実に表現することができる。 なお、式(20)に示すように、図6の第1の電圧信号源16および第2の電圧信号源17は、時間に依存して電圧が振動する信号源であるから、これに伴い、図6の第1主信号線上の電圧値Vrおよび第2主信号線上の電圧値Viも時間に依存して振動するのであり、図7の特性図に示した第1主信号線上の電圧値Vrおよび第2主信号線上の電圧値Viは、或る時刻における電圧値であることを付記しておく。 ただし、両者の2乗和の平方根(波動関数の絶対値)は、時間に依存することはなく、いわゆる定常状態となる。 さらに付言すれば、定常状態といえども、第1主信号線上の電圧値Vrおよび第2主信号線上の電圧値Viは、時間に依存して振動するのであるから、例えば、図6の出力終端抵抗つまり終端部15において電気回路から出力される電圧を測定することにより、ポテンシャル障壁を透過してきた電子波(平面波)の時間発展の様子を電気回路の特性として得ることができる。 図8は、確率の流れの密度の分布を示す特性図であり、図6の回路構成を用いて、式(13)で定義される確率の流れの密度(S(x,t)=Vr×Ir+Vi×Ii)を、x=−1からx=2までの領域の各位置について示しており、様々な電子エネルギーの値について、回路シミュレータによって求めた結果を示したものである。 図8中、黒塗りの印で表されるデータは、x=0からx=1までの領域のポテンシャル障壁の高さU 0が“25”の場合を示し、白抜きの印で表されたデータは、x=0からx=1までの領域のポテンシャル障壁の高さU 0が零すなわちポテンシャル障壁が存在しない場合を示している。 図8から明らかなように、確率の流れの密度は、ポテンシャル障壁の有無に関わらず、空間的に一定であり、さらに、時間にも依存していない。 これは、対象とする波動関数が、平面波であるからに他ならず、以下の式(21)、(22)からも明らかである。 すなわち、例えば、図5における入射平面波ψとして、式(16)に示すように、次の式(21)が入力された場合、 また、図8に示すように、確率の流れの密度は、ポテンシャル障壁の有無にかかわらず空間的に一様であるから、電気回路上のどの点で観測しても良く、例えば、図6の終端部15において電気回路から出力される電圧および電流を測定することにより、量子力学系における確率の流れの密度が電気回路の特性として得られることになる。 したがって、ポテンシャル障壁がある場合と無い場合とのそれぞれに対応する電気回路を2種類用意しておき、それぞれの電気回路について終端部15における電圧および電流の測定値から確率の流れの密度を算出し、両者の比を取ることによって、ポテンシャル障壁構造に対する透過係数|T/A| 2が、電気回路の特性として得られる。 ここで、Tは、図5における透過平面波の係数である。 図9は、ポテンシャル障壁に対する透過係数のエネルギー依存性を示す特性図であり、各種の電子エネルギーEについて、本発明による電気回路の回路特性として前述のようにして得られた透過係数|T/A| 2と、別途解析的に求めた透過係数とを併せて示したものであり、本発明による電気回路の回路特性として得られた結果が、解析解を正しく再現していることがわかる。 以上、本発明による電気回路の実施例に基づいて詳細に説明したように、本発明による電気回路においては、2本の主信号線を有し、各主信号線上のノード電圧を、それぞれ、量子力学的波動関数の実部および虚部に対応させているので、ポテンシャル障壁内外の波動関数も記述することが可能であり、また、量子力学的波動関数の定常状態および時間発展の様子が基本的に単一の回路構成で記述することができる。 1…第1の端子、2…第2の端子、3…第3の端子、4…第4の端子、5…第1の電圧源、6…第2の電圧源、7…第1の電気容量、8…第2の電気容量、9…第1の電流源、10…第2の電流源、11…第1の電流源、12…第2の電流源、13…単位回路、14…入力終端抵抗、15…出力終端抵抗(終端部)、16…第1の電圧信号源、17…第2の電圧信号源、51…第1の電圧制御電圧源、52…第1の電流制御電流源、61…第2の電圧制御電圧源、62…第2の電流制御電流源、91…第1の電圧制御電流源、101…第2の電圧制御電流源、111…第1の電圧制御電流源、121…第2の電圧制御電流源。 |