【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、主として液化フロンガスに代替させたウオーター又は炭化水素系洗浄液により物品を洗浄した後、その物品に残存するウオーター又は炭化水素系洗浄液を乾燥するために使用する空冷式真空ポンプにかかり、1台のモーターにより駆動できる極めて圧縮効率が良いインタークーラーレス空冷式4段ルーツ型真空ポンプを提供するものである。 【0002】 【従来の技術】特開昭63ー29089公報に左右で平行にした2段型送風機が記載されているが4段型にすることを示唆するものではない。 従来の形式になるルーツ式空冷多段真空ポンプは、ドライ式であることから近年その需要も多くなつた。 しかし到達真空度が10Torr〜 1×10 -2 Torrになると各段室間に長大なインタークーラーを必要とするため、コストの上昇とか形状の大型化、配管の複雑化等と共に、インタークーラーの過冷却が管理上で生じ易く、ロータ回転ロツクのトラブルも発生しがちになる等の欠点がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の欠点を除き、外殻本体と、該本体の前後に組付けたハウジング取付片と、外殻本体及びハウジング取付片の左右に組付けた内面円弧形のキャツプにより構成したポンプ外郭構成要素の内部に、2段ずつ左右に平行させたロータとロータ軸の具備により、4段型であつても従来の3段型真空ポンプの厳しい圧縮率に匹敵する圧縮率に緩和して各段間毎に必要なインタークーラーの具備を不要とし、さらに、各段間の配管を前記した外郭構成要素内でできるインタークーラーレス空冷式4段ルーツ型真空ポンプの開発を研究課題とし、目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的に合致させたもので、外殻本体と、該本体の前後に組付けたハウジング取付片と、外殻本体及びハウジング取付片の左右に組付けた内面円弧形のキャツプにより構成したポンプ外郭構成要素の内部に、前部の第1段圧縮室及び後部の第3段圧縮室を前記ハウジング取付片に組付け、または一体形成した前後の1方のハウジングに合致させて設け、前部の第2段圧縮室及び後部の第4段圧縮室とを前記前後の他方のハウジングに合致させて設けると共に、第1段圧縮室と第3段圧縮室とに、それぞれのルーツ型ロータと、該各ロータの第1ロータ軸を挿通し、第2段圧縮室と第4段圧縮室とにそれぞれのルーツ型ロータと該各ロータの第2ロータ軸を挿通し、第1ロータ軸と第2ロータ軸のポンプ外郭構成要素の各後部のハウジングから突出する外部に、一台のモータにより連動できる第1プーリと第2プーリ及び、各軸ごとの空気冷却フアンを設け、前記の第1段圧縮室と第2段圧縮室とをポンプ外郭構成要素内の第1段、第2段圧縮室間の通路により連通し、前記第2段圧縮室の吐出口と第3段圧縮室の吸込口とをポンプ外郭構成要素内に形成した第2段、 第3段圧縮室間の通路により連通し、第3段圧縮室と第4段圧縮室とをポンプ外郭構成要素内の第3段、第4段圧縮室間の通路により連通したことを特徴とするインタークーラーレス空冷式4段ルーツ型真空ポンプにかかるものである。 【0005】 【作用】本発明は、実施例に記載した構成のポンプ外郭構成要素1の内部に、前部の第1段圧縮室7及び後部の第3段圧縮室9と、前部の第2段圧縮室8及び後部の第4段圧縮室10とを平行に設け、第1段圧縮室7と第3 段圧縮室9にルーツ型ロータ11、13とそれらのロータの第1ロータ軸14を挿通し、該第1ロータ軸14の後部のハウジング5から突出する外部と、第2段圧縮室8と第4段圧縮室10にルーツ型ロータ12、15とそれらの第2ロータ軸16を挿通し、該第2ロータ軸16 の後部のハウジング5から突出する外部とに、1個のモータMにより駆動される第1プーリ17と第2プーリ1 8とを設け、第1ロータ軸14、第2ロータ軸16を1 個のモータにより駆動する構成により、低真空域から高真空域への甚だしいパツチ運転への運転の所要馬力の変化を同一にする必要性を簡易に満たすことができ、特に低真空域では第1ロータ軸14側に負担が大きく、高真空域では第2ロータ軸16に負担が大きいのを容易に平均化できる。 また、本発明は第1段圧縮室7と第2段圧縮室8を通路21により連通し、第2段圧縮室8の吐出口側8bと第3段圧縮室9の吸込側9aとを通路22により連通し、第3段圧縮室9と第4段圧縮室10を通路23により連通して4段の圧縮を実現する。 それらの通路21〜23をポンプ外郭構成要素1の内部に構成して配管を不用にするのも本発明の初めての提案であつて、 第1ロータ軸14と第2ロータ軸16に冷却フアン1 9、20によりポンプ外郭構成要素1を冷却する空冷式にすることと相俟つて極めて有利なインタークーラーレス空冷式真空ポンプの作用を生じさせ得る。 尤もインタークーラーレスであつても第4段段圧縮室10の吐出口から吐出される吐出ガスをインタークーラーにより冷却し、温度差を減少して大気中に放出することもできる。 【0006】 【実施例】添付図面は本発明の1実施例を示すもので、 図1は図2の所要部切断平面図、図2は図1AーA線の切断正面図、図3は図1BーB線切断側面図であつて第2プーリは省略してある。 図4は外殻本体の斜視図、図5はルーツ型ロータとロータ軸の一例の斜視図である。 【0007】1は一体鋳造の外殻本体2と、該外殻本体2の前後に組付けたハウジング取付片3、3aと、外郭本体2及びハウジング取付片3、3aの左右に組付けた内面半円弧形のキャツプ4、4aとにより構成したポンプ外郭構成要素であつて、該要素1の内部に隔壁6により隔てた前部の第1段圧縮室7及び後部の第3段圧縮室9を前記ハウジング取付片3、3aに組付けたハウジング5、5a・5′、5a′の内の図1右方のハウジング5、5aに合致させて設け、さらに隔壁6aにより隔てた前部の第2段圧縮室8及び後部の第4段圧縮室10を前記左方のハウジング5′、5a′に合致させて設ける。 第1段圧縮室7と第3段圧縮室9とに、ルーツ型ロータ11と、ルーツ型ロータ13と、該各ロータの第1 ロータ軸14を挿通し、第2段圧縮室8と第4段圧縮室10とにルーツ型ロータ12とルーツ型ロータ15と、 各ルーツ型ロータの第2ロータ軸16を挿通すると共に、第1ロータ軸13とポンプ外郭構成要素1のハウジング5aから突出する後部と、ハウジング5a′から突出する第2ロータ軸16の後部に、一台のモータMにより連動できる第1プーリ17と第2プーリ18及び、各軸13、16ごとの空気冷却フアン19、20を設ける。 【0008】前記第1段圧縮室7と第2段圧縮室8をポンプ外郭構成要素1内の左右の第1段、第2段圧縮室間の通路21により連通し、第2段圧縮室8の吐出口8b と第3段圧縮室9の吸込口9aを外郭構成要素1内の左右の第2段、第3段圧縮室間の通路22により連通し、 第3段圧縮室9と第4段圧縮室10とを外郭構成要素1 内の第3段、第4段圧縮室間の通路23により連通する。 【0009】第1段、第2段及び第3段、第4段圧縮室7〜10は何れもまゆ型である。 ルーツ型ロータは本実施例においては図2のように2個1組の3葉型を使用する。 第1ロータ軸14及び第2ロータ軸16の後部をハウジング5、5′により軸支して突出し、外殻本体2の上面の据付板31に据付けたモータMの出力軸に設けたモータプーリに掛けたVベルト32、33を第1プーリ17と第2プーリ18とに掛けて第1ロータ軸14と第2ロータ軸16を駆動する。 外殻本体2を含むポンプ外郭構成要素1の外面には冷却フイン34を形成し、冷却フアン19、20の冷却風を浴びせて冷却する。 前部のハウジング5aの内部には上下の第1ロータ軸14、1 4に固定したタイミングギヤ35、35を固定して潤滑油中で噛合わせる。 ハウジング5a′内の第2ロータ軸16、16の上下に固定したタイミングギヤ36、36 についても同じである。 最終段圧縮室である第4段圧縮室10のケーシングの吐出口に連通する周壁に大気連通口Rを設ける。 【0010】第1段圧縮室7、第2段圧縮室8、第3段圧縮室9、第4段圧縮室10はルーツ型ロータ11、1 2、13、14による圧縮率増加の多段真空ポンプの目的を達成するものであるが、それには第1ロータ軸、第2ロータ軸の軸速の変化、前記各段圧縮室の容積変化等による設計の範囲で解決できるもので、軸速の変化は例えば第1プーリ17と第2プーリの径の相対的変化により実現できる。 図1の各段圧縮室、各段ルーツ型ロータは本実施例の存在位置に関する模図に過ぎない。 要するに各段圧縮室の容積、各段ルーツ型ロータの形状は、設計により決定するもので、設計の都合によりルーツ型ロータ11とルーツ型ロータ13とルーツ型ロータ12及びルーツ型ロータ14が同型になることもある. 【発明の効果】本発明は、前記により明かにしたように、第1段圧縮室7、第3段圧縮室9と第2段圧縮室8、第4段圧縮室10の並列構成と、ルーツ型ロータ1 1、13とそれらのロータ軸14の第1段圧縮室7、第3段圧縮室9への挿通、ルーツ型ロータ12、15とそれらの第2ロータ軸16の第2段圧縮室8、第4段圧縮室10への挿通と、第1ロータ軸14、第2ロータ軸1 6の各外部突出部の1台のモータMにより駆動できる第1プーリ17、第2プーリ18の各固定と、配管を使用しないでポンプ外郭構成要素1の内部に構成する通路2 1、22、23により第1段圧縮室7と第2段圧縮室8 の連通、該圧縮室8の吐出口8bと第3段圧縮室9の吸込口9aとの連通、第3段圧縮室9と第4段圧縮室10 連通を生じさせ、第1、第2ロータ軸14、16の冷却フアン19、20によるポンプ外郭要素1の空気冷却と相俟って、新型式のインタークーラーレス空冷式4段ルーツ型真空ポンプを提供できる効果をもつ。 【図面の簡単な説明】 添付図面は本発明の1実施例を示すもので、 【図1】図1は図2の所要部切断平面図 【図2】図2は図1AーA線切断正面図 【図3】図3は図1BーB線切断側面図であつて、第2 プーリは省略してある 【図4】図4は外殻本体の斜視図 【図5】図5はルーツ型ロータとロータ軸の斜視図 【符号の説明】 1→ポンプ外郭構成要素 2→外殻本体 3、3a→ハウジング取付片 4、4a→キヤツプ 5、5a・5′、5a′→ハウジング 6、6a・6′、6a′→隔壁 7→第1段圧縮室 8 →第2段圧縮室 8b→吐出口 9→第3段圧縮室 9a→吸込口 10 →第4段圧縮室 11、13→ルーツ型ロータ 14→第1ロータ軸 12、15→ルーツ型ロータ 16→第2ロータ軸 M →モータ 17→第1プーリ 18→第2プーリ 19、20→冷却フアン 21→通路 22→通路 23→通路 31→据付板 32、33→Vベルト 34→冷却フイン 35、36→タイミングギヤ ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成6年5月17日 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0010 【補正方法】変更 【補正内容】 【0010】第1段圧縮室7、第2段圧縮室8、第3段圧縮室9、第4段圧縮室10はルーツ型ロータ11、1 2、13、14による圧縮率増加の多段真空ポンプの目的を達成するものであるが、それには第1ロータ軸、第2ロータ軸の軸速の変化、前記各段圧縮室の容積変化等による設計の範囲で解決できるもので、軸速の変化は例えば第1プーリ17と第2プーリの径の相対的変化により実現できる。 図1の各段圧縮室、各段ルーツ型ロータは本実施例の存在位置に関する模図に過ぎない。 要するに各段圧縮室の容積、各段ルーツ型ロータの形状は、設計により決定するもので、設計の都合によりルーツ型ロータ11とルーツ型ロータ12及びルーツ型ロータ13 とルーツ型ロータ15が同型になることもある。 【発明の効果】本発明は、前記により明かにしたように、第1段圧縮室7、第3段圧縮室9と第2段圧縮室8、第4段圧縮室10の並列構成と、ルーツ型ロータ1 1、13とそれらのロータ軸14の第1段圧縮室7、第3段圧縮室9への挿通、ルーツ型ロータ12、15とそれらの第2ロータ軸16の第2段圧縮室8、第4段圧縮室10への挿通と、第1ロータ軸14、第2ロータ軸1 6の各外部突出部の1台のモータMにより駆動できる第1プーリ17、第2プーリ18の各固定と、配管を使用しないでポンプ外郭構成要素1の内部に構成する通路2 1、22、23により第1段圧縮室7と第2段圧縮室8 の連通、該圧縮室8の吐出口8bと第3段圧縮室9の吸込口9aとの連通、第3段圧縮室9と第4段圧縮室10 連通を生じさせ、第1、第2ロータ軸14、16の冷却フアン19、20によるポンプ外郭要素1の空気冷却と相俟って、新型式のインタークーラーレス空冷式4段ルーツ型真空ポンプを提供できる効果をもつ。 |