专利类型 | 发明专利 | 法律事件 | |
专利有效性 | 公开 | 当前状态 | |
申请号 | JP2017065087 | 申请日 | 2017-03-29 |
公开(公告)号 | JP2018168550A | 公开(公告)日 | 2018-11-01 |
申请人 | 株式会社大林組; | 申请人类型 | 企业 |
发明人 | 福本 勝司; 嶋田 洋一; | 第一发明人 | 福本 勝司 |
权利人 | 株式会社大林組 | 权利人类型 | 企业 |
当前权利人 | 株式会社大林組 | 当前权利人类型 | 企业 |
省份 | 当前专利权人所在省份: | 城市 | 当前专利权人所在城市: |
具体地址 | 当前专利权人所在详细地址:東京都港区港南二丁目15番2号 | 邮编 | 当前专利权人邮编: |
主IPC国际分类 | E02D5/06 | 所有IPC国际分类 | E02D5/06 ; E02D5/08 ; E02D5/18 ; E02D17/04 |
专利引用数量 | 0 | 专利被引用数量 | 0 |
专利权利要求数量 | 4 | 专利文献类型 | A |
专利代理机构 | 专利代理人 | 一色国際特許業務法人; | |
摘要 | 【課題】いずれの地盤条件や施工条件を有する施工対象領域にも適用することが可能な、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、自立式の土留め壁を提供する。 【解決手段】背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、自立式の土留め壁であって、施工対象領域側に配置される前面斜め壁と、前面斜め壁の背面側に、間隔を設けて平行に配置される背面斜め壁と、背面斜め壁と前面斜め壁を連結するつなぎ材と、前面斜め壁と背面斜め壁との頂部近傍を剛結しつつ、両者によって締め切られる締め切り領域の天端を被覆する連結構造体と、を備え、前面斜め壁と背面斜め壁が、つなぎ材により、少なくとも前記施工対象領域の計画深さ以深で連結される。 【選択図】図1 | ||
权利要求 | 背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、自立式の土留め壁であって、 前記施工対象領域側に配置される前面斜め壁と、 該前面斜め壁の背面側に、間隔を設けて平行に配置される背面斜め壁と、 該背面斜め壁と前記前面斜め壁を連結するつなぎ材と、 前記前面斜め壁と前記背面斜め壁との頂部近傍を剛結しつつ、両者によって締め切られる締め切り領域の天端を被覆する連結構造体と、を備え、 前記前面斜め壁と前記背面斜め壁が、前記つなぎ材により、少なくとも前記施工対象領域の計画深さ以深で連結されることを特徴とする土留め壁。請求項1に記載の土留め壁において、 前記つなぎ材が、原位置の地盤面近傍から前記施工対象領域の計画深さ以深に至る長さを有する板状部材よりなり、前記締め切り領域を平面視の延在方向に区割りするよう、間隔をおいて複数配置されることを特徴とする土留め壁。請求項1または2に記載の土留め壁において、 前記連結構造体が、上面レベルを原位置の地盤面と略等しく構築される鉄筋コンクリート造の床板であることを特徴とする土留め壁。請求項1から3のいずれか1項に記載の土留め壁において、 前記締め切り領域に、地盤改良体が築造されることを特徴とする土留め壁。 |
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说明书全文 | 本発明は、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、自立式の土留め壁(または山留壁)に関する。 従来より、地下構造物を、開削工事により施工対象領域に構築する場合、施工対象領域の周囲に土留め壁を構築して地山の崩落を防止しつつ、施工対象領域を掘削する。様々な土留め壁のなかでも、自立式の土留め壁は、土留め壁自身の曲げ剛性と根入れ地盤の受働抵抗によって支持される構造を有する。 したがって、自立式の土留め壁は、施工対象領域を掘削することにより形成される空間に配置される、切梁や腹起し等の支保工を不要とする。これにより、施工対象領域において、掘削作業から地下構造物の施工に至るまでの一連の作業を、効率よく実施できる。 一方で、自立式の土留め壁は、例えば、複数の鋼矢板を連結して構築した場合、支保工が設置されないことによって、壁面と直交する方向への変形が生じやすい。したがって、施工対象領域が、土留め壁の背面側に作用する土圧が大きくなることが想定されるような施工対象領域の計画深さが4mを超える場合、もしくは受働抵抗が少なくなることが想定されるような軟弱地盤に位置する場合、自立式の土留め壁は、施工対象領域の周囲に設置する土留め壁として、必ずしも適しているとは言えない。 このような中、自立式の土留め壁の一態様として、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、いわゆる斜め土留め壁が一般に知られている。斜め土留め壁は、地山にもたれることにより、その背面に作用する土圧を、作用土塊の減少により低減させることができる。このため、斜め土留め壁は、計画深さ4mを超えるような施工対象領域において採用することが可能となっている。 そして、特許文献1には、斜め土留め壁である土留め壁本体の背面に、複数の扶壁を設置した土留め壁構造が開示されている。特許文献1の土留め壁構造は、扶壁を設置することにより土留め壁本体の剛性を向上させるとともに、扶壁と地山と間にせん断抵抗を生じさせている。これにより、計画深さが10mを超えるような施工対象領域においても、適用可能となっている。 特許4683138号公報
しかし、土留め壁本体の曲げ剛性は、扶壁の有無だけでなく、土留め壁本体に用いる材料の影響を受ける。また、土留め壁本体の背面に作用する側圧は、施工対象領域の計画深さが深くなるにつれ、より一層大きくなる。したがって、土留め壁本体が、その背面に扶壁を備えていても、計画深さが20mに達するような施工対象領域に適用すると、掘削作業が進むにつれて土留め壁本体の曲げ耐力に不足が生じやすい。 すると、土留め壁本体に過大な変形が生じるだけでなく、変形に起因して土留め壁本体と地山との間に隙間が生じる。これにより、この隙間に雨水や表面水等が流入して設計以上の水圧が土留め壁本体に作用し、地山の安定が損なわれる事態となりやすい。 本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、いずれの地盤条件や施工条件を有する施工対象領域にも適用することが可能な、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、自立式の土留め壁を提供することである。 かかる目的を達成するため本発明の土留め壁は、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で、施工対象領域の周囲に構築される、自立式の土留め壁であって、前記施工対象領域側に配置される前面斜め壁と、該前面斜め壁の背面側に、間隔を設けて平行に配置される背面斜め壁と、該背面斜め壁と前記前面斜め壁を連結するつなぎ材と、前記前面斜め壁と前記背面斜め壁との頂部近傍を剛結しつつ、両者によって締め切られる締め切り領域の天端を被覆する連結構造体と、を備え、前記前面斜め壁と前記背面斜め壁が、前記つなぎ材により、少なくとも前記施工対象領域の計画深さ以深で連結されることを特徴とする。 上述する本発明の土留め壁によれば、前面斜め壁および背面斜め壁と、これらによって締め切られる締め切り領域内の地盤よりなる内部土とを備えた二重締め切構造の壁体となる。これにより、複数の鋼矢板を連結して構築する従来の土留め壁と比較して、曲げ剛性が大幅に向上する。したがって、施工対象領域が軟弱地盤に位置する場合や施工対象領域の計画深さLが13〜20mと深く、土留め壁に高水圧・土圧が作用する場合にも、土留め壁の曲げ変形を抑制できる。 また、本発明の土留め壁は、壁体の構造が簡略であることから、例えば、前面斜め壁と背面斜め壁との配置間隔を大きく確保することで壁厚を厚くして、曲げ剛性の増強を図ることもでき、いずれの地盤条件および施工条件においても採用することが可能となる。 さらに、前面斜め壁および背面斜め壁は、頂部近傍を連結構造体にて剛に結合されるため、前面斜め壁および背面斜め壁の頂部近傍における変形を抑止することが可能となる。加えて、前面斜め壁および背面斜め壁は、少なくとも施工対象領域の計画深さ以深で、つなぎ材により連結される。これにより、締め切領域内における内部土のせん断変形を抑制できるため、曲げ剛性とともにねじりに対する剛性を向上することが可能となる。 また、締め切り領域の天端は、連結構造体により被覆されることから、締め切り領域内に雨水や表面水等が流入することを防止でき、前面斜め壁に設計以上の水圧が作用することを抑制することが可能となる。 本発明の土留め壁は、前記つなぎ材が、原位置の地盤面近傍から前記施工対象領域の計画深さ以深に至る長さを有する板状部材よりなり、前記締め切り領域を平面視の延在方向に区割りするよう、間隔をおいて複数配置されることを特徴とする。 本発明の土留め壁によれば、つなぎ材が地盤面近傍から施工対象領域の計画深さ以深に至る長さを有する板状部材よりなることから、締め切り領域内の地盤は、区割りされた各区画ごとで地盤面近傍から施工対象領域の計画深さ以深に至るまで、拘束された状態となる。このため、つなぎ材としてタイロッド等の棒状材を採用する場合と比較して、締め切り領域内の内部土に対する拘束効果が高まり、土留め壁の曲げ剛性だけでなく、ねじりに対する剛性を向上させることが可能となる。 本発明の土留め壁は、前記連結構造体が、上面レベルを原位置の地盤面と略等しく構築される鉄筋コンクリート造の床板であることを特徴とする。 本発明の土留め壁によれば、連結構造体を、施工対象領域にて掘削作業や地下構造物の構築作業等を行う際の作業足場として活用でき、地下構造物の構築作業に係る作業効率を大幅に向上することが可能となる。 本発明の土留め壁は、前記締め切り領域に、地盤改良体が築造されることを特徴とする。 本発明の土留め壁によれば、二重締め切構造の壁体が内部土として地盤改良体を備えた構造となるため、土留め壁により高い曲げ剛性とねじりに対する剛性を確保することが可能となる。また、地盤改良体を築造する際に一軸圧縮強度の調整を図ることにより、二重締め切構造の壁体について、壁厚を薄くしながら、曲げ剛性の増強を図ることも可能となる。 本発明によれば、山留め壁が、前面斜め壁および背面斜め壁と、締め切り領域内の地盤よりなる内部土とを備えた二重締め切構造の壁体となることから、曲げ剛性が向上し、いずれの地盤条件や施工条件を有する施工対象領域にも適用することが可能となる。 本発明の実施の形態における土留め壁の概略を示す図である。 本発明の実施の形態における土留め壁の断面を示す図である。 本発明の実施の形態における土留め壁の平面を示す図である。 本発明の実施の形態におけるFEM解析に用いた3次元解析モデルである。 本発明の実施の形態におけるFEM解析に用いた地層構成とその材料定数を示す図である。 本発明の実施の形態におけるFEM解析に用いた土留め壁の材料定数を示す。 本発明の実施の形態におけるFEM解析に用いた土留め壁の要素分割図である。 本発明の実施の形態における施工対象領域を計画深さLまで根切りした際の、FEM解析による解析結果を示す図である。 本発明の実施の形態におけるFEM解析により算出された土留め壁の変位量を示す図である。
本実施の形態における土留め壁は、自立式であって、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢で構築される、いわゆる斜め土留め壁である。そして、その構造を、二重締め切り構造の壁体に構築するとともに、二重締め切り構造内に位置する締め切り領域内の地盤を内部土として土留め壁の一部とすることにより、土留め壁に高い曲げ剛性を確保したものである。以下に図1〜9を参照しつつ、その詳細を説明する。 図1で示すように、土留め壁1は、地下構造物の構築を予定している施工対象領域6の周囲に構築されており、施工対象領域6側に配置される前面斜め壁2と、前面斜め壁2の背面側に配置される背面斜め壁3と、前面斜め壁2および背面斜め壁3により締め切られた締め切り領域7内に位置する地盤よりなる内部土と、を備える。 前面斜め壁2および背面斜め壁3はそれぞれ、継手を介して連結された複数の鋼矢板21、22、31、32により壁状に構築される。また、前面斜め壁2および背面斜め壁3は、所定の間隔を有して平行に配置されるとともに、同じ傾斜角度をもって、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢に構築される。 そして、図2で示すように、前面斜め壁2および背面斜め壁3の下端部は、施工対象領域6を計画深さLまで根切りした状態において、土留め壁1自身の曲げ剛性と根切り底の下方に位置する地盤の受働抵抗によって、土留め壁1を支持できる程度の深さまで根入れされている。なお、本実施の形態では、これよりさらに深い位置に存在する不透水層10に達する深さまで、前面斜め壁2および背面斜め壁3を根入れしている。 また、土留め壁1は、図1および図2で示すように、前面斜め壁2と背面斜め壁3の頂部どうしを剛に結合する連結構造体4と、平面視で締め切り領域7の延在方向に間隔を有して配置され、前面斜め壁2と背面斜め壁3の間を連結する複数のつなぎ材5と、を備える。 本実施の形態では、連結構造体4に鉄筋コンクリート造の床板を採用し、前面斜め壁2と背面斜め壁3とを剛に結合している。これにより、前面斜め壁2および背面斜め壁3は、頂部近傍に生じる変形が抑制される。なお、連結構造体4を構成する鉄筋の端部は、前面斜め壁2と背面斜め壁3各々の頂部近傍に接続させても、させなくてもよい。 加えて、連結構造体4は、前面斜め壁2と背面斜め壁3とにより締め切られた締め切り領域7の天端を覆うように構築されている。これにより、前面斜め壁2および背面斜め壁3と締め切り領域7に位置する内部土との間から雨水や表面水等が流入することを防止し、前面斜め壁2に対して設計以上の水圧を作用させることがない。 また、本実施の形態では図3で示すように、つなぎ材5に継手を介して連結された複数の鋼矢板を採用している。そして、図2で示すように、つなぎ材5の上端52は、原位置の地盤面近傍であって地盤面より低く、連結構造体4に一部が埋設される程度の高さに配置している。一方、つなぎ材5の下端51は、少なくとも施工対象領域6の計画深さL以深に位置し、好ましくは、施工対象領域6の計画深さLに計画深さL/2を追加した位置まで達するように配置する。 このように、前面斜め壁2および背面斜め壁3は、頂部近傍が連結構造体4により剛結され、少なくとも施工対象領域6の計画深さ以深の一部がつなぎ材5により連結される。これにより、締め切り領域7内における内部土のせん断変形を抑制できるため、土留め壁1は、曲げ剛性とともにねじりに対する剛性も向上する。 さらに、つなぎ材5として、下端51が施工対象領域6の計画深さL以深に位置する長さを有する鋼矢板を採用することにより、締め切り領域7内は、平面視の延在方向に区割りされる。すると、締め切り領域7内の内部土は、区割りされた各区画ごとで地盤面近傍から施工対象領域6の計画深さL以深に至るまで、拘束された状態となる。 このため、つなぎ材5としてタイロッド等の棒状材を採用する場合と比較して、締め切り領域7内の内部土に対する拘束効果がより高まり、土留め壁1の曲げ剛性とねじりに対する剛性をより一層向上させることが可能となる。 なお、つなぎ材5として、下端51が施工対象領域6の計画深さL以深に位置する長さを有する鋼矢板を採用する場合には、図3で示すように、前面斜め壁2を構成する締め切り領域7側が凸となる鋼矢板22と、背面斜め壁3を構成する締め切り領域7側が凸となる鋼矢板32とが、互いに対向するように、前面斜め壁2と背面斜め壁3を構築する。 そして、つなぎ材5の両端を、直交継手8を介して前面斜め壁2および背面斜め壁3各々に連結するが、直交継手8は、前面斜め壁2および背面斜め壁3を構成する締め切り領域7側が凸となる鋼矢板22、32であって、ウェブの凸面側にウェブと直交するように固着する。 これは、図3で示すように、前面斜め壁2において、締め切り領域7側が凹に配置される鋼矢板21と締め切り領域7側が凸に配置される鋼矢板22とは、鋼矢板22が固定された状態で鋼矢板21が施工対象領域6側へ移動すると、鋼矢板21と鋼矢板22とを継手が噛み合うように連結されていることによる。 つまり、土留め壁1の背面斜め壁3に対して背面側の地山より土圧が作用し、この土圧が、締め切り領域7の内部土を介して前面斜め壁2に伝達されると、前面斜め壁2のうち、締め切り領域7側を凸に配置される鋼矢板22は、つなぎ材5によりその位置が移動することなく固定されるが、締め切り領域7側を凹に配置される鋼矢板21は、施工対象領域6側に移動する挙動を示す。しかし、先にも述べたように、鋼矢板22に対して鋼矢板21が施工対象領域6側に移動すると、両者を連結する継手は、より噛み合うこととなる。したがって、前面斜め壁2を構成する鋼矢板21、22の連結が解除されて別個の挙動を示すような事態を生じることがない。 上述する構成の土留め壁1を採用して施工対象領域6を計画深さLまで根切りして床付面を仕上げた場合の、土留め壁1の変位量を予測するべく、3次元FEM解析を行った。 3次元FEM解析には、地盤/地下水連成解析法(大林組自社開発ソフト:GRASP3D)を採用し、図4で示すような解析モデル9を用いる。本実施の形態では、土留め壁1と直交する水平方向に、土留め壁1の前面から約44m、背面から約53m、深さ方向に地盤面から60mを解析モデルの設定範囲とし、四角形で要素分割している。なお、解析モデル9の地盤構成および材料定数は、図5に示すとおりである。 また、解析モデル9中に存在する土留め壁1は、図7(a)で示すようにモデル化し、四角形で要素分割している。本実施の形態では、壁厚を3.2m、前面斜め壁2および背面斜め壁3の深さ方向の長さを30m、連結構造体4の厚さを1.0m、つなぎ材5の深さ方向の長さを25.0mに設定している。 そして、比較例として、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢に構築される土留め壁本体81に対して、控え壁82を設けた比較用斜め土留め壁8を採用し、図4で示す解析モデル9を用いて3次元FEM解析を行うこととした。比較用斜め土留め壁8についても、図7(b)で示すようにモデル化し、四角形で要素分割している。本実施の形態では、土留め壁本体81の深さ方向の長さを30mとし、その背面に設置される控え壁82については、深さ方向の長さを25.0m、21.0mと段階的に短くしている。 土留め壁1および比較用斜め土留め壁8の材料定数を図6に示すが、土留め壁1の前面斜め壁2および背面斜め壁3と、比較用斜め土留め壁8の土留め壁本体81は、鋼矢板(SP−VL)を採用する。また、土留め壁1のつなぎ材5および比較用斜め土留め壁8の控え壁82は、鋼矢板(SP−VL)を採用する。 こうして設定した解析モデル9から、土留め壁1で囲繞された掘削領域6を地盤面から計画深さ20mまで根切りして床付面を仕上げた場合の、地盤の水平変位コンター図を図8(a)に示す。同様に、比較用斜め土留め壁8で囲繞された掘削領域6を地盤面から計画深さ20mまで根切りして床付面を仕上げた場合の、地盤の水平変位コンター図を図8(b)に示す。 また、これら水平変位コンター図から算出した土留め壁1および比較用斜め土留め壁8各々の、深度と水平変位の関係を示したグラフを図9に示す。図9を見ると、地表面において、本実施の形態における土留め壁1の水平変位量が4.7cmであるのに対し、比較用斜め土留め壁8の水平変位量は4.9cmと、土留め壁1の水平変位量が比較用斜め土留め壁8より小さい。 これは、本実施の形態の土留め壁1が、控え壁82を備えるものの、鋼矢板のみで土留め壁本体81を構築した比較用斜め土留め壁8と比較して、高い曲げ剛性を確保することができたことに起因すると推測できる。 なお、土留め壁1は、締め切り領域7に位置する内部土が、土留め壁1の一部分となることによって、比較用斜め土留め壁8と比較して、自重が大幅に増大する。そして、これら自重は、土留め壁1の背面側の地山に伝達されるため、土留め壁1に作用する土圧を比較用斜め土留め壁8と比較して低減できる。このように、土留め壁1の自重が大きいことも、水平変位量を小さくできる要因の一つとして考えられる。 上記のとおり、土留め壁1は、前面斜め壁2および背面斜め壁3と、締め切り領域7内の内部土とを備えた二重締め切構造の壁体に構成される。これにより、複数の鋼矢板を連結して構築する従来の土留め壁と比較して、曲げ剛性が大幅に向上する。したがって、施工対象領域6が軟弱地盤に位置する場合や施工対象領域6の計画深さLが13〜20mと深く、土留め壁1に高水圧・土圧が作用する場合にも、土留め壁1の曲げ変形を抑制できる。 また、土留め壁1は、壁体の構造が簡略であることから、例えば、前面斜め壁2と背面斜め壁3との配置間隔を大きく確保することで壁厚を厚くして、曲げ剛性の増強を図ることもでき、いずれの地盤条件および施工条件においても採用することが可能となる。 本発明の土留め壁1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。 例えば、本実施の形態では、前面斜め壁2および背面斜め壁3に継手を介して連結した複数の鋼矢板を採用したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ソイルセメント壁を採用する等、背面側の地山にもたれるよう鉛直面に対して傾斜した姿勢に構築可能な壁体であれば、いずれを採用してもよい。 また、本実施の形態では、連結構造体4として、鉄筋コンクリート造の床板を採用したが、必ずしもこれに限定するものではない。前面斜め壁2と背面斜め壁3とを剛結する機能と、締め切り領域7への流入水を防止する機能を備えていれば、いずれを採用してもよい。 なお、連結構造体4として鉄筋コンクリート造の床板を採用すると、施工対象領域における掘削作業や地下構造物の構築作業時に、連結構造体4を作業足場として活用することも可能となる。このとき、前面斜め壁2および背面斜め壁3各々の締め切り領域7と対向する面に、スタッドジベル等を設けておくと、前面斜め壁2および背面斜め壁3と鉄筋コンクリート造の連結構造体4との剛結をより強固なものにすることができる。 また、本実施の形態では、つなぎ材5として鋼矢板を採用したが、必ずしもこれに限定されるものではない。連結構造体4とともに、前面斜め壁2と背面斜め壁3を剛に結合できる部材であれば、例えば、タイロッド等いずれを採用してもよいが、締め切り領域7内の内部土を土留め壁1の延在方向に拘束可能な板状の部材が、最も好ましい。 そして、本実施の形態では、つなぎ材5の上端52を、連結構造体4に埋設される位置に配置したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、連結構造体4の下面より低い位置に配置してもよいし、前面斜め壁2および背面斜め壁3と略等しい高さ位置に配置してもよい。 さらに、本実施の形態では、締め切り領域7内の内部土に現地土を採用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、現地土に地盤改良を施した地盤改良体を採用してもよい。地盤改良体を採用すると、土留め壁1に対してより一層高い曲げ剛性とねじりに対する剛性を確保することができる。また、地盤改良体を構築する際に、一軸圧縮強度の調整を図ることにより、土留め壁1に対して所望の曲げ剛性を付与することが可能となる。 また、締め切り領域7内を地盤改良するにあたって、つなぎ材5に鋼矢板等の板状部材を採用するとともに、地盤改良工法に深層混合工法や高圧噴射工法等を採用すると、つなぎ材5により区分けされた壁中空間7の各区画内の現地土に対して、効率よくセメントミルクを撹拌混合することが可能となる。 1 土留め壁 2 前面斜め壁 31 鋼矢板 32 鋼矢板 3 背面斜め壁 31 鋼矢板 32 鋼矢板 4 連結構造体 5 つなぎ材 51 下端 52 上端 6 掘削領域 7 締め切り領域 8 比較用斜め土留め壁 81 土留め壁本体 82 控え壁 9 解析モデル 10 不透水層 |