【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本考案はプロジェクター台、作業台として使用出来る傾斜台の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術及びその問題点】傾斜台は天板の傾きを自由な角度に任意に変更出来、設定された傾斜角度を固定し、天板上に載せられるプロジェクター等の重量物を支持するものである。 傾斜台は重量物を任意の傾斜角度で支持できる様に十分な強度を有することが要求される。 しかし、天板裏側の狭い空間に、これ等の機能を有する機構を設けることは困難であった。 【0003】本考案は天板裏側の空間に、天板の傾斜姿勢を係止する機構及び該係止機構を解除し任意の角度を設定出来、然も天板の水平姿勢を簡単に決めることのできる機構を配備した傾斜台を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決する手段】本考案は、フレーム(13)上へ天板(2)を傾動可能に設けた傾斜台に於て、 フレーム(1 3)と天板との間に配置し、シリンダー端(51)をフレームに枢止し、ピストンロッド(52)先端部を天板(2)の裏側へ枢止し、解除ピン(53)をピストンロッド先端から突出し、ピストンロッド(52)の任意長さの突出状態を係止するエアスプリング(5)と、エアスプリング(5)の解除ピン(53)へ接近離間可能に配置された押え板(81)と、天板の回動側の端部に枢止したレバー(3)の一端を該レバー (3)の基端部へ取り付け、他端を前記押え板(81)に取り付けて、レバー(3)の回動により押え板(81)をエアスプリング(5)の解除ピン(53)へ圧接することにより、エアスプリング(5)によるピストンロッド係止作用を解除する手段と、天板(2)を水平位置で軟係止する水平出し機構とによって構成され、水平出し機構は、フレーム(13) に天板(13)の傾動方向と平行に回動可能に爪板(61)を枢支し、該爪板(61)の自由端を天板(2)の裏側に位置する軸(55)に付勢し、爪板(61)には天板(2)の水平位置にて軸(55)が浅く嵌まる凹み(63)が形成されていることを特徴とする。 【0005】 【作用及び効果】エアスプリングによる傾斜台の係止機構はシリンダーから突出するピストン長さが一時的に固定されているから、天板(2)の傾斜角度は保持される。 天板の傾斜角度の変更はレバー(3)を操作することにより解除機構の押え板(81)を傾け、エアスプリングのピン (53)を押込むことによって係止機構はフリーとなる。 【0006】レバー(3)のグリップを握り乍ら、天板 (2)を自由な角度に傾ける。 このとき、エアスプリングのピストンロッド(52)は天板(2)の傾斜に応じて自由に引出し或は押込まれる。 天板(2)の角度を定めた後、レバー(3)のグリップを手放すと押え板(8)はエアスプリングのピン(53)を復帰させ、ピストンロッド(52)の突出長さは固定されるから、天板(2)の傾斜角度はロックされる。 【0007】天板(2)が水平姿勢のときの水平位置決め用軸(55)の位置に対向して凹み(63)が形成されており、 爪板(61)の凹み(63)が軸(55)に嵌まったとき、レバー (3)には手ごたえがある。 この時レバー(3)を手放すと天板(2)の傾きは係止され、水平姿勢が簡単に得られる。 【0008】 【実施例】本考案の傾斜台は、図1に示すとおり台車 (1)上へ突出した固定柱(11)へ昇降マスト(12)を上下動可能に配備し、該昇降マスト(12)の上端から2本のフレーム(13)を平行して一体に突出している。 天板(2)は裏側にブラケット(21)を具え、該ブラケットの側板(22)の端部及びフレーム(13)の先端に軸(23)を貫通して、フレーム(13)の先部へ天板(2)を回動自由に支持している。 【0009】[係止機構] ブラケット(21)の側板(22)には枢軸(55)を貫通し、該枢軸(55)とマスト(12)の上端との間にエアスプリング(5) を配置している。 上記枢軸(55)は後記する水平出し機構の水平位置決め軸を兼用している。 【0010】エアスプリング(5)の端部(51)はマスト(1 2)に枢止し、エアスプリングから突出するピストンロッド(52)の先端にはブラケット(54)を固定して、該ブラケット(54)を前記枢軸(55)へ枢止することにより、シリンダーから突出するピストンロッド(52)の長さを所定長さに設定し、それをロックすることによって、天板(2)の傾き角度の設定及び固定が出来る。 【0011】エアスプリング(5)は図3に示すとおり、 市販物品であって、シリンダー内部にピストン(91)、圧縮ガス(94)、作動流体(92)、リリース弁(96)、フリーピストン(93)を具えている。 ピストン(91)前後の第1室(9 7)と第2室(98)は作動流体(92)(92)が充満し、常時リリース弁(96)がピストン(91)に設けたオリフィス(95)を塞いで作動流体(92)の移動を止めているから、シリンダー内部でピストン位置がロックされ、ピストンロッド(52) の突出長さは変らない。 【0012】ピストンロッド(52)の先端から突出するピン(53)の先端を押圧板(81)によって押圧操作することによりリリース弁(96)はオリフィス(95)を解放して、作動流体はピストン(91)前後の第1室(97)と第2室(98)を自由に流動するから、ピストン(91)はフリーとなり、圧縮ガス(94)の膨張或いはピストンロッド(52)先端を押込むことによってピストン(91)は移動する。 ピン(53)の押圧を解除すると、ピストン(91)の位置はロックされて、ピストンロッド(52)の突出長さを設定できる。 【0013】[解除手段] ピストンロッド先端に一体に固定したブラケット(54)には、エアスプリング(5)のピン(53)に対向して解除手段 (8)が配備されている。 該解除手段(8)は、図2に示す如く、天板(2)の回動側端部に具えたレバー(3)と前記押圧板(81)との間を連繋している。 【0014】天板(2)は回動側端部に貫通孔(25)を介してハンドル(24)を具えており、天板裏面のハンドル側に、レバー(3)の基端を枢軸(31)で枢止し、レバー先端をハンドル(24)側へ延長している。 レバー(3)は図2に示す如く、ブラケット(21)に枢止(34)した揺動板(33) と、レバー(3)基端との間を繋ぎ部材(32)で連結し、該揺動板(33)と解除手段(8)の前記押え板(81)の間を遠隔可撓索(4)によって繋いでいる。 【0015】該遠隔可撓索(4)は外管と内索とからなり、外管の一端(41)は揺動板(33)の近傍においてブラケット(26)に固定し、外管の他端(42)はブラケット(54)上に固定している。 内索の一端(43)を揺動板(33)上の凹所 (35)に係止し、内索の他端(44)を押え板(81)先端に設けた切込み(82)へ係止している。 従って遠隔可撓索(4)は2つのブラケット(26)(54)の間において部材の間を通して自由に屈曲して配置される。 【0016】レバー(3)は枢軸(31)からの繋ぎ部材(32) とグリップの距離比率に応じて引張り力は拡大される。 更に押え板(81)に於ては、押え板をブラケット(54)に取り付けた枢軸(83)に対するピン(53)の先端と切込み(82) の距離比率に応じて押込み力が拡大される。 【0017】[水平出し機構] 平行した2本のフレーム(13)の一方には図4、図5に示す如く枢軸(62)を設けて、爪板(61)の基端を枢止している。 該爪板(61)に対して両端を直角に屈曲したバネ線(6 4)を配備し、該バネ線の一端(65)をフレーム(13)に止め、他端(66)を爪板(61)へ止めて、爪板(61)の当り面(6 7)を水平位置決め軸を兼用する枢軸(55))へ押圧している。 【0018】図5に示す如く、バネ線(64)は両端をフレーム(13)及び爪板(61)に係止すると、その後に組立てられたエアスプリング(5)がバネ線(64)の側方に位置してバネ線(64)の抜け出しを妨げている。 爪板(61)の当り面 (67)には、天板(2)が水平姿勢のときの枢軸(55)の位置に対向して凹み(63)が形成されている。 従ってハンドル (24)とレバー(3)のグリップを掴み乍ら、天板(2)に上向き或いは下向きに力を加えると、エアスプリング(5) 中のリリース弁(96)はピストン(91)のロックを解除して天板(2)は自由に回動する。 【0019】爪板(61)の凹み(63)が枢軸(55)に嵌まったとき、レバー(3)には手ごたえがある。 この時レバー (3)を手放すと天板(2)の傾きは係止され、水平姿勢が得られる。 【0020】[ロック機構] レバー(3)には図1、図6に示す如く断面がL字状のロック駒(7)が回動可能に配備されている。 該ロック駒 (7)の両側の側板(72)には、深い受け穴(73)と2本の浅い位置決め溝(74)(75)が凹設されている。 【0021】レバーの内面には受け穴(73)に嵌まる凸軸 (36)及び位置決め溝(74)(75)に対応する1本の凸条(37) を形成している。 従って、ロック駒(7)は凸軸(36)を受け穴(73)に嵌め、凸条(37)を2つの位置決め溝(74)(75) の何れか一方に嵌める。 ロック駒(7)は、図1の実線に示す如く倒れてレバー(3)をフリーにした状態から、図6の如く起立して止め板(71)を天板(2)の裏側に当ててレバーの回動を阻止するロック位置までの間を、両側板 (72)(72)を弾性変形させて回転できる。 【0022】止め板(71)は凸条(37)が位置決め溝(74)(7 5)に嵌まって回動位置が係止されるから、ロック駒(7) によるレバー(3)のロック状態は保持され、不用意に外れることはない。 従って天板(2)の傾斜角度は、ロック駒(7)を起こすことによってレバー(3)の操作が妨げられ、従って解除機構(8)は作動せず、天板の傾斜を維持出来るのである。 【0023】[他の実施例] 図7は、エアスプリングの解除機構(8)について、他の実施例を示している。 天板(2)のブラケット裏面に押え板(81)の基端を枢止(83)し、レバー(3)の基端と押え板 (81)との間をタイロッド(84)によって連結したものである。 タイロッド(84)は、押え板側の端部に拡大部(87)を具えて、押え板(81)に設けた凹所(63)と係合している。 タイロッド(84)のレバー側の端部は、抜け止め用の横棒 (85)を貫通して、先端にネジ面を形成しており、調整ナット(86)を螺合している。 【0024】図7の実施例は、天板の傾き角度によって、エアスプリング(5)のピン(53)が押え板(81)に当る位置が変り、ピストンロッド(53)の突出長さが最小のとき、即ちシリンダー中の密封ガスが最も圧縮されて、圧力を高めているときは、支点(83)と作用点の長さは、最小となってテコ比が小さい。 【0025】又、天板を傾けてピストンロッドの突出長さが最大のとき、即ちシリンダー中の密封ガスが最も膨張して圧力を低下しているときは、支点と作用点の長さは最大となってテコ比が大きい。 従ってレバー(3)をグリップしてタイロッド(84)を牽く力は、天板の傾き角が変わっても、略一定している。 【0026】本考案は実用新案登録請求の範囲の記載の中で多くの実施変更が出来ることは当然であり、図面及び実施例の記載に限定されないことは勿論である。 【図面の簡単な説明】 【図1】本考案の傾斜台の正面図である。 【図2】天板の係止機構及び解除機構を示す拡大断面図である。 【図3】第2図のエアスプリングを切断した拡大断面図である。 【図4】天板の係止機構及び解除機構を省略し爪板の構成を示す拡大正面図である。 【図5】天板及びブラケットを外したフレーム部分の平面図である。 【図6】レバー及びロック駒を示す斜面図である。 【図7】天板の解除機構の他の実施例の拡大断面図である。 【符号の説明】 (2) 天板 (3) レバー (4) 遠隔操縦索 (5) エアスプリング (7) ロック駒 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−89811(JP,A) 実開 昭56−158833(JP,U) 実開 昭59−36728(JP,U) |