【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、糞尿処理設備に関し、特に、水分含有率が異なる糞尿を処理する糞尿処理設備に関する。 【0002】 【従来の技術】糞尿は、一般には、籾殻、藁、おが屑等の水分調整材と混合後の水分含有率が発酵に適した値になるように混合してから、発酵させて堆肥化処理するが、水分含有率が夫々異なる糞尿を処理する場合、各糞尿毎に、糞尿の水分含有率に応じて水分調整材の混合率を調整する必要がある。 そこで、従来では、水分含有率が夫々異なる糞尿毎に、専用に、水分調整材を供給する水分調整材供給部、及び、受け入れた糞尿と水分調整材供給部から供給される水分調整材とを混合する混合部を設けていた。 そして、各混合部で、糞尿の水分含有率に応じて、水分調整材の混合率を調整して糞尿と水分調整材とを混合するようにしていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来では、水分含有率が夫々異なる糞尿毎に水分調整材供給部及び混合部を設けるため、設備投資額が高くなって糞尿の処理コストが高くなり、改善が望まれていた。 【0004】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水分含有率が異なる糞尿を夫々適性に処理することができながら処理コストを低減し得る糞尿処理設備を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の特徴構成によれば、複数の受入部で、水分含有率が異なる糞尿が水分含有率毎に受け入れられ、各受入部から供給される糞尿と水分調整材供給部から供給される水分調整材とが、それら複数の受入部に対して共通の混合部において、各受入部にて受け入れられた糞尿毎に、糞尿と水分調整材との混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、糞尿の水分含有率に応じて水分調整材の混合率が調整されて、糞尿と水分調整材とが混合される。 従って、水分含有率が異なる糞尿毎に、発酵に適した水分含有率になるように水分調整材を混合して、適正に処理することができる。 しかも、混合部としては、複数の受入部に対して共通に一つだけ設けるだけでよく、水分調整材供給部は、複数の受入部毎に設けてもよいが、複数の受入部に対して共通に一つだけ設けることもできるので、設備価格を低減することができる。 その結果、水分含有率が異なる糞尿を夫々適正に処理することができながら処理コストを低減することができるようになった。 【0006】請求項2に記載の特徴構成によれば、固液分離部にて、受入部から供給される糞尿が固分と液分とに分離され、そのように液分が分離された固分が混合部に供給されて水分調整材と混合される。 つまり、水分含有率が高い糞尿を、その儘の状態で発酵に適した水分含有率になるように水分調整材と混合して処理するようにすると、水分調整材の量が多く必要になって材料費が高くなるとともに、処理すべき糞尿と水分調整材との混合物の量も多くなり、処理効率が低下する欠点がある。 従って、複数の受入部で受け入れる水分含有率が夫々異なる糞尿の中に、水分含有率が高いものが含まれていても、その水分含有率が高い糞尿を少ない水分調整材の量で効率よく処理することができるので、更に処理コストを低減することができるようになった。 【0007】請求項3に記載の特徴構成によれば、混合部において、糞尿と水分調整材とが混合後の水分含有率のバラツキが少なくなるように均一に混合され、そのように均一に混合された混合物が、更に、発酵促進部において加圧状態で混練並びに粉砕されて、摩擦及び圧縮により昇温して発酵が促進される。 そして、そのように細かく粉砕されるとともに昇温して発酵が促進した加圧混練物を発酵処理するので、全体に満遍なく速やかに発酵を進めて、堆肥化することができる。 従って、堆肥化処理に要する時間を短縮することができるので、更に処理コストを低減することができるようになった。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。 図1ないし図3に示すように、 糞尿処理設備は、乳牛糞尿を受け入れる乳牛糞尿用共用ピット7と、肉牛糞尿を受け入れる肉牛糞尿用ホッパ装置1と、鶏糞を受け入れる鶏糞用ホッパ装置2を設けてある。 乳牛糞尿、肉牛糞尿及び鶏糞は夫々水分含有率が異なり、乳牛糞尿用共用ピット7、肉牛糞尿用ホッパ装置1及び鶏糞用ホッパ装置2は、受け入れる糞尿の水分含有率が夫々異なる複数の受入部Aに相当する。 【0009】複数の酪農農家夫々には、乳牛から排泄された糞尿が自然流下式に貯留される回収用ピット4を設けてある。 それら複数の回収用ピット4夫々から、乳牛糞尿が糞尿搬送ポンプ6によってパイプライン5を通じて乳牛糞尿用共用ピット7にまで搬送されて貯留される。 肉牛糞尿用ホッパ装置1や鶏糞用ホッパ装置2では、トラック等で搬送されてきた糞尿を受け入れる。 【0010】乳牛糞尿用共用ピット7、肉牛糞尿用ホッパ装置1及び鶏糞用ホッパ装置2夫々から供給される糞尿と、水分調整材供給部としての籾殻供給部Dから供給される水分調整材としての籾殻とを混合する混合部としての混合装置10を、乳牛糞尿用共用ピット7、肉牛糞尿用ホッパ装置1及び鶏糞用ホッパ装置2に対して共通に一つ設けてある。 そして、その共通の混合装置10において、乳牛糞尿用共用ピット7、肉牛糞尿用ホッパ装置1及び鶏糞用ホッパ装置2夫々に受入られた糞尿毎に、糞尿と籾殻との混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、糞尿の水分含有率に応じて籾殻の混合率を調整して、糞尿と籾殻とを混合するように構成してある。 【0011】更に、乳牛糞尿用共用ピット7に対して、 その乳牛糞尿用共用ピット7に受け入れられた乳牛糞尿を固分と液分に分離する固液分離部Bを設けてあり、その固液分離部Bで分離された固分を籾殻と混合させるべく混合装置10に供給するように構成してある。 【0012】更に、混合装置10で混合された混合物を加圧状態で混練並びに粉砕する発酵促進部としての加圧混練装置11と、その加圧混練装置11で処理された加圧混練物を堆積する堆積場12とを設けてあり、その堆積場12において、堆積状態にある加圧混練物を発酵させて堆肥化する。 更に、固液分離部Bにて分離された液分を浄化処理する液状排泄物浄化装置3を設けてある。 【0013】かかる糞尿処理設備を設置する堆肥化処理施設には、建屋内を、納入される籾殻を貯蔵する籾殻貯蔵庫R1、堆肥製造機器室R2、鶏糞・肉牛糞尿荷受け室R3、堆肥堆積室R4に区画してある。 堆肥製造機器室R2には乳牛糞尿受入ピット7、液状排泄物浄化装置3、固液分離部B、籾殻供給部D、混合装置10及び加圧混練装置11を設置してある。 鶏糞・肉牛糞尿荷受け室R3には、肉牛糞尿用ホッパ装置1及び鶏糞用ホッパ装置2を設置してある。 又、堆肥堆積室R4には、堆積場12を設置してある。 【0014】パイプライン5には、呼び水用三方弁13 を介して吸引用管路14を接続し、その吸引用管路14 の接続箇所よりも下流側に、循環用三方弁15を介して戻し用管路16を夫々接続してある。 更に、エジェクタポンプ17を吸引用管路14に吸引作用するように設けてある。 つまり、回収用ピット4から乳牛糞尿用共用ピット7への乳牛糞尿の搬送開始時には、呼び水用三方弁13を吸引用管路14に連通する側に切り換えて、エジェクタポンプ17を作動させることにより、パイプライン5内に糞尿搬送ポンプ6の介装箇所にまで乳牛糞尿を満たす、所謂、呼び水運転を行い、糞尿搬送ポンプ6によりスムーズに乳牛糞尿を搬送できるようにしてある。 又、乳牛糞尿の搬送が終了すると、エジェクタポンプ1 7によって、パイプライン5内に水を圧送して、管路内や弁を洗浄する洗浄運転を行う。 又、乳牛糞尿の搬送前に、呼び水用三方弁13をパイプライン5に連通する側に切り換え、循環用三方弁15を戻し用管路16に連通する側に切り換えて、一定時間の間、糞尿搬送ポンプ6 を作動させることにより、糞尿搬送ポンプ6にて送られる乳牛糞尿を戻し用管路16を通じて回収用ピット4に戻して乳牛糞尿を循環させる糞尿循環運転を行い、乳牛糞尿の性状を均一化する。 【0015】固液分離部Bは、遠心力によって固液分離を行う遠心式固液分離装置8と、加圧力により固液分離する加圧式固液分離装置9を備えて構成してある。 乳牛糞尿用共用ピット7には、乳牛糞尿の貯留レベルが上限になったことを上限センサ18と、下限になったことを検出する下限センサ19を設けてある。 乳牛糞尿用共用ピット7内に原材供給ポンプ20を設けるとともに、その原材供給ポンプ20によって乳牛糞尿用共用ピット7 内の乳牛糞尿を遠心式固液分離装置8を経由して、加圧式固液分離装置9に供給するように、原材供給管路21 を設けてある。 又、加圧式固液分離装置9をオーバーフローした乳牛糞尿を乳牛糞尿用共用ピット7に戻す原材戻し管路22を設けてある。 更に、原材供給管路21における遠心式固液分離装置8よりも上流側には、乳牛糞尿を遠心式固液分離装置8及び加圧式固液分離装置9を通過させずに直接に混合装置10における混合対象材料受け入れ用の受入ホッパ10aに供給するバイパス路2 4を、切り換え弁23を介して接続してある。 【0016】原材供給管路21における切り換え弁23 よりも上流側には、乳牛糞尿の処理量を計量する計量装置25を介装してある。 遠心式固液分離装置8にて分離された液分は、液分供給管路26を通じて加圧式固液分離装置9の液分貯留槽9dに送り、液分貯留槽9d内の液分は、液分貯留槽9d内に設けた液分供給ポンプ27 により液分供給管路28を通じて液状排泄物浄化装置3 に供給する。 遠心式固液分離装置8及び加圧式固液分離装置9の上方には、それらから放出される臭気を捕捉する防臭カバー29を設け、その防臭カバー29にて捕捉した臭気を防臭ファン30にて脱臭装置31に送り、脱臭処理するようにしてある。 【0017】遠心式固液分離装置8について説明を加えると、遠心式固液分離装置8は、原材供給管路21から供給される乳牛糞尿に遠心力を与えて液分を分離し、分離した液分は液分供給管路26に流入し、液分が分離された乳牛糞尿を原材供給管路21に送出するように構成してある。 【0018】加圧式固液分離装置9について説明を加える。 加圧式固液分離装置9は、遠心式固液分離装置8にて液分が分離された乳牛糞尿が原材供給管路21を通じて供給される受入ホッパ9aと、先細り形状を有し、その大径端部に受入ホッパ9aから乳牛糞尿が供給される多孔状円筒体9bと、その多孔状円筒体9b内に回転駆動自在に設けられたスクリュー9cと、多孔状円筒体9 bから流出する液分を受ける液分貯留槽9d等を備えて構成してある。 そして、受入ホッパ9aから多孔状円筒体9bの大径端部に供給された乳牛糞尿をスクリュー9 cにて加圧して液分を分離しながら小径端部側に送って、小径端部から液分が分離された固分を排出するように構成してある。 加圧式固液分離装置9から排出された固分は、固分用ベルトコンベア32にて混合装置10の受入ホッパ10aに供給される。 【0019】液状排泄物浄化装置3について説明を加える。 液状排泄物浄化装置3は、固液分離部Bにて分離された液分(液状排泄物)が液分供給管路28を通じて供給される脱窒槽3aと、その脱窒槽3aからオーバーフロー状態で液が流入する硝化槽3bと、その硝化槽3b 内の液中に浸漬する状態で設けられた濾過体3c等を備えて構成してある。 脱窒槽3aにおいては、脱窒素菌によって液状排泄物が脱窒され、硝化槽3bにおいては、 液状排泄物中の窒素化合物が硝化菌の酸化作用によって硝酸化合物や亜硝酸化合物に分解される。 更に、硝化槽3bにおいて、吸引ポンプ3dにより槽内の液が濾過体3cを通して吸引され、吸引された液は、その後、凝集沈澱による汚泥除去処理や、塩素殺菌処理等の処理が施された後、圃場に散布されたり放流されたりする。 【0020】籾殻供給部Dについて説明を加える。 籾殻貯蔵庫R1における籾殻堆積箇所の下方には、ピット3 3を形成するとともに、そのピット33内に、籾殻を流下案内するホッパ34を設けてある。 籾殻供給部Dは、 ホッパ34から排出される籾殻を受けて搬送するスクリューコンベア35と、そのスクリューコンベア35から排出される籾殻を籾殻搬送ダクト36を通じて流動搬送するブロア37と、籾殻搬送ダクト36を通じて供給される籾殻を受け入れて排出量を調節自在に排出する籾殻用ホッパ装置38と、その籾殻用ホッパ装置38から排出される籾殻を受けて搬送して、混合装置10の受入ホッパ10aに供給する籾殻用スクリューコンベア39等を備えて構成してある。 籾殻用ホッパ装置38は、籾殻搬送ダクト36を通じて供給される籾殻を貯留するホッパ38aと、そのホッパ38aの底部に設けられて、ホッパ38a内の籾殻を排出するスクリュー38bと、そのスクリュー38bを回転駆動する電動モータ38c等を備えて構成してある。 【0021】籾殻用スクリューコンベア39を駆動する電動モータ39aは、インバータ制御によって回転速度を調節自在に構成してあり、電動モータ39aの回転速度を調節することにより、籾殻用スクリューコンベア3 9の単位時間当たりの搬送量、換言すれば、混合装置1 0への単位時間当たりの籾殻供給量を調節するように構成してある。 【0022】肉牛糞尿用ホッパ装置1は、籾殻用ホッパ装置38と同様の構成であり、ホッパ1a、スクリュー1b及び電動モータ1c等を備えて構成し、鶏糞用ホッパ装置2も、同様に、ホッパ2a、スクリュー2b及び電動モータ2c等を備えて構成してある。 肉牛糞尿用ホッパ装置1から排出された肉牛糞尿、及び、鶏糞用ホッパ装置2から排出された鶏糞は、異物分離装置40にて異物が除去された後、肉牛・鶏糞用スクリューコンベア41にて搬送されて混合装置10の受入ホッパ10aに供給される。 図中、41aは肉牛・鶏糞用スクリューコンベア41を駆動する電動モータである。 【0023】混合装置10について説明を加えると、混合装置10は、混合対象材料が供給される受入ホッパ1 0aと、その受入ホッパ10a内に回転駆動自在に設けられて混合対象物を混合する一対の羽根体10bと、ホッパ10aの底部に設けられて一対の羽根体10bにて混合された混合物を排出するスクリュー10c等を備えて構成してある。 図中、10dはスクリュー10cを回転駆動する電動モータである。 混合装置10の受入ホッパ10aに対する、加圧式固液分離装置9からの乳牛糞尿の固分の供給、バイパス路24からの乳牛糞尿原液の供給、肉牛・鶏糞用スクリューコンベア41からの肉牛糞尿の供給、及び、肉牛・鶏糞用スクリューコンベア4 1からの鶏糞の供給は、夫々各別に行われるように構成してある。 そして、夫々の供給毎に、糞尿と籾殻との混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、各糞尿の混合装置10への単位時間当たりの供給量を一定に維持する状態で、供給する糞尿の水分含有率に応じて、 籾殻用スクリューコンベア39の電動モータ39aの回転速度を調節して、籾殻の混合率を調整する。 例えば、 乳牛糞尿の水分含有率は85〜95%程度、肉牛糞尿の水分含有率は75〜80%程度であり、夫々を籾殻と混合した混合物の水分含有率が60〜70%、望ましくは65%程度になるように、籾殻の混合率を調整する。 【0024】加圧混練装置11について説明を加える。 加圧混練装置11は、混合装置10から排出される混合物を受け入れる受入ホッパ11aと、その受入ホッパ1 1aから一端部に混合物が供給され且つ他端側に排出口11bを備えた円筒体11cと、その円筒体11c内に回転駆動自在に設けられた回転軸体11dと、その回転軸体11dにおける受入ホッパ11a側に取り付けられた螺旋状羽根11eと、その回転軸体11cにおける排出口11b側に軸芯方向に間隔を隔てて取り付けられた複数の回転歯11fと、軸芯方向にその回転歯11fとは異なる位相で円筒体11cにその内方に突出する状態で取り付けられた複数の固定歯11g等を備えて構成してある。 図中の11hは、回転軸体11dを回転駆動する電動モータである。 つまり、回転軸体11dを回転駆動することにより、受入ホッパ11aから円筒体11c の一端側に供給された混合物を、螺旋状羽根11eによって排出口11b側に送りながら、螺旋状羽根11eの搬送力と固定歯11gによる抵抗付与によって加圧し、 そのような加圧状態で、回転歯11f及び固定歯11g によって混練並びに粉砕して、排出口11bから排出するように構成してある。 排出口11bから排出された加圧混練物は、加圧混練物用スクリューコンベア42にて搬送されて、その終端から堆積場12に落下し、そこに堆積される。 【0025】排出口11bから排出された加圧混練物は、圧縮熱及び摩擦熱により温度が上昇して発酵が促進されており、堆積場12における堆積状態で更に発酵が進み、堆肥化する。 【0026】次に、上述のように構成した糞尿処理設備を運転する手順について説明する。 複数の酪農農家に対して、予め、回収用ピット4から乳牛糞尿用共用ピット7へ乳牛糞尿の搬送する時間帯を所定の順に設定してあり、乳牛糞尿用共用ピット7への乳牛糞尿の搬送は複数の酪農農家で順番に一定の時間ずつ行うようになっている。 乳牛糞尿の搬送中に、乳牛糞尿用共用ピット7の上限センサ18により貯留レベルが上限になったことが検出されると、糞尿搬送ポンプ6が一定時間の間(例えば、1時間)停止して、搬送が中断される。 尚、各酪農農家の回収用ピット4から乳牛糞尿用共用ピット7への乳牛糞尿の搬送の指令、前記呼び水運転及び洗浄運転の指令は、糞尿処理設備を設置してある堆肥化処理施設側で行うようにしてあり、各酪農農家では、夫々に設置してある操作盤によって、前記糞尿循環運転を指令できるようになっている。 【0027】乳牛糞尿用共用ピット7内の乳牛糞尿の堆肥化処理、肉牛糞尿用ホッパ装置1にて受け入れた肉牛糞尿の堆肥化処理、及び、鶏糞用ホッパ装置2にて受け入れた鶏糞の堆肥化処理の各堆肥化処理に対応させて各堆肥化処理の指令スイッチを設けてあり、それらの指令スイッチにより各堆肥化処理を各別に実行するようになっている。 乳牛糞尿の堆肥化処理を指令すると、乳牛糞尿用共用ピット7の下限センサ19により貯留レベルが下限以上で有ることが検出される状態で、原材供給ポンプ20が作動され、並びに、固液分離部B、液分供給ポンプ27、固分用ベルトコンベア32、籾殻供給部D、 混合装置10、加圧混練装置11及び加圧混練物用スクリューコンベア42が作動される。 乳牛糞尿用共用ピット7の下限センサ19により貯留レベルが下限より低いことが検出されると、貯留レベルが下限以上であることが検出されるまで、一時、原材供給ポンプ20が停止される。 尚、液状排泄物浄化装置3は、肉牛糞尿の堆肥化処理の指令の有無に係わらず、個別に運転の開始並びに停止が可能になっている。 【0028】従って、乳牛糞尿用共用ピット7内の乳牛糞尿が固液分離部Bに供給されて固液分離され、分離された固分が混合装置10に供給され、並びに、籾殻が混合装置10に供給され、更に、混合装置10で混合された乳牛糞尿の固分と籾殻の混合物が加圧混練装置11に供給されて加圧混練され、その加圧混練物が堆積場12 に堆積される。 その際、混合装置10で混合される混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、乳牛糞尿の固分の水分含有率に応じて、籾殻用スクリューコンベア39の電動モータ39aの回転速度を調節して、籾殻の混合率を調整する。 又、固液分離部Bにて分離された液分は、液状排泄物浄化装置3に供給されて浄化処理される。 【0029】尚、液状排泄物浄化装置3に供給される液分の供給量が液状排泄物浄化装置3の処理能力を越える場合は、切り換え弁23をバイパス路24側に切り換えて、乳牛糞尿用共用ピット7内の乳牛糞尿を固液分離部Bを通過させずに原液の儘で混合装置10に供給する。 その場合、混合装置10で混合される混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、乳牛糞尿の原液の水分含有率に応じて、籾殻用スクリューコンベア39の電動モータ39aの回転速度を調節して、籾殻の混合率を調整する。 【0030】肉牛糞尿の堆肥化処理を指令すると、肉牛糞尿用ホッパ装置1、異物分離装置40、肉牛・鶏糞用スクリューコンベア41、籾殻供給部D、混合装置1 0、加圧混練装置11及び加圧混練物用スクリューコンベア42が作動される。 従って、肉牛糞尿用ホッパ装置1内の肉牛糞尿、及び、籾殻が混合装置10に供給されて混合され、更に、その肉牛糞尿と籾殻の混合物が加圧混練装置11に供給されて加圧混練され、その加圧混練物が堆積場12に堆積される。 その際、混合装置10で混合される混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、肉牛糞尿の水分含有率に応じて、籾殻用スクリューコンベア39の電動モータ39aの回転速度を調節して、籾殻の混合率を調整する。 【0031】鶏糞の堆肥化処理を指令すると、鶏糞用ホッパ装置2、異物分離装置40、肉牛・鶏糞用スクリューコンベア41、籾殻供給部D、混合装置10、加圧混練装置11及び加圧混練物用スクリューコンベア42が作動される。 従って、鶏糞用ホッパ装置2内の鶏糞、及び、籾殻が混合装置10に供給されて混合され、更に、 その鶏糞と籾殻との混合物が加圧混練装置11に供給されて加圧混練され、その加圧混練物が堆積場12に堆積される。 その際、混合装置10で混合される混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように、鶏糞の水分含有率に応じて、籾殻用スクリューコンベア39の電動モータ39aの回転速度を調節して、籾殻の混合率を調整する。 【0032】〔別実施形態〕次に別実施形態を説明する。 (イ) 上記の実施形態においては、各酪農農家で生じる糞尿を集合させて堆肥化処理する堆肥化処理施設に糞尿処理設備を設置し、各農家から、その堆肥化処理施設に設置した乳牛糞尿用共用ピット7、肉牛糞尿用ホッパ装置1及び鶏糞用ホッパ装置2に糞尿を納入する場合について例示した。 これに代えて、各酪農農家で、乳牛、 肉牛、鶏等を飼育していて、水分含有率の異なる糞尿を処理する場合には、回収用ピット4、肉牛糞尿用ホッパ装置1、鶏糞用ホッパ装置2等の受け入れる糞尿の水分含有率が夫々異なる複数の受入部Aを設置することになる。 尚、その場合は、乳牛糞尿用共用ピット7、パイプライン5及び糞尿搬送ポンプ6は設ける必要がなく、回収用ピット4内の糞尿を原材供給ポンプ20によって原材供給管路21を通じて固液分離部Bに供給することになる。 【0033】(ロ) 上記の実施形態において回収用ピット4の設置数は、適宜設定することができる。 又、1 軒の酪農農家当たり、複数の回収用ピット4を設置してもよい。 【0034】(ハ) 混合装置10において、各種糞尿と籾殻とを混合する際の籾殻の混合率を調整するための具体構成は、上記の実施形態において例示した構成に限定されるものではない。 例えば、籾殻用ホッパ装置38 のスクリュー38bを回転駆動する電動モータ38cをインバータ制御によって回転速度を調節自在に構成し、 籾殻用スクリューコンベア39を一定速度で作動させる状態で、電動モータ38cの回転速度を調節することにより、籾殻用ホッパ装置38からの籾殻排出量を調節して、混合装置10への単位時間当たりの籾殻供給量を調節するように構成してもよい。 【0035】あるいは、籾殻の混合率を調整する構成としては、混合装置10に対する各糞尿の単位時間当たりの供給量を一定に維持する状態で、籾殻の単位時間当たりの供給量を調整する構成に代えて、混合装置10に対する籾殻の単位時間当たりの供給量を一定に維持する状態で、各糞尿の単位時間当たりの供給量を調整する構成でもよい。 この場合、乳牛糞尿の供給量を調整するように構成する場合は、例えば、原材供給ポンプ20をインバータ制御によって吐出量を調整自在に構成することができる。 肉牛糞尿の供給量を調整するように構成する場合は、例えば、肉牛糞尿用ホッパ装置1のスクリュー1 bを駆動する電動モータ1cをインバータ制御によって回転速度を調節自在に構成して、その回転速度の調整により肉牛糞尿用ホッパ装置1からの排出量を調整自在に構成することができる。 鶏糞の供給量を調整するように構成する場合は、例えば、鶏糞用ホッパ装置2のスクリュー2bを駆動する電動モータ2cをインバータ制御によって回転速度を調節自在に構成して、その回転速度の調整により鶏糞用ホッパ装置2からの排出量を調整自在に構成することができる。 【0036】(ニ) 混合装置10に供給される各糞尿の供給量を各別に検出する糞尿供給量検出センサ、及び、混合装置10に供給される籾殻の供給量を検出する籾殻供給量検出センサを設け、それら糞尿供給量検出センサ及び籾殻供給量検出センサの検出情報に基づいて、 混合物の水分含有率を発酵に適した値にすべく各糞尿の水分含有率に応じて設定した籾殻の混合率になるように、籾殻の混合率を自動調整するように構成してもよい。 この場合、混合物の水分含有率の調整精度を一層向上することができるとともに省力化を図ることができる。 【0037】更に、混合装置10に供給される各糞尿の水分含有率を各別に検出する水分センサを設け、それら水分センサの検出情報に基づいて、混合物の水分含有率が発酵に適した値になるように籾殻の混合率を自動的に設定して、そのように設定した混合率になるように、籾殻の混合率を自動調整するように構成してもよい。 この場合、混合物の水分含有率の調整精度を更に向上することができる。 【0038】(ホ) 固液分離部Bの具体構成は、上記の実施形態において例示した構成に限定されるものではない。 例えば、遠心式固液分離装置8のみで構成してもよいし、加圧式固液分離装置9のみで構成してもよい。 あるいは、その他の構成の固液分離装置にて構成してもよい。 (ヘ) 上記の実施形態において、加圧混練装置11を省略して、混合装置10にて混合した混合物をその儘堆積場12に堆積するように構成してもよい。 【0039】(ト) 上記の実施形態では、酪農農家で生じた糞尿をパイプライン5を通じて糞尿搬送ポンプ6 にて乳牛糞尿用共用ピット7に搬送する場合について例示したが、パイプライン5及び糞尿搬送ポンプ6を省略して、酪農農家で生じた糞尿をトラック等で乳牛糞尿用共用ピット7に搬送するようにしてもよい。 (チ) 上記の実施形態においては、受け入れる糞尿の水分含有率が夫々異なる複数の受入部Aとして、乳牛糞尿を受け入れる乳牛糞尿用共用ピット7と、肉牛糞尿を受け入れる肉牛糞尿用ホッパ装置1と、鶏糞を受け入れる鶏糞用ホッパ装置2を設ける場合について例示したが、それらのうちのいずれか一つを省略してもよい。 又、乳牛、肉牛、鶏以外の家畜の糞尿を受け入れる受入部を設けてもよい。 【0040】(リ) 水分調整材としては、籾殻に限定されるものではなく、藁、草、おが屑等の種々のセルロースを含有した材料を使用することが可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】糞尿処理設備の全体の概略構成を示すブロック図 【図2】糞尿処理設備において自然流下式で貯留される乳牛糞尿を処理する部分の構成を主に示す図 【図3】糞尿処理設備において水分含有率が夫々異なる乳牛糞尿、肉牛糞尿及び鶏糞を処理する部分の構成を主に示す図 【符号の説明】 10 混合部 11 発酵促進部 A 受入部 B 固液分離部 D 水分調整材供給部 |