【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、主として紙製文化遺産の中の、洋紙製の古文書、絵図、和本、経本、巻物、絵画、ポスター、写真等(以下、洋紙製書画等という)の毀損部分を修復する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】洋紙製書画等の修復には、虫食い、ヒビ割れ、破れ、老化等の毀損部分が判別できないようにする修復或は毀損部分の修復箇所が判別できるようにする修復を目的とした毀損修復と、毀損修復した後または修復することなく補筆、補彩を施す美術修復とがあるが、 いずれの場合も、先人たちが残した貴重な紙製書画等の、歴史的、美術的、宗教的、実用的な感動と感触を後世に残すことを目的とするものであり、その修復のニーズは、和紙、洋紙を問わず、日本国内はもとより世界各国において極めて高いものである。 【0003】従来、ベース材まで毀損されている洋紙製書画等の一般的な修復方法として、誰もが思い浮かべるのは裏打ち手段であり、洋紙製書画等の修復手段として一般的に実施されているのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが前記裏打ち手段により修復処理した洋紙製書画等は、裏打ち材料がどんなに薄い紙であっても、二枚の紙を貼り合わせた構成となることから、修復前の厚みより厚くなる。 また、毀損部分が修復対象紙の紙厚分だけ凹んだ状態となることから、制作された当時の形態とは異なったものとなる。 したがって、修復処理した洋紙製書画等は、一枚々々の厚みが厚くなるはもちろん、画帳のように製本した場合においても、その厚みにおいても元の形態に戻すことは不可能であり、また凹み部分から早期に毀損が始まり易く、良好な耐久性、取扱性を確保できない。 【0005】また修復対象書画等が酸性紙である場合には、裏打ち手段により修復処理をしても、修復対象紙部分の酸化、老化等を止め難く、修復後処理後においても早期に酸化、老化が進行し再修復の必要性が到来する。 そして再修復、再々修復等の場合には、裏打ち紙を剥さないと増々厚くなることから、その都度裏打ち紙を剥す必要がある。 しかし、この裏打ち紙を剥す作業は、繊維相互の絡みの少ない洋紙製の修復対象書画等においては、修復対象書画等を毀損することなく剥すために経験と高い熟練技術がなければ極めて困難である。 しかも修復対象書画等の老化等の度合いによる経時的色彩変化を補うことができないことから修復価値も半減し、また修復処理の繰り返しは、文化遺産たる洋紙製書画等の質的価値を定価させる結果となることから好ましくない。 【0006】本願発明は、上記従来の問題点を解決するものであって、修復前の厚みを確保するとともに、修復後の耐久性を向上し、その後の修復においても熟練を要することなく修復が可能であり、しかも、酸化、老化等の度合いによる経時的色彩変化及び脆弱化を補うことができるところの洋紙製書画等の修復方法を提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る洋紙製書画等の修復方法は、上記従来の修復手段の問題点を解決するものであって、楮、三椏等の和紙用原料及び/又は木材パルプ、化学パルプ等からなる洋紙用原料若しくはこれと、古紙パルプ(ぼろパルプを含む)等の補助原料を pH6〜8程度とした水に溶解して手漉き可能状態とするとともに、黄蜀葵根の粘液に代表される粘着剤を添加混合して修復用原料液を収容した漉き容器を準備する修復準備第一工程に続いて、 1 全体を水に濡らした一方向の可撓性と濾過機能を有する濾過シート状部材を漉き枠に嵌める。 2 濾過シート状部材の上に、絵絹(紗)に代表される生地又はこれと同等程度の柔軟性及び通水性を具備した漉きシート材を重ねて湿らせ又は水に浸漬して濡らした漉きシート材を、しわが形成されないように重ね、若しくは重ねてから皺の無い状態とする。 3 漉きシート材上に、片面印刷又は片面手書きの場合には印刷面を漉きシート材面に対面させて修復対象紙を重ね、刷毛または霧吹き等の手段によって修復対象紙に湿りを与えるとともに皺の無い状態とする、一連の修復準備第二工程を実施する。 4 次に前記1乃至3の修復準備第二工程の後、前記修復準備第一工程において準備された漉き容器内の修復用原料液内へ、前記修復準備第二工程において準備した漉き枠を浸漬して漉き作業を行い、修復対象紙の毀損部分に修復用原料液中の修復用繊維を平滑に充填する。 5 漉き作業の終了後、漉き枠を取り出して水切りと乾燥を行い、生乾き状態となった段階で、漉きシート材と修復対象紙とが積層状態に密着した濾過シート状部材を漉き枠から取り出し、修復対象紙上に押圧用紙を重ねて皺の無い状態とする仕上げ作業を行う。 6 次いで濾過シート状部材だけを外して、修復対象紙が漉きシート材と押圧用紙とでサンドイッチ状になった積層体を平滑面に張着して乾燥させる。 7 乾燥した積層体から、漉きシート材と押圧用紙のいずれかを除去する。 8 そして、漉きシート材と押圧用紙のいずれか一方を除去した積層体全体に湿りを付与し、修復対象紙の毀損境界部分を重点的に略中性の表装用糊または黄蜀葵根の粘液に代表される粘着剤を塗布する。 9 続いて積層体から除去した漉きシート材又は押圧用紙のいずれかを、再度修復対象紙上に重ねて再び湿らせ、両面のそれぞれを皺の無い状態とする最終仕上げ作業を行う。 10 これを再び平滑面に張着して乾燥させた後、修復対象紙を含む積層体から漉きシート材と押圧用紙を除去する。 ところの各工程及び作業を順次実施することを特徴とするものである。 【0008】また上記方法の修復準備第一工程において、pH6〜8程度とした水として蒸留水又はイオン水を使用し、修復対象紙の色彩に対応する着色剤を、修復用原料液に添加混合し、修復後の修復対象紙の酸化、老化等による脆弱化に対する耐久性と、経時的色彩変化の抑制効果を良好とすることを特徴する上記一連の洋紙製書画等の修復方法である。 【0009】さらに前記方法において、乾燥した積層体から、漉きシート材と押圧用紙の両方を除去する際に、 修復対象紙の紙質に応じて、該修復対象紙の毀損部分及び周囲に連続する和紙の輪郭部分を重点的に、霧吹き等の手段で極僅かに湿りを与えて柔軟性と剥離性を良好とする剥離破損防止手段を実施する場合もある。 【0010】 【発明の効果】本発明によれば、楮、三椏、雁皮等の和紙用原料及び/又は木材パルプ、化学パルプ等からなる洋紙用原料若しくはこれと、古紙パルプ等の補助原料を水に溶解して手漉き可能状態とするとともに、黄蜀葵根の粘液に代表される粘着剤を添加混合した漉き容器内の修復用原料液に、水に濡らした濾過シート状部材上に漉きシート材を重ね、さらに漉きシート材上に修復対象紙を順次重ねた後、漉き容器の修復用原料液内へ漉き枠を浸漬して漉き上げ作業を行うことによって、修復対象紙の虫食い孔、破損部分、脆弱による穴部分及び脆弱通水部分等の毀損部分では修復用原料液の水分が通過し、修復用原料液中の修復用繊維が漉きシート材で漉されて毀損部分を塞ぎ、他の修復を必要としない部分では修復用繊維が残存することなく流下し、僅かに中性の水分が吸収されるようになって中性紙化され、修復処理後の酸化脆弱化を抑制して耐久性を向上させることができるとともに、片面印刷又は両面印刷等の表示面を阻害することなく、また厚みに変化を与えることなく平滑に洋紙製修復対象紙の修復をすることができる。 【0011】また塞がれた毀損部分の修復用繊維は、修復用原料液中に混合されている粘着材の作用と、前記修復用繊維と毀損部分等の周囲の短い毛羽立ち状繊維との絡合作用とによって仮連結接着状態となり、また漉き上げ作業終了の後、そのまま漉き容器から取り出して水切りを行い、生乾き状態において、漉き枠から濾過シート状部材ごと修復対象紙を取り出し、その上に押圧用紙を重ねて刷子等で滑らかに押圧することにより、毀損部分に透き間等を形成することなく平滑且つ完全に塞ぐようになって優れた修復状態となる。 【0012】しかも、漉き作業の終了後から最終無皺仕上げまでの作業の間に、漉きシート材と押圧用紙とのいずれかを除去して積層体全体に湿りを付与し、修復対象紙の毀損部分を重点的に表装用糊または黄蜀葵根の粘液に代表される粘着剤を塗布することによって、毀損境界部分の繊維絡合強度を補強し、修復後の耐久性を向上させることができる。 【0013】そして、漉き枠から濾過シート状部材と一緒に修復対象紙を取り出して、各種の作業を継続し、最終段階において、修復対象紙から漉きシート材と押圧用紙を外す作業を実施することから、修復対象紙の取扱いが容易となり、水切り直後に修復対象紙のみを取り出し乾燥する場合に生じる破れ等の、修復後の洋紙製書画等の損傷を解消することができる。 【0014】また濾過シート状部材と一緒に修復対象紙を取り出した段階から、漉き枠は別の修復作業に使用することができることから、漉き枠の使用サイクルが短縮されて数少ない漉き枠を有効に利用することができ経済的であるとともに、修復作業が迅速でしかも熟練を要することなく行え、確実な修復をすることができることから、修復コストも安価となる。 【0015】また修復準備第一工程において、pH6〜8 程度とした水、または蒸留水、イオン水等の中性の水を使用し、修復対象紙の色彩に対応する着色剤を、修復用原料液に添加混合することによって、修復処理後の洋紙製書画等を中性紙化して、酸化、老化等による脆弱化に対する耐久性と、経時的色彩変化の抑制効果を一段と良好にし、修復処理部分とそれ以外の部分の差異による目立ちを軽減することができる。 【0016】従って本発明に係る洋紙製書画等の修復方法によれば、従来の問題点であり又課題であった、洋紙製書画等の修復対象紙を、修復前の厚みに維持するとともに、修復処理後の耐久性を向上し、その後の修復処理においても熟練を要することなく修復処理が可能であり、しかも、中性紙化によって酸化、老化等を抑制し、 また酸化等の度合いによる経時的色彩変化及び脆弱化を遅延させることができるようになり、日本国内はもとより世界各国において極めて高い修復のニーズに応えることができる、極めて有益な洋紙製書画等の修復方法を提供することができる。 【0017】また毀損部分を修復した後の補筆、補彩を施す美術修復も容易となり、先人たちが残した貴重な、 絵図、絵画、ポスター、写真等の先人たちが残した貴重な紙製書画等の、歴史的、美術的、宗教的、実用的な感動と感触を末永く後世に残すことができる。 【0018】 【発明の実施の形態】及び 【実施例】以下、本発明に係る洋紙製書画等の修復方法の実施例を、図1に示した修復方法の実施に使用する道具及び修復対象紙の毀損状態の一例を示す斜視簡略図を参考とし、且つその修復対象紙が、洋紙の片面に図柄が描かれたものであって、虫食い孔、老化破損穴、脆弱化部分、脆弱化破損穴が存在する30×40cmで紙厚0. 3mmのポスターである場合について説明する。 【0019】まず、120リットルの蒸留水に、洋紙用パルプ原料と三椏、楮からなる和紙用原料を3:1とした1060gの修復用繊維を蒸留水30リットルに加えて混練した練り合わせ原料と、粘着剤である黄蜀葵根の粘液1.5リットルとを加えて混合攪拌した修復用原料液(1) を、横幅120cm 、縦幅80cm、深さ20cmの漉き容器 (2) に六部乃至七部程度入れて攪拌する。 この作業を説明の便宜上、修復準備第一工程ということにする。 【0020】次に修復準備第二工程として、葦、藺の茎或は竹、木を細く削った籤の多数を平行密接状態に整列させて糸等で編んで一方向の可撓性と濾過機能を具備させた簾状体からなる濾過シート状部材(以下、簀子(3) で示す)の全体を水に濡らして漉き枠(4) に嵌め、該簀子(3) 上に、漉きシート材として生糸を絡織した絵絹(以下、紗(5) で示す)を載せ、霧吹き等で紗(5) に湿りを付与(能率向上のためには、紗(5) を水の中に浸漬する手段の採用により湿りを付与してから簀子(3) の上に載せる)し、皺が形成されないように刷毛で軽く伸ばした後、紗(5) の上に修復対象紙(6) を表示面が接するように重ね、水に濡らした刷毛や霧吹き等の手段によって修復対象紙(6) に湿りを与えて皺の無い状態とする。 【0021】そして前記修復準備第二工程で準備した漉き枠(4) を、修復準備第一工程において準備した漉き容器(2) 内の修復用原料液(1) を混ぜて平均的混合状態とした後に浸漬して、一般的に実施される手漉き要領で漉き枠(4) を揺り動かし、毀損部分の虫食い孔、ヒビ割れ、破れ、老化、脆弱化による穴等が、目視で修復対象紙(6) の厚み程度(修復対象紙(6) の表面と面一程度) となるように修復用繊維で塞いで平坦にした後、漉き容器(2) から取り出して漉き枠(4) のまま水平に載置して水切りを行い、生乾き状態となった段階で、紗(5) と修復対象紙(6) が積層状態に密着した簀子(3) から漉き枠 (4) を外し、修復対象紙(6) 上に押圧用紙としてのレーヨン紙(7) を重ね、刷子等で撫でて湿りを与えつつ皺の無い状態とする。 なお、表面剥離の状態、表面のみ脆弱化した状態等の部分の修復処理も必要な場合には、該部分に穴を開けて通水可能状態として、他の虫食い孔、ヒビ割れ、破れ等と同時に補修処理する。 【0022】それから簀子(3) だけを外し、修復対象紙 (6) が紗(5) とレーヨン紙(7) でサンドイッチ状になった積層体部分を張り板に張着して乾燥室(室温30℃程度)で乾燥させ、これにより乾燥した段階で積層部分の紗(5) とレーヨン紙(7) を除去する作業を行う。 【0023】この場合、必ずしも必要とはしないが、修復対象紙(6) の紙質に応じて、修復対象紙(6) の周囲に連続形成された漉き和紙状部分及び修復された毀損部分に、霧吹き等の手段で極僅かに湿りを与えて柔軟性と剥離性を良くし、紗(5) とレーヨン紙(7) の剥離時における修復対象紙(6) の破損を防止するようにする。 【0024】そして前記紗(5) とレーヨン紙(7) の除去作業の後、霧吹き手段等により全体に湿りを付与し、修復された毀損部分と修復対象紙(6) の周囲に表装用糊または黄蜀葵根の粘液からなる粘着剤を塗布し、前記作業において除去したレーヨン紙(7) (別に準備したものでも可)を、再度修復対象紙(6) 上に重ねて全体的に湿らせ、平滑性と結合性を良好にするために両面を順次刷子等で撫でることによりムラ、皺を無くするとともに、毀損境界部分の繊維絡合強度を補強し、修復後の耐久性を向上させる。 【0025】次に紗(5) とレーヨン紙(7) との間に挟着された状態の修復対象紙(6) を、皺を形成することなく張り板に張着して乾燥室(30℃程度)で乾燥させた後、紗(5) とレーヨン紙(7) とを外す。 【0026】この場合も、必ずしも必要とはしないが、 修復対象紙(6) の紙質に応じて修復対象紙(6) の周囲に連続して形成された漉き和紙状部分及び修復された毀損部分に、霧吹き等の手段で極僅かに湿りを与えて柔軟性と剥離性を良くし、紗(5) とレーヨン紙(7) の剥離時における修復対象紙(6) 、特に修復された毀損部分の破損を防止するようにする。 【0027】上記説明した実施例に係る洋紙製書画等の修復方法によって修復処理されたポスターには、必要に応じて補筆、補彩を施す美術修復を行うことができ、先人たちが残した貴重な紙製書画等の原形を可能な限り維持させた修復によって、歴史的、美術的、宗教的、実用的な感動と感触を復活させ後世に残すことができるようになる。 【0028】なお上記説明した実施例に係る洋紙製書画等の修復方法においては、120リットルの蒸留水に、 洋紙用パルプ原料と三椏、楮からなる和紙用原料を3: 1とした1060gの修復用繊維を蒸留水30リットルに加えて混練した練り合わせ原料と、粘着剤である黄蜀葵根の粘液1.5リットルとを加えて混合攪拌した修復用原料液(1) を用いたが、これは修復対象紙(6) が前記ポスターの場合であり、混合材料及びその割合は、修復対象紙(6) の資質、厚み等によって異なるものであり、 過去の修復対象紙の資質の種類に対応した各種の原料の混合割合を予め設定し、これに応じて作業を遂行するのである。 【0029】また上記実施例における修復用原料液(1) は、洋紙用原料と和紙用原料を含む原料と黄蜀葵根の粘液からなる粘着剤を蒸留水に所定の割合で混合した場合について説明したが、修復対象紙の種類、毀損度合いの程度等によって、蒸留水、和紙用原料、洋紙用原料、補助原料、粘着剤の組合せ使用及び割合は選択設定するものである。 【0030】さらに粘着材の種類及び添加割合も特定されるものではなく、黄蜀葵根の粘液の他に、のりうつぎの樹皮粘液、ポリエチレンオキサイド水溶液の粘液等、 修復対象紙に悪影響を及ぼさない粘着剤或は接着性能を有する液剤を、それぞれに対応する割合で混合する場合を含むものである。 【0031】さらにまた、上記説明した実施例に係る洋紙製書画等の修復方法においては、濾過シート状部材として簀子(3) を、漉きシート材として紗(5) を、押圧用紙としてレーヨン紙(7) をそれぞれ使用した例で説明したが、これらに限定されるものではなく、濾過シート状部材については、これと同等の強度と可撓性を有する細かい金属製又は合成樹脂製の網材を、漉きシート材についても紗(5) と同等の繊維漉き上げ機能及び柔軟性を有する、表面が平滑な平織、綾織の生地でも良く、さらにレーヨン紙(7) についても、吸水によって柔軟性と剥離時の必要強度が具備され、且つ色落ちしない紙や生地であっても良いことは言うまでもない。 【0032】なお修復対象紙を水に浸漬した場合の文字、色彩等の輪郭部分の滲みは、市販の滲み防止スプレー、みょうばんで抑えるようにする。 【0033】また漉き回数に応じて修復用原料液中の繊維は少なくなることから、修復状態を目視確認しながら、例えば、前記ポスターの場合であれば、4乃至6枚を修復した段階で、柄杓3杯(約3リットル)を適宜補充して繊維及び粘着剤濃度を確保する必要があることは言うまでもない。 【0034】さらに、漉き枠(1) に修復対象紙のサイズに応じた内側寸法の押えを兼ねた内枠(8) の一個乃至複数を嵌めて手漉きすることによって、修復対象紙(6) の周囲に漉き紙部分が形成されないようになり、周囲の漉き紙部分の除去作業を不要とすることもできる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明方法の実施に使用する道具の説明を補助するとともに、修復対象紙(6)の毀損状態の一例を示す斜視簡略図である。 【符号の説明】 (1) 修復用原料液 (2) 漉き容器 (3) 簀子 (4) 漉き枠 (5) 紗 (6) 修復対象紙 (7) レーヨン紙 (8) 内枠 |