专利类型 | 发明专利 | 法律事件 | |
专利有效性 | 公开 | 当前状态 | |
申请号 | JP2022021163 | 申请日 | 2022-02-15 |
公开(公告)号 | JP2023118290A | 公开(公告)日 | 2023-08-25 |
申请人 | NAGOYA INST TECH; MAKINO KK; | 申请人类型 | 学校 |
发明人 | FUJI MASATADA; IWATA SHUICHI; KAWASHIMA AKIRA; SAITO SHINGO; BAN NAOMI; | 第一发明人 | FUJI MASATADA |
权利人 | NAGOYA INST TECH,MAKINO KK | 权利人类型 | 学校 |
当前权利人 | NAGOYA INST TECH,MAKINO KK | 当前权利人类型 | 学校 |
省份 | 当前专利权人所在省份: | 城市 | 当前专利权人所在城市: |
具体地址 | 当前专利权人所在详细地址:愛知県名古屋市昭和区御器所町字木市29番 | 邮编 | 当前专利权人邮编: |
主IPC国际分类 | B03C5/02 | 所有IPC国际分类 | B03C5/02 ; B01D57/02 ; B03C5/00 ; C01B33/141 |
专利引用数量 | 0 | 专利被引用数量 | 0 |
专利权利要求数量 | 5 | 专利文献类型 | A |
专利代理机构 | 专利代理人 | 青山 陽; | |
摘要 | 【課題】スラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことが可能な粒子回収方法、及び粒子回収装置を提供する。【解決手段】本発明の粒子回収装置は、液体中に分散されている粒子を電気泳動によって電極近傍に付着させて回収する粒子回収装置であって、前記液体を収容する処理槽と、該処理槽中に配置された一対の電極と、該一対の電極間に電圧を付与する電源とを備え、前記電極近傍に付着した粒子と該粒子周囲の液体とを相対運動させることにより該電極近傍に付着した粒子に剪断 力 を付与して再分散させることが可能な相対運動手段が設けられていることを特徴とする。【選択図】図2 | ||
权利要求 | 【請求項1】 液体中に分散されている粒子を電気泳動によって電極に付着させて回収する粒子回収装置であって、前記液体を収容する処理槽と、該処理槽中に配置された一対の電極と、該一対の電極間に電圧を付与する電源とを備え、前記電極に付着した粒子と該粒子周囲の液体とを相対運動させることにより該電極に付着した粒子に剪断力を付与して再分散させることが可能な相対運動手段が設けられている粒子回収装置。【請求項2】 前記相対運動手段は、粒子が付着する側の電極を前記液体中で運動させる電極運動手段及び/又は前記液体を流動させる液体流動手段である請求項1記載の粒子回収装置。【請求項3】 粒子が付着する側の電極表面は凹凸が設けられている請求項1又は2に記載の粒子回収装置。【請求項4】 液体中に粒子が分散された粒子分散液を処理槽に入れ、該粒子分散液中に一対の電極を浸漬し、該電極間に電圧を付与して電気泳動により該電極に粒子を付着させる電気泳動工程と、該液体を洗浄用液体と置換する液置換工程と、該電極に付着した粒子と該洗浄用液体とを相対運動させることにより該電極に付着した粒子に剪断力を付与して該洗浄用液体中に再分散させる再分散工程と、を備えた粒子回収方法。【請求項5】 液体中に粒子が分散された粒子分散液を処理槽に入れ、該粒子分散液中に一対の電極を浸漬し、該電極間に電圧を付与して電気泳動により電極に粒子を付着させる電気泳動工程と、該液体を洗浄用液体と置換する液置換工程と、該電極に付着した粒子と該洗浄用液体とを相対運動させることにより該電極に付着した粒子に剪断力を付与して該電極上に粒子からなる単層を形成させる単層形成工程と、を備える単層形成方法。 |
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说明书全文 | 【技術分野】【0001】 本発明は、スラリーから粒子を回収する方法、及びそれに用いる粒子回収装置に関し、特に、ナノ粒子の回収に用いて好適である。 【背景技術】 【0002】 従来、スラリーから粒子を回収する方法としては、ろ過による分離方法や遠心分離機を用いた分離方法が知られている。しかし、ナノテクノロジーの進歩に伴い、工業プロセスにおいて、100ナノメートル以下の直径を有するようなナノ粒子が使われることも多くなっている。これに対して、上記のろ過や遠心分離の方法では、ナノ粒子を分離して回収することが困難であるという問題があった。 【0003】 こうした問題を解決すべく、電気泳動によりスラリーから粒子を回収する方法が開発されている。例えば、特許文献1では、スラリー中に一対の電極を浸漬し、電極間に電圧を付与して電気泳動によって電極近傍に粒子を濃縮してペースト状とし、回収する方法が記載されている。この方法によれば、ナノ粒子スラリーからでもナノ粒子を回収することができる。 【0004】 しかし、電気泳動によって回収した粒子はペースト状となっており、電気泳動において用いた液体を多量に含んでおり、様々な物質が溶解している。このため、回収したペースト状の粒子を洗浄する必要もあった。このため、特許文献1に記載の粒子回収方法を利用する場合には、電極近傍に濃縮されたペースト状の粒子をスクレバー等によって掻き取って別の容器に移し、洗浄水中で再分散したものを、再度電気泳動装置に移して回収するという工程を繰り返さなければならなかった。 【先行技術文献】 【0005】 WO2011/007820 【発明の開示】 【0006】 本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、スラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことが可能な粒子回収方法、及びそれに用いる粒子回収装置を提供することを解決すべき課題とする。 【0007】 本発明の粒子回収装置は、液体中に分散されている粒子を電気泳動によって電極近傍に付着させて回収する粒子回収装置であって、前記液体を収容する処理槽と、該処理槽中に配置された一対の電極と、該一対の電極間に電圧を付与する電源とを備え、前記電極近傍に付着した粒子と該粒子周囲の液体とを相対運動させることにより該電極近傍に付着した粒子に剪断力を付与して再分散させることが可能な相対運動手段が設けられていることを特徴とする。 【0008】 本発明の粒子回収装置では、処理槽内に粒子が分散されている液体を入れ、電源をオン状態として一対の電極間に電圧を付与することにより、液体中に分散されている粒子は電気泳動によって電極方向に移動し、電極に近傍に濃縮されペースト状となって付着する。こうして電極に粒子を付着させた状態としたまま、処理槽内の液体を排除し、洗浄用液体を処理槽内に入れる。そして、相対運動手段を駆動させることにより、電極に付着した粒子と粒子周囲の液体とを相対運動させる。これにより電極にペースト状となって付着した粒子に剪断力が付与され、洗浄用液体中に再分散される。 また、洗浄用液体中に再分散された粒子に対して、再度の電気泳動を行えば、洗浄用液体で洗浄された粒子が電極に付着する。こうして再付着した粒子をそぎ落とし、洗浄された粒子を回収することができる。 また、電気泳動と洗浄用液体での洗浄を複数回繰り返すことにより、洗浄効果をさらに高めることができる。 【0009】 したがって、本発明の粒子回収装置によれば、スラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことが可能となる。 【0010】 相対運動手段としては、例えば、粒子が濃縮される側の電極を液体中で運動させる電極運動手段としたり、液体を流動させる液体流動手段としたりすることができる。いずれの手段であっても、電極に付着した粒子に剪断力を与えて再分散させることが可能である。また、相対運動手段と液体流動手段を併用してもよい。 【0011】 粒子が付着する側の電極表面は凹凸が設けられていることが好ましい。電極表面に凹凸があれば、電極に付着する粒子の量をより多くすることができ、また、電気泳動を行っている間に付着した粒子が脱落し難くなる。 【0012】 本発明の粒子回収装置を用いれば、次の方法によってスラリー中の粒子の回収を一つの装置で連続して行うことができる。 すなわち、本発明の粒子回収方法は、液体中に粒子が分散された粒子分散液を処理槽に入れ、該粒子分散液中に一対の電極を浸漬し、該電極間に電圧を付与して電気泳動により該電極に粒子を付着させる電気泳動工程と、 該液体を洗浄用液体と置換する液置換工程と、 該電極に付着した粒子と該洗浄用液体とを相対運動させることにより該電極に付着した粒子に剪断力を付与して該洗浄用液体中に再分散させる再分散工程と、を備えることを特徴とする。 【0013】 また、次の方法によって、スラリー中の粒子から電極上に粒子の単層を形成させることができる。 すなわち、本発明の単層形成方法は、液体中に粒子が分散された粒子分散液を処理槽に入れ、該粒子分散液中に一対の電極を浸漬し、該電極間に電圧を付与して電気泳動により該電極に粒子を付着させる電気泳動工程と、 該液体を洗浄用液体と置換する液置換工程と、 該電極に付着した粒子と該洗浄用液体とを相対運動させることにより該電極に付着した粒子に剪断力を付与して前記電極上に粒子からなる単層を形成させる単層形成工程と、を備えることを特徴とする。 【0014】 本発明の単層形成方法において、電子顕微鏡用の金属製試料台を電極とすれば、試料台上に単層で広がった粒子を電子顕微鏡によって観察できるため、粒子の重なりが防止でき、粒子の構造を明瞭に観察することが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0015】 実施形態の粒子回収方法の工程図である。実施形態1の粒子回収装置の構造を示す模式図(a)及びそのX-X矢視断面図(b)である。実施形態2の粒子回収装置の構造を示す模式図(a)及びそのX-X矢視断面図(b)である。実施形態3の粒子回収装置の円筒容器20の断面図である。電気泳動の試験前(図5(a))及び試験後(図5(b))の写真である。実施例1の粒子回収装置の側面図である。実施例1の粒子回収装置における電極棒34の断面図である。実施例1の粒子回収装置の正面図である。実施例1の粒子回収装置の全体写真(a)及び枠体31内部の写真である。実施例2の粒子回収装置における電極棒50a、50b,50cの断面図である。実施例2において用いた中実ナノシリカの粒度分布測定結果を示すグラフである。実施例2において各電極棒50a、50b、50cに付着した中実ナノシリカの付着量を示すグラフである。実施例3の粒子回収装置における電極棒50a、50b,50c及び補助陽極51の断面図である。実施例3において各電極棒50a、50b、50cに付着した中実ナノシリカの付着量を示すグラフである。実施例4の粒子回収装置の模式図である。実施例4の電極棒60の先端部分の分解斜視図である。実施例4においてカーボン支持膜60c上に付着したナノ中空シリカが撹拌によって単層を形成する様子を示した模式図である。実施例4及び比較例1のカーボン支持膜60c上に付着したナノ中空シリカの電子顕微鏡写真である。カーボン支持膜60c上に付着した実施例のナノ中空シリカの電子顕微鏡写真である。 【発明を実施するための形態】 【0016】 <粒子回収方法> 実施形態の粒子回収方法の工程図を図1に示す。 この粒子回収方法では、まず回収しようとする粒子が液体中に分散されているスラリーを用意し、容器に入れる。ここで、回収対象となる粒子については特に限定は無く、シリカ、アルミナ、ムライト、粘土、ガラス、フライアッシュ、ジルコニア等のセラミック粒子等を用いることができる。また、粒子の比重については、同じ観点から、分散されている液体の比重と近いものが好ましい。中空粒子であって見かけ比重が液体の比重と近いものも好ましい。 【0017】 スラリーに用いられる液体としては特に限定はないが、水、アルコール等の有機溶媒、水-アルコールの混合溶媒等を用いることができる。液体中には電気泳動中において電気化学的に酸化や還元を受けるイオンや物質の濃度が低いことが望ましい。なお、電気泳動工程における粒子の移動を調製するために、粒子表面の電荷状態を調整するための薬剤(例えば、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、硫酸アルミ、塩化アルミ等)を添加してもよい。 【0018】 (電気泳動工程S1) そして電気泳動工程S1として、スラリー中に一対の電極を設置し、電極間に電圧を付与する。電極の材質としては導電性であって電気泳動中に溶解しない不溶性電極(例えば、プラチナや金などの各種貴金属、炭素、黒鉛、ステンレス、チタン、貴金属被覆チタン、ニオブ、タンタル等)を用いることができる。電極間に付与する電圧は直流の他、交流やパルス電流を用いることもできる。付与する電圧については、粒子の電気泳動が実用的な速度となるように適宜選択することができる。ただし、スラリーに用いられた液体やスラリーに溶解しているイオンの電気化学反応による影響を考慮することが好ましい。例えば、水の電気分解によって酸素や水素が発生し、電極に付着した粒子を脱落させたり、塩素イオンが含まれている場合の塩素ガスの発生による環境悪化等が挙げられる。このような電気化学反応の速度を調整するために、定電流で電気泳動を行ってもよい。 【0019】 電気泳動工程1Sにおいて液中に分散されている粒子は、ゼータ電位が正の場合には負極側の電極に移動し、負の場合には正極側に移動し、電極付近に濃縮されてペースト状となり付着する。この現象についてのメカニズムについては、以下のように説明される。 液中に分散された粒子間に働く相互作用ポテンシャル(全相互作用)Vは、Van del Waals相互作用VVと電気二重層相互作用VEとの和(V=VE+VV)になり、ある粒子間距離h1で極大値Vmaxとなり、それ以上粒子が接近するとVan del Waals相互作用VVが優勢となる。電気二重層相互作用VEは粒子のゼータ電位と相関関係があり、粒子のゼータ電位が大きいほど電気二重層相互作用VEも大きくなる。 液中に分散された粒子は電気泳動によって、ゼータ電位と反対の符号を持った電極の方向に移動し、電極付近の粒子濃度が大きくなり、粒子間距離は小さくなっていく。このとき、粒子がポテンシャル障壁Vmaxを超えて接近することができないと、粒子が凝集せず電極の近傍で滞留する。この状態は、電気泳動による接近と相互作用ポテンシャルVによる反発とがバランスした状態と表現することもできる。このように電極の近傍で粒子が滞留することで、粒子が濃縮分散状態(ペースト状)になる。 すなわち、相互作用ポテンシャルVのポテンシャル障壁Vmaxが、電気泳動する粒子の運動エネルギーよりも大きいと、粒子がポテンシャル障壁Vmaxを超えて接近することができず凝集しないので、粒子が濃縮分散状態(ペースト状)になる。 【0020】 電気泳動する粒子の運動エネルギーは、粒子のゼータ電位、電極間の電位差、電極間隔およびスラリーの粘度と相関関係がある。Helmholtz-Smoluchowskiの電気泳動基礎式から明らかなように、電気泳動による粒子移動速度は、ゼータ電位および電位差に比例し、電極間の距離に反比例するからである。また、スラリーの粘度が高いほど粒子の運動に対する抵抗が大きくなるからである。 後述するナノ中空シリカスラリーを用いた実施例1の電気泳動試験において、回転粘度計による粘度測定の結果によると、電場の印可により濃縮されたペースト状のスラリー粘性は、濃縮前のスラリー粘性と比較して10万倍に増加した。 【0021】 (液置換工程S2) 上記のようにして電極上にペースト状となった粒子を付着させた後、粒子を分散させていた液体を除去し、洗浄用液体を投入する。 【0022】 (再分散工程S3) そして、電極を回転させたり、洗浄用液体を撹拌させたりすることによって電極にペースト状に付着した粒子に剪断力を付与する。これにより粒子が剥がれて洗浄用液体中に再分散されたスラリーを得る。こうしてスラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことが可能となる。 【0023】 なお、洗浄された粒子を濃縮されたペースト状態で回収したい場合は、再分散工程S3で得られたスラリー中で再び電気泳動工程S1を行い、電極を付着した粒子ごと引き上げ、電極にペースト状に付着した粒子を剥ぎ取ればよい。 また、さらに電気泳動工程S1、液置換工程S2及び再分散工程S3を繰り返せば、より精製されたスラリーや粒子を得ることができる。 【0024】 <粒子回収装置> 上記の粒子回収方法は、以下に示す実施形態の粒子回収装置を用いて行うことができる。 (実施形態1) 実施形態1の粒子回収装置は、図2(a)に示すように、処理槽1の中に回転電極2と固定電極3とが立設されている。回転電極2は下方向に二股に分かれて互いに対面する断面が円弧状の形状(図2(b)参照)とされており、上端で互いに電気的に接続されて回転軸4を介してモータ5に回転可能に接続されている。回転軸は4には図示しないブラシ電極を介して電源6に電気的に接続されている。固定電極3は、対面する電極2の中央の位置で固定して立設されており、電源6に電気的に接続されている。 【0025】 以上のように構成された実施形態1の粒子回収装置の使用方法について説明する。 ・電気泳動工程S1 回収しようとする粒子(例えばシリカ)が液体(例えば水-アルコール混合溶媒)中に分散されているスラリーを用意し、処理槽1に入れる。 そして電気泳動工程S1として、電源6をオン状態にして回転電極2と固定電極3との間に電圧を付与する。電気泳動中はモータ5をオフの状態としておく。付与する電圧の正負については、電気泳動によって粒子が回転電極2側に移動するように正負を決定し印加する(例えばゼータ電位が負であるシリカ粒子の場合には、回転電極2側を正となるように印加する)。印加電圧については、粒子の電気泳動が実用的な速度となるようにする必要がある。ただし、水の電気分解等によって発生するガスが電気泳動を阻害しない程度に、適宜印加電圧を調整する。電気化学反応の速度を調整するために、定電流で電気泳動を行ってもよい。 【0026】 ・液置換工程S2 電気泳動によって回転電極2の表面に粒子が充分に付着した後、電源6をオフ状態とし、処理槽1内の液を抜いてから、洗浄用の液体を処理槽1内に満たす。 【0027】 ・再分散工程S3 そして、モータ5をオン状態とし、回転電極2を回転させる。これにより、回転電極2にペースト状態で付着していた粒子は洗浄用液体の流れによる剪断力を受け、洗浄用液体中に再分散される(再分散工程S3)。こうして洗浄用液体で洗浄された粒子が分散するスラリーを得る。この粒子回収装置によれば、スラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことができる。 【0028】 なお、洗浄された粒子をペーストとして回収したい場合は、再分散工程S3で得られたスラリー中で再び電気泳動工程S1を行い、電極を付着した粒子ごと引き上げ、電極に付着した粒子を剥ぎ取ることによって回収することができる。 また、さらに電気泳動工程S1、液置換工程S2及び再分散工程S3を繰り返すことにより、より精製されたスラリーや粒子を得ることができる。 【0029】 (実施形態2) 実施形態2の粒子回収装置は、図3(a)に示すように、処理槽10の中に円筒容器11が設置されている。円筒容器11は無底であり、上端は天板11aで閉じられている。天板11aの中央には流入管12が接続されており、開閉バルブ13を介して循環ポンプ14に接続されている。循環ポンプ14は処理槽10の底に接続された流出管15と開閉バルブ16を介して接続されている。円筒容器11の内部はハニカム状電極17が設けられており、ハニカム状電極17の各孔の中央には角棒状の挿入電極18が接触することなく挿入されている(図3(b)参照)。ハニカム電極17及び挿入電極18は電源19と電気的に接続されている。 【0030】 以上のように構成された実施形態2の粒子回収装置の使用方法は以下のとおりである。 ・電気泳動工程S1 回収しようとする粒子が液体中に分散されているスラリーを用意し、処理槽10に入れる。そして電気泳動工程S1として、電源19をオン状態にしてハニカム電極17と挿入電極18との間に電圧を付与する。これによりスラリー中の粒子はゼータ電位と反対側の電極にペースト状で付着する。印加電圧についての設定については、実施形態1において述べたことと同様の注意を図りながら適宜調整を行う。 【0031】 ・液置換工程S2 電気泳動によってハニカム電極17あるいは挿入電極18の表面に粒子がペースト状で付着した後、電源19をオフ状態とし、処理槽10内の液を抜いてから、洗浄用液体を満たす。 【0032】 ・再分散工程S3 そして循環ポンプ14をオン状態とし、ハニカム電極17の各孔内に洗浄用液体を流入させる。これにより、ハニカム電極17あるいは挿入電極18に付着していた粒子は洗浄用液体の流れによる剪断力を受け、洗浄用液体中に再分散される。こうして洗浄用液体で洗浄された粒子が分散するスラリーを得る。こうして、実施形態2の粒子回収装置によれば、スラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことができる。 【0033】 (実施形態3) 実施形態3の粒子回収装置は、図4に示すように、円筒容器20の中に渦巻き状筒型電極21,22が互いに接触することなく対面して挿入されている。渦巻き状筒型電極21,22は電源に接続されている。その他の構造については実施形態2の粒子回収装置と同様であり、同一の構造には同一の符号を付して説明を省略する。 【0034】 実施形態3の粒子回収装置では、電気泳動工程1Sにおいて渦巻き状筒型電極21,22のいずれかに粒子がペースト状態で付着し、その後、循環ポンプ14を駆動させることにより洗浄用液体で洗浄された粒子が再分散されたスラリーを得ることができる。すなわち、スラリー中の粒子の回収工程と洗浄工程を一つの装置で連続して行うことができる。 【0035】 実施形態1~3における再分散工程S3において、ペースト状に電極に付着した粒子の再分散を促進する観点から、洗浄用液体に対して超音波振動を付与することも好ましい。 【0036】 (電気泳動試験) 粒子回収装置作製のための準備として、ナノ中空シリカスラリーの電気泳動試験を行った。 ・ナノ中空シリカスラリーの合成 ナノ中空シリカスラリーの合成は特開2005-263550に記載の方法により行った。すなわち、液温15℃に調節した固形分濃度7.5重量%の水酸化カルシウムスラリー2.0Lに対して撹拌しながら、炭酸ガスを1.5L/分の速度で2時間導入して、炭酸カルシウムを沈殿させた。その後、液温を80℃にし、24時間撹拌して熟成を行った。 【0037】 こうして得られた炭酸カルシウムのスラリーを遠心脱水機にて含水量65重量%の含水ケーキとした後、この含水ケーキ22gを450gのエタノール中に投入し、1分間超音波照射して、エタノール中に炭酸カルシウムを分散させた。そこに、28%アンモニア水21g、テトラエトシキシラン7.5gを添加(テトラエトシシラン/エタノールの体積比0.01、アンモニア水に含有されるNH3はテトラエトキシシラン1モルに対して9.3モル、水はテトラエトキシシラン1モルに対して30モル)し、12時間撹拌を続け、シリカによりコートされた炭酸カルシウムを調製した。この調製物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、40~80nmの炭酸カルシウム表面に、厚さ5~10nmのシリカ殻が確認された。 【0038】 つづいて、シリカによりコートされた炭酸カルシウムのスラリーを吸引ろ過にて脱液、エタノール、水の順で洗浄を行った後、再び水中に分散させた。そこに、2.5モル/LのHClを200mL添加(液全体の酸濃度0.5モル/L)し、1時間撹拌して炭酸カルシウムを溶解させて、ナノ中空シリカスラリーを得た。 【0039】 生成物を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、一次粒子径が45~90nmのシリカ中空粒子が確認された。また、静的光散乱法(マルバーン社製ゼータサイザー3000HS)では、粒子径は350nmであった。 【0040】 ・ナノ中空シリカスラリーの電気泳動 以上の様にして得られたナノ中空シリカスラリーの電気泳動について、電気泳動試験を行った。2Lのビーカーを用意し、ビーカーの内側に沿ってステンレス製の金網電極を円筒状になるよう設置し、ナノ中空シリカスラリーを1500ml投入した。そして、多数の孔の開いたステンレス板に6本のステンレス棒を挿通してネジ止めし、ビーカー上に置いた。さらに、直流電源を用いて金網電極が負極、ステンレス棒電極が正極となるように20Vの電圧を印加した。図5に、電気泳動の試験前(図5(a))及び試験後(図5(b))の様子を示す。試験後にはステンレス棒に多量のナノ中空シリカが付着することが分かった((図5(b)参照)。この様なナノ中空シリカは一次粒子径が45~90nmであり、しかも中空であるため、遠心分離やろ過では回収が困難であり、電気泳動法による回収法が優れていることが分かった。 【0041】 (実施例1) 実施例1では、シリカスラリーの電気泳動工程S1に続いて、液置換工程S2及び再分散工程S3を行うことが可能な粒子回収装置を作製した。 図6及び図8に実施例1の粒子回収装置を示す。この粒子回収装置は、無底の直方体容器形状で一面の下方半分が開口された枠体31の上部に、モータ32がモータ軸32aを下方に向けて取り付けられている。モータ軸32aには回転軸33が下方に延在して接合されており、モータ軸32aの下端には同心円状に合計102本のSUS304製ボルトからなる電極棒34が着脱可能に下垂されている(図7参照)。電極棒34は回転軸33及び回転軸33に接触するブラシ36を介して直流電源37に接続されている。電極棒34の周縁には電極棒34と隔離しつつ近接してリング状のSUS304製の対極35a,35bが上下2か所に設けられている。対極35a,35bは直流電源37に接続されている。 【0042】 電極棒34の下方には円筒容器形状の処理槽38が設けられており、処理槽38は可動式の台車39に載せられたジャッキ40によって昇降可能とされている。処理槽38の側面上端には流入口38aが取り付けられており、側面下端には流出口38bが取り付けられており、底には排液口38cが取り付けられている。流入口38aと流出口38bは循環ポンプ41に接続されており、処理槽38内のスラリーが循環可能とされている。 【0043】 図8に示すように、枠体31には隣接して枠体42が設けられており、枠体42も枠体31と同様、無底の直方体容器形状で一面の下方半分が開口されている。枠体31の上部には、撹拌機43と、冷却機44に接続された冷却用パネル45とが取り付けられている。 【0044】 実施例1の粒子回収装置の写真を図9に示す。この装置を用いることにより、以下に示す方法でナノ中空シリカスラリーの精製回収を行うことができる。 【0045】 ・ナノ中空シリカスラリーの合成 可動式の台車39に設置されたジャッキ40の上に処理槽38を載せ、枠体42の下部に置き、処理槽38内で、前述したナノ中空シリカスラリーの合成方法を行うことができる。液の混合及び反応中は撹拌機43で撹拌しながら必要に応じて冷却機44によってスラリーを冷却する。薬剤の配合比及びその他の手順は前述と同様であり、説明を省略する。 こうして一次粒子径が45~90nm、静的光散乱法(マルバーン社製ゼータサイザー3000HS)の計測法で350nmのナノ中空シリカスラリーを得ることができる。 【0046】 ・電気泳動工程S1 ジャッキ40を下げてナノ中空シリカスラリーの入った処理槽38を撹拌機43及び冷却用パネル45から下方へ降ろす。そして、処理槽38を載せた台車39を別の台車50(図8参照)に載せて枠体31の下方に配置させた後、ジャッキ40を上げて処理槽38内のナノ中空シリカスラリー中に電極棒34及び対極35a,35bを浸漬する。そして直流電源37によって電極棒34を正、対極35a,35bを負として電気泳動を行うことができる。 【0047】 ・液置換工程S2 電気泳動によって電極棒34の表面に粒子が充分に付着したことを確認した後、直流電源37をオフ状態とし、排液口38cから処理槽38内の残液を抜いた後、洗浄用の水を処理槽38内に満たす。 【0048】 ・再分散工程S3 そして、モータ32をオン状態とし、ナノ中空シリカが付着した電極棒34を回転させる。これにより、電極棒34に付着していたナノ中空シリカは洗浄用液体の流れによる剪断力を受け、水中に再分散される(再分散工程S3)。こうして洗浄用水で洗浄された粒子が分散するスラリーを得ることができる。 【0049】 以上のように実施例1の粒子回収装置によれば、電気泳動工程S1によるスラリー中の粒子の回収と、再分散工程S3によるナノ中空シリカ粒子の洗浄とを一つの装置で連続して行うことができる。 また、電気泳動工程S1と再分散工程S3を繰り返せば、さらに精製が進んだナノ中空シリカスラリーを得ることができる。 【0050】 (実施例2) 実施例2では実施例1で用いた粒子回収装置により、中実ナノシリカスラリーからの回収実験を行った。ただし、取り付け可能な102本の電極棒34(図7参照)のうち、図10に示すように、対極35a、35bから軸心方向へ16mmの位置に電極棒50a、36mmの位置に電極棒50b,56mmの位置に電極棒50cを同心円状に12列、合計36本を取り付け、残りの電極棒は取り外した。 【0051】 実施例2の粒子回収装置を用いて、中実ナノシリカスラリー(日本アエロジル株式会社製 AEROSIL(登録商標)OX50 一次粒子径40nm)の電気泳動試験を行った。 ・中実ナノシリカの粒度分布測定 中実ナノシリカの5wt%スラリーについて、粒度分布測定装置(マイクロトラック(Microtrac)MT3000IIシリーズ)を用いて粒径分布を測定した。なお、シリカの屈折率は1.77,分散媒として用いたエタノールの屈折率は1.36とした。また、測定条件の設定については「透過性」は“透過”、「形状」は“非球形”とした。結果を図11に示す。グラフの横軸は粒子径Dp [μm],縦軸は粒子頻度Qf [%]を示す。この測定結果から、平均粒径Dpは0.731μmとなった。スラリー中に分散している中実ナノシリカの一次粒子径は40nmであることから、スラリー中における中実ナノシリカは二次凝集していることが分かった。 【0052】 ・電気泳動試験 処理槽38に中実ナノシリカの2.83wt%スラリーを17L入れ、直流電源37を電極棒50a、50b、50cが正極側、対極35a、35bが負極側となるように接続し、電圧を20Vとし、20分間の電気泳動を行った。 電気泳動終了後、ジャッキ40を下げ、電極棒50a、50b、50cを取り外し、自然乾燥後、電子天秤によって重量を測定した。結果を図12に示す。 このグラフから、単位面積当たりのシリカの付着量は対極35a、35bからの距離が近いほど多くなることが分かった。この原因としては、対極35a、35bからの距離が短い電極棒50aに電流が集中し、対極35a、35bと電極棒50aとの間における電位勾配が大きくなったからであると考えられる。 また、電気泳動における消費エネルギーは、電気泳動中の電圧が20V、電流は10mA、電気泳動時間は20分、回収されたシリカの重量が151gであることから、0.440 [kWh/kg]と算出された。 【0053】 (実施例3) 実施例3では、図13に示すように、軸心方向に1列にならんだ電極棒50a,50b,50cどうしが隣接している中間の位置に、矩形板状の補助陽極51を放射状に12枚垂加させた。その他の条件については実施例2と同様であり説明を省略する。 【0054】 結果を図14に示す。このグラフから、単位面積当たりのシリカの付着量は電極棒50a>電極棒50c>電極棒50bとなった。また、補助極51を設けなかった実施例2と比較して、位置による付着量の差が小さくなった。この原因としては、補助電極51の存在により処理槽38の軸心に近い位置でも電流が流れやすくなり、場所による電位勾配の差が少なくなったからと考えられる。 また、電気泳動における消費エネルギーは、電気泳動中の電圧が20V、電流は10mA、電気泳動時間は20分、回収されたシリカの重量が302gであることから、0.221 [kWh/kg]と算出された。この消費エネルギーの値は実施例2と比べて約半分であり、補助極51を設けることにより消費エネルギーを大幅に低減できることが分かった。 (実施例4) 実施例4は電子顕微鏡の試料台上に単層からなる粒子層を形成するための試料作製用の粒子回収装置である。この粒子回収装置は、図15に示すように、電極棒60と対極61と直流電源62とを備えている。電極棒60の先端には図16に示すように、1)多数の孔の開いた円盤状の銅製のグリッド60aと、2)カーボン補強された多孔質トリアホール(酢酸酪酸セルロース)膜であるマイクログリッド60bと、3)膜厚が4nmのカーボン支持膜60cとからなる三層が、環状ネジ60dによって軸方向押圧して固定されている。 【0055】 ・単層形成 ナノ中空シリカ粒子スラリーの調整 ポリアクリル酸(PAA)のナノ粒子を型として、その周囲にシリカをコーティングし、その後ポリアクリル酸(PAA)のナノ粒子を溶出させてナノ中空シリカ粒子スラリーを調製した。以下に製法の詳細を述べる。 0.12gのポリアクリル酸(PAA) 25重量%水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製 数平均分子量M=25,000)を2.0mlの25%アンモニア水溶液と混合し、24時間撹拌してポリアクリル酸/アンモニア水混合溶液を調製した後、2分撹拌してポリアクリル酸/アンモニア水混合溶液を調製し、35mlのエタノール中に添加し、撹拌することにより,エマルジョンを得た。 このエマルジョンを2分間撹拌後,2mlのテトラエトキシシラン(TEOS)(富士フイルム和光純薬株式会社製)を40μL/minの速度で添加し,一日撹拌した。 その後、10分間15,000rpmで冷却/高速遠心機(H-9R,株式会社コクサン)を用いて固液分離し、粉体を得た。この粉末を水で洗浄した後,180℃で24時間乾燥させた粉末を走査型電子顕微鏡によって観察したところ、粒子径が数十nmの中空ナノシリカとなっていることが分かった。 【0056】 こうして得られた中空ナノシリカを適宜水で希釈した分散液をビーカー63に入れ、電極棒60と対極61とをスラリー中に浸漬し、電極棒60がプラス側、対極61がマイナスとなるように直流電源62によって15Vの電圧を付加し、カーボン支持膜60c上にナノ中空シリカ粒子を付着させた(図17(a)参照)。その後、電圧負荷を停止し、ビーカー63内の液を除き、洗浄用の水を投入した後、マグネチックスタラー64によって撹拌して、カーボン支持膜60c上に付着するナノ中空シリカに剪断力を付与した(図17(b)参照)。そして、環状ネジ60dを外してグリッド60aとマイクログリッド60bとカーボン支持膜60cを取り出し、カーボン蒸着を行い、透過型電子顕微鏡による観察を行った。結果を図18(上段)及び図19に示す。互いに接触せずに単層で広がるナノ中空シリカが明瞭に観察され、粒子同士は粒子の重なりによって観察が困難となることはなかった。 粒子同士が互いに接触しなかったのは、電気二重層相互作用による斥力(すなわち、ゼータ電位が同じであることによる斥力)によるものと考えられる。また、単層のみが電極上に吸着したのは、電気二重層相互作用による引力(すなわち、電極とナノ中空シリカ粒子の静電引力)によるものと考えられる。 【0057】 (比較例1) 比較例1では水で薄めたナノ中空シリカスラリーを電子顕微鏡の試料台上に滴下して乾燥させた後、カーボン蒸着を行ってから透過型電子顕微鏡による観察を行った。その結果、図18(下段)に示すように、凝集状態のナノ中空シリカが観測され、粒子どうしの重なりによって、個々の粒子の細部の観察が困難となった。 【0058】 この発明は、上記発明の実施形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。 【産業上の利用可能性】 【0059】 本発明の粒子回収方法及び粒子回収装置は、セラミックス等の粒子が分散されたスラリーから粒子を回収したり、スラリーを生成したりすることができるため、セラミックス原料調製に好適に用いることができる。また、本発明の単層形成方法は、電子顕微鏡の試料作製に好適に用いることができる。 【符号の説明】 【0060】 S1…電気泳動工程、S2…液置換工程、S3…再分散工程、1,10…処理槽、2…回転電極、3…固定電極、4…回転軸、5…モータ、6…電源、7…容器、8…仕切板、9…ガラス板、11,20…円筒容器、11a…天板、14…循環ポンプ、15…流出管、16…開閉バルブ、17…ハニカム状電極、18…挿入電極、19…電源、21,22…渦巻き状筒型電極、31…枠体、32…モータ、32a…モータ軸、34,50a,50b,50c…電極棒、35a,35b…対極、36…ブラシ、37…直流電源、38…処理槽、38a…流入口,38b…流出口、38c…排液口、39…台車、40…ジャッキ、41…循環ポンプ、42…枠体、43…撹拌機、44…冷却器、60…電極棒、61…対極、60a…グリッド、60b…マイクログリッド、60c…カーボン支持膜、60d…環状ネジ |