【発明の詳細な説明】 【0001】 関連出願(群)の陳述 本願は、その明細書を本明細書中に十分に記載した場合には出典明示して本明細書の一部とみなす、1996年9月6日に出願された同時係属出願番号08/709,353 号の一部継続出願である。 【0002】 フェデラルファンドの陳述 本発明は、Advanced Technology Program下、合衆国商務省によってNanogen, Inc.社に与えられたコントラクト番号95−08−009下の政府支援でなされた。 【0003】 発明の分野 本発明は、有効な多工程の分子および生物試料の調製および診断分析を行うためのデバイスおよび方法に関する。 一般的に、それは電子的な細胞分離、細胞溶解および/または酵素反応用のデバイスおよび方法に関し;より詳細には、その全てを単一のバイオエレクトロニック・チップ上(例えば、集積アッセイ系中) で行い得る、誘電泳動(dielectrophoresis)、分離した細胞のDC高電圧パル ス電気溶解および/または酵素反応、による細胞粒子のチャネルレス分離を達成するためのデバイスおよび方法に関する。 これらの操作は、例えば、食料および/または水の質のモニター、感染症診断、癌の診断、骨髄の処理(例えば、幹細胞の分離および分析)ならびに法医学目的の個人の遺伝学に基づく同定を包含する種々の適用に有用である。 さらに、これらのプロセスおよびデバイスは、遺伝子発現研究、特に、特異的な副次集団のRNAを実験する目的のために多数の他の細胞から特異的なタイプの少数の細胞を分離する、遺伝子発現研究において用い得る。 【0004】 発明の背景 数ある中で、多くの分子生物学的および免疫学的なアッセイ、診断アッセイおよび試験の基礎には、細胞試料(例えば、血液、組織、、ほか)を得、望ましい細胞材料を分離し、望ましい細胞を粉砕または溶解させて粗製DNAおよびRN A(単純性のため、以下の明細書中でDNAに言及する場合には、適当な場合にはRNAについても言及している)、全タンパク質を放出させ、粗製ライゼートを精製し(すなわち、細胞残渣を除去し)、ついで幾つかの酵素反応を行わせて望ましいライゼートを分析する工程が含まれる。 【0005】 誘電泳動は、溶液中で荷電されているかまたは荷電されていないかのいずれかである微細粒子を分離するための一般的な技術となってきた。 本発明以前に報告された技術は、スライド表面に平板された露出した(すなわち裸の)交番嵌合電極を有し、数百μlの容量を有するフローチャンバーを有するスライドガラスに基づくデバイスでほぼ常に行う。 細胞は、適当な導電率を有する分離緩衝液(群)および好適な増幅および周波数を有するAC信号を選択することによって、それらの誘電特性に基づいてかかるデバイスで分離される。 これらの従前のデバイスは、以下のものを包含する幾つかの問題点を有する。 第1の問題点は、分離した細胞および分離していない細胞の双方が、スライドの暴露されたガラス表面および暴露された電極表面に非特異的に結合することである。 第2の問題点は、フローチャンバーの容積が大きすぎて(数百μl)、熱的対流が電極によって最初に保持された細胞を乱し、落とすことである。 第3の問題点は、いずれの望ましくない細胞を洗うことが、電極上に望ましく保持する細胞を乱すことなく簡単に行えないことであり、これは、望ましい細胞および電極が流体流動の途上(in t he way of)に位置し、したがっていずれの望ましくない細胞を含有する洗浄流 動を遮断するからである。 【0006】 細胞を破砕または溶解すると、他の細胞構成物と共に粗製DNAおよびRNA を放出する。 本発明以前に報告された電気細胞溶解技術は、慣用的に、マイクロチップ−ベースのデバイスとは反対に、マクロデバイスに一連の高電圧DCパルスを加えることによって行われる。 これらの従来の電気溶解技術は幾つかの問題点を含み、それには以下のものが含まれる。 第1の問題点は、市販のマクロ−デバイスによって特定される電気溶解条件は、従前の溶解法によっては細胞膜中に創製されたポアを介して高分子量DNA分子が適合しないため、(20Kbよりも大きな)高分子量のDNA分子が放出されないことである。 第2の問題点は、 溶解チャンバーで元々放出された幾分かの核酸が、その溶解チャンバーの表面に対するその非特異的な結合により、損失することである。 第3の問題点は、従来の電気溶解マクロデバイスは、誘電泳動的な細胞分離および電気溶解の双方を同じモジュールで行い得ないような孤立ユニット(stand alone unit)として作動することである。 【0007】 ついで、粗製ライゼートを精製し(すなわち、望ましくない細胞残渣を洗い流すか、または分離する)、ついで精製したライゼートを酵素反応(群)に付してハイブリダイゼーション、検出および分析用のライゼートを調製する。 かかる反応には、例えば、該ライゼートを変性させること、切断すること、または増幅させることが含まれ得る。 これらの試料調製およびDNAプロセシング工程の後でのみ、実際のハイブリダイゼーション反応を行い、最後に検出およびデータ整理によりハイブリダイゼーション事象を分析結果に変換する。 これらの従来の調製およびプロセシング技術は幾つかの問題点を有し、それには以下のものが含まれる。 第1の問題点は、試料調製およびプロセシングの工程を、典型的には、ハイブリダイゼーション、検出および分析の他の主たる工程とは別に、かつ離して行うことである。 さらに、これらの技術の大部分は、多数の試料に対して膨大な操作(例えば、ピペット操作、遠心分離、電気泳動)を行うことが含まれる。 それらはしばしば複雑かつ時間がかかり、一般的には高度の技能を要する。 数々の技術は、感度、特異性または再現性の不足によってその適用が制限される。 例えば、これらの問題点は、核酸ハイブリダイゼーション分析の多くの診断適用を制限している。 【0008】 誘電泳動を用いて細胞を分離および同定する試行がなされている。 例えば、He rbertに対する米国特許第4,326,934号は、連続誘電泳動による細胞分類用の方法および機器を開示している。 細胞は、細胞粒子の正および負の双方の誘電泳動運動を使用することによって分離された。 分離された細胞は、2の電極を通って運動する細胞の特徴的な偏向距離(deflection distance)を調べることによって 特徴付けおよび/または分類された。 また、Walterらに対する米国特許第5,344,535号は、誘電泳動による微生物お よび他の粒子を特徴付けするための方法および機器を開示している。 細胞は、その特徴的な誘電泳動収集速度を合致することによって特徴付けられた。 そして、Walterらに対する米国特許第5,569,367号は、一対の交番嵌合電極を 用いて混合物を分離するための方法および機器を開示している。 該機器は、不均一な交番フィールド(alternating field)を加えることによって細胞の直線的 な流動を妨害し、さらに異なるタイプの細胞をフラクションに分離する2の電圧印加交番嵌合電極を用いた。 該電極構造は、当該構造を通して流動するのを妨害するように並んだ挟み込まれたグリッド様構造よりなる。 【0009】 さらに、ある種のプロセシング工程またはサブ工程を一緒に合する試行がなされている。 例えば、支持材料上にDNAプローブのアレイを調製するために種々の微小自動装置系が提唱されている。 例えば、Beattieらは、1992年11月のThe 1 992 San Diego Conference: Genetic Recognitionにおいて、微小自動装置系を 用いて、特異的なDNA配列を含有する微小液滴をガラス基板上の個々の微細加工試料ウェルに沈殿させた。 多工程の全体試料調製および診断系も含まれるであろう、単一のチップまたは基板上に形成した集積系を記載する種々の試行がなされている。 例えば、A. Manzら、“Miniaturized Total Chemical Analysis Syst em: A Novel Concept For Chemical Sensing”中のSensors And Actuators,B1 (1990),pp.244−248は、小型化TASのモジュラー構造を含む'全化学分析 系(total chemical analysis system)'(TAS)を記載している。サンプリング、試料輸送、いずれかの必要な化学反応、クロマトグラフィー分離ならびに検出は自動的に行われた。なおもう1つの提唱された集積系はStapleton、米国 特許第5,451,500号であり、それは、複数の生物試料を二次元形式でキャリアを 含むマトリクスに個別に取入れる標的核酸配列の自動化検出用の系を記載している。異なる種類の診断試験または試験パネルに対して、異なるタイプのキャリアが記載されている。 【0010】 種々の複数電極系が開示されており、それは、複数の態様の生物試料の調製および分析を行う趣旨を有している。 Pace、“Silicon Semiconductor Wafer for Analyzing Micronic Biological Samples”なる標題の米国特許第4,908,112号は、半導体デバイス中のチャネルによって毛細管サイズの導管が形成された分析分離デバイスを記載しており、それにおいては、導管を通した液体の運動を活性化させるようにチャネル中に電極が位置する。Paceは、導管に対する横方向の寸法は100μm未満であると陳述している。Paceは、分析機器の全ての機能:試料注入、試薬導入、精製、検出、信号調節回路、ロジックおよびオン−ボード知能を単一のシリコンウェハ内に集積し得るとも陳述している。Soaneら、“Method and Device for Moving Molecules by the Application of a Plurality of Ele ctrical Fields”なる標題の米国特許第5,126,022号は、それによって、電極に 電位を加えることによって材料がトレンチを通って運動する系を記載しており、 それにおいては、媒質中を運動するか、または運動して相補的なコンポーネント、色素、蛍光タグ、放射性同位元素標識、酵素特異的タグまたは現存している物理学的または化学的のいずれかである種々の変換のごとき多数の目的用の他のタイプの化学材料と接触する所与の荷電粒子と反応性である抗原−抗体で満たされた種々のトレンチに選択されたコンポーネントが案内され得る。 細菌もしくは哺乳動物細胞またはウイルスを、電極に電位を加えることによって複雑化されたトレンチ・ネットワークによってソートし得、電場を加えることによる細胞またはウイルスのトレンチ・ネットワークを通しての運動は運動する特定の材料のサイズ、電荷または形状に基づくこともいわれている。 Clark、“Sensor Devices” なる標題の米国特許第5,194,133号は、チャネルに沿って流体が通過するに従っ て試料流体の分離を引き起こすための、その表面が、デンプン、アガロース、アルギナート、カラギーナンまたはポリアクリルアミド・ポリマーゲルのごとき材料を含有する縦長の微細加工チャネルを形成する基板を含む試料流体の分析用のセンサーデバイスを開示している。 該生物材料には、例えば結合タンパク質、抗体、レクチン、酵素、一連の酵素または脂質が含まれ得る。 【0011】 種々の表面からDNAを溶出するための種々のデバイスが知られている。 Shuk la、“Apparatus for Electroelution”なる標題の米国特許第5,340,449号は、 電場中でポリアクリルアミド、アガロースおよびPVDFのごとき膜のごとき固相マトリクス材料からタンパク質、DNAおよびRNAのごとき巨大分子を溶出させるための系および方法を記載している。 材料は固相から、分子量カットオフ膜によって一部画定された容量に溶出される。 Okano、“Separation of Polynuc leotides Using Supports Having a Plurality of Electrode-Containing Cells ”なる標題の米国特許第5,434,049号は、試料中の複数の標的ポリヌクレオチド を検出するための方法を開示しており、該方法は、捕捉したポリヌクレオチドを溶出するように電極に作用するように個々のチャンバーに電位を加える工程を含み、溶出された材料はついで収集用に利用可能である。 【0012】 一般的に、従前のプロセスは極めて労働および時間集約的であった。 プロセスの間またはプロセス間のいずれかにヒトの介在を要する複数工程は、汚染およびオペレーター誤操作の可能性が存在する点で最適に及ばない。 さらに、個々のプロセスを行うための複数の機械または複雑な自動装置系の使用は、費用および物理学的な空間要件の見地より、しばしば最大級の研究所以外では禁止される。 【0013】 前記の議論から明らかなように、試料調製および調製反応を行うための有効な技術を提供しようとする膨大な試行がなされている。 しかしながら、前述の理由により、これらの技術は制限され、不足している。 これらの種々のアプローチは、簡単に合して完全DNA診断アッセイを行い得る系を形成されていない。 かかる系に対する長い間認識されていた要望にもかかわらず、満足のゆく解決策は以前に全く提唱されていない。 生物細胞の改善された誘電泳動分離ならびに分離した細胞の改善された生物安定性に導く方法およびデバイスに対する持続した要望が存在する。 また、細胞調製および分析を改善し、単一系に細胞の分離、調製および分析を集積し得る方法およびデバイスに対する持続した要望も存在する。 【0014】 発明の概要 本発明は、電子的な分子生物学的な試料分離、溶解および診断分析を行うためのデバイスおよび方法に広く関する。 より詳細には、誘電泳動による細胞粒子のチャネルレス分離、分離した細胞のDC高電圧−パルス電気溶解、試料精製(すなわち、細胞ライゼートのごとき粗製混合物からの望ましいコンポーネントの分離)、および/または酵素反応(群)を達成し、その全てを試料中の種々の材料についての異なる移動度および/または異なる親和性を利用する単一のバイオエレクトロニック・チップ上で行い得るデバイスおよび方法に関する。 【0015】 本発明の1つの態様において、デバイスは、複数の被覆電極を有する微細加工シリコンチップを含む。 該電極は好ましくはいずれかの電極と試料との間の直接的な接触を防ぐ保護層で被覆されている。 被覆フローセルはチップに結合して、 流入口と排出口を有する密閉チャンバーを形成し、それはさらに各々該流入口および排出口を通した材料の流入および排出を可能とするプラスチック管系に結合し得る。 かかるデバイスを用いる1つの例示的な方法には、導入用の細胞試料(例えば、細胞調製緩衝液中の懸濁液)の調製およびつづく誘電泳動;試料のフローセルへの導入(例えば、ポンプ輸送を介して);試料を電場に付して試料から望ましい細胞を誘電泳動的に分離すること;フローセルを通して溶液をポンプ輸送することによって望ましくない細胞を洗い流すこと;ついで、残存する(望ましい) 細胞を少なくとも1のシリーズの電気パルスに付して該細胞を溶解すること;ならびに/または、所望により、ライゼートを酵素反応(群)に付すことが含まれる。 【0016】 したがって、本発明の主たる目的は、細胞の分離、溶解および/または酵素反応を行うためのデバイスおよび方法を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、ピペット操作および遠心分離のごとき機械的操作を省略し得るように、単一チップ上で細胞の分離、溶解および/または酵素反応( 群)を行うためのデバイスおよび方法を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、電極アドレス指定、緩衝液および浸透層の使用の組合せを提供して望ましい細胞の均一な分離を達成するためのデバイスおよび方法を提供することにある。 なおさらなる本発明の目的は、浸透層の使用を介してフローチャンバーおよび/または電極に対する細胞の最小限の非特異的な付着で、目的細胞の均一な分離を提供するためのデバイスおよび方法を提供することにある。 いまださらなる本発明の目的は、望ましくない細胞の洗い流しをフローチャンバー中のチャネルなしに洗浄を通して簡単に達成するデバイスおよび方法を提供することにある。 【0017】 もう1つの本発明の目的は、DNAおよびRNAの双方またはタンパク質がそれらの完全性が無傷のまま細胞から放出されるように、非常に局所化されかつ制御された様式で電極に少なくとも1のシリーズの高電圧DCパルスを加えることによって電極上に保持された目的細胞を溶解させることにある。 なおもう1つの本発明の目的は、同一のフローチャンバー中でライゼートに対して酵素反応を行って、DNAまたはRNAのいずれの損失をも引き起こさずに、汚染しているタンパク質から核酸を解放させることにある。 いまだもう1つの本発明の目的は、1またはそれを超える上記操作、すなわち細胞分離、細胞溶解、DNA/RNAの酵素除タンパク質、またはDNA/RN Aのヌクレアーゼ消化、ならびにDNAまたはRNAハイブリダイゼーション、 イムノアッセイまたはリガンド結合反応を、単一チップ上の自己含有(self-con tained)フローチャンバー中で行うことにある。 【0018】 好ましい具体例の詳細な説明 本発明は、誘電泳動による細胞粒子のチャネルレス分離、分離した細胞のDC 高電圧−パルス電気溶解、細胞ライゼートのごとき粗製混合物からの目的コンポーネントの分離、および/またはかかるライゼートの酵素反応を行い、その全てを単一のバイオエレクトロニック・チップ上で行い得るデバイスおよび方法を含む。 【0019】 本発明の好ましい具体例は、プリント回路基板14上の微細加工シリコンチップ12、該チップ12にマウントされて流体管系18aおよび18bを含むフローチャンバーを形成するフローセル16、ならびに検出ウインドー20を含む、 図1に示すカートリッジ10を含む。 該フローチャンバーは、好ましくは約10 μlの容積を有する。 該カートリッジ10は、当該カートリッジ10を電子的コントローラ(例えば、機器またはコンピュータ)(示さず)に電気的に接続するための出力ピン22も含む。 微細加工チップ12を図2に示す(詳細は図4Aに示す)が、示すごとくそれは、複数の円形微小電極24およびカウンター電極34を含む。 該電極24は、 好ましくはいずれかの電極とオーバーライイング(overlying)フローセル16 (より詳細に後に説明する)に導入した試料との間の直接的接触を防ぐ保護層で被覆されている。 【0020】 好ましい具体例において、該チップ12は4つのカウンター電極34および各々が5つの白金微小電極24を有する5の列を含み、よく知られている標準的な半導体加工技術を用いて作製される。 電極の数は本明細書中に示すものよりも多くても少なくてもよく、本明細書は説明目的のためのみで5×5の配置を用い、 これに限定されるものではないことは注記しておく。 実際、より多くの電極を有するチップは、より多数の標的化細胞の回収を促進し、したがって、より高い核酸の収量を促進し得る。 隣接する電極24の間の中心から中心までの距離は、好ましくはだいたい約200μmであって、各電極24の直径は好ましくはだいたい約80μmである。 【0021】 この具体例においては、まずチタン−タングステン(Ti−W)層を熱酸化したシリコンウェハ上にスパッタリングして約100nmの厚みとし、ついで該T i−W層上に白金層をスパッタリングして約300nmの厚みとすることによってチップ12を調製した。 王水中のフォトリソグラフィー画定したウエットエッチを用いて金属被覆をパターンニングした。 低応力窒化ケイ素(1.3μm)お よび二酸化ケイ素(100nm)の薄膜を、プラズマ−化学気相成長によってパターンニングした金属の表面に蒸着させた。 フォトリソグラフィー的にパターンニングしたドライプラズマエッチを用いて、誘電体から電極アレイを通してエッチングした。 チップ12は、各々、プリント回路基板14(好ましくは、Person al Computer Memory Card International Associationのパーソナルコンピュー タカード規格に適合する)にワイヤボンディングした。 【0022】 チップ12を回路基板14にボンディングした後に、チップ12をイソプロパノールで洗浄し、つづいて脱イオン水で濯いだ。 ついで、チップ12を窒素蒸気によって吹きつけ乾燥させた。 ついで、乾燥したチップ12を載せたボード14 をプラズマ・クリーナーボート(plasma cleaner boat)中に垂直に置き、アル ゴン中(250mTorr、250W)で5分間掃除した。 プラズマ掃除の後に、浸透層を各チップ12に加えた。 【0023】 まず、グリオキシルアガロースの2.5%底部浸透層(BPL)溶液を以下の ごとく調製した。 グリオキシルアガロース(250mg)(Sigma社製,St. Lou is, MO)を10mlの脱イオン蒸留水に添加し、混合し、ついで8分間煮沸し た。 完全に溶解したアガロース溶液を、1.2μmのシリンジ・フィルターを用 いて予め温めた(65℃)エッペンドルフチューブに高温濾過した。 濾過したアガロース溶液を65℃に5分間平衡させた。 つぎに、上部浸透層(TPL)を以下のごとく調製した。 ストレプトアビジン溶液(5mg/ml)は、ストレプトアビジン(Boehringer Mannheim社製,Indianapolis,IN)を塩化ナトリウム( 250mM)およびリン酸ナトリウムを含有する溶液(10mM、pH7.2) 中に懸濁することにより調製した。 そのストレプトアビジン溶液を温度平衡させたBPL溶液と合して、2%のアガロースおよび1mg/mlのストレプトアビジンを得た。 温BPL溶液(50μl)を各チップ上に置き、スピンコーティング装置(EC101D,Headway Research社製,Garland,TX)中、2500rpm、室温 にて20秒間スピンした。 BPLを固化させた後に、温TPL溶液(50μl) をBPLの上部に置き、スピンコーティング装置中、10,000rpm、室温にて2 0秒間スピンした。 ついで、被覆したチップを37℃にて30分間焼いた。 【0024】 グリオキシルアガロースとストレプトアビジンの第1級アミンとの間のシッフ塩基結合を、新たに調製したホウ水素化シアノナトリウム(0.2M)/ホウ酸 ナトリウム(0.3M)、pH9.0を用いて室温にて1時間還元した。 残存しているアルデヒド基は、ホウ酸ナトリウム(0.3M)中のグリシン緩衝液(0.2 M)、pH9.0で室温にて30分間キャッピングした。 チップは、最後に脱イ オン水で5分間濯ぎ、4時間風乾し、ついで4℃にて保存した。 本発明のカートリッジ10は、調製したチップ12/プリント回路基板14を選択し、ポリカーボネート成形フローセル16を、好ましくは200WのUV光下にて45秒間(4ジュール/cm 2 )、UV接着剤(Norland 68, Thorlabs, New Brunswick,NJ)を用いて、チップ12上に接着することによって完成した。 好ましくは、カバーガラス・スリップをフローセル16の上部に接着して、同一の手法を用いて密閉フローチャンバーを形成する。 流入および排出プラスチック管系18aおよび18bは、各々、ルアー(lure )取付け部26を介してフ ローセル16の流入口および排出口に加え、ついで適所に接着した。 これで、カートリッジ10は試験する準備ができた。 試験を行って、イー・コリ(E.coli)細胞を分離し、溶解し、酵素反応させ、また、試験を行って子宮頸 癌腫細胞を分離した。 【0025】 イー・コリ(E.coli)試験 まず、細胞培養物をよく知られている技術を用いて調製した。 サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)のSpaO領域から296bpのフラグメントを増幅させ、ついでInvitrogen T/A Cloning Kit(Invitrogen社 製,San Diego,CA)を用いてプラスミドpCR2.1(3890bp)にクローン化した。 連結はキットの指示書に従って行い、連結産物を用いてINVαF' コンピテントなイー・コリを形質転換した。 形質転換体を、青色/白色スクリーニング用のアンピシリン(100μg/ml)、80μlのx−gal(20m g/ml)および4μlのイソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(40mM )を補充したLBプレート上で増殖させた。 クローンにつきスクリーニングするために白色のコロニーを取り上げ、溶解させて分析用のDNAを放出させた。 そのDNAをSpaO特異的プライマーを用いるPCRによって増幅させて、アンプリコンをゲル電気泳動によって調べた。 PCRスクリーニングからの1の陽性クローンを、225rpmで振とうさせつつ、LBおよびアンピシリン液体培養物(100μg/ml)中、37℃にて一晩増殖させた。 【0026】 ついで、細胞培養物をよく知られた技術を用いて調製した。 0.05×TBE (4.5μMのトリス、4.5μMのホウ酸、0.1μMのEDTA、pH8.2) 、250mMのスクロースを含む細胞分離緩衝液、pH8.2を調製した。 該緩 衝液の導電率は、Accumet pH Meter 50(Fisher Scientific社製,Pittsburgh ,PA)によって測定して114μS/cmであった。 その条件下で細胞分離を行う導電率は、イー・コリ細胞が確実に正の誘電泳動に付され、かつ全ての正常なヒト血液細胞が確実に負の誘電泳動に付されるように注意深く選択した。 培養したイー・コリ細胞懸濁液(1ml)を325×gにて4分間遠心し、上清を除去した。 その細胞ペレットを細胞分離緩衝液(1ml)中で洗浄し、前記と同一の条件を用いてペレット化した。 ついで、該細胞を細胞分離緩衝液(1ml)に再懸濁した。 新鮮なEDTA−抗凝固処理ヒト血液(20μl)をイー・コリ細胞懸濁液(1ml)に添加し、細胞培養物を完成した。 【0027】 細胞培養物を本発明のカートリッジ10に導入し、誘電泳動を行ってイー・コリ細胞を分離した。 カートリッジ10をNikon社製の位相差顕微鏡のステージに 置いた。 照明はリング光(Precision MicroOptics社製,Irvine, CA)によって 供した。 イメージ信号は、10×対物レンズを介してCCD/RGBカラービデオカメラ(Sony DXC−151,Mikron Instruments社製,San Diego,CA)によって収集し、Sony VCRを用いて記録し、Sonyテレビモニターによってモニターした 。 流体は、ペリスタポンプ(Model RP−1,Rainin Instruments社製,Woburn,M A)を介して管系18およびフローセル16を通してポンプ輸送した。 電極24 上の信号は関数/アービトラリー波形発生器(functional/arbitrary waveform generator)(Model HP33120A,Hewlett Packard社製,Santa Clara,CA)から 発生させて、オシロスコープ(Model HP54600,Hewlett Packard社製)によってモニターした。 【0028】 細胞培養物を誘電泳動に実際に付す前に、コンピュータ・モデリングおよび誘電特徴付け実験を行った。 ヒト血液細胞の洗い流しを促進するためには、イー・ コリ細胞が正の誘電泳動に付され、かつ全ての正常なヒト血液細胞が負の誘電泳動に付されることが好ましい。 正の誘電泳動力下では、イー・コリは正のフィールド最大(field maxima)が発生している電極に向けて移動する。 負の誘電泳動力下では、ヒト血液細胞は負のフィールド最大が発生している電極間の空間に向けて移動する。 これが発生する周波数は、コンピュータ・モデリングおよび誘電体特徴付け実験に基づいて経験的に決定した。 【0029】 誘電泳動の基本理論、不均一な電場下の誘導分極を有する粒子の運動は広範に研究されている。 例えば、R. Pethig、“Dielectrophoresis: Using Inhomogene ous AC Electrical Fields To Separate and Manipulate Cells”, Crit. Rev. Biotech, 16:331-48 (1996); X, Wangら、“A Unified Theory of Dielectropho resis and Travelling Wave Dielectrophoresis”, J. Phys. D: Appl. Phys., 27:1571-74 (1994); G. Fuhr, “Cell Manipulation and Cultivation Under AC Electric Field Influence in Highly Conductive Culture Media”, Biochim. Biophys. Acta, 1158:40-46 (1993);およびM. Washizu、“Molecular Dielectr ophoresis of Biopolymers”,IEEE Trans. Industry Applicat., 30:835-43 (1 994)を参照されたし。 誘電泳動現象は、一般的にエネルギーポテンシャル 【0030】 【数1】 によって記載し得る。 したがって、粒子に作用する誘電泳動力はエネルギーポテンシャルの勾配として記載し得る。 粒子がゼロの正味電荷を有し、周りの培地が等方性である場合には、平均エネルギーポテンシャルは 【0031】 【数2】 [式中、pは体積 vを有する懸濁粒子の有効分極率(effective polarizability )である]と単純化し得る。 分極率( p )の値および符合は粒子および培地の誘 電率、ならびに加えた電場の周波数に依存する。 R. Pethig,“Dielectrophores is:Using Inhomogeneous AC Electrical Fields To Separate And Manipulate
Cells”,Crit. Rev. Biotech., 16:331-48 (1996). 安定状態においては、正 の分極率(
p >0)を有する粒子は高フィールド領域に留まり、負の分極率( p <0)を有する粒子は低フィールド領域に留まろうとするであろう。 【0032】 本発明の電極24の周りの電場の分布をモデル化するために、以下の2の仮定を設定した:第1に、低周波数領域内ではチップおよびフローチャンバーの双方の寸法は加えたACフィールドの波長よりもはるかに小さい。 第2に、試料溶液は電気的中性を有する。 これらの2つの仮定下では、ラプラス方程式 【0033】 【数3】 試料溶液中の電場、したがって分極化粒子のエネルギーポテンシャルは、差分法によって数字で計算する。 K. Binns,“The Analytical and Numerical Solut ion of Electric and Magnetic Fields”(John Wiley & Sons社, NY, 1992)
を参照されたし。
【0034】 イー・コリ細胞を正の誘電泳動力に付し、かつ血液細胞を負の誘電泳動力に付す周波数は、細胞混合物を異なる条件に付すことによって経験的に決定した。 実験は、5KHzから出発してシヌソイド信号(10ボルトのピークからピーク) の周波数を徐々に増大させることによって行った。 周波数が10KHzに達した場合に、イー・コリ細胞およびヒト血液細胞の残りとの明白な分離が認められた。 これらの電気的パラメーターは、イー・コリ細胞の単離に後に用いた。 細胞培養物中の血液細胞からイー・コリ細胞の誘電泳動分離を行うために、未使用のカートリッジ10を用いた。 カートリッジ10のチップ12を、まず、管系18およびフローセル16を通して試料/緩衝液貯蔵部28から分離緩衝液をポンプ輸送することによって洗浄した。 つぎに、細胞培養物をフローセル16にポンプ輸送し、ポンプのスイッチを切った。 電極24の全体アレイ(すなわち、 5列×5行のアレイ中の全体で25の電極)を、10KHzで10ボルトのピークからピークのシヌソイド信号を加えることによって、図3A−3Bに示すごとく、各電極にフィールド最大を供し、電極間の領域にフィールド最小を供するチェッカー盤バイアス形式でアドレス指定した。 図4B(および図4Aと比較して)示すごとく、ヒト血液細胞32(フィールド最小の電極24の間の領域に収集された)からイー・コリ細胞30(フィールド最大の電極24に収集された)の分離はほぼ4分で終了した。 その後、ポンプのスイッチを入れて、洗浄プロセスを開始した。 【0035】 図3Cに示す四角形壁形式よりも、図3Aに示すチェッカー盤バイアス形式を用いた。 図3Bに示すごとく、チェッカー盤スタイルのアドレス指定に対応するフィールド分布は、各電極にフィールド最大を有し、電極間の領域にフィールド最小を有する電場の均一な分布を提供し、一方、図3Dに示すごとく、四角形壁スタイルのアドレス指定は電極間に散在するフィールド最小を供する。 (図3B に示すごとく)フィールド最小が電極間に散在する配置を有することが好ましい。 かかる配置では望ましくない細胞(すなわち、フィールド最小の領域に収集された細胞)の洗い流しを、望ましい細胞(すなわち、電極に保持された細胞)を乱すことなく簡単に行えるからである。 これは、望ましい細胞および電極が流体流動を妨げるように位置しておらず、したがって、いずれの望ましくない細胞を含有する流動の洗い流しも遮断しないからである。 チェッカー盤スタイルのアドレス指定は、電極をグループ化し、各グループの電極をその最も近い隣接するグループの電極とは反対にバイアスすることによって実質的に行い得ることは理解される。 【0036】 試料細胞培養物混合物を試料/緩衝液貯蔵部28からほぼ排出したら、AC信号をいまだ入れたまま、分離緩衝液を添加してフローセル16を通して試料の残部を洗浄する。 図5に示すごとく(図4Bと比較して)、洗浄プロセスはヒト血液細胞を洗い流し、イー・コリ細胞30は保持された。 洗浄後に、プロテイナーゼK(490μg、Boehringer Mannheim社製,Inidianapolis,IN)を含有する分離緩衝液(300μl)をフローチャンバー16にポンプ輸送してタンパク質のサイズを減少させた。 【0037】 ついで、電気溶解を行って保持されたイー・コリ細胞を溶解した。 細胞を溶解するために、4のカウンター電極34(図2に示す)および25のより小さい細胞収集電極24との間に1のシリーズのパルス(500V、50μsパルス幅) を加えた。 該パルスは、20パルス毎の極性が電極24および34の2グループの間で入れ替わるように加えた。 全体で400のパルスを各溶解プロセスにつき加えた。 交番パルスは細胞を押し、細胞から材料を引き出した。 図6はイー・コリ細胞から放出され、DC波を加えることによって濃縮させた核酸36の試料を示す。 【0038】 ライゼート混合物は50℃にて20分間インキュベートして、DNA−汚染タンパク質を消化させた。 該ライゼートは、フローセル16からそれを汲み出すことによって収集した。 誘電泳動分離および電気溶解の組合せを6回繰返し、全てのライゼートを分析用に一緒に保存した。 保存したライゼートを16000×gにて5分間遠心した。 つぎに、上清を回収し、2倍容量の冷蔵エタノール(−20℃)を該溶液に加え、混合し、ついで16000×gにて10分間遠心した。 上清を除去し、ペレットを風乾させた。 ついで、該ペレットを0.05×TBE緩衝液(300μl)に再溶解させた。 再溶解溶液のフラクション(30μl)を、RNエース(3μl、10mg/m l、Boehringer Mannheim社製)を含有する溶液と合した。 合した溶液を37℃ にて30分間インキュベートした。 【0039】 ついで、ゲル電気泳動を行って収集した材料を分析した。 1.2%アガロース ゲルは、600mgのアガロースを50mlの1×TBE緩衝液中で融解させることによって調製した。 アガロース溶液が固化する前に、エチジウムブロマイド(2.5μg)をそれに添加した。 RNエース処理を行ったかまたは行っていな いプロテイナーゼK処理したライゼート試料を、マーカーDNAと共にゲルに負荷した。 図7は、図6の核酸のアガロースゲル電気泳動後に撮った写真像を示し、ゲノムDNAから、超コイル形成プラスミドDNAおよびRNAにわたる全スペクトルの核酸が電気溶解後に細胞から放出されたことを示している。 【0040】 ついで、DNAハイブリダイゼーション・アッセイを行った。 プラスミドDN AのSpaO領域に特異的なオリゴヌクレオチド捕捉プローブ(39−mer) をその3'末端でビオチンと合体させた。 該捕捉プローブを50mMのL−ヒス チジン緩衝液中に希釈して、最終濃度500nMとした。 該捕捉プローブを、正にバイアスした基部(underlying)電極24とストレプトアビジンを含む試験マイクロロケーションに固定化した。 電気的バイアスは、各電極24の電流を1分間、200nAに維持することによって行った。 その後に、残存するプローブ溶液を除去し、チップ12を50mMのL−ヒスチジン緩衝液で洗浄した。 コントロール用のプローブ(ATA5およびGASプローブ)の固定化は、前記と同一のプロトコールを用いて行った。 【0041】 DNAのハイブリダイゼーションを促進するために、プロテインキナーゼK処理したライゼートのフラクションを、L−ヒスチジン緩衝液中で各々3倍および5倍希釈した。 この希釈したライゼート試料を100℃のウオーターバス中にて10分間煮沸して、DNAを断片化し(DNAの最終サイズは300bpないし1Kbの間の範囲にわたる)、また、DNAを一本鎖化させた。 コントロールの存在を確認するために、各電極の電流を3分間、450nAに維持することによって、捕捉プローブATA5に特異的な合成RCA5オリゴヌクレオチド標的( F. Beckerら、“Separation of Human Breast Cancer Cells From Blood By Dif ferential Dielectric Affiity”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:860-64 (1 995)を参照されたし)を固定化ATA5プローブおよび隣接する非特異的GAS プローブの双方に平行して電子的にハイブリダイズさせた。 捕捉プロセスを終了した後に、新鮮なL−ヒスチジン緩衝液を負荷して古いものを入れ替え、電子的ストリンジェンシー洗浄を行った。 洗浄は150のDCパルス(0.1秒間入れ 、0.2秒間切るパッド当たり1μA)を1の列に同時に加えることによって行 った。 【0042】 サンドイッチ・アッセイを行うために、レポータープローブのハイブリダイゼーションを以下のごとく行った。 チップ12を、超音波処理し、変性させた子ウシ胸腺DNA(100μg/ml、Sigma社製,St.Louis,MO)を含有する1× STE緩衝液中に、室温にて5分間浸漬した。 その後に、緩衝液を排出し、15 μlの混合溶液(前記子ウシ胸腺DNAを含有する1×STE緩衝液中の500 mMのレポータープローブ)をチップ12上に置き、室温にて5分間維持した。 ついで、該チップ12を0.2×STEで作製した1%のSDS緩衝液15μl で5回洗浄し、5mlの同緩衝液中に室温にて10分間浸漬した。 最後に、該チップを0.2×STEで5回洗浄した。 【0043】 図8Aはイー・コリから放出させたプラスミドDNAの電子的に強化した標的捕捉についてのハイブリダイゼーション・コントロール37を示し、図8Bはイー・コリからのプラスミドDNAの試料38をさらなるプローブに電子的にハイブリダイズさせるサンドイッチ・アッセイ後の結果を示す。 図8Aが示すごとく、オリゴヌクレオチド・プローブの固定化法は予想どおりに作動し(すなわち、 固定化プローブはオリゴヌクレオチドを捕捉した)、しかも、図8Bに示すごとく、電気溶解から得た熱処理プラスミドDNA38は、高い再現性で、かつ酵素増幅プロセスを含む必要なしに、ハイブリダイゼーション・ベースのアッセイに直接用い得る。 【0044】 ついで、RNAハイブリダイゼーションを行った。 16S RNAに特異的なオリゴヌクレオチド捕捉プローブ5'−XGAGTTGCAGACTCCAATCCGGACTACGACG CACTTT A-3'をその3'末端でビオチンと合体させた。 該プローブを50mMのL−ヒス チジン緩衝液に希釈して、最終濃度500nMとした。 捕捉プローブは、正にバイアスした基部電極とストレプトアビジンを含む試験マイクロロケーションに固定化した。 バイアスは、各電極の電流を1分間、200nAに維持することによって行った。 その後に、残存するプローブ溶液を除去し、チップを50mMのL −ヒスチジン緩衝液で洗浄した。 コントロール用のプローブ(ATA5およびG ASプローブ)の固定化は、前記したのと同一のプロトコールを用いて行った。 【0045】 コントロールを試験するために、捕捉プローブATA5に特異的な合成RCA 5オリゴヌクレオチド標的を、各電極の電流を3分間、450nAに維持することによって、固定化ATA5プローブおよび隣接する非特異的GASプローブの双方に同時に電子的にハイブリダイズさせた。 合成オリゴヌクレオチド標的5'-A ATGGCGCATACAAAGAGAAGCGACCTCGCGAGAGCAAGCGGACCTCATAAAGTGCGTCGTAGTCCGGATTGG AGTATGCAACTCG-3'の捕捉は、前記したごとく行った。 16S RNAのハイブリダイゼーションを促進するために、プロテインキナーゼK処理したライゼートのフラクションをL−ヒスチジン緩衝液に各々3倍および5倍希釈した。 プラスミドDNAハイブリダイゼーションにつき前記で使用した希釈ライゼート試料をここでも用いた。 捕捉プロセスが終了したら、新鮮なトリス−リン酸緩衝液(20 mMのトリス−塩基、20mMの二塩基性リン酸ナトリウム、pH9.0)を負 荷してL−ヒスチジン緩衝液を置き換えて、電子的ストリンジェンシー洗浄を行った。 L−ヒスチジン緩衝液で電子的ストリンジェンシー洗浄を単純に行うことは非−特異的に捕捉されたRNAを減少させるのには不十分であったが、トリス−リン酸緩衝液を用いた場合は、L−ヒスチジン緩衝液と共に用いた電場条件よりもより温和な条件でさえも非常に有効であった。 洗浄は、70のDCパルス( パッド当たり750nAを0.1秒間入れ、0.2秒間切る)を列に同時に加えることによって行った。 【0046】 サンドイッチ・アッセイを行うために、レポーター・プローブのハイブリダイゼーションは以下のごとく行った。 チップを、超音波処理した変性子ウシ胸腺D NA(100μg/ml、Sigma社製,St.Louis,MO)を含有する1×STE緩 衝液に室温にて5分間浸漬した。 その後に、緩衝液を排出し、15μlの混合溶液(前記した子ウシ胸腺DNAを含有する1×STE緩衝液中の500mMのレポーター・プローブ)をチップ上に置き、室温にて5分間維持した。 ついで、該チップを0.2×STEを用いて作製した1%のSDS緩衝液15μlで5回洗 浄し、5mlの同緩衝液に室温にて10分間浸漬した。 最後に、チップを0.2 ×STEで5回洗浄した。 図9Aは、イー・コリから放出されたリボソームRNAの電子的に強化した標的捕捉についてのハイブリダイゼーション・コントロール39aを示し、図9B はイー・コリからのリボソーム16S RNA39bをさらなるプローブに電子的にハイブリダイズさせたサンドイッチ・アッセイ後の結果を示す。 図9Aが示すごとく、オリゴヌクレオチド・プローブの固定化法は予想どおりに作動し(すなわち、固定化プローブがオリゴヌクレオチドを捕捉した)、しかも、図9Bに示すごとく、電気溶解から得た熱処理リボソームRNA39bは、高い再現性で、かつ酵素的増幅プロセスを含む必要なしに、ハイブリダイゼーション・ベースのアッセイに直接使用し得る。 【0047】 子宮頸癌腫試験 前記したごとく、カートリッジ10を用いて、混合物中の末梢血液細胞から培養子宮頸癌腫細胞(HeLa細胞)を分離し、単離した。 まず、よく知られた技術を用いて細胞培養物を調製した。 ヒト子宮頸癌由来の上皮性癌腫セルライン(HeLa)は、University of Califoria at San Diego のコア細胞培養施設によって調製した。 増殖培地(250ml)は、RPMI1 640(222.5ml、BRL Life Technologies社製)にL-グルタミン(2. 5ml、BRL Life Technologies社製)およびウシ胎仔血清(25ml、Gemini Bio-Products)を添加することによって調製した。 増殖不能につき該培地を試験するために、その一部(3ml)をコニカルチューブ(15ml)に取り、キャップを緩めてそのチューブを5% CO 2インキュベーター(National社製)中、 37℃にて1週間置いた。 該チューブは汚染につき1週間毎日チェックした。 つぎに、細胞の凍結バイアル(1.0ml)を37℃のウォーターバス中で振とう させることによって迅速に解凍した。 ついで、等容量の予め温めた培地を直ちに細胞に添加し、その混合物をコニカルチューブ(15ml)に移した。 さらなる部の培地(6ml)を細胞に添加して、最終容量8mlとした。 1100rpm にて2分間の遠心分離によって細胞をペレット化した。 その上清を除去し、細胞ペレットを新鮮な培地(10ml)に再懸濁させた。 その細胞懸濁液を5% C O 2存在下、37℃にてインキュベートした。 細胞をトリプシン処理し、ついで 直ちに使用するための新鮮な培地にそれを再懸濁することによって細胞を収集した。 細胞の計数は1×10 6 /mlであった。 【0048】 ついで、細胞混合物をよく知られた技術を用いて調製した。 細胞分離緩衝液は、0.0025×TBE(225nMのトリス、225nMのホウ酸、5nMの EDTA、pH8.2)、250mMのスクロースを含んでいた。 該緩衝液の導 電率は、Accumet pH Meter 50(Fisher Scientific社製,Pittsburgh,PA)によって測定して10μS/cmであった。 細胞分離用の緩衝液誘電率を注意深く選択して、HeLa細胞が正の誘電泳動に確実に付され、全ての正常血液細胞が負の誘電泳動に確実に付されるようにした。 培養したHeLa細胞懸濁液(1ml )を325×gにて4分間遠心分離し、上清を除去した。 細胞ペレットを細胞分離緩衝液(1ml)中で洗浄し、前記と同一の条件を用いてペレット化した。 ついで、HeLa細胞を細胞分離緩衝液(1ml)に再懸濁した。 新鮮なEDTA −抗凝固処理したヒト血液(1ml)を400×gにて5分間遠心し、上清を除去した。 パックされた細胞(packed cell)(5μl)を取り出し、HeLa細 胞懸濁液(1ml)に添加した。 【0049】 この試験で用いた誘電泳動系は、それが検出において支援するためのレーザーをも含んでいた以外は、前記のものと同様である。 カートリッジ10は、分析プローブ・ステーション(Model 6000 Micromanipulator,Carson City,NV)上に置いた。 レーザー励起は、斜角から光ファイバーを介した2のHe-Ne 59 4−nmレーザー(6mW出力;Research ElectroOptics社製,Boulder,CO) によって伝搬した。 イメージ信号は、8×対物レンズ(開口数0.15)および 630±25nmバンドパス・フィルターを通して冷カラー(cooled color)電荷結合素子(CCD)カメラ(DEI-750T,Optronics International社製,Chelm sford,MA)によって収集した。 イメージの獲得は、Macintosh compatible Star Max 3000/200上、フレームグラバー(Scion社製,Frederick,MD)およびIPLab 3.1.1. ソフトウェアによって達成した。 流体ポンプ輸送は、ペリスタポンプ (Model RP-1,Rainin Instruments社製,Woburn,MA)を用いて行った。 電極信号は、関数/アービトラリー波形発生器(Model HP33120A,Hewlett Packard社 製,Santa Clara,CA)から発生させて、オシロスコープ(Model HP54600,Hewl ett-Packard社製)によってモニターした。 【0050】 HeLa細胞を血液細胞から誘電泳動的に分離した。 まず、チップ12を、フローチャンバーを通して分離緩衝液をポンプ輸送することによって洗浄した(これにより、チップ浸透層を濡らし、チャンバー中のいずれのエアをも除去することが助けられる)。 図10Aは洗浄後のチップ12の表面を示す。 つぎに、細胞混合物をフローチャンバーにポンプ輸送し、ポンプのスイッチを切った。 電極2 4の全体アレイを、30KHzの6ボルトのピークからピークのシヌソイド信号を加えることによって、前記したチェッカー盤形式でアドレス指定した。 図10 Bに示すごとく、末梢ヒト血液細胞32(フィールド最小25の電極間に収集した)からHeLa細胞31(フィールド最大の電極24に収集した)の分離は、 ほぼ3分で完了した。 細胞試料を試料/緩衝液貯蔵部からほぼ排出したら、AC 信号をいまだ入れたまま、分離緩衝液を添加してフローセルを通してポンプ輸送し試料の残部を洗浄し、これによっていずれのさならるHeLa細胞をも電極2 4に付着させ保持されるべきフローチャンバーに運搬され、洗い流すべき電極間に収集された末梢ヒト血液細胞を洗浄した。 図10Cはこの洗浄工程後のチップ表面を示す。 【0051】 電極上の細胞がHeLa細胞であって末梢リンパ球ではないことを確認するために、同一の血液から軟膜細胞を調製し、同分離緩衝液で洗浄し、同誘電泳動条件に付した。 この実験においては、リンパ球は電極間のフィールド最小に運動し、電極から離れることが示され、HeLa細胞が電極上に存在することが示された。 ついで、単離したHeLa細胞は以下のごとく蛍光染色を通して染色した。 核酸結合蛍光色素であるヨウ化プロピジウム(2μl、1mg/ml;Molecular Probes社製,Eugene,OR)を分離緩衝液(100μl)に添加した。 細胞単離プロセスを終えたら、染色緩衝液をフローセルにポンプ輸送した。 染色プロセスは図10Dに示す蛍光イメージを獲得する前に約60秒かかった。 得られたイメージにより、80μmであることが知られている電極の直径に対する細胞のサイズを比較することによって、個々の細胞の直径を測定し得た。 電極に対する単離細胞の見積りサイズは、17ないし34μmで変動し、このことは、倒立顕微鏡下でHeLa細胞を見ることから得た概算値と一致する。 加えて、これらの細胞の形状は、それがHeLa細胞であることを確認するリンパ球と比較してよく決定した。 単離したHeLa細胞は溶解し得、所望により、前記したごとき酵素反応(群)に付し得る。 細胞の対流運動は、前記の誘電泳動分離プロセスの間に全く観察されなかった。 前記したごとく、これにより、電極によって最初に保持された細胞の乱れを最小限にとどめ、かつ洗い流すことが助けられる。 【0052】 さらなるデザイン 図11Aおよび11Bは、細胞分離、細胞溶解、DNA/RNAの酵素除タンパク質プロセス、ならびに/またはDNAもしくはRNAハイブリダイゼーションを行うための自己含有カートリッジ10のデザインの断面図を示す。 カートリッジ10には、マイクロチップ12上のU−形状のフローセル・チャンバー16 が含まれる。 マイクロチップ12には、U−形状チャンバーの1のアーム40a 中の25の電極24aおよび4のカウンター電極34aのアレイならびにU−形状チャンバーのもう1のアーム40b中の9の電極24bのアレイが含まれる。 該電極アレイ中に用いる電極の数が本明細書に示すものとは異なり得、本明細書は例示的な電極の数を示し、それに限定されるものではないことは注記しておく。 管系18a、18bおよび18cは、フローチャンバー16へのおよびフローチャンバーからの流体連通を供する通路42a、42bおよび42cでフローチャンバー16に結合する。 【0053】 図11Aおよび11Bに示すごときU−形状のフローチャンバーの1の利点は、試料を物理的に取り出しおよび/または再導入することなく、実質的に異なるチャンバーで異なるプロセスを行い得ることである。 例えば、図11Aに示すごとく、管系18cを閉じ、試料を管系18aを通してに導入する。 目的細胞の単離および溶解は、前記したごとく電極24で起こる。 ついで、図11Bに示すごとく、管系18aを閉じ、管系18cを開く。 望ましい部のライゼートは、フローセルを通る流動およびセル16中の種々の電極の電気的荷電を操作することによって、U−形状チャンバーのアーム40aからアーム40bに運動する。 ついで、例えば、電極24bにおいて、ライゼートをハイブリダイゼーションまたは幾つかの他の酵素反応に付す。 この区画化アプローチは、完全に洗い流されなかったライゼート中の望ましくないフラグメントからの妨害を回避するさらなる利点を有する。 【0054】 図12A−Dは、本発明に取り込み得る4の異なるマイクロチップのデザインの概略図である。 図12Aは誘電泳動および電気溶解の双方につき最適な電極寸法を調べるためのチップのデザインを示す。 微小電極によってカバーされるより広範な領域を有する新たにデザインされたチップを用いることにより、目的細胞のより高い収量をより短時間で達成し得ると考えられる。 図12Bは、前記した誘電泳動および進行波ポンプ輸送特徴を合するチップのデザインを示す。 図12B中に示すチップのデザインは、(中央の微小電極アレイを用いて)細胞の誘電泳動分離の間に(正面向きの電源を用いて)進行波を加えることによって、導入した細胞懸濁液の円形運動を供する。 図12Cおよび12Dは、細胞を分離し、輸送するための進行波の使用を評価するためのチップのデザインを示す。 【0055】 本発明のある種の具体例を詳細に示し、説明したが、当業者であればこれらの教示に鑑みて、添付した請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、これらにある種の変化および修飾を作成し得ることは容易に明らかであろう。 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は、マイクロチップならびに流体管系および検出ウインドーを含むフローチャンバーを載せた本発明のデバイスの上面図を示す。 【図2】 図2は、幾つかの円形電極およびカウンター電極を示す浸透層で被覆されたチップの概略図である。 【図3A】 図3Aは、各電極がその最も近い隣接する電極とは反対のバイアスを有する円形電極の5×5配置のチェッカー盤スタイルの電子的アドレス指定の概略図である(5×5配置の使用は説明目的のためのみであって、アレイは25よりも多いまたは少ない電極を有し得る)。 【図3B】 図3Bは、図3Aに示したチェッカー盤スタイルのアドレス指定に対応するA Cフィールド分布のコンピュータモデルの概略図であり、ここでは電場の規則的分布が各電極におけるフィールド最大および電極間の領域におけるフィールド最小で得られる。 【図3C】 図3Cは、円形電極の5×5配置の四角形壁スタイルの電子的アドレス指定の概略図であり、ここでは同一の四角形フレーム上の電極が最も近い隣接する四角形フレーム(群)上の電極とは反対である同一のバイアスを有する。 【図3D】 図3Dは、図3Cに示した四角形壁スタイルのアドレス指定に対応するACフィールド分布のコンピュータモデルの概略図である。 【図4A】 図4Aはチップの詳細な図を示す。 【図4B】 図4Bは、図3Aおよび3Bに示したチェッカー盤スタイルの電子的アドレス指定を用いて図4Aに示したチップの幾つかの電極上に保持され、ヒトの血液細胞(赤血球および白血球の双方)から分離されたイー・コリ(E.coli)細胞の試 料を示す。 【図5】 図5はヒト血液細胞を洗い流した後の図4Bの保持されたイー・コリを示す。 【図6】 図6は、図4Bおよび5に示したイー・コリ細胞から放出され、DC波を加えることによって濃縮した核酸の試料を示す。 【図7】 図7は、図6の核酸のアガロースゲル電気泳動によって分析した後に撮った写真像を示し、ゲノムDNAから、超コイル形成プラスミドDNAおよびRNAにわたる全スペクトルの核酸が電気溶解後に細胞から放出されたことを示している。 【図8A】 図8Aはイー・コリから放出されたプラスミドDNAの電子的に強化したハイブリダイゼーションによる特異的な捕捉を示すためのハイブリダイゼーション制御を示す。 【図8B】 図8Bは、図8Aのハイブリダイゼーション制御、およびイー・コリからのプラスミドDNAの試料をさらなるプローブに電子的にハイブリダイズさせるサンドイッチ・アッセイ後の結果を示す。 【図9A】 図9Aはイー・コリから放出されたリボソームRNAの電子的に強化したハイブリダイゼーションによる特異的な捕捉を示すためのハイブリダイゼーション制御を示す。 【図9B】 図9Bは図9Aのハイブリダイゼーション制御、およびイー・コリからのリボソーム16S RNAをさらなるプローブに電子的にハイブリダイズさせるサンドイッチ・アッセイ後の結果を示す。 【図10A】 図10Aは洗浄後の本発明のチップの表面の図である。 【図10B】 図10Bは、図3Aおよび3Bに示したチェッカー盤スタイルの電子的アドレス指定を用いて図10Aに示したチップの電極上に保持され、ヒト血液細胞(赤血球および白血球の双方)から分離されたHeLa細胞の試料を示す。 【図10C】 図10Cはヒト血液細胞を洗い流した後の図10BのHeLa細胞の試料を示す。 【図10D】 図10Dは染色後の図10Bおよび10CのHeLa細胞の試料を示す。 【図11Aおよび11B】 図11Aおよび11Bは、細胞分離、細胞溶解、DNA/RNAの酵素除タンパク質プロセス、ならびに/またはDNAもしくはRNAハイブリダイゼーションを行うためにデザインされた自己含有(self−contained)フローチャンバー の断面概略図である。 【図12A−D】 図12A−Dは、各々、4の異なるマイクロチップのデザインの模式図である。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) B03C 5/00 C12Q 1/68 A C12N 15/09 G01N 33/53 C12Q 1/68 37/00 101 G01N 33/53 27/26 331A 37/00 101 C12N 15/00 A (72)発明者 エドワード・エル・シェルドン・ザ・サー ド アメリカ合衆国92131カリフォルニア州サ ンディエゴ、バーチ・ブラッフ・プレイス 12515番 (72)発明者 レイ・ウー アメリカ合衆国92128カリフォルニア州サ ンディエゴ、ケイプウッド・レイン14021 番 (72)発明者 ジェイムズ・ピー・オコーネル アメリカ合衆国92014カリフォルニア州デ ル・マー、ホスカ・ドライブ682番 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA41 CA01 GA27 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ01 QQ16 QQ18 QQ42 QQ52 QQ96 QR55 QR82 QS02 QS15 QS16 QS20 QS28 QX04 4D054 FA10 FB01 FB09 FB20 4G057 AB00 AB38 4G075 AA13 BB03 CA12 CA20 DA01 EB01 EC21 【要約の続き】 した。 |