专利汇可以提供有機EL表示装置及びその製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且TFT(20)を含む駆動回路が形成された表面を有する 基板 (10)と、駆動回路を覆うことによって基板(10)の表面を平坦化する平坦化膜(30)と、平坦化膜(30)の表面上に形成され、駆動回路と接続された第1電極(41)、第1電極(41)の上に形成された有機発光層(43)、及び有機発光層(43)の上に形成された第2電極(44)を有する有機発光素子(40)と、を備えている。そして、平坦化膜(30)は、TFT(20)の上に積層された無機絶縁膜(31)及び有機絶縁膜(32)の2層構造からなり、かつ、コンタクト孔(30a)の内部にチタン層(411)及び銅層(412)を含む導体層(410)が埋め込まれると共に、導体層(410)と電気的に接続して第1電極(41)が形成されている。,下面是有機EL表示装置及びその製造方法专利的具体信息内容。
薄膜トランジスタを含む駆動回路が形成された表面を有する基板と、 前記駆動回路を覆うことによって前記基板の前記表面を平坦化する平坦化膜と、 前記平坦化膜の表面上に形成され、前記駆動回路と接続された第1電極、前記第1電極の上に形成された有機発光層、及び前記有機発光層の上に形成された第2電極を有する有機発光素子と、 を備え、 前記平坦化膜は、前記薄膜トランジスタの上に積層された無機絶縁膜及び有機絶縁膜の2層構造からなり、かつ、 前記駆動回路と前記第1電極との接続が前記平坦化膜に形成されたコンタクト孔の内部に埋め込まれた導体層を介して行われ、かつ、前記導体層がチタン層及び銅層を含み、前記導体層と電気的に接続して前記第1電極が形成されている、有機EL表示装置。前記有機絶縁膜が、感光性樹脂である、請求項1に記載の有機EL表示装置。前記平坦化膜の表面が、研磨によって算術平均粗さRaで50nm以下に形成されている、請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。前記コンタクト孔の内部に埋め込まれた前記導体層の表面が、研磨によって算術平均粗さRaで50nm以下に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。前記第1電極がAg又はAPCとITOを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。前記第1電極が、前記コンタクト孔内に埋め込まれた前記導体層の上に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。前記第1電極のAg又はAPCが前記コンタクト孔の内部に埋め込まれた前記Ti層又はCu層と接続され、前記ITO層が前記有機発光層との界面に形成されている、請求項5に記載の有機EL表示装置。基板の上に、薄膜トランジスタを含む駆動回路を形成する工程と、 前記駆動回路の表面に無機絶縁膜と有機絶縁膜を含む平坦化膜を形成した後、前記平坦化膜に前記薄膜トランジスタの一部を露出させるコンタクト孔を形成する工程と、 前記コンタクト孔の内面及び前記有機絶縁膜の表面にチタン層及び銅層からなる導体層を形成する工程と、 前記有機絶縁膜の表面上の前記導体層を研磨によって除去し、さらに前記有機絶縁膜の表面をCMP研磨することによって平坦化する工程と、 前記有機絶縁膜の表面に前記コンタクト孔の内部に形成された前記導体層と接続されるように第1電極を形成する工程と、 前記第1電極の上に有機発光層を形成する工程と、 前記有機発光層の上に第2電極を形成する工程と、 を含む有機EL表示装置の製造方法。前記第1電極の形成工程において、Ag膜又はAPC膜を成膜した後、ITO膜を成膜してからパターニングする、請求項8に記載の製造方法。前記研磨を、酸化セリウム(CeO2)、シリカ(SiO2)又はアルミナ(Al2O3)の微粒子からなる研磨剤を用いて行う、請求項7又は8に記載の製造方法。
本発明は、有機EL表示装置及びその製造方法に関する。
近年、大型のテレビジョン、携帯機器などで、有機EL表示装置が採用される傾向にある。有機EL表示装置は、絶縁基板の上に、各画素の領域にスイッチング素子、駆動素子などの能動素子としての薄膜トランジスタ(以下、TFTともいう)を用いた駆動回路が形成され、その上に各画素の有機発光素子がTFTと接続するように形成されることによって構成されている。有機EL表示装置としては、発光素子の上面を表示面とするトップエミッション型と、絶縁基板の裏面を表示面とするボトムエミッション型とがあり、トップエミッション型では、有機発光素子の表示領域によらず、その下方に前述の駆動回路が形成される。一方、ボトムエミッション型では、表示領域の周縁部に駆動回路が形成される。そのため、駆動回路を形成するスペースが少ない携帯機器などの小型の有機EL表示装置では、トップエミッション型、すなわち、表示領域のほぼ全面の下方にTFTなどの駆動回路が形成されるような構成が多用される。一方、ボトムエミッション型では、画素間のスペースに多少余裕のある大型のテレビジョンなどに適している。
TFTなどによって駆動回路が形成されるとその表面が凸凹になる。その上に有機発光素子が形成されるので、駆動回路の上を、樹脂材料などで被覆することによって平坦化膜を形成している。そうすることによって、表面の平坦化が行われている。この平坦化膜は、従来、TFTが形成された後に、バリア層とする無機絶縁膜が形成され、前述の有機発光素子とTFTとを接続するコンタクト孔をフォトリソグラフィ工程によって形成し、その上に感光性の有機絶縁膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程と、ウェット現像によるコンタクト孔の形成によって得られていた。このように有機絶縁膜を形成することによって、TFTなどの形成による表面の凸凹が平坦化されている。
特許文献1には、アクティブマトリクス型表示装置のピクセルごとのスイッチング素子などに好適な、小さな専有面積と優れたトランジスタ特性とを両立したTFT及びその製造方法が開示されている。これは、同一構成のTFTをCMP処理によって表面の凹凸を20nm以下とされた層間絶縁膜を介して、垂直に複数層のTFTを一体的に形成するものである。すなわち、微細なTFTを形成する際に、浅い焦点深度に対応するために層間絶縁膜の表面の平坦度を20nm以下にするもので、TFTの上に有機発光素子を形成するための平坦化ではない。
特開2017−11173号公報
一方、有機EL表示装置を視認する場合、画素によって、色ムラが生じたり、輝度ムラが発生したりして視認特性が低下する場合がある。本発明者は、この色ムラ又は輝度ムラが生じる原因について鋭意検討を重ねて調べた結果、駆動回路と有機発光素子の第1電極との間の電気的接続が十分でなく、接触(接続)抵抗が増大して電流が十分に流れない場合が生じること、及び有機発光層の表面の平坦性の欠如、に起因していることを見出した。
表示装置の表示画面で、たとえ、不点灯領域、常時点灯領域又は輝線といった明確な表示上の欠陥が無くても、前述したような輝度ムラ及び/又は色ムラに起因する表示ムラが生じると、表示品位が低下するという問題がある。
さらに、有機発光層の表面に反射率の大きい層を設けてマイクロキャビティにすることによって発光出力を高めることも行われるが、前述した平坦度の低下があり、有機発光層の表面に凹凸があると、反射層にも凹凸が形成され、乱反射して完全な共振器とすることができず、出力の増大を得ることができなくなるという問題もある。
一方、微細なTFTを製造するための平坦性を必要とするものではないので、前述した特許文献1に記載されているような表面平坦度が20nm以下という厳しい平坦度でなくても、有機発光層で発光する光が、ほぼ正面を中心に発光する程度に平坦になっていればよい。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、有機EL表示装置の色ムラ及び/又は輝度ムラを抑制することで表示品位を向上させた有機EL表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態の有機EL表示装置は、薄膜トランジスタを含む駆動回路が形成された表面を有する基板と、前記駆動回路を覆うことによって前記基板の前記表面を平坦化する平坦化膜と、前記平坦化膜の表面上に形成され、前記駆動回路と接続された第1電極、前記第1電極の上に形成された有機発光層、及び前記有機発光層の上に形成された第2電極を有する有機発光素子と、を備え、前記平坦化膜は、前記薄膜トランジスタの上に積層された無機絶縁膜及び有機絶縁膜の2層構造からなり、かつ、前記コンタクト孔の内部にチタン層及び銅層を含む導体層が埋め込まれると共に、前記導体層と電気的に接続して前記第1電極が形成されている。
本発明の他の実施形態の有機EL表示装置の製造方法は、基板の上に、薄膜トランジスタを含む駆動回路を形成する工程と、前記駆動回路の表面に無機絶縁膜と有機絶縁膜とを含む平坦化膜を形成した後、前記薄膜トランジスタの一部を露出させるコンタクト孔を前記平坦化膜に形成する工程と、前記コンタクト孔の内面及び前記有機絶縁膜の表面にチタン層及び銅層からなる導体層を形成する工程と、前記有機絶縁膜の表面上の前記導体層を研磨によって除去し、さらに前記有機絶縁膜の表面をCMP研磨することによって平坦化する工程と、前記有機絶縁膜の表面に前記コンタクト孔の内部に形成された前記導体層と接続されるように第1電極を形成する工程と、前記第1電極の上に有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層の上に第2電極を形成する工程と、を含んでいる。
本発明の実施形態によれば、駆動回路と有機発光素子との電気的接続が画素によらず確実に行われると共に、低抵抗で接続されるので、各画素が均一に高輝度で発光する。さらに、平坦化膜の表面が平坦にされてその表面に有機発光素子の第1電極がスパッタリングなどによって形成されているので、有機発光層の表面も平坦で、微視的に見ても発光面の凹凸による傾斜面はなく発光中心の光は表示画面に向かって発光する。そのため、輝度ムラ及び/又は色ムラなどが抑制され、有機EL表示装置の表示品位を大幅に向上させることができる。
本発明の一実施形態の有機EL表示装置の断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示すフローチャートである。
図2Aの工程をさらに詳細に説明するフローチャートである。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例1の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例2の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
図1の実施例2の有機EL表示装置の製造工程を示す断面図である。
次に、図面を参照しながら本発明の一実施形態である有機EL表示装置が説明される。図1に一実施形態の有機EL表示装置の一画素分(厳密には、一画素中の赤、緑、青のサブ画素であるが、本明細書では、これらのサブ画素も含めて一画素ということもある)の概略の断面図が示されている。
本発明の一実施形態の有機EL表示装置は、図1にその断面の説明図が示されるように、TFT20を含む駆動回路が形成された表面を有する基板10と、駆動回路を覆うことによって基板10の表面を平坦化する平坦化膜30と、平坦化膜30の表面上に形成され、駆動回路と接続された第1電極41、第1電極41の上に形成された有機発光層43、及び有機発光層43の上に形成された第2電極44を有する有機発光素子40と、を備えている。そして、平坦化膜30は、TFT20の上に積層された無機絶縁膜31及び有機絶縁膜32の2層構造からなり、かつ、コンタクト孔30aの内部にチタン(以下、Tiともいう)層411及び銅(以下、Cuともいう)層412を含む導体層410が埋め込まれると共に、導体層410と電気的に接続して第1電極41が形成されている。
すなわち、本実施形態の有機EL表示装置では、TFT20のソース電極25と接続するためのコンタクト孔30a内に埋め込まれる導体層410がTi層411とそのTi層411を通電層として電気めっきによって形成された銅層412とで形成され、その導体層410に接続して有機発光素子40の第1電極41が形成されていることに特徴がある。Ti層は、例えばスパッタリングなどによって形成されているので、少々段差や凸凹があっても、コンタクト孔30aの内面に付着する。そのため、そのTi層411に電流を流すことによって、電気めっきがなされれば、その表面の全面に銅が析出する。その結果、小さなコンタクト孔であっても、その表面の全体及びコンタクト孔30aの内部の全体にも銅が析出し、コンタクト孔30a内は銅によって埋め込まれる。その結果、コンタクト孔30aに段差などがあっても、また、コンタクト孔30aの内部に金属膜が形成されてコンタクト孔30aが小さくなっても、その内部全面に隙間なく銅が埋め込まれる。しかも、銅は電気抵抗が小さいので、TFT20と第1電極41とは、非常に優れた導体層410を介して接続されることになる。
前述したように、本発明者は、有機EL表示装置の色ムラ及び/又は輝度ムラが生じる原因について鋭意検討を重ねて調べた結果、駆動回路のTFT20と有機発光素子40の第1電極41とを接続するコンタクト孔30aの内部の導体層410が低抵抗に形成されていないこと、及び導体層410と第1電極41とが低抵抗で接続されていないこと、さらに有機発光素子40の有機発光層43の面に凹凸があり、微視的には、有機発光層43の表面が傾いて完全な平坦ではなく、微視的にみると傾いている部分があり、傾いていると、有機発光層43の表面の法線方向が表示面の法線方向に対して傾いていることに起因していることを見出した。すなわち、接続部分に抵抗があると、電流の損失が生じて輝度が低下すること、及び発光面に傾いている面があると、表示面と垂直方向から視認する場合、発光光が斜め方向に進む画素の光は認識し難くなり、輝度の低下又は混色の色が変化することになる。すなわち、発光する光は、その法線方向に最も輝度が大きく法線方向から傾くにつれてその輝度は低下する。スマートフォンなどの小型の表示装置では、このサブ画素の大きさは、一辺が数十μm程度と非常に小さい。そのため、僅かな凹凸があっても有機発光層43の表面に凸凹のあるサブ画素では、正面に対する発光が非常に弱くなる。
従来は、このような色ムラ及び/又は輝度ムラの対策としては、表示パネルの表示領域内及び/又は外縁に補償用のTFTを作り込んでおいて、製品になった後の検査で色ムラ及び/又は輝度ムラがある画素の輝度を回路によって調整することが行われている。そのため、駆動回路が複雑になるという問題もある。
さらに、詳述すると、従来のTFT20と第1電極41とは、平坦化膜に形成されたコンタクト孔内にITO膜と銀(以下、Agともいう)などをスパッタリング又は真空蒸着などによって埋め込むことで接続されていた。しかし、このコンタクト孔は、直径が、例えば5μm程度と小さい。しかも、平坦化膜は、無機絶縁膜と有機絶縁膜の少なくとも2層構造で形成されており、2層を同時にエッチングしても無機絶縁膜と有機絶縁膜とでエッチングレートが異なるため、その界面で段差又はアンダーカットが生じやすい。有機絶縁膜に感光性樹脂を用いて、無機絶縁膜のコンタクト孔と有機絶縁膜のコンタクト孔を別々に形成しても、コンタクト孔のパターンが全く一致することは難しく、段差が生じやすい。このコンタクト孔にはITOとAg又はAPCなどがスパッタリング又は真空蒸着などによって埋め込まれると、孔が小さくなるにつれてコンタクト孔内に金属が入り難くなる。その結果、空隙も多くなり、TFTのソース電極と有機発光素子の第1電極などとの間の電気抵抗が増大する場合があることを本発明者は見出した。このような電気抵抗が増大した画素の輝度は低下し、輝度ムラになることを本発明者は見出した。
また、有機発光素子は、前述のように、駆動回路が形成されたTFTなどの上に、表面を平坦にする平坦化膜の上に形成される。この有機絶縁膜の表面は、一応平坦になっており、従来は、これで問題はないと考えられていた。しかし、本発明者が鋭意検討を重ねて調べた結果、有機絶縁膜表面は、非感光性の樹脂を用いても、算術平均粗さRaで、100〜300nm程度あり、従来一般的に用いられている感光性樹脂では、これよりもさらに凹凸が生じていることが分り、この表面に有機発光素子の電極及び有機発光層を形成すると、有機発光層の表面も同程度の表面粗さになっていた。有機発光層の表面に凸凹が生じると、微視的に見た光の進む向きは区々になる。そのため、正面から表示画面を見ると、斜め方向に進む光は視認され難くなり、色ムラ及び/又は輝度ムラになることを見出した。
そこで、本発明者は、コンタクト孔30a内に埋め込む導体層410をスパッタリングなどによって形成されるTi層411と、このTi層411をシード層として電気めっきによって形成されるCu層412とで形成することによって、コンタクト孔30a内に完全に導体を埋め込むことができ、低抵抗にすることができることを見出した。すなわち、Ti層411がコンタクト孔30a内にスパッタリングなどによって形成されても、コンタクト孔30a内に金属膜が形成される初期の段階であるため、コンタクト孔30aも大きく均一に形成され、その後は、電気めっきによるCu層であるため、コンタクト孔30aが小さくなってもめっき液が浸み込みやすく、全面に均一にCu層412も形成される。なお、Ti層411は、CuがTFT20に侵入するのを防止する機能を有している。
このTi層411の形成は、スパッタリングなどによって形成されるため、コンタクト孔30aの内部のみならず、有機絶縁膜32の上にも全面に形成される。そのため、有機絶縁膜32の表面の導体層410は除去される必要がある。しかし、Cu層412は化学的に安定しているため、エッチングをし難い。一方、前述したように、この有機絶縁膜32の表面の平坦度も輝度ムラなどの表示ムラの原因になっていることを本発明者は見出した。そのため、この有機絶縁膜32の上に形成された銅層412を研磨によって除去し、さらに、銅層412及びTi層411の研磨によって露出する有機絶縁膜32も研磨する。その際、前述したように微細な凹凸のある表面を表面粗さが算術平均粗さRaで50nm以下となるように研磨することによって、前述した表面粗さによる色ムラ及び/又は輝度ムラを抑制することができる。換言すると、本実施形態では、コンタクト孔30aの内部に埋め込む金属がTi層411と銅層412で形成され、さらに好ましくは、平坦化膜30の表面が研磨され、算術平均粗さRaで50nm以下に形成されていることに特徴がある。
表面粗さは、小さいほど好ましいが、前述した特許文献1に示されるように、20nm以下という平坦度にする必要はなく、算術平均粗さRaで20nm以上であっても、接続抵抗が安定して十分に小さければ、色ムラ又は輝度ムラが殆ど現れないことを見出した。すなわち、表面粗さは小さいほど好ましいので下限は設定されないが、表面粗さを小さくするには、研磨作業が大変になるので、20nm以上で、50nm以下の表面粗さにすることが好ましい。
(有機EL表示装置の構造) 次に、図1に示される有機EL表示装置について具体的に説明がされる。
基板10は、基板面を表示面として表示画像を視認するボトムエミッション型の場合には、有機発光層43で発光した光を透過させる必要があり、透光性の材料で、絶縁性の基板が用いられる。具体的には、ガラス基板又は、ポリイミドなどの樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムが用いられることによって、有機EL表示装置を可撓性にすることができ、曲面などに貼り付けることも可能になる。
基板10がガラス基板の場合は必要ないが、基板10がポリイミドのような樹脂フィルムの場合には、表面が結晶性でなく、半導体層などと反応しやすいため、ベースコート層11が形成される。ベースコート層11としては、例えばプラズマCVD法によってSiO2を500nm厚/SiNxを50nm厚/SiO2を250nm厚程度の積層体が形成される。
ベースコート層11の上にTFT20を含む駆動回路が形成されている。図1では、陰極配線27のみが示されているが、その他のゲート配線及び信号配線なども同様に形成されている。そして、その上にTFT20が形成されている。図1では、発光素子40を駆動するTFT20のみが示されているが、その他のスイッチングTFTなど、他のTFTも同様に形成されている。この駆動回路は、有機EL表示装置が基板10と反対面を表示面とするトップエミッション型の場合は、有機発光素子40の発光領域の下方の全面に亘って形成され得る。しかし、基板10側を表示面とするボトムエミッション型では、有機発光素子40の発光領域の下方にTFTなどを形成することはできない。そのため、TFTなどは発光領域と平面的に重なる部分の周縁部に形成される必要がある。この場合、周縁部のTFT又は配線が形成される部分と発光領域の下のTFTなどが形成されない部分との境界部に傾斜面ができるため、発光領域の周縁部で凹凸ができ、表示品位を低下させる原因になる。従って、ボトムエミッション型でも、同様の平坦度が求められる。なお、キャパシタも各画素に形成されるが、広い面積で厚さは薄く発光領域の下に形成されても殆ど微細な凸凹の原因にはならない。
TFT20は、ソース21s、チャネル21c、及びドレイン21dを有する半導体層21と、ゲート絶縁膜22とゲート電極23と層間絶縁膜24とソース電極25とドレイン電極26とで形成されている。ゲート絶縁膜22は、50nm厚程度のSiO2などからなり、ゲート電極23は、250nm厚程度のMoなどの成膜後のパターニングなどによって形成されている。その上には300nm厚程度のSiO2膜と300nm厚程度のSiNx膜からなる層間絶縁膜24が形成され、ソース21s及びドレイン21dと接続するようにソース電極25及びドレイン電極26が形成されることによってTFT20を含む駆動回路が形成されている。なお、層間絶縁膜24が形成される前に、ソース21s及びドレイン21dの電極接続部、及び陰極配線27には、ボロンがドーピングされてp+化され、アニールによって活性化されている。さらに具体的な構造に関しては、後述される製造方法の具体例で説明される。なお、図1に示される例では、ゲート電極23が半導体層21の基板10と反対側に形成されるトップゲートの構造であるが、基板10上にゲート電極23が形成されるボトムゲートの構造でも同様である。
このTFT20を含む駆動回路の表面にバリア層としての200nm厚程度のSiNxなどからなる無機絶縁膜31と、例えばポリイミド又はアクリル樹脂からなる有機絶縁膜32を2μm程度成膜した平坦化膜30が形成されている。この平坦化膜30にコンタクト孔30aが形成され、その中に導体層410が形成されている。このコンタクト孔30aは無機絶縁膜31と有機絶縁膜32を一括して形成されてもよいし、後述されるように、無機絶縁膜31に第1コンタクト孔30a1を形成した後に感光性の有機絶縁膜32を形成してから露光、現像によって第2コンタクト孔30a2が重なるように形成され、コンタクト孔30aとされてもよい。
導体層410は、25〜100nm厚程度のTi層411と、1000〜2000nm厚程度のCu層412とで形成されている。Ti層411は、スパッタリングなどで全面に形成されているので、コンタクト孔30a内に段差があっても隙間なく形成される。Cu層は、Ti層411を電流供給層(シード層)として電気めっきされることによって、形成されている。従って、コンタクト孔30a内に段差があっても、切れ目なく連続して低抵抗の導体層410になる。有機絶縁膜32の上に形成された導体層410はCMPなどの研磨によって除去され、さらに有機絶縁膜32の表面も研磨されている。その研磨は、算術平均粗さRaで50nm以下の平坦度にされていることが好ましい。
この平坦にされた平坦化膜30の表面にAg層413又はAPC(Ag-Pd-Cu合金)層がスパッタリングなどによって100nm程度の厚さに成膜され、さらにその表面にITO層414が成膜された後に、フォトリソグラフィ工程によってパターニングされることによって有機発光素子40用の第1電極41が形成されている。この第1電極41は、コンタクト孔30aの形成されていない平坦化膜30の上に形成することには制約されない。すなわち、通常コンタクト孔30a上の導体層410にはコンタクト孔30aの窪みによる凹みができるが、前述した研磨によって、その凹みの部分も研磨されて平坦になる。そのため、このコンタクト孔30aの埋め込まれた導体層410の上に第1電極41が形成されても、第1電極41の表面の平坦性は、有機絶縁膜32の研磨された表面の平坦性を維持する。その結果、このコンタクト孔30aが有機発光素子40の発光領域の下に形成されても何ら問題は無い。むしろこのコンタクト孔30a内に埋め込まれた導体層410上に第1電極41が形成され、さらに有機発光素子40が形成されることによって、第1電極41と導体層410との間の電気抵抗は小さくなると共に、画素を構成する有機発光素子40、及び駆動回路のTFT20の配置の自由度が向上し、より画素サイズ及び画素ピッチを小さくすることができ、かつ、表示品位が良好で高精細な有機EL表示装置が得られるという効果を奏する。
このAg又はAPCは、導体層410のCuとは非常に馴染みがよく良好に接合される。しかも、Agなどは光反射性が大きいため、有機発光素子40で発光した光を基板10と反対面に反射させるので、トップエミッション型として輝度の大きい表示装置にし得る。また、Ag又はAPCの表面に形成されたITOは、透光性で仕事関数が5eV程度の材料で、有機発光層43との関係で正孔の注入性を向上させる。なお、第1電極(陽極)41は、ボトムエミッション型の場合には、ITO膜が300nm〜1μm程度の厚さに形成される。その第1電極41の周縁部に各画素を区画すると共に、陽極と陰極の絶縁を図るための絶縁材料からなる絶縁バンク42が形成されており、その絶縁バンク42によって囲まれる第1電極41の上に有機発光層43が積層されている。
有機発光層43は、絶縁バンク42に囲まれて露出する第1電極41の上に積層される。この有機発光層43は、図1などでは一層で示されているが、種々の材料が積層されて複数層で形成される。また、この有機発光層43は水分に弱く全面に形成してからパターニングをすることができないため、蒸着マスクを用いて、蒸発又は昇華させた有機材料を選択的に必要な部分のみに蒸着することによって形成される。又は印刷によって有機発光層43が形成されてもよい。
具体的には、例えば第1電極(陽極電極)41に接する層として、正孔の注入性を向上させるイオン化エネルギーの整合性の良い材料からなる正孔注入層が設けられる場合がある。この正孔注入層上に、正孔の安定な輸送を向上させると共に、発光層への電子の閉じ込め(エネルギー障壁)が可能な正孔輸送層が、例えばアミン系材料により形成される。さらに、その上に発光波長に応じて選択される発光層が、例えば赤色、緑色に対してはAlq3に赤色又は緑色の有機物蛍光材料がドーピングされて形成される。また、青色系の材料としては、DSA系の有機材料が用いられる。一方、図示しないカラーフィルタで着色される場合には、発光層は全てドーピングすることなく同じ材料で形成され得る。発光層の上には、さらに電子の注入性を向上させると共に、電子を安定に輸送する電子輸送層が、Alq3などにより形成される。これらの各層がそれぞれ数十nm程度ずつ積層されることにより有機発光層43の積層膜が形成されている。なお、この有機発光層43と第2電極44との間にLiFやLiqなどの電子の注入性を向上させる電子注入層が設けられることもある。これは有機層ではないが、本明細書では、有機層によって発光させるものとして、有機発光層43内に含めている。
前述したように、有機発光層43の積層膜のうち、発光層は、R、G、Bの各色に応じた材料の有機材料が堆積されないで、カラーフィルタによってカラーの表示装置にされてもよい。すなわち、発光層が同じ有機材料で形成され、図示しないカラーフィルタにより発光色が特定されてもよい。また、正孔輸送層、電子輸送層などは、発光性能を重視すれば、発光層に適した材料で別々に堆積されることが好ましい。しかし、材料コストの面を勘案して、R、G、Bの2色又は3色に共通して同じ材料で積層される場合もある。
LiF層などの電子注入層などを含む全ての有機発光層43の積層膜が形成された後に、その表面に第2電極44が形成されている。具体的には、第2電極(例えば陰極)44が有機発光層43の上に形成される。この第2電極(陰極)44は、全画素に亘って、共通で連続して形成されている。この陰極44は、平坦化膜30に形成された第2コンタクト45及びTFT20の絶縁膜22、24に形成された第1コンタクト28を介して、陰極配線27に接続されている。第2電極44は透光性の材料、例えば、薄膜のMg-Ag共晶膜により形成され、水分で腐食しやすいので、その表面に設けられる被覆層46によって被覆されている。陰極材料は仕事関数の小さい材料が好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属などが用いられ得る。Mgは仕事関数が3.6eVと小さいので好ましいが、活性で安定しないので、仕事関数が4.25eVのAgが10質量%程度の割合で共蒸着されている。Alも仕事関数は4.25eV程度と小さく、下地にLiFが用いられることによって陰極材料として十分に使用し得る。そのため、ボトムエミッション型では、この第2電極44にAlを厚く形成し得る。
被覆層(TFE:Thin Film Encapsulation)46は、例えばSiNx、SiO2などの無機絶縁膜からなり、一層、又は二層以上の積層膜によって形成され得る。例えば一層の厚さが0.1μmから0.5μm程度で、好ましくは二層程度の積層膜で形成される。この被覆層46は、異なる材料で多層に形成されるのが好ましい。被覆層46は、複数層で形成されることによって、ピンホールなどができても、複数層でピンホールが完全に一致することは殆ど無く、外気から完全に遮断する。前述のように、この被覆層46は、有機発光層43及び第2電極44を完全に被覆するように形成される。なお、二層の無機絶縁膜の界面に更に有機絶縁膜が形成されていてもよい。
(有機EL表示装置の製造方法) 実施例1 次に、図1に示される有機EL表示装置の製造方法が、図2A〜2Bのフローチャート及び図3A〜3Gの製造工程の図を参照しながら説明される。
まず、図3Aに示されるように、基板10の上に、TFT20を含む駆動回路が形成される(図2AのS1)。具体的には、図2Bにフローチャートが示されるように、基板10の上にベースコート層11が形成される(S11)。ベースコート層11は、例えばプラズマCVD法によって、SiO2層を500nm程度の厚さに形成し、その上にSiNx層を50nm程度の厚さに形成することによって下層を積層し、さらにその上層としてSiO2層を250nm程度の厚さに積層することによって形成される。
その後、ベースコート層11の上に、例えば減圧プラズマCVD法によってアモルファスシリコン(a-Si)層からなる半導体層21が形成される(S12)。その後、例えば窒素雰囲気化、450℃程度で45分間程度のアニール処理行うことによって、ポリシリコン化(LTPS:Low Temperature Poly Silicon)が行われる(S13)。
次に、フォトリソグラフィ工程によって、レジストマスクが形成され、ドライエッチングなどによって半導体層21がパターニングされ、TFT20となる部分の半導体層21と陰極配線27などの配線が形成される(S14)。その後にゲート絶縁膜22が成膜される(S15)。ゲート絶縁膜22は、プラズマCVD法によって、SiO2を50nm程度成膜することで形成される。
その後、例えば減圧プラズマCVD法によって、モリブデン(Mo)などの金属膜が250nm程度の厚さに成膜され、フォトリソグラフィ工程によって、レジストマスクの形成後にドライエッチングがなされることによって、パターニングされることでゲート電極23が形成される(S16)。
その後、半導体層21にソース21s、ドレイン21dが形成される。具体的には、例えばボロン(B+)をドーピングした後、350℃程度で45分間程度のアニール処理をすることによって活性化することで、ソース21s、ドレイン21dの低抵抗化が図られて形成される(S17)。ゲート電極23がマスクになるので、チャネル21cにはボロンイオンは打ち込まれず、ソース21s、ドレイン21dのみに打ち込まれて低抵抗化される。
その後、全面に層間絶縁膜24が形成され、ソース21s、ドレイン21dの一部を露出させるコンタクト孔24aが形成される(S18)。層間絶縁膜24は、例えばプラズマCVD法によって、主にSiO2からなる300nm程度の厚さの下層と、主にSiNxからなる300nm程度の厚さの上層との積層膜によって形成される。コンタクト孔24aは、レジスト膜の形成とフォトリソグラフィ工程によってマスクを形成し、ウェットエッチングを行うことで形成される。
その後、金属を成膜することで、コンタクト孔24a内に金属が埋め込まれると共に、層間絶縁膜24の表面にソース電極25及びドレイン電極26の金属膜が形成される(S19)。ソース電極25及びドレイン電極26の形成は、例えばスパッタリングなどによって、Ti膜を300nm程度と、Al膜を300nm程度積層し、その上にTiを100nm程度積層することによって形成される。層間絶縁膜24の上に形成された金属膜を前述と同様のフォトリソグラフィ工程とウェットエッチングによってパターニングすることによって、半導体層21のソース21s、ドレイン21dにそれぞれ接続されたソース電極25及びドレイン電極26が形成される。なお、このソース電極25及びドレイン電極26の形成と同じ工程で全く同様の方法によって、陰極配線27に接続される第1コンタクト28が形成される。
以上の工程によって、トップゲート型で、トップコンタクト型のLTPSを用いたTFT20を含む駆動回路、すなわちバックプレーンと呼ばれる部分が形成される。しかし、TFT20はこの構造に限定されず、トップゲートでボトムコンタクト構造、ボトムゲートでトップコンタクト構造、又はボトムゲートでボトムコンタクト構造などの他の構造でも用いられ得る。
その後、図3Bに示されるように、駆動回路の表面に平坦化膜30を形成した後、TFTの一部を露出させるコンタクト孔30aが形成される(図2Aに戻りS2)。具体的には、平坦化膜30は無機絶縁膜31と有機絶縁膜32とからなっている。無機絶縁膜31は、例えばプラズマCVD法によって、SiNxを200nm程度の厚さに形成される。これは、有機絶縁膜32の成分がTFT20の方に侵入するのを防止するバリア層として機能する。また、有機絶縁膜32は、TFT20などの形成によって表面に凹凸のある部分に埋め込むもので、液状の樹脂を塗布することで有機絶縁膜32の表面が平坦化しやすい。塗布法としては、スリットコート又はスピンコートなどの方法があるが、両方を合せたスリット・アンド・スピンコート法であってもよい。この有機絶縁膜32は2μm程度の厚さになるように形成され、例えばポリイミド樹脂、又はアクリル樹脂が用いられ得る。これらの樹脂に光重合開始剤を混入させた感光性樹脂でもよい。この例については、後述される。しかし、光重合開始剤を含まない非感光性樹脂であれば、純度が高く、しかも表面平滑性が高いので好ましい。特に、アクリル樹脂が好ましい。
その後、この平坦化膜30にTFT20に達するコンタクト孔30aが形成される。このコンタクト孔30aの形成は、前述したコンタクト孔24aなどと同様に、レジストマスクを形成して、ドライエッチングなどのエッチングによって行われる。なお、この平坦化膜30のように、無機絶縁膜31と有機絶縁膜32とが混在する層を纏めてエッチングをする場合には、両者のエッチングレートが異なるので、特にドライエッチングによってエッチングすることで、両者の界面に段差が生じ難いので好ましい。段差が生じると、コンタクト孔30a内に埋め込む金属が完全に埋め込まれず、ソース電極25などとの接触抵抗が増大しやすいという問題がある。しかし、本実施形態では、Ti層411の薄い層だけなので、段差があっても電気めっきによって十分に埋め込まれる。この際、陰極配線27と接続する第2コンタクト45を形成するためのコンタクト孔30bも同様に形成される。
次に、図3Cに示されるように、コンタクト孔30aの内面及び有機絶縁膜32の表面にTi層411及びCu層412からなる導体層410が形成される(S3)。具体的には、スパッタリングなどの方法によって、チタン層411が前述した厚さに形成され、その後、チタン層411を電流供給層(シード層)として電気めっきによって銅層412が形成される。
その後、図3Dに示されるように、有機絶縁膜32の表面上の導体層410が研磨によって除去され、さらに有機絶縁膜32の表面がCMP研磨されることによって平坦化される(S4)。Cuは化学的に安定しているため、エッチングなどをし難い。そのため、機械的研磨によって有機絶縁膜32の表面に形成された導体層が除去される。その結果、コンタクト孔30a内に埋め込まれた導体層410の表面と有機絶縁膜32の表面とがほぼ面一になると共に、有機絶縁膜32の表面が微視的に見ても平坦化される。
この導体層410の研磨は、酸化セリウム(CeO2)、シリカ(SiO2)又はアルミナ(Al2O3)などの微粒子からなる研磨剤を用いて研磨されることによって行われ、有機絶縁膜32上の導体層410は除去される。さらに、有機絶縁膜32の表面も中性のセリア系研磨材、又はヒュームドシリカ系スラリーを水とアルコールと共に供給してCMP研磨されることによって、図3Dに示されるように、表面粗さが算術平均粗さRaで50nm以下の平坦面にされている。この際、有機EL表示装置の陰極(第2電極)を陰極配線27と接続するための第2コンタクト45も同様にTi層411とCu層412とで形成されている。
すなわち、有機絶縁膜32は、液状の樹脂をスリット・アンド・スピンなどの方法で塗布して乾燥させるため、表面が平坦になりやすく、前述したように、この表面は、算術平均の表面粗さRaで100〜300nm程度に形成されている。しかし、前述したように、この有機絶縁膜32の塗布と硬化だけの平坦度では、色ムラ及び/又は輝度ムラが現れ、発光特性を十分に満足し得ないことを本発明者は見出した。そのため、CMP研磨によって、その表面の平坦度を算術平均粗さRaで50nm以下になるように研磨している。この平坦度は小さいほど好ましいが、特許文献1に示されるような20nm以下という非常に平坦性を要求されるものではない。50nm程度以下であれば、色ムラ及び/又は輝度ムラが問題になるほどには現れなかった。前述したように、Cu層412は化学的に安定しているため、機械的研磨で行うことが好ましいが、有機絶縁膜32の研磨は、上述の研磨剤を用いたCMPで行うことが好ましい。
その後、図3Eに示されるように、平坦化膜30の表面にコンタクト孔30aの内部に形成された導体層410と接続されるように有機発光素子40(図3F参照)の第1電極41が形成される(S5)。具体的には、例えばスパッタリングなどによって、Ag膜又はAPC膜を100nm程度積層した下層と、10nm厚程度のITO膜からなる上層が成膜される。その結果、コンタクト孔30aの内部の導体層410と密着したAg膜又はAPC膜が形成され、さらにその表面にITO膜が形成されることで、この上に形成される有機発光層43とも整合性の良い第1電極41が形成される。
その後、図3Fに示されるように、第1電極41の上に有機発光層43が形成される(S6)。具体的には、第1電極41の周縁部に各画素を区画すると共に、陰極と陽極の接触を防止するための絶縁バンク42が形成される。絶縁バンク42は、SiO2などの無機絶縁膜でもよいし、ポリイミド又はアクリル樹脂などの有機絶縁膜でもよい。全面に成膜され、第1電極41の所定の場所が露出するように形成される。絶縁バンク42の高さは、1μm程度に形成される。前述したように、有機発光層43は、各種の有機材料が積層されるが、有機材料の積層は、例えば真空蒸着によって行われ、その場合には、蒸着マスクの開口を通してR、G、Bなどの所望のサブ画素を開口した蒸着マスクを介して形成される。有機発光層43の表面には、電子の注入性を向上させるLiFなどの層が形成され得る。なお、蒸着によらないで、インクジェット法などによる印刷によっても形成され得る。第1電極41にAgを用いるのは、有機発光層43で発光した光を反射させてトップエミッション型として使用するためである。
その後、図3Gに示されるように、有機発光層43の上に、第2電極(陰極)44が形成される(S7)。第2電極44は、薄膜のMg-Ag共晶膜を蒸着などによって全面に形成してパターニングすることによって陰極とされる。なお、この第2電極44は、第2コンタクト45上にも形成されることで第2コンタクト45、第1コンタクト28を介して陰極配線27に接続されている。このMg-Ag共晶膜は、MgとAgの融点が異なるので、別々のるつぼから蒸発させて成膜時に共晶化する。Mgが90質量%程度でAgが10質量%程度の割合で、10〜20nm程度の厚さに形成される。
この第2電極44の上には、第2電極44及び有機発光層43を水分又は酸素などから護る被覆層46が形成される。この被覆層46は、水分又は酸素に弱い第2電極44及び有機発光層43を保護するため、水分などを吸収し難い、SiO2、SiNxなどの無機絶縁膜がプラズマCVD法などによって形成される。この被覆層46は、好ましくは、その端部が第1無機絶縁膜31などの無機膜と密着するように形成される。無機膜同士の接合であれば、密着性良く接合されるが、有機膜とでは、完全な密着性のよい接合を得にくいからである。従って、有機絶縁膜32の一部を除去して、その下層の第1無機絶縁膜31と接合させることが好ましい。そうすることによって、水分などの浸入を完全に防止し得る。
(実施例2) 図2A〜2B及び図3A〜3Gに示される実施例1の製造方法は、平坦化膜30が無機絶縁膜31と有機絶縁膜32が連続して形成され、一括してコンタクト孔30aが形成されたが、有機絶縁膜32として、感光性の有機絶縁膜32が形成され、無機絶縁膜31が形成された後に、第1コンタクト孔30a1が形成され、その後に感光性の有機絶縁膜32が形成され、露光と現像によって第2コンタクト孔30a2が形成され、コンタクト孔30aとされてもよい。その例が、図4A〜4Bに示されている。
具体的には、前述の図3Aに示される工程は、実施例1と同様に行われる。その後、図4Aに示されるように、無機絶縁膜31が形成された後に、コンタクト孔30aの形成場所に第1コンタクト孔30a1が形成される。この第1コンタクト孔30a1は、前述したコンタクト孔30aの形成と同様に、レジスト膜を形成した後フォトリソグラフィ工程によってレジスト膜に開口が形成され、そのレジスト膜をマスクとして、ドライエッチングなどによってエッチングすることで形成される。感光性の有機絶縁膜が形成されると第2コンタクト孔30a2の形成が容易であるが、光重合開始剤の添加によって、有機絶縁膜のレベリングの効果が低下するので、表面粗さが粗くなる。しかし、その表面がCMP研磨されるので、問題は生じない。
その後、図4Bに示されるように、有機絶縁膜32が形成され、無機絶縁膜31の第1コンタクト孔30a1の位置に、露光と現像によって第2コンタクト孔30a2が形成される。その結果、第2コンタクト孔30a2は第1コンタクト孔30a1と連続してコンタクト孔30aになる。その結果、図3Bに示される構造と同じになり、以降の工程は実施例1と同じになる。そのため、その説明は省略される。
(まとめ) (1)本発明の一実施形態に係る有機EL表示装置は、薄膜トランジスタを含む駆動回路が形成された表面を有する基板と、前記駆動回路を覆うことによって前記基板の前記表面を平坦化する平坦化膜と、前記平坦化膜の表面上に形成され、前記駆動回路と接続された第1電極、前記第1電極の上に形成された有機発光層、及び前記有機発光層の上に形成された第2電極を有する有機発光素子と、を備え、前記平坦化膜は、前記薄膜トランジスタの上に積層された無機絶縁膜及び有機絶縁膜の2層構造からなり、かつ、前記コンタクト孔の内部にチタン層及び銅層を含む導体層が埋め込まれると共に、前記導体層と電気的に接続して前記第1電極が形成されている。
本実施形態によれば、コンタクト孔内が電気抵抗の非常に小さい銅の電気めっき膜によって形成されているので、コンタクト孔内に十分に銅が埋まり、低抵抗でTFTと接続される。さらに、有機発光素子の第1電極の、コンタクト孔内の導電体との接触部がAg又はAPCであるため、電気抵抗を略生じさせないで接続される。さらに、平坦化膜の表面が有機絶縁膜で形成された表面のまま、有機発光素子の第1電極を形成するのではなく、有機絶縁膜の表面が研磨されているので、微視的な平面状態でも、凹凸が無く、小さなサブ画素の有機発光層の表面の法線方向が表示画面の法線方向とほぼ一致する。その結果、小さなサブ画素の一部の光が斜め方向に進むという問題は無くなり、輝度ムラ、色ムラなどの表示品位を低下させる要因が無くなる。その結果、非常に表示品位の優れた有機EL表示装置が得られる。
(2)前記有機絶縁膜が、感光性樹脂であることが、コンタクト孔の形成が容易になるので好ましい。
(3)前記平坦化膜の表面が、研磨によって算術平均粗さRaで50nm以下に形成されていることが、色ムラ及び/又は輝度ムラを防止し得るので好ましい。
(4)前記コンタクト孔の内部に埋め込まれた前記導体層の表面が、研磨によって算術平均粗さRaで50nm以下に形成されていることによって、このコンタクト孔の直上に有機発光素子の第1電極を形成しても、平坦な有機発光層が得られる。
(5)前記第1電極がAg又はAPCとITOを含むことが、CuとAg又はAPCとの馴染みが良く、また、ITOと有機発光層との正孔注入性が向上するので好ましい。
(6)前記第1電極が、前記コンタクト孔内に埋め込まれた前記導体層の上に形成されていることによって、1画素当たりの専有面積を小さくすることができ、より精細化が可能になると共に、TFTと第1電極との距離が短くなるので、電気抵抗も小さくなり、電気特性が向上する。
(7)前記第1電極のAg又はAPCが前記コンタクト孔の内部に埋め込まれた前記Ti層又はCu層と接続され、前記ITO層が前記有機発光層との界面に形成されていることが、相互にそれぞれ接する層との整合性が良いので好ましい。
(8)本発明の他の実施形態の有機EL表示装置の製造方法は、基板の上に、薄膜トランジスタを含む駆動回路を形成する工程と、前記駆動回路の表面に平坦化膜を形成した後、前記薄膜トランジスタの一部を露出させるコンタクト孔を形成する工程と、前記コンタクト孔の内面及び前記有機絶縁膜の表面にチタン層及び銅層からなる導体層を形成する工程と、前記有機絶縁膜の表面上の前記導体層を研磨によって除去し、さらに前記有機絶縁膜の表面をCMP研磨することによって平坦化する工程と、前記有機絶縁膜の表面に前記コンタクト孔の内部に形成された前記導体層と接続されるように第1電極を形成する工程と、前記第1電極の上に有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層の上に第2電極を形成する工程と、を含んでいる。
本実施形態によれば、コンタクト孔内にTi層を形成してから、電気めっき法によって導体層を形成しているので、コンタクト孔内に十分に金属が埋め込まれると共に、その表面が研磨によって有機絶縁膜と面一になっている。そのため、その表面に第1電極が形成されても、第1電極の表面は平坦になる。その結果、その上に形成される有機発光層の表面も平坦になり、色ムラ、輝度ムラなどの表示ムラが発生し難い。
(9)前記第1電極の形成工程において、Ag膜又はAPC膜を成膜した後、ITO膜を成膜してからパターニングすることが、有機発光層と接する面に仕事関数的に好ましいITOが形成されるので好ましい。
(10)前記研磨を、酸化セリウム(CeO2)、シリカ(SiO2)又はアルミナ(Al2O3)の微粒子からなる研磨剤を用いて行うことが、短時間で表面粗さの小さい面が得られるので好ましい。
10 基板 20 TFT 21 半導体層 30 平坦化膜 31 無機絶縁膜 32 有機絶縁膜 33 第2無機絶縁膜 40 有機発光素子 41 第1電極(陽極) 410 導体層 411 Ti層 412 Cu層 413 Ag又はAPC層 414 ITO層 43 有機発光層 44 第2電極(陰極)
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